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JP6659309B2 - 包装体用フィルム及び包装体 - Google Patents

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JP6659309B2
JP6659309B2 JP2015219854A JP2015219854A JP6659309B2 JP 6659309 B2 JP6659309 B2 JP 6659309B2 JP 2015219854 A JP2015219854 A JP 2015219854A JP 2015219854 A JP2015219854 A JP 2015219854A JP 6659309 B2 JP6659309 B2 JP 6659309B2
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Description

本発明は、包装体用フィルム及び包装体に関する。
近年、プラスチック製の包装体に、食品や薬剤が収容される機会が増えている。食品や薬剤は酸素ガスによって変質することがあるため、収容物である食品や薬剤のシェルフライフを延長するために、これらを収容する包装体には高い酸素ガスバリア性が求められる。
また、食品や薬剤が収容された包装体は、使用されるまで輸送や保管等される。輸送や保管時の衝撃等により、シール部が剥がれて包装体の密封性が損なわれたり、包装体を落下すること等により亀裂等が生じると、包装体内に酸素ガスが侵入し内容物を変質したり、内容物が漏洩したりする。そのため、前記包装体には、優れた密封性と、落下等の衝撃に対して亀裂等が生じにくい耐衝撃性が求められる。
特許文献1には、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を中間層とし、該中間層の両側に表面層を有し、該各層が接着性樹脂層を介して配されてなる積層包装材において、該表面層の主成分がいずれも直鎖状低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンのブレンド物からなる積層包装材が開示されている。特許文献1によれば、前記積層包装材は、ガス遮断性及び引裂性に優れるとされている。
特許文献2には、パッシブ酸素バリヤー層と、アクティブ酸素バリヤー層を含む多層アクティブ酸素バリヤーフィルムが開示されている。特許文献2によれば、前記フィルムは高い酸素バリヤー性を維持できるとされている。
特開平5−345390号公報 特表2010−537849号公報
ところで、近年では、より便利さを求める消費者が増加しており、また、バリアフリーの観点からも、包装体の開封時に鋏やナイフを使用することなく、手で容易に開封できる包装体に対する需要が高まっている。さらに、開封時に、包装体が意図しない方向に引裂かれると、内容物が周囲に飛散するという問題が生じる。そのため、包装体には、手で容易に開封でき、かつ、意図した方向に開封できる、易開封性が求められる。
しかしながら、特許文献1,2の技術では、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性及び易開封性のすべてについて充分に満足できるものでなかった。また、特許文献1に記載の積層包装材、特許文献2に記載の多層アクティブ酸素バリヤーフィルムは、5層以上の多層とされており、生産性や経済性に優れるものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、易開封性に優れる包装体用フィルムを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の包装体用フィルムが、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明の包装体用フィルムは、以下の構成を有する。
[1]ラミネート層と、シール層と、前記ラミネート層とシール層との間に配された中間層とを備えたシーラント材を備える包装体用フィルムであって、前記ラミネート層及びシール層は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層であり、かつ、前記酸変性ポリオレフィンを10〜70質量%含み、前記中間層は、エチレン−ビニルアルコール重合体、ポリビニルアルコール及びキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む層であり、前記シーラント材の厚さが20μm超130μm未満である、包装体用フィルム。
[2]前記ラミネート層並びに前記シール層の双方もしくは一方が、滑剤及びアンチブロッキング剤を含む、請求項1に記載の包装体用フィルム。
[3]前記中間層が酸素吸収剤を含む、[1]又は[2]に記載の包装体用フィルム。
[4]さらに、前記ラミネート層の上に基材が設けられた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
[5][1]〜[4]の包装体用フィルムが製袋された包装体。
本発明の包装体用フィルムは、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、易開封性に優れる。
本発明の包装体用フィルムの断面図である。
本発明の包装体用フィルムは、ラミネート層と、シール層と、前記ラミネート層とシール層との間に配された中間層とを備えるシーラント材を備える。
以下、本発明の包装体用フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
本発明の実施形態にかかる包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
(包装体用フィルム)
図1の包装体用フィルム1は、基材10と、シーラント材30が積層されたものである。
シーラント材30は、ラミネート層22と、シール層24と、前記ラミネート層22と前記シール層24との間に配された中間層26とを備える。
基材10は、ラミネート層22の上に設けられている。
包装体用フィルム1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、35〜250μmが好ましく、40〜200μmがより好ましく、50〜150μmがさらに好ましい。上記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められやすくなり、上記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ取り扱い性が向上する。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、4.0cc/(m・day・atm)以下が好ましく、3.0cc/(m・day・atm)以下がより好ましく、1.0cc/(m・day・atm)以下がさらに好ましく、0.5cc/(m・day・atm)以下が特に好ましい。包装体用フィルム1の酸素透過度が前記上限値以下であれば、内容物の変質、劣化を抑制しやすくなる。
なお、本発明における酸素透過度は、JIS K7126−2のモコン法により求められる値である。
包装体用フィルム1の水蒸気透過度は、例えば、3g/(m・day)以下が好ましく、1g/(m・day)以下がより好ましい。包装体用フィルム1の水蒸気透過度が前記上限値以下であると、包装体の外部からの水分の侵入を充分に抑制でき、内容物の変質、劣化を抑制しやすくなる。
なお、本発明における水蒸気透過度は、JIS K7129(2008)のモコン法により求められる値である。
<基材10>
基材10としては、樹脂製フィルム、金属箔、紙、及びこれらの積層体等が挙げられる。
樹脂製フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリオレフィン、二軸延伸ナイロン(ONY)等のポリアミド(PA)等、及びこれらの積層体が挙げられる。中でも、PET、OPP、ナイロン(NY)が好ましい。
また、基材10としては、上記樹脂製フィルムに、アルミニウム等の金属又はシリカが蒸着された蒸着フィルムが用いられてよい。中でも、PET、OPP、ONYに、金属が蒸着された金属蒸着フィルムが好ましく、アルミニウム蒸着フィルムがより好ましい。
金属箔としては、アルミ箔が好ましい。
積層体としては、上記樹脂製フィルム同士の積層体、上記樹脂製フィルムと金属箔との積層体が挙げられる。
この基材10は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
基材10の厚さT10は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。前記下限値以上であると、包装体用フィルム1の強度が高められやすくなり、前記上限値以下であると、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
基材10は、MD方向(フィルムを製造する際の流れ方向)の配向度αが0.5〜3.5が好ましく、0.7〜3.2がより好ましく、1.0〜3.0がさらに好ましい。配向度αが前記下限値以上であれば、易開封性が高められやすくなる。配向度αが前記上限値以下であれば、密封性、耐衝撃性が高められやすくなる。さらに耐ブロッキング性が高められやすくなる。
基材10は、TD方向(MD方向に垂直な方向)の配向度βが0.2〜3.5が好ましく、0.5〜3.2がより好ましく、0.7〜3.0がより好ましい。前記下限値以上であれば、易開封性が高められやすくなる。前記上限値以下であれば、密封性、耐衝撃性が高められやすくなる。さらに耐ブロッキング性が高められやすくなる。
基材10の配向度α/配向度βで表される比(以下、α/β比ということがある)は、0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。α/β比が前記好ましい範囲であると、易開封性が高められやすくなる。特に、包装体用フィルム1を製袋して包装体とした場合の直線カット性が高められやすくなる。即ち、前記包装体を意図した方向に開封しやすくなる。
なお、包装体用フィルム1の易開封性は、基材10のα/β比に影響される。特に基材10として二軸延伸させた樹脂製フィルムを用いた場合には、この影響が強くなる。
配向度α及び配向度βは、赤外二色法によって測定された値から算出される。
配向度は、光の電場が一定の方向にしか振動しない直線偏光と呼ばれる光を赤外分光光度計に用い、透過法で測定される。
測定方法としては、まず、偏光子の設置角度を0°(電場の向きは垂直方向)としてBKG(バックグラウンド)測定を行なった後、試料の延伸方向を縦方向に合わせ、吸光度を測定する(このとき偏光方向と延伸軸の方向は平行になる。)。得られた値を吸光度「A//」とする。
次に、試料の角度を90°回転させ、試料の延伸軸と偏光方向を垂直にした状態で吸光度を測定する。得られた値を吸光度「A⊥」とする。
試料の延伸軸に対して平行な偏光と垂直な偏光で得られた二つの吸光度A//及びA⊥の吸光度比([A//]/[A⊥])を配向度とする。
赤外二色法における測定波数は、測定対象の材質に応じて適宜選択される(『小林靖二、「赤外二色法による分子配向」、高分子学会誌「高分子」、Vol.15、No.175、p.877−883』参照)。
また、配向度は、JIS K7127(1999)に準じて測定される引張弾性率から簡易的に求められる。
<シーラント材30>
シーラント材30は、ラミネート層22と、シール層24と、中間層26とを備える。前記中間層26は、前記ラミネート層22と前記シール層24との間に配される。本実施形態において、シーラント材30は、ラミネート層22と、シール層24と、中間層26との3層からなる。
シーラント材30の厚さT30は、20μm超130μm未満である。T30が20μm超であると、密封性、耐衝撃性が高められる。T30が130μm未満であると、易開封性が高められる。さらに、耐ブロッキング性が高められる。T30は、25〜125μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、35〜80μmがさらに好ましく、40〜60μmが特に好ましい。
シーラント材30の酸素透過度は、包装体用フィルム1の酸素透過度と同様である。
シーラント材30の水蒸気透過度は、包装体用フィルム1の水蒸気透過度と同様である。
シーラント材30の配向度αは、包装体用フィルム1の配向度αと同様である。
シーラント材30の配向度βは、包装体用フィルム1の配向度βと同様である。
シーラント材30のα/β比は、包装体用フィルム1のα/β比と同様である。
≪ラミネート層22≫
ラミネート層22は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層である。酸変性ポリオレフィンは極性を有している。ラミネート層22を酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層とすることで、ラミネート層22の配向性が高められ、易開封性が高められる。さらに、ラミネート層22と後述の中間層26との接着性が高められる。加えて、シーラント材30をロールに巻き取る際の巻き取り性が良好になり、取り扱い性が高められる。
ラミネート層22は、酸変性ポリオレフィンを、ラミネート層22の総質量(即ち、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの合計質量)に対し、10〜70質量%含む。酸変性ポリオレフィンの含有量が前記下限値以上であると、易開封性が高められる。また、シーラント材30の配向度を所望の範囲に調整しやすくなる。さらに、ラミネート層22と後述の中間層26との接着性が高められる。酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記上限値以下であると、密封性及び耐衝撃性が高められる。さらに耐ブロッキング性が高められる。
酸変性ポリオレフィンの含有量が前記下限値未満であると、ラミネート層22と基材10との接着強度、ラミネート層22と後述の中間層26との接着強度が確保できないため包装体用フィルム1の破断伝播が悪くなり易開封性が損なわれる。
酸変性ポリオレフィンの含有量は、ラミネート層22の総質量に対し、20〜70質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。
ポリオレフィンとしては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレンの共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体等が挙げられる。
これらは、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸又はその誘導体を重合させたものである。
酸変性ポリオレフィンの原料となるポリオレフィンとしては、特に限定されないが、例えば上記ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの原料となる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はこれらの無水物等が挙げられ、なかでも、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、マレイン酸又は無水マレイン酸がより好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンが好ましい。
酸変性ポリプロピレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、イタコン酸変性ポリプロピレン、無水イタコン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
酸変性ポリエチレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、イタコン酸変性ポリエチレン、無水イタコン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィンは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ラミネート層22は、酸変性ポリプロピレンとポリプロピレンとの混合物、酸変性ポリエチレンとポリエチレンとの混合物からなることが好ましく、マレイン酸変性ポリプロピレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリプロピレンとの混合物、マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリエチレンとポリエチレンとの混合物からなることがより好ましく、マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリエチレンとポリエチレンとの混合物からなることがさらに好ましい。
ラミネート層22が上記混合物から形成されることで、易開封性、密封性、耐衝撃性が高められやすくなる。また、後述の中間層26との接着性が高められやすくなる。
ラミネート層22は、滑剤及び/又はアンチブロッキング剤を含有することが好ましい。
ラミネート層22が滑剤及び/又はアンチブロッキング剤を含有することで、シーラント材30の耐ブロッキング性が高められる。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレン等の脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、リシノール酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ひまし油、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系滑剤、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックス等の炭素数8〜50の長鎖エステルワックス等の脂肪酸エステル系滑剤、またはこれらを複合した複合滑剤等が挙げられる。
これらのなかでも、脂肪酸アマイド系滑剤が好ましい。
アンチブロッキング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらのなかでも、シリカ、PMMAが好ましい。
ラミネート層22中の滑剤の含有量は、特に限定されず、滑剤の種類等に応じて適宜調整されるが、ラミネート層22の総質量に対して、200ppm以上が好ましい。滑剤の含有量が前記下限値以上であれば、シーラント材30の耐ブロッキング性がより高められやすくなる。滑剤の含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、500ppm以上が好ましく、1000ppm以上がより好ましく、2000ppm以上であってもよい。
一方、滑剤の含有量の上限値は、特に限定されないが、滑剤を配合したことによる効果が飽和する点や、包装体用フィルム1の密封性や耐衝撃性が損なわれるおそれがある点などから、6000ppm未満が好ましく、5000ppm以下がより好ましい。
滑剤の含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、200ppm以上6000ppm未満が好ましく、200〜5000ppmがより好ましく、500〜5000ppmがさらに好ましく、1000〜5000ppmが特に好ましい。
ラミネート層22中のアンチブロッキング剤の含有量は、特に限定されず、アンチブロッキング剤の種類等に応じて適宜調整されるが、ラミネート層22の総質量に対して、200ppm以上が好ましい。アンチブロッキング剤の含有量が前記下限値以上であれば、シーラント材30の耐ブロッキング性がより高められやすくなる。アンチブロッキング剤の含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、500ppm以上が好ましく、1000ppm以上がより好ましく、2000ppm以上であってもよい。
一方、アンチブロッキング剤の含有量の上限値は、特に限定されないが、アンチブロッキング剤を配合したことによる効果が飽和する点や、包装体用フィルム1の密封性や耐衝撃性が損なわれるおそれがある点などから、10000ppm未満が好ましく、5000ppm以下がより好ましい。
アンチブロッキング剤の含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、200ppm以上10000ppm未満が好ましく、200〜5000ppmがより好ましく、500〜5000ppmがさらに好ましく、1000〜5000ppmが特に好ましい。
ラミネート層22は、滑剤及びアンチブロッキング剤の両方を含有することが好ましい。なかでも、滑剤として脂肪酸アマイド系滑剤が用いられ、アンチブロッキング剤としてシリカ又はPMMAが用いられることが好ましい。
ラミネート層22が、滑剤及びアンチブロッキング剤の両方を含有する場合、ラミネート層22中の滑剤とアンチブロッキング剤との質量比は、滑剤:アンチブロッキング剤=1:9〜8:2が好ましく、2:8〜7:3がより好ましい。滑剤とアンチブロッキング剤との質量比が前記の好ましい範囲であると、耐ブロッキング性がより高められやすくなる。
ラミネート層22が、滑剤及びアンチブロッキング剤の両方を含有する場合、これらの合計含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、400ppm以上が好ましい。滑剤及びアンチブロッキング剤の合計含有量が前記下限値以上であれば、シーラント材30の耐ブロッキング性がより高められやすくなる。滑剤及びアンチブロッキング剤の合計含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、1000ppm以上がより好ましく、2000ppm以上がさらに好ましく、4000ppm以上であってもよい。
一方、滑剤及びアンチブロッキング剤の合計含有量の上限値は、特に限定されないが、滑剤及びアンチブロッキング剤を配合したことによる効果が飽和する点や、包装体用フィルム1の密封性や耐衝撃性が損なわれるおそれがある点などから、16000ppm未満が好ましく、10000ppm以下がより好ましい。
滑剤及びアンチブロッキング剤の合計含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、400ppm以上16000ppm未満が好ましく、400〜10000ppmがより好ましく、1000〜5000ppmがさらに好ましく、2000〜5000ppmが特に好ましい。
ラミネート層22の厚さT22は、10〜50μmが好ましく、15〜35μmがより好ましい。T22が前記下限値以上であると、密封性、耐衝撃性が高められやすくなる。T22が前記上限値以下であると、易開封性が高められやすくなる。
22は、耐衝撃性がより高められる点から、後述の中間層26の厚さT26よりも大きいことが好ましい。T22とT26との差は5μm以上であることが好ましい。一方、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱い性がより高められる点からは、T22とT26との差は20μm以下が好ましい。
≪シール層24≫
シール層24は、ラミネート層22と同様である。即ち、シール層24は、ラミネート層22と同様に、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層であり、酸変性ポリオレフィンを前記層中に10〜70質量%含む。シール層24における酸変性ポリオレフィン及びポリオレフィンとしては、それぞれラミネート層22と同様のものが用いられる。
シール層24は、ラミネート層22と同様の滑剤及び/又はアンチブロッキング剤を含有することが好ましい。
シール層24の厚さT24は、ラミネート層22の厚さT22と同様である。
シール層24と、ラミネート層22とは、同じ(同一の組成及び厚さ)であってもよいし、異なってもよい。シール層24と、ラミネート層22が同じであると、シーラント材30に歪みやカーリングが生じるのを抑制しやすくなる。
≪中間層26≫
中間層26は、前記ラミネート層22と前記シール層24との間に配される。
中間層26は、エチレン−ビニルアルコール重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)又はキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む層である。
シーラント材30は、中間層26を備えることで酸素ガスバリア性を有する。
上記EVOHとしては、エチレンの共重合比率が10〜50mol%のものが好ましい。
上記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンと直鎖脂肪族ジカルボン酸との重縮合体である。前記キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物等が挙げられる。前記直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体が好ましい。
上記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の商品名「MXナイロン」シリーズが挙げられる。
中間層26の厚さT26は、中間層26の材料等を勘案して適宜調整されるが、例えば、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。T26が前記下限値以上であれば、酸素ガスバリア性が高められやすくなる。T26が前記上限値以下であれば、包装体用フィルム1の柔軟性が高められ、前記包装体用フィルム1の取り扱いが良好になる。
中間層26は、酸素吸収剤を含むことが好ましい。包装体用フィルム1が、酸素吸収剤を含む中間層26を備えると、包装体用フィルム1を製袋して包装体とした際に、該包装体の外部から内部に侵入する酸素を前記中間層26で捕捉できるため、酸素ガスバリア性がより高められる。さらに、前記包装体に内容物を収容等した際に、前記容器のヘッドスペース等に入り込んだ酸素を前記中間層26で吸収できる。このため、包装体内部の酸素量をより低減でき、内容物の変質をさらに抑制でき、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。
特に、基材10として、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム等の金属が蒸着された金属蒸着フィルムを用いる場合には、シーラント材30として酸素吸収剤を含む中間層26を備えるものを用いるのが好ましい。
酸素吸収剤としては、公知の材料を用いることができる。前記酸素吸収剤としては、例えば、遷移金属塩、炭素−炭素二重結合を有する化合物等が挙げられる。前記遷移金属塩は、酸素吸収触媒としての機能も有する。
前記遷移金属塩としては、例えば、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩、ロジウム塩、チタン塩、クロム塩、バナジウム塩及びルテニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩及びコバルト塩が好ましく、マンガン塩及びコバルト塩がより好ましく、コバルト塩がさらに好ましい。
遷移金属塩を構成するアニオンとしては、有機酸が好ましく、例えば、酢酸、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸及びナフテン酸等が挙げられる。
遷移金属塩としては、ネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルトが好ましい。
炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、特に制限はないが、ポリ(α−ピネン)、ポリ(β−ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン、共役ジエン重合体及びこれを環化させた共役ジエン重合体環化物等が挙げられる。
共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体の単独重合体若しくは共重合体、又は共役ジエン単量体と他の単量体との共重合体が挙げられる。前記他の単量体としては、前記共役ジエン単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2−ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
共役ジエン重合体としては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(BIR)等を挙げることができる。なかでも、ポリイソプレンゴム及びポリブタジエンゴムが好ましく、ポリイソプレンゴムがより好ましい。
共役ジエン重合体環化物は、酸触媒の存在下に共役ジエン重合体を環化反応させて得られるものである。
環化反応に用いる酸触媒としては、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物又はアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムジクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜70℃の範囲とされる。
中間層26中の酸素吸収剤の含有量は、中間層26の酸素ガスバリア性等に応じて適宜調整されるが、例えば、中間層26の総質量に対して、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましい。中間層26中の酸素吸収剤の含有量が前記下限値以上であれば、酸素ガスバリア性がより高められる。また、包装体用フィルム1を製袋して包装体とした際に、ヘッドスペースに存在する酸素を充分に吸収でき、内容物のシェルフライフをより延長しやすくなる。中間層26中の酸素吸収剤の含有量が前記上限値以下であれば、中間層26の柔軟性が損なわれにくく取り扱い性が高められる。
中間層26とラミネート層22との間には、接着層が設けられてもよい。接着層が設けられることで、中間層26とラミネート層22との一体性がより高められ、耐衝撃性がより高められやすくなる。
接着層を構成する材料としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、酸変性ポリオレフィン系等の接着剤、チタネート系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤が挙げられる。これらの材料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
接着層が設けられる場合、その厚さは、特に限定されないが、例えば0.01〜4μmが好ましい。
(包装体用フィルム1の製造方法)
包装体用フィルム1は、従来公知の製造方法に準じて製造される。
包装体用フィルム1の製造方法は、基材10を形成する基材形成工程と、シーラント材30を形成するシーラント材形成工程と、基材10とシーラント材30を積層する積層工程とを備える。
包装体用フィルム1の製造方法としては、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とがそれぞれ独立して行われる方法(方法A)、基材形成工程とシーラント材形成工程と積層工程とが一工程で行われる方法(方法B)が挙げられる。
方法Aは、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とがそれぞれ独立して行われる方法である。
方法Aにおける基材形成工程は、基材10を得る工程である。基材10を得る工程としては、基材10の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
基材10を得る方法としては、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
方法Aにおけるシーラント材形成工程は、シーラント材30を得る工程である。シーラント材30を得る方法としては、シーラント材30の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
シーラント材30を得る方法としては、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を用いた共押出法等、従来公知の方法から選択される。
方法Aにおける積層工程は、基材10とシーラント材30とを積層して包装体用フィルム1とする工程である。
基材10とシーラント材30とを積層する方法としては、例えば、基材10の一方の表面に接着剤を塗布した後、基材10とシーラント材30とを圧着する方法等が挙げられる。
方法Bは、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とが一工程で行われる方法である。
方法Bとしては、例えば、サーキュラーダイを用いたインフレーション成形で、基材10とシーラント材30とを一体として成形する方法が挙げられる。
インフレーション成形における成形条件は、基材10の材質や配向度等を勘案して適宜決定される。例えば、ブローアップ比:1.2〜2.5、引取速度:5〜50m/分、シーラント材30を構成する樹脂の温度:160〜210℃、基材10を構成する樹脂の温度:200〜250℃、で共押出する。
包装体用フィルム1の製造方法としては、方法Bが好ましく、インフレーション成形がより好ましい。インフレーション成形であれば、各層間の延伸の程度(配向度)の差を小さくしやすい。このため、製袋した際に、包装体に生じる反りや捻じれをより良好に防げる。
各材間の配向度αの差は、±0〜0.3であることが好ましい。また、各材間の配向度βの差は、±0〜0.3であることが好ましい。インフレーション成形によれば、各材間の配向度の差を上記範囲内に調節するのが容易である。
(包装体)
本発明の包装体は、包装体用フィルム1が用いられたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム1のシール層24同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋等が挙げられる。
以上説明したとおり、本発明の包装体用フィルム1は、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、易開封性に優れる。このため、包装体用フィルム1は、食品や薬品等の包装体用フィルムとして好適である。特に、中間層26が酸素吸収剤を含む場合には、包装体用フィルム1の酸素ガスバリア性がより高められ、包装体用フィルム1から製造された包装体は、ヘッドスペース等に存在する酸素を吸収でき、内容物が酸素によって変質されるのをより抑制できる。このため、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。本発明の包装体用フィルム1は、酸素によって変質されやすい食品や薬品等の包装体用フィルムとして特に好適である。また、従来、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性等の多機能を求める包装体用フィルムとするには、前記機能をそれぞれ備える層を積層し、例えば5層以上の多層構造にする必要があった。本発明においては、シーラント材30を本発明の構成とすることで、前記機能をシーラント材30の1層で賄うことができる。そのため、包装体用フィルム1を製造するに際し、大掛かりな製造設備を要せず、生産性、経済性に優れる。
本発明の包装体用フィルムから製袋された包装体は、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、易開封性に優れる。このため、本発明の包装体は、食品や薬品等の包装体として好適である。特に中間層26が酸素吸収剤を含む場合には、包装体の酸素ガスバリア性がより高められ、かつ包装体内部のヘッドスペース等に存在する酸素を吸着でき、内容物が酸素によって変質されるのをより長期にわたり抑制できる。そのため、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。このため、本発明の包装体は、酸素によって変質されやすい食品や薬品等の包装体として特に好適である。また、本発明の包装体によれば、例えば、包装体に酸素によって変質されやすい内容物を収容する際に行われていた窒素置換等の工程を省略でき、生産性、経済性に優れる。
(その他の実施形態)
上記実施形態の包装体用フィルム1においては、基材10とシーラント材30が積層されているが、本発明の包装体用フィルムは、これに限定されない。基材10を省略し、包装体用フィルム1がシーラント材30のみからなるようにしてもよい。
本発明のシーラント材30は、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、易開封性に優れるため、そのまま包装体用フィルムとして用いることができる。ただし、基材10として、酸素ガスバリア性や耐衝撃性に優れる材料を用いることで、包装体用フィルム1の酸素ガスバリア性や耐衝撃性をより高められる点、包装体用フィルム1に印刷等の修飾を施しやすくなる点等から、基材10を備えることが好ましい。
基材10が省略される場合、シーラント材30のα/β比を、0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.5とすることで、易開封性が高められやすくなる。特に、包装体用フィルムを製袋して包装体とした場合の直線カット性が高められやすくなる。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
(使用材料)
<基材>
・PET:ルミラー(商品名)、東レフィルム加工株式会社製。
・アルミナ蒸着PET:エコシアールVE(商品名)、東洋紡株式会社製。
・Al:アルミニウム箔、株式会社UACJ製。
・OPP:パイレンフィルム−OT(商品名)、東洋紡株式会社製。
<シーラント材>
≪ラミネート層、シール層≫
・酸変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン、モディック(商品名)、三菱化学株式会社製。
・PE:ポリエチレン。
[滑剤]
・エルカ酸アマイド。
[アンチブロッキング剤(AB剤)]
・シリカ(SiO)。
≪中間層≫
・EVOH:エチレン含有量35mol%、エバール(商品名)、クラレ株式会社製。
・MXナイロン:MXDナイロン(商品名)、三菱ガス化学株式会社製。
[酸素吸収剤]
・酸素吸収剤A:共役ジエン重合体環化物。
・酸素吸収剤B:ネオデカン酸コバルト。
(実施例1〜10、比較例1〜4)
表1,2に示す基材及びシーラント材を積層して実施例1〜8,10、比較例1〜4の構成に従った包装体用フィルムを製造した。この際、基材のMD方向とシーラント材のMD方向、基材のTD方向とシーラント材のTD方向とがそれぞれ一致するように積層した。
実施例9については、基材を用いずにシーラント材をそのまま包装体用フィルムとした。なお、実施例4、5は、参考例である。
Figure 0006659309
Figure 0006659309
得られた各例の包装体用フィルムについて、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性を以下のように評価した。評価結果を表3に示す。
[酸素ガスバリア性の評価]
JIS K7126−2のモコン法により、各例の包装体用フィルムの酸素透過度を測定し、酸素透過度が、0.5cc/(m・day・atm)以下を「◎」、0.5cc/(m・day・atm)超4.0cc/(m・day・atm)以下を「○」、4.0cc/(m・day・atm)超を「×」とした。
[密封性の評価]
各例で得られた包装体用フィルムを用い、130mm×170mmの平袋を作製した。
この際、包装体用フィルムのMD方向が平袋の長手方向に、包装体用フィルムのTD方向が平袋の短手方向になるようにして平袋を作製した。この平袋に180gの水を入れ、開口部をヒートシール(シール温度:180℃、シール時間:1秒、シール圧:3.5kg/cm、シール幅:10mm)によって封止したものを評価用サンプルとした。この評価用サンプルの開口部に形成したヒートシール部について、JIS Z1707の「ヒートシール強さ試験」に準拠して、下記測定条件によりシール強度を測定した。前記測定を5回行いその平均値をシール強度とした。このシール強度を指標として、以下の評価基準により密封性を評価した。
≪測定方法≫
試験片:15mm幅。
測定環境:23℃、50%RH。
測定機器:ストログラフE−L(東洋精機製作所株式会社製)。
つかみ間隔:50mm。
引張速度:300mm/min。
≪密封性の評価基準≫
◎:シール強度が40N/15mm以上。
○:シール強度が15N/15mm超40N/15mm未満。
×:シール強度が15N/15mm以下。
[耐衝撃性の評価]
上記[密封性の評価]における評価用サンプルの耐衝撃性を落下試験により評価した。落下試験は、JIS Z0200−8.5.5.2に準拠して行われた。試験条件は以下のとおりとした。
コンクリート面に対して、120cmの高さから垂直に配置した評価用サンプルを落下させる。この操作を3回繰り返す。10個の評価用サンプルのうち、内容物の漏洩が観察されたサンプル数をカウントし、以下の評価基準で評価した。
◎:漏洩が観察されたサンプル数が0個(「0/10」)。
○:漏洩が観察されたサンプル数が2個以下(「2/10」以下)。
×:漏洩が観察されたサンプル数が3個以上(「3/10」以上)。
[易開封性の評価]
上記[密封性の評価]における評価用サンプルの易開封性を、以下の開封性及び直線カット性を指標として、下記の評価基準で評価した。
<開封性の評価>
専門パネラーが、評価用サンプルを手で引裂いて開封した際に感じる開封性を以下の評価基準で評価した。
≪開封性の評価基準≫
◎:手で引裂いた際に、容易に引裂くことができ、かつ、引裂き中の引裂き力が伝播しやすい。
×:手で引裂いた際に、容易に引裂くことができない、及び/又は、引裂き中の引裂き力が伝播し難い。
<直線カット性の評価>
評価用サンプルを上記<開封性の評価>と同様の条件で引裂いた際に、引裂き始めの切り口の位置と、引裂き伝播100mm到達時の切り口の位置との差(底面からの高さの差)を測定し、以下の評価基準に基づいて直線カット性を評価した。この差が小さいほど、直線カット性に優れると評価できる。
≪直線カット性の評価基準≫
◎:引裂き始めと、引裂き伝播100mm到達時の切り口の位置の差が20mm以内。
×:引裂き始めと、引裂き伝播100mm到達時の切り口の位置の差が20mm超。
<易開封性の評価基準>
◎:開封性の評価及び直線カット性の評価が両方とも「◎」のもの。
×:開封性の評価及び直線カット性の評価の少なくとも一方が「×」のもの。
[耐ブロッキング性の評価]
各例の包装体用フィルムについて、JIS K 7125−1999に準拠し、静摩擦係数及び動摩擦係数を測定し、下記評価基準により評価した。測定装置としては、摩擦係数測定機(テスター産業社製)を使用し、23℃、50%RHの環境下にて、試験速度100mm/min、垂直荷重1.96N平面圧子仕様で包装体用フィルム間の摩擦抵抗を測定した。
なお、下記評価基準において「◎」が最も良好で、「○」がその次に良好であり、「◎」及び「○」であれば、包装体用フィルムをロールなどで巻き取った際のブロッキングが抑制されやすい。「×」は、ブロッキングが生じやすい。
◎:静摩擦係数及び動摩擦係数がともに1.5以下。
○:静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0未満であり、かつ、「◎」以外のもの。
×:静摩擦係数及び動摩擦係数の少なくとも一方が3.0以上。
[総合評価]
上記酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性の評価がすべて「◎」のものを、総合評価「◎」とした。
上記酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性の評価において「○」が1つ以上あり、かつ、「×」がないものを、総合評価「○」とした。
上記酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性の評価において「×」が1つ以上あるものを、総合評価「×」とした。
Figure 0006659309
表3に示すように、本発明を適用した実施例1〜10の包装体用フィルム又はこれを用いた包装体は、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性及び易開封性に優れることが確認できた。ラミネート層及びシール層中に滑剤及びAB剤を所定量含む実施例1〜9の包装体用フィルムは耐ブロッキング性にも優れていた。
一方、ラミネート層及びシール層中の酸変性ポリオレフィンの含有量が本発明の範囲未満である包装体用フィルム(比較例1)を用いた場合、易開封性が充分に得られなかった。ラミネート層及びシール層中の酸変性ポリオレフィンの含有量が本発明の範囲超である包装体用フィルム(比較例2)を用いた場合、密封性、耐衝撃性が充分に得られなかった。さらに耐ブロッキング性も充分に得られなかった。シーラント材の厚さが本発明の範囲未満である包装体用フィルム(比較例3)を用いた場合、密封性、耐衝撃性が充分に得られなかった。シーラント材の厚さが本発明の範囲超である包装体用フィルム(比較例4)を用いた場合、易開封性が充分に得られなかった。さらに耐ブロッキング性が充分に得られなかった。
以上の結果から、本発明を適用することで、酸素ガスバリア性、密封性、耐衝撃性及び易開封性に優れる包装体用フィルムが得られることが確認できた。
1 包装体用フィルム
10 基材
22 ラミネート層
24 シール層
26 中間層
30 シーラント材

Claims (5)

  1. ラミネート層と、シール層と、前記ラミネート層とシール層との間に配された中間層とを備えたシーラント材を備える包装体用フィルムであって、
    前記ラミネート層及びシール層は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層であり、かつ、前記酸変性ポリオレフィンを50〜70質量%含み、
    前記中間層は、エチレン−ビニルアルコール重合体及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種を含む層であり、
    前記シーラント材の厚さが20μm超130μm未満である、包装体用フィルム。
  2. 前記ラミネート層並びに前記シール層の双方もしくは一方が、滑剤及びアンチブロッキング剤を含む、請求項1に記載の包装体用フィルム。
  3. 前記中間層が酸素吸収剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の包装体用フィルム。
  4. さらに、前記ラミネート層の上に基材が設けられた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
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