JPH0959767A - Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法 - Google Patents
Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法Info
- Publication number
- JPH0959767A JPH0959767A JP23929695A JP23929695A JPH0959767A JP H0959767 A JPH0959767 A JP H0959767A JP 23929695 A JP23929695 A JP 23929695A JP 23929695 A JP23929695 A JP 23929695A JP H0959767 A JPH0959767 A JP H0959767A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- pbn
- liner
- film
- hearth
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 Al−Cu等の合金膜を、大面積にわたって
均一に成膜する。 【解決手段】 PBN(パイロリティック窒化ボロン)
からなるライナ本体の表面を導電性膜で被覆したハース
ライナ21を用いて合金を電子ビーム蒸着する。
均一に成膜する。 【解決手段】 PBN(パイロリティック窒化ボロン)
からなるライナ本体の表面を導電性膜で被覆したハース
ライナ21を用いて合金を電子ビーム蒸着する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハースライナを用い
た合金の成膜方法に関する。
た合金の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学部品、電子部品等の基板に薄膜を形
成する成膜方式としては、電子ビームを蒸着材料に照射
して加熱し、これを蒸発させる電子ビーム蒸着が汎く用
いられている(「薄膜工学ハンドブック」オーム社発
行,p101〜p105,昭和58年12月10日発
行)。電子ビーム蒸着の蒸発源として用いられる電子銃
は、一般には水冷された銅製のハース(るつぼ)を複数
個具えており、ハース内に直接蒸着材料を充填し、必要
に応じてハースを回転させて使用ハースを変更しなが
ら、電子ビームを蒸着材料に直接照射して蒸着すること
ができる。しかし一方において、直接ハース内に蒸着材
料を充填するのではなく、ハース内に収納されるハース
ライナと呼ばれる内容器を用い、このハースライナ内に
蒸着材料を充填して電子ビームを照射する場合が多い。
成する成膜方式としては、電子ビームを蒸着材料に照射
して加熱し、これを蒸発させる電子ビーム蒸着が汎く用
いられている(「薄膜工学ハンドブック」オーム社発
行,p101〜p105,昭和58年12月10日発
行)。電子ビーム蒸着の蒸発源として用いられる電子銃
は、一般には水冷された銅製のハース(るつぼ)を複数
個具えており、ハース内に直接蒸着材料を充填し、必要
に応じてハースを回転させて使用ハースを変更しなが
ら、電子ビームを蒸着材料に直接照射して蒸着すること
ができる。しかし一方において、直接ハース内に蒸着材
料を充填するのではなく、ハース内に収納されるハース
ライナと呼ばれる内容器を用い、このハースライナ内に
蒸着材料を充填して電子ビームを照射する場合が多い。
【0003】ハースライナを用いると、以下のような利
点が得られる。 (1) 蒸着材料に蒸発源の掃除をするとき、小部品で
あるハースライナを外部に取り出して掃除できるので、
掃除が容易である。 (2) 同一の電子銃で異なる蒸着材料を蒸着するとき
でも、ハースライナのみのを交換すればよく、これによ
り蒸着時の汚染を十分に防止できる。
点が得られる。 (1) 蒸着材料に蒸発源の掃除をするとき、小部品で
あるハースライナを外部に取り出して掃除できるので、
掃除が容易である。 (2) 同一の電子銃で異なる蒸着材料を蒸着するとき
でも、ハースライナのみのを交換すればよく、これによ
り蒸着時の汚染を十分に防止できる。
【0004】ハースライナとしては、炭素製のCハース
ライナなどが知られている。しかしながら、Cハースラ
イナ等の従来の素材で作成されたハースライナでは、非
反応性に乏しく、例えばCハースライナを用いてアルミ
ニウムを電子ビーム蒸着すると、炭素とアルミニウムが
反応して炭化アルミニウム(Al4C3)を生じ、得られ
るアルミニウム薄膜の結晶性、純度を低下させる。
ライナなどが知られている。しかしながら、Cハースラ
イナ等の従来の素材で作成されたハースライナでは、非
反応性に乏しく、例えばCハースライナを用いてアルミ
ニウムを電子ビーム蒸着すると、炭素とアルミニウムが
反応して炭化アルミニウム(Al4C3)を生じ、得られ
るアルミニウム薄膜の結晶性、純度を低下させる。
【0005】また、従来のCハースライナの蒸着物質に
電子ビームを照射させると、ハースライナ内の蒸着物質
の全てが溶融するのではなく、電子ビームが照射された
極く近傍しか溶融しないため基板上に形成される成膜の
膜厚分布が取りにくいという問題があった。そのため、
再現性に限界があり、また、大面積基板への均一膜厚の
薄膜形成が困難であった。さらに、アルミニウムのよう
に濡れる物質を電子ビーム蒸着すると、アルミニウムが
ハースライナ内壁に沿って這上り、溶融状態の視察を困
難にしたり、溶け跡の状態が悪いという問題もあった。
電子ビームを照射させると、ハースライナ内の蒸着物質
の全てが溶融するのではなく、電子ビームが照射された
極く近傍しか溶融しないため基板上に形成される成膜の
膜厚分布が取りにくいという問題があった。そのため、
再現性に限界があり、また、大面積基板への均一膜厚の
薄膜形成が困難であった。さらに、アルミニウムのよう
に濡れる物質を電子ビーム蒸着すると、アルミニウムが
ハースライナ内壁に沿って這上り、溶融状態の視察を困
難にしたり、溶け跡の状態が悪いという問題もあった。
【0006】また、電子ビーム蒸着により、合金薄膜を
成膜することも行なわれている。この合金の成膜の際の
最大の問題点は、合金成分の蒸発速度が均一でない点に
あり、例えばAl−Cu合金ではAlの蒸発速度が大き
い。そのため従来のハースライナを用いてAl−Cu合
金を電子ビーム蒸着すると、電子ビームが照射される狭
い範囲でCu量が徐々に増加し、ある程度の深さまで蒸
着を進めると、Cu量が大きく増加し、規格範囲の成膜
を得られなくなる。そのため、蒸着を中断せざるを得
ず、残余のAl−Cu合金が無駄となる。
成膜することも行なわれている。この合金の成膜の際の
最大の問題点は、合金成分の蒸発速度が均一でない点に
あり、例えばAl−Cu合金ではAlの蒸発速度が大き
い。そのため従来のハースライナを用いてAl−Cu合
金を電子ビーム蒸着すると、電子ビームが照射される狭
い範囲でCu量が徐々に増加し、ある程度の深さまで蒸
着を進めると、Cu量が大きく増加し、規格範囲の成膜
を得られなくなる。そのため、蒸着を中断せざるを得
ず、残余のAl−Cu合金が無駄となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハースライ
ナを用いて合金の成膜における問題点を解決することを
目的とする。
ナを用いて合金の成膜における問題点を解決することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の合金の成膜方法
は、PBNからなるハースライナ本体の表面を導電性膜
で被覆した電子ビーム蒸着用PBNハースライナ内に合
金ないしは合金の成分金属を収納し、該ハースライナ内
に電子ビームを照射して蒸着し合金を成膜することを特
徴とする。
は、PBNからなるハースライナ本体の表面を導電性膜
で被覆した電子ビーム蒸着用PBNハースライナ内に合
金ないしは合金の成分金属を収納し、該ハースライナ内
に電子ビームを照射して蒸着し合金を成膜することを特
徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のPBNハースラ
イナ21をハース11内に配設した状態で示す実施例で
あり、図2は、このPBNハースライナ21の拡大断面
図である。冷却水13で冷却された銅製のハース11内
にPBNハースライナ21が収納されている。PBNハ
ースライナ21は、PBNからなるPBNライナ本体2
3に導電性膜25が被覆されており、その底部がハース
11に接触して冷却水13により冷却されている。
イナ21をハース11内に配設した状態で示す実施例で
あり、図2は、このPBNハースライナ21の拡大断面
図である。冷却水13で冷却された銅製のハース11内
にPBNハースライナ21が収納されている。PBNハ
ースライナ21は、PBNからなるPBNライナ本体2
3に導電性膜25が被覆されており、その底部がハース
11に接触して冷却水13により冷却されている。
【0010】PBN(Pyrolytic Boron
Nitride:パイロリティック窒化ボロン)は、
CVD(Chemical Vapour Depos
ition:化学的気相成長法)を利用した熱分解法に
より製造できる。PBNは絶縁性である。PBNハース
ライナ21の表面には導電性膜25が施されており、こ
のPBNハースライナ21には、蒸着材料としてのAl
−Cu等の合金31が充填されている。電子銃から電子
ビームを合金31の表面に照射して電子を投入すると、
導電性膜25を通してPBNライナ本体23に電流が流
れ、PBNライナ本体23自体が赤熱し、内部の合金3
1が蒸発可能な温度になる。このとき、PBNハースラ
イナ23内の合金は全体的に溶融しており、液面全体か
ら合金31が蒸発し、広い面積にわたって膜厚分布を得
ることができる。すなわち、大面積の基板に対して均一
に成膜することができる。また、同一の面積の基板につ
いて従来のハースライナと比較すれば、再現性がより良
好となる。
Nitride:パイロリティック窒化ボロン)は、
CVD(Chemical Vapour Depos
ition:化学的気相成長法)を利用した熱分解法に
より製造できる。PBNは絶縁性である。PBNハース
ライナ21の表面には導電性膜25が施されており、こ
のPBNハースライナ21には、蒸着材料としてのAl
−Cu等の合金31が充填されている。電子銃から電子
ビームを合金31の表面に照射して電子を投入すると、
導電性膜25を通してPBNライナ本体23に電流が流
れ、PBNライナ本体23自体が赤熱し、内部の合金3
1が蒸発可能な温度になる。このとき、PBNハースラ
イナ23内の合金は全体的に溶融しており、液面全体か
ら合金31が蒸発し、広い面積にわたって膜厚分布を得
ることができる。すなわち、大面積の基板に対して均一
に成膜することができる。また、同一の面積の基板につ
いて従来のハースライナと比較すれば、再現性がより良
好となる。
【0011】仮りに、導電性膜25が施されていないP
BNライナ本体23に直接合金31を充填して電子ビー
ムを照射したとすると、PBNライナ本体23自体は絶
縁体であるため電子の逃げ場がなく、チャージアップを
起こす。そこで本発明では、PBNライナ本体23を導
電性膜25で被覆し、チャージアップを防止した。電子
は、導電性膜25を通ってハース11からリークするこ
とができる。
BNライナ本体23に直接合金31を充填して電子ビー
ムを照射したとすると、PBNライナ本体23自体は絶
縁体であるため電子の逃げ場がなく、チャージアップを
起こす。そこで本発明では、PBNライナ本体23を導
電性膜25で被覆し、チャージアップを防止した。電子
は、導電性膜25を通ってハース11からリークするこ
とができる。
【0012】また、PBNは溶融金属と非常に反応しに
くく、高純度の合金を成膜することができる。導電性膜
25の材料、形成方法は問わないが、PBNの特性を生
かす意味から溶融金属と反応しにくいものが好ましい。
このような導電性膜25の代表例としては、PG膜があ
る。ここでPG膜とはpyrolytic Graph
ite(ピロリティック グラファイト)を指し、PB
Nと同様の手法で製造できる。PBNは熱分解法を利用
して作成されるため、PBNライナ本体23は、微視的
に見ると図4に示すような一種の積層膜構造を有し、積
層膜の面方向と厚さ方向とでは異方性を有する。
くく、高純度の合金を成膜することができる。導電性膜
25の材料、形成方法は問わないが、PBNの特性を生
かす意味から溶融金属と反応しにくいものが好ましい。
このような導電性膜25の代表例としては、PG膜があ
る。ここでPG膜とはpyrolytic Graph
ite(ピロリティック グラファイト)を指し、PB
Nと同様の手法で製造できる。PBNは熱分解法を利用
して作成されるため、PBNライナ本体23は、微視的
に見ると図4に示すような一種の積層膜構造を有し、積
層膜の面方向と厚さ方向とでは異方性を有する。
【0013】PBNのもつ熱伝導特性により面方向熱伝
導が大きく、PBNハースライナ21の温度分布が均一
となる。一方、厚さ方向の熱伝導度は面方向に比べてか
なり小さく保温性に優れ、小さな電子ビームパワーで効
率的に蒸着を行なうことができる。また、Alのように
漏れやすい金属でも、PBNハースライナ21の内壁面
を這上ることがなく、溶融状態の視察の障害となった
り、蒸着処理後にも掃除の面倒などがない。
導が大きく、PBNハースライナ21の温度分布が均一
となる。一方、厚さ方向の熱伝導度は面方向に比べてか
なり小さく保温性に優れ、小さな電子ビームパワーで効
率的に蒸着を行なうことができる。また、Alのように
漏れやすい金属でも、PBNハースライナ21の内壁面
を這上ることがなく、溶融状態の視察の障害となった
り、蒸着処理後にも掃除の面倒などがない。
【0014】しかし一方において、PBNは積層構造で
あるが故の問題点もある。図3に示すように、容器状の
PBNライナ本体23の開口部端面23aでは、積層構
造の末端が露出しており、層間から異物が浸入してPB
Nの積層構造が損傷を受けやすい。図1,2の本発明の
実施例では、この開口部端面23aを導電性膜25で被
覆保護し、上記損傷を防止している。
あるが故の問題点もある。図3に示すように、容器状の
PBNライナ本体23の開口部端面23aでは、積層構
造の末端が露出しており、層間から異物が浸入してPB
Nの積層構造が損傷を受けやすい。図1,2の本発明の
実施例では、この開口部端面23aを導電性膜25で被
覆保護し、上記損傷を防止している。
【0015】図4は本発明のPBNハースライナの他の
実施例を示す断面図であり、導電性膜25の形成位置が
異なるだけである。導電性膜25′は、容器状のPBN
ライナ本体23の開口部端面23aを被覆して保護して
いる。電子ビームにより合金31に電子が投入される
と、図1、図2の実施例のようにシース11にリークす
ることはできないが、導電子膜25′が存在することに
より、反射電子、2次電子、熱電子などの形でリーク
し、合金31に電子が蓄積してチャージアップを起こす
ことがない。
実施例を示す断面図であり、導電性膜25の形成位置が
異なるだけである。導電性膜25′は、容器状のPBN
ライナ本体23の開口部端面23aを被覆して保護して
いる。電子ビームにより合金31に電子が投入される
と、図1、図2の実施例のようにシース11にリークす
ることはできないが、導電子膜25′が存在することに
より、反射電子、2次電子、熱電子などの形でリーク
し、合金31に電子が蓄積してチャージアップを起こす
ことがない。
【0016】金属の中でも合金は、均一組成の膜を安定
して蒸着することが困難であるとされている。しかし、
本発明のPBNハースライナを用いれば、均一な組成の
合金膜を成膜することができる。
して蒸着することが困難であるとされている。しかし、
本発明のPBNハースライナを用いれば、均一な組成の
合金膜を成膜することができる。
【0017】以下の合金の蒸着について、Al−Cu合
金の場合を中心とし、図1と図2に沿って説明する。A
l−Cu等の合金31をPBNハースライナ21内に装
入して電子ビームを投入すると、PBNライナ本体23
自体の赤熱により、合金31全体が溶融し、この溶融合
金31は表面と底部との間で対流する。Al−Cu合金
ではAlの蒸発速度の方が大きい。そこでもし全体溶融
・対流が生ぜず、表面部の狭い範囲での蒸発が順次下部
に向かって繰返されていくと、徐々にAl濃度が減少し
Cu濃度が増加し、ついには目的とする許容規格組成の
成膜が困難となり、比較的早くこの状態に達する。
金の場合を中心とし、図1と図2に沿って説明する。A
l−Cu等の合金31をPBNハースライナ21内に装
入して電子ビームを投入すると、PBNライナ本体23
自体の赤熱により、合金31全体が溶融し、この溶融合
金31は表面と底部との間で対流する。Al−Cu合金
ではAlの蒸発速度の方が大きい。そこでもし全体溶融
・対流が生ぜず、表面部の狭い範囲での蒸発が順次下部
に向かって繰返されていくと、徐々にAl濃度が減少し
Cu濃度が増加し、ついには目的とする許容規格組成の
成膜が困難となり、比較的早くこの状態に達する。
【0018】これに対して本発明では、前述のようにA
l−Cu合金の全体が溶解し、しかも対流するので、合
金31の表面層でAlがCuに比べて大量に蒸発したと
しても、対流による均一混合より合金31の全体量で組
成が変動する。全体量で見れば、Cuに対して過剰に蒸
発したAlは小さな割合である。したがって長期にわた
って、許容範囲のAl/Cu比率を保つことができる。
l−Cu合金の全体が溶解し、しかも対流するので、合
金31の表面層でAlがCuに比べて大量に蒸発したと
しても、対流による均一混合より合金31の全体量で組
成が変動する。全体量で見れば、Cuに対して過剰に蒸
発したAlは小さな割合である。したがって長期にわた
って、許容範囲のAl/Cu比率を保つことができる。
【0019】また、Al−Cu等の合金の場合は、成分
の蒸発速度が違うことから、いずれは成分バランスをく
ずすため、ハースライナに充填した合金のすべてを使い
切ることはできない。したがって、この残存蒸着材料の
処理が問題となる。既に説明したように、従来技術で
は、残存蒸着材料の表面部はCu量が非常に多く、一
方、底部はハース11の冷却水13に冷却されているた
め蒸発せず本来のAl−Cu比が保たれており、組成的
に異なる。このような残存蒸着材料は再使用できず、破
棄するしかない。
の蒸発速度が違うことから、いずれは成分バランスをく
ずすため、ハースライナに充填した合金のすべてを使い
切ることはできない。したがって、この残存蒸着材料の
処理が問題となる。既に説明したように、従来技術で
は、残存蒸着材料の表面部はCu量が非常に多く、一
方、底部はハース11の冷却水13に冷却されているた
め蒸発せず本来のAl−Cu比が保たれており、組成的
に異なる。このような残存蒸着材料は再使用できず、破
棄するしかない。
【0020】一方本件発明では、常に対流による混合均
一化が繰り返されているので、残存蒸着材料(合金)は
均一組成である。この組成は、経験的に或いは測定して
求めることができるので、初期濃度となる割合で、例え
ばAl,Cuを追加すれば、残存蒸着材料を再使用でき
る。蒸着に先立って、この再生蒸着材料の全体を溶解さ
せ対流により均一化すれば初期状態に戻る。このこと
は、追加する蒸着材料(合金)の組成を適宜変化させる
ことにより、成膜開始時のPBNハースライナ内の合金
(蒸着材料)の組成を任意に調整できるということであ
る。
一化が繰り返されているので、残存蒸着材料(合金)は
均一組成である。この組成は、経験的に或いは測定して
求めることができるので、初期濃度となる割合で、例え
ばAl,Cuを追加すれば、残存蒸着材料を再使用でき
る。蒸着に先立って、この再生蒸着材料の全体を溶解さ
せ対流により均一化すれば初期状態に戻る。このこと
は、追加する蒸着材料(合金)の組成を適宜変化させる
ことにより、成膜開始時のPBNハースライナ内の合金
(蒸着材料)の組成を任意に調整できるということであ
る。
【0021】さらに、本発明のハースライナを用いるこ
とにより、2以上の純金属を組み合わせて、合金をPB
Nハースライナ内で作り出すことが可能である。その組
成は、PBNハースライナ内に装入する各金属の質量に
よって自由に調整できる。
とにより、2以上の純金属を組み合わせて、合金をPB
Nハースライナ内で作り出すことが可能である。その組
成は、PBNハースライナ内に装入する各金属の質量に
よって自由に調整できる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、PBNハースライナを
用いることにより以下の作用効果が得られる。 (1) 液面全面から金属が蒸発するので、広い面積に
わたって膜厚分布を得ることができ、再現性の改善、大
面積基板に対する均一成膜が可能となる。 (2) 溶融金属との反応性が低いため、高純度の合金
膜を成膜することができる。 (3) 面方向と厚さ方向で異方性を有するため、保温
性に優れ、小さな電子ビームパワーで蒸着でき、Alの
ように濡れやすい金属でも這上りがない。 (4) 全体溶融し、常に対流して均一化しているもの
を蒸発するので、長期間にわたり均一組成の合金膜を形
成でき、停止後の残存合金の再利用ができ、ハースライ
ナでの合金の調整も可能である。
用いることにより以下の作用効果が得られる。 (1) 液面全面から金属が蒸発するので、広い面積に
わたって膜厚分布を得ることができ、再現性の改善、大
面積基板に対する均一成膜が可能となる。 (2) 溶融金属との反応性が低いため、高純度の合金
膜を成膜することができる。 (3) 面方向と厚さ方向で異方性を有するため、保温
性に優れ、小さな電子ビームパワーで蒸着でき、Alの
ように濡れやすい金属でも這上りがない。 (4) 全体溶融し、常に対流して均一化しているもの
を蒸発するので、長期間にわたり均一組成の合金膜を形
成でき、停止後の残存合金の再利用ができ、ハースライ
ナでの合金の調整も可能である。
【図1】本発明の実施例のPBNハースライナをハース
内にセットした状態を示す断面図である。
内にセットした状態を示す断面図である。
【図2】図1のPBNハースライナの断面図である。
【図3】PBNハースライナが積層構造を有することを
模式説明図である。
模式説明図である。
【図4】本発明のPBNハースライナの他の実施例を示
す断面図である。
す断面図である。
11 ハース 13 冷却水 21 PBNハースライナ 23 PBNライナ本体 25,25′ 導電性膜 31 合金
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】PBN(Pyrolytic Boron
Nitride:パイロリティック窒化ボロン)は、
CVD(Chemical Vapour Depos
ition:化学的気相成長法)を利用した熱分解法に
より製造できる。PBNは絶縁性である。PBNハース
ライナ21の表面には導電性膜25が施されており、こ
のPBNハースライナ21には、蒸着材料としてのAl
−Cu等の合金31が充填されている。電子銃から電子
ビームを合金31の表面に照射して電子を投入すると、
導電性膜25を通してPBNライナ21に電流が流れ、
PBNライナ21自体が赤熱し、内部の合金31が蒸発
可能な温度になる。このとき、PBNハースライナ21
内の合金は全体的に溶融しており、液面全体から合金3
1が蒸発し、広い面積にわたって膜厚分布を得ることが
できる。すなわち、大面積の基板に対して均一に成膜す
ることができる。また、同一の面積の基板について従来
のハースライナと比較すれば、再現性がより良好とな
る。
Nitride:パイロリティック窒化ボロン)は、
CVD(Chemical Vapour Depos
ition:化学的気相成長法)を利用した熱分解法に
より製造できる。PBNは絶縁性である。PBNハース
ライナ21の表面には導電性膜25が施されており、こ
のPBNハースライナ21には、蒸着材料としてのAl
−Cu等の合金31が充填されている。電子銃から電子
ビームを合金31の表面に照射して電子を投入すると、
導電性膜25を通してPBNライナ21に電流が流れ、
PBNライナ21自体が赤熱し、内部の合金31が蒸発
可能な温度になる。このとき、PBNハースライナ21
内の合金は全体的に溶融しており、液面全体から合金3
1が蒸発し、広い面積にわたって膜厚分布を得ることが
できる。すなわち、大面積の基板に対して均一に成膜す
ることができる。また、同一の面積の基板について従来
のハースライナと比較すれば、再現性がより良好とな
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】また、PBNは溶融金属と非常に反応しに
くく、高純度の合金を成膜することができる。導電性膜
25の材料、形成方法は問わないが、PBNの特性を生
かす意味から溶融金属と反応しにくいものが好ましい。
このような導電性膜25の代表例としては、PG膜があ
る。ここでPG膜とはpyrolytic Graph
ite(パイロリティック グラファイト)を指し、P
BNと同様の手法で製造できる。PBNは熱分解法を利
用して作成されるため、PBNライナ本体23は、微視
的に見ると図3に示すような一種の積層膜構造を有し、
積層膜の面方向と厚さ方向とでは異方性を有する。
くく、高純度の合金を成膜することができる。導電性膜
25の材料、形成方法は問わないが、PBNの特性を生
かす意味から溶融金属と反応しにくいものが好ましい。
このような導電性膜25の代表例としては、PG膜があ
る。ここでPG膜とはpyrolytic Graph
ite(パイロリティック グラファイト)を指し、P
BNと同様の手法で製造できる。PBNは熱分解法を利
用して作成されるため、PBNライナ本体23は、微視
的に見ると図3に示すような一種の積層膜構造を有し、
積層膜の面方向と厚さ方向とでは異方性を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】図4は本発明のPBNハースライナの他の
実施例を示す断面図であり、導電性膜25の形成位置が
異なるだけである。導電性膜25′は、容器状のPBN
ライナ本体23の開口部端面23aを被覆して保護して
いる。電子ビームにより合金31に電子が投入される
と、図1、図2の実施例のようにハース11にリークす
ることはできないが、導電性膜25′が存在することに
より、反射電子、2次電子、熱電子などの形でリーク
し、合金31に電子が蓄積してチャージアップを起こす
ことがない。
実施例を示す断面図であり、導電性膜25の形成位置が
異なるだけである。導電性膜25′は、容器状のPBN
ライナ本体23の開口部端面23aを被覆して保護して
いる。電子ビームにより合金31に電子が投入される
と、図1、図2の実施例のようにハース11にリークす
ることはできないが、導電性膜25′が存在することに
より、反射電子、2次電子、熱電子などの形でリーク
し、合金31に電子が蓄積してチャージアップを起こす
ことがない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】以下の合金の蒸着について、Al−Cu合
金の場合を中心とし、図1と図2に沿って説明する。A
l−Cu等の合金31をPBNハースライナ21内に装
入して電子ビームを投入すると、PBNライナ21自体
の赤熱により、合金31全体が溶融し、この溶融合金3
1は表面と底部との間で対流する。Al−Cu合金では
Alの蒸発速度の方が大きい。そこでもし全体溶融・対
流が生ぜず、表面部の狭い範囲での蒸発が順次下部に向
かって繰返されていくと、徐々にAl濃度が減少しCu
濃度が増加し、ついには目的とする許容規格組成の成膜
が困難となり、比較的早くこの状態に達する。
金の場合を中心とし、図1と図2に沿って説明する。A
l−Cu等の合金31をPBNハースライナ21内に装
入して電子ビームを投入すると、PBNライナ21自体
の赤熱により、合金31全体が溶融し、この溶融合金3
1は表面と底部との間で対流する。Al−Cu合金では
Alの蒸発速度の方が大きい。そこでもし全体溶融・対
流が生ぜず、表面部の狭い範囲での蒸発が順次下部に向
かって繰返されていくと、徐々にAl濃度が減少しCu
濃度が増加し、ついには目的とする許容規格組成の成膜
が困難となり、比較的早くこの状態に達する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
Claims (1)
- 【請求項1】 PBNからなるハースライナ本体の表面
を導電性膜で被覆した電子ビーム蒸着用PBNハースラ
イナ内に合金ないしは合金の成分金属を収納し、該ハー
スライナ内に電子ビームを照射して蒸着し合金を成膜す
ることを特徴とする合金の成膜方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23929695A JPH0959767A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23929695A JPH0959767A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0959767A true JPH0959767A (ja) | 1997-03-04 |
Family
ID=17042628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23929695A Pending JPH0959767A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0959767A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1105830C (zh) * | 1996-07-10 | 2003-04-16 | 松下电器产业株式会社 | 旋转式压缩机 |
JP2006104554A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Shin Etsu Chem Co Ltd | Pbn容器及びpbn容器の製造方法 |
-
1995
- 1995-08-24 JP JP23929695A patent/JPH0959767A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1105830C (zh) * | 1996-07-10 | 2003-04-16 | 松下电器产业株式会社 | 旋转式压缩机 |
JP2006104554A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Shin Etsu Chem Co Ltd | Pbn容器及びpbn容器の製造方法 |
JP4607535B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-01-05 | 信越化学工業株式会社 | Pbn容器及びpbn容器の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100406336B1 (ko) | X선관용양극의제조방법 | |
KR101052036B1 (ko) | 고온 내 부식성 향상을 위한 세라믹 코팅 및 이온빔 믹싱장치 및 이를 이용한 박막의 계면을 개질하는 방법 | |
CN115094389B (zh) | 一种电子束蒸镀钯的方法 | |
JPH0959767A (ja) | Pbnハースライナを用いた合金の成膜方法 | |
JPH0959766A (ja) | 電子ビーム蒸着用pbnハースライナおよびpbnハースライナを用いた金属の成膜方法 | |
KR100315982B1 (ko) | 측면 순간 증발기 | |
JPH059714A (ja) | 電子ビーム蒸発源 | |
JPH0593263A (ja) | ハースライナおよび蒸着方法 | |
JPH0387360A (ja) | 真空蒸着装置 | |
JP2005179770A (ja) | パターニングされた蒸着源及びこれを利用した蒸着方法 | |
JPH02104659A (ja) | 薄膜の製造装置 | |
JP2004315953A (ja) | 間接加熱型ハースライナー及びそれを用いた真空蒸着装置 | |
JP2000297361A (ja) | 超微粒子膜形成方法及び超微粒子膜形成装置 | |
JPH0342677Y2 (ja) | ||
JPH09143685A (ja) | 連続真空蒸着装置用るつぼの割れ防止方法 | |
Khramova et al. | Investigation of a small-sized source parameters for magnetron sputtering with liquid-phase target | |
JPS59203644A (ja) | 蒸発源用るつぼ | |
JPH0646293U (ja) | 蒸着用るつぼ | |
JP2597997Y2 (ja) | ドライプロセス用蒸発るつぼ | |
JPS58110031A (ja) | 蒸着装置 | |
JPH0261059A (ja) | 蒸着装置 | |
JPS5842270B2 (ja) | スパツタ蒸発源 | |
JP4146555B2 (ja) | 成膜方法 | |
JPS6033349A (ja) | 真空蒸着装置 | |
JPS61238956A (ja) | 電子ビ−ム加熱用の蒸着母材収納容器及びこの容器を用いた磁気記録媒体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20040224 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20040224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050517 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050927 |