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JP7326649B2 - 自動車用遮音材 - Google Patents

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JP7326649B2
JP7326649B2 JP2020552499A JP2020552499A JP7326649B2 JP 7326649 B2 JP7326649 B2 JP 7326649B2 JP 2020552499 A JP2020552499 A JP 2020552499A JP 2020552499 A JP2020552499 A JP 2020552499A JP 7326649 B2 JP7326649 B2 JP 7326649B2
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Description

本発明は、自動車用遮音材に関する。
自動車の構造として、前方にエンジン室があり、後方にはトランク室があり、その中間に客室を設ける構造が一般的である。客室には、運転席、助手席および後部座席といった座席を設けている。また、客室には、自動車内装の外側を覆うようにダッシュインシュレータ、フロアーカーペット、フロアースペーサ、トランクトリム、及びトランクフロアーが設置されており、これら部品は、車体の形状や部品のデザインに合わせた凹凸状の形状に成形されている。更に、車体下の外装には、フロントフェンダーライナー、リアフェンダーライナー、及び空気の流れを制御する凹凸形状に成形されたアンダーカバーが設置されている。これら部品の多くは、材料として熱可塑性樹脂が使用され、この材料を加熱して当該部品の形状の型によりプレス成形し、厚みが異なる複数の部分を有する凹凸形状の部品に仕上げられる。
自動車開発の最近の動向として車内の静寂性が重要視されている。自動車の車内に伝わる騒音としては、ウインドウからの騒音、タイヤからの騒音、車体下からの騒音、エンジン音からの騒音、モータ音からの騒音などがある。騒音中の特に500Hzから5000Hzの周波数が、運転者や同乗者に耳障りとなると言われている。よって、この周波数の帯域の騒音を吸音ないし遮音する機能が、自動車の内外装部品に求められている。一方で、燃費削減も重要であり、自動車の内外装部品の軽量化も求められている。
また、特表2009-538746号公報には、航空機胴体部のセルの吸音内側クラッディングのためのサンドイッチ部材が記載されており、このサンドイッチ部材は、ハニカム状のコア構造体と、コア構造体の両側に適用されるカバー層とを備え、両方のカバー層はそれぞれ、音波を透過するための複数の通路を備え、プラスチック材料の半透性膜を用いて形成されたカバーは、音波の方向にあるカバー層上に配置され、プラスチック材料からなる半透性膜は、断面領域を有する複数の開口部を備え、異物および/または液体の侵入が主に防がれ、かつ音波の透過が許容され、吸音層は、音波から離れた方向にあるカバー層上に形成される。そして、このような構成によって、高い機械的負荷特性、軽量性、かつ優れた吸音特性を有するサンドイッチ部材を提供できることが記載されている。
特表2009-538746号公報
上記公報に記載されているサンドイッチ部材は、コア構造体の方向から入射する騒音を、吸音層で吸音しやすくするというものであり、遮音性能を発揮させるためのものではない。従来の自動車用遮音材は、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)や発泡ウレタン等が用いられており、軽量であるものの、軟らかく、剛性に欠けるという問題がある。
そこで本発明は、自動車用遮音材の軽量化を維持しつつ、剛性を高くし、且つ自動車で発生する500Hz~5000Hzの周波数の騒音に対して十分な遮音性能を発揮することができる自動車用遮音材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、筒状のセルが複数の列をなして配置されているハード層と、前記ハード層の一方の面に設けられたソフト層とを備える複層構造の自動車用遮音材であって、前記ハード層と前記ソフト層の構造体が有する動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比が、0<Kd/Ks≦1.5である。
前記筒状のセルは、略四角筒状や略六角筒状などの多角筒状であってもよいし、略円筒状や略楕円筒状などの曲線筒状であってもよい。前記ハード層の前記セルの各々は、一方の端に閉鎖面、他方の端に開放端を有し、前記セルの前記放端によって前記セルの内部空間が外部と連通しており、前記セルの前記放端は、前記ハード層の両面において、隣接したセルの列が一列おきに配置されていることが好ましい。前記放端、前記一方側閉鎖面、および前記他方側閉鎖面は、前記セルの形状に従い、略四角形状や略六角形状などの多角形状であっても、略円形状や略楕円形状などの曲線形状であってもよい。
前記ハード層と前記ソフト層の構造体が有する静バネ定数Ksは、20N/mm以上が好ましく、前記動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比は、0.7<Kd/Ks≦1.5とすることが好ましい。
前記構造体は、前記ハード層と前記ソフト層との間に、追加層として、フィルム層、繊維層、又はこれらの組み合わせを備えても良い。その場合、動バネ定数Kdと静バネ定数Ksは、前記ハード層と前記ソフト層との間にフィルム層、繊維層、又はこれらの組み合わせを備える構造体のものである。前記ハード層の前記セルが隣接して列をなす方向の前記セル間のピッチPcyは、4mmから10mmの範囲内であることが好ましい。
前記ハード層とソフト層の間に追加層としてフィルム層を備える場合、前記フィルム層の厚さは50μm~300μmの範囲としてもよい。前記フィルム層は、層を貫通する複数の開孔を有してもよい。
前記フィルム層と前記ソフト層との間に追加層を備える場合、前記追加層の静バネ定数Ksは、前記ソフト層の静バネ定数Ksより小さいことが好ましい。この場合、前記ソフト層の素材は発泡ウレタンを用いてよく、前記追加層は繊維層としてよく、前記繊維層の厚さは0.3mm~10mmの範囲としてよい。
このように本発明に係る自動車用遮音材は、筒状のセルが複数の列をなして配置されているハード層と、前記ハード層の少なくとも一方の面に設けられたソフト層とを備え、ハード層とソフト層との構造体が有する動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比を、0<Kd/Ks≦1.5とする構成によって、自動車用遮音材の軽量化を維持しつつ、剛性を高くできるとともに、自動車から発生する500Hz~5000Hzの周波数の騒音は車室内に、空気の振動を介して伝達したり、物体の振動を介して伝達するが、主に物体の振動を介して伝達する騒音を、上述したハード層とソフト層の構造体によって遮ることから、自動車で発生する騒音に対して十分な遮音性能を発揮することができる。動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、防振材の分野では動倍率と呼ばれ、防振性能の指標の一つとして一般的に用いられているものである。本発明のハード層は、従来、自動車用吸音材ではコア層として用いられ、自動車で発生する騒音を吸収する機能を有することは広く知られている。本発明では、このような筒状のセルが複数の列をなして配置されている硬いコア層(ハード層)に対して、軟らかいソフト層を貼り合わせ、このハード層とソフト層との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを、従来のコア層を用いた自動車用吸音材よりも顕著に低い値である、1.5以下とすることで、主に物体の振動を介して伝達する騒音を遮ることから、自動車で発生する騒音に対して十分な遮音性能を発揮することができる。
ハード層のセルの各々が、一方の端に閉鎖面、他方の端に開放端を有し、セルの放端によってセルの内部空間が外部と連通しており、セルの放端は、ハード層の両面において、隣接したセルの列が一列おきに配置されている構成にすることで、ハード層のセルの閉鎖面が、ソフト層に接着する面として確保され、セルの閉鎖面が一列おきに配置されているので、ソフト層との接着性を向上させることができる。
本発明に係る自動車用遮音材におけるハード層に用いるコア材料の製造過程を示す斜視図である。 本発明に係る自動車用遮音材におけるハード層を示す概略平面図である。 III-III線に沿って図2のハード層を示す概略断面図である。 本発明に係る自動車用遮音材の一実施の形態を示す分解斜視図である。 図4に示す自動車用遮音材の実施の形態の概略断面図である。 (a)は、本発明に係る自動車用遮音材の静バネ定数の測定方法を説明する模式図であり、(b)は、測定値から静バネ定数を求めるグラフである。 (a)は、本発明に係る自動車用遮音材の動バネ定数の測定方法を説明する模式図であり、(b)は、測定値から動バネ定数を求めるグラフである。 本発明に係る自動車用遮音材の別の実施の形態を示す分解斜視図である。 本発明に係る自動車用遮音材のまた別の実施の形態を示す分解斜視図である。 本発明に係る自動車用遮音材の更に別の実施の形態を示す分解斜視図である。 本発明に係る自動車用遮音材の実施例1および比較例1における動バネ定数の測定結果を示すグラフである。 本発明に係る自動車用遮音材の実施例1および比較例1における周波数とインサーションロスの関係を示すグラフである。
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る自動車用遮音材の一実施の形態について説明する。なお、図面は、別段の定めがない限り、縮尺通りに描くことを意図してはいない。
先ず、本発明に係る自動車用遮音材の各実施の形態において共通するハード層について説明する。図1は、このハード層(コア層ともいう)となるコア材料の製造過程を示す斜視図である。なお、このコア材料は、ここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2006/053407号にその製造方法が詳細に記載されている。
図1に示すように、このコア材料1は、平坦な材料シートを所定の型を有するローラ(図示省略)によって熱成形され、実質的にシートを切ることなく塑性変形により形成されたものである。コア材料1の素材は、これらに限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)などの熱可塑性樹脂や、繊維との複合材料、紙、金属等を用いることができ、特に熱可塑性樹脂が好ましい。本実施の形態では、熱可塑性樹脂を用いた場合について説明する。材料シートの厚みは、これに限定されないが、例えば、0.05mmから0.50mmの範囲が好ましく、熱成形後のコア材料1の厚みもほぼ同様である。
コア材料1は、製造方向Yに対して直交する幅方向Xに向かって、山部11と谷部12が交互に配置される三次元構造を有している。山部11は、2つの側面13とその間の頂面17とで構成され、谷部12は、隣接する山部11と共有する2つの側面13とその間の底面14とで構成される。なお、本実施の形態では、図1に示すように山部11の形状が台形の場合について説明するが、本発明はこれに限定されず、三角形や長方形などの多角形の他、正弦曲線や弓形などの曲線形にしてもよい。
コア材料1は、上記の三次元構造を、製造方向Yに向かって連続するように備える。すなわち、図1に示すように、製造方向Yに向かって複数の山部11a、11b、11c、11dが連続して形成される。谷部12も同様に連続して形成される。そして、山部11間の接続および谷部12間の接続は、2種類の接続方法を交互に繰り返すことでなされている。
第1の接続方法は、図1に示すように、幅方向の第1の折り畳み線X1において、隣接する2つの山部11b、11cの頂面17b、17cが、それぞれ台形状の山部接続面15b、15cを介して接続するというものである。山部接続面15は頂面17に対して直角の角度で形成されている。この幅方向の第1の折り畳み線X1において、隣接する2つの谷部の底面14b、14cは、直接に接続している。第2の接続方法は、図1に示すように、幅方向の第2の折り畳み線X2において、隣接する2つの谷部の底面14a、14b(又は14c、14d)が、それぞれ台形状の谷部接続面16a、16b(又は16c、16d)を介して接続するというものである。谷部接続面16は底面14に対して直角の角度で形成されている。この幅方向の第2の折り畳み線X2において、隣接する2つの山部の頂面12a、12b(又は12c、12d)は、直接に接続している。
このようにコア材料1は、複数の三次元構造(山部11、谷部12)が接続領域(山部接続面15、谷部接続面16)を介して接続されており、接続領域を折り畳むことで、本発明の自動車用遮音材のハード層が形成される。具体的には、第1の折り畳み線X1では山折りで、隣接する2つの谷部の底面14b、14c同士が、その裏面を介して重なり合い、隣接する2つの山部の山部接続面15b、15cのなす角度が180度まで開くように折り畳む。また、第2の折り畳み線X2では谷折りで、隣接する2つの山部の頂面17a、17b(又は17c、17d)同士が重なり合い、隣接する2つの谷部の谷部接続面16a、16b(又は16c、16d)のなす角度が180度まで閉じるように折り畳む。このようにコア材料1を折り畳むことで得られた本発明の自動車用遮音材のハード層10を、図2及び図3に示す。
図2及び図3に示すように、ハード層10は、複数の列をなして配置されている略六角筒状のセル20を備え、一列おきに、隣接する2つの山部から形成されたセル20A、20C、20Eと、隣接する2つの谷部から形成されたセル20B、20Dが配置される。図3中の破線18は、コア材料の裏面であった面であり、略六角筒状のセル20の内壁を概ね示すものである。
山部から形成されたセル20A、20C、20Eは、それぞれ略六角筒状を形成する6つのセル側壁を備え、これらセル側壁は、セル材料における2つ頂面17と4つの側面13から形成されたものである。また、これらセル20A、20C、20Eは、ハード層10の一方の面10a(図2での表側の面)のセル端部において、それぞれセル端部を閉塞する略六角筒状の閉鎖面21A、21C、21Eを備え、これら一方側の閉鎖面21は、それぞれセル材料における2つの台形の山部接続面15によって形成されたものである。更に、これらセル20A、20C、20Eは、ハード層10の反対側である他方の面10bのセル端部において、略六角形状に開口された放端22A、22C、22Eを備える。この放端22A、22C、22Eによって、セル20A、20C、20Eのそれぞれの内部空間が外部と連通している。
谷部から形成されたセル20B、20Dも、それぞれ略六角筒状を形成する6つのセル側壁を備え、これらセル側壁は、セル材料における2つ底面14と4つの側面13から形成されたものである。また、これらセル20B、20Dは、ハード層10の前記一方の面10aのセル端部において、略六角形状に開口された放端22B、22Dを備える。この放端22B、22Dによって、セル20B、20Dのそれぞれの内部空間が外部と連通している。更に、これらセル20B、20Dは、ハード層10の反対側である他方の面10bのセル端部において、それぞれセル端部を閉塞する略六角筒状の閉鎖面21B、21Dを備え、これら他方側の閉鎖面21は、それぞれセル材料における2つの台形の谷部接続面16によって形成されたものである。
このようにハード層10は、一方の面10aのセル端部には、一列おきに、セル材料における山部から形成された一方側閉鎖面21A、21C、21Eを有し、他方の面10bのセル端部には、上記とは異なるセルの列に、セル材料における谷部から形成された他方側閉鎖面21B、21Dを有しているが、別段の記載がない限り、一方側閉鎖面、他方側閉鎖面のどちらの閉鎖面21も実質的に同一の機能を発揮するものである。
ハード層10全体の厚みは、複層構造体を自動車のどこの部品に用いるかで変わるため、以下に限定されないが、後述するハード層とソフト層との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksをコントロールする点や、ハード層10自体の吸音性能、ハード層10の強度、重量の観点から、3mmから50mmの範囲が好ましく、5mmから30mmの範囲がより好ましい。
ハード層10の目付け(単位面積当たりの重さ)は、複層構造体を自動車のどこの部品に用いるかで変わるため、これらに限定されないが、400g/mから4000g/mの範囲が好ましく、500g/mから3000g/mの範囲がより好ましい。ハード層10の厚みが大きく、目付けが大きい程、概ね、ハード層10の強度が高くなる。
ハード層10の目付けは、ハード層10の素材の種類や、ハード層10全体の厚み、セル20の壁厚(材料シートの厚み)の他に、ハード層10のセル20間のピッチPcx、Pcy(セルの中心軸間の距離)によっても調整することができる。ハード層10の目付けを上記の範囲とするためには、例えば、コアの製造方向Yであるセル20が隣接して列をなす方向のセル20間のピッチPcyを、2mmから20mmの範囲とすることが好ましく、3mmから15mmの範囲とすることがより好ましい。特に、後述する動バネ定数と静バネ定数との比Kd/Ksを所定の範囲内にコントロールするためには、セル20間のピッチPcyは4mmから10mmの範囲内にすることが更に好ましい。
次に、上述したハード層10を用いて本発明に係る自動車用遮音材の各実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の自動車用遮音材は、図4及び図5に示すように、上述したハード層10と、その一方の面に設けられたソフト層30と、ハード層10の他方の面に設けられた表皮層50とを備える。なお、本発明の自動車用遮音材は、騒音の発生源の側にソフト層30側が位置するように用いられ、すなわち、本発明の自動車用遮音材は、ソフト層30を車体のパネル100側に設置して車室内側に設けられる。
ソフト層30は、ハード層10(コア層ともいう)が、筒状のセルが複数の列をなして配置されており硬い性質を有し、それと比べて軟らかいことから、本明細書ではソフト層と呼ぶ。ソフト層30の素材は、自動車用遮音材において遮音層に通常用いられる素材であれば、特に限定されないが、自動車用遮音材の軽量化の観点から、発泡ウレタンや、発泡ポリエチレン、発泡ナイロンなどの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの発泡体が好ましく、また、ポリエステル繊維や、ナイロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維などの繊維も好ましい。繊維としては、フェルトが好ましく、低融点ポリエステル繊維などのポリエステル繊維や、グラスウール等の素材で形成することが好ましい。また、フェルトの製法としては、ニードルパンチングや、サーマルボンド、スパンレース等の製法で作製されているものが好ましい。なお、ソフト層30は、発泡体と繊維を組み合わせてもよい。
ソフト層30の目付けとしては、後述する動バネ定数と静バネ定数との比Kd/Ksによるため、以下に限定されないが、例えば、その下限は、200g/m以上が好ましく、300g/m以上がより好ましく、500g/m以上が更に好ましい。また、目付けの上限は、2000g/m以下が好ましく、1500g/m以下がより好ましく、1200g/m以下が更に好ましい。
ソフト層30の厚みは、後述する動バネ定数と静バネ定数との比Kd/Ksによるため、以下に限定されないが、例えば、その下限は、4mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。また、厚みの上限は、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が更に好ましい。
本実施の形態において、ハード層10とソフト層30との構造体は、その動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比が0<Kd/Ks≦1.5を満たすものである。この動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、防振材の分野では動倍率と呼ばれ、防振性能の指標の一つとして一般的に用いられているものである。本発明では、このハード層10とソフト層30の構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを、従来のコア層を用いた自動車用吸音材よりも顕著に低い値である、1.5以下とした。自動車から発生する500Hz~5000Hzの周波数の騒音は、車室内に空気の振動を介して伝達したり、物体の振動を介して伝達するが、主に物体の振動を介して伝達する騒音を、ハード層10とソフト層30との構造体によって遮ることができ、よって、自動車で発生する騒音に対して十分な遮音性能を発揮することができる。動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、1.4以下がより好ましく、1.0以下が更に好ましい。一方、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、低すぎると低周波で振動するため、自動車用防音材としては不適となることから、その下限は、0を超える必要があり、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。
特に、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが0.7以上の場合、ハード層20とソフト層30との構造体の静バネ定数Ksは、形状保持のため、20N/mm以上とすることが好ましく、25N/mm以上がより好ましい。構造体の静バネ定数Ksの上限は、特に限定されないが、50N/mm以下が好ましく、30N/mm以下がより好ましい。また、構造体の動バネ定数Kdは、特に限定されないが、下限として、2N/mm以上が好ましく、10N/mm以上がより好ましく、上限として、80N/mm以下が好ましく、50N/mm以下がより好ましい。
ハード層10とソフト層30との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、以下の方法によって求めることがきる。先ず、ハード層10とソフト層30の構造体の静バネ定数Ksと動バネ定数Kdを、JIS K 6385、JIS K 6394に準拠してそれぞれ測定する。具体的に説明すると、静バネ定数Ks(N/mm)の測定では、図6(a)に示すように、ハード層10とソフト層30との構造体の試料を、圧縮装置(図示省略)を用いて、荷重F(N)で圧縮方向60から圧縮し、その時の試料の厚さの変位x(mm)を測定して、図6(b)に示すように、荷重に対する変位のグラフ(Ks=F/x)を作成し、このグラフの線形域の傾きから、静バネ定数Ksを算出する。動バネ定数Kd(N/mm)の測定では、図7(a)に示すように、ハード層10とソフト層30との構造体の試料を、マスプレート72で挟み所定の質量mとし、これのハード層10側を加速度計70に設置するとともに、ソフト層30側に加振器74を設置し、周波数10Hzから400Hzまでの間に加速度振幅0.1m/sで、振動させた場合の振動レベルを測定した。そして、図7(b)に示すように、周波数に対する振動レベルのグラフを作成し、共振fする周波数を求め、Kd=(2πf)×mの式から、動バネ定数Kdを算出する。そして、このように算出した静ばね定数Ksと動ばね定数Kdの比(Kd/Ks)を算出する。静バネ定数Ksは、例えば、市販されている引張、圧縮試験機(島津製作所製、AG-20kNX)で測定することができる。動バネ定数Kdは、例えば、市販されている電磁加振器(エア・ブラウン社製、VG-100)と振動測定装置(LMS社製、Test.Lab)の組み合わせで測定することができる。
静バネ定数Ksと動バネ定数Kdは、ソフト層30の構成(例えば、素材の種類や、目付け、厚み等)によって異なる他、ソフト層30が設けられているハード層10の構成(例えば、素材や、セルの配置、ハード層全体の厚み、セルのピッチ、セル壁面の厚み等)などによっても影響を受ける。ソフト層30の静バネ定数Ksは、特に限定されないが、下限として、20N/mm以上が好ましく、25N/mm以上がより好ましく、上限として、80N/mm以下が好ましく、50N/mm以下がより好ましい。
表皮層50は、本実施の形態の自動車用遮音材が車体のパネル100に設置された場合の車室側の表面となる層である。表皮層50は、自動車用遮音材や自動車用吸音材の表皮層として通常用いられるカーペットや、発泡ウレタン等でよい。カーペットの素材としては、例えば、ポリエステル繊維や天然繊維等を主材として用いることができる。カーペットの製法としては、例えば、ニードルパンチ等を用いることができる。カーペットの面密度としては、800~2000g/mの範囲が好ましい。
第1の実施形態によれば、一列おきに放端と閉鎖面が配置されるハード層10の一方の面にソフト層30を設け、ハード層10の他方の面に表皮層50を設け、上述した動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを上記の数値範囲内にすることによって、自動車用遮音材の軽量化を維持しつつ、剛性を高くできるとともに、自動車で発生する500Hz~5000Hzの周波数の騒音に対して、主に物体の振動を介して伝達する騒音を遮ることができ、十分な遮音性能を発揮することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の自動車用遮音材は、図9に示すように、上述したハード層10と、その一方の面に追加層としてフィルム層80を介して設けられたソフト層30と、ハード層10の他方の面に設けられた表皮層50とを備える。なお、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、ここでの詳細な説明は省略する。
第2の実施形態では、ハード層10とソフト層30との間にフィルム層80が設けられており、この場合、上述したハード層10とソフト層30との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、フィルム層80を介したハード層10とソフト層30との構造体に対して、上述した測定方法を実施して得られた動バネ定数Kdと静バネ定数Ksから算出する。このように算出した動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが、上述した所定の数値範囲内であれば、第1の実施形態と同様の遮音効果を得ることができる。
フィルム層80の素材は、これらに限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド(PA)などの樹脂フィルムを用いることができる。
フィルム層80の厚みは、上述したハード層10とソフト層30との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを所定の範囲内に維持する範囲であれば特に限定されないが、例えば、その下限は、0.03mm以上が好ましく、0.04mm以上がより好ましく、0.05mm以上が更に好ましい。また、厚みの上限は、0.5mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましく、0.3mm以下が更に好ましい。
フィルム層80は、ハード層10及びソフト層30に対して、熱溶着させて接着させてもよいし、接着剤(図示省略)を介して接着させてもよい。接着剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系やアクリル系等の接着剤を用いることができる。また、表皮層50をハード層10及びソフト層30と熱溶着させるために、例えば、表皮層50を三層構造にして、中央の層と、その両側の面に位置する2つの接着層とを備えるようにしてもよい。この場合、接着層の素材は、中央の層に用いる素材の融点よりも低い融点を有する素材を用いる。例えば、中央の層に190℃から220℃の融点を有するポリアミドを用い、接着層に90℃から130℃の融点を有するポリエチレンを用いることで、表皮層50をハード層10とソフト層30に貼り合わせる際の加熱時の温度や自動車用遮音材の所定の形状に熱成形する温度を150℃から160℃程とすれば、中央の層は溶融せずに、接着層のみを溶融してハード層10及びソフト層30と強固に接着することができる。接着層のポリエチレンよりも融点の高い樹脂としては、ポリアミドの他に、ポリプロピレンがある。
フィルム層80は、層を貫通する複数の開孔を有する通気性のものでもよいし、このような開孔のない非通気性のものでもよい。開孔を有する場合、開孔はフィルム層80がハード層10に貼り合わされる前に予め行われるものであり、例えば、熱針やパンチ加工(オス型とメス型を用いたパンチ加工)で開け、孔が塞がることを防止するため、孔のバリを極力抑えた孔形状とすることが好ましい。開孔パターンは、特に限定されないが、千鳥配列や格子配列で配置することが好ましい。フィルム層80の開孔率は、特に限定されないが、0.2%から5%の範囲が好ましい。開孔の直径は、0.25mmから2.5mmの範囲が好ましく、0.3mmから2.0mmの範囲がより好ましい。なお、フィルム層80の開孔のピッチは、図2に示すハード層10のセル20のピッチPcx、Pcyと、必ずしも一致させなくてもよく、また、フィルム層80をハード層10に貼り合わせる際に必ずしも開孔とセル20の位置合わせをしなくてもよい。これは、フィルム層80の開孔とハード層10のセル20の放端22の位置がランダムに重なることで、適度に内外の連通が確保されるようになるからである。フィルム層80の開孔のピッチは、ハード層10のセル20のピッチよりも少なくともX方向あるいはY方向のどちらかを小さくすることが好ましい。
第2の実施形態によれば、一列おきに放端と閉鎖面が配置されるハード層10とソフト層30との間にフィルム層80を設けることによって、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、フィルム層80で吸音または遮音できるという効果を得ることができる。特にフィルム層80に複数の開孔を設けることで、吸音することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の自動車用遮音材は、図9に示すように、上述したハード層10と、その一方の面に第1のフィルム層80aを介して設けられたソフト層30と、ハード層10の他方の面に第2のフィルム層80bを介して設けられた表皮層50とを備える。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、ここでの詳細な説明は省略する。
第1及び第2のフィルム層80a、80bは、第2の実施形態で説明したフィルム層80と同様の構成(素材や、厚み、層構造、開孔の有無など)のものを用いることができる。第1及び第2のフィルム層80a、80bは、同一の構成のものを用いても、異なる構成のものを用いてもよい。第3の実施形態も、ハード層10とソフト層30との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、第2の実施形態と同様に、第1のフィルム層80aを介したハード層10とソフト層30との構造体に対して、上述した測定方法を実施して得られた動バネ定数Kdと静バネ定数Ksから算出する。
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、一列おきに放端と閉鎖面が配置されるハード層10と表皮層50との間に第2のフィルム層80bを設けることによって、第2のフィルム層80bでも吸音または遮音できるという効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の自動車用遮音材は、図10に示すように、上述したハード層10と、その一方の面に追加層としてフィルム層80及び繊維層90を順に介して設けられたソフト層30と、ハード層10の他方の面に設けられた表皮層50とを備える。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、ここでの詳細な説明は省略する。
第4の実施形態では、ハード層10とソフト層30との間にフィルム層80及び繊維層90が設けられており、この場合、上述したハード層10とソフト層30との構造体の動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは、フィルム層80及び繊維層90を介したハード層10とソフト層30との構造体に対して、上述した測定方法を実施して得られた動バネ定数Kdと静バネ定数Ksから算出する。このように算出した動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが、上述した所定の数値範囲内であれば、第1の実施形態と同様の遮音効果を得ることができる。
繊維層90は、上述した動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを所定の範囲内に維持するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂製繊維を用いたスパンボンド、スパンレース、又はニードルパンチなどの各種不織布を用いることが好ましい。繊維層90の目付けは、上述した動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを所定の範囲内に維持する範囲であれば特に限定されないが、例えば、10g/mから600g/mの範囲が好ましく、20g/mから500g/mの範囲がより好ましく、30g/mから300g/mの範囲が更に好ましい。
特に、追加層であるフィルム層80と繊維層90の積層体の静バネ定数Ksは、振動を伝達しにくくさせるため、ソフト層30の静バネ定数Ksより小さいことが好ましい。例えば、この追加層である積層体の静バネ定数Ksは、特に限定されないが、下限として、0.1N/mm以上が好ましく、0.5N/mm以上がより好ましく、上限として、30N/mm以下が好ましく、20N/mm以下がより好ましい。
なお、図10では、追加層としてフィルム層80と繊維層90の積層体を示したが、追加層を繊維層90のみとしてもよい。この場合、繊維層90の静バネ定数Ksは、ソフト層30の静バネ定数Ksより小さいことが好ましい。例えば、繊維層90の静バネ定数Ksは、特に限定されないが、下限として、0.1N/mm以上が好ましく、0.5N/mm以上がより好ましく、上限として、30N/mm以下が好ましく、20N/mm以下がより好ましい。この場合のソフト層30の素材としては、発泡ウレタンを用いることができる。また、この場合の繊維層90の厚さは、振動を伝達しにくくさせるため、下限として、0.3mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、上限として、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
第4の実施形態によれば、一列おきに放端と閉鎖面が配置されるハード層10とソフト層30との間にフィルム層80及び繊維層90を設けることによって、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、追加層であるフィルム層80及び繊維層90で吸音できるという効果を得ることができる。また、追加層を繊維層90のみにした場合、より軽量化できるという効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
実施例1として、図10に示す複層構造を有する自動車用遮音材を作製した。先ず、図1~図3の構造を有するハード層(素材:ポリプロピレン(PP)樹脂、セル間のピッチPcy:8mm、ハード層の厚み:10mm)の一方の面に、フィルム層(素材:開孔ポリプロピレン(PP)フィルム、厚み:50μm)、繊維層(素材:PPニードルパンチ不織布、目付け:15g/m)、及びソフト層(素材:発泡ポリウレタン(PU)、目付け:1000g/m、厚み:10mm)の順に貼り、このハード層、フィルム層、繊維層およびソフト層の構造体の静バネ定数Ksを引張、圧縮試験機(島津製作所製、AG-20kNX)で測定する(圧縮端子スピード:50mm/分、圧縮率:20%まで)とともに、動バネ定数Kdを電磁加振器(エア・ブラウン社製、VG-100)と振動測定装置(LMS社製、Test.Lab)の組み合わせで測定した(周波数:10~400Hz、加速度振幅:0.1m/s、質量m:0.0232kg)。その結果を表1に示す。表1に示すように、静バネ定数Ksは27.5N/mmで、動バネ定数Kdは27.7N/mmであった。よって、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは1.0であった。また、繊維層およびソフト層のそれぞれ単独の静バネ定数Ksを上記と同様の手順にて測定した。その結果を表1に示す。フィルム層の静バネ定数Ksは、影響が無視できる程に小さいため、ここでは測定しなかった。
なお、動バネ定数Kdの測定によって得られた結果のグラフを図11に示す。図11に示すように、実施例1では、共振周波数fが56.75Hzであったことから、この測定結果と質量mの0.0232kg(0.23N)を、上述したKd=(2πf)×mの式に代入することで、Kdの値が求められる。
次に、この実施例1のハード層、フィルム層、繊維層及びソフト層の4層の構造体について、インサーションロス(挿入損失)を測定した。インサーションロスは、パネル等のベースに対して、遮音材を取り付けることにより上昇した遮音性能を示す指標である。具体的には、ベースとして自動車のパネルのみの状態の音響透過損失をTLpanelとし、このパネルに遮音材となる上記構造体、表皮層を取り付けた状態の音響透過損失をTLpanel-trimとすると、遮音材となる上記構造体のインサーションロス(ILtrim)は、ILtrim=TLpanel-trim-TLpanelの式で導き出せる。
ベースの状態および上記構造体を取り付けた状態のそれぞれの状態について、周波数200Hzから5000Hzの間の音響透過損失を測定し、これら測定結果から上記式に基づいてインサーションロスを求めた。その結果を図12に示す。なお、音響透過損失は、残響室と無響室を組み合わせて、音響インテンシティーを測定することで音響透過損失を測定した。音響透過損失と各測定値の関係を次式に示す。計測サンプルのサイズは500mm×600mmとした。
TL=SPL-PWL+10log10S-6
TL:音響透過損失(dB)
SPL:残響室内の平均音圧レベル(dB)
PWL:透過音のパワーレベル(dB)
S:試料面積(m
なお、比較のため、ハード層に替えて発泡ポリスチレン(EPS)(厚み:10mm)を用い、フィルム層及び繊維層を省いたことを除いて実施例1と同様に作製した比較例1についても、実施例1と同様にして、静バネ定数Ks及び動バネ定数Kdを測定した。その結果を表1及び図11に示す。また、比較例1についても、実施例1と同様にしてインサーションロスを測定した。その結果を図12に示す。
図11に示すように、比較例1では、共振周波数fが76.5Hzであったことから、動バネ定数Kdは52.6N/mmと実施例1よりも非常に高かった。静バネ定数Ksは25N/mmと実施例1と比較的に近い値であったが、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは2.1と高い値となった。そして、図12に示すように、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが1.0であった実施例1は、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが2.1であった比較例1と比べて、周波数500~5000Hzの間にわたりインサーションロスが約3dB以上高く、優れた遮音性能を示すことが確認できた。また、比較例1は、発泡ポリウレタンと発泡ポリスチレンの構造体となるため、どちらも軟らかく、遮音材全体として剛性に欠けるが、一方、実施例1は、比較例の発泡スチロールに替えて、ハード層として、筒状のセルが複数の列をなして配置されていることより硬く軽量のコア層を用いており、よって、遮音材全体として軽量を維持しながら剛性を高くすることができる。
実施例2~6として、表1に示すように、ハード層のコアのセル間のピッチPcyを変えたり、ソフト層の材料をフェルト(素材:雑綿、目付け:600g/m)に変えたり、それらの間のフィルム層や繊維層を設けなかったり、又はフィルム層として開孔のない非通気性のフィルムを用いたり、厚みを変えたり、繊維層の目付けを変えたりした点を除き、実施例1と同様にして遮音材となる構造体を作製し、静バネ定数Ks及び動バネ定数Kdを測定した。また、比較例1、2として、表1に示すように、実施例1、6のソフト層のみを構造体とした点を除き、実施例1と同様にして静バネ定数Ks及び動バネ定数Kdを測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007326649000001
表1に示すように、ハード層とソフト層との間にフィルム層も繊維層も設けなかった実施例2、3でも、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを1.5以下とすることができた。また、フィルム層、繊維層またはソフト層をそれぞれ変更した実施例4~6でも、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksを1.5以下と低くすることができた。一方、発泡ウレタンのみの比較例2では、動バネ定数Kdが比較例1より更に高くなり、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksも2.4と高かった。更に、フェルトのみの比較例3では、動バネ定数Kdが比較例1、2よりも大幅に低くなったものの、静バネ定数Ksも大幅に低くなり、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksは4.8と非常に高かった。このようなソフト層のみの比較例1~3では、剛性が低く、また、動バネ定数と静バネ定数の比Kd/Ksが1.5を超えるため、周波数500~5000Hzの間の遮音性能も実施例より劣る。
本発明の自動車用遮音材によれば、ハード層とソフト層により、軽量化を維持しつつ剛性を高くし、且つ十分な遮音性能を得ることができる。本発明の自動車用遮音材は、より具体的には、例えば、フロアーカーペット、フロアースペーサ、トランクトリム、トランクフロアー、ダッシュインシュレータ、アンダーカバーなどの騒音発生源と自動車室内との間で騒音を遮蔽する部品に有用である。
1 コア材料
10 ハード層(コア層)
11 山部
12 谷部
13 側面部
14 底面部
15 山部接続面
16 谷部接続面
17 頂面
18 コア材料裏面
20 セル
21 閉鎖面
22 放端
30 ソフト層
50 表皮層
60 圧縮方向
70 加速度計
72 マスプレート
74 加振器
80 フィルム層
90 繊維層
100 パネル

Claims (8)

  1. 筒状のセルが複数の列をなして配置されているハード層と、前記ハード層の一方の面に設けられたソフト層と、前記ハード層の他方の面に設けられた表皮層とを備える複層構造の自動車用遮音材であって、前記ハード層と前記ソフト層の構造体が有する動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比が、0<Kd/Ks≦1.5であり、前記ソフト層が車体のパネル側に設置される自動車用遮音材。
  2. 前記ハード層と前記ソフト層の構造体が有する静バネ定数Ksが、20N/mm以上であり、前記動バネ定数Kdと静バネ定数Ksとの比が、0.7<Kd/Ks≦1.5である請求項1に記載の自動車用遮音材。
  3. 前記ハード層の前記セルが隣接して列をなす方向の前記セル間のピッチPcyが、4mmから10mmの範囲内である請求項1又は2に記載の自動車用遮音材。
  4. 前記ハード層とソフト層の間に更にフィルム層を備え、前記フィルム層の厚さが50μm~300μmの範囲である請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用遮音材。
  5. 前記フィルム層が、層を貫通する複数の開孔を有する請求項4に記載の自動車用遮音材。
  6. 前記フィルム層と前記ソフト層との間に更に追加層を備え、前記追加層の静バネ定数Ksが、前記ソフト層の静バネ定数Ksより小さい請求項4又は5に記載の自動車用遮音材。
  7. 前記ソフト層の素材が発泡ウレタンであり、前記追加層が繊維層であり、前記繊維層の厚さが0.3mm~10mmの範囲である請求項6に記載の自動車用遮音材。
  8. 前記ハード層の前記セルの各々が、一方の端に閉鎖面、他方の端に開放端を有し、前記セルの前記開放端によって前記セルの内部空間が外部と連通しており、前記セルの前記開放端が、前記ハード層の両面において、隣接したセルの列が一列おきに配置されている請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車用遮音材。
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