JPH05223772A - 電気化学検出用微小電極セル及びその製造方法 - Google Patents
電気化学検出用微小電極セル及びその製造方法Info
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- JPH05223772A JPH05223772A JP4028179A JP2817992A JPH05223772A JP H05223772 A JPH05223772 A JP H05223772A JP 4028179 A JP4028179 A JP 4028179A JP 2817992 A JP2817992 A JP 2817992A JP H05223772 A JPH05223772 A JP H05223772A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】電気化学的に非可逆な多量の妨害物質が存在す
る溶液中で、塵埃や生体組織片など高分子量のものを除
去する処理以外は分離カラムなどを使用することなく、
可逆な目的物質のみを選択性良く、高感度にかつ少量の
溶液で検出可能な電気化学検出用微小電極セル及びその
製造方法を提供する。 【構成】絶縁性基板上に平面または絶縁性段差によって
隔てられた二つの作用電極、参照電極用電極及び対向電
極電極をリード及び外部機器接続用のパッド部分と共に
一体成形し、上記電極を絶縁性膜で被覆した後、エッチ
ングによりリード部分を残して電極部分、パッド部分を
露出させ、参照電極用電極パターンに酸化還元性を有す
る物質を析出させて参照電極とし、最後に、電極セル全
面を水中で膨潤する性質を有する薄膜によって修飾す
る。
る溶液中で、塵埃や生体組織片など高分子量のものを除
去する処理以外は分離カラムなどを使用することなく、
可逆な目的物質のみを選択性良く、高感度にかつ少量の
溶液で検出可能な電気化学検出用微小電極セル及びその
製造方法を提供する。 【構成】絶縁性基板上に平面または絶縁性段差によって
隔てられた二つの作用電極、参照電極用電極及び対向電
極電極をリード及び外部機器接続用のパッド部分と共に
一体成形し、上記電極を絶縁性膜で被覆した後、エッチ
ングによりリード部分を残して電極部分、パッド部分を
露出させ、参照電極用電極パターンに酸化還元性を有す
る物質を析出させて参照電極とし、最後に、電極セル全
面を水中で膨潤する性質を有する薄膜によって修飾す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中、体液中のイオ
ン、有害物質、生理活性物質の定性、定量分析に用いる
電気化学センサー、クロマトグラフィやフローインジェ
クション装置等の検出器に使用する電気化学検出用微小
電極セル及びその製造方法に係り、特に、目的物質のみ
を選択性良く、高感度に、かつ少量の溶液で検出可能な
電気化学検出用微小電極セル及びその製造方法に関す
る。
ン、有害物質、生理活性物質の定性、定量分析に用いる
電気化学センサー、クロマトグラフィやフローインジェ
クション装置等の検出器に使用する電気化学検出用微小
電極セル及びその製造方法に係り、特に、目的物質のみ
を選択性良く、高感度に、かつ少量の溶液で検出可能な
電気化学検出用微小電極セル及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】河川や排水中あるいは血液や尿などの体
液中の微量成分や細胞内物質を電気化学的に定量するた
めには、目的物質の他に高濃度に存在する電気化学的に
活性な妨害物質や電極表面を汚染する性質のある物質な
どの影響を少なくして測定することが極めて重要であ
る。
液中の微量成分や細胞内物質を電気化学的に定量するた
めには、目的物質の他に高濃度に存在する電気化学的に
活性な妨害物質や電極表面を汚染する性質のある物質な
どの影響を少なくして測定することが極めて重要であ
る。
【0003】測定の際の妨害物質の影響を除く方法とし
て幾つかの方法を挙げることができる。通常の電気化学
セルでは作用電極、参照電極、対向電極を使用して測定
を行うが、この測定の際に、作用電極上を高分子または
低分子の薄膜あるいは酵素、抗体などの生体材料で修飾
し、選択性を付与して目的物質の定量を行う。高分子や
低分子の薄膜で修飾する方法では、目的物質と妨害物質
との薄膜中への取り込み速度の差や膜中の拡散速度の差
で選択性を付与している。また、酵素や抗体を利用する
方法では、酵素や抗体が有している、特定化学物質のみ
を選択的に取り込んだり、選択的に反応する性質を利用
している(例えば、「バイオセンサー」 鈴木周一著、講談
社、1984年 記載など)。
て幾つかの方法を挙げることができる。通常の電気化学
セルでは作用電極、参照電極、対向電極を使用して測定
を行うが、この測定の際に、作用電極上を高分子または
低分子の薄膜あるいは酵素、抗体などの生体材料で修飾
し、選択性を付与して目的物質の定量を行う。高分子や
低分子の薄膜で修飾する方法では、目的物質と妨害物質
との薄膜中への取り込み速度の差や膜中の拡散速度の差
で選択性を付与している。また、酵素や抗体を利用する
方法では、酵素や抗体が有している、特定化学物質のみ
を選択的に取り込んだり、選択的に反応する性質を利用
している(例えば、「バイオセンサー」 鈴木周一著、講談
社、1984年 記載など)。
【0004】修飾法の他に選択性を付与する方法とし
て、電極を高い電位やレーザー光照射等により活性化し
て、過電圧の高い活性種の電位を低電位側にシフトさ
せ、二つの活性種のシグナルを分離する方法(例えば、A
nalytical Chemistry ,Vol.54,p.136, 1982;Analytica
l Chemistry ,Vol.58, p.2745, 1986 等の記載)や、作
用電極を二つ用いて、その片方で妨害物質を電気化学的
に不活性化し、次に残った作用電極で目的物質を定量す
る方法(例えば、Analytical Chemistry ,Vol.59,p.761,
1987 記載など)が考えられている。
て、電極を高い電位やレーザー光照射等により活性化し
て、過電圧の高い活性種の電位を低電位側にシフトさ
せ、二つの活性種のシグナルを分離する方法(例えば、A
nalytical Chemistry ,Vol.54,p.136, 1982;Analytica
l Chemistry ,Vol.58, p.2745, 1986 等の記載)や、作
用電極を二つ用いて、その片方で妨害物質を電気化学的
に不活性化し、次に残った作用電極で目的物質を定量す
る方法(例えば、Analytical Chemistry ,Vol.59,p.761,
1987 記載など)が考えられている。
【0005】しかし、活性化法では、電極の活性状態を
維持することが難しく、電極応答が次第に活性化前の状
態に戻る性質がある。また、2電極法では、妨害物質と
目的物質との濃度差が余り大きくない場合には有効であ
るが、妨害物質が目的物質に比べて過剰に存在する場合
には、上記片方の電極での前電解だけではすべての妨害
物質を不活性化することができず、S/N 比が低下すると
いう問題があった。さらに、目的物質と妨害物質との間
に相互作用、例えば酸化された目的物質と妨害物質との
間に電子移動反応が存在する場合には高い捕捉率が得ら
れず、選択検出することができないという問題点があっ
た。
維持することが難しく、電極応答が次第に活性化前の状
態に戻る性質がある。また、2電極法では、妨害物質と
目的物質との濃度差が余り大きくない場合には有効であ
るが、妨害物質が目的物質に比べて過剰に存在する場合
には、上記片方の電極での前電解だけではすべての妨害
物質を不活性化することができず、S/N 比が低下すると
いう問題があった。さらに、目的物質と妨害物質との間
に相互作用、例えば酸化された目的物質と妨害物質との
間に電子移動反応が存在する場合には高い捕捉率が得ら
れず、選択検出することができないという問題点があっ
た。
【0006】目的物質が酸化還元物質の場合、電極間の
レドックスサイクルを利用して信号増幅を行うことがで
きる。レドックスサイクルは、対電極の一方の電極を目
的物質の酸化電位以上に、他方の電極を還元電位以下に
設定すると、二つの電極間で目的物質が酸化還元反応を
繰り返すようになり、電流値が増幅して観測される現象
である。目的物質が可逆性、妨害物質が非可逆性の場
合、レドックスサイクルを利用して目的物質のみを選択
増幅して S/N 比を上げることができる。
レドックスサイクルを利用して信号増幅を行うことがで
きる。レドックスサイクルは、対電極の一方の電極を目
的物質の酸化電位以上に、他方の電極を還元電位以下に
設定すると、二つの電極間で目的物質が酸化還元反応を
繰り返すようになり、電流値が増幅して観測される現象
である。目的物質が可逆性、妨害物質が非可逆性の場
合、レドックスサイクルを利用して目的物質のみを選択
増幅して S/N 比を上げることができる。
【0007】しかしながら、通常サイズの電極では、電
極間の距離が大きいために分子の拡散に長時間が必要
で、二つの電極を並べて配置しても、増幅効果は殆ど期
待できない。一方、近年、微量な溶液試料、生体内など
の微小領域の分析を目的として、微小電極が積極的に研
究され、センサーや生体細胞内物質の測定などへの応用
が試みられている。また、高感度で応答が速いことが知
られており、フローインジェクションやクロマトグラフ
ィの検出電極としても注目されている。
極間の距離が大きいために分子の拡散に長時間が必要
で、二つの電極を並べて配置しても、増幅効果は殆ど期
待できない。一方、近年、微量な溶液試料、生体内など
の微小領域の分析を目的として、微小電極が積極的に研
究され、センサーや生体細胞内物質の測定などへの応用
が試みられている。また、高感度で応答が速いことが知
られており、フローインジェクションやクロマトグラフ
ィの検出電極としても注目されている。
【0008】微小電極の多くはガラス細管中に白金、金
などの金属線、炭素繊維などを封入して使用する。この
微小電極の応答挙動は電極形状に依存し、電極サイズが
減少するに従って応答速度、S/N 比が向上するため、種
々の電極形状や微細化が検討されている。しかし、電極
半径を1μm程度にまで微細化すると検出できる電流値
は nA オーダー以下に低下し、測定時にノイズの増加や
感度の低下が起きるため、低濃度試料の測定が困難にな
る。このため電極の数を増やして(アレイ化して)電流の
絶対値を増大させることが提案されている。微小なアレ
イ電極を作製する方法としては、近年、リソグラフィ技
術の応用が行われている。この方法では、任意の形状、
一定の電極間距離を持つ微小電極を多数しかも再現性良
く基板上に作製することができる。また、二つ以上の多
数の電極を近接して配列することができるため、二つの
近接した作用電極に別々の電位を印加すると、非常に高
い酸化還元種のレドックスサイクルが起り、信号電流を
40 倍以上に増幅することができる(例えば、J.Electro
anal.Chem.,Preliminary Note, Vol.267, p.291,1989記
載)。さらに、妨害物質を含む系で、目的物質が電気化
学反応した後妨害物質と反応する性質がある場合、酸化
した目的物質と妨害物質との間に電子移動が起るまえに
還元側電極で目的物質を還元し、選択検出できることが
報告されている(例えば、Electroanalysis 1991記載)。
などの金属線、炭素繊維などを封入して使用する。この
微小電極の応答挙動は電極形状に依存し、電極サイズが
減少するに従って応答速度、S/N 比が向上するため、種
々の電極形状や微細化が検討されている。しかし、電極
半径を1μm程度にまで微細化すると検出できる電流値
は nA オーダー以下に低下し、測定時にノイズの増加や
感度の低下が起きるため、低濃度試料の測定が困難にな
る。このため電極の数を増やして(アレイ化して)電流の
絶対値を増大させることが提案されている。微小なアレ
イ電極を作製する方法としては、近年、リソグラフィ技
術の応用が行われている。この方法では、任意の形状、
一定の電極間距離を持つ微小電極を多数しかも再現性良
く基板上に作製することができる。また、二つ以上の多
数の電極を近接して配列することができるため、二つの
近接した作用電極に別々の電位を印加すると、非常に高
い酸化還元種のレドックスサイクルが起り、信号電流を
40 倍以上に増幅することができる(例えば、J.Electro
anal.Chem.,Preliminary Note, Vol.267, p.291,1989記
載)。さらに、妨害物質を含む系で、目的物質が電気化
学反応した後妨害物質と反応する性質がある場合、酸化
した目的物質と妨害物質との間に電子移動が起るまえに
還元側電極で目的物質を還元し、選択検出できることが
報告されている(例えば、Electroanalysis 1991記載)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高分子薄膜や低分子薄
膜で修飾した電極を用いて選択性を得る方法の場合、選
択性は膜のみの特性に依存する。妨害物質分子の大きさ
が目的物質分子の大きさよりもかなり大きい場合、例え
ば高分子と低分子とを分離する場合は膜中に形成される
微細孔の大きさを変化させ、これを利用して高い選択性
を付与することができる。しかしながら、低分子同士の
分離では、目的物質と妨害物質との間の膜中への親和性
の相違等を利用することとなり、十分な分離機能を発揮
させるためには膜厚を増加させたり緻密な膜を用いる必
要があり、応答性が低下する問題点がある。その結果、
多くの場合について、現状では十分な選択性が得られて
いない。次に、抗体、酵素などの膜で電極を修飾して生
体特異性を利用する系では、極めて高い選択性が得られ
てはいるが、検出器に固定化して長期間使用するには、
グルコースオキシダーゼなど一部の材料以外では安定性
に問題がある。また、低分子中にはそれ(抗原)を生体中
に直接注入して抗体の合成ができないものもあり、抗体
合性のためには複雑な手順が必要で、コストが上昇する
という問題点も存在する。
膜で修飾した電極を用いて選択性を得る方法の場合、選
択性は膜のみの特性に依存する。妨害物質分子の大きさ
が目的物質分子の大きさよりもかなり大きい場合、例え
ば高分子と低分子とを分離する場合は膜中に形成される
微細孔の大きさを変化させ、これを利用して高い選択性
を付与することができる。しかしながら、低分子同士の
分離では、目的物質と妨害物質との間の膜中への親和性
の相違等を利用することとなり、十分な分離機能を発揮
させるためには膜厚を増加させたり緻密な膜を用いる必
要があり、応答性が低下する問題点がある。その結果、
多くの場合について、現状では十分な選択性が得られて
いない。次に、抗体、酵素などの膜で電極を修飾して生
体特異性を利用する系では、極めて高い選択性が得られ
てはいるが、検出器に固定化して長期間使用するには、
グルコースオキシダーゼなど一部の材料以外では安定性
に問題がある。また、低分子中にはそれ(抗原)を生体中
に直接注入して抗体の合成ができないものもあり、抗体
合性のためには複雑な手順が必要で、コストが上昇する
という問題点も存在する。
【0010】次に、微小対電極を利用して分離を図る方
法では、妨害物質の濃度が目的物質の濃度の10倍程度ま
では良好な選択性が得られているが、妨害物質の濃度が
目的物質の濃度に比較して非常に大きい場合や目的物質
が一方の電極で酸化または還元された後に妨害物質との
間に電子移動等が起る系では、十分な選択性が得られな
い。微小対電極上に高分子薄膜を形成して選択性を向上
させる試みも報告されている(例えば、Chemistry Lette
rs ,Vol.1989, pp.133‐136)。これは、微小櫛形電極上
にナフィオン膜を被覆してクロマトグラフィの電気化学
検出器に応用したもので、ナフィオン膜はアニオン性高
分子であるため、目的物質であるカチオン性のカテコー
ルアミンを濃縮し、静電反発によって妨害物質であるア
ニオン性の L‐アスコルビン酸を排除する。酸化側電極
ではそれでもかなりの量の L‐アスコルビン酸に起因す
る酸化ピークが観測されるが、膜中の拡散速度は溶液中
よりも遥かに小さいため、酸化体がより不安定な L‐ア
スコルビン酸は還元側電極に到達する前に後続化学反応
により活性を失い、還元側ではカテコールアミンのみの
ピークが得られる。しかしながら、この実験では櫛形電
極の電位を固定して流れの系で測定を行っているために
カテコールアミンの拡散係数が小さいナフィオン膜でも
レドックスサイクルが得られているが、静止した溶液系
で電位を掃引して測定を行うと、非常に緩やかな掃引速
度を選択しなければ大きなレドックスサイクル、さらに
は定常状態を得ることができない。次に、この系ではカ
テコールアミンと L‐アスコルビン酸とを電極上で直接
分離するのではなくカラムで分離した後電極上に導入し
ているため、カテコールアミンのピークが観測される領
域では L‐アスコルビン酸は殆ど電極上になく、100nm
の厚さの薄膜で両者を容易に分離している。しかしなが
ら、カラムを使用せず、カテコールアミンの濃度に比較
して遥かに大きな濃度の L‐アスコルビン酸を含む混合
系では、この膜厚では十分な選択性が得られない。ま
た、両者の混合した系では、酸化したカテコールアミン
と L‐アスコルビン酸との間に電子移動(メディエーシ
ョン)が起り、還元側でのカテコールアミンの捕捉率が
大きく低下するため還元側電極を用いて高感度に測定す
るのは困難である。さらに、この系では基板上には櫛形
作用電極しか形成されていないため、電気化学測定の際
に外部に参照電極及び対向電極を用いる必要があり、少
量の溶液の測定には用いることができなかった。
法では、妨害物質の濃度が目的物質の濃度の10倍程度ま
では良好な選択性が得られているが、妨害物質の濃度が
目的物質の濃度に比較して非常に大きい場合や目的物質
が一方の電極で酸化または還元された後に妨害物質との
間に電子移動等が起る系では、十分な選択性が得られな
い。微小対電極上に高分子薄膜を形成して選択性を向上
させる試みも報告されている(例えば、Chemistry Lette
rs ,Vol.1989, pp.133‐136)。これは、微小櫛形電極上
にナフィオン膜を被覆してクロマトグラフィの電気化学
検出器に応用したもので、ナフィオン膜はアニオン性高
分子であるため、目的物質であるカチオン性のカテコー
ルアミンを濃縮し、静電反発によって妨害物質であるア
ニオン性の L‐アスコルビン酸を排除する。酸化側電極
ではそれでもかなりの量の L‐アスコルビン酸に起因す
る酸化ピークが観測されるが、膜中の拡散速度は溶液中
よりも遥かに小さいため、酸化体がより不安定な L‐ア
スコルビン酸は還元側電極に到達する前に後続化学反応
により活性を失い、還元側ではカテコールアミンのみの
ピークが得られる。しかしながら、この実験では櫛形電
極の電位を固定して流れの系で測定を行っているために
カテコールアミンの拡散係数が小さいナフィオン膜でも
レドックスサイクルが得られているが、静止した溶液系
で電位を掃引して測定を行うと、非常に緩やかな掃引速
度を選択しなければ大きなレドックスサイクル、さらに
は定常状態を得ることができない。次に、この系ではカ
テコールアミンと L‐アスコルビン酸とを電極上で直接
分離するのではなくカラムで分離した後電極上に導入し
ているため、カテコールアミンのピークが観測される領
域では L‐アスコルビン酸は殆ど電極上になく、100nm
の厚さの薄膜で両者を容易に分離している。しかしなが
ら、カラムを使用せず、カテコールアミンの濃度に比較
して遥かに大きな濃度の L‐アスコルビン酸を含む混合
系では、この膜厚では十分な選択性が得られない。ま
た、両者の混合した系では、酸化したカテコールアミン
と L‐アスコルビン酸との間に電子移動(メディエーシ
ョン)が起り、還元側でのカテコールアミンの捕捉率が
大きく低下するため還元側電極を用いて高感度に測定す
るのは困難である。さらに、この系では基板上には櫛形
作用電極しか形成されていないため、電気化学測定の際
に外部に参照電極及び対向電極を用いる必要があり、少
量の溶液の測定には用いることができなかった。
【0011】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題を解決して、電気化学的に非可逆な多量の妨害物
質が存在する溶液中で、塵埃や生体組織片など高分子量
のものを除去する処理以外は分離カラムなどを使用する
ことなく、可逆な目的物質のみを選択性良く、高感度に
かつ少量の溶液で検出可能な電気化学検出用微小電極セ
ル及びその製造方法を提供することにある。
た課題を解決して、電気化学的に非可逆な多量の妨害物
質が存在する溶液中で、塵埃や生体組織片など高分子量
のものを除去する処理以外は分離カラムなどを使用する
ことなく、可逆な目的物質のみを選択性良く、高感度に
かつ少量の溶液で検出可能な電気化学検出用微小電極セ
ル及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、絶縁性基板
上または絶縁性薄膜で覆われた基板上に形成された平面
あるいは立体的な微小間隙によって互いに分離された少
なくとも二つの作用電極、参照電極及び対向電極を有す
る電気化学セルにおいて、そのセル表面が水を吸収して
膨潤する性質を有する薄膜によって修飾されている電気
化学検出用微小電極セルとすること、また、その製造方
法としては、絶縁性基板上に平面または絶縁性段差によ
って隔てられた二つの作用電極、参照電極用電極及び対
向電極電極をリード及び外部機器接続用のパッド部分と
共に一体成形し、上記電極を絶縁性膜で被覆した後、エ
ッチングによりリード部分を残して電極部分、パッド部
分を露出させ、参照電極用電極パターンに酸化還元性を
有する物質を析出させて参照電極とし、最後に、電極セ
ル全面を水中で膨潤する性質を有する薄膜によって修飾
する方法とすることによって達成することができる。
上または絶縁性薄膜で覆われた基板上に形成された平面
あるいは立体的な微小間隙によって互いに分離された少
なくとも二つの作用電極、参照電極及び対向電極を有す
る電気化学セルにおいて、そのセル表面が水を吸収して
膨潤する性質を有する薄膜によって修飾されている電気
化学検出用微小電極セルとすること、また、その製造方
法としては、絶縁性基板上に平面または絶縁性段差によ
って隔てられた二つの作用電極、参照電極用電極及び対
向電極電極をリード及び外部機器接続用のパッド部分と
共に一体成形し、上記電極を絶縁性膜で被覆した後、エ
ッチングによりリード部分を残して電極部分、パッド部
分を露出させ、参照電極用電極パターンに酸化還元性を
有する物質を析出させて参照電極とし、最後に、電極セ
ル全面を水中で膨潤する性質を有する薄膜によって修飾
する方法とすることによって達成することができる。
【0013】
【作用】上記した本発明の内容についてやや詳細に説明
を加えることにする。
を加えることにする。
【0014】従来、近接した二つの作用電極を用いた電
気化学検出では比較的高感度の測定が可能であったが、
選択性を付与するためにその表面をイオン性の高分子や
高分子イオン導電体で修飾すると、選択性は向上するも
のの膜中での物質拡散速度が小さいため物質拡散が電位
変化に追随できず、応答速度、感度(電流値)が低下し、
クロマトグラフィ検出器など電位を固定して行う測定の
みにしか用いることができなかった。また、高吸水性の
膜を被覆した通常サイズの電極(mm オーダー、一本の作
用極)では目的物質以外にかなりの量の妨害物質も膜中
に取り込むため、余り高い選択性が得られなかった。さ
らに、これまでの電極では、参照電極や対向電極が一体
化されていないため、測定の際に外部の参照電極、対向
電極を使用する必要があり、μL オーダーの微量サンプ
ルの測定には用いることができなかった。
気化学検出では比較的高感度の測定が可能であったが、
選択性を付与するためにその表面をイオン性の高分子や
高分子イオン導電体で修飾すると、選択性は向上するも
のの膜中での物質拡散速度が小さいため物質拡散が電位
変化に追随できず、応答速度、感度(電流値)が低下し、
クロマトグラフィ検出器など電位を固定して行う測定の
みにしか用いることができなかった。また、高吸水性の
膜を被覆した通常サイズの電極(mm オーダー、一本の作
用極)では目的物質以外にかなりの量の妨害物質も膜中
に取り込むため、余り高い選択性が得られなかった。さ
らに、これまでの電極では、参照電極や対向電極が一体
化されていないため、測定の際に外部の参照電極、対向
電極を使用する必要があり、μL オーダーの微量サンプ
ルの測定には用いることができなかった。
【0015】発明者等は、基板上に二つの作用電極、参
照電極及び対向電極を一体化して、少量の溶液での電気
化学測定を可能にした。また、櫛形電極での電流値や応
答性は電極間の濃度勾配、目的物質の拡散速度によって
決定されるため、膜中での物質拡散速度がナフィオン膜
よりも大きい高吸水性高分子を電極表面にコートするこ
とにより、感度、応答性を保持したまま電極に選択性を
付与できることを見出した。すなわち、通常の場合、高
吸水性の膜のように膜中での物質拡散速度の大きい薄膜
を用いると妨害物質も膜中に取り込むため選択性が低下
するが、発明者等は、高吸水性高分子を微小間隙を有す
る櫛形電極上に塗布して測定を行うと、膜によって修飾
された電極では、修飾されていない電極に比較して、バ
ルク溶液中から電極上に拡散してくる物質の量が少ない
ため、電極反応によって非可逆な妨害物質は速やかに消
費されるが、電気化学的に可逆な目的物質は電気化学反
応の後他方の電極で逆反応により再生されるため膜中濃
度が変わらず、目的物質のみを高選択的に検出できるこ
とを見出した。
照電極及び対向電極を一体化して、少量の溶液での電気
化学測定を可能にした。また、櫛形電極での電流値や応
答性は電極間の濃度勾配、目的物質の拡散速度によって
決定されるため、膜中での物質拡散速度がナフィオン膜
よりも大きい高吸水性高分子を電極表面にコートするこ
とにより、感度、応答性を保持したまま電極に選択性を
付与できることを見出した。すなわち、通常の場合、高
吸水性の膜のように膜中での物質拡散速度の大きい薄膜
を用いると妨害物質も膜中に取り込むため選択性が低下
するが、発明者等は、高吸水性高分子を微小間隙を有す
る櫛形電極上に塗布して測定を行うと、膜によって修飾
された電極では、修飾されていない電極に比較して、バ
ルク溶液中から電極上に拡散してくる物質の量が少ない
ため、電極反応によって非可逆な妨害物質は速やかに消
費されるが、電気化学的に可逆な目的物質は電気化学反
応の後他方の電極で逆反応により再生されるため膜中濃
度が変わらず、目的物質のみを高選択的に検出できるこ
とを見出した。
【0016】さらに、電極上にコートした高吸水高分子
上にさらに取り込み速度を遅くさせる材料をコートして
2層膜構造にして、膜中で電気化学的に非可逆な妨害物
質は外部溶液側から少量ずつしか供給されないようにす
るとさらに選択性が向上すること、多孔質膜と分離膜と
の2層構造では、同様の効果が得られる外に、対電極近
傍が多孔性高分子であるため、目的物質の拡散速度が余
り低下せず、選択性と感度とを兼ね備えた特性が得られ
ることを見出し、本発明に至った。
上にさらに取り込み速度を遅くさせる材料をコートして
2層膜構造にして、膜中で電気化学的に非可逆な妨害物
質は外部溶液側から少量ずつしか供給されないようにす
るとさらに選択性が向上すること、多孔質膜と分離膜と
の2層構造では、同様の効果が得られる外に、対電極近
傍が多孔性高分子であるため、目的物質の拡散速度が余
り低下せず、選択性と感度とを兼ね備えた特性が得られ
ることを見出し、本発明に至った。
【0017】検出器に用いる、表面あるいは全体が絶縁
性の基板としては、酸化膜付きシリコン基板、石英板、
酸化アルミニウム基板、プラスチック基板などを挙げる
ことができる。また、電極用の金属としては、金、白
金、クロム、チタン、ステンレス、銅、銀などを挙げる
ことができる。また、電極用の半導体としては、p型及
びn型シリコン、p型及びn型ゲルマニウム、硫化カド
ミウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウムリン、ガリ
ウムヒ素、インジウムリン、カドミウムセレン、カドミ
ウムテルル、二酸化モリブデン、セレン化タングステ
ン、二酸化銅、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム
‐スズ酸化物などを挙げることができる。半金属として
は、導電性カーボンを挙げることができる。液と電極リ
ード部分とを隔てる絶縁膜としては、酸化シリコン、二
酸化シリコン、窒化シリコン、シリコーン樹脂、ポリイ
ミド及びその誘導体、エポキシ樹脂、高分子熱硬化物な
どを挙げることができる。参照電極上の参照物質として
は、銀、銀/塩化銀、ポリビニルフェロセン等を挙げる
ことができる。
性の基板としては、酸化膜付きシリコン基板、石英板、
酸化アルミニウム基板、プラスチック基板などを挙げる
ことができる。また、電極用の金属としては、金、白
金、クロム、チタン、ステンレス、銅、銀などを挙げる
ことができる。また、電極用の半導体としては、p型及
びn型シリコン、p型及びn型ゲルマニウム、硫化カド
ミウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウムリン、ガリ
ウムヒ素、インジウムリン、カドミウムセレン、カドミ
ウムテルル、二酸化モリブデン、セレン化タングステ
ン、二酸化銅、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム
‐スズ酸化物などを挙げることができる。半金属として
は、導電性カーボンを挙げることができる。液と電極リ
ード部分とを隔てる絶縁膜としては、酸化シリコン、二
酸化シリコン、窒化シリコン、シリコーン樹脂、ポリイ
ミド及びその誘導体、エポキシ樹脂、高分子熱硬化物な
どを挙げることができる。参照電極上の参照物質として
は、銀、銀/塩化銀、ポリビニルフェロセン等を挙げる
ことができる。
【0018】最後に、電極上にコートする高吸水性高分
子としては、まず、水溶性高分子を不溶化したものとし
て、セルロースアセテート、ポリビニルアルコール、ポ
リNビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、セルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、
シアノエチルセルロース、セルロースサルフェート、ヘ
パリン、ペクチン、アルギン酸、ヒドロキシメチルセル
ロース、イソプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポ
リエチレンオキシド等の熱処理物や架橋物、上記水溶性
高分子のうち2種以上の高分子を架橋して得られた共重
合体を挙げることができる。また、水によって殆ど膨潤
しない非水溶性高分子を上記水溶性高分子と適当な分率
で共重合し、水中での膨潤度を向上させた膜も挙げられ
る。さらに、光架橋性のモノマーを水溶性高分子溶液に
溶解させておき、製膜後光照射して架橋構造を作り、高
吸水性高分子を得る方法を挙げることができる。これら
の高分子としては、光架橋性ポリビニルアルコールや光
架橋性ポリエチレンオキシド、光架橋性ポリエチレング
リコールなどが挙げられる。また、イオン性高分子とし
てポリビニルスルホン酸やポリスチレンスルホン酸、ナ
フィオン等を挙げることができる。これらのアニオン性
高分子はカチオン性の目的物質を取り込んで運動を束縛
するため、膜中で大きな拡散係数が得られないことがあ
る。このため、上記水溶性高分子をコートした後これら
のアニオン性高分子をコートして、選択性、感度を向上
させることができる。二層膜では目的物質を取り込む機
能を有する上層膜と電極応答に寄与する下層膜とが分か
れているため、膜全体として高吸水性であれば、上層膜
は目的物質に対し分配係数の大きな膜であれば良い。ま
た、下層膜としては、多孔質膜を用いることもできる。
さらに、高分子以外でも二分子膜やLB膜に利用する両
性物質を多孔質膜中に分散させて薄膜として使用するこ
とができる。
子としては、まず、水溶性高分子を不溶化したものとし
て、セルロースアセテート、ポリビニルアルコール、ポ
リNビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、セルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、
シアノエチルセルロース、セルロースサルフェート、ヘ
パリン、ペクチン、アルギン酸、ヒドロキシメチルセル
ロース、イソプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポ
リエチレンオキシド等の熱処理物や架橋物、上記水溶性
高分子のうち2種以上の高分子を架橋して得られた共重
合体を挙げることができる。また、水によって殆ど膨潤
しない非水溶性高分子を上記水溶性高分子と適当な分率
で共重合し、水中での膨潤度を向上させた膜も挙げられ
る。さらに、光架橋性のモノマーを水溶性高分子溶液に
溶解させておき、製膜後光照射して架橋構造を作り、高
吸水性高分子を得る方法を挙げることができる。これら
の高分子としては、光架橋性ポリビニルアルコールや光
架橋性ポリエチレンオキシド、光架橋性ポリエチレング
リコールなどが挙げられる。また、イオン性高分子とし
てポリビニルスルホン酸やポリスチレンスルホン酸、ナ
フィオン等を挙げることができる。これらのアニオン性
高分子はカチオン性の目的物質を取り込んで運動を束縛
するため、膜中で大きな拡散係数が得られないことがあ
る。このため、上記水溶性高分子をコートした後これら
のアニオン性高分子をコートして、選択性、感度を向上
させることができる。二層膜では目的物質を取り込む機
能を有する上層膜と電極応答に寄与する下層膜とが分か
れているため、膜全体として高吸水性であれば、上層膜
は目的物質に対し分配係数の大きな膜であれば良い。ま
た、下層膜としては、多孔質膜を用いることもできる。
さらに、高分子以外でも二分子膜やLB膜に利用する両
性物質を多孔質膜中に分散させて薄膜として使用するこ
とができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の電気化学検出用微小電極セル
の構成について、実施例によって具体的に説明する。な
お、本発明はこれらの実施例の内容に限定されるもので
はない。
の構成について、実施例によって具体的に説明する。な
お、本発明はこれらの実施例の内容に限定されるもので
はない。
【0020】
【実施例1】厚さ1μm の酸化膜12付き3インチシリコ
ンウエハ(大阪チタニウム社製)11上にフォトレジスト
(東京応化社製 TSMR‐V3)11を1μm の厚さで塗布した
(図1A)。このレジスト塗布シリコンウエハをホットプ
レート上で 90℃、90秒の条件でベークした。その後、
クロムマスクを用いてマスクアライナー(キャノン製 PL
F‐501)により 20秒間密着露光した。露光したシリコン
ウエハをレジスト現像液(東京応化社製)中で 20℃、40
秒間現像を行い、水洗、乾燥してマスクパターンをレジ
ストに転写した(図1 B)。このレジスト付き基板をス
パッタ装置(アネルバ製 SPF332H)内の所定位置に取付
け、順次、クロム、金のスパッタ析出を行った。このと
き、圧力 1.3 Pa、パワー 50 W 、アルゴン雰囲気中で
基板を回転させながら、クロム1分、金 3.5分のスパッ
タを行い、全体で100nmの膜厚とした。その後、基板を
メチルエチルケトン中に浸漬して超音波処理を行い、電
極形成部以外のレジストを剥離して、噛み合った櫛形作
用電極、参照電極、対向電極及びそのリード、リード線
接続用のパッドパターンを得た(図1 C)。次に、この
パターン形成後のシリコンウエハをプラズマ CVD 装置
(Applied Materials 社製AMP‐3300)に入れ、シランガ
ス 23SCCM、アンモニアガス 48SCCMの流量で各ガスを流
し、ガス圧 0.2 Torr、投入電圧 500 W、シリコンウエ
ハ温度 300℃で10分間の堆積を行い、400nm厚さの窒化
シリコン膜16でシリコンウエハを被覆した(図1 D)。
次に、再びレジストをスピンコートし、マスクアライナ
ーで露光後、現像して絶縁膜用のレジストパターンを得
た(図1 E)。このレジストパターン付きシリコンウエ
ハを反応性イオンエッチング装置(アネルバ製 DEM451)
中に入れ、CF4ガス、流量 25SCCM、圧力 0.25 Pa、150
W の条件で、レジストパターンをマスクにして 15分間
窒化シリコン膜のエッチングを行って櫛形電極を得た。
ここで、櫛形電極の各電極の幅は3μm、電極間隔2μ
m、電極は各 50本とした(図1 F)。次いで、この櫛形
電極の参照電極パッドをポテンシオスタットに接続し、
銀線(参照電極)、銀ワイヤー(対向電極)と共に 70℃の
銀めっき水溶液中に浸し2μAの電流値で10秒間銀めっ
きを行って参照電極を形成した。その後、光架橋性ポリ
ビニルアルコール(PVA)樹脂液(関西ペイント ENTV‐50
0)を光重合開始剤、成形補助剤と共に電極セル上に塗布
した。樹脂液、開始剤、成形補助剤の混合比は体積比で
10:0.08:6.0 とした。その後、この樹脂混合液をコー
トした電極をマスクアライナー(キャノン製 PLF‐501)
の UV ランプの光を6分間照射し、膜を硬化させた。膜
17の厚さは10μmとした(図1 G)。なお、膜形成硬化後
の電極は pH 7のリン酸緩衝液中に浸漬して保存した。
ンウエハ(大阪チタニウム社製)11上にフォトレジスト
(東京応化社製 TSMR‐V3)11を1μm の厚さで塗布した
(図1A)。このレジスト塗布シリコンウエハをホットプ
レート上で 90℃、90秒の条件でベークした。その後、
クロムマスクを用いてマスクアライナー(キャノン製 PL
F‐501)により 20秒間密着露光した。露光したシリコン
ウエハをレジスト現像液(東京応化社製)中で 20℃、40
秒間現像を行い、水洗、乾燥してマスクパターンをレジ
ストに転写した(図1 B)。このレジスト付き基板をス
パッタ装置(アネルバ製 SPF332H)内の所定位置に取付
け、順次、クロム、金のスパッタ析出を行った。このと
き、圧力 1.3 Pa、パワー 50 W 、アルゴン雰囲気中で
基板を回転させながら、クロム1分、金 3.5分のスパッ
タを行い、全体で100nmの膜厚とした。その後、基板を
メチルエチルケトン中に浸漬して超音波処理を行い、電
極形成部以外のレジストを剥離して、噛み合った櫛形作
用電極、参照電極、対向電極及びそのリード、リード線
接続用のパッドパターンを得た(図1 C)。次に、この
パターン形成後のシリコンウエハをプラズマ CVD 装置
(Applied Materials 社製AMP‐3300)に入れ、シランガ
ス 23SCCM、アンモニアガス 48SCCMの流量で各ガスを流
し、ガス圧 0.2 Torr、投入電圧 500 W、シリコンウエ
ハ温度 300℃で10分間の堆積を行い、400nm厚さの窒化
シリコン膜16でシリコンウエハを被覆した(図1 D)。
次に、再びレジストをスピンコートし、マスクアライナ
ーで露光後、現像して絶縁膜用のレジストパターンを得
た(図1 E)。このレジストパターン付きシリコンウエ
ハを反応性イオンエッチング装置(アネルバ製 DEM451)
中に入れ、CF4ガス、流量 25SCCM、圧力 0.25 Pa、150
W の条件で、レジストパターンをマスクにして 15分間
窒化シリコン膜のエッチングを行って櫛形電極を得た。
ここで、櫛形電極の各電極の幅は3μm、電極間隔2μ
m、電極は各 50本とした(図1 F)。次いで、この櫛形
電極の参照電極パッドをポテンシオスタットに接続し、
銀線(参照電極)、銀ワイヤー(対向電極)と共に 70℃の
銀めっき水溶液中に浸し2μAの電流値で10秒間銀めっ
きを行って参照電極を形成した。その後、光架橋性ポリ
ビニルアルコール(PVA)樹脂液(関西ペイント ENTV‐50
0)を光重合開始剤、成形補助剤と共に電極セル上に塗布
した。樹脂液、開始剤、成形補助剤の混合比は体積比で
10:0.08:6.0 とした。その後、この樹脂混合液をコー
トした電極をマスクアライナー(キャノン製 PLF‐501)
の UV ランプの光を6分間照射し、膜を硬化させた。膜
17の厚さは10μmとした(図1 G)。なお、膜形成硬化後
の電極は pH 7のリン酸緩衝液中に浸漬して保存した。
【0021】次に、この高分子修飾櫛形電極セルをデュ
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して、ドーパミン
10μM、KCl 0.1M を含む pH 7のリン酸緩衝溶液中に浸
漬し、電極セル内の銀参照電極を基準として櫛形電極の
一方の電極を0V に保持し、他方の電極を0〜0.6V の
範囲で電位掃引を行った。また、同一サイズで高分子修
飾を施していない櫛形電極、及び同一膜厚のナフィオン
膜(ジェネラルサイエンス社)で修飾した櫛形電極につい
ても同様の測定を行い比較した。なお、ナフィオン膜の
コートはナフィオンのイソプロピルアルコール溶液(3 w
t%)を電極上に塗布し、自然乾燥させて行い、また、電
気化学測定は溶液浸漬後3分経過してから行った。掃引
速度を変化させて測定条件を検討した結果では、架橋 P
VA 修飾電極では100mV/sec以下、ナフィオン修飾電極で
は5mV/sec、未修飾電極では1/Vsec以下の掃引速度で
定常状態の電流が 0.5 V 付近に得られ、その大きさ
は、架橋 PVA 修飾電極セルでは 45 nA 、ナフィオン修
飾電極では5nA 、未修飾電極では 160 nA の値であっ
た。一方、櫛形電極の一方をポテンシオスタットに接続
せずに測定を行うと、架橋 PVA 修飾電極では9nA 、ナ
フィオン修飾電極では4nA 、未修飾電極では16 nA に
電流値が低下した。次に、この修飾電極を洗浄した後、
KCl 0.1M を含むpH 7のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬
し、一方の電極を0V に固定し、液をスターラーによっ
て撹拌しつつ1mM のドーパミン水溶液を30μL注入して
電流値と時間との関係を調べると、未修飾電極は10秒以
下、PVA 修飾電極は25秒、ナフィオン修飾電極は2分以
上で電流値が定常状態に達した。これらの結果から、高
吸水性の PVA 修飾電極ではドーパミンの拡散が溶液中
の1/1000以下のナフィオン膜に比べ応答が速く、電流値
の低下も小さいことがわかった。
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して、ドーパミン
10μM、KCl 0.1M を含む pH 7のリン酸緩衝溶液中に浸
漬し、電極セル内の銀参照電極を基準として櫛形電極の
一方の電極を0V に保持し、他方の電極を0〜0.6V の
範囲で電位掃引を行った。また、同一サイズで高分子修
飾を施していない櫛形電極、及び同一膜厚のナフィオン
膜(ジェネラルサイエンス社)で修飾した櫛形電極につい
ても同様の測定を行い比較した。なお、ナフィオン膜の
コートはナフィオンのイソプロピルアルコール溶液(3 w
t%)を電極上に塗布し、自然乾燥させて行い、また、電
気化学測定は溶液浸漬後3分経過してから行った。掃引
速度を変化させて測定条件を検討した結果では、架橋 P
VA 修飾電極では100mV/sec以下、ナフィオン修飾電極で
は5mV/sec、未修飾電極では1/Vsec以下の掃引速度で
定常状態の電流が 0.5 V 付近に得られ、その大きさ
は、架橋 PVA 修飾電極セルでは 45 nA 、ナフィオン修
飾電極では5nA 、未修飾電極では 160 nA の値であっ
た。一方、櫛形電極の一方をポテンシオスタットに接続
せずに測定を行うと、架橋 PVA 修飾電極では9nA 、ナ
フィオン修飾電極では4nA 、未修飾電極では16 nA に
電流値が低下した。次に、この修飾電極を洗浄した後、
KCl 0.1M を含むpH 7のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬
し、一方の電極を0V に固定し、液をスターラーによっ
て撹拌しつつ1mM のドーパミン水溶液を30μL注入して
電流値と時間との関係を調べると、未修飾電極は10秒以
下、PVA 修飾電極は25秒、ナフィオン修飾電極は2分以
上で電流値が定常状態に達した。これらの結果から、高
吸水性の PVA 修飾電極ではドーパミンの拡散が溶液中
の1/1000以下のナフィオン膜に比べ応答が速く、電流値
の低下も小さいことがわかった。
【0022】次に、ドーパミン10μM、L‐アスコルビン
酸500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して、電極の選択
性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を0V
に固定し、他方を0V から0.6V まで電位掃引した。掃
引速度は最も応答速度の遅いナフィオン修飾電極が定常
状態応答が得られる5mV/secとした。その結果、未修飾
電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では 6.8μAの
単一ピークが0.4V 付近に観測されたが、還元側(電位0
Vの側)では還元電流が全く得られず、ドーパミンとLア
スコルビン酸のピークを分離してドーパミンのみを選択
的に検出することはできなかった。また、電位掃引を数
回繰り返しても変化は見られなかった。次に、ナフィオ
ン修飾櫛形電極では、酸化側に0.4V 付近にショルダー
を持つ7nA の、還元側に4.6nA の定常電流が得られ、
酸化側にややL‐アスコルビン酸の酸化に起因するピー
クが見られる他は還元側電極によりドーパミンの応答だ
けを分離することができた。次に、架橋 PVA 修飾電極
では、第一掃引では酸化側に920nA 、還元側に10nA の
ピークが得られ、酸化側ではドーパミンとL‐アスコル
ビン酸の応答を分離することはできなかったが、還元側
ではドーパミンの還元に基づく応答が得られ、その絶対
値はナフィオン膜修飾電極で得られた値の2倍以上で、
PVA 修飾櫛形電極では、還元側の電極を検出に利用して
従来の電極よりも感度良く選択検出できることがわかっ
た。さらに、PVA 修飾電極セル上に10μMのドーパミン
を含むリン酸緩衝溶液を10μL滴下し、同様の測定を行
ったところ、溶液中に浸漬する方法と同様な値が得ら
れ、微小量のサンプルの測定にも使用できることがわか
った。
酸500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して、電極の選択
性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を0V
に固定し、他方を0V から0.6V まで電位掃引した。掃
引速度は最も応答速度の遅いナフィオン修飾電極が定常
状態応答が得られる5mV/secとした。その結果、未修飾
電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では 6.8μAの
単一ピークが0.4V 付近に観測されたが、還元側(電位0
Vの側)では還元電流が全く得られず、ドーパミンとLア
スコルビン酸のピークを分離してドーパミンのみを選択
的に検出することはできなかった。また、電位掃引を数
回繰り返しても変化は見られなかった。次に、ナフィオ
ン修飾櫛形電極では、酸化側に0.4V 付近にショルダー
を持つ7nA の、還元側に4.6nA の定常電流が得られ、
酸化側にややL‐アスコルビン酸の酸化に起因するピー
クが見られる他は還元側電極によりドーパミンの応答だ
けを分離することができた。次に、架橋 PVA 修飾電極
では、第一掃引では酸化側に920nA 、還元側に10nA の
ピークが得られ、酸化側ではドーパミンとL‐アスコル
ビン酸の応答を分離することはできなかったが、還元側
ではドーパミンの還元に基づく応答が得られ、その絶対
値はナフィオン膜修飾電極で得られた値の2倍以上で、
PVA 修飾櫛形電極では、還元側の電極を検出に利用して
従来の電極よりも感度良く選択検出できることがわかっ
た。さらに、PVA 修飾電極セル上に10μMのドーパミン
を含むリン酸緩衝溶液を10μL滴下し、同様の測定を行
ったところ、溶液中に浸漬する方法と同様な値が得ら
れ、微小量のサンプルの測定にも使用できることがわか
った。
【0023】L‐アスコルビン酸を含む系の測定で還元
側の電流値が L‐アスコルビン酸を含まない溶液で測定
した場合に比較して低下するのは、図2(a)に示すよう
に、酸化側電極で酸化されたドーパミンが還元側櫛形電
極上に拡散する途中で L‐アスコルビン酸に電子を渡し
て還元されることに起因する。このため、電位掃引前に
予め一方の電極を 0.6 V 、他方の電極を0V に15秒間
保持して測定を行ったところ、還元側で得られる電流値
は38nAまで向上し、L‐アスコルビン酸の影響を殆ど除
去して、ドーパミンの選択測定が可能であることがわか
った。これは、図2(b)に示すように、前電解によって
PVA 膜内で酸化される L‐アスコルビン酸の量が PVA
膜を透過して電極表面まで拡散してくる L‐アスコルビ
ン酸の量よりも多いため、膜内の L‐アスコルビン酸濃
度が減少して酸化されたドーパミンと L‐アスコルビン
酸との相互作用(電子移動)が抑制されたことによるもの
で、電位掃引を 50mV/secで数回繰り返した後測定を行
ってもほぼ同様な結果が得られた。
側の電流値が L‐アスコルビン酸を含まない溶液で測定
した場合に比較して低下するのは、図2(a)に示すよう
に、酸化側電極で酸化されたドーパミンが還元側櫛形電
極上に拡散する途中で L‐アスコルビン酸に電子を渡し
て還元されることに起因する。このため、電位掃引前に
予め一方の電極を 0.6 V 、他方の電極を0V に15秒間
保持して測定を行ったところ、還元側で得られる電流値
は38nAまで向上し、L‐アスコルビン酸の影響を殆ど除
去して、ドーパミンの選択測定が可能であることがわか
った。これは、図2(b)に示すように、前電解によって
PVA 膜内で酸化される L‐アスコルビン酸の量が PVA
膜を透過して電極表面まで拡散してくる L‐アスコルビ
ン酸の量よりも多いため、膜内の L‐アスコルビン酸濃
度が減少して酸化されたドーパミンと L‐アスコルビン
酸との相互作用(電子移動)が抑制されたことによるもの
で、電位掃引を 50mV/secで数回繰り返した後測定を行
ってもほぼ同様な結果が得られた。
【0024】
【実施例2】実施例1の場合と同様な方法によって櫛形
電極の作製、参照電極の作製(参照電極パターン上への
銀のめっき)を行い、櫛形電極セルを得た。次に、実施
例1と同様の方法で架橋 PVA 膜を形成し、該膜上にナ
フィオン膜を 0.2μmの厚さにスピンコートして超薄膜
を形成し、高分子修飾櫛形電極セルを得た。
電極の作製、参照電極の作製(参照電極パターン上への
銀のめっき)を行い、櫛形電極セルを得た。次に、実施
例1と同様の方法で架橋 PVA 膜を形成し、該膜上にナ
フィオン膜を 0.2μmの厚さにスピンコートして超薄膜
を形成し、高分子修飾櫛形電極セルを得た。
【0025】次に、このセルを実施例1と同じデュアル
ポテンシオスタットに接続してドーパミン5μMを含む
pH 7のリン酸緩衝溶液中に浸漬し、電極セル内の銀参
照電極を基準として櫛形電極の一方の電極を0Vに保持
し、他方の電極について0〜0.6Vの範囲で電位掃引を行
った。また、同一サイズで未修飾の櫛形電極及び0.2μm
厚さのナフィオン膜で修飾した櫛形電極についても同様
の測定を行い、比較を行った。掃引速度を変化させて測
定条件を検討すると、ナフィオン超薄膜/架橋 PVA の2
層膜修飾電極では 50mV/sec 以下、ナフィオン修飾電極
では 10mV/sec、未修飾電極では1V/sec 以下の掃引速
度で定常状態の電流が 0.5 V 付近に得られ、その大き
さは2層膜修飾電極セルでは 21nA、ナフィオン修飾電
極では4.4nA、未修飾電極では 78.5nAの値であった。次
に、この修飾電極を洗浄した後、KC 10.1Mを含む pH 7
のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬し、一方の電極を 0.6
V、他方の電極を0Vに固定し、液をスターラーによって
撹拌しつつ1mM のドーパミン水溶液を15μL注入して電
流値と時間との関係を調べると、未修飾電極は10秒以
下、2層膜修飾電極は30秒、ナフィオン膜修飾電極では
1分以上で電流値が定常状態に達した。
ポテンシオスタットに接続してドーパミン5μMを含む
pH 7のリン酸緩衝溶液中に浸漬し、電極セル内の銀参
照電極を基準として櫛形電極の一方の電極を0Vに保持
し、他方の電極について0〜0.6Vの範囲で電位掃引を行
った。また、同一サイズで未修飾の櫛形電極及び0.2μm
厚さのナフィオン膜で修飾した櫛形電極についても同様
の測定を行い、比較を行った。掃引速度を変化させて測
定条件を検討すると、ナフィオン超薄膜/架橋 PVA の2
層膜修飾電極では 50mV/sec 以下、ナフィオン修飾電極
では 10mV/sec、未修飾電極では1V/sec 以下の掃引速
度で定常状態の電流が 0.5 V 付近に得られ、その大き
さは2層膜修飾電極セルでは 21nA、ナフィオン修飾電
極では4.4nA、未修飾電極では 78.5nAの値であった。次
に、この修飾電極を洗浄した後、KC 10.1Mを含む pH 7
のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬し、一方の電極を 0.6
V、他方の電極を0Vに固定し、液をスターラーによって
撹拌しつつ1mM のドーパミン水溶液を15μL注入して電
流値と時間との関係を調べると、未修飾電極は10秒以
下、2層膜修飾電極は30秒、ナフィオン膜修飾電極では
1分以上で電流値が定常状態に達した。
【0026】次に、ドーパミン 5μM、L‐アスコルビ
ン酸 500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して、電極の
選択性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を
0Vに固定し、他方を0.15V から0.6V まで電位掃引し
た。掃引速度はナフィオン修飾電極で5mV/sec、2層膜
修飾電極及び未修飾電極では50mV/sec とした。未修飾
櫛形電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では6.8μA
の単一ピークが0.4V付近に観測されたが、還元側(電位
0Vの側)では還元電流が全く得られず、ドーパミンと L
‐アスコルビン酸とのピークを分離してドーパミンのみ
を選択的に検出することはできなかった。また、電位掃
引を数回繰り返しても変化は見られなかった。次に、ナ
フィオン修飾櫛形電極では、酸化側に0.4V付近にショル
ダーを持つ5nAのピークが得られ、酸化側ではナフィオ
ン膜により L‐アスコルビン酸の電極上への拡散を大き
く抑制することができたが、還元側ではドーパミンの還
元電流は観測されず、還元側の櫛形電極でドーパミンの
みを選択的に分離することはできなかった。
ン酸 500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して、電極の
選択性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を
0Vに固定し、他方を0.15V から0.6V まで電位掃引し
た。掃引速度はナフィオン修飾電極で5mV/sec、2層膜
修飾電極及び未修飾電極では50mV/sec とした。未修飾
櫛形電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では6.8μA
の単一ピークが0.4V付近に観測されたが、還元側(電位
0Vの側)では還元電流が全く得られず、ドーパミンと L
‐アスコルビン酸とのピークを分離してドーパミンのみ
を選択的に検出することはできなかった。また、電位掃
引を数回繰り返しても変化は見られなかった。次に、ナ
フィオン修飾櫛形電極では、酸化側に0.4V付近にショル
ダーを持つ5nAのピークが得られ、酸化側ではナフィオ
ン膜により L‐アスコルビン酸の電極上への拡散を大き
く抑制することができたが、還元側ではドーパミンの還
元電流は観測されず、還元側の櫛形電極でドーパミンの
みを選択的に分離することはできなかった。
【0027】本実施例では、実施例1の場合とは異なり
ナフィオン膜37の厚さが0.2μmしかないため、図3(a)
に示すように、酸化側電極31で電極反応したドーパミン
33は主として膜中ではなく一度膜外に出て拡散する。膜
外には多量の L‐アスコルビン酸35が存在するため、ド
ーパミン酸化体34と Lアスコルビン酸35との間に電子移
動が起り、ドーパミンは化学的に還元され還元側電極32
には殆ど到達しない。一方、実施例1の場合のように膜
厚さが比較的厚い場合には、膜中のドーパミンの拡散係
数が小さいため電流値は低い。しかし、酸化されたドー
パミンは一度膜外に出るより膜中を拡散した方が拡散に
要する時間が短くなる。その結果、図3(b)に示すよう
に、ドーパミン33は主にナフィオン膜37内を拡散して還
元側電極32に達するので、L‐アスコルビン酸の影響が
小さい応答を示すものと考えられる。次に、ナフィオン
/PVA2層膜修飾電極では第一掃引では酸化側に380nA、
還元側に4.8nA のピークが得られ、還元側ではドーパミ
ンの還元のみに基づく応答が得られた。この電極構造で
は、図3(c)に示すように、ナフィオン膜37と電極との
間に比較的厚いドーパミンの拡散に適した高吸水性高分
子の層38が存在するため、ドーパミンはこの中を通って
電極間を拡散し、L‐アスコルビン酸の影響は大きく抑
制される。さらに、2層修飾電極では酸化側電極電位を
0.6V、還元側電極電位を0Vに保持して測定を行うと、
電位印加後25秒間で、還元側で得られる酸化したドーパ
ミンの還元限界電流は20nAに達し、L‐アスコルビン酸
を含まない場合と同じ値が得られることがわかった。
ナフィオン膜37の厚さが0.2μmしかないため、図3(a)
に示すように、酸化側電極31で電極反応したドーパミン
33は主として膜中ではなく一度膜外に出て拡散する。膜
外には多量の L‐アスコルビン酸35が存在するため、ド
ーパミン酸化体34と Lアスコルビン酸35との間に電子移
動が起り、ドーパミンは化学的に還元され還元側電極32
には殆ど到達しない。一方、実施例1の場合のように膜
厚さが比較的厚い場合には、膜中のドーパミンの拡散係
数が小さいため電流値は低い。しかし、酸化されたドー
パミンは一度膜外に出るより膜中を拡散した方が拡散に
要する時間が短くなる。その結果、図3(b)に示すよう
に、ドーパミン33は主にナフィオン膜37内を拡散して還
元側電極32に達するので、L‐アスコルビン酸の影響が
小さい応答を示すものと考えられる。次に、ナフィオン
/PVA2層膜修飾電極では第一掃引では酸化側に380nA、
還元側に4.8nA のピークが得られ、還元側ではドーパミ
ンの還元のみに基づく応答が得られた。この電極構造で
は、図3(c)に示すように、ナフィオン膜37と電極との
間に比較的厚いドーパミンの拡散に適した高吸水性高分
子の層38が存在するため、ドーパミンはこの中を通って
電極間を拡散し、L‐アスコルビン酸の影響は大きく抑
制される。さらに、2層修飾電極では酸化側電極電位を
0.6V、還元側電極電位を0Vに保持して測定を行うと、
電位印加後25秒間で、還元側で得られる酸化したドーパ
ミンの還元限界電流は20nAに達し、L‐アスコルビン酸
を含まない場合と同じ値が得られることがわかった。
【0028】
【実施例3】実施例1の場合と同様な方法によって、酸
化膜付きシリコン基板上に近接した2本の微小バンド作
用電極、参照電極及び対向電極を作成して対バンド電極
セルを得た。参照電極は実施例1の方法に従い電極パタ
ーン上に銀をめっきして使用した。バンド電極のサイズ
はバンドの幅3μm、長さ6mm、電極間ギャップ2μmと
した。次に、実施例1の場合と同様な方法で架橋 PVA
膜を形成し、その膜上にナフィオン膜を0.2μmの厚さに
スピンコートして超薄膜を形成した。次に、この高分子
修飾微小バンド電極セルを実施例1と同じデュアルポテ
ンシオスタットに接続してドーパミン100μMを含む pH
7のリン酸緩衝溶液中に浸漬し、電極セル内の銀参照電
極を基準として対バンド電極の一方の電極を0Vに保持
し、他方の電極を0〜0.6V の範囲で電位掃引して測定
を行った。また、同一サイズで未修飾の対バンド電極及
び同一膜厚のナフィオン膜で修飾した対バンド電極につ
いても同様の測定を行い比較を行った。掃引速度を変化
させて測定条件の検討を行ったところ、、ナフィオン超
薄膜/架橋PVA 2層膜修飾電極では50mV/sec以下、ナフ
ィオン修飾電極では5mV/sec、未修飾電極では1V/sec
以下の掃引速度で定常状態の電流が0.5V付近に得られ、
その大きさは2層膜修飾電極セルでは19.5nA、ナフィオ
ン修飾電極では19.5nA、ナフィオン修飾電極では2.1n
A、未修飾電極では81nAの値であった。次に、この修飾
電極を洗浄した後、KCl 0.1Mを含む pH7のリン酸緩衝
溶液(3mL)中に浸漬し、一方の電極を0.6V、他方の電極
を0Vに固定し、液をスターラーによって撹拌しつつ1m
Mのドーパミン水溶液を15μL注入して電流値と時間との
関係を調べたところ、未修飾電極は10秒以下、2層膜修
飾電極は30秒、ナフィオン膜修飾電極では2分以上で電
流値が定常状態に達した。
化膜付きシリコン基板上に近接した2本の微小バンド作
用電極、参照電極及び対向電極を作成して対バンド電極
セルを得た。参照電極は実施例1の方法に従い電極パタ
ーン上に銀をめっきして使用した。バンド電極のサイズ
はバンドの幅3μm、長さ6mm、電極間ギャップ2μmと
した。次に、実施例1の場合と同様な方法で架橋 PVA
膜を形成し、その膜上にナフィオン膜を0.2μmの厚さに
スピンコートして超薄膜を形成した。次に、この高分子
修飾微小バンド電極セルを実施例1と同じデュアルポテ
ンシオスタットに接続してドーパミン100μMを含む pH
7のリン酸緩衝溶液中に浸漬し、電極セル内の銀参照電
極を基準として対バンド電極の一方の電極を0Vに保持
し、他方の電極を0〜0.6V の範囲で電位掃引して測定
を行った。また、同一サイズで未修飾の対バンド電極及
び同一膜厚のナフィオン膜で修飾した対バンド電極につ
いても同様の測定を行い比較を行った。掃引速度を変化
させて測定条件の検討を行ったところ、、ナフィオン超
薄膜/架橋PVA 2層膜修飾電極では50mV/sec以下、ナフ
ィオン修飾電極では5mV/sec、未修飾電極では1V/sec
以下の掃引速度で定常状態の電流が0.5V付近に得られ、
その大きさは2層膜修飾電極セルでは19.5nA、ナフィオ
ン修飾電極では19.5nA、ナフィオン修飾電極では2.1n
A、未修飾電極では81nAの値であった。次に、この修飾
電極を洗浄した後、KCl 0.1Mを含む pH7のリン酸緩衝
溶液(3mL)中に浸漬し、一方の電極を0.6V、他方の電極
を0Vに固定し、液をスターラーによって撹拌しつつ1m
Mのドーパミン水溶液を15μL注入して電流値と時間との
関係を調べたところ、未修飾電極は10秒以下、2層膜修
飾電極は30秒、ナフィオン膜修飾電極では2分以上で電
流値が定常状態に達した。
【0029】次に、ドーパミン 100μM、L‐アスコルビ
ン酸1000μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して電極の選
択性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を0
Vに固定し、他方を0.1Vから0.6Vまで電位掃引した。こ
こで、掃引速度はナフィオン修飾電極で5mV/sec、2層
膜修飾電極及び未修飾電極で50mV/secとした。未修飾櫛
形電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では720nAの
単一ピークが0.4V付近に観測されたが、還元側(電位0V
の側)では1nA以下の還元電流しか得られず、ドーパミ
ンと L‐アスコルビン酸とのピークを分離してドーパミ
ンのみを選択的に検出することは難しかった。また、酸
化側電極電位を0.6V、還元側電極電位を0Vに保持して
測定を行っても、還元電流の増加は観測されなかった。
次に、ナフィオン修飾櫛形電極では酸化側に5nAの酸化
電流が得られ、L‐アスコルビン酸に起因する電流を減
らすことができたが、還元側では未修飾電極と同様に1
nA以下の電流値しか得られず、未修飾電極と同様に還元
側電極によりドーパミンの応答だけを分離することは難
しかった。次に、2層膜修飾電極では、第一掃引では酸
化側に270nA、還元側に4.7nA のピークが得られ、酸化
側ではドーパミンとL‐アスコルビン酸の応答を分離す
ることができなかったが、還元側ではドーパミンの還元
のみに基づく応答が得られた。また、未修飾電極の測定
と同様に酸化側電極電位を0.6V、還元側電極電位を0V
に保持して電流測定を行うと、酸化側の電流は減少、還
元側の電流は増加し、18nAで定常値に達した。この値は
L‐アスコルビン酸を含まない系で得られる値とほぼ等
しく、高感度を保ったままで選択的にドーパミンを分離
できることがわかった。
ン酸1000μMを含むリン酸緩衝溶液を使用して電極の選
択性について検討した。各電極共に櫛形電極の一方を0
Vに固定し、他方を0.1Vから0.6Vまで電位掃引した。こ
こで、掃引速度はナフィオン修飾電極で5mV/sec、2層
膜修飾電極及び未修飾電極で50mV/secとした。未修飾櫛
形電極では酸化側電極(電位掃引した電極)では720nAの
単一ピークが0.4V付近に観測されたが、還元側(電位0V
の側)では1nA以下の還元電流しか得られず、ドーパミ
ンと L‐アスコルビン酸とのピークを分離してドーパミ
ンのみを選択的に検出することは難しかった。また、酸
化側電極電位を0.6V、還元側電極電位を0Vに保持して
測定を行っても、還元電流の増加は観測されなかった。
次に、ナフィオン修飾櫛形電極では酸化側に5nAの酸化
電流が得られ、L‐アスコルビン酸に起因する電流を減
らすことができたが、還元側では未修飾電極と同様に1
nA以下の電流値しか得られず、未修飾電極と同様に還元
側電極によりドーパミンの応答だけを分離することは難
しかった。次に、2層膜修飾電極では、第一掃引では酸
化側に270nA、還元側に4.7nA のピークが得られ、酸化
側ではドーパミンとL‐アスコルビン酸の応答を分離す
ることができなかったが、還元側ではドーパミンの還元
のみに基づく応答が得られた。また、未修飾電極の測定
と同様に酸化側電極電位を0.6V、還元側電極電位を0V
に保持して電流測定を行うと、酸化側の電流は減少、還
元側の電流は増加し、18nAで定常値に達した。この値は
L‐アスコルビン酸を含まない系で得られる値とほぼ等
しく、高感度を保ったままで選択的にドーパミンを分離
できることがわかった。
【0030】
【実施例4】酸化膜41付き4インチのシリコン基板(図
4 A)をスパッタ装置(アネルバ製 SPF332H)内の所定の
位置に取付け、順次クロム、金のスパッタ析出を行っ
た。次に、圧力1.3Pa、パワー 50W、アルゴン雰囲気中
で基板を回転させながら、チタン 1分、白金 3.5分のス
パッタを行い全体で100nmの膜厚とした(図4 B 42)。
次に、1gの3,4,9,10‐ペリレンテトラカルボン酸無水
物(PDTA)を 80cm 長の石英管中の端に入れ、1cm厚さの
石英ガラスのウールでカバーした。次に、3インチのシ
リコン基板を管の中央に入れ、0.1Torrまで真空度を上
げた後、チューブに2つのヒーターを取り付けた。次
に、ヒーターにより基板温度を1000℃に、PDTAのボート
の温度を450℃に上げPDTAを昇華させて基板上に15分間
堆積を行った(図4 C)。その後、石英管を電気炉から
取り外して自然冷却し、真空を破って基板を取り出し
た。このカーボン膜付きシリコン基板上にシリコン系の
ポジ形レジストを4000回転、40秒間塗布し、90℃で90秒
間プリベークした。このレジスト付きウエハーにクロム
マスクとステッパー(ニコン NSR1010G)を用いて電極パ
ターンを露光し、現像してパターン44を形成した(図4
D)。現像液には NMD‐W (東京応化社製)を使用した。
パターンを形成した基板を反応性イオンエッチング装置
(アネルバ DEM451)中に入れレジスト膜で覆われていな
い部分のカーボン膜をエッチングして、レジストパター
ンをカーボン膜に転写した。次に、下層の白金/チタン
膜をアルゴンイオンミリング装置中でエッチングし(図
4 E)、レジストを除去して、カーボン/金属複合金属
櫛形電極のパターンを得た(図4 F)。この電極を形成
したウエハーをプラズマ CVD 装置(アプライドマテリア
ル社製 APM3300)中に入れ、250nmの窒化シリコン膜45を
形成した(図4 G)。次に、このウエハー全面にレジス
ト(東京応化社製 TSMR‐V3)を4000回転で40秒間スピン
コートし、90℃で90秒間プリベークした後、ステッパー
を用いて絶縁膜パターンを露光し、現像してパターンを
形成した(図4 H)。現像液には NMD‐W(東京応化社製)
を使用した。パターンを形成した基板を反応性イオンエ
ッチング装置(アネルバDEM451)中に入れ、CF4ガスプラ
ズマ中でカーボン膜が露出するまで窒化シリコン膜をエ
ッチングして電極を得た(図4 I)。得られた櫛形電極
のそれぞれの櫛の幅及び電極間隔はそれぞれ2μm、櫛
の数は50本とした。この櫛形電極の参照電極パッドをポ
テンシオスタットに接続し、銀線(参照電極)、銀ワイヤ
ー(対向電極)と共に70℃の銀めっき水溶液中に浸し、2
μA の電流値で10秒間銀めっきを行い、参照電極を形成
した。
4 A)をスパッタ装置(アネルバ製 SPF332H)内の所定の
位置に取付け、順次クロム、金のスパッタ析出を行っ
た。次に、圧力1.3Pa、パワー 50W、アルゴン雰囲気中
で基板を回転させながら、チタン 1分、白金 3.5分のス
パッタを行い全体で100nmの膜厚とした(図4 B 42)。
次に、1gの3,4,9,10‐ペリレンテトラカルボン酸無水
物(PDTA)を 80cm 長の石英管中の端に入れ、1cm厚さの
石英ガラスのウールでカバーした。次に、3インチのシ
リコン基板を管の中央に入れ、0.1Torrまで真空度を上
げた後、チューブに2つのヒーターを取り付けた。次
に、ヒーターにより基板温度を1000℃に、PDTAのボート
の温度を450℃に上げPDTAを昇華させて基板上に15分間
堆積を行った(図4 C)。その後、石英管を電気炉から
取り外して自然冷却し、真空を破って基板を取り出し
た。このカーボン膜付きシリコン基板上にシリコン系の
ポジ形レジストを4000回転、40秒間塗布し、90℃で90秒
間プリベークした。このレジスト付きウエハーにクロム
マスクとステッパー(ニコン NSR1010G)を用いて電極パ
ターンを露光し、現像してパターン44を形成した(図4
D)。現像液には NMD‐W (東京応化社製)を使用した。
パターンを形成した基板を反応性イオンエッチング装置
(アネルバ DEM451)中に入れレジスト膜で覆われていな
い部分のカーボン膜をエッチングして、レジストパター
ンをカーボン膜に転写した。次に、下層の白金/チタン
膜をアルゴンイオンミリング装置中でエッチングし(図
4 E)、レジストを除去して、カーボン/金属複合金属
櫛形電極のパターンを得た(図4 F)。この電極を形成
したウエハーをプラズマ CVD 装置(アプライドマテリア
ル社製 APM3300)中に入れ、250nmの窒化シリコン膜45を
形成した(図4 G)。次に、このウエハー全面にレジス
ト(東京応化社製 TSMR‐V3)を4000回転で40秒間スピン
コートし、90℃で90秒間プリベークした後、ステッパー
を用いて絶縁膜パターンを露光し、現像してパターンを
形成した(図4 H)。現像液には NMD‐W(東京応化社製)
を使用した。パターンを形成した基板を反応性イオンエ
ッチング装置(アネルバDEM451)中に入れ、CF4ガスプラ
ズマ中でカーボン膜が露出するまで窒化シリコン膜をエ
ッチングして電極を得た(図4 I)。得られた櫛形電極
のそれぞれの櫛の幅及び電極間隔はそれぞれ2μm、櫛
の数は50本とした。この櫛形電極の参照電極パッドをポ
テンシオスタットに接続し、銀線(参照電極)、銀ワイヤ
ー(対向電極)と共に70℃の銀めっき水溶液中に浸し、2
μA の電流値で10秒間銀めっきを行い、参照電極を形成
した。
【0031】次に、この櫛形電極の一方の電極を作用極
としてポテンシオスタットに接続し、参照電極、対向電
極と共に0.1Mの 3メチルチオフェン、0.1Mのテトラブチ
ルアンモニウム、テトラウロオロボレートを含むアセト
ニトリル中に浸漬して銀/塩化銀に対して1.7V の電位を
印加し、ポリ3メチルチオフェン膜46を0.1μmの厚さに
コートした。次に、この片側を修飾した櫛形電極を1mM
の NADH を含む pH 2の硫酸水溶液中に入れ、‐0.5Vか
ら0.7Vの間で20mV/secの速度で電位掃引を行ったとこ
ろ、0.45V付近に NADH の触媒酸化に基づく酸化、‐0.1
5V付近に還元電流のピークが観測された。その後、この
電極上に実施例2の場合と同様な方法で架橋PVA 47及び
ナフィオン薄膜48の2層膜を形成した。ナフィオン部分
及び PVAの膜厚はそれぞれ0.2μm及び10μmとした。膜
形成、硬化後の電極は pH 2の硫酸水溶液中に浸漬して
保存した(図4 J)。
としてポテンシオスタットに接続し、参照電極、対向電
極と共に0.1Mの 3メチルチオフェン、0.1Mのテトラブチ
ルアンモニウム、テトラウロオロボレートを含むアセト
ニトリル中に浸漬して銀/塩化銀に対して1.7V の電位を
印加し、ポリ3メチルチオフェン膜46を0.1μmの厚さに
コートした。次に、この片側を修飾した櫛形電極を1mM
の NADH を含む pH 2の硫酸水溶液中に入れ、‐0.5Vか
ら0.7Vの間で20mV/secの速度で電位掃引を行ったとこ
ろ、0.45V付近に NADH の触媒酸化に基づく酸化、‐0.1
5V付近に還元電流のピークが観測された。その後、この
電極上に実施例2の場合と同様な方法で架橋PVA 47及び
ナフィオン薄膜48の2層膜を形成した。ナフィオン部分
及び PVAの膜厚はそれぞれ0.2μm及び10μmとした。膜
形成、硬化後の電極は pH 2の硫酸水溶液中に浸漬して
保存した(図4 J)。
【0032】次に、この高分子修飾櫛形電極セルをデュ
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して NADH 100μM
を含む pH 2の硫酸水溶液中に浸漬し、電極セル内の銀
参照電極を基準として櫛形電極の一方の電極を‐0.2V
に保持し、他方の電極を‐0.2V〜0.8V の範囲で電位掃
引を行った。その結果、50mV/sec以下の掃引速度で定常
状態の電流が0.6V付近に得られ、その大きさは125nAで
あった。また、還元側電極は114nAの値を示した。次
に、NADH 100μM、L‐アスコルビン酸 1000μMを含むリ
ン酸緩衝溶液を使用して電極の選択性について検討し
た。櫛形電極の一方を‐0.2Vに固定し、他方を‐0.2V
から0.8V まで電位掃引した。掃引速度は50mV/secとし
た。その結果、第一掃引では酸化側に738nA、還元側に4
5nAのピークが得られ、酸化側ではドーパミンと L‐ア
スコルビン酸との応答を分離することはできなかった
が、還元側ではドーパミンの還元に基づく応答が得られ
た。次に、カソードに‐0.2V、アノードに0.7Vの電位を
印加して電流変化を測定すると、還元電流は次第に増加
し、電位印加後30秒で定常状態となり、その大きさは10
5nAで、 L‐アスコルビン酸を含まない場合とほぼ同様
な電流値が得られ、NADH の選択的測定を行うことがで
きた。
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して NADH 100μM
を含む pH 2の硫酸水溶液中に浸漬し、電極セル内の銀
参照電極を基準として櫛形電極の一方の電極を‐0.2V
に保持し、他方の電極を‐0.2V〜0.8V の範囲で電位掃
引を行った。その結果、50mV/sec以下の掃引速度で定常
状態の電流が0.6V付近に得られ、その大きさは125nAで
あった。また、還元側電極は114nAの値を示した。次
に、NADH 100μM、L‐アスコルビン酸 1000μMを含むリ
ン酸緩衝溶液を使用して電極の選択性について検討し
た。櫛形電極の一方を‐0.2Vに固定し、他方を‐0.2V
から0.8V まで電位掃引した。掃引速度は50mV/secとし
た。その結果、第一掃引では酸化側に738nA、還元側に4
5nAのピークが得られ、酸化側ではドーパミンと L‐ア
スコルビン酸との応答を分離することはできなかった
が、還元側ではドーパミンの還元に基づく応答が得られ
た。次に、カソードに‐0.2V、アノードに0.7Vの電位を
印加して電流変化を測定すると、還元電流は次第に増加
し、電位印加後30秒で定常状態となり、その大きさは10
5nAで、 L‐アスコルビン酸を含まない場合とほぼ同様
な電流値が得られ、NADH の選択的測定を行うことがで
きた。
【0033】
【実施例5】図5 Aに示すように、1μmのシリコン酸
化膜51'付きのシリコンウエファー基板(大阪チタニウム
社製)51をスパッタ装置(アネルバ製 SPF‐332H)内の所
定の位置にメタルマスクと共に取付け、圧力1.3Paのア
ルゴン中でパワー50Wを加えてクロムのスパッタを10秒
間行い、真空を破ることなく、続いてパワー70Wで1分
間白金のスパッタを行い、膜厚が100nmのクロムと白金
の堆積膜からなる下部電極52を形成した(図5 B)。次
に、この基板をプラズマ CVD 装置(Applied Materials
社製 AMP‐3300)に入れ、シランガス23SCCM、アンモニ
アガス48SCCM、の流量で各ガスを流し、ガス圧0.2Tor
r、投入電圧500Wシリコンウエハ温度 300℃で10分間堆
積を行い、400nm厚さの窒化シリコン膜53でシリコンウ
エハを被覆した(図5 C)。次に、再び基板を別のメタ
ルマスクと共にスパッタ装置に装着し、クロムと白金と
の積層膜からなる表面電極54を100nm堆積した(図5
D)。その後、上記シリコン基板上にホトレジスト55(シ
ップレー社製 MP‐1400‐27)を1μmの厚さに塗布し
た。このレジスト塗布したシリコン基板をホットプレー
ト上で90℃の温度で1.5分間ベークした。その後、クロ
ムマスクを用いてマスクアライナ(キャノン製 PLA501)
により20秒間微小孔アレイ作用電極、参照電極、対向電
極パターンを密着露光した。露光したシリコン基板はレ
ジスト現像液(シップレー社 MF‐319)中で20℃、60秒間
現像を行い、水洗、乾燥してレジストにマスクパターン
を転写した(図5 E)。現像後、上記基板をイオンミリ
ング装置(コモンウェルズ社製 ミラトロン4型)中に入
れ、アルゴンガス圧1.1×10~4Torr、流量 12SCCM、加速
電圧550V、電流 250mAの条件で2分間クロムと白金の積
層膜54のエッチングを行った後、反応性イオンエッチン
グ装置(アネルバ製 DEM‐451)中で、CF4ガス流量25SCC
M、圧力3Pa、パワー150Wの条件で10分間、窒化シリコ
ンからなる絶縁性薄膜3のエッチングを行って微小孔を
有する多数のディスク電極パターン56を形成した(図5
F)。各電極の直径は0.5μm、個数を40000個とした。そ
の後基板をメチルエチルケトン中に浸漬して超音波洗浄
を行い、レジストを剥離して電極パターンを得た。さら
に、参照電極パッドをポテンシオスタットに接続し、銀
線(参照電極)、銀ワイヤー(対向電極)と共に70℃の銀め
っき水溶液中に浸し、2μA の電流値で10秒間銀めっき
を行い、参照電極を形成した。この電極上に N‐ビニル
ピロリドン/スチレン比が 60/40 の共重合体膜57を形成
した(図5 G)。膜厚は10μmとした。この電極をセロト
ニン10μMを含む pH 5.5の酢酸緩衝溶液中に浸し、微小
孔電極を0Vとし表面電極を0Vから0.7Vまで電位掃引す
ると還元側で14nAの限界電流が観測された。また、高分
子修飾されていない電極セルについて同様な測定を行っ
たところ、還元側では45nAで、修飾電極では未修飾電極
の約1/3の電流値を示すことがわかった。次に、ノルエ
ピネフリン10μM、L‐アスコルビン酸150μMを含む緩衝
溶液中で表面電極に0.6V、ディスクアレイ電極に0Vの
電位を印加して測定を行うと、未修飾電極では電流値は
2nA以下に低下したが、修飾電極では13nAの電流値が得
られ、ノルエピネフリンを選択的に検出できることがわ
かった。さらに、この電極セル上に1μLのノルエピネ
フリンを含む緩衝溶液を滴下し、カバーガラスで挾んで
測定を行うと、溶液中に電極を浸漬して測定した場合と
同様な値が得られた。
化膜51'付きのシリコンウエファー基板(大阪チタニウム
社製)51をスパッタ装置(アネルバ製 SPF‐332H)内の所
定の位置にメタルマスクと共に取付け、圧力1.3Paのア
ルゴン中でパワー50Wを加えてクロムのスパッタを10秒
間行い、真空を破ることなく、続いてパワー70Wで1分
間白金のスパッタを行い、膜厚が100nmのクロムと白金
の堆積膜からなる下部電極52を形成した(図5 B)。次
に、この基板をプラズマ CVD 装置(Applied Materials
社製 AMP‐3300)に入れ、シランガス23SCCM、アンモニ
アガス48SCCM、の流量で各ガスを流し、ガス圧0.2Tor
r、投入電圧500Wシリコンウエハ温度 300℃で10分間堆
積を行い、400nm厚さの窒化シリコン膜53でシリコンウ
エハを被覆した(図5 C)。次に、再び基板を別のメタ
ルマスクと共にスパッタ装置に装着し、クロムと白金と
の積層膜からなる表面電極54を100nm堆積した(図5
D)。その後、上記シリコン基板上にホトレジスト55(シ
ップレー社製 MP‐1400‐27)を1μmの厚さに塗布し
た。このレジスト塗布したシリコン基板をホットプレー
ト上で90℃の温度で1.5分間ベークした。その後、クロ
ムマスクを用いてマスクアライナ(キャノン製 PLA501)
により20秒間微小孔アレイ作用電極、参照電極、対向電
極パターンを密着露光した。露光したシリコン基板はレ
ジスト現像液(シップレー社 MF‐319)中で20℃、60秒間
現像を行い、水洗、乾燥してレジストにマスクパターン
を転写した(図5 E)。現像後、上記基板をイオンミリ
ング装置(コモンウェルズ社製 ミラトロン4型)中に入
れ、アルゴンガス圧1.1×10~4Torr、流量 12SCCM、加速
電圧550V、電流 250mAの条件で2分間クロムと白金の積
層膜54のエッチングを行った後、反応性イオンエッチン
グ装置(アネルバ製 DEM‐451)中で、CF4ガス流量25SCC
M、圧力3Pa、パワー150Wの条件で10分間、窒化シリコ
ンからなる絶縁性薄膜3のエッチングを行って微小孔を
有する多数のディスク電極パターン56を形成した(図5
F)。各電極の直径は0.5μm、個数を40000個とした。そ
の後基板をメチルエチルケトン中に浸漬して超音波洗浄
を行い、レジストを剥離して電極パターンを得た。さら
に、参照電極パッドをポテンシオスタットに接続し、銀
線(参照電極)、銀ワイヤー(対向電極)と共に70℃の銀め
っき水溶液中に浸し、2μA の電流値で10秒間銀めっき
を行い、参照電極を形成した。この電極上に N‐ビニル
ピロリドン/スチレン比が 60/40 の共重合体膜57を形成
した(図5 G)。膜厚は10μmとした。この電極をセロト
ニン10μMを含む pH 5.5の酢酸緩衝溶液中に浸し、微小
孔電極を0Vとし表面電極を0Vから0.7Vまで電位掃引す
ると還元側で14nAの限界電流が観測された。また、高分
子修飾されていない電極セルについて同様な測定を行っ
たところ、還元側では45nAで、修飾電極では未修飾電極
の約1/3の電流値を示すことがわかった。次に、ノルエ
ピネフリン10μM、L‐アスコルビン酸150μMを含む緩衝
溶液中で表面電極に0.6V、ディスクアレイ電極に0Vの
電位を印加して測定を行うと、未修飾電極では電流値は
2nA以下に低下したが、修飾電極では13nAの電流値が得
られ、ノルエピネフリンを選択的に検出できることがわ
かった。さらに、この電極セル上に1μLのノルエピネ
フリンを含む緩衝溶液を滴下し、カバーガラスで挾んで
測定を行うと、溶液中に電極を浸漬して測定した場合と
同様な値が得られた。
【0034】
【実施例6】まず、図6 Aに示すように、1μmの酸化
膜62付きシリコンウエハ61(大阪チタニウム社製)上にホ
トレジスト(シップレー社製 MP1400‐27)を1μmの厚さ
に塗布した。次に、このレジスト塗布シリコン基板61を
オーブン中に入れ、80℃30分の条件でベークした。その
後、クロムマスクを用いてマスクアライナ(キャノン製
PLF‐521)により20秒間密着露光した。露光したシリコ
ン基板1について、レジスト現像液(シップレー社製 MP
デベロッパー)中で20℃、60秒間現像を行い、水洗、乾
燥して、レジストにマスクパターンを転写した。次に、
このレジストパターン付きシリコン基板61をスパッタ装
置(アネルバ製 SPF‐332H)内の所定の位置に取付け、ク
ロム及び白金を順次スパッタ堆積させた。この際、クロ
ムは15秒間、白金は1分間で、圧力7.5mTorr、パワー50
W下で堆積し、全体で100nmの膜厚になるようにした。そ
の後、このシリコン基板61をメチルエチルケトン中に浸
漬して超音波処理を行い、電極形成部分以外のレジスト
を剥離して、図6 Bに示すように、下部作用電極63を
形成した。その後、スパッタ装置(アネルバ製SPF332H)
内の所定の位置に取付け、この基板をプラズマ CVD 装
置(Appliied Materials社製 AMP‐3300)に入れ、シラン
ガス23SCCM、アンモニアガス48SCCMの流量で各ガスを流
し、ガス圧0.2Torr、投入電圧500W、シリコンウエハ温
度300℃で10分間堆積を行い、400nm厚の窒化シリコン膜
でシリコンウエハを被覆し第1の絶縁膜64を形成した
(図6 C)。次に、再びレジスト膜を塗布し、マスクを
用いて露光し、現像後再びクロム、白金のスパッタを行
ない、レジストをメチルエチルケトン中で剥離して、図
6 Dに示すように、リード、パッドを有する櫛形状の
上部作用電極65、66及び図7に示す参照電極77、対向電
極78用パターンを形成した。その後、この基板をプラズ
マ CVD 装置(Applied Materials社製 AMP‐3300)に再び
入れ、シランガス23SCCM、アンモニアガス48SCCMの流量
で各ガスを流し、ガス圧0.2Torr、投入電圧500W、シリ
コンウエハ温度300℃で10分間堆積を行い、400nm厚の窒
化シリコン膜でシリコンウエハを被覆し、第2の絶縁膜
69を形成した(図6 E)。次に、再びレジストを塗布
し、マスクを用いて露光し、現像して電極部分とパッド
部分とを露出させた(図6 F)。次に、このシリコン基
板61を反応性イオンエッチング装置(アネルバ製 DEM‐4
51)中に入れ、CF4ガスを流量25SCCM、圧力0.25Pa、パワ
ー150Wの条件でレジストパターンをマスクにして15分間
第2の絶縁膜69及び第1の絶縁膜64のエッチングを行っ
て、図6 Gに示すように、下部作用電極63を露出させ
た。この結果、上部作用電極65、66と下部作用電極63と
の間が非常に小さな噛み合った櫛形電気化学検出器が得
られた。最後に、参照電極用パターン67にリード線を接
続し、60℃に加熱した銀めっき液中で電流密度1mA、10
秒間めっきを行い、銀を析出させて参照電極とした。
膜62付きシリコンウエハ61(大阪チタニウム社製)上にホ
トレジスト(シップレー社製 MP1400‐27)を1μmの厚さ
に塗布した。次に、このレジスト塗布シリコン基板61を
オーブン中に入れ、80℃30分の条件でベークした。その
後、クロムマスクを用いてマスクアライナ(キャノン製
PLF‐521)により20秒間密着露光した。露光したシリコ
ン基板1について、レジスト現像液(シップレー社製 MP
デベロッパー)中で20℃、60秒間現像を行い、水洗、乾
燥して、レジストにマスクパターンを転写した。次に、
このレジストパターン付きシリコン基板61をスパッタ装
置(アネルバ製 SPF‐332H)内の所定の位置に取付け、ク
ロム及び白金を順次スパッタ堆積させた。この際、クロ
ムは15秒間、白金は1分間で、圧力7.5mTorr、パワー50
W下で堆積し、全体で100nmの膜厚になるようにした。そ
の後、このシリコン基板61をメチルエチルケトン中に浸
漬して超音波処理を行い、電極形成部分以外のレジスト
を剥離して、図6 Bに示すように、下部作用電極63を
形成した。その後、スパッタ装置(アネルバ製SPF332H)
内の所定の位置に取付け、この基板をプラズマ CVD 装
置(Appliied Materials社製 AMP‐3300)に入れ、シラン
ガス23SCCM、アンモニアガス48SCCMの流量で各ガスを流
し、ガス圧0.2Torr、投入電圧500W、シリコンウエハ温
度300℃で10分間堆積を行い、400nm厚の窒化シリコン膜
でシリコンウエハを被覆し第1の絶縁膜64を形成した
(図6 C)。次に、再びレジスト膜を塗布し、マスクを
用いて露光し、現像後再びクロム、白金のスパッタを行
ない、レジストをメチルエチルケトン中で剥離して、図
6 Dに示すように、リード、パッドを有する櫛形状の
上部作用電極65、66及び図7に示す参照電極77、対向電
極78用パターンを形成した。その後、この基板をプラズ
マ CVD 装置(Applied Materials社製 AMP‐3300)に再び
入れ、シランガス23SCCM、アンモニアガス48SCCMの流量
で各ガスを流し、ガス圧0.2Torr、投入電圧500W、シリ
コンウエハ温度300℃で10分間堆積を行い、400nm厚の窒
化シリコン膜でシリコンウエハを被覆し、第2の絶縁膜
69を形成した(図6 E)。次に、再びレジストを塗布
し、マスクを用いて露光し、現像して電極部分とパッド
部分とを露出させた(図6 F)。次に、このシリコン基
板61を反応性イオンエッチング装置(アネルバ製 DEM‐4
51)中に入れ、CF4ガスを流量25SCCM、圧力0.25Pa、パワ
ー150Wの条件でレジストパターンをマスクにして15分間
第2の絶縁膜69及び第1の絶縁膜64のエッチングを行っ
て、図6 Gに示すように、下部作用電極63を露出させ
た。この結果、上部作用電極65、66と下部作用電極63と
の間が非常に小さな噛み合った櫛形電気化学検出器が得
られた。最後に、参照電極用パターン67にリード線を接
続し、60℃に加熱した銀めっき液中で電流密度1mA、10
秒間めっきを行い、銀を析出させて参照電極とした。
【0035】図7はこのようにして作成した高分子修飾
を行う前の電気化学検出器の構成を示した図である。同
図において、上部作用電極75、76及び下部作用電極73の
櫛歯方向の長さは2mm、幅は2μm、櫛の本数は各100本
とした。その後、光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)
樹脂液(関西ペイント ENTV‐500)をポリNメチルピロリ
ドン(PNVP)粉末、光重合開始剤、成形補助剤と共に電極
セル状に塗布した。ここで、樹脂液、開始剤、成形補助
剤の混合比は体積比で 10:0.08:6.0とした。その後、
この樹脂混合液をコートした電極をマスクアライナー
(キャノン製 PLF‐501)の UV ランプの光を6分間照射
して膜80を硬化させた。膜の厚さは10μmとした(図6
H)。
を行う前の電気化学検出器の構成を示した図である。同
図において、上部作用電極75、76及び下部作用電極73の
櫛歯方向の長さは2mm、幅は2μm、櫛の本数は各100本
とした。その後、光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)
樹脂液(関西ペイント ENTV‐500)をポリNメチルピロリ
ドン(PNVP)粉末、光重合開始剤、成形補助剤と共に電極
セル状に塗布した。ここで、樹脂液、開始剤、成形補助
剤の混合比は体積比で 10:0.08:6.0とした。その後、
この樹脂混合液をコートした電極をマスクアライナー
(キャノン製 PLF‐501)の UV ランプの光を6分間照射
して膜80を硬化させた。膜の厚さは10μmとした(図6
H)。
【0036】次に、この高分子修飾櫛形電極セルをデュ
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して、ドーパミン
10μM、KCl 0.1Mを含む pH 7のリン酸緩衝溶液中に
浸漬し、電極セル内の銀参照電極を基準として櫛形電極
の上部電極を0Vに保持し、下部電極を0V〜0.6Vの範囲
で電位掃引を行った。掃引速度を変化させて測定条件を
調べたところ、架橋 PVA/PNVP修飾電極では100mV/sec以
下の掃引速度で定常状態の電流が0.5V付近に得られ、そ
の大きさは180nAであった。また、還元側電極は170nAの
値を示した。次に、この修飾電極を洗浄した後、KCl 0.
1Mを含む pH 7のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬し、一
方の電極を0.6V、他方の電極を0Vに固定し、液をスタ
ーラーで撹拌しつつ1mMのドーパミン水溶液を30μL注
入して電流値と時間との関係を調べたところ、15秒間で
電流値が定常状態に達した。次に、ドーパミン10μM、L
‐アスコルビン酸 500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用
して電極の選択性について検討した。櫛形電極の一方を
0Vに固定し、他方を0.1Vから0.6Vまで電位掃引した。
掃引速度は50mV/secとした。その結果、第一掃引では酸
化側に1.5μA、還元側に66nAのピークが得られ、、酸化
側ではドーパミンとL‐アスコルビン酸の応答を分離す
ることはできなかったが、還元側ではドーパミンの還元
に基づく応答が得られた。さらに、上部電極、下部電極
の電位をそれぞれ0V、0.6Vに固定して上部電極の電流
値変化を測定すると、上部電極の電流値は電位印加後30
秒間で139nAの定常値を示した。
アルポテンシオスタット(扶桑製作所 HECS990)及び電位
掃引装置(扶桑製作所 HECS980)に接続して、ドーパミン
10μM、KCl 0.1Mを含む pH 7のリン酸緩衝溶液中に
浸漬し、電極セル内の銀参照電極を基準として櫛形電極
の上部電極を0Vに保持し、下部電極を0V〜0.6Vの範囲
で電位掃引を行った。掃引速度を変化させて測定条件を
調べたところ、架橋 PVA/PNVP修飾電極では100mV/sec以
下の掃引速度で定常状態の電流が0.5V付近に得られ、そ
の大きさは180nAであった。また、還元側電極は170nAの
値を示した。次に、この修飾電極を洗浄した後、KCl 0.
1Mを含む pH 7のリン酸緩衝溶液(3mL)中に浸漬し、一
方の電極を0.6V、他方の電極を0Vに固定し、液をスタ
ーラーで撹拌しつつ1mMのドーパミン水溶液を30μL注
入して電流値と時間との関係を調べたところ、15秒間で
電流値が定常状態に達した。次に、ドーパミン10μM、L
‐アスコルビン酸 500μMを含むリン酸緩衝溶液を使用
して電極の選択性について検討した。櫛形電極の一方を
0Vに固定し、他方を0.1Vから0.6Vまで電位掃引した。
掃引速度は50mV/secとした。その結果、第一掃引では酸
化側に1.5μA、還元側に66nAのピークが得られ、、酸化
側ではドーパミンとL‐アスコルビン酸の応答を分離す
ることはできなかったが、還元側ではドーパミンの還元
に基づく応答が得られた。さらに、上部電極、下部電極
の電位をそれぞれ0V、0.6Vに固定して上部電極の電流
値変化を測定すると、上部電極の電流値は電位印加後30
秒間で139nAの定常値を示した。
【0037】
【発明の効果】以上述べてきたように、電気化学検出用
微小電極セル及びその製造方法を本発明構成のセル及び
製造方法とすることによって、従来技術の有していた課
題を解決して、可逆な目的物質のみを選択性良く、高感
度にかつ少量の溶液で検出可能な電気化学検出用微小電
極セル及びその製造方法を提供することができた。すな
わち、絶縁性基板または絶縁性薄膜で覆われた基板上に
形成された微小間隙によって互いに分離された少なくと
も二つの作用電極、参照電極及び対向電極を有する電気
化学セルにおいて、そのセル表面が水を吸収して膨潤す
る性質を有する薄膜により修飾されていることを特徴と
する電気化学検出用電極は、比較的速い応答を示し、分
離性の余り高くない高分子をコートしても、膜内で可逆
物質が再生され非可逆物質が消費される性質を利用し
て、高い選択性を実現することができる。また、高吸水
性高分子により膜内の物質拡散があまり低下せず、電極
間の高いレドックスサイクルを保持して、感度を保った
まま選択検出ができるなどの効果が得られる。これは、
電気化学的に不可逆な L‐アスコルビン酸や尿酸、フェ
ノール類の存在下で低濃度のカテコールアミン、キノ
ン、NADH 、アミノフェノールなどの可逆な物質を高選
択的に検出できることになる。さらに、作用電極と参照
電極、対向電極など測定に必要な電極が一体化されてい
るために、1μL前後の微量試料も測定可能で、バイオ
センサーやフローインジェクション分析の検出器として
利用価値が高い。
微小電極セル及びその製造方法を本発明構成のセル及び
製造方法とすることによって、従来技術の有していた課
題を解決して、可逆な目的物質のみを選択性良く、高感
度にかつ少量の溶液で検出可能な電気化学検出用微小電
極セル及びその製造方法を提供することができた。すな
わち、絶縁性基板または絶縁性薄膜で覆われた基板上に
形成された微小間隙によって互いに分離された少なくと
も二つの作用電極、参照電極及び対向電極を有する電気
化学セルにおいて、そのセル表面が水を吸収して膨潤す
る性質を有する薄膜により修飾されていることを特徴と
する電気化学検出用電極は、比較的速い応答を示し、分
離性の余り高くない高分子をコートしても、膜内で可逆
物質が再生され非可逆物質が消費される性質を利用し
て、高い選択性を実現することができる。また、高吸水
性高分子により膜内の物質拡散があまり低下せず、電極
間の高いレドックスサイクルを保持して、感度を保った
まま選択検出ができるなどの効果が得られる。これは、
電気化学的に不可逆な L‐アスコルビン酸や尿酸、フェ
ノール類の存在下で低濃度のカテコールアミン、キノ
ン、NADH 、アミノフェノールなどの可逆な物質を高選
択的に検出できることになる。さらに、作用電極と参照
電極、対向電極など測定に必要な電極が一体化されてい
るために、1μL前後の微量試料も測定可能で、バイオ
センサーやフローインジェクション分析の検出器として
利用価値が高い。
【図1】実施例1の架橋ポリビニルアルコール修飾平面
型櫛形電極セルの作製工程図。
型櫛形電極セルの作製工程図。
【図2】高吸水性高分子修飾型櫛形電極の選択性原理の
説明図。
説明図。
【図3】種々の高分子修飾電極の応答性の相違を説明す
るための図。
るための図。
【図4】実施例4、高分子修飾カーボン膜櫛形電極の作
製工程図。
製工程図。
【図5】実施例5、高分子修飾表面電極を有するマイク
ロディスクアレイ電極セルの作製工程図。
ロディスクアレイ電極セルの作製工程図。
【図6】実施例6、高分子修飾段差櫛形電極セルの作製
工程図。
工程図。
【図7】図6の電極の高分子修飾前の状態を示す図。
11…レジスト膜、12…シリコン酸化膜、13…シリコンウ
エハ、14、15…櫛形対電極、16…窒化シリコン膜、17…
光架橋ポリビニルアルコール膜、21…酸化側櫛形電極、
22…還元側櫛形電極、23…ドーパミン、24…ドーパミン
(酸化体)、25…L‐アスコルビン酸、26…L‐アスコルビ
ン酸(酸化体)、27…高分子膜、31…酸化側櫛形電極、32
…還元側櫛形電極、33…ドーパミン、34…ドーパミン
(酸化体)、35…L‐アスコルビン酸、36…L‐アスコルビ
ン酸(酸化体)、37…ナフィオン膜、38…架橋ポリビニル
アルコール膜、41…酸化膜付きシリコン基板、42…白金
/クロム膜、43…カーボン膜、44…レジスト膜、45…窒
化シリコン膜、46…ポリ3メチルチオフェン膜、47…架
橋ポリビニルアルコール膜、48…ナフィオン薄膜、51…
シリコン基板、51'…酸化膜、52…白金/クロム膜(下部
電極)、53…窒化シリコン膜、54…白金/クロム膜(上部
電極)、55…レジスト膜、56…マイクロディスク電極パ
ターン、57…高分子共重合体膜、61…シリコンウエハ、
62…酸化膜、63…下部作用電極、64…第1の絶縁膜、6
5、66…上部作用電極、69…第2の絶縁、71…シリコン
基板、72…酸化膜、73…白金/クロム膜(下部電極)、74
…窒化シリコン膜、75、76…上部櫛形電極パターン、77
…参照電極、78…対向電極、79…窒化シリコン絶縁膜
(リード部分被覆用)、80…高分子修飾膜(架橋ポリビニ
ルアルコール/ポリNメチルピロリドン複合高分子膜)。
エハ、14、15…櫛形対電極、16…窒化シリコン膜、17…
光架橋ポリビニルアルコール膜、21…酸化側櫛形電極、
22…還元側櫛形電極、23…ドーパミン、24…ドーパミン
(酸化体)、25…L‐アスコルビン酸、26…L‐アスコルビ
ン酸(酸化体)、27…高分子膜、31…酸化側櫛形電極、32
…還元側櫛形電極、33…ドーパミン、34…ドーパミン
(酸化体)、35…L‐アスコルビン酸、36…L‐アスコルビ
ン酸(酸化体)、37…ナフィオン膜、38…架橋ポリビニル
アルコール膜、41…酸化膜付きシリコン基板、42…白金
/クロム膜、43…カーボン膜、44…レジスト膜、45…窒
化シリコン膜、46…ポリ3メチルチオフェン膜、47…架
橋ポリビニルアルコール膜、48…ナフィオン薄膜、51…
シリコン基板、51'…酸化膜、52…白金/クロム膜(下部
電極)、53…窒化シリコン膜、54…白金/クロム膜(上部
電極)、55…レジスト膜、56…マイクロディスク電極パ
ターン、57…高分子共重合体膜、61…シリコンウエハ、
62…酸化膜、63…下部作用電極、64…第1の絶縁膜、6
5、66…上部作用電極、69…第2の絶縁、71…シリコン
基板、72…酸化膜、73…白金/クロム膜(下部電極)、74
…窒化シリコン膜、75、76…上部櫛形電極パターン、77
…参照電極、78…対向電極、79…窒化シリコン絶縁膜
(リード部分被覆用)、80…高分子修飾膜(架橋ポリビニ
ルアルコール/ポリNメチルピロリドン複合高分子膜)。
Claims (7)
- 【請求項1】絶縁性基板上または絶縁性薄膜で覆われた
基板上に形成された平面あるいは立体的な微小間隙によ
って互いに分離された少なくとも二つの作用電極、参照
電極及び対向電極を有する電気化学セルにおいて、その
セル表面が水を吸収して膨潤する性質を有する薄膜によ
って修飾されていることを特徴とする電気化学検出用微
小電極セル。 - 【請求項2】上記二つの作用電極が、平面内で間隙を隔
てて相対する微小バンド電極あるいは互いに噛み合った
櫛形微小電極であることを特徴とする請求項1記載の電
気化学検出用微小電極セル。 - 【請求項3】上記の少なくとも二つの作用電極が絶縁膜
を介した立体的段差による微小間隙によって分離された
微小バンド電極あるいは櫛形電極であることを特徴とす
る請求項1記載の電気化学検出用微小電極セル。 - 【請求項4】上記二つの作用電極が、少なくとも一つ以
上の微小孔を配列した表面電極と、上記微小孔の底部も
しくは中間部位に、上記表面電極とは互いに絶縁性の微
小孔壁で絶縁された少なくとも一つ以上の微小孔電極と
からなることを特徴とする請求項1記載の電気化学検出
用微小電極セル。 - 【請求項5】上記電極セル上を被覆し、水を吸収して膨
潤する性質を有する薄膜が、多孔性高分子膜、水溶性高
分子の架橋物膜、高分子架橋物と水溶性高分子との複合
膜、水溶性高分子と非水溶性との共重合体膜、水により
膨潤する非水溶性高分子膜にイオン性高分子を被覆した
2層膜構成からなる薄膜であること、あるいは、水溶性
高分子の架橋物膜、高分子架橋物と水溶性高分子との複
合膜、水溶性高分子と非水溶性高分子との共重合体膜、
水により膨潤する非水溶性高分子膜を多孔性膜上に被覆
した2層膜構成からなる薄膜であることを特徴とする請
求項1記載の電気化学検出用微小電極セル。 - 【請求項6】上記二つの作用電極のうち少なくとも一方
の電極が酸化還元性を有する物質で修飾され、該修飾物
質上がさらに請求項5記載の薄膜によって修飾されてい
ることを特徴とする電気化学検出用微小電極セル。 - 【請求項7】絶縁性基板上に平面または絶縁性段差によ
って隔てられた二つの作用電極、参照電極用電極及び対
向電極用電極をリード及び外部機器接続用のパッド部分
と共に一体成形し、上記電極を絶縁性膜で被覆した後、
エッチングによりリード部分を残して電極部分、パッド
部分を露出させ、参照電極用電極パターンに酸化還元性
を有する物質を析出させて参照電極とし、最後に、電極
セル全面を水中で膨潤する性質を有する薄膜によって修
飾することを特徴とする電気化学検出用微小電極セルの
製造方法。
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- 1992-02-14 JP JP04028179A patent/JP3108499B2/ja not_active Expired - Fee Related
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