JPH0768536B2 - 改良ミスト潤滑剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は改良されたミスト潤滑法および特種合成エステ
ルと異なる分子量をもつポリイソブチレン重合体混合物
とを用いてえられるよい潤滑性とミスト形成性もつ組成
物に関する。

組成物に使われる合成エステルはポリオールエステル、
トリメリテートエステルおよび重合脂肪酸エステルであ
る。

油ミストを用いる自動潤滑はよく知られており、ある用
途には潤滑点に潤滑剤調整量を与えるに最も有効経済的
手段と認められている。潤滑する点又は領域が容易にま
た安全に近づけない場合油ミスト潤滑は特に便利であ
る。

油ミストは鋼加工作業に使う設備の潤滑用に広く使われ
ている。それは高温ロールミル軸受用潤滑の特に有効な
形とされており潤滑剤のより有効利用と軸受の長期寿命
をもたらす。軸受寿命延長は一般に（１）潤滑剤のより
均一な分布、（２）低軸受温度および（３）汚染物排除
の結果と信じられる。（２）と（３）の利点は軸受への
ミスト応用に伴なう空気流による直接結果である。

適当な潤滑性をもつほかにミスト潤滑に適当であるには
油は適当なミスト特性をもつ必要がある。ポリブテン、
ポリイソブチレン、ポリアクリレートおよびエチレン−
プロピレン共重合体の様な高分子量重合体が正常ミスト
特性を生じさせるため基本油に加えられる。重合体添加
物のミスト特性に対する影響について一般的討論はT.D.
ニユーイングハムによつてLubrication Engineering,33
（３）、128−132（1977）に記載されている。

米国特許第3,510,425号はミスト油として便利なポリエ
ステル0.05乃至3.5重量％を含む礦油組成物を利用する
ミスト潤滑法を発表している。ミスト油組成物に便利な
ポリエステルは数平均分子量80,000乃至150,000でアク
リル又はメタクリル酸とC_12-12アルキル１価アルコール
のエステルから誘導される。

礦油主体のミスト潤滑剤とその使用法は米国特許第3,85
5,135号にも発表されている。米国特許第3,855,135号の
方法に使われる重合体添加物は粘度平均分子量10,000乃
至2,000,000をもちポリスチレンおよびポリスチレンと
ポリアクリレート又はポリブテンの混合物からえらばれ
る。適当なミスト潤滑性をえるため重合体添加物0.01乃
至２重量％が礦油に加えられる。

数平均分子量少なくも10,000をもつ重合体添加物最少量
を含む潤滑性礦油を利用するミスト潤滑法は英国特許明
細書1,099,450号にも発表されている。重合体添加物は
モーター油にVI改良剤として通常使われている特に低剪
断安定性をもつ製品である。数平均分子量少なくも100,
000をもつビニルアセテート、アルキルフマレートエス
テルおよびＮ−ビニルピロリドンの共重合体はこの方法
の特に便利な添加物であるとされている。

米国特許第3,805,918号にミスト油潤滑における好まし
くない散失ミストが油に可溶性のポリオレフインミスト
抑制剤0.001乃至２重量％を含むミスト油を使うことに
よつて低水準に減少する方法を発表している。平均分子
量5,000以上をもつエチレンとC_3-12モノオレフインの油
可溶性共重合体が特に有用な添加物である。石油誘導体
主体油の他にアルキル、アリール、およびアルカリール
ホスフエートエステル、アルキルベンゼン、ポリオキシ
アルキレンエステル又はグリコール、オルトシリケート
およびシロキサンの様な炭化水素主体の油もこの方法に
使われるミスト油組成物調合用に便利であると示されて
いる。

ブテン重合体も他の潤滑剤組成物生成に使われる。例え
ば米国特許第3,098,042号は分子量10,000乃至20,000を
もつブテン−１重合体を含む礦油又は合成油いづれかか
らえられた潤滑液体又はグリースを発表している。１お
よび（又は）２塩基性酸と単官能又は多官能アルコール
からえられた種々の合成エステルがこれらの潤滑剤製造
に便利であると発表されている。ポリブテン−１は約0.
5乃至12重量％の量で使用できる。塩や脂肪酸石けんの
様な普通のグリース粘稠剤も組成物に含まれていてもよ
い。ジエステル10乃至95％とブテン重合体90乃至５％を
含むよい剪断安定性をもち冷温流動性をもつ合成潤滑剤
が米国特許第3,860,522号に記載されている。ジエステ
ルは炭素原子16乃至22をもつ分岐鎖ジカルボン酸と炭化
原子６より少ない脂肪族アルコールからえられる。ブテ
ン重合体は約1,200乃至4,500の分子量をもつ。しかし上
記組成物はいづれも油ミスト用途には使われない。

よい潤滑とミスチング性がえられる方法があれば非常に
便利であろう。容易にえられる合成エステル原料からえ
られ改良された潤滑とミスト特性を示す油ミスト潤滑剤
があれば更に便利であろう。

今や出願人らはなからずもある比較的高粘度合成エステ
ルとちがつた分子量をもつポリイソブチレン重合体混合
物より成る改良ミスト潤滑剤を用いる改良法を発見した
のである。使用する合成エステルは15乃至300センチス
トークの40℃粘度をもつポリオールエステル、トリメリ
テートエステルおよび重合脂肪酸エステルである。２種
のポリイソブチレン重合体を必ず使用する。即ち１種は
平均分子量4,000乃至10,000をもつもので他は平均分子
量25,000乃至300,000をもつものである。

本発明の改良法と改良ミスト潤滑剤組成物によつてずつ
と広範囲の使用温度にわたり適当なミストを効果的に生
成できる。この特徴は著しい生産性向上を可能にする。
更に本発明の方法と組成物の利用によつて石油主体のミ
スト油に比べて軸受寿命の著しい改良（15乃至20％）が
えられる。

本発明によつて改良潤滑剤組成物が提供される。この組
成物は（１）（ａ）２乃至８のヒドロキシル基と３乃至
12の炭素原子をもつ脂肪族ポリオールと炭素原子５乃至
20をもつ脂肪族モノカルボン酸（その混合物でもよい）
から生成されたポリオールエステル；（ｂ）トリメリツ
ト酸又はその無水物と炭素原子８乃至16をもつ脂肪族ア
ルコールとから生成されたトリメリツト酸エステル；お
よび（ｃ）75％又はそれ以上のC₃₆ダイマー酸を含む重
合脂肪酸とC_1-13単官能性アルコールから生成された重
合脂肪酸エステルより成る群からえらばれた合成エステ
ル45乃至95重量部、（２）重合体100％基準で平均分子
量4,000乃至10,000をもつポリイソブチレン８乃至40重
量部；および（３）重合体100％基準で平均分子量25,00
0乃至300,000をもつポリイソブチレン0.1乃至１重量部
より成りかつ40℃において125乃至750センチストークス
の粘度をもつ組成物である。

更に本発明により潤滑方法が提供される。潤滑剤を約10
乃至100psigの圧力で空気中にミストとし潤滑される金
属表面に圧搾移送しより大きな液滴に合体させ上記金属
表面に沈着させてその上に潤滑性膜をつくらせるこの方
法において改良法は上記本発明組成物を用いることより
成る。

特に便利な油ミスト組成物は40℃において175乃至550セ
ンチストークスの粘度をもち、合成エステル12乃至30重
量部、重量平均分子量4,500乃至8,500をもつポリイソブ
チレン12乃至30重量部および平均分子量50,000乃至200,
000をもつポリイソブチレン0.25乃至0.85重量部を含
む。少量の石油稀釈剤と普通の潤滑剤添加剤の有効量を
加えてもよい。

本発明の改良ミスト潤滑剤組成物は比較的高粘度特殊合
成エステルを比較的低分子量の第１ポリイソブチレン重
合体および上記第１ポリイソブチレンよりも著しく高平
均分子量をもつ第２ポリイソブチレン重合体と混合して
えられる。ミスト特性と潤滑性のよいバランスをとるた
めにエステルとポリイソブチレン重合体を特定比率で用
いる。本発明の潤滑剤組成物はこの分野で知られている
普通のミスト潤滑方式に使用できるが、高温ストリツプ
ミルのロール軸受潤滑に特に利点がみられる。

ミスト潤滑およびその作業条件を含むミスト潤滑方式は
よく知られている。多くのミスト潤滑方式が文献に詳細
に示されている。一般にミスト潤滑は油ミスト発生を包
含し時にはミクロフオグ又はエアロゾルともいい、潤滑
を要する点に空気又は不活性ガス中の上記ミストを圧搾
移送するのである。ミストは再分級器（オリフイス）を
とおり、潤滑される目的物上に向う前にオリフイスは極
小油滴を大滴に合体又は凝集させる。

ミスト発生機は油ミスト形成に使われる。一般にこの発
生機は潤滑剤用容器より成り、それは油汲上げ（サイン
オン）管によつてベンチユリに接続されている。圧縮ガ
ス、普通空気がベンチユリをとおるとき潤滑剤は容器か
ら引出され空気と緊密混合されて液滴となる。空気と液
滴混合物は調節板をもつ発生機と接触し、板は大滴を凝
集させ油容器に戻す。一般に３ミクロン又はそれ以下の
小油滴は空気中に分散されたままでマニホルド配分管に
よつて潤滑点に圧搾移送される。

生成されたミストの量と性質は空気の温度と圧力（速
度）の変化によつて変りうる。10psig間の圧力が使われ
る。空気温度は一般に100乃至225゜Fである。空気温度
が125乃至200゜Fに保たれると特に好ましい。

配分方式は油と空気の分散物を最少凝集量で潤滑する点
に送る様設計されている。したがつて管の長さは長すぎ
てはいけないしまたその設計に注意しなければならな
い。例えば管の曲りは最少とする必要がありまた鋭い曲
りは避けねばならない。また管中に凝集液が集り詰る様
な低い点があつてはならない。配分管は一般に凝集を避
けるため発生器又は潤滑点のいづれかの方へ傾斜してい
るとよい。必要に応じ排出口をつける。補助管は一般に
主配分管の頂部から出ている。一般に補助管に対する設
計必要条件は主マニホルド又はヘツダーについてと同じ
である。

油−空気分散物は再分級器（オリフイス）をとおり小油
滴が大滴に変えられ（凝集し）油−空気分散物の速度を
増す。これによつて潤滑される表面の最大濡れが確保さ
れる。再分級器の大きさと型は特殊用途と油−空気分散
物特性によつて変る。

処理される、即ちミストになる潤滑剤量は“生成量”と
いう。生成量は単位時間当りの単位重量又は容量、例え
ばg/時で表わされる。そして更に３成分：（ａ）中途凝
集分、（ｂ）再分級された油および（ｃ）散失ミストに
分けられる。中途凝集分は管中に凝集したミスト量で再
分級器に到達しない。配分管中に凝集したミストはミス
ト発生器に戻され再用される。再分級された油は潤滑さ
れる表面に応用される潤滑剤実際量である。潤滑される
表面に応用されないが大気中に逃げるミストは散失ミス
ト又は散失フオグといわれる。生成量は（ａ）＋（ｂ）
＋（ｃ）と等しいので散失ミストは（ａ）と（ｂ）の合
計と生成量の差から決定される。中途凝集分、再分級さ
れた油、および散失ミストは生成量の％としてしばしば
報告され又は比率で表わされる。

前記からたとい高生成量がえられてもミスト成分の分布
は使用できない又は不経済な特定ミスト油方式となりう
ることは明らかである。例えば管凝集物（中途凝集分）
又は散失ミストのそれぞれの甚しい量は潤滑点における
潤滑剤の浪費となる。散失ミストは損失潤滑剤であるの
でそれは特にめんどうである。これは経済的見地から苦
境をもたらすばかりでなくまた将来健康と安全の障害と
なりうる。故に適当なミスト潤滑方式開発とこの方式の
ミスト油選択においてミスト成分（ａ）、（ｂ）および
（ｃ）の分布は生成量と共に考慮しなければならないこ
とである。

したがつて適当な油ミスト方式をもつためには適当な潤
滑方式をえる必要がある。これはミスト油がよいミスト
特性をもつ他によい潤滑性、酸化安定性、摩耗防止と極
端な圧力性、錆び腐蝕防止性および特定用途による可能
な他の性質を示すことを要する。潤滑剤はまた本質的に
好ましくないワツクスを含んではならない。ワツクスは
再分級器頭中で生成してそれをふさぎ又はつまらせる。
いづれにしても潤滑点への潤滑剤の補給が不十分とな
り、軸受の場合その寿命短縮となる。

潤滑剤はまたそれを応用された表面（単数又は複数）上
によい濡れと広がりを示さねばならない。ストリツプミ
ルに使われる様な大軸受のミスト潤滑においてしばしば
おこる問題の一つは全軸受およびロール首面にわたり均
一な潤滑剤分布ができないことである。この適当な潤滑
剤膜を欠くことは過度の局部的摩耗と早期軸受破損とな
る。ロール首上の“乾燥首”又は潤滑不十分な領域はミ
スト油で潤滑されたロールミル軸受の分解のときしばし
ば認められる。ミスト油潤滑剤および全軸受とロール首
面のそれぞれに均一膜を与える潤滑法は軸受寿命を著し
く長くしまた操作経費を減少する。

本発明のミスト油組成物と潤滑方法によつて油ミストの
有効量が容易に生成されしかもよい油ミスト分布、即ち
少量の散失ミストと中途凝集となる。また広範な操作温
度と圧力にわたり高生成量が可能でありまた厄介なワツ
クス沈着が最少となり、殆んどの場合完全になくなる。
また全く予期しなかつたが本発明のミスト油組成物は濡
れと広がりが改良されたので、ミストをロールミル軸受
に使つたとき潤滑剤の均一連続膜が軸受とロール首上に
できる。

前記改良は合成エステルとちがつた平均分子量をもつ２
ポリイソブチレン重合体混合物を用いる本発明のミスト
潤滑剤組成物およびその方法を用いてえられる。本発明
に用いる合成エステルは比較的高粘度ポリオールエステ
ル、トリメリテートエステル又は重合脂肪酸エステルで
ある。これらのエステルは25乃至300センチストークス
の40℃粘度をもつている。特に便利なミスト油組成物は
合成エステルの40℃粘度が50乃至250センチストークス
のときえられる。

使用できるポリオールエステルは炭素原子２乃至12をも
ちヒドロキシル基５乃至８をもつ脂肪族ポリオールから
えられる。一般にポリオールは炭素原子５乃至８とヒド
ロキシル基２乃至４をもつ。上記形の脂肪族ポリオール
の例にはネオペンチルグリコール、2,2−ジメチル−３
−ヒドロキシプロピル−2,2′−ジメチル−３−ヒドロ
キシプロピオネート、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタ
ンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、トリペンタエリスリトール等があ
る。種々の割合でモノ−、ジ−、トリ−および高級ペン
タエリスリトールを含む工業的ペンタエリスリトールも
使用できる。ネオペンチルグリコール、トリメチロール
プロパンおよびトリメチロールエタンは特に便利であ
る。ポリオールは脂肪族モノカルボン酸又は炭素原子５
乃至20をもつ脂肪族モノカルボン酸混合物と部分的に又
は完全に反応する。C_5-20脂肪族モノカルボン酸は直鎖
又は分岐鎖でもよくまた飽和でも不飽和基をもつていて
もよい。これらは天然脂肪又は油又はオクソ、コツホ又
は他の知られた反応によつて合成されたものからえられ
る。脂肪族モノカルボン酸の例にはヴアレリン酸、イソ
ヴアレリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステ
アリン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸、オレイ
ン酸、リノレイン酸およびそれらの混合物がある。混酸
はココナツト油、リノレイン酸およびそれらの混合物か
らえられる。ココナツト油、ラード油、トール油、ベニ
バナ油、コーン油、牛脂、大豆油、パーム油、ひまし
油、なたね油等も使用できる。トリメチロールプロパン
とC_12-18脂肪族モノカルボン酸又はその混合物とのエス
テル化からえられたトリメチロールプロパントリオレエ
ートやトリメチロールプロパントリイソイソステアレー
トの様なポリオールエステルは本発明のミスト油組成物
製造に特に便利である。ポリオールエステルは一般に15
より小さい酸価と100より小さい水酸基価をもつ。普通
ポリオールエステルの酸価と水酸基価はそれぞれ８以下
と25以下である。

便利なトリメリテートエステルはトリメリツト酸又は無
水トリメリツト酸と炭素原子８乃至16をもつ脂肪族単官
能アルコールからえられる。トリメリツト酸と無水トリ
メリツト酸はもちろんその製法が知られている様によく
知られた化学製品である。脂肪族アルコールは直鎖又は
分岐鎖の第１、第２又は第３アルコールでもよい。アル
コールの例にはｎ−オクチルアルコール、カプリルアル
コール、イソオクタノール、２−エチルヘキサノール、
デシルアルコール、イソトリデシルおよびイソデシルア
ルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、セチルアルコール等がある。特に便利なトリメリテ
ートエステルはC_10-13脂肪族アルコール又はその混合物
からえられる。イソデシルトリメリテート、イソトリデ
シルトリメリテートおよびそれらの混合物、即ちイソデ
シル／イソトリデシルトリメリテートはこの形の特に便
利なエステルである。このエステルの酸価は一般に15以
下、好ましくは５以下である。水酸基価は一般に10以
下、好ましくは３以下である。

重合脂肪酸エステルは75％又はそれ以上のC₃₆2量体酸と
C_1-13単官能アルコールを含む重合脂肪酸からえられ
る。重合脂肪酸はその製法の様に知られており、オレイ
ン酸、リノレイン酸等の様に炭素約16乃至20をもつオレ
フイン系不飽和モノカレボン酸の重合によつてえられ
る。その製法は一般に不飽和脂肪酸とHF、BR₃等の様な
酸触媒との処理：処理された又は非処理の粘土触媒の存
在の有無においてなされる不飽和脂肪酸の熱重合：およ
び不飽和脂肪酸と過酸化物の処理を含む。重合脂肪酸製
造法の参考文献は米国特許第2,793,219号と2,955,121号
がある。不飽和脂肪酸重合からの重合脂肪酸は主として
ダイマー酸とトリマー酸より成る。しかし混合物中には
少量のより高級な酸や非反応単量体も存在する。

C₃₆重合脂肪酸はC₁₈不飽和モノカルボン酸、例えばオレ
イン酸、リノレイン酸又はその混合物（トール油脂肪
酸）の重合によつてえられる。これらの重合脂肪酸製品
はその主成分としてC₃₆ダイマー酸とC₅₄トリマー酸をも
つ。

C₃₆ダイマー酸75重量％又はそれ以上を含み残りは本質
的にC₅₄トリマー酸であるこの形の酸によつてよい結果
がえられる。高級重合体酸と非反応不飽和モノカルボン
酸の実質的に少ない２量体含量の高い重合脂肪酸は分子
蒸留又は他の高能率蒸留法によつてえることができる。
重合脂肪酸は使用前水素添加されてもよい。この種の重
合脂肪酸製品はエムポールダイマー酸の商品名で市販さ
れている。

重合脂肪酸エステル製造用に便利なアルコールは脂肪族
分岐鎖又は直鎖で炭素原子１乃至13をもつ単官能性アル
コールである。代表的モノアルコールにはイソブチルア
ルコール、イソアミルアルコール、ネオペンチルアルコ
ール、ｎ−ヘキシルアルコール、ｎ−オクチルアルコー
ル、２−エチルヘキサノール、デシルアルコール、イソ
デシルアルコール、イソトリデシルアルコール、ラウリ
ルアルコール等がある。単官能性アルコール（単数又は
複数）と共に少量の多官能性アルコール、例えばエチレ
ングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,3
−、1,4−又は2,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチ
ル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘシサンジオール、
ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリト
ール等があつてもよい。特に便利な重合脂肪酸エステル
はC₃₆2量体酸85％又はそれ以上を含む重合脂肪酸とC
_8-10脂肪族モノアルコールからえられる。ジイソデシル
ジメレートとジ−２−エチルヘキシルジメレートは特に
好ましい。重合脂肪酸エステルは一般に100以下、普通1
0以下の酸価をもつ。水酸基価は一般に10以下、好まし
くは３以下である。

本発明の改良ミスト油組成物をえるには上に規定した合
成エステルと共に平均分子量のちがつたイソブチレン重
合体の混合物を必ず使用する。一般に２ポリイソブチレ
ンを使用する、第１は低分子量ポリイソブチレンといい
平均分子量4,000乃至10,000をもつ。第２は高分子量ポ
リイソブチレンといい平均分子量25,000乃至300,000を
もつ。本明細書でいう分子量は重量平均分子量（ｗ）
をいう。上記分子量範囲内に入らない他のブチレン重合
体少量もある。本発明の特に便利なミスト油組成物は低
分子量ポリイソブチレンが4,500乃至8,500の平均分子量
をもちまた高分子量ポリイソブチレンが50,000乃至200,
000の平均分子量をもつときにえられる。

イソブチレン重合体は本質的に式： （式中ｘは反復単位数を表わす整数とする）で示され
る。上記形の重合体は工業分野で広く使われていると知
られている。これらは普通ブテン−１および（又は）ブ
テン−２小量を含むイソブチレン原料の重合によつてえ
られる。本明細書で用いるポリイソブチレン又はイソブ
チレン重合体とは上記形の重合体を包含する。

イソブチレン重合体は普通知られた重合法によつてえら
れる。重合反応は不活性炭化水素中で行なわれ、この場
合約30乃至80％のポリイソブチレンを含む重合体溶液が
えられる。重合反応完了時望むならば稀釈剤を重合体に
加えてもよい。イソブチレン重合体溶液は本発明の改良
ミスト油調合に使用できる。これはポリイソブチレンと
合成エステルの処理と混合を促進する。ポリイソブチレ
ンについての本明細書の部とパーセントはすべて重合体
100％基準で計算される。イソブチレン重合体溶液使用
の結果としてミスト油組成物中にある不活性炭化水素は
製品全体のミスチング性および潤滑性を損じることはな
い。

本発明の組成物と方法をえるに45乃至95重量部の合成エ
ステルが重合体100％基準で８乃至40重量部の低分子量
ポリイソブチレンと重合体100％基準で0.1乃至１重量部
の高分子量ポリイソブチレンと混合される。より好まし
いミスト油組成物は55乃至85重量部の合成エステル、12
乃至30重量部の低分子量ポリイソブチレンおよび0.25乃
至0.85重量部の高分子量ポリイソブチレンを含む。

高温ストリツプミル軸受潤滑用に工業界で広く用いられ
ているISO級220、320および460をもちまた優秀なミスト
と潤滑特性をもつ特に便利なミスト油潤滑剤は63乃至78
部のジ−２−エチルヘキシルジメレート（40℃粘度91セ
ンチストークス、粘度指数155;晶出点−50゜F；酸価＜
3;水酸基酸２）、14乃至28部のポリイソブチレン（平
均分子量約7,500−7,600）および0.33乃至0.66部のポリ
イソブチレン（平均分子量約89,000−90,000）を混合し
てえられる。適当量の添加剤を調合された220、320およ
び460ISO級製品の組成と代表的特性は次のとおりであ
る。

最終ミスト油調合物には普通１又は２以上の添加剤が含
まれている。普通用いられる代表的添加剤は酸化防止
剤、摩耗防止/EP剤錆腐蝕防止剤、金属失活剤、泡抑制
剤、乳化防止剤等がある。これらの多くは重複した機
能、即ち多数機能をもつ。例えばある添加剤は摩耗防止
性と甚しい圧力性の両方を与え又は金属失活剤と腐蝕抑
制剤の両方の機能をもつ。これらの添加剤は合計でも調
合物の８％を超えない、普通５％を超えない。

使用できる酸化防止剤には4,4′−メチレンビス（2,6−
ジ−ｔ−ブチルフエノール）、2,6−ジ−ｔ−ブチル−
N,N−ジメチルアミノ−ｐ−クレゾール、およびチオジ
エチレンビス（3,5−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキ
シ）ヒドロシンナメート等の様なｔ−ブチルフエノール
からえられるフエノール系酸化防止剤;N,N−ジフエニル
フエニレンジアミンを含むアリールアミン;p−オクチル
ジフエニルアミン、p,p′−ジオクチルジフエニルアミ
ン等の様なジフエニルアミン;N−フエニル−１−ナフチ
ルアミン、Ｎ−フエニル−２−ナフチルアミン、Ｎ−
（ｐ−トデシルフエニル）−２−ナフチルアミン等の様
なＮ−フエニルナフチルアミン;N−アルキル−フエノチ
アジンの様なジナフチルアミン；ジチオカルバメート誘
導体等がある。一般に0.5乃至約1.5部の酸化防止剤が使
われる。

一般に約0.3部の摩耗防止剤と１乃至２部の甚しい圧力
（EP）剤がミスト油中に使われる。この種の例には硫酸
化イソオクチルタレートの様な硫酸化脂肪酸エステル；
硫酸化テルペン；硫酸化オレフイン；オルガノポリサル
フアイド；アミンホスフエート、アルキル酸ホスフエー
ト、ジアルキルホスフエート、アミンジチオホスフエー
ト、トリアルキル又はトリアリールホスフオロチオネー
ト、トリアルキル又はトリアールホスフイン、ジアルキ
ルホスフアイト、例えばトリフエニルホスフエート、ト
リナフチルホスフエート、トリクレジルホスフエート、
ジフエニルクレジル又はジクレジルフエニルホスフエー
ト、ナフチルジフエニルホスフエート、トリフエニルホ
スホロチオネートを含むオルガノりん誘導体；アンチモ
ンジアルキルジチオカルバメートの様なジチオカルバメ
ート；ザンテート等がある。

金属失活剤（不働化剤）と錆腐蝕防止剤に２塩基性酸、
例えばアゼライン酸；プロピルガレート；キノリン；キ
ノンとアントラキノン；トリルトリアゾールの様なベン
ゾトリアゾール誘導体；ベンゾクワナミン；アミノイン
ダゾール；バリウムジノニルナフタレンスルホネートの
様な金属アルキルスルホネート；アルケニルこはく酸又
はその無水物のエステルとアミド誘導体等がある。一般
にこの種の添加剤0.02乃至0.2部が使われる。

少量、普通0.0005乃至0.05部の泡防止剤、例えばシリコ
ーン油、アクリレート又は泡を抑制すると知られている
普通製品も加えることができる。少量、普通0.001乃至
0.05部の乳化防止剤を加えることも便利である。この目
的に使われる乳化防止剤には金属アルキルスルホネー
ト、アルキル化フエノール、アルコキシ化アルキルフエ
ノール、１価アルコール、アルキレングリコール等があ
る。

添加剤製造業者から市販されているいわゆる“多目的”
又は“万能”添加剤を利用することもできまたしばしば
便利である。種々の商品名、例えば“エルコ345"、“ハ
イテク323"、“リユーブリゾール5034"等で市販されて
いる。これらの添加剤調合物は一般によい酸化安定性、
摩耗防止性と甚しい圧力性を調合流体に与える。添加調
合物が低濃度で使われるときはしかし更に腐蝕防止剤と
泡防止剤を加える必要があろう。

本発明の潤滑剤組成物はその優秀なミスト特性によつて
ミスト油方式に使うに特に適しているが、はすば歯車、
アンポイド又はハイポイドギヤ、まがりばかさ歯車と小
歯車の普通の潤滑にまた円すい軸受等にも利用できる。
これらは伝動ケース、トルクコンバーターを含む閉止お
よび開放ギヤボツクス内にまた普通のジヤーナルデザイ
ンに使用できる。これらはまたチエーン、プーリおよび
ワイヤロープの潤滑にも便利である。

次の実施例は本発明およびその種々の実施態様を十分例
証するものである。特に断らない限りすべての部とパー
セントは重量基準である。本明細書に報告された分子量
は示差屈折率検査機（R401型）のついたウオーターアソ
シエーツHPLC204型装置を用いゲル透過クロマトグラフ
法で測定した。検査機は稀釈度16に設定した。直列に接
続され35±0.1℃に保たれた10⁴、10³、500および1000の
ウルトラスチラーゲル管を使用した。毎分1.0mlの流速
においてテトラヒドロフランを溶離溶媒として用いた。
試料をテトラヒドロフランにとかし（50mg/mlTHF）50μ
試料を各測定に注入した。知られた分子量（240,000
乃至601）の10ポリスチレン樹脂を測定標準として使つ
た。ミスト特性は一般法ASTM D 3705−78によつて測定
した。試験中油温度は120゜Fに保つた。測定に用いた空
気温度は150、175゜F又は200゜Fであつた。

実施例Ｉ 63.1部のジ−２−エチルヘキシルジメレート（40℃粘度
91センチオトークス、粘度指数155、晶出点−50゜F、酸
価＜３、水酸基価２）を27.5部のイソブチレン重合体
（w7573）および0.33部のイソブチレン重合体（w8
9,793）と混合してミスト潤滑剤をつくつた。混合は90
℃で行ないまたポリイソブチレンはエステルとの混合前
不活性炭化水素にとかした。えた混合物を約60℃に冷却
し、市販の無灰分多目的ギヤ油添加剤（エルコ 345）
を撹拌しながら加えた。ミスト潤滑剤（ISO級460）は次
の特性をもつていた： 粘度（ASTM D−445）40℃cst 466 〃 100℃cat 44 粘度指数（ASTM D−2270） 148 全酸価（ASTM D−974）（mgKOH/g） 2.5 比重60/60゜F（ASTM D−1298） 0.900 引火点、゜F（ASTM D−92） 415 晶出点、゜F（ASTM D−97） −20 ミスト特性を175゜Fと200゜Fで測定した結果次のとおり
であつた： 175゜F 200゜F 油生成量（g/時） 32.8 39.6 再分級油％ 76.9 77.5 中途凝集％ 12.1 11.4 散失ミスト％ 11.0 11.1 結果から中途凝集が最少で散失ミストが非常に少ない一
方生成量が高いことは明らかである。市販の礦物油主体
ミスト潤滑剤を使つても相当の生産量がえられるが、こ
の生成量をえるに必要な操作条件のもとで長時間運転で
はミスト潤滑剤の流れを抑え、ある場合再分級器頭の完
全閉塞をおこす様な著しいワツクス沈澱がおこる。上記
調合合成エステルミスト潤滑剤を使えばワツクス生成が
おこらずまたミスト分布を変えることなく又は操作条件
をあまり調整せずに連続してこの方式運転が可能であつ
た。

高温ホツトミルにおいて回転フオージヤーのロール上の
軸受（内径19インチダブルローラー型）に潤滑するにミ
スト油が使われた。サム２−３ガロンをもつ市販ミスト
発生機を用いてミストをつくつた。サム油は約100゜Fに
加熱された。ミストは インチパイプで発生機から引出されマニホルドをとおし
再分級器に送られた。0.067孔９又は15をもつ普通の再
分級器頭を使つた。合成エステル潤滑剤はよいミスチン
グ特性を示したまタ再分級器頭の拘束又は閉塞は認めら
れなかつた。更に優秀な潤滑がえられた。

軸受30を含む試験において上記調合した合成エステル潤
滑剤を用いて従来ミルに使つた市販の礦物油主体ミスト
潤滑油と比べて軸受当り15乃至20％のトン数増加がえら
れた。更に定期保守点検（通常操作150,000トン後にな
された）中“乾燥首”又は潤滑不十分領域は本発明のミ
スト油組成物で潤滑されたロール首には事実上なかつ
た。“乾燥ネツク”は殆んどの場合石油主体ミスト潤滑
剤によつて軸受が座しているロールネツクの外側に認め
られた。

装置運転10週間にわたる他の試験において多数の軸受を
上記調合合成エステルISO460ミスト潤滑剤で潤滑しまた
同数の軸受を市販ISO460石油主体ミスト潤滑剤を用いて
潤滑した。両軸受群を匹敵する運転条件のもとで検べ
た。試験期間中エステル主体ミスト油潤滑剤を使つた１
軸受のみが焼けた、即ち軸受がロール首上に焼付いた。
反対に石油主体ミスト油で潤滑した軸受中12が焼けた。
正常間隔における定期保守検査で後者群の更に８軸受が
損傷と判断され廃棄された。合成エステル潤滑剤使用軸
受はこの正常保守検査において損傷と認められたものは
なかつた。

実施例II 比較目的のためまた低分子量と高分子量イソブチレン重
合体混合物使用の必要性を示すため、実施例Ｉの方法に
よりISO460級ミスト油組成物３種をつくつた。組成は次
のとおりであつた： II A II B II Cシ゛ -2-エチルヘキシルシ゛メレ-ト 63.1 62.5 63.1 ポリイソブチレン（w7573） 27.5 − 28.4 ポリイソブチレン（w89,793） 0.33 11.2 − 添加剤 3.5 3.5 3.5 上記ISO460調合物各々について150℃でミスト性を検べ
た結果次のとおり： II A II B II C 油生成量（g/時） 31.8 4.8 38.7 再分級油％ 74.4 68.3 71.4 中途凝集％ 10.8 6.3 6.3 散失ミスト％ 14.8 25.3 22.3 上の結果から調合物IIBとIICの散失ミストが許容できな
い程多量なことは明らかである。散失ミストは15％又は
それ以下が一般に許容される。20％以上の散失ミストは
どんなことがあつても許容できない。更に製品IIBの生
成量はわるかつた。エステルを高分子量と低分子量ポリ
イソブチレンと混合した製品IIAのみが適当な生成量と
ロール軸受潤滑用に使用できる適当なミスト特性を与え
たのである。

実施例III ポリイソブチレン分子量の重要性を示すために次の比較
実験を行つた。本実施例においてジ−２−エチルヘキシ
ルジメレートおよび前記分子量範囲内のイソブチレン重
合体より成るミスト油調合物をつくり特定分子量外のポ
リイソブチレンを使い製造した調合物と比較した。混合
ポリイソブチレン、即ち重合体混合物の平均分子量は各
調合において同じ（w8550）とした。各油も同じ粘
度、ISO級460に調合した。ミスト油調合は次のとおり： III A III B I
II Cシ゛ -2-エチルヘキシルシ゛メレ-ト 63.1 60.0 3
4.5 ポリイソブチレン（w7573） 27.5 −
− 〃 （w89,793） 0.33 −
4.08 〃 （w77,284） − 2.35
− 〃 （w3199） − 30.2
− 〃 （w1874） − −
9.64 添加剤 3.5 3.5
3.5 各調合物のミスト特性の175゜Fで測定した結果次のとお
り： III A III B III C 油生成量（g/時） 32.8 20.8 15.9 再分級油％ 76.9 66.2 66.8 中途凝集％ 12.1 20.2 16.0 散失ミスト％ 11.0 13.6 17.3 上記結果から特定分子量以外のイソブチレン重合体で調
合されたIII BとIII Cは製品III Aよりも生成量が著し
く低いことが明らかである。製品III BとIII Cは低生成
量および潤滑剤に使われない、即ち中途で凝集したり散
失ミストとして損失する油が多量であるのでミスト油と
して全体的に不適当である。本発明により調合された製
品III Aのみが満足な生成量とバランスした性質を与え
る。

実施例IV 本発明の融通性と低粘度合成ミスト油製造能力を示すた
め、次の処方により潤滑剤組成物を調合した： ジ−２−エチルヘキシルジメレート 77.5 部 ポリイソブチレン（w7573） 14.5 部 ポリイソブチレン（w89,739） 0.66部 エルコ345多目的添加剤 3.5 部 このミスト油組成物の性質次のとおり： 粘度（ASTM D−445）40℃cst 219 〃 100℃cst 26 粘度指数（ASTM D−2270） 149 全酸価（ASTM D−974）（mgKOH/g） 2.1 比重60/60゜F（ASTM D−1298） 0.902 引火点、゜F（ASTM D−92） 430 晶出点、゜F（ASTM D−97） −40 ミスト特性（175゜Fにおいて） 油生成量（g/時） 52.4 再分級油％ 75.7 中途凝集％ 13.1 散失ミスト ％ 11.4 ミスト特性（200゜Fにおいて） 油生成量（g/時） 63.6 再分級油％ 74.4 中途凝集％ 11.4 散失ミスト％ 14.2 この潤滑剤は軸受潤滑に適する有効なミスト油であつ
た。

市販添加剤の代りに硫酸化イソオクチルタレエート２
部、フエニルα−ナフチルアミン１部、トリクレジルホ
スフエート１部、ベンゾトリアゾール0.05部、エチレン
グリコールのドデセニルサクセネートハーフエステル0.
05部、ダウDC−200ポリジメチル−シロキサン0.005部お
よびプロピレングリコール0.1部を用いて調合物をつく
つた場合匹敵する性質をもつた有効なミスト油がえられ
る。

実施例Ｖ 次の成分を混合してISO320ミスト油組成物をつくつた： ジ−２−エチルヘキシルジメレート 70.7 部 ポリイソブチレン（w7573） 20.7 部 ポリイソブチレン（w89,793） 0.50部 市販万能添加剤（S20.5％;P1％） 3.5 部 えられたミスト油組成物の物理的性質とミスト特性は次
のとおり： 粘度（ASTM D−445）40℃cst 316 〃 100℃cst 33 粘度指数（ASTM D−2270） 147 全酸価（ASTM D−974）（mgKOH/g） 1.9 比重、60/60゜F（ASTM D−1298） 0.904 引火点、゜F（ASTM D−92） 420 晶出点、゜F（ASTM D−97） −25 ミスト特性（175゜Fにおける） 油生成量（g/時） 41.7 再分級油％ 75.5 中途凝集％ 13.9 散失ミスト％ 10.5 ミスト特性（200゜Fにおいて） 油生成量（g/時） 55.0 再分級油％ 74.5 中途凝集％ 11.8 散失ミスト％ 13.8 実施例VI 他の合成エステル使用能力を示すためイソトリデシルお
よびイソデシルトリメチテートの混合物を使用してISO4
60ミスト潤滑剤をつくつた。次のとおり普通の方法（40
℃粘度250センチストークス；酸価0.02;水酸基価1.8;晶
出点−20゜F）によりミスト油組成物を調合した。

イソトリデシルトリメリテート 79.5部 ポリイソブチレン（w7573） 14.0部 ポリイソブチレン（w89,793） 0.17部 添加剤 3.5部 ミスト特性（175゜F）は次のとおりであつた： 油生成量（g/時） 34.9 再分級油％ 74.5 中途凝集％ 14.5 散失ミスト％ 11.0 製品はよい潤滑性を示し軸受用に有効な潤滑剤である。

実施例VII トリメチロールプロパントリイソステアレート（40℃粘
度90センチストークス；酸価5;水酸基価10;晶出点−15
゜F）に基づくミスト油組成物を次のとおり調合した：トリメチロ -ルフ゜ロハ゜ントリイソステアレ-ト 68.5 部 ポリイソブチレン（w7573） 23.1 部 ポリイソブチレン（w89,793） 0.28部 エルコ345 3.5 部 かくつくつた潤滑剤組成物は40℃粘度459センチストー
クスでありまた175゜ミスト特性は 油生成量（g/時） 31.7 再分級油％ 73.9 中途凝集％ 15.5 散失ミスト％ 10.6 であつた。市販添加剤をアンチモンジアルキルジチオカ
ルバメート４部、トリクレジルホスフエート１部および
バリウムジノニルナフタレンスルホネート１部で置換し
たとき匹敵するミスト特性と潤滑性がえられた。

実施例VIII トリメチロールプロパントリオレエート（40℃粘度228
センチストークス；酸価4;水酸基価4;晶出点−50゜F）5
6.5部をポリイソブチレン（w7573）33.0部およびポリ
イソブチレン（w89,793）0.40部と混合してISO460ミ
スト油をつくつた。この調合物に市販万能添加剤3.5部
も加えた。えた混合物は454センチストークスの40℃粘
度をもち良好な潤滑性とミスト特性を示した。ミスト特
性（175゜F）は次のとおりであつた； 油生成量（g/時） 29.2 再分級油％ 71.8 中途凝集％ 16.4 散失ミスト％ 11.8 製品は高温ストリツプミルのロール軸受潤滑に有効であ
つた。長期運転後もワツクス生成証拠もなくまたロール
首と軸受面を肉眼検査し潤滑剤のよい展開性を示してい
た。

実施例IX 高分子量と低分子量ポリイソブチレンの種々の量を使つ
て一連のISO460ミスト油組成物をつくつた。組成は次の
とおりであつた： IX A IX B I
X C シ゛ -2-エチルヘキシルシ゛メレ-ト 63.1 63.1 63.
1 ポリイソブチレン（w7573） 25.8 27.1 2
8.0 ポリイソブチレン（w89,793） 0.99 0.50
0.17 添加剤 3.5 3.5
3.5 175゜F（IX Aを除く）と200゜Fで検べたミスト特性の結
果次のとおり： 175゜Fにおいて IX A IX B IX C 油生成量（g/時） 試 33.1 39.9 再分級油％ 験 77.9 76.7 中途凝集％ せ 12.4 9.8 散失ミスト％ ず 9.7 13.5200゜Fにおいて 油生成量（g/時） 35.9 44.5 39.6 再分級％ 76.0 77.1 74.5 中途凝集％ 14.1 10.6 11.6 散失ミスト％ 9.9 12.3 13.9 実施例Ｘ 使用した高分子量ポリイソブチレンの平均分子量が77,2
84であつた以外は実施例Ｉの一般法によりミスト潤滑剤
をつくつた。組成物生成のためジ−２−エチルヘキシル
ジメレート63.1部をポリイソブチレン（w7573）27.5
部および高分子量イソブチレン重合体0.39部と混合し
た。市販の万能添加剤3.5部も混合物に加えた。えられ
たミスト潤滑剤の粘度（40℃）は464センチストークス
でありまたミスト特性（175゜F）は次のとおりであつ
た： 油生成量（g/時） 32.0 再分級油％ 72.7 中途凝集％ 14.8 散失ミスト％ 12.4 製品は実施例Ｉの製品に匹敵する潤滑性をもち高温ロー
ルミルその他の軸受のミスト潤滑に有効である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｍ 107:28 109:02） Ｃ１０Ｎ 20:02 20:04 40:02 50:04

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（１）（ａ） ヒドロキシル基２乃至８個
   および炭素原子３乃至12個をもつ脂肪族ポリオールと炭
   素原子５乃至20個をもつ脂肪族モノカルボン酸からえら
   れたポリオールエステル； （ｂ） トリメリツト酸又はその無水物と炭素原子５乃
   至16個をもつ脂肪族アルコールからえられたトリメリテ
   ートエステル；および （ｃ） 75％以上のC₃₆ダイマー酸を含む重合脂肪酸とC
   _2-13単官能性アルコールからえられた重合脂肪酸エステ
   ル； より成る群からえらばれた40℃における粘度15乃至300
   センチストークスをもつ合成エステル45乃至95重量部； （２） 100％重合体基準で、平均分子量4,000乃至10,0
   00をもつポリイソブチレン８乃至40重量部； および （３） 100％重合体基準で、平均分子量25,000乃至30
   0,000をもつポリイソブチレン0.1乃至１重量部； より成る組成物であるかつ上記組成物の40℃における粘
   度が125乃至750センチストークスでありことを特徴とす
   るミスト潤滑用に適する改良潤滑剤組成物。
2. 【請求項２】ポリオールエステル（ａ）が炭素原子５乃
   至８とヒドロキシル基２乃至４個をもち15以下の酸価と
   100以下の水酸基価をもつ脂肪族ポリオールからえられ
   たものであり、トリメリテートエステル（ｂ）は15以下
   の酸価と10以下の水酸基価をもち、また重合脂肪酸エス
   テル（ｃ）は100以下の酸価と10以下の水酸基価をもつ
   特許請求の範囲第１項に記載の潤滑剤組成物。
3. 【請求項３】ポリイソブチレン（２）が4,500乃至8,500
   の平均分子量をもちかつポリイソブチレン（３）が50,0
   00乃至200,000の平均分子量をもつ特許請求の範囲第１
   項又は２項に記載の潤滑剤組成物。
4. 【請求項４】175乃至550センチストークスの粘度をもち
   かつ（１）を55乃至85部、（２）を12乃至30部および
   （３）を0.25乃至0.85部含む特許請求の範囲第１項、２
   項又は３項に記載の潤滑剤組成物。
5. 【請求項５】（ａ）はネオペンチルグリコール、2,2−
   ジメチル−３−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−
   ３−ヒドロキシプロピオネート、2,2,4−トリメチル−
   1,5−ペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリ
   メチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリト
   ール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリト
   ールより成る群からえらばれたポリオールおよびCP
   _12-18脂肪族モノカルボン酸からえられたものであり；
   （ｂ）はトリメリツト酸又はその無水物およびC_10-13脂
   肪族アルコールからえられたものであり；かつ（ｃ）は
   85％以上のC₃₆ダイマー酸を含む重合脂肪酸とC_8-10脂肪
   族モノアルコールかられられたものである特許請求の範
   囲第１項から４項までのいづれかに記載の潤滑剤組成
   物。
6. 【請求項６】（ａ）がトリメチロールプロパン トリオ
   レエート又はトリメチロールプロパン トリイソステア
   レートであり；（ｂ）がイソデシルトリメリテート、イ
   ソトリデシルトリメリテート又はイソデシルイソトリデ
   シル混合トリメリテートでありかつ（ｃ）がジイソデシ
   ルジメレート又はジ−２−エチルヘキシルジメレートで
   ある特許請求の範囲第１項から４項までのいづれかに記
   載の潤滑剤組成物。
7. 【請求項７】更に８重量％までの添加剤を含む特許請求
   の範囲第１項から６項までのいづれかに記載の潤滑剤組
   成物。
8. 【請求項８】（１）（ａ） ヒドロキシル基２乃至８個
   および炭素原子３乃至12個をもつ脂肪族ポリオールと炭
   素原子５乃至20個をもつ脂肪族モノカルボン酸からえら
   れたポリオールエステル； （ｂ） トリメリツト酸又はその無水物と炭素原子５乃
   至16個をもつ脂肪族アルコールからえられたトリメリテ
   ートエステル；および （ｃ） 75％以上のC₃₆ダイマー酸を含む重合脂肪酸とC
   _2-13単官能性アルコールからえられた重合脂肪酸エステ
   ル； より成る群からえらばれた40℃における粘度15乃至300
   センチストークスをもつ合成エステル45乃至95重量部； （２） 100％重合体基準で、平均分子量4,000乃至10,0
   00をもつポリイソブチレン８乃至40重量部；および （３） 100％重合体基準で、平均分子量25,000乃至30
   0,000をもつポリイソブチレン0.1乃至１重量部； より成る組成物でありかつ上記組成物の40℃における粘
   度が125乃至750センチストークスであることを特徴とす
   る組成物のミストを約10乃至100psigの圧力で空気中に
   生ぜしめ潤滑しようとする金属表面に圧搾輸送して大滴
   に凝集させ上記金属面に沈着させてそれに潤滑性膜を生
   成させる潤滑方法。
9. 【請求項９】空気温度が125乃至200゜Fでありまた空気
   圧力が20乃至80psigである特許請求の範囲第８項に記載
   の方法。