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JP4104319B2 - 光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性な医薬品の中間体として有用な光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割によって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸は、光学活性な医薬品や生理活性物質の有用な中間体である。例えば、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のニトロ基を還元して得られる光学活性イソセリンは、抗生物質イセパマイシンやブチロシンの構成成分である。また、特開平7−165678号公報に記載の方法によって、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸より誘導されるフェニルノルスタチンは、HIVプロテアーゼインヒビターKNI−227や免疫腑活抗がん剤べスタチンの有用な中間体である。
【0003】
従来、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の製造法としては、微生物によってラセミ体の2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸エステルを不斉加水分解する方法(特開平7−8291号公報)、不斉ニトロアルドール反応を利用した方法(Tetrahedron Letters,29,No18,2188頁(1988))が知られている。これらの製造方法は、前者においては加水分解反応が希薄な濃度で行われていること、また光学純度が低いこと、後者においては入手が困難な不斉誘導剤や高価な試薬を用いていることなどの問題点がある。
【0004】
また、光学活性イソセリンの製造法としては、L−β−マラミド酸より導く方法(Organic Reactions,3,284頁(1946))、リンゴ酸ジメチルエステルより導く方法(特開昭63−187687号公報)およびL−アスパラギンより導く方法(Agric.Biol.Chem.,40,1651頁(1976))などが知られている。これらの製造法に関しては、工程数が多いこと、製造目的とする鏡像体によっては原料が高価になることなどの問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から、光学分割により高い光学純度を有する光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を高収率かつ安価に製造する方法を提供することにある。さらには光学分割工程にラセミ化工程とを組み合わせることにより、高い光学純度を有する光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を高収率かつより安価に製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、工業的規模で安価に入手可能な光学活性フェニルエタノールアミン誘導体、好ましくは光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール(ノルエフェドリン)、又は光学活性2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールなどを光学分割剤として用い、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸とのジアステレオマー塩混合物を生成させ、このジアステレオマー塩混合物から製造目的とする立体を有する難溶性ジアステレオマー塩を分別晶出させて塩基で処理することにより、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を極めて効率的に製造できることを見出した。
【0007】
また、本発明者らは、上記分別晶出の母液に含まれるジアステレオマー塩混合物を直接塩基性化合物で処理することにより、あるいは該ジアステレオマー塩混合物の塩基処理により得られる2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体混合物を塩基性化合物で処理することによって、母液中の2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を効率的にラセミ化させることができ、上記工程によりラセミ化させた2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を上記光学分割の原料として用いることにより、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を高収率で製造できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と一般式(I):
【化2】
Figure 0004104319
(式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程を含む方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明により、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物;(−)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩;及び(+)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩が提供される。
【0010】
さらに、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸をラセミ化する方法であって、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を塩基性化合物で処理する工程を含む方法;及び光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸をラセミ化する方法であって、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩を塩基性化合物で処理する工程を含む方法が本発明により提供される。
【0011】
また、本発明により、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、下記の工程:
(1)(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を生成させる工程;
(2)上記ジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程;
(3)上記分別晶出の母液に含まれるジアステレオマー塩混合物を塩基で処理して得られる2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体混合物を塩基性化合物で処理して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得る工程;
(4)上記工程(3)で得られた(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を用いて工程(1)及び工程(2)を行う工程
を含む方法;並びに
(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、下記の工程:
(1)(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を生成させる工程;
(2)上記ジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程;
(3)上記晶出の母液に含まれるジアステレオマー塩混合物を塩基性化合物で処理して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得る工程;
(4)上記工程(3)で得られた(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を用いて工程(1)及び工程(2)を行う工程
を含む方法が提供される。
【0012】
さらに別の観点からは、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割するための光学分割剤であって、上記の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体からなる光学分割剤が本発明により提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸」の用語又は「ラセミ体」の用語は、光学対掌体の等量混合物であり旋光度が0°である2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のほか、一方の光学対掌体の少量を過剰に含む光学対掌体混合物を含めた概念として用いる。用語「ラセミ化」は上記のラセミ体を得るプロセスを意味する。また、本明細書において、「光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸」は実質的に光学的に純粋な形態の化合物を意味しているが、他方の光学対掌体を少量含む場合を含めて用いる。「光学活性フェニルエタノールアミン誘導体」についても同様に実質的に光学的に純粋な形態の化合物を意味しているが、他方の光学対掌体を少量含む場合を含めて用い、通常は(1R,2S)−体および(1S,2R)−体のうちのいずれか一方の光学対掌体を意味する。
【0014】
一般式(I)の光学活性フェニルエタノールアミン誘導体において、Rが示すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基などのC1−C6アルキル基を用いることができ、該アルキル基は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよい。該アルキル基は置換基を有していてもよい。また、Rが示すアリール基としては、フェニル基又はナフチル基などを挙げることができ、該アリール基は置換基を有していてもよい。Rとして特に好ましくはメチル基又はフェニル基を用いることができ、より具体的には、一般式(I)の光学活性フェニルエタノールアミン誘導体として、光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール又は光学活性2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールなどが特に好適に用いられる。
【0015】
本発明の光学分割に用いられる(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸は、グリオキシル酸とこれの約2当量の水酸化ナトリウムからなる水溶液にニトロメタンを滴下し、室温で攪拌することにより合成することができる。(J.Am.Chem.Soc.,75,5610頁,(1953))。反応液を酸性化した後、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮することによってラセミ体を得ることができる。
【0016】
本発明の(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を製造する方法は、光学活性フェニルエタノールアミン誘導体を光学分割剤として用いることを特徴としており、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程を含むことを特徴としている。光学分割は、典型的には、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を生成させる第1工程、該ジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる第2工程、上記第2工程により得られたジアステレオマー塩から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を遊離させる第3工程を含む方法により行われる。
【0017】
本発明に用いられる光学分割剤である上記一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体は市販のものを用いてよく、当業者が容易に入手できる。例えば、光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール又は光学活性2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールなどはいずれも市販されている。光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸がいずれの光学対掌体を製造目的とするかによって、経済的に有利な光学分割剤を選択できる。また、本発明の目的を効率的に達成するためには、なるべく光学純度の高い光学活性フェニルエタノールアミン誘導体を選択することが望ましい。
【0018】
ジアステレオマー塩混合物を生成させる反応は、通常は室温又は加熱下に行うことができ、例えば30℃〜80℃程度の温度では数時間で完了する。(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学分割剤の使用量は特に限定されないが、効率的に光学分割を行うためには、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸1モルに対して光学分割剤を0.5〜1.5モル程度用いるのが好ましい。上記の反応に使用する溶媒は特に限定されないが、例えば、水または水に可溶な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、ブタノ−ル、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、あるいは水と上記有機溶媒の混合物などを用いることができる。光学分割剤として光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコールを用いる場合には、反応溶媒として2−プロパノ−ル、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルが好ましく、光学活性2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールを用いる場合には、水、メタノール、エタノール、2−プロパノ−ル、アセトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0019】
上記のジアステレオマー塩混合物から、難溶性のジアステレオマー塩の結晶を通常の手段で分別晶出(分別結晶と呼ばれる場合もある)させることができる。さらに必要であれば、得られた難溶性のジアステレオマー塩を分別再結晶などの通常の精製に付することにより、光学純度の高い難溶性ジアステレオマー塩を析出させることができる。
【0020】
分別晶出又は分別再結晶は、周知の方法に従って行うことができる。例えば、溶媒として、水またはメタノール、エタノール、2−プロパノ−ルなどの低級脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、またはこれらの混合物を用いることができるが、これらに限定されることはない。溶媒の使用量は溶媒の種類、選択した光学分割剤の種類などにより異なるが、ジアステレオマー塩1モルあたり200ml〜10リットル程度、好ましくは400ml〜5リットル程度である。晶析温度は溶媒の種類や使用量、および光学分割剤の種類などによって異なるが、通常は0℃〜60℃であり、ジアステレオマー塩の回収率などの観点から40℃以下が好ましい。
【0021】
本発明の方法に従って、光学分割剤として光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコールを用いた場合、(1R,2S)−(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコールは、(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と難溶性のジアステレオマー塩を形成し、(1S,2R)−(+)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコールは、(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と難溶性のジアステレオマー塩を形成する。光学分割剤として光学活性2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールを用いた場合、(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールは(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と難溶性のジアステレオマー塩を形成し、(1S,2R)−(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールは(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と難溶性のジアステレオマー塩を形成する。
【0022】
所望の光学純度となった光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学活性フェニルエタノールアミン誘導体の難溶性ジアステレオマー塩を酸または塩基で処理することによって、光学分割剤を分離させ、光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を製造することができる。酸で処理する場合、この処理によって遊離した光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸は、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの適当な有機溶媒で抽出することができ、有機層を分離して常圧または減圧下で溶媒を留去することにより、目的とする光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を単離することができる。有機層と分離した水層は水酸化ナトリウムなどによってアルカリ性とし、イソプロピルエーテル、ジクロロメタンなどの適当な溶媒で抽出することによって、光学分割剤である光学活性フェニルエタノールアミン誘導体を回収することができる。
【0023】
また、該難溶性ジアステレオマー塩を酸で処理した後、減圧下で濃縮乾固し、得られた残渣にエチルエーテル、イソプロピルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、イソブチルケトンなどの有機溶媒を加えて光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を溶出させ、単離することもできる。濃縮乾固物に上記の有機溶媒を加えた後は、室温または加熱下に攪拌し、必要であれば冷却してからろ過することが望ましい。このろ液には目的とする光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸が溶解しており、濃縮することによって目的物を単離できる。ろ過の結晶性残分は光学分割剤と酸からなる塩であり、この形態で回収される。これらの処理に用いられる酸の種類は特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸などを挙げることができる。
【0024】
該難溶性ジアステレオマー塩を塩基で処理する場合、この処理によって遊離した光学分割剤である光学活性フェニルエタノールアミン誘導体は、イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、トルエンなどの適当な有機溶媒で抽出することができ、有機層を分離して常圧または減圧下で溶媒を留去することにより回収できる。この処理に用いられる塩基の種類は特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化化合物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物などを挙げることができる。特に好ましくは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを挙げることができる。
【0025】
目的とする光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸は、水層を塩酸、硫酸などの酸で酸性化した後、前記の酸による方法と同様な処理に付することによって単離することができる。すなわち、イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、酢酸エチルなどの適当な有機溶媒で水層を抽出して濃縮するか、水層を濃縮乾固した後、適当な有機溶媒で光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を溶出させて濃縮する方法である。なお、得られた光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学純度は、例えば、単離した光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸をメチルエステル化した後、光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで分析することによって容易に決定することが可能である。
【0026】
分別晶出の母液中には、目的物である少量の光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学分割剤のジアステレオマー塩、及び目的物とは異なる立体を有する過剰量の光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学分割剤のジアステレオマー塩が含まれる。このジアステレオマー塩混合物から下記の工程に従うラセミ化処理により(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得ることができ、このようにして得られたラセミ体を再び光学分割の原料として用いることができる。
【0027】
ラセミ化の第一の態様では、母液に含まれる上記ジアステレオマー塩混合物からを上記のように酸又は塩基により処理して2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体混合物を製造し、この光学対掌体混合物(この混合物には目的物とは異なる立体を有する過剰量の光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸が含まれる)を塩基性化合物で処理してラセミ化させることにより(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得る。ラセミ化処理に用いられる塩基性化合物の種類は特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化化合物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物などを挙げることができる。ラセミ化処理のための反応溶媒としては、水のほか、水及び水に可溶な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノ−ル、エチレングリコール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン又はそれらの混合物)の混合物を用いることができる。塩基性化合物と反応溶媒の組み合わせとしては、水酸化ナトリウムと水との組み合わせが好ましい。
【0028】
塩基性化合物の使用量は特に限定されないが、ラセミ化させるべき2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸1モルに対して1モルより多い量、好ましくは数モル程度である。溶媒の使用量は、溶媒の種類により異なるが、ラセミ化させるべき2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸1モルに対して100ml〜5リットル程度、好ましくは300ml〜3リットル程度である。反応温度は、塩基性化合物と溶媒の組み合わせによって異なるが、通常は0〜70℃であり、反応速度やラセミ体の回収率などの観点からは20℃〜60℃が好ましい。ラセミ化の反応時間は、反応条件の違いやラセミ化前の2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学純度(2種の光学対掌体の含有比率)によって異なるが、通常は数時間〜48時間程度である。
【0029】
ラセミ化の第二の態様では、2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体混合物を単離せずに、母液に含まれる上記ジアステレオマー塩混合物を単離して直接塩基性化合物による処理を行う。この方法では、分別晶出により得た母液を濃縮乾固してジアステレオマー塩混合物を得た後、この混合物に塩基性化合物を直接作用させることによって、ジアステレオマー塩の解離とラセミ化を同時に行うことができる。この態様のラセミ化における塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化化合物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物などを用いることができる。反応溶媒としては水を用いるか、または水及び水に可溶な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノ−ル、エチレングリコール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又はそれらの混合物)の混合物を用いることができる。これらの塩基性化合物と反応溶媒の組み合わせとしては、水酸化ナトリウムと含水エタノールの組み合わせが好ましい。
【0030】
塩基性化合物の使用量は特に限定されないが、ラセミ化させるべき2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のジアステレオマー塩1モルに対して1モルより多い量、好ましくは数モル程度である。溶媒の使用量は、溶媒の種類やジアステレオマー塩を形成する光学分割剤の種類により異なるが、ラセミ化させるべき2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のジアステレオマー塩1モルに対して200ml〜10リットル程度、好ましくは300ml〜5リットル程度である。反応温度は、塩基性化合物と溶媒の組み合わせによって異なるが、通常は0〜70℃であり、反応速度やラセミ体の回収率などの観点からは20℃〜60℃が好ましい。ラセミ化の反応時間は、反応条件の違いやラセミ化前のジアステレオマー塩に含まれる2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学純度によって異なるが、通常は数時間〜48時間程度である。
【0031】
塩基性化合物で処理されたラセミ化の反応液からは、上記のいずれの態様においても、上記に説明した塩基処理と同様の方法により(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を単離することができる。すなわち、2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体を単離してラセミ化を行った場合は、ラセミ化の反応液を塩酸、硫酸などの酸で酸性化した後、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの適当な有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮することによって(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を単離することができる。分割母液を濃縮乾固して得られたジアステレオマー塩を用いてラセミ化を行った場合は、ラセミ化の後に、遊離の光学分割剤をイソプロピルエーテル、ジクロロメタン、トルエンなどの適当な有機溶媒で抽出して分離し、水層を塩酸、硫酸などの酸で酸性化した後、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの適当な有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮することによって(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を単離することができる。
【0032】
上記処理により得られた2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸がラセミ体であることは、通常の旋光度の測定のほか、得られた2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸をメチルエステル化した後、光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで分析して両光学対掌体の含有比を決定することにより容易に確認することが可能である。上記のラセミ化処理は、実質的に等量の光学対掌体混合物が得られる条件で行うことが望ましい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
以下の実施例において、光学活性ジアステレオマー塩の光学純度は以下のように測定した。2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩、例えば、2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と光学活性エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコールとのジアステレオマー塩15mg、あるいは2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールとのジアステレオマー塩20mgを2N−塩酸2mlに溶解し、酢酸エチル2mlで抽出した。酢酸エチル層を減圧で濃縮乾固し、濃縮残分をメタノール/クロロホルム(1:1)1mlに溶解し、10%−トリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン溶液を黄色が消えなくなるまで加え、これを高速液体クロマトグラフィーの試料溶液とした。
【0034】
ジアステレオマー塩より単離した2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学純度は以下のように測定した。2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸5mgをメタノール/クロロホルム(1:1)1mlに溶解し、10%−トリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン溶液を黄色が消えなくなるまで加え、これを高速液体クロマトグラフィーの試料溶液とした。
(高速液体クロマトグラフィーの分析条件)
カラム:キラルセルOB−H(4.6×250mm)
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノ−ル(9/1)
流速:1ml/min
検出器:UV220nm
ピーク保持時間:(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸(約36分)、(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸(約40分)
【0035】
例1
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体9.0gに(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール10.1gとイソプロピルアルコール30mlを加え、80℃で攪拌溶解した。液温を5℃まで冷却し、同温度で1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し、(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩7.5gを得た。光学純度は96%e.e.であった。この結晶を5℃に冷却したN−NaOH水溶液30mlに溶解し、塩化メチレン50mlで抽出した。分離した水層を濃塩酸でpH1.5とし、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸3.1gを結晶で得た。光学純度は95%e.e.であった。塩化メチレン層を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール3.7gを得た。
【0036】
例2
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体9.0gに(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール10.1gと酢酸エチル100mlを加え、75℃で1時間、懸濁撹拌した。液温を25℃まで冷却し、同温度で3時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩7.9gを得た。光学純度は92%e.e.であった。この結晶に酢酸エチル40mlを加え、75℃で1時間攪拌した。液温を25℃まで冷却し、同温度で3時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩7.3gを得た。光学純度は98%e.e.であった。この結晶をN−塩酸40mlに溶解し、減圧で濃縮乾固した。濃縮乾固した残分に塩化メチレン150mlを加え、室温で1時間攪拌した後、ろ過した。ろ液を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸3.3gを結晶で得た。光学純度は98%e.e.であった。ろ過で得た結晶を乾燥して、(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩酸塩4.6gを得た。
【0037】
例3
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体0.9gに(+)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール1.1gとメチルイソブチルケトン10mlを加え、80℃で1時間、懸濁撹拌した。液温を25℃まで冷却し、同温度で3時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(+)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩0.7gを得た。光学純度は95%e.e.であった。
【0038】
例4
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体1.5gに(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール1.0gとアセトン9mlを加え、60℃で攪拌溶解した。液温を5℃まで冷却し、同温度で2時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール塩1.2gを得た。光学純度は96%e.e.であった。
【0039】
例5
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体6.0gに(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール10.3gと水70mlを加え、90℃で攪拌溶解した。液温を50℃まで冷却し、光学的に純粋な(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩10mgを加えた。液温を25℃まで冷却し、同温度で1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩7.6gを得た。光学純度は82%e.e.であった。この結晶に水60mlを加え、90℃で攪拌溶解した。液温を50℃まで冷却し、光学的に純粋な(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩10mgを加えた。液温を25℃まで冷却し、同温度で1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し6.9gを得た。光学純度は94%e.e.であった。
【0040】
得られた結晶をN−塩酸50mlに溶解し、減圧で濃縮乾固した。濃縮乾固した残分に塩化メチレン150mlを加え、室温で1時間攪拌した後、ろ過した。ろ過残である結晶を乾燥して、(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩酸塩4.7gを得た。塩化メチレンろ液を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮し、濃縮残分を酢酸エチル10mlに溶解した。この溶解液にn−ヘキサンをわずかに白濁するまで加え、結晶が析出するまで室温で攪拌した。結晶が析出した後、5℃で14時間攪拌し、析出した結晶をろ取して(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸2.1gを得た。光学純度は97%e.e.であった。
【0041】
例6
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体0.6gに(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール1.0gとエタノール6mlを加え、80℃で攪拌溶解した。液温を25℃まで冷却し、同温度で1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩0.7gを得た。光学純度は74%e.e.であった。
【0042】
例7
2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸のラセミ体0.6gに(1S,2R)−(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール1.0gとメタノール1mlとメチルイソブチルケトン10mlの混合液を加え、80℃で攪拌溶解した。液温を25℃まで冷却し、同温度で1時間撹拌した。析出した結晶をろ取し(R)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の(1S,2R)−(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩0.8gを得た。光学純度は72%e.e.であった。
【0043】
例8
例1に記載した光学分割の母液を減圧濃縮し、濃縮残分をN−NaOH水溶液60mlに溶解した。溶解液を塩化メチレン60mlで抽出し、塩化メチレン層は飽和食塩水で洗浄した後、減圧濃縮して(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール5.8gを得た。分離した水層を濃塩酸でpH1.5とし、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸5.2gを得た。光学純度は63%e.e.であった。得られた(S)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の4.1gを5N−NaOH水溶液20mlに溶解し、40℃で24時間攪拌した。その後、濃塩酸でpH1.5とし、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸3.8gを得た。高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、等量の(S)−体と(R)−体を含む混合物であった。
【0044】
例9
例2に記載した光学分割の母液を減圧濃縮し、濃縮残分11.5gを得た。光学純度は66%e.e.であった。得られた濃縮残分の8.6gを2N−NaOH水溶液50mlに溶解し、塩化メチレン60mlで抽出した。塩化メチレン層を飽和食塩水で洗浄した後、減圧濃縮して(−)−エリスロ−α−(1−アミノエチル)ベンジルアルコール4.3gを得た。分離した水層を40℃で30時間攪拌した。その後、濃塩酸でpH1.5とし、酢酸エチル250mlで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸3.7gを得た。高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、等量の(S)−体と(R)−体を含む混合物であった。
【0045】
例10
例5に記載した光学分割の母液を減圧濃縮し、濃縮残分8.7gを得た。光学純度は(R)体の79%e.e.であった。濃縮残分の7.3gをエタノール40mlに溶解し、5N−NaOH水溶液20mlを加えて40℃で24時間攪拌した。その後、濃塩酸でpH1.5とし、減圧で濃縮乾固した。濃縮乾固した残分に塩化メチレン200mlを加え、室温で1時間攪拌した後、ろ過した。ろ過残である結晶を乾燥して、(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール塩酸塩5.1gを得た。塩化メチレンろ液を飽和食塩水20mlで洗浄した後、減圧濃縮し、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸2.5gを得た。高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、等量の(S)−体と(R)−体を含む混合物であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明に方法によれば、高い光学純度を有する光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を高収率かつ安価に製造することができる。

Claims (10)

  1. (±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と一般式(I):
    Figure 0004104319
    (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程を含む方法。
  2. Rがメチル基又はフェニル基である請求項1に記載の方法。
  3. (±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物。
  4. Rがメチル基又はフェニル基である請求項3に記載のジアステレオマー塩混合物。
  5. (−)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩。
  6. (+)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩。
  7. Rがメチル基又はフェニル基である請求項5又は6に記載のジアステレオマー塩。
  8. (±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、下記の工程:
    (1)(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を生成させる工程;
    (2)上記ジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程;
    (3)上記分別晶出の母液に含まれるジアステレオマー塩混合物を塩基で処理して得られる2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸の光学対掌体混合物を塩基性化合物で処理して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得る工程;
    (4)上記工程(3)で得られた(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を用いて工程(1)及び工程(2)を行う工程
    を含む方法。
  9. (±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割する方法であって、下記の工程:
    (1)(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸と請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体とのジアステレオマー塩混合物を生成させる工程;
    (2)上記ジアステレオマー塩混合物を分別晶出させる工程;
    (3)上記分別晶出の母液に含まれるジアステレオマー塩混合物を塩基性化合物で処理して(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を得る工程;
    (4)上記工程(3)で得られた(±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を用いて工程(1)及び工程(2)を行う工程
    を含む方法。
  10. (±)−2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸から光学活性2−ヒドロキシ−3−ニトロプロピオン酸を光学分割するための光学分割剤であって、請求項1に記載の一般式(I)で表される光学活性フェニルエタノールアミン誘導体からなる光学分割剤。
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