[go: up one dir, main page]

JP2005154734A - インクジェットインク - Google Patents

インクジェットインク Download PDF

Info

Publication number
JP2005154734A
JP2005154734A JP2004252466A JP2004252466A JP2005154734A JP 2005154734 A JP2005154734 A JP 2005154734A JP 2004252466 A JP2004252466 A JP 2004252466A JP 2004252466 A JP2004252466 A JP 2004252466A JP 2005154734 A JP2005154734 A JP 2005154734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
ink
vinyl ether
skeleton
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004252466A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4037856B2 (ja
JP2005154734A5 (ja
Inventor
Ryozo Akiyama
良造 秋山
Toru Gokochi
透 後河内
Kazuhiko Otsu
和彦 大津
Mitsuru Ishibashi
充 石橋
Hiroshi Kiyomoto
博史 清本
Yukiko Kawakami
由紀子 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Tec Corp
Original Assignee
Toshiba Tec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Tec Corp filed Critical Toshiba Tec Corp
Priority to JP2004252466A priority Critical patent/JP4037856B2/ja
Priority to US10/969,204 priority patent/US7375145B2/en
Priority to DE200460012038 priority patent/DE602004012038D1/de
Priority to EP20060014403 priority patent/EP1705230B1/en
Priority to DE200460011993 priority patent/DE602004011993D1/de
Priority to EP20040025172 priority patent/EP1528088B1/en
Priority to CNB2004101033827A priority patent/CN1290945C/zh
Publication of JP2005154734A publication Critical patent/JP2005154734A/ja
Priority to US11/635,273 priority patent/US7473720B2/en
Priority to US11/635,274 priority patent/US20070101898A1/en
Publication of JP2005154734A5 publication Critical patent/JP2005154734A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4037856B2 publication Critical patent/JP4037856B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/02Printing inks
    • C09D11/10Printing inks based on artificial resins
    • C09D11/101Inks specially adapted for printing processes involving curing by wave energy or particle radiation, e.g. with UV-curing following the printing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/38Inkjet printing inks characterised by non-macromolecular additives other than solvents, pigments or dyes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】 有機溶剤を使用する必要がなく、しかも高品質な印刷物を得るうえで大掛かりな露光システムを必要としないインクジェットインクを提供する。
【解決手段】 光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物は、下記一般式(1)で表わされるビニルエーテル化合物であることを特徴とする。
【化1】
Figure 2005154734

(前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェットインクに関する。
従来から、地域広告や企業内配布資料、大型ポスターのようにある程度の部数を必要とする印刷物の製造には、版を利用した印刷機が用いられてきた。近年、こうした従来の印刷機に代わって、多様化するニーズに迅速に対応できるとともに、在庫を圧縮することが可能なオンデマンド印刷機が利用されつつある。そのようなオンデマンド印刷機としては、トナーや液体トナーを用いた電子写真印刷機や高速および高画質印刷が可能なインクジェットプリンタが期待されている。
オンデマンド印刷機では、版を利用した印刷機と同様に、顔料および有機溶剤を含有する溶剤系インクや溶剤系液体トナーが使用される。この技術では、ある程度の部数を印刷した際には、無視できない量の有機溶剤が揮発することになる。そのため、揮発した有機溶剤による雰囲気汚染の問題があり、排気設備や溶剤回収機構を設けなければならない。
一方、インクジェットプリンタでは、溶剤系インクは、被印刷面に吐出するまで閉鎖系で取り扱うことができるので、適切な排気対策を施せば、雰囲気汚染の問題を多少は軽減することが可能である。しかしながら、版を利用した印刷機で使用するインクとは異なり、インクジェットプリンタで使用されるインクは吐出に必要な流動性を有していなければならない。そのため、用いられるインクは溶媒濃度が十分に高くなければならず、この技術でも、有機溶剤に起因した雰囲気汚染の問題を解決することは本質的に困難である。
また、溶剤系インクを使用した場合には、被印刷面が画質に与える影響が大きい。例えば、浸透性の被印刷面では滲みを生じ易く、非浸透性の印刷面では画像の定着が難しい。さらに、被印刷面に形成したインク層が乾燥するまでには、ある程度の時間が必要とされるため、広い被印刷面に濃い画像を形成する場合、その流動性に起因してつぶれを生じ易い。しかも、溶剤系インクを用いると、インク層の乾燥に伴なって被印刷面の劣化が生じるおそれがある。すなわち、この技術で高品質の印刷物を得ることは、必ずしも容易ではない。
溶剤の問題に対して有効な技術として、感光性インクおよびそれを用いたプリンタシステムが注目され始めている。使用される感光性インクとしては、ラジカル重合性モノマーと光重合開始剤と顔料とを含有したものが代表的であり(例えば、特許文献1および特許文献2参照)、被印刷面に吐出された感光性インクは速やかに光硬化される。
この技術によれば、光照射によりインク層を非流動化することができるので、比較的高い品質の印刷物を得ることができる。しかしながら、感光性インクはラジカル発生剤などの発癌性成分を多く含むうえ、ラジカル重合性モノマーとして使用される揮発性のアクリル酸誘導体は、皮膚刺激や臭気が大きい。すなわち、こうした感光性インクは、取り扱いに注意を要する。さらに、ラジカル重合は空気中の酸素の存在によって著しく阻害されるのに加え、インク中に含まれる顔料により露光光が吸収されてしまう。その結果、インク層の深部では露光量が不足しがちとなるため、従来のラジカル重合性のインクは光に対する感度が低い。したがって、この技術で高品質な印刷物を得るためには、非常に大掛かりな露光システムが必要である。
酸素の影響が比較的小さいインクとして、光カチオン重合性の感光性インクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、従来のこのタイプのインクには溶剤が含有されていることから、環境に溶剤放出の問題が避けられない。しかも、硬化物がさらに硬化しやすく、非溶解性ゆえにヘッドのつまりを生じやすいという問題も有していた。また、インクジェット吐出可能なCD−ROMのコーティング用カチオン硬化型感光性組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。実際にインクジェット吐出できた組成はビニルエーテルと、発癌性などで問題のあるビスフェノールA型エポキシとを主体とするものであり、やはり環境への放出などの問題が大きかった。
さらに、特定の組成比のカチオン硬化性モノマーを含有するインクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献5参照)。こうしたインクも非常に揮発性の高い特定のビニルエーテル化合物を必須成分として含むため、同様な問題を有していた。また、上記文献に記載されたような通常のビニルエーテル化合物は、顔料と組み合わせて具備した場合には、重合性に乏しいという問題もあった。
加えて、多価のビニルエーテル化合物と、脂環エポキシ化合物を含有する感光性インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献6参照)。この文献に開示されたビニルエーテルは、上に述べる重合性に乏しいという問題やビスフェノールA骨格特有の発癌性の問題を有するほか、溶解性と暗反応性の高い脂環エポキシとの組み合わせのため、その保存性や、印刷物の溶剤に対する耐性に問題があった。
また特に、印刷面が吸収媒体である場合には、従来のアクリル系光硬化性インクジェットインクは吸収紙面の内部では硬化しにくいという問題もあった。
なお、従来の光カチオン硬化型のインクジェットインクには、その粘度変化が激しいという問題点があった。これは、一度経時変化などにより酸が発生するとなかなか失活しにくく、インクの暗反応が多いことに起因している。インクジェットインクの場合、粘度が変化すると、インクの飛翔形状の乱れ、印字再現性の減少、最悪の場合には吐出不良、インクづまりなどの致命的状態に陥りやすいため、この問題は極めて深刻であった。
特開平8−62841号公報 特開2001−272529号公報 特公平2−47510号公報(EUP−0071345−A2) 特開平9−183928号公報 特開2001−220526号公報 米国特許第5889084号
本発明は、有機溶剤を使用する必要がなく、しかも高品質な印刷物を得るうえで大掛かりな露光システムを必要としないインクジェットインクを提供することを目的とする。また、特にビニルエーテル化合物を主成分とした従来の感光性インクジェットインクにおいて、低いカチオン重合反応性や溶剤耐性の問題を解決したインクジェットインクを提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるインクジェットインクは、光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2005154734
(前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
本発明の他の態様にかかるインクジェットインクは、光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、常温におけるインクの粘度が12mPa・sec以下であることを特徴とする。
Figure 2005154734
(前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
本発明の他の態様にかかるインクジェットインクは、光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、溶解度パラメーターが19MPa1/2以上のエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物をさらに含有することを特徴とする。
Figure 2005154734
(前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
本発明の他の態様にかかるインクジェットインクは、光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、常温における粘度が500mPa・secを越えるエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物をさらに含有することを特徴とする。
Figure 2005154734
(前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
本発明の一態様によれば、有機溶剤を使用する必要がなく、しかも高品質な印刷物を得るうえで大掛かりな露光システムを必要としないインクジェットインクが提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態にかかるインクジェットインクは、光照射により酸を発生する光酸発生剤と、色成分と、酸の存在下で重合する化合物とを含有する。すなわち、本実施形態にかかるインクジェットインクは、化学増幅型の感光性組成物である。ここでいう「インクジェットインク」とは常温で流動性のインクを意味し、具体的には25℃における粘度が50mPa・sec、より好ましくは30mPa・sec以下であるインクを意味する。あるいは、インクジェットヘッドの温調範囲である常温乃至50℃程度の温度内のいずれかで、12mPa・sec以内の粘度を示すインクであってもよい。
このようなインクジェットインクに光を照射した場合には、光酸発生剤から酸が発生し、この酸は重合性化合物の架橋反応の触媒として機能するとともに、発生した酸はインク層内で拡散する。露光後のインク層では、酸を触媒とした架橋反応が進行し、インク層を加熱することによって、この架橋反応を加速することができる。ここでの架橋反応はラジカル重合とは異なって、酸素の存在によって阻害されることがない。そのため、1つの光子で複数の架橋反応を生じさせることができ、高い感度を実現することができる。しかも、インク層の深部や吸収性のメディア内部でも架橋反応を速やかに進行させることができる。そのため、得られるインク層は、ラジカル重合系の場合と比較して密着性にも格段に優れたものとなる。
以下、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクに含有される各成分を詳細に説明する。
(光酸発生剤)
光照射により酸を発生する光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物などを使用することができる。
これらの化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4'−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、みどり化学社製MPI−103(CAS.NO.(87709−41−9))、みどり化学社製BDS−105(CAS.NO.(145612−66−4))、みどり化学社製NDS−103(CAS.NO.(110098−97−0))、みどり化学社製MDS−203(CAS.NO.(127855−15−5))、みどり化学社製Pyrogallol tritosylate(CAS.NO.(20032−64−8))、みどり化学社製DTS−102(CAS.NO.(75482−18−7))、みどり化学社製DTS−103(CAS.NO.(71449−78−0))、みどり化学社製MDS−103(CAS.NO.(127279−74−7))、みどり化学社製MDS−105(CAS.NO.(116808−67−4))、みどり化学社製MDS−205(CAS.NO.(81416−37−7))、みどり化学社製BMS−105(CAS.NO.(149934−68−9))、みどり化学社製TMS−105(CAS.NO.(127820−38−6))、みどり化学社製NB−101(CAS.NO.(20444−09−1))、みどり化学社製NB−201(CAS.NO.(4450−68−4))、みどり化学社製DNB−101(CAS.NO.(114719−51−6))、みどり化学社製DNB−102(CAS.NO.(131509−55−2))、みどり化学社製DNB−103(CAS.NO.(132898−35−2))、みどり化学社製DNB−104(CAS.NO.(132898−36−3))、みどり化学社製DNB−105(CAS.NO.(132898−37−4))、みどり化学社製DAM−101(CAS.NO.(1886−74−4))、みどり化学社製DAM−102(CAS.NO.(28343−24−0))、みどり化学社製DAM−103(CAS.NO.(14159−45−6))、みどり化学社製DAM−104(CAS.NO.(130290−80−1)、CAS.NO.(130290−82−3))、みどり化学社製DAM−201(CAS.NO.(28322−50−1))、みどり化学社製CMS−105、みどり化学社製DAM−301(CAS.No.(138529−81−4))、みどり化学社製SI−105(CAS.No.(34694−40−7))、みどり化学社製NDI−105(CAS.No.(133710−62−0))、みどり化学社製EPI−105(CAS.No.(135133−12−9))、およびダイセルUCB社製UVACURE1591などを挙げることができる。
また、光酸発生剤として以下に示す化合物を用いることもできる。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上記一般式において、C1およびC2はそれぞれ単結合または二重結合を形成した炭素原子を示し、R10は水素原子、フッ素原子、フッ素原子、アルキル基、またはアリール基を示し、R11およびR12はそれぞれ1価の有機基を示している。R11とR12とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
さらに、光酸発生剤として以下に示す化合物を用いることもできる。
Figure 2005154734
(上記一般式において、Zはアルキル基を示す。)
Figure 2005154734
光酸発生剤としては、オニウム塩を使用することが望ましい。使用可能なオニウム塩としては、例えば、フルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロヒ素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パラトルエンスルホネートアニオン、およびパラニトロトルエンスルホネートアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、およびスルホニウム塩を挙げることができる。特に、光酸発生剤は、下記一般式(4)および(5)に示すオニウム塩またはハロゲン化トリアジン化合物を含有していることが好ましい。この場合、感度と安定性との双方で有利である。
Figure 2005154734
上記一般式中、R6乃至R10はそれぞれ芳香族基およびカルコゲニド原子と芳香族とを有する官能基の何れか一方を示し、C1乃至C2はそれぞれカルコゲニド原子を示し、A4およびA5はそれぞれPF6 、SbF6 、BF4 、AsF6 、CF3SO3 、C49SO3 、およびCH3SO3 からなる群より選択されるアニオン種を示し、mおよびnは整数を示す。なお、ここでいう「カルコゲニド原子」はカルコゲン原子とカルコゲン原子よりも陽性な原子を意味する。また、「カルコゲン原子」は、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、または沃素原子を意味する。
上記一般式(4)または(5)で示されるオニウム塩は、硬化反応性が高く、しかも、常温での安定性に優れる。そのため、上記のインクジェットインクが光を照射していない状態で硬化するのを抑制することができる。
上記一般式(4)または(5)に示す化合物を光酸発生剤として使用する場合、カルコゲニド原子は硫黄原子またはヨウ素原子であることが熱的安定性や水分に対する安定性の観点で好ましい。また、この場合、アニオン種は非有機酸、特にPF6 であることが酸性度や熱的安定性の観点から望ましい。熱的安定性および感光性能の点から、フェニルスルフォニウム骨格を有するヘキサフルオロフォスフェート化合物は特に望ましい。
光酸発生剤は、増感色素をさらに含んでいてもよい。増感色素としては、例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン、アントラセン、およびレーザ色素類などを挙げることができる。
光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を使用する場合には、例えばナフトキノンジアジドスルホニルクロリドやナフトキノンジアジドスルホン酸のような塩類を使用することができる。
有機ハロゲン化物は、ハロゲン化水素酸を形成する化合物を意味し、例えば、米国特許第3515552号、第3536489号、および第3779778号、並びに、西独特許公開公報2243621号に記載の化合物を挙げることができる。さらに詳しくは、例えば、米国特許第3515552号に記載されるカーボンテトラブロミド、テトラ(ブロモメチル)メタン、テトラブロモエチレン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、トリクロロエトキシエタノール、p−ヨードフェノール、p−ブロモフェノール、p−ヨードビフェニル、2,6−ジブロモフェノール、1−ブロモ−2−ナフトール、p−ブロモアニリン、ヘキサクロロ−p−キシレン、トリクロロアセトアニリド、p−ブロモジメチルアニリン、テトラクロロテトラヒドロナフタレン、α,α’−ジブロモキシレン、α,α,α’,α’−テトラブロモキシレン、ヘキサブロモエタン、1−クロロアントラキノン、ω,ω,ω−トリブロモキナリジン、ヘキサブロモシクロヘキサン、9−ブロモフルオレン、ビス(ペンタクロロ)シクロペンタジフェニル、ポリビニリデンクロライド、および2,4,6−トリクロロフェノキシエチルビニルエーテル、米国特許第3779778号に記載されるヘキサブロモエタン、α,α,α−トリクロロアセトフェノン、トリブロモトリクロロエタン、およびハロメチル−S−トリアジン類を挙げることができる。とりわけ、ハロメチル−S−トリアジン類、例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−メチル−S−トリアジン、および2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジンが好ましく用いられる。さらに好ましい有機ハロゲン化物としては、米国特許第3987037号に開示されるビニルハロメチル−S−トリアジンで置換された化合物が挙げられる。このビニルハロメチル−S−トリアジン化合物は、少なくとも1つのトリハロメチル基と少なくとも1つのエチレン性不飽和結合でトリアジン環と共役している基とを有する光分解性のS−トリアジン類であり、下記一般式(A)で表わされる。
Figure 2005154734
上記一般式(A)中、Qは臭素原子または塩素原子であり、Pは−CQ3、−NH2、−NHR、−NR2、または−OR基であり、Rはフェニルもしくは炭素数6以下の低級アルキル基、nは1乃至3の整数を示し、Wは芳香環、複素環、または下記一般式(B)で表わされる基である。
Figure 2005154734
上記一般式(B)中、Zは酸素もしくは硫黄原子を示し、R1は低級アルキル基もしくはフェニル基を示す。
上記一般式(A)においてWで表わされる芳香環もしくは複素環における少なくとも1つの水素原子は、さらに置換されていてもよい。この場合、置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フェニル基、炭素数6以下の低級アルキル基、ニトロ基、フェノキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アミノ基、およびアルキルアミノ基を挙げることができる。また、上記一般式(A)で表わされるビニルハロメチル−S−トリアジン化合物の具体的な例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上述した化合物に加えて、トリハロメタンを骨格内に導入したトリアジン環を有する化合物もまた、光酸発生剤として好適に用いることができる。トリアジン環が4以上の共役した2重結合を有していると、感光波長が長波長化する。したがって、通常の高圧水銀ランプなどを光源として用いる場合には、そのような化合物を使用することが好ましい。こうした化合物としては、例えば、ナフタレン置換基を有するトリアジンや縮合トリアジン化合物を挙げることができる。
さらに、光解離性を有する酸エステルなども、光酸発生剤として好適に用いることができる。例えば、アルミシラノールのオルトニトロベンジルエステルを挙げることができる。
インクジェットインク中における光酸発生剤の含有量は、使用する光酸発生剤の酸発生効率や添加する色成分の量などに応じて決定することができる。例えば、顔料の濃度が5重量%程度である場合には、光酸発生剤はインクジェットインク中に含まれる酸の存在下で重合する化合物100重量部に対して、通常、1重量部乃至10重量部、好ましくは2重量部乃至8重量部、より好ましくは4重量部乃至8重量部の割合で添加される。特にかかるより好ましい範囲であると、インクの保存安定性を高めるとともに、配管やヘッドといった部材の腐食性も低減することができる。酸重合性化合物100重量部に対する光酸発生剤の割合が1重量部未満の場合には、インクジェットインクの感度が低くなる。一方、10重量部を超えると、インクの経時間的増粘が激しくなって塗膜性や光硬化後のインク膜の硬度が低下する。また、記録装置の配管やヘッド部材の腐食が生じるおそれがある。
(色成分)
本発明における色成分としては、顔料および/または染料を含有することができる。ただし、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、その機構に酸を使用しているため、酸により退色しやすい染料よりも顔料を使用することが望まれる。
色成分として利用可能な顔料は、顔料に要求される光学的な発色・着色機能を有するものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。ここで使用される顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、あるいは誘電性等のような他の性質をさらに示すものであってもよい。この場合には、画像に様々な機能を付与することができる。また、耐熱性や物理的強度を向上させ得る粉体を加えてもよい。
使用可能な顔料としては、例えば、光吸収性の顔料を挙げることができる。そのような顔料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末のような金属粉末からなる顔料が挙げられる。
また、例えば、染料キレート、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンBのようなニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッドのようなアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキのようなレーキ顔料、フタロシアニンブルーのようなフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルーのようなスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、並びにイソインドリノン顔料のような有機系顔料を使用することもできる。
黒インクで使用可能な顔料としては、例えば、コロンビア社製のRaven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、およびSpecial Black 4などのようなカーボンブラックを挙げることができる。
イエローインクで使用可能な顔料としては、例えば、Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14C、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 75、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow95、C.I.Pigment Yellow97、C.I.Pigment Yellow 98、C.I.Pigment Yellow 114、およびPigment Yellow 180等が挙げられる。特に、これらの黄色顔料の中でも、酸に対する色劣化が少ないPigment Yellow 180が好ましく用いられる。
また、マゼンタインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Violet 19およびC.I.Pigment Red 112等が挙げられる。
さらに、シアンインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:34、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Vat Blue 4、およびC.I.Vat Blue 60等が挙げられる。
天然クレイ、鉛白や亜鉛華や炭酸マグネシウムなどの金属炭酸化物、バリウムやチタンなどの金属酸化物のような白色顔料も、色成分として有用である。白色顔料を含有したインクジェットインクは、白色印刷に使用可能なだけでなく、重ね書きによる印刷訂正や下地補正に使用することができる。
蛍光性を示す顔料としては、無機蛍光体および有機蛍光体の何れを使用してもよい。無機蛍光体の材料としては、例えば、MgWO4、CaWO4、(Ca,Zn)(PO42:Ti+、Ba227:Ti、BaSi25:Pb2+、Sr227:Sn2+、SrFB23.5:Eu2+、MgAl1627:Eu2+、タングステン酸塩、イオウ酸塩のような無機酸塩類を挙げることができる。また、有機蛍光体の材料としては、例えば、アクリジンオレンジ、アミノアクリジン、キナクリン、アニリノナフタレンスルホン酸誘導体、アンスロイルオキシステアリン酸、オーラミンO、クロロテトラサイクリン、メロシアニン、1,1’−ジヘキシル−2,2’−オキサカルボシアニンのようなシアニン系色素、ダンシルスルホアミド、ダンシルコリン、ダンシルガラクシド、ダンシルトリジン、ダンシルクロリドのようなダンシルクロライド誘導体、ジフェニルヘキサトリエン、エオシン、ε−アデノシン、エチジウムブロミド、フルオレセイン、フォーマイシン、4−ベンゾイルアミド−4’−アミノスチルベン−2,2’−スルホン酸、β−ナフチル3リン酸、オキソノール色素、パリナリン酸誘導体、ペリレン、N−フェニルナフチルアミン、ピレン、サフラニンO、フルオレスカミン、フルオレセインイソシアネート、7−クロロニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル、ダンシルアジリジン、5−(ヨードアセトアミドエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン、N−(1−アニリノナフチル4)マレイミド、N−(7−ジメチル−4−メチルクマニル)マレイミド、N−(3−ピレン)マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミド、フルオレセインマーキュリーアセテート、2−(4’−(2’’−ヨードアセトアミド))アミノナフタレン−6−スルホン酸、エオシン、ローダミン誘導体、有機EL色素、有機ELポリマーや結晶、デンドリマー等を挙げることができる。
インク層の耐熱性や物理的強度を向上させ得る粉体としては、例えば、アルミニウムやシリコンの酸化物もしくは窒化物、フィラー、シリコンカーバイドなどを挙げることができる。また、インク層に導電性を付与するために、導電性炭素顔料、カーボン繊維、銅、銀、アンチモン、貴金属類などの粉体を添加してもよい。酸化鉄や強磁性粉は磁性を付与するのに適しており、高誘電率なタンタル、チタン等の金属酸化粉なども配合することができる。
また、本実施形態に係るインクジェットインクで顔料の補助成分として染料を添加することが可能である。例えば、アゾイック染料、硫化(建材)染料、分散染料、蛍光増白剤、油溶染料のような、酸性、塩基性が低く、溶媒に対して溶解性の高い染料が通常用いられるが、なかでもアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アジン系などの油溶染料が好適に用いられる。例えば、C.I.Slovent Yellow−2、6、14、15、16、19、21、33,56,61,80など、Diaresin Yellow−A、F、GRN、GGなど、C.I.Solvent Violet−8,13,14,21,27など,C.I.Disperse Violet−1、Sumiplast Violet RR、C.I.Solvent Blue−2、11、12、25、35など、Diresin Blue−J、A、K、Nなど、Orient Oil Blue−IIN、#603など、Sumiplast Blue BGなどを挙げることができる。
上述した顔料や染料は、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。また、吸光性、彩度、色感などを高めるために、顔料と染料とを併用することもできる。さらに、顔料の分散性を高めるために、高分子バインダとの結合やマイクロカプセル化処理などを施してもよい。
色成分の含有量は、1重量部以上25重量部以下の量で配合されることが望ましい。1重量部未満の場合には、充分な色濃度を確保することが困難となる。一方、25重量部を超えると、インク吐出性が低下する。より好ましくは、色成分の含有量は2重量部から8重量部の範囲である。
また、粉体成分の含有量は1重量%乃至50重量%であることが望ましい。粉体成分の含量が1重量%未満である場合には感度上昇等の効果が不十分となり、50重量%を超えると解像性や感度が低下するおそれがある。
インクジェットインクにおいては、色成分や粉体の平均粒径は可能な限り小さいことが望まれる。一般に、色成分や粉体の粒径は、通常、インクジェットインクを吐出するノズルの開口径の1/3以下であり、より好ましくは1/10以下程度である。このサイズは典型的には10μm以下であり、1μm以下であることが好ましい。分散不良による沈降を考慮すると、印刷用インクジェットインクとして好適な粒子径は0.35μm以下となり、通常は0.1〜0.3μmの間の平均粒子径を有する。
(酸の存在下で重合する化合物)
酸の存在下で重合する化合物が、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいて溶媒として用いられる。溶媒は、こうした特性を有する重合性化合物から実質的になるものでる。「溶媒は重合性化合物から実質的になる」ことは、「溶媒が重合性化合物のみからなる」ことと、「重合性化合物と不可避的に混入した微量の不純物とからなる」こととを包含する。「不可避的に混入した微量の不純物」は、全溶媒中に最大で10重量%以下の濃度で存在することができる。好ましくは、「不可避的に混入した微量の不純物」の含有量は、通常5重量%以下である。これを越えると、実質的に残りの溶剤が空気中に飛散し、安全上の問題が低下したり、硬化物内部に残存したりして、硬化性能が低下するおそれがある。以下、各成分に分類してその詳細を述べる。
ビニルエーテル化合物(必須成分)
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、少なくともビニルエーテル化合物が含まれる。さらに、酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、ビニルエーテル化合物で占められる。ビニルエーテル化合物のみで溶媒を構成する場合には、その含有量はインクジェットインク全体に対して30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。30重量%未満の場合には、ノズルつまりが生じたり、感光性が低下するおそれがある。
ビニルエーテル化合物は、重合性、および硬化硬度の観点から環式骨格を有することが好ましく、具体的には下記一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2005154734
前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。ただし、R14がシクロヘキサン環骨格であり、pが0の場合、揮発性の観点から、含酸素構造であることがより好ましい。具体的には、環上の少なくとも一つの炭素原子はケトン構造を有する構造、酸素原子に置換されている構造、あるいは酸素含有置換基を有する構造などである。
上述の分子骨格に導入されるビニルエーテル基の数は硬化性の観点からは多い方が望ましく、特に制限されないが、硬化後のインク層に再溶解性を付与するには、多くとも2乃至3程度の価数とすることが望ましい。
(p+1)価の有機基R14としては、置換または非置換の芳香環、例えば、ベンゼン環やナフタレン環、ビフェニル環を含む(p+1)価の基が挙げられる。あるいは脂環式骨格、例えばシクロアルカン骨格や、ノルボルナン骨格、アダマンタン骨格、トリシクロデンカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、テルペノイド骨格、およびコレステロール骨格などの誘導される(p+1)価の基などがでもよい。かかる脂環式骨格が、橋かけ構造を有する場合、硬化物の硬度が上昇するためより望ましい。さらに、揮発性の観点からは、含酸素構造であることがより望ましい。具体的には、環状の一部の炭素がケトン構造を有する構造、酸素原子に置換されている構造、あるいは酸素含有置換基を有する構造などである。
上記一般式(1)で表わされる化合物は、通常、粘度が1mPa・secないし30mPa・sec程度である。したがって、これら化合物の使用は、インクジェットインクを十分に低粘度とするのに有効である。低粘度のビニルエーテル化合物の含有量は、溶媒全量中40重量部以上であれば、その効果を発揮することができる。
一般式(1)で示される化合物のうちなかでも、少なくとも1つ以上のビニルエーテル基が環に直接結合している場合、カチオン硬化性に優れ、顔料を同時に具備した場合にも硬化性に優れるため望ましいものとなる。
環状化合物が芳香族骨格を含む場合、硬化物に硬度を付与したり、感光剤等の溶解性を向上できるため望ましいものとなる。かかるビニルエーテル化合物としては、具体的には次のアルコール化合物の水酸基を、ビニルエーテルやプロペニルエーテルに置換した化合物等が挙げられる。例えば、下記化学式Aro1で表わされるクメンアルコール、下記化学式Aro2で表わされるビニロキシベンゼン、下記で化学式Aro3表わされるハイドロキノン、下記化学式Aro4で表わされる1−カルボメトキシ−4−ビニロキシベンゼン、下記化学式Aro5で表わされる2−ヒドロキシナフタレン、下記化学式Aro6で表わされる1−tertブチル−4−ビニロキシベンゼン、下記化学式Aro7で表わされるビスフェノールA、下記化学式Aro8で表わされる1−オクチル−4−ビニロキシベンゼン、下記化学式Aro9で表わされる1−ヒドロキシ−3,5ジメチルベンゼン、下記化学式Aro10で表わされる4−ヒドロキシクミルフェノール、および下記化学式Aro11で表わされる3−イソプロピルフェノールなどのアルコールがこれに例示される。
具体的なビニルエーテル化合物の例を、下記化学式に示す。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
また、環状化合物が脂環式骨格の場合、臭気、安全性の観点で、芳香族ビニルエーテルよりも好ましいものとなる。かかる脂環式骨格を有するビニルエーテル化合物としては、環式骨格が4−6員環によって構成される単環、あるいはそれらが結合し橋かけ構造を有する脂環式骨格が望ましい。例えば、次の脂環式アルコール化合物の水酸基をビニルエーテルやプロペニルエーテルに置換した化合物等が挙げられる。シクロペンタンモノ(ジ)オール、シクロペンタンモノ(ジ)メタノール、シクロヘキサン(ジ)オール、シクロヘキサンモノ(ジ)メタノール、ノルボルナンモノ(ジ)オール、ノルボルナンモノオールモノメタノール、ノルボルナンモノ(ジ)メタノール、トリシクロデカンモノ(ジ)オール、トリシクロデカンモノ(ジ)メタノール、およびアダマンタンモノ(ジ)オールなどである。
上記、脂環式骨格は、より具体的には下記一般式(VE1−a)または(VE1−b)で表わされる構造を有している。
Figure 2005154734
(上記一般式中、X1,Z1は原子数1以上5以下のアルキレン基、Y1は原子数1以上2以下のアルキレン基であり、kは0または1である。)
上述してきた化合物の具体的としては、次のアルコール化合物の水酸基をビニルエーテルやプロペニルエーテルに置換した化合物等が挙げられる。例えば、下記化学式Ali1で表わされる4−シクロヘキサンジオール、下記化学式Ali2で表わされるジシクロペンタジエンメタノール、下記化学式Ali3で表わされるイソボルネオール、下記化学式Ali4で表わされる1−tertブチル−4−ビニロキシシクロヘキサノール、下記化学式Ali5で表わされるトリメチルシクロヘキサノール、下記化学式Ali6で表わされるジヒドロキシオクタヒドロフェニル、下記化学式Ali7で表わされるヒドロキシトリシクロデカンモノエン、下記化学式Ali8で表わされるメントール、下記化学式Ali9で表わされる1,3ジヒドロキシシクロヘキサン、下記化学式Ali10で表わされるデカヒドロ−2−ナフタレノール、下記化学式Ali11で表わされるビニロキシシクロドデカノール、および下記化学式Ali12で表わされるノルボルナンジオールなどのアルコールが挙げられる。
より具体的なビニルエーテル化合物の例を、下記に示す。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上記化合物のなかでも、脂環式骨格が、橋かけ構造を有するものが硬化物の硬度が上昇するためより望ましい。また、アイエスピージャパン社製のRAPI-CURE CHVE:シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、RAPI-CURE CHMVE:シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルも一般に知られているが、かかる化合物はビニルエーテルが直接環状骨格に結合してないため、酸重合性の観点から性能が劣る傾向がある。
上記脂環式骨格を有する化合物のうち、さらに環の一部の炭素が、酸素原子に置換されている、あるいは酸素含有置換基を有するなど、含酸素構造になっていることが揮発性や顔料分散性の観点より望ましい。
かかる酸素含有置換基を有する環構造をもつビニルエーテル化合物としては、例えば、環式骨格が4−6員環によって構成される単環あるいはそれらが結合し橋かけ構造を有する脂環式骨格を有するアルコール化合物において、例えばその少なくとも1つ以上の水酸基をメトキシ基やメトキシエトキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基やアルキルエステル基などのエーテルあるいはエステルで置換し、かつ残りをビニルエーテルやプロペニルエーテルに置換した化合物等が挙げられる。例えば、そのアルコール化合物としてはシクロペンタンジオール、シクロヘキサンジ(トリ)オール、シクロヘキサンジ(トリ)メタノール、ノルボルナンジ(トリ)オール、ノルボルナンモノ(ジ)オールモノ(ジ)メタノール、ノルボルナンジ(トリ)メタノール、トリシクロデカンジ(トリ)オール、トリシクロデカンジ(トリ)メタノール、アダマンタンジ(トリ)オールなどが例示される。
より具体的には下記化学式で表わされる酸素含有置換基を有するビニルエーテル化合物が最も望ましい。
Figure 2005154734
他方、酸素原子が脂環式骨格内に含まれる場合、さらに粘度安定性が向上するためより望ましいものとなる。かかる化合物としては、下記一般式(VE2−a)または(VE2−a)で表わされる化合物が例示される。
Figure 2005154734
(上記一般式中、X2,Y2、Z2のいずれかに少なくとも1個の酸素原子を含み、X2,Z2は原子数1以上5以下のアルキレン基または酸素原子をエーテル結合として含む2価の有機基、Y2は、酸素原子、原子数1以上2以下のアルキレン基または酸素原子をエーテル結合として含む2価の有機基を示し、kは0または1である。)
かかる化合物は脂環式骨格の安全性と優れた硬化性能、および、環構成原子として酸素原子を有する環状炭化水素骨格は高表面張力を示すため高い溶解性や分散性を有しており、さらには、比較的親水性の印刷媒体によって、インクをはじいたりする現象を低減させるためにもこれらの性能を共有するビニルエーテル化合物が最も好ましく用いられる。
こうした構造の脂環式骨格を有するビニルエーテル化合物としては、環式骨格が4−6員環の環状エーテル骨格を有する化合物が望ましい。例えば、次のアルコール化合物の水酸基をビニルエーテルまたはプロペニルエーテルに置換した化合物等が挙げられる。具体的には、置換または非置換のオキセタンモノオール、置換または非置換のオキセタンモノメタノール、オキサペンタンモノ(ジ)オールや、オキサシクロヘキサンモノ(ジ)オール、イソソルビトールやマンニトール、オキサノルボルナンモノ(ジ)オール、オキサノルボルナンモノオールモノメタノール、オキサノルボルナンモノ(ジ)メタノール、オキサトリシクロデカンモノ(ジ)オール、オキサアダマンタンモノ(ジ)オール、およびジオキソランメンタノールなどが挙げられる。
かかる化合物のなかでも前記一般式(VE2−a)または(VE2−b)で表される環状骨格部分の構造において、酸素原子数と炭素原子数の比(酸素原子数/炭素原子数)は、0.08を越えることが好ましい。こうしたビニルエーテル化合物が用いられると、溶解性や印刷媒体との濡れ性などの極性に関係する物性で特徴を発揮するインクが得られる。(酸素原子数/炭素原子数)は、0.15以上が好ましく、0.25以上がより好ましい。
具体的なビニルエーテル化合物としては、CasNo.22214−12−6,CasNo.20191−85−9などが挙げられる。こうした化合物のように、オキセタン環や、ヒドロフラン環のような、歪んだ環状エーテル構造をもつ化合物が、反応性も向上するため望ましい。なかでもヒドロフラン環は揮発性の観点で望ましい。さらに硬化硬度が高まるため、かかる環式構造は橋かけ構造を有する場合最も望ましいものとなる。より具体的には、以下に示すビニルエーテルが最も望ましい。
Figure 2005154734
上述してきた一連のビニルエーテル化合物は、例えば、J.Chem.Soc.,1965(2)1560−1561やJ.Am.Chem.Soc.Vol.124,No.8,1590−1591(2002)などに記載されている方法によって、好適に合成することができる。かかる方法を用いた場合、相当する芳香族アルコールや脂環アルコール化合物を出発原料とし、ハロゲン化イリジウムなどの触媒下、ビニルエーテルやプロペニルエーテルの酢酸エステルを作用させる。これによって、目的とするビニルエーテルやプロペニルエーテル化合物を容易に得ることができる。例えば、メントールと酢酸ビニルとを、イリジウム化合物を触媒として炭酸ナトリウムのトルエン混合液中で、アルゴン雰囲気の下、加熱攪拌することにより、メントールビニルエーテル(MTVE)を得ることができる。
本合成方法は、本願に例示されるいかなる化合物においても用いることができ好適である。
(その他、添加することのできる酸重合性化合物)
上記ビニルエーテル化合物は単独で用いる場合、硬化特性が最も望ましいが、その硬化特性を著しく低下することない範囲内で、他の酸で重合する化合物を加えることができる。かかる配合により、保存安定性を高めたり、感光剤の溶解性を高めたり、印刷物に適当な可とう性や、光沢などの性状を付与できる。
添加することのできる酸の存在下で重合する重合性化合物は、一般に、酸重合性化合物として知られるものであれば、別段制限無く使用することができる。例えば、エポキシ基、オキセタン基、およびオキソラン基などのような環状エーテル基を有する化合物、上述した置換基を側鎖に有するアクリルまたはビニル化合物、カーボネート系化合物、低分子量のメラミン化合物、ビニルカルバゾール類、スチレン誘導体、アルファ−メチルスチレン誘導体、ビニルアルコールとアクリル、メタクリルなどのエステル化合物をはじめとするビニルアルコールエステル類など、カチオン重合可能なビニル結合を有するモノマー類が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて使用することが可能である。ただし、これらの化合物すべてにおいて、良好な特性を得られるというものではなく、特定の用途で特定の組み合わせを用いることによって、硬化特性を損なうことをなく、他の特性を向上できる。以下その詳細を説明する
(エポキシ化合物)
前記一般式(1)で表されるビニルエーテル化合物に加えて、以下に示す化合物を用いることができる。例えば、炭素数1ないし15程度の2価の脂肪族骨格または脂環式骨格を有する炭化水素基、あるいは、脂肪族鎖または脂環式骨格を一部に有する2価の基の一方あるいは両方に、エポキシ基あるいは脂環式エポキシ基を有する以下の一般式(11)または(12)で表わされる化合物を挙げることができる。こうした化合物もまた、酸重合性を有する。
Figure 2005154734
上記一般式(11)、(12)において、R1ないしR3はそれぞれエポキシ基または脂環骨格を有するエポキシ基を示し、A1およびA2は炭素数1ないし15程度の2価の脂肪族骨格または脂環式骨格を有する炭化水素基、あるいは、脂肪族鎖または脂環式骨格を示している。また、かかる化合物における脂肪鎖や脂環の炭素原子のうち、一部が酸素原子を置換されていたり、ケトン骨格を有していてもかまわない。
一般式(11)または(12)で表わされる化合物は、通常、粘度が5mPa・secないし100mPa・sec程度であり、配合により吐出が損なわれることが少ない。特に脂環式エポキシ化合物は、酸重合性の向上や、感光剤の溶解性を付与したい場合に望ましいが、硬化速度は低下しやすく、一方、保存安定性、溶剤耐性が損なわれる。したがって、これらの化合物の好適な添加量は全酸硬化性化合物の0%から最大60%の範囲である。
また、硬化後のインクに可撓性、光沢度などを付与することが要求される場合、下記一般式(13)で表わされるエポキシ化合物を用いることもできる。下記一般式(13)に示す脂環式エポキシ化合物は、通常、粘度が50mPa・secないし10000mPa・sec以上の高粘度である。
Figure 2005154734
上記一般式(13)において、R4およびR5はそれぞれエポキシ基または脂環骨格を有するエポキシ基を示し、A3はアルキレン基および/または脂環式骨格とを少なくとも有するk+1価の官能基(kは自然数)を示している。
例えば、インクジェットインク100重量部に対して、ビニルエーテル化合物が50重量部ないし90重量部の割合で含有される場合には、上述の高粘度エポキシ化合物は10重量部ないし40重量部の割合で添加されることが望まれる。これによって、吐出に必要な最低限の流動性(50℃で30mPa・sec以下の粘度)を確保することが可能となる。特に、ビニルエーテル化合物と高粘度化合物との重量比は、ほぼ1:1ないし10:1とすることが好ましい。ビニルエーテル化合物と高粘度エポキシ化合物とをこのように組み合わせる場合には、光酸発生剤としては、上述した一般式(4)または(5)で表わされる化合物を用い、顔料の配合量は1重量部以上25重量部以下とすることが望ましい。なかでも500mPa・sec以上の高粘度、高分子量のエポキシ化合物を添加した場合には可撓性、光沢度が優れる。これによって、吐出に適切でかつ硬化物の可撓性、光沢度を得られるインクジェットインクが調整可能となる。
また、下記一般式(16)で表わされるエポキシ化合物をビニルエーテル化合物と併用して用いた場合には、インクジェットインクの保存性およびインク層の可撓性を向上させることができる。
Figure 2005154734
上記一般式(16)中、R11はグリシジルエーテル基、R12は炭素数1ないし6のアルキレン基または水酸基置換アルキレン基、または炭素数6ないし15の脂環式骨格または水酸基置換の脂環式骨格を有するアルキレン基であり、jは1ないし3である。なかでも、適当な粘度、酸重合性、保存安定性の観点から、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル化合物が特異的といって良いほど、良好な性能が得られる。但し、これらの化合物の過剰な添加は、硬化性能の低下を引き起こすため、例えば、インクジェットインク100重量部に対して、ビニルエーテル化合物が50重量部ないし90重量部の割合で含有される場合には、上述のエポキシ化合物は10重量部ないし40重量部の割合で添加されることが望まれる。
上記エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ダイセル化学社製のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000に例示される脂環式エポキシ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物であるサイクロマーA200、サイクロマーM100、MGMAのようなメチルグリシジル基を有するメタクリレート、低分子エポキシ化合物であるグリシドール、β−メチルエピコロルヒドリン、α−ピネンオキサイド、C12〜C14のα−オレフィンモノエポキシド、C16〜C18のα−オレフィンモノエポキシド、ダイマックS−300Kのようなエポキシ化大豆油、ダイマックL−500のようなエポキシ化亜麻仁油、エポリードGT301、およびエポリードGT401のような多官能エポキシなどを挙げることができる。
さらに、サイラキュアのような米国ダウケミカル社の脂環式エポキシや、水素添加するとともに脂肪族化した低分子フェノール化合物の水酸基末端をエポキシを有する基で置換した化合物、エチレングリコールやグリセリン、ネオペンチルアルコールやヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの多価脂肪族アルコール/脂環アルコールなどのグリシジルエーテル化合物、エチレンオキサイド系ポリマーの末端にグリシジルエーテル基を有する化合物、不飽和結合を有するテルペン系化合物を出発物質とし、その不飽和結合を酸化してエポキシ化したような化合物、ヘキサヒドロフタル酸や、水添芳香族の多価カルボン酸のグリシジルエステルなどを使用することができる。
(オキセタン化合物)
また、酸重合性化合物の一部として、オキセタン化合物を好適に用いることができる。例えば数十m毎分という高速な印字が求められる場合や、さらに溶剤への耐性が要求される場合には、オキセタン化合物を配合することが好ましい。従来のインクジェットインクの主溶媒としてオキセタン化合物を用いた場合には、通常、粘度が著しく上昇して、他の溶媒との粘度調整が困難であった。しかしながら、ビニルエーテル化合物と組み合わせて使用する場合には、このビニルエーテル化合物が非常に低粘度であるため、容易にインク化することが可能である。
オキセタン化合物としては、芳香族または脂肪族、脂環式オキセタン化合物などがよく、構造内に一部エーテル結合を有するものでもかまわない。かかる化合物の混合組成比として望ましいのは、溶剤耐性を鑑みれば芳香族オキセタン化合物が0〜40重量部の範囲であり、粘度適性を鑑みればビニルエーテル化合物が60重量部以上である。また、硬化促進の観点からかかるインク内のオキセタン化合物の総添加量は少なくとも40重量部以上であることが望ましく、また、硬化硬度の観点から脂環式骨格と芳香族骨格を有する化合物の総量が少なくとも30重量部以上であることが望ましい。
これらの範囲を逸脱すると、硬化速度、吐出性能、および溶剤耐性といった特性全てを十分に満足することが困難となるおそれがある。
脂肪族または脂環式オキセタン化合物としては、例えば、(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサンや、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ノルボルナンなどの脂環に1以上のオキセタン含有基が導入された化合物などが挙げられる。また、エチレングリコールやプロピレンゴリコール、ネオペンチルアルコールなどの脂肪族多価アルコールに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのようなオキセタン含有アルコールを脱水縮合させたエーテル化合物などを用いることもできる。
また、芳香族骨格を含むオキセタン化合物としては、例えば1,4−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、1,3−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、4,4‘−ビス((3−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ビフェニル、およびフェノールノボラックオキセタン類が挙げられる。
但し、過剰の添加は粘度の増大をきたし、吐出不能となる場合があるため、例えば、インクジェットインク100重量部に対して、ビニルエーテル化合物が50重量部ないし90重量部の割合で含有される場合には、上述のオキセタン化合物は10重量部ないし60重量部の割合で添加されることが望まれる。また、なかでも500mPa・sec以上の高粘度、高分子量のオキセタン化合物を添加した場合には結果として得られる印刷物の可撓性、光沢度に優れる。
(環状エステル、環状カーボネート系酸重合性化合物)
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいて必須成分として含有される光酸発生剤には、ビニルエーテル化合物を始めとする酸重合性化合物に対する溶解性が低いものが多い。光酸発生剤のインクジェットインクに対する溶解性が低い場合には、光照射時の感度が不足して、インク硬化膜の硬度低下を生じるおそれがある。あるいは、溶解しきれなかった光酸発生剤が粗大粒子のような不純物として存在し、吐出安定性を妨げるといった弊害が生じることがある。
こうした場合には、光酸発生剤を極めて良く溶解する環状カーボネートまたは環状ラクトン化合物を含有させることが有効である。例えば環状カーボネートであるプロピレンカーボネートは、溶解度パラメーターが27MPa1/2近傍の値であり、酸重合性化合物よりも極性が大きい傾向にある。このため、酸重合性化合物に溶解するのが困難な光酸発生剤を用いる場合でも、プロピレンカーボネートを少量添加することによって、光酸発生剤の溶解性を上げることができる。
また、プロピレンカーボネートは重合性を有している。したがって、インクジェットインクに用いる場合も、インク膜硬化後に揮発成分として雰囲気中に排出されることが極めて少なく、本発明の実施形態にかかるインクジェットインク全般に用いて好ましいものとなる。他の環状カーボネート,環状ラクトン化合物としては、プロピレンカーボネートプロペニルエーテル、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、などが挙げられる。但しこれらの化合物の過剰な混合は、硬化性能の低下をきたすため、例えば、インクジェットインク100重量部に対して、ビニルエーテル化合物が50重量部ないし90重量部の割合で含有される場合には、上述の環状化合物は5重量部ないし40重量部の割合で添加されることが望まれる。
(その他添加可能な酸重合性化合物)
さらに、次のような化合物も添加することができる。
高分子量の化合物としては、例えば、長鎖アルキレン基などによって結合されたエポキシ基、オキセタン基、オキソラン基などのような環状エーテル基を有する分子量5000以下の化合物、上述した置換基を側鎖に有するアクリル又はビニル化合物、カーボネート系化合物、低分子量のメラニン化合物、ビニルエーテル類やビニルカルバゾール類、スチレン誘導体、アルファ−メチルスチレン誘導体、ビニルアルコールとアクリル、メタクリルなどのエステル化合物をはじめとするビニルアルコールエステル類など、カチオン重合可能なビニル結合を有するモノマーおよびそのモノマー1種以上が重合したオリゴマーが挙げられる。
溶媒には、上述した化合物に加えて、次のような化合物がさらに含有されていてもよい。例えば、ビニルアルコールの単独もしくは共重合体、カゼイン、セルロースのように酸反応性・脱水縮合性のOH基、COOH基、アセタール基等を有する分子量5000以下の樹脂、同じく分子量5000以下のポリカーボネート樹脂、ポリアミック酸、ポリアミノ酸もしくはアクリル酸と側鎖に酸重合性二重結合を有するビニル化合物との共重合体、ビニルアルコールと側鎖に酸重合性二重結合を有するビニル化合物との共重合体、およびメチロール化されたメラミン化合物などである。
(その他、添加することのできる化合物)
本発明の感光性組成に、さらに塩基性添加剤や、分散剤、界面活性剤、ラジカル重合性モノマーや、ラジカル発生剤、酸重合性でない特殊な溶剤などを含むことが可能である。以下にその成分ごとに分類し詳述する。
(塩基性化合物)
インクジェットインクは、インクジェット吐出の安定性が高いことが望まれるが、一般に、経時的粘度増加が高い傾向にあり、そのままでは短期間しか性能を維持することができない。そこで、塩基性化合物および塩基性を発現する化合物の少なくとも一方を、粘度安定化剤としてさらに含有することが望ましい。色成分としてカーボンブラックが用いられる場合、こうした粘度安定化剤の効果はさらに顕著に発揮される。さらに、かかる塩基性化合物は、同時に、記録装置のインクジェットヘッド内部や、インク配管の金属部分の酸からの腐食を著しく低減させる効果も同時に有するため、本発明の実施形態にかかるインクジェットインク全般に用いて好ましいものとなる。
塩基性化合物としては、上述したような酸で重合する化合物中に溶解可能な任意の無機塩基および有機塩基を使用することができるが、その溶解性から有機塩基がより望ましい。有機塩基としては、アンモニアやアンモニウム化合物、置換または非置換アルキルアミン、置換または非置換の芳香族アミン、ピリジン、ピリミジン、イミダゾールなどのヘテロ環骨格を有する有機アミンが挙げられる。より具体的には、n−ヘキシルアミン、ドデシルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデカン、3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、4−メチルベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、および1,3−ベンゼンジスルホニルヒドラジドのようなスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。
塩基性化合物としては、アンモニウム化合物も用いることができる。好ましいアンモニウム化合物は、下記一般式(23)で示される第四級アンモニウム塩である。
Figure 2005154734
(上記一般式(23)中、Ra、Rb、Rc、およびRdは、おのおのアルキル、シクロアルキル、アルキルアリールまたはアリール基を表わし、その中で1個またはそれ以上の脂肪族CH2基が酸素原子により置き換えられていてもよい。X3は塩基性陰イオンである。)
上記一般式(23)で表される化合物としては、RaないしRdが、おのおの、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ドデシル、フェニル、ベンジルであり、X3- が水酸イオン、ORはC1 〜C4 アルキル基本、-OCOR’(R’はアルキル、アリール、アルキルアリール)、OCOO- 、OSOO- で表わされるアニオンが好ましく用いられる。特に好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム、および水酸化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。これらの塩基性化合物は、1種あるいは2種以上を併用して用いることができる。
本発明の粘度安定剤として用いられる塩基性化合物の塩基性度は、ビニルエーテル化合物単独もしくはオキセタン化合物と併用される場合、水溶液の状態での温度25℃における塩基解離定数pKbが3以上の塩基性化合物が望ましく、逆にpKbが7を越える化合物ではあまり効果がみられない。そのような条件を満たす化合物としては、例えば、脂肪族アミンおよび置換脂肪族アミン類が好適である。
しかしながら、本発明のビニルエーテル化合物が、さらに同時にエポキシ化合物が含有される場合、イミダゾールをはじめとするあまりに強力な塩基性化合物を使用した場合には、例えば経時重合を生じたり、あるいは光酸発生剤の分解などの副反応を生じやすくなるおそれがある。一方、あまりに塩基性の低い化合物は、添加による粘度安定化の効果を十分に得ることが困難になる。例えば、水溶液の状態での温度25℃における塩基解離定数pKbが4以上の塩基性化合物が望ましく、逆にpKbが11を越える化合物では殆ど効果がみられない。そのような条件を満たす化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、アミノナフタレン誘導体、その他の含窒素ヘテロ環化合物およびその誘導体が好適である。
ピリジン誘導体としては、例えば、2−フルオロピリジン、3−フルオロピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、3−フェニルピリジン、2−ベンジルピリジン、2−ホルミルピリジン、2−(2′−ピリジル)ピリジン、3−アセチルピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、2−ヨードピリジン、3−ヨードピリジン、および2,6−ジ−tert−ブチルピリジン等を挙げることができる。
アニリン誘導体としては、例えば、アニリン、4−(p−アミノベンゾイル)アニリン、4−ベンジルアニリン、4−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、3−5−ジブロモアニリン、2,4−ジクロロアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3−ニトロアニリン、N−エチルアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−ヨードアニリン、N−メチルアニリン、4−メチルチオアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、3−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、ジフェニルアミン、2−ビフェニルアミン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、および4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン等を挙げることができる。
アミノナフタレン誘導体としては、例えば、1−アミノ−6−ヒドロキシナフタレン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、ジエチルアミノナフタレン、および、N−メチル−1−ナフチルアミン等を挙げることができる。
その他の窒素ヘテロ環化合物およびその誘導体としては、例えば、シノリン、3−アセチルピペリジン、ピラジン、2−メチルピラジン、メチルアミノピラジン、ピリダジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−5−ニトロピリミジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、ピロール、ピラゾール、1−メチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール、キナゾリン、キノリン、3−アミノキノリン、3−ブロモキノリン、8−カルボキシキノリン、3−ヒドロキシキノリン、6−メトキシキノリン、5−メチルキノリン、キノキサリン、チアゾール、2−アミノチアゾール、3,4−ジアザインドール、プリン、8−アザプリン、インドール、およびインドリジン等を挙げることができる。
脂肪族アミンとその誘導体としては、下記一般式(21)で表わされるアミン誘導体が挙げられる。
Figure 2005154734
上記一般式(21)中、R21、R22およびR23は同一であっても異なっていてもよく、少なくとも一つは置換または非置換のアルキル基であり、残りは水素原子、ヒドロキシル基、置換または非置換のアルキル基である。このような一般式(21)で表わされるアミン化合物はオキセタンやビニルエーテル化合物と組み合わせて用いることが望ましい。
また、上述した塩基性化合物が、下記一般式(22)で表わされるアニオンと塩を形成し、かつアニオンの酸性度が低い場合には、化合物自体が弱い塩基としての作用を有する。したがって、前述と同様に用いることができる。
Figure 2005154734
上記一般式(22)中、A-はスルフォネートアニオンまたはカルボキシルアニオンを有する化合物、R21ないしR24は同一であっても異なっていてもよく、置換または非置換の芳香族基、水素原子、ヒドロキシル基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換のアルキル基である。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、露光後に加熱される場合があることから、塩基性化合物の揮発性は極力低いことが望ましい。具体的には、塩基性化合物の沸点は常温で150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。
粘度安定化剤としての塩基性化合物または塩基性を発現する化合物は、光酸発生剤の総モル量に対して、1モル%以上30モル%以下の割合でインクジェットインクに配合されることが望ましい。より好ましくは、2モル%以上15モル%以下である。この範囲を逸脱すると、感度が著しく低下するかあるいは粘度の安定化効果がなくなる。
光または放射線の照射により分解される感光性塩基性化合物を用いた場合には、塩基添加に伴なう感度の低下を低減することができるため望ましいものとなる。
感光性塩基性化合物としては、スルホニウム化合物、ヨードニウム化合物を好適に用いることができる。例えばスルホニウム化合物としては、下記一般式(SS1)〜(SS4)で示される化合物が例示される。
Figure 2005154734
(式中、R31、R32、およびR33は、それぞれアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、あるいはアルキル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、チオフェノール基、フェニルスルホニル基またはフェニルスルフェニル基により置換されたアリール基であり、Yは、CH2、OまたはSである。R34、R35、R36、およびR37は、おのおのアルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子であり、X1-は、塩基性陰イオンを表わす。)
31、R32、およびR33としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、tert−ブチルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、チオフェノキシフェニル基、フェノキシフェニル基、チオフェノキシフェニル基、およびフェニルスルホニルフェニル基が挙げられる。
34、R35、R36、およびR37としては、好ましくはアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子または臭素原子が挙げられる。
X1-としては、水酸イオン、-ORはC1〜C4アルキル基本、-OCOR’(R’はアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基)、OCOO- 、OSOO- で表されるアニオンが挙げられる。
ヨードニウム化合物としては、下記一般式(IS1)〜(IS4)で示される化合物が好ましい。
Figure 2005154734
上記一般式中、R38、R39は、おのおのアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、あるいはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、チオフェノール基、フェニルスルホニル基またはフェニルスルフェニル基によりモノ、ジまたはトリ置換されたアリール基である。YはCH2、OまたはSであり、R40、R41、R42、R43は、おのおのアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子であり、nは5または6であり、X2-は、塩基性陰イオンである。
38、R39としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、tert−ブチルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、チオフェノキシフェニル基、フェノキシフェニル基、チオフェノキシフェニル基、およびフェニルスルホニルフェニル基が挙げられる。
40、R41、R42、およびR43としては、好ましくはアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子または臭素原子が挙げられる。
X2-としては、好ましくは水酸イオン、-ORはC1〜C4アルキル基本、-OCOR’(R’はアルキル基、アリール基、アルキルアリール基)、OCOO-、OSOO-で表わされるアニオンが挙げられる。
スルホニウム化合物、ヨードニウム化合物として特に好ましいものとしては、例えば、トリフェニルスルフォニウムアセテート、水酸化トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムフェノレート、水酸化トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウムアセテート、トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウムフェノレート、水酸化ジフェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウムアセテート、ジフェニルヨードニウムフェノレート、水酸化ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムフェノレート、チオフェニル置換されたトリフェニルスルフォニウムアセテートや、チオフェニル置換されたトリフェニルスルフォニウムヒドロキサイドなどが挙げられる。
上述の塩基性化合物に加えて、他の塩基性化合物を添加することもできる。また、光酸発生剤としてオニウム塩が使用される場合は、光酸発生剤と塩基性化合物とが同種の化合物であることが好ましい。例えば、両者がスルホニウム系化合物やヨードニウム系化合物の場合には、感度、保存安定性の点で優れた効果を得ることができる。
さらに、本来は塩基性でない化合物が経時的に分解して塩基性化合物が生成される場合も、徐々に発生される酸を中和することができるため望ましいものとなる。このような化合物としては、熱で塩基を発生する化合物を使用することができる。例えば、NBC−101(商品名:みどり化学株式会社製)、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメートなどのカルバメート化合物などを例示することができる。
また、下記一般式(TBG1)〜(TBG8)で表わされる化合物も好適に用いることができる。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上記化学式中、R51 、R52 およびR54 は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、あるいは、炭素原子数3〜20の環状のアルキル基である。R51とR52 、R51とR54およびR52とR54は、それぞれ互いに結合して環構造を形成してもよい。R53は、炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、R55は、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数3〜20の環状のアルキル基、または、炭素原子数6〜20のアリール基であり、Mは、ヨードニウムまたはスルホニウムを示し、jは2〜10の整数を示し、kは1から3の整数を示す。
51、R52、R54、およびR55として導入される炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、およびn−ドデシル基等が挙げられる。炭素原子数3〜20の環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、およびシクロドデシル基等が挙げられる。炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、およびピレニル基等が挙げられる。また、形成される環構造としては、例えば、ピペリジノ基、ピロリジノ基、プロピレンイミノ基、およびアセチジノ基等が挙げられる。
53として導入される炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、およびtert−ブチル基等が挙げられる。
(分散剤、界面活性剤など)
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、顔料などの分散性を高めるために、少量のノニオン系またはイオン系界面活性剤や帯電剤のような分散剤をさらに含有することができる。同様な性質を有するアクリルやビニルアルコールのような高分子系分散剤もまた、好適に使用される。ただし、分散剤としてカチオン系分散剤を使用する場合には、酸性度がカルボン酸より低い化合物を選択することが望ましい。カチオン系分散剤のなかには、インクの硬化暗反応を促進するものもあるからである。また、強い塩基性を有する分散剤や色素なども、インクの感度を低下させるのみならず、同様に硬化暗反応を促進することがある。したがって、こうした分散剤としては、中性に近いものやノニオン系の化合物を用いることが望まれる。
(ラジカル重合性モノマーなど)
被印刷面が強い塩基性である場合、あるいは顔料や被印刷面が酸によって影響を受け易い場合には、適切なラジカル重合性化合物を配合することによって、その影響を低減することができる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルまたはメタクリル系モノマー、スチレン系モノマー、あるいはそれらのビニル系の重合性基を複数有する化合物などを使用することができる。
ビニルエーテル化合物は、アクリル系モノマーと組み合わせて、さらには単独でもラジカル重合可能である。同様に、ダイセル化学製CEL2000、グリシジルメタクリレート、ビニルアルコールとアクリル、メタクリルなどのエステル化合物のように、カチオン重合性とラジカル重合性との双方の特性を有する化合物をさらに添加した場合には、ラジカル重合性およびカチオン重合性の利点を得ることができる。この場合、商品名イルガキュアーで知られるミヒラーケトンやベンゾフェノンのような光ラジカル重合開始剤、およびビスアジドのような光架橋型ラジカル発生剤を同時に含有させることができる。こうした手法は、硬化後のインク層により高い耐薬品性を付与させたい場合にも、適用することができる。
(その他の溶剤など)
本実施形態にかかるインクジェットインクは、通常、水または有機溶剤のような揮発成分を極力含まないように調製することが望まれる。しかしながら、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコール系溶媒、乳酸エチル、キシレンのように原材料の調製時に使用する有機溶剤は、不可避的に混入していてもよい。また、例えば排気機構や溶媒回収機構を設けた場合には、所望の印刷物を得る目的などで、少量の有機溶媒を含有させてもよい。この場合、安全性の観点からは、水、エタノールやプロパノ−ル類のようなアルコール類、アイソパーやテルペンのような石油成分を使用することが望ましい。
以上、各成分毎に例を挙げ、本発明を詳述してきたが、次に、インクジェットインクとして共通に要求される特性などについて説明する。
上述したような酸重合性化合物に含まれる脂環式骨格がテルペノイド骨格を有している場合には、インクジェットインクまたは硬化後のインク層の人体や環境に対する安全性が向上するので好ましい。例えば、ビニルエーテルの場合、ミルセン、オシメン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトロレノール、シトラール、メンテン、リモネン、ジペンテン、テルピノレン、テルピネン、フェランドレン、シルベストレン、ピペリトール、テルピネオール、テルピネオール、メンテンモノオール、イソプレゴール、ペラリアルデヒド、ピペリトン、ジヒドロカルボン、カルボン、ピノール、アスカリドール、ザビネン、カレン、ピメン、ボルネン、フェンケン、カンフェン、カルベオール、セスキテルペン類、ジテルペン類、トリテルペン類などの誘導体で、上述した骨格を有するアルコールの水素原子をビニル基で置換させたようなビニルエーテル化合物が挙げられる。
あるいは、上述したような骨格を有するアルコールを、オキセタン骨格を有するアルコールと脱水縮合してエーテル結合させた脂環オキセタン化合物なども好ましい。一方、天然に多く存在するノルボルネン骨格を有するビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物は、コストの面で良好であるため、これも好適に用いることが可能である。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、加熱を必要とする感光性インクであるため、安全性や臭気の観点からインクの揮発性は低いことが望まれる。具体的には、露光後80℃における揮発速度が、0.2mg/cm2・min以下であることが望ましい。ここでの揮発量は、例えば開口面積10cm2の容器を加熱した場合、毎分あたりの揮発量(mg)を示す。この値は、容器の開口に依存するが、通常6cm直径のシャーレに4gのインクを収容して常圧下、加熱した際の値と定義している。揮発速度が大きすぎる場合には、安全性が損なわれるとともに臭気の問題が著しいものとなる。一方、揮発性が著しく乏しい、例えば0.00001mg/cm2・min以下のインクでは、通常は粘度が高くなりすぎて、インクジェット吐出が困難となる場合が多い。
すでに説明したように、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、少なくとも常温で30mPa・secの流動性を有していることが望まれる。こうした性能を達成するため、上述してきたようなビニルエーテル化合物を含むn種の酸重合性化合物が混合して含有される場合、下記数式(A)式で表わされるηtが3(mPa・sec)以上30(mPa・sec)以下であることが好ましく、5(mPa・sec)以上25(mPa・sec)以下の範囲内の組成であることがより望ましい。
Figure 2005154734
(上記数式(A)中、χ1,χ2,χ3,・・・,χnは、各成分の重量組成比率であり、η1,η2,η3・・・,ηnは、各成分単独の常温常圧での粘度である。)
この範囲を逸脱すると、インクの吐出が著しく困難になるか、吐出の乱れによる像の乱れが生じやすい。さらに、かかる値が、常温で12mPa・sec以下である場合、ヘッドを加熱することなく、インクジェット吐出が可能であるため、インクの保存性や、ヘッドからの揮発が低減されうるため、より好ましいものとなる。
また、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、溶媒の一部として、溶解度パラメーターが(19MPa1/2)以上であるエポキシ化合物またはオキセタン化合物を含有してもよい。こうした化合物が含有されることによって、インクの溶解性に関係する特性を制御することができ、インクジェットインクの安定性をよりいっそう高めることができる。例えば、光酸発生剤の溶解性を高めたり、色材としての顔料等の分散性を高めるといった効果が得られる。さらに、インクの表面物性を向上させることもできる。表面張力のようなインク吐出動作に影響を及ぼす条件で、表面張力が適当でない場合には、界面活性剤などを添加して、表面張力値を調整する必要があった。所定の溶解度パラメーターの化合物を配合することによって、界面活性剤の添加は不要となる。
ビニルエーテル化合物は、溶解度パラメーターが(19MPa1/2)以上の酸重合性化合物に容易に溶解し、インクジェット吐出動作が安定して行なえる範囲内で任意に溶解度パラメーターを設定することができる。溶解度パラメーターは、蒸発熱、表面張力、溶解度パラメーターが既知の物質への溶解度などから求めることができる。かかるエポキシ化合物またはオキセタン化合物としては、例えばC3000(リモネンジオキサイド,ダイセル化学社製)や、OXT221(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、東亜合成社製)、ポリエチレンオキシド骨格を有し、末端にオキセタン基を有する化合物などを挙げられる。
上述したように、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、その像形成能力を化学増幅機構に依存している。すなわち、露光によって光酸発生剤から酸が発生し、この酸が加熱によって拡散して架橋反応の触媒として機能する。このため、このインクジェットインクでは、著しい塩基性イオンの存在は感度低下の要因となる。したがって、インクジェットインクの調製過程はもちろん、構成成分のそれぞれの製造過程でも大量の塩基性イオンが混入しないよう留意することが望ましい。
先に説明したように、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクで使用される顔料は、発色・着色性に加え、磁性、蛍光性、導電性、誘電性、電磁波発熱性等のような他の性質をさらに示すものであってもよい。そのような顔料を含有したインクジェットインクを使用した場合には、様々な機能を印刷物に付与することが可能である。以下、その例を幾つか示す。
まず最初に、インクジェットインクが磁性を有する顔料を含有する場合について説明する。
まず、顔料として磁性を有する粉体を含有したインクジェットインクを調製する。このインクジェットインクは、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、およびそれらの合金や酸化物などの磁性粉と、光酸発生剤と、分散性を向上させるための高分子化合物または高分子粉体などとともに上述した溶媒中へ添加することによって、得ることができる。
次に、このインクジェットインクを記録媒体上に吐出して、バーコードパターンのようなパターンを描く。インク吐出後、速やかにインク層に紫外線のような光を照射する。この際の照射量は、インクジェットインク中の顔料の含有量やその感光性などに応じて設定することができ、通常は数百mJ乃至千数百mJ程度である。光照射直後の状態でもインク層の粘着性や流動性は失われるが、ストッカー内で常温乃至60℃に維持することによって、インク層を完全に硬化させることができる。このようにして硬化したインク層は磁性を有しているため、磁気ヘッドなどの磁性検出機構により、画像情報以外の二次情報を読み取ることが可能となる。
次いで、インクジェットインクが導電性顔料を含んでいる場合について説明する。
まず、顔料として導電性を有する粉体を含有したインクジェットインクを調製する。このインクジェットインクは、例えば、銀、金、銅、アルミニウム、炭素、ニッケル、鉄、コバルト、鉛、錫、アンチモン、それらの任意の組み合わせの合金粉末、およびそれらと有機物との複合体などのような導電性顔料と、光酸発生剤と、分散性を向上させるための高分子または高分子粉体などとともに上述した溶媒中へ添加することにより得られる。最終的に得られるインク層中の樹脂含量を低減して導電性を高める目的で、インクジェットインク中の重合性化合物の含量を低減するとともに、インクジェットインクに有機溶剤を添加してもよい。
このインクジェットインクを絶縁基板のような記録媒体上に吐出して、配線パターンのようなパターンを描く。インク吐出後、速やかにインク層に紫外線のような光を照射する。この際の照射量は、インクジェットインク中の顔料の含量やその感光性などに応じて設定することができ、通常は数百mJ乃至千数百mJ程度である。光照射直後の状態でもインク層の粘着性や流動性は失われるが、ストッカー内で常温乃至60℃に維持することにより、インク層を完全に硬化させることができる。インク層に熱および圧力を加えた場合には、導電性をよりいっそう高めることができる。さらに、導電性顔料として比較的低融点の合金粉末を使用した場合には、その流動温度までインク層を加熱して導電パターンを得ることができる。こうして得られる印刷パターンは導電性を有しているため、回路パターンや抵抗パターンとして使用することが可能である。
さらに、バリウム鉛、ビスマス、イリジウム、ルテニウム、タンタル、白金、チタン、ストロンチウム、クロムなどの合金やその酸化物、セラミック粉末のような誘電体粉末を顔料として含有したインクジェットインクを使用した場合には、キャパシタやインダクタの誘電体層を形成することも可能である。この場合、パターン形成後に焼成することによって、その特性を向上させることができる場合がある。また、酸化チタン粉末のように光触媒機能や殺菌能力を有する顔料を含有したインクジェットインクを使用した場合には、そのような機能を有する印刷パターンを形成することも可能である。電磁波発熱性粉体としては、例えば電磁波発熱性セラミックスやシリコン樹脂が例示され、電磁波により、印字部分を選択的に加熱するなどの用途に用いることができる。かかる粉体は、本発明の実施形態にかかるインクジェットインク全般の電磁波加熱性を向上することに用いることが可能である。
さらに、本実施形態で説明した技術を適宜利用することにより、重ね印刷や比較的厚みのある印刷パターンを形成することも可能となる。すなわち、記録媒体の所定の領域内でインクジェットインクの吐出と、それにより得られるインク層の硬化とを複数回繰り返すことによって、印刷の部分訂正や触覚的な画像認識が可能な浮き上がり部分を有する画像を形成することができる。例えば、点字のようなハンデキャップ者向けの印刷パターン、等高線に対応して厚さを変化させた地形図のような印刷パターン、さらには数10μm以上の厚さを有するデバイスの一部などを形成することも可能である。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、例えば図1に示すようなインクジェット記録装置に適用することができる。図示するインクジェット記録装置1は、記録媒体2を搬送する搬送機構3を備えている。搬送機構3の移動方向に沿って上流側から下流側には、インクジェット式の記録ヘッド4、光源5、および加熱手段としてのヒーター6が順次配置されている。
記録媒体(あるいは、被印刷物)2は、印刷可能な媒体であれば特に限定されるものではない。記録媒体2としては、例えば、紙、OHPシート、樹脂フィルム、不織布、多孔質膜、プラスチック板、回路基板、および金属基板などを使用することができる。
搬送機構3は、例えば、記録媒体2が記録ヘッド4、光源5、およびヒーター6の正面を順次通過するように媒体2を搬送する。ここでは、搬送機構3は、記録媒体2を、図中、右側から左側へ向けて搬送する。搬送機構3は、例えば、記録媒体2を移動させるベルトおよび/またはローラと、それを駆動する駆動機構とによって構成することができる。また、搬送機構3には、記録媒体2の移動を補助するガイド部材などをさらに設けてもよい。
記録ヘッド4は、画像信号に対応して記録媒体2上にインクジェットインクを吐出し、インク層を形成する。記録ヘッド4としては、例えば、キャリッジに搭載されたシリアル走査型ヘッドや、記録媒体2の幅以上の幅を有するライン走査型ヘッドを使用することができる。高速印刷の観点では、通常、後者のほうが前者に比べて有利である。記録ヘッド4からインクジェットインクを吐出する方法に特に制限はない。例えば、発熱体の熱により発生する蒸気の圧力を利用してインク滴を飛翔させることができる。あるいは、圧電素子によって発生する機械的な圧力パルスを利用してインク滴を飛翔させてもよい。
光源5は、記録媒体2上のインク層に光を照射して、インク層中に酸を発生させる。光源5としては、例えば、低、中、高圧水銀ランプのような水銀ランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置、電子線照射装置、X線照射装置などを使用することができる。なかでも、システムを簡便化できるため、高周波誘起紫外線発生装置、高・低圧水銀ランプや半導体レーザなどを使用することが望ましい。また、光源5に集光用ミラーや走引光学系を設けてもよい。
ヒーター6は、記録媒体2上のインク層を加熱して、酸を触媒とした架橋反応を促進する。本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、必ずしも露光後加熱を行なわなくても硬化させることができるが、より迅速な硬化のためには加熱を行なうことが望まれる。ヒーターとしては、例えば、赤外ランプ、発熱体を内蔵したローラ(熱ローラ)、温風または熱風を吹き出すブロワなどを使用することができる。
こうした装置1を用いて、例えば以下のような方法により記録媒体に印刷を行なうことができる。
まず、搬送機構3により記録媒体2を、図中、右側から左側へ向けて搬送する。記録媒体2の搬送速度は、例えば、0.1m/min乃至数100m/minの範囲内とすることができる。
記録媒体2が記録ヘッド4の正面まで搬送されると、記録ヘッド4は画像信号に対応して上記のインクジェットインクを吐出する。これにより、記録媒体2上にインク層が形成される。
インク層が形成された記録媒体2は、光源5の正面へと搬送される。記録媒体2が光源5の正面を通過する際、光源5は記録媒体2上に形成したインク層に向けて光を照射して、インク層中に酸を発生させる。なお、インク層表面の位置における照射光強度は、使用する光源の波長などに応じて異なるが、通常、数mW/cm2乃至1KW/cm2の範囲内である。インク層への露光量は、インクジェットインクの感度や被印刷面の移動速度(記録媒体2の搬送速度)などに応じて適宜設定することができる。
続いて、記録媒体2は、ヒーター6内あるいはその近傍へ搬送される。記録媒体2がヒーター6内あるいはその近傍を通過する際、ヒーター6は記録媒体2上に形成されたインク層を加熱して、インク層中での架橋反応を促進する。なお、図1に示す装置1においては、通常、ヒーター6による加熱時間は数秒乃至数10秒程度と比較的短い。したがって、ヒーター6によりインク層の硬化をほぼ完全に進行させる場合は、最高到達温度が例えば200℃程度以下、望ましくは80℃乃至200℃あるいは60℃乃至180℃程度の比較的高い温度となるように加熱を行なう。
その後、記録媒体2は図示しないストッカー(あるいは、容器)内へと搬送される。これによって、印刷が完了する。
インク層を加熱するための加熱手段は、図1に示したように光源の下流に配置されたヒーター6に限定されるものではない。例えば、インク層への露光の際、被印刷面を損なわない程度に光源5を記録媒体2に近づけることによって、光源5を熱源としても利用することができる。コールドミラーのような除熱機構を光源に設けないことによって、同様に光源を熱源として利用してもよい。数百ワットの高出力バルブの場合には、冷却機構を同時に有しているので、その排熱機構の一部を変更して、意図的にその熱を紙面に還元する機構を設ける。これによって、光源から発生する熱によりインク層を加熱することができる。
より具体的には、光源を冷却した気流を紙面や搬送/保持機構内に再導入して、加熱に用いる機構を有する百w以上の出力の光源がそれに該当する。光源の熱の還元による記録媒体の到達温度は、上述したヒーターによる加熱と同程度の効果が得られる温度とすればよい。好ましい温度は、加熱される時間に依存して変化するが、通常少なくとも60℃以上、より好ましくは80℃から100℃である。また、露光速度が数m/秒と高速な場合には、瞬間的に加熱されるために180℃程度の高温としてもよい。
光源5として、例えば可視光に加えて赤外光を発生し得るものを使用した場合には、光照射と同時に加熱を行なうことができる。この場合には、硬化を促進させることができるので好ましい。
インク層に光を照射すると、光源5から発生する熱によってインク層が加熱されるため、加熱手段は、ヒーター6のように必ずしも独立した部材として設ける必要はない。しかしながら、光源5からの熱のみで常温で放置してインク層を完全に硬化させるには長時間を要する。したがって、常温放置は、完全硬化までに充分に長い時間を確保できる用途に適用することが望まれる。例えば、翌日に配布される新聞公告のような印刷物は、硬化までに要する時間を一昼夜程度と長く確保することができるので、常温放置でも完全硬化させることができる。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、図2に示すインクジェット記録装置に適用することもできる。図示するインクジェット記録装置1は、ヒーターがストッカー7に内蔵されている以外は図1に示すインクジェット記録装置1とほぼ同様の構造を有している。
ストッカー7は、露光を終えた複数の記録媒体2を収容可能である。ストッカー7は、露光後の記録媒体2を、例えば40℃程度以上の温度、望ましくは50℃乃至120℃程度の温度、より望ましくは60℃乃至100℃程度または50℃乃至80℃程度の温度に所定の時間保持することができる。
図1に示したような構成の装置1では、記録媒体2の搬送経路の途中にヒーター6が配置されているため、個々の記録媒体2を長時間加熱することは容易ではない。これに対して、図2に示す記録装置1では、ヒーターはストッカー7に内蔵されているため、個々の記録媒体2を長時間加熱することが可能である。しかも、複数の記録媒体2をストッカー7内で纏めて加熱することができることから、消費電力の観点でも有利である。さらに、個々の記録媒体2を長時間加熱可能である場合には、次のような利点もある。
すなわち、使用する記録媒体2とインクジェットインクとの組み合わせによっては、高温で短時間加熱することにより再流動化が進んで、画質が低下することがある。こうした画質の低下は、高温下での再流動化に起因しているので、インク層の加熱を比較的低い温度で長時間行なうことによって防止することができる。例えば、露光後の記録媒体2を、ストッカー7内で50℃乃至80℃程度に数分以上保持しておくことによって、画質の低下を生ずることなくインク層をほぼ完全に硬化させることができる。
ストッカー7には、所定の時間にわたり加熱状態に保持した記録媒体2を順次排出する排出機構を設けることが望ましい。加熱保持時間は、使用するインクジェットインクや加熱温度などに応じて設定することができる。例えば、加熱温度を50℃乃至100℃とする場合には、加熱保持時間を0.5分乃至10分程度とすることができ、ヒーターによる加熱を行なわない場合には、加熱保持時間を数時間程度とすることができる。
ストッカー7の上流側に、図1に示したようなヒーター6をさらに配置してもよい。記録媒体2がストッカー7内へ送られるまでにインク層の硬化が十分に進行していない場合には、記録媒体2同士がストッカー7内で接触することにより画像の乱れを生じることがある。予めヒーター6により加熱しておくことによって、ストッカー7内に収容される前に個々の記録媒体2を加熱することができるため、そのような画像の乱れがより生じ難くなる。
上述したように、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクを用いた場合には、被印刷面に吐出した後に光照射、および必要に応じて加熱を行なうことによって、インク層を速やかに非流動化することができる。すなわち、大規模な露光システムを必要とすることなく、高品質な印刷物を得ることが可能となる。なお、得られる非流動性の膜は熱可塑性(熱による再流動性であって、性質持続時間は短時間であってもかまわない)を示すものであることが望ましい。
また、このようなインクジェットインクでは、ラジカル重合を利用した従来のインクジェットインクとは異なり、発癌性のラジカル発生剤や皮膚刺激や臭気が大きなラジカル重合性モノマーを使用する必要がない。そのため、本実施形態にかかるインクジェットインクは取り扱いが容易である。
さらに、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、典型的には、溶媒のほぼ全体が酸重合性の化合物で構成される。こうした重合性化合物の溶媒全体に対する割合が十分に高ければ、印刷時に有機溶剤が揮発することは殆どない。したがって、有機溶剤の揮発に起因した雰囲気汚染の問題を防止することができ、排気設備や溶剤回収機構などは、何等必要とされない。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、有機溶剤を使用する必要がなく且つインク層を速やかに非流動化できることから、性質が異なる様々な被印刷面に対しても、滲みなどをほとんど生じることなく容易に画像を定着させることが可能となる。しかも、インク層の乾燥に伴なう被印刷面の劣化は生じ難い。さらに、色成分としての顔料を高濃度で含有することができるので、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクを用いることによって、鮮明でかつ耐候性に優れた印刷パターンを形成することが可能となった。
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
なお、以下の記載でのビニルエーテル化合物とは、一般式(1)で表される化合物と同意である。
まず、酸重合性化合物として、下記化学式で表わされるビニルエーテル化合物を用意した。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
こうしたビニルエーテル化合物を下記表1および2に示す処方で用いて、溶媒A1〜A13、B1〜B18、C1〜C6、D1を得た。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
なお、上記表中のビニルエーテルは、以下の化合物である。
HQDV:p−ビニロキシベンゼン
4CHDV:1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
1,3CHDVE:1,3−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
IBVE:イソボルネオールビニルエーテル
CHMVE:1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル
TBP−VE:1−tertブチル−4−ビニロキシベンゼン
M−CHDV:2−メトキシ−1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
MEDVE:メトキシ−ビニロキシ−シクロヘキサンメタノールビニルエーテル
M−NBDV:メトキシノルボルナンジビニルエーテル
ISB−DVE:イソソルバイドジビニルエーテル
ONB−DVE:ヒドロキシメチル−ヒドロキシオキサノルボルナンジオールジビニルエーテル
OCN−DVE:オキサビシクロノナンジビニルエーテル
NBDV:ノルボルナンジビニルエーテル
TBMP−IP:t−ブチルベンジルアルコールイソプロペニル
CHM−IP:シクロヘキサンメタノールイソプロペニル
DOM−IP:ジオキソランメタノールイソプロペニル
NBM−IP:ノルボルナンメタノールイソプロペニル
DCPVE:DCPジメタノールジビニルエーテル
上記表1中、SR−NPGは、ネオペンタン骨格を有するジグリシジルエーテル化合物(阪本薬品工業製)であり、OXT221は、オキセタン化合物(東亞合成製)であり、C3000は、リモネンジオキサイド(ダイセル化学社製)であり、DEGVは、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(丸善石油化学製)である。
溶媒A1ないしA13のそれぞれに対して、顔料としてのカーボンブラック(5重量%)、および光酸発生剤としてのUVACURE1591(8重量%)を添加し、ペイントシェーカで一昼夜分散処理した。分散処理後の混合物を、5μmのPTFEフィルタで濾過することによって、インクジェットインク(No.1〜13)を得た。
なお、カーボンブラックは、アクリル樹脂系分散剤と予め混練してミルベースとしておき、200ppmのノニオン系界面活性剤(住友3M社製)および市販の分散剤(味の素ファインテクノ製、製品名アジスパー)を添加して、No.1〜13のインクジェットインクが得られた。これらは、いずれも酸重合性化合物のうち40重量部以上が環状骨格を有するビニルエーテル化合物であるので、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクである。また、No.1〜13のインクと同様にしてNo.34〜58のインクを作成した。
比較のために、光ラジカル発生型のインクジェットインクを調製した。まず、イソボルニルアクリレート(IBA)50重量部と、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)25重量部と、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(TMPETA)25重量部とを混合して、溶媒を調製した。この溶媒に、重量部のイルガキュアー(NO.2959、長瀬産業)、5重量部のカーボン黒顔料、微量のアクリル系分散剤、および界面活性剤を添加した。得られた混合物にホモジナイザで5時間にわたって分散処理を施した後、5μmのPTFEフィルタで濾過した。こうして得られた光ラジカル発生型のインクジェットインクを、No.14のインクジェットインクとした。
さらに、非環状骨格のビニルエーテル化合物(DEGV)、およびC3000をそれぞれ溶媒として用い、前述と同様に色成分としてのカーボン黒顔料を配合して、No.15および33のインクジェットインクを調製した。
No.14,15および33のインクジェットインクは、環状骨格を有するビニルエーテル化合物が含有されていないので、比較例のインクである。
得られたインクジェットインクの性能は、図1に示したインクジェット記録装置を用いて評価した。記録媒体2としては通常の光沢紙を使用し、光源5としては出力230Wの超高圧水銀ランプを使用した。加熱手段6としてのヒーターは設けず、紫外線照射のみによってインク層の硬化を試みた。こうした条件で記録を行ない、インク硬化膜の鉛筆硬度、印字品質、耐溶剤性、記録媒体との密着性などを調べた。
なお、鉛筆硬度は、それぞれ以下の条件でのインク層について測定した結果である。
露光直後:露光直後のインク層
ストッカー:露光後、ストッカー内で80℃の温度に3分間維持したインク層
常温放置:露光後、常温(25℃)で8時間放置したインク層
印字品質は、印字画像を目視により確認して評価し、抜けの存在しないものを“良好”として、数ヶ所程度の抜けが存在するものを“不良”とした。
耐溶剤性は、エタノール、アセトン等の有機溶媒を含浸させた布を用いて擦過性試験を行なって、次のように評価した。
A(極めて良好):変化なし
B(良好):布にインクが付着
C(やや不良):インク層の色が薄くなった
D(不良):インク層の一部が完全に剥がれた。
また、密着性は、クロスカットテープ剥離試験を行なって、インク膜の剥がれた面積が全体の10%未満のものを良好とし、全体の10%以上のものを不良とした。
まず、酸重合性化合物中におけるビニルエーテル化合物の含有量の影響を調べた。酸重合性化合物の一部としてエポキシ化合物(C3000)を所定の割合で配合した以外は、前述の表1に示したNo.2のインクジェットインクと同様の処方により、種々のインクを調製した。得られたインクを図1に示した記録装置に適用して、インク硬化膜の鉛筆硬度および溶剤耐性を調べた。
同様にして、酸重合性化合物の一部としてオキセタン化合物(OXT221)およびエポキシ化合物(SR−NPG)を所定の割合で配合した以外は、前述の表1に示したNo.45および46のインクジェットインクと同様の処方により、種々のインクを調製した。
その結果を、ビニルエーテル(VE)化合物の含有量および露光量とともに下記表3ないし5にまとめる。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上記表4および表5に示されるように、環式骨格を有するビニルエーテル化合物がわずかでもインク溶媒中に含まれると、感光性能が格段に向上することが確認され、溶剤耐性においても優れた効果を発揮した。また、上記表3乃至5に示されるように、環式骨格を有するビニルエーテル化合物が酸重合性化合物の40重量部以上含有される場合には、インクの感光性が格段に向上し、形成されるインク硬化膜の溶剤耐性も良好である。エタノールやアセトンなどの有機溶媒をしみ込ませた布などで擦った場合でも、インク硬化膜に全く変化は認められず、優れた溶剤耐性を有することが確認された。
さらに、OHPシートなどの記録媒体への記録を行なって、インク硬化を試みた。その結果、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクを用いることによって、密着強度の優れたインク硬化膜を形成できることが確認された。
下記表6には、No.2、14、および33のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
上記表6に示されるように、本発明の実施形態にかかるNo.2のインクジェットインクは、250mJ/cm2という極めて低い露光量でも、露光直後にH以上の鉛筆硬度を得ることができる。しかも、印字品質、溶剤耐性、およびメディアとの密着性はいずれも良好である。
これに対し、光ラジカル発生型のNo.14のインクでは、1750mJ/cm2と露光量を大幅に増加させるとともにストッカー内で加熱したところで、インク層を硬化させることができなかった。1000mJ/cm2の露光量でインク層を硬化させるには、インクジェットインク中における顔料濃度を3重量%まで低下させなければならなかった。この際の鉛筆硬度はHBにとどまっており、得られた印字は、色が薄い一方で樹脂光沢が強く、実用には耐えられないものであった。
また、酸重合性化合物としてエポキシ化合物のみを含有するNo.33のインクジェットインクでは、露光量250mJ/cm2で鉛筆硬度HBであったものの、No.2のインクのHには達していない。さらに、得られた印字は、画像は良好なものの若干光沢があるものとなった。
これらのインクの比較により、本発明の実施形態にかかるNo.2のインクは、紫外線照射だけでも強固な硬度まで到達させることができ、速乾性に極めて優れていることが確認された。
下記表7には、No.2および15のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
No.2のインクは、酸重合性化合物が脂環式骨格を有するビニルエーテル化合物(4CHDV)からなり、一方のNo.15のインクは、鎖状骨格のビニルエーテル化合物(DEGV)から酸重合性化合物が構成される。
上記表7に示されるように、No.2のインクジェットインクは、No.15のインクよりも150mJ/cm2程度低い露光量で硬化可能であり、しかも、得られるインク硬化膜の溶剤耐性および密着性も良好である。こうした傾向は、他の脂環式骨格を有するビニルエーテル化合物を酸重合性化合物として用いてインクを調製した場合にも確認された。したがって、インクジェットインクに適用した場合、極めて硬化性能の高いインクを得ることが可能となることがわかった。
以上の結果に基づいて、本発明の実施形態においては、酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、環式骨格を有するビニルエーテル化合物と規定した。次に、その環式骨格の影響を調べた。
下記表8には、No.1および2のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
No.1のインクに含有されるビニルエーテル化合物は、環式骨格として芳香環骨格(ベンゼン環)を有し、一方、No.2のインクに含有されるビニルエーテル化合物は、環式骨格として脂環式骨格(シクロヘキサン環)を有する。No.2のインクと比較すると、No.1のインクは、同等の露光量で硬化させることができ、得られるインク硬化膜の硬化硬度および密着性などの性能は同等である。上記表8の結果から、No.1のインクは溶剤耐性が極めて良好であることがわかる。これは、芳香環骨格を有するビニルエーテル化合物を用いたインクでの特徴であり、エタノール、アセトンを始めオイル系の炭化水素、エステル系溶剤などの幅広い薬品に対する耐性が高いことが判明した。
下記表9には、No.4および5のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
No.4のインクジェットインクに含有されるビニルエーテル化合物(IBVE)は、環構成原子として酸素原子を含まないが、No.5のインクジェットインクに含有されるビニルエーテル化合物(ISB−DVE)は、環構成原子として酸素原子を含有する。こうした環構造に起因して、ISB−DVEは、IBVEと比較して極めて高い極性を有する。
上記表9に示した結果では、No.4および5のインクの硬化性能は同程度であり、これら2種類のインクの間に差異は認められない。しかしながら、PETフィルムのような極性の比較的高い記録媒体に画像を形成した場合には、濡れ性がかなり異なるといった現象が現われた。No.4のインクは、メディア面上で濡れにくくなるインク滴がはじかれる滲み現象が確認され、No.5のインクと比較して画像品質が低下した。これは、ビニルエーテル化合物の極性の違いによるものである。
次に、IBVEとISB−DVEとの配合を変えてインクジェットインクを調製し、そのインクを用いてPETフィルム上に画像を形成した。得られた像品質を比較して、下記表10に示す。
Figure 2005154734
上記表10に示されるように、ISB−DVEを配合することによって濡れ性が改善され、画像品質が向上する。酸素原子を環構成原子として含有する環状骨格を有するビニルエーテル化合物であれば、ISB−DVEと同程度に高い極性を有しているので、同様の特性を得ることができる。したがって、インク硬化特性を損なうことなく、メディアとの濡れ性を制御することが可能となり、インクジェットインク用の溶剤として極めて有用であることが確認された。
下記表11には、No.2および11のインクジェットインクの硬化特性を比較した結果を示す。No.11のインクは、酸重合性化合物の10重量%の量で炭酸プロピレン化合物を含有する以外は、No.2のインクと同様の組成である。
Figure 2005154734
上記表11に示されるように、No.11のインクは、印字品質、溶剤耐性および密着性といった特性はNo.2のインクと同等であるものの、得られるインク硬化膜の硬度が低い。また、必要とされる露光量が多いことから、感度も低いことがわかる。したがって、上記表11の結果からは、炭酸プロピレン化合物を配合することにより、特に優れた効果が生じるとは見受けられない。
次に、光酸発生剤の含有量を変化させた以外は、前述のNo.2および11と同様の組成でインクジェットインクを調製し、そのインクの硬化特性、固形分の析出の有無、および吐出性能を調べた。得られた結果を、下記表12にまとめる。なお、固形分の析出は目視により観察した。吐出性能は、印字画像を目視により確認して評価し、抜けの存在しないものを良好とし、数ヶ所程度の抜けが存在するものを不良とした。
Figure 2005154734
上記表12に示されるように、炭酸プロピレン化合物を含有しないNo.2のインクでは、光酸発生剤の含有量が10%以上となると、硬化特性は変わらないものの光酸発生剤がインク中に固形分として析出した。光酸発生剤が析出したインクでは、吐出性能が極めて低下する。
一方、No.11のインクでは、光酸発生剤の添加量を高めたところで、固形分として析出することはなく、しかも、硬化特性も向上した。その結果、良好な保存性を維持することができた。
一般的に、光酸発生剤を多く含有するインクでは硬化特性は向上するものの、インクの保存性は低下することは避けられなかった。炭酸プロピレン化合物を添加することによって、保存性が低下することがなく、長期保存したインクにおいても安定したインク性能を維持できることが確認された。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、酸重合性化合物であるビニルエーテル化合物を含むことが要求される。酸重合性化合物の一部として所定の化合物を配合することによって、インクジェットインクに所望の特性を付与することもできる。
下記表13には、No.2および10のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
No.10のインクジェットインクは、酸重合性化合物の50重量部をオキセタン化合物(OXT221)とした以外は、No.2のインクと同様の組成である。上記表13に示されるように、オキセタン化合物をビニルエーテル化合物とともに用いることによって、硬化硬度がより高められる。したがって、より強靭なインク硬化膜を得るためには、オキセタン化合物を添加するのが有効であることが確認された。さらに、オキセタン化合物はインクの揮発速度を低下させる作用も有していることから、再吐出性能(一定時間吐出を行なわず、再度吐出動作を行なった際の吐出性能)も改善された。
下記表14には、No.2および7のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。インク層の可撓性は、インク硬化膜の割れ試験により評価した。インク硬化膜を50℃から−50℃に急冷し、目視により割れの発生が極わずか認められるものを“良好”とし、割れの発生が全く認められないものの場合は“極めて良”とした。
Figure 2005154734
No.7のインクジェットインクは、酸重合性化合物の50重量部をジグリシジルエーテル化合物(SR−NPG)とした以外は、No.2のインクと同様の組成である。上記表14に示されるように、グリシジルエーテル化合物をビニルエーテル化合物とともに用いることによって、硬化硬度を何等損なうことなく、インク硬化膜の可撓性や保存性を向上させることができた。
次に、酸重合性化合物として配合されるビニルエーテル化合物の構造が及ぼす影響について調べた。下記表15および16には、No.1乃至6、34乃至58のインクジェットインクの性能を比較した結果を示す。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
これらのインクジェットインクに配合されたビニルエーテル化合物のうち、ビニルエーテル化合物が単体のインクの中でIBVE(No.4)およびCHMVE(No.6)は1価の化合物であり、残りのビニルエーテル化合物は2価である。上記表15に示されるように、価数が2価のビニルエーテル化合物を含有するインク(No.1〜3,5,34〜39)は、露光量において約100〜数十mJ/cm2程度低い露光量で感光することができ、硬化膜の鉛筆硬度も良好な傾向にある。このような性能は、2価以上のビニルエーテル化合物の場合も得られることが推測される。したがって、3価のビニルエーテル化合物あるいはそれ以上の価数を有するビニルエーテル化合物を配当した場合も、同様に感光性を高めることができる。
特に、No.34のインクは単一溶媒で作成したインク中で極めて感光硬化性能が優れており、溶媒であるONB−DVEの特徴的な性能の現れといえ、これは前記記述のNo.10インクにおけるオキセタン化合物を加えたもののインクと比較しても、さらに感光硬化性能に優れていることわかる。単一溶媒で調製したインクで、これほどの感光性能が得られる材料としてはあまり類を見ず、インクとしての機能はもちろん、コスト的にも優位なインクを調製することが可能となった。
No.40〜43のインクは、ビニルエーテル化合物を混合させた溶媒で調製したインクの例である。ISB−DVEおよびONB−DVEは、脂環式骨格中に酸素原子が含まれる構造を有し、M−CHDVおよびMEDVEは、脂環式骨格に酸素含有置換基であるメトキシ基が置換された構造を有している。これらの溶媒の特徴である硬化膜の硬度が優れることが、インク感光性においても現れる結果となった。さらに揮発性の観点でも優れているため、極めて良好な吐出動作と吐出安定性能が得られた。
No.44〜51のインクは、ビニルエーテル化合物としてISB−DVEおよびONB−DVEと、エポキシ化合物およびオキセタン化合物の溶媒を混合して調製したインクである。いずれも高い感光性能を示していることに加え、No.44,46インクは硬化膜の可撓性が優れている。また、No.45,47インクは硬化硬度が優れていることがわかる。さらに、No.48〜51のインクも密着性においてより優れていることがわかった。
No.52〜55のインクは、ONB−DVEとイソプロペニルエーテル化合物の溶媒を混合して調製したインクである。いずれも高い感光性能を得られたことに加え、イソプロペニルエーテル化合物が比較的低揮発性能であることから吐出性能が安定している。さらに、酸発生剤の溶解性に優れることがわかった。
No.56,57のインクは、ONB−DVEと芳香環を有するビニルエーテル化合物を用いた例である。これらは、感光硬化性能、および酸発生剤などの溶解性に優れている。芳香環を導入したことによって硬化性能が向上した。また、メトキシ基を導入したことにより極性が増加した。その結果、溶解性および揮発性の点でも、溶媒の蒸発をさらに抑えることができ、より安定した吐出性能が得られた。また、印刷媒体との濡れ性も改善され、画質が向上した印刷物を得ることができた。
また、CHMVEは、シクロヘキシル骨格を有するビニルエーテル化合物である。脂環式の複合環状骨格を有し、かつメチレン骨格を介してビニルエーテル基が結合されたビニルエーテル化合物(DCPVE)においては、CHMVEを用いたインクよりも感光特性に優れている。これは、インクNo.58の結果から確認された。単一環状骨格の脂環式構造をもつビニルエーテル化合物よりも、複合環状骨格をもつビニルエーテル化合物の方が優れたインク特性を示す。こうした傾向は、ビニルエーテル基が、ビニルエーテル基が脂環式骨格に直接結合されていない場合でも認められた。
なお、No.1〜3および5で用いたビニルエーテル化合物(HQDV、4CHDV、1,3CH−DVEおよびISB−DVE)においては、ビニルエーテル基は、環状骨格に直接結合しており、No.6で用いたビニルエーテル化合物(CHMVE)はメチレン骨格を有している。これらの比較から、ビニルエーテル基が環状骨格に直接結合しているビニルエーテル化合物を含有するインクの方が、メチレン骨格を有する化合物を含有するインクに比べて、感光特性に優れていることがわかる。特に、耐溶剤性や密着性といった性能が向上している。メチレン骨格のみならず、ビニルエーテル基と環状骨格との結合部の構造が大きくなるにしたがって、感光特性が低下する傾向が認められた。環状骨格に直接結合したビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物が、極めて優れた特性を有していることが確認された。
さらに、No.5やNo.34などのインクに用いたISB−DVEやONB−DVEは、オキセタン環やヒドロフラン環のような歪んだ環状エーテル構造をもつ化合物である。これらの化合物は、構造に起因して反応性が優れていると考えられる。特にかかる環式構造が橋かけ構造を有する場合、最も望ましいものとなる。
次に、光酸発生剤の含有量の影響を調べた。下記表17に示すように光酸発生剤の添加量を変更した以外は、No.2のインクと同様の処方によりインクジェットインクを調製した。得られたインクを用いて、図1に示したインクジェット記録装置1により性能試験を行なった。この際の露光量、粘度および吐出の状態を、光酸発生剤の添加量とともにまとめる。吐出の状態は、60℃での加熱による1週間の加速試験の後における吐出状態の変化から判断した。
Figure 2005154734
上記表17に示されるように、光酸発生剤の添加量が1重量%の場合には、800mJ/cm2という露光量が必要とされて感度が低く、一方、10重量%を越えた付近から粘度の増加が大きくなって、全く吐出不可能となった。しかしながら、2重量%の添加量では、充分な硬化硬度、耐溶剤性などの性能を維持することが可能であり、ビニルエーテル化合物を用いたインクの感光性能が極めて高いことが確認された。
また、上記表17には、Ni金属を各インクに浸漬した際の腐食性もあわせて示した。Ni金属は、配管や電極などに一般的に用いられており、インクによる腐食は極力避けることが望まれる。光酸発生剤の添加量が8重量%以上となると、Ni腐食が増大することが上記表17の結果に示されている。
下記表18には、インクジェットインクの粘度と吐出性能との関係をまとめる。ここでは、所定の粘度となるようにNo.8のインクの組成を調整して、種々のインクを作製した。各インクを用いて吐出動作を行なって性能を調べ、得られた結果を下記表18に示す。なお、吐出動作の際には、温度制御は行なわなかった。
Figure 2005154734
通常、ヘッドのインク吐出動作は温度制御を行ない、そのヘッドの駆動条件に適した粘度に合わせることが必要とされる。粘度が12mPa・s以下のインクであれば、温度制御を行なわなくても吐出可能な粘度を有しており、ヘッド設計が容易となることが表18の結果からわかる。
次に、エポキシ化合物の溶解度パラメーター(SP値)の影響を調べて、下記表19にまとめた。ここでは、所定の溶解度パラメーターのエポキシ化合物を配合する以外はNo.12のインクと同様の処方により複数のインクを作製した。これらのインクについて、ビニルエーテル化合物、光酸発生剤の溶解性、および吐出性能を調べ、得られた結果を下記表19に示した。なお、溶解性の評価は、所定の酸重合性化合物と光酸発生剤を混合したときの溶液を目視確認し、全く濁りや沈殿物を生じないものを良好とし、濁りやわずかに沈殿物が認められるものをやや難とした。これらの間の状態は、やや良好とした。
Figure 2005154734
上記表19に示されるように、溶解度パラメーター19MPa1/2以上のエポキシ化合物を含有するインクは、ビニルエーテル化合物および光酸発生剤の溶解性が良好である。これに対して、溶解度パラメーターが19MPa1/2未満のエポキシ化合物を含有するインクでは、光酸発生剤は固形分として析出し始め、インク中の不純物として存在することが認められた。こうした不純物は、吐出性能の低下、インク感光性の低下、インク製造プロセス中におけるろ過条件低下といった影響を与えるので、極力低減することが望まれる。
さらに、エポキシ化合物の粘度の影響を調べて、下記表20にまとめた。ここでは、所定の粘度のエポキシ化合物を配合する以外はNo.13のインクと同様の処方により複数のインクを作製した。これらのインクについて、粘度および吐出性能を調べ、得られた結果を下記表20に示した。なお、表21には比較例として、ビニルエーテル化合物の代わりにエポキシ化合物の低粘度化合物を配合して調製したインクの結果もあわせて示した。
Figure 2005154734
Figure 2005154734
上記表に示されるように、ビニルエーテル化合物を用いることによって、高粘度な酸重合性化合物に対する相溶性にも優れ、低粘度なインクを得ることができる。しかも、得られるインクの吐出性能は、いずれも良好である。こうしたインクには、高粘度な酸重合性化合物をさらに添加することができることから、インク硬化膜の表面に光沢性を付与することが可能となり、インク層の可撓性を高めるといった効果も得られる。これに対して、低粘度のエポキシ化合物を配合したインクは、吐出条件に適合する粘度まで低下させることが困難であり、感光性も劣っていた。
下記表22に示すような処方で溶媒A2、A7およびA10と各成分を配合して、種々のインクジェットインクを調製した。
Figure 2005154734
黒色(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)、およびマゼンタ(M)の顔料としては、カーボンブラック、C.I.Pigment Yellow180、C.I.Pigment Blue 15、およびC.I.Pigment Red 123をそれぞれ用いた。
光酸発生剤として配合した化合物を、下記化学式に示す。
Figure 2005154734
なお、PAG5は、PAG1とPAG2との混合物の50%プロピレンカーボネート溶液である。
また、粘度安定化剤として配合した化合物(BS1〜BS7)を、下記化学式に示す。化合物は、正味の光酸発生剤に対してのモル%(例えばBS、PAG5の組み合わせでは8.3モル%で1重量%程度に相当)で添加した。
Figure 2005154734
インクの調製に当たっては、まず、各顔料をアクリル樹脂系分散剤と予め混練してミルベースとし、200ppmのノニオン系界面活性剤(住友3M社製)と市販の分散剤(味の素ファインテクノ製、製品名アジスパー)を添加した。次いで、上記表20に示した処方により、顔料と光酸発生剤と粘度安定化剤とを添加して、ペイントシェーカで一昼夜分散処理した。分散処理後の混合物を5μmのPTFEフィルタで濾過することによって、No.16乃至31のインクを得た。
さらに、顔料や粘度安定化剤を配合せずにNo.32のインクを調製し、粘度安定化剤を配合しない例としてNo.2のインクを用いた。
こうして準備されたインクを、常温の条件下で6ヶ月放置して粘度を測定し、粘度増加率から保存性を評価し、その結果を下記表22にまとめる。粘度の増加率は、それぞれのインクを常温の条件下で6ヶ月放置して粘度を測定し放置前後の粘度の増加率を求め、次のように評価した。
A:10%以下
B:10〜20%
C:20%以上
Figure 2005154734
上記表23に示されるように、No.32およびNo.2は、粘度増加率が10%を越えてしまった。このように、粘度安定化剤を配合しないインク(No.32、No.2)は、粘度増加が大きい。
次に、前述の条件で6ヵ月放置した後の各インクを、図2に示したインクジェット記録装置1に適用して、露光量およびインク硬化膜の硬度を調べた。記録媒体2としては通常の光沢紙を使用し、光源5としては出力230Wの超高圧水銀ランプを使用した。インクの性能としては、インク層の鉛筆硬度(露光してからストッカー内で80℃の温度に3分間維持したインク層の硬度)と印字品質とを測定した。保存前の初期状態のインクについても同様に性能を調べ、その結果を、露光量とともに下記表24に示す。
Figure 2005154734
上記表24に示されるように、No.2のインクは、6ヵ月放置した後には粘度が著しく上昇してしまい、吐出不能な状態に陥っている。これに対して、粘度安定化剤として塩基性化合物あるいは塩基性発現化合物を含有するインク(No.16乃至31)は、6ヵ月放置した後でも良好に吐出することができ、粘度は大幅に安定化している。
また、これらのインクについて、配管やヘッド部材に使用されるニッケル金属に対する腐食性を調べたところ、腐食は全く認められなかった。一方、粘度安定化剤を含有しないインク(No.32)およびインク(No.2)では、若干の腐食が観測され、粘度安定化剤は防食剤としても機能していることが確認された。
次に、粘度安定化剤としての塩基性化合物BS3の添加量(光酸発生剤に対するモル%)を変化させた以外は、No.23のインクと同様の組成で数種類の組成物を調製した。それぞれのインクについて、6ヶ月経過後の鉛筆硬度および粘度増加率を測定し、得られた結果を、化合物BS3の比率ともに下記表25に示す。
Figure 2005154734
上記表25に示されるように、光酸発生剤量に対して1モル%の割合で粘度安定化剤を配合したところで、安定化の効果はほとんど得ることができない。一方、30モル%を越えて過剰に含有された場合には、インクの硬化性が低下する。この結果から、粘度安定化剤の添加量は、光酸発生剤の1モル%以上30モル%以下が好ましいことがわかる。
さらに、塩基性化合物のpKbの影響を調べた。ここでは、添加する塩基性化合物のpKbを下記表26に示すように変更した以外は、前述のNo.16のインクと同様にして種々のインクを調製した。これらのインクについて、保存性および感光性を調べ、得られた結果を表26に示す。
Figure 2005154734
それぞれのインクは、常温の条件下で6ヶ月放置して粘度を測定し放置前後の粘度の増加率から、保存性を次のように評価した。
A:10%以下
B:10〜20%
C:20%以上
感光性は、インク硬化膜の鉛筆硬度がHを示すときの露光量により調べ、次の基準で評価した。
A:露光量が300mJ/cm2未満でHに到達
B:露光量が300mJ/cm2以上でHに到達
上記表26に示されるように、pKb値が3以上7以下の塩基性化合物を添加することによって、保存性および感光性はいずれも良好なインクジェットインクが得られることがわかる。
本発明の一実施形態にかかるインクジェットインクを使用し得る記録装置の概略図。 本発明の一実施形態にかかるインクジェットインクを使用し得る記録装置の概略図。
符号の説明
1…インクジェット記録装置,2…記録媒体,3…搬送機構,
4…インクジェット式記録ヘッド,5…光源,6…ヒーター,7…ストッカー。

Claims (17)

  1. 光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含むことを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
  2. 前記一般式(1)で表わされる化合物において、R13の少なくとも2つは、ビニルエーテル基およびビニルエーテル骨格を有する基から選択されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記一般式(1)で表わされる化合物において、R13のうち少なくとも1つは、前記環式骨格に直接結合したビニルエーテル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記一般式(1)で表わされる化合物における前記環式骨格は、脂環式骨格であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記環式骨格は、下記一般式(VE1−a)または(VE1−b)で表わされることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (上記一般式中、X1,Z1は原子数1以上5以下のアルキレン基、Y1は原子数1以上2以下のアルキレン基であり、kは0または1である。)
  6. 前記一般式(1)で表わされる化合物は、下記化学式で表わされるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットインク。
    Figure 2005154734
  7. 前記一般式(1)で表わされる化合物における前記環式骨格は、酸素原子を環構成原子として含む環状炭化水素骨格であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  8. 前記環式骨格は、下記一般式(VE2−a)または(VE2−b)で表わされることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (上記一般式中、X2,Y2、Z2のいずれかに少なくとも1個の酸素原子を含み、X2,Z2は原子数1以上5以下のアルキレン基または酸素原子をエーテル結合として含む2価の有機基、Y2は、酸素原子、原子数1以上2以下のアルキレン基または酸素原子をエーテル結合として含む2価の有機基を示し、kは0または1である。)
  9. 前記一般式(1)で表わされる化合物は、下記化学式で表わされるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットインク。
    Figure 2005154734
  10. 前記一般式(1)で表わされる合物における前記環式骨格は、芳香環骨格であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  11. 前記酸重合性化合物は、環状カーボネートおよび環状ラクトン化合物から選択される少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  12. 前記酸重合性化合物は、オキセタン化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  13. 前記酸重合性化合物は、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテルをさらに含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  14. 光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、常温におけるインクの粘度が12mPa・sec以下であることを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
  15. 光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、溶解度パラメーターが19MPa1/2以上のエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物をさらに含有することを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
  16. 光照射により酸を発生する光酸発生剤、色成分、および酸の存在下で重合する酸重合性化合物を含有し、前記酸重合性化合物の少なくとも40重量部は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、常温における粘度が500mPa・secを越えるエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物をさらに含有することを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2005154734
    (前記一般式(1)中、R13は、ビニルエーテル基、ビニルエーテル骨格を有する基、アルコキシ基、水酸基置換体および水酸基から選択され、少なくとも1つはビニルエーテル基またはビニルエーテル骨格を有する基である。R14は、置換または非置換の環式骨格を有する(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。)
  17. 塩基性化合物および塩基性を発現する化合物からなる群から選択され、25℃におけるpKbが3以上7以下である少なくとも一種の化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
JP2004252466A 2003-10-28 2004-08-31 インクジェットインク Expired - Fee Related JP4037856B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004252466A JP4037856B2 (ja) 2003-10-28 2004-08-31 インクジェットインク
US10/969,204 US7375145B2 (en) 2003-10-28 2004-10-20 Inkjet ink
EP20060014403 EP1705230B1 (en) 2003-10-28 2004-10-22 Inkjet-ink
DE200460011993 DE602004011993D1 (de) 2003-10-28 2004-10-22 Tinte für den Tintenstrahldruck
EP20040025172 EP1528088B1 (en) 2003-10-28 2004-10-22 Inkjet ink
DE200460012038 DE602004012038D1 (de) 2003-10-28 2004-10-22 Tinte für den Tintenstrahldruck
CNB2004101033827A CN1290945C (zh) 2003-10-28 2004-10-28 喷墨油墨
US11/635,273 US7473720B2 (en) 2003-10-28 2006-12-07 Photosensitive inkjet ink
US11/635,274 US20070101898A1 (en) 2003-10-28 2006-12-07 Inkjet ink

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003367804 2003-10-28
JP2004252466A JP4037856B2 (ja) 2003-10-28 2004-08-31 インクジェットインク

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007028329A Division JP4579937B2 (ja) 2003-10-28 2007-02-07 インクジェットインク

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005154734A true JP2005154734A (ja) 2005-06-16
JP2005154734A5 JP2005154734A5 (ja) 2007-03-29
JP4037856B2 JP4037856B2 (ja) 2008-01-23

Family

ID=34425399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004252466A Expired - Fee Related JP4037856B2 (ja) 2003-10-28 2004-08-31 インクジェットインク

Country Status (5)

Country Link
US (3) US7375145B2 (ja)
EP (2) EP1528088B1 (ja)
JP (1) JP4037856B2 (ja)
CN (1) CN1290945C (ja)
DE (2) DE602004012038D1 (ja)

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006069896A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Daicel Chem Ind Ltd アルコキシ基含有環状化合物、重合性組成物及びその硬化物
JP2006069897A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Daicel Chem Ind Ltd 酸素原子含有多環式化合物、重合性組成物及びその硬化物
JP2007138085A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Fujifilm Corp インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法及び平版印刷版
JP2007186566A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Fujifilm Corp インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び、平版印刷版
JP2007211101A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Toshiba Tec Corp 光硬化型インクの硬化方法およびインクジェット記録方法
JP2007217688A (ja) * 2003-10-28 2007-08-30 Toshiba Tec Corp インクジェットインク
JPWO2007029468A1 (ja) * 2005-09-05 2009-03-19 コニカミノルタエムジー株式会社 活性エネルギー線硬化性インク組成物、活性エネルギー線硬化性インク組成物の保存容器及び活性エネルギー線硬化性インク組成物の保存方法
JP2009108172A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Seiko Epson Corp 光硬化型インク組成物、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及び記録物
JP2009298956A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Ij Technologies Inc 活性光線硬化型インクおよびその製造方法
US7665827B2 (en) 2005-08-08 2010-02-23 Sony Corporation Liquid discharge recording head having an improved oxetane resin covering layer as part of a liquid flow path and liquid discharge apparatus
JP2014173083A (ja) * 2013-03-13 2014-09-22 Ricoh Co Ltd 画像形成方法、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
WO2015199093A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
WO2015199091A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
JP2016027124A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
JP2016027127A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
JP2016027121A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
WO2016111380A1 (en) * 2015-01-09 2016-07-14 Canon Kabushiki Kaisha Ultraviolet curable liquid composition, ultraviolet curing inkjet ink, ultraviolet curing wet electrophotographic liquid developer, ultraviolet curing electrostatic inkjet ink, and image forming method using thereof
WO2019021932A1 (ja) 2017-07-28 2019-01-31 株式会社ダイセル モノマー混合物、及びそれを含む硬化性組成物
WO2019021933A1 (ja) 2017-07-28 2019-01-31 株式会社ダイセル モノマー混合物、及びそれを含む硬化性組成物

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4203385B2 (ja) * 2003-09-11 2008-12-24 東芝テック株式会社 インクジェット用インク
WO2006076607A1 (en) * 2005-01-14 2006-07-20 Cabot Corporation Ink-jet printing of passive electricalcomponents
JP4738827B2 (ja) 2005-02-08 2011-08-03 富士フイルム株式会社 インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の作製方法及び平版印刷版
GB2423520A (en) * 2005-02-25 2006-08-30 Sun Chemical Ltd Energy-curable coating composition
GB2423519A (en) * 2005-02-25 2006-08-30 Sun Chemical Ltd Energy-curable coating composition
GB2423521A (en) * 2005-02-25 2006-08-30 Sun Chemical Ltd Energy-curable coating composition
US20060204732A1 (en) * 2005-03-08 2006-09-14 Fuji Photo Film Co., Ltd. Ink composition, inkjet recording method, printed material, method of producing planographic printing plate, and planographic printing plate
JP4426537B2 (ja) * 2006-02-08 2010-03-03 株式会社東芝 感光性組成物、それを用いた複合部材および電子部品
JP4041146B2 (ja) 2006-02-08 2008-01-30 東芝テック株式会社 感光性インクジェットインク
JP2007231114A (ja) 2006-02-28 2007-09-13 Fujifilm Corp インク組成物、並びに、これを用いた画像形成方法および記録物
JP5276264B2 (ja) * 2006-07-03 2013-08-28 富士フイルム株式会社 インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、及び、平版印刷版の製造方法
US7476271B2 (en) * 2006-07-31 2009-01-13 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet ink set
US7479181B2 (en) * 2006-07-31 2009-01-20 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet ink composition and method of making the same
JP5258237B2 (ja) 2006-09-14 2013-08-07 富士フイルム株式会社 インク組成物、インクジェット記録方法、平版印刷版の製造方法、及び平版印刷版
EP2169018B1 (en) * 2008-09-26 2012-01-18 Fujifilm Corporation Ink composition and inkjet recording method
JP2010202756A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Fujifilm Corp 活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物
JP2010235911A (ja) 2009-03-11 2010-10-21 Konica Minolta Ij Technologies Inc 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、インクジェット記録方法及び印刷物
JP2010229349A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Fujifilm Corp 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物インク組成物及びインクジェット記録方法
JP5964007B2 (ja) 2009-04-02 2016-08-03 コニカミノルタ株式会社 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、インクジェット記録方法及び印刷物
US9340697B2 (en) * 2009-08-14 2016-05-17 Nano-C, Inc. Solvent-based and water-based carbon nanotube inks with removable additives
AT509800B1 (de) * 2010-05-10 2012-12-15 Durst Phototechnik Digital Technology Gmbh Tintenstrahldrucktinte
US9416289B2 (en) 2011-01-26 2016-08-16 Konica Minolta, Inc. Active-energy-ray-curable inkjet ink composition, active-energy-ray-curable inkjet ink, and inkjet recording method
US9331137B1 (en) * 2012-03-27 2016-05-03 Altera Corporation Metal-insulator-metal capacitors between metal interconnect layers
IN2014DN06228A (ja) 2012-04-24 2015-10-23 Hewlett Packard Development Co
JP2015184425A (ja) 2014-03-24 2015-10-22 東芝テック株式会社 レンズアレイ及び画像形成装置
EP3242769A4 (en) * 2015-01-09 2018-06-13 University of Massachusetts Preparation and application of pb-free nanosolder
US9850191B2 (en) * 2015-03-27 2017-12-26 International Flavors & Fragrances Inc. Aldehyde compounds and their use in perfume compositions
WO2018118460A1 (en) 2016-12-24 2018-06-28 Electroninks Incorporated Copper based conductive ink composition and method of making the same
KR102178853B1 (ko) * 2017-08-18 2020-11-13 주식회사 엘지화학 잉크젯용 적외선 투과 잉크 조성물, 이를 이용한 베젤 패턴의 형성방법, 이에 따라 제조한 베젤 패턴 및 이를 포함하는 디스플레이 기판
WO2019130321A1 (en) * 2017-12-31 2019-07-04 Stratasys Ltd. Support material formulations usable in additive manufacturing of three-dimensional objects at low temperatures
IL275769B2 (en) 2017-12-31 2024-07-01 Stratasys Ltd Formulations for use as a model material in an additive manufacturing process at low temperatures
JP6896155B2 (ja) 2018-03-27 2021-06-30 富士フイルム株式会社 インクジェットインク組成物及びその製造方法、並びに画像形成方法
WO2020169966A1 (en) 2019-02-19 2020-08-27 Sun Chemical Corporation Uv curable compositions
CN110590797A (zh) * 2019-09-11 2019-12-20 荆州市新景化工有限责任公司 合成异山梨醇二乙烯基醚的方法

Family Cites Families (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE1181699B (de) 1959-11-12 1964-11-19 Basf Ag Gegen unerwuenschte Polymerisation stabilisierte Acrylsaeure und Methacrylsaeure und deren Ester
GB9205344D0 (en) 1992-03-12 1992-04-22 Willett Int Ltd System
JPH05287696A (ja) * 1992-04-09 1993-11-02 Nippon Kayaku Co Ltd 紙用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JPH0769954A (ja) * 1993-08-30 1995-03-14 Sumitomo Chem Co Ltd 多官能ビニルエーテル化合物
JPH0776544A (ja) * 1993-09-06 1995-03-20 Sumitomo Chem Co Ltd 多官能ビニルエーテル化合物
JP3428187B2 (ja) * 1994-11-18 2003-07-22 東亞合成株式会社 活性エネルギー線硬化型インキ用組成物
US5641346A (en) 1995-12-13 1997-06-24 Xerox Corporation Ink jet ink compositions and recording processes
JP3667410B2 (ja) 1995-12-28 2005-07-06 日本化薬株式会社 インクジエット記録方式用紫外線硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP3736817B2 (ja) * 1996-07-12 2006-01-18 日本化薬株式会社 多官能ビニルエーテル、重合性組成物及びその硬化物
US5889084A (en) 1997-01-30 1999-03-30 Ncr Corporation UV or visible light initiated cationic cured ink for ink jet printing
JPH11322900A (ja) 1998-03-19 1999-11-26 Nippon Soda Co Ltd 光硬化性組成物および硬化方法
JP4200548B2 (ja) 1998-07-09 2008-12-24 Jsr株式会社 オキセタン化合物およびその製造方法
KR100588456B1 (ko) * 1998-07-09 2006-06-13 제이에스알 가부시끼가이샤 옥세탄 화합물, 옥세탄 공중합체 및 옥세탄 화합물의 제조방법
EP1070592A1 (en) 1999-07-23 2001-01-24 Mutoh Industries Ltd. Ink jet printer and method for operating the same
SG98433A1 (en) 1999-12-21 2003-09-19 Ciba Sc Holding Ag Iodonium salts as latent acid donors
JP2001181385A (ja) * 1999-12-24 2001-07-03 Kansai Paint Co Ltd カチオン重合性着色組成物
JP3893833B2 (ja) 2000-02-09 2007-03-14 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録方式用エネルギー線硬化型組成物
US6517188B1 (en) 2000-06-22 2003-02-11 Eastman Kodak Company Ink jet print head cleaning
JP2002302507A (ja) 2001-01-31 2002-10-18 Nippon Soda Co Ltd ヨードニウム塩化合物を含有する光硬化性組成物
EP1243629B1 (en) 2001-03-19 2006-08-23 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Active energy beam curable composition and ink
JP2003105077A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Brother Ind Ltd 活性エネルギー線硬化型組成物、それを含有するインク及びそのインクを使用するプリンタ
JP3893931B2 (ja) 2001-10-15 2007-03-14 東洋インキ製造株式会社 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ
US7411008B2 (en) 2001-11-07 2008-08-12 Novartis Ag Ink formulations and uses thereof
US20030135059A1 (en) 2001-12-20 2003-07-17 Yasufumi Matsumura Liquid epoxy compound and process for preparing the same
US20030149130A1 (en) 2001-12-21 2003-08-07 Ai Kondo Ink composition and a method for ink jet recording
JP4382364B2 (ja) 2002-04-24 2009-12-09 株式会社東芝 液体インク
JP4352724B2 (ja) 2003-02-25 2009-10-28 コニカミノルタホールディングス株式会社 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク
JP4595311B2 (ja) 2003-11-06 2010-12-08 コニカミノルタエムジー株式会社 活性光線硬化型インクジェットインク組成物、それを用いた画像形成方法及びインクジェット記録装置

Cited By (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217688A (ja) * 2003-10-28 2007-08-30 Toshiba Tec Corp インクジェットインク
JP2006069896A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Daicel Chem Ind Ltd アルコキシ基含有環状化合物、重合性組成物及びその硬化物
JP2006069897A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Daicel Chem Ind Ltd 酸素原子含有多環式化合物、重合性組成物及びその硬化物
US7665827B2 (en) 2005-08-08 2010-02-23 Sony Corporation Liquid discharge recording head having an improved oxetane resin covering layer as part of a liquid flow path and liquid discharge apparatus
JPWO2007029468A1 (ja) * 2005-09-05 2009-03-19 コニカミノルタエムジー株式会社 活性エネルギー線硬化性インク組成物、活性エネルギー線硬化性インク組成物の保存容器及び活性エネルギー線硬化性インク組成物の保存方法
JP2007138085A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Fujifilm Corp インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法及び平版印刷版
JP2007186566A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Fujifilm Corp インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び、平版印刷版
JP2007211101A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Toshiba Tec Corp 光硬化型インクの硬化方法およびインクジェット記録方法
JP2009108172A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Seiko Epson Corp 光硬化型インク組成物、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及び記録物
JP2009298956A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Ij Technologies Inc 活性光線硬化型インクおよびその製造方法
JP2014173083A (ja) * 2013-03-13 2014-09-22 Ricoh Co Ltd 画像形成方法、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
WO2015199091A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
EP3663325A1 (en) 2014-06-27 2020-06-10 Daicel Corporation Monomer composition and curable composition containing same
JP2016027124A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
JP2016027127A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
JP2016027121A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
US10882953B2 (en) 2014-06-27 2021-01-05 Daicel Corporation Monomer composition and curable composition containing same
WO2015199093A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社ダイセル モノマー組成物、及びそれを含む硬化性組成物
US10392473B2 (en) 2014-06-27 2019-08-27 Daicel Corporation Monomer composition and curable composition containing same
US10472466B2 (en) 2014-06-27 2019-11-12 Daicel Corporation Monomer composition and curable composition containing same
EP3670566A1 (en) 2014-06-27 2020-06-24 Daicel Corporation Monomer composition and curable composition containing same
WO2016111380A1 (en) * 2015-01-09 2016-07-14 Canon Kabushiki Kaisha Ultraviolet curable liquid composition, ultraviolet curing inkjet ink, ultraviolet curing wet electrophotographic liquid developer, ultraviolet curing electrostatic inkjet ink, and image forming method using thereof
WO2019021933A1 (ja) 2017-07-28 2019-01-31 株式会社ダイセル モノマー混合物、及びそれを含む硬化性組成物
KR20200036809A (ko) 2017-07-28 2020-04-07 주식회사 다이셀 모노머 혼합물 및 그것을 포함하는 경화성 조성물
KR20190130045A (ko) 2017-07-28 2019-11-20 주식회사 다이셀 모노머 혼합물 및 그것을 포함하는 경화성 조성물
WO2019021932A1 (ja) 2017-07-28 2019-01-31 株式会社ダイセル モノマー混合物、及びそれを含む硬化性組成物
US11028225B2 (en) 2017-07-28 2021-06-08 Daicel Corporation Monomer mixture and curable composition containing same

Also Published As

Publication number Publication date
DE602004012038D1 (de) 2008-04-10
US20070270520A1 (en) 2007-11-22
EP1528088B1 (en) 2008-02-27
CN1290945C (zh) 2006-12-20
US7375145B2 (en) 2008-05-20
JP4037856B2 (ja) 2008-01-23
DE602004011993D1 (de) 2008-04-03
US7473720B2 (en) 2009-01-06
EP1528088A1 (en) 2005-05-04
EP1705230B1 (en) 2008-02-20
CN1654559A (zh) 2005-08-17
US20050113476A1 (en) 2005-05-26
EP1705230A1 (en) 2006-09-27
US20070101898A1 (en) 2007-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4037856B2 (ja) インクジェットインク
JP4382364B2 (ja) 液体インク
JP3910979B2 (ja) インクジェットインク組成物およびそれを用いた印刷物
JP4303086B2 (ja) 顔料分散体、uv硬化型インクジェットインク前駆体、インクジェット記録方法、印刷物、および顔料分散体の製造方法
JP4203385B2 (ja) インクジェット用インク
JP4041146B2 (ja) 感光性インクジェットインク
JP4262238B2 (ja) 光カチオン硬化性インクジェットインクおよび印刷物
JP4262009B2 (ja) 感光性インクジェットインク
JP2009161773A (ja) 液体インク
JP4579937B2 (ja) インクジェットインク
JP4071243B2 (ja) 顔料分散体
JP4317147B2 (ja) インクジェットインクおよび印刷物
JP4071244B2 (ja) 粉体分散体の製造方法、顔料分散体の製造方法およびインクジェットインクの製造方法
JP2005154738A (ja) インクジェット記録用インク
JP4210284B2 (ja) カチオン硬化型反応性希釈剤および色材分散液
JP5502716B2 (ja) インクジェット記録装置
JP4727690B2 (ja) インクジェット記録装置
JP4857204B2 (ja) 感光性インクジェットインク
JP2008144175A (ja) 機能性色材分散体
CN100523102C (zh) 喷墨油墨
JP2011025495A (ja) インクジェット記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070207

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20070207

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20070703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4037856

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees