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JP2019005770A - 多層盛り溶接による継手の製造方法 - Google Patents

多層盛り溶接による継手の製造方法 Download PDF

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JP2019005770A JP2017121259A JP2017121259A JP2019005770A JP 2019005770 A JP2019005770 A JP 2019005770A JP 2017121259 A JP2017121259 A JP 2017121259A JP 2017121259 A JP2017121259 A JP 2017121259A JP 2019005770 A JP2019005770 A JP 2019005770A
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Abstract

【課題】溶接熱影響部の靭性を改善するための新規の多層盛り溶接による継手の製造方法を提供する。
【解決手段】板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法であって、各溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が以下の式0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)を満たす溶接を行うことを含むことを特徴とする多層盛り溶接による継手の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層盛り溶接による継手の製造方法、より詳しくは、海洋構造物、建築、橋梁、ペンストックなど高靭性が求められる構造物に供する板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法に関するものである。
一対の厚鋼板の端部同士を突き合わせて溶接する場合等、多層盛り溶接によって継手を製造するに際しては、多パス溶接で生じる「二相域加熱」を受けた鋼板の溶接熱影響部(HAZ:Heat−Affected Zone)に高炭素マルテンサイト−オーステナイト混合物(MA)が生成することが知られている。特に、先行する溶接パスで溶接線(FL:Fusion Line)近傍において加熱された「粗粒域」が次パスで「二相域加熱」を受けた場合には顕著な靭性の低下が生じることが指摘されている。
このような「粗粒域」+「二相域加熱」部位の靭性改善策として、特許文献1〜4などにおいて幾つか提案がなされている。特許文献1に記載の発明は、主に鋼の成分の内、C量を0.001〜0.02%に低減し、MAの生成を抑制するものであるが、強度を補完するために多くの合金元素を必要とする。また、特許文献2に記載の発明は、Mnを2%以上に高めた上でTi酸化物を使うという特殊な合金成分とし、細粒化により靭性を改善しようとするものである。また、特許文献3に記載の発明は、さらに低C化でMAの生成を抑制するものである。また、特許文献4に記載の発明は、MAの生成を抑制するためにAlを多量に添加するものである。いずれの特許文献に記載の発明も「粗粒域」+「二相域加熱」の存在を許容した上で鋼の成分を工夫することにより細粒化やMAの生成を抑制し靭性の劣化を低減しようとするものであるが、高価な合金の添加が必要であったり、特殊な製造方法を必要としており製造負荷が高い。
一方、特許文献5には入熱量30kJ/cm以下の多パス溶接において3層6パス以下の積層を制御することが提案されている。しかし、これは溶接止端部の形状や残留応力を制御することで疲労特性を向上させることが目的であり、靭性改善とは目的が異なる。
特開平9−111337号公報 特開2010−248590号公報 特開2011−106014号公報 特開2012−188749号公報 特開2012−200782号公報
そこで、本発明は、前記した従来技術とは異なり、新規の多層盛り溶接による継手の製造方法によって溶接熱影響部(HAZ)の靭性を改善することを課題とするものである。
本発明者らは、前記課題の解決のために多パス溶接の溶接条件がHAZの靭性に与える影響を調査した。その結果、溶接の入熱量と積層間隔を一定の関係に制御することにより、溶接部の靭性を劣化させる「粗粒域」+「二相域加熱」の領域を排除できることを知見した。これによって、靭性劣化の根源であった「粗粒域」+「二相域加熱」部位がなくなるので高価な合金添加や金属組織を制御するための負荷の高い工程は不要となる。具体的には以下の多層盛り溶接による継手の製造方法を提供するものである。
(1)板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法であって、各溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が以下の式(1):
0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
を満たす溶接を行うことを含むことを特徴とする、多層盛り溶接による継手の製造方法。
(2)板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法であって、溶接熱影響部に隣接する溶接部の溶接パスの入熱量と前記溶接部における溶接金属の積層間隔が以下の式(1):
0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
を満たす溶接を行うことを含み、他の溶接部の少なくとも一部における溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が以下の式(2):
0.077・H-1.18・d3.26>1.1 (2)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
を満たすことを特徴とする、多層盛り溶接による継手の製造方法。
本発明によれば、厚手の海洋構造物などの溶接時等、多層盛り溶接によって継手を製造するに際して、多パス溶接を実施する鋼材の溶接方法を工夫し、溶接時の溶接入熱と各パスの積層間隔を制御することにより、靭性の劣化が顕著となる部位を完全に排除することができる。これにより、厚手の海洋構造物などを溶接時に多パス溶接を実施する鋼材のHAZ靭性を大幅に改善し、溶接の生産性を落とすことなく構造物の安全性を高めることができる。また、高強度かつ高靭性などの要求値の過酷な材料の製造も可能となる。さらには、本発明の多層盛り溶接による継手の製造方法は、鋼板自体の組成や金属組織を改良してHAZ靱性を改善しようとするものではないため、先に述べた従来技術とは異なり、鋼板に高価な合金を多量に添加することや、鋼板の金属組織を制御するための負荷の高い工程を何ら必要とすることなしに、厚鋼板のHAZ靭性を顕著に改善することが可能である。
本発明の継手の製造方法の1つの実施態様を説明する模式図である。 本発明の継手の製造方法の別の実施態様を説明する模式図である。
本発明の方法においては、板厚25mm以上、例えば50mm以上、100mm以下の任意の組成を有する厚鋼板を他の鋼板等の被溶接部材に溶接する際に用いることができ、特に限定されないが、好ましくは、海洋構造物、建築、橋梁、ペンストックなど高靭性が求められる構造物に供する板厚25mm以上の厚鋼板が使用される。このような厚鋼板としては、例えば、質量%で、C:0.03〜0.15%、Mn:1.0〜2.5%、Si:0.01〜0.5%を含有し、P:0〜0.05%、S:0〜0.05%に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、任意選択でCu:0〜2%、Ni:0〜3%、Cr:0〜0.75%、Mo:0〜0.75%、Nb:0〜0.05%、V:0〜0.1%、B:0〜0.002%、Ti:0〜0.02%、Al:0〜0.05%、N:0〜0.007%、およびO:0〜0.005%のうち1種または2種以上をさらに含有するものが挙げられる。
また、溶接の方法としては、被覆アーク溶接、半自動アーク溶接、TIG溶接、MIG溶接、CO2ガスアーク溶接、MAG溶接、FCAW溶接、サブマージアーク溶接(SAW)など入熱量と積層間隔を変化させることのできる溶接方法であれば良い。また、継手としては突合せ継手、十字継手、T字継手、角継手のグルーブ溶接、すみ肉溶接などの多層盛り溶接であるものが対象となる。いずれも多層盛り溶接時の「粗粒域」+「二相域加熱」の領域が顕著な靭性の脆化部となるからである。
また、本発明の多層盛り溶接による継手の製造方法は、溶接熱影響部の靭性を改善することを目的として、全部の溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔、または少なくとも溶接熱影響部に隣接する溶接部の溶接パスの入熱量と当該溶接部における溶接金属の積層間隔が以下の式(1):
0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
を満たす溶接を行うことを含む。好ましくは、上記式(1)は、
0<0.077・H-1.18・d3.26≦0.6である。
少なくとも溶接熱影響部に隣接する溶接部の溶接パスの入熱量と当該溶接部における溶接金属の積層間隔が上記式(1)を満たす溶接を行う場合、他の溶接部については任意の適切な入熱量および積層間隔を選択して溶接を実施することが可能である。しかしながら、溶接効率を高めるという観点からは、他の溶接部の少なくとも一部又は全部における溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が、以下の式(2):
0.077・H-1.18・d3.26>1.1 (2)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
を満たす溶接を行うことが好ましい。溶接熱影響部に隣接する溶接部については、式(1)を満たす溶接を行うことにより溶接熱影響部の靱性を改善するとともに、それ以外の溶接部の少なくとも一部又は全部については、例えば、式(2)に従ってより広い積層間隔で溶接することにより溶接効率を顕著に向上させることが可能となる。なお、式(2)について上限は特に規定しないが、積層間隔dが大きくなりすぎると溶接が困難になることから、一般的には0.077・H-1.18・d3.26≦200とし、上限については例えば100、50、30、20、15又は10とする。
図面を参照してより詳しく説明すると、本発明の多層盛り溶接による継手の製造方法の1つの実施態様では、図1に示すように、一対の厚鋼板の端部同士を突き合わせて多層盛り溶接によって継手を製造する場合に、第1の厚鋼板1Aの端面である第1の開先面1Aaと、第2の厚鋼板1Bの端部に設けられた、第1の開先面1Aaに対して一定の角度で傾斜している第2の開先面1Baとで形成されたレ形の開先部2において多層盛り溶接を実施する。その際、多層盛り溶接は、溶接熱影響部3に隣接する溶接部(溶接線4に沿った部位)だけでなく、他の全ての溶接パスにおいても入熱量と溶接金属5の積層間隔が上記式(1)を満たして実施される。このような継手の製造方法によれば、溶接金属5の積層間隔が比較的小さくかつ均一であり、溶接パスの数も比較的多いことから、溶接熱影響部2の靭性を改善できるだけでなく、非常に安全性の高い溶接による継手の製造を実現することができる。
図2は、本発明の多層盛り溶接による継手の製造方法の別の実施態様を説明する模式図である。なお、一対の厚鋼板や開先部の各構成については基本的に図1と同じであるため、同様の符号を付して説明は省略する。
図2を参照すると、一対の厚鋼板1Aa,1Baの端部同士を突き合わせて開先部2において多層盛り溶接を実施することにより継手を製造する場合に、溶接熱影響部3に隣接する(つまり第1の厚鋼板1Aの開先面1Aa、第2の厚鋼板1Bの開先面1Baにそれぞれ接する)溶接部6については、図1の場合と同様の溶接を実施することで溶接熱影響部3の靱性を改善する。一方で、それ以外の溶接部7(つまり第1の厚鋼板1Aの開先面1Aa、第2の厚鋼板1Bの開先面1Baに接しない溶接部)においてはより広い積層間隔にて溶接し、溶接パスの数を少なくすることで溶接効率を向上させていることがわかる。
ここで、本発明者らが多層盛り溶接時の最脆化部位の発生状況を調べたところ、最脆化部位の発生は、最終2パスが「粗粒または亜粗粒(温度域にして1150℃〜1550℃)」、次いで「α+γ二相域(特に700〜740℃の温度域)」となる場合であることが判った。また、多層盛りのHAZ温度履歴計算の結果、そのような部位は溶接入熱と各パスの積層間隔の条件によってHAZ中に存在し無くなることを知見した。これは、積層間隔を小さくすると先行パスと次パスの熱影響領域のオーバーラップが大きくなり、先行パスの「粗粒部」や「亜粗粒部」は後続パスの「細粒域」に変わっていくからである。また、同様に先行パスの「二相域加熱」部位は次パスで「テンパー域」に替えられていく。「テンパー域」は「二相域(約700℃)」以下かつ500℃以上の温度域であって、この温度域に加熱されると脆化相であるMAが分解されて靭性が顕著に改善される。また、溶接金属の積層間隔を小さくすることに加えて、溶接パスの入熱量を大きくすると、1パスの熱影響範囲が拡大することに伴って先行パスで生じた「粗粒部」や「亜粗粒部」、さらには「二相域加熱」部位が減少することを見出した。
このようにして見出された各パスの入熱量と積層間隔の満たすべき条件は、以下のとおりである。
0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
(式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
好ましくは、上記式(1)は0<0.077・H-1.18・d3.26≦0.6である。
ここで、「0.077・H-1.18・d3.26」は溶接線1mmあたりに生成する「粗粒部」と「亜粗粒部」のうち「二相域加熱」を受けた脆化が顕著な部位の面積を表している。この値が1.1以下では、脆化部の面積が大変少なく、靭性は大きく改善する。また、0.6以下では脆化部はほとんど0であり、靭性への影響がほぼ無いレベルとなると予想される。以上のような理由から、上限を1.1以下、好ましくは0.6以下とした。一方、これらの値以下であれば本発明の効果は十分に得られることから、下限を0超とした。
なお、各パスの入熱量は、上記式(1)を満たす範囲において適切に選択すればよく、特に限定されないが、多層盛り溶接による継手の製造の際に一般的に適用される溶接方法での入熱量が最大400kJ/mmであるのでこれを上限とし、好ましくは5〜400kJ/mm、より好ましくは10〜400kJ/mm、最も好ましくは20〜400kJ/mmである。ここで、一般的な溶接部の品質は入熱量が大きいほど靱性が低下するという問題がある。したがって、本発明のように、10kJ/mmまたはそれ以上の比較的高い入熱量によっても、積層間隔との関係で上記式(1)を満たすことにより、溶接熱影響部の靱性を改善できるということは、極めて意外であり、また驚くべきことである。また、積層間隔についても同様に、上記式(1)を満たす範囲において適切に選択すればよく、特に限定されないが、一般的には1.0〜10mmであり、溶接の生産性の観点から、好ましくは3.0〜10mm、より好ましくは5.0〜10mmである。なお、本発明において「積層間隔」とは、溶接線(FL)に沿った溶接金属の積層数を溶接線(FL)の距離で除したもの、すなわち「FLに沿った溶接金属の積層数/FLの距離」を言うものであり、したがって板厚方向に沿ったFLの場合には「板厚方向の溶接金属の積層数/板厚」となる。
次に、入熱量と積層間隔の制御方法について述べる。まず、入熱量H(kJ/mm)は以下の式によって表わされる。
H=(E・I)/1000V (3)
ここで、E:電圧(V)、I:電流(A)、V:溶接速度(mm/s)である。従って、入熱量を制御するには溶接に用いられる電圧、電流または溶接速度を適切に設定すれば良い。次に、積層間隔は溶接による溶着量(g/min)を制御することにより実施できる。ここで溶着量とは単位時間に溶融・凝固する溶接材料の質量であり、これが大きいと溶接ビードの嵩が大きくなり積層間隔が大きくなる。そして、溶着量の大小は主に電流、溶接ワイヤー直径、溶接ワイヤーの突き出し量によって決まることが知られている(藤田哲也、服部和徳、中込忠男、加賀美安男、小林光博、三村麻里:「突合せ継手における溶接金属部の強度評価の検証(その7 計画パス数と施工パス数)」、日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)、(2009年8月)、p.683)。ここで、ワイヤーの突き出し量とはトーチ終端から溶接ワイヤー終端までの長さのことで、鋼板からトーチ終端までの所謂「トーチ高さ」を調整することで制御することができる((社)日本溶接協会ホームページJWES接合・溶接技術Q&A1000、No.Q07−02−03(2004))。溶接ワイヤーの突き出し量が多いと、その分電気抵抗が増加しジュール発熱が増加するので溶接ワイヤーの溶融量すなわち溶着量が増加することになる。その他にも溶接の電流、電圧、ワイヤー直径などを制御する方法も採用可能である。
以下、本発明の実施例を説明する。表1には、本実施例において使用した降伏強度(YS)420N/mm2および500N/mm2級の海洋構造物用厚鋼板(板厚50mmまたは75mm)の化学成分および製造条件を示す。ここで、表1中の製造方法を表す記号は、以下の熱処理方法を意味する。
ACC:加速冷却(制御圧延後に400〜600℃の温度域まで水冷後放冷)
ACC+T:加速冷却後に400〜600℃の温度域で焼き戻しを実施する。
DQ+T:圧延後に室温〜400℃の温度に直接焼入を行った後、400〜600℃の温度域で焼き戻しを実施する。
RQ+T:熱処理炉にてオーステナイト温度域に加熱後、室温に焼入を行った後、400〜600℃の温度域で焼き戻しを実施する。
また、表2には、得られた厚鋼板を用いた多層盛り溶接による継手の製造を実施した際の溶接条件と溶接部の特性を示す。溶接には一般的に試験溶接として用いられている潜弧溶接(SAW)法を用い、溶接溶け込み線(FL)が垂直になるようにレ開先で溶接の入熱量を3.9〜30.0kJ/mmの範囲で変化させて溶接を実施した。なお、表2では、「HAZに隣接する溶接部」と「他の溶接部」とで溶接条件を変更した場合のみ、「他の溶接部」において「溶接入熱量(kJ/mm2)」、「積層間隔(mm)」および「0.077・H-1.18・d3.26」を記載している。また、溶接部の靭性の評価はシャルピー試験とCTOD(亀裂先端開口変位:Crack Tip Opening Displacement)試験で行った。シャルピー試験は2mmVノッチ試験片でノッチ位置FL(WM(溶接金属)とHAZの境界)およびIC(HAZとBM(母材)の境界)の2箇所として、−60℃の吸収エネルギー(vE−60℃(J))を測定した。なお、両方の吸収エネルギー値が100J以上の場合を合格とした。
また、CTOD試験はt(板厚)×2tのサイズでノッチは50%疲労亀裂で実施し、ノッチ位置をFL(WMとHAZの境界)およびIC(HAZとBMの境界)の2箇所として−60℃でそれぞれ5本の試験を実施した。ここでδaveは亀裂開口変位(δ)の5本の試験結果の平均値を示し、δminは5本の試験のうちの最低値を示す。なお、これらの全ての値が0.3mm以上の場合を合格とした。
表2で、No.1〜18が本発明によるものであり、No.19〜26が比較例である。ここで、実施例1〜18の場合は、溶接熱影響部の−60℃の吸収エネルギーが238J以上、CTOD値がFLノッチの場合のδminで0.70mm以上、ICノッチの場合のδminで0.84mm以上の良好な破壊靭性を示した。さらに、HAZに隣接する溶接部では上記式(1)を満たし、他の溶接部では上記式(2)を満たす溶接を行った実施例4および8では、同様に溶接熱影響部の良好な靱性を示すとともに、それぞれ対応する実施例3および7(全ての溶接部で実施例4および8のHAZに隣接する溶接部と同じ条件で溶接したもの)と比較して、合計の溶接パス数を大きく低減することができた。具体的には、実施例4では、実施例3の63から46へ約27%低減することができ、同様に実施例8では実施例7の95から59へ約38%低減することができ、それゆえ溶接効率を顕著に向上させることができた。
一方、比較例は、何れも上記式(1):0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1を満たさないために二相域加熱によって生じたMAによる脆化が顕著であった。また、いずれもFLノッチの場合のシャルピー−60℃の吸収エネルギー値は100J未満であり、CTODの亀裂開口変位の平均値および最低値も非常に低く、特にFL部ではいずれも0.10mm未満の値であり、顕著な脆化が認められた。これらの比較によれば、本発明は靭性の改善に顕著な効果があることが判る。
1A、1B 厚鋼板
1Aa、1Ba 開先面
2 開先部
3 溶接熱影響部
4 溶接線
5 溶接金属
6、7 溶接部

Claims (2)

  1. 板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法であって、各溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が以下の式(1):
    0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
    (式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
    を満たす溶接を行うことを含むことを特徴とする、多層盛り溶接による継手の製造方法。
  2. 板厚25mm以上の厚鋼板を用いる多層盛り溶接による継手の製造方法であって、溶接熱影響部に隣接する溶接部の溶接パスの入熱量と前記溶接部における溶接金属の積層間隔が以下の式(1):
    0<0.077・H-1.18・d3.26≦1.1 (1)
    (式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
    を満たす溶接を行うことを含み、他の溶接部の少なくとも一部における溶接パスの入熱量と溶接金属の積層間隔が以下の式(2):
    0.077・H-1.18・d3.26>1.1 (2)
    (式中、Hは入熱量(kJ/mm)であり、dは積層間隔(mm)である)
    を満たすことを特徴とする、多層盛り溶接による継手の製造方法。
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