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JP6631865B2 - TGFβ阻害機能を持つキメラタンパク質 - Google Patents

TGFβ阻害機能を持つキメラタンパク質 Download PDF

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Description

本発明は、TGFβ阻害機能を持つキメラタンパク質に関する。本発明はさらに、上記キメラタンパク質をコードするDNA、ベクター、ウイルス、細胞、上記キメラタンパク質の製造方法、並びに薬学的組成物に関する。
トランスフォーミング増殖因子(TGF)βは、ヒトでは、3種のアイソフォーム、すなわちTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3が存在する。これらは、生物学的に活性な状態において、二つの分子間のジスルフィド架橋によって結合された2つの112アミノ酸単量体を含む、25kDaのホモ二量体である。TGFβ1とTGFβ2との間では27個のアミノ酸が異なり、TGFβ1とTGFβ3との間では22個のアミノ酸が異なっている。TGFβは標的細胞の膜上に分布する特異的受容体に結合することで、細胞内にシグナルを伝達し、その機能を発揮する。TGFβの受容体にはI型受容体とII型受容体が存在し、TGFβとの結合によりヘテロ多量体からなる受容体複合体が形成される。
TGFβは、細胞の増殖および分化、胚発生、細胞外基質形成、骨の発達、創傷治癒、造血、ならびに免疫反応および炎症反応に関与している多機能性サイトカインである(非特許文献1)。TGFβの調節異常は、ヒトにおいては、例えば、先天性欠損症、がん、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患、および線維症に関係があるとされている(非特許文献2及び非特許文献3)。
TGFβは種々の線維症の成因に共通のサイトカインとして、その役割が強調されている。TGFβは血管内皮細胞や上皮細胞、リンパ球細胞には増殖抑制作用を示す一方で、線維芽細胞には増殖を促進し、またα平滑筋アクチン(αSMA)などを発現する筋線維芽細胞への形質転換を促す。さらにコラーゲンなどの細胞外基質の合成を強力に増加させ、同時にプラスミノーゲアクチベータ阻害因子(PAI−1) などの線溶系阻害物質の産生を亢進するなど、組織線維化の原因となる分子である。それゆえ、線維症の治療にTGFβ阻害剤が有用な可能性がある。
また、TGFβは細胞の運動性を増加させることに寄与し、上皮間葉転換(EMT)を引き起こす作用があることが判明してきている(非特許文献4)。特にがん細胞の運動能の増加は転移の亢進などがんの悪性化に寄与するため、EMTを抑制することでがんの悪性化を抑制できると考えられている(非特許文献5)。
TGFβシグナルに関連した疾患の治療を目的として、TGFβの中和抗体や低分子有機化合物である受容体拮抗物質がさかんに研究されてきたが、臨床応用されている化合物は存在していない。その一因としては、血中内薬物濃度が速やかに低下してしまうことが考えられている。
TGFβ1及びTGFβ3は、腫瘍部位や線維化部位、正常組織では骨髄などに発現が多く認められる。一方、TGFβ2は、特に脳腫瘍組織において高い発現が認められ、TGFβ2を標的としたアンチセンスオリゴが脳腫瘍分野で開発されているが、核酸であるため、細胞への送達の効率性、並びに安定性に関しては改善の余地があると考えられる(非特許文献6)。
TGFβ1及びTGFβ3は、II型受容体であるTβRIIとの親和性を持つ(非特許文献7)。そのため可溶性TβRIIFcキメラタンパク質を用いて、TGFβシグナルを阻害することで、がん細胞の運動能を抑制するがん治療薬とする可能性について報告がある(非特許文献8)。Fcキメラタンパク質はFcドメインを持つことによって抗体と同程度の血中滞留性を示すことが考えられ、しかも抗体よりも安価に生産しうる可能性を持っている。しかしながら、既存の可溶性TβRIIFcキメラタンパク質は、TGFβ2との結合能を持たないために、TGFβ2より引き起こされると種々の疾患に関しては効果を持たないことが考えられる。
Borderi WA,et al.,Nature Med.1995(10):1000−1001 Brown MA,et al.,J.Clin.Invest.1995(2):655−656. Brown MA,et al.,Curr.Opin.Nephrol.Hypertens.1994(1):54−8 Zavadil J,et al.,Oncogene.2005(37):5764−5774 Ehata S,et al.,Cancer Sci.2007(1):127−133. Hau P,et al.,Oligonucleotides.2007(2):201−212. Huang T, et al.,EMBO J.2011(7):1263−1276. Liu JQ, et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2012;(41): 16618−16623.
上記の通り、TGFβシグナル関連疾患に対する治療を行う上で、薬物動態に課題点があり、十分にTGFβシグナルをin vivoで抑制できない小分子化合物や、安価に供給することが難しい中和抗体にかわる新規な治療薬を開発することが望まれている。本発明は、優れた血中動態を示し、かつ安価に供給しうる、TGFβ阻害機能を持つキメラタンパク質を提供することを課題とする。本発明はさらに上記キメラタンパク質をコードするDNA、ベクター、ウイルス、細胞、上記キメラタンパク質の製造方法、並びに薬学的組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、TGFβI型受容体細胞外ドメインとTGFβII型受容体細胞外ドメインとを結合させたキメラタンパク質がTGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3の全てに結合することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(22)に関するものである。
(1) TGFβI型受容体細胞外ドメイン及びTGFβII型受容体細胞外ドメインを有し、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質。
(2) TGFβI型受容体細胞外ドメインがALK5細胞外ドメインである、(1)に記載のキメラタンパク質。
(3) TGFβII型受容体細胞外ドメインがTβRII細胞外ドメインである、(1)又は(2)に記載のキメラタンパク質。
(4) さらに二量体化ドメインを有する、(1)から(3)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(5) 二量体化ドメインが免疫グロブリンドメインである、(4)に記載のキメラタンパク質。
(6) 免疫グロブリンドメインが、IgGのFcドメイン、IgGの重鎖、又はIgGの軽鎖である、(5)に記載のキメラタンパク質。
(7) ALK5細胞外ドメインのC末端にTβRII細胞外ドメインのアミノ末端(N末端)が結合し、TβRII細胞外ドメインのカルボキシル末端(C末端)に免疫グロブリンドメインのN末端が結合している、(1)から(6)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(8) TβRII細胞外ドメインのC末端にALK5細胞外ドメインのN末端が結合し、ALK5細胞外ドメインのC末端に免疫グロブリンドメインのN末端が結合している、(1)から(6)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(9) 以下の(a)〜(c)の何れかである、(1)から(8)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
(b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
(c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;
(10) アセチル修飾またはポリエチレングリコール修飾を受けている、(1)から(9)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(11) 二量体化している、(1)から(10)の何れかに記載のキメラタンパク質。
(12) 以下の(a)〜(c)の何れかのキメラタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
(b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
(c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質。
(13) 以下の(d)又は(e)の何れかのDNA。
(d)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列からなるDNA;又は
(e)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
(14) (12)又は(13)に記載のDNAを含むベクター。
(15) (14)に記載のベクターを有するウイルス。
(16) (14)に記載のベクター又は(15)に記載のウイルスを有する細胞。
(17) 細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞から成る群から選択される細胞である、(16)に記載の細胞。
(18) (16)又は(17)に記載の細胞を培養する工程を含む、(1)から(10)の何れかに記載のキメラタンパク質を製造する方法。
(19) (1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞を含む、薬学的組成物。
(20) TGFβ阻害剤である、(19)に記載の薬学的組成物。
(21) 抗線維症剤である、(19)に記載の薬学的組成物。
(22) 抗腫瘍剤である、(19)に記載の薬学的組成物。
さらに本発明によれば、以下の発明が提供される。
(23) TGFβ阻害に使用するための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞。
(24) 抗線維症の予防及び/又は治療に使用するための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞。
(25) 腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞。
(26) TGFβ阻害剤の製造のための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞の使用。
(27) 抗線維症剤の製造のための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞の使用。
(28) 抗腫瘍剤の製造のための、(1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞の使用。
(29) (1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞を、TGFβ阻害を必要とする対象者に投与することを含む、TGFβの阻害方法。
(30) (1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞を、対象者に投与することを含む、抗線維症の予防及び/又は治療方法。
(31) (1)から(11)の何れかに記載のキメラタンパク質、(12)又は(13)に記載のDNA、(14)に記載のベクター、(15)に記載のウイルス、あるいは(16)又は(17)に記載の細胞を、対象者に投与することを含む、腫瘍を抑制する方法。
本発明のキメラタンパク質は、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3の全てに結合することができる新規なキメラタンパク質である。本発明のキメラタンパク質は、TGFβシグナル関連疾患において、より治療域が広くなるため、臓器の線維化や腫瘍のEMTを抑制し、線維症や腫瘍の治療に有用であると考えられる。
図1は、本発明のキメラタンパク質の発現プラスミド、およびレンチウイルス産生用のプラスミド作成の概要を示す。 図2は、配列番号4で表される本発明のキメラタンパク質及び比較用のキメラタンパク質のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3への結合をルシフェラーゼ活性により測定した結果を示す。横軸はルシフェラーゼ活性の強度を示す。発光強度と、キメラタンパク質とTGFβとの結合の強さは反比例し、発光強度が低い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合し、高い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合していないことを示す。 図3は、配列番号4で表される本発明のキメラタンパク質、配列番号15で表される本発明のキメラタンパク質及び比較用のキメラタンパク質のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3への結合をルシフェラーゼ活性により測定した結果を示す。横軸はルシフェラーゼ活性の強度を示す。発光強度と、キメラタンパク質とTGFβとの結合の強さは反比例し、発光強度が低い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合し、高い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合していないことを示す。 図4は、本発明のキメラタンパク質産生細胞及び比較用のキメラタンパク質産生細胞にTGFβ1、TGFβ2又はTGFβ3を処理した場合のリン酸化Smad2(P−Smad2)の発現量及びSmad2及びSmad3の総発現量(Total Smad2/3)を示す。発現量はWestern blottingにより定量し、縦軸に各処理群におけるシグナルの強さとして示す。 図5は、本発明のキメラタンパク質産生細胞及び比較用のキメラタンパク質産生細胞にTGFβ2又はTGFβ3を処理した場合の細胞の浸潤能を示す。縦軸は各処理群インサート内の5視野における遊走した細胞数の平均値を示す。 図6は、TGFβ2又はTGFβ3を処理された本発明のキメラタンパク質産生細胞におけるSmad7、PAI−1、IL−10、PTHrPの遺伝子発現量を示す。縦軸にはそれぞれの遺伝子の相対的発現量(内部標準:GAPDH)を示す。
(1)キメラタンパク質
本発明のキメラタンパク質は、TGFβI型受容体細胞外ドメイン及びTGFβII型受容体細胞外ドメインを有し、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合することを特徴とする。
TGFβI型受容体細胞外ドメインとしては、ALK4細胞外ドメイン、ALK5細胞外ドメイン、ALK7細胞外ドメインなどが挙げられ、特にALK5細胞外ドメインが好ましい。
ALK5細胞外ドメインのアミノ酸配列としては、配列番号1で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列であって、リガンドであるTGFβを介することで、TβRIIおよびその他のII型受容体との複合受容体形成能を有するアミノ酸配列を挙げることができる。なお、ALK5細胞外ドメインは、ヒト以外の生物由来のALK5細胞外ドメインであってもTβRIIおよびその他のII型受容体との複合受容体形成能を有するものであれば本発明において利用可能である。
TGFβII型受容体細胞外ドメインとしては、TβRII細胞外ドメイン、ActRII細胞外ドメイン、ActRIIB細胞外ドメイン、BMPRII細胞外ドメイン、AMHRII細胞外ドメインなどが挙げられ、特にTβRII細胞外ドメインが好ましい。
TβRII細胞外ドメインのアミノ酸配列としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号2で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列、及び、配列番号13で表されるアミノ酸配列、及び配列番号13で表されるアミノ酸配列において13又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列であって、リガンドであるTGFβを介することで、ALK5およびその他のI型受容体との複合受容体形成能を有するアミノ酸配列を挙げることができる。なお、TβRII細胞外ドメインは、ヒト以外の生物由来のTβRII細胞外ドメインであってもALK5およびその他のI型受容体との複合受容体形成能を有するものであれば本発明において利用可能である。
本発明においてはさらに二量体化ドメインを有するキメラタンパク質がより好ましい。二量体化ドメインにより本発明のキメラタンパク質は二量体化し、血中滞留性の向上が期待できる。
本発明において二量体化ドメインは本発明のキメラタンパク質を二量体化させるものであれば特に限定されない。例えば、免疫グロブリンドメインを使用することができ、具体的には、IgGのFcドメイン(例えば、ヒトIgG1のFcドメイン、ヒトIgG2のFcドメイン、ヒトIgG3のFcドメイン、ヒトIgG4のFcドメインなど)が挙げられる。また、IgGの重鎖、又はIgGの軽鎖でもよい。また、ヒト以外の生物由来の免疫グロブリンドメインでもよい。さらに、これらのアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなるものでもよい。本発明においてはキメラタンパク質の血中滞留性を向上させる免疫グロブリンドメインを使用することが好ましい。
本発明において使用できる二量体化ドメインの一例としては、ヒトIgG1のFcドメインであって、配列番号3で表されるアミノ酸配列で示されるものである。
本発明のキメラタンパク質において、TGFβI型受容体細胞外ドメイン(例えば、ALK5細胞外ドメイン)とTGFβII型受容体細胞外ドメイン(例えば、TβRII細胞外ドメイン)の配列順序は特に限定されない。即ち、TGFβI型受容体細胞外ドメインのC末端にTGFβII型受容体細胞外ドメインのN末端が結合していてもよいし、TGFβII型受容体細胞外ドメインのC末端にTGFβI型受容体細胞外ドメインのN末端が結合していてもよい。また、各ドメインがアミノ酸やペプチド、親水性ポリマーなど、何らかのリンカーを介して結合していてもよい。
TGFβI型受容体細胞外ドメインとしてALK5細胞外ドメインを含み、TGFβII型受容体細胞外ドメインとしてTβRII細胞外ドメインを含み、さらに免疫グロブリンドメインを含むキメラタンパク質の場合の例としては、ALK5細胞外ドメインのC末端にTβRII細胞外ドメインのN末端が結合し、TβRII細胞外ドメインのC末端に免疫グロブリンドメインのN末端が結合しているキメラタンパク質、及びTβRII細胞外ドメインのC末端にALK5細胞外ドメインのN末端が結合し、ALK5細胞外ドメインのC末端に免疫グロブリンドメインのN末端が結合しているキメラタンパク質を挙げることができる。また、各ドメインがアミノ酸やペプチド、親水性ポリマーなど、何らかのリンカーを介して結合していてもよい。
リンカーがアミノ酸やペプチドの場合は、キメラタンパク質のベクターを構築する際に、各ドメインのDNA配列とリンカーのDNA配列を用いてベクターを構築すればよい。リンカーのペプチドとしては、例えば、CGG−、CAA−、CLL−、CVV−、CLA−、CG−、CGGG−、CGGGG−、CGGGGG−、(GGGGS)3、(GGGGS)6、VCit、AF((Gはグリシン、Aはアラニン、Lはロイシン、Vはバリン、Sはセリン、Citはシトルリン、Fはフェニルアラニンをそれぞれ示す。)などを挙げることができる。また、リンカーの親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基などの親水性基を有するものを挙げることができ、具体的には、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテルなどを挙げることができるが、PEGが好ましい。PEGの分子量は特に限定されず、例えば、PEG200、PEG400、PEG500、PEG2000、PEG5000、PEG10000、PEG20000、PEG30000、PEG35000などを用いることができる。
本発明のキメラタンパク質の具体例としては、以下の(a)〜(c)の何れかのキメラタンパク質を挙げることができる。
(a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
(b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
(c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;
アミノ酸配列の同一性は、例えばBLAST(Pro.Natl.Acad.Sci.USA,90,5873(1993))又はFASTA(MethodsEnzymol.,183,63(1990))等を用いて決定することができる。このBLASTに基づいて、BLASTP、BLASTNとよばれるプログラムが開発されているので(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)、このプログラムをデフォルト設定で用いて配列同一性を計算することができる。
アミノ酸残基の置換は、あるアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される保存的置換でもよい。類似の側鎖を有するアミノ酸のファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖を有するアミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β位分岐側鎖を有するアミノ酸(スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、ヒドロキシル基含有側鎖を有するアミノ酸(セリン、スレオニン、チロシン)、および硫黄含有側鎖を有するアミノ酸(システイン、メチオニン)を挙げることができる。
本明細書において「アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加している」における数個とは、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個を意味する。
本発明のキメラタンパク質は、アセチル修飾またはポリエチレングリコール修飾を受けているものでもよい。真核生物のタンパク質のN末端にあるαアミノ酸はアセチル化される場合があり、生細胞内で、タンパク質の翻訳後修飾としてアセチル化が行われる場合がある。また、ポリエチレングリコールをタンパク質に結合すると、タンパク質分解が抑制されることにより薬効の持続期間を延長したり、副作用を軽減することが可能になる。タンパク質のアセチル修飾またはポリエチレングリコール修飾は当業者に公知の手法により行うことができる。
本発明のキメラタンパク質は、二量体化したキメラタンパク質でもよい。本発明の二量体化キメラタンパク質としては、二量体化ドメインにより二量体化したもの、ペプチドリンカーによって二量体化された本発明のキメラタンパク質、化学結合により二量体化された本発明のキメラタンパク質を含む。
(2)DNA
本発明は、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3と結合することができるキメラタンパク質をコードするDNAに関する。本発明のDNAは、cDNAであることが好ましい。具体的には、TGFβI型受容体細胞外ドメインをコードするDNA及びTGFβII型受容体細胞外ドメインをコードするDNAを有するDNAが本発明に含まれる。さらにALK5細胞外ドメインをコードするDNAとTβRII細胞外ドメインをコードするDNA配列を有するDNA配列が好ましい。上記DNAにおけるALK5細胞外ドメインをコードするDNAとTβRII細胞外ドメインをコードするDNAの配列順序は特に限定されない。本発明のDNAは、免疫グロブリンドメインをコードするDNAをさらに有することが好ましい。
ALK5細胞外ドメインをコードするDNA配列としては、配列番号5で表されるDNA配列、及び配列番号5で表されるDNA配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加しているDNA配列であって、TβRIIおよびその他のII型受容体との複合受容体形成能を有するタンパク質をコードするDNA配列を挙げることができる。なお、ALK5細胞外ドメインのDNA配列はヒト以外の由来のものであってもTβRIIおよびその他のII型受容体との複合受容体形成能を有するポリペプチドを発現させるものであれば本発明において利用可能である。
TβRII細胞外ドメインをコードするDNA配列としては、配列番号6又は配列番号14で表されるDNA配列、及び配列番号6又は配列番号14で表されるDNA配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加しているDNA配列であって、ALK5およびその他のI型受容体との複合受容体形成能を有するタンパク質をコードするDNA配列を挙げることができる。なお、TβRII細胞外ドメインのDNA配列はヒト以外の由来のものであってもALK5およびその他のI型受容体との複合受容体形成能を有するポリペプチドを発現させるものであれば本発明において利用可能である。
本明細書において「DNA配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している」又は「塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している」における数個とは、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個を意味する。
本発明において二量体化ドメインをコードするDNAは、例えば配列番号7で表されるDNA配列からなるヒトIgG1のFcドメインである。
本発明のDNAの具体例としては、以下の(a)〜(c)の何れかのキメラタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。
(a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
(b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
(c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質。
本発明のDNAの更なる具体例としては、以下の(d)又は(e)の何れかのDNAを挙げることができる。
(d)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列からなるDNA;又は
(e)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
(3)ベクター、ウイルス、細胞、及びキメラタンパク質の製造方法
本発明はさらに、本発明のキメラタンパク質をコードするDNA(好ましくはcDNA)を含むベクターに関する。本発明のベクターとしては、任意のプラスミドに、TGFβI型受容体細胞外ドメインをコードするDNA(好ましくはcDNA)、及びTGFβII型受容体細胞外ドメインをコードするDNA(好ましくはcDNA)を組み込むことにより得られるベクターが挙げられる。さらに本発明のベクターとしては、任意のプラスミドに、TGFβI型受容体細胞外ドメインをコードするDNA(好ましくはcDNA)、TGFβII型受容体細胞外ドメインをコードするDNA(好ましくはcDNA)、及び二量体化ドメインをそれぞれコードするDNA(好ましくはcDNA)を組み込んだものを挙げることができる。プラスミドは例えばpBlueScript、pcRII−Topo、pENTR201などが挙げられる。
本発明のベクターは、クローニングした、または、購入したTGFβI型受容体細胞外ドメイン、TGFβII型受容体細胞外ドメイン及び二量体化ドメインそれぞれのDNA(好ましくはcDNA)を用いて作製することができる。任意のプラスミドに各ドメインのcDNAを組み込む順序に制限はない。本発明のベクターの作成手順に制限はないが、例えば、二量体化ドメインを含む本発明のキメラタンパク質のベクターを作成する場合、クローニングしたTGFβI型受容体細胞外ドメイン及びTGFβII型受容体細胞外ドメインの各DNAをマルチクローニングサイトでタンデム発現できるようにサブクローニングし、該サブクローニングされたTGFβI型受容体細胞外ドメイン及びTGFβII型受容体細胞外ドメインの各DNAを二量体化ドメインのDNAを有するベクターに組み込むことで得られる。二量体化ドメインのDNAを有するベクターは市販のベクター、例えばInvivogen社から販売されているpFUSE−Fcシリーズなどを利用してもよい。
本発明のベクターは、本発明のキメラタンパク質をコードするDNAを有する発現ベクターでもよい。本発明の発現ベクターは、上記した本発明のベクターから、本発明のキメラタンパク質をコードするDNAを切り出し、任意のプロモーター領域を有するベクターに組み込むことで得ることができる。プロモーター領域を有するベクターとしては、例えばpcDNA、pGL、pCSII−EF−RfAが挙げられる。
本発明は、本発明のベクターを有するウイルスに関する。本発明のウイルスとしては、本発明のベクター(好ましくは発現ベクター)により形質転換されたウイルスを挙げることができる。具体的には、本発明の発現ベクターを、後記する本発明のキメラタンパク質産生細胞の宿主細胞の形質転換に適したウイルスに組み込むことによって、本発明のウイルスを得ることができる。用いられるウイルスは特に限定されないが、例えばアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス属のウイルスが挙げられる。
本発明はさらに、本発明のベクター又は本発明のウイルスを有する細胞に関する。本発明の細胞は、宿主細胞を、本発明のベクター又は本発明のウイルスにより形質転換することにより得ることができる。好ましくは、本発明の細胞は、本発明のキメラタンパク質を産生する細胞である。本発明の細胞の宿主細胞は、本発明のキメラタンパク質の発現に適した細胞であれば制限はなく、例えば、大腸菌、酵母、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞が挙げられる。哺乳動物細胞としてはMDA−MB−231D、COS若しくはCHOなどが挙げられる。本発明の細胞は、各宿主細胞に適した公知の培養方法により継代される。
本発明の細胞は、電子穿孔、リポフェクション、又はリン酸カルシウム媒介トランスフェクション等により細胞へ本発明のベクターを導入することで得ることができる。また、本発明の細胞は、本発明のウイルスを感染させることにより得ることができる。
本発明は、上記した本発明の細胞を培養することによって、本発明のキメラタンパク質を製造する方法にも関する。本発明のキメラタンパク質の製造方法は、上記した本発明のキメラタンパク質産生細胞を用いて行われる。
任意の本発明のキメラタンパク質産生細胞により産生された本発明のキメラタンパク質は、活性を保持することのできる任意の方法によって精製される。例えば、これらに限定されないが、可溶性タンパク質又は封入体としてのいずれかで細胞からこれらの融合タンパク質を回収してもよく、細胞から8Mのグアニジン塩酸塩及び透析によって定量的に抽出してもよい。これらのキメラタンパク質をさらに精製するために、これらに限定されないが、従来のイオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、様々な糖クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ又はゲル濾過を含む任意数の精製法を使用してもよい。
(4)薬学的組成物
本発明はさらに、上記した本発明のキメラタンパク質、DNA、ベクター、ウイルス又は細胞を含む、薬学的組成物に関する。本発明の薬学的組成物は、TGFβ阻害剤、抗線維症剤、又は抗腫瘍剤として使用することができる。
本発明の薬学的組成物は、少なくとも本発明のキメラタンパク質、DNA、ベクター、ウイルス又は細胞を含み、必要に応じて担体、その他成分を含む。本発明のキメラタンパク質は標的化分子(例えば抗体、ホルモン、成長因子等)と連結させたり、又はリポソーム、マイクロカプセルに組み込んでもよい。担体としては、滅菌水、生理食塩水、リン酸バッファー又はデキストロース溶液等が挙げられるがこれらに制限されない。担体は固体( 例えばワックス) 又は半固体(例えばゲル状)でもよい。その他成分は薬学的に許容された任意の成分であって、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、被覆剤、矯味剤、可溶化剤等である。
本発明の薬学的組成物の投与経路には限定がなく、全身又は局所から適宜選択される。本発明の薬学的組成物の投与経路は静脈内、髄腔内、動脈内、鼻内、経口、皮下、腹腔内、又は局所の注射若しくは外科的移植を含む。本発明の薬学的組成物の剤型は特に制限がなく、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、注射剤、座剤等、任意の剤型から選ばれる。
本発明の薬学的組成物の投与量は、性別や体重、年齢、人種、症状等に応じて当業者により適宜決定される。有効成分であるキメラタンパク質、DNA、ベクター、ウイルス又は細胞の投与量は、例えば、0.001μg/kg〜1000mg/kgから適宜調整される。
本発明は、遺伝子療法を含む。遺伝子療法としては、例えば、本発明のDNA、発現ベクター、ウイルス又はキメラタンパク質産生細胞を生体に移植することによって生体内で本発明のキメラタンパク質を産生させるようにすることを含む。
遺伝子療法において本発明のDNA配列を用いる場合、例えば、naked DNAの直接注射、脂質若しくは細胞表面受容体と親和性のあるタンパク質などでコーティングされた、リポソーム、微粒子、若しくはマイクロカプセル、又は核移行性ペプチド等に連結して投与することが挙げられる。
遺伝子療法において本発明のDNAを含む発現ベクターを用いる場合、ベクターとしては欠損、弱毒化レトロウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター及びアデノ関連ウイルスなどが挙げられるがこれに限られない。
遺伝子療法のために本発明のDNAを導入することができる細胞は、上皮細胞、内皮細胞、角化細胞、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞; T―リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球等の血液細胞; 様々な幹細胞又は前駆細胞、特に例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓から得られる造血幹細胞又は前駆細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:本発明のcDNAの調製及び本発明のベクターの調製
ALK5細胞外ドメインをコードするcDNA配列およびTβRII細胞外ドメインをコードするcDNAは、ヒト乳がん細胞(MDA−MB−231)のcDNAをもとに、ALK5細胞外ドメインは配列番号9及び10に示すプライマーにて、TβRII細胞外ドメインは配列番号11及び12に示すプライマーにてPCR法により増幅し、クローニングした。クローニングした各cDNA(配列番号5で表されるcDNAおよび配列番号6又は配列番号14で表されるcDNA)をpCRII−Topoベクター(invitrogen社)に組み込んだ。次いでpENTR201ベクター(Invitrogen社)のマルチクローニングサイト(mcs)に配列番号5で表されるcDNAおよび配列番号6又は配列番号14で表されるcDNAを組み込んだ(図1参照)。次いで本発明のcDNAをmcsでタンデム発現できるようにサブクローニングするため、pENTR201ベクターから切り出した配列番号5で表されるcDNAおよび配列番号6又は配列番号14で表されるcDNAをpFUSE−hIgG1−Fc(Invivogen社)のhIgG1−FcのcDNA配列(配列番号3)の5’末端側(コードされるアミノ酸配列のN末端側)に組み込み、本発明のキメラタンパク質をコードするcDNA(配列番号6及び配列番号16)及び本発明のベクター(pENTR201 ALK5TβRII−Fc)を得た(図1参照)。
実施例2:本発明の発現ベクター調製
実施例1で得られた本発明のベクターからクローニングした本発明のcDNAをpCSII−EF−Rfa(理化学研究所より分与)へLR反応を用いて組み込み、本発明の発現ベクターを得た(図1参照)。
実施例3:本発明のキメラタンパク質の作製
10%FBS含有DMEM培地を用いて、HEK293T細胞(Invitrogen社)3×106個を直径10cm dishに撒きこみ、一晩培養したのちにFugeneHD(登録商標)(Roche社)を用いて実施例2で得られた本発明の発現ベクターのうち配列番号6が組み込まれた発現ベクターを20μgトランスフェクトし、本発明のキメラタンパク質産生細胞を得た。得られた本発明のキメラタンパク質産生細胞を4時間、37℃で培養した後に培地を除去し、FBSを含まないOPTI−MEM培地に置き換えて、24時間インキュベーター内で培養し、培養上清を回収した。回収した上清は0.22μmのポアサイズのフィルターを用いてろ過し、本発明のキメラタンパク質を含む培養上清液を得た。本発明のキメラタンパク質の濃度をヒトIgGFcELISAキット(Bethyl社)を用いて測定した結果、ALK5TβRII(short)Fcは1800ng/mLの濃度であった。
実施例2で得られた本発明の発現ベクターのうち配列番号16が組み込まれた発現ベクターはA549細胞(ATCC)にトランスフェクトし、本発明のキメラタンパク質産生細胞を得た他は配列番号6が組み込まれた発現ベクターと同様に処理し、本発明のキメラタンパク質を含む培養上清液を得た。ALK5TβRII(long)Fcは1200ng/mLの濃度であった。
比較例:比較用キメラタンパク質の作製
比較のため、配列番号5で表されるcDNA、配列番号6で表されるcDNAおよび配列番号14で表されるcDNAを組み込んだpFUSE−hIgG1−FcのhIgG1−FcのcDNAの5’末端側に組み込んだcDNAをそれぞれ作成し、実施例2と同様にpCSII−EF−RfaへLR反応を用いて組み込み、ALK5Fc発現ベクター及びTβRIIFc発現ベクターを得た。ALK5Fc発現ベクター及びTβRII(short)Fc発現ベクターを実施例3と同様にHEK293T細胞に処理し、TβRII(long)Fc発現ベクターを実施例3と同様にA549細胞に処理し、培養して、ALK5Fcを含む培養上清及びTβRIIFcを含む培養上清を得た。得られた培養上清は実施例3と同様にろ過し、比較用キメラタンパク質の濃度を、ヒトIgGFcELISAキットを用いて測定した。その結果、ALK5Fcが2300ng/mL、TβRII(long)Fcが2000ng/mL、TβRII(short)Fcが2100ng/mLの濃度であった。
実施例4−1:本発明のキメラタンパク質のTGFβシグナル阻害活性確認
HEK293T細胞を、2×104個を24 well plate直径10cm dishに撒きこんで一晩培養した。そののちに、TGFβに応答してホタルルシフェラーゼを発現するプラスミド(CAGA)12−MLP−Luc(EMBO J., 17 3091(1998)に基づき樹立)と補正用のウミシイタケルシフェラーゼ発現プラスミドpGL4−TK−Renilla−Luc(Invitrogen社)を、共にFugeneHD(登録商標)を用いてHEK293Tに導入した。TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3(いずれも1ng/mL)を、実施例3で得られた配列番号4で表される本発明のキメラタンパク質溶液又はALK5Fc溶液又はTβRIIFc溶液と共に、図2に記載の濃度となるようにHEK293T細胞の培養液に添加し、24時間培養した。24時間後にDual−Luciferase(登録商標) Reporter Assay System(プロメガ社)を用いて細胞を溶解して、Mithras LB 940 Multimode Microplate Reader(BERTHOLD TECHNOLOGIES社)で発光強度を測定した。得られたホタルルシフェラーゼ発光強度の値は、ウミシイタケルシフェラーゼ発光強度により補正を行った。TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3を処理した場合のそれぞれの発光強度を図2に示す。発光強度と、キメラタンパク質とTGFβとの結合の強さは反比例し、発光強度が低い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合し、高い場合はキメラタンパク質とTGFβとが結合していないことを示す。
実施例3で得られた配列番号15で表される本発明のキメラタンパク質に関しては、A549細胞を用いたこと、及び、配列番号4で表される本発明のキメラタンパク質溶液、配列番号15で表される本発明のキメラタンパク質溶液、ALK5Fc溶液又はTβRIIFc溶液は終濃度500ng/mLとした他は、配列番号4で表される本発明のキメラタンパク質と同様にして実験を行った。TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3を処理した場合のそれぞれの発光強度を図3に示す。
TβRII細胞外ドメインのバリアント違いに関わらず、ALK5TβRIIFcは、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3全てのタイプに結合能が認められた。一方、ALK5FcはTGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3にいずれに対しても結合能は認められず、TβRIIFcはTβRII細胞外ドメインのバリアント違いに関わらず、TGFβ1及びTGFβ3にのみ結合が認められた。
実施例5:本発明のウイルスの調製
実験例2で得られた配列番号5で表される本発明のキメラタンパク質のcDNAを組み込んだ本発明の発現ベクター又は比較例で得られた比較用ベクター2種と、パッケージング用プラスミドのpCAG−HIV(理化学研究所より分与)及びpCMV−VSV−G−RSV−Rev(理化学研究所より分与)をHEK293FT(Invitrogen社)にトランスフェクトし、実施例3と同様に培養して、レンチウイルスを含む培養上清を回収し、本発明の発現ベクター又は比較例で得られた比較用ベクター2種をそれぞれ含むレンチウイルス液を得た。
実施例6:キメラタンパク質のTGFβシグナル阻害活性
実施例5で得られたレンチウイルス液をMDA−MB−231DLuc(Anticancer Res.,25,3817(2005)に基づき樹立したMDA−MB−231の高骨転移性株にレンチウイルスによりルシフェラーゼを導入した株)に処理し、本発明のキメラタンパク質(ALK5TβRII(short)Fc)及び比較用キメラタンパク質2種(ALK5Fc、TβRII(long)Fc)をそれぞれ発現するMDA−MB−231DLucを作成した。これらの細胞を6well plateに2×106個の細胞を10%FBS含有D−MEMで2mLの容量で撒き、コンフルエントな条件下で2日間培養した。TGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3(いずれも0.2ng/mL)を培養液中に添加して30分後に細胞を回収した。回収した細胞からタンパク質を抽出し、Western blottingによってリン酸化Smad2(P−Smad2)の発現量及びSmad2及びSmad3の総発現量(Total Smad2/3)をそれぞれ、抗P−Smad2抗体(Cell signaling社)、抗Total Smad2/3(BDバイオサイエンス社)を用いて確認した。リン酸化Smad2(P−Smad2)の発現量及びSmad2及びSmad3の総発現量(Total Smad2/3)を図4に示す。Smad2はTGFβによりリン酸化される細胞内情報伝達分子である。NTは無処理条件の略称である。
本発明のキメラタンパク質(ALK5TβRII(short)Fc)を発現するMDA−MB−231DLucでは、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3のいずれによってもP−Smad2の発現がみられなかった。TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3によるSmad2のリン酸化を本発明のキメラタンパク質が抑制することがわかる。一方、ALK5Fc発現MDA−MB−231DLucではTGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3のいずれに対してもP−Smad2の発現が認められた。ALK5FcはTGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3の刺激によるSmad2のリン酸化を抑制しないことがわかる。TβRII(long)Fc発現MDA−MB−231DLucではTGFβ1及びTGFβ3によるP−Smad2の発現がみられなかったが、TGFβ2によるP−Smad2の発現がみられた。TβRIIFcはTGFβ1及びTGFβ3によるSmad2のリン酸化を抑制することがわかる。
実施例7:キメラタンパク質のTGFβによる細胞遊走抑制作用
実施例6で得られた本発明のキメラタンパク質(ALK5TβRII(short)Fc)及び比較用キメラタンパク質2種をそれぞれ発現するMDA−MB−231DLuc(ALK5TβRII(short)Fc発現MDA−MB−231DLuc、ALK5Fc発現MDA−MB−231DLuc、TβRII(long)Fc発現MDA−MB−231DLuc)を用いて、TGFβにより促進される細胞の遊走能を評価した。8.0μmポアサイズの24ウェルセルカルチャーインサート(BDファルコン社)内に1mM塩酸で3mg/mLに希釈したI型コラーゲン(新田ゼラチン社)をコートした後にピペットで余分な水分を除き、3×105個の上記MDA−MB−231DLucをインサート内に加え、TGFβ2及びTGFβ3を最終濃度が0.3ng/mLとなるように、リザーバー側のウェルとインサート内に加えて、無血清のD−MEMで48時間培養した。培養後にインサートを回収し、10%ホルマリンに10分間浸漬して細胞を固定した。クリスタルバイオレッド液で細胞を染色し、インサートの裏側に遊走した細胞を顕微鏡観察下でカウントした。測定結果を図5に示す。
ALK5TβRII(short)Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ2及びTGFβ3処理のいずれによっても遊走した細胞数はコントロールと同程度であった。TGFβ2及びTGFβ3の遊走促進作用を本発明のキメラタンパク質が抑制することがわかる。ALK5Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ2及びTGFβ3処理によって遊走した細胞数がコントロールに比較して増加した。ALK5FcはTGFβ2及びTGFβ3の遊走促進作用に少なくとも影響を及ぼさないことがわかる。TβRII(long)Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ3処理では遊走した細胞数はコントロールと同程度であったが、TGFβ2処理による遊走した細胞数がコントロールに比較して増加した。TβRII(long)FcはTGFβ2の遊走促進作用に少なくとも影響を及ぼさないものの、TGFβ3の遊走促進作用は抑制することがわかる。
実施例8:キメラタンパク質のTGFβ誘導性遺伝子の発現抑制作用
実施例6で得られた本発明のキメラタンパク質及び比較用キメラタンパク質2種をそれぞれ発現するMDA−MB−231DLucを2.5×105個/ウェルを12 well plateに10%FBS含有D−MEMで撒き、一晩培養した後にTGFβ2及びTGFβ3(いずれも1ng/mL)を添加して24時間後にRNeasy(キアゲン社)を用いてtotal RNAの回収を行った。回収したRNAは濃度を測定後、各処理群で同量のRNAを使用してPrimeScriptTM RT reagent Kit(タカラバイオ社)を用いてcDNAの合成を行った。得られたcDNAを水で25倍に希釈し、SYBR(登録商標) Green PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社)を用いて、定量的PCRを行い、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステム社)によってTGFβ誘導性の遺伝子であるPAI−1、Smad7、IL−10、PTHrPの発現量を測定した。これら遺伝子の発現量は同時に測定したGAPDHの発現量を用いて補正した。図6にこれら遺伝子の補正済み発現量を示す。
ALK5TβRII(short)Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ2及びTGFβ3処理によって、いずれの遺伝子の誘導も認められなかった。本発明のキメラタンパク質がTGFβ2及びTGFβ3のシグナルを阻害していることがわかる。ALK5Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ2及びTGFβ3処理によってそれぞれPAI−1、Smad7、IL−11、PTHrPの発現誘導が認められた。ALK5FcにはTGFβ2及びTGFβ3のシグナルの阻害作用がないことがわかる。また、TβRII(long)Fc発現MDA−MB−231DLucはTGFβ3によるこれら遺伝子の誘導は認められなかったものの、TGFβ2により誘導が認められた。TβRIIFcはTGFβ3のシグナルの阻害作用はあるものの、TGFβ2のシグナルの阻害作用はないことがわかる。
以上の結果から、本発明のキメラタンパク質はTGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3のいずれにも結合し、TGFβからTGFβ受容体を経たSmad2のリン酸化を阻害することが明らかとなった。本発明のキメラタンパク質はTGFβ2及びTGFβ3による癌細胞の遊走とTGFβ誘導性の遺伝子であるPAI−1、Smad7、IL−11、PTHrPの発現も抑制することが確認できた。よって、本発明はTGFβシグナルに関連する疾患の治療、予防に有用である。
本発明のキメラタンパク質は、TGFβ阻害機能を有することから、がん及び転移臓器の線維化を伴う疾患、例えば肺線維症、肝硬変、動脈硬化症、強皮症、経皮経管冠動脈血管拡張術後の冠動脈再狭窄、間質性肺炎、間質性心筋炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎、血管炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、HIV腎症、IgA腎症、ループス腎症、間質性腎炎、尿管閉塞による閉塞腎、熱傷後の皮膚瘢痕化などやそれらの合併症の治療に有効である。本発明のキメラタンパク質は、医薬分野において有用である。
配列番号1:ALK細胞外ドメインのアミノ酸配列
配列番号2:TβRII細胞外ドメイン(short)のアミノ酸配列
配列番号3:hIgG1Fcのアミノ酸配列
配列番号4:ALKTβRII(short)Fcのアミノ酸配列
配列番号5:ALK細胞外ドメインのcDNA配列
配列番号6:TβRII細胞外ドメイン(short)のcDNA配列
配列番号7:hIgG1FcのcDNA配列
配列番号8:ALKTβRII(short)FcのcDNA配列
配列番号9:ALK細胞外ドメインのフォワードプライマー
配列番号10:ALK細胞外ドメインのリバースプライマー
配列番号11:TβRII細胞外ドメイン(short)のフォワードプライマー
配列番号12:TβRII細胞外ドメイン(short)のリバースプライマー
配列番号13:TβRII細胞外ドメイン(long)のアミノ酸配列
配列番号14:TβRII細胞外ドメイン(long)のcDNA配列
配列番号15:ALKTβRII(long)Fcのアミノ酸配列
配列番号16:ALKTβRII(long)FcのcDNA配列

Claims (19)

  1. TGFβI型受容体細胞外ドメインであるALK5細胞外ドメインのC末端にTGFβII型受容体細胞外ドメインであるTβRII細胞外ドメインのN末端が結合している、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質。
  2. さらに二量体化ドメインを有する、請求項1に記載のキメラタンパク質。
  3. 二量体化ドメインが免疫グロブリンドメインである、請求項2に記載のキメラタンパク質。
  4. 免疫グロブリンドメインが、IgGのFcドメイン、IgGの重鎖、又はIgGの軽鎖である、請求項3に記載のキメラタンパク質。
  5. TβRII細胞外ドメインのC末端に免疫グロブリンドメインのN末端が結合している、請求項3又は4に記載のキメラタンパク質。
  6. 以下の(a)〜(c)の何れかである、請求項1からの何れか1項に記載のキメラタンパク質。
    (a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
    (b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
    (c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;
  7. アセチル修飾またはポリエチレングリコール修飾を受けている、請求項1からの何れか1項に記載のキメラタンパク質。
  8. 二量体化している、請求項1からの何れか1項に記載のキメラタンパク質。
  9. 以下の(a)〜(c)の何れかのキメラタンパク質をコードするDNA。
    (a)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるキメラタンパク質;
    (b)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質;又は
    (c)配列番号4又は配列番号15で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加しているアミノ酸配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質。
  10. 以下の(d)又は(e)の何れかのDNA。
    (d)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列からなるDNA;又は
    (e)配列番号8又は配列番号16で表される塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列からなり、TGFβ1、TGFβ2及びTGFβ3に結合するキメラタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
  11. 請求項9又は10に記載のDNAを含むベクター。
  12. 請求項11に記載のベクターを有するウイルス。
  13. 請求項11に記載のベクター又は請求項12に記載のウイルスを有する細胞。
  14. 細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞から成る群から選択される細胞である、請求項13に記載の細胞。
  15. 請求項13又は14に記載の細胞を培養する工程を含む、請求項1からの何れか1項に記載のキメラタンパク質を製造する方法。
  16. 請求項1からの何れか1項に記載のキメラタンパク質、請求項9又は10に記載のDNA、請求項11に記載のベクター、請求項12に記載のウイルス、あるいは請求項13又は14に記載の細胞を含む、薬学的組成物。
  17. TGFβ阻害剤である、請求項16に記載の薬学的組成物。
  18. 抗線維症剤である、請求項16に記載の薬学的組成物。
  19. 抗腫瘍剤である、請求項16に記載の薬学的組成物。
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