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JP6835054B2 - 高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP6835054B2 JP2018204256A JP2018204256A JP6835054B2 JP 6835054 B2 JP6835054 B2 JP 6835054B2 JP 2018204256 A JP2018204256 A JP 2018204256A JP 2018204256 A JP2018204256 A JP 2018204256A JP 6835054 B2 JP6835054 B2 JP 6835054B2
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Description

本発明は、高張力鋼板に関し、特に、板厚1/2位置における機械的特性に優れるとともに、板厚全体にわたって継手靭性および継手加工性に優れ、かつ、溶接性にも優れる高張力鋼板に関する。したがって、本発明の高張力鋼板は、海洋構造物、圧力容器、ペンストック、橋梁、トンネルなどの鋼構造物用として好適に用いることができる。また、本発明は、前記高張力鋼板の製造方法に関する。
近年、鋼構造物の大型化などの理由から、使用される鋼材の厚肉化、高強度化が要望されている。中でも、高強度かつ低温靭性に優れる鋼板が求められており、そのような要求を満たす高張力鋼板を提供するために、様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、熱間圧延に先立って鋳片を再加熱する際に、特定条件で予備的熱処理を行う高張力鋼板の製造方法が提案されている。特許文献1によると、前記予備的熱処理を行うことにより、混粒の発現が回避され、その結果、鋼板の低温靭性が向上する。
また、特許文献2では、特定の成分組成を有するスラブを熱間圧延した後、特定の条件で冷却と焼戻しを行う高張力鋼板の製造方法が記載されている。特許文献2によると、前記製造方法は生産性に優れるとともに、低温靭性に優れた高張力鋼板の製造を可能とする。
特許文献3では、特定の成分組成を有する鋼素材を熱間圧延した後、特定の条件で急冷と焼戻しを行う高張力鋼板の製造方法が記載されている。前記製造方法によれば、母材の強度および靭性に加え、溶接熱影響部の靭性に優れる高張力鋼板を得ることができる。
特開2003−129134号公報 特許第4842402号公報 特開2012−172243号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されているような従来技術においては、母材鋼板の低温靭性に一定の改善が見られるものの、板厚1/4位置における靭性のみに着目しており、板厚中心部までの機械的特性は保証されていない。一般に板厚が厚いほど、鋳造スラブの中心偏析やポロシティと呼ばれる内部微小空孔等に起因する鋼板の内部欠陥や溶接欠陥(ザク疵)が発生しやすく、材料特性に悪影響を及ぼす。そのため、近年の厚肉化と高強度化の要求を十分に満たすためには、「内質」と称される、板厚1/2位置における機械的特性を制御する必要がある。
また、鋼構造物の破壊安全性の観点からは、溶接性に優れること、および溶接部の板厚方向全体にわたって高い靱性および継手加工性を備えることが求められるが、特許文献1〜3では、溶接性や溶接部の板厚方向全体における靭性および継手加工性に対して十分な考慮が払われていなかった。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、板厚1/2位置における機械的特性に優れるとともに、板厚全体にわたって継手靭性および継手加工性に優れ、かつ、溶接性にも優れる高張力鋼板を提供することを目的とする。なお、ここで「継手加工性」とは、継手側曲げ試験において割れが発生しない特性を指すものとする。
本発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討し、以下の知見を得た。
(1)板厚1/2位置における優れた機械的特性を確保するためには、不純物元素、介在物、およびミクロ組織を制御する必要がある。
(2)上記不純物元素については、中心偏析の原因となる不純物元素であるPおよびSを低減し、さらに固溶SをCa系介在物として固定する必要がある。
(3)上記介在物については、前記Ca系介在物のサイズおよび分布密度が特定の範囲内になるように、CaとSの含有量を制御する必要がある。
(4)上記ミクロ組織については、板厚1/2位置におけるミクロ組織をベイナイトとマルテンサイトの混合組織とし、かつ旧オーステナイト粒径を所定の範囲内になるように制御する必要がある。
(5)上記条件を満たすためには、熱間圧延工程において、高温−強圧下圧延によって中心偏析を抑制しポロシティの低減を図る必要がある。
(6)さらに、溶接性を確保するために、C含有量を低くした上でPcmを一定値以下に抑える必要がある。
(7)加えて、継手加工性を確保するには、(i)固溶S、および(ii)鋼板の内部欠陥および溶接欠陥に加え、(iii)板厚1/2位置の偏析部で生成しやすいMnSの3つを同時に低減することが必要である。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は以下の通りである。
1.質量%で、
C :0.02〜0.12%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.5〜2.0%、
P :0.015%以下、
S :0.0020%以下、
Al:0.005〜0.10%、
Ni:0.01〜5.00%、
Mo:0.01〜1.00%、
Ti:0.005〜0.030%、
B :0.0003〜0.0030%、
N :0.0015〜0.0065%、および
Ca:0.0001〜0.0050%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、
下記(1)式で定義されるPcmが0.30以下であり、
下記(2)式で定義されるPS,Caが0.0010以下である成分組成を有し、
ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であり、かつ、旧オーステナイトの平均粒径が40μm以下である板厚1/2位置におけるミクロ組織を有し、
Sを含有し、かつFeを除いた元素におけるCaの質量分率が5%以上である介在物として定義されるCa系介在物を含有し、
板厚1/2位置における前記Ca系介在物の分布密度が0個/mm超、100個/mm未満であり、かつ
板厚1/2位置における前記Ca系介在物の平均円相当径が2.0μm未満である、高張力鋼板。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(1)
S,Ca=S−Ca×32/40…(2)
ただし、上記(1)、(2)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする。
2.前記成分組成が、質量%で、
Cu:1.50%以下、
Cr:2.00%以下、
Nb:0.10%以下、および
V :0.20%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、上記1に記載の高張力鋼板。
3.前記成分組成が、質量%で、
REM:0.02%以下、および
Mg:0.005%以下の一方または両方をさらに含有する、上記1または2に記載の高張力鋼板。
4.質量%で、
C :0.02〜0.12%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.5〜2.0%、
P :0.015%以下、
S :0.0020%以下、
Al:0.005〜0.10%、
Ni:0.01〜5.00%、
Mo:0.01〜1.00%、
Ti:0.005〜0.030%、
B :0.0003〜0.0030%、
N :0.0015〜0.0065%、および
Ca:0.0001〜0.0050%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、
下記(1)式で定義されるPcmが0.30以下であり、
下記(2)式で定義されるPS,Caが0.0010以下である成分組成を有する鋼素材を900〜1250℃の加熱温度に加熱し、
加熱された前記鋼素材を熱間圧延して熱延鋼板とし、
前記熱延鋼板をAc3変態点〜1000℃の再加熱温度に再加熱し、
前記再加熱温度に10分以上保持し、
前記保持後の熱延鋼板を、平均冷却速度1〜200℃/sで加速冷却し、
前記加速冷却された熱延鋼板を、450℃〜Ac1変態点未満の焼戻し温度で焼戻し処理することを含み、
前記熱間圧延が、圧延温度が1000℃以上かつ圧延形状比が1.0以上かつ圧下率が15%以上の条件での1回以上の圧延を含み、かつ圧延終了温度が900℃以上である、高張力鋼板の製造方法。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(1)
S,Ca=S−Ca×32/40…(2)
ただし、上記(1)、(2)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする。
5.前記成分組成が、質量%で、
Cu:1.50%以下、
Cr:2.00%以下、
Nb:0.10%以下、および
V :0.20%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、上記4に記載の高張力鋼板の製造方法。
6.前記成分組成が、質量%で、
REM:0.02%以下、および
Mg:0.005%以下の一方または両方をさらに含有する、上記4または5に記載の高張力鋼板の製造方法。
本発明によれば、板厚1/2位置における機械的特性に優れるとともに、板厚全体にわたって継手靭性および継手加工性に優れ、かつ、溶接性にも優れる高張力鋼板を提供することができる。本発明の高張力鋼板は、海洋構造物、圧力容器、ペンストック、橋梁、トンネルなどの鋼構造物用として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明はこれに限定されない。
[成分組成]
本発明の高張力鋼板、および前記高張力鋼板の製造に用いる鋼素材は、上述した成分組成を有する必要がある。以下、前記成分組成に含まれる各成分について説明する。なお、特に断らない限り、各成分の含有量を表す「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.02〜0.12%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保する効果を有する元素である。前記効果を得るために、C含有量を0.02%以上とする。C含有量は、0.05%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.12%を超えると、溶接性が低下する。そのため、C含有量は0.12%以下とする。
Si:0.01〜0.50%
Siは、脱酸材として機能するとともに、母材強度を高める効果を有する元素である。前記効果を得るために、Si含有量を0.01%以上とする。一方、Si含有量が0.50%を超えると、島状マルテンサイトの生成が促進され、靭性や溶接性が低下する。そのため、Si含有量を0.50%以下とする。Si含有量は0.35%以下とすることが好ましい。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、焼き入れ性を上げて鋼の強度・靱性を増加させる効果を有する元素である。母材の引張強さを確保するためには、Mn含有量を0.5%以上とする必要がある。Mn含有量は0.8%以上とすることが好ましい。一方、Mn含有量が2.0%を超えると、母材の靭性が著しく劣化する。そのため、Mn含有量は2.0%以下とする。Mn含有量は1.8%以下とすることが好ましい。
P:0.015%以下
Pは、母材の低温靭性を劣化させる元素である。Pは中心偏析しやすく板厚中心部における母材鋼板の靱性を劣化させるため、できるだけ低減することが望ましい。そのため、P含有量は0.015%以下とする。一方、P含有量の下限については限定されず、0%であってもよい。しかし、過度の低P化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.0020%以下
Sは、母材の低温靭性および内質を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが望ましい。S含有量が0.0020%を超えると、低温靭性および内質が劣化するため、S含有量は0.0020%以下とする。一方、S含有量の下限については限定されず、0%であってもよい。しかし、過度の低S化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0001%以上とすることが好ましい。
Al:0.005〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいて、もっとも汎用的に使われる。前記効果を得るために、Al含有量は0.005%以上とする。Al含有量は、0.010%以上とすることが好ましい。一方、Al含有量が0.10%を超えると、母材の靭性が低下する。そのため、Al含有量は0.10%以下とする。Al含有量は0.07%以下とすることが好ましい。
Ni:0.01〜5.00%
Niは、高靭性を保ちつつ強度を増加させることが可能な元素である。前記効果を得るために、Ni含有量を0.01%以上とする。Ni含有量は0.10%以上とすることが好ましく、0.20%以上とすることがより好ましい。一方、Ni含有量が5.00%を超えると、添加効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなるため、経済的に不利となる。そのため、Ni含有量を5.00%以下とする。
Mo:0.01〜1.00%
Moは、鋼の強度向上に寄与する元素である。前記効果を得るために、Mo含有量を0.01%以上とする。Mo含有量は0.05%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が1.00%を超えると靭性が劣化する。そのため、Mo含有量は1.00%以下とする。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、Nとの親和力が強く、凝固時にTiNとして析出する。高温でも安定なTiNのピンニング効果により、溶接熱影響部でのオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制することで、溶接熱影響部の靭性を向上させることができる。前記効果を得るために、Ti含有量を0.005%以上とする必要がある。Ti含有量は0.006%以上とすることが好ましい。一方、Ti含有量が0.030%を超えると、TiN粒子が粗大化し、オーステナイト粒の粗大化抑制効果が飽和する。そのため、Ti含有量は0.030%以下とする。Ti含有量は0.025%以下とすることが好ましい。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、焼入れ性を向上させることにより、鋼の強度を向上させる作用を有する元素である。前記効果を得るために、B含有量を0.0003%以上とする。一方、B含有量が0.0030%を超えると、焼入れ性が過度に高くなり、母材の靭性および溶接性が低下する。そのため、B含有量を0.0030%以下とする。B含有量は0.0020%以下とすることが好ましい。
N:0.0015〜0.0065%
Nは、Tiと結合して炭窒化物を析出形成し、オーステナイト粒の粗大化を抑制して母材靱性および継手部の靱性を向上させる。前記効果を得るために、N含有量を0.0015%以上とする。N含有量は、0.0030%以上とすることが好ましい。一方、N含有量が0.0065%を超えると、固溶N量の増加により、母材および溶接部靭性が著しく低下する。そのため、N含有量は0.0065%以下とする。N含有量は0.0060%以下とすることが好ましい。
Ca:0.0001〜0.0050%
Caは、母材の靭性を向上させるだけでなく内質劣化の原因となるSを固定し、所期の内質を得るために有効な元素である。前記効果を得るために、Ca含有量を0.0001%以上とする。Ca含有量は0.0010%以上とすることが好ましい。一方、Ca含有量が0.0050%を超えると、Ca系の介在物が過剰となり、かえって低温靱性等の劣化を招く。そのため、Ca含有量は0.0050%以下とする。
本発明の一実施形態においては、高張力鋼板は、上記各元素と、残部のFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する。
また、本発明の他の実施形態においては、上記成分組成が、任意に、Cu、Cr、Nb、およびVからなる群より選択される1または2以上を、以下に述べる量でさらに含有することができる。
Cu:1.50%以下
Cuは、Niと同様、高靭性を保ちつつ強度を増加させることが可能な元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Cu含有量が1.50%を超えると熱間脆性を生じて鋼板の表面性状が劣化する。そのため、Cuを含有する場合、Cu含有量は1.50%以下とする。Cu含有量は0.70%以下とすることが好ましい。一方、Cu含有量の下限は限定されないが、より高いCuの添加効果を得るという観点からは、Cu含有量を0.01%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがより好ましく、0.20%以上とすることがさらに好ましい。
Cr:2.00%以下
Crは、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Cr含有量が2.00%を超えると靭性が劣化するため、Crを含有する場合、Cr含有量を2.00%以下とする。一方、Cr含有量の下限は限定されないが、より高いCrによる強度向上効果を得るという観点からは、Cr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
Nb:0.10%以下
Nbは、Cr、Moと同様、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、Nb含有量が0.10%を超えると母材靭性が劣化するため、Nbを含有する場合、Nb含有量を0.10%以下とする。一方、Nb含有量の下限は限定されないが、より高いNbによる強度向上効果を得るという観点からは、Nb含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
V:0.20%以下
Vは、Cr、Mo、Nbと同様、鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて任意に含有できる。しかし、V含有量が0.20%を超えると靭性が劣化するため、Vを含有する場合、V含有量を0.20%以下とする。一方、V含有量の下限は限定されないが、より高いVによる強度向上効果を得るという観点からは、V含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
本発明の他の実施形態においては、上記成分組成が、任意に、REM(希土類金属)およびMgの一方または両方をさらに含有することができる。
REM:0.02%以下
REMは、Caと同様に靭性向上効果を有しており、所望する特性に応じて任意に含有できる。しかし、REM含有量が0.02%を超えると、添加効果が飽和するため、REMを含有する場合、REM含有量を0.02%以下とする。一方、REM含有量の下限は限定されないが、より高いREMによる靭性向上効果を得るという観点からは、REM含有量を0.002%以上とすることが好ましい。
Mg:0.005%以下
Mgは、Caと同様に結晶粒を微細化することによって靭性を向上させる効果を有する元素であり、所望する特性に応じて任意に含有できる。しかし、Mg含有量が0.005%を超えると、添加効果が飽和するため、Mgを含有する場合、Mg含有量を0.005%以下とする。一方、Mg含有量の下限は限定されないが、より高いMgによる靭性向上効果を得るという観点からは、Mg含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Pcm≦0.30
本発明においては、さらに上記成分組成が、Pcm≦0.30の条件を満たす必要がある。ここで、Pcmは溶接性の指標であり、下記(1)式で定義される。Pcmが0.30を超えると溶接性を確保することができない。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(1)
(ただし、上記(1)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする)
S,Ca≦0.0010
本発明においては、さらに上記成分組成が、PS,Ca≦0.0010の条件を満たす必要がある。ここで、PS,Caは下記(2)式で定義される。CaによってSを固定し、さらにMnSを低減する効果を得るために、上記条件を満足するようにCa含有量とS含有量を調整する。PS,Caが0.0010を超えると、固溶Sが過剰となるため内質が劣化する。
S,Ca=S−Ca×32/40…(2)
(ただし、上記(2)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする)
[ミクロ組織]
本発明の高張力鋼板は、ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であり、かつ、旧オーステナイトの平均粒径が40μm以下である板厚1/2位置におけるミクロ組織を有する。以下に前記ミクロ組織の限定理由を説明する。
ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積率:95%以上
本発明では、所望の母材強度と靭性を得るために、板厚1/2位置における、ミクロ組織全体に対するベイナイトとマルテンサイトの合計面積率を、95%以上とする。前記合計面積率が95%未満では強度および靱性の確保が困難となる。前記合計面積率の上限は特に限定されず、100%であってよい。なお、前記合計面積率が上記条件を満たしていれば、ミクロ組織の残部にフェライトなど他の組織を含有することも許容される。ここで、上記面積率には、ベイナイト中の島状マルテンサイトおよびセメンタイトの面積、マルテンサイト中のセメンタイトの面積は含まない。なお、前記ミクロ組織は、ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であれば、ベイナイトとマルテンサイトの個々の面積率は特に限定されない。しかし、前記ミクロ組織は、ベイナイトを必須の組織として含むことが好ましい。
また、本発明の高張力鋼板は、板厚方向の全体にわたって、ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であり、かつ、旧オーステナイトの平均粒径が40μm以下であるミクロ組織を有することが好ましい。ただし、通常、板厚1/2位置のミクロ組織が前記条件を満たしていれば、板厚方向全体のミクロ組織が前記条件を満たしている。これは、高張力鋼板の製造工程において、板厚1/2位置が最も冷却速度が遅く、したがって、最も焼きが入りにくいためである。なお、ここで「板厚方向の全体」には、極表層(鋼板表面から深さ1mmまでの層)を含まないものとする。鋼板の表面は脱炭の影響を受けるため、極表層のミクロ組織はそれ以外の部分と異なる場合がある。しかし、前記極表層のミクロ組織が鋼板の特性に及ぼす影響は無視することができる。
旧オーステナイトの平均粒径:40μm以下
旧オーステナイトの平均粒径が40μmを超えると、母材の組織が粗大となり、所望の低温靱性が得られなくなる。そのため、本発明では母材の低温靱性を確保するために、板厚1/2位置での旧オーステナイトの平均粒径を40μm以下とする。一方、前記平均粒径の下限は特に限定されないが、10μm未満であると圧延時の製造負荷が高くなる。そのため、前記平均粒径は10μm以上とすることが好ましい。
[介在物]
さらに、本発明の高張力鋼板はCa系介在物を含有する。ここで、Ca系介在物は、Sを含有し、かつFeを除いた元素におけるCaの質量分率が5%以上である介在物として定義される。
分布密度:0個/mm超、100個/mm未満
Sは中心偏析しやすい元素である。そして、本発明ではCaによりSを固定するため、Ca系介在物は板厚中央部により多く分布する。板厚1/2位置におけるCa系介在物の分布密度が100個/mm以上であると低温靱性の劣化を招く。そのため、板厚1/2位置における前記Ca系介在物の分布密度を0個/mm超、100個/mm未満とする。
平均円相当径:2.0μm未満
板厚1/2位置における前記Ca系介在物の平均円相当径が2.0μm以上であると、低温靱性が劣化する。そのため、板厚1/2位置における前記Ca系介在物の平均円相当径を2.0μm未満とする。一方、前記平均円相当径の下限は特に限定されないが、0.2μm以上とすることが好ましい。
[板厚]
本発明の高張力鋼板の板厚は特に限定されず、任意の厚さとすることができるが、6mm以上100mm以下とすることが好ましい。
[機械的特性]
(降伏強さ)
本発明の高張力鋼板の降伏強さ(YP)は、特に限定されず任意の値とすることができるが、板厚1/2位置における降伏強さを700MPa以上とすることが好ましい。なお、前記降伏強さは、実施例に記載した方法で測定することができる。
(引張強さ)
本発明の高張力鋼板の引張強さ(TS)は、特に限定されず任意の値とすることができるが、板厚1/2位置における引張強さを780MPa以上とすることが好ましい。なお、前記引張強さは、実施例に記載した方法で測定することができる。
(靱性)
本発明の高張力鋼板の靱性は、特に限定されず任意の値とすることができるが、板厚1/2位置における、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーvE−40を100J以上とすることが好ましい。前記シャルピー吸収エネルギーは、実施例に記載した方法で測定することができる。
(継手靱性)
本発明の高張力鋼板の継手靱性は、特に限定されず任意の値とすることができるが、溶接部の板厚1/2位置における、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーvE−40と、溶接部の板厚1/4位置における、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーvE−40の両者を、100J以上とすることが好ましい。前記溶接部のシャルピー吸収エネルギーは、実施例に記載した方法で測定することができる。
(溶接性)
特に限定はされないが、JIS Z 3158に定められたy形溶接割れ試験における最低予熱温度を100℃以下とすることが好ましい。なお、前記最低予熱温度は、実施例に記載した方法で測定することができる。
[製造方法]
次に、本発明の一実施形態における高張力鋼板の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、特に断らない限り、温度は板厚1/2位置の温度を指すものとする。板厚1/2位置の温度は、放射温度計で測定した鋼板表面温度から、伝熱計算により求めることができる。
本発明の高張力鋼板は、上述した成分組成を有する鋼素材に対して、次の(1)〜(6)の処理を特定の条件で順次施すことで製造することができる。以下、各工程について説明する。
(1)加熱
(2)熱間圧延
(3)再加熱
(4)再加熱温度での保持
(5)加速冷却
(6)焼戻し
(鋼素材)
上述した成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延鋼板とする。前記鋼素材の製造方法は、とくに限定されないが、例えば、上記した組成を有する溶鋼を常法により溶製し、鋳造して製造することができる。前記溶製は、転炉、電気炉、誘導炉等、任意の方法により行うことができる。また、前記鋳造は、生産性の観点から連続鋳造法で行うことが好ましいが、造塊−分解圧延法により行うこともできる。前記鋼素材としては、例えば、鋼スラブを用いることができる。
(加熱工程)
前記鋼素材は、圧延に先立って加熱温度に加熱される。前記加熱は、鋳造などの方法によって得た鋼素材を一旦冷却した後に行ってもよく、また、得られた鋼素材を冷却することなく直接、前記加熱に供することもできる。
本発明において、前記加熱温度は900℃以上1250℃以下とする。加熱温度が900℃未満であると、鋼素材の変形抵抗が高いため、熱間圧延における圧延機への負荷が増大し、熱間圧延を行うことが困難となる。そのため、前記加熱温度は900℃以上とする。一方、前記加熱温度が1250℃より高いと、鋼の酸化が顕著となり、酸化によるロスが増大する結果、歩留まりが低下する。そのため、前記加熱温度は1250℃以下とする。
(熱間圧延工程)
次に、加熱された前記鋼素材を熱間圧延する。前記熱間圧延は、圧延温度が1000℃以上かつ圧延形状比が1.0以上かつ圧下率が15%以上の条件での1回以上の圧延を含み、かつ圧延終了温度が900℃以上である。
・内質改善圧延
上記熱間圧延工程においては、圧延温度が1000℃以上かつ圧延形状比が1.0以上かつ圧下率が15%以上の条件で、1回以上行う。前記圧延を行うことにより、鋼板内部まで変形を受け、その結果、低温靭性および内質を確保することができる。したがって、前記条件での圧延を、「内質改善圧延」ともいう。上記条件を満たす圧延が1回も行われない場合には、鋼板の内部欠陥や溶接欠陥を十分につぶすことができず、その結果、所望の継手加工性を得ることができない。なお、ここで圧延形状比とは、ロール接触弧長/平均板厚として定義される値である。
・圧延終了温度:900℃以上
上記熱間圧延工程においては、鋼組織を板厚中心まで微細化するために、圧延終了温度を900℃以上とする。圧延終了温度が900℃未満の場合、オーステナイト未再結晶温度域での圧延となるため、粒径がばらついた混粒組織となりやすく、靱性が低下する。
なお、上記熱間圧延工程における累積圧下率は特に限定されないが、50%以上とすることが好ましい。累積圧下率が50%以上であれば、オーステナイト粒が細粒化し、母材の靭性をさらに向上させることができる。
なお、上記熱間圧延において最終的に得られる熱延鋼板の板厚(最終的な高張力鋼板の板厚に等しい)は、特に限定されないが、上述したように6mm以上100mm以下とすることが好ましい。
(再加熱工程)
次に、上記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板を再加熱温度へ再加熱する。この再加熱処理により、熱延鋼板のフェライト組織がオーステナイトへ逆変態する。
再加熱温度:Ac3点〜1000℃
前記熱延鋼板をAc3点〜1000℃の再加熱温度に加熱することで、熱延鋼板の組織をオーステナイト組織とし、かつ細粒化および整粒化することができる。前記再加熱温度がAc3点未満では、熱延鋼板のフェライト組織がオーステナイトへ逆変態せず残存するため、所望の強度が得られない。また、再加熱温度が1000℃を超えると操業負荷が大きくなるだけでなく、オーステナイト粒が粗大化し、その結果、母材の靭性が低下する。なお、Ac3点は下記(3)式により求めることができる。
Ac3(℃)=937.2 - 436.5C+ 56Si - 19.7Mn - 16.3Cu - 26.6Ni - 4.9Cr + 38.1Mo+ 124.8V + 136.3Ti - 19.1Nb + 198.4Al + 3315B…(3)
ただし、上記(3)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合は0とする。
(保持工程)
保持時間:10分以上
上記再加熱温度に到達した後、該再加熱温度に保持する。前記保持における保持時間が10分未満では、オーステナイト粒径のバラツキが大きくなる。そのため、前記保持時間は10分以上とする。
上記再加熱および保持には、再加熱温度と保持時間を上記のとおり制御することできるものであれば、任意の加熱方法を用いることができる。加熱方法の一例としては、炉加熱が挙げられる。前記炉加熱には、特に限定されることなく、一般的な熱処理炉など、任意の加熱炉を用いることができる。
(加速冷却工程)
上記保持が終了した後、加速冷却を行う。前記加速冷却を行うことにより、上記再加熱工程で逆変態したオーステナイトを、マルテンサイトとベイナイトに変態させる。
平均冷却速度:1〜200℃/s
上記加速冷却工程における平均冷却速度が1℃/s未満であると、所望の焼入れ組織(ベイナイトおよびマルテンサイト)が得られず、強度が低下する。そのため、前記平均冷却速度は1℃/s以上とする。一方、平均冷却速度が200℃/sより高いと、鋼板内の各位置における温度制御が困難となり、板幅方向や圧延方向に材質のばらつきが出やすくなり、その結果、引張特性などの材質上のばらつきが生じる。そのため、平均冷却速度を200℃/s以下とする。
上記加速冷却の冷却停止温度は特に限定されないが、200℃以下とすることが好ましい。
(焼戻し工程)
次に、上記加速冷却後の熱延鋼板を、450℃〜Ac1変態点未満の焼戻し温度で焼戻す。前記焼戻し温度が450℃未満では、焼入れに伴う残留応力除去が十分ではなく、さらに残留応力の除去処理を施す必要がある。一方、前記焼戻し温度がAc1変態点を超えると、強度が大きく低下してしまう。なお、Ac1点は下記(4)式により求めることができる。
Ac1(℃)=750.8 - 26.6C+ 17.6Si - 11.6Mn - 22.9Cu - 23Ni + 24.1Cr + 22.5Mo- 39.7V - 5.7Ti + 232.4Nb - 169.4Al - 894.7B…(4)
ただし、上記(4)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合は0とする。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法によって鋼素材としての鋼スラブ(厚さ:250mmまたは200mm)とした。なお、上述した(3)式よって求めたAc3変態点(℃)および(4)式によって求めたAc1変態点(℃)、およびPS,Caの値を表1に併記する。
前記鋼スラブに対し、熱間圧延を施して熱延鋼板とした。前記熱間圧延は、表2、3に示す条件で行った。なお、表2における「内質改善圧延のパス回数」とは、下記(a)〜(c)の条件をすべて満たす圧延の回数を意味する。
(a)圧延温度が1000℃以上
(b)圧延形状比が1.0以上
(c)圧下率が15%以上
次いで、熱間圧延後の鋼板を、200℃まで空冷した。
次いで、前記鋼板に対して、表2、3に示した条件で再加熱処理および焼戻し処理を施した。前記再加熱には、熱処理炉を用いた。
得られた高張力鋼板のそれぞれについて、ミクロ組織、Ca系介在物、機械的特性、継手靭性、継手加工性、および溶接性を評価した。評価結果を表4に示す。なお、前記評価は、以下に述べる方法で行った。
(ミクロ組織)
得られた高張力鋼板から、板厚1/2位置が観察位置となるように、組織観察用の試験片を採取した。前記試験片を、圧延方向と垂直な断面が観察面となるよう樹脂に埋め、鏡面研磨した。次いで、ナイタール腐食を実施した後、倍率200倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、板厚1/2位置における組織のSEM像を5視野撮影した。撮影されたSEM像を画像解析装置によって解析し、ベイナイトおよびマルテンサイト組織の合計面積率を求めた。
また、前記高張力鋼板から、板厚1/2位置が観察位置となるように、組織観察用の試験片を採取した。前記試験片を、圧延方向と垂直な断面が観察面となるよう樹脂に埋め、鏡面研磨した。次いで、ピクリン酸腐食を実施した後、倍率200倍のSEMで観察して、板厚1/2位置における組織のSEM像を撮影した。撮影された5視野分の画像を画像解析装置によって解析し、旧オーステナイトの粒径を平均円相当径として求めた。
(Ca系介在物)
板厚1/2位置が観察位置となるように、組織観察用の試験片を採取した。前記試験片を、圧延方向と垂直な断面が観察面となるよう樹脂に埋め、鏡面研磨した。1mm×1mmの範囲で存在する介在物について、電子線マイクロアナライザー(EPMA)により、二次電子像を撮影した後、下記の条件でCa、S、O、Si、Al、MnおよびFeについて面分析を行い、Ca系介在物の平均円相当径と分布密度を求めた。
加速電圧:15kV、
照射電流:1×10−8A、
倍率:1000倍
(機械的特性)
前記高張力鋼板の板厚1/2位置(1/2t)から、JIS4号引張試験片を採取した。前記引張試験片を用い、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施して、高張力鋼板の降伏強さ(YP)、引張強さ(TS)を評価した。
また、前記高張力鋼板の板厚1/2位置から、JIS Z 2202の規定に準拠してVノッチ試験片を採取した。前記Vノッチ試験片を用い、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、−40℃におけるシャルピー吸収エネルギー(vE−40)を求め、母材靭性を評価した。
なお、引張り強さ(TS)が780MPa以上、降伏強さ(YP)が700MPa以上、−40℃における吸収エネルギー(vE−40)が100J以上を合格とした。
(継手靭性)
継手靭性を評価するために、以下の手順で溶接部のシャルピー吸収エネルギーを測定した。まず、高張力鋼板から採取した2枚の溶接用試験片に、X開先加工(開先角度60°)を施した後、入熱25kJ/cmのガスシールドメタルアーク溶接(GMAW)を行い、多層溶接継手を作製した。次いで、この継手の溶接部の板厚1/4位置および1/2位置のそれぞれから、ボンド部をVノッチ位置とするシャルピー試験片を各3本ずつ採取し、−40℃で吸収エネルギーvE−40を測定して平均値を求めた。なお、前記シャルピー吸収エネルギーが100J以上を合格とした。
(継手加工性)
上記方法で作製した継手を用いて、JIS Z3122に従い継手側曲げ試験を実施し、継手加工性を評価した。試験後、割れがないものを○(合格)、割れがあったものを×(不合格)とした。
(溶接性)
溶接性を評価するために、JIS Z 3158に従いy形溶接割れ試験を実施した。溶接方法は入熱25kJ/cmのGMAWとし、最低予熱温度100℃以下を合格とした。
表4に示す結果から分かるように、本発明の条件を満たす高張力鋼板は、いずれも、板厚1/2位置における引張強さ:780MPa以上、降伏強さ:700MPa以上、−40℃での吸収エネルギーvE−40:100J以上であり、板厚1/2位置における機械的特性に優れていた。さらに、本発明の条件を満たす高張力鋼板は、溶接部の板厚1/2位置と板厚1/4位置の両者において、シャルピー吸収エネルギーvE−40が100J以上であり、板厚中心部まで継手靭性にも優れていた。また、継手側曲げ試験でも割れが発生していない。そして、本発明の条件を満たす高張力鋼板は、y形溶接割れ試験における最低予熱温度が100℃以下であり、溶接性にも優れていた。一方、本発明の条件を満たさない鋼板は、板厚1/2位置における機械的特性、継手靭性、継手加工性、溶接性のうち、少なくとも1つの特性が劣っていた。
Figure 0006835054
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Claims (6)

  1. 質量%で、
    C :0.02〜0.12%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015%以下、
    S :0.0020%以下、
    Al:0.005〜0.10%、
    Ni:0.01〜5.00%、
    Mo:0.01〜1.00%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    B :0.0003〜0.0030%、
    N :0.0015〜0.0065%、および
    Ca:0.0001〜0.0050%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、
    下記(1)式で定義されるPcmが0.30以下であり、
    下記(2)式で定義されるPS,Caが0.0010以下である成分組成を有し、
    ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であり、かつ、旧オーステナイトの平均粒径が40μm以下である板厚1/2位置におけるミクロ組織を有し、
    Sを含有し、かつFeを除いた元素におけるCaの質量分率が5%以上である介在物として定義されるCa系介在物を含有し、
    板厚1/2位置における前記Ca系介在物の分布密度が0個/mm超、100個/mm未満であり、かつ
    板厚1/2位置における前記Ca系介在物の平均円相当径が2.0μm未満である、高張力鋼板。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(1)
    S,Ca=S−Ca×32/40…(2)
    ただし、上記(1)、(2)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする。
  2. 前記成分組成が、質量%で、
    Cu:1.50%以下、
    Cr:2.00%以下、
    Nb:0.10%以下、および
    V :0.20%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、請求項1に記載の高張力鋼板。
  3. 前記成分組成が、質量%で、
    REM:0.02%以下、および
    Mg:0.005%以下の一方または両方をさらに含有する、請求項1または2に記載の高張力鋼板。
  4. 高張力鋼板の製造方法であって、
    質量%で、
    C :0.02〜0.12%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015%以下、
    S :0.0020%以下、
    Al:0.005〜0.10%、
    Ni:0.01〜5.00%、
    Mo:0.01〜1.00%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    B :0.0003〜0.0030%、
    N :0.0015〜0.0065%、および
    Ca:0.0001〜0.0050%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、
    下記(1)式で定義されるPcmが0.30以下であり、
    下記(2)式で定義されるPS,Caが0.0010以下である成分組成を有する鋼素材を900〜1250℃の加熱温度に加熱し、
    加熱された前記鋼素材を熱間圧延して熱延鋼板とし、
    前記熱延鋼板をAc3変態点〜1000℃の再加熱温度に再加熱し、
    前記再加熱温度に10分以上保持し、
    前記保持後の熱延鋼板を、平均冷却速度1〜200℃/sで加速冷却し、
    前記加速冷却された熱延鋼板を、450℃〜Ac1変態点未満の焼戻し温度で焼戻し処理することを含み、
    前記熱間圧延が、圧延温度が1000℃以上かつ圧延形状比が1.0以上かつ圧下率が15%以上の条件での1回以上の圧延を含み、かつ圧延終了温度が900℃以上であり、
    前記高張力鋼板が、
    ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が95%以上であり、かつ、旧オーステナイトの平均粒径が40μm以下である板厚1/2位置におけるミクロ組織を有し、
    Sを含有し、かつFeを除いた元素におけるCaの質量分率が5%以上である介在物として定義されるCa系介在物を含有し、
    板厚1/2位置における前記Ca系介在物の分布密度が0個/mm 超、100個/mm 未満であり、かつ
    板厚1/2位置における前記Ca系介在物の平均円相当径が2.0μm未満である、高張力鋼板の製造方法。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(1)
    S,Ca=S−Ca×32/40…(2)
    ただし、上記(1)、(2)式における元素記号は、質量%単位で表した、前記高張力鋼板における各元素の含有量であり、当該元素が含有されない場合にはゼロとする。
  5. 前記成分組成が、質量%で、
    Cu:1.50%以下、
    Cr:2.00%以下、
    Nb:0.10%以下、および
    V :0.20%以下からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、請求項4に記載の高張力鋼板の製造方法。
  6. 前記成分組成が、質量%で、
    REM:0.02%以下、および
    Mg:0.005%以下の一方または両方をさらに含有する、請求項4または5に記載の高張力鋼板の製造方法。
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