JP3770634B2 - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はフェノールとアセトンとの脱水縮合反応による、2,2−ビス(4′−オキシフェニル)プロパン、(以下ビスフェノールAと略称する)を製造する方法に関する。ビスフェノールAはポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、感熱紙用顕色剤の原料等、工業的に極めて有用な化合物である。特に、ポリカーボネート樹脂用に供するビスフェノールAは無色で且つ高純度なものが要求される。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノールAは通常、塩酸等の酸触媒の存在下にフェノール2分子とアセトン1分子との脱水縮合反応により製造されている。均一触媒として、例えば塩酸を用いる場合には、低温で操作することにより、フェノールとビスフェノールAの付加物を晶析させながら反応させることが可能であるため、アセトンの高転化率とともに、高いp,p′−選択性でビスフェノールAを製造することができる。しかしながら塩酸等の均一酸触媒は反応混合液中の触媒の除去、又は中和する工程が必要であり、操作が煩雑となる。これに加えて反応液中に酸が均一に溶解することから装置等の腐蝕をもたらし、そのため、反応装置に耐腐蝕材質を用いなければならず、経済的にも問題を生じている。このことから、固体不均一触媒によるビスフェノールAの製造が工業的に実施されるようになってきている。
【0003】
固体不均一触媒としてはゼオライト、部分中和し不溶化されたヘテロポリ酸塩、強酸性陽イオン交換樹脂等が知られている。しかし、これらの固体不均一触媒は触媒の活性及び選択率の双方とも低い。これらの固体触媒の性能の低さを克服する方法として助触媒として含イオウ化合物を酸触媒とともに反応系に添加することで触媒活性及び反応選択性が向上することが知られている。
【0004】
含イオウ化合物として添加効果のあるものとしては、古くからアルキルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール化合物が知られている。これらの化合物は反応系において均一に溶解しており、酸触媒の活性向上と、ビスフェノールAの高いp,p′−選択性をもたらすが、上記均一酸触媒と同様に生成物であるビスフェノールAとの分離が困難となり、生成物の精製に問題を生じている。そこで、チオール化合物を固定化し、生成物への混入を避ける方法が検討されている。例えば、特公昭37−14721ではメルカプトアルキルアルコールと強酸性陽イオン交換樹脂の酸性基の一部とをエステル化して、エステル結合によりメルカプト化合物を陽イオン交換樹脂に固定化した触媒、特公昭46−19953ではメルカプトアルキルアミンにより強酸性陽イオン交換樹脂を部分中和して固定化した触媒、特開昭52−19189では環状メルカプトアミンで強酸性陽イオン交換樹脂を部分中和し、イオン結合により固定化した触媒、更に英国特許第1539186号においてはメルカプトアミノ酸を陽イオン交換樹脂とイオン結合により固定化した触媒等が知られている。しかしながら、これらイオン交換樹脂にメルカプト化合物を固定化した触媒は、イオン交換樹脂そのものの耐熱性が低く劣化しやすい、更に上記の例示のメルカプト化合物の固定化では熱的に不安定であり、分解遊離しやすい。その結果上記したような均一酸触媒、均一メルカプト化合物の有する欠点と同様の問題点がある。さらに、上記の固定化は反応触媒として有効である酸基との反応によるものであり、酸量を減少することを伴う欠点も併せて有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、酸触媒存在下でフェノールとアセトンとの脱水縮合反応によりビスフェノールAを製造するにあたり、助触媒としてのメルカプト化合物による反応の活性及び選択性の向上効果に注目し、従来のメルカプト化合物の均一系での分離精製の問題、メルカプト化合物の固定化における不安定さの問題等を克服すべく鋭意検討した結果、フェノールとアセトンとの酸触媒存在下での脱水縮合反応によりビスフェノールAを製造するに際して、助触媒として添加するメルカプト化合物をシリカマトリックス中に有機メルカプタン化合物を固定化した有機高分子シロキサンとして反応系に添加することで、熱的に安定で、高温反応条件においてもメルカプト基等の脱離が抑制され、且つ触媒の反応活性及び選択性が格段に向上することを見いだし、加えて不均一系酸触媒の有するプロセス的な利点に着目し、スルホン酸基に代表される酸基とメルカプト基含有炭化水素基を共にシリカマトリックス中に固定化した有機高分子シロキサンとすることで、助触媒と酸触媒が同時に固定化され、高活性、高選択性かつ熱的に安定な不均一触媒となることも同時に見いだし本発明を完成するに到った。
【0006】
本発明においては、メルカプト基を有する有機高分子シロキサンを助触媒として酸触媒とともに使用することで、該脱水縮合反応を高温条件下で実施しても反応生成物系へのメルカプト基等の混入もなく、加えてその助触媒効果の低下もなく、性能が長時間維持されてビスフェノールAを製造することができる。
【0007】
更には、スルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を同時に有する有機高分子シロキサンを触媒として使用することで、酸触媒及び助触媒成分の脱離のない安定な不均一触媒となり、該脱水縮合反応を触媒の活性低下なく且つ、触媒成分の分離が容易等の利点を有する経済性の高い方法によりビスフェノールAを製造することができる。
【0008】
即ち、本発明の目的は、酸触媒の存在下にフェノールとアセトンとの脱水縮合反応によりビスフェノールAを製造する方法において、生成物であるビスフェノールAにメルカプト化合物等が混入することなく且つ高温反応においてもメルカプト化合物が分解、遊離せず且つ、高活性、高選択的にビスフェノールAを製造する方法を提供することにある。更には、反応における酸触媒もメルカプト基と同時に固定化することで高効率で且つ、容易に触媒を分離回収可能な工業的に極めて有効な新規な固体触媒を提供することも本発明の目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェノールとアセトンとの脱水縮合反応によりビスフェノールAを製造する方法において、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサン及び酸の存在下で反応させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法である。更に、酸も同時に固定化された炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンの存在下で反応させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法でもある。
【0010】
また、本発明は、有機高分子シロキサン中に炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンが、一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種を加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化処理により上記炭化水素基(R1 )をスルホン化し、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後、一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することにより得られる、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンの存在下にフェノールとアセトンとを反応させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、シリカゲルを一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化処理によりスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後、更に一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することにより得られる、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンの存在下にフェノールとアセトンとを反応させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法を提供するものである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用される、フェノール及びアセトンは特に精製する必要はなく、その純度も限定されることはない。好ましくは工業純度もしくは一般試薬純度で使用する。また反応に不活性な媒体、例えば飽和炭化水素類等で希釈して使用することも可能である。
【0013】
本発明において、用いられる触媒である酸は、特に限定されることはなく、プロトン酸、ルイス酸等脱水縮合活性を有する酸であれば如何なる酸を使用しても差し支えない。またその形態も特に限定はされず、反応系において均一に溶解する均一系酸触媒、反応系中に固体で存在する不均一酸触媒のいずれを使用しても差し支えない。触媒と生成物との分離の観点から不均一酸触媒であることが好ましく、耐熱性の高いものであれば更に好ましい。具体的に例示すれば、ヘテロポリ酸の有するプロトンの一部をアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等で置換し固体不均一化した部分中和ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸又はその塩を活性炭、アルミナ、シリカ、ケイソウ土等の担体に担持した担持酸触媒及びゼオライト、層状粘土化合物等が不均一酸触媒として挙げられる。本発明においては、無論これらの不均一酸触媒のみに限定されることはなく、その他の固体酸触媒及び均一酸触媒を使用しても何等差し支えない。
【0014】
本発明は、上記酸触媒とともに、助触媒として炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを使用する。また、酸及び助触媒である炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を同時に高分子シロキサンに固定化した有機高分子シロキサンを使用することが好ましく、更に酸がスルホン酸基よりなるスルホン酸基及び炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを使用することも好ましい実施形態として推奨される。
【0015】
本発明で使用する炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンとはシロキサン結合からなるシリカマトリックス中に部分的に炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基が直接シリカマトリックス中のケイ素原子と炭素−ケイ素結合により結合した構造を有する高分子シロキサンである。
【0016】
これら有機高分子シロキサンは、炭素−ケイ素結合により、そのシロキサンを形成するケイ素1原子あたり、平均0.05〜3、好ましくは0.1〜2、更に好ましくは0.2〜1個の、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基と結合した有機高分子シロキサンである。
【0017】
また、これらの炭化水素基の総てが1以上のメルカプト基を有していても、数ある炭化水素基の一部分にメルカプト基を有するものであっても差し支えない。総ての炭化水素基がメルカプト基を有していれば好ましい。しかしながら本発明におけるメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンはメルカプト基の量により何等規定されることはない。
【0018】
本発明に助触媒として使用する炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂 肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンは、例えば以下の方法で調製することが可能である。しかしながら、本発明はこれらの調製方法のみに限定されることはない。実施し易い調製方法としては例えば一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物を加水分解する。
【0019】
または、これらシラン化合物と、一般式:SiX4(式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子である。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種とを含有するシラン化合物を加水分解する等の方法によって容易に調製し、助触媒として反応に供することができる。本発明はこれらの調製方法等によって得られたメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを助触媒として酸と共に反応に使用する。
【0020】
また、本発明方法においては、酸としてスルホン酸を用い、該スルホン酸を炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサン中に同時に固定化した、スルホン酸基及び炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンも固定化助触媒を共存させた不均一触媒として有効に使用することもできる。ここにおいて、本発明でいう、スルホン酸基及び炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサンとは、シロキサン結合からなるシリカマトリックス中に部分的にスルホン酸基を有する炭化水素基及び炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基が直接ケイ素原子と炭素−ケイ素結合により結合した構造を有する有機高分子シロキサンである。
【0021】
これら有機高分子シロキサンはそのシロキサンを形成するケイ素1原子あたり、平均0.01〜2、好ましくは0.05〜1.5、更に好ましくは0.1〜1個の炭素−ケイ素結合により、スルホン酸基を有する炭化水素基と結合し、更にケイ素1原子あたり0.01〜2、好ましくは0.05〜1.5、更に好ましくは0.1〜1個のメルカプト基を有する炭化水素基と結合した有機高分子シロキサンであり、ケイ素原子と結合したスルホン酸基を有する炭化水素基及びケイ素原子と結合したメルカプト基を有する炭化水素基の和が、ケイ素1原子あたり、平均0.05〜3、好ましくは0.1〜2、更に好ましくは0.2〜1個である有機高分子シロキサンである。
【0022】
本発明においては触媒として使用するこれらのスルホン酸基およびメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンの調製方法は、特に限定されることはなく、高分子シロキサン(シリカ)マトリックス中に直接炭素−ケイ素結合により結合した、スルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基が存在すればいかなる調製方法により調製しても差し支えない。実施し易い調製方法として、例えば以下の調製方法等により調製することが可能である。しかしながら、本発明はこれらの調製方法のみに限定されないのは無論である。
【0023】
実施し易い方法として例えば、一般式:XnSi(R3)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R3 はスルホン酸基を少なくとも1個有する炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種と一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物を加水分解する。
【0024】
または、これらのシラン化合物と、一般式:SiX4(式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子である。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種とを含有するシラン化合物を加水分解し調製することが可能である。
【0025】
さらには、一般式:XnSi(R3)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R3 はスルホン酸基を少なくとも1個有する炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種のシラン化合物、またはこれらシラン化合物と一般式:SiX4(式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子である。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種とを含有するシラン化合物を加水分解して調製されたスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンを、一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物によりシリル化し、加水分解することによっても調製することが出来る。
【0026】
この際に、スルホン酸基は予め、そのプロトンを金属カチオンで交換されたスルホン酸塩として上記加水分解を行い、得られた有機高分子シロキサンを酸処理する等によりプロトンに交換することでスルホン酸基とすることも差し支えない。
【0027】
また、上記一般式:XnSi(R3)4-n 及び上記一般式:XnSi(R2)4-nで表されるシラン化合物をシリカゲル上に順次、または混合して同時にシリル化することにより固定化したスルホン酸基及びメルカプト基を有する有機高分子シロキサンも触媒として使用することができる。
【0028】
また、他の好ましい調製方法としては一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種を加水分解する、またはこれらのシラン化合物と一般式:SiX4(式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子である。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種とを含有するシラン化合物を加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化処理により上記炭化水素基(R1 )をスルホン化し、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後、一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することによりメルカプト基含有炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとする方法が採用できる。
【0029】
更には、シリカゲルを一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化してスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとし、これを更に一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することによりメルカプト基含有炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとする方法が採用できる。
【0030】
ここにおいて、上記すべての一般式中に示した炭化水素基R1 、R2 及びR3について詳しく説明する。R3 は少なくとも1個のスルホン酸基(−SO3H) を有する炭化水素基で有ればいかなる炭化水素基であっても本発明に使用することが可能であるが、好ましくはスルホン酸基を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の炭化水素基である。好ましくは炭素数6以上20以下、更に好ましくは炭素数6以上15以下の少なくとも1個のスルホン酸基を有する置換ないしは無置換の芳香族炭化水素基(芳香族基に直接スルホン酸基が置換された基でも、芳香族基に置換された炭化水素基にスルホン酸基が置換された基でも差し支えない。);または好ましくは、少なくとも1個のスルホン酸基を有する炭素数1以上15以下、更に好ましくは炭素数1以上10以下の置換ないしは無置換の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基である。
【0031】
具体的には、少なくとも1個のスルホン酸基により核置換されたフェニル基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香族基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換アルキル基等、少なくとも1個のスルホン酸基で置換された、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が例示される。更にこれらの芳香族または飽和の脂肪族ないしは脂環式炭化水素基はスルホン酸基の他にハロゲン元素、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であっても差し支えない。
【0032】
またR2 は示性式として−SHで表されるメルカプト基を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種である。具体的に例示すれば、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプト−n−プロピル基等のメルカプトアルキル基類が挙げられる。無論、本発明においてはこれらの基のみに限定されることはない。また、これらの脂肪族炭化水素基はメルカプト基の他にハロゲン元素、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であっても差し支えない。
【0033】
またR1 は種々のスルホン化処理によりスルホン酸基を導入可能な炭化水素基であるならばいかなる炭化水素基であっても差し支えないが、好ましい炭化水素基としてはメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基よりなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素基である。
【0034】
上記炭化水素基(R 1 )を具体的に例示すれば、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプト−n−プロピル基等の、メルカプトアルキル基類等が挙げられる。無論、本発明においてはこれらの基のみに限定されることはない。また、これらの脂肪族炭化水素基はメルカプト基の他にハロゲン元素、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であっても差し支えない。
【0035】
本発明では上記したように、一般式:XnSi(R1)4-n で表されるシラン化合物または、これらシラン化合物と一般式:SiX4 で表されるシラン化合物との混合物を加水分解、または一般式:XnSi(R1)4-n で表されるシラン化合物をシリカゲル上にシリル化した後、加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化し、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとし、この高分子シロキサンを更に一般式:XnSi(R2)4-n で表されるシラン化合物によりシリル化し、加水分解することでスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを調製することが出来る。
【0036】
ここにおいて本発明でいうスルホン化とは、特にその処方に関して限定されることはなく、R1 で表された炭化水素基を、スルホン酸基を有する炭化水素基とする処方であるならばいかなる処方を用いても差し支えない。またR1 の種類によりその処方は各々異なるのは当然である。
【0037】
スルホン化処理として、実施し易い方法を具体的に例示すれば、例えば、少なくとも1個のメルカプト基を有する炭化水素基を有するシラン化合物より得られた有機高分子シロキサンであるならば、種々の酸化剤(例えば、硝酸、過酸化水素等)との接触により酸化する、またはスルホン酸基を有するオレフィン化合物との付加反応(SHのオレフィンへの付加)によりスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとすることが出来る。この時スルホン酸基を有するオレフィン化合物の量を、メルカプト基を有する有機高分子シロキサン中のメルカプト基の量より少ない量で付加させることで、スルホン化に続く一般式:XnSi(R2)4-n で表されるシラン化合物によるシリル化処理を行わなくても、スルホン酸基及びメルカプト基を有する有機高分子シロキサンとすることが出来る。
【0038】
スルホン化に使用するスルホン酸基を有するオレフィン化合物は、具体的にはヴィニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、シクロヘキセンスルホン酸等が例示される。無論これらのオレフィン性のスルホン酸のみに限定されることはない。また、芳香族基を有する炭化水素基を有するシラン化合物から得られる有機高分子シロキサン類であるならば、これら有機高分子シロキサンを硫酸、ないしはクロロスルホン酸との接触による通常の芳香族スルホン化処理によりスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとすることが出来る。
【0039】
ここにおいて、金属亜硫酸水素塩を用いるスルホン化に際して、金属硫酸塩を共存させることが好ましいスルホン化方法として推奨される。しかしながら、本発明方法はこれらのスルホン化方法のみに限定されないことは無論である。
【0040】
本発明では、これら上記した方法によりスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後更に、一般式:XnSi(R2)4-n で表されるシラン化合物によりシリル化し、加水分解することでスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを調製することが出来る。
【0041】
ここにおいて、本発明でいうシリル化について述べる。本発明で実施するシリル化は通常のシリル化剤により行われるシリル化により充分達成される。実施し易いシリル化方法として具体的に例示すれば、上記処方により得られたスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンマトリックスが有するシラノ−ル基(−Si−OH)基を上記一般式:XnSi(R2)4-n で表されるシラン化合物と直接反応させシロキサン結合(Si−O−Si−R2) を生成させ高分子シロキサン上(シリカゲル母体も含む)に固定化することである。更に、大量の上記シリル化剤を水の共存下にスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンと接触させる方法によって大量のメルカプト基含有炭化水素基を固定化することが出来る。
【0042】
この際に、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンを予め、金属カチオンでスルホン酸基の有するプロトンを交換したスルホン酸塩としてシリル化を実施した後、酸により、再度スルホン酸基に変換する等の方法によってシリル化する方法がより好ましい方法として推奨される。
【0043】
これらシリル化を実施するに際して、シリル化剤及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンに対して不活性であるアルコール、脂肪族飽和炭化水素(ヘキサン、ヘプタン等)または芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)等の媒体にシリル化剤を希釈させてシリル化することも可能である。本発明においては、上記シリル化剤によりシリル化する量に関しては特に限定されないが、好ましくは原料スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンに対する重量パーセント(シリル化し、加水分解後の重量増加量として)で0.5ないし200、好ましくは1ないし100重量パーセントであることが推奨される。無論本発明においてはこれらの量の範囲のみに限定されることはない。
【0044】
更に、上記した、それぞれの一般式におけるXは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を表し、加水分解によりケイ素−X結合が分解し、高分子シロキサン結合を生成することを可能たらしめる基である。具体的に例示すれば、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルキルアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等の芳香族アルコキシ基等が挙げられる。本発明はこれらアルコキシ基のみに限定されることはない。また、塩素原子であることも好ましい。無論Xはこれらのみに限定されることはなく、更にこれらの混合の置換基であっても差し支えない。
【0045】
以下に本発明方法の実施態様について述べる。原料であるフェノールとアセトンの使用量(量比)は特に限定されないが、好ましくはフェノール/アセトンのモル比で0.1〜100の範囲であり、更に好ましくは0.5〜50の範囲で実施することが推奨される。余りにフェノールの量が少なければ、原料アセトンの高い転化率を達成することは困難であり、又、余りにフェノールの量が多ければ高いアセトンの転化率を達成することはできるが、必要以上にフェノールを用いるため反応器が過大となり、更にフェノールの大量循環が必要となり効率的に製造し得ないためである。
【0046】
反応温度についても本発明では特に限定されることはないが、好ましくは0〜300℃、更に好ましくは30〜300℃の範囲である。反応温度が極端に低すぎると原料の高い転化率を達成させるには極端に長い反応時間を必要とし、言い換えれば極端に反応速度が低下し、反応生成物の生産性が低下する。一方、反応温度が極端に高すぎると好ましからざる副反応等が進行し副生成物の増大や、原料であるフェノール及びアセトン、更に生成物であるビスフェノールA等の安定性にも好ましくなく、反応選択率の低下をもたらし経済的ではない。
【0047】
反応は減圧、加圧及び常圧のいずれの状態で実施することも可能である。反応効率(単位体積あたりの反応効率)の観点から余りに低い圧力で実施することは好ましくない。通常好ましい実施圧力範囲は、0.1〜200気圧であり、更に好ましくは0.5〜100気圧である。無論、本発明はこれらの圧力範囲に限定されない。又、本発明を実施するに際し、使用する触媒量(酸触媒)及び助触媒であるメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンの量も特に限定はされないが、例えば、反応をバッチ方式で実施する場合には、好ましくは原料となるフェノールに対して酸触媒及び助触媒共に重量パーセントで0.001〜200%、更に好ましくは0.1〜50%の範囲で行うことが推奨される。
【0048】
また、スルホン酸基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンを触媒として使用する際にも同様に、本発明においては特に限定されないが、好ましくは原料フェノールに対して、0.002〜200%、更に好ましくは0.1〜50%の範囲で実施することが推奨される。余りに少量の酸触媒及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機シロキサン、またはスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒を使用することは、実質的に反応速度を極端に低下させ効率上問題となり、又、余りに大量に使用すれば反応液等の撹拌効率を低下させトラブルを生じる原因となる恐れがあるためである。
【0049】
本発明を実施するにあたり、反応系内に酸触媒および助触媒であるメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン、またはスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン、及び反応試剤に対して不活性な溶媒もしくは気体を添加して、希釈した状態で行うことも可能である。具体的にはメタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素類、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体や場合によっては水素を希釈剤として使用することもできる。
【0050】
本発明を実施するに際してその方法はバッチ式、セミバッチ式または連続流通式のいずれの方法においても実施することが可能である。反応形態は、酸触媒を液体均一もしくは固体不均一状態とし、メルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン、またはスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを固体状態として液相、気相、気−液混合相のいずれの形態においても実施することが可能である。好ましくは反応効率的な観点から液相反応で実施することが推奨される。
【0051】
助触媒であるメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン及び固体酸触媒、または触媒としてのスルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンの充填方式としては、固定床、流動床、懸濁床、棚段固定床等種々の方式が採用され、いずれの方式で実施しても差し支えない。反応時間(流通反応においては滞留時間もしくは触媒接触時間)は特に限定されることはないが、通常0.1秒〜30時間、好ましくは0.5秒〜15時間である。
【0052】
反応後、反応生成物を、前記助触媒、酸触媒等から濾過、抽出、留去等の分離方法によって、分離回収することができる。目的生成物であるビスフェノールAは、分離し回収した回収物から溶媒抽出、蒸留、アルカリ処理、酸処理等の逐次的な処理方法、或いはこれらを適宜組み合わせた操作等の通常の分離、精製法によって分離、精製して取得することができる。又、未反応原料は回収して、再び反応系へリサイクルして使用することもできる。
【0053】
バッチ反応の場合、反応後に反応生成物を分離して回収された酸触媒及び助触媒、または助触媒を同時に固定化した触媒はそのまま、又はその一部もしくは全部を再生した後、繰り返して反応に再度使用することもできる。固定床又は流動床流通連続反応方式で実施する場合には、反応に供することによって、一部又は総ての酸触媒、助触媒が失活もしくは活性低下した場合には反応を中断後、酸触媒及び/又は助触媒、または助触媒を同時に固定化した酸触媒を再生して反応に供することもできるし、又連続的もしくは断続的に一部を抜き出し、再生後、再び反応器へリサイクルして再使用することもできる。更に、新たな酸触媒、助触媒または助触媒を同時に固定化した酸触媒を連続的又は断続的に反応器に供給することもできる。移動床式流通連続反応、もしくは均一触媒流通反応方式で実施する際には、バッチ反応と同様に酸触媒及び/又は助触媒もしくは助触媒を同時に固定化した酸触媒を分離、回収し、必要であるならば再生して再使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
A:助触媒として用いるメルカプト基含有有機高分子シロキサンの調製方法(a)助触媒1撹拌機及び冷却管を取り付けた500ml、3ツ口フラスコ にエタノール、100ml、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(HSCH2CH2CH2)Si(OMe)3〕、 10.0g (51.7mmol)を入れ室温で2時間撹拌した後、純水を必要量(添加シランの有するアルコキシ基のモル量の1/2)の5倍モル(51.7×3×0.5×5=387.8 mmol) をゆっくり滴下し、更に室温で1時間撹拌した。これに28%アンモニア水10.0g を約1時間かけて撹拌しながら滴下した後、液温を80℃にし、一昼夜加熱撹拌を行った。これにより、液のゲル化が確認された。その後、溶媒等を減圧留去させ、固体を得た。この固体に純水500ml を加え80℃で4時間撹拌洗浄を行った。冷却後、固体を濾過分離し、純水で充分洗浄した後、100℃で4時間減圧乾燥し、メルカプト基を有する有機高分子シロキサンを得た。これを助触媒1として反応に用いた。
【0055】
(b)助触媒2〜4
(a)で用いた3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、10.0g にテトラエトキシシランをそれぞれ表1に掲げた量添加し(a)と同様に撹拌した後、純水を仕込みメトキシ基とエトキシ基の総モル量の1/2(加水分解必要量)の5倍モル量添加した。その後、助触媒1の調製法(a)と同様の操作で、それぞれ助触媒2〜4を得た。
【0056】
(c)助触媒5
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを3-メルカプトプロピル-メチルジメトキシシラン〔(HSCH2CH2CH2)Si(Me)(OMe)2〕に代え、10.0g仕込んだ以外は総て助触媒2の調製方法と同一の操作及び条件で調製した。これを助触媒5として反応に使用した。これら助触媒1〜5を表1に示した。
【0057】
(d)助触媒6
市販のシリカゲル(MSゲル:洞海化学工業社製)10.0gを100℃で4時間減圧乾燥した後、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(HSCH2CH2CH2)Si(OMe)3〕、 10.0g (51.7mmol)を加え、100℃で4時間加熱攪拌した。放冷後これを濾別し、メタノール、アセトンで充分洗浄した。得られたメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンのメルカプト基量は1.11mgeq/gであった。
【0058】
【表1】
【0059】
実施例1〜6
70mlの耐圧反応器にアセトン3.80g(65.5mmol)、フェノール33.00g(351.1mmol)、酸触媒としてドデカタングストリン酸の有するプロトンの2/3をアンモニウムカチオンで交換し、不均一化した、部分中和塩〔(NH4)2HPW12O40〕2.00g 、助触媒1〜6のいずれかを 0.60g 仕込み、窒素ガスで耐圧反応器内を5kg/cm2ゲージ圧に加圧した後、100℃で2時間加熱撹拌し反応を行った。反応終了後、室温に冷却、放圧後反応液を取り出し液体クロマトグラフ法により分析定量した。結果は表2に示したようにそれぞれ良い収率でビスフェノールAが生成した。
【0060】
比較例1
実施例2における、助触媒を用いなかった以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に掲げたように、ビスフェノールAの収率も低下し、且つp,p’−ビスフェノールAの選択性も低下した。このことから、本発明におけるメルカプト基を有する有機高分子シロキサンが助触媒として優れた効果をもたらすことがわかる。
【0061】
実施例7
酸触媒を結晶水を取り除いたドデカタングストリン酸(H3PW12O40.0H2O)2.0gに代えた以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示した。
【0062】
比較例2
助触媒を添加しなかった以外は総て実施例7と総て同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、実施例7に比較してビスフェノールAの収率、選択率ともに低下した。この結果、均一酸触媒を使用する場合でも本発明の助触媒が有効であることが判明した。
【0063】
実施例8
酸触媒をドデカタングストリン酸のプロトンの2/3をCsカチオンで交換し不均一固体化触媒(Cs2HPW12O40.0H2O)2.0gに代えた以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示した。
【0064】
実施例9
酸触媒を強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーリスト15に代え2.0g使用した以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示した。
【0065】
比較例3
助触媒であるメルカプト基を有する有機高分子シロキサンを使用しなかった以外は総て実施例9と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、ビスフェノールAの収率、選択率ともに実施例9に比較して低下した。
【0066】
実施例10
アセトンの仕込み量を1.90g とした以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、高いアセトンに対する収率でビスフェノールAが生成した。
【0067】
実施例11
反応温度を120℃とし、反応時間を1時間とした以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に掲げたように高収率でビスフェノールAが生成した。
【0068】
実施例12
助触媒2の添加量を1.2gとした以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、助触媒の量を増加させることで、ビスフェノールAの収率は更に増大し、選択率も向上した。
【0069】
実施例13
酸触媒を結晶水を取り除いたケイタングステン酸(H4SiW12O40.0H2O) 2.0g使用した以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示した。
【0069】
比較例4
助触媒であるメルカプト基を有する有機高分子シロキサンを使用しなかった以外は総て実施例13と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、ビスフェノールAの収率、選択率ともに実施例13に比較して低下した。
【0070】
実施例14
酸触媒を濃塩酸2.0g使用した以外は総て実施例2と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示した。
【0071】
比較例5
助触媒であるメルカプト基を有する有機高分子シロキサンを使用しなかった以外は総て実施例14と同一の条件で反応を行った。結果は表2に示したように、ビスフェノールAの収率、選択率ともに実施例14に比較して低下した。
【0072】
実施例15
実施例14で使用した助触媒を反応液を濾過することにより取り出し、メタノールで充分洗浄した後、乾燥し、実施例14と同条件で再度反応に用いた。結果は表2に示したように助触媒効果の活性は維持されていた。
【0073】
【表2】
p,p’−BPA:2,2-ヒ゛ス(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン
o,p’−BPA:2-(2'-オキシフェニル)-2-(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン(異性体)
COD:2,2,4-トリメチル-4-(4'-オキシフェニル)クロマン(反応副生成物)
【0074】
B:スルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒の調製方法(各調製方法により得られた触媒の物性を表4に掲げた。)
(e)触媒1
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランと同重量のテトラエトキシシランから調製したメルカプト基を有する有機高分子シロキサン(助触媒2)2.82g(メルカプト基含有量7.64mmol)を100mlのナスフラスコに入れ、これにスチレンスルホン酸ナトリウム 1.57g( 7.64mmol)、水10ml、濃塩酸3mlを加え、還流下1時間加熱攪拌した。これを放冷し、濾別した白色固体を多量の水で濾液が中性になるまで充分洗浄し、100℃で4時間乾燥し、スルホン酸基及びメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを得た。これを触媒1として反応に使用した。
【0075】
(f)触媒2〜4
メルカプト基を有する有機高分子シロキサンを、表3に掲げた前述した他の助触媒に変えた以外は総て触媒1の調製方法と同一の操作方法及び条件で調製した。これを触媒2〜3とした。
【0076】
(g)触媒5〜7
スチレンスルホン酸ナトリウムの代わりに、表3に掲げたビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムまたはメタリルスルホン酸ナトリウムを9.62mmol仕込む以外は総て触媒1の調製方法で調製した。これを触媒5〜7とした。これら触媒1〜7を表3に掲げた。
【0077】
(h)触媒8
攪拌器及び冷却管を取り付けた1000mlの3口フラスコ中に、Cl(CH2)3Si(OMe)30.60mol、Si(OEt)41.40mol、エタノール200mlとを入れ、これに0.01規定の塩酸92mlを滴下した。この溶液を80〜90℃に加熱し、ゆっくりと濃縮し、エタノールが蒸発しなくなるまで濃縮、非常に粘性の高い溶液とした後、これにヘキサン180ml、エタノール120mlを加え、さらに28%アンモニア水100mlと水540mlを混合したものを滴下し、室温で4時間攪拌した。これを濾別し、得られた固体を多量の水で洗浄後、120℃で乾燥させた。得られたシリカマトリックスにクロロプロピル基を有する高分子有機シロキサン15.0gに、Na2SO310.32g、水60mlを加え100℃で50時間加熱攪拌した。放冷後、固体を濾別し、多量の水で洗浄した後、希塩酸で処理してNa+型からH+型にイオン交換し、シリカマトリックスにスルホン酸基が固定化された固体酸を調製した。この固体酸6.0g(酸量1.25mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、メルカプト基含有シラン化合物としてHS(CH2)3Si(OMe)310gを加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄して未反応のHS(CH2)3Si(OMe)3を取り除いた後、6N塩酸でH+型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒8とした。
【0078】
(i)触媒9
前述した3-メルカプトプロピルトリメトキシシランと同重量のテトラエトキシシランから調製したメルカプト基含有高分子有機シロキサン10.0g(助触媒2)を濃HNO320ml中に徐々に加え、1時間攪拌した。反応後、白色固体を濾別し、得られた固体を多量の水で洗浄してシリカマトリックスにスルホン酸が固定化された固体酸を調製した。この固体酸6.0g(酸量1.70mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、メルカプト基含有シラン化合物としてHS(CH2)3Si(OMe)310gを加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄して未反応のHS(CH2)3Si(OMe)3を取り除いた後、6N塩酸でH+型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒9とした。
【0079】
(j)触媒10
触媒8でシリル化に用いるメルカプト基含有シラン化合物HS(CH2)3Si(OMe)3をHSCH2Si(CH3)2(OEt)に変えた以外は同一の操作及び条件で調製し、触媒10を得た。
【0080】
(k)触媒11
触媒9でシリル化に用いるメルカプト基含有シラン化合物HS(CH2)3Si(OMe)3をHSCH2Si(CH3)2(OEt)に変えた以外は同一の操作及び条件で調製し、触媒11を得た。
【0081】
(l)触媒12
1000mlの3口フラスコ中で、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン49.28g(200mmol)、トリエトキシシラン41.66g(200mmol)にエタノール400mlを加えてよく攪拌した。その後、水60gをゆっくりと滴下し、ついでNa2SO37gを水50mlに溶かした溶液を滴下し、さらに水200ml滴下した後、80℃で24時間加熱攪拌した後、溶媒を留去した。これを120℃で24時間乾燥した。この乾燥固体を水で充分に洗浄した後、再度乾燥させ、シリカマトリックスに有機エポキシ基の結合した有機高分子シロキサンを得た。1000mlの2口フラスコ中で得られた有機高分子シロキサン10g及びNaHSO3 10.5g、Na2SO325gを水250mlに溶解した溶液を加え、120℃で6.5時間加熱攪拌した。放冷後、これを濾過し、得られた白色固体を水で充分洗浄した後、この白色固体を500mlビーカーに入れ、1N塩酸200mlを加えて室温で1時間攪拌した。これを濾過し、もう一度同様の酸処理を施した後、固体を水で充分洗浄し、110℃で乾燥した。得られたスルホン化された固体酸(酸量0.735mgeq/g)6.0gを塩化ナトリウム水溶液でNa+ 型とした後、120℃で4時間減圧乾燥した。この固体にメルカプト基含有シラン化合物、HS(CH2)3Si(OMe)3 10gを加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄して未反応のHS(CH2)3Si(OMe)3を取り除いた後、6N塩酸でH+型に戻し、多量の純水で充分洗浄て残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃で、半日間乾燥し、触媒12とした。
【0082】
(m)触媒13
1000mlの3口フラスコ中で、ビニルトリエトキシシラン38.06g(200mmol)、トリエトキシシラン41.66g(200mmol)にエタノール100mlを加えて攪拌した。この溶液を室温で2時間撹拌した後、純水を必要量(添加シランの有するアルコキシ基のモル量の1/2)の5倍モル(3.5mol)をゆっくり滴下し、更に室温で1時間撹拌した後、28%アンモニア水40.0gを約1時間かけて撹拌しながら滴下した後、液温を80℃にし、一昼夜加熱撹拌を行った。これにより、液のゲル化が確認された。その後、溶媒等を減圧留去させ、固体を得た。この固体に純水1000mlを加え80℃で4時間撹拌洗浄を行った。冷却後、固体を濾過分離し、純水で充分洗浄した後、100℃で4時間減圧乾燥し、得られた固体をビニル基を有する有機高分子シロキサンとした。つぎに、この有機高分子シロキサン15gを1000mlの2口フラスコに入れ、これにNa2SO350g、NaHSO3 、21gを水500mlに溶かした溶液を加えた。これを攪拌しながら70℃に加熱し、空気を吹き込みながら46時間加熱攪拌した後、濾過し、白色の固体を水で充分洗浄した後、白色固体を500mlビーカーに入れ、1N塩酸200mlを加えて室温で1時間攪拌した。これを濾過し、もう一度塩酸処理を施した後、濾過し、固体を水で充分洗浄した後110℃で8時間乾燥し、シリカマトリックスに有機スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンを得た。この固体酸6.0g(酸量1.39mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+ 型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、この固体にHS(CH2)3Si(OMe)3 10gを加え、100℃で4時間加熱攪拌してシリル化した。これを濾別し、得られた固体をメタノール、次にアセトンで固体を洗浄、未反応HS(CH2)3Si(OMe)3 を取り除いた後、6N塩酸でH+ 型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒13とした。
【0083】
(n)触媒14
市販のシリカゲル(MSゲル:洞海化学工業社製)10gを100℃で4時間減圧乾燥した後、100mlのナスフラスコに入れ、これにビニルトリエトキシシラン25gを加え、100℃で4時間加熱攪拌した。放冷後、濾過し、得られた白色固体をメタノールで充分洗浄した後120℃で乾燥した。この有機高分子シロキサン15gを1000mlの2口フラスコに入れ、これにNa2SO350g、NaHSO3 21gを水500mlに溶かした溶液を加え、70℃で、空気を吹き込みながら46時間加熱攪拌した後、濾過し、得られた白色固体を水で充分洗浄した後、白色固体を500mlビーカーに入れ、1N塩酸200mlを加えて室温で1時間攪拌した。これを濾過し、もう一度塩酸処理を施した後、濾過し、固体を水で充分洗浄した後110℃で8時間乾燥し、シリカマトリックスに有機スルホン酸基の結合した有機高分子シロキサンを得た。この固体酸6.0g(酸量0.58mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+ 型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、これにHS(CH2)3Si(OMe)3 、10gを加え、100℃で4時間加熱攪拌し、シリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体を洗浄、未反応HS(CH2)3Si(OMe)3を取り除いた後、6N塩酸でH+ 型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒14とした。
【0084】
(o)触媒15
市販のシリカゲル(MSゲル:洞海化学工業社製)10gを100℃で4時間減圧乾燥した後、100mlのナスフラスコに入れ、これにCl(CH2)3Si(OMe)3 、25gを加え、100℃で4時間加熱攪拌してシリル化を行った。放冷後、濾過し、得られた白色固体をメタノールで充分洗浄した後、120℃で乾燥した。この有機高分子シロキサン15gに、Na2SO3、10.32g、水60mlを加え100℃で50時間加熱攪拌した。放冷後、固体を濾別し、多量の水で洗浄した後、希塩酸で処理してNa+ 型からH+ 型にイオン交換し、シリカマトリックスにスルホン酸が固定された固体酸を調製した。この固体酸6.0g(酸量0.79mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+ 型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、HS(CH2)3Si(OMe)3 、10gを加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄、未反応HS(CH2)3Si(OMe)3 を取り除いた後、6N塩酸でH+ 型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒15とした。
【0085】
(p)触媒16
市販のシリカゲル(MSゲル:洞海化学工業社製)10gを100℃で4時間減圧乾燥した後、100mlのナスフラスコに入れ、これにHS(CH2)3Si(OMe)3 、25gを加え、100℃で4時間加熱攪拌しシリル化した。放冷後、濾過し、白色の固体をメタノールで充分洗浄した後120℃で乾燥した。得られた有機高分子シロキサン15gを、濃硝酸30ml中に徐々に加え、室温で1時間攪拌した。反応後、固体を濾別し、多量の水で洗浄した後、乾燥し、シリカマトリックスにスルホン酸が固定化された固体酸を調製した。この固体酸6.0g(酸量0.55mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+ 型とした後、120℃で4時間減圧乾燥した後、HS(CH2)3Si(OMe)3 、10gを加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄、未反応HS(CH2)3Si(OMe)3 を取り除いた後、6N塩酸でH+ 型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒16とした。
【0086】
(q)触媒17
攪拌器及び冷却管を取り付けた1000mlの3口フラスコにフェニルトリエトキシシラン36.06g(0.15mol)、Si(OEt)472.92g(0.35mol)、エタノール62.5mlとを入れ、これに0.01規定の塩酸16.7mlを滴下する。この溶液を80〜90℃に加熱し、ゆっくりと濃縮する。エタノールが蒸発しなくなるまで濃縮すると、非常に粘性の高い溶液となる。これにヘキサン15ml、エタノール22.5mlを加え、さらに28%アンモニア水25.0mlと水135.0mlを混合したものを滴下し、室温で4時間攪拌する。これを濾別、多量の水で洗浄した後120℃で乾燥させた。この様にして得られたシリカマトリックスにフェニル基を官能基として有する高分子有機シロキサン10.0gに、濃硫酸100mlを加え80℃で3時間加熱攪拌した。放冷後、多量の水を加えた後、固体を濾別し、多量の水で洗浄し、シリカマトリックスにスルホン酸が固定化された固体酸を調製した。この固体酸6.0g(酸量0.86mgeq/g)を塩化ナトリウム水溶液でNa+型にイオン交換した後120℃で4時間減圧乾燥し、メルカプト基含有シラン化合物としてHS(CH2)3Si(OMe)3 を10g加え、100℃で4時間加熱攪拌することによりシリル化した。これを濾別し、メタノール、次にアセトンで固体をよく洗浄して未反応のHS(CH2)3Si(OMe)3を取り除いた後、6N塩酸でH+型に戻し、多量の純水で充分洗浄して残塩酸を取り除いた。これをさらにオーブンで120℃、半日間乾燥し、触媒17とした。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
実施例16〜22
70mlの耐圧反応器にアセトン3.80g(65.5mmol)、フェノール33.00g(351.1mmol)、触媒1〜7のいずれかを 2.00g 仕込み、窒素ガスで耐圧反応器内を5kg/cm2ゲージ圧に加圧した後、100℃で2時間加熱撹拌し反応を行った。反応終了後、室温に冷却、放圧後反応液を取り出し液体クロマトグラフ法により分析定量した。結果は表5に示したようにそれぞれ良い収率でビスフェノールAが生成した。
【0090】
実施例23
アセトンの仕込み量を1.90g とした以外は総て実施例16と同一の条件で反応を行った。結果は表5に示したように、高いアセトンに対する収率でビスフェノールAが生成した。
【0091】
実施例24
反応温度を120℃とし、反応時間を1時間とした以外は総て実施例16と同一の条件で反応を行った。結果は表5に掲げたように高収率でビスフェノールAが生成した。
【0092】
実施例25
触媒1の触媒量を4.0gとした以外は総て実施例16と同一の条件で反応を行った。結果は表5に示したように、触媒の量を増大させることでビスフェノールAの収率は更に増大し、選択率も向上した。
【0093】
【表5】
p,p’−BPA:2,2-ヒ゛ス(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン
o,p’−BPA:2-(2'-オキシフェニル)-2-(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン(異性体)
COD:2,2,4-トリメチル-4-(4'-オキシフェニル)クロマン(反応副生成物)
【0094】
実施例26〜35
70mlの耐圧反応器にアセトン3.80g(65.5mmol)、フェノール33.0g(351.1mmol)、触媒8〜17のいずれかを2.00g仕込み、窒素ガスで耐圧反応器内を5kg/cm2ゲージ圧に加圧した後、100℃で2時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、室温に冷却、放圧後反応液を取り出し液体クロマトグラフ法により分析定量した。結果は表6に示したようにそれぞれ非常に良い収率でビスフェノールAが生成した。
【0095】
比較例6
実施例26において触媒としてシリル化処理する前のスルホン酸基含有高分子シロキサンを触媒とした以外は総て実施例26と同一の条件で反応を行った。結果は表6に掲げたように、メルカプト基の未修飾のままではビスフェノールAの収率は低く、且つp,p’−ビスフェノールAの選択性も低かった。
【0096】
実施例36〜37
実施例26〜27で用いた触媒を取り出し、メタノールで充分洗浄した後、乾燥させ、実施例26〜27と同条件で再使用した。結果は表6に示したように活性は維持された。
【0097】
比較例7
実施例26で触媒8の代わりに陽イオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーリスト15)のプロトンの15%をシステアミン塩酸塩によりカチオン交換してメルカプト基を修飾したものを触媒として用い、同条件で反応させた。結果は表6に示した。
【0098】
比較例8
比較例7で用いた触媒を取り出し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥させ、実施例26と同条件で再使用した。結果は表6に示したように活性は若干低下し、またp,p’−ビスフェノールAの選択性も低下していた。
【0099】
実施例38
実施例26で反応温度を120℃とした以外は同条件で反応させた。結果は表6に示したようにビスフェノールAの収率は増大したが、p,p’−ビスフェノールAの選択性は低下した。
【0100】
実施例39
実施例26でアセトンの仕込量を半分の1.60g(32.8mmol)とした以外は同条件で反応させた。結果は表6に示したようフェノール/アセトン比を上げる事でビスフェノールAの収率は増大した。
【0101】
【表6】
p,p’−BPA:2,2-ヒ゛ス(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン
o,p’−BPA:2-(2'-オキシフェニル)-2-(4'-オキシフェニル)フ゜ロハ゜ン(異性体)
COD:2,2,4-トリメチル-4-(4'-オキシフェニル)クロマン(反応副生成物)
【0102】
【発明の効果】
本発明に従えば、以下の効果が得られる。
(1)アセトンとフェノールとの脱水縮合反応によりビスフェノールAを収率及び選択率よく製造することが出来る。
(2)工業上重要であるビスフェノールAを安全上、プロセス上及び経済上著しく優位に生産することが出来る。上記したように、本発明によって工業上著しく優れたビスフェノールAの製造方法を提供することが出来る。
Claims (8)
- 炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサン及び酸の存在下に、フェノールとアセトンとを反応させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
- 炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基を有する有機高分子シロキサン及び酸が、有機高分子シロキサン中に炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンである請求項1記載の方法。
- スルホン酸基が、芳香族スルホン酸基である請求項2記載の方法。
- スルホン酸基が、アルキルスルホン酸基である請求項2記載の方法。
- 炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基が、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプト−n−プロピル基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のメルカプト基含有炭化水素基である請求項1、2、3または4記載の方法。
- 有機高分子シロキサン中に炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンが、一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種を加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化処理により上記炭化水素基(R1 )をスルホン化し、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後、一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することにより得られる、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンである請求項2記載の方法。
- 一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種が、該化合物の他に一般式:SiX4(式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、Siはケイ素原子である。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種を含むものである請求項6記載の方法。
- 有機高分子シロキサン中に炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンが、シリカゲルを一般式:XnSi(R1)4-n(式中、nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R1 は、メルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解して得られる有機高分子シロキサンをスルホン化処理によりスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンとした後、更に一般式:XnSi(R2)4-n(式中nは1以上3以下の整数であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、R2 はメルカプト基(SH基)を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の脂肪族飽和炭化水素基であり、Siはケイ素原子を表す。)で表されるシラン化合物の少なくとも1種によりシリル化し、次いで加水分解することにより得られる、炭素数1以上20以下のメルカプト基含有脂肪族飽和炭化水素基及びスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンである請求項2記載の方法。
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