JP2012188749A - 多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 - Google Patents
多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012188749A JP2012188749A JP2012026893A JP2012026893A JP2012188749A JP 2012188749 A JP2012188749 A JP 2012188749A JP 2012026893 A JP2012026893 A JP 2012026893A JP 2012026893 A JP2012026893 A JP 2012026893A JP 2012188749 A JP2012188749 A JP 2012188749A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel plate
- toughness
- pass
- thick steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
【課題】多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.50〜3.0%、P:0.050%以下、S:0.02%以下、Al:0.10〜2.00%、N:0.0070%以下を含む組成とする。さらに、Ti:0.005〜0.030%を含有してもよい。これにより、従来、粗大な島状マルテンサイトが生成し靭性低下の著しかった、多パス溶接部におけるICCGHAZ(溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位)が、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含む組織を呈し、多パス溶接部の靭性が顕著に増加する。なお、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Bのうちの1種または2種以上、REM、Ca、Mgのうちの1種または2種以上、を含有してもよい。
【選択図】図1
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.50〜3.0%、P:0.050%以下、S:0.02%以下、Al:0.10〜2.00%、N:0.0070%以下を含む組成とする。さらに、Ti:0.005〜0.030%を含有してもよい。これにより、従来、粗大な島状マルテンサイトが生成し靭性低下の著しかった、多パス溶接部におけるICCGHAZ(溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位)が、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含む組織を呈し、多パス溶接部の靭性が顕著に増加する。なお、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Bのうちの1種または2種以上、REM、Ca、Mgのうちの1種または2種以上、を含有してもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、橋梁、海洋構造物や土木・建築構造物、船舶、建産機械、タンク(貯槽)、鋼管等の使途に好適な、厚鋼板に係り、とくに多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板に関する。なお、ここでいう「厚鋼板」とは、板厚12mm以上120mm以下の鋼板をいうものとする。
従来から、橋梁、海洋構造物や土木・建築構造物、船舶、建産機械、タンク(貯槽)、鋼管等には、熱間圧延鋼板が多く用いられてきた。これら鋼板の多くは、溶接接合により、所定形状の構造物に組み立てられ、使用されている。使用時の構造物の安全性という問題から、母材靭性はもちろん、溶接熱影響部(以下、HAZともいう)の靭性にも優れた鋼板であることが要求されてきた。しかも、最近では、構造物が大型化する傾向に伴い、使用する鋼板の板厚も厚くなってきている。
このような要望に対して、例えば、特許文献1には、重量%で、C:0.04〜0.12%、Mn:0.8〜2.0%、Al:0.001〜0.005%、Ni:1.0%未満、Ti:0.005〜0.02%、Mg:0.0001〜0.003%を含有し、Di*が0.7〜1.2、有効Ti量が−0.010%〜+0.005%で、かつMgとAlからなる0.01〜0.1μmの酸化物を内包する0.01〜0.3μmのTiNが30000個/mm2以上およびMgとTiの平均含有量の和が15%以上である0.5〜5μmの大きさの酸化物が30個/mm2以上存在する、溶接熱影響部の低温靭性に優れた厚鋼板が提案されている。特許文献1に記載された技術では、Mgを添加し、微細な(Mg,Al)酸化物を多量に分散させるとともに、この(Mg,Al)酸化物上に微細なTiNを析出させて、高温での強力なピンニング効果を発揮させ、加熱オーステナイト粒の成長を抑制し、さらにTiとMgを主成分とする酸化物を微細に分散させて粒内変態を促進させ、さらには、焼入れ性を制御して、硬化相の形成を抑制して、溶接熱影響部の靭性向上を図るとしている。
また、特許文献2には、C:0.03〜0.12%、Mn:1.60〜3.00%、Cu+Ni:0.10%未満、Al:0.005%未満、Ti:0.005〜0.030%、Nb:0.005〜0.100%、B:0.0005〜0.0020%を含有する、高強度高靭性厚鋼板が提案されている。特許文献2に記載された技術では、Mnの多量添加とBの添加を組み合せて、強度靭性を確保しながら、TiO−MnSの粒内フェライト生成促進効果による細粒化効果と、Bによる粒界からの変態を抑制する効果を複合的に利用することにより、溶接熱影響部靭性が向上するとしている。
また、特許文献3には、C:0.03〜0.150%、Mn:1.0〜2.0%、Al:0.005〜0.06%、Ti:0.008〜0.030%、N:0.0050〜0.010%、Ca:0.0010〜0.0035%、O:0.003%以下を含み、かつTi/N:1.0〜2.5、1000(Ca+2S+3O):2.0〜13.0を満足するように成分調整し、組織を、フェライトの分率が5〜50面積%、フェライトの平均円相当直径が100μm以下で、硬質相の平均硬さが150〜400HVとなる組織とした、溶接熱影響部の靭性に優れた低降伏比厚鋼板が提案されている。特許文献3に記載された技術では、上記した組織とするとともに、鋳造時の凝固段階で生成するCaS、TiNおよびそれらを核として析出するMnSを、微細に分散させて、フェライト変態核として有効に利用することにより、良好な靭性を有する超大入熱溶接HAZとすることができるとしている。
通常、板厚が厚い鋼板を溶接接合する場合は、多パス溶接による溶接施工が行われる。このような場合に、先行する溶接パスにより溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部(溶融点直下まで加熱された溶接熱影響部)のうち、後続の溶接パスでオ−ステナイト(γ)とフェライトの二相温度域に再加熱された部位(Inter Critical Coarsed Grain HAZ、以下ICCGHAZともいう)の靭性が、著しく低下するという問題がある。
多パス溶接により形成される多パス溶接部では、多重の熱履歴を受け、複雑な組織を呈する。例えば、図3に示すように、第1の溶接パスで、溶融点直下の高温に加熱された部位(溶接ボンド部)A,B,C,Dのうち、部位Aは、後続の溶接パスである第2の溶接パスで、例えば1200℃以上の高温に再加熱され粗粒となり、部位Bは、Ac3変態点以上に再加熱され細粒となり、一方、部位Cは、γ+αの二相温度域に加熱され、また、部位Dは、Ac3変態点未満のα域温度に加熱され、焼戻された組織を呈する。
溶接ボンド部は、溶接施工時に、溶融点直下の高温に加熱され、γ粒が粗大化しやすい。このようにγ粒が粗大化した溶接ボンド部は、その後の溶接パスによる再加熱により、上記したように、種々の組織に変化する。そのなかで、後続の溶接パスでオ−ステナイト(γ)とフェライトの二相温度域に再加熱された部位(図3のC)では、後続の溶接パスによる加熱で、島状に逆変態してγとなった領域に炭素(C)が濃化し、そのγが、その後の冷却過程で変態して島状のマルテンサイトとなる。このようなCが濃化した島状マルテンサイトは脆いため、このような部位では、靭性の低下が著しくなると考えられている。特に、溶接長が長い場合には、先行パスと後続パスのパス間での鋼材の温度が低くなりやすく、パス間温度が250℃以下と低く、かつ溶接入熱が40kJ/cm未満と小さい場合には、島状マルテンサイトが生成する温度域での冷却速度が速くなり、島状マルテンサイトの生成を助長し、顕著な靭性低下を招く場合がある。
このようなことから、多パス溶接部のICCGHAZにおける、このような島状マルテンサイトの生成を防止し、多パス溶接部の靭性を向上させるための方策が要望されている。しかしながら、特許文献1〜3に記載された各技術では、このような島状マルテンサイトの生成を抑制することはできず、依然として、優れたHAZ靭性を有する多パス溶接部を確保できるまでに至っていないのが現状である。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板を提供することを目的とする。
なお、本発明が目的とする厚鋼板は、降伏強さ:215MPa以上、引張強さ:400MPa以上である引張特性と、試験温度:−60℃でのシャルピー吸収エネルギーvE−60(J)が100J以上である母材靭性を有する鋼板とする。
なお、本発明が目的とする厚鋼板は、降伏強さ:215MPa以上、引張強さ:400MPa以上である引張特性と、試験温度:−60℃でのシャルピー吸収エネルギーvE−60(J)が100J以上である母材靭性を有する鋼板とする。
また、ここでいう「多パス溶接部の靭性に優れた」とは、入熱:15kJ/cmの炭酸ガスアーク溶接による2層盛溶接のICCGHAZを模擬した、初層の最高加熱温度を1350℃、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜200℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜200℃の冷却時間t500−200=30s)、2層目の最高加熱温度を800℃とし、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜100℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜100℃の冷却時間t500−100=40s)とした再現熱サイクルを施したのちの、試験温度:−60℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE−60(J)が50J以上である場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、多パス溶接部のICCGHAZにおける靭性に影響する各種要因について、鋭意研究した。その結果、ICCGHAZの靭性を向上させるためには、まず、島状マルテンサイトの生成を抑制することが必須の要件であることに着目した。そして、先行する溶接パスで融点直下に加熱された溶接ボンド部が後続の溶接パスで二相温度域に再加熱された場合、逆変態してγとなった領域に固溶Cが濃化することは避けられないが、γとなった領域が、その後の冷却過程でマルテンサイト変態することなく、未変態の状態で残留させることができれば、ICCGHAZの靭性向上に繋がることに想到した。
そして、更なる研究を行った結果、Al含有量を適正範囲に厳格に調整することにより、ICCGHAZで逆変態により生成されたγが、未変態の状態で室温まで残留させることができることを知見した。
そして、本発明者らは、多パス溶接部の更なる靭性向上には、上記したAl含有量の調整に加えて、Tiを含有することが有効であるという知見を得た。鋼中にTiNを微細分散させ、TiNによるピンニング効果を利用して、先行する溶接パスで融点直下に加熱された溶接ボンド部における結晶粒の粗大化を抑制する。これにより、HAZ靭性が更に向上する。
そして、本発明者らは、多パス溶接部の更なる靭性向上には、上記したAl含有量の調整に加えて、Tiを含有することが有効であるという知見を得た。鋼中にTiNを微細分散させ、TiNによるピンニング効果を利用して、先行する溶接パスで融点直下に加熱された溶接ボンド部における結晶粒の粗大化を抑制する。これにより、HAZ靭性が更に向上する。
次に、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
質量%で、0.15%C−0.25%Si−1.53%Mn−0.019%P−0.003%S−0.03%Al−0.011%Ti−0.0032%N−残部Feからなる組成を有する厚鋼板a(板厚:25mm)と、0.15%C−0.24%Si−1.54%Mn−0.017%P−0.003%S−0.70%Al−0.012%Ti−0.0035%N−残部Feからなる組成を有する厚鋼板b(板厚:25mm)と、Al含有量が異なる厚鋼板を準備した。これら厚鋼板から、再現熱サイクル試験片(大きさ:12mm×120mm×120mm)を採取し、多パス溶接部のICCGHAZを模擬した再現熱サイクルを付与した。再現熱サイクルのパターンは、入熱:15kJ/cmの炭酸ガスアーク溶接による2層盛溶接のICCGHAZを模擬したものとした。なお、初層の最高加熱温度を1350℃、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜200℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜200℃の冷却時間t500−200=30s)、2層目の最高加熱温度を800℃とし、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜100℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜100℃の冷却時間t500−100=40s)とした。再現熱サイクルのパターンを、図1に併記して示す。
質量%で、0.15%C−0.25%Si−1.53%Mn−0.019%P−0.003%S−0.03%Al−0.011%Ti−0.0032%N−残部Feからなる組成を有する厚鋼板a(板厚:25mm)と、0.15%C−0.24%Si−1.54%Mn−0.017%P−0.003%S−0.70%Al−0.012%Ti−0.0035%N−残部Feからなる組成を有する厚鋼板b(板厚:25mm)と、Al含有量が異なる厚鋼板を準備した。これら厚鋼板から、再現熱サイクル試験片(大きさ:12mm×120mm×120mm)を採取し、多パス溶接部のICCGHAZを模擬した再現熱サイクルを付与した。再現熱サイクルのパターンは、入熱:15kJ/cmの炭酸ガスアーク溶接による2層盛溶接のICCGHAZを模擬したものとした。なお、初層の最高加熱温度を1350℃、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜200℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜200℃の冷却時間t500−200=30s)、2層目の最高加熱温度を800℃とし、800〜500℃の平均冷却速度を20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜100℃の平均冷却速度を10℃/s(500〜100℃の冷却時間t500−100=40s)とした。再現熱サイクルのパターンを、図1に併記して示す。
再現熱サイクルを付与した試験片から、JIS Z 2242に準拠してシャルピー衝撃試験片(Vノッチ試験片)を採取し、試験温度:−40℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE−40(J)を求めた。試験片は3本とした。得られた結果を図1に示す。
図1から、0.03%Al鋼板(厚鋼板a)では、平均でvE−40=9Jであるのに対し、0.70%Al鋼板(厚鋼板b)では、平均でvE−40=71Jであり、Al含有量の調整で、多パス溶接部のICCGHAZ靭性が著しく向上することがわかる。
図1から、0.03%Al鋼板(厚鋼板a)では、平均でvE−40=9Jであるのに対し、0.70%Al鋼板(厚鋼板b)では、平均でvE−40=71Jであり、Al含有量の調整で、多パス溶接部のICCGHAZ靭性が著しく向上することがわかる。
このようなAl含有量の調整で、多パス溶接部のICCGHAZ靭性が著しく向上する機構については、完全に明確になったわけではないが、本発明者らは、つぎのように考えている。
Al含有量が0.03質量%と低い場合には、島状マルテンサイトが生成しているのに対し、Al含有量が0.70質量%と高い場合には、島状マルテンサイトの生成が抑制され、逆変態で生成したオーステナイトが室温まで未変態で、残留している。この状況を走査型電子顕微鏡組織写真で図2に示す。
Al含有量が0.03質量%と低い場合には、島状マルテンサイトが生成しているのに対し、Al含有量が0.70質量%と高い場合には、島状マルテンサイトの生成が抑制され、逆変態で生成したオーステナイトが室温まで未変態で、残留している。この状況を走査型電子顕微鏡組織写真で図2に示す。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。その要旨とするところは、つぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.50〜3.0%、P:0.050%以下、S:0.02%以下、Al:0.10〜2.00%、N:0.0070%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする多パス溶接部靭性に優れた厚鋼板。
(1)質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.50〜3.0%、P:0.050%以下、S:0.02%以下、Al:0.10〜2.00%、N:0.0070%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする多パス溶接部靭性に優れた厚鋼板。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.030%を含有することを特徴とする厚鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板。
(5)(1)ない(4)のいずれかに記載の厚鋼板を多パス溶接で接合し、多パス溶接部を形成してなる溶接継手であって、前記多パス溶接部における、先行する溶接パスで溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位である溶接熱影響部が、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含み、残部がフェライト、パーライトおよびベイナイト、あるいはさらにマルテンサイトからなる組織を有し、靭性に優れることを特徴とする溶接継手。
(5)(1)ない(4)のいずれかに記載の厚鋼板を多パス溶接で接合し、多パス溶接部を形成してなる溶接継手であって、前記多パス溶接部における、先行する溶接パスで溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位である溶接熱影響部が、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含み、残部がフェライト、パーライトおよびベイナイト、あるいはさらにマルテンサイトからなる組織を有し、靭性に優れることを特徴とする溶接継手。
(6)質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.50〜3.0%、P:0.050%以下、S:0.02%以下、Al:0.10〜2.00%、N:0.0070%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、加熱温度:950〜1250℃の温度に加熱し、圧延終了温度:700℃以上とする熱間圧延を施して、厚鋼板とすることを特徴とする多パス溶接部靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
(7)(6)において、前記熱間圧延が、1パス当たりの圧下率が15%以上である圧延パスを少なくとも1回有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(8)(6)または(7)において、前記熱間圧延終了後、板厚中心の温度で1℃/s以上の平均冷却速度で600℃以下の冷却停止温度まで行う、加速冷却を施すことを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(8)(6)または(7)において、前記熱間圧延終了後、板厚中心の温度で1℃/s以上の平均冷却速度で600℃以下の冷却停止温度まで行う、加速冷却を施すことを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.030%を含有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(11)(6)ないし(10)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(12)(6)ないし(11)のいずれかにおいて、前記厚鋼板にさらに、再加熱処理、および/または焼戻処理を施すことを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(12)(6)ないし(11)のいずれかにおいて、前記厚鋼板にさらに、再加熱処理、および/または焼戻処理を施すことを特徴とする厚鋼板の製造方法。
(13)(12)において、前記再加熱処理が、焼入れ処理または焼ならし処理であることを特徴とする厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板を、容易に、しかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、鋼構造物の溶接施工の効率を高めるとともに、溶接鋼構造物の安全性を格段に向上させるという効果もある。
まず、本発明厚鋼板の組成限定理由について説明する。以下、とくに断わらないかぎり、質量%は単に%と記す。
C:0.03〜0.20%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、鋼構造物として必要な、所望の高強度を確保するためには、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超える含有は、溶接時に割れ等が発生しやすく、溶接性が低下するとともに、溶接熱影響部、とくに溶接ボンド部の靭性が著しく低下する。このため、Cは0.03〜0.20%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.18%である。
C:0.03〜0.20%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、鋼構造物として必要な、所望の高強度を確保するためには、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超える含有は、溶接時に割れ等が発生しやすく、溶接性が低下するとともに、溶接熱影響部、とくに溶接ボンド部の靭性が著しく低下する。このため、Cは0.03〜0.20%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.18%である。
Si:0.05〜1.0%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。また、Siは、多パス溶接部のICCGHAZにおいて、残留γの生成を助長し、多パス溶接部のICCGHAZの靭性低下を抑制する。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、厚鋼板の母材靭性、溶接ボンド部靭性が顕著に低下する。このため、Siは0.05〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.1〜0.8%である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。また、Siは、多パス溶接部のICCGHAZにおいて、残留γの生成を助長し、多パス溶接部のICCGHAZの靭性低下を抑制する。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、厚鋼板の母材靭性、溶接ボンド部靭性が顕著に低下する。このため、Siは0.05〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.1〜0.8%である。
Mn:0.50〜3.0%
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させ、鋼の強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.50%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超える含有は、鋼板母材の靭性、延性および溶接性が低下する。このため、Mnは0.50〜3.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.6〜2.7%である。
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させ、鋼の強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.50%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超える含有は、鋼板母材の靭性、延性および溶接性が低下する。このため、Mnは0.50〜3.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.6〜2.7%である。
P:0.050%以下
Pは、鋼の強度を増加させるが、靭性を低下させ、さらに溶接熱影響部では島状マルテンサイトの形成を助長し、溶接熱影響部靭性を低下させる元素である。このため、Pは、できるだけ低減することが望ましいが、本発明では0.050%までは許容できる。このようなことから、Pは0.050%以下に限定した。なお、過剰なPの低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、0.002%以上とすることが好ましい。
Pは、鋼の強度を増加させるが、靭性を低下させ、さらに溶接熱影響部では島状マルテンサイトの形成を助長し、溶接熱影響部靭性を低下させる元素である。このため、Pは、できるだけ低減することが望ましいが、本発明では0.050%までは許容できる。このようなことから、Pは0.050%以下に限定した。なお、過剰なPの低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、0.002%以上とすることが好ましい。
S:0.02%以下
Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、靭性、延性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、本発明では0.02%までは許容できる。このため、Sは0.02%以下に限定した。より好ましくは0.005%以下である。なお、過剰なSの低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、0.0005%以上とすることが好ましい。
Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、靭性、延性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、本発明では0.02%までは許容できる。このため、Sは0.02%以下に限定した。より好ましくは0.005%以下である。なお、過剰なSの低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、0.0005%以上とすることが好ましい。
Al:0.10〜2.00%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、溶鋼の脱酸過程において、脱酸剤として汎用されているが、本発明では、多パス溶接部のICCGHAZの靭性を向上させる作用を有する、本発明で最も重要な元素である。Alは、多パス溶接部のICCGHAZにおいて、逆変態で形成されたγのマルテンサイトへの変態を抑制し、室温までγのまま、残留させる作用を有する。これにより、島状マルテンサイトの生成が抑制され、ICCGHAZの靭性が向上する。このような効果を得るためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、2.00%を超える含有は、溶接時に溶接金属に混入して、溶接金属部の靭性を低下させる。このため、Alは0.10〜2.00%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.3〜1.8%、より好ましくは0.5〜1.5%である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、溶鋼の脱酸過程において、脱酸剤として汎用されているが、本発明では、多パス溶接部のICCGHAZの靭性を向上させる作用を有する、本発明で最も重要な元素である。Alは、多パス溶接部のICCGHAZにおいて、逆変態で形成されたγのマルテンサイトへの変態を抑制し、室温までγのまま、残留させる作用を有する。これにより、島状マルテンサイトの生成が抑制され、ICCGHAZの靭性が向上する。このような効果を得るためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、2.00%を超える含有は、溶接時に溶接金属に混入して、溶接金属部の靭性を低下させる。このため、Alは0.10〜2.00%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.3〜1.8%、より好ましくは0.5〜1.5%である。
N:0.0070%以下
Nは、少量であれば不可避的に含有されるが、固溶して鋼の強度を増加させる。また、固溶状態のNの増加は、溶接熱影響部では靭性を低下させる。このため、Nはできるだけ低減することが望ましいが、0.0070%までは許容できる。このようなことから、Nは0.0070%以下に限定した。なお、Tiを含有する場合には、TiNを形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZの高靭化に寄与する。このようなことから、0.0010%以上含有することが好ましい。
Nは、少量であれば不可避的に含有されるが、固溶して鋼の強度を増加させる。また、固溶状態のNの増加は、溶接熱影響部では靭性を低下させる。このため、Nはできるだけ低減することが望ましいが、0.0070%までは許容できる。このようなことから、Nは0.0070%以下に限定した。なお、Tiを含有する場合には、TiNを形成し、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZの高靭化に寄与する。このようなことから、0.0010%以上含有することが好ましい。
上記した成分が基本の成分であるが、基本の組成に加えてさらに、Ti:0.005〜0.030%、および/または、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、を必要に応じて、選択して含有できる。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、溶接熱影響部、とくにボンド部の結晶粒粗大化を抑制するとともに、固溶Nを固定し、N低減による靭性劣化を抑制する。このような効果は、0.005%以上の含有で認められる。一方、0.030%を超える含有は、TiCが析出し、厚鋼板母材の靭性を低下させる。このため、含有する場合は、Tiは0.005〜0.030%の範囲に限定することが好ましい。
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、溶接熱影響部、とくにボンド部の結晶粒粗大化を抑制するとともに、固溶Nを固定し、N低減による靭性劣化を抑制する。このような効果は、0.005%以上の含有で認められる。一方、0.030%を超える含有は、TiCが析出し、厚鋼板母材の靭性を低下させる。このため、含有する場合は、Tiは0.005〜0.030%の範囲に限定することが好ましい。
Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Bはいずれも、鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、固溶強化や焼入性の向上を介して、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、1.5%を超える含有は、熱間脆性により、鋼板表面性状の劣化を招く。このため、含有する場合には、Cuは1.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.1〜0.7%である。
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Bはいずれも、鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、固溶強化や焼入性の向上を介して、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、1.5%を超える含有は、熱間脆性により、鋼板表面性状の劣化を招く。このため、含有する場合には、Cuは1.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.1〜0.7%である。
Niは、靱性をほとんど劣化させることなく、鋼の強度を増加させる元素である。しかも、NiはHAZ靱性への悪影響も小さい。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましい。一方、3.0%を超えて多量に含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、含有する場合には、Niは3.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.1〜2.0%である。
Crは、焼入性の向上を介して、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、3.0%を超える多量の含有は、熱影響部靭性を低下させる。このため、含有する場合には、Crは3.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.10〜1.5%である。
Moは、炭化物を形成して析出強化により、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、1.0%を超える含有は、鋼板の靭性、延性、さらには耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす。このため、含有する場合には、Moは1.0%以下に限定することが好ましい。より好ましくは0.1〜0.6%である。
Moは、炭化物を形成して析出強化により、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、1.0%を超える含有は、鋼板の靭性、延性、さらには耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす。このため、含有する場合には、Moは1.0%以下に限定することが好ましい。より好ましくは0.1〜0.6%である。
Nbは、炭化物を形成して析出強化により、鋼の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましいが、0.10%を超える含有は、鋼板の靭性、延性、さらには耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす。このため、含有する場合には、Nbは0.10%以下に限定することが好ましい。より好ましくは0.004〜0.050%である。
Vは、炭化物を形成し析出強化によって鋼の強度増加に寄与する。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、0.1%を超える含有は、母材靭性およびHAZ靱性の著しい低下を招く。このため、Vは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.02〜0.07%である。
Bは、微量の含有で焼入れ性を向上させ、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を発現させるためには、0.0002%以上含有することが望ましいが、0.0050%を超える含有は、鋼板の靭性、延性、さらには耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす。このため、含有する場合には、Bは0.0050%以下に限定することが好ましい。
Bは、微量の含有で焼入れ性を向上させ、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を発現させるためには、0.0002%以上含有することが望ましいが、0.0050%を超える含有は、鋼板の靭性、延性、さらには耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす。このため、含有する場合には、Bは0.0050%以下に限定することが好ましい。
REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
REM、Ca、Mgはいずれも、硫化物の形態制御を介して母材の靭性および延性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を発揮させるには、REMでは0.001%以上、Caでは0.0005%以上、Mgでは、0.001%以上含有することが望ましいが、REM:0.007%、Ca:0.005%、Mg:0.005%をそれぞれ超える含有は、効果が飽和するとともに、過剰量の介在物が生成し、逆に靱性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下に限定することが好ましい。
REM、Ca、Mgはいずれも、硫化物の形態制御を介して母材の靭性および延性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を発揮させるには、REMでは0.001%以上、Caでは0.0005%以上、Mgでは、0.001%以上含有することが望ましいが、REM:0.007%、Ca:0.005%、Mg:0.005%をそれぞれ超える含有は、効果が飽和するとともに、過剰量の介在物が生成し、逆に靱性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
つぎに、本発明厚鋼板の組織について説明する。
本発明厚鋼板は、フェライト相を主相とし、第二相としてパーライト、あるいはベイナイト、マルテンサイト、もしくはベイナイト相を主相とし、第二相としてフェライト、あるいはパーライト、マルテンサイトからなる組織を有する。フェライト相もしくはベイナイト相を主相とすることにより、所望の母材靭性、延性を確保できる。ここでいう「主相」とは、当該相が面積率で50%以上となる場合をいうものとする。
つぎに、本発明厚鋼板の組織について説明する。
本発明厚鋼板は、フェライト相を主相とし、第二相としてパーライト、あるいはベイナイト、マルテンサイト、もしくはベイナイト相を主相とし、第二相としてフェライト、あるいはパーライト、マルテンサイトからなる組織を有する。フェライト相もしくはベイナイト相を主相とすることにより、所望の母材靭性、延性を確保できる。ここでいう「主相」とは、当該相が面積率で50%以上となる場合をいうものとする。
つぎに、本発明厚鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本発明では、上記した組成を有する鋼素材(スラブ)に、熱間圧延を施し、所望の寸法形状の厚鋼板とする。
使用する鋼素材の製造方法はとくに限定する必要はなく、転炉、電気炉等の通常公知の溶製方法で、上記した組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊圧延等の通常公知の鋳造方法で、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
本発明では、上記した組成を有する鋼素材(スラブ)に、熱間圧延を施し、所望の寸法形状の厚鋼板とする。
使用する鋼素材の製造方法はとくに限定する必要はなく、転炉、電気炉等の通常公知の溶製方法で、上記した組成の溶鋼を溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊圧延等の通常公知の鋳造方法で、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
得られた鋼素材は、室温まで冷却することなく、あるいは室温まで冷却したのち、加熱温度:950〜1250℃に加熱し、熱間圧延される。
加熱温度が950℃未満では、変形抵抗が高くなりすぎて圧延機負荷が過大となり、熱間圧延が不能となる。一方、加熱温度が1250℃を超えて高温となると、結晶粒が粗大となりすぎ、熱間圧延を施しても、微細結晶を得ることができず、所望の母材靭性を確保できなくなる。このため、鋼素材の加熱温度は950〜1250℃の範囲に限定することが好ましい。
加熱温度が950℃未満では、変形抵抗が高くなりすぎて圧延機負荷が過大となり、熱間圧延が不能となる。一方、加熱温度が1250℃を超えて高温となると、結晶粒が粗大となりすぎ、熱間圧延を施しても、微細結晶を得ることができず、所望の母材靭性を確保できなくなる。このため、鋼素材の加熱温度は950〜1250℃の範囲に限定することが好ましい。
熱間圧延は、圧延終了温度を700℃以上とする圧延とすることが好ましい。なお、熱間圧延における温度は、板厚の中心(1/2t)における温度を意味するものとする。
圧延終了温度が700℃未満では、変形抵抗が高くなり圧延荷重が増大し、圧延機への負荷が大きくなりすぎる。また、圧延終了温度を700℃未満とするためには、圧延途中で待機する必要があり、生産性の低下を招く。このため、熱間圧延の圧延終了温度は700℃以上に限定することが好ましい。なお、より好ましくは750℃以上である。
圧延終了温度が700℃未満では、変形抵抗が高くなり圧延荷重が増大し、圧延機への負荷が大きくなりすぎる。また、圧延終了温度を700℃未満とするためには、圧延途中で待機する必要があり、生産性の低下を招く。このため、熱間圧延の圧延終了温度は700℃以上に限定することが好ましい。なお、より好ましくは750℃以上である。
なお、とくに板厚が70mmを超えるような極厚鋼板の場合には、ザク圧着のため、1パス当たりの圧下率が15%以上となる圧延パスを、少なくとも1パス確保する熱間圧延とすることが好ましい。
熱間圧延終了後、厚鋼板はそのまま空冷するか、あるいは加速冷却を施してもよい。
熱間圧延終了後に行う加速冷却の条件は、とくに限定する必要はないが、強度向上、靭性向上という観点から、板厚中心の温度で800〜500℃の平均冷却速度で1℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで行うことが好ましい。平均冷却速度が1℃/s未満では、所望の靭性向上を達成できない。また、加速冷却の冷却停止温度が650℃を超える高温では、強度が向上しない。
熱間圧延終了後、厚鋼板はそのまま空冷するか、あるいは加速冷却を施してもよい。
熱間圧延終了後に行う加速冷却の条件は、とくに限定する必要はないが、強度向上、靭性向上という観点から、板厚中心の温度で800〜500℃の平均冷却速度で1℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで行うことが好ましい。平均冷却速度が1℃/s未満では、所望の靭性向上を達成できない。また、加速冷却の冷却停止温度が650℃を超える高温では、強度が向上しない。
また、得られた厚鋼板は、さらに再加熱し空冷、あるいは焼入れする再加熱処理、あるいは再加熱し焼戻する焼戻処理、また、再加熱処理および焼戻処理を施してもよい。
再加熱処理は、Ac3変態点以上、好ましくは1100℃以下の温度に加熱し、好ましくは1hr以下の保持時間で保持することが好ましい。Ac3変態点以上の温度に厚鋼板を加熱し、内部まで均一なオーステナイト相としたのち、空冷、あるいは加速冷却することにより、厚鋼板内がさらに均質化され微細化されて、母材の強度、靭性がさらに向上する。
再加熱処理は、Ac3変態点以上、好ましくは1100℃以下の温度に加熱し、好ましくは1hr以下の保持時間で保持することが好ましい。Ac3変態点以上の温度に厚鋼板を加熱し、内部まで均一なオーステナイト相としたのち、空冷、あるいは加速冷却することにより、厚鋼板内がさらに均質化され微細化されて、母材の強度、靭性がさらに向上する。
なお、再加熱処理の加熱温度が、1100℃を超えて高温とすると、鋼板の表面性状が劣化する。また、保持時間が1hrを超えて長時間とすると、オーステナイト粒の粗大化が著しくなり、母材靭性が低下する。
また、再加熱処理における加熱・保持後の冷却は、所望の機械的特性に応じて、選択することが好ましい。加速冷却を行う場合には、その後に条切りする場合の歪の発生を考慮して、80℃/s以下とすることが好ましい。
また、再加熱処理における加熱・保持後の冷却は、所望の機械的特性に応じて、選択することが好ましい。加速冷却を行う場合には、その後に条切りする場合の歪の発生を考慮して、80℃/s以下とすることが好ましい。
焼戻処理は、好ましくは焼戻温度:400〜650℃の範囲の温度に再加熱し、好ましくは保持時間:1hr以下保持したのち、空冷する処理とすることが好ましい。焼戻温度が650℃を超えて高温となると、あるいは保持時間が1hrを超えて長くなると、強度が大幅に低下する。この焼戻処理により、母材の靭性、延性を向上させることができる。
上記した本発明厚鋼板は、好ましくは入熱:5〜100kJ/cmの多パス溶接、さらに好ましくは入熱:10〜40kJ/cmで溶接接合して、多パス溶接部を有する溶接継手を形成し、鋼構造物用の部材とすることができる。このようにして得られた、溶接継手の多パス溶接部における、先行する溶接パスで溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位である溶接熱影響部(ICCGHAZ)では、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含み、残部がフェライト、パーライトおよびベイナイト、あるいはマルテンサイトからなる組織を有する。このような、軟質で延性靭性に優れる残留オーステナイトが存在する、組織を有するHAZは、優れた靭性を有することになる。
上記した本発明厚鋼板は、好ましくは入熱:5〜100kJ/cmの多パス溶接、さらに好ましくは入熱:10〜40kJ/cmで溶接接合して、多パス溶接部を有する溶接継手を形成し、鋼構造物用の部材とすることができる。このようにして得られた、溶接継手の多パス溶接部における、先行する溶接パスで溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位である溶接熱影響部(ICCGHAZ)では、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含み、残部がフェライト、パーライトおよびベイナイト、あるいはマルテンサイトからなる組織を有する。このような、軟質で延性靭性に優れる残留オーステナイトが存在する、組織を有するHAZは、優れた靭性を有することになる。
表1に示す組成の溶鋼を、転炉で溶製し、さらに取鍋精錬で二次精錬を施したのち、連続鋳造法でスラブ(鋼素材)(肉厚:250〜300mm)とした。得られた鋼素材を、表2に示す条件で熱間圧延し、空冷して、表2に示す板厚の厚鋼板を得た。なお、一部の厚鋼板では、熱間圧延終了後、直ちに、表2に示す冷却条件で、加速冷却を施した。
さらに、一部の厚鋼板には、さらに表2に示す条件で再加熱処理および/または焼戻処理を施した。再加熱処理としては、再加熱温度から空冷する再加熱焼ならし処理、または、再加熱温度から水冷(焼入れ)する再加熱焼入れ処理とした。
さらに、一部の厚鋼板には、さらに表2に示す条件で再加熱処理および/または焼戻処理を施した。再加熱処理としては、再加熱温度から空冷する再加熱焼ならし処理、または、再加熱温度から水冷(焼入れ)する再加熱焼入れ処理とした。
得られた厚鋼板について、引張試験、衝撃試験、再現熱サイクル試験を実施した。なお、試験方法はつぎのとおりである。
(1)引張試験
得られた厚鋼板の板厚1/4位置から、引張方向が圧延方向に直交するように、JIS 4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、母材の引張特性(降伏強さYS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。
(2)衝撃試験
得られた厚鋼板の板厚1/4位置から、試験片の長手方向が圧延方向に直交するように、JIS Z 2242の規定に準拠してVノッチ試験片を採取し、試験温度:−60℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE−60を求めた。試験片は各3本とし、得られた吸収エネルギーの平均値をその厚鋼板の値として母材靭性を評価した。vE−60が100J以上である場合を「母材靭性に優れる」と評価した。
(3)再現熱サイクル試験
得られた厚鋼板から再現熱サイクル試験片を採取し、多パス溶接部のICCGHAZを模擬した再現熱サイクルを付与した。再現熱サイクルのパターンは、図1に示す、入熱:15kJ/cmの炭酸ガスアーク溶接による2層盛溶接のICCGHAZを模擬したものとした。なお、初層の最高加熱温度は1350℃、800〜500℃の平均冷却速度は20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜200℃の平均冷却速度は10℃/s(500〜200℃の冷却時間t500−200=30s)とし、2層目の最高加熱温度は800℃、800〜500℃の平均冷却速度は20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜100℃の平均冷却速度は10℃/s(500〜100℃の冷却時間t500−100=40s)とした。
(1)引張試験
得られた厚鋼板の板厚1/4位置から、引張方向が圧延方向に直交するように、JIS 4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、母材の引張特性(降伏強さYS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。
(2)衝撃試験
得られた厚鋼板の板厚1/4位置から、試験片の長手方向が圧延方向に直交するように、JIS Z 2242の規定に準拠してVノッチ試験片を採取し、試験温度:−60℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE−60を求めた。試験片は各3本とし、得られた吸収エネルギーの平均値をその厚鋼板の値として母材靭性を評価した。vE−60が100J以上である場合を「母材靭性に優れる」と評価した。
(3)再現熱サイクル試験
得られた厚鋼板から再現熱サイクル試験片を採取し、多パス溶接部のICCGHAZを模擬した再現熱サイクルを付与した。再現熱サイクルのパターンは、図1に示す、入熱:15kJ/cmの炭酸ガスアーク溶接による2層盛溶接のICCGHAZを模擬したものとした。なお、初層の最高加熱温度は1350℃、800〜500℃の平均冷却速度は20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜200℃の平均冷却速度は10℃/s(500〜200℃の冷却時間t500−200=30s)とし、2層目の最高加熱温度は800℃、800〜500℃の平均冷却速度は20℃/s(800〜500℃の冷却時間t800−500=15s)、500〜100℃の平均冷却速度は10℃/s(500〜100℃の冷却時間t500−100=40s)とした。
再現熱サイクルを付与した試験片から、厚鋼板の板厚1/4位置で、試験片の長手方向が圧延方向に直交するように、シャルピー衝撃試験片(Vノッチ試験片)を採取し、JIS Z 2242に準拠して、試験温度:−40℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE−40(J)を求めた。試験片は3本とした。得られた吸収エネルギーの平均値を、その厚鋼板の値として、ICCGHAZ靭性を評価した。vE−40が50J以上である場合を「ICCGHAZ靭性に優れる」と評価した。
また、得られた厚鋼板から、溶接継手作製用試験材(大きさ:t×250mmW×500mmL)を各2枚採取し、K開先を形成するように開先加工を施し、試験材同士を突合せて、入熱:25kJ/cmの多パスサブマージアーク溶接により3層〜45層の多パスサブマージアーク溶接継手を作製した。なお、パス間温度(多パス溶接において後続パスをおくときの先行パスの温度)は全てのパスで、250℃以下とした。得られた溶接継手から、試験片を採取し、CTOD試験を実施した。試験方法は次のとおりとした。
(4)CTOD試験
得られた溶接継手から、CTOD試験片を採取し、BS 7448に準拠して、試験温度:−40℃で、3点曲げによるCTOD試験を実施した。なお、クリップゲージを用いて、亀裂先端でのCTOD値δ−40を求めた。CTOD試験片のノッチ位置は、K開先のストレート開先側のボンド部とし、CTOD試験前にノッチ先端に疲労予亀裂を導入した。なお、δ−40が、1.00mm以上である場合を、「多パス溶接部の靭性に優れる」と評価した。
(4)CTOD試験
得られた溶接継手から、CTOD試験片を採取し、BS 7448に準拠して、試験温度:−40℃で、3点曲げによるCTOD試験を実施した。なお、クリップゲージを用いて、亀裂先端でのCTOD値δ−40を求めた。CTOD試験片のノッチ位置は、K開先のストレート開先側のボンド部とし、CTOD試験前にノッチ先端に疲労予亀裂を導入した。なお、δ−40が、1.00mm以上である場合を、「多パス溶接部の靭性に優れる」と評価した。
得られた結果を表3に示す。
本発明例はいずれも、所定の母材強度と母材靭性を示し、さらに再現熱サイクルによる「ICCGHAZ靭性に優れる」うえ、「多パス溶接部の靭性に優れる」多パス溶接継手となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、母材強度が不足しているか、母材靭性が低いか、再現熱サイクルによる「ICCGHAZ靭性」が低下しているか、あるいは「多パス溶接部の靭性」が低下している。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.03〜0.20%、 Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.50〜3.0%、 P:0.050%以下、
S:0.02%以下、 Al:0.10〜2.00%、
N:0.0070%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする多パス溶接部靭性に優れた厚鋼板。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.030%を含有することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、Cr:3.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.10%以下、V:0.1%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、REM:0.007%以下、Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の厚鋼板。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の厚鋼板を多パス溶接で接合し、多パス溶接部を形成してなる溶接継手であって、前記多パス溶接部における、先行する溶接パスで溶融点直下まで加熱された溶接ボンド部のうち後続の溶接パスによりオーステナイトとフェライトの二相温度域に再加熱された部位である溶接熱影響部が、体積率で4%以上の残留オーステナイト相を含み、残部がフェライト、パーライトおよびベイナイト、あるいはさらにマルテンサイトからなる組織を有し、靭性に優れることを特徴とする溶接継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012026893A JP2012188749A (ja) | 2011-02-23 | 2012-02-10 | 多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011037466 | 2011-02-23 | ||
JP2011037466 | 2011-02-23 | ||
JP2012026893A JP2012188749A (ja) | 2011-02-23 | 2012-02-10 | 多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012188749A true JP2012188749A (ja) | 2012-10-04 |
Family
ID=47082222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012026893A Pending JP2012188749A (ja) | 2011-02-23 | 2012-02-10 | 多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012188749A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103436783A (zh) * | 2013-08-28 | 2013-12-11 | 济钢集团有限公司 | 一种大型卡车车体结构用淬火高强钢板的制造方法 |
JP2019005770A (ja) * | 2017-06-21 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 多層盛り溶接による継手の製造方法 |
CN111485167A (zh) * | 2020-03-26 | 2020-08-04 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种稀土微合金化25MnCrNiMoA钩尾框用热轧圆钢及其生产方法 |
CN114182171A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-03-15 | 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 | 一种耐低温高韧性特厚高强钢板及其生产方法 |
-
2012
- 2012-02-10 JP JP2012026893A patent/JP2012188749A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103436783A (zh) * | 2013-08-28 | 2013-12-11 | 济钢集团有限公司 | 一种大型卡车车体结构用淬火高强钢板的制造方法 |
CN103436783B (zh) * | 2013-08-28 | 2016-04-13 | 济钢集团有限公司 | 一种大型卡车车体结构用淬火高强钢板的制造方法 |
JP2019005770A (ja) * | 2017-06-21 | 2019-01-17 | 新日鐵住金株式会社 | 多層盛り溶接による継手の製造方法 |
CN111485167A (zh) * | 2020-03-26 | 2020-08-04 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种稀土微合金化25MnCrNiMoA钩尾框用热轧圆钢及其生产方法 |
CN114182171A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-03-15 | 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 | 一种耐低温高韧性特厚高强钢板及其生产方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5177310B2 (ja) | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP5476763B2 (ja) | 延性に優れた高張力鋼板及びその製造方法 | |
JP5924058B2 (ja) | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP5846311B2 (ja) | 溶接熱影響部ctod特性に優れた厚肉高張力鋼およびその製造方法 | |
JP5509923B2 (ja) | レーザ溶接用またはレーザ・アークハイブリッド溶接用の引張強さが1100MPa以上の高張力鋼板の製造方法 | |
JP2009041079A (ja) | 溶接熱影響部の靱性が優れた溶接構造物用鋼とその製造方法および溶接構造物の製造方法 | |
JP2020510749A (ja) | 低温での破壊開始及び伝播抵抗性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 | |
JP7236540B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れた鋼材及びその製造方法 | |
JP5630322B2 (ja) | 靭性に優れる高張力鋼板とその製造方法 | |
JP5034290B2 (ja) | 低降伏比高強度厚鋼板およびその製造方法 | |
JP4379085B2 (ja) | 高強度高靭性厚鋼板の製造方法 | |
JP2019214752A (ja) | 低降伏比厚鋼板 | |
JP6245352B2 (ja) | 高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP2007177325A (ja) | 低降伏比を有する高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2005256037A (ja) | 高強度高靭性厚鋼板の製造方法 | |
JP2011214053A (ja) | 超大入熱溶接部靭性に優れた低降伏比建築構造用厚鋼板およびその製造方法 | |
JP5151693B2 (ja) | 高張力鋼の製造方法 | |
JP4096839B2 (ja) | 超大入熱溶接熱影響部靱性に優れた低降伏比高張力厚鋼板の製造方法 | |
JP2012172242A (ja) | 靭性に優れる高張力鋼板とその製造方法 | |
JP2005187853A (ja) | 超大入熱溶接熱影響部靭性に優れた高強度厚鋼板の製造方法 | |
JP2012188749A (ja) | 多パス溶接部の靭性に優れた厚鋼板および多パス溶接継手 | |
JP4116817B2 (ja) | 低温靭性と変形能に優れた高強度鋼管および鋼管用鋼板の製造法 | |
JP5515954B2 (ja) | 耐溶接割れ性と溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力厚鋼板 | |
JP5008879B2 (ja) | 強度および低温靭性の優れた高張力鋼板および高張力鋼板の製造方法 | |
JP4824142B2 (ja) | 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20130708 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20140326 |