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JP2000344699A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

ビスフェノールaの製造方法

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Publication number
JP2000344699A
JP2000344699A JP11154297A JP15429799A JP2000344699A JP 2000344699 A JP2000344699 A JP 2000344699A JP 11154297 A JP11154297 A JP 11154297A JP 15429799 A JP15429799 A JP 15429799A JP 2000344699 A JP2000344699 A JP 2000344699A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bisphenol
phenol
group
adduct
hydrocarbon group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11154297A
Other languages
English (en)
Inventor
Masasane Inomata
将実 猪俣
Hideaki Nakamura
英昭 中村
Kenta Takahashi
堅太 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP11154297A priority Critical patent/JP2000344699A/ja
Publication of JP2000344699A publication Critical patent/JP2000344699A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高活性で高選択率の新規な触媒を用い、反応器
が小さく、触媒使用量も少なく、また、溶融結晶化段階
数が小さくて、熱変性物質や着色の原因物質・着色物質
が低減された高純度ビスフェノールAを製造するプロセ
スを提供する。 【解決手段】スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト
基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンの
存在下、アセトンとフェノールを反応させてビスフェノ
ールAを生成させ、次いで、得られた反応混合物を冷却
してビスフェノールAとフェノールの付加物結晶を生成
させ、この付加物結晶をスラリーから分離した後、分別
溶融結晶化により不純物を除去して精製付加物結晶を得
て、さらに、得られた精製付加物結晶からフェノールを
除去して高純度のビスフェノールAを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスフェノールA
の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、スル
ホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基
を共に有する有機高分子シロキサンの存在下、フェノー
ルとアセトンから高純度ビスフェノールAを製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノールA[2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン](p,p’−ビスフェ
ノールとも称する)は通常、フェノールとアセトンを均
一酸触媒又は固体酸触媒の存在下に脱水縮合反応させる
ことにより製造されている。代表的な固体酸触媒として
はスルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられ、さらに
は、反応系内にメルカプト基を含有する化合物を共存さ
せることにより、触媒活性および選択率を向上させるこ
とができることが知られている。具体的には、スルホン
酸型陽イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に、原料
であるフェノールおよびアセトンと共にアルキルメルカ
プタン等の遊離型のメルカプト基含有化合物を流通させ
る方法(特公昭45−10337号)、スルホン酸型陽
イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含
有化合物を共有結合で結合させる方法、スルホン酸型陽
イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含
有化合物をイオン結合で結合させる方法がある。
【0003】このような触媒の下、フェノールとアセト
ンより製造されるビスフェノールAは通常大過剰のフェ
ノール溶液として得られる。この反応混合物より、フェ
ノールを蒸留により一部留出させた後、晶析器でビスフ
ェノールAとフェノールの付加混合物であるアダクト体
を析出させ、次いでそのアダクト体をフェノールにより
再溶解し、再度晶析器でアダクトを得、その後アダクト
体より蒸留によりフェノールを留去し造粒しビスフェノ
ールAの製品を得る方法が知られている。
【0004】しかし、ビスフェノールAを精製するため
に、フェノールを再結晶溶媒として用い、多段階の晶析
を行うので、設備費が高額になるという欠点を有する。
【0005】また、該反応混合物から蒸留で大過剰フェ
ノールの大部分を除去した後、このようにして得られる
フェノールを10%未満、好適には3%未満含んでいる
粗ビスフェノールを、例えばRittnerおよびSt
iner著、Chem.Ing.Techn.63(1
991)、881に記述されている種類の動的流下液膜
式晶析装置(fallingfilmCrystall
izer)を用いた分別溶融結晶化で精製することによ
り、高純度のビスフェノールAを製造することが可能な
ことも公知である。この方法は、非常に多量のフェノー
ルを最初に蒸留で除去する必要があり、その結果として
コスト高をもたらすと共に、このビスフェノールAと副
生成物が熱に長く暴露されるといった欠点を有する。他
方、この得られる粗ビスフェノールは一般に非常に純度
が低く、これは引き続き高純度が達成されるまで多段階
に渡る溶融結晶化を行うことを必要としている。
【0006】更に、このような欠点を解決する方法とし
て、酸性触媒の存在下、公知方法により得られる該反応
混合物より、ビスフェノールAとフェノールのアダクト
体を晶析により得た後、このアダクト体にフェノール
を、全フェノール含有量が少なくとも40%になるよう
に加え、この混合物を不活性ガス存在下で分別溶融結晶
化することにより高純度ビスフェノールAを製造する方
法が開示されている(特開平6−25048号公報)。酸性
触媒として、酸性イオン交換体を用い、溶融結晶化を適
用した実施例が示されている。
【0007】しかし、この酸触媒としてのスルホン酸型
陽イオン交換樹脂の触媒活性が低く、副生成物選択率が
高いため、反応器が非常に大きく、触媒使用量が多く、
さらに溶融結晶化段階数が2以上と多いという欠点も依
然として残されており、工業的に実施するには難点があ
った。また、ビスフェノールAは近年、熱変性が非常に
小さく、かつ、着色のないものが求められており、従っ
て、熱変性や着色の原因物質が低減されたビスフェノー
ルAを製造する方法が強く望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高活性で高
選択率の新規な触媒を用い、反応器が小さく、触媒使用
量も少なく、また、溶融結晶化段階数が小さくて、熱変
性物質や着色の原因物質・着色物質が低減された高純度
ビスフェノールAを製造するプロセスを提供するもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、フェノールとアセト
ンを反応させる触媒として、まずスルホン酸基含有炭化
水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機
高分子シロキサン触媒を用い、得られたビスフェノール
Aのフェノール溶液から、ビスフェノールAとフェノー
ルの付加物(アダクト体)を晶析により得た後、このア
ダクト体にフェノールを加え、この混合物を分別溶融結
晶化することにより、目的が達成されることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、スルホン酸基含有炭
化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有
機高分子シロキサンの存在下、アセトンとフェノールを
反応させてビスフェノールAを生成させ、次いで、得ら
れた反応混合物を冷却してビスフェノールAとフェノー
ルの付加物結晶を生成させ、この付加物結晶をスラリー
から分離した後、分別溶融結晶化により不純物を除去し
て精製付加物結晶を得て、さらに、得られた精製付加物
結晶からフェノールを除去して高純度のビスフェノール
Aを得ることを特徴とするビスフェノールAの製造方法
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で原料として用いられるフ
ェノールは、通常入手できる工業用フェノールを用いる
ことができるが、好ましくは予め強酸型陽イオン交換樹
脂で処理されたものを用いるのが良い。より好ましくは
強酸型陽イオン交換樹脂で処理した後更に蒸留精製して
得られるものが良い。
【0012】工業用フェノールには、クメン法またはト
ルエン酸化法等で製造されたものがあるが、いずれの方
法で製造されたものでも良い。一般的に、純度98%以
上のフェノールが市販されている。
【0013】フェノールの処理に用いる強酸型陽イオン
交換樹脂についても通常入手できるもので良く、例えば
三菱化学社製のダイヤイオン、ロームアンドハース社製
のアンバーライトおよびアンバーリスト、バイエル社製
のレバチット等が挙げられる。この強酸型陽イオン交換
樹脂は、ゲル型、マクロポーラス型のいずれも用いるこ
とができるが、架橋度2〜8%のゲル型のものを用いる
方が長期間安定的に使用できるので好ましい。
【0014】上記のような強酸型陽イオン交換樹脂でフ
ェノールを連続式または回分式に処理するが、強酸型陽
イオン交換樹脂を充填塔に充填し、フェノールを連続的
に流通させる方法が樹脂の破砕が少なく、効率的にフェ
ノールを処理できるので好ましい。処理温度は41〜1
50℃、好ましくは50℃〜120℃である。フェノー
ルを強酸型陽イオン交換樹脂で処理する時間は、5分〜
10時間、好ましくは10分〜2時間である。
【0015】蒸留方法については特に制限はないが、圧
力は常圧〜10mmHg、温度は70〜200℃で行う
ことが好ましい。
【0016】このようにして得られた精製フェノール
は、反応器に導入される。その際には好ましくは酸素と
接触させずに精製フェノールは反応器に導入される。精
製フェノールは直接反応器に送りアセトンと反応させて
も良いが、一連のビスフェノールA製造プロセスにおけ
る別の工程で使用した後、反応器に送りアセトンと反応
させても良い。
【0017】本発明で用いるアセトンには特に制限はな
く、通常入手できる市販の工業用アセトンで良い。一般
的には純度99%以上のものが入手可能である。
【0018】上記のようなフェノールとアセトンからビ
スフェノールを製造する際、本発明では新規なスルホン
酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共
に有する有機高分子シロキサン触媒を使用する。スルホ
ン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を
共に有する有機高分子シロキサン触媒は、変性イオン交
換樹脂よりも高活性、高選択率であり、優れた触媒であ
る。スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭
化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒の例と
しては、特開平8−208545号、特開平9−110
989号および特開平10−225638号に記載され
ているような、シロキサン結合からなるシリカマトリッ
クス中に部分的にスルホン酸基を有する炭化水素基とメ
ルカプト基を有する炭化水素基が直接シリカマトリック
ス中のケイ素原子と炭素−ケイ素結合により結合した構
造を有する有機高分子シロキサンが挙げられる。このよ
うな有機高分子シロキサンの調製方法としては、例え
ば、(1)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコ
キシシランとメルカプト基含有炭化水素基を有するアル
コキシシラン、及びテトラアルコキシシランとを任意の
割合で混合し、加水分解、重縮合により合成する調製
法、(2)水溶性のスルホン酸基含有炭化水素基を有す
るアルコキシシランの加水分解物とメルカプト基含有炭
化水素基を有するアルコキシシラン、及びテトラアルコ
キシシランとを任意の割合で混合し、加水分解、重縮合
により合成する調製法、といったいわゆるアルコキシシ
ランのゾル−ゲル法による調製法(1)、(2)と、
(3)スルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子
シロキサンに存在するシラノール基にメルカプト基含有
炭化水素基を有するアルコキシシランをシリル化し、メ
ルカプト基を固定化する、いわゆるシリル化による調製
法が知られている。
【0019】スルホン酸基を有する炭化水素基は、少な
くとも1個のスルホン酸基(−SO 3H)を有する炭化
水素基で有ればいかなる炭化水素基であっても本発明に
使用することが可能であるが、好ましくはスルホン酸基
を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の炭化水
素基である。好ましくは炭素数6以上20以下、更に好
ましくは炭素数6以上15以下の少なくとも1個のスル
ホン酸基を有する置換ないしは無置換の芳香族炭化水素
基(芳香族基に直接スルホン酸基が置換された基でも、
芳香族基に置換された炭化水素基にスルホン酸基が置換
された基のいずれでもよい);または、好ましくは少な
くとも1個のスルホン酸基を有する炭素数1以上15以
下、更に好ましくは炭素数1以上10以下の置換ないし
は無置換の脂肪族及び脂環式炭化水素基よりなる群から
選ばれた少なくとも1種の炭化水素基である。このよう
なスルホン酸基を有する炭化水素基の例としては、少な
くとも1個のスルホン酸基により核置換されたフェニル
基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香
族基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換ア
ルキル基等、少なくとも1個のスルホン酸基で置換され
た、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直
鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル
基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオ
クチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル
基、エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。さらにこ
れらの芳香族または飽和の脂肪族ないしは脂環式炭化水
素基はスルホン酸基の他にハロゲン原子、アルコキシ
基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有
する炭化水素基であってもよい。
【0020】メルカプト基を有する炭化水素基は、示性
式として−SHで表されるメルカプト基を少なくとも1
個有する炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれ
た少なくとも1種であり、脂肪族もしくは脂環式の飽和
炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素に−SH
基が結合した炭化水素基である。好ましくは脂肪族もし
くは脂環式の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基にS
H基が少なくとも1個結合した炭化水素基である。この
ようなメルカプト基を有する炭化水素基の例としては、
メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メ
ルカプト−n−プロピル基等のメルカプトアルキル基
類、4−メルカプトシクロヘキシル基、4−メルカプト
メチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基類、p−
メルカプトフェニル基、p−メルカプトメチルフェニル
基等のメルカプト芳香族基類等が挙げられる。また、こ
れらの芳香族または脂肪族ないしは脂環式炭化水素基は
メルカプト基の他にハロゲン原子、アルコキシ基、ニト
ロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化
水素基であってもよい。
【0021】反応は、通常、アセトンに対するフェノー
ルのモル比が2〜30、好ましくは5〜10で行われ
る。アセトンに対するフェノールのモル比が2以上で有
れば、反応終了後のアセトンの残存量が少なく、また、
アセトンから副生するメシチルオキシド等の不純物の生
成が少なくなる。また、このモル比が30以下であれ
ば、未反応のフェノールの循環量が少なくなるので、反
応器および晶析器等の機器が小さくなり、また循環に要
する動力等が節減され経済的である。圧力は本反応が液
相で行われるので、原料であるフェノールおよびアセト
ンがガス化しない程度であれば良いが、通常、常圧〜0.
5MPa(ゲージ圧)の範囲で行われる。反応温度は4
0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。反応
温度が40℃未満の場合は、反応時間が極端に長くなり
巨大な反応器を設置する必要が生じる。反応温度が20
0℃を超えると、好ましくない副反応が生じ、選択率が
低下する。反応時間は、通常、1分〜15時間、好まし
くは10分〜5時間である。
【0022】このようにして得られた反応液は、必要に
応じ反応生成水、未反応アセトンおよび未反応フェノー
ルの一部が除去された後、30〜70℃に冷却され、ビ
スフェノールAとフェノールの等モル付加物結晶を析出
させ、遠心分離機または濾過機などにより当該付加物を
分離する。
【0023】得られた付加物はそのまま加熱溶融され次
工程の分別溶融結晶化工程に導入されるが、フェノール
で希釈した後、分別溶融結晶化工程に導入することもで
きる。その際、全フェノール含有量が少なくとも40重量
%、好ましくは45〜60%になるように加え、均一溶
液とする。この均一溶液からビスフェノールAとフェノ
ールの等モル付加物を分別溶融結晶化させ、ビスフェノ
ールAとフェノールの等モル付加物を高度に精製する。
【0024】分別溶融結晶化は例えば一般に入手可能な
流下液膜式晶析装置を用いて行われる。分別溶融結晶化
で分別される希薄な濃度のビスフェノールAのフェノー
ル溶液は繰り返しこの分別溶融結晶化工程に循環使用す
ることができるし、またはアセトンとフェノールの反応
工程に循環使用することもできる。好ましくは後者の、
反応工程に循環使用する方が良い。
【0025】分別溶融結晶化で得られた高純度のビスフ
ェノールAとフェノールの等モル付加物は加熱溶融され
蒸留により残留フェノールを数10ppmまで留去し、
造粒して純度99.9%以上の高純度ビスフェノールA
を得ることができる。
【0026】スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト
基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒を
用いた本発明はイオン交換樹脂触媒を用いた従来法に比
べ、ビスフェノールAの触媒生産性が高いため、反応器
が小型となり、またフェノールとアセトンのモル比を小
さくしても、転化率及び選択率共に高いことから、蒸留
塔、晶析器等が小型化できるなど、設備費が大きく削減
され得る。また分別溶融結晶化により、従来のイオン交
換樹脂触媒を用いた製法に比し、高純度のビスフェノー
ルAを高収率で製造することができる。
【0027】更に、予期し得なかったことであるが、本
発明の有機高分子シロキサン触媒による反応、晶析・分
離及び分別溶融結晶化により、インダン類、クロマン
類、トリスフェノール類などの着色原因物質や着色物質
を効果的に低減させることができ、ビスフェノールAの
主用途であるポリカーボネート原料として、従来以上に
熱変性が非常に少ない、無色の製品を製造できることが
明らかになった。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0029】実施例1 [触媒の調製]以下の手順(a)、(b)にしたがい、
スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水
素基を有する有機高分子シロキサン触媒を調製した。
【0030】(a)スルホン酸基含有アルコキシシラン
の合成 滴下ロートを取り付けた2口の500mlの丸底フラス
コに塩化メチレンを200ml入れ、これにフェニルト
リクロロシラン124.0g(0.585mol)を加
え、氷冷した。これに無水硫酸46.8g(0.585
mol)を塩化メチレン100mlに溶解させた溶液を
窒素気流下30分かけて滴下した後、氷浴を取り外し室
温で5時間攪拌し、スルホン化を行った。滴下ロートを
取り外し、窒素気流下、油浴を用いて100℃に加熱
し、塩化メチレン、及び未反応の無水硫酸を留去した。
放冷後、室温でエタノール160gを3時間かけて滴下
し、次いで窒素でバブリングしながら2時間還流して発
生する塩化水素を取り除きながらエトキシ化反応を行っ
た。得られた不純物を含むフェニルスルホン酸基含有エ
トキシシランのエタノール溶液237.7gを以下のス
ルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素
基を有する有機高分子シロキサン触媒のゾル−ゲル調製
におけるスルホン酸成分の原料として用いた。
【0031】(b)スルホン酸基含有炭化水素基とメル
カプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン
の調製 攪拌棒を取り付けた2口の500mlの丸底フラスコに
上記したスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール
溶液26.0g、テトラエトキシシラン35.5g(1
70.7mmol)、メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン6.7g(34.3mmol)、エタノール30
mlを入れて混合した。これに水7.5g(0.42m
ol)を30分かけて滴下した。ついでこれを加熱し、
65℃で4時間攪拌した。放冷後、28%アンモニア水
15mlと水75mlを混合した水溶液を滴下し、室温
で4時間攪拌した。さらに65℃で3日間攪拌し、熟成
させた。これをエバポレーターで減圧留去し、白色の固
体を得た。ついで2Nの塩酸200mlを加え、室温で
30分間攪拌した。濾別後、イオン交換水500mlで
洗浄する操作を10回繰り返して塩酸を取り除いた。最
後に減圧下、100℃で6時間乾燥した。以上の操作に
よりスルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭
化水素基を有する有機高分子シロキサン30gを得た。
本触媒の固体酸量を測定したところ、1.0meq/g
であった。
【0032】[ビスフェノールAの合成反応]市販の工
業用フェノールを、50lステンレス製容器に入れ50
℃に保温し、容器内下部に備えた環状ノズルから窒素を
導入しながら20時間放置した。このフェノールを、ス
ルホン酸型イオン交換樹脂(バイエル社製K1221)
500mlを充填した内径50mmの円筒型反応器に、
イオン交換樹脂との接触時間を30分となるように連続
的に供給し、70℃で処理を行った。さらに、得られた
フェノールを、圧力40mmHg、蒸留釜の温度を16
0℃で連続的に蒸留し、精製フェノールを得た。得られ
た精製フェノールは、内部を窒素で置換し酸素濃度が1
0ppm以下となった50lステンレス容器へ送られ、
50℃で保存した。この精製フェノール38.0g/h
とアセトン2.3g/hを、ビスフェノールA合成触媒
として上記のようにして調製したスルホン酸基含有炭化
水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分
子シロキサン触媒を30ml充填した反応器に連続的に
供給し、75℃でビスフェノールAの合成反応を行っ
た。なお、各ステンレス製フェノール貯蔵容器からのフ
ェノールの送液にはプランジャーポンプを使用し、各装
置間はステンレス製の配管で接続されており、使用前に
窒素で装置内を十分に置換し、フェノールと酸素が接触
しないようにして行った。
【0033】この結果、反応開始24時間後のアセトン
転化率は95.3%、ビスフェノールA選択率は96.
2%だった。この反応器より流出した反応混合物を45
℃の晶析器でビスフェノールAとフェノールのアダクト
体を晶析し、遠心分離器によりアダクト体と濾液に分離
した。一方濾液の90%を反応器に循環しながら反応液
が定常状態になるまで500時間運転を続けた。500
時間後に分析を行ったところ、アセトン転化率は93〜
95%、ビスフェノールA選択率は95〜98%であっ
た。またo,p’−ビスフェノール、インダン類、クロ
マン類、トリスフェノール類等不純物の全選択率は2〜
5%であった。
【0034】[ビスフェノールAの精製]安定状態で晶
析・分離機より得られたビスフェノールAとフェノール
のアダクト体をフェノールで洗浄することにより下記の
ような組成の結晶を得た。
【0035】結晶組成 p,p’−ビスフェノール 67.9 重量% フェノール 31.9 重量% o,p’−ビスフェノール 880 ppm その他有機分 1290 ppm その他有機分はインダン類、クロマン類、トリスフェノ
ール類の合計を示す。
【0036】このアダクト体に、フェノールを添加し、
ビスフェノールAが50%になるように調製し、温度1
20℃に保持した。
【0037】このビスフェノール溶液をSulzer型流下液
膜式晶析装置に導入し、晶析、発汗、溶融操作により、
精製アダクト体を得た。最後にこのアダクト体からフェ
ノールを蒸留により留去し、下記に示す高純度ビスフェ
ノールAを得た。
【0038】結晶組成 p,p’−ビスフェノール 99.96重量% フェノール 50 ppm o,p’−ビスフェノール 150 ppm その他有機分 240 ppm また、この結晶について溶融色テストを行った結果、色
調はAPHA5以下であった。
【0039】比較例1 [ビスフェノールAの合成反応]実施例1において、ス
ルホン酸基の15%をシステアミンで均一に変性したバ
イエル社製K1221を30ml使用した他は実施例1
と同様にして反応を行った。その結果、反応開始24時
間後におけるアセトン転化率は83.7%であり、ビス
フェノールA選択率は94.3%であった。この反応器
より流出した反応混合物を45℃の晶析器でビスフェノ
ールAとフェノールのアダクト体を晶析し、遠心分離器
によりアダクト体と濾液に分離した。一方濾液の90%
を反応器に循環しながら反応液が定常状態になるまで5
00時間運転を続けた。500時間後に分析を行ったと
ころ、アセトン転化率は78〜81%、ビスフェノール
A選択率は92〜94%であった。またo,p’−ビス
フェノール、インダン類、クロマン類、トリスフェノー
ル類等不純物の全選択率は6〜8%であった。
【0040】[ビスフェノールAの精製]安定状態で晶
析・分離機より得られたビスフェノールAとフェノール
のアダクト体をフェノールで洗浄することにより下記の
ような組成の結晶を得た。
【0041】結晶組成 p,p’−ビスフェノール 67.8重量% フェノール 31.9重量% o,p’−ビスフェノール 1360ppm その他有機分 1840ppm その他有機分はインダン類、クロマン類、トリスフェノ
ール類の合計を示す。
【0042】このアダクト体に、フェノールを添加し、
ビスフェノールAが50%になるように調製し、温度1
20℃に保持した。
【0043】このビスフェノール溶液をSulzer型流下液
膜式晶析装置に導入し、実施例1と同様に晶析、発汗、
溶融操作により、精製アダクト体を得た。最後にこのア
ダクト体から実施例1と同様の操作によりフェノールを
蒸留により留去し、下記に示す純度のビスフェノールA
を得た。
【0044】結晶組成 p,p’−ビスフェノール 99.87重量% フェノール 50 ppm o,p’−ビスフェノール 450 ppm その他有機分 760 ppm また、この結晶について溶融色テストを行った結果、色
調はAPHA30であった。
【0045】このように、スルホン酸基含有炭化水素基
とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロ
キサン触媒を用いた実施例1は従来のイオン交換樹脂触
媒を用いた比較例1に比べ、ビスフェノールAの生産
性、転化率及び選択率共に高く、分別溶融結晶化によ
り、従来のイオン交換樹脂触媒を用いた製法に比し、高
純度のビスフェノールAを高収率で製造することができ
る。
【0046】また、ビスフェノールAの主用途であるポ
リカーボネート原料として、従来以上に熱変性が非常に
少ない、無色の製品を提供することができることが明ら
かになった。
【0047】
【発明の効果】本発明の方法によれば、スルホン酸基含
有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有
機高分子シロキサン触媒の存在下、フェノールとアセト
ンからビスフェノールAを製造する方法において、晶析
分離後のアダクト体を分別溶融結晶化によって精製する
ことにより、熱変性が少なく着色のない高純度のビスフ
ェノールAを経済的に有利に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC25 AC42 BA52 BA53 BC10 BC19 BC51 BC52 BD10 BD31 BD32 BD52 BD53 4H039 CA60 CF30 CG10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト
    基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンの
    存在下、アセトンとフェノールを反応させてビスフェノ
    ールAを生成させ、次いで、得られた反応混合物を冷却
    してビスフェノールAとフェノールの付加物結晶を生成
    させ、この付加物結晶をスラリーから分離した後、分別
    溶融結晶化により不純物を除去して精製付加物結晶を得
    て、さらに、得られた精製付加物結晶からフェノールを
    除去して高純度のビスフェノールAを得ることを特徴と
    するビスフェノールAの製造方法。
  2. 【請求項2】分別溶融結晶化において分別されるビスフ
    ェノールAのフェノール溶液を、アセトンとフェノール
    の反応工程又は分別溶融結晶化工程に循環させる請求項
    1記載の方法。
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