JPH0659827B2 - 車両用軸ばね装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両用軸ばね装置に係り、特にリング状のロ
ールゴムを用いたものに好適な車両用軸ばね装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来、ロールゴムを用いた軸ばね装置としては、例え
ば、特開昭５８−６３５６７号等に示される構成が知ら
れている。このようなロールゴムを用いた軸ばね装置の
構成を第３図によって説明する。同図において、１は台
車を構成する台車枠で、内面を円錐状すなわち釣鍾状に
形成した外筒３が取付けられている。２は輪軸の両端に
取付けられる軸箱体で、外周面を円錐状すなわち前記外
筒３に嵌合可能な釣鍾状に形成された心金５が取付けら
れている。なお、前記心金５は軸箱体２の車体前後方向
両側に設けられ、かつ、外筒３は台車枠１の前記心金５
にその軸中心が一致するように配置されている。４は前
記外筒３の内周面と心金５の外周面との間に配置された
リング状のロールゴムである。すなわち、該ロールゴム
４は心金５を介して軸箱体２に、外筒３および台車枠１
を弾性支持している。６は前記心金５を軸箱体２に座金
７を介して取付けるためのナットである。

このような構成によって、輪軸を台車枠１に対して位置
決めするとともに、該輪軸に対して台車枠１を弾性支持
する構成となっていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、台車を分解すなわち台車枠から輪軸を
取外す際の作業性について配慮された構成となっていな
かった。例えば、車輪の踏面を削正時においては、軸箱
体と台車枠との間に形成され軸ばね装置を分解した後、
作業を行なっていた。この分解作業について第４図，第
５図により詳述すると、まず、該分解作業の方法として
は、第４図に示すように心金５のロールゴム４への圧入
部分で外す方法と、第５図に示すように心金５の軸箱体
２への取付部で外す方法と外筒３と台車枠との取付部で
外す方法があるが、外筒３と台車枠との取付部で取外す
方法は作業性の点から通常は適用しないので以下の説明
から省略する。ところが、第４図に示す方法においては
外筒３の内周面は円錐状に成形され、かつ、ロールゴム
４は該内筒３内周面に圧入されているため、心金５によ
る圧入力がなくなった場合、図中点線にて示すようにロ
ールゴム４がその復元力により外筒３の大径側すなわち
外方へ移動し、外筒３の端部からはみ出してしまう。最
悪の場合には、該ロールゴムが外筒３から離脱する恐れ
があった。

一方、第５図に示す方法においては、前述の場合と同様
に図中点線で示すようにロールゴムが外筒３からはみ出
し、さらに、該ロールゴム４が外筒３から離脱する恐れ
があるとともに、心金５がロールゴム４の復元力によっ
て押し出され、該ロールゴム４に嵌合した状態から抜け
落ちる恐れがあった。

したがって、前述のようなロールゴム４の外筒３からの
はみ出しによって、再組立時に該ロールゴムの位置がず
れて軸ばね装置の支持高さが変化したり、弾性支持の特
性が変化する恐れがあった。特に、軸ばね装置全体の支
持高さが変化すると、所期のロールゴム特性が得られ
ず、乗心地および走行安定性の低下を招く恐れがあっ
た。

さらに、前記外筒３，ロールゴム４および心金５の位置
関係を所定の状態に保って再組立を行なう場合には、多
大な時間と労力を必要とする恐れがあった。また、第５
図の状態においては、構成部材が全て分解した状態とな
る恐れがあり、再組立に多大な時間と労力を必要とする
恐れがあった。

本発明の目的とするところは、輪軸と台車枠との分離組
立て作業が容易に行なえ、かつ、外筒および心金自体の
構造が簡単な車両用軸ばね装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的は、内周面を円錐状に形成した外筒と、該外筒
に挿入可能な外径であって外周面を円錐状に形成した心
金と、リング状をなし前記外筒と心金とを組合せ両者の
間に嵌挿されるロールゴムとからなり、前記外筒を台車
枠に設置し、前記心金を軸箱体に設置される車両用軸ば
ね装置において、前記外筒には、その内周面の大径部に
該外筒の軸中心に対して平行な面を有する円筒部が形成
されており、前記円筒部の内径は、該円筒部に嵌入した
前記ロールゴムに対して軸方向の外力が作用していない
状態で該ロールゴムを該円筒部内に保持可能に形成され
ており、前記心金の先端部には、該心金の軸中心に対し
て平行な面を有する円柱部が形成されており、前記円柱
部の外径は、該円柱部に嵌合した前記ロールゴムに対し
て軸方向の外力が作用していない状態で該ロールゴムを
該円柱部に保持可能な外径に形成されていることによ
り、達成される。

〔作 用〕

外筒内周面の大径部に前記円筒部を構成し、かつ、心金
先端部に円柱部を構成することにより、輪軸と台車枠と
の分離作業に伴って、ロールゴムに対してその軸方向の
外力が作用していない状態のときに前記円筒部および円
柱部と前記ロールゴムとの間で無用な押出し力が生じる
ことがないため、これらが互いに嵌合している分離前の
各部材の位置関係を保持でき、組立て作業が容易に行な
える。また、前記円筒部および円柱部は、外筒および心
金の軸心に平行な面に形成されているだけで構造も簡単
である。

〔実施例〕

以下、本発明による一実施例および他の実施例を第１図
および第２図により説明する。

第１図において、８は前記従来例の外筒と同様台車枠に
取付けられる外筒で、内周面は円錐状すなわち釣鍾状に
形成されている。さらに、該内周面の大径部すなわち外
筒８の縁に近い部には、内側すなわち外筒８の軸中心側
へ突出したロールゴム保持部に相当する突起部９が設け
られている。該突起部９の大きさは、ロールゴム４が外
筒３内に圧入され他の力を受けない状態において、該ロ
ールゴム４自体の復元力によって生じる外方への移動力
に打勝ってロールゴム４と保持する力を生じる大きさと
する。一方、該突起部９はロールゴム４を該外筒８内へ
容易に圧入可能な大きさとする必要もある。ところで、
図中、突起部９は全周に形成されているが、断続的に設
置してもなんら問題はない。

次に、10は前記従来例の心金と同様軸箱体に取付けられ
る心金で、外周面は円錐状すなわち釣鍾状に形成されて
いる。さらに、該心金10の先端には、半径方向に突出し
た嵌合保持部に相当する突起部１１が設けられている。
この突起部11はロールゴム４の復元力によって心金10を
押し出す力に対抗して、該ロールゴム４への心金10の嵌
合状態を保持する大きさに形成されている。一方、該突
起部11は心金10をロールゴム４内に嵌挿する場合におい
て容易に嵌挿可能な大きさとする必要がある。

このような構成において、軸ばね装置を台車枠と輪軸の
分離に伴って分解する場合について説明する。まず、ロ
ールゴム４と心金10との間で分離させる場合には、ロー
ルゴム４は外筒８の突起部９によって該外筒８の外方へ
の移動を防止され、保持されるため、該ロールゴム４が
外筒８外方へはみ出すことがない。ところで、前述のよ
うにロールゴム４と心金10との間で分離する場合には、
心金10の突起部11を設けない方が有利である。

一方、心金10と軸箱体との間で分離をする場合には、前
述と同様にロールゴム４は突起部９によって外筒11の外
方への移動を防止され、かつ、心金10においては突起部
11によってロールゴム４からの離脱を防止されている。
したがって、構成部材全てが分解された状態となること
がない。

このような構成によれば、前述の軸ばね装置の分解時
に、外筒８からのロールゴム４のはみ出しを防止できる
ため、再組立後に軸ばね装置の高さが変化し、特性が変
ることによる乗心地および走行安定性の低下を防止でき
る。また、再組立時において、ロールゴム４が外筒８に
対して所定の位置にあるため、該ロールゴム４の位置調
整等が不要となり、作業性の向上が図れる。

一方、心金10と軸箱体とを分離する場合においては、ロ
ールゴム４が外筒８に保持され、かつ、該ロールゴム４
から心金10が離脱することがないため、再組立作業が容
易に行なえるとともに、外筒８，ロールゴム４および心
金10のおのおのの位置関係が所定の状態に保持されてい
るため、再組立後の特性の変化を防止できる。

次に、第２図は本発明の他の実施例を示しており、12は
前記従来例の外筒と同様台車枠に取付けられる外筒で、
内周面は円錐状に形成されている。さらに、該外筒12の
内周面の大径部すなわち外筒12の縁に近い部分には、そ
の軸中心に対して平行な面を有し、ロールゴム４を保持
可能な内径に構成された円筒13が設けられている。該円
筒13は、その軸方向について内径が変化せず、ロールゴ
ム４にそれ自体の軸方向の外力が作用しない状態におけ
るロールゴム４自体の復元力によって該ロールゴム４が
外筒１２の外方へ移動せず保持可能な内径に形成されて
いるため、外方への移動力が生じることがない。

次に、14は前記従来例の心金と同様軸箱体に取付けられ
た心金で、外周面は円錐状に形成されている。さらに、
該心金14の先端には、その軸中心に平行な面を有し、ロ
ールゴム４を保持可能な外径の円柱部１５が形成されて
いる。該円柱部１５は、その軸方向について外径が変化
せず、ロールゴム４に外力が作用していない状態におけ
るロールゴム４自体の復元力によって該ロールゴム４と
心金14とが互いを押し出すことなく保持することができ
る外径となっているため、押出し力が生じることがな
い。

このような構成において、該軸ばね装置をロールゴム４
と心金14との間で分離する場合、ロールゴム４自体の復
元力によって外筒12から該ロールゴム４が外方へ移動す
る力を円筒部13によって抑制できるため、ロールゴム４
の外筒12からのはみ出しを防止できる。

一方、心金14と軸箱体との間で分離する場合、前述の場
合と同様ロールゴム４が外筒12から外方へ移動するのを
防止でき、さらに、ロールゴム４の復元力によって生じ
る心金14の押し出し力を前記円柱部15でなくすことがで
きるため、ロールゴム４から心金14が離脱するのを防止
できる。

このような構成によれば、外筒12の円筒部13によってロ
ールゴム４の外筒12からのはみ出しを防止でき、再組立
後における高さおよび特性の変化をなくすことができ
る。また、組立時の作業性を向上できる。さらに、外筒
12自体の加工も前記突起部を形成するのに比べて容易に
行なえる。

次に、心金14に円柱15を設けたことにより、ロールゴム
４自体の復元力による心金14を押し出す力がなくなると
ともに、該復元力によって心金14を保持することにな
り、該心金14のロールゴム４からの離脱を防止できる。
また、心金14の加工においても、突起部を形成するのに
比べて円柱15を形成する方が作業が容易である。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、輪軸と台車枠の分
離組立て時における軸ばね装置部分の分解組立てが容易
に行なえるとともに、外筒および心金自体の構造を複雑
にすることなく簡単な構成で前記効果を達成することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明による軸ばね装置の一実施
例および他の実施例を示す断面図、第３図は従来の軸ば
ね装置を示す断面図、第４図および第５図は第３図の軸
ばね装置の分解状況を示す断面図である。 ４……ロールゴム、８……外筒、９……突起部、10……
心金、11……突起部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内周面を円錐状に形成した外筒と、該外筒
   に挿入可能な外径であって外周面を円錐状に形成した心
   金と、リング状をなし前記外筒と心金とを組合せ両者の
   間に嵌挿されるロールゴムとからなり、前記外筒を台車
   枠に設置し、前記心金を軸箱体に設置される車両用軸ば
   ね装置において、 前記外筒には、その内周面の大径部に該外筒の軸中心に
   対して平行な面を有する円筒部が形成されており、 前記円筒部の内径は、該円筒部に嵌入した前記ロールゴ
   ムに対して軸方向の外力が作用していない状態で該ロー
   ルゴムを該円筒部内に保持可能に形成されており、 前記心金の先端部には、該心金の軸中心に対して平行な
   面を有する円柱部が形成されており、 前記円柱部の外径は、該円柱部に嵌合した前記ロールゴ
   ムに対して軸方向の外力が作用していない状態で該ロー
   ルゴムを該円柱部に保持可能な外径に形成されている、 ことを特徴とする車両用軸ばね装置。