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JPH1160330A - 溶融シリカ質耐火物の製造方法 - Google Patents

溶融シリカ質耐火物の製造方法

Info

Publication number
JPH1160330A
JPH1160330A JP22408997A JP22408997A JPH1160330A JP H1160330 A JPH1160330 A JP H1160330A JP 22408997 A JP22408997 A JP 22408997A JP 22408997 A JP22408997 A JP 22408997A JP H1160330 A JPH1160330 A JP H1160330A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fused
fused silica
refractory
weight
apparent porosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22408997A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Iwakawa
和弘 岩川
Isao Imai
功 今井
Kouichi Sueyoshi
耕一 末芳
Hiroyuki Mori
弘之 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Coorstek KK
Original Assignee
Toshiba Ceramics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Ceramics Co Ltd filed Critical Toshiba Ceramics Co Ltd
Priority to JP22408997A priority Critical patent/JPH1160330A/ja
Publication of JPH1160330A publication Critical patent/JPH1160330A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融シリカ質耐火物の持つ低熱膨張性を維持
しながら、1〜2%程度の見かけ気孔率と耐火物表面の
粒子の剥離防止とを実現する。 【解決手段】 粒度調整された溶融シリカ粉末100重
量%に、硼素および燐よりなる群から選ばれる少なくと
も一種の元素を含有する化合物をB23、またはP25
に換算した合計量で0.5重量%〜10重量%の範囲と
なるように添加し、さらに適当な成形助剤を混合して成
形用混合物を生成する。次に、その成形用混合物を所望
形状に成形して成形体を得た後、その成形体を50容量
%以上の水蒸気を含む雰囲気下で焼成する。前記化合物
としては、H3BO3、H3PO4、またはBPO4が好適
に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶融シリカ質耐
火物の製造方法に関し、さらに言えば、表面粒子の剥離
現象が生じない溶融シリカ質耐火物が得られる溶融シリ
カ質耐火物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融シリカ(SiO2)は一般に、熱膨
張率が低く耐熱衝撃性に優れているだけでなく、耐化学
薬品性、溶融金属(例えば、溶鋼など)に対する耐食性
においても優れている。このような性質を持つ溶融シリ
カを主原料として製造される溶融シリカ質耐火物は、溶
融シリカと同等の優れた耐熱衝撃性や耐化学薬品性を持
っているが、化学薬品や溶融金属に対する耐食性や耐浸
潤性が不十分であり、使用中に亀裂、剥離などの損傷を
受ける場合が多い。これは、従来の一般的な溶融シリカ
質耐火物が高い見掛気孔率(通常、10%程度)を持つ
ことに起因する。
【0003】そこで、従来より、溶融シリカ質耐火物の
見掛気孔率を低くして、換言すれば、溶融シリカ質耐火
物を緻密化して、化学薬品や溶融金属に対する耐食性や
耐浸潤性を改善する方法が種々提案されている。
【0004】例えば、特公平1−54301号公報に
は、「粒径10μm以下の粒子を10wt%以上含む溶
融シリカ粉を主骨材とした配合物を鋳込み成形し、得ら
れた成形体を水蒸気雰囲気下で焼成することを特徴とし
た溶融シリカ質焼結体の製造方法」が開示されている。
焼成温度は、好ましくは1050〜1250℃の範囲に
設定される。この従来方法によれば、見掛気孔率を一般
的な10%程度より低くすることができ、見掛気孔率が
1%以下の緻密な溶融シリカ質焼結体(耐火物)を得る
ことも可能である、とされている。
【0005】また、特公昭47−23167号公報に
は、「溶融石英(溶融シリカ)を主原料とし、これにコ
ロイダルシリカおよび(又は)超微粉体シリカ5〜15
%と燐酸、硼酸もしくはそれらの塩類を1〜10%添加
混練して成形し、1000〜1200℃で焼成すること
を特徴とする溶融石英を主体とする耐火物の製造法」が
開示されている。この従来方法によれば、コロイダルシ
リカは焼成時に燐酸、硼酸などと反応してガラス相を形
成し、それによって溶融石英本来の性質を損なわずかつ
気孔率も小さく極めて良く焼結した耐火物を得ることが
可能である、とされている。ただし、この場合の見掛気
孔率はせいぜい10%程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公平1−5
4301号公報に開示された従来方法では、製造された
溶融シリカ質焼結体(耐火物)の見掛気孔率は低くなる
が、表面の粒子が剥離しやすい性質を持つ。その結果、
化学薬品の熱処理容器や溶融金属の容器として使用する
と、その化学薬品や溶融金属を汚染する恐れがあるとい
う問題がある。
【0007】また、特公昭47−23167号公報に開
示された従来方法では、製造された溶融シリカ質耐火物
の見掛気孔率はせいぜい10%程度であり、緻密化(す
なわち見掛気孔率の低下)が不十分である。このため、
化学薬品や溶融金属に対する耐浸潤性や耐食性が満足で
きるレベルに達していないという問題がある。
【0008】そこで、この発明の目的は、溶融シリカ質
耐火物の持つ低熱膨張性、すなわち良好な耐熱衝撃性を
維持しながら、1〜2%程度の見かけ気孔率と耐火物表
面の粒子の剥離防止とを実現できる溶融シリカ質耐火物
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) この発明の溶融シリカ質耐火物の製造方法は、
粒度調整された溶融シリカ粉末100重量%に、硼素お
よび燐よりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を
含有する化合物をB23、またはP25に換算した合計
量で0.5重量%〜10重量%の範囲となるように添加
し、さらに適当な成形助剤を混合して成形用混合物を生
成する第1工程と、前記成形用混合物を所望形状に成形
して成形体を得る第2工程と、前記成形体を50容量%
以上の水蒸気を含む雰囲気下で焼成する第3工程とを備
えてなることを特徴とする。
【0010】(2) 一般に、硼素(B)または燐
(P)を含有する化合物がシリカ(SiO2)と反応す
ると、硼珪酸ガラスまたは燐珪酸ガラスをそれぞれ形成
する。このため、硼素または燐あるいはその双方を含有
する化合物を溶融シリカ粉末に添加して焼成すると、得
られた溶融シリカ質耐火物の粒界に硼珪酸ガラスまたは
燐珪酸ガラスの相あるいはそれら双方の相が形成され
る。この発明の溶融シリカ質耐火物の製造方法では、こ
のガラス相の作用を利用して、溶融シリカ質耐火物の表
面の粒子の剥離を防止する。
【0011】前述の通り、特公昭47−23167号公
報には、「コロイダルシリカが焼成時に燐酸、硼酸など
と反応してガラス相を形成し、それによって気孔率を低
減できる」旨が開示されている。しかし、当該公報で
は、得られる見掛気孔率はせいぜい10%程度であり、
近年の一般的な溶融シリカ質耐火物のそれと同じであ
る。よって、1〜2%程度の見かけ気孔率を実現するこ
の発明の溶融シリカ質耐火物の製造方法とは、明らかに
達成すべき目標値が異なるものである。
【0012】(3) 本発明者らの調査・研究によれ
ば、このガラス相が過剰に存在すると、溶融シリカ本来
の低熱膨張性が低下あるいは喪失し、逆に、このガラス
相が過少であると、所望のガラス相が形成されないこと
が判明した。そこで、この発明の溶融シリカ質耐火物の
製造方法では、硼素または燐あるいはその双方を含有す
る化合物の添加量を、B23、またはP25に換算した
合計量で0.5重量%〜10重量%の範囲に調整してい
る。こうすることにより、ガラス相の過剰により溶融シ
リカ本来の低熱膨張性が低下あるいは喪失するのを防止
しながら、溶融シリカ質耐火物の表面の粒子の剥離を防
止するものである。
【0013】(4) 前記第3工程において、前記成形
体を所定量の水蒸気を含む雰囲気下で焼成するのは、前
記焼結体を十分緻密にするためである。雰囲気中に含ま
れる水蒸気は、前記溶融シリカ質の成形体を焼成する際
にその成形体中の溶融シリカ粒子が拡散するのを促進す
る作用を持つ。このため、前記成形体は焼結しやすくな
り、その結果、得られる焼結体は緻密となる。水蒸気の
含有量を50容量%以上とするのは、水蒸気の含有量が
50容量%未満では焼結体組織の緻密化作用(見掛気孔
率の低下作用)が不十分であり、また、焼結体の表面粒
子の剥離防止作用も不足するからである。
【0014】(5) 前記第1工程において使用する前
記溶融シリカ粉末としては、必要とする溶融シリカ質耐
火物の物性に応じて、任意に粒度調整された溶融シリカ
の粉末を使用できる。例えば、粒径100μm以下の粒
子を50重量%以上含むものを使用できる。前記溶融シ
リカ粉末の形態も任意である。すなわち、破砕片状であ
ってもよいし、球状であってもよいし、その他の形状で
あってもよい。
【0015】硼素および燐よりなる群から選ばれる少な
くとも一種の元素を含有する前記化合物としては、硼素
または燐あるいはその双方を含有する化合物であれば任
意のものを使用可能である。例えば、硼酸(H3
3)、燐酸(H3PO4)または燐酸硼素(BPO4)を
使用できる。
【0016】前記成形助剤としては、必要な物性に応じ
て任意の液体やバインダーを使用できるが、入手の容易
性やコストなどを考慮すると、水が好ましい。しかし、
例えばポリビニルブチラール(PVB)溶液のようなア
ルコール溶液なども使用可能である。
【0017】(6) 前記第2工程における前記成形用
混合物の成形方法は、鋳込み法であるのが好ましい。そ
れは、鋳込み法では、粒子がより緻密に充填されるの
で、高密度な成形体を得やすいからである。しかし、他
の成形法(例えば、プレス成形法)も使用可能である。
【0018】前記成形工程の後、必要に応じて、前記成
形体を乾燥させる乾燥工程を設けてもよい。乾燥しない
で焼成すると、昇温時に水分が急激に蒸発して焼結体に
亀裂などを生じ易いからである。その乾燥工程には任意
の乾燥法を使用できる。前記焼成工程において前記成形
体を徐々に加熱する場合は、乾燥工程は不要である。
【0019】(7) 前記第3工程における前記成形体
の焼成温度は、1050〜1250℃の範囲に設定され
るのが好ましい。1050℃未満では焼結効果が十分で
ないからであり、1250℃を超えると、クリストバラ
イトが生成されて前記焼結体の強度が低下するからであ
る。
【0020】前記焼第3工程における前記成形体の焼成
時間は、0.5〜20時間であるのが好ましい。焼結時
間が0.5時間未満であると、十分な焼結強度が得られ
ず、反面、20時間を超えても、焼結効果にほとんど寄
与しないからである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を具
体的実施例に基づいて説明する。
【0022】(実施例1)粒度48meshF(Fは
「fine」を意味する)(粒径297μm以下)の溶
融シリカ粉末100重量%に、粒度145meshF
(粒径105μm以下)の硼酸(H3BO3)粉末を1重
量%(これは酸化硼素(B23)に換算すると、0.5
6重量%に相当する)添加・混合した。その後、この混
合物に成形助剤として水を16重量%添加・混練してス
リップを得た。次に、このスリップを公知の石膏型に流
し込んで鋳込み成形した。さらに、得られた成形体を1
00容量%の濃度の水蒸気を含む空気中で、1150℃
の温度で10時間焼成し、30mm×30mm×100
mmの四角柱形の溶融シリカ質耐火物を得た。
【0023】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率をJIS−R16
01の規定に従って測定したところ、見掛気孔率は0.
9%、かさ比重は2.18、常温曲げ強さは12.5M
Pa、1000℃における熱間線膨張率は0.04であ
った。
【0024】また、ガラス相の有無を顕微鏡による組織
観察により調べたところ、硼珪酸ガラスの相の存在が確
認された。
【0025】さらに、加熱・冷却による耐火物の表面粒
子の剥離の有無を次のようにして調べた。すなわち、得
られた30mm×30mm×100mmの四角柱形の溶
融シリカ質耐火物を1000℃で15分間加熱した後、
室温まで冷却して15分間放置した。以後、この加熱・
冷却工程を5回繰り返し、この耐火物の表面から粒子が
剥離するか否かを調べた。その結果、実施例1では、表
面粒子の剥離は見られなかった。これは、この耐火物が
化学薬品や溶融金属用の熱処理容器として使用可能であ
ることを意味する。
【0026】見掛気孔率とかさ比重の上記値により、こ
の溶融シリカ質耐火物の緻密化が十分なされていること
が分かる。これは、化学薬品や溶融金属に対する耐浸潤
性および耐食性が良好であることを意味する。常温曲げ
強さの上記値により、この溶融シリカ質耐火物の常温に
おける機械的強度が十分高いことが分かる。熱間線膨張
率の上記値により、この溶融シリカ質耐火物では、溶融
シリカ本来の良好な耐熱衝撃性が維持されていることが
分かる。
【0027】(実施例2)実施例1と同じ溶融シリカ粉
末100重量%に、実施例1と同じ硼酸(H3BO3)粉
末を実施例1より多い8重量%(これは酸化硼素(B2
3)に換算すると、4.50重量%に相当する)添加
・混合した。その後、この混合物に水を17重量%添加
・混練してスリップを得た。次に、このスリップを実施
例1と同じ石膏型に流し込んで鋳込み成形した。さら
に、得られた成形体を実施例1と同じ条件で焼成し、実
施例1と同じ形状の溶融シリカ質耐火物を得た。
【0028】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は0.6%、かさ比
重は2.19、常温曲げ強さは11.2MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0029】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、実施例1と同じ硼珪酸ガラス相の存
在が確認された。さらに、加熱・冷却による表面粒子の
剥離の有無を実施例1と同様にして調べたところ、表面
粒子の剥離は見られなかった。
【0030】これらの結果より、実施例2の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例1と同等の緻密化と
ガラス相の形成がなされており、その結果、実施例1と
同等の物性を有することが分かる。
【0031】なお、実施例2において見掛気孔率が実施
例1よりも低いのは、硼酸の添加量が増えたことに起因
すると推測される。この結果より、硼酸の添加量が増加
すると、それに応じて見掛気孔率が低下すると推測され
る。
【0032】(実施例3)実施例1と同じ溶融シリカ粉
末100重量%に、実施例1と同じ硼酸(H3BO3)粉
末を実施例2よりもさらに多い16重量%(これは酸化
硼素(B23)に換算すると、9.01重量%に相当す
る)添加・混合した。その後、この混合物に水を18重
量%添加・混練してスリップを得た。次に、このスリッ
プを実施例1と同じ石膏型に流し込んで鋳込み成形し
た。さらに、得られた成形体を実施例1と同じ条件で焼
成し、実施例1と同じ形状の溶融シリカ質耐火物を得
た。
【0033】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は0.5%、かさ比
重は2.19、常温曲げ強さは11.0MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.06であった。
【0034】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、実施例1と同じ硼珪酸ガラス相の存
在が確認された。さらに、加熱・冷却による表面粒子の
剥離の有無を実施例1と同様にして調べたところ、表面
粒子の剥離は見られなかった。
【0035】これらの結果より、実施例3の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例1と同等の緻密化と
ガラス相の形成がなされており、その結果、実施例1と
同等の物性を有することが分かる。
【0036】なお、実施例3において見掛気孔率が実施
例2よりも高いのは、硼酸の添加量がさらに増えたこと
に起因すると推測される。
【0037】(実施例4)硼酸(H3BO3)粉末に代え
て、燐酸(H3PO4)を5重量%(これは酸化燐(P2
5)に換算すると、3.62重量%に相当する)添加
・混合した以外は、実施例2と同じ条件で溶融シリカ質
耐火物を得た。
【0038】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は0.7%、かさ比
重は2.18、常温曲げ強さは10.6MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0039】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、燐珪酸ガラス相の存在が確認され
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離は
見られなかった。
【0040】これらの結果より、実施例4の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例2と同等の緻密化と
ガラス相の形成がなされており、その結果、実施例1と
同等の物性を有することが分かる。
【0041】(実施例5)硼酸(H3BO3)粉末に代え
て、燐酸硼素(BPO4)を3重量%(これは酸化燐
(P25)に換算すると、3.00重量%に相当する)
添加・混合した以外は、実施例2と同じ条件で溶融シリ
カ質耐火物を得た。
【0042】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は0.4%、かさ比
重は2.20、常温曲げ強さは12.7MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0043】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、硼珪酸ガラス相と燐珪酸ガラス相の
存在が確認された。さらに、加熱・冷却による表面粒子
の剥離の有無を実施例1と同様にして調べたところ、表
面粒子の剥離は見られなかった。
【0044】これらの結果より、実施例5の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例2と同等の緻密化と
ガラス相の形成がなされており、その結果、実施例1と
同等の物性を有することが分かる。
【0045】(実施例6)焼成時の水蒸気濃度を55容
積%(残部は空気)に下げた以外は、実施例4と同じ条
件で溶融シリカ質耐火物を得た。
【0046】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は2.8%、かさ比
重は2.11、常温曲げ強さは9.5MPa、1000
℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0047】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、燐珪酸ガラス相の存在が確認され
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離は
見られなかった。
【0048】これらの結果より、実施例6の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例1と同等の緻密化と
ガラス相の形成がなされており、その結果、実施例1と
同等の物性を有することが分かる。
【0049】なお、実施例6において見掛気孔率が実施
例4の4倍になっているのは、焼成時の水蒸気濃度を5
5容積%に下げたことに起因する。この現象から、焼成
時の水蒸気濃度が、焼結体の緻密化すなわち見掛気孔率
の低下に大きな影響を及ぼしていることが分かる。
【0050】上記実施例1〜6をまとめて示すと、次の
表1のようになる。
【0051】
【表1】
【0052】(比較例1)実施例1と同じ溶融シリカ粉
末100重量%に、実施例1と同じ硼酸(H3BO3)粉
末を実施例1より少ない0.5重量%(これは酸化硼素
(B23)に換算すると、0.28重量%に相当する)
添加・混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例
1と同じ形状の溶融シリカ質耐火物を得た。
【0053】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は1.1%、かさ比
重は2.17、常温曲げ強さは11.0MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0054】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、硼珪酸ガラス相の存在が確認できな
かった。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有
無を実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥
離が見られた。
【0055】これらの結果より、比較例1の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例1と同等に緻密化は
なされているが、ガラス相が存在しないことにより、表
面粒子の剥離が防止できていないことが分かる。これ
は、硼酸粉末の添加量が不足していることに起因すると
推測される。
【0056】(比較例2)実施例1と同じ溶融シリカ粉
末100重量%に、実施例1と同じ硼酸(H3BO3)粉
末を実施例1よりはるかに多い30重量%(これは酸化
硼素(B23)に換算すると、16.89重量%に相当
する)添加・混合した以外は、実施例1と同様にして、
実施例1と同じ形状の溶融シリカ質耐火物を得た。
【0057】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は1.2%、かさ比
重は2.17、常温曲げ強さは10.9MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.38であった。
【0058】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、硼珪酸ガラス相の存在が確認され
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離は
見られなかった。
【0059】これらの結果より、比較例2の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、実施例1と同等に緻密化は
なされているが、熱間線膨張率が飛び抜けて高いことに
より、耐熱衝撃性が大幅に低下していることが分かる。
これは、硼酸粉末の添加量が過大であることに起因する
と推測される。
【0060】(比較例3)焼成時の水蒸気濃度を40容
積%に下げた以外は、実施例4と同じ条件で溶融シリカ
質耐火物を得た。
【0061】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は6.0%、かさ比
重は2.05、常温曲げ強さは9.0MPa、1000
℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0062】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、燐珪酸ガラス相の存在が確認され
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離が
見られた。
【0063】これらの結果より、比較例3の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、ガラス相は存在するが、実
施例1に比べて緻密化の程度が著しく劣っており、その
結果、表面粒子の剥離を防止できていないことが分か
る。
【0064】なお、比較例3において見掛気孔率が実施
例1の6.7倍程度に高くなっているのは、焼成時の水
蒸気濃度を40容積%に下げたため、組織の緻密化が不
足したことに起因すると推測される。
【0065】(比較例4)焼成時の水蒸気濃度を0とし
た以外は、実施例4(および比較例3)と同じ条件で溶
融シリカ質耐火物を得た。
【0066】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は9.2%、かさ比
重は1.96、常温曲げ強さは8.5MPa、1000
℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0067】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、燐珪酸ガラス相の存在が確認され
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離が
見られた。
【0068】これらの結果より、比較例4の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、ガラス相は存在するが、実
施例1に比べて緻密化の程度が著しく劣っており、その
結果、表面粒子の剥離を防止できていないことが分か
る。
【0069】なお、比較例4において見掛気孔率が実施
例1の10倍程度に高くなっているのは、焼成時の水蒸
気をゼロとしたため、組織の緻密化がほとんどできなか
ったことに起因すると推測される。
【0070】(比較例5)硼酸、燐酸、燐酸硼素のいず
れも添加せずに、実施例1と同じ溶融シリカ粉末100
重量%のみに水を16重量%添加・混練し、スリップを
得た。次に、このスリップを実施例1と同じ石膏型に流
し込んで鋳込み成形した。さらに、得られた成形体を比
較例4と同じ条件で焼成し、実施例1と同じ形状の溶融
シリカ質耐火物を得た。
【0071】この溶融シリカ質耐火物の見掛気孔率、か
さ比重、常温曲げ強さ、熱間線膨張率を実施例1と同様
にして測定したところ、見掛気孔率は10.3%、かさ
比重は1.96、常温曲げ強さは8.2MPa、100
0℃における熱間線膨張率は0.04であった。
【0072】また、ガラス相の有無を実施例1と同様に
して調べたところ、ガラス相の存在が確認されなかっ
た。さらに、加熱・冷却による表面粒子の剥離の有無を
実施例1と同様にして調べたところ、表面粒子の剥離が
見られた。
【0073】これらの結果より、比較例5の方法で得ら
れた溶融シリカ質耐火物は、ガラス相が存在せず、実施
例1に比べて緻密化の程度が著しく劣っており、その結
果、表面粒子の剥離を防止できていないことが分かる。
【0074】なお、比較例5において見掛気孔率が実施
例1の11.4倍程度に高くなっているのは、硼酸、燐
酸、燐酸硼素のいずれも添加しなかったことと、焼成時
の水蒸気をゼロとしたことに起因すると推測される。
【0075】上記比較例1〜5をまとめて示すと表2の
ようになる。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】以上説明した通り、この発明の溶融シリ
カ質耐火物の製造方法によれば、溶融シリカ質耐火物の
持つ低熱膨張性、すなわち良好な耐熱衝撃性を維持しな
がら、1〜2%程度の見かけ気孔率と耐火物表面の粒子
の剥離防止とを実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 弘之 長崎県東彼杵郡川棚町百津郷296番地 川 棚東芝セラミックス株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒度調整された溶融シリカ粉末100重
    量%に、硼素および燐よりなる群から選ばれる少なくと
    も一種の元素を含有する化合物をB23、またはP25
    に換算した合計量で0.5重量%〜10重量%の範囲と
    なるように添加し、さらに適当な成形助剤を混合して成
    形用混合物を生成する第1工程と、 前記成形用混合物を所望形状に成形して成形体を得る第
    2工程と、 前記成形体を50容量%以上の水蒸気を含む雰囲気下で
    焼成する第3工程とを備えてなることを特徴とする溶融
    シリカ質耐火物の製造方法。
  2. 【請求項2】 硼素および燐よりなる群から選ばれる少
    なくとも一種の元素を含有する前記化合物が、前記第3
    工程において前記溶融シリカと反応してその溶融シリカ
    の粒子の粒界にガラス相を形成する性質を持つ請求項1
    に記載の溶融シリカ質耐火物の製造方法。
  3. 【請求項3】 硼素および燐よりなる群から選ばれる少
    なくとも一種の元素を含有する前記化合物が、硼酸、燐
    酸および燐酸硼素よりなる群から選ばれる少なくとも一
    種である請求項1または2に記載の溶融シリカ質耐火物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第3工程における前記成形体の焼成
    温度が、1050〜1250℃の範囲に設定されている
    請求項1〜3のいずれかに記載の溶融シリカ質耐火物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第3工程における前記成形体の焼成
    時間が、0.5〜20時間の範囲に設定されている請求
    項1〜4のいずれかに記載の溶融シリカ質耐火物の製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1840101A2 (en) 2006-03-31 2007-10-03 Nichias Corporation Fused siliceous refractory and production method thereof
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US20140147664A1 (en) * 2012-11-29 2014-05-29 Corning Incorporated Fused Silica Based Cellular Structures
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