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JPH08242592A - 超音波アクチュエータ - Google Patents

超音波アクチュエータ

Info

Publication number
JPH08242592A
JPH08242592A JP7043252A JP4325295A JPH08242592A JP H08242592 A JPH08242592 A JP H08242592A JP 7043252 A JP7043252 A JP 7043252A JP 4325295 A JP4325295 A JP 4325295A JP H08242592 A JPH08242592 A JP H08242592A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
piezoelectric
vibrating body
elastic body
vibrating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7043252A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuaki Kawai
泰明 河合
Ookazu Asai
鉅和 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP7043252A priority Critical patent/JPH08242592A/ja
Publication of JPH08242592A publication Critical patent/JPH08242592A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な振動系を必要とせず、振動体の形状及
び寸法の自由度が大きく、容易に移動体の移動方向の転
換が可能な超音波アクチュエータを提供する。 【構成】 偏平断面を有する棒状の弾性体1の両面に、
圧電体3a,3b をその分極方向が互いに逆になるように付
着して振動体2を構成した。弾性体1の左右両側の中央
に支持ピン6を設け、両支持ピン6を介して振動体2を
支持枠に固定した。弾性体1の上面に付着した圧電体3a
をアンプ7及び位相シフタ8を介して2相発振器9と接
続し、下面に付着した圧電体3bをアンプ10を介して2
相発振器9と接続した。弾性体1を接地した。2相発振
器9の出力周波数は振動体2の一次の縦振動の共振周波
数に設定した。両圧電体3a,3b に+90°又は−90°
の位相差で電圧が印加され、位相差の変更により端面の
軸方向に縦・曲げ振動が結合された変位の楕円軌跡の向
きが変更される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は棒状の振動発生部を備え
た超音波アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電歪素子や圧電素子に共振交番電圧を印
加することにより発生する超音波振動を、回転運動や直
線運動に変換して駆動を得るアクチュエータが種々提案
されている。例えば、特公平6−67228号公報に
は、振動体に励振源としてランジュバン型振動子や圧電
素子を利用して定在波を生じさせ、定在波の腹と節との
間に振動体に発生した腹から節方向への運動成分を振動
体に設けた抽出体(突起)で選び出して移動体に伝達す
る装置が提案されている。図24(a),(b)に示す
ように、突起31は振動体32に対して複数設けられ、
その間隔は定在波Sの1/2波長以上でその幅は定在波
の1/4波長以下となっている。図25に示すように、
振動に伴う振動体32の変位は腹Lと節Nの間では向き
が異なり、運動成分の方向は腹Lから節Nへ向かう。従
って、棒状の振動体32に対して各突起31を、1波長
λを4等分して区切った単位区間A1,A2,A3,A
4の偶数番目の区間A2,A4に設けた場合(図24
(a))と、奇数番目の区間A1,A3に設けた場合
(図24(b))とで突起31と接触する移動体33の
移動方向が互いに逆になる。
【0003】また、日本音響学会講演論文集:p147-14
8 (昭和63年3月)には、縦−屈曲多重モード振動子
利用の平板状モータが報告されている。このモータは矩
形金属平板に縦振動(長手方向)の一次共振モードと、
屈曲振動(幅方向)とを縮退させ、それぞれの共振モー
ドを90°の位相差を有する圧電的励振を行うことによ
って構成される。図26に示すように、平板状の圧電振
動子34には同図に示すような変位の楕円運動が形成さ
れ、幅方向の中央付近ではローラを加圧接触させると、
矢印35で示す方向への駆動力が得られる。2相駆動の
位相を逆にすると楕円運動の変位の方向は逆となる。
【0004】また、日本音響学会講演論文集:p1057-1
058 (平成6年3月)には、簡単な構造で逆転動作の可
能性がある超音波モータとして、斜対称形圧電板の縦−
屈曲結合振動利用超音波モータが報告されている。この
超音波モータは図27(a)に示すように、平行四辺形
型の圧電板36を使用し、幅方向の縦振動と屈曲振動を
結合して圧電板36を屈曲振動励振させる。圧電板36
は支持棒37を介して治具38に対して回動可能に支持
されるとともに、ばね(図示せず)によりロータ39と
当接する方向に回動付勢されている。そして、駆動周波
数を変更することによりロータ39の回転方向が変更可
能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公平6−67228
号公報に開示された装置では、一方向の運動成分を取り
出すために、突起31の間隔を定在波Sの1/2波長以
上とすると共に、その幅を定在波Sの1/4波長以下と
しなければならない。従って、振動体32に設ける多数
の突起31の位置及び大きさを正確に加工する必要があ
り、多数の突起31の精密加工に多大な時間を要し、製
造コスト高を招く。
【0006】また、突起31を設ける位置は定在波Sの
腹と節との間とされているが、現実の振動体の定在波の
腹及び節を厳密に特定することは難しい。なぜならば、
励振源を振動体に付着するときの不均一性及び振動体の
不均一性等が現実的に存在するからである。さらに、振
動に伴う振動体の変位は腹Lと節Nの間では向きが異な
り、運動成分の方向は腹Lから節Nへ向かう。従って、
腹Lと節Nの間では2成分の運動成分が合成され、楕円
軌跡が生じる。そして、場所により楕円軌跡の生じ方が
異なるため、多数の突起を設けた場合は全ての突起を同
変位の場所に設けることができず、運動成分の利用効率
が悪くなるという問題もある。
【0007】また、定在波Sの腹Lを境にして運動成分
の方向が左右に分かれるため、どちらか一方の運動成分
を選択しなければならず、移動体の移動方向が1方向に
限定されるという問題がある。
【0008】また、一般に棒状振動体は長さが長くなる
と不要な振動が生じ易くなり、目的とする励振が困難と
なる。従って、移動体を長い距離正確に移動させること
が難しいという問題がある。
【0009】また、縦−屈曲多重モード振動子利用の平
板状モータは、2つの共振モードを合わせて変位の楕円
軌跡を得なければならないため、振動子の形状及び寸法
は両者が一致する共振周波数と対応するものに限定さ
れ、形状及び寸法の自由度が小さいという問題がある。
【0010】また、斜対称形圧電板の縦−屈曲結合振動
利用超音波モータは、振動体を特殊な平行四辺形状にし
なければならず、図27(b)におけるd、T及びθの
値により振動状態が異なる。また、ロータ39の当接す
る位置によって取り出せる出力が異なると共に、平行四
辺形の先端側に向かう駆動力が発生するUpper modeと、
反対側に向かう駆動力が発生するLower modeとで最大出
力が得られる当接位置が異なる。しかも、両方向の回転
特性を同等にすることは非常に困難であるという問題が
ある。
【0011】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされ
たものであって、その第1の目的は、複雑な振動系を必
要とせず、振動体の形状及び寸法の自由度が大きな超音
波アクチュエータを提供することにある。また、第2の
目的は、容易に移動体の移動方向の転換が可能な超音波
アクチュエータを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため請求項1に記載の発明では、少なくとも一端が自
由な状態に支持され、分極方向が異なる複数の分極が存
在するように構成した圧電体を備えた棒状体である振動
発生部と、前記棒状体の軸方向の縦振動および曲げ振動
を発生させるため、前記圧電体に縦振動の共振駆動電圧
を印加する電源部とを備え、前記棒状体の軸方向長さを
縦振動と共振してその自由端部に振動の腹部が存在する
長さとし、前記電源部を、前記振動発生部にその自由端
部の質点の動きが楕円軌跡となる軸方向の伸びおよび縮
みによる面内歪みを発生させるため、前記圧電体に位相
差を有する電圧を印加可能とした。
【0013】また、請求項2に記載の発明では、前記振
動発生部を、偏平な棒状の弾性体と、その厚み方向にお
いて対向する2面の両側又は片側に配置した圧電体とか
らなる振動体とした。
【0014】前記第2の目的を達成するため請求項3に
記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明に
おいて、前記電源部を、前記圧電体への印加電圧の位相
差を±90°又はその近辺で切換可能とした。
【0015】真っ直ぐであまり太くない一様な棒状の弾
性体の縦振動数f(Hz)は次式で表される。 f=
{λn /(2πl)}√(E G/γ)… l:棒の長さ(cm) E:ヤング率(kg/cm2) γ:単位体積の重さ(kg/cm3) λn :境界条件と振動モードによって定まる無次元の係
数 G:重力加速度 両端自由の棒状の弾性体1の一次及び二次の振動モード
は図1(a)に示すようになり、一端固定・他端自由の
棒状の弾性体1の一次及び二次の振動モードは図1
(b)に示すようになる。縦振動数は式から明らかな
ように、棒状弾性体の材質が一定であれば、その断面積
によらず長さの変化により値が変わる。両端自由の棒状
弾性体の振動モードと、一端固定・他端自由の棒状弾性
体の振動モードとは異なるが、縦振動数は式のλn
値が異なるだけで基本式は同じである。
【0016】振動体(弾性体)の長さと縦振動の共振周
波数との関係は、振動モードの次数によってそれぞれ一
定の関係がある。弾性体の材質毎に予めそれらの関係を
求めておけば、弾性体の材質、弾性体の長さ、及び使用
するモードを設定すれば、縦振動の共振周波数が得られ
る。但し、振動体の支持状態によっても異なり、両端自
由の場合と一端固定・他端自由の場合とでその関係は異
なる。例えば、弾性体の材質として鋼を使用した場合に
は弾性体の長さと縦振動の共振周波数との関係は図4の
ようになる。
【0017】一般に縦振動を励起させた場合の両端自由
の棒状弾性体端部の振動軌跡を誇張して示すと図2のよ
うになると考えられる。即ち、縦振動励起の場合は弾性
体1の端部では伸び−縮みが繰り返されている。この場
合は中心軸方向の振動成分のみである。一端固定・他端
自由の場合でも自由端付近では伸び−縮みが繰り返さ
れ、図2(a),(b)の右側の状況が生じていると考
えられる。
【0018】本願発明者は、この縦振動をベースにし
て、軸方向中心に対して曲げ振動が結合し易いような棒
状弾性体を選定し、曲げ歪みの生じる圧電体配置と歪み
発生のタイミングを電圧の位相差によりコントロール
し、振動体端部で変位の楕円軌跡を生じさせ、その方向
が可変できることを見出した。
【0019】この曲げ振動は周知のように、図2と同様
に弾性体1の端部の振動軌跡を誇張させたものを示すと
図3のようになると考えられる。実際には図2(a),
(b)の縦振動励起をした場合に、図3(a),(b)
の曲げ振動が同時に結合されて、弾性体の端部における
変位部の楕円軌跡が得られる。
【0020】棒状弾性体の形状(圧電体が付着された付
近の断面)としては、棒状弾性体の中心軸と直交する断
面における形状が、中心軸をZ方向としてX方向及びY
方向を図5に示すように設定した場合に、X,Y方向に
等方的な寸法の形状(図5(a),(b)のような円、
正方形等)ではなく、X寸法に対してY寸法が小さい形
状のものが好ましい。なぜならば、X,Y方向に等方的
な寸法の形状では、Y方向の曲げを選択的に起こし難い
からである。好ましい形状の具体例としては、図5
(c)に示す長方形、図5(d)に示す円形の一部を削
った形状、図5(e)に示す長方形の両端を削った形状
等がある。
【0021】さらに、偏平な形状の場合は、厚み方向に
縮むとポアソン比により横方向に伸び、厚み方向に伸び
れば横方向に縮むため、その影響を考慮する必要があ
る。従って、偏平なものは幅を広くすると横方向の高次
の共振が結合するので複雑な共振となり易い。偏平な場
合は厚みに対して幅は4〜5倍程度が好ましい。
【0022】なお、棒状弾性体の中心軸方向の断面は全
長にわたって一様であることが望ましいが、端部近傍の
み若干Y方向の厚み寸法を大きくして振動の付加質量的
効果を与えてもよい。同様に図5の(c),(d),
(e)の断面は、圧電体付着部位の理想的な断面を示し
たもので、端部は図5(a)〜(e)を随時並用した形
状としてもよい。
【0023】棒状弾性体の長さは、使用する振動モード
ならびに共振周波数により式から求めた長さを選択す
る。例えば、弾性体の材質を鋼とし、縦一次又は二次の
振動モードを利用すると、100kHz程度の縦共振周
波数を使用する場合は、弾性体の長さはおよそ25〜6
0mm程度の範囲となる。
【0024】振動発生部を構成する振動体2は、弾性体
1と圧電体(圧電素子)3とから構成される場合(図6
(a),(d))と、複数の圧電体3で構成される場合
(図6(b),(c))とが考えられる(図中の矢印は
圧電体の分極方向を示す。)。圧電体3への印加電圧の
低電圧化が望まれる場合には、各圧電体3の厚みを薄く
して2枚以上の圧電体3を組み合わせて積層した構造と
してもよい(図6(c))。また、図6(d)に示すよ
うに、圧電体3の両端面に弾性体1を配設してもよい。
互いに対向する状態に配置された圧電体3の分極方向が
逆に形成されている。図6(d)の場合は、圧電体3の
両側に設けた弾性体1に代えてライニング材を使用して
もよい。なお、両端自由及び一端固定・他端自由のいず
れの場合も、振動体2の基本的な構成は同じである。
【0025】弾性体の材質としては、例えば、鋼、アル
ミニウム、ステンレス等の金属や、セラミックスが使用
される。また、ライニング材としては、例えば、耐摩耗
性のフッ素系プラスチック等が使用される。圧電体とし
ては、例えば、チタン酸バリウムやPZT(ジルコン酸
・チタン酸鉛系の多結晶体)等の圧電セラミックス、ポ
リフッ化ビニリデン系やビニリデンシアナイド系重合体
等の高分子圧電材料、圧電性のセラミック微粒子を高分
子中に分散させた高分子複合物圧電材料が使用される。
【0026】圧電体を分極方向が異なる複数の分極が存
在するように構成するには、以下のように2個以上の圧
電体を用いてもよく、あるいは分極方向が途中で反対方
向となる圧電体1個を用いてもよい。
【0027】弾性体1と圧電体3とから構成される図5
(a)の場合の振動体2における圧電体3の配置形態と
しては、例えば、図7(a)〜(c)に示す形態があ
る。図7(a)の例では弾性体1の片側のみに互いに分
極方向が異なる2個の圧電体3が配置されている。尚、
圧電体3を2個配置する代わりに、分極方向が途中で反
対方向となる圧電体3を1個にして配置してもよい。図
7(b)の例では弾性体1の両側に互いに分極方向が異
なる圧電体3が1個ずつ配置されている。図7(c)の
例では、弾性体1の上下面にそれぞれ2個ずつ(分極方
向が途中で反対となる圧電体3を1個ずつでも可)、対
向する位置及び隣接する位置に配置される圧電体3同士
の分極方向が異なるように配置されている。図7(c)
の配置では、弾性体1の片側に配置された圧電体3同士
あるいは弾性体1を挟んで斜めに配置された圧電体3同
士をペアにして駆動する。
【0028】弾性体1及び圧電体3からなる図6(a)
に示す振動体2の場合、圧電体3として弾性体1に付着
させる面積は、ほぼ弾性体1の全長aと幅bとを有する
広い面積が好ましい。なぜならば、広い面積のほうが圧
電体3により大きな電気入力を投入できるため、振動体
2として好ましいからである。各圧電体3の弾性体1に
対する付着面積の下限値としては、弾性体1の片面の面
積の約1/2が好ましい。即ち、2個の圧電体3の付着
面の合計面積の下限値はabとなる。圧電体3の付着面
積がこの下限値未満の場合には、曲げ振動が励起され難
くなる可能性がある。また、弾性体1への圧電体付着部
位は両端自由の振動体の場合、弾性体1の全長の中心付
近が好ましい。一端固定・他端自由の場合は、固定部近
傍に圧電体3を配置するのがよい。
【0029】なお、圧電体3の分極方向は振動体2の中
心軸に直交しているのが望ましい。同時に分極軸に対し
て直角な方向に歪む圧電体(圧電横効果利用)の利用が
最適である。従って、曲げ振動が励起されるのは、圧電
体の分極方向と同方向である。
【0030】また、振動体2の支持固定を強固にするた
めの支持片2aの取付けを容易にするため、図7(e)
に示すように、弾性体1の中心部付近に圧電体3を付着
しないで圧電体3を左右に分割してもよい。ただし、こ
の場合は、両端自由・自由の一次の振動モードを利用し
た場合で、利用振動モードに応じて、振動の節位置近傍
に支持片2a等を設ければよい。
【0031】
【作用】請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、
電源部から振動発生部の圧電体に位相差の異なる縦振動
の共振駆動電圧が印加されると、棒状体である振動発生
部はその自由端部に振動の腹部が存在する状態で振動す
る。振動発生部の自由端部には質点の動きが楕円軌跡と
なる軸方向の伸びおよび縮みによる面内歪みが発生し、
振動発生部の自由端部に移動体を当接させると、移動体
は振動発生部の自由端部に発生する変位の楕円軌跡の方
向と逆方向に摩擦力を介して相対移動する。
【0032】例えば、図8に示すように、弾性体1の両
面に圧電体3を付着した振動体2において、第1の面
(上面)の圧電体3をA相、第2の面(下面)の圧電体
3をB相として縦振動が共振する交流駆動電圧を印加す
る。なお、矢印は圧電体3の分極方向を示す。
【0033】A,B相が同位相の場合(Phase 0°)に
は図9(a)の駆動電圧波形になり、上下両面の圧電体
は同じ歪みの形態となり、振動子端部では軸方向に縦振
動が生じるのみである。
【0034】一方、A,B相に位相差を90°与えた場
合(Phase 90°)には図9(b)のようになる。この
時間経過をI,II,III,IVの行程を代表に取り、そのと
きの振動子端部の面内歪みを模式的に図10(a)〜
(d)に示す。図10(a)に示すIの行程ではA,B
相が共に伸び、図10(b)に示すIIの行程ではA相が
縮み、B相が伸びる。図10(c)に示すIII の行程で
はA,B相が共に縮み、図10(d)に示す IVの行程
ではA相が伸び、B相が縮む。従って、振動体端部の質
点mの動きは、図11(a)に示すように楕円軌跡とな
り反時計方向回りとなっていることが判る。
【0035】図9(b)の例は90°進み位相を示した
が、90°遅れ位相(270°進み位相)の場合も同様
に振動子端部の面内歪みは、時間経過としてI→ IV→
III→IIの順に生じ、振動体端部の質点の動きは図11
(b)に示すように時計方向回りの楕円軌跡となる。
【0036】なお、位相差180°の場合は、A相が縮
んだ時にB相が伸び、その次にB相が伸びた時にA相が
縮むので図10(b),(d)に示したII,IVの状態が
交互に生じることになり、楕円軌跡は生じない。
【0037】振動体2の端部に変位の楕円軌跡が生じる
振動状態で、図12(a)に示すように、振動体2の自
由端部に移動体4を当接させると、移動体4は自由端部
に発生する変位の楕円軌跡の方向と逆方向に摩擦力を介
して移動する。また、図12(b)に示すように、回転
可能に支持された円板状の移動体4を自由端部に当接さ
せると、移動体4は支軸5を中心に変位の楕円軌跡の方
向と逆方向に回転する。振動体2側を固定せずに、振動
体2の自由端部と当接する物体を固定して振動体2を可
動とすれば、振動体2を自走させることも可能である。
【0038】圧電体3に印加する電圧位相差は+90°
及び−90°が好ましいが、振動体2の自由端部に変位
の楕円軌跡が生じる条件、即ち前記I,II,III,IVの過
程が存在すれば、数十度の位相差は許容される。
【0039】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明において、前記電源部から前
記圧電体に印加する電圧の位相差を、+90°又はその
近辺の状態から−90°又はその近辺の状態に切り換え
ると、振動発生部の自由端部に発生する変位の楕円軌跡
の方向が逆転する。従って、移動体の移動方向を転換で
きる。
【0040】移動体の移動方向を転換できる条件は、面
内歪みが時間と共に伸び→曲げ(下に凸)→縮み→曲げ
(上に凸)、又は伸び→曲げ(上に凸)→縮み→曲げ
(下に凸)の変位を生じ、縦振動に曲げ振動がカップリ
ングされていることが重要になる。方向転換はカップリ
ングされた曲げ振動の方向、即ち上に凸か下に凸かの優
先度で決定される。
【0041】具体的には前記の電圧位相差+90°の時
と、−90°の時が、最も方向転換を行い易い条件と言
える。なお、I,II,III,IVの過程が存在すれば、±9
0°の位相差に対して数十度の位相差は許容される。ま
た、方向転換する際の切換前後の位相差は180°が望
ましいが、この条件に対しても数十度の範囲内は許容で
きる。
【0042】本発明の超音波アクチュエータは、例え
ば、紙送り装置、カード送り装置、CD−ROM等のデ
ィスクの駆動装置、CD−ROM等の読み取りヘッドの
移動装置等OA関連機器に使用できる。その他、軽負荷
使用のもとで、移動距離が1m以内のリニアモーション
を必要とするものや、磁場を嫌う場所での使用に適して
いる。また、静粛、小型、軽量、低コスト等を図る目的
に適している。
【0043】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を具体化した第1実施例を
図4、図13〜図15に基づいて説明する。
【0044】図13に示すように、長手方向に一様な長
方形断面(弾性体厚みに対して、幅が2倍)となる形状
に形成された弾性体1の対向する両面の中央部付近に、
圧電体3a,3bをその分極方向が互いに逆になるよう
に付着して振動体2を構成した。弾性体1は材質を鋼と
して、長さ20mm、幅4mm、厚み2mmとした。2
枚の圧電体3はそれぞれ長さ10mm、幅4mm、厚み
0.5mmとして、圧電体3は、弾性体1の全長の中心
付近に付着させた(矢印は圧電体の分極方向を示す)。
この振動体2を振動モードが両端自由の一次の縦振動を
利用した超音波アクチュエータとして使用するため、弾
性体1の長手方向の中央において左右両側に支持ピン6
を設けた。支持ピン6は例えば、その基端部に形成した
雄ねじ部(図示せず)を弾性体1に螺入して弾性体1に
固定した。
【0045】この振動体2を、両支持ピン6を介して支
持枠(図示せず)に固定した。弾性体1の上面に付着し
た圧電体3aをアンプ7及び位相シフタ8を介して2相
発振器9と接続した。弾性体1の下面に付着した圧電体
3bをアンプ10を介して2相発振器9と接続した。ア
ンプ7,10、位相シフタ8及び2相発振器9が電源部
を構成する。また、弾性体1を接地した。2相発振器9
の出力周波数は図4のグラフから求めた一次の縦振動の
共振周波数である131kHzに設定した。
【0046】まず、この振動体2の原理確認を行うた
め、縦振動を励起させた場合に曲げ振動が生じるか否か
の確認を行った。位相シフタ8を圧電体3aに90°位
相を進めた電圧を出力する状態にセットして、2相発振
器9から駆動周波数を出力したときの、弾性体1の矢印
P方向(縦振動)及び矢印Q方向(曲げ振動)の振動速
度及び周波数を、レーザドップラ振動計で測定した。
【0047】その結果、P方向及びQ方向の振動とも1
波長の速度が約7.6μsのsin波になっていること
が確認できた。そして、その周波数は駆動周波数と同じ
131kHzであった。従って、この振動体2は縦振動
で駆動した際に、中心軸と垂直な曲げ振動が同期結合さ
れていると判断できる。
【0048】次に駆動電圧の位相差を変えた場合に、振
動体2の端部の楕円軌跡の向きが変わるか否かを振動体
2の端部の上端と下端を利用し、レーザードップラ振動
計で周波数の位相関係を調査した。電圧位相差+90°
で駆動した場合の測定結果を図14に、電圧位相差−9
0°で駆動した場合の測定結果を図15にそれぞれ示
す。いずれの場合も(a)が上端、(b)が下端の場合
の結果を示す。
【0049】電圧位相差+90°で駆動した場合、振動
体端部の上端は下端に対して90°振動速度が進んでい
るのが確認された。また、電圧位相差−90°で駆動し
た場合、振動体端部の上端は下端に対して90°遅れて
いるのが確認された。即ち、振動体端部の上端と下端の
振動速度の位相差は共に90°あり、駆動条件によって
進みと遅れとがある。
【0050】位置的な振動の位相差が90°あるという
ことは、振動体2の端部の質点の動きが、図10
(a),(b)に示したように楕円軌跡となることを示
している。また、その振動速度に進みと遅れとがあると
いうことは、その方向が反対であることを意味してい
る。実際に振動体2を励振した状態で、振動体2の端部
に移動体としてのベアリングを当てて回転方向を確認し
た結果、位相差が+90°の場合と−90°の場合とで
その回転方向が変わることが確認された。また、ベアリ
ングに代えて移動体として板状体を振動体2の端部に押
し当てた場合、板状体は振動体2と直交する方向に移動
され、位相差が+90°の場合と−90°の場合とでそ
の移動方向が変わることが確認された。即ち、A,B両
相への印加電圧の位相差を変えるという簡単な操作で、
移動体の移動方向の転換が容易にできることが確認され
た。
【0051】(第2実施例)次に第2実施例を図16に
従って説明する。なお、前記実施例と同じものは同一番
号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】この実施例では振動モードとして両端自由
の二次の縦振動を利用した点が前記実施例と大きく異な
っている。図16に示すように、長方形断面(弾性体厚
みに対して、幅が2倍)の弾性体1の対向する両面にそ
れぞれ2枚、合計4枚の圧電体3a〜3dを各2枚がそ
れぞれ対向するように付着した。圧電体3a〜3dは、
対向する位置及び隣接する位置に配置される圧電体3
a,3b、3a,3c同士の分極方向が異なるように配
置されている。圧電体3a〜3dの付着位置は、図1
(a)の二次の縦振動の2つの節近傍とした。弾性体1
は材質を鋼として、長さ40mm、幅4mm、厚み2m
mとした。第1実施例と同じく4枚の圧電体3はそれぞ
れ長さ10mm、幅4mm、厚み0.5mmとした。振
動モードとして両端自由の二次の縦振動を利用するた
め、弾性体1の両側面の端部寄りの2ヶ所、合計4ヶ所
にそれぞれ支持ピン6を設けた。
【0053】弾性体1を挟んで斜めに対向する位置に付
着された同じ分極方向を有する2組の圧電体3a,3
d、3b,3cのうちの第1の組の圧電体3a,3dを
A相としてアンプ7及び位相シフタ8を介して2相発振
器9と接続した。第2の組の圧電体3b,3cをB相と
してアンプ10を介して2相発振器9と接続した。
【0054】振動体2の長さ及び振動モードに対応する
二次の縦振動の共振駆動周波数を図4のグラフから求
め、2相発振器9の出力周波数をその値(第1実施例と
同じ131kHz)に設定して振動体2を励振した。そ
して、A,B相に±90°の電圧位相差を与えた状態
で、振動体2の端部にベアリングを押し当ててその回転
方向を確認した。その結果、第1実施例と同様の結果が
得られた。また、板状の移動体を押し当てた場合も第1
実施例と同様の結果が得られた。
【0055】また、図17に示すように、弾性体1の上
面に付着された圧電体3a,3cをA相とし、下面に付
着された圧電体3b,3dをB相とした場合についても
同じ駆動周波数で励振して同様の検討を行った。この場
合も圧電体3a,3dをA相、圧電体3b,3cをB相
とした場合と同様の結果が得られた。即ち、同じ振動モ
ードを使用する場合、弾性体1が同じであれば圧電体の
配置が違っても共振駆動周波数に対応する電圧を所定の
位相差で各圧電体に印加すると同じ挙動をすることが確
認された。
【0056】(第3実施例)次に第3実施例を説明す
る。この実施例では弾性体1の幅を8mmに変更し(弾
性体厚みに対して幅が4倍)、その他の条件は全て第2
実施例と同じにして、同様の検討を行った。その結果、
第2実施例とほぼ同じ結果が得られた。また、弾性体1
の断面形状を長方形の長手方向の両端部を円弧状とした
図5(d),(e)に示すような形状とした場合につい
ても同様の検討を行った。その結果、第2実施例とほぼ
同じ結果が得られた。
【0057】即ち、弾性体1の断面形状が異なるにも拘
らずほぼ同じ結果が得られたことから、縦振動が弾性体
(振動体)の断面形状によらず励起でき、同時に曲げ振
動が結合する事が裏付けられた。また、幅方向の寸法と
厚さ方向の寸法との比が8/2(4倍)であってもほぼ
同じ結果が得られたことから、偏平な棒状振動体の場合
の好ましい幅が、厚みに対して4〜5倍程度でも許容で
きる事が確認できた。
【0058】(第4実施例)次に第4実施例を説明す
る。前記各実施例では振動体を固定して移動体を移動
(回転を含む)させる構成であったが、この実施例では
振動体自身を移動させる構成(自走式)とした点が前記
各実施例と大きく異なっている。
【0059】図18に示すように、振動体2を構成する
弾性体1の前後両端部には突起11が下方に向かって配
設されている。この場合の振動体2の寸法は第2実施例
と同じものを用い、突起11の高さは3mm、幅2mm
を両端部に設けた。その他の構成は第2実施例の振動体
2と同じである。振動体2の走行面12上に振動体2の
幅より広い間隔で一対のガイドフレーム13(鎖線で図
示)が設けられ、ガイドフレーム13にはガイド孔13
aが走行面12に沿って延びるように形成されている。
振動体2は支持ピン6がガイド孔13aに摺動可能に挿
通されると共に、突起11の先端が走行面に押圧された
状態で、ガイドフレーム13に支承されている。
【0060】振動体2がその端部(端面)において変位
の楕円軌跡を伴う振動を行うとき、その端部上面及び下
面でも同様の楕円軌跡が確認される。例えば、第2実施
例と同じ両端自由の二次の縦振動モード利用の振動体2
では、図19に示すように、変位の楕円軌跡の方向が、
振動体2の両端面及び両端部上下両面でいずれも同じと
なる。そして、図19(a)に示す位相差が+90°の
場合と、図19(b)に示す位相差が−90°の場合と
でその向きが逆になる。
【0061】従って、A,B相の圧電体3a〜3dに+
90°の電圧位相差を与えて振動体2を励振させると、
突起11の先端部の質点の動きは図18に示すように、
時計方向回りの楕円軌跡となり、振動体2は図18の右
側に進む。また、A,B相の圧電体3a〜3dに−90
°の電圧位相差を与えて振動体2を励振させると、楕円
軌跡の方向は逆向きとなって振動体2は図18の左側に
進む。即ち、振動体2の両端部に突起11を設けるだけ
で、自走式の構成が可能となる。また、A,B相の圧電
体3a〜3dに対する印加電圧の位相差を+90°と−
90°とに切り換えることにより、簡単にその進行方向
を変更することができる。なお、図20に示すように、
振動の安定駆動の観点より、突起11を弾性体1の両端
部の上下両面に設けてもよい。上下両面に突起11を設
けた場合は、長期使用によって片側の突起11が摩耗し
たときに、振動体2を裏返すだけで再び使用が可能とな
る。また、金属の突起11の代わりに弾性体1にライニ
ング材を付着させてもよい。
【0062】振動体の両端部の変位を利用して自走式の
構成とするには、振動体の両端部の変位の楕円軌跡の方
向が同じでなければならないため、この場合は二次の縦
振動モード利用に限定される。
【0063】(第5実施例)次に第5実施例を説明す
る。この実施例では振動体の端面を利用して振動体自身
を移動させる構成とした点が第4実施例と大きく異なっ
ている。図21に示すように、振動体2は一次の縦振動
モード利用に適した長さに形成された弾性体1とその両
面に付着された圧電体3a,3bとから構成されてい
る。複数の振動体2が互いに平行に上下方向に延びる状
態で連結バー14を介して連結されている。両圧電体3
a,3bはその分極方向が互いに異なるように形成され
ている。この振動体2を、各振動体2の第1端部側が走
行面12と当接する状態で走行面12上に載置して、図
示しない電源部から例えば+90°の位相差を有する印
加電圧を供給して励振すると、各振動体2の第1端部に
は同じ向き(図21における時計方向)の変位の楕円軌
跡が生じる。その結果、振動体2は図21の右方向に移
動する。−90°の位相差を有する印加電圧を使用して
励振すると、楕円軌跡の向きが反対となって振動体2が
左方向に移動する。
【0064】この方式、即ち複数の振動体2を平行な状
態で連結すると共に、各振動体2の端面を走行面12に
当接して励振する方式では振動モードは一次、二次の縦
振動モードのいずれであっても可能となる。
【0065】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 (1) 図22に示すように、複数の振動体2を各振動
体2の一方の端面が同一平面上に位置するように配列し
て、移動体4を移動させる構成とする。各振動体2が小
型のため、移動体4の移動距離を大きくする場合にはこ
の構成が適する。
【0066】(2) 第4実施例のように、弾性体1の
端部に設けた突起11あるいはライニング材の変位を使
用する振動体2を自走式とする代わりに、振動体2を固
定して移動体を移動させる構成としてもよい。この場
合、複数の振動体2をその長手方向に一直線状に配置す
れば、(1)の場合より少ない数の振動体2で移動体を
同じ距離だけ移動させることができる。
【0067】(3) 弾性体1の両端部の上下両面に突
起11を設けた振動体2を、両端自由の二次の縦振動モ
ードで使用すると共に、図23に示すように、ベルト駆
動機構15のアクチュエータとして使用してもよい。こ
の場合、1個のアクチュエータで2個の駆動プーリ16
を同期して駆動できる。
【0068】(4) 前記各実施例等ではいずれも振動
体2を両端自由の状態で使用したが、一端固定・他端自
由の状態で使用してもよい。振動体2を一端固定・他端
自由の状態で使用する場合は、振動体2の第1端部を支
持部に固定する。固定方法としては例えば振動体2の端
面を接着剤等で支持部に固着する方法や、振動体2の端
面に形成したねじ穴にボルトを螺合する方法等がある。
【0069】振動体2の材質及び長さが同じであっても
両端自由の場合と共振駆動周波数は異なるので、図4に
対応するグラフからそれぞれ適正な共振駆動周波数を求
めて、それに対応した周波数の電圧を所定の位相差を有
する状態で各圧電体に印加する。この場合、自由端側の
変位しか利用できないため、両端自由の場合に比較し
て、アクチュエータを設計する際の自由度が小さくな
る。振動体2を自走式の構成で使用する場合は、複数の
振動体2の第1端面を連結バーに固着して、第5実施例
と類似の構成とする。
【0070】(5) 固定式アクチュエータとして使用
する場合の移動体の移動方向の変更、あるいは可動子
(自走式の構成)として使用する場合の可動子の移動方
向を変更する方法として振動モードを変更してもよい。
同一振動体2を一次の縦振動モードで励振する場合と、
二次の縦振動モードで励振する場合とでは、その端部に
おける変位の楕円軌跡の方向が逆になるため、利用モー
ドを変更することにより移動方向の変更が可能となる。
即ち、圧電体に対する印加電圧の位相差を変更する代わ
りに、印加電圧の周波数を一次モードにおける共振周波
数と、二次モードにおける共振周波数とに切り換えるこ
とにより移動方向の変更を行う。そのため、電源部とし
て発振周波数を変更可能な発振器を使用すると共に、位
相シフタ8を省略する。
【0071】振動モードを変更した場合、振動体2の端
面における変位量が異なるため、振動モードによってそ
の作動特性が変化する。その結果、例えば図12(b)
に示すように、移動体4として回転体を使用した場合、
その回転方向によって同じ特性を得ることが難しい。従
って、振動モードを固定し、印加電圧の位相差を変更す
ることにより移動体等の移動方向を変更する方式の方
が、移動方向に拘らず同じ特性が得られるため好まし
い。
【0072】前記各実施例及び変更例から把握できる請
求項記載以外の発明について、以下にその効果と共に記
載する。 (1)請求項1〜請求項3に記載の発明において、振動
発生部としての棒状の振動体を両端自由の振動モードで
使用する。この場合、一端固定・他端自由の振動モード
で使用する場合に比較してアクチュエータとしての使用
方法即ち設計の自由度が大きくなる。
【0073】(2)請求項1〜請求項3に記載の発明に
おける振動発生部としての棒状の振動体の両端部に突起
を設け、その振動体を突起が上向きとなるように、かつ
両端自由の二次の縦振動モードで使用する状態でその長
手方向に沿って複数配置した移送装置。この場合、移動
体を長い距離移動させるのに必要な単位ユニットのアク
チュエータの数を少なくできる。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
3に記載の発明によれば、振動体を位相差の異なる縦振
動の同じ共振周波数の印加電圧で振動させることによ
り、振動体の自由端部に変位の楕円軌跡が生じるため、
複雑な振動系を必要とせず、しかも振動体の形状及び寸
法の自由度が大きな即ちバリエーションの多い超音波ア
クチュエータを得ることができる。
【0075】また、請求項2に記載の発明によれば、振
動発生部を構成する振動体を、偏平な棒状の弾性体と、
その厚み方向において対向する2面に配置された圧電体
とから構成したので、振動体を製造する際の自由度が大
きくなる。
【0076】また、請求項3に記載の発明によれば、圧
電体への印加電圧の位相差を±90°又はその近辺で切
り換えるという簡単な構成で容易に移動体の移動方向の
転換が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】棒状弾性体の境界条件と振動モードを示す図。
【図2】縦振動を励起させたときの両端自由・自由の棒
状振動体の模式図。
【図3】曲げ縦振動を励起させたときの両端自由・自由
の棒状振動体の模式図。
【図4】材質が鋼であり、まっすぐな、あまり太くない
一様な棒状弾性体の長さと共振周波数の関係を示す線
図。
【図5】棒状弾性体の圧電体が付着された付近を示す断
面図。
【図6】(a)は振動体の構成を示す概略斜視図、
(b)〜(d)は同じく概略側面図。
【図7】(a)〜(c)は圧電体の配置を示す概略側面
図、(d),(e)は同じく概略斜視図。
【図8】振動体の模式図。
【図9】振動体のA,B相の圧電体に印加される駆動電
圧の波形図。
【図10】A相に対してB相を90°の位相差で印加し
たときの振動体の両端部の変化を示す模式図。
【図11】振動体の端部の質点の軌跡を示す模式図。
【図12】振動体の端部と移動体との配置を示す模式
図。
【図13】第1実施例の超音波アクチュエータ(振動
体)の概略構成図。
【図14】90°進みの場合の駆動電圧波形と振動体端
部の振動速度とを示す線図。
【図15】90°遅れの場合の駆動電圧波形と振動体端
部の振動速度とを示す線図。
【図16】第2実施例の超音波アクチュエータ(振動
体)の概略構成図。
【図17】第2実施例の配線接続を変えたときの概略構
成図。
【図18】第4実施例の超音波アクチュエータの模式
図。
【図19】同じく振動体端部の楕円軌跡の向きを示す模
式図。
【図20】同じく振動体突起の変更例を示す概略斜視
図。
【図21】第5実施例の超音波アクチュエータの模式
図。
【図22】変更例の超音波アクチュエータの模式図。
【図23】別の変更例の超音波アクチュエータの模式
図。
【図24】従来技術の超音波アクチュエータの概略図。
【図25】同じく定在波の振動と変位の向き等を示す模
式図。
【図26】別の従来技術の振動体と変位の楕円軌跡を示
す概略斜視図。
【図27】(a)は別の従来技術の超音波モータの概略
斜視図、(b)は振動体の平面図。
【符号の説明】
1…弾性体、2…振動発生部としての振動体、3,3a
〜3d…圧電体、7,10…電源部を構成するアンプ、
8…同じく位相シフタ、9…同じく2相発振器。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一端が自由な状態に支持さ
    れ、分極方向が異なる複数の分極が存在するように構成
    した圧電体を備えた棒状体である振動発生部と、 前記棒状体の軸方向の縦振動および曲げ振動を発生させ
    るため、前記圧電体に縦振動の共振駆動電圧を印加する
    電源部とを備え、 前記棒状体の軸方向長さを縦振動と共振してその自由端
    部に振動の腹部が存在する長さとし、 前記電源部を、前記振動発生部にその自由端部の質点の
    動きが楕円軌跡となる軸方向の伸びおよび縮みによる面
    内歪みを発生させるため、前記圧電体に位相差を有する
    電圧を印加可能としたことを特徴とする超音波アクチュ
    エータ。
  2. 【請求項2】 前記振動発生部を、偏平な棒状の弾性体
    と、その厚み方向において対向する2面の両側又は片側
    に配置した圧電体とからなる振動体とした請求項1に記
    載の超音波アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記電源部を、前記圧電体への印加電圧
    の位相差を±90°又はその近辺で切換可能とした請求
    項1又は請求項2に記載の超音波アクチュエータ。
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