JP3094148B2 - 軽量耐火物の製造方法 - Google Patents
軽量耐火物の製造方法Info
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- JP3094148B2 JP3094148B2 JP08077078A JP7707896A JP3094148B2 JP 3094148 B2 JP3094148 B2 JP 3094148B2 JP 08077078 A JP08077078 A JP 08077078A JP 7707896 A JP7707896 A JP 7707896A JP 3094148 B2 JP3094148 B2 JP 3094148B2
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- alumina
- refractory
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽量耐火物、特に粉
末冶金の製造工程で使用される焼成受け治具(以下、セ
ッターという)に好適な軽量耐火物並びにその製造方法
に関する。
末冶金の製造工程で使用される焼成受け治具(以下、セ
ッターという)に好適な軽量耐火物並びにその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】粉末
冶金の製造工程において、成形体を焼結させ、金属の持
つべき特性を十分に発現させるために焼成工程は必要不
可欠であり、また求める特性を十分に得るためにセッタ
ーが極めて重要な役割を果たしている。このセッター
は、ムライト製の台盤にSUS304のトレイを載せて
構成されるのが一般的である。しかし、上記の現在主流
となっているセッターは、SUS304に製品が付着す
るという問題があり、またムライト製の台盤は曲げ強さ
が3.9MPaと実用上問題の無い程度に高いものの、
密度が3.0g/cm3 と高いことから、加熱効率が悪
く省エネルギーの観点から問題がある。特に、最近で
は、製品の小型化が進行しており、セッターに比べて被
焼成物の重量が小さくなる傾向にあり、焼成燃費に占め
るセッター加熱の割合が無視できない状況にある。
冶金の製造工程において、成形体を焼結させ、金属の持
つべき特性を十分に発現させるために焼成工程は必要不
可欠であり、また求める特性を十分に得るためにセッタ
ーが極めて重要な役割を果たしている。このセッター
は、ムライト製の台盤にSUS304のトレイを載せて
構成されるのが一般的である。しかし、上記の現在主流
となっているセッターは、SUS304に製品が付着す
るという問題があり、またムライト製の台盤は曲げ強さ
が3.9MPaと実用上問題の無い程度に高いものの、
密度が3.0g/cm3 と高いことから、加熱効率が悪
く省エネルギーの観点から問題がある。特に、最近で
は、製品の小型化が進行しており、セッターに比べて被
焼成物の重量が小さくなる傾向にあり、焼成燃費に占め
るセッター加熱の割合が無視できない状況にある。
【0003】本発明は上記の状況に鑑みてなされたもの
であり、粉末冶金における省エネルギー及びコスト削減
を目的に、耐熱衝撃性を維持しつつ軽量化した、特にセ
ッターに好適な耐火物を提供することを目的とする。
であり、粉末冶金における省エネルギー及びコスト削減
を目的に、耐熱衝撃性を維持しつつ軽量化した、特にセ
ッターに好適な耐火物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明
の、 (1)水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトを主成分
とする耐火物原料粉末と、アルミナファイバー、アルミ
ナシリカ質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウ
ムウィスカーの混合物からなる繊維成分と、アラミドフ
ァイバーまたはカーボンファイバーの少なくとも一種と
を含む出発原料と、水とを混合してスラリーとし、この
スラリーを脱水成形した後、焼成してホウ酸アルミニウ
ムウィスカーの酸化ホウ素成分を気化して分解すること
を特徴とする軽量耐火物の製造方法、及び (2)前記耐火物原料粉末に、スメクタイトを添加する
ことを特徴とする上記(1)に記載の軽量耐火物の製造
方法によって達成される。
の、 (1)水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトを主成分
とする耐火物原料粉末と、アルミナファイバー、アルミ
ナシリカ質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウ
ムウィスカーの混合物からなる繊維成分と、アラミドフ
ァイバーまたはカーボンファイバーの少なくとも一種と
を含む出発原料と、水とを混合してスラリーとし、この
スラリーを脱水成形した後、焼成してホウ酸アルミニウ
ムウィスカーの酸化ホウ素成分を気化して分解すること
を特徴とする軽量耐火物の製造方法、及び (2)前記耐火物原料粉末に、スメクタイトを添加する
ことを特徴とする上記(1)に記載の軽量耐火物の製造
方法によって達成される。
【0005】上記の構成によれば、下記の如き作用効果
が得られる。 アルミナファイバー、アルミナシリカ質セラミックフ
ァイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカーを併用する
ことにより、焼成によりアルミナファイバーとアルミナ
シリカ質セラミックファイバーとが絡み合った間隙にム
ライト質ウィスカーが入り込んだ状態でマトリックス中
に均一に存在する組織となるため、これら繊維成分によ
る補強効果はより大きくなるとともに、軽量耐火物全体
に亘り均一な補強が得られる。 マトリックスが高耐熱性及び耐熱衝撃性に優れたコー
ジライト質であり、しかもホウ酸アルミニウムウィスカ
ーは焼成により酸化ホウ素成分が気化して分解し、残っ
たアルミナ成分が原料中のシリカ成分(タルク、セリサ
イト)と反応して耐熱性に優れたムライト質ウィスカー
となるため、得られる軽量耐火物は極めて熱的安定性が
高い。 ホウ酸アルミニウムウィスカーは、従来この種の耐火
物に使用されるアルミナウィスカーに比べて、またムラ
イト質ウィスカーを原料とする場合に比べても安価であ
り、更に市場からも入手し易い。 アラミドファイバーは脱水成形した成形体(以下、原
料成形体と呼ぶ)のハンドリング強度を増大させると共
に、焼成中に炭素化して焼成中の成形体に亀裂が発生す
るのを防止する。また、最終的には消失して気孔となる
ため、焼成体の軽量化に寄与する。カーボンファイバー
もほぼ同様な作用をする。 水硬性アルミナはマトリックス形成の他に無機バイン
ダーとしての機能も果たし、上記で述べたようなアラ
ミドファイバーの作用との相乗効果により、原料成形体
のハンドリング強度を更に増大させる。 スメクタイトを添加することにより、スラリーの粘性
が高まり、またスラリー調製時における混合中の剪断力
が増大して出発原料の分散性が良くなるとともに、水硬
性アルミナとゲル化反応を起こし原料成形体の硬化が促
進される。
が得られる。 アルミナファイバー、アルミナシリカ質セラミックフ
ァイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカーを併用する
ことにより、焼成によりアルミナファイバーとアルミナ
シリカ質セラミックファイバーとが絡み合った間隙にム
ライト質ウィスカーが入り込んだ状態でマトリックス中
に均一に存在する組織となるため、これら繊維成分によ
る補強効果はより大きくなるとともに、軽量耐火物全体
に亘り均一な補強が得られる。 マトリックスが高耐熱性及び耐熱衝撃性に優れたコー
ジライト質であり、しかもホウ酸アルミニウムウィスカ
ーは焼成により酸化ホウ素成分が気化して分解し、残っ
たアルミナ成分が原料中のシリカ成分(タルク、セリサ
イト)と反応して耐熱性に優れたムライト質ウィスカー
となるため、得られる軽量耐火物は極めて熱的安定性が
高い。 ホウ酸アルミニウムウィスカーは、従来この種の耐火
物に使用されるアルミナウィスカーに比べて、またムラ
イト質ウィスカーを原料とする場合に比べても安価であ
り、更に市場からも入手し易い。 アラミドファイバーは脱水成形した成形体(以下、原
料成形体と呼ぶ)のハンドリング強度を増大させると共
に、焼成中に炭素化して焼成中の成形体に亀裂が発生す
るのを防止する。また、最終的には消失して気孔となる
ため、焼成体の軽量化に寄与する。カーボンファイバー
もほぼ同様な作用をする。 水硬性アルミナはマトリックス形成の他に無機バイン
ダーとしての機能も果たし、上記で述べたようなアラ
ミドファイバーの作用との相乗効果により、原料成形体
のハンドリング強度を更に増大させる。 スメクタイトを添加することにより、スラリーの粘性
が高まり、またスラリー調製時における混合中の剪断力
が増大して出発原料の分散性が良くなるとともに、水硬
性アルミナとゲル化反応を起こし原料成形体の硬化が促
進される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の軽量耐火物の製
造方法に関して詳細に説明する。本発明の軽量耐火物
は、水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトを主成分と
する原料粉末、アルミナファイバー、アルミナシリカ質
セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカ
ーの混合物からなる繊維成分、及びアラミドファイバー
またはカーボンファイバーの少なくとも一種を含む出発
原料を水と混合してスラリーとし、このスラリーを脱水
成形した後、空気中で高温焼成してホウ酸アルミニウム
ウィスカーの酸化ホウ素成分を気化して分解することに
より得られる。
造方法に関して詳細に説明する。本発明の軽量耐火物
は、水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトを主成分と
する原料粉末、アルミナファイバー、アルミナシリカ質
セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカ
ーの混合物からなる繊維成分、及びアラミドファイバー
またはカーボンファイバーの少なくとも一種を含む出発
原料を水と混合してスラリーとし、このスラリーを脱水
成形した後、空気中で高温焼成してホウ酸アルミニウム
ウィスカーの酸化ホウ素成分を気化して分解することに
より得られる。
【0007】原料粉末の組成は、水硬性アルミナ、タル
ク及びセリサイトとが合計で出発原料の50〜90重量
%、特に70〜80重量%を占めることが好ましい。ま
た、水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトの混合割合
は65:20:15〜20:55:15、特に50:3
8:12〜55:35:10であることが好ましい。原
料粉末の組成において、上記の範囲外にある場合には、
軽量耐火物のマトリクッスとなるコージライト質の生成
に支障をきたし、コージライト質が有する高耐熱性及び
耐熱衝撃性が十分に得られない。また、原料粉末を構成
する前記各成分の平均粒径は3〜30μm、特に5〜1
5μmであることが好ましい。
ク及びセリサイトとが合計で出発原料の50〜90重量
%、特に70〜80重量%を占めることが好ましい。ま
た、水硬性アルミナ、タルク及びセリサイトの混合割合
は65:20:15〜20:55:15、特に50:3
8:12〜55:35:10であることが好ましい。原
料粉末の組成において、上記の範囲外にある場合には、
軽量耐火物のマトリクッスとなるコージライト質の生成
に支障をきたし、コージライト質が有する高耐熱性及び
耐熱衝撃性が十分に得られない。また、原料粉末を構成
する前記各成分の平均粒径は3〜30μm、特に5〜1
5μmであることが好ましい。
【0008】アルミナファイバー、アルミナシリカ質セ
ラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカー
からなる繊維成分は、水と混合してスラリーを調製する
際にアルミナファイバーとアルミナシリカ質セラミック
ファイバーとが相互に絡み合って生じた間隙にホウ酸ア
ルミニウムウィスカーが入り込み、スラリー中に均一に
分散される。従って、原料成形体及び焼成体(即ち、本
発明の軽量耐火物と同義である)となった時に、これら
繊維成分が相互に絡み合った状態でコージライト質マト
リックス中に均一に存在して、焼成体全体にわたり機械
的強度を増強させる。特に、ホウ酸アルミニウムウィス
カーの酸化ホウ素成分は気化して分解されて、残ったア
ルミナ成分が原料中のシリカ成分と反応して耐熱性に優
れたムライト質ウィスカーとなって、軽量耐火物の熱的
安定性を高める。アルミナファイバー、アルミナシリカ
質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィス
カーの混合割合は85:10:5〜5:65:30、特
に40:48:12〜30:52:18であることが好
ましい。この範囲外では、焼成体の補強効果が十分に得
られない。また、ホウ酸アルミニウムウィスカーの大き
さは特に制限されないが、長径部分で10〜30μmで
あることが好ましい。
ラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィスカー
からなる繊維成分は、水と混合してスラリーを調製する
際にアルミナファイバーとアルミナシリカ質セラミック
ファイバーとが相互に絡み合って生じた間隙にホウ酸ア
ルミニウムウィスカーが入り込み、スラリー中に均一に
分散される。従って、原料成形体及び焼成体(即ち、本
発明の軽量耐火物と同義である)となった時に、これら
繊維成分が相互に絡み合った状態でコージライト質マト
リックス中に均一に存在して、焼成体全体にわたり機械
的強度を増強させる。特に、ホウ酸アルミニウムウィス
カーの酸化ホウ素成分は気化して分解されて、残ったア
ルミナ成分が原料中のシリカ成分と反応して耐熱性に優
れたムライト質ウィスカーとなって、軽量耐火物の熱的
安定性を高める。アルミナファイバー、アルミナシリカ
質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウィス
カーの混合割合は85:10:5〜5:65:30、特
に40:48:12〜30:52:18であることが好
ましい。この範囲外では、焼成体の補強効果が十分に得
られない。また、ホウ酸アルミニウムウィスカーの大き
さは特に制限されないが、長径部分で10〜30μmで
あることが好ましい。
【0009】出発原料には軽量化を目的として、アラミ
ドファイバーまたはカーボンファイバーを単独で、もし
くは両者を任意の割合で混合して配合する。これらは、
焼成により分解して消失し、焼成体中に気孔となって均
一に分布して焼成体の密度を減少させる。また、その配
合量は、出発原料中に3〜30重量%、好ましくは5〜
12重量%配合される。上記の量よりも少ないと、焼成
体の軽量化に寄与せず、一方上記範囲よりも多いには、
焼成体に占める気孔の割合が多くなりすぎ、曲げ強度の
低下を招き好ましくない。尚、アラミドファイバー及び
カーボンファイバーの大きさは特に制限されないが、長
径部分で6〜18μmであることが好ましい。
ドファイバーまたはカーボンファイバーを単独で、もし
くは両者を任意の割合で混合して配合する。これらは、
焼成により分解して消失し、焼成体中に気孔となって均
一に分布して焼成体の密度を減少させる。また、その配
合量は、出発原料中に3〜30重量%、好ましくは5〜
12重量%配合される。上記の量よりも少ないと、焼成
体の軽量化に寄与せず、一方上記範囲よりも多いには、
焼成体に占める気孔の割合が多くなりすぎ、曲げ強度の
低下を招き好ましくない。尚、アラミドファイバー及び
カーボンファイバーの大きさは特に制限されないが、長
径部分で6〜18μmであることが好ましい。
【0010】出発原料は上記の原料粉末、繊維成分及び
アラミドファイバーまたはカーボンファイバーを必須成
分とするが、スメクタイトの粉末を添加してもよい。ス
メクタイトは粘土質であることから、水スラリーとした
時の粘度調整剤として機能するとともに、スラリーの分
散性を向上させることができる。また、原料成形体とす
る時の成形性及び形状安定性を向上させるとともに、水
硬性アルミナとゲル化反応を起こし原料成形体の硬化を
促進させる。更に、このスメクタイトは、焼成時に原料
成形体の亀裂や破損を防止することができ、焼成体の機
械的強度を向上させることができる。このスメクタイト
の添加量としては、出発原料に対して0.5〜8重量
%、特に1〜4重量%であることが好ましい。
アラミドファイバーまたはカーボンファイバーを必須成
分とするが、スメクタイトの粉末を添加してもよい。ス
メクタイトは粘土質であることから、水スラリーとした
時の粘度調整剤として機能するとともに、スラリーの分
散性を向上させることができる。また、原料成形体とす
る時の成形性及び形状安定性を向上させるとともに、水
硬性アルミナとゲル化反応を起こし原料成形体の硬化を
促進させる。更に、このスメクタイトは、焼成時に原料
成形体の亀裂や破損を防止することができ、焼成体の機
械的強度を向上させることができる。このスメクタイト
の添加量としては、出発原料に対して0.5〜8重量
%、特に1〜4重量%であることが好ましい。
【0011】そして、上記の出発原料を水に混合してス
ラリーとし、これを脱水成形してなる原料成形体を所定
温度で焼成し、ホウ酸アルミニウムウィスカーの酸化ホ
ウ素成分を気化して分解することで軽量耐火物が得られ
る。ここで、スラリーにおける出発原料と水との混合割
合は、成形に支障の無い範囲であれば特に制限されない
が、水の割合が高くなると焼成体の密度が低減する傾向
にある。脱水成形は、例えばスラリーを金型に注入した
状態で乾燥炉中50℃で1時間加熱した後、金型から外
し、更に乾燥炉中100℃で1時間加熱、乾燥して行わ
れる。そして、原料成形体は、所定の温度で焼成され
る。焼成温度はコージライトが生成するとともに、アラ
ミドファイバーまたはカーボンファイバーが分解消失す
るのに必要な温度である。この温度は出発原料の組成に
より変化し、また一般に焼成温度が高くなると、焼結体
の収縮率が大きくなり密度が高くなる傾向にあることか
ら、用途に応じて目的とする密度と曲げ強度とを考慮し
て焼成温度を設定することが好ましい。本発明において
は、セッターとして実用上好ましい密度0.8kg/c
m3 以下、曲げ強度5.0MPaを得ることを目的とし
ており、これらを満足するためには、上記の好ましい原
料組成において、焼成温度は概ね1350〜1450℃
である。
ラリーとし、これを脱水成形してなる原料成形体を所定
温度で焼成し、ホウ酸アルミニウムウィスカーの酸化ホ
ウ素成分を気化して分解することで軽量耐火物が得られ
る。ここで、スラリーにおける出発原料と水との混合割
合は、成形に支障の無い範囲であれば特に制限されない
が、水の割合が高くなると焼成体の密度が低減する傾向
にある。脱水成形は、例えばスラリーを金型に注入した
状態で乾燥炉中50℃で1時間加熱した後、金型から外
し、更に乾燥炉中100℃で1時間加熱、乾燥して行わ
れる。そして、原料成形体は、所定の温度で焼成され
る。焼成温度はコージライトが生成するとともに、アラ
ミドファイバーまたはカーボンファイバーが分解消失す
るのに必要な温度である。この温度は出発原料の組成に
より変化し、また一般に焼成温度が高くなると、焼結体
の収縮率が大きくなり密度が高くなる傾向にあることか
ら、用途に応じて目的とする密度と曲げ強度とを考慮し
て焼成温度を設定することが好ましい。本発明において
は、セッターとして実用上好ましい密度0.8kg/c
m3 以下、曲げ強度5.0MPaを得ることを目的とし
ており、これらを満足するためには、上記の好ましい原
料組成において、焼成温度は概ね1350〜1450℃
である。
【0012】上記の如く得られる本発明の軽量耐火物
は、コージライト質をマトリックスとして、その中に繊
維成分が相互に絡み合った状態で均一に分散し、またス
メクタイトを添加した場合にはスメクタイトが均一に分
散し、更に焼成によりアラミドファイバーまたはカーボ
ンファイバーが消失して生じた気孔が均一に分布した構
造を有する。
は、コージライト質をマトリックスとして、その中に繊
維成分が相互に絡み合った状態で均一に分散し、またス
メクタイトを添加した場合にはスメクタイトが均一に分
散し、更に焼成によりアラミドファイバーまたはカーボ
ンファイバーが消失して生じた気孔が均一に分布した構
造を有する。
【0013】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細
に説明する。表1に示す割合で、出発原料と水とを攪拌
機を用いて2分間攪拌してスラリーを調製した。
に説明する。表1に示す割合で、出発原料と水とを攪拌
機を用いて2分間攪拌してスラリーを調製した。
【0014】
【表1】
【0015】そして、スラリーを金枠(120×120
×10mm)中に流し込み、その表面をSUS製のコテ
を使用して平滑化した。尚、離型性を上げるためにグラ
スクロスを底部に敷き、金枠にマシン油を塗布した。次
いで、スラリーを流し込んだ金枠を乾燥炉中50℃で1
時間加熱した後、金枠及びグラスクロスから外し、更に
乾燥炉中100℃で1時間加熱、乾燥して成形体を作成
した。実施例2では、得られた成形体にコロイダルシリ
カ(固形分20%)を200重量%含浸させた後、再度
乾燥して原料成形体とした。前記脱水成形した原料成形
体を(株)広築製HLF 203 5型高温電気炉を用
いて、温度を変えて空気中で30分間保持して焼成し
た。焼成条件は、急熱急冷とした。
×10mm)中に流し込み、その表面をSUS製のコテ
を使用して平滑化した。尚、離型性を上げるためにグラ
スクロスを底部に敷き、金枠にマシン油を塗布した。次
いで、スラリーを流し込んだ金枠を乾燥炉中50℃で1
時間加熱した後、金枠及びグラスクロスから外し、更に
乾燥炉中100℃で1時間加熱、乾燥して成形体を作成
した。実施例2では、得られた成形体にコロイダルシリ
カ(固形分20%)を200重量%含浸させた後、再度
乾燥して原料成形体とした。前記脱水成形した原料成形
体を(株)広築製HLF 203 5型高温電気炉を用
いて、温度を変えて空気中で30分間保持して焼成し
た。焼成条件は、急熱急冷とした。
【0016】得られた焼成体について、密度及び収縮率
を測定するとともに、(株)島津製作所製オートグラフ
AG−A型を用いて、3点曲げ試験を行った。下部支点
距離は、50mm、クロスヘッド速度は、0.5mm/
minとした。測定結果を、図1及び図2に示す。実施
例1及び実施例2とも、ムライト台盤とSUSとから構
成された従来品と同等以上の曲げ強度を有するととも
に、密度が大幅に低減している。
を測定するとともに、(株)島津製作所製オートグラフ
AG−A型を用いて、3点曲げ試験を行った。下部支点
距離は、50mm、クロスヘッド速度は、0.5mm/
minとした。測定結果を、図1及び図2に示す。実施
例1及び実施例2とも、ムライト台盤とSUSとから構
成された従来品と同等以上の曲げ強度を有するととも
に、密度が大幅に低減している。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば下
記の如き作用効果が得られ、特にセッターに好適に適用
することができる。アルミナファイバー、アルミナシ
リカ質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウ
ィスカーを併用することにより、焼成によりアルミナフ
ァイバーとアルミナシリカ質セラミックファイバーとが
絡み合った間隙にムライト質ウィスカーが入り込んだ状
態でマトリックス中に均一に存在する組織となるため、
これら繊維成分による補強効果はより大きくなるととも
に、軽量耐火物全体に亘り均一な補強が得られる。マ
トリックスが高耐熱性及び耐熱衝撃性に優れたコージラ
イト質であり、しかもホウ酸アルミニウムウィスカーは
焼成により酸化ホウ素成分が気化して分解し、残ったア
ルミナ成分が原料中のシリカ成分(タルク、セリサイ
ト)と反応して耐熱性に優れたムライト質ウィスカーと
なるため、得られる軽量耐火物は極めて熱的安定性が高
い。ホウ酸アルミニウムウィスカーは、従来この種の
耐火物に使用されるアルミナウィスカーに比べて、また
ムライト質ウィスカーを原料とする場合に比べても安価
であり、更に市場からも入手し易い。アラミドファイ
バーは脱水成形した成形体のハンドリング強度を増大さ
せると共に、焼成中に炭素化して焼成中の成形体に亀裂
が発生するのを防止する。また、最終的には消失して気
孔となるため、焼成体の軽量化に寄与する。カーボンフ
ァイバーもほぼ同様な作用をする。水硬性アルミナは
マトリックス形成の他に無機バインダーとしての機能も
果たし、上記で述べたようなアラミドファイバーの作
用との相乗効果により、原料成形体のハンドリング強度
を更に増大させる。スメクタイトを添加することによ
り、スラリーの粘性が高まり、またスラリー調製時にお
ける混合中の剪断力が増大して出発原料の分散性が良く
なるとともに、水硬性アルミナとゲル化反応を起こし原
料成形体の硬化が促進される。
記の如き作用効果が得られ、特にセッターに好適に適用
することができる。アルミナファイバー、アルミナシ
リカ質セラミックファイバー及びホウ酸アルミニウムウ
ィスカーを併用することにより、焼成によりアルミナフ
ァイバーとアルミナシリカ質セラミックファイバーとが
絡み合った間隙にムライト質ウィスカーが入り込んだ状
態でマトリックス中に均一に存在する組織となるため、
これら繊維成分による補強効果はより大きくなるととも
に、軽量耐火物全体に亘り均一な補強が得られる。マ
トリックスが高耐熱性及び耐熱衝撃性に優れたコージラ
イト質であり、しかもホウ酸アルミニウムウィスカーは
焼成により酸化ホウ素成分が気化して分解し、残ったア
ルミナ成分が原料中のシリカ成分(タルク、セリサイ
ト)と反応して耐熱性に優れたムライト質ウィスカーと
なるため、得られる軽量耐火物は極めて熱的安定性が高
い。ホウ酸アルミニウムウィスカーは、従来この種の
耐火物に使用されるアルミナウィスカーに比べて、また
ムライト質ウィスカーを原料とする場合に比べても安価
であり、更に市場からも入手し易い。アラミドファイ
バーは脱水成形した成形体のハンドリング強度を増大さ
せると共に、焼成中に炭素化して焼成中の成形体に亀裂
が発生するのを防止する。また、最終的には消失して気
孔となるため、焼成体の軽量化に寄与する。カーボンフ
ァイバーもほぼ同様な作用をする。水硬性アルミナは
マトリックス形成の他に無機バインダーとしての機能も
果たし、上記で述べたようなアラミドファイバーの作
用との相乗効果により、原料成形体のハンドリング強度
を更に増大させる。スメクタイトを添加することによ
り、スラリーの粘性が高まり、またスラリー調製時にお
ける混合中の剪断力が増大して出発原料の分散性が良く
なるとともに、水硬性アルミナとゲル化反応を起こし原
料成形体の硬化が促進される。
【図1】実施例1において、焼成温度と得られた焼成体
の密度、曲げ強度並びに収縮率の関係を示すグラフであ
る。
の密度、曲げ強度並びに収縮率の関係を示すグラフであ
る。
【図2】実施例2において、焼成温度と得られた焼成体
の密度、曲げ強度並びに収縮率の関係を示すグラフであ
る。
の密度、曲げ強度並びに収縮率の関係を示すグラフであ
る。
フロントページの続き (73)特許権者 595109708 ナパック株式会社 長野県駒ヶ根市飯坂1丁目32番2号 (72)発明者 西山 文毅 長野県長野市丹波島2−2−3 (72)発明者 矢島 洋一 長野県長野市大字風間1374−15 (72)発明者 塚原 幹夫 千葉県印旛郡印西町小倉台1−1 (72)発明者 福田 力夫 長野県上水内郡牟礼村大字牟礼708−4 (72)発明者 館林 清夫 長野県長野市松代町東寺尾3893 (72)発明者 鈴木 明 長野県駒ケ根市梨ノ木6−24 (56)参考文献 特開 平5−270943(JP,A) 特開 平5−279143(JP,A) 特開 平1−167281(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/06 C04B 38/00 304 C04B 35/64 C04B 35/80
Claims (2)
- 【請求項1】 水硬性アルミナ、タルク及びセリサイト
を主成分とする耐火物原料粉末と、アルミナファイバ
ー、アルミナシリカ質セラミックファイバー及びホウ酸
アルミニウムウィスカーの混合物からなる繊維成分と、
アラミドファイバーまたはカーボンファイバーの少なく
とも一種とを含む出発原料と、水とを混合してスラリー
とし、このスラリーを脱水成形した後、焼成してホウ酸
アルミニウムウィスカーの酸化ホウ素成分を気化して分
解することを特徴とする軽量耐火物の製造方法。 - 【請求項2】 前記耐火物原料粉末に、スメクタイトを
添加することを特徴とする請求項1に記載の軽量耐火物
の製造方法。
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-
1996
- 1996-03-29 JP JP08077078A patent/JP3094148B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0619595U (ja) * | 1992-05-29 | 1994-03-15 | 株式会社ノーリツ | 天板接合構造 |
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