JP7570124B2 - 電極材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
<1> メソポーラスカーボンと、前記メソポーラスカーボンの細孔内表面及び細孔外表面のうち少なくとも細孔内表面に固着した電子伝導性酸化物とからなる多孔質複合担体と、前記多孔質複合担体に担持された電極触媒粒子と、を含み、前記電極触媒粒子の一部又は全部が、前記メソポーラスカーボンの細孔内に、前記電子伝導性酸化物を介して担持されてなる電極材料。
<2> 前記メソポーラスカーボンが、メソ孔領域の細孔同士が連通した構造を有する<1>に記載の電極材料。
<3> 前記メソポーラスカーボンの細孔径が3nm以上40nm以下である<1>または<2>に記載の電極材料。
<4> 前記電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である<1>から<3>のいずれかに記載の電極材料。
<5> 前記電子伝導性酸化物が、ニオブドープ酸化スズからなる<1>から<4>のいずれかに記載の電極材料。
<6> 前記メソポーラスカーボンの細孔内表面に固着した電子伝導性酸化物の粒径が、0.5nm以上3nm以下である<1>から<5>のいずれかに記載の電極材料。
<7> 前記電極触媒粒子が、PtまたはPtを含む合金からなる粒子である<1>から<6>のいずれかに記載の電極材料。
<8> <1>から<7>のいずれかに記載の電極材料とプロトン伝導性電解質材料とを含むことを特徴とする燃料電池用電極。
<9> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードまたはカソードのいずれか一方又は両方が、<8>に記載の燃料電池用電極である膜電極接合体。
<10> <9>に記載の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池。
以下の工程(1)~(4)を含む製造方法。
工程(1):炭素担体であるメソポーラスカーボンと電子伝導性酸化物前駆体のアルコキシド化合物とを非水有機溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去して乾燥させる工程
工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を、水蒸気処理することによって、電子伝導性酸化物前駆体を分解し、次いで熱処理を行うことで表面に電子伝導性酸化物が固着した多孔質複合担体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた多孔質複合担体と電極触媒前駆体を含む溶液を均一になるまで混合した後に、溶媒を留去して乾燥物を得る工程
工程(4):工程(3)で得られた乾燥物を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程
<2a> 前記メソポーラスカーボンが、メソ孔領域の細孔の一部又は全部が隣接するメソ孔領域の細孔と相互に連通している連通孔を有する<1a>に記載の電極材料の製造方法。
<3a> 前記メソポーラスカーボンの細孔径が3nm以上40nm以下である<1a>または<2a>に記載の電極材料の製造方法。
<4a> 前記電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である<1a>から<3a>のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
<5a> 前記電子伝導性酸化物が、ニオブドープ酸化スズからなる<4a>に記載の電極材料の製造方法。
<6a> 前記電極触媒粒子が、PtまたはPtを含む合金からなる粒子である<1a>から<5a>に記載の電極材料の製造方法。
本発明の電極材料は、メソ孔領域の細孔を有するメソポーラスカーボンと、前記メソポーラスカーボンの細孔内表面及び細孔外表面のうち少なくとも細孔内表面に固着した電子伝導性酸化物とからなる多孔質複合担体と、前記多孔質複合担体に担持された電極触媒粒子と、を含み、前記電極触媒粒子の一部又は全部が、前記メソポーラスカーボンの細孔内に、前記電子伝導性酸化物を介して担持されてなることを特徴とする。
図1に示すように、本実施形態の電極材料1では、電子伝導性酸化物3aは、メソポーラスカーボン2におけるメソ孔領域の細孔の内表面2aに固着している。また、本実施形態の電極材料1では、電子伝導性酸化物3aは、メソポーラスカーボン2の外表面にも固着されているが、外表面の電子伝導性酸化物は必ずしも必須ではない。
なお、PEFCのカソード条件とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温~150℃程度、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、アノード条件とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温~150℃程度、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。
ここで、電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする酸化物である場合には、本発明の燃料電池用電極をカソードとして使用することが好ましい。
元素としてスズ(Sn)は、PEFCのカソード条件で、酸化物であるSnO2が熱力学的に安定であり酸化分解が起こらない。また、酸化スズは、十分な電子伝導性を有し、電極触媒粒子(特には貴金属粒子)を高分散で担持が可能な担体となる。
電極触媒粒子3bは、電子伝導性酸化物3aに選択的に分散担持されている。ここで「電子伝導性酸化物に選択的に分散担持」とは、全ての電極触媒粒子(個数)のうち、80%以上、好適には90%以上、より好適には95%以上(100%を含む)が、電子伝導性酸化物に担持されていることを意味する。電子伝導性酸化物に担持された電極触媒粒子の割合は、評価対象となる電極材料を電子顕微鏡で観察した任意の電極触媒粒子(100個以上)を選出し、そのうち、電子伝導性酸化物に担持された個数と、メソポーラスカーボンに担持された個数とをカウントすることにより、評価することができる。
前記担持量が3質量%未満の場合は、電極反応活性が不十分であり、40質量%超の場合は電極触媒粒子の凝集が起こりやすく、酸素や水素の電気化学反応に対する有効表面積が低下するという問題がある。なお、電極触媒粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって調べることができる。
上述した本発明の電極材料の製造方法は特に限定されず、電極材料を構成するメソポーラスカーボン、電子伝導性酸化物、電極触媒粒子の種類に応じて適宜好適な方法を選択すればよく、通常、メソポーラスカーボンに電子伝導性酸化物を担持した後に、電子伝導性酸化物に電極触媒粒子を担持する方法が採用される。
工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を、水蒸気処理することによって、電子伝導性酸化物前駆体を分解し、次いで熱処理を行うことで表面に電子伝導性酸化物が固着した多孔質複合担体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた多孔質複合担体と電極触媒前駆体を含む溶液を均一になるまで混合した後に、溶媒を留去して乾燥物を得る工程
工程(4):工程(3)で得られた乾燥物を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程
炭素担体であるメソポーラスカーボンは、上述のようにメソ孔領域の細孔(径が2nm~50nm)を有し、この細孔内には水系溶媒は侵入しがたいが、非水系有機溶媒を使用することによりアルコキシド化合物を細孔内に侵入させることができる。
そのため、電子伝導性酸化物前駆体としてアルコキシド化合物を使用し、これをメソポーラスカーボンと共に非水有機溶媒に溶解させて混合し、非水系有機溶媒を留去することのよってアルコキシド化合物をメソポーラスカーボンの表面(特には細孔内表面)に吸着させた状態で乾燥させることができる。
例えば、電子伝導性酸化物が、Sn酸化物である場合には、アルコキシド化合物として、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、スズメトキシエトキシドおよびスズエトキシエトキシドを使用することができる。この中でも、スズエトキシドが好適である。
例えば、目的とする電子伝導性酸化物が、ニオブ酸化物を含有するSn酸化物である場合には、上記スズアルコキシド化合物と共に、ニオブアルコキシド化合物を使用すればよい。
ニオブアルコキシド化合物としては、ニオブメトキシド、ニオブエトキシド、ニオブプロポキシド、ニオブブトキシド、ニオブメトキシエトキシドおよびニオブエトキシエトキシドを使用することができる。この中でも、ニオブエトキシドが好適である。
非水系有機溶媒は、実質的に水を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に水を含有しない」とは、親水性の溶媒などに含有される不純物としての微量の水の存在までも除外するものではなく、当業者が工業上行う通常の努力によって溶媒中の水分割合を可及的に少なくした場合を包含する。
水蒸気処理に使用されるガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスであり、通常、窒素である。
Sn酸化物の場合、熱処理温度は350℃以上であり、好適には400℃以上、より好適には500℃以上である。上限温度は700℃以下、好適には650℃以下である。
アセチルアセトナート法では、電極触媒のアセチルアセトナート化合物をジクロロメタンなどの適当な溶媒に溶解させた溶液に多孔質複合担体を分散し、それを撹拌及び溶媒の留去を行うことにより、電極触媒前駆体の担持が行うことができる、この方法では塩素や硫黄といった不純物が混入することを回避でき、ナノサイズの粒径分布の揃った電極触媒粒子を高分散に担持することができる。また、溶液中に強い酸化剤や還元剤を用いることがないため、多孔質複合担体を構成する電子伝導性酸化物や炭素担体であるメソポーラスカーボンが劣化することを回避できるという利点がある。
工程(3)で得られた乾燥物は、工程(4)により、多孔質複合担体に担持された電極触媒粒子体は、不定比の金属酸化物を含むことがあり、そのままでは活性が低いため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気、あるいは水素を含有する還元性雰囲気中で熱処理することで電極触媒となる金属の有する電気化学触媒作用を活性化する。
本発明の電極は、上述の本発明の電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含む。本発明の電極において、本発明の電極材料が互いに接触して導電パスを形成している。
例えば、上述の電極材料に含まれるメソポーラスカーボン以外の導電材(以下、「他の導電材」と記載する。)を含んでいてもよい。他の導電補助材を含むことにより、電極材料をつなぐ導電パスが増加し、電極全体としての導電性が向上する場合がある。
なお、本発明の電極材料を含む電極は、酸素の還元、水素の酸化に対する優れた電気化学的触媒活性を有するため、カソード及びアノードとして使用することができる。特に、上記(反応2)で示される酸素の還元電気化学的触媒活性に優れ、燃料電池の運転条件で担体である導電性材料の電気化学的酸化分解が起こらないことから、特にカソードとして好適に使用することができる。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方が、上記本発明の電極であることを特徴とする。
図2は本発明の実施形態に係る膜電極接合体の断面構造を模式的に示したものである。図2に示すように膜電極接合体10は、カソード4及びアノード5が固体高分子電解質膜6に対面して配置された構造を有する。
電極触媒層4aは、上述の通り、本発明の電極(電子伝導性酸化物:酸化スズを主体とする酸化物)を用いているため、詳細な説明は省略する。なお、アノード5として本発明の電極を使用した場合には、カソード4としてその他の公知のカソードも使用できる。
例えば、上記実施の形態ではカソードのみに本発明の電極を採用しているが、電子伝導性酸化物として酸化スズを主体とする酸化物に代えて、アノード条件で安定な酸化物にすることによって、本発明の電極をアノードにも用いることもできる。
本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)は、本発明の膜電極接合体を備えてなり、通常、膜電極接合体をガス流路が形成されたセパレータで挟持した構造を有する。
このアノードとカソードの電気化学反応によって両電極間に電位差を発生させる。本発明の固体高分子形燃料電池において、本発明の膜電極接合体以外の構成要素は、公知の固体高分子形燃料電池と同様であるため、詳細な説明を省略する。
実際には、本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)が発電性能に応じた基数だけ積層された燃料電池スタックが形成され、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより使用される。
実施例の電極材料として、以下の実施例1,2の電極材料を製造した。
<多孔質炭素>
多孔質炭素として、下記メソポーラスカーボン(MC)(東洋炭素(株)製、「多孔質炭素CNovel MJ(4)010(グレード名)」)を使用した。
設計細孔径:10nm
比表面積:1100m2/g
全細孔容積:2.0mL/g
ミクロ孔容積:0.4mL/g
粒径:100mesh pass(粉砕して使用)
<電子伝導性酸化物前駆体化合物>
Sn原料化合物として、スズエトキシド(Sn(OC2H5)4)(strem chemicals INC)、Nb原料化合物として、ニオブエトキシド(Nb(OC2H5)5)(Sigma Aldrich)を使用した。
<貴金属前駆体化合物>
貴金属前駆体化合物として、Ptアセチルアセトナート(Pt(C5H7O2)2、Platinum(II) acetylacetonate,97%,Sigma Aldrich)を使用した。なお、Ptアセチルアセトナートを、以下、Pt前駆体(Pt(acac)2)と記載する場合がある。
図4に示すフローチャートのとおり、水蒸気加水分解法によって実施例の電極材料(電極触媒未担持)を作製した。
まず、担体骨格材である上記メソポーラスカーボン(MC)200mgを、ボールミルで、1μm程度の粒径になるまで粉砕を施した後、有機溶媒(容積比2:1のアセチルアセトンとトルエンの混合液)に分散させて、MCを含む分散液を得た。次いで、金属エトキシド試薬(スズエトキシド750mg、及びニオブエトキシド128mg)を、Sn:Nb=90:10(mol比)になるように混合有機溶媒に溶解した金属エトキシド溶液を準備し、この金属エトキシド溶液を、MCを含む分散液に加え、溶媒総量は45mLになるよう調製してから、超音波撹拌をしながら減圧し、有機溶媒を蒸発させることで、MC表面(細孔内表面及び外表面)に金属エトキシド試薬を均一に吸着させた乾燥粉末を得た。
得られた乾燥粉末を粉砕後、150℃の水蒸気雰囲気(3%加湿N2雰囲気)中で3時間保持することで金属エトキシド試薬の水蒸気加水分解を進行させたのち、300℃に昇温して更に3時間保持し、ニオブドーブ酸化スズ(Sn0.9Nb0.1O2)を結晶化(XRDにて確認)させた。その後、自然冷却で室温に戻すことによって実施例1の電極材料(電極触媒未担持、「Sn0.9Nb0.1O2/MC」)を得た。
ナスフラスコに、ニオブドーブ酸化スズを担持したMCからなる実施例1の電極材料(電極触媒未担持)およびPt前駆体を加え、さらにジクロロメタンを加え溶解させた。次いで、ナスフラスコを氷冷しながら、超音波撹拌装置にて、溶媒が全て揮発するまで撹拌して、乾燥粉末を得た。次いで、得られた乾燥粉末をN2雰囲気下で、210℃で3時間、240℃で3時間還元処理を施すことで、実施例1の電極材料(Pt/Sn0.9Nb0.1O2/MC)を得た。
金属エトキシド溶液を、Sn:Nb=98:2(mol比)になるように調製し、金属エトキシド試薬を吸着させた乾燥粉末の加熱温度を400℃(実施例1:300℃)にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電極材料(Pt担持、「Pt/Sn0.98Nb0.02O2/MC」)を得た。なお、実施例2の電極材料において、結晶のニオブドーブ酸化スズ(Sn0.98Nb0.02O2)が形成されていた(XRDにて確認)。
比較例として、金属エトキシド溶液を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の電極材料(Pt/MC)を得た。
2-1.微細構造観察
(1)電極材料(電極触媒未担持)
図5に実施例1の電極材料(電極触媒未担持)のFESEM像及びSTEM像(top view)を示す。また、図6(a)に実施例2の電極材料(電極触媒未担持)のFESEM像(top view)、図6(b)に図6(a)の点線部分の領域(メソ孔に相当)の拡大写真を示す。
図5,図6(a)のとおり、実施例1の電極材料、実施例2の電極材料について、MC外表面に2~5nmの粒子状のSn(Nb)O2が固着されていることが確認された。
また、図6(a)の点線部分の領域を拡大し、メソ孔内部を観察すると、メソ孔の内表面を被覆するように粒径2nm程度(粒径3nm以下)のSn(Nb)O2が確認された。図7にMCの細孔(メソ孔)の内部の粒子状のSn(Nb)O2のイメージ図を示す。
図8に実施例1の電極材料(Pt/Sn0.9Nb0.1O2/MC)、図9に比較例1の電極材料(Pt/MC)のFESEM像及びSTEM像(top view)を示す。図8から、実施例1の電極材料ではPt微粒子がSn(Nb)O2を介してMCに分散担持されていることが確認された。また、図9から、比較例1の電極材料では、Pt微粒子が直接MCに担持されていることが確認された。
図10(a)に示す実施例2の電極材料の外表面では、粒子状のSn(Nb)O2に、Pt微粒子(粒径2~3nm)が担持されていることが確認された。また、図10(b)に示す実施例2の電極材料のメソ孔(約10nm)内においても、Sn(Nb)O2の上に、Pt微粒子が担持されていることが確認された。
3-1.サイクリックボルタンメトリー(CV)の評価
実施例1及び比較例1の電極材料について、サイクリックボルタンメトリー(CV)による評価を行った。CVから求めた水素吸着量から電気化学的表面積(ECSA)を算出した。なお、ECSAは、電極材料に含まれるPtの有効表面積に相当する。
まず、超純水19mLと2-プロパノール6mLの混合溶液を、電極材料粉末の入ったサンプル瓶に加え、続けて5%Nafion分散液100μLを加えた後、氷水にサンプル瓶を浸した状態で超音波撹拌を30分間行って電極材料分散液とした。なお、電極材料粉末の量は、電極上に電極材料の分散液10μLを滴下した際に、電極上の単位面積当たりのPt質量が17.3μg-Pt・cm-2となるようにした。調製した電極材料分散液10μLを、マイクロピペットを用いてAuディスク電極上に滴下し、恒温器に入れて60℃で約15分間乾燥を行うことで、Nafion膜を形成させて電極材料をAu電極上に固定し、評価用の燃料電池電極(作用極)を得た。
測定:三電極式セル(作用極:評価用の燃料電池電極、対極:Pt、参照極:Ag/AgCl)
電解液:0.1M HClO4(pH:約1)
測定電位範囲:0.05~1.2V(可逆水素電極基準)
走査速度 :50 mV/s
水素吸着量:0.05~0.4Vの水素吸着を示すピーク面積から算出
電気化学的表面積(ECSA):下記式より算出
ECSA=(水素吸着量)[μC] / 210[μC/cm2]
さらに、実施例1の電極材料(Pt/Sn0.9Nb0.1O2/MC)は、電子伝導性酸化物を有さない比較例1の電極材料(Pt/MC)と比較して、水素吸着量が多く、電気化学的表面積(ECSA)が大きいことが確認された(ECSA 実施例1:112m2/g、比較例1:79.5m2/g)。
実施例1及び比較例1の電極材料について、ORR活性を評価した。
ORR活性は、回転ディスク電極法(RDE法)でリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行い、得られる活性化支配電流(ik)を基に算出するMass activity(単位Pt質量当たりの活性)を指標とした。
Mass activity = ik / 電極上のPt質量
活性化支配電流(ik)は、回転電極測定によって得られた電流-電位曲線について、任意の電位においてi-1とω-1/2でプロットして得られるKoutecky-Levichプロットを作成し、得られた直線を外挿することによって切片から求めた。
具体的な手順として、まず、O2を50mL/分で30分間バブリングした後、0.2VRHEから貴な方向に向けて10mV/sで1.20VRHEまで電位を走査し、測定を行った。なお、測定中は常にO2を50mL/分でパージした。なお、VRHEは可逆水素電極(RHE)基準の電位である。
実施例1及び比較例1の電極材料について燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)が推奨する方法(固体高分子形燃料電池の目標・研究開発課題と評価方法の提案、平成23年1月発行)で起動停止サイクル試験を行った。起動停止サイクル試験は、カーボン腐食を促進させるサイクル試験であり、具体的には図13に示す1.0~1.5VRHEの短形波を、1サイクル当たり2秒印加することを繰り返し、サイクル試験後の電極触媒の劣化挙動をECSA変化として評価する。
図14からわかるように、比較例1の電極材料(Pt/MC)を使用した電極は、起動停止サイクル試験直後からECSAが大きく減少し、1万サイクルで初期値の50%程度となり、2万サイクルまで試験を継続できなかった(ECSA維持率はほぼ0)。これに対し、実施例1の電極材料(Pt/Sn0.9Nb0.1O2/MC)を使用した電極では、ECSAの減少が緩やかであり、6万サイクルでも、初期値の30%程度を保持できることが確認された。
以上の結果から、実施例1の電極材料におけるPt粒子は、サイクル試験を進めても、電子伝導性酸化物(Sn(Nb)O2)を介してMC表面(細孔内表面及び外表面)に高分散担持された状態を保持しているのに対し、電子伝導性酸化物を有さない比較例1の電極材料(Pt/MC)では、サイクル試験の進行に伴い、Pt粒子が脱離・凝集したことに起因していることが確認された。
2 多孔質炭素(メソポーラスカーボン)
2a 細孔内表面
2b 外表面
3a 電子伝導性酸化物
3b 電極触媒粒子
4 電極(カソード)
4a カソード電極層
4b ガス拡散層
5 電極(アノード)
5a アノード電極層
5b ガス拡散層
6 固体高分子電解質膜
10 膜電極接合体(MEA)
20 固体高分子形燃料電池
21 外部回路
P 細孔(メソ孔)
Claims (6)
- メソポーラスカーボンと、前記メソポーラスカーボンの細孔内表面及び細孔外表面のうち少なくとも細孔内表面に固着した電子伝導性酸化物とからなる多孔質複合担体と、前記多孔質複合担体に担持された電極触媒粒子と、を含み、前記電極触媒粒子の一部又は全部が、前記メソポーラスカーボンの細孔内に、前記電子伝導性酸化物を介して担持されてなる電極材料の製造方法であって、
以下の工程(1)~(4)を含むことを特徴とする製造方法。
工程(1):炭素担体であるメソポーラスカーボンと電子伝導性酸化物前駆体のアルコキシド化合物とを非水有機溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去して乾燥させる工程
工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を、水蒸気処理することによって、電子伝導性酸化物前駆体を分解し、次いで熱処理を行うことで表面に電子伝導性酸化物が固着した多孔質複合担体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた多孔質複合担体と電極触媒前駆体を含む溶液を均一になるまで混合した後に、溶媒を留去して乾燥物を得る工程
工程(4):工程(3)で得られた乾燥物を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程 - 前記メソポーラスカーボンが、メソ孔領域の細孔の一部又は全部が隣接するメソ孔領域の細孔と相互に連通している連通孔を有する請求項1に記載の電極材料の製造方法。
- 前記メソポーラスカーボンの細孔径が3nm以上40nm以下である請求項2に記載の電極材料の製造方法。
- 前記電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である請求項1に記載の電極材料の製造方法。
- 前記電子伝導性酸化物が、ニオブドープ酸化スズからなる請求項4に記載の電極材料の製造方法。
- 前記電極触媒粒子が、PtまたはPtを含む合金からなる粒子である請求項1から5のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
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