JP7019473B2 - 樹脂製フィルムの評価方法 - Google Patents
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Description
また、食品や薬剤が収容された包装体は、使用されるまで輸送や保管等される。輸送や保管時の衝撃等により、シール部が剥がれて包装体の密封性が損なわれたり、包装体を落下すること等により亀裂等が生じると、包装体内に酸素が侵入して、内容物が変質したり、内容物が漏洩したりする。このため、包装体には、優れた密封性と、落下等の衝撃に対して亀裂等が生じにくい耐衝撃性が求められる。
特許文献1の包装体用フィルムは、外部からの酸素の侵入を防ぐことができるものの、包装体内の酸素を低減することはできない。
[1]ラミネート層と、シール層と、前記ラミネート層と前記シール層との間に位置する酸素吸収層とを備えたシーラント材を備える包装体用フィルムであって、前記酸素吸収層は、エチレン-ビニルアルコール重合体、ポリビニルアルコール及びキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)と、遷移金属塩及び炭素-炭素二重結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の酸素吸収材(B)と、を含み、温度40℃、相対湿度75%の大気中で3週間の保存をした後に熱流束示差走査熱量測定装置で測定される前記重合体(A)の発熱ピークの面積(S2)が、前記保存をする前の前記重合体(A)の発熱ピークの面積(S1)よりも小さい、包装体用フィルム。
[2]前記ラミネート層は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含み、かつ、前記酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ラミネート層の総質量に対して20~70質量%であり、前記シール層は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含み、かつ、前記酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記シール層の総質量に対して20~70質量%である、[1]に記載の包装体用フィルム。
[3]前記ラミネート層の上にさらに基材を備える、[1]又は[2]に記載の包装体用フィルム。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の包装体用フィルムが製袋された包装体。
酸素吸収層は、エチレン-ビニルアルコール重合体、ポリビニルアルコール及びキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)と、遷移金属塩及び炭素-炭素二重結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の酸素吸収材(B)と、を含む。
以下、本発明の包装体用フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
本発明の実施形態にかかる包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
図1の包装体用フィルム1は、基材10と、基材10の一方の面に位置するシーラント材30とを備える。
シーラント材30は、ラミネート層22と、ラミネート層22の一方の面に位置するシール層24と、ラミネート層22とシール層24との間に位置する酸素吸収層26とを備える。即ち、シーラント材30は、ラミネート層22と、酸素吸収層26と、シール層24とをこの順で備える。
基材10は、ラミネート層22の他方の面に位置する。
なお、本発明における酸素透過度は、JIS K7126-2:2006の電界センサ法により求められる値である。
包装体用フィルム1の酸素透過度は、後述する基材10の材質や、後述する酸素吸収層26の厚さT26や、酸素吸収層26に含まれる酸素吸収材(B)の種類、量、及びこれらの組合せにより調整できる。
なお、本発明における水蒸気透過度は、JIS K7129:2008の感湿センサ法により求められる値である。
包装体用フィルム1の水蒸気透過度は、後述する基材10の材質や、後述する酸素吸収層26の厚さT26や、これらの組合せにより調整できる。
DSC装置で測定される重合体(A)の発熱ピークは、重合体(A)を加熱し、重合体(A)が溶融した後で、重合体(A)の温度を降温し、重合体(A)が固化するときに得られる。重合体(A)が固化に伴う発熱ピークを有するのは、固化するときに結晶構造を構成しながら固化(結晶化)するためであると考えられる。すなわち、この発熱ピークは、結晶化発熱ピークであると考えられる。
重合体(A)が固化するときに、酸素が存在すると、重合体(A)の結晶化を阻害すると考えられる。酸素吸収層26を含む包装体用フィルム1を温度40℃、相対湿度75%の大気中で3週間の保存をすると、酸素吸収層26の酸化が促進される。その結果、酸素吸収層26に含まれる重合体(A)が固化するときに結晶化が阻害され、重合体(A)の発熱ピークの面積が小さくなる。包装体用フィルム1では、酸素吸収層26に重合体(A)と酸素吸収材(B)とを併存させており、酸素吸収材(B)が酸素を吸収したときの重合体(A)の結晶化の阻害を助長している。
面積比S2/S1は、0以上1.0未満であり、0以上0.9以下が好ましく、0以上0.5以下がより好ましく、0以上0.3以下がさらに好ましく、0以上0.1以下が特に好ましく、0が最も好ましい。面積比S2/S1が上記数値範囲内であると、酸素吸収材(B)がより多くの酸素を吸収できる。なお、面積比S2/S1が0とは、発熱ピークの面積S2が0であることを意味し、保存後の重合体(A)の発熱ピークが存在しないことを意味する。
重合体(A)の発熱ピークの面積S1は、DSC装置の解析ソフトを用いることにより求められる。重合体(A)の発熱ピークの面積S2は、発熱ピークの面積S1と同様の方法で求められる。
基材10としては、樹脂製フィルム、金属箔、紙、及びこれらの積層体等が挙げられる。
樹脂製フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリオレフィン、二軸延伸ナイロン(ONY)等のポリアミド(PA)等、及びこれらの積層体が挙げられる。中でも、PET、OPP、ナイロン(NY)が好ましい。
また、基材10としては、上記樹脂製フィルムに、アルミニウム等の金属又はシリカが蒸着された蒸着フィルムが用いられてよい。中でも、PET、OPP、ONYに、金属が蒸着された金属蒸着フィルムが好ましく、アルミニウム蒸着フィルムがより好ましい。
金属箔としては、アルミ箔が好ましい。
積層体としては、上記樹脂製フィルム同士の積層体、上記樹脂製フィルムと金属箔との積層体が挙げられる。
この基材10は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
特に、基材10として、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム等の金属が蒸着された金属蒸着フィルムを用いる場合には、酸素透過度及び水蒸気透過度をより低減できるため、包装体用フィルム1は、基材10を備えることが好ましい。
基材10は、TD方向(MD方向に垂直な方向)の配向度βが0.2~3.5が好ましく、0.5~3.2がより好ましく、0.7~3.0がより好ましい。上記下限値以上であると、易開封性が高められやすくなる。上記上限値以下であると、密封性、耐衝撃性が高められやすくなる。
基材10の配向度α/配向度βで表される比(以下、α/β比ということがある)は、0.5~2.0が好ましく、0.5~1.5がより好ましい。α/β比が前記好ましい範囲であると、易開封性が高められやすくなる。特に、包装体用フィルム1を製袋して包装体とした場合の直線カット性が高められやすくなる。即ち、前記包装体を意図した方向に開封しやすくなる。
なお、包装体用フィルム1の易開封性は、基材10のα/β比に影響される。特に基材10として二軸延伸させた樹脂製フィルムを用いた場合には、この影響が強くなる。
配向度は、光の電場が一定の方向にしか振動しない直線偏光と呼ばれる光を赤外分光光度計に用い、透過法で測定される。
測定方法としては、まず、偏光子の設置角度を0°(電場の向きは垂直方向)としてBKG(バックグラウンド)測定を行なった後、試料の延伸方向を縦方向に合わせ、吸光度を測定する(このとき偏光方向と延伸軸の方向は平行になる。)。得られた値を吸光度「A//」とする。
次に、試料の角度を90°回転させ、試料の延伸軸と偏光方向を垂直にした状態で吸光度を測定する。得られた値を吸光度「A⊥」とする。
試料の延伸軸に対して平行な偏光と垂直な偏光で得られた二つの吸光度A//及びA⊥の吸光度比([A//]/[A⊥])を配向度とする。
赤外二色法における測定波数は、測定対象の材質に応じて適宜選択される(『小林靖二、「赤外二色法による分子配向」、高分子学会誌「高分子」、Vol.15、No.175、p.877-883』参照)。
また、配向度は、JIS K7127(1999)に準じて測定される引張弾性率から簡易的に求められる。
本実施形態において、シーラント材30は、ラミネート層22と、シール層24と、酸素吸収層26との3層からなる。
シーラント材30の厚さT30は、20μm超130μm未満が好ましく、25~125μmがより好ましく、30~100μmがさらに好ましく、35~80μmが特に好ましく、40~60μmが最も好ましい。厚さT30が20μm超であると、密封性、耐衝撃性が高まる。厚さT30が130μm未満であると、易開封性が高まる。
シーラント材30の配向度βは、基材10の配向度βと同様である。
シーラント材30のα/β比は、基材10のα/β比と同様である。
ラミネート層22は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含む層である。酸変性ポリオレフィンは極性を有している。ラミネート層22を酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層とすることで、ラミネート層22の配向性を高められ、易開封性が高まる。さらに、ラミネート層22と後述の酸素吸収層26との接着性が高まる。加えて、シーラント材30をロールに巻き取りやすく、取り扱いが容易になる。
ラミネート層22は、酸変性ポリオレフィンを、ラミネート層22の総質量に対して、20~70質量%含む。酸変性ポリオレフィンの含有量が上記下限値以上であると、易開封性が高まる。また、シーラント材30の配向度を所望の範囲に調整しやすくなる。さらに、ラミネート層22と後述の酸素吸収層26との接着性が高まる。酸変性ポリオレフィンの含有量が上記上限値以下であると、密封性及び耐衝撃性が高まる。
酸変性ポリオレフィンの含有量が上記下限値未満であると、ラミネート層22と基材10との接着強度、ラミネート層22と後述の酸素吸収層26との接着強度が確保できないため、包装体用フィルム1の破断伝播が悪くなり易開封性が損なわれる。
酸変性ポリオレフィンの含有量は、ラミネート層22の総質量に対して、30~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。
ポリオレフィンは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸変性ポリオレフィンの原料となるポリオレフィンとしては、特に限定されないが、例えば上記ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの原料となる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はこれらの無水物等が挙げられ、なかでも、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、マレイン酸又は無水マレイン酸がより好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンが好ましい。
酸変性ポリプロピレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、イタコン酸変性ポリプロピレン、無水イタコン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
酸変性ポリエチレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、イタコン酸変性ポリエチレン、無水イタコン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラミネート層22が上記混合物から形成されることで、易開封性、密封性、耐衝撃性が高まりやすくなる。また、後述の酸素吸収層26との接着性が高まりやすくなる。
これらのなかでも、脂肪酸アマイド系滑剤が好ましい。
アンチブロッキング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらのなかでも、シリカ、PMMAが好ましい。
滑剤やアンチブロッキング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
厚さT22は、耐衝撃性がより高まる点から、後述の酸素吸収層26の厚さT26よりも大きいことが好ましい。厚さT22と厚さT26との差は5μm以上であることが好ましい。一方、包装体用フィルム1の柔軟性が高まり、取り扱いがより容易になる点からは、厚さT22と厚さT26との差は20μm以下が好ましい。
シール層24は、ラミネート層22と同様である。即ち、シール層24は、ラミネート層22と同様に、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含み、かつ、酸変性ポリオレフィンをシール層24の総質量に対して、20~70質量%含む。シール層24における酸変性ポリオレフィン及びポリオレフィンとしては、それぞれラミネート層22と同様のものが用いられる。
シール層24とラミネート層22とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
シール層24の厚さT24と、ラミネート層22の厚さT22とは、同じでもよく、異なっていてもよい。シール層24の厚さT24と、ラミネート層22の厚さT22とが同じであると、シーラント材30に歪みや反りが生じるのを抑制しやすくできる。このため、シール層24の厚さT24と、ラミネート層22の厚さT22とは、同じであることが好ましい。なお、厚さT24と厚さT22とが同じとは、厚さの差(T24-T22)が厚さT22に対して±5%以内であることをいう。
酸素吸収層26は、ラミネート層22とシール層24との間に位置する。
酸素吸収層26は、エチレン-ビニルアルコール重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)又はキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)を含む層である。
シーラント材30は、酸素吸収層26を備えることで酸素吸収能を有する。
PVOHとしては、平均重合度1200~1800のものが好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンと直鎖脂肪族ジカルボン酸との重縮合体である。キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物等が挙げられる。直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば炭素数6~12の直鎖脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の商品名「MXナイロン」シリーズが挙げられる。
これら重合体(A)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
遷移金属塩としては、例えば、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩、ロジウム塩、チタン塩、クロム塩、バナジウム塩及びルテニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩及びコバルト塩が好ましく、マンガン塩及びコバルト塩がより好ましく、コバルト塩がさらに好ましい。
遷移金属塩を構成するアニオンとしては、有機酸が好ましく、例えば、酢酸、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2-エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸及びナフテン酸等が挙げられる。
遷移金属塩としては、ネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルトが好ましい。
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、1,3-ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1-ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2-ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書における「(メタ)アクリル」の用語は、「メタクリル」と「アクリル」の何れか又は両方を意味する。
共役ジエン重合体としては、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレン-イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン-プロピレン-ジエン系共重合ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(BIR)等を挙げることができる。なかでも、ポリイソプレンゴム及びポリブタジエンゴムが好ましく、ポリイソプレンゴムがより好ましい。
環化反応に用いる酸触媒としては、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2~18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物又はアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムジクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;等が挙げられる。これらの酸触媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは0~100℃、より好ましくは30~70℃とされる。
これら酸素吸収材(B)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着層を構成する材料としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、酸変性ポリオレフィン系等の接着剤、チタネート系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤が挙げられる。これらの材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着層が設けられる場合、その厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01~4μmが好ましい。
包装体用フィルム1は、従来公知の製造方法に準じて製造される。
包装体用フィルム1の製造方法は、基材10を形成する基材形成工程と、シーラント材30を形成するシーラント材形成工程と、基材10とシーラント材30とを積層する積層工程とを備える。
方法iにおける基材形成工程は、基材10を得る工程である。基材10を得る工程は、基材10の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
基材10を得る方法は、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
方法iにおけるシーラント材形成工程は、シーラント材30を得る工程である。シーラント材30を得る工程は、シーラント材30の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
シーラント材30を得る方法は、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を用いた共押出法等、従来公知の方法から選択される。
方法iにおける積層工程は、基材10とシーラント材30とを積層して包装体用フィルム1とする工程である。
基材10とシーラント材30とを積層する方法としては、例えば、基材10の一方の表面に接着剤を塗布した後、基材10とシーラント材30とを圧着する方法等が挙げられる。
方法iiとしては、例えば、サーキュラーダイを用いたインフレーション成形で、基材10とシーラント材30とを一体として成形する方法が挙げられる。
インフレーション成形における成形条件は、基材10の材質や配向度等を勘案して適宜決定される。例えば、ブローアップ比:1.2~2.5、引取速度:5~50m/分、シーラント材30を構成する樹脂の温度:160~210℃、基材10を構成する樹脂の温度:200~250℃、で共押出する。
各材間の配向度αの差は、±0~0.3であることが好ましい。また、各材間の配向度βの差は、±0~0.3であることが好ましい。インフレーション成形によれば、各材間の配向度の差を上記範囲内に調節するのが容易である。
また、従来、酸素バリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性等の多機能を求める包装体用フィルムとするには、前記機能をそれぞれ備える層を積層し、例えば5層以上の多層構造にする必要があった。本発明においては、シーラント材30を本発明の構成とすることで、前記機能をシーラント材30の1層で賄うことができる。そのため、包装体用フィルム1を製造するに際し、大掛かりな製造設備を要せず、生産性、経済性に優れる。
上記実施形態の包装体用フィルム1においては、基材10とシーラント材30が積層されているが、本発明の包装体用フィルムは、これに限定されない。基材10を省略し、包装体用フィルムがシーラント材30のみからなるようにしてもよい。
シーラント材30は、酸素バリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、包装体内の酸素を低減できるため、そのまま包装体用フィルムとして用いることができる。ただし、基材10として、酸素バリア性や耐衝撃性に優れる材料を用いることで、包装体用フィルムの酸素バリア性や耐衝撃性をより高められる点、包装体用フィルムに印刷等の修飾を施しやすくなる点等から、基材10を備えることが好ましい。
本発明の包装体は、包装体用フィルム1が用いられたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム1のシール層24同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋等が挙げられる。
また、本発明の包装体によれば、例えば、包装体に酸素によって変質されやすい内容物を収容する際に行われていた窒素置換等の工程を省略でき、生産性、経済性に優れる。
樹脂製フィルムの酸素吸収能は、酸素吸収層に含まれる重合体(A)の発熱ピークの面積の大きさにより確認できる。重合体(A)の発熱ピークは、熱流束示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される。
本発明の樹脂製フィルムの評価方法は、以下の工程I、工程II及び工程IIIを含む。
工程I:DSC装置で樹脂製フィルムに含まれる重合体(A)の発熱ピークの面積(S1)を測定する工程。
工程II:温度40℃、相対湿度75%の大気中で、樹脂製フィルムを3週間保存した後に、DSC装置で樹脂製フィルムに含まれる重合体(A)の発熱ピークの面積(S2)を測定する工程。
工程III:面積(S1)の大きさと、面積(S2)の大きさとを比較して、面積(S2)が面積(S1)よりも小さい場合に、樹脂製フィルムが酸素吸収能を有すると評価する工程。
以下、本発明の樹脂製フィルムの評価方法について、工程ごとに説明する。
工程Iは、DSC装置で樹脂製フィルムに含まれる重合体(A)の発熱ピークの面積(S1)を測定する工程である。
工程Iで測定対象となる樹脂製フィルムは、後述する「酸素と水蒸気とを含む気体中で保存」をする前(以下、初期状態ともいう。)の樹脂製フィルムである。
樹脂製フィルムは、重合体(A)と酸素吸収材(B)とを含んでいればよい。樹脂製フィルムとしては、例えば、上述した包装体用フィルム1のほか、酸素吸収層26の単層からなるフィルム、酸素吸収層26とシール層24との2層フィルム、酸素吸収層26とラミネート層22との2層フィルム、酸素吸収層26を含むシーラント材30(3層フィルム)が挙げられる。
樹脂製フィルムの試料量は、通常のDSCで行う試料量であればよい。樹脂製フィルムの試料量は、例えば、2~10mgが好ましく、4~8mgがより好ましく、5~6mgがさらに好ましい。樹脂製フィルムの試料量が上記数値範囲内であると、重合体(A)の発熱ピークが明瞭に得られやすい。
樹脂製フィルムをDSC装置で昇温するときの開始温度は、特に限定されない。開始温度は、例えば、0℃~60℃であってもよく、室温(1℃~30℃)であってもよく、常温(15℃~25℃)であってもよい。
樹脂製フィルムをDSC装置で昇温するときの到達温度は、重合体(A)が溶融する温度よりも高い温度であればよい。到達温度としては、例えば、200℃~300℃が好ましく、240℃~290℃がより好ましく、260℃~280℃がさらに好ましい。到達温度が上記下限値以上であると、重合体(A)を充分に溶融できる。到達温度が上記上限値以下であると、重合体(A)が熱分解することなく、DSC装置の消費エネルギーを節約できる。
到達温度は、重合体(A)の種類や含有量に応じて適宜設定すればよい。
終点温度は、重合体(A)の種類や含有量に応じて適宜設定すればよい。
昇温速度は、重合体(A)の種類や含有量に応じて適宜設定すればよい。
樹脂製フィルムをDSC装置で降温するときの降温速度は、特に限定されない。降温速度は、例えば、1~50℃/分が好ましく、2~30℃/分がより好ましく、5~20℃/分がさらに好ましい。降温速度が上記下限値以上であると、重合体(A)を固化するまでの時間を短縮しやすい。降温速度が上記上限値以下であると、重合体(A)の発熱ピークが明瞭に得られやすい。
降温速度は、重合体(A)の種類や含有量に応じて適宜設定すればよい。
工程IIは、酸素と水蒸気とを含む気体中で、樹脂製フィルムを保存した後に、DSC装置で樹脂製フィルムに含まれる重合体(A)の発熱ピークの面積(S2)を測定する工程である。
工程IIで測定対象となる樹脂製フィルムは、「酸素と水蒸気とを含む気体中で保存」をした後の樹脂製フィルムである。
樹脂製フィルムを保存するときの温度(保存温度)は、例えば、5~70℃が好ましく、15~60℃がより好ましく、30~50℃がさらに好ましい。保存温度が上記下限値以上であると、樹脂製フィルムの酸素吸収層の酸化を促進しやすい。保存温度が上記上限値以下であると、樹脂製フィルムの熱劣化を抑制しやすい。
樹脂製フィルムを保存するときの相対湿度(保存湿度)は、例えば、40~90%が好ましく、50~80%がより好ましく、60~80%がさらに好ましい。保存湿度が上記下限値以上であると、樹脂製フィルムの酸素吸収層の酸化を促進しやすい。保存湿度が上記上限値以下であると、樹脂製フィルムの変質を抑制しやすい。
樹脂製フィルムを保存するときの大気圧(保存気圧)は、例えば、900~1100hPaが好ましく、950~1050hPaがより好ましく、1013hPaがさらに好ましい。保存気圧が上記下限値以上であると、樹脂製フィルムの酸素吸収層の酸化を促進しやすい。保存気圧が上記上限値以下であると、樹脂製フィルムを保存する容器にかかる負荷を軽減しやすい。
樹脂製フィルムを保存するときの期間(保存期間)は、例えば、1~30日が好ましく、3~25日がより好ましく、7~21日がさらに好ましい。保存期間が上記下限値以上であると、樹脂製フィルムの酸素吸収層を充分に酸化しやすい。保存期間が上記上限値以下であると、評価に要する時間を短縮しやすい。
なお、保存温度、保存湿度、保存気圧、保存期間は、樹脂製フィルムの酸素吸収層の酸化が促進される環境であれば、適宜変更可能である。
保存容器内の酸素濃度は、例えば、10体積%以上が好ましく、20体積%以上がより好ましく、50体積%以上がさらに好ましい。酸素濃度が上記下限値以上であると、樹脂製フィルムの酸素吸収層の酸化を促進しやすい。酸素濃度の上限は、例えば、99.9体積%が好ましい。
DSC装置の測定条件としては、工程Iと同様の測定条件が挙げられる。樹脂製フィルムの酸素吸収能をより正確に評価する観点から、DSC装置の測定条件は、工程Iと工程IIとで同じであることが好ましい。なお、「DSC装置の測定条件が同じである」とは、工程Iと工程IIでの試料量や昇温速度の誤差が±5%以下であることをいう。
工程IIIは、面積(S1)の大きさと、面積(S2)の大きさとを比較して、面積(S2)が面積(S1)よりも小さい場合に、樹脂製フィルムが酸素吸収能を有すると評価する工程である。
面積(S1)と面積(S2)との大きさの比較は、面積比S2/S1を算出することにより行う。
本工程において、面積比S2/S1が1.0未満であれば、樹脂製フィルムは酸素吸収能を有すると評価する。面積比S2/S1が1.0以上であれば、樹脂製フィルムは酸素吸収能を有しないと評価する。
面積比S2/S1の値が小さいほど、樹脂製フィルムの酸素吸収能が高いことを意味する。
図2は、以下の層構成を備える包装体用フィルム1のDSC曲線である。
・基材10:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム。
・ラミネート層22及びシール層24:酸変性ポリエチレンとポリエチレンの混合物(酸変性ポリエチレン50質量%)。
・酸素吸収層26に含まれる重合体(A):エチレン-ビニルアルコール重合体(EVOH)。
・酸素吸収層26に含まれる酸素吸収材(B):共役ジエン重合体環化物。
DSC曲線は、昇温開始から、降温終了までの間、例えば、0.2秒ごとに熱量DSCを読み取り、横軸に時間(分)、縦軸に熱量DSC(mW)をプロットして作成する。
包装体用フィルム1を温度40℃、相対湿度75%、大気圧1013hPaの大気中で3週間の保存をすることにより、包装体用フィルム1の酸化を促進できる。
図2(b)に示すように、保存後の包装体用フィルム1から切り出した一つの試料のDSC曲線は、二つの発熱ピークP2及びP2’を有する。図2(b)は、DSC装置を用いて、工程Iと同様の測定条件で試料を40℃から270℃まで昇温した後、降温させた場合に得られるDSC曲線である。図2(b)のピークP2は、重合体(A)(EVOH)の発熱ピークであり、ピークP2’は、ポリエチレンの発熱ピークである。発熱ピークP2のピーク温度は、126.42℃である。発熱ピークP2’のピーク温度は、106.50℃である。重合体(A)(EVOH)の発熱ピークP2のピーク温度は、発熱ピークP1のピーク温度151.46℃から126.42℃にシフトしている。これは、酸素吸収層26に含まれる酸素吸収材(B)が酸素を吸収し、酸素吸収材(B)に吸収された酸素が、重合体(A)(EVOH)の結晶化を阻害しているためであると考えられる。
図2における面積比S2/S1は、0.1である。
本発明の樹脂製フィルムの評価方法によれば、樹脂製フィルムが積層体である場合であっても、酸素吸収層のみを取り出して評価する必要がない。このため、樹脂製フィルムの酸素吸収能を容易に評価できる。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
≪基材≫
・2軸延伸PET:ルミラー(商品名)、東レフィルム加工株式会社製。
<ラミネート層、シール層>
・酸変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン、モディック(商品名)、三菱化学株式会社製。
・PE:ポリエチレン。
(滑剤)
・エルカ酸アマイド。
(アンチブロッキング剤)
・シリカ(SiO2)。
(重合体(A))
・EVOH:エチレン含有量32mol%、エバール(商品名)、クラレ株式会社製。
・MXナイロン:MXDナイロン(商品名)、三菱ガス化学株式会社製。
・PVOH:ポリビニルアルコール(重合度1700)、クラレ株式会社製。
(重合体(A)の比較成分)
・EVOH:エチレン含有量38mol%、エバール(商品名)、クラレ株式会社製。
(酸素吸収材(B))
・酸素吸収材b-1:共役ジエン重合体環化物。
・酸素吸収材b-2:ネオデカン酸コバルト、日本化学産業株式会社製。
表1に示す基材及び酸素吸収層を含むシーラント材を積層して実施例1~5、比較例1~2の構成に従った包装体用フィルムを製造した。ラミネート層は、酸変性ポリエチレンを50質量%含有する厚さ20μmの層とした。シール層は、ラミネート層と同一の構成とした。
<初期状態の試料のDSC(工程I)>
各例の包装体用フィルム(樹脂製フィルム)から試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、DSCを行った。DSCによって得られたDSC曲線において、重合体(A)の発熱ピークの面積を測定し、その値をS1とした(図2(a)参照。)。S1は、DSCを2回行った平均値とした。なお、比較例2の包装体用フィルムでは、重合体(A)の発熱ピークが見られなかった。
(測定装置)
・熱流束示差走査熱量測定装置(DSC装置):示差走査熱量計、DSC―60Plus(株式会社島津製作所製)。
(測定条件)
・試料量:5.5±0.5mg。
・リファレンス(アルミナ)量:5mg。
・窒素ガス流量:20mL/min。
・試験数:2。
・昇温条件:昇温速度10℃/分で40℃~270℃まで昇温。
・保持時間:0分。
・降温条件:降温速度10℃/分で270℃~40℃まで降温。
各例の包装体用フィルムを200mm×200mmの大きさに切り出し、アドバンテック東洋株式会社製の恒温恒湿容器(商品名「THE051A」)に入れ、温度40℃、相対湿度75%の大気中(気圧1013hPa)で、3週間保存した。保存後の各例の包装体用フィルムから試料を採取し、初期状態の試料のDSCと同様の測定装置、同様の測定条件のもと、DSCを行った。DSCによって得られたDSC曲線において、重合体(A)の発熱ピークの面積を測定し、その値をS2とした(図2(b)参照。)。S2は、DSCを2回行った平均値とした。発熱ピークが消失していた場合は、面積を0とした。
上記の測定から得られた面積S1と面積S2とを比較することにより、各例の包装体用フィルムの酸素吸収能を評価した。面積S1と面積S2との比較は、面積比S2/S1を算出することにより行った。S1を10として、面積比S2/S1を算出した。結果を表1に示す。なお、比較例2の包装体用フィルムでは、重合体(A)の発熱ピークが見られず、面積S1が0であったため、面積比S2/S1の欄は「-」とした。
なお、樹脂製フィルムの酸素吸収能は、後述する酸素吸収性の評価により確認した。
JIS K7126-2:2006の電界センサ法により、各例の包装体用フィルムの酸素透過度を下記測定条件に従って測定し、下記評価基準に基づいて酸素バリア性を評価した。なお、表2中「0.1以下」との記載は、酸素透過度が、0.1cc/(m2・day・atm)以下であったことを示す。
<測定条件>
・試験片:平均厚さ64μm、最小厚さ59μm、最大厚さ69μm。
・試験片の数:2個。
・測定環境:温度23℃、大気圧1013hPa。
・試験ガスの種類:酸素5体積%。
・キャリヤーガスの流量:10ml/分。
・平衡状態に達するまでの時間:18時間。
<評価基準>
◎:酸素透過度が、0.5cc/(m2・day・atm)以下。
○:酸素透過度が、0.5cc/(m2・day・atm)超4.0cc/(m2・day・atm)以下。
×:酸素透過度が、4.0cc/(m2・day・atm)超。
各例の包装体用フィルムを体積が500cm3となるように切り取って試験片とした。恒温恒湿容器(商品名「THE051A」、アドバンテック東洋株式会社製、容積:120,000cm3)内に、酸素濃度計(商品名「OXYMAN Plus」、泰榮エンジニアリング株式会社製)を収容した耐圧容器(商品名「真空デシケーター VS型」、アズワン株式会社製、容積:7,000cm3)を配置して、酸素吸収性を測定する装置とした。
恒温恒湿容器内を温度40℃、相対湿度75%に調整し、恒温恒湿容器内で試験片を30分静置して養生させた。
試験片を取り出し、耐圧容器内に酸素濃度計と試験片とを配置して、酸素濃度の計測を開始した。酸素濃度計は、30分ごとに酸素濃度を計測するように設定した。
計測を開始してすぐに恒温恒湿容器内を温度60℃、相対湿度50%に調整した。
測定開始から8日経過後、酸素濃度計を止めて酸素濃度の計測を終了した。
酸素濃度測定の結果、試験片は測定8日目で耐圧容器内の酸素濃度を5%未満に低下させた。
試験片が吸収した酸素量(cm3)=減少した酸素濃度(体積%)×耐圧容器の体積(cm3)・・・(1)
<評価基準>
◎:酸素吸収量が100cm3/m2以上。
○:酸素吸収量が10cm3/m2以上100cm3/m2未満。
×:酸素吸収量が10cm3/m2未満。
各例で得られた包装体用フィルムを用い、130mm×170mmの平袋を作製した。
この際、包装体用フィルムのMD方向が平袋の長手方向に、包装体用フィルムのTD方向が平袋の短手方向になるようにして平袋を作製した。この平袋に180gの水を入れ、開口部をヒートシール(シール温度:180℃、シール時間:1秒、シール圧:3.5kg/cm2、シール幅:10mm)によって封止したものを評価用サンプルとした。この評価用サンプルの耐衝撃性を落下試験により評価した。落下試験は、JIS Z0200-8.5.5.2に準拠して行われた。試験条件は以下のとおりとした。
コンクリート面に対して、30cmの高さから垂直に配置した評価用サンプルを落下させる。この操作を3回繰り返す。10個の評価用サンプルのうち、内容物の漏洩が観察されたサンプル数をカウントし、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:漏洩が観察されたサンプル数が0個(「0/10」)。
○:漏洩が観察されたサンプル数が2個以下(「2/10」以下)。
×:漏洩が観察されたサンプル数が3個以上(「3/10」以上)。
上記耐衝撃性の評価における評価用サンプルの開口部に形成したヒートシール部について、JIS Z1707の「ヒートシール強さ試験」に準拠して、下記測定条件によりシール強度を測定した。前記測定を5回行いその平均値をシール強度Fとした。このシール強度Fを指標として、下記評価基準に基づいて密封性を評価した。
<測定条件>
・試験片:15mm幅。
・測定環境:温度23℃、相対湿度50%。
・測定機器:ストログラフE-L(東洋精機製作所株式会社製)。
・つかみ間隔:50mm。
・引張速度:300mm/min。
<評価基準>
◎:シール強度Fが40N/15mm以上。
○:シール強度Fが15N/15mm以上40N/15mm未満。
×:シール強度Fが15N/15mm未満。
上記酸素バリア性、酸素吸収性、耐衝撃性、密封性の評価がすべて「◎」のものを、総合評価「◎」とした。
上記酸素バリア性、酸素吸収性、耐衝撃性、密封性の評価において「×」がないものを、総合評価「○」とした。
上記酸素バリア性、酸素吸収性、耐衝撃性、密封性の評価において「×」が1つ以上あるものを、総合評価「×」とした。
一方、酸素吸収層に酸素吸収材(B)を含有しない包装体用フィルムを用いた比較例1~2は、酸素バリア性及び酸素吸収性の評価結果が「×」だった。加えて、酸素吸収層に重合体(A)の代わりにポリ塩化ビニル(PVC)を用いた包装体用フィルム(比較例2)は、PVCが非晶性樹脂であるため、結晶化発熱ピークが得られなかった。
以上の結果から、本発明を適用することで、酸素バリア性、酸素吸収性、耐衝撃性及び密封性に優れる包装体用フィルム又は包装体が得られることが確認できた。
10 基材
22 ラミネート層
24 シール層
26 酸素吸収層
30 シーラント材
S1、S2 発熱ピークの面積
P1、P1’、P2、P2’ 発熱ピーク
Claims (1)
- エチレン-ビニルアルコール重合体、ポリビニルアルコール及びキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)と、
遷移金属塩及び炭素-炭素二重結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の酸素吸収材(B)と、
を含む酸素吸収層を備える樹脂製フィルムの酸素吸収能の評価方法であって、
熱流束示差走査熱量測定装置で前記樹脂製フィルムに含まれる前記重合体(A)の発熱ピークの面積(S1)を測定し、
次いで、酸素と水蒸気とを含む気体中で、前記樹脂製フィルムを保存した後に、熱流束示差走査熱量測定装置で前記樹脂製フィルムに含まれる前記重合体(A)の発熱ピークの面積(S2)を測定し、
前記面積(S1)の大きさと、前記面積(S2)の大きさとを比較して、前記面積(S2)が前記面積(S1)よりも小さい場合に、前記樹脂製フィルムが酸素吸収能を有すると評価する、樹脂製フィルムの評価方法。
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