I. 概要
ADAMTSタンパク質(すなわち、ADAMTS−1〜ADAMTS−20)は、共通のモジュラードメイン構成を共有する分泌亜鉛メタロプロテイナーゼのファミリーである(概説については、Flannery C.R.,Front Biosci.2006 Jan 1;11:544−69を参照)。ADAMTSタンパク質は全て、共通のコアドメイン構造を共有し、シグナルペプチド、次いで、プロドメイン、亜鉛依存性メタロプロテイナーゼ触媒ドメイン、ディスインテグリン様ドメイン、トロンボスポンジンI型反復、高システインドメイン、およびスペーサードメインから成る(Apte S.S.,J Biol Chem.2009 Nov 13;284(46):31493−7)。加えて、ADAMTS−4を除く全ては、少なくとももう1つのトロンボスポンジンI型反復ドメインを含有し、ADAMTSタンパク質の多くは、1つ以上のさらなる補助的なドメインを含有する。特に、全てのADAMTSタンパク質は、メタロプロテイナーゼ触媒ドメイン内に位置する少なくとも1つのカルシウム結合部位と、少なくとも1つの亜鉛結合部位とを含有するように思われることが報告されている(Andreini et al.,J.Proteome Res.,2005,4(3),pp881−888)。
ADAMTSタンパク質の生物学的役割は、血管新生抑制、間質性腎線維症、骨再形成、卵巣濾胞形成、粥状動脈硬化、泌尿生殖器発達、および腫瘍増殖/再造形(ADAMTS−1);エーラースダンロス症候群7C型、およびウシ皮膚脆弱症(ADAMTS−2);関節炎、粥状動脈硬化、および腱障害(ADAMTS−4);関節炎および膠芽腫(ADAMTS−5);関節炎(ADAMTS−7);血管新生抑制、脳悪性病変、関節炎、および粥状動脈硬化(ADAMTS−8);関節炎(ADAMTS−9,−12);血栓性血小板減少性紫斑病(ADAMTS−13);ならびに抗血栓症/脳卒中(ADAMTS18)を含む、種々の疾患および状態について報告されている(概説については、Lin and Liu,Open Access Rheumatology Research and Reviews2009:1 121−131を参照)。
組み換えADAMTS13(A13)は、これまで哺乳類細胞中で発現されているが、比活性は、細胞培養条件により広範に変動する。多くの市販の培養培地は、FRETS−VWF73アッセイにより測定される活性の、ELISAによって決定した抗原含量に対する比率として表現される、高比活性を有するA13の発現に十分ではないことが分かっている。一態様において、本明細書に提供される方法は、全活性および比活性の増加したレベルを有するA13の細胞培養発現を可能にする、いくつかの有利な所見に基づく。
本明細書に記載される試験は、培養培地中に約0.5mM〜約1.5mMの特定の最低濃度のカルシウムが、活性A13の発現に必要とされることを示す。加えて、培養培地を増加したレベルの亜鉛で補充することにより、得られた発現したA13タンパク質が高い全活性および比活性を有したことが分かった。例えば、DMEM/F12系培地等の、標準的な既知組成培地に見られる濃度と比較して、通常の濃度の2〜3倍のさらなる亜鉛で補充された培養において、A13の比活性は有意に増加した。さらに、A13の比活性におけるさらなる増加は、ニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度を標準的なDMEM/F12系培地の約2mg/Lから約7mg/Lに増加することにより達成され得る。さらなるカルシウム、亜鉛、および/またはニコチンアミドで補充された培地中で、組み換えCHO細胞またはHEK293細胞を培養することにより、少なくとも約500mU/μg、1000mU/μg、最大約2000mU/μgの比活性が、組み換えヒトA13の大規模な発現培養において達成され得る。組み換えにより産生されたA13タンパク質の比活性のこれらのレベルは、以前に報告されていない。有利に、A13活性の増加したレベルは、動物由来の成分を含まない既知組成培地において達成され、薬学的配合物のタンパク質の産生に適した大規模でのADAMTSタンパク質の一貫した再現性のある発現を可能にする。さらに、これらの培地は、組み換えタンパク質、例えば、インスリンさえ含まず、薬学的投与用の配合物においてより安全に使用され得る産物をもたらす。
本開示は、標準的な限外/透析濾過および他の精製ステップ中の活性および比活性の損失を防止する方法も提供する。有利に、透析濾過に使用される緩衝液をさらなるカルシウムおよび亜鉛で補充することにより、FRETS−VWF73アッセイによって測定して、A13活性の損失において、有意な減少が達成され得ることが分かった。
したがって、分泌メタロプロテイナーゼのADAMTSファミリー間の共通した構造−機能関係により、本発明によって提供される方法は、細胞培養中の全てのADAMTSタンパク質の発現、および細胞培地からの回収を可能にする。
II. 定義
本明細書に使用される、「ビタミンB3」、「ニコチンアミド」、「ナイアシンアミド」、「ナイアシン」、および「ニコチン酸」という用語は、ビタミンのB3ファミリーのいずれの成員を指すために、交換可能に使用され得る。したがって、本ファミリーのいずれの成員も、本発明の方法に使用される培地を補充するために使用され得る。
本明細書に使用される、「ADAMTSタンパク質」とは、メタロプロテイナーゼのトロンボスポンジンI型モチーフファミリーを伴うディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼのポリペプチドを指す。本ファミリーの成員は、ヒトタンパク質ADAMTS1(NM_006988)、ADAMTS2(NM_014244;NM_021599)、ADAMTS3(NM_014243)、ADAMTS4(NM_005099)、ADAMTS5(NM_007038)、ADAMTS6(NM_014273)、ADAMTS7(NM_0142727)、ADAMTS8(NM_007037)、ADAMTS9(NM_182920;NM_182921;NM_020249)、ADAMTS10(NM_030957)、ADAMTS12(NM_030955)、ADAMTS13(NM_139025;NM_139026;NM_139027;NM_139028)、ADAMTS14(NM_139155;NM_080722)、ADAMTS15(NM_139055)、ADAMTS16(NM_139056),ADAMTS17(NM_139057)、ADAMTS18(NM_199355;NM_139054)、ADAMTS19(NM_133638)、およびADAMTS20(NM_025003,NM_175851)を含む。ADAMTSタンパク質は、完全長タンパク質、および少なくとも部分的な生物学的活性、例えば、完全長タンパク質により示される活性、特に、完全長タンパク質により示されるプロテアーゼ活性の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上を示す、部分ポリペプチドの双方を含む。特定の場合において、ADAMTSタンパク質は、例えば、酵素的手段もしくは化学的手段によって、生体内または生体外のいずれかにおいて翻訳後修飾される。本発明のADAMTSタンパク質は、選択的にスプライスされたイソ型、保存的修飾されたタンパク質、実質的に同一のタンパク質、ホモログ等を含むことを理解する。
本発明の内容において、ADAMTSタンパク質は、例えば、霊長類、ヒト、サル、ウサギ、ブタ、ゲッ齒、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、イヌ、ネコ、およびそれらの生物学的に活性な誘導体等の、哺乳類からのADAMTSファミリーのいずれ成員のをも包含する。活性を有する変異体および異型ADAMTSタンパク質も包含され、ADAMTSタンパク質の機能的断片および融合タンパク質も同様である。さらに、本発明のADAMTSタンパク質は、精製、検出、またはその双方を促進するタグをさらに含む場合がある。本明細書に記載されるADAMTSタンパク質は、生体外または生体内における治療成分または撮像に適した成分でさらに修飾され得る。
本明細書に使用される、「ADAMTS13タンパク質」とは、ADAMTS13活性、特に、VWFの残基Tyr−842とMet−843との間のペプチド結合を切断する能力を有するあらゆるタンパク質またはポリペプチドを指す。例示的な実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、NP_620594(ADAMTS13イソ型1、プレプロタンパク質)、またはNP_620594(ADAMTS13イソ型1、成熟ポリペプチド)のアミノ酸75〜1427に高度に類似するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。別の実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、NP_620596(ADAMTS13イソ型2、プレプロタンパク質)、またはNP_620594(ADAMTS13イソ型2、成熟ポリペプチド)のアミノ酸75〜1371に高度に類似するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。また別の実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、NP_620595(ADAMTS13イソ型3、プレプロタンパク質)、またはNP_620595(ADAMTS13イソ型1、成熟ポリペプチド)のアミノ酸75〜1340に高度に類似するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本明細書に使用される、ADAMTS13タンパク質は、vWF切断活性を有する天然変異形、およびvWF切断活性を有する人工構築物を含む。本明細書に使用される、ADAMTS13は、ある基礎活性を保持する、あらゆる天然変異形、代替配列、イソ型、または変異体タンパク質を包含する。ヒト集団に認められるADAMTS13変異の例は、これらに限定されないが、R7W、V88M、H96D、R102C、R193W、T196I、H234Q、A250V、R268P、W390C、R398H、Q448E、Q456H、P457L、C508Y、R528G、P618A、R625H、I673F、R692C、A732V、S903L、C908Y、C951G、G982R、C1024G、A1033T、R1095W、R1123C、C1213Y、T1226I、G1239V、R1336Wを含み、それらの多くは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に関連して認められる。ADAMTS13タンパク質は、翻訳後修飾を含有するポリペプチドも含む。例えば、ADAMTS13は、残基614、667、および1354で、N−アセチルグリコサミン(GlcNAc)によって修飾されることが示され、残基142、146、552、579、707、828、および1235もこの様式で修飾され得ることが予測されている。
タンパク分解的に活性の組み換えADAMTS13は、それらの開示が、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Plaimauerら(2002,Blood.15;100(10):3626−32)、および第US2005/0266528号に記載される、哺乳類細胞培養での発現によって調製され得る。細胞を発現するADAMTS13の組み換え培養の方法は、Plaimauer B,Scheiflinger F.(Semin Hematol.2004 Jan;41(1):24−33、その開示は、全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
本明細書に使用される、「1単位のADAMTS活性」は、使用されるアッセイに関わらず、1mLの貯蔵された正常なヒト血漿中の活性量として定義される。例えば、ADAMTSタンパク質がADAMTS13である時、1単位のADAMTS13 FRETS−VWF73活性は、1mLの貯蔵された正常なヒト血漿により切断されるのと同じ量のFRETS−VWF73基質を切断するのに必要な活性量である(Kokame et al.,Br J Haematol.2005 Apr;129(1):93−100)。好都合に、ADAMTS13活性は、ADAMTS13の基質として、改変フォンビルブランド因子ペプチドを利用する機能アッセイ等の、機能アッセイにより決定され得る(Tripodi et al.J Thromb Haemost.2008 Sep;6(9):1534−41)。組み換えヒトADAMTS13活性を決定する好ましい方法は、Gerritsenら(Assay of von Willebrand factor(vWF)−cleaving protease based on decreased collagen binding affinity of degraded vWF:a tool for the diagnosis of thrombotic thrombocytopenic purpura(TTP).Thromb Haemost 1999;82:1386−1389)に開示されている。一実施形態において、上に定義されるADAMTS13タンパク質と見なされるためには、ポリペプチドまたはタンパク質は、天然ADAMTS13の少なくとも1%のvWF切断活性を有さなければならない。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、天然ADAMTS13の少なくとも10%の活性を含有する。また別の実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、天然ADAMTS13の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、、または100%の活性を含有する。ADAMTS13タンパク質の量は、例えば、Riegerら(2006,Thromb Haemost.2006 95(2):212−20)に開示されるELISA方法を使用して、ADAMTS13抗原の測定によっても決定され得る。
本明細書に使用される、「μgのADAMTS13」または「μgのADAMTS13抗原」とは、1mLの貯蔵された正常なヒト血漿と同じレベルの、ELISAアッセイにより検出可能なタンパク質を提供するADAMTS13の量を意味する。これは、1mgのADAMTS13が1mLの正常なヒト血漿に存在するという公表推定値に基づき、したがって、近似測定値である。
本明細書に使用される、「生物学的に活性な誘導体」という用語は、ADAMTSタンパク質に関連して使用される時、組み換えDNA技術を介して得られたポリペプチドも包含する。これは、(i)例えば、RNAの逆転写および/またはDNAの増幅を介した遺伝子組み換えによる組み換えDNAの産生、(ii)形質移入により、すなわち、電気穿孔または微量注入法を介して、組み換えDNAを原核細胞または真核細胞に導入する、(iii)例えば、連続または回分方式で、前記形質転換細胞を培養する、(iv)例えば、構成的に、または誘発により、ADAMTSタンパク質を発現させる、および(v)例えば、培養培地から、または形質転換された細胞を採取することにより、前記ADAMTSタンパク質を単離し、これは、(vi)例えば、イオン交換クロマトグラフィ、分子ふるいクロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ等を介して、実質的に精製された組み換えADAMTSタンパク質を得るためである分野において公知のあらゆる方法を含み得る。「生物学的に活性な誘導体」という用語は、例えば、哺乳類、特にヒトの循環系中のADAMTSタンパク質の半減期等の生物学的/薬学的性質を改善するために、第2のポリペプチド、例えば、免疫グロブリンFcドメインまたはアルブミンドメインと組み合わせた、例えば、ADAMTSタンパク質またはその機能断片等のキメラ分子も含む。
本明細書に使用される、「限外濾過」という用語は、静水圧が半透膜に対して液体を通過させる、種々の膜濾過法を包含する。浮遊した固体および高分子量の溶質は、保持され、一方、水および低分子量の溶質は膜を通過する。この分離プロセスは、巨大分子(103〜106Da)溶液、特にタンパク質溶液を精製し、濃縮するために使用されることが多い。それらが保持する分子の大きさに応じて、いくつかの限外濾過膜が利用可能である。限外濾過は、通常、2nm〜0.05μmの間の膜孔経、および1〜10バールの間の圧力で操作されることを特徴とし、コロイド様タンパク質を糖類および塩類等の小分子から分離するために特に有用である。逆に、ナノ濾過は、通常、0.5〜2nmの間の膜孔経、および5〜40バールの間の圧力で操作されることを特徴とする、別の圧力駆動濾過法である。ナノ濾過は、一方では、糖類、他の有機分子と多価塩との間、他方では、一価塩と水との間の分離を達成するために頻繁に使用される。一般に、限外濾過は、全量濾過様式または接線流濾過(TFF)様式のいずれかで実施され得る。
本明細書に使用される、「透析濾過」という用語は、別の膜濾過法を指し、時折、接線流濾過(TFF)とも呼ばれ、液体は、限外濾過膜の表面に沿って接線方向に送り込まれる。通常、保持液は、膜を通過した後透析濾過緩衝液で希釈され、その後、連続流動プロセスで膜に戻される。一般に、透析濾過は、全量濾過様式または接線流濾過(TFF)様式のいずれかで実施され得る。そのため、単一系が、最初に限外濾過を使用して試料を濃縮し、次に透析濾過によって緩衝液の交換を実施するために、限外濾過および透析濾過操作の双方に使用され得る。
本明細書に使用される、「ポリアミン」という用語は、炭素、窒素、および水素から成る有機化合物の基のいずれかを指し、2つ以上のアミノ基を含有する。例えば、本用語は、カダベリン、プトレシン、アグマチン、オルニチン、スペルミン、およびスペルミジンから成る群より選択される分子を包含する。
ADAMTSタンパク質の発現に使用される既知組成培養培地の特定の実施形態において、ポリアミンの濃度は、培地中、約0.5mg/L〜約30mg/L、または約0.5mg/L〜約20mg/L、または約0.5mg/L〜約10mg/L、または約1mg/L〜約10mg/L、または約2mg/L〜約10mg/L、または約2mg/L〜約8mg/L、または約2mg/L〜約5mg/Lの範囲の濃度で存在する。具体的な実施形態の1つにおいて、ポリアミンは、約2mg/L〜約8mg/Lの濃度のプトレシンである。
本明細書に使用される、「既知組成培地」という用語は、全ての成分が何であるか、およびその濃度が分かっている合成増殖培地を指す。既知組成培地は、個々の植物または動物由来の成分(例えば、タンパク質、ポリペプチド等)を含む場合も含まない場合もあるが、細菌、酵母、動物、または植物の抽出物を含有しない。市販の既知組成培地の例としては、種々のEX−CELL(登録商標)培地(SAFC Biosciences,Inc)、種々のダルベッコ変法イーグル(DME)培地(Sigma−Aldrich Co;SAFC Biosciences,Inc)、Ham’s Nutrient Mixture(Sigma−Aldrich Co;SAFC Biosciences,Inc)等が挙げられるが、これらに限定されない。既知組成培養培地を調製する方法は、例えば、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号等、当該分野において公知であり、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に使用される、「オリゴペプチドを含まない培養培地」という用語は、タンパク質加水分解物に由来するオリゴペプチド等の、オリゴペプチドを含まない、タンパク質を含まない培地を指す。一実施形態において、培地は、20以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明の一実施形態において、培地は、15以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明の別の実施形態において、培地は、10以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。一実施形態において、培地は、7つ以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。別の実施形態において、培地は、5つ以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。さらに別の実施形態において、培地は、3つ以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。本発明のさらなる実施形態によると、培地は、2つ以上のアミノ酸を有するオリゴペプチドを含まない。オリゴペプチドを含まない培養培地の調製方法は、例えば、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号等、当該分野において公知であり、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に使用される、「無血清培養培地」という用語は、動物血清で補充されていない培養培地を指す。多くの場合、無血清培地は、既知組成培地であるが、無血清培地は、個別の動物もしくは植物タンパク質、またはタンパク質分画で補充され得る。無血清培養培地の調製方法は、例えば、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号等、当該分野において公知であり、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に使用される、「動物性タンパク質を含まない培養培地」という用語は、動物血清、タンパク質、またはタンパク質分画で補充されない培養培地を指す。多くの場合、動物性タンパク質を含まない培養培地は、既知組成培地であるが、動物性タンパク質を含まない培地は、植物または酵母の加水分解物を含有し得る。動物性タンパク質を含まない培養培地の調製方法は、例えば、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号等、当該分野において公知であり、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
「発現ベクター」とは、核酸構築物であり、宿主細胞中の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸要素とともに、組み換えにより、または合成により生成される。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、または核酸断片の一部であり得る。通常、発現ベクターは、操作可能にプロモーターに連結される、転写される核酸を含む。
「異種性」という用語は、核酸の一部に関して使用される時、核酸が自然には相互に同じ関係で認められない2つ以上のサブ配列を含むことを意味する。例えば、核酸は、通常、組み換えにより産生され、新しい機能性核酸を作製するように配置される無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、例えば、1つの供給源からのプロモーターと別の供給源からのコード領域を有する。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が自然には相互に同じ関係で認められない2つ以上のサブ配列を含む(例えば、融合タンパク質)ことを意味する。
「プロモーター」は、核酸の転写を指示する一連の核酸制御配列として定義される。本明細書に使用される、プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合のTATA要素等の、転写の開始部位の近くの必須核酸配列を含む。プロモーターは、任意に、遠位エンハンサーまたは抑制要素も含み、これは、転写の開始部位から数千塩基対ほどに位置し得る。「構成」プロモーターは、大半の環境および発達条件下で活性であるプロモーターである。「誘発可能」プロモーターは、環境または発達調節下で活性であるプロモーターである。「操作可能に連結される」という用語は、核酸発現制御配列(プロモーターまたは一連の転写因子結合部位)と第2の核酸配列との間の機能的連結を指し、発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の転写を指示する。
本明細書に使用される、「約」という用語は、指定された値のプラスまたはマイナス10%のおおよその範囲を表す。例えば、「約20%」という用語は、18〜22%の範囲を包含する。
III. ADAMTSタンパク質発現
一態様において、本発明は、高比活性を有するトロンボスポンジンモチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS)タンパク質を発現させる方法を提供する。一実施形態において、方法は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも1つの成分で補充された培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。具体的な実施形態において、ADAMTSタンパク質は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも2つの成分で補充された培地中に発現する。また別の実施形態において、培養培地は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質の発現に使用される培養培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成培地を含む場合がある。
一態様において、方法は、ADAMTSタンパク質の産生のために提供される。一実施形態において、方法は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミドのうちの少なくとも1つで補充された培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養するステップと、培養物から上清の分画を除去するステップと、あらゆる残留細胞を除去するために遠心分離または濾過のステップを実施するステップと、ADAMTSタンパク質を濃縮するために、限外濾過ステップを実施するステップと、少なくともカルシウムまたは亜鉛を含む緩衝液を用いて透析濾過ステップを実施するステップと、を含む。一部の実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも、約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0.75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM、または5mMカルシウム超であり得る。他の実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM、または10μM亜鉛超であり得る。特定の実施形態において、採取物、細胞を含まない上清、または透析濾過緩衝液は、上述の濃度でカルシウムおよび亜鉛の組合物を含有する。特定の実施形態において、限外濾過および/または透析濾過膜のカットオフは、例えば、約150kD、または125kD、または100kD、または75kD、または50kD、または30kD、または10kD、または10kD未満であり得る。ある実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13またはその生物学的に活性な誘導体である。具体的な実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、ヒトADAMTS13タンパク質またはその生物学的に活性な誘導体である。特定の実施形態において、本方法に使用される培養培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成培地であり得る。
一実施形態において、方法は、イオン交換クロマトグラフィ、分子ふるいクロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、および疎水性相互作用クロマトグラフィから成る群から選択される精製ステップをさらに含む。
また別の実施形態において、亜鉛補充は、亜鉛を含有するタンパク質またはポリペプチド調製物を追加することにより提供され得る。例えば、通常のインスリンの調製物は、Medscapeサーバ上で見つけられる、組み換えヒトインスリンであるNovolin N InnoLet SubQの詳細な論文から計算して、約1mg/L〜約10mg/Lの間のインスリンでの培地補充は、約0.03μM〜約1.5μMの亜鉛の補充ももたらすであろう濃度で亜鉛を含有する。したがって、一実施形態において、ADAMTSタンパク質の発現に使用される培養培地は、亜鉛含有インスリン調製物で補充され得る。
本明細書に開示される亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される、宿主細胞系を培養するために選択される基礎培地は、本発明には重要ではなく、哺乳類細胞を培養するのに適した、当該分野において公知のもののうちのいずれか1つ、またはその組み合わせであり得る。ダルベッコ変法イーグル培地、HamのF−12培地、イーグル最小必須培地、およびRPMI−1640培地等の培地は、市販されている。組み換えインスリン等の増殖因子の追加は任意である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現する細胞を培養するために使用される基礎培地は、1つ以上の市販の既知組成培地、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)およびHamのF−12の混合物を含む場合があり、これは、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)以外の1つ以上の成分で補充されている。市販の培地を補充するために使用され得る成分の例としては、必須アミノ酸(例えば、グルタミン)、非イオン性界面活性剤(例えば、Synperonic)、一級アミン(例えば、エタノールアミン)、ポリアミン(例えば、プトレシン)、微量金属(例えば、イオン)、および緩衝剤(例えば、重炭酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態において、培地は、表1に提供されるBCS培地である。別の具体的な実施形態において、培地は、BACD培地、例えばBACD−A13培地である。
歴史的に、動物細胞は、動物血清を含有する培地で培養されてきた。しかしながら、そのような培地は、定義が不完全であり、感染のリスクがある。したがって、当業者は、いずれのタンパク質を完全に含まない、または少なくとも組み換えにより産生されないいかなるタンパク質も含まない、「タンパク質を含まない」培地を考案した。ヒト血清アルブミンは、組み換えタンパク質の産生のために、無血清培養補充物として一般に使用される。好ましい培地は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に開示されるものを含む。
任意に、ポリプロピレングリコール(例えば、Pluronic(登録商標)F−61、Pluronic(登録商標)F−68、Pluronic(登録商標)F−71、Pluronic(登録商標)F−108、またはSynperonic(登録商標))等の非イオン性界面活性剤が、消泡剤として培地に追加され得る。この薬剤は、一般に、細胞を通気の負の作用(「散布」)から保護するために適用される。非イオン性界面活性剤の量は、0.05〜10g/Lの間、好ましくは、0.1〜5g/Lの間の範囲であり得る。
第US6 936 441号の培地は、CHO細胞の培養に特に良く適しているが、他の細胞にも使用され得る。さらに適した培地は、米国特許出願第2007/0212770号(Baxter International Inc.,Baxter Healthcare S.A.)に開示されるオリゴペプチドを含まない培地である。
一実施形態において、本発明は、トロンボスポンジンモチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも約2μMの濃度の亜鉛、または少なくとも約0.5mMの濃度のカルシウムのうちの少なくとも1つを含む培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS1である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS2である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS3である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS4である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS5である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS6である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS7である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS8である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS9である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS10である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS11である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS12である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS14である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS15である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS16である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS17である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS18である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS19である。別の実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS20である。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μMの亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μM〜約12μMの間の亜鉛を含有する。また別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約5μMの亜鉛を含有する。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約5μM〜約12μMの間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.5mMのカルシウムを含有する。また別の実施形態において、培養培地は、約0.5mM〜約1.5mMの間のカルシウムを含有する。一実施形態において、培養培地は、少なくとも2μMの亜鉛と、少なくとも約0.5mMのカルシウムとを含有する。
また他の実施形態において、ニコチンアミド(ビタミンB3)の追加は、細胞培養中のADAMTSタンパク質の発現および比活性をさらに強化することが分かった。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)をさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)をさらに含む。また別の実施形態において、培養培地は、約2mg/L〜約10mg/Lの間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。
特定の実施形態において、培養培地は、動物性タンパク質を含まない培養培地である。別の実施形態において、培養培地は、既知組成培地である。特定の実施形態において、培養培地は、1つ以上のポリアミンを含む場合がある。特定の実施形態において、ポリアミンは、例えば、少なくとも0.5mg/Lの濃度のプトレシンである。具体的な実施形態において、培養培地は、約2mg/L〜約8mg/Lの間のプトレシンを含有する。
特定の実施形態において、培養に使用される細胞または細胞系は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、または哺乳類細胞である。具体的な実施形態において、細胞系は、ヒト細胞系、ハムスター細胞系、またはマウス細胞系である。より具体的な実施形態において、細胞系は、CHO、BHK、またはHEK細胞系である。好ましい実施形態において、細胞系は、CHO細胞系である。
特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質をコードする核酸は、ADAMTSタンパク質をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結される制御配列を含む。一実施形態において、制御配列はプロモーターである。特定の実施形態において、プロモーターは、構成プロモーターである。他の実施形態において、プロモーターは、誘導可能プロモーターである。
特定の実施形態において、本明細書に提供される方法は、連続細胞培養系(すなわち、連続細胞培養)の使用を含む。一実施形態において、連続培養系は、ケモスタット培養系(すなわち、ケモスタット細胞培養)である。別の実施形態において、連続培養系は、タービドスタット培養系(すなわち、タービドスタット細胞培養)である。また別の実施形態において、連続培養系は、灌流培養系(すなわち、灌流細胞培養)である。特定の実施形態において、連続培養系は、浮遊様式で操作され得る。他の実施形態において、連続培養系は、付着様式で操作され得る。特定の実施形態において、付着様式は、マイクロキャリア、例えば、多孔質マイクロキャリアの使用を含む。
特定の実施形態において、本明細書に提供される方法は、回分細胞培養系(すなわち、回分細胞培養)の使用を含む。一実施形態において、回分培養系は、単一回分培養系(すなわち、単一回分細胞培養)である。別の実施形態において、回分培養系は、流加培養系(すなわち、流加細胞培養)である。また別の実施形態において、回分培養系は、反復回分培養系(すなわち、反復回分細胞培養)である。特定の実施形態において、回分培養系は、浮遊様式で操作され得る。他の実施形態において、回分培養系は、付着様式で操作され得る。特定の実施形態において、付着様式は、マイクロキャリア、例えば、多孔質マイクロキャリアの使用を含む。
特定の実施形態において、培養は、約35℃〜約37℃の間の温度で維持される。他の実施形態において、培養は、約6.9〜約7.3の間のpHで維持される。具体的な実施形態において、培養は、約7.05〜約7.15の間のpHで維持される。
特定の実施形態において、本明細書に提供される方法は、培養培地中で、1mgADAMTS13タンパク質当り少なくとも600Uの比活性を有するADAMTS13タンパク質をもたらす(すなわち、ADAMTS13の発現)。他の実施形態において、比活性は、1mgADAMTS13タンパク質当り少なくとも800Uである。他の実施形態において、比活性は、1mgADAMTS13タンパク質当り少なくとも1000Uである。他の実施形態において、比活性は、1mgADAMTS13タンパク質当り少なくとも1500Uである。他の実施形態において、比活性は、1mgADAMTS13タンパク質当り少なくとも2000Uである。
他の実施形態において、本方法は、1日につき1Lの培養物当り少なくとも400U(U/L/D)のADAMTS13活性をもたらす培養物を提供する。一実施形態において、本方法は、1日につき1Lの培養物当り少なくとも800U(U/L/D)のADAMTS13活性をもたらす培養物を提供する。
A. ADAMTS13
一態様において、本発明は、増加した全活性および/または比活性を有するADAMTS13タンパク質を発現させるための方法を提供する。有利に、カルシウム、亜鉛、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で増殖培地を補充することにより、高比活性を有するADAMTS13ポリペプチドは、細胞培養物から組み換えにより発現し、回収され得ることが分かった。
ADAMTS13を発現させる方法は、国際公開第2009/086309号に提供されており、その開示は、全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本参照文献は、適切な方法および培養条件を説明し、これは、培養の持続期間を通して維持され得る。本明細書に記載される、ADAMTS13タンパク質の発現に使用される細胞培養物は、一般に、34℃〜37℃の間の温度で、または約その温度の間で、および6.8〜7.3のpHで、または約そのpHの間で維持される。
培養温度およびpHを監視する手段は、当該分野において周知であり、一般に、生物反応器の中に挿入されるか、培養培地が循環されるループに含まれるか、または抽出された培養培地の試料の中に挿入されるプローブに依存する。適切なインラインpHセンサは、Mettler Toledo InPro 3100/125/Pt100センサ(Mettler−Toledo Ingold,Inc.,Bedford,MA)を含む。センサを所定のレベルで保つために、指定されたパラメータを変更する手段も周知である。例えば、温度を一定に保つことは、通常、生物反応器または供給培地(流加または連続プロセスの場合)を加熱する、または冷却することを含み、pHを一定に保つことは、通常、適切な緩衝液(通常、重炭酸)を選択し、それを十分に供給し、塩酸等の酸、または水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ、もしくはそれらの混合物を必要に応じて供給培地に追加することを含む。インラインpHプローブの較正は、細胞が培養される数日または数週間にわたって等の、時間とともに変動し得ることもある。その場合には、最近較正されたオフラインプローブから得た測定値を使用することによって、インラインプローブをリセットすることが有益であり得る。
一実施形態において、方法は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも1つの成分で補充された培養培地中で、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。具体的な実施形態において、ADAMTSタンパク質は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも2つの成分で補充された培地中に発現する。また別の実施形態において、培養培地は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一部の実施形態において、培養培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成培養培地であり得る。
1. 亜鉛の補充
有利に、増加したADAMTS13酵素活性および比活性は、亜鉛で補充された培地で増殖させた細胞培養物から回収され得ることが分かった。例えば、実施例1は、1.432mg/LのZnSO4・7H2O(5μMの亜鉛)を含有する培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質が、0.432mg/LのみのZnSO4・7H2O(1.5μMの亜鉛)を含有する培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質より40%〜100%高い比活性を有することを示す(表10および表11を比較)。さらに、この効果は、実施例2(表13および表14を比較)、実施例4(表16〜表19)、および実施例5(表20および表21)に示されるように、再現可能である。
したがって、一態様において、本発明は、亜鉛で補充された、例えば、少なくとも2μMの亜鉛を含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した比活性を有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための方法を提供する。同様に、本発明は、亜鉛で補充された、例えば、少なくとも2μMの亜鉛を含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した全活性または比活性を有するADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を調製するための方法も提供する。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、培養培地は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有し得る。適切な亜鉛の濃度範囲は、一般に、高濃度の亜鉛、例えば、20μM超、25μM超、30μM超、40μM超等の濃度の存在下で生じ得る細胞培養毒性により決定される。当業者に理解されるように、亜鉛濃度が特定の培養系に対してどの程度抑制的であるかは、他の要因の中でも、特に、ADAMTSタンパク質を発現させるために使用される細胞の種類、利用される培養培地の成分、および培養に利用される操作様式(例えば、回分対連続、浮遊対付着、ケモスタット対灌流等)に依存する。特定の場合において、高亜鉛濃度は、培養培地の成分が溶液から亜鉛を隔離する場合に、例えば、培養培地がアルブミンを含有する場合、必要とされ得る。したがって、適切な亜鉛の濃度範囲は、一般に、利用される培養された細胞、培地、および操作様式が何であるかによって決定される。当業者は、利用される個々の培養系に基づき、亜鉛補充の使用における適切な上限を容易に決定することができるであろう。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含有する動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。また別の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有し得る。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含有する既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、既知組成培養培地は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、既知組成培養培地は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。また別の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有し得る。特定の実施形態において、既知組成培地は、動物由来タンパク質および/またはポリペプチドを含まない。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。また別の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度は、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、またはその間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。また別の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるために使用される培養培地は、少なくとも約2μM〜少なくとも約12μMの最終濃度で、亜鉛で補充され得る。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μM、または少なくとも約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上のレベルの亜鉛の最終濃度で、亜鉛で補充され得る。一般に、いかなる亜鉛塩も本発明の培地を補充するために使用され得、許容される塩の例としては、ZNSO4・7H2O、ZNSO3・2H2O、(C6H5O7)2ZN3・2H2O、ZNBR2、ZNBR2・2H2O、ZNCL2、ZN(NO3)2・6H2O、ZN(H2PO4)2・H2O、(C2H3O2)2ZN・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、薬学的に許容される亜鉛の塩が、本発明の培養培地を補充するために使用される。
2. カルシウムの補充
有利に、増加したADAMTS13酵素活性および比活性は、カルシウムで補充された培地で増殖させた細胞培養物から回収され得ることが分かった。従来の細胞培養培地、例えば、DMEM/F12は、通常、約1mMのカルシウムを含有した。歴史的に、これらの高カルシウムレベルは、付着細胞培養物を補助するために、培地中に導入された。しかしながら、今日、浮遊培養用に設計された市販の培地は、非常に低いカルシウムレベル、例えば、約0.1mMのカルシウムを含有する。浮遊法を介して培養される細胞の凝集を防止するために、そのような低カルシウムレベルに依存する。低カルシウムレベルは、浮遊液中で細胞を繁殖させ、組み換えタンパク質を発現させるために十分であることが知られているが、本発明は、これらの低カルシウムレベルがADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の発現に不十分であることを発見した。
したがって、一態様において、本発明は、カルシウムで補充された、例えば、少なくとも0.5mMのカルシウムを含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した比活性を有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための方法を提供する。同様に、本発明は、カルシウムで補充された、例えば、少なくとも0.5mMのカルシウムを含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した全活性または比活性を有するADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を調製するための方法も提供する。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、培養培地は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有し得る。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含有する動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含有する。また別の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有し得る。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含有する既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、既知組成培養培地は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含有する。また別の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有し得る。特定の実施形態において、既知組成培地は、動物由来タンパク質および/またはポリペプチドを含まない。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度は、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、またはその間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中で、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中で、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において培養培地は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または0.5mM〜1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムと、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM〜1.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムと、少なくともまたは約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一般に、いかなるカルシウム塩も本発明の培地を補充するために使用され得る。許容される塩の例としては、CaCl2、CaCl2、CaFPO3・2H2O、CaI2、CaBr2、(C2H3O2)2Ca、(CHO2)2Ca、(C6H7O6)2Ca、(C6H5O7)2Ca3・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、薬学的に許容されるカルシウムの塩は、本発明の培養培地を補充するために使用される。
3. ニコチンアミド(ビタミンB3)の補充
有利に、増加したADAMTS13酵素活性および比活性は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培地で増殖させた細胞培養物から回収され得ることが分かった。例えば、実施例2は、7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質が、2mg/Lのみのニコチンアミドを含有する培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質より60%高い得的活性を有することを示す(表13、4日目および7日目を11日目と比較)。意外にも、本作用は、7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と5μMの亜鉛を含有する培地中におけるADAMTS13の発現が、ADAMTS13タンパク質の比活性において200%〜300%の増加をもたらすので、亜鉛補充と相乗的である(表14の11日目と表13の4日目および7日目とを比較)。
したがって、一態様において、本発明は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された、例えば、少なくとも2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した比活性を有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための方法を提供する。同様に、本発明は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された、例えば、少なくとも2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより、増加した全活性または比活性を有するADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を調製するための方法も提供する
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、培養培地は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有し得る。適切なニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度範囲は、一般に、高濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)、例えば、15mg/L超、20mg/L超、30mg/L超、40mg/L超等の濃度の存在下で生じ得る細胞培養毒性により決定される。当業者に理解されるように、ニコチンアミド(ビタミンB3)濃度が特定の培養系に対してどの程度抑制的であるかは、他の要因の中でも、特に、ADAMTSタンパク質を発現させるために使用される細胞の種類、利用される培養培地の成分、および培養に利用される操作様式(例えば、回分対連続、浮遊対付着、ケモスタット対灌流等)に依存する。ある場合において、高ニコチンアミド(ビタミンB3)濃度は、培養培地の成分が溶液からニコチンアミド(ビタミンB3)を隔離する場合に必要とされ得る。したがって、適切なニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度範囲は、一般に、利用される培養された細胞、培地、および操作様式の識別によって決定される。当業者は、利用される個々の培養系に基づき、ニコチンアミド(ビタミンB3)補充の使用における適切な上限を容易に決定することができるであろう。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。また他の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有し得る。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む既知組成培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。一実施形態において、既知組成培養培地は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。また他の実施形態において、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有し得る。特定の実施形態において、既知組成培地は、動物由来タンパク質および/またはポリペプチドを含まない。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。また他の実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含む。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミドを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度は、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。別の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、本方法は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。また他の実施形態において、本方法は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することを含み、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛とを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛とを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。また別の関連する実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛とを含む。特定の実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛とを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムとを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムとを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムとを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムとを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムとを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムとを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムとを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムとを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムとを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムとを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mM〜1.5mMのカルシウムとを含む。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2mg/L〜10mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムとを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
別の実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムとを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。関連する実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムとを含む。別の関連する実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、または約5mM〜1.5mMのカルシウムとを含む。特定の実施形態において、培養培地は、2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上、または約それら以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)と、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムとを含む。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
一実施形態において、トロンボスポンジンモチーフ13を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)タンパク質を発現させるための方法を提供し、本方法は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、亜鉛は、少なくとも、もしくは約2μM、5μM、2μM〜12μMの間、5μM〜12μMの間、または少なくとも3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の濃度で培養培地中に存在する。特定の実施形態において、カルシウムは、少なくとも、もしくは約0.5mM、1.5mM、0.5〜1.5の間、または少なくとも0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上の濃度で培養培地中に存在する。特定の実施形態において、ニコチンアミド(ビタミンB3)は、少なくとも、もしくは約2mg/L、7mg/L、2mg/L〜7mg/L、または少なくとも、もしくは約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度で培養培地中に存在する。
本明細書に明示的に開示され、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)に提供されるように、3つの成分(すなわち、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3))の濃度のいずれの組み合わせも、本発明の方法に使用されることが意図される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続または流加培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、連続培養条件は、ケモスタット培養条件である。別の具体的な実施形態において、連続培養条件は、灌流培養条件である。一実施形態において、ADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。
B. 宿主細胞およびベクター
組み換えADAMTSタンパク質は、適切な原核または真核宿主系における発現により産生され得る。真核細胞の例としては、CHO、COS、HEK293、BHK、SK−Hep、およびHepG2等の哺乳類細胞、昆虫細胞(例えば、SF9細胞、SF21細胞、S2細胞、およびHigh Five細胞)、ならびに酵母細胞(例えば、サッカロミセスまたはシゾサッカロミセス細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ADAMTSタンパク質は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、哺乳類細胞等において発現され得る。例えば、ヒト細胞系、ハムスター細胞系、またはマウス細胞系においてである。特定の一実施形態において、細胞株は、CHO、BHK、またはHEK細胞系である。好ましい実施形態において、細胞系は、CHO細胞系である。
一実施形態において、細胞は、ADAMTS13等の所望のADAMTSタンパク質を産生するために、好ましくは、製造プロセス(すなわち、少なくとも1リットル)で培養され得るあらゆる哺乳類細胞であり得る。例としては、SV40(COS−7、ATCC CRL1651)により形質転換されたサルの腎臓CV1系、ヒト胚腎臓系(浮遊培養物中での増殖のためにサブクローン化された293または293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.,36:59(1977))、仔ハムスター腎細胞(BHK, ATCC CCL 10)、DUKX−B11サブクローン等のチャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,Uriaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod,23:243−251(1980))、サルの腎細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカ緑ザルの腎細胞(VERO−76,ATCC CRL−1587)、ヒトの頚部癌細胞(HeLa,ATCC CCL 2)、イヌの腎細胞(MDCK,ATCC CCL34)、バッファロラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL1442)、ヒトの肺細胞(W138,ATCC CCL75)、ヒトの肝細胞(Hep G2,HB8065)、マウスの乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51)、TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44−68(1982))、MRC5細胞、FS4細胞、およびヒトの肝細胞腫系(Hep G2)が挙げられる。好ましくは、細胞系は、ゲッ齒類細胞系、特に、CHOまたはBHK等のハムスター細胞系である。
ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現するために、広範なベクターが使用され得、真核および原核発現ベクターより選択され得る。特定の実施形態において、プラスミドベクターは、ADAMTSタンパク質(例えば、(ADAMTS13)の発現に使用することが意図される。一般に、宿主細胞に適合する種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターは、これらの宿主との結合に使用される。ベクターは、複製部位、ならびに形質転換細胞において表現型の選択を提供することができるマーカー配列を保有することができる。プラスミドは、1つ以上の制御配列、例えば、プロモーターに操作可能に連結されるADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードするヌクレオチド配列を含む。
組み換えADAMTSタンパク質を発現する安定したCHO細胞クローンを調製する好ましい方法は以下の通りである。DHFR欠損CHO細胞系であるDUKX−B11が、基本的に、米国特許第5,250,421号(Kaufman et al.,Genetics Institute,Inc.)に記載されるように、関連する組み換えタンパク質の発現を可能にするためにDHFR発現ベクターを形質移入される。選択は、ヒポキサンチン/チミジン(HT)を含まない培地中での増殖により行われ、組み換えADAMTSタンパク質およびDHFR遺伝子の発現をコードする関連する領域の増幅は、増加した濃度のメトトレキサート中で細胞を繁殖させることにより達成される。適切な場合、CHO細胞系は、基本的に、第US6,100,061号(Reiter et al,lmmuno Aktiengesellschaft)に記載されるように、血清および/またはタンパク質を含まない培地中での増殖に適応され得る。
別の好ましい実施形態において、安定したHEK293細胞は、ハイグロマイシン選択マーカーを含有する構築物を形質移入され、抗生物質耐性により形質転換体を選択することにより調製される。
特定のウイルスが細胞を感染させる、またはレセプター媒介飲食作用を介して細胞に進入し、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、安定かつ効率的にウイルス遺伝子を発現する能力は、外来性核酸の細胞(例えば、哺乳類細胞)内への移動においてウイルスを魅力的な候補物質にする。したがって、特定の実施形態において、ウイルスベクターが、発現のために、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードするヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入するために使用される。ウイルスベクターは、1つ以上の制御配列、例えば、プロモーターに操作可能に連結されるADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードするヌクレオチド配列を含む。代替的に、ウイルスベクターは、制御配列を含有しなくてもよく、代わりに、ADAMTSタンパク質の発現を誘発するために、宿主細胞内の制御配列に依存する。核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、AAVベクター、およびレトロウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、アデノウイルス発現ベクターは、構築物のパッケージを支持し、最終的にそれにクローン化されたADAMTS構築物を発現するのに十分なアデノウイルス配列を含有するこれらの構築物を含む。アデノウイルスベクターは、最大7kbの外来性配列の導入を可能にする(Grunhaus et al.,Seminar in Virology,200(2):535−546,1992))。
別の実施形態において、アデノ関連ウイルス(AAV)が、発現のために、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードするヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入するために使用され得る。AAV系は、以前に記載されており、一般に、当該分野において周知である(Kelleher and Vos,Biotechniques,17(6):1110−7,1994、Cotten et al.,Proc Natl Acad Sci USA,89(13):6094−6098,1992、Curiel, Nat Immun,13(2−3):141−64,1994、Muzyczka,Curr Top Microbiol Immunol,158:97−129,1992)。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、例えば、米国特許第5,139,941号および同第4,797,368号に記載されており、それぞれ、全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、レトロウイルス発現ベクターが、発現のために、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードするヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入するために使用される。これらの系は、以前に記載されており、一般に、当該分野において周知である(Mann et al.,Cell,33:153−159,1983、Nicolas and Rubinstein,In:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,Rodriguez and Denhardt,eds.,Stoneham:Butterworth,pp.494−513,1988、Temin,In:Gene Transfer,Kucherlapati(ed.),New York:Plenum Press,pp.149−188,1986)。具体的な実施形態において、レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである(例えば、Naldini et al.,Science,272(5259):263−267,1996、Zufferey et al.,Nat Biotechnol,15(9):871−875,1997、Blomer et al.,J Virol.,71(9):6641−6649,1997、米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照)。
原核生物発現のためのベクターの例としては、pRSET、pET、pBAD等のプラスミドが挙げられるが、これらに限定されず、原核生物発現ベクターに使用されるプロモーターは、trc、trp、recA、araBAD等を含む。真核生物発現のためのベクターの例としては、(i)酵母における発現においては、AOX1、GAP、GAL1、AUG1等のプロモーターを使用する、pAO、pPIC、pYES、pMET等のベクター、(ii)昆虫細胞における発現においては、PH、p10、MT、Ac5、OpIE2、gp64、polh等のプロモーターを使用する、pMT、pAc5、pIB、pMIB、pBAC等のベクター、ならびに(iii)哺乳類細胞における発現においては、CMV、SV40、EF−1、UbC、RSV、ADV、BPV、およびβ−アクチン等のプロモーターを使用する、pSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、pBPV等のベクター、およびワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス等のウイルス系由来のベクターを含む。
特定の実施形態において、本発明の細胞培養方法は、マイクロキャリアの使用を含み得る。本発明は、他の態様の中でも、大規模なADAMTSタンパク質発現の方法を提供する。一部の実施形態において、実施形態の細胞培養は、高細胞密度およびタンパク質発現を達成するために、高容量の特定の培養表面積を提供するのに適した条件下で、大型の生物反応器中で実施され得る。そのような増殖条件を提供するための一手段は、攪拌タンク生物反応器において、細胞培養用のマイクロキャリアを使用することである。別の実施形態において、これらの増殖必要条件は、浮遊細胞培養の使用を介して満たされる。
C. 培養方法
特定の実施形態において、本発明の方法は、回分または連続様式操作下で操作される細胞培養系の使用を含むことができる。例えば、回分細胞培養が利用される時、それらは、単一回分、流加、または反復回分様式下で操作され得る。同様に、連続細胞培養は、例えば、灌流、タービドスタット、またはケモスタット様式下で操作され得る。回分および連続細胞培養は、浮遊または付着条件のいずれかの下で実施され得る。浮遊条件下で操作される時、細胞は、自由に培養培地内に浮遊し、混合される。代替的に、付着条件下で、細胞は、固体相、例えば、マイクロキャリア、多孔質マイクロキャリア、ディスクキャリア、セラミックカートリッジ、中空ファイバ、フィラットシート、ゲルマトリクス等に結合される。
回分培養は、通常、細胞接種材料がタンクまたは発酵槽中で最大密度に培養され、単一回分として採取され、加工される、大規模な細胞培養である。流加培養は、通常、新たな栄養物質(例えば、増殖制限基質)、または添加物(例えば、産物に対する前駆体)のいずれかを供給される回分培養である。供給液は、通常、生物反応器の希釈を避けるために、高度に濃縮される。反復回分培養において、細胞は、培養培地中に設置され、所望の細胞密度に増殖される。衰退期および細胞死の開始を避けるために、培養物は、次いで、細胞が最大濃度に達する前に完全増殖培地で希釈される。希釈の量および頻度は、広範に変動し、細胞系の増殖特徴および培養プロセスの利便性による。プロセスは、必要に応じて何度も繰り返すことができ、細胞および培地が継代で廃棄されない限り、培養物の容量は、各希釈物が作製されるにつれて、段階的に増加する。容量の増加は、槽内に希釈物が入るのに十分な大きさの反応器を有することによって、またはいくつかの槽に希釈培養物を分配することによって取り扱うことができる。この種類の培養物の実施理由は、指数的な増殖状態で細胞を維持するためである。一連の継代は、培養物の容量が段階的に常に増加し、複数の採取物が存在し得、細胞が増殖し続け、プロセスが所望する限り継続できることを特徴とする。特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)は、回分培養物の上清を採取した後に回収され得る。
連続培養は、新たな培地の流入により栄養物質で持続的に供給される浮遊培養であり得、培養物の容量は、通常、使用済み培地を同時に除去することにより、一定に保たれる。ケモスタット法およびタービドスタット法において、抽出された培地は細胞を含有する。よて、細胞培養槽に残留する細胞は、定常状態を維持するように増殖しなければならない。ケモスタット法において、増殖速度は、通常、希釈速度、すなわち、新たな培地が添加される速度を制御することにより制御される。培養物中の細胞の増殖速度は、例えば、希釈速度を変更することにより、最大下増殖速度で制御され得る。逆に、タービドスタット法において、希釈速度は、細胞がpHおよび温度等の所与の操作条件で達成することができる最大増殖速度を可能にするように設定される。
灌流培養において、抽出された培地は、細胞が枯渇し、これは、例えば、細胞の培養物への再導入をもたらす濾過法により、または遠心分離法により、培養槽に保持される。しかしながら、通常濾過に使用される膜は、100%の細胞を保持せず、よって、培地が抽出される時に、一部が除去される。細胞の大部分は培養槽に保持されるため、非常に高増殖速度で灌流培養物を操作することは重要ではないかもしれない。
攪拌タンク反応器システムは、浮遊または付着様式下で操作される回分および連続細胞培養に使用され得る。一般に、攪拌タンク反応器システムは、Rushton、水中翼、ピッチブレード、またはマリーン等のあらゆる種類の攪拌器を備えた、あらゆる従来の攪拌タンク反応器として操作され得る。
本発明の方法は、ADAMTSタンパク質の発現のために、灌流またはケモスタット細胞培養等の流加細胞培養または連続細胞培養の使用を含む場合がある。特定の実施形態において、最大少なくとも約12μMの濃度の亜鉛で補充される流加培養培地が、増加した比活性を有するADAMTSタンパク質の発現を提供することが分かった(表20)。特に、12μMの最終濃度の亜鉛で補充された流加培養物において、特定の細胞増殖速度および全活性は、影響を受けず、一方、発現させたADAMTS13タンパク質の比活性は増加し続けた。これは、ケモスタット細胞培養を利用した実験で見られたものとは対照的である。これらの実験において、5μMの最終濃度の亜鉛での培養培地の補充は、上清におけるADAMTS13の比活性において増加をもたらした(表21)。しかしながら、培養上清におけるADAMTS13の比活性は高いままであったが、8.5μMおよび12μMの高レベルの補充での比細胞増殖速度および全ADAMTS13タンパク質収率は減少した。
したがって、一実施形態において、本発明の方法は、少なくとも、もしくは約2μM、少なくとも、もしくは約5μM、2μM〜12μMもしくは約その間、2μM〜5μMもしくは約その間、5μM〜12μMもしくは約その間、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛の濃度で亜鉛を含む培地を用いた流加細胞培養の使用を含む。一部の実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約5μM〜少なくとも約12μMであり得る。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。
1. 連続培養
有利に、本発明は、連続培養において高比活性を有するADAMTSタンパク質、例えば、ADAMTS13を発現させる方法を提供する。これらの方法は、長期間にわたり単一培養からのADAMTSタンパク質の発現および精製を可能にする。具体的に、高レベルのADAMTS13タンパク質の発現および比活性は、本発明により提供される条件下の10Lのケモスタット生物反応器中で、少なくとも53日間維持され得ることが分かった(実施例3、表15を参照)。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
したがって、一実施形態において、本発明は、長期間、高特異性を有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させる方法を提供する。特定の実施形態において、培養物は、少なくとも、もしくは約7日間、または少なくとも、もしくは約14日間、21日間、28日間、または少なくとも、もしくは約5週間、6週間、7週間、または少なくとも、もしくは約2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。これらの実施形態の一部において、全ADAMTSタンパク質発現、活性、または比活性のレベルは、長期間、培養物中で維持される。他の実施形態において、比増殖速度、細胞密度等は、長期間、培養物中で維持される。一部の実施形態において、培養培地は、例えば、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、カルシウム、亜鉛、またはニコチンアミド(ビタミンB3)のうちの少なくとも1つで補充され得る。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも7日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも14日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも21日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも1ヶ月間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも2ヶ月間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、連続細胞培養技法は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月以上、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させる方法は、少なくとも7日間、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約2μM〜12μMの間の亜鉛、または約2μM〜5μMもしくは約その間の亜鉛、3μM〜5μMもしくは約その間の亜鉛、5μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛の濃度で亜鉛を含む培地を用いた連続細胞培養の使用を含む場合がある。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛を含有する培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。他の実施形態において、培養培地は、少なくとも約3μMの亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約5μMの亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、2μMの亜鉛〜5μMの亜鉛、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、3μMの亜鉛〜5μMの亜鉛、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、2μMの亜鉛〜12μMの亜鉛、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、3μMの亜鉛〜12μMの亜鉛、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、5μMの亜鉛〜12μMの亜鉛、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有する。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムを含有する培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。他の実施形態において、培養培地は、少なくとも約1.0mMのカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約1.5mMのカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、0.5mM〜1.5mMのカルシウム、または約その間のカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、1.0mM〜1.5mMのカルシウム、または約その間のカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸をもつ細胞を培養することを含む。他の実施形態において、培養培地は、少なくとも約5mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜7mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、5mg/L〜7mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛およびカルシウムの双方で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、連続培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、培養物は、長期間、約0.5×106〜4×107細胞/mLの間の細胞密度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約1.0×107細胞/mLの間の濃度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約4.0×106細胞/mLの間の濃度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約4.0×106細胞/mLの間の濃度で維持される。また別の実施形態において、細胞密度は、長期間、約2.0×106〜約4.0×106の間、または約1.0×106〜約2.5×106の間、または約1.5×106〜約3.5×106の間、またはあらゆる他の類似する範囲の濃度で維持され得る。組み換えADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の産生のために細胞培養物が維持される細胞密度は、タンパク質発現に使用される培養条件および培地に依存する。当業者は、ADAMTSタンパク質を産生する細胞培養物の最適な細胞密度を容易に決定することができるだろう。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
他の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、例えば、FRETS−VWF73活性単位等の、1日につき1リットル培養物当り少なくとも、もしくは約500単位(500U/L/D)のADAMTS13活性の産生を可能にし、少なくとも、もしくは約500U/mgのA13の比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約600U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約700U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約800U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約900U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1000U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1100U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1200U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1300U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1400U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1500U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約2000U/L/Dの産生を可能にする。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
別の実施形態において、方法は、長期間、高比活性、例えば、少なくとも約600U/mgのA13タンパク質、または少なくとも約700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000以上のU/mgのA13タンパク質の比活性を有するADAMTS13タンパク質の延長された発現を可能にする。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。特定の一実施形態において、方法は、ケモスタット細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、タービドスタット細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、灌流細胞培養の使用を含む。特定の実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
2. 回分培養
別の態様において、本発明は、回分培養において高比活性を有するADAMTSタンパク質、例えば、ADAMTS13を発現させる方法を提供する。一部の実施形態において、培養培地は、例えば、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、カルシウム、亜鉛、またはニコチンアミド(ビタミンB3)のうちの少なくとも1つで補充され得る。特定の一実施形態において、方法は、単一回分細胞培養の使用を含む。別の実施形態において、方法は、流加細胞培養の使用を含む。また別の実施形態において、方法は、反復回分細胞培養の使用を含む。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも7日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも14日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも21日間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも1ヶ月、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも2ヶ月間、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。別の実施形態において、流加または反復回分細胞培養技法は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月以上、変形形態1〜変形形態149(表2〜表9)のうちのいずれか1つに従う濃度で、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する細胞培養物中で、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために使用され得る。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させる方法は、少なくとも7日間、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、2μM〜12μMの間もしくは約その間の亜鉛、または2μM〜5μMもしくは約その間の亜鉛、3μM〜5μMもしくは約その間の亜鉛、5μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛の濃度で亜鉛を含む培地を用いた流加または反復回分細胞培養の使用を含み得る。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムを含有する培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。他の実施形態において、培養培地は、少なくとも約1.0mMのカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約1.5mMのカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、0.5mM〜1.5mMのカルシウム、または約その間のカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、1.0mM〜1.5mMのカルシウム、または約その間のカルシウムを含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸をもつ細胞を培養することを含む。他の実施形態において、培養培地は、少なくとも約5mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜7mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、5mg/L〜7mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛およびカルシウムの双方で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。特定の実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法は、流加または反復回分培養条件下で、少なくとも約7日間、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培養倍中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、培養物は、長期間、約0.5×106〜4×107細胞/mLの間の細胞密度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約1.0×107細胞/mLの間の濃度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約4.0×106細胞/mLの間の濃度で維持される。他の実施形態において、細胞密度は、長期間、約1.0×106〜約4.0×106細胞/mLの間の濃度で維持される。また別の実施形態において、細胞密度は、長期間、約2.0×106〜約4.0×106の間、または約1.0×106〜約2.5×106の間、または約1.5×106〜約3.5×106の間、またはあらゆる他の類似する範囲の濃度で維持され得る。組み換えADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の産生のために細胞培養物が維持される細胞密度は、タンパク質発現に使用される培養条件および培地に依存する。当業者は、ADAMTSタンパク質を産生する細胞培養物の最適な細胞密度を容易に決定することができるだろう。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
他の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、例えば、FRETS−VWF73活性単位等の、1日につき1リットル培養物当たり少なくとも、もしくは約500単位(500U/L/D)のADAMTS13活性の産生を可能にし、少なくとも、もしくは約500U/mgのA13の比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約600U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約700U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約800U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約900U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1000U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1100U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1200U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1300U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1400U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約1500U/L/Dの産生を可能にする。別の実施形態において、ADAMTS13を発現させる方法は、少なくとも、または約2000U/L/Dの産生を可能にする。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
別の実施形態において、方法は、長期間、高比活性、例えば、少なくとも約600U/mgのA13タンパク質、または少なくとも約700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000以上のU/mgのA13タンパク質の比活性を有するADAMTS13タンパク質の延長された発現を可能にする。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一部の実施形態において、培養は、浮遊回分培養として実施され得る。他の実施形態において、培養は、付着回分培養として実施され得る。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
3. 培養条件
意外にも、細胞生存率およびADAMTS13活性は、細胞培養物のpHおよび温度のわずかな変動により増加され得ることも分かった。図2に見られるように、発現したADAMTS13の比活性は、ADAMTS13タンパク質をコードするヌクレオチドを持つ細胞が約7.30未満で培養される時に非常に強化される。程度は低いが、これらの試験において、温度もADAMTS13の比活性に寄与する要因である。同様に、約6.80〜約7.3の間のpHで増殖させた培養物の上清におけるA13の容量生産能(FRETS−VWF73により測定される)は、その範囲の上下のpHレベルと比較して非常に増加したことが分かった。ADAMTS13生産能は、培養物の温度によっても影響を受けた。最大活性は、約34℃〜約37℃の間の温度で増殖させた培養物で認められた。
他の実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させる方法は、培養培地の温度を約34℃〜約37℃の温度で維持するステップを含む。ある実施形態において、培養培地は、36.5℃以下、36.0℃以下、35.5℃以下、または35.0℃未満の温度で維持され得る。具体的な実施形態において、温度は、約36℃の温度で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、上述の温度およびpHの範囲の組み合わせ、例えば、36.5℃以下、かつ例えば、7.15以下のpHで維持される。好ましい実施形態において、培養物は、36.0℃の温度、かつ7.10のpHで維持される。
したがって、一部の実施形態において、ADAMTSタンパク質を発現させる方法は、培養培地のpHを約6.8〜7.3の間のpHで維持するステップを含む。ある実施形態において、pHは、約7.0〜約7.25の間、または約7.05〜約7.15の間であり得る。ある実施形態において、pHは、7.20以下、7.15以下、7.10、または7.05以下のpHで維持され得る。具体的な一実施形態において、培養培地のpHは、約7.1のpHで維持される。
一実施形態において、本発明は、34℃〜約37℃もしくは約その間の温度、かつ6.8〜7.3もしくは約その間のpHで、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法を提供する。別の実施形態において、培養物の温度は、35℃〜約37℃もしくは約その間であり、pHは、6.8〜7.3もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、35.5℃〜約36.5℃もしくは約その間であり、pHは、6.8〜7.3もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、36℃もしくは約36℃であり、pHは、6.8〜7.3もしくは約その間である。一実施形態において、培養培地は、亜鉛で補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、カルシウムで補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、培養培地は、亜鉛およびカルシウムで補充される。一実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。また別の実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で濃縮される。一実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。
別の実施形態において、本発明は、34℃〜約37℃もしくは約その間の温度、かつ6.9〜7.25もしくは約その間のpHで、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法を提供する。別の実施形態において、培養物の温度は、35℃〜約37℃もしくは約その間であり、pHは、6.9〜7.25もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、35.5℃〜約36.5℃もしくは約その間であり、pHは、6.9〜7.25もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、36℃もしくは約36℃であり、pHは、6.9〜7.25もしくは約その間である。一実施形態において、培養培地は、亜鉛で補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、カルシウムで補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、培養培地は、亜鉛およびカルシウムで補充される。一実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。また別の実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で濃縮される。一実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。
別の実施形態において、本発明は、34℃〜約37℃もしくは約その間の温度、かつ7.0〜7.20もしくは約その間のpHで、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することを含む、ADAMTSタンパク質を発現させるための方法を提供する。別の実施形態において、培養物の温度は、35℃〜約37℃もしくは約その間であり、pHは、7.0〜7.20もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、35.5℃〜約36.5℃もしくは約その間であり、pHは、7.0〜7.20もしくは約その間である。別の実施形態において、培養物の温度は、36℃もしくは約36℃であり、pHは、7.0〜7.20もしくは約その間である。一実施形態において、培養培地は、亜鉛で補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、カルシウムで補充される。別の具体的な実施形態において、培養培地は、ニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、培養培地は、亜鉛およびカルシウムで補充される。一実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。別の実施形態において、培養培地は、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。また別の実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で濃縮される。一実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。
マイクロキャリア上で細胞を増殖させる概念は、最初にvan Wezel(van Wezel AL.,Nature 1967 Oct 7;216(5110):64−5)によって説明され、増殖培地中に浮遊した小固形粒子の表面上への細胞の付着を可能にする。これらの方法は、高い表面対体積比を提供し、よって、効率的な栄養利用を可能にする。さらに、真核細胞系における分泌タンパク質の発現において、増加した表面対体積比は、高レベルの分泌、よって、培養物の上清におけるタンパク質の高収率を可能にする。最後に、これらの方法は、真核生物発現培養物の容易なスケールアップを可能にする。
ADAMTSタンパク質を発現する細胞は、細胞培養増殖中、球形または多孔質マイクロキャリアに結合され得る。マイクロキャリアは、デキストラン、コラーゲン、プラスチック、ゼラチン、およびセルロース、ならびにButler(1988.In:Spier&Griffiths,Animal cell Biotechnology 3:283−303)に記載される他に基づくマイクロキャリアの群から選択されるマイクロキャリアであり得る。したがって、本発明の一実施形態によると、ADAMTSタンパク質を発現する細胞は、球形マイクロキャリア上で培養される。本発明の別の実施形態によると、ADAMTSタンパク質を発現する細胞は、多孔質マイクロキャリア上で培養される。球形マイクロキャリア上で細胞をバイオマスに増殖させ、それらが最終発酵バイオマスに達した時、かつ多孔質マイクロキャリア上で発現タンパク質を産生する前に細胞を継代する、またはその逆も可能である。球形マイクロキャリアは、Cytodex(商標)1、Cytodex(商標)2、およびCytodex(商標)3(GE Healthcare)等の平滑表面、ならびにCytopore(商標)1、Cytopore(商標)2、Cytoline(商標)1、およびCytoline(商標)2(GE Healthcare)等のマクロ多孔質マイクロキャリアの群から選択されるものである。
IV. 培養培地
一態様において、本発明は、高比活性を有するADAMTSタンパク質の発現に有用である培養培地を提供する。有利に、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の組み合わせ等の、種々の成分で培養培地を補充することにより、培地で培養される細胞中で発現するADAMTS(例えば、ADAMTS13)酵素の活性は、非常に強化され、それと同時に、酵素は、補充されない培地で培養された細胞と、より高くはないとしても同等のレベルで発現することが分かった。
動物性タンパク質を含まない、および既知組成の培養培地の調製方法は、例えば、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号等、当該分野において公知であり、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態において、本明細書に記載される方法に使用される培養培地は、動物性タンパク質を含まない、またはオリゴペプチドを含まない培地である。ある実施形態において、培養培地は、既知組成であり得る。特定の実施形態において、培養培地は、約0.5mg/L〜約10mg/Lの濃度の少なくとも1つのポリアミンを含有し得る。
したがって、一実施形態において、さらなるカルシウム、亜鉛、および/またはビタミンB3で補充された培養培地を提供する。ある実施形態において、培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成の培地であり得る。ある実施形態において、動物性タンパク質を含まない、またはオリゴペプチドを含まない培地は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に教示されるように調製され(それらの開示は、全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、それらの双方は、全ての目的において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、さらなるカルシウム、亜鉛、および/またはビタミンB3で補充される。具体的な実施形態において、既知組成培養培地は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に類似してもよく、これは、培地で培養される細胞中で発現するADAMTSタンパク質の比活性を増加させるために、さらなるカルシウム、亜鉛、および/またはビタミンB3で補充された。また他の実施形態において、培養培地は動物の成分を含まない。別の実施形態において、培養培地は、タンパク質、例えば、胎児仔ウシ血清等の血清からの動物性タンパク質を含有する。別の実施形態において、培養物は、外因的に追加された組み換えタンパク質を有する。別の実施形態において、タンパク質は、認定された病原体未感染動物からである。
特定の実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間の濃度で、少なくとも1つのポリアミンを含有する。別の実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜10mg/L、または約その間で、少なくとも1つのポリアミンを含有する。一実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間で、少なくとも1つのポリアミンを含有する。ある実施形態において、ポリアミンは、オルニチン、プトレシン、スペルミン、またはスペルミジン等の群からである。好ましい実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。具体的な実施形態において、培養培地は、約2mg/L〜8mg/L、または約その間のプトレシンを含有する。
一実施形態において、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の発現のための培養培地を提供する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含有する。一実施形態において、培養培地は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有し得る。
一般に、いずれの亜鉛塩も本発明の培地を補充するために使用することができ、許容される塩の例としては、ZnSO4・7H2O、nSO3・2H2O、(C6H5O7)2Zn3・2H2O、ZnBr2、ZnBr2・2H2O、ZnCl2、Zn(NO3)2・6H2O、Zn(H2PO4)2・H2O、(C2H3O2)2Zn・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、薬学的に許容される亜鉛の塩は、本発明の培養培地を補充するために使用される。他の実施形態において、ペプチドまたはタンパク質調製物、例えば、インスリンを含有する亜鉛は、本明細書に提供される培養物の補充に使用され得る。
別の実施形態において、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含有する。一実施形態において、培養培地は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有し得る。
一般に、いかなるカルシウム塩も本発明の培地を補充するために使用することができ、許容される塩の例としては、CaCl2、CaCl2、CaFPO3・2H2O、CaI2、CaBr2、(C2H3O2)2Ca、(CHO2)2Ca、(C6H7O6)2Ca、(C6H5O7)2Ca3・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、薬学的に許容されるカルシウムの塩が、本発明の培養培地を補充するために使用される。
別の実施形態において、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。一実施形態において、培養培地は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。また他の実施形態において、培養培地は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有し得る。
有利に、亜鉛およびカルシウムの双方で補充することにより、培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質の比活性が、非常に増加することが分かった。したがって、一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために本明細書に提供される培養培地は、亜鉛およびカルシウムの双方で補充され得る。例えば、培養培地は、表7に提供されるレベル、すなわち、変形形態94〜変形形態113のうちのいずれか1つに従うレベルで、亜鉛およびカルシウムで補充され得る。
同様に、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で培養培地を補充することにより、培養培地で発現したADAMTS13タンパク質の比活性が、相乗的に増加することが分かった。例えば、この効果は、実施例2に見ることができる(表14の11日目を表13の4日目および7日目と比較)。したがって、一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるために本明細書に提供される培養培地は、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で補充され得る。例えば、培養培地は、表8に提供されるレベル、すなわち、変形形態114〜変形形態133のうちのいずれか1つに従うレベルで、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充され得る。
有利に、ニコチンアミドおよびカルシウムの双方で補充することにより、培養培地中に発現したADAMTS13タンパク質の比活性が、非常に増加することが分かった。したがって、一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の発現のために本明細書に提供される培養培地は、ニコチンアミド(ビタミンB3)およびカルシウムの双方で補充され得る。例えば、培養培地は、表9に提供されるレベル、すなわち、変形形態134〜変形形態149のうちのいずれか1つに従うレベルで、ニコチンアミド(ビタミンB3)およびカルシウムで補充され得る。
一部の実施形態において、本発明により提供される培養培地は、液体または乾燥もしくは粉末の形態で提供され得る。培地は、単回使用に適した量に予め小分けされるか、または2つ以上の細胞培養に使用され得るより大きな量で提供され得る。一般に、本発明の培地は、減菌様式で提供される。したがって、本発明は、ADAMTS13タンパク質を発現させる、または産生するためのキットも提供し、本キットは、高比活性を有するADAMTSタンパク質の発現に適した培養培地を含む。
一態様において、本発明は、高比活性を有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の発現に有用な培養培地を提供する。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μMの亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μM〜約12μMの間の亜鉛を含有する。また別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約5μMの亜鉛を含有する。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約5〜約12μMの間の亜鉛を含有する。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.5mMのカルシウムを含有する。また別の実施形態において、培養培地は、約0.5mM〜約1.5mMの間のカルシウムを含有する。一実施形態において、培養培地は、少なくとも2μMの亜鉛と、少なくとも約0.5mMのカルシウムとを含有する。
また他の実施形態において、ニコチンアミド(ビタミンB3)の追加は、細胞培養物におけるADAMTSタンパク質の発現および比活性をさらに強化することが分かった。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)をさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)をさらに含む。また別の実施形態において、培養培地は、約2mg/L〜約10mg/Lの間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。
特定の実施形態において、培養培地は、動物性タンパク質を含まない培養培地である。別の実施形態において、培養培地は、既知組成培地である。ある実施形態において、培養培地は、1つ以上のポリアミンを含む場合がある。特定の実施形態において、ポリアミンは、例えば、少なくとも0.5mg/Lの濃度のプトレシンである。具体的な実施形態において、培養培地は、約2mg/L〜約8mg/Lの間のプトレシンを含有する。
1. タンパク質を含まない培養培地
特定の態様において、本発明は、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、外因的に追加されたタンパク質を含まない。「タンパク質を含まない培養培地」および関連する用語は、培養物中の細胞に外因性である、またはその細胞以外の供給源からのタンパク質を欠損する培養培地を指し、これは、増殖中にタンパク質を自然に排出する。一実施形態において、外因的に追加されたタンパク質を含まない(すなわち、タンパク質を含まない)ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。ある実施形態において、タンパク質を含まない培養培地は、ポリアミンを含有する。例えば、少なくとも2mg/L、または2mg/L〜30mg/Lもしくは約その間、または2mg/L〜8mg/Lもしくは約その間の濃度である。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。タンパク質を含まない培養培地の例は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に教示され、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、2μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛、または5μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。
別の実施形態において、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウム、少なくとも、もしくは約1.5mMのカルシウム、または0.5〜1.5mMもしくは約その間のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。
また別の実施形態において、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、または2mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのタンパク質を含まない培養培地を提供する。
2. オリゴペプチドを含まない培養培地
特定の態様において、本発明は、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、外因的に追加されたオリゴペプチドを含まない。一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、外因的に添加されたオリゴペプチドを含まず(すなわち、ポリペプチドを含まない)、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。ある実施形態において、オリゴペプチドを含まない培養培地は、ポリアミンを含有する。例えば、少なくとも2mg/L、または2mg/L〜30mg/Lもしくは約その間、または2mg/L〜8mg/Lもしくは約その間の濃度である。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。オリゴペプチドを含まない培養培地の例は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に教示され、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、2μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛、または5μM〜12μMもしくは約その間の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。
別の実施形態において、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウム、少なくとも、もしくは約1.5mMのカルシウム、または0.5〜1.5mMのカルシウムもしくは約その間のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。
また別の実施形態において、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、少なくとも、もしくは約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、または2mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるためのオリゴペプチドを含まない培養培地を提供する。
3. 血清を含まない培養培地
特定の態様において、本発明は、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、血清を含まない。一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、外因的に追加された血清を含まず(すなわち、血清を含まない)、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。ある実施形態において、血清を含まない培養培地は、ポリアミンを含有する。例えば、少なくとも2mg/L、または2mg/L〜30mg/Lもしくは約その間、または2mg/L〜8mg/Lもしくは約その間の濃度である。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。血清を含まない培養培地の例は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に教示され、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、2μM〜12μMもしくはその間の亜鉛、または5μM〜12μMもしくはその間の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。
別の実施形態において、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウム、少なくとも、もしくは約1.5mMのカルシウム、または0.5〜1.5mMもしくは約その間のカルシウムを含有するADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。
また別の実施形態において、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、または2mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための血清を含まない培養培地を提供する。
4. 動物性タンパク質を含まない培養培地
特定の態様において、本発明は、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、動物性タンパク質を含まない。一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための培養培地を提供し、これは、外因的に追加された動物性タンパク質またはポリペプチドを含まず(すなわち、動物性タンパク質を含まない)、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。特定の実施形態において、動物性タンパク質を含まない培養培地は、ポリアミンを含有する。例えば、少なくとも2mg/L、または2mg/L〜30mg/Lもしくは約その間、または2mg/L〜8mg/Lもしくは約その間の濃度である。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。動物性タンパク質を含まない培養培地の例は、米国特許第6,171,825号および同第6,936,441号、国際公開第2007/077217号、ならびに米国特許出願公開第2008/0009040号および同第2007/0212770号に教示され、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛、2μM〜12μMもしくはその間の亜鉛、または5μM〜12μMもしくはその間の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。
別の実施形態において、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウム、少なくとも、もしくは約1.5mMのカルシウム、または0.5〜1.5mMもしくは約その間のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。
また別の実施形態において、少なくとも、もしくは約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、少なくとも、もしくは約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)、または2mg/Lもしくはその間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。また他の実施形態において、少なくとも、または約3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上のニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を発現させるための動物性タンパク質を含まない培養培地を提供する。
V. ADAMTSタンパク質の精製
ADAMTS13は、生体内の血漿中に分泌され、そこでは、大きなvWFの多量体を切断することにより、凝固活性を調節するように機能する。発現後、哺乳類細胞のADAMTS13を分泌する能力は、細胞培養物中のADAMTS13組成物の産生および精製中に利用され得る。例えば、哺乳類細胞培養物中で組み換えADAMTS13を発現させることにより、ADAMTS13組成物は、細胞を採取し、溶解する必要なく、直接培養物の上清から容易に回収され得る。これは、複数の培養遅延および回収期間なく、大量のタンパク質を産生するための、連続細胞培養(例えば、灌流またはケモスタット細胞培養)等の技法の使用を可能にする。本発明の一態様において、高比活性を有するADAMTSタンパク質を細胞培養物から精製するための方法を提供する。
したがって、一実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、培養物中で発現し、培養物の上清から直接回収される。本様式で、ADAMTS13タンパク質は、培養物の分画を除去し、上清の他の成分からADAMTS13を精製することにより回収される。一般に、これは、濾過または遠心分離により上清とともに回収されるあらゆる細胞を分離し、上清を1つ以上の精製ステップに曝すことを含む。
米国特許出願公開第2005/0266528号およびZhengら(2001,Blood,98:1662−1666)、それらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)は、ADAMTS13を精製するための例示的な方法を提供する。精製されたADAMTS13は、従来の方法に従い製剤化され、例えば、TTPを処置するために治療的に使用される。
一態様において、本発明は、ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を産生するための方法を提供する。第1の実施形態において、方法は、(a)動物性タンパク質を含まない培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養するステップと、(b)培養物から上清の分画を除去することと、(c)あらゆる残留細胞を除去するために、濾過または遠心分離を実施するステップと、(d)ADAMTSタンパク質を濃縮するために、限外濾過ステップを実施するステップと、(e)少なくとも約0.5μMの亜鉛および少なくとも約0.1mMのカルシウムを含む緩衝液を用いた透析濾過ステップを実施し、これによってADAMTS組成物を調製するステップとを含む。
特定の実施形態において、細胞を培養するステップは、回分細胞培養を含む。他の実施形態において、細胞を培養するステップは、連続細胞培養を含む。
特定の実施形態において、培養培地は、カルシウムを含有する。具体的な実施形態において、培養培地は、少なくとも0.5mMのカルシウムを含有する。他の実施形態において、培養培地は、亜鉛を含有する。具体的な実施形態において、培養培地は、少なくとも2μMの亜鉛を含有する。また他の実施形態において、培養培地は、ニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。具体的な実施形態において、培養培地は、少なくとも2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。特定の実施形態において、透析濾過の緩衝液は、少なくとも約5μMの亜鉛と、少なくとも約2mMのカルシウムとを含有する。
特定の実施形態において、ADAMTS13の比活性の約20%未満が、ステップ(c)の終わりからステップ(e)の終わりの間に失われる。他の実施形態において、ADAMTS13の比活性の約10%未満が、ステップ(c)の終わりからステップ(e)の終わりの間に失われる。また他の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも約1000U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも約1500U/mgの比活性を有する。
A. 緩衝液の交換
通常、培養物の上清から分泌タンパク質を精製する場合、精製プロセスの第1ステップは、培養培地を緩衝溶液と交換することを含み、これは、関心のタンパク質のさらなる精製を促進する。培養培地を緩衝液と交換するためのいくつかの選択肢が存在し、透析濾過、透析、緩衝液交換法、ゲル濾過、クロマトグラフィ等が挙げられるが、これらに限定されない。
ADAMTS13タンパク質組成物は、培養物からの上清の採取と精製ステップとの間の時間の長さに関わらず、新しい緩衝液の導入、例えば、透析濾過、透析、緩衝液の交換、クロマトグラフィ、および同様のステップを必要とするそのような精製ステップ中に、それらの比活性の著しい分画が失われることが分かった。しかしながら、有利に、本発明は、透析濾過、透析、緩衝液の交換、ゲル濾過、およびクロマトグラフィのステップ等の系に導入される緩衝液中に亜鉛およびカルシウムを含むことにより、ADAMTS13組成物の高比活性が保持されることを発見した。その証拠に、実施例6は、カルシウムおよび亜鉛を欠損する緩衝液を用いたADAMTS13組成物の透析濾過が、組成物の比活性のほぼ25%の平均損失をもたらし、一方、カルシウムおよび亜鉛を含めることで、この損失をほぼ完全に防止することを示す(表22)。したがって、本発明は、緩衝系に亜鉛およびカルシウムを含めることにより、透析濾過、または類似する方法、例えば、透析、緩衝液の交換、クロマトグラフィ後のADAMTSタンパク質組成物における活性の損失を減少させるための方法を提供する。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を精製するための方法を提供し、本方法は、(a)培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養するステップと、(b)ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を含有する培養培地の上清の一部を回収するステップと、(c)培養培地の上清を亜鉛およびカルシウムを含有する緩衝溶液と交換し、これによって、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を調製するステップとを含む。一実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、および任意にニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。好ましい実施形態において、細胞を培養するステップは、連続培養(例えば、灌流またはケモスタット培養)を含む。別の好ましい実施形態において、培養物は、34℃〜37℃の間の温度で維持される。また別の好ましい実施形態において、培養物は、6.9〜7.2の間のpHで維持される。
特定の一実施形態において、培養培地の上清を緩衝溶液と交換するステップは、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。特定の実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。特定の実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。一般に、上記のいかなる組み合わせの濃度も、本方法の使用に適している。
一実施形態において、カルシウムおよび亜鉛を含有する緩衝液を用いて、緩衝液の交換(例えば、透析濾過、透析、ゲル濾過等)を実施することにより、ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13)の緩衝液を交換するための方法を提供する。特定の一実施形態において、方法は、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約1mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約1μMの亜鉛とを含有する。一実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約2μMの亜鉛とを含有する。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。また他の実施形態において、緩衝液は、0.5mM〜5mMの間のカルシウムと、0.5μM〜5μMの間の亜鉛とを含有する。ある実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。ある実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。ある実施形態において、採取物、細胞を含まない上清、または透析濾過緩衝液は、上述の濃度でカルシウムおよび亜鉛の組合物を含有する。
別の実施形態において、細胞培養物中で発現させた後にADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)の酵素活性を安定させるための方法を提供し、採取物、細胞を含まない上清、または濃縮するため、もしくはADAMTS溶液の緩衝液の交換のために使用される透析濾過緩衝液を含有する細胞をカルシウムおよび亜鉛で補充することを含む。ある一実施形態において、方法は、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。特定の実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。ある実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。ある実施形態において、採取物、細胞を含まない上清、または透析濾過緩衝液は、上述の濃度でカルシウムおよび亜鉛の組合物を含有する。
他の実施形態において、本明細書に提供される方法は、いずれの個別のステップ中にも存在する比活性の15%未満の損失をもたらす。好ましい実施形態において、本明細書に提供される方法は、いずれの個別のステップ中にも存在した後の比活性の10%未満の損失をもたらす。特定の実施形態において、回収された培養物の上清に存在する比活性の15%未満が、最初の緩衝液の交換ステップ(例えば、透析濾過または透析)中に失われる。好ましい実施形態において、回収された培養物の上清に存在する比活性の10%未満が、最初の緩衝液の交換ステップ(例えば、透析濾過または透析)中に失われる。
B.クロマトグラフィ
特定の実施形態において、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物は、1つ以上のクロマトグラフィステップによりさらに富化される。一実施形態において、富化されたADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を提供するための方法を提供し、本方法は、(a)培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養するステップと、(b)ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を含有する培養培地の上清の一部を回収するステップと、(c)培養培地の上清を亜鉛およびカルシウムを含有する緩衝溶液と交換し、第1のADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を形成するステップと、(d)ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をクロマトグラフィステップを用いてさらに富化し、これによって富化されたADAMTS(例えば、ADAMTS13)組成物を提供するステップとを含む。一実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、および任意にニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。好ましい実施形態において、細胞を培養するステップは、連続培養(例えば、灌流またはケモスタット培養)を含む。別の好ましい実施形態において、培養物は、34℃〜37℃の間の温度で維持される。また別の好ましい実施形態において、培養物は、6.9〜7.2の間のpHで維持される。
特定の一実施形態において、培養培地の上清を緩衝溶液と交換するステップ、および/またはクロマトグラフィステップは、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。好ましい実施形態において、双方のステップは、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。ある実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。一般に、上記のいかなる組み合わせの濃度も、本方法の使用に適している。
一実施形態において、クロマトグラフィステップに使用される緩衝液を亜鉛およびカルシウムで補充することにより、クロマトグラフィステップ中のADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物の比活性を維持するための方法を提供する。特定の一実施形態において、方法は、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。ある実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。ある実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。一般に、上記のいかなる合わせの濃度も、本方法の使用に適している。
ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を精製するために使用され得るクロマトグラフィ法の例としては、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)、疎水性交換クロマトグラフィ(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ(HAP)、免疫親和クロマトグラフィ、分子ふるいクロマトグラフィ(すなわち、ゲル濾過)、または他の適切なクロマトグラフィステップが挙げられるが、これらに限定されない。クロマトグラフィステップは、回分またはカラム様式のいずれかで実施され得る。特定の実施形態において、これらのクロマトグラフィ法のいずれかを実施するために使用される緩衝液は、亜鉛およびカルシウムを含む。特定の一実施形態において、方法は、少なくとも、もしくは約0.5mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約0.5μMの亜鉛とを含有する緩衝液の使用を含む。別の実施形態において、緩衝液は、少なくとも、もしくは約2mMのカルシウムと、少なくとも、もしくは約5μMの亜鉛とを含有する。ある実施形態において、カルシウムの濃度は、少なくとも約0.1mM、0.3mM、0.5mM、0,75mM、1mM、1.5mM、2mM、3mM、5mM以上のカルシウムであり得る。ある実施形態において、亜鉛の濃度は、少なくとも約0.5μM、1μM、2μM、3μM、5μM、10μM以上の亜鉛であり得る。一般に、上記のいかなる組み合わせの濃度も、本方法の使用に適している。
いかなる適切な陰イオン交換樹脂も、本明細書に提供される方法に使用され得る。使用に適した陰イオン交換樹脂の例としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)、四級アミノエチル(QAE)、および四級アンモニウム(Q)樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
いかなる適切な陽イオン交換樹脂も、本明細書に提供される方法に使用され得る。使用に適した陽イオン交換樹脂の例としては、カルボキシメチル(CM)、スルホプロピル(SP)、メチルスルホネート(S)樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
いかなる適切なヒドロキシアパタイトまたは他のカルシウム系樹脂も、本明細書に提供される方法に使用され得る。適切な樹脂の例としては、ヒドロキシアパタイト樹脂、フルオロアパタイト樹脂、フルオロヒドロキシアパタイト樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
いかなる適切な疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂も、本明細書に提供される方法に使用され得る。適切な樹脂の例としては、フェニル樹脂、メチル樹脂、ブチル樹脂、オクチル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態において、ADAMTS13タンパク質(例えば、ADAMTS13)は、例えば、抗体、アプタマー、またはADAMTS13タンパク質(例えば、ADAMTS13)に高度に特異的な他の適切な結合分子と共役する樹脂を用いて、免疫親和クロマトグラフィによりさらに富化され得る。
一実施形態において、ADAMTS活性の損失を低減する方法は、緩衝液の交換、透析濾過、透析、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、ナノ濾過、限外濾過、無菌濾過等を含むが、これらに限定されないいかなる個別のステップ中にも、20%未満の純損失をもたらす。他の実施形態において、本明細書に提供される方法は、いずれかの個別のステップ中に存在する比活性の15%未満の損失をもたらす。好ましい実施形態において、本明細書に提供される方法は、いずれかの個別のステップ中に存在する比活性の10%未満の損失をもたらす。特定の実施形態において、回収された培養物の上清に存在する比活性の15%未満が、最初の緩衝液の交換ステップ(例えば、透析濾過または透析)中に失われる。好ましい実施形態において、回収された培養物の上清に存在する比活性の10%未満は、最初の緩衝液の交換ステップ(例えば、透析濾過または透析)中に失われる。
C. ウイルスの不活性化および/または除去
特定の実施形態において、ADAMTS(例えば、ADAMTS13)組成物を調製するために本明細書に提供される方法は、少なくとも1つのウイルスの不活性化または除去ステップをさらに含む。ある実施形態において、本明細書に提供される方法は、少なくとも2つ、または少なくとも3つのウイルスの不活性化または除去ステップを含む。本明細書に提供される方法により利用され得るウイルスの不活性化または除去ステップの例としては、溶媒界面活性剤処理(Horowitz et al.,Blood Coagul Fibrinolysis1994(5 Suppl 3)、S21−S28 and Kreil et al.,Transfusion2003(43):1023−1028、これらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる)、ナノ濾過(Hamamoto et al.,Vox Sang1989(56)230−236およびYuasa et al.,J Gen Virol.1991(72(pt8)):2021−2024、これらの開示は、全ての目的において、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、本発明は、ADAMTS(例えば、ADAMTS13)組成物を調製するための方法を提供し、溶媒界面活性剤処理およびナノ濾過を含む。
一実施形態において、ウイルス的に安全なADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を提供するための方法を提供し、本方法は、(a)培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養するステップと、(b)ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を含有する培養培地の上清の一部を回収するステップと、(c)培養培地の上清を亜鉛およびカルシウムを含有する緩衝溶液と交換し、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物を形成するステップと、(d)任意に、クロマトグラフィステップを用いて、ADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)を富化するステップと、(e)少なくとも1つのウイルスの不活性化または除去ステップを実施し、これによって、ウイルス的に安全なADAMTS(例えば、ADAMTS13)組成物を提供するステップとを含む。一実施形態において、培養培地は、亜鉛、カルシウム、および任意にニコチンアミド(ビタミンB3)を含有する。好ましい実施形態において、細胞を培養するステップは、連続培養(例えば、灌流またはケモスタット培養)を含む。別の好ましい実施形態において、培養物は、34℃〜37℃の間の温度で維持される。また別の好ましい実施形態において、培養物は、6.9〜7.2の間のpHで維持される。一実施形態において、ウイルス除去ステップは、ナノ濾過である。
1. 溶媒および界面活性剤(S/D)処理
ADAMTS培養物中に存在し得る種々のウイルス汚染物質を不活性化するために、1つ以上のADAMTS(例えば、ADAMTS13)中間溶体は、溶媒界面活性剤(S/D)処理を受けることができる。溶液を界面活性剤処理するための方法は、当該分野において周知である(概説については、Pelletier JP et al.,Best Pract Res Clin Haematol. 2006;19(1):205−42を参照し、その開示は、全ての目的において、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)。一般に、いかなる標準的なS/D処理も、本明細書に提供される方法と併用して使用され得る。例えば、S/D処理のための例示的なプロトコルは、以下に提供される。
一実施形態において、Triton X−100、Tween−20、およびトリ(n−ブチル)リン酸(TNBP)が、それぞれ、1.0%、0.3%、および0.3%もしくは約それらの最終濃度で、ADAMTS(例えば、ADAMTS13)中間溶液に追加される。次いで、混合物は、少なくとも約1時間、18℃〜25℃もしくは約その間の温度で攪拌される。
2. ナノ濾過および限外/透析濾過
本明細書に提供されるADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物のウイルス量を低減するために、組成物は、適切なナノ濾過デバイスを使用してナノ濾過され得る。ある実施形態において、ナノ濾過デバイスは、15nm〜200nmもしくは約その間の平均孔径を有する。この使用に適切なナノフィルタの例としては、DVD、DV50、DV20(Pall)、Viresolve NFP(登録商標)、Viresolve NFR(登録商標)(Millipore)、Planova(登録商標)15N、20N、35N、および75N(Planova)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態において、ナノフィルタは、15〜72nmもしくは約その間、または19〜35nmもしくはその間、または15nm、19nm、20nm、35nm、もしくは72nm、または約それらの平均孔径を有し得る。好ましい実施形態において、ナノフィルタは、Asahi PLANOVA(登録商標)20NもしくはPLANOVA(登録商標)35Nフィルタ、またはそれらの等価物等の、19nm、20nm、もしくは35nm、または約それらの平均孔径を有する。
ナノ濾過後、濾液は、任意に、限外濾過により濃縮され、かつ/または緩衝組成物は、透析濾過により調節され得る。ある実施形態において、限外濾過は、開口チャネルスクリーンを有するカセット中で行われ、限外濾過膜は、175kDa未満もしくは約175kDa、または170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30未満もしくは約それら以下のkDaの公称分子量カットオフ(NMWCO)を有する。好ましい実施形態において、限外濾過膜は、わずか30kDaのNMWCOを有する。別の好ましい実施形態において、限外濾過膜は、わずか30kDaのNMWCOを有する。
3. 凍結乾燥および加熱処理
また他の実施形態において、ナノ濾過等の他のウイルスの不活性化または除去ステップに前に曝された、凍結乾燥されたADAMTS13タンパク質(例えば、ADAMTS13)組成物のウイルス活性は、凍結乾燥された組成物の加熱処理によりさらに低減され得る。血液因子中のウイルス量を不活性化するための加熱処理は、当該分野において周知である(例えば、Piszkiewicz et al.,Thromb Res.1987 Jul 15;47(2):235−41、Piszkiewicz et al.,Curr Stud Hematol Blood Transfus.1989;(56):44−54、Epstein and Fricke,Arch Pathol Lab Med.1990 Mar;114(3):335−40を参照)。
VI. ADAMTS組成物
有利に、亜鉛、カルシウム、および/またはニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された細胞培養物中で発現させたADAMTS13等のADAMTSタンパク質は、予想外に、高比活性を有することが分かった。本明細書に提供されるように、本方法は、高比活性を有するそのようなADAMTSタンパク質の連続発現および回収のために開発された。例えば、本明細書に提供される連続細胞培養法は、1週間を超える間、1000U/mg超の比活性を有する、1日につき1リットル当り1mgのADAMTS13超の発現を可能にする。同様に、ADAMTS13タンパク質の精製中に通常遭遇する、活性の損失を低減させるための方法も、本明細書において提供される。
したがって、一態様において、本発明は、本明細書に提供される方法により細胞培養物中で発現させたADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を提供する。例えば、タンパク質がカルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも1つの成分で補充される培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより発現する、ADAMTSタンパク質組成物を提供する。本明細書に提供される方法により精製されるADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)も提供する。例えば、交換緩衝液が亜鉛およびカルシウムを含む、緩衝液の交換ステップを含む方法により精製されたADAMTSタンパク質組成物を提供する。本発明の好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質組成物は、ADAMTS13組成物である。
一態様において、本発明は、本明細書に提供されるいずれかの方法により細胞培養物中でADAMTSタンパク質を発現させる方法を含む方法により調製されるADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を提供する。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
関連する態様において、本発明は、培養培地からADAMTSタンパク質を精製する間、少なくとも1つの緩衝液に亜鉛およびカルシウムの双方を含むことを含む方法により調製されるADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を提供する。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
本発明は、本明細書に提供される方法により調製されるADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)を提供する。一実施形態において、ADAMTS組成物(例えば、ADAMTS13組成物)は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも1つの成分で補充された培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。具体的な実施形態において、ADAMTS組成物は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)から選択される少なくとも2つの成分で補充された培養培地中で、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。また別の実施形態において、培養培地は、カルシウム、亜鉛、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充される。一部の実施形態において、培養培地は、動物性タンパク質を含まない、オリゴペプチドを含まない、または既知組成培養培地であり得る。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)は、少なくとも、または約2μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。別の実施形態において、組成物は、少なくとも、または約5μMの亜鉛を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、組成物は、2μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。別の実施形態において、組成物は、5μM〜12μM、または約その間の亜鉛を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。また他の実施形態において、組成物は、少なくとも、もしくは約2μM、または少なくとも、もしくは約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上の亜鉛を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。別の実施形態において、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、本方法は、浮遊様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、方法は、付着様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。別の実施形態において、本方法は、回分培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、本方法は、浮遊様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、方法は、付着様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。一実施形態において、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)の一実施形態において、ADAMTSタンパク質の発現に使用される培養培地は、少なくとも約2μM〜少なくとも約12μMの最終濃度で、亜鉛で補充され得る。特定の実施形態において、培養培地は、少なくとも約2μM、または少なくとも約3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、20μM、25μM、30μM以上のレベルの亜鉛の最終濃度で、亜鉛で補充され得る。一般に、あらゆる亜鉛塩が本発明の培地を補充するために使用することができ、許容される塩の例としては、ZNSO4・7H2O、ZNSO3・2H2O、(C6H5O7)2ZN3・2H2O、ZNBR2、ZNBR2・2H2O、ZNCL2、ZN(NO3)2・6H2O、ZN(H2PO4)2・H2O、(C2H3O2)2ZN・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、薬学的に許容される亜鉛の塩が、本発明の培養培地を補充するために使用される。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
別の実施形態において、ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)は、少なくとも、または約0.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTS13タンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。別の実施形態において、ADAMTS組成物は、少なくとも、または約1.5mMのカルシウムを含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、ADAMTS組成物は、0.5mM〜1.5mM、または約その間のカルシウムを含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。また他の実施形態において、ADAMTS組成物は、少なくとも、もしくは約0.5mM、または少なくとも、もしくは約0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM以上のカルシウムを含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。別の実施形態において、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、方法は、浮遊様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、本方法は、付着様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。別の実施形態において、本方法は、回分培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、本方法は、浮遊様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、本方法は、付着様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。一実施形態において、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一般に、あらゆるカルシウム塩が本発明の培地を補充するために使用され得る。許容される塩の例としては、CaCl2、CaCl2、CaFPO3・2H2O、CaI2、CaBr2、(C2H3O2)2Ca、(CHO2)2Ca、(C6H7O6)2Ca、(C6H5O7)2Ca3・2H2O等が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、薬学的に許容されるカルシウムの塩は、本発明の培養培地を補充するために使用される。
別の実施形態において、ADAMTSタンパク質組成物(例えば、ADAMTS13組成物)は、少なくとも、または約2mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。別の実施形態において、ADAMTS組成物は、少なくとも、または約7mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、ADAMTS組成物は、2mg/L〜10mg/L、または約その間のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。また他の実施形態において、ADAMTS組成物は、少なくとも、または約2mg/L、3mg/L、4mg/L、5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、9mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L以上の濃度のニコチンアミド(ビタミンB3)を含む培養培地中でADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ哺乳類細胞を培養することにより調製される。一実施形態において、培養物は、35℃〜37℃、または約その間で維持される。具体的な実施形態において、培養物は、36℃、または約36℃で維持される。別の実施形態において、培養物のpHは、6.9〜7.3、または約その間で維持される。一実施形態において、培養物の温度および/またはpHは、少なくとも7日間維持される。一実施形態において、本方法は、連続培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、本方法は、浮遊様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、本方法は、付着様式で操作される、ケモスタット、タービドスタット、または灌流培養条件下で実施される。別の実施形態において、本方法は、回分培養条件下で実施される。具体的な実施形態において、本方法は、浮遊様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。他の具体的な実施形態において、本方法は、付着様式で操作される、単一回分、反復回分、または流加培養条件下で実施される。一実施形態において、ADAMTSタンパク質をコードする核酸を持つ細胞は、哺乳類細胞である。特定の実施形態において、哺乳類細胞は、ハムスター、ヒト、またはマウス細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、CHO細胞系、HEK293細胞系、またはBHK細胞系である。別の実施形態において、哺乳類細胞は、動物性タンパク質および/またはポリペプチドを含まない培養培地中で培養される。また別の実施形態において、哺乳類細胞は、合成培養培地中で培養され、これは、動物性タンパク質およびポリペプチドを含む場合も、含まない場合もある。一実施形態において、培養培地は、0.5mg/L〜30mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。別の実施形態において、培養培地は、2mg/L〜8mg/L、または約その間のポリアミンをさらに含む。具体的な実施形態において、ポリアミンはプトレシンである。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTS組成物は、亜鉛およびカルシウムの双方で補充された培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸をもつ細胞を培養することにより調製される。実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびカルシウムの濃度は、変形形態94〜変形形態113(表7)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一実施形態において、培養は、灌流培養である。別の実施形態において、培養は、ケモスタット培養である。他の実施形態において、培養は、流加または反復回分培養である。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTS組成物は、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で補充された培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態114〜変形形態133(表8)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一実施形態において、培養は、灌流培養である。別の実施形態において、培養は、ケモスタット培養である。他の実施形態において、培養は、流加または反復回分培養である。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTS組成物は、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の双方で補充された培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。ある実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、カルシウムおよびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態134〜変形形態149(表9)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一実施形態において、培養は、灌流培養である。別の実施形態において、培養は、ケモスタット培養である。他の実施形態において、培養は、流加または反復回分培養である。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
一実施形態において、ADAMTS組成物は、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)で補充された培養培地中でADAMTSタンパク質(例えば、ADAMTS13)をコードする核酸を持つ細胞を培養することにより調製される。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、本明細書に記載されるもののうちのいずれかであり得る。ある実施形態において、亜鉛、カルシウム、およびニコチンアミド(ビタミンB3)の濃度は、変形形態14〜変形形態93(表3〜表6)のうちの1つである。ある実施形態において、培養物は、少なくとも7日間、または少なくとも14日間、21日間、28日間、または少なくとも5週間、6週間、7週間、または少なくとも2ヶ月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヶ月間以上維持される。一実施形態において、培養は、灌流培養である。別の実施形態において、培養は、ケモスタット培養である。他の実施形態において、培養は、流加または反復回分培養である。好ましい実施形態において、ADAMTSタンパク質は、ADAMTS13である。
別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、高比活性、例えば、少なくとも600U/mgのA13タンパク質の比活性で提供される。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも700U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも800U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも900U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1000U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1100U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1200U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1300U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1400U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1500U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1600U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1700U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1800U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも1900U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2000U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2100U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2200U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2300U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2400U/mgの比活性を有する。別の実施形態において、ADAMTS13組成物は、少なくとも2500U/mgの比活性を有する。
VII. 実施例
実施例1
既知組成BACD−A13培地中にヒトADAMTS13を発現する組み換えHEK293細胞系1020/1 013−2の生物反応器培養物を使用して、流加実験を実施した。培養培地をさらなる亜鉛で補充することの効果を調べた。
空気飽和20%の溶解酸素濃度で、37℃でインライン制御された7.20のpH下、ブレード羽根を備えた1.5Lの生物反応器中で、ヒトADAMTS13を発現する組み換えHEK293細胞を流加細胞培養により培養した。DMEM/F12系の既知組成培養培地(BACD−A13;表12)を含有する2つの同一の生物反応器に細胞浮遊液を移動した。2つの培養物をDMEM/F12のように、0.432mg/LのZnSO4・7H2Oを用いるか、または1.432mg/Lの最終濃度のために1mg/LのZnSO4・7H2Oでさらに補充するかのいずれかにより調製されたBACD−A13培地中で増殖させた。2つの流加培養物は、それ以外は同様に処理され、よって相互に直接比較され得る。
上清を遠心分離または濾過して残留細胞を除去した後、培養物の上清におけるA13の活性をFRETS−VWF73アッセイにより測定した。A13の総量は、A13特異的抗体(表10)を使用して、ELISAにより測定した。標準的なDMEM/F12亜鉛濃度を有するBACD−A13培地を利用した培養物からの上清は、3日目および6日目にそれぞれ、728および826mU/mLのA13活性を有した。培養物の比活性は、それぞれ、482mU/μgおよび526mU/μg A13であった。対照的に、亜鉛でさらに補充された培養物からの上清は、A13発現の収率はわずかに改善されたのみであったが(3日目および6日目に、それぞれ、7%および19%超)、A13活性の全活性および比活性が大幅に改善されたことを示した(表11)。表10および表11の結果を比較することによって見られるように、全A13 FRETS−VWF73活性は、0.432mg/LのZnSO4・7H2Oで増殖させた培養物と比較して、1.432mg/LのZnSO4・7H2Oの存在下で増殖させた培養物において、3日目で118%高く(1589対728)、6日目で61%高かった(1381対728)。同様に、補充された培養物中のA13タンパク質の比活性は、3日目で104%高く(981対482mU/μg)、6日目で42%高かった(739対526mU/μg)。
生物反応器から試料を取り、ELISAによりA13について分析し、A13活性をFRETS−VWF73アッセイにより測定した。Nucleocounter技術により細胞数を決定した。希釈速度を測定し、増殖率および容量生産能の計算に使用した。
実施例2
既知組成BACD−A13培地中にヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞系#938の生物反応器培養物を使用して、流加実験を実施した。培養培地をさらなる亜鉛および/またはビタミンB3で補充することの効果を調べた。
ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞を既知組成BCS培地(BCS培地)に適応させた。Development Working Cell Bank#01(DWCB#01)からのクローン#938を解凍し、細胞接種材料をBCS培地中で調製した。ブレード羽根を備えた2つの1.5Lの生物反応器中に細胞を移し、空気飽和20%の溶解酸素濃度で、37℃でインライン制御された7.20のpHの商標BACD−A13培地中で、流加細胞培養下で増殖させた。2つの培養物をDMEM/F12のように、0.432mg/LのZnSO4・7H2Oを用いるか、または1.432mg/Lの最終濃度のために1mg/LのZnSO4・7H2Oでさらに補充するかのいずれかにより調製されたBACD−A13培地中で増殖させた。2つの流加培養物は、それ以外は同様に処理され、よって相互に直接比較され得る。上清を4日目および7日目に採取し、A13タンパク質および活性レベルについてアッセイした。7日目に採取した後、双方の培養物を7.02mg/Lの最終濃度のために、さらなる5mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)で補充し、さらに4日間、同じ条件下で増殖させた。上清を11日目に採取し、A13タンパク質および活性レベルをアッセイした。
亜鉛を補充せずに増殖させた最初の培養物において、採取した上清のA13活性レベルは、4日目および7日目にそれぞれ、642および488mU/mLであった(表13)。これらの上清の比活性は、4日目および7日目にそれぞれ、371および273mU/μgであった。前の実施例1に見られるように、さらなる亜鉛で補充された培養物の上清におけるA13の全活性および比活性は、大幅に増加した(採取4日目および7日目の表13および表14を比較)。前と同様、双方の培養物で産生された総A13は、類似するが、さらなる亜鉛で補充された第2の培養物の上清からのA13は、4日目および7日目にそれぞれ、40%および104%を超える全活性、ならびに4日目よび7日目に78%および75%を超える比活性を有した(表14対表13)。全A13収率および細胞増殖率を含む他のパラメータは、さらなる亜鉛の補充により影響を受けないように見えた。
7日目に上清を採取した後、双方の培養物をさらなる5mg/Lのニコチンアミド(ビタミンB3)でさらに補充し、さらに4日間、同じ条件下で増殖させた。前と同様に、上清を11日目に採取した。ビタミンB3の補充は、双方の培養物の上清中で認められたA13の全FRETS−VWF73活性および比活性の増加をもたらした(表13および表14、11日目)。特に、これらの値は、双方の培養物においておよそ2倍であった。11日目に、さらなる亜鉛およびビタミンB3で補充された培養物2からの上清は、培養物1から採取された上清よりほぼ200%大きい(2366対791mU/mL)全活性、および174%大きい(1189対432mU/μg)比活性を示した。
ニコチンアミド単独での培地の補充は、A13の全活性(791mU/mL対488mU/mL、表13の7日目と11日目とを比較)および比活性(432mU/μg対273mU/μg、表13の7日目と11日目とを比較)において約60%の増加をもたらした。同様に、亜鉛単独での培地の補充は、A13の全活性および比活性において約70%〜80%の間の増加をもたらした(表13および表14の4日目および7日目を比較)。意外にも、ニコチンアミドおよび亜鉛の双方での培地の補充は、A13の約300%〜400%の間の全活性(表14の11日目と表13の4日目および7日目とを比較)、および約200%〜300%の間の比活性(表14の11日目と表13の4日目および7日目とを比較)の相乗的増加をもたらし、亜鉛とニコチンアミドとの効果の間に予想外の相乗的相互作用を示した。
実施例3
ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞系#640−2のケモスタット細胞培養物を、さらなる亜鉛およびビタミンB13で補充した既知組成BACD−A13培地中で増殖させた。10Lの培養物を53日間維持し、A13タンパク質および活性の産生を経時的に監視した。
ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞を既知組成商標培地(BCS培地)に適応させた。細胞バンクウイルスを解凍し、細胞接種材料をBCS培地中で調製した。A13発現クローン#640−2から繁殖させた細胞を、Rushton型羽根を備えた10Lの生物反応器に移し、空気飽和20%の溶解酸素濃度で、37℃でインライン制御された7.15〜7.20のpH下、商標BACD−A13培地を用いて反復回分培養物中で培養した。2つの回分培養物を10Lの最終作業量に増殖させた後、5日目に生物反応器を連続培地供給に切り替え、ケモスタット様式でさらに48時間操作した。
生物反応器からの上清の試料を毎週採取し、ELISAによりA13タンパク質の産生、およびFRETS−VWF73アッセイによりA13活性について分析した。Nucleocounter技術により細胞数を決定した。希釈速度を測定し、増殖率および容量生産能の計算に使用した。
1.432mg/LのZnSO4・7H2Oの最終濃度および7.02mg/Lのニコチンアミドで、亜鉛およびニコチンアミドで補充した既知組成BACD−A13培地を使用した連続培養条件下において、0.9〜1.3mg/L/Dの間の高レベルのA13タンパク質産生、および約800〜1100mU/μg A13の間の比活性が達成された(表15)。これらの結果は、実施例2にあるように、CHOクローン#938で達成された、タンパク質産生および比活性と一致した。特に、容量および細胞比産生能は、長期培養において経時的に増加し、経時的な増殖率および希釈速度の増加による可能性が高い。発現したA13の高比活性は、培養物がケモスタット条件下で増殖された少なくともまる7週間にわたり、一定して高レベルで少なくとも維持され得る。事実、培養物中で産生されたA13の比活性は、実際に2週目の約800mU/μgから7週目の約1100mU/μg A13に増加した。
実施例4
既知組成BACD−A13培地中にヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞系#640−2の生物反応器培養物を使用して、流加およびケモスタット細胞培養実験を実施した。異なるレベルの亜鉛で培養培地を補充することの効果を調べた。
流加様式で、ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞を既知組成商標培地であるBCS培地に適応させた。つまり、DWCB#05を解凍し、細胞接種材料をBCS培地中で調製した。ブレード羽根を備えた1.5Lの生物反応器に細胞を移し、空気飽和20%の溶解酸素濃度で、37℃でインライン制御された7.20のpH下、7mg/Lの最終濃度のニコチンアミドで補充したが、亜鉛補充をしない商標BACD−A13培地に入れた。次いで、異なるZn補充(0mg/L、0.5mg/L、および1.0mg/LのZnSO4・7H2O〜0.432mg/L、0.932mg/L、および1.432mg/LのZnSO4・7H2Oの最終濃度)を含む、7mg/Lの最終濃度のニコチンアミドで補充したBACD−A13培地を含有する3つの同じ生物反応器に回分細胞浮遊液を分けた。
BACD−A13培地は、さらなる亜鉛で補充した、または補充しない0.432mg/LのZnSO4・7H2Oを含んだ。培養物および培地は、それ以外は同じであり、よって、相互に直接比較することができる。培養物を約1週間、流加様式で増殖させ、A13タンパク質産生およびFRETS−VWF73活性について、上清をアッセイした。次いで、3つ全ての生物反応器をケモスタット様式に切り替え、上述のように、異なる亜鉛補充の培地を使用して、連続培養条件下で約2週間操作した。
流加培養条件下において、実施例1および2に見られる結果と一致し、0.5mg/Lまたは1.0mg/LのいずれかのZnSO4・7H2Oでの培地の補充は、さらなる亜鉛(437mU/μg)で補充されなかった培地と比較して、上清におけるA13タンパク質の比活性を大幅に増加した(それぞれ、785mU/μgおよび876mU/μg)(表16)。前と同じように、全A13タンパク質産生および比細胞増殖を含む他のパラメータは、さらなる亜鉛による補充により影響を受けなかった。
生物反応器をケモスタット様式に切り替えた後、上述の異なる亜鉛補充の培地を使用して、培養物を約1週間(2週目)、連続培養条件下で増殖させた。生物反応器からの上清の試料を毎週採取し、ELISAによりA13タンパク質産生、およびFRETS−VWF73アッセイによりA13活性について分析した。流加様式下で増殖させた培養物に見られる結果と同様に、連続培養増殖に使用した増殖培地のさらなる亜鉛での補充は、補充なし(553mU/μg)と比較して、1週間後、A13比活性の実質的な改善をもたらした(0.5mg/Lおよび1.0mg/LのZnSO4・7H2O補充において、それぞれ697mU/μgおよび729mU/μg)(表17、表18、および表19)。
以前に、連続細胞培養で発現させたA13の比活性は、長期間にわたって実際に改善されたことが分かっていた(実施例3を参照)。この結果が繰り返され得るかどうかを調べるために、さらなる亜鉛で補充した培地中で増殖させた培養をさらに1週間続けた。表18および表19に見られるように、双方の培養物の上清におけるA13の比活性は、経時的に再び増加した。0.5mg/LのZnSO4・7H2Oで補充した培地の上清に認められたA13の比活性は、2週目の697mU/mgから3週目の759mU/mgに増加した(表18)。同様に、1.0mg/LのZnSO4・7H2Oで補充した培地の上清に認められたA13の比活性は、2週目の729mU/mgから3週目の812mU/mgに増加した(表19)。前と同様、比細胞増殖は、さらなる亜鉛で補充することにより影響を受けなかった。しかしながら、特に、A13タンパク質産生は、亜鉛で補充されなかった培養物中での産生と比較して、さらなる亜鉛で補充された双方の培養物において増加したようであった。
実施例5
既知組成BACD−A13培地中にヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞系#F6の生物反応器培養物を使用して、流加およびケモスタット細胞培養実験を実施した。より高レベルの亜鉛で培養培地を補充することの効果を調べた。
流加様式で、ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞を既知組成商標培地であるBCS培地に適応させた。適応させた集団をサブクローン化し、クローン#F6をそれから誘導した。
つまり、DWCB#19を解凍し、細胞接種材料をBCS培地中で調製した。ブレード羽根を備えた3つの1.5Lの生物反応器に細胞を移し、1.432mg/L、2.432mg/L、および3.432mg/LのZnSO4・7H2Oの最終濃度のために、それぞれ、1.0mg/L、2.0mg/L、および3.0mg/LのZnSO4・7H2Oで補充した商標BACD−A13培地に入れた。空気飽和20%の溶解酸素濃度で、36℃でインライン制御した7.15のpH下、培養物を増殖させた。
培養物を約1週間、反復回分様式(3回分)で増殖させ、A13タンパク質産生およびFRETS−VWF73活性について、上清をアッセイした。次いで、3つ全ての生物反応器をケモスタット様式に切り替え、上述のように、異なる亜鉛補充の培地を使用して、連続培養条件下で約10日間操作した。
流加培養条件下において、増加した亜鉛量での培養培地の補充は、培養物の上清中に分泌されたA13の比活性をさらに増加させた。上に報告された前の結果と一致し、さらなる1.0mg/LのZnSO4・7H2Oでの培地の補充は、806mU/μgの高比活性をもたらした。亜鉛濃度のさらなる増加、すなわち、2.0mg/Lおよび3.0mg/Lでの補充は、さらに高レベルのA13比活性をもたらした(それぞれ、880mU/μgおよび889mU/μg)(表20)。前と同じように、全A13タンパク質産生および比細胞増殖を含む他のパラメータは、さらなる亜鉛による補充により影響を受けなかった。
生物反応器をケモスタット様式に切り替えた後、上述の異なる亜鉛補充の培地を使用して、培養物を10日間、連続培養条件下で増殖させた。生物反応器からの上清の試料をELISAによりA13タンパク質産生、およびFRETS−VWF73アッセイによりA13活性について分析した。流加様式下で増殖させた培養物に見られた結果と異なり、連続培養増殖に使用された増殖培地の高レベルの亜鉛での補充は、比増殖率および全体的な細胞生存率の減少をもたらした。さらなる1.0mg/LのZnSO4・7H2Oで補充した培地におけるケモスタット培養増殖は、上述の前の結果と一致する、高い細胞生存率(88.6%)および比増殖率(1日につき0.256)を示し続けた(表21)。
逆に、より高レベルのZnSO4・7H2Oである2.0mg/L、および3.0mg/Lで補充された培地中で増殖させた培養物は、細胞生存率(それそれ、72.1%および80.4%)および比増殖率(それぞれ、1日につき0.091および0.134)の大幅な減少を示した。しかしながら、特記すべきは、2つの培養物の上清におけるA13の比活性は、高いままであったことである(それぞれ、863mU/μgおよび771mU/μg)(表21)。
実施例6
50Lの生物反応器で、さらなる亜鉛およびニコチンアミドで補充した既知組成BACD−A13培地中の組み換えCHO細胞系#640−2において、ヒトA13タンパク質を発現させた。培養物の上清を採取した後、亜鉛およびカルシウムを含む、および含まない緩衝液を使用して、限外/透析濾過(50kD)ステップの比較を実施した。
ヒトADAMTS13を発現する組み換えCHO細胞を既知組成商標培地であるBCS培地に適応させた。簡潔に述べると、DWCBを解凍し、細胞接種材料をBCS培地中で調製した。10Lの生物反応器を介して、Rushton型羽根を備えた50Lの生物反応器に細胞を移し、空気飽和20%の溶解酸素濃度で、37℃でインライン制御された7.15〜7.20のpH下、商標BACD−A13培地中で、ケモスタット様式で培養した。
生物反応器からの上清を濾過し、細胞を含まない採取物を50kDのPES膜(濃縮係数は約1:10)を使用して限外濾過し、次いで、pH7.7の50mMのNaClおよび20mMのTRISを含有する5容量の緩衝液で透析濾過した。2mMのCaおよび5μMのZnを含む、または含まない透析濾過緩衝液を比較し、透析濾過とクロマトグラフィ精製との間の活性損失に対する作用を決定した。
ELISAにより検出される1μg A13当りmU FRETS−VWF73として記録された比活性は、透析濾過の直後、およびさらなる精製のために試料を装填する直前に決定された。試料は、3日の最長時間の間(約80時間未満)、約2〜8℃の間で保管された。試料を長期間保管した時、これらは、透析濾過の終わりとクロマトグラフィの始めとの間、−15℃未満に保たれた。試料は、透析濾過の直後とクロマトグラフィカラムの装填直前に測定、および比較された。
限外/透析濾過ステップとさらなる精製ステップとの間の比較的短い保持時間にもかかわらず、A13比活性の大幅な損失(23.3%)が、透析濾過緩衝液が亜鉛およびカルシウムを含まない場合に生じた。逆に、透析濾過緩衝液が2mMのCaおよび5μMのZnを含有した時、A13比活性の損失(7.3%)は、大幅に減少した(表22)。
実施例7
ケモスタットおよび灌流連続細胞培養法を、いくつかの組み換えCHO細胞系で発現するA13の相対的産生および比活性を決定するために比較した。
簡潔に述べると、組み換えヒトA13を発現する組み換えCHO細胞の異なるクローンが、既知組成商標培地(BCS)に適応され、これは、接種材料の調製に使用された。細胞は、1.432mg/LのZnSO4・7H2Oおよび7.02mg/Lのニコチンアミドの最終濃度で亜鉛およびニコチンアミドで補充された商標BACD−A13培地中で、生物反応器でさらに培養された。次いで、各細胞クローンからの接種材料は、2つの生物反応器に移され、表23に示すように、そのうちの1つは、ケモスタット条件(CST)下で培養され、他方は、灌流下で培養された。Cytopore(商標)IIマイクロキャリア(GE Biosciences)上で、約2×106〜4×106細胞/mLの間の密度で、細胞を培養した。
細胞を3〜4週間、連続培養条件下で増殖させ、ELISAによりA13タンパク質の産生、およびFRETS−VWF73アッセイによりA13の活性について、生物反応器からの上清の試料を定期的に分析した。表23に示す値は、3〜4週の期間の平均を表す。上の実施例1〜6で得られた結果と一致し、ケモスタット下で増殖させた培養物は、約700mU/μg〜約1000mU/μgの高比活性を有する、約1mg/L/d〜約2mg/L/dのA13タンパク質を産生した(表23)。際立って、灌流培養条件下で増殖させた培養物は、一貫して、ケモスタット条件下で増殖させた同一のクローンより、培養物の上清において高いA13のタンパク質産生および活性レベルを示した。灌流培養において産生されたA13の比活性は、非常に高く、4つのクローンのうちの3つは、少なくとも約1000mU/μgを示した。
実施例8
既知組成の動物性タンパク質を含まない培養培地を使用して、真核細胞培養物中で増殖させた組み換えヒトADAMTS13タンパク質の産生に対する温度およびpHの作用を決定するために、7.05〜7.30の間のpHで、35.0℃〜38.0℃の間の温度で、培養物を増殖させた。
簡潔に述べると、ブレード羽根を備えた1.5Lの生物反応器にヒトA13を発現する組み換えCHO細胞を移し、商標BACD−A13培地に入れた。空気飽和20%の溶解酸素濃度で、35.0℃〜38.0℃の範囲の温度でインライン制御された7.05〜7.30の間のpH下で、細胞を増殖させた。応答曲面アプローチを使用して実験を設計し、実施した。統計分析は、統計ソフトウェアパッケージMinitab(登録商標)15.1.0.0を使用して行われた。
生物反応器から試料を取り、ELISAによりA13について分析し、A13活性をFRETS−VWF73アッセイにより測定した。Nucleocounter技術により細胞数を決定した。希釈速度を測定し、増殖率および容量生産能の計算に使用した。
図1および2に見ることができるように、温度およびpHの双方は、容量A13生産能(FRETS−VWF73により測定、図1)、および比活性(ELISAによりFRETS−VWF73活性/抗原、図2)に対してかなりの効果を有した。具体的に、最大容量FRETS産生能は、約7.05〜7.2の間の範囲、特に、約7.10の低pH、および約35.0℃〜37.0℃の間の温度、特に、約36℃で増殖させた培養物において達成された。具体的に、最大比活性(ELISAによる抗原に対するFRETS−VWF73)は、約7.05〜7.2の間の範囲、特に7.10以下の低pH、および約35.0℃〜37.0℃の間、特に36℃以下の温度で増殖させた培養物において達成された。A13産生の具体的な最適条件は、最適収率および産生量に関して、約36℃の温度、かつ約7.10のpHの組合せで達成された。
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