JP6890883B2 - 光反応性ポリマー - Google Patents
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Description
[1]下記一般式(1)で示される構造を有し、数平均分子量が1,000〜1,000,000である光反応性ポリマー。
[2]下記一般式(2)で示される構造を有する[1]に記載の光反応性ポリマー。
[4]m/(m+n)の値が0.02〜0.7である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光反応性ポリマー。
Xで表される置換基を有しても良いフェニレン基の置換基として、特に限定されないが、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基等が例示される。Xとしては、エステル結合が好ましい。
rの値は、重合の進行しやすさから、2〜20の範囲の整数が好ましい。R4は、−(CH2)3−または−(CH2)4−であることが好ましく、更に好ましくは−(CH2)3−である。
(1)光反応性ポリマー組成比
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、JNM−ECZ400S)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析により求めた。重溶媒としてd−クロロホルムを用いて測定した。
光反応性ポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)と多分散度(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー製 HLC−8320GPCを用い、カラムとしては、東ソー製 TSKgel GMHHR−Lを用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液としてTHFを用いて測定した。標準サンプルとして東ソー製単分散ポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算にて分子量換算を行った。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、SPECTRUM ONE)を用いて測定した。光反応性ポリマー由来のエステルカルボニルピーク(1730cm−1前後)強度÷PVDF由来の870cm−1前後のピーク強度で算出した相対強度を求めた。
光反応性ポリマーを固定化することによる、基材の親水性に及ぼす影響を、水中接触角測定により評価した。この接触角測定は、水中でフィルム表面に気泡を接触させるcaptive bubble法を用いて測定した接触角θから求めた対水接触角(180−θ)にて評価した。実際の測定は、測定サンプルを一晩純水中に浸漬したのち、接触角計を用い、室温、常圧のもとで気泡を水中で表面に接触させ、接触角を測定した。
500mLナス型フラスコに4−ブロモフェノール(51.9g,0.30mol)と炭酸カリウム(97.6g,0.75mol)を入れアルゴン置換した。脱水DMF(300mL)を加え、80℃で30分間加熱撹拌した。そこに3−ブロモ−1−プロパノール(50.0g,0.36mol)を加え80℃で20時間加熱撹拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で4−ブロモフェノールの消費を確認後、室温まで冷却した。水(400mL)を加え、有機相を酢酸エチルで抽出した(300mLx3)。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去することで3−(4−ブロモフェニル)−1−プロパノールを茶色オイルとして得た(66.4g,0.29mol,96%)。1
H NMR(400MHz, CDCl3,r.t.): δ 1.72(s,1H),2.00−2.07(m,2H), 3.83−3.89(m,2H),4.09(t,2H,J=6.0Hz),6.75−6.81(m,2H),7.35−7.39(m,2H)。
500mLナス型フラスコに3−(4−アジドフェニル)−1−プロパノール(42.3g,0.22mol)、メタクリル酸(22.7g,0.26mol)、4−ジメチルアミノピリジン(26.8g,0.22mol)を加え、アルゴン置換後に塩化メチレン(400mL)に溶解させた。反応容器を氷浴中0℃で30分間撹拌した後に、DCC(56.2g,0.27mol)を加え、そのまま0℃で30分間撹拌した。氷浴を取り除き、室温で21時間撹拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で3−(4−アジドフェニル)−1−プロパノールの消費を確認後、セライトろ過によって、析出したジシクロヘキシル尿素を取り除き、固体を酢酸エチル(500mL)で洗浄した。ろ液を濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することで3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートを茶色オイルとして得た(29.9g,0.11mol,52%)。1H NMR(400MHz,CDCl3,r.t.): δ 1.94(s,3H),2.16(quint like tt,2H,J=6.0,6.0 Hz),4.04(t,2H,J=6.0Hz),4.34(t,2H, J=6.0 Hz),5.57(t,1H,J=1.6Hz),6.09−6.12(br,1H),6.85−6.91(m,2H),6.9
2−6.97(m,2H)。
4−ブロモフェノールに代えてペンタフルオロフェノール(55.2g、0.3mol)を用いたことを除いて、参考例1と同様に反応を行い、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリレートを黄色オイルとして得た(30.1g,0.09mol,Total収率30%)。1H−NMR(400MHz,CDCl3,r.t.): δ 1.94(s,3H),2.16(quint like tt,2H,J=6.0,6.0 Hz),4.04(t,2H,J=6.0Hz),4.34(t,2H, J=6.0 Hz),5.57(t,1H,J=1.6Hz),6.09−6.12(br,1H)。
4−ブロモベンジルマグネシウムブロミドの0.25Mジエチルエーテル溶液(300ml、0.075mol)を500mlナス型フラスコに窒素下で注入し、−30℃に冷却後オキセタン(13.1g、0.225mol)とヨウ化銅(I)(1.5g、0.008mol)を加えた。その後徐々に昇温し、室温にて20時間反応させた。反応終了後水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出し、抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機層を留去して茶色オイル状の目的物を得た(8.9g、0.039mol、52%)。1H−NMR(400MHz, CDCl3,r.t.): δ 1.56−1.68(m,5H),2.62(m,2H), 3.62(m,2H),6.75−6.81(m,2H),7.35−7.39(m,2H)。
ガラス製のシュレンクフラスコにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)(5.4g)および参考例1で製造した3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート(0.52g)、重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(15mg)を秤量した。THFを用いてモノマー濃度0.8mol/L、開始剤濃度3.75mmol/Lとなるように希釈した。十分に溶液中の酸素を窒素で除去後、反応はウォーターバスを用いて60度で8時間行った。反応終了後、ヘキサンを用いて再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥により、褐色の粘性体の光反応性ポリマーを得た。得られたポリマーは、Mn=72,000、Mw/Mn=3.5であった。組成比は、1H NMRにて、PEGMA由来の−OCH3ピーク(3.36−3.40,br,3H)と、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート由来の芳香環ピーク(6.86−6.71,br,4H)の積分比によって決定し、下記構造式(7)において、m/(m+n)の値が0.09であった。
実施例2 [疎水性ポリマーフィルム表面への固定化]
4cm×4cmに切り出したポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルム(GLサイエンス製、スマートバッグ2F)に、実施例1で合成した光反応性ポリマーの2質量%含有溶液(溶媒:THF)を調製することにより作製した表面改質剤を、2000rpmで一分間スピンコートした後、高圧水銀灯(東芝ライテック製H400P)により、2秒間UV照射(21mJ/cm2)を行った。その後、THFを用いて掛け洗いし、表面が改質されたフィルム基材を得た。掛け洗い前後でのフィルム表面におけるエステルカルボニルピークの相対強度を比較し、光反応性ポリマーの固定化率を算出したところ、95%であった。
実施例2で調製した光反応性ポリマーが固定化されたフィルム基材の接触角は約43°であり、親水性が高かった。これは、光反応性ポリマーに含まれるPEGMAユニットの親水性に由来するものであると考えられた。
PVDF製多孔質膜(マイクロダイン・ナディア社製MV020)を実施例1で合成した光反応性ポリマーの2質量%含有溶液(溶媒:メタノール)に5分間浸漬させた後、室温下、窒素雰囲気下で2時間放置し乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(東芝ライテック製H400P)により、2秒間UV照射(21mJ/cm2)を行った。その後、室温下、超純水、メタノール中で各2秒間超音波を照射することにより洗浄した。これにより、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
インスリン(和光純薬製)をサンプルタンパク質として使用した。実施例4で調製した表面改質した多孔質膜を1cm×1cmに切り出した。インスリン溶液(0.1mg/mL、PBSで希釈、5mL)中、室温下で2時間振とう(80rpm)させた後、PBSで洗浄した。φ12×105の試験管に試料を入れ、Thermo scientific製のBCA試薬を1mL、ドデシル硫酸ナトリウムの4重量%PBS溶液を1mL加え、1時間60℃で加熱した。その後、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、UH5300)を用いて波長562nmにおける抽出液の吸光度を測定することにより、膜へ吸着したインスリンの量を定量したところ、0.6μg/cm2だった。表面改質した多孔質膜表面では、PEGMAユニットのタンパク質吸着抑制能が効果的に機能していることが示された。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムをポリエチレン(東ソー製、ペトロセンをフィルム状に成形したもの)に変えた以外は、実施例2と同様にしてフィルムの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は92%だった。
実施例6で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は46°であった。
PVDF製多孔質膜をポリエチレン製多孔質膜に変えた以外は実施例4と同様の操作により、表面が改質されたポリエチレン製多孔質膜を得た。
実施例8で表面を改質したポリエチレン製多孔質膜を用いた以外は実施例6と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.8μg/cm2だった。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムをポリアミドフィルム(東レ製、ミクトロン)に変えた以外は、実施例2と同様にしてフィルムの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は90%だった。
実施例10で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例4と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は54°であった。
PVDF製多孔質膜をポリアミド製多孔質膜に変えた以外は実施例4と同様の操作により、表面が改質されたポリアミド製多孔質膜を得た。
実施例12で調製したポリアミド製多孔質膜を用いた以外は実施例6と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、1.0μg/cm2だった。
UV照射時間を2秒(21mJ/cm2)から5秒(52.5mJ/cm2)に変えた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は100%だった。
実施例14で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例4と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は43°であった。
UV照射時間を2秒(21mJ/cm2)から5秒(52.5mJ/cm2)に変えた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例16で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
UV照射時間を2秒(21mJ/cm2)から30秒(315mJ/cm2)に変えた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は100%だった。
実施例18で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は42°であった。
UV照射時間2秒(21mJ/cm2)から30秒(315mJ/cm2)に変えた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例20で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
用いたAIBNの重量を15mgから30mgに変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=33,000、Mw/Mn=2.1であり、m/(m+n)の値が0.09であった。
実施例23で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は92%だった。
実施例23で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は40°であった。
実施例22で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例25で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.8μg/cm2だった。
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレートの数平均分子量を300から950に変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=93,000、Mw/Mn=3.0であり、m/(m+n)の値が0.09であった。
実施例27で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は95%だった。
実施例28で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は45°であった。
実施例27で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例30で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.5μg/cm2だった。
用いたポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)の重量を5.4gから4.2gに変え、光反応性モノマーの重量を0.52gから0.16gに変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=44,000、Mw/Mn=2.6であり、m/(m+n)の値が0.3であった。
実施例32で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は97%だった。
実施例33で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は45°であった。
実施例32で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例34で調製した光反応性ポリマーを固定化したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、15μg/cm2だった。
用いたポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)の重量を5.4gから3.0gに変え、光反応性モノマーの重量を0.52gから2.6gに変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=30,000、Mw/Mn=3.0であり、m/(m+n)の値が0.5であった。
実施例37で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は98%だった。
実施例38で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は47°であった。
実施例37で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例40で調製した光反応性ポリマーを固定化したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、22μg/cm2だった。
用いたポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)の重量を5.4gから5.94gに変え、光反応性モノマーの重量を0.52gから0.052gに変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=70,000、Mw/Mn=2.7であり、m/(m+n)の値が0.01であった。
実施例42で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は20%だった。
実施例43で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は62°であった。
実施例42で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例45で調製した光反応性ポリマーを固定化したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、45μg/cm2だった。
用いたポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)の重量を5.4gから0.6gに変え、光反応性モノマーの重量を0.52gから4.7gに変えた以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=68,000、Mw/Mn=3.7であり、m/(m+n)の値が0.9であった。
実施例47で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は100%だった。
実施例48で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は58°であった。
実施例47で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例50で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、55μg/cm2だった。
ガラス製のシュレンクフラスコに、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量=300)(5.4g)および参考例1で製造した3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート(0.52g)、臭化銅(I)(14.4mg)、臭化銅(II)(5.7mg)、2,2‘−ビピリジン(39.1mg)を秤量した。3mLのアセトンを用いて希釈し、十分に溶液中の酸素を窒素で除去後、ウォーターバスを用いて50度に昇温した後、重合開始剤として2−ブチルイソ酪酸エチル(19.5mg)を加え、反応は50度で6時間行った。反応終了後、ヘキサンを用いて再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥により、褐色の粘性体の光反応性ポリマーを得た。得られたポリマーは、Mn=33,000、Mw/Mn=1.6であり、組成比はm/(m+n)の値が0.07であった。
実施例52で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は96%だった。
実施例53で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は44°であった。
実施例52で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例55で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
参考例1で製造した3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートの代わりに参考例2で製造した3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして下記構造式(7)に示す光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=109,000、Mw/Mn=5.2だった。組成比は、1H NMRにて、PEGMA由来の−OCH3ピーク(3.36−3.40,br,3H)と、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリレート由来のメチレンピーク(2.00−2.17,br,2H)の積分比によって決定し、下記構造式(8)において、m/(m+n)の値が0.05であった。
実施例58 [疎水性ポリマー基材表面への固定化]
実施例57で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は92%だった。
実施例58で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は47°であった。
実施例57で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例60で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
参考例1で製造した3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートの代わりに参考例3で製造した4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして下記構造式(8)に示す光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=61,000、Mw/Mn=2.5だった。組成比は、1H NMRにて、PEGMA由来の−OCH3ピーク(3.36−3.40,br,3H)と、4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリレート由来の芳香環ピーク(6.86−6.71,br,4H)の積分比によって決定し、下記構造式(8)において、m/(m+n)の値が0.09であった。
実施例63 [疎水性ポリマー基材表面への固定化]
実施例62で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は94%だった。
実施例63で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は44°であった。
実施例62で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例65で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(数平均分子量=300)の代わりに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を用いたこと以外は実施例1と同様にして下記構造式(9)に示す光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=44,000、Mw/Mn=2.6だった。組成比は、1H NMRにて、MPC由来の−N(CH3)3ピーク(3.20−3.45,br,9H)と、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート由来の芳香環ピーク(6.86−6.71,br,4H)の積分比によって決定し、下記構造式(9)において、m/(m+n)の値が0.08であった。
実施例67で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は95%だった。
実施例68で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は32°であった。
実施例67で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例70で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレートの数平均分子量を300から4000に換え、仕込み量を72gとしたこと、重合時間を24時間にしたこと以外は実施例1と同様にして光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=11,000、Mw/Mn=1.3であり、m/(m+n)の値が0.10であった。
実施例72で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は93%だった。
実施例73で調製した表面改質フィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は42°であった。
実施例72で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例75で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.4μg/cm2だった。
未処理のPVDFフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は82°であった。
未処理のPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、63μg/cm2だった。
3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートの代わりに3−(4−アジドフェニルカルボキシ)エチルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして下記構造式(9)に示す光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=72,000、Mw/Mn=3.5だった。組成比は、1H NMRにて、PEGMA由来の−OCH3ピーク(3.36−3.40,br,3H)と、3−(4−アジドフェニルカルボキシ)エチルメタクリレート由来の芳香環ピーク(8.00−8.11,7.09−7.17,br,2H)の積分比によって決定し、下記構造式(10)において、m/(m+n)の値が0.09であった。光反応性ポリマーの構造式(11)
比較例4 [疎水性ポリマー基材表面への固定化]
比較例3で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例3と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は11%だった。
比較例3で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は62°であった。
比較例3で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
比較例6で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、47μg/cm2だった。
UVの照射時間を2秒(21mJ/cm2)から5秒(52.5mJ/cm2)に変えた以外は、比較例4と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は23%だった。
比較例8で表面を改質したフィルムを用いた以外は比較例5と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は59°であった。
UVの照射時間を2秒(21mJ/cm2)から5秒(52.5mJ/cm2)に変えた以外は、比較例6と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
比較例10で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は比較例7と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、38μg/cm2だった。
UVの照射時間を2秒(21mJ/cm2)から30秒(315mJ/cm2)に変えた以外は、比較例4と同様にしてフィルムへの光反応性ポリマーの固定化を行ったところ、固定化率は42%だった。
比較例12で表面を改質したフィルムを用いた以外は比較例5と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は57°であった。
UVの照射時間を2秒(21mJ/cm2)から30秒(315mJ/cm2)に変えた以外は、比較例6と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
比較例14で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は比較例7と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、29μg/cm2だった。
3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートの代わりに2−(4−アジドフェノキシ)エチルメタクリレート(参考例1において3−ブロモ−1−プロパノールに代えて2−ブロモ−1−エタノールを用い、同様の方法で製造)を用いた以外は実施例1と同様にして下記構造式(12)に示す光反応性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、Mn=60,000、Mw/Mn=2.7だった。組成比は、1H NMRにて、PEGMA由来の−OCH3ピーク(3.36−3.40,br,3H)と、2−(4−アジドフェノキシ)エチルメタクリレート由来の芳香環ピーク(6.86−6.71,br,4H)の積分比によって決定し、m/(m+n)の値が0.08であった。
比較例16で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行ったところ、光反応性ポリマーの固定化率は55%だった。
比較例17で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は57°であった。
比較例16で合成した光反応性ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
比較例19で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、27μg/cm2だった。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で示される構造を有し、数平均分子量が1,000〜1,000,000である光反応性ポリマー。
- m/(m+n)の値が0.02〜0.7である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光反応性ポリマー。
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