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JP2014070230A - Ni基超耐熱合金の製造方法 - Google Patents

Ni基超耐熱合金の製造方法 Download PDF

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Chuya Aoki
宙也 青木
Tomonori Ueno
友典 上野
Toshihiro Uehara
利弘 上原
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

【課題】クリープ破断強度を大幅に向上させたNi基超耐熱合金の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C0.01〜0.2%、Si0.5%以下、Mn0.5%以下、Cr10〜24%、MoとWの1種又は2種をMo+0.5Wで5〜17%、Al0.5〜2.0%、Ti1.0〜3.0%、Fe10%以下、及び、B0を超え0.02%以下とZr0を超え0.2%以下の1種又は2種を含有し、残部はNi及び不純物でなるNi基超耐熱合金の製造方法において、前記組成を有する溶体化処理用素材を準備する工程と、前記溶体化処理用素材を用いて、1100〜1140℃で1.5〜5時間の溶体化処理(多段の溶体化処理は行わない)を行って溶体化処理材を得る溶体化処理工程と、前記溶体化処理材を用いて、820〜880℃での第1段時効処理、及び600〜800℃での第2段時効処理を行なう時効処理工程と、を含むNi基超耐熱合金の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、Ni基超耐熱合金の製造方法に関するものである。
近年、地球温暖化防止の観点からCO排出量を削減するため火力発電プラントの高効率化が求められている。現在、火力発電プラントの蒸気温度は600〜630℃に達しているが、更なる発電効率向上のため、今後も蒸気温度の上昇が見込まれており、蒸気タービン等の部材で高温強度、特にクリープ破断強度に優れるNi基超耐熱合金の使用が有望視されている。例えば、650℃級超々臨界圧火力発電プラントでの使用に最適なNi基合金として、特開平9−157779公報(特許文献1)には、優れたクリープ特性と低い熱膨張係数を特徴とするNi基超耐熱合金の発明が提案されている。また、再公表特許WO10/038680号公報(特許文献2)には、前述の特許文献1のミクロ偏析に起因するクリープ特性のばらつきを軽減することを目的として適切な均質化熱処理を施し、Moの偏析比を1〜1.17の範囲に留めるNi基超耐熱合金の発明が提案されている。さらに、特開2011−84812(特許文献3)では、Ni基超耐熱合金のクリープの高強度化と延性低下抑制を目的として、高温の溶体化処理と低温の溶体化処理により、結晶粒径を特定の大きさに成長させ、且つ、結晶粒界の粒状析出物の形態を制御する発明が提案されている。
特開平9−157779号公報 再公表特許WO2010/038680号公報 特開2011−84812号公報
前述の特許文献1及び特許文献2のNi基超耐熱合金は、狙い組成のインゴットに均質化熱処理を施した後、熱間塑性加工を行い所定の形状に仕上げて製造される。これに溶体化処理とその後の時効処理を行うことによって、700℃級超々臨界圧火力発電プラントへの使用も可能な優れたクリープ特性が得られる。前述の特許文献1や特許文献2のNi基超耐熱合金は、その優れたクリープ特性から700℃級超々臨界圧火力発電プラントの蒸気タービン、ボイラ管等の部材に適用が可能とされている。
しかしながら、蒸気タービンの使用環境は極めて苛酷であり、より高い信頼性が求められることから、クリープ特性を最大限発揮させることが求められている。
また、特許文献3では、1100〜1160℃で施される第1溶体化処理と、それに引き続いて980〜1080℃で施される第2溶体化処理という、特別な溶体化処理によって結晶の平均粒径を72〜289μmとし、平均長さが0.5〜2.5μmの粒状析出物(炭化物)を結晶粒界に析出させ、クリープ強度を向上させつつも延性の低下を抑制することが可能とされている。
しかしながら、生産性を考慮すると、2段の溶体化処理よりも通常の1段の溶体化処理の方が有利である。
本発明の目的は、通常の1段の溶体化処理を適用しつつもクリープ破断強度を大幅に向上させたNi基超耐熱合金の製造方法を提供することである。
本発明者は、特許文献1や特許文献2で記されるNi基合金において、特許文献3で示される熱処理条件と比較して、生産性に優れ、且つ、より高いクリープ破断強度が発揮できるような方法を鋭意検討した。
特許文献1や特許文献2で記されるNi基合金では、溶体化処理で合金元素のマトリクスへの固溶と結晶粒径のコントロールを行い、その後の時効処理では結晶粒界に主として炭化物、粒内に微細なガンマプライム相を析出させ高強度を得ている。
本発明者は、クリープ破断強度を向上させる金属組織の制御として、結晶粒サイズと結晶粒界に析出する炭化物量に着目し、C添加量と溶体化処理条件の適正化を調査した。その結果、結晶粒界に析出する炭化物とガンマプライム相は主にC添加量と結晶粒サイズに依存し、C添加量の適正化を図ると共に溶体化処理を限られた温度範囲で行うことでクリープ破断強度を飛躍的に向上できることを知見し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以下、Cr:10〜24%、MoとWの1種または2種をMo+0.5W:5〜17%、Al:0.5〜2.0%、Ti:1.0〜3.0%、Fe:10%以下、及び、B:0.02%以下(0%は含まず)とZr:0.2%以下(0%は含まず)の1種または2種を含有し、残部はNi及び不可避的不純物でなるNi基超耐熱合金の製造方法において、
前記組成を有する溶体化処理用素材を準備する工程と、
前記溶体化処理用素材を用いて、1100〜1140℃で1.5〜5時間の溶体化処理(多段の溶体化処理は行わない)を行って、溶体化処理材を得る溶体化処理工程と、
前記溶体化処理材を用いて、820〜880℃での第1段時効処理、および600〜800℃での第2段時効処理を行なう時効処理工程と、
を含むことを特徴とするNi基超耐熱合金の製造方法である。
本発明によれば、Ni基合金のクリープ破断強度を大幅に向上させることができる。これを用いてなる火力発電プラントの蒸気タービン、ボイラ管材等の信頼性を高めることが可能となる。
本発明の製造方法を適用したNi基超耐熱合金の金属組織の電子顕微鏡写真である。 本発明の製造方法を適用したNi基超耐熱合金の金属組織の模式図である。
先ず、本発明では、以下に示す成分を有する溶体化処理用素材を準備する。
溶体化処理用素材は、溶解の後、熱間鍛造や熱間プレス等の熱間塑性加工を行った熱間塑性加工材を用いると良い。溶体化処理用素材を得るための工程の一例を示す。
Ni基超耐熱合金の溶解は常法の溶解方法を適用すれば良い。本発明では高温高強度を得るためガンマプライム相の構成元素であるAl及びTiを必須で添加するため、有害な酸化物や窒化物等の非金属介在物の析出を防ぐため、脱ガス効果のある真空溶解を行うことが好ましい。真空溶解の後、真空アーク再溶解やエレクトロスラグ再溶解等の再溶解を行うことが好ましい。
また、真空溶解後のインゴットまたは真空溶解後の電極、再溶解後のインゴットに1160〜1220℃にて1〜100時間の均質化熱処理を行って成分偏析の低減を行って、熱間塑性加工用素材とするのが好ましい。
次に、本発明では上述した成分を有する熱間塑性加工用素材を900〜1200℃で熱間塑性加工して熱間塑性加工材を得る工程を行うと良い。
鋳造組織は溶解後の冷却中に結晶粒が特定の方向に成長した金属組織であるため、機械的特性に異方性が生じる。そのため、溶解で生成された鋳造組織を壊し、均一な再結晶組織を得るために熱間塑性加工を行うものである。
熱間塑性加工の温度が900℃未満では熱間加工性が乏しいため所定の寸法に変形させることが困難であるとともに割れの原因となる。一方、熱間塑性加工の温度が1200℃を超えると、BやZrが偏析する結晶粒界の強度が大きく低下して熱間加工性が著しく損なわれる。したがって、熱間塑性加工は900〜1200℃の温度範囲とする。熱間塑性加工の温度の好ましい上限は1180℃である。
以上、説明した熱間塑性加工材を用いて溶体化処理用素材とすれば良い。
次に、本発明で規定する成分限定理由を述べる。なお、各元素の含有量は質量%である。
C:0.01%〜0.2%
Cは、優れたクリープ破断強度を得るための最も重要な元素である。クリープ破断強度を向上させるためには溶体化処理によって結晶粒を大きくすることが有効である。しかし、Cが0.2%より多いと結晶粒成長の抑制効果が過剰になるため、結晶粒径のコントロールが困難となる。本発明ではCの上限を0.2%とした。また、Cは、時効処理を行うことで結晶粒界に炭化物を析出させて結晶粒界を強化し、クリープ変形を抑制する効果がある。十分なクリープ破断強度を得るためには結晶粒界に0.2〜0.4mol%程度の炭化物の析出が必要である。粒界炭化物は、結晶粒界を強化すると同時にガンマプライム相の結晶粒界への析出を促進する効果があり、クリープ中の粒界すべりを抑制する効果が高くなる。しかし、Cが0.01%未満では結晶粒界に十分な炭化物を析出させることができず、ガンマプライム相の結晶粒界への析出が不足する。その結果、結晶粒界の強化が不十分となりクリープ破断強度は低下する。そのため、Cの下限を0.01%と規定した。Cの好ましい下限は0.015%であり、好ましい上限は0.1%である。さらに好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましい上限は0.05%である。
Si:0.5%以下
Siは、合金溶製時に脱酸剤として用いられる。また、Siは酸化被膜の剥離を抑制する効果がある。しかし、過度に含有すると延性、加工性が低下するため、0.5%以下に限定する。
Mn:0.5%以下
Mnは合金溶製時に脱酸剤や脱硫剤として用いられる。不可避的不純物としてOやSが結晶粒界に偏析し熱間脆性を引き起こすため、Mnを用いて脱酸、脱硫を行う。しかし過度に添加すると延性が低下するため、0.5%以下に限定する。
Cr:10〜24%
CrはCと結合して結晶粒界に炭化物を生成することで結晶粒界を強化し高温での強度、延性を向上させる効果がある。また、マトリクスに固溶して合金の耐酸化性、耐食性を向上させるとともに、切り欠き感受性を大幅に緩和させる効果を有する。Crが10%未満では上記効果を確実に得られず、また、24%を超える過度の添加は、脆化相の生成により合金の製造性や加工性、機械的特性が低下する問題が生じる。これらの理由によりCrは10〜24%に限定する。好ましいCrの下限は15%である。
式「Mo+0.5W」で規定される量で、Mo、Wの1種または2種を5〜17%
Mo及びWは、マトリクスに固溶して基地を強化するとともに合金の熱膨張係数を下げる効果がある。Ni基合金は熱膨張係数が大きいため、高温で安定して使用するには熱疲労を起こしやすく信頼性が欠ける難点がある。Moは熱膨張係数を下げるのに最も有効な元素であるため、Moを必須としてMo単独あるいはMoとWの2種を添加する。この効果を確実に得るにはMo+0.5Wで5〜17%が必要となる。Mo+0.5W量で5%未満では上記効果を確実に得ることができず、また、17%を超えると合金の製造性や加工性が困難となり易くなるため、Mo+0.5W量でMo、Wの1種または2種を5〜17%に限定する。
Al:0.5〜2.0%
Alは、Ni、Tiとともにガンマプライム相と呼ばれる金属間化合物(Ni(Al、Ti))を形成し、合金の高温強度を高めるために添加する。ガンマプライム相は粒内および結晶粒界に析出し、粒内および結晶粒界の強化に寄与する。特に結晶粒界への析出は、粒界炭化物と同様、結晶粒界のすべりを抑制しクリープ破断強度の向上に寄与する。0.5%未満では上記効果が得られず、また過度の添加は合金の製造性や加工性が劣化するため、Alは0.5〜2.0%に限定する。
Ti:1.0〜3.0%
Tiは、Ni、Alと同様ガンマプライム相(Ni(Ti、Al))を合金の高温強度を高める効果がある。Tiの原子径はNiのそれよりも大きくマトリクスに弾性歪を与えるため、NiAlよりも強化に寄与する。1.0%未満では上記効果が得られず、過度に添加すると合金の製造性や加工性が劣化するためTiは1.0〜3.0%に限定する。
Fe:10%以下
Feは、必ずしも添加する必要はないが、合金の熱間加工性を改善する効果があるため、必要に応じて添加することができる。Feを過剰に添加すると合金の熱膨張係数が大きくなり高温使用時に割れが発生する問題が生じる。また耐酸化性が劣化するため10%以下に限定する。好ましいFeの上限は5%、さらに好ましいFeの上限は3%である。
B:0.02%以下(0%は含まず)とZr:0.2%以下(0%は含まず)の1種または2種
B、Zrは結晶粒界強化のために用いられ、BとZrの何れかまたは両方を添加する必要がある。B、Zrはマトリクスを構成する原子であるNiより原子の大きさが著しく小さいため、結晶粒界に偏析し高温での粒界すべりを抑制する効果がある。特に切り欠き感受性を大幅に緩和させる効果を有する。そのため、クリープ破断強度やクリープ破断延性が向上する効果が得られるが、過度に添加すると耐酸化性が劣化するためB、Zrはそれぞれ0.02%以下(0%は含まず)、0.2%以下(0%は含まず)に限定する。
残部のNiは本発明に係る合金の主要構成元素であり、他の元素を固溶しつつfcc構造を有するマトリクスのガンマ相を形成する元素である。マトリクスのガンマ相は合金元素の固溶限が大きく、析出強化の要であるガンマプライム相の析出に有利である。また、Niは析出強化相であるガンマプライム相の主要構成元素であるため、Al、Ti量に対して十分な量を有する必要がある。本発明では残部をNiとする。勿論、不純物は含まれる。
溶体化処理工程
本発明では、前記の熱間塑性加工材を用いて、1100〜1140℃で溶体化処理を行って、溶体化処理材を得る。
溶体化処理は熱間塑性加工で得られた再結晶組織の結晶粒サイズを調整するとともに、時効処理でガンマプライム相や炭化物を析出させるための構成元素を一旦マトリクスに固溶させる目的で行う。本発明では、クリープ破断強度を向上させるために結晶粒をある程度粗大にすると同時にその後の第1段時効処理で結晶粒界に炭化物とガンマプライム相を結晶粒界に沿って連続かつくさび状に十分に析出させる。第1段時効処理で結晶粒界に炭化物を十分析出させると同時に、炭化物を起点にガンマプライム相も結晶粒界に析出させることで本発明の粒界組織が得られる。即ち、本発明の粒界組織は、結晶粒サイズ、C添加量、時効処理温度のバランスによって決定付けられる。そのため、例えば、特許文献3で開示されるような溶体化処理の後、ガンマプライム相の固溶温度以上で炭化物のみを析出させるような第2段目の溶体化処理を行わなくてもクリープ破断強度向上の十分な効果が得られる。
前述の粒界組織を得るのに必要な本発明で適用する溶体化処理温度は、従来よりも高温で、且つ、限定された温度範囲の1100〜1140℃とする。溶体化処理の温度が1100℃より低温でも化合物元素のマトリクスへの固溶が十分ではなく、且つクリープ破断強度を向上させるだけの結晶粒成長の効果が期待できない。一方、溶体化処理の温度が1140℃より高温では、結晶粒の粗大化によるクリープ破断強度向上の効果はあるもののクリープ破断延性が低下する。したがって、溶体化処理温度は1100〜1140℃とする。溶体化処理の温度の好ましい下限は1110℃であり、好ましい上限は1130℃である。
また、上記効果を得るための溶体化処理の時間は1.5〜5時間である。溶体化処理の時間が1.5時間未満では、結晶粒サイズが十分に成長していないため、その後の第1段時効処理で析出させる炭化物の結晶粒界に占める割合が不十分となり、その結果、結晶粒界の炭化物とガンマプライム相からなる連続且つくさび状の組織が得られなくなる。また、溶体化処理の目的は、析出物の構成元素の固溶と結晶粒の粗大化であるため、溶体化処理の時間が5時間を超える熱処理は必要以上に長く経済的ではない。
時効処理工程
本発明では、前記溶体化処理材に820〜880℃での第1段時効処理、および600〜800℃での第2段時効処理を行なう。
十分なクリープ破断強度を得るために溶体化処理による結晶粒径の調整だけではなく、時効処理で結晶粒界や結晶粒内を強化させる必要がある。上述したように、第1段時効処理では結晶粒界に炭化物とガンマプライム相を連続且つくさび状に十分析出させ、結晶粒界を強化する。第1段時効処理の温度が820℃未満では化合物の析出量が少なく結晶粒界の強化が不十分となる。一方、第1段時効処理の温度が880℃を超えると付随的に結晶粒内に析出するガンマプライム相が粗大に成長することで粒内の析出強化の効果が損なわれてしまう。そのため、第1段時効処理の温度は820〜880℃とする。第1段時効処理の温度の好ましい下限は840℃であり、好ましい上限は860℃である。
なお、上記効果を得るための第1段時効処理の時間は1〜10時間程度で十分である。
前述の第1段時効処理に続いて行う第2段時効処理では結晶粒内にガンマプライム相を微細に析出させ、結晶粒内を強化する。第2段時効処理の温度が600℃未満ではガンマプライム相の析出が不十分であるため高温強度が不足する。一方、第2段時効処理の温度が800℃を超えるとガンマプラム相が粗大化し高温強度は低下しやすくなる。そのため、本発明では2段目の時効処理は600〜800℃とする。第2段時効処理の温度の好ましい下限は700℃であり、好ましい上限は780℃である。
なお、上記効果を得るための第2段時効処理の時間は10〜30時間程度が好ましい。
以上、説明する本発明の製造方法を適用すれば、Ni基超耐熱合金のクリープ破断強度を向上させることができる。その結果、700℃級超々臨界圧火力発電プラントの蒸気タービンブレード、ボルト等の部材として、高い信頼性を付与することが可能となる。
真空誘導溶解により10kgインゴットを作製し、表1に示す化学成分のNi基超耐熱合金を得た。表に示さない残部はNiと不純物である。
今回製造した鋼塊の成分は、C含有量と溶体化処理の関係を明確とするために、C以外の本発明で規定した元素の含有量は固定した。
表1に示す組成のNi基超耐熱合金のインゴットに対して、1200℃で均質化熱処理を行って熱間塑性加工用素材とした。前述の熱間塑性加工用素材を用いて、1150℃で熱間塑性加工を行って熱間塑性加工材とした。
クリープ強度に影響を及ぼす溶体化処理工程の条件と、時効処理工程の条件を表2に示す。
上述した溶体化処理工程と時効処理工程を行ったNi基超耐熱合金のクリープ破断特性の評価を行った。評価は700℃級超々臨界圧火力発電プラントへの使用を想定し、700℃と750℃でのクリープ破断試験とした。
クリープ破断試験は、試験温度700℃、荷重応力385N/mm、及び、試験温度750℃、荷重応力242N/mmの条件で行った。クリープ破断試験結果を表3に示す。なお、表3に示す平均結晶粒径は時効処理工程後のものであり、炭化物量はCALPHAD法を用いた計算により求めたものである。また、時効処理工程後の合金No.2の金属組織の電子顕微鏡写真とその模式図を図1、2にそれぞれ示す。
表3より、700℃、750℃でのクリープ破断試験結果について、本発明の合金No.1、合金No.2は比較例No.3、4、5と比較してクリープ破断寿命が向上している。クリープ破断絞りについては、本発明合金は、比較例と比較してやや劣るものの十分な延性を満足していることが分かる。良好なクリープ破断延性を満足できる範囲で、最も重要視されるクリープ破断強度が改善できていることが分かる。
一方、比較例No.5は本発明合金No.1、2と同程度の結晶粒径であるが、溶体化処理温度が低いため未固溶炭化物が残存し、時効処理で粒界への炭化物析出が不十分であるため、本発明合金No.1、2と比較してクリープ破断強度は低い結果となった。
また、本発明の製造方法を適用したNo.1、2合金では、図1及び図2の金属組織写真とその模式図に示すように、炭化物とガンマプライム相が結晶粒界に沿って連続的且つくさび状に多数析出し、クリープ中の粒界すべりが抑制されることでクリープ破断強度を向上させることができる。
1 マトリクス
2 ガンマプライム相
3 析出物(炭化物及びガンマプライム相)

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以下、Cr:10〜24%、MoとWの1種または2種をMo+0.5W:5〜17%、Al:0.5〜2.0%、Ti:1.0〜3.0%、Fe:10%以下、及び、B:0.02%以下(0%は含まず)とZr:0.2%以下(0%は含まず)の1種または2種を含有し、残部はNi及び不可避的不純物でなるNi基超耐熱合金の製造方法において、
    前記組成を有する溶体化処理用素材を準備する工程と、
    前記溶体化処理用素材を用いて、1100〜1140℃で1.5〜5時間の溶体化処理(多段の溶体化処理は行わない)を行って、溶体化処理材を得る溶体化処理工程と、
    前記溶体化処理材を用いて、820〜880℃での第1段時効処理、および600〜800℃での第2段時効処理を行なう時効処理工程と、
    を含むことを特徴とするNi基超耐熱合金の製造方法。
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