JPH06164069A - 半導体レーザ - Google Patents
半導体レーザInfo
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- JPH06164069A JPH06164069A JP31520292A JP31520292A JPH06164069A JP H06164069 A JPH06164069 A JP H06164069A JP 31520292 A JP31520292 A JP 31520292A JP 31520292 A JP31520292 A JP 31520292A JP H06164069 A JPH06164069 A JP H06164069A
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Landscapes
- Lasers (AREA)
- Semiconductor Lasers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 多重量子井戸構造の活性層を有するInGa
AsP/InP系半導体レーザに関し、正孔の不均一注
入が引き起こす量子井戸活性層の総合利得Gの低下を補
償できるInGaAsP/InP系多重量子井戸型レー
ザを提供することを目的とする。 【構成】 少なくとも2層以上のInGaAsP系量子
井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層と活性層を挟
むp型層とn型層を有する半導体レーザであって、正孔
の不均一注入による利得のピーク波長の変化を補償する
ように、p型層側の量子井戸層の組成または層厚の少な
くとも一方が、よりn型層側の少なくとも1つの量子井
戸層の実効的バンドギャップよりも狭い実効的バンドギ
ャップを有するように選択されていることを特徴とす
る。
AsP/InP系半導体レーザに関し、正孔の不均一注
入が引き起こす量子井戸活性層の総合利得Gの低下を補
償できるInGaAsP/InP系多重量子井戸型レー
ザを提供することを目的とする。 【構成】 少なくとも2層以上のInGaAsP系量子
井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層と活性層を挟
むp型層とn型層を有する半導体レーザであって、正孔
の不均一注入による利得のピーク波長の変化を補償する
ように、p型層側の量子井戸層の組成または層厚の少な
くとも一方が、よりn型層側の少なくとも1つの量子井
戸層の実効的バンドギャップよりも狭い実効的バンドギ
ャップを有するように選択されていることを特徴とす
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザに関し、
特に多重量子井戸構造の活性層を有するInGaAsP
/InP系半導体レーザに関する。なお、本明細書で
「InGaAsP系」とは、InGaAsを含むものと
する。また、量子井戸層での伝導帯における基底エネル
ギ準位と価電子帯における基底エネルギ準位との間のエ
ネルギ差を実効的バンドギャップと呼ぶ。
特に多重量子井戸構造の活性層を有するInGaAsP
/InP系半導体レーザに関する。なお、本明細書で
「InGaAsP系」とは、InGaAsを含むものと
する。また、量子井戸層での伝導帯における基底エネル
ギ準位と価電子帯における基底エネルギ準位との間のエ
ネルギ差を実効的バンドギャップと呼ぶ。
【0002】半導体レーザは、小型、軽量、高信頼性、
長寿命という特性を生かして、オプトエレクトロニクス
のキーデバイスとして通信用、民生用に広く実用化され
ている。
長寿命という特性を生かして、オプトエレクトロニクス
のキーデバイスとして通信用、民生用に広く実用化され
ている。
【0003】特に、InP基板上にInGaAsP系活
性層を備えたInGaAsP/InP系半導体レーザ
は、発振波長が1.2〜1.5μm帯をカバーするた
め、石英系ファイバの最低損失領域と一致し、長距離光
通信用光源として重要視されている。
性層を備えたInGaAsP/InP系半導体レーザ
は、発振波長が1.2〜1.5μm帯をカバーするた
め、石英系ファイバの最低損失領域と一致し、長距離光
通信用光源として重要視されている。
【0004】
【従来の技術】光通信用光源として、半導体レーザに要
求される特性は、発振モードの単一性や光出力、高速変
調時の安定性等、多岐に亘る。現在、世界的に進められ
ている幹線系通信から、さらに加入者系やLAN系とい
う分岐系へ光ファイバ通信を拡大していくためには、光
源として用いられる半導体レーザに広い温度範囲で安定
して低閾値発振できる特性が求められている。
求される特性は、発振モードの単一性や光出力、高速変
調時の安定性等、多岐に亘る。現在、世界的に進められ
ている幹線系通信から、さらに加入者系やLAN系とい
う分岐系へ光ファイバ通信を拡大していくためには、光
源として用いられる半導体レーザに広い温度範囲で安定
して低閾値発振できる特性が求められている。
【0005】低閾値発振の目的で注目されているものに
量子井戸型レーザがある。その層構造および量子井戸活
性層のバンド構造を、図4に示す。量子井戸型レーザ
は、従来のダブルヘテロ構造によるキャリアおよび光の
空間的閉じ込めに加えて、キャリアのエネルギ的閉じ込
め効果によって利得を増し、発振閾値を下げることがで
きる。通常は図示したように、複数の量子井戸層を有す
る多重量子井戸構造を活性層に用いることが多い。
量子井戸型レーザがある。その層構造および量子井戸活
性層のバンド構造を、図4に示す。量子井戸型レーザ
は、従来のダブルヘテロ構造によるキャリアおよび光の
空間的閉じ込めに加えて、キャリアのエネルギ的閉じ込
め効果によって利得を増し、発振閾値を下げることがで
きる。通常は図示したように、複数の量子井戸層を有す
る多重量子井戸構造を活性層に用いることが多い。
【0006】図4(A)は、一般に用いられている多重
量子井戸型レーザの層構造を示す。n型基板21上に、
エピタキシャル成長技術を用いてn型クラッド層22、
n型光閉じ込め層23、i型(アンドープ)多重量子井
戸層(活性層)24、p型光閉じ込め層25、p型クラ
ッド層26およびp型コンタクト層27が層状に堆積さ
れている。
量子井戸型レーザの層構造を示す。n型基板21上に、
エピタキシャル成長技術を用いてn型クラッド層22、
n型光閉じ込め層23、i型(アンドープ)多重量子井
戸層(活性層)24、p型光閉じ込め層25、p型クラ
ッド層26およびp型コンタクト層27が層状に堆積さ
れている。
【0007】光閉じ込め層23、25は、SCH(Sepa
rate Confinement Heterostructure)層ともいわれる。
各成長層は、通常n型基板21に格子整合しているが、
最近意図的に格子不整合を導入した歪多重量子井戸構造
も提唱されている。
rate Confinement Heterostructure)層ともいわれる。
各成長層は、通常n型基板21に格子整合しているが、
最近意図的に格子不整合を導入した歪多重量子井戸構造
も提唱されている。
【0008】図4(B)に示すように、i型多重量子井
戸層24は、複数の量子井戸層、たとえば3層の量子井
戸層28a、28b、28cと量子井戸層を分離するバ
リア層、たとえば2層のバリア層29a、29bを含
む。
戸層24は、複数の量子井戸層、たとえば3層の量子井
戸層28a、28b、28cと量子井戸層を分離するバ
リア層、たとえば2層のバリア層29a、29bを含
む。
【0009】その電流注入時のエネルギ帯図は図4
(C)のようになる。図で、Ec は伝導帯のバンド端の
エネルギを、ΔEc は量子井戸層とバリア層のEc の差
を、Evは価電子帯のバンド端のエネルギを、ΔEv は
量子井戸層とバリア層のEvの差を、Egは量子井戸層
のバンドギャップを示す。
(C)のようになる。図で、Ec は伝導帯のバンド端の
エネルギを、ΔEc は量子井戸層とバリア層のEc の差
を、Evは価電子帯のバンド端のエネルギを、ΔEv は
量子井戸層とバリア層のEvの差を、Egは量子井戸層
のバンドギャップを示す。
【0010】量子井戸層の幅は、電子のドブロイ波長以
下の薄さ(通常数〜数十Å)に設定されている。この結
果、電子のとり得る準位は量子化され、量子準位に局在
化された電子および正孔間で再結合輻射を生じる。
下の薄さ(通常数〜数十Å)に設定されている。この結
果、電子のとり得る準位は量子化され、量子準位に局在
化された電子および正孔間で再結合輻射を生じる。
【0011】1次元(厚さ)方向の量子化によりエネル
ギ状態密度が階段状になる。このため、利得が増加して
低閾値で発振し得る。発振エネルギは、エネルギ準位の
量子化によりバンドギャップEgより大きくなる。
ギ状態密度が階段状になる。このため、利得が増加して
低閾値で発振し得る。発振エネルギは、エネルギ準位の
量子化によりバンドギャップEgより大きくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】比較的高温の環境下に
おいても、量子井戸層に十分キャリアを閉じ込めておく
には、量子井戸層のポテンシャル井戸は電子に対して
も、また正孔に対しても十分深くならなければならな
い。
おいても、量子井戸層に十分キャリアを閉じ込めておく
には、量子井戸層のポテンシャル井戸は電子に対して
も、また正孔に対しても十分深くならなければならな
い。
【0013】しかるに、光通信用レーザであるInGa
AsP/InP系レーザの場合、電子に対するポテンシ
ャル井戸の深さ(図4(B)のΔEc )が、正孔に対す
るポテンシャル井戸の深さ(ΔEv )より浅い。したが
って、ΔEc を十分な大きさで確保すると、ΔEv は必
要以上に大きくなる。
AsP/InP系レーザの場合、電子に対するポテンシ
ャル井戸の深さ(図4(B)のΔEc )が、正孔に対す
るポテンシャル井戸の深さ(ΔEv )より浅い。したが
って、ΔEc を十分な大きさで確保すると、ΔEv は必
要以上に大きくなる。
【0014】この結果、順方向バイアスによってキャリ
アが量子井戸層に注入されると、p型層に近い量子井戸
程多くの正孔が分布し、正孔濃度が各井戸層間で異なる
分布を持つ。
アが量子井戸層に注入されると、p型層に近い量子井戸
程多くの正孔が分布し、正孔濃度が各井戸層間で異なる
分布を持つ。
【0015】図1(A)、(B)を用いて説明すると、
次のようになる。今、4層のポテンシャル井戸を有する
量子井戸活性層の各ポテンシャル井戸に均等に正孔が注
入された理想的な場合には、単一量子井戸層の利得gは
各量子井戸層で等しくなる。
次のようになる。今、4層のポテンシャル井戸を有する
量子井戸活性層の各ポテンシャル井戸に均等に正孔が注
入された理想的な場合には、単一量子井戸層の利得gは
各量子井戸層で等しくなる。
【0016】すなわち、正孔に対する各ポテンシャル井
戸をWh1、Wh2、Wh3、Wh4(ただし、番号はp層側か
ら数えるものとする)とした時、各量子井戸層の利得g
と波長λの関係を示す図は、図1(A)の中央の図のよ
うに与えられ、各量子井戸層で等しくなる。
戸をWh1、Wh2、Wh3、Wh4(ただし、番号はp層側か
ら数えるものとする)とした時、各量子井戸層の利得g
と波長λの関係を示す図は、図1(A)の中央の図のよ
うに与えられ、各量子井戸層で等しくなる。
【0017】したがって、量子井戸活性層全体の総合利
得Gは、単純に単一量子井戸層の利得gを4倍して、図
1(A)の右側の図のように与えられることになる。利
得ピーク波長で利得は層数倍される。
得Gは、単純に単一量子井戸層の利得gを4倍して、図
1(A)の右側の図のように与えられることになる。利
得ピーク波長で利得は層数倍される。
【0018】しかし、電子に対するポテンシャル井戸の
深さを十分深くしたInGaAsP/InP系量子井戸
活性層に正孔を注入すると、正孔に対するポテンシャル
井戸が深いため、正孔はp層側に近いポテンシャル井戸
程高濃度となるように不均一に分布する。すなわち、正
孔に対する各ポテンシャル井戸の正孔濃度をpi (i=
1〜4)とすると、p1 >p2 >p3 >p4 となる。
深さを十分深くしたInGaAsP/InP系量子井戸
活性層に正孔を注入すると、正孔に対するポテンシャル
井戸が深いため、正孔はp層側に近いポテンシャル井戸
程高濃度となるように不均一に分布する。すなわち、正
孔に対する各ポテンシャル井戸の正孔濃度をpi (i=
1〜4)とすると、p1 >p2 >p3 >p4 となる。
【0019】この結果、図1(B)で示すように、各量
子井戸層における利得gは波長に対して異なるピーク位
置を示し、かつピーク値gmax 自体も井戸層毎に異な
る。ピークの波長位置が変わると、各量子井戸層の寄与
を合計した量子井戸活性層の総合利得Gは、ピーク値G
max が図1(A)の場合より小さくなる。
子井戸層における利得gは波長に対して異なるピーク位
置を示し、かつピーク値gmax 自体も井戸層毎に異な
る。ピークの波長位置が変わると、各量子井戸層の寄与
を合計した量子井戸活性層の総合利得Gは、ピーク値G
max が図1(A)の場合より小さくなる。
【0020】このことは、とりもなおさず、レーザ発振
の閾値増大につながる。不均一な正孔注入の問題点を回
避するために、バリア層の厚みを減らして隣接する量子
井戸層間をトンネル結合させ、バリア層を通過するトン
ネリングによって正孔濃度を均一化させようとする提案
がある。
の閾値増大につながる。不均一な正孔注入の問題点を回
避するために、バリア層の厚みを減らして隣接する量子
井戸層間をトンネル結合させ、バリア層を通過するトン
ネリングによって正孔濃度を均一化させようとする提案
がある。
【0021】しかし、この場合には、電子のポテンシャ
ル井戸間でもトンネル結合が生じて、波動関数の広がり
によるブロードニングのために電子準位がボケて量子井
戸層による電子局在化の効果が薄れる。この結果、閾値
が上昇してしまう。
ル井戸間でもトンネル結合が生じて、波動関数の広がり
によるブロードニングのために電子準位がボケて量子井
戸層による電子局在化の効果が薄れる。この結果、閾値
が上昇してしまう。
【0022】本発明の目的は、正孔の不均一注入が引き
起こす量子井戸活性層の総合利得Gの低下を補償できる
InGaAsP/InP系多重量子井戸型レーザを提供
することである。
起こす量子井戸活性層の総合利得Gの低下を補償できる
InGaAsP/InP系多重量子井戸型レーザを提供
することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ
は、少なくとも2層以上のInGaAsP系量子井戸層
を有する多重量子井戸構造の活性層と活性層を挟むp型
層とn型層を有する半導体レーザであって、正孔の不均
一注入による利得のピーク波長の変化を補償するよう
に、p型層側の量子井戸層の組成または層厚の少なくと
も一方が、n型層側の少なくとも1つの量子井戸層の実
効的バンドギャップよりも狭い実効的バンドギャップを
有するように選択されていることを特徴とする。
は、少なくとも2層以上のInGaAsP系量子井戸層
を有する多重量子井戸構造の活性層と活性層を挟むp型
層とn型層を有する半導体レーザであって、正孔の不均
一注入による利得のピーク波長の変化を補償するよう
に、p型層側の量子井戸層の組成または層厚の少なくと
も一方が、n型層側の少なくとも1つの量子井戸層の実
効的バンドギャップよりも狭い実効的バンドギャップを
有するように選択されていることを特徴とする。
【0024】
【作用】実効的バンドギャップが狭い量子井戸層には、
正孔の不均一注入により、より多くの正孔が注入され
る。このため、電子・正孔間の再結合輻射エネルギは上
昇する。
正孔の不均一注入により、より多くの正孔が注入され
る。このため、電子・正孔間の再結合輻射エネルギは上
昇する。
【0025】上昇した電子・正孔の再結合エネルギがよ
りn型層側の量子井戸層の電子・正孔間の再結合輻射エ
ネルギと等しくなれば、利得のピーク波長が揃う。この
ようにして、正孔の不均一注入による利得のピーク波長
の変化を実効的バンドギャップの変化によって補償する
ことができる。
りn型層側の量子井戸層の電子・正孔間の再結合輻射エ
ネルギと等しくなれば、利得のピーク波長が揃う。この
ようにして、正孔の不均一注入による利得のピーク波長
の変化を実効的バンドギャップの変化によって補償する
ことができる。
【0026】なお、実効的バンドギャップの変化は、量
子井戸層の組成または層厚を調整することによって実行
することができる。
子井戸層の組成または層厚を調整することによって実行
することができる。
【0027】
【実施例】図1は、本発明の半導体レーザの原理を説明
するための図である。ここで、半導体レーザの多重量子
井戸層は、1例として4層の井戸を有しているものとす
る。InGaAsP系材料の特性からΔEc <ΔEv で
ある。正孔に対するポテンシャル井戸層は、p層側から
順にWh1、Wh2、Wh3、Wh4と表されている。
するための図である。ここで、半導体レーザの多重量子
井戸層は、1例として4層の井戸を有しているものとす
る。InGaAsP系材料の特性からΔEc <ΔEv で
ある。正孔に対するポテンシャル井戸層は、p層側から
順にWh1、Wh2、Wh3、Wh4と表されている。
【0028】図1(B)を用いて既に説明したように、
このような多重量子井戸活性層においては、順方向バイ
アスが印加された時、p層側から注入される正孔濃度
は、正孔に対する各ポテンシャル井戸の正孔濃度をp1
〜p4 とする時、p1 >p2 >p3 >p4 と不均一に分
布する。
このような多重量子井戸活性層においては、順方向バイ
アスが印加された時、p層側から注入される正孔濃度
は、正孔に対する各ポテンシャル井戸の正孔濃度をp1
〜p4 とする時、p1 >p2 >p3 >p4 と不均一に分
布する。
【0029】各ポテンシャル井戸の深さおよび幅が等し
い従来の量子井戸層においては、この結果、各量子井戸
層で発生する利得gが図1(B)のように不均一とな
り、総合利得Gは低くなる。
い従来の量子井戸層においては、この結果、各量子井戸
層で発生する利得gが図1(B)のように不均一とな
り、総合利得Gは低くなる。
【0030】図1(C)で示したポテンシャル井戸の深
さが不均一な量子井戸層からなる多重量子井戸型レーザ
においては、各量子井戸の利得gのピーク波長を揃える
ことができる。
さが不均一な量子井戸層からなる多重量子井戸型レーザ
においては、各量子井戸の利得gのピーク波長を揃える
ことができる。
【0031】すなわち、InGaAsP/InP系半導
体レーザにおいては、ΔEc <ΔE v であるが、各量子
井戸層のバンドギャップEg(n) が Eg(1) <Eg(2) <Eg(3) <Eg(4) に選定されている。
体レーザにおいては、ΔEc <ΔE v であるが、各量子
井戸層のバンドギャップEg(n) が Eg(1) <Eg(2) <Eg(3) <Eg(4) に選定されている。
【0032】このような選定は、各量子井戸層を構成す
るIn1-x Gax Asy P1-y の混晶比x、y(組成)
を変化させることによって行なうことができる。また、
量子井戸層の幅を変えることによっても実効的バンドギ
ャップを変化させることができる。
るIn1-x Gax Asy P1-y の混晶比x、y(組成)
を変化させることによって行なうことができる。また、
量子井戸層の幅を変えることによっても実効的バンドギ
ャップを変化させることができる。
【0033】各量子井戸層のバンドギャップEg
(n) が、図1(C)に示すようにp型層側ほど狭くなっ
ていると、不均一な正孔注入が生じた時、正孔濃度の不
均一に伴う利得ピーク波長の差を補償することができ
る。
(n) が、図1(C)に示すようにp型層側ほど狭くなっ
ていると、不均一な正孔注入が生じた時、正孔濃度の不
均一に伴う利得ピーク波長の差を補償することができ
る。
【0034】この結果、正孔濃度の違いによる利得gの
ピーク値gmax の違いは存在するが、各井戸層でgmax
を与える波長を、図1(C)の中央の図のように揃える
ことができる。したがって、各量子井戸層の利得gを加
算した多重量子井戸活性層の総合利得Gは、図1(C)
の右端のように大きくなる。
ピーク値gmax の違いは存在するが、各井戸層でgmax
を与える波長を、図1(C)の中央の図のように揃える
ことができる。したがって、各量子井戸層の利得gを加
算した多重量子井戸活性層の総合利得Gは、図1(C)
の右端のように大きくなる。
【0035】総合利得Gの大きさは、各量子井戸層の利
得ピークgmax を与える波長が完全に一致すれば、利得
飽和の生じない範囲では、図1(A)右端に示す均一正
孔注入の場合のGにほぼ一致するはずである。
得ピークgmax を与える波長が完全に一致すれば、利得
飽和の生じない範囲では、図1(A)右端に示す均一正
孔注入の場合のGにほぼ一致するはずである。
【0036】なお、実効的バンドギャップを変化させる
ために、各量子井戸層の厚さを変化させると、各井戸層
毎にエネルギ状態密度が異なるため、環境温度の変化に
対するキャリアのエネルギ分布の変化が井戸層毎に変わ
ることになる。
ために、各量子井戸層の厚さを変化させると、各井戸層
毎にエネルギ状態密度が異なるため、環境温度の変化に
対するキャリアのエネルギ分布の変化が井戸層毎に変わ
ることになる。
【0037】これに対し、同一層厚で組成を変えた場合
には、エネルギ状態密度はどの井戸層においてもほぼ同
じであるので、温度が変化しても利得のピーク波長を揃
えることができる。
には、エネルギ状態密度はどの井戸層においてもほぼ同
じであるので、温度が変化しても利得のピーク波長を揃
えることができる。
【0038】なお、InP基板上にInGaAsP系材
料で多重量子井戸構造を形成する場合、各量子井戸層の
組成は以下のような条件を考慮して定めればよい。In
1-x Gax Asy P1-y がInPに格子整合する条件
は、 0.1894y−0.4184x+0.0130xy=
0 と表される。
料で多重量子井戸構造を形成する場合、各量子井戸層の
組成は以下のような条件を考慮して定めればよい。In
1-x Gax Asy P1-y がInPに格子整合する条件
は、 0.1894y−0.4184x+0.0130xy=
0 と表される。
【0039】また、InPに格子整合するInGaAs
Pのバンドギャップエネルギ(Eg)は実験的に、 Eg(y) =1.35−0.72y+0.12y2 と求められている。この2式を用いることにより、所望
のEgに対してx、yを求めることができる。
Pのバンドギャップエネルギ(Eg)は実験的に、 Eg(y) =1.35−0.72y+0.12y2 と求められている。この2式を用いることにより、所望
のEgに対してx、yを求めることができる。
【0040】また、Egとバンドギャップ波長(λg)
の関係は、 λg=hc/Eg (h:ブランク定数、c:光
速) で表される。たとえば、InPに格子整合し、バンドギ
ャップ波長λg=1.2μmとなる組成は、In0.78G
a0.22As0.48P0.52となる。
の関係は、 λg=hc/Eg (h:ブランク定数、c:光
速) で表される。たとえば、InPに格子整合し、バンドギ
ャップ波長λg=1.2μmとなる組成は、In0.78G
a0.22As0.48P0.52となる。
【0041】なお、量子井戸層の組成は、上記のInP
基板に格子整合するものに限らない。この場合、量子井
戸層には二軸性の歪が加わり、組成の違いに歪による効
果が加わってバンドギャップが変化する。たとえば、I
n1-x Gax As3元混晶の量子井戸層に引張歪を導入
すると、引張歪の大きい量子井戸層程、電子と正孔の量
子準位間エネルギを大きくすることができる。
基板に格子整合するものに限らない。この場合、量子井
戸層には二軸性の歪が加わり、組成の違いに歪による効
果が加わってバンドギャップが変化する。たとえば、I
n1-x Gax As3元混晶の量子井戸層に引張歪を導入
すると、引張歪の大きい量子井戸層程、電子と正孔の量
子準位間エネルギを大きくすることができる。
【0042】なお、歪を量子井戸層に導入することによ
り、より少ないキャリア濃度で所望の利得を与えること
ができる。このため、歪多重量子井戸構造の活性層を用
いると、発振閾値をより低くすることができる。
り、より少ないキャリア濃度で所望の利得を与えること
ができる。このため、歪多重量子井戸構造の活性層を用
いると、発振閾値をより低くすることができる。
【0043】図2は、本発明の1具体的実施例によるI
nGaAsP/InP系多重量子井戸半導体レーザの製
造工程の主要部を示す断面図である。InP基板を用
い、多重量子井戸構造の活性層をInGaAsP系半導
体で構成する。
nGaAsP/InP系多重量子井戸半導体レーザの製
造工程の主要部を示す断面図である。InP基板を用
い、多重量子井戸構造の活性層をInGaAsP系半導
体で構成する。
【0044】まず、図2(A)に示すように、有機金属
気相成長(MOCVD)法またはガスソース分子線エピ
タキシ(MBE)法を用いてSnまたはSドープn型I
nP基板1上に、厚さ1μmのSドープn型InPクラ
ッド層2、厚さ0.17μmのSドープn型In0.85G
a0.15As0.33P0.67光閉じ込め層3を成長し、その上
にアンドープで厚さ10nmの4層のIn0.85Ga0.15
As0.33P0.67バリア層と、アンドープで厚さ7nmの
5層のInGaAsP量子井戸層を交互に積層したi型
InGaAsP多重量子井戸(MQW)活性層4を形成
する。
気相成長(MOCVD)法またはガスソース分子線エピ
タキシ(MBE)法を用いてSnまたはSドープn型I
nP基板1上に、厚さ1μmのSドープn型InPクラ
ッド層2、厚さ0.17μmのSドープn型In0.85G
a0.15As0.33P0.67光閉じ込め層3を成長し、その上
にアンドープで厚さ10nmの4層のIn0.85Ga0.15
As0.33P0.67バリア層と、アンドープで厚さ7nmの
5層のInGaAsP量子井戸層を交互に積層したi型
InGaAsP多重量子井戸(MQW)活性層4を形成
する。
【0045】さらに、活性層4の上に厚さ0.17μm
のZnドープp型In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉
じ込め層5、厚さ2μmのZnドープp型InPクラッ
ド層6をこの順序で連続的にエピタキシャル成長させ
る。
のZnドープp型In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉
じ込め層5、厚さ2μmのZnドープp型InPクラッ
ド層6をこの順序で連続的にエピタキシャル成長させ
る。
【0046】なお、p型InPクラッド層6は、その一
部のみをここで成長させ、残りを後に成長させてもよ
い。各InGaAsP混晶層の組成は、全てInPに格
子整合するように選択される。
部のみをここで成長させ、残りを後に成長させてもよ
い。各InGaAsP混晶層の組成は、全てInPに格
子整合するように選択される。
【0047】i型InGaAsPのMQW活性層4の5
層の量子井戸層8a、8b、8c、8d、8eは、p型
In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉じ込め層5に近い
程ポテンシャル井戸が深くなるように(バンドギャップ
が小さくなるように)組成が選択され、厚さ10nmの
アンドープIn0.85Ga0.15As0.33P0.67バリア層9
a、9b、9c、9dと交互に配置される。
層の量子井戸層8a、8b、8c、8d、8eは、p型
In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉じ込め層5に近い
程ポテンシャル井戸が深くなるように(バンドギャップ
が小さくなるように)組成が選択され、厚さ10nmの
アンドープIn0.85Ga0.15As0.33P0.67バリア層9
a、9b、9c、9dと交互に配置される。
【0048】量子井戸層の組成は、中央の8cがIn
0.54Ga0.46As0.98P0.02(λg=1.64μm)で
あり、電子・正孔の量子準位間遷移によって1.55μ
mの光が輻射される組成となっている。他の量子井戸層
の組成は、図1(C)を用いて説明したように、正孔の
不均一注入による影響を補償して各量子井戸層の利得g
のピーク波長が1.55μmになるように選択する。
0.54Ga0.46As0.98P0.02(λg=1.64μm)で
あり、電子・正孔の量子準位間遷移によって1.55μ
mの光が輻射される組成となっている。他の量子井戸層
の組成は、図1(C)を用いて説明したように、正孔の
不均一注入による影響を補償して各量子井戸層の利得g
のピーク波長が1.55μmになるように選択する。
【0049】厚さ10nmのバリア層は、隣接量子井戸
層間でトンネル結合が生じ、キャリアがトンネリングす
るのを実質的に抑制できる厚みである。また、バリア層
と量子井戸層のΔEc は約0.15eV、ΔEv は約
0.22eVであり、駆動時にキャリアを量子井戸層内
に閉じ込めるために十分な高さのバリアとなっている。
層間でトンネル結合が生じ、キャリアがトンネリングす
るのを実質的に抑制できる厚みである。また、バリア層
と量子井戸層のΔEc は約0.15eV、ΔEv は約
0.22eVであり、駆動時にキャリアを量子井戸層内
に閉じ込めるために十分な高さのバリアとなっている。
【0050】次に、図2(B)で示すように、メサエッ
チングを行ない、ストライプ構造を形成する。まず、p
型InPクラッド層6表面に堆積したSiO2 膜をホト
リソグラフィの技術とエッチングによりパターニング
し、ストライプ状のSiO2 マスク10を形成する。次
に、SiO2 マスク10をエッチングマスクとしてn型
InPクラッド層2までメサエッチングする。
チングを行ない、ストライプ構造を形成する。まず、p
型InPクラッド層6表面に堆積したSiO2 膜をホト
リソグラフィの技術とエッチングによりパターニング
し、ストライプ状のSiO2 マスク10を形成する。次
に、SiO2 マスク10をエッチングマスクとしてn型
InPクラッド層2までメサエッチングする。
【0051】次に、図2(C)に示すように、液相エピ
タキシ(LPE)等によりメサ側面の埋込成長を行な
う。図2(C)に示すように、まずp型InP(電流)
狭窄層40を成長させ、続いてn型InP(電流)狭窄
層41を選択成長させる。
タキシ(LPE)等によりメサ側面の埋込成長を行な
う。図2(C)に示すように、まずp型InP(電流)
狭窄層40を成長させ、続いてn型InP(電流)狭窄
層41を選択成長させる。
【0052】図2(B)のメサエッチングは、化学エッ
チング、化学エッチングとメルトバック、化学エッチン
グとドライエッチング等によって行なうことができる。
また、図2(C)で示す埋込成長は、LPEの他、MO
CVD法等の他の方法を用いて行なうこともできる。
チング、化学エッチングとメルトバック、化学エッチン
グとドライエッチング等によって行なうことができる。
また、図2(C)で示す埋込成長は、LPEの他、MO
CVD法等の他の方法を用いて行なうこともできる。
【0053】図2(D)に示すように、SiO2 マスク
10を除去後、必要に応じてp型InPクラッド層6の
残りの部分を成長し、その上に厚さ0.5μmのZnド
ープのp型In0.72Ga0.28As0.6 P0.4 コンタクト
層7を成長する。
10を除去後、必要に応じてp型InPクラッド層6の
残りの部分を成長し、その上に厚さ0.5μmのZnド
ープのp型In0.72Ga0.28As0.6 P0.4 コンタクト
層7を成長する。
【0054】基板およびコンタクト層7上にn層側、p
層側の電極42、43を形成すれば、レーザ素子ができ
あがる。n層電極としては、たとえばAuGe/Au電
極42を、またp層電極としては、たとえばTi/Pt
/Au電極43をそれぞれ蒸着熱処理すればよい。共振
器として端面をへき開すれば、ファブリーペロ形レーザ
となる。
層側の電極42、43を形成すれば、レーザ素子ができ
あがる。n層電極としては、たとえばAuGe/Au電
極42を、またp層電極としては、たとえばTi/Pt
/Au電極43をそれぞれ蒸着熱処理すればよい。共振
器として端面をへき開すれば、ファブリーペロ形レーザ
となる。
【0055】このレーザ素子をステムにマウントして順
方向に通電すると、量子井戸層の組成が正孔の不均一濃
度分布による利得のピーク波長のずれを打ち消すように
調整されているので、MQW活性層全体の総合利得Gを
高めることができる。この結果、同一サイズ同一組成を
有するMQW活性層を用いた場合に比べて1.55μm
のレーザ発振閾値電流を約30%低減することができ
る。
方向に通電すると、量子井戸層の組成が正孔の不均一濃
度分布による利得のピーク波長のずれを打ち消すように
調整されているので、MQW活性層全体の総合利得Gを
高めることができる。この結果、同一サイズ同一組成を
有するMQW活性層を用いた場合に比べて1.55μm
のレーザ発振閾値電流を約30%低減することができ
る。
【0056】図2に示した実施例では、光閉じ込め層
3、5の混晶組成はMQWのバリア層と同じとし、単一
組成にした。これは、いわゆる単純SCH(Separate C
onfinement Heterostructure)である。
3、5の混晶組成はMQWのバリア層と同じとし、単一
組成にした。これは、いわゆる単純SCH(Separate C
onfinement Heterostructure)である。
【0057】しかし、光閉じ込め効率を検討して活性層
に近い領域が最も屈折率が高く、クラッド層に近付くに
つれて徐々に屈折率を低くするような傾斜型ヘテロ構
造、いわゆるGRIN−SCH(Graded Index−SC
H)を用いることもできる。勿論、他の構造のヘテロ接
合を用いてもよい。
に近い領域が最も屈折率が高く、クラッド層に近付くに
つれて徐々に屈折率を低くするような傾斜型ヘテロ構
造、いわゆるGRIN−SCH(Graded Index−SC
H)を用いることもできる。勿論、他の構造のヘテロ接
合を用いてもよい。
【0058】図3は、本発明の他の実施例である半導体
レーザの層構造を示す断面図である。この半導体レーザ
においては、歪多重量子井戸構造の活性層が用いられて
いる。
レーザの層構造を示す断面図である。この半導体レーザ
においては、歪多重量子井戸構造の活性層が用いられて
いる。
【0059】Snドープのn型InP基板11上に、M
OCVD法等を用いて、厚さ1μmのSドープn型In
Pクラッド層12、厚さ0.17μmのSドープのn型
In 0.85Ga0.15As0.33P0.67SCH層13、アンド
ープで3層のInGaAs量子井戸層18a、18b、
18cとアンドープで2層のInGaAsPバリア層1
9a、19bを交互に積層したi型InGaAsP/I
nGaAs多重量子井戸(MQW)活性層14、厚さ
0.17μmのZnドープのp型In0.85Ga0. 15As
0.33P0.67SCH層15、厚さ2μmのZnドープのp
型InPクラッド層16および厚さ0.5μmのZnド
ープのp型In0.72Ga0.28As0.6 P0. 4 コンタクト
層17をこの順序で堆積する。
OCVD法等を用いて、厚さ1μmのSドープn型In
Pクラッド層12、厚さ0.17μmのSドープのn型
In 0.85Ga0.15As0.33P0.67SCH層13、アンド
ープで3層のInGaAs量子井戸層18a、18b、
18cとアンドープで2層のInGaAsPバリア層1
9a、19bを交互に積層したi型InGaAsP/I
nGaAs多重量子井戸(MQW)活性層14、厚さ
0.17μmのZnドープのp型In0.85Ga0. 15As
0.33P0.67SCH層15、厚さ2μmのZnドープのp
型InPクラッド層16および厚さ0.5μmのZnド
ープのp型In0.72Ga0.28As0.6 P0. 4 コンタクト
層17をこの順序で堆積する。
【0060】i型InGaAsP/InGaAsMQW
活性層14の量子井戸層18a〜18cは異なる組成を
有し、歪多重量子井戸構造を構成する。厚さ12nmの
i型InGaAs量子井戸層18a〜18cは、InP
より小さな格子定数となる組成を有しており、引張歪を
受ける。
活性層14の量子井戸層18a〜18cは異なる組成を
有し、歪多重量子井戸構造を構成する。厚さ12nmの
i型InGaAs量子井戸層18a〜18cは、InP
より小さな格子定数となる組成を有しており、引張歪を
受ける。
【0061】その組成は1.53μmで発振し、かつ正
孔の不均一注入による利得のピーク波長のずれを補償す
るように中央の量子井戸層18bでIn0.35Ga0.65A
sであり、n層側量子井戸層18aはこれよりGaリッ
チ、p層側量子井戸層18cはこれよりInリッチの組
成となっている。量子井戸層18a、18cの組成は、
量子井戸層の正孔濃度比に合わせて利得が最大になるよ
うに調整する。
孔の不均一注入による利得のピーク波長のずれを補償す
るように中央の量子井戸層18bでIn0.35Ga0.65A
sであり、n層側量子井戸層18aはこれよりGaリッ
チ、p層側量子井戸層18cはこれよりInリッチの組
成となっている。量子井戸層18a、18cの組成は、
量子井戸層の正孔濃度比に合わせて利得が最大になるよ
うに調整する。
【0062】バリア層19a、19bは、隣接する量子
井戸層間のトンネリングを実効的に禁止できる厚さ10
nmのi型In0.85Ga0.15As0.33P0.67からなり、
InPに格子整合している。各井戸層の引張歪量ξは、
ξ18a >ξ18b >ξ18c となる。InP格子整合するI
nGaAs組成はIn0.53Ga0.47Asであり、バンド
ギャップEgは、Eg18a >Eg18b >Eg18c とな
る。
井戸層間のトンネリングを実効的に禁止できる厚さ10
nmのi型In0.85Ga0.15As0.33P0.67からなり、
InPに格子整合している。各井戸層の引張歪量ξは、
ξ18a >ξ18b >ξ18c となる。InP格子整合するI
nGaAs組成はIn0.53Ga0.47Asであり、バンド
ギャップEgは、Eg18a >Eg18b >Eg18c とな
る。
【0063】なお、このような3元混晶では、組成を変
化させれば必ず格子定数が変化し、歪多重量子井戸構造
となる。引張歪は、より少ないキャリア濃度で同じ利得
効果を示すので、引張歪MQW活性層ではさらに閾値が
下がる。
化させれば必ず格子定数が変化し、歪多重量子井戸構造
となる。引張歪は、より少ないキャリア濃度で同じ利得
効果を示すので、引張歪MQW活性層ではさらに閾値が
下がる。
【0064】図3に示す層構造も、図2に示したプロセ
ス同様のプロセスで製造することができる。この半導体
レーザに順方向電流を流すと、各井戸層に注入される正
孔濃度は、 p18a <p18b <p18c と不均一に分布する。
ス同様のプロセスで製造することができる。この半導体
レーザに順方向電流を流すと、各井戸層に注入される正
孔濃度は、 p18a <p18b <p18c と不均一に分布する。
【0065】しかし、前記したように、歪量はn層側で
より大きく、またバンドギャップもn層側でより大き
い。すなわち、同一正孔密度ならn層側でより高い利得
が得られ、かつ利得ピーク波長がより短波長側になる。
より大きく、またバンドギャップもn層側でより大き
い。すなわち、同一正孔密度ならn層側でより高い利得
が得られ、かつ利得ピーク波長がより短波長側になる。
【0066】したがって、正孔の不均一注入の影響が打
ち消されて、各量子井戸層の利得ピーク波長が1.53
μmに揃うと同時に、利得ピーク波長における利得gも
高まる。この結果、総合利得Gがより大きくなり、レー
ザ発振の閾値電流密度が一層低下する。
ち消されて、各量子井戸層の利得ピーク波長が1.53
μmに揃うと同時に、利得ピーク波長における利得gも
高まる。この結果、総合利得Gがより大きくなり、レー
ザ発振の閾値電流密度が一層低下する。
【0067】この実施例においては、InGaAs量子
井戸層の歪量がそれぞれ異なる場合について述べたが、
前述の実施例におけるInGaAsP量子井戸層に歪を
持たせてもよい。この場合は、印加歪量が各量子井戸層
で等しくなるように組成調節することも、異なるように
組成調節することもできる。
井戸層の歪量がそれぞれ異なる場合について述べたが、
前述の実施例におけるInGaAsP量子井戸層に歪を
持たせてもよい。この場合は、印加歪量が各量子井戸層
で等しくなるように組成調節することも、異なるように
組成調節することもできる。
【0068】また、上述の2つの具体的実施例では、各
量子井戸層の組成を変化させてバンドギャップが、 Eg(n+1) >Eg(n) (ただし、n=1、2、…でp層側から数えた井戸層順
序を示す)の関係を満足するようにしたが、井戸層の幅
を変化させて実効的バンドギャップを変化させてもよ
い。また、実効的バンドギャップが単調に変化するよう
にすればよく、隣接する量子井戸層が同一の実効的バン
ドギャップを有してもよい。
量子井戸層の組成を変化させてバンドギャップが、 Eg(n+1) >Eg(n) (ただし、n=1、2、…でp層側から数えた井戸層順
序を示す)の関係を満足するようにしたが、井戸層の幅
を変化させて実効的バンドギャップを変化させてもよ
い。また、実効的バンドギャップが単調に変化するよう
にすればよく、隣接する量子井戸層が同一の実効的バン
ドギャップを有してもよい。
【0069】以上、実施例を用いて本発明を説明した
が、InGaAsP/InP系のMQW活性層におい
て、少なくとも各量子井戸層の実効的バンドギャップが
p層側からn層側に向かって単調増大するように組成を
変化させ、正孔の不均一注入による利得のピーク波長の
変化を補償するものであればよい。さらに、量子井戸層
に歪を与えれば閾値をさらに低減することもできる。
が、InGaAsP/InP系のMQW活性層におい
て、少なくとも各量子井戸層の実効的バンドギャップが
p層側からn層側に向かって単調増大するように組成を
変化させ、正孔の不均一注入による利得のピーク波長の
変化を補償するものであればよい。さらに、量子井戸層
に歪を与えれば閾値をさらに低減することもできる。
【0070】本発明は、上述の実施例に制限されるもの
ではない。たとえば、種々の変更、改良、組み合わせ等
が可能なことは当業者に自明であろう。
ではない。たとえば、種々の変更、改良、組み合わせ等
が可能なことは当業者に自明であろう。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
正孔に対するポテンシャル井戸が電子に対するポテンシ
ャルより深く、順方向通電によって正孔が不均一に注入
されるInGaAsP/InP系MQWレーザの発振閾
値を低減することができる。
正孔に対するポテンシャル井戸が電子に対するポテンシ
ャルより深く、順方向通電によって正孔が不均一に注入
されるInGaAsP/InP系MQWレーザの発振閾
値を低減することができる。
【0072】また、歪量子井戸構造とすることによって
発振閾値をさらに低減させることができる。
発振閾値をさらに低減させることができる。
【図1】原理説明図である。図1(A)は、理想的なM
QWレーザの活性層の利得特性を示す線図、図1(B)
は、現実のInGaAsP/InP系MQWレーザの活
性層の利得特性を示す線図、図1(C)は、本発明の不
均一深さ量子井戸層を有する活性層の利得特性を示す線
図である。
QWレーザの活性層の利得特性を示す線図、図1(B)
は、現実のInGaAsP/InP系MQWレーザの活
性層の利得特性を示す線図、図1(C)は、本発明の不
均一深さ量子井戸層を有する活性層の利得特性を示す線
図である。
【図2】1実施例によるInGaAsP/InP系MQ
Wレーザの製造工程主要部を示す断面図である。
Wレーザの製造工程主要部を示す断面図である。
【図3】別の実施例によるInGaAsP/InP系M
QWレーザの層構造断面を示す断面図である。
QWレーザの層構造断面を示す断面図である。
【図4】従来の量子井戸型レーザの構成を示す図であ
る。
る。
1 n型InP基板 2 n型InPクラッド層 3 n型In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉じ込め層 4 i型InGaAsP多重量子井戸(MQW)活性層 5 p型In0.85Ga0.15As0.33P0.67光閉じ込め層 6 p型InPクラッド層 7 p型In0.72Ga0.28As0.6 P0.4 コンタクト層 8a、8b、8c、8d、8e 量子井戸層 9a、9b、9c、9d バリア層 10 SiO2 マスク 11 n型InP基板 12 n型InPクラッド層 13 n型In0.85Ga0.15As0.33P0.67SCH層 14 i型InGaAsP/InGaAs多重量子井戸
(MQW)活性層 15 p型In0.85Ga0.15As0.33P0.67SCH層 16 p型InPクラッド層 17 p型In0.72Ga0.28As0.6 P0.4 コンタクト
層 18a、18b、18c i型InGaAs量子井戸層 19a、19b i型InGaAsPバリア層 21 n型基板 22 n型クラッド層 23 n型光閉じ込め層 24 i型多重量子井戸層(活性層) 25 p型光閉じ込め層 26 p型クラッド層 27 p型コンタクト層 28a、28b、28c、28d 量子井戸層 29a、29b バリア層 40 p型InP狭窄層 41 n型InP狭窄層 42 AuGe/Au電極 43 Ti/Pt/Au電極
(MQW)活性層 15 p型In0.85Ga0.15As0.33P0.67SCH層 16 p型InPクラッド層 17 p型In0.72Ga0.28As0.6 P0.4 コンタクト
層 18a、18b、18c i型InGaAs量子井戸層 19a、19b i型InGaAsPバリア層 21 n型基板 22 n型クラッド層 23 n型光閉じ込め層 24 i型多重量子井戸層(活性層) 25 p型光閉じ込め層 26 p型クラッド層 27 p型コンタクト層 28a、28b、28c、28d 量子井戸層 29a、29b バリア層 40 p型InP狭窄層 41 n型InP狭窄層 42 AuGe/Au電極 43 Ti/Pt/Au電極
Claims (3)
- 【請求項1】 少なくとも2層以上のInGaAsP系
量子井戸層(8、18)を有する多重量子井戸構造
(4、14)の活性層と、活性層を挟むp型層(5、1
5)とn型層(3、13)を有する半導体レーザであっ
て、 正孔の不均一注入による利得のピーク波長の変化を補償
するように、p型層側の量子井戸層(8e、18c)の
組成または層厚の少なくとも一方が、n型層側の少なく
とも1つの量子井戸層(8a、18a)の実効的バンド
ギャップよりも狭い実効的バンドギャップを有するよう
に選択されていることを特徴とする半導体レーザ。 - 【請求項2】 前記n型層側の少なくとも1つの量子井
戸層(8a、18a)が歪を有している請求項1記載の
半導体レーザ。 - 【請求項3】 前記量子井戸層がn型層側に近づくほど
大きな歪量を有している請求項2記載の半導体レーザ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31520292A JPH06164069A (ja) | 1992-11-25 | 1992-11-25 | 半導体レーザ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31520292A JPH06164069A (ja) | 1992-11-25 | 1992-11-25 | 半導体レーザ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06164069A true JPH06164069A (ja) | 1994-06-10 |
Family
ID=18062637
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31520292A Withdrawn JPH06164069A (ja) | 1992-11-25 | 1992-11-25 | 半導体レーザ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06164069A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4837119A (en) * | 1986-12-08 | 1989-06-06 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Sealed storage battery and method for making its electrode |
JPH07235732A (ja) * | 1993-12-28 | 1995-09-05 | Nec Corp | 半導体レーザ |
JP2004179428A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Rohm Co Ltd | 半導体発光素子 |
JP2008103711A (ja) * | 2006-10-20 | 2008-05-01 | Samsung Electronics Co Ltd | 半導体発光素子 |
-
1992
- 1992-11-25 JP JP31520292A patent/JPH06164069A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4837119A (en) * | 1986-12-08 | 1989-06-06 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Sealed storage battery and method for making its electrode |
JPH07235732A (ja) * | 1993-12-28 | 1995-09-05 | Nec Corp | 半導体レーザ |
JP2004179428A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Rohm Co Ltd | 半導体発光素子 |
JP2008103711A (ja) * | 2006-10-20 | 2008-05-01 | Samsung Electronics Co Ltd | 半導体発光素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000201 |