JP7498147B2 - アピキサバンの精製方法 - Google Patents
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Description
本発明は、アピキサバンの新規な精製方法に関する。
下記化学式:
で示される化学名:1-(4-メトキシフェニル)-7-オキソ-6-[4-(2-オキソピペリジン-1-イル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-3-カルボキサミドを有するアピキサバン(INN)は、経口活性化血液凝固第X因子(FXa)阻害剤として、臨床的にエリキュース(登録商標)錠の名称で、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制に使用されている薬物である(非特許文献1)。
アピキサバン原薬中には、その製造方法に起因して、下式で示すメチルエステル体、エチルエステル体、カルボン酸体:
が不純物として含有されている。
そのため、アピキサバンの精製方法が提案されており、例えば、炭素数が1から4の低級アルコール、アセトン、DMFまたはDMSO中で、塩基として、トリエチルアミン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウムを加えて再結晶することにより、これら不純物が低減されることを報告されている(特許文献1)。
そのため、アピキサバンの精製方法が提案されており、例えば、炭素数が1から4の低級アルコール、アセトン、DMFまたはDMSO中で、塩基として、トリエチルアミン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウムを加えて再結晶することにより、これら不純物が低減されることを報告されている(特許文献1)。
具体的には、下記表1に上記特許文献に記載されている再結晶の結果を示した(なお、再結晶前のアピキサバンの品質(純度)に関する情報は、当該文献から読み取れない)。
しかしながら、アピキサバンは難溶性の原薬であるため、上記方法では大量の再結晶溶媒を必要とし、また再結晶収率も低く、メチルエステル体、エチルエステル体、カルボン酸体等の類縁物質の除去性も十分ではないため、工業的な精製方法としては好ましいものではない。
したがって、類縁物質の除去性が高く、工業的に応用できるアピキサバンの精製方法が求められているのが現状である。
したがって、類縁物質の除去性が高く、工業的に応用できるアピキサバンの精製方法が求められているのが現状である。
エリキュース(登録商標)錠 インタビューフォーム 2020年1月改訂(第10版)
本発明は、これら先行技術に鑑み、アピキサバンについて、類縁物質の除去性が高く、再結晶収率がよく、工業的に応用し得る精製方法を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するべく、本発明者らは、アピキサバンの再結晶による精製方法について種々検討した結果、アピキサバンの再結晶溶媒としてアセトニトリル及び水の混合溶媒を使用し、塩基を加えて再結晶することで、類縁物質を効率的に除去し、収率よくアピキサバンを精製し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かかる課題を解決するべく、本発明者らは、アピキサバンの再結晶による精製方法について種々検討した結果、アピキサバンの再結晶溶媒としてアセトニトリル及び水の混合溶媒を使用し、塩基を加えて再結晶することで、類縁物質を効率的に除去し、収率よくアピキサバンを精製し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は、以下の態様に基づくものである。
(1)アピキサバンをアセトニトリル及び水の混合溶媒中、塩基を加えて再結晶することを特徴とするアピキサバンの精製方法、
(2)塩基として、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、アンモニア水またはトリエチルアミンより選択される塩基を使用する上記(1)に記載のアピキサバンの精製方法、
(3)塩基の添加当量が、アピキサバンに対して0.01~0.5当量である上記(1)または(2)に記載のアピキサバンの精製方法。
(1)アピキサバンをアセトニトリル及び水の混合溶媒中、塩基を加えて再結晶することを特徴とするアピキサバンの精製方法、
(2)塩基として、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、アンモニア水またはトリエチルアミンより選択される塩基を使用する上記(1)に記載のアピキサバンの精製方法、
(3)塩基の添加当量が、アピキサバンに対して0.01~0.5当量である上記(1)または(2)に記載のアピキサバンの精製方法。
本発明により、多量の再結晶溶媒を使用することなく、高品質かつ高収率でアピキサバンを得ることが可能となり、生産性が高く、工業的に応用し得るアピキサバンの精製方法が提供される。
本発明の精製方法で得られたアピキサバンは、更に含水エタノールなどで再結晶することにより、医薬品として用いるのに申し分のない、高品質のアピキサバンを得ることができるものであり、その効果は多大なものである。
本発明の精製方法で得られたアピキサバンは、更に含水エタノールなどで再結晶することにより、医薬品として用いるのに申し分のない、高品質のアピキサバンを得ることができるものであり、その効果は多大なものである。
以下に、本発明者らが検討した試験例の詳細を記すことにより、本発明をさらに詳細に説明していく。
なお、本発明の検討に使用した製造後のアピキサバン粗製物の純度を、下記表2に示した。エチルエステル体は未検出であった。
ところで、アピキサバン粗製物中に残存する不純物の一つであるカルボン酸体は、塩基を使用しない再結晶では精製効果が低い。また、アピキサバンは難溶性の原薬であり、何れの溶媒に対しても溶解度が低いため、再結晶での精製では、使用溶媒量が多くなる。
その点を確認するため、最初に、特許文献1に記載される再結晶を検討した。
その結果、再結晶溶媒として大量の溶媒を使用せざるを得ず、また、得られるアピキサバンの再結晶収率も極めて低い上、類縁物質の除去性も低いものであった。
特許文献1には、再結晶溶媒として、炭素数が1から4の低級アルコール、アセトン、DMFおよびDMSOのみが開示されている。そこで、再結晶溶媒を変更することによるアピキサバンの精製を検討した。
その点を確認するため、最初に、特許文献1に記載される再結晶を検討した。
その結果、再結晶溶媒として大量の溶媒を使用せざるを得ず、また、得られるアピキサバンの再結晶収率も極めて低い上、類縁物質の除去性も低いものであった。
特許文献1には、再結晶溶媒として、炭素数が1から4の低級アルコール、アセトン、DMFおよびDMSOのみが開示されている。そこで、再結晶溶媒を変更することによるアピキサバンの精製を検討した。
以下に、実施例に代えて、本発明者らが検討した試験例の詳細を記載する。
試験例1:再結晶溶媒の検討
アピキサバン粗製物(3g)を下記表3に示す溶媒および炭酸カリウム(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。その結果を、塩基を添加しない例も含め、下記表3中にまとめて示した。
アピキサバン粗製物(3g)を下記表3に示す溶媒および炭酸カリウム(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。その結果を、塩基を添加しない例も含め、下記表3中にまとめて示した。
表中の結果から、その収率、純度および使用溶媒量の観点からみて、アセトニトリル/水の混合溶媒が好ましいことが判明した。
すなわち、精製効果が高い溶媒としては、アセトニトリル/水の混合溶媒、或いはアセトン/水の混合溶媒が挙げられるが、収率の面でアセトニトリル/水の混合溶媒が優れている。そのほかの溶媒では、カルボン酸体の除去効果が劣るものであった。
なお、トルエンと酢酸エチルについては、アピキサバンが溶解しないため、スラリー洗浄による結果を示した。
また、塩基を加えない場合、メチルエステル体およびカルボン酸体の除去率が低下することが判明した。
よって、精製効果と収率、生産性の面で最も優れている精製条件は、アセトニトリル/水の混合溶媒中で塩基を使用した条件であった。
アセトニトリル/水の混合溶媒については、先行特許文献1には開示も示唆もされていない。そこで、当該混合溶媒を使用し、塩基の検討を行った。
すなわち、精製効果が高い溶媒としては、アセトニトリル/水の混合溶媒、或いはアセトン/水の混合溶媒が挙げられるが、収率の面でアセトニトリル/水の混合溶媒が優れている。そのほかの溶媒では、カルボン酸体の除去効果が劣るものであった。
なお、トルエンと酢酸エチルについては、アピキサバンが溶解しないため、スラリー洗浄による結果を示した。
また、塩基を加えない場合、メチルエステル体およびカルボン酸体の除去率が低下することが判明した。
よって、精製効果と収率、生産性の面で最も優れている精製条件は、アセトニトリル/水の混合溶媒中で塩基を使用した条件であった。
アセトニトリル/水の混合溶媒については、先行特許文献1には開示も示唆もされていない。そこで、当該混合溶媒を使用し、塩基の検討を行った。
試験例2:各種塩基の添加効果(再結晶溶媒としてアセトニトリル/水混合溶媒を使用)
アピキサバン粗製物(3g)をアセトニトリル(15mL)と水(6mL)、下記表4に示す塩基(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
その結果を下記表4中に併せて示した。
アピキサバン粗製物(3g)をアセトニトリル(15mL)と水(6mL)、下記表4に示す塩基(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
その結果を下記表4中に併せて示した。
表中に示した結果から判明するように、アセトニトリル/水の混合溶媒中であれば、いずれの塩基を添加するかに関わらず、アピキサバンが良好に精製されていることが理解される。
したがって、添加する塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、アンモニア水またはトリエチルアミンより選択することができ、これらに限定されるものではないが、炭酸カリウムがより好ましいものである。
そこで、使用する塩基として、炭酸カリウムを選択し、その添加量について検討を加えた。
したがって、添加する塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、アンモニア水またはトリエチルアミンより選択することができ、これらに限定されるものではないが、炭酸カリウムがより好ましいものである。
そこで、使用する塩基として、炭酸カリウムを選択し、その添加量について検討を加えた。
試験例3:塩基の添加量の検討
アピキサバン粗製物(3g)をアセトニトリル(15mL)と水(6mL)、炭酸カリウム(0.01~0.5当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
その結果を、下記表5に示した。
アピキサバン粗製物(3g)をアセトニトリル(15mL)と水(6mL)、炭酸カリウム(0.01~0.5当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭(0.06g)を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水(30mL)を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水(6mL)とエタノール(6mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
その結果を、下記表5に示した。
以上の検討結果から、使用する塩基の量としては、0.01当量から0.5当量までの範囲であっても、いずれも良好な結果を与えたが、塩基の使用量の低減からみれば、その使用量として、0.01当量から0.1当量程度であるのが良い。
ところで、通常、アピキサバン粗製物中には不純物として、上記したメチルエステル体、エチルエステル体、カルボン酸体の3種類が含まれていることが知られている。
上記した精製方法の検討にあっては、アピキサバン粗製物ではエチルエステル体は未検出であった。そこで、前記した表2の純度を有する粗製物にエチルエステル体を添加し、以下の表6に示す純度の、メチルエステル体、エチルエステル体、カルボン酸体の3種類が不純物として含有されるアピキサバン粗製物を調製し、以下の検討に使用した。
上記した精製方法の検討にあっては、アピキサバン粗製物ではエチルエステル体は未検出であった。そこで、前記した表2の純度を有する粗製物にエチルエステル体を添加し、以下の表6に示す純度の、メチルエステル体、エチルエステル体、カルボン酸体の3種類が不純物として含有されるアピキサバン粗製物を調製し、以下の検討に使用した。
試験例4:アピキサバンの再結晶による精製
上記の表6に示す純度を有するアピキサバン粗製物を用い、アセトニトリル/水(5:2)の混合溶媒、炭酸カリウム(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水及びエタノールで洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
上記の表6に示す純度を有するアピキサバン粗製物を用い、アセトニトリル/水(5:2)の混合溶媒、炭酸カリウム(0.05当量)を加えて加熱攪拌した。溶解を確認した後、活性炭を加えて10分間加熱攪拌し、セライトろ過により活性炭を除いた。得られたろ液を再度加熱し、高温度で水を加えた。水を加え終わった後に、25℃まで冷却し、ろ過した。ろ過物を水及びエタノールで洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶として得た。
得られたアピキサバンの純度等は下記表7に示す通りであった。
表中の結果から判明するように、本発明の精製方法により収率よく、高純度でアピキサバンが精製されており、本発明の特異性がよく理解されるものであった。
なお、本発明方法の特異性をより理解するために、参考として、特許文献1に記載される溶媒としてメタノール/水の混合溶媒を用い、塩基として炭酸ナトリウムを添加した再結晶を、表2に記載する純度を有するアピキサバンを用いて検討した。
その検討内容を試験例5として以下に記載し、結果を表8として示した。
その検討内容を試験例5として以下に記載し、結果を表8として示した。
試験例5:アピキサバンの精製(特許文献1を参考)
メタノール(150mL)に炭酸ナトリウム(0.8g)を添加し、攪拌した。50℃に加熱し、pH7.5-8であることを確認した。アピキサバン粗製物(3g)を加えて、さらに加熱し、55℃-60℃まで昇温し、活性炭(0.06g)を加え、30分攪拌した後、熱時ろ過により活性炭を除いた。得られたろ液に水(150mL)を添加し、3時間攪拌して晶析させた。結晶をろ過した。ろ過物を40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶性の粉末として1.43g得た。収率は47.7%であった。類縁物質個々最大はカルボン酸体で0.059%(メチルエステル体:0.024%)、純度は99.807%であった。
メタノール(150mL)に炭酸ナトリウム(0.8g)を添加し、攪拌した。50℃に加熱し、pH7.5-8であることを確認した。アピキサバン粗製物(3g)を加えて、さらに加熱し、55℃-60℃まで昇温し、活性炭(0.06g)を加え、30分攪拌した後、熱時ろ過により活性炭を除いた。得られたろ液に水(150mL)を添加し、3時間攪拌して晶析させた。結晶をろ過した。ろ過物を40℃で減圧乾燥し、アピキサバンを白色結晶性の粉末として1.43g得た。収率は47.7%であった。類縁物質個々最大はカルボン酸体で0.059%(メチルエステル体:0.024%)、純度は99.807%であった。
上記から判明するように、再結晶溶媒として特許文献1に記載のメタノール/水混合溶媒を使用し、塩基として炭酸ナトリウムを添加した場合であっても、再結晶溶媒の使用量が多量(100倍量)なものであり、また、その再結晶収率も47.7%と低いものであった。
その点から、本発明のアピキサバンの精製方法は、精製効率、収率および使用溶媒量の面で、極めて特異的なものであることが理解される。
その点から、本発明のアピキサバンの精製方法は、精製効率、収率および使用溶媒量の面で、極めて特異的なものであることが理解される。
なお、上記の各試験例における反応率分析条件は、以下のとおりである。
<反応率分析条件>
高速液体クロマトグラフ:Shimazu LC-2010HT
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
カラム: InertSustain AQ-C18 250×4.6mm 5.0μm
カラム温度:30℃
移動相A:緩衝液800mLとアセトニトリル200mLの混液
移動相B:緩衝液200mLとアセトニトリル800mLの混液
緩衝液:リン酸二水素カリウム1.36gを水1000mLに溶解し、水酸化カリウム試液を加えてpH6.0に調整した溶液
グラジエントテーブル:
<反応率分析条件>
高速液体クロマトグラフ:Shimazu LC-2010HT
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
カラム: InertSustain AQ-C18 250×4.6mm 5.0μm
カラム温度:30℃
移動相A:緩衝液800mLとアセトニトリル200mLの混液
移動相B:緩衝液200mLとアセトニトリル800mLの混液
緩衝液:リン酸二水素カリウム1.36gを水1000mLに溶解し、水酸化カリウム試液を加えてpH6.0に調整した溶液
グラジエントテーブル:
流量:1.0mL/分
面積測定範囲:60分
試料注入量:10μL
サンプル希釈液:アセトニトリルと水が7:3の混液
サンプル濃度:0.5mgのアピキサバンをサンプル希釈液1mLに溶解
面積測定範囲:60分
試料注入量:10μL
サンプル希釈液:アセトニトリルと水が7:3の混液
サンプル濃度:0.5mgのアピキサバンをサンプル希釈液1mLに溶解
<上記した各試験例から本発明の特異性の理解>
以上の各試験例から判明するように、本発明は、アピキサバンの再結晶溶媒としてアセトニトリル及び水の混合溶媒を使用し、塩基を加えて再結晶することで、収率よくアピキサバンを高純度に精製し得るものである。
前記したように、アピキサバンは難溶性の原薬であり、再結晶による精製では使用する溶媒量が多くなる。先行文献である特許文献1に記載の精製方法では、メチルエステル体およびカルボン酸体の除去率が低い。一方、本発明の精製方法(表7)は、特許文献1に記載に準じた精製方法(表8)と比較して、メチルエステル体およびカルボン酸体をいずれも約1/4に低減できる点で極めて特異的なものである。
以上の各試験例から判明するように、本発明は、アピキサバンの再結晶溶媒としてアセトニトリル及び水の混合溶媒を使用し、塩基を加えて再結晶することで、収率よくアピキサバンを高純度に精製し得るものである。
前記したように、アピキサバンは難溶性の原薬であり、再結晶による精製では使用する溶媒量が多くなる。先行文献である特許文献1に記載の精製方法では、メチルエステル体およびカルボン酸体の除去率が低い。一方、本発明の精製方法(表7)は、特許文献1に記載に準じた精製方法(表8)と比較して、メチルエステル体およびカルボン酸体をいずれも約1/4に低減できる点で極めて特異的なものである。
さらに、本発明の精製方法はエチルエステル体に対する精製効果も高いものである。特許文献1に記載の精製方法では、50倍量のメタノールに炭酸ナトリウムとアピキサバンを加えて溶解し、50倍量の水を加えてアピキサバンを析出させており、使用溶媒量(合計100倍量)が多く、収率も低い(47.7%)ものである。
これに対して本発明の精製方法は、アセトニトリル/水の含水系でアピキサバンを溶解することで、20倍量以下に溶媒量を抑制することが可能となり、有機溶媒単独よりも含水系とすることにより、アピキサバンが溶解し易く、再結晶収率も90%以上と高いものである。
これに対して本発明の精製方法は、アセトニトリル/水の含水系でアピキサバンを溶解することで、20倍量以下に溶媒量を抑制することが可能となり、有機溶媒単独よりも含水系とすることにより、アピキサバンが溶解し易く、再結晶収率も90%以上と高いものである。
以上のとおり、本発明が提供する精製方法は、高品質かつ高収率でアピキサバンを精製し得ることが可能であり、生産性が高く工業的である。
また、本発明の精製方法で得られたアピキサバンは、さらに含水エタノールなどで再結晶することで医薬品として用いるには申し分のない高品質のアピキサバンを得ることができる点で、その産業上の利用性は多大なものである。
また、本発明の精製方法で得られたアピキサバンは、さらに含水エタノールなどで再結晶することで医薬品として用いるには申し分のない高品質のアピキサバンを得ることができる点で、その産業上の利用性は多大なものである。
Claims (3)
- アピキサバンをアセトニトリル及び水の混合溶媒中、塩基を加えて再結晶することを特徴とするアピキサバンの精製方法。
- 塩基として、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、アンモニア水またはトリエチルアミンより選択される塩基を使用する請求項1に記載のアピキサバンの精製方法。
- 塩基の添加当量が、アピキサバンに対して0.01~0.5当量である請求項1または2に記載のアピキサバンの精製方法。
Priority Applications (2)
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MEGAFINE PHARMA (P) LTD.,AN IMPROVED PROCESS FOR PREPARATION OF APIXABAN AND POLYMORPHS THEREOF,インド特許出願487/MUM/2015明細書,IN,2016年08月31日,IN 2015MU00487 A |
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