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JP7571393B2 - 脱酸素剤、脱酸素剤包装体、および食品包装体 - Google Patents

脱酸素剤、脱酸素剤包装体、および食品包装体 Download PDF

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Description

本発明は、脱酸素剤および脱酸素剤包装体に関する。さらに、この脱酸素剤包装体を有する食品包装体についても言及する。
食品を長期保存する方法の一つとして、食品の包装容器内に脱酸素剤を封入する方法がある。この方法では、ガスバリア性の密封袋または密封容器内に食品および脱酸素剤を同封し、密封容器内の酸素を脱酸素剤に吸収させ、密封容器内の雰囲気を実質的に無酸素状態に保つことにより、酸化による品質劣化や、細菌や微生物の増殖等を抑える。
現在よく用いられている脱酸素剤には、大きく2つの種類がある。鉄を主剤とする無機系の脱酸素剤と、アスコルビン酸系の酸素吸収物質を主剤とする有機系の脱酸素剤である。これらは、用途や対象食品等に応じて使い分けされるが、近年商品を金属探知機にかける必要が高まっていることから、金属探知機にかけることが可能な有機系脱酸素剤の需要が増えてきている。
有機系の脱酸素剤には、鉄系の脱酸素剤に比べて酸素吸収速度が遅いという欠点がある。食品の保存性向上を目的とする脱酸素剤の使用においては、早い場合で24時間~48時間で生育するカビの発生を抑える観点から、24時間以内に酸素濃度を0.1%未満まで低下させておくことが望ましいが、有機系脱酸素剤でこの条件を満足することは容易ではない。
そのため、有機系脱酸素剤において酸素吸収速度を高めるため、酸素吸収物質の酸化反応を促進する反応触媒や反応促進剤を加える、最適pHにするためのアルカリ性化合物を加える等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3541859号公報
発明者は、上記先行技術を踏まえ、異なるアプローチで酸素吸収能力を高めることに成功した。
本発明は、粒状の脱酸素剤において、酸素吸収能力をより向上させることを目的とする。
本発明の第一の態様は、多孔質の担持体と、担持体に担持された酸素吸収組成物とを含む造粒物の表面に無機微粒子が付着した脱酸素剤である。
酸素吸収組成物は、酸素吸収性物質を含む液剤、アルカリ性化合物、および遷移金属化合物を含む。
無機微粒子の疎水化度は15%以下である。
無機微粒子のpHは8.0以上9.0以下である。
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る脱酸素剤が通気性の包材に収納された脱酸素剤包装体である。
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る脱酸素剤包装体と、脱酸素剤包装体および食品が封入された包装容器とを備える食品包装体である。
本発明によれば、粒状の脱酸素剤において、酸素吸収能力をさらに向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る脱酸素剤包装体を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る脱酸素剤包装体1を示す図である。脱酸素剤包装体1は、通気性を有する包材10と、包材10内に収納された脱酸素剤20とを備えている。
脱酸素剤20は、多孔質の担持体及び担持体に担持された酸素吸収組成物を含む粉粒体、またはその造粒物と、造粒物の表面に付着している無機微粒子とを主として構成される複数の複合粒子を含む。なお、ここで粉粒体・造粒物は多数の微粒子から構成され、全体として流動性を維持している集合体を意味し、全体として微粒子同士が互いに固着して単一の固形錠剤を形成したもの自体は含まれない。脱酸素剤20に含まれる複合粒子の数は、例えば、1gの脱酸素剤20中に、10個以上10000個以下であってもよい。
脱酸素剤20の造粒物を構成する個々の複合粒子の質量は、複合粒子1個当たり0.3mg以上、又は0.5mg以上であってもよく、10.0mg以下、又は7.0mg以下であってもよい。複合粒子がこのように微小であると、より高い酸素吸収能力が得られる傾向がある。
担持体は、酸素吸収組成物を担持できる多孔質粒子であればよい。通常、担持体に酸素吸収組成物が含浸することで、酸素吸収物質が担持体に担持される。担持体としては、例えば、活性炭、ゼオライト粒子、ベントナイト粒子、活性アルミナ粒子、活性白土、ケイ酸カルシウム粒子、及び珪藻土から選ばれる1種類以上を使用できる。
酸素吸収組成物は、酸素吸収性物質を含む液剤、アルカリ性化合物、遷移金属化合物を含有する。このような酸素吸収組成物とすることによって十分な酸素吸収速度が得られる。
酸素吸収性物質を含む液剤は、常温(5~35℃)で液状の酸素吸収物質であってもよいし、液状又は固体の酸素吸収物質を含む溶液であってもよい。酸素吸収物質は、酸素吸収組成物の主剤であり、酸素を吸収する物質である。有機系酸素吸収物質は、一般的には、それ自身が酸化することによって酸素を消費し、酸素を吸収する化合物である。
本実施形態では、常温で液状、又は溶媒へ溶解した状態の酸素吸収物質を用いることができる。このような酸素吸収物質として、アスコルビン酸、エリソルビン酸、グリセリン、1,2-グリコール、及び糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上の化合物を例示できる。1,2-グリコールの具体例としては、エチレングリコール、及びプロピレングリコール、糖アルコールの具体例としては、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、アドニトール、マンニトール、及びソルビトールが挙げられる。
液剤が酸素吸収物質の溶液であるとき、酸素吸収物質が溶解する溶媒として、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、第2級ブタノール、第3級ブタノール及び第3級アミルアルコール等の低級脂肪族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール及びトリメチレングリコール等のグリコール等を例示できる。酸素吸収物質は、上述した化合物を単独でも、複数組み合わせても用いることができる。液剤に酸素吸収物質を含有させる事によって、担持体やアルカリ性化合物との分散性がよくなる為、酸素吸収性能が得られやすくなる。
酸素吸収物質自身が常温で液体である場合、必要に応じて水を液剤に添加することができる。必要に応じて添加される水の量は、酸素吸収物質100質量部に対して、通常0~80質量部であり、20~60質量部であってもよい。水の量は、担持体100質量部に対して、通常0~90質量部であり、20~70質量部であってもよい。
酸素吸収物質の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常80~200質量部であり、100~180質量部であってもよい。酸素吸収物質の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
アルカリ性化合物は、水に溶解したときにアルカリ性の水溶液を形成する化合物である。酸素吸収物質が水酸基を持つ場合、水酸基をアルカリ性化合物がイオン化させることで、酸素吸収反応が活性化される。酸素吸収組成物の状態では、アルカリ性化合物の一部が酸素吸収物質を含む液剤に溶解していることが多い。アルカリ性化合物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩等とできる。具体的なアルカリ性化合物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化ラジウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、及び第二リン酸カリウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物を例示できる。これらの中では、水酸化カルシウムが特に好ましい。これは、水酸化カルシウムはグリセリンと可溶性錯体を形成し、酸化反応が促進されやすくなる為である。
アルカリ性化合物の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常90~300質量部であり、150~250質量部であってもよい。アルカリ性化合物の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
遷移金属化合物は、遷移金属元素を含む化合物であり、酸素吸収物質の酸素吸収反応を促進するために添加される。遷移金属化合物は、酸素吸収組成物の状態では、酸素吸収物質を含む液剤に溶解していることが多い。遷移金属元素の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びマンガンが挙げられる。遷移金属化合物は、例えば、遷移金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、又はキレート化合物であってもよい。遷移金属化合物は、遷移金属元素を含む複塩であってもよい。遷移金属化合物は、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、水酸化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、及び塩化ニッケルからなる群より選ばれる1種以上の化合物であってもよい。
遷移金属化合物の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常10~70質量部であり、30~50質量部であってもよい。遷移金属化合物の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
酸素吸収組成物は、造粒物が容易に形成できるように、バインダーを更に含有していてもよい。バインダーの具体例としては、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びセルロースが挙げられる。バインダーの量は、担持体の質量100質量部に対して、通常0~30質量部であり、10~20質量部であってもよい。
無機微粒子が付着する前の造粒物の粒径(最大幅)は、特に制限されないが、例えば0.3mm以上であってもよく、8.0mm以下、4.5mm以下、1.8mm以下、又は1.5mm以下であってもよい。造粒物の形状は、特に限定されないが、例えば円柱状であってもよい。円柱状の造粒物の場合、その直径は0.3mm以上であってもよく、4.5mm以下であってもよい。円柱状の造粒物の高さは0.3mm以上であってもよく、1.8mm以下、又は1.5mm以下であってもよい。造粒物の粒径又はサイズが小さいと、より高い酸素吸収能力が得られる傾向がある。
担持体及び酸素吸収組成物から構成される造粒物は、担持体と、酸素吸収組成物を構成する成分とを含む混合物を造粒することにより、得ることができる。酸素吸収組成物を構成する各成分は、一括して混合してもよいし、別々に混合してもよい。混合するための混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、V型等の容器回転型混合機であってもよいし、リボン型、水平スクリュー型、バドル型、遊星運動型等の容器固定型混合機であってもよい。
造粒物は、例えば、押出造粒、攪拌造粒、流動層造粒、転動造粒、又は圧縮造粒によって造粒することにより、得ることができる。押出造粒は、例えば、所定の開孔を有するスクリーンを用いて行うことができる。押出造粒によって得られる造粒物は、円柱状であることが多い。
無機微粒子は、その全体質量を基準として、通常、50質量%以上の無機物質を含む。無機物質として、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム水和物、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウムを例示できる。
無機微粒子の平均粒径に特に制限はなく、微粒子の一般的な定義である0.1~100μm以下であればよい。造粒物の表面には、通常、微細な凹凸が形成されており、小さい粒径の無機微粒子は、造粒物表面の凹部に入り込み易い。このことが結果的に造粒物の表面積を大幅に増加させることになり、酸素吸収能力向上に寄与すると考えられる。
以上例示した無機微粒子は、通常の方法によって製造することが可能であり、市販品の中から適宜選択して入手することもできる。
造粒物の表面に付着している無機微粒子の量(付着量)は、造粒物の質量100質量部に対して、1質量部以上が好ましい。無機微粒子の量がこれらの範囲内にあると、脱酸素剤の適切な酸素吸収能力が得られ易い。造粒物の表面に付着している無機微粒子の量の上限は、特に制限されないが、表面への付着性、コストの観点から、15質量部以下が好ましい。なお、造粒物に付着していない単独の無機微粒子が、脱酸素剤の粒子と混在していることがあり得るが、単独の無機微粒子の量は上記付着量に含まれない。
造粒物の表面に無機微粒子を付着させる方法に特に制限はないが、担持体及び酸素吸収組成物を含む複数の造粒物を含む造粒物粉体と複数の無機微粒子とを混ぜ合わせる方法を例示できる。例えば、造粒物と無機微粒子とを混合し、得られた混合物を振とうすることにより、造粒物に無機微粒子を付着させることができる。
上記のような粉体同士を混ぜ合わせる方法により造粒物に付着した無機微粒子は、造粒物の表面上に比較的薄い層を形成する。この点で、本実施形態の脱酸素剤20の形態は、例えば打錠成形によって得られた外郭部を有する錠剤とは異なる。具体的には、造粒物の表面に付着している無機微粒子は、厚み1mm以下の層を形成し得る。無機微粒子の層が薄いことは、複合粒子の表面をエネルギー分散型X線分析(EDX分析)によって元素分析したときに、造粒物を構成する材料(酸素吸収物質、アルカリ性化合物又は遷移金属化合物)に含まれる元素が検出されることから、確認することもできる。一般に、本実施形態に係る脱酸素剤20の場合、表面のEDX分析において、造粒物を構成する材料に含まれる少なくとも1種の元素が、0.05原子数%(at%)以上、又は0.1at%以上の濃度で検出されることが多い。一方、造粒物を内包するある程度の厚さの外郭部が打錠成形によって形成されている場合、表面のEDX分析において造粒物を構成する材料の元素が検出されることはほとんどない。
なお、造粒物の表面が無機微粒子によって隙間なく被覆されている必要は必ずしもなく、無機微粒子が互いに間隔をあけながら造粒物の表面全体にわたって分布していてもよい。
本実施形態の脱酸素剤20においては、無機微粒子に移行した酸素吸収組成物が大気と反応すると、造粒物内部に含まれる酸素吸収組成物が造粒物表層に順次移行(徐放効果)するため、粉体のまま用いたときと同等の酸素吸収性能を示す。その結果、高い酸素吸収性能が長時間持続する。
発明者は、無機微粒子の上記作用が好適に発揮される条件について種々検討した。その結果、無機微粒子の疎水化度が上記作用に大きく関係していることをつきとめた。具体的には、疎水化度が15%以下であると、高い酸素吸収性能が得られやすいことが分かった。
例えば、無機微粒子が二酸化ケイ素である場合、親水基であるシラノール基密度をコントロールする事によって疎水度を変化させることができる。具体的な方法としては、二酸化ケイ素の粉末に、アルキルハロゲノシラン、アルキルアルコキシシラン、アルキルジシラザンなどのシリル化剤の気体を接触させ疎水化処理する方法を例示できる。
脱酸素剤20における酸素吸収性能を無機微粒子の疎水化度が修飾するメカニズムは完全には解明されていないが、以下の様に推測される。
無機微粒子の疎水化度が15%以下であると、酸素吸収組成物中に含まれる液剤と親和性が高くなる為、無機微粒子が造粒物の表面にしっかり付着する。これにより、酸素収集物質が無機微粒子側に円滑に移行する。無機微粒子は造粒物自体よりも比表面積が高いため、酸素吸収物質と空気(酸素)との接触面積が増加し、脱酸素剤の酸素吸収能力向上に寄与すると考えられる。
無機微粒子の疎水化度は、メタノール疎水化度(M値)という指標で表せる。M値は、微粒子の疎水性の程度を表す概念であり、M値が高いほど疎水性が高いことを示す。M値は、水とメタノールの混合溶液において、測定試料を均一分散させることができるメタノール比率の最低値を意味し、以下の方法で求めることができる。
(M値の測定)
測定対象の微粒子0.2gを、容量150mLのビーカー中で50mLの水に添加し、メタノールをビュレットから徐々に滴下する。このとき、ビーカー中の溶液をマグネティックスターラーで緩やかに撹拌し、微粒子の全量がビーカーの底に沈降した時点で滴下を終了する。滴下終了時における、ビーカー中の水・メタノール混合溶液に占めるメタノールの容量百分率をM値とする。
さらに、発明者の検討では、無機微粒子のpHも上記作用に関与していることが分かった。詳細は実施例において示すが、無機微粒子のpHが4.0以上9.0以下であると、上記作用がより確実に発現することが分かった。このメカニズムは完全には解明されていないが、以下の様に推測される。
酸素吸収反応にはアルカリ性化合物が関与する為、無機微粒子のpHが5.5以上であると酸素吸収性能が得られやすい傾向にあり、5.5から8.0の範囲が特に好ましい。この範囲にあるとアルカリ性化合物の働きにより、酸素吸収物質の炭素部分に電荷の偏りが生じ不安定な状態となるため、酸素吸収物質がより酸化されやすい状態、すなわち、酸素と結合しやすい状態となる。無機微粒子のpHが高すぎるとアルカリ性化合物が酸素吸収物質に作用しにくい状態となる為、性能が低下する恐れがある。
上記に鑑みると、無機微粒子のpHが酸性に傾くと酸素吸収性能が低下することも推測されるが、発明者の検討では、pHが4.0から9.0程度の範囲では、概ね安定した酸素吸収性能が得られることを確認できた。
以上説明したように、本実施形態の脱酸素剤20は、以下の利点を有する。
(1)無機微粒子のメタノール疎水化度が15%以下であることにより、従来よりも酸素吸収速度が向上し、かつ酸素吸収能が長時間持続する粒状の脱酸素剤が得られる。
(2)脱酸素剤20において、無機微粒子のpHが4.0以上9.0以下であると、上記効果がより確実に得られる。
(3)脱酸素剤20において、無機微粒子の量が、造粒物の質量100質量部に対して1~15質量部であると、製造コストを抑えつつ酸素吸収速度をより効果的に高めることができる。
(4)脱酸素剤20において、複合粒子の質量を、複合粒子1個当たり0.3~10.0mgの範囲とすると、酸素吸収速度をより効果的に高めることができる。
脱酸素剤20を通気性の包材10に収納して封止すると、本実施形態の脱酸素剤包装体1が完成する。
食品が入った包装容器に脱酸素剤包装体1を封入して密封すると、本実施形態に係る食品包装体となる。脱酸素剤20は有機系であるため、脱酸素剤包装体1は、金属探知器による品質検査を行う食品等にも好適に使用できる。
本実施形態に係る食品包装体において、密封可能であれば包装容器の態様に特に制限はなく、食品包装の分野で通常用いられるものから適宜選択できる。包装容器として、袋体、深絞り包装体、トレイ包装体、ストレッチ包装体等を例示できる。
本実施形態に係る脱酸素剤について、実施例を用いてさらに説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例の具体的内容により限定されない。
(脱酸素剤の作製)
下記の脱酸素剤材料を密封状態で均一に混合し、得られた混合物をスクリーン孔径1.0mmφ、開孔率22.6%のスクリーンを設けた押出し造粒機により造粒し、顆粒状の造粒物を得た。
(脱酸素剤材料)
・活性炭 100部
・グリセリン 150部
・水酸化カルシウム 216.7部
・硫酸銅(II) 45.2部
・水 60.3部
・セルロース 16.7部
無機微粒子として、メタノール疎水化度(M値)およびpHが異なる以下の材料を準備した。各無機微粒子の材質、M値、およびpHは以下の通りである。M値は上記方法で測定し、pHは、JIS K 5101-17-2に従って測定した。
<二酸化ケイ素(SiO)>
無機微粒子A M値 0 pH 7.8
無機微粒子B M値 0 pH 3.6
無機微粒子C M値 15 pH 7.0
無機微粒子D M値 10 pH 7.2
無機微粒子E M値 2 pH 6.2
無機微粒子F M値 0 pH 5.5
無機微粒子G M値 0 pH 6.5
無機微粒子H M値 35 pH 6.5
無機微粒子I M値 60 pH 5.0
<非晶質ケイ酸カルシウム水和物(CaO・mSiO・nHO)>
無機微粒子J M値 0 pH 9.1
<マグネシウムケイ酸塩(MgSi1230(OH)(OH・8HO>
無機微粒子K M値 0 pH 8.7
上記のいずれかの無機微粒子0.9gを酸素バリア性の袋に入れた後、30gの造粒物を入れ、袋をヒートシールで封止した。この袋を振って内容物を十分に混合し、無機微粒子によって造粒物が被覆された脱酸素剤を得た。
以上により、実施例1から9、および比較例2、3に係る脱酸素剤を得た。各例において、使用した無機微粒子は表1に示している。この脱酸素剤の表面を、加速電圧20kV、分析時間100秒(ライブタイム)の条件でEDXにより分析したところ、造粒物を構成する硫酸銅に由来するCu元素が1.06at%の濃度で検出され、無機微粒子が造粒物の表面に非常に薄く付着していることが確認された。
確認のため、同様の酸素吸収組成物からなる中心部とケイ酸カルシウムと二酸化ケイ素の混合物からなる外郭部とを有する錠剤を作製し、その表面をEDXにより分析したところ、Cu元素は検出されなかった。
作製した各例の脱酸素剤は、脱酸素剤包装体の作製時(後述)まで、真空状態で保管した。
(実施例10)
無機微粒子の量を0.3gに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例10に係る脱酸素剤を得た。
(実施例11)
無機微粒子の量を3.0gに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例10に係る脱酸素剤を得た。
(実施例12)
無機微粒子の量を4.5gに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例11に係る脱酸素剤を得た。
(比較例1)
上記造粒物に無機微粒子を加えず、そのまま比較例1に係る脱酸素剤とした。
(脱酸素剤包装体の作製)
各例に係る脱酸素剤2.5gを通気性包材で形成された袋(縦60mm、横60mm)に収納し、各例に係る脱酸素剤包装体を作製した。通気性包材として、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/紙/ポリエチレンの層構成を有する積層材料を用いた。
(食品包装体の作製)
酸素バリア性を有する袋状の包装容器に、ショ糖44%水溶液10mLを浸した脱脂綿を入れた。さらに、各例に係る脱酸素剤包装体を包装容器内に投入し、概ね真空状態で密封した。その後、シリンジで空気500mlを包装容器内に注入した後再密封して、各例に係る食品包装体を得た。これにより、包装容器内の水分活性は0.95となった。水分活性とは、系内の水分に占める自由水の割合を示しており、水分活性0.95は、チーズ、ハム、ソーセージ等の高水分食品が収納された状態を模擬している。
(酸素濃度測定)
各例の食品包装体を25℃の雰囲気下に放置した。15時間経過後および24時間経過後に、ニードル式酸素濃度計を用いて内部の酸素濃度を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0007571393000001
表1に示されるように、造粒物に疎水化度15%以下の無機微粒子を付着させた各実施例は、疎水化度15%以上の無機微粒子を付着させた比較例2、3と比べて高い酸素吸収性能が得られ、食品包装体においてカビや菌等の繁殖等を好適に防ぐ目安である、「作製後24時間で酸素濃度0.1%未満」の条件をクリアした。
無機微粒子を付着させなかった比較例1では酸素吸収性能が得られなかった。無機微粒子の疎水化度が大きい比較例2および3では、実施例1から9と同等の量の無機微粒子が付着しているにもかかわらず酸素吸収性能は低く、比較例3の酸素吸収性能は、無機微粒子のない比較例1と同程度であった。
無機微粒子のpHが3.6である実施例4では、他の実施例と比べて酸素吸収性能が若干低かった。このことより、無機微粒子のpHは4.0から9.0の範囲内にあれば、安定した酸素吸収性能が得られることが示された。中でも、pHは5.5から8.0程度が最も良好であった。
無機微粒子の付着量を変更した実施例10から12の結果より、付着量が15質量部程度まで増加しても酸素吸収性能は大きく低下しないことが確認された。付着量が増加することによるメリットは特に認められなかったため、付着量は1質量部以上15質量部以下で良いと考えられた。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
本発明は、食品等の保存性を向上させる脱酸素剤包装体及び食品包装体に利用できる。
1 脱酸素剤包装体
10 包材
20 脱酸素剤

Claims (6)

  1. 多孔質の担持体と、前記担持体に担持された酸素吸収組成物とを含む造粒物の表面に無機微粒子が付着した脱酸素剤であって、
    前記酸素吸収組成物は、酸素吸収性物質を含む液剤、アルカリ性化合物、および遷移金属化合物を含み、
    前記無機微粒子のメタノール疎水化度が15%以下であり、
    前記無機微粒子のpHが8.0以上9.0以下である、
    脱酸素剤。
  2. 前記無機微粒子の量が、前記造粒物100質量部に対して1~15質量部である、
    請求項1に記載の脱酸素剤。
  3. 前記脱酸素剤の質量が、1個あたり0.3~10.0mgである、
    請求項1に記載の脱酸素剤。
  4. 前記無機微粒子は、前記造粒物の表面を覆う厚み1mm以下の層を形成している、
    請求項1に記載の脱酸素剤。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の脱酸素剤が通気性の包材に収納されている、
    脱酸素剤包装体。
  6. 請求項5に記載の脱酸素剤包装体と、
    前記脱酸素剤包装体および食品が封入された包装容器と、
    を備える、
    食品包装体。
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