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JP6468803B2 - 積層不織布 - Google Patents

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JP6468803B2
JP6468803B2 JP2014221967A JP2014221967A JP6468803B2 JP 6468803 B2 JP6468803 B2 JP 6468803B2 JP 2014221967 A JP2014221967 A JP 2014221967A JP 2014221967 A JP2014221967 A JP 2014221967A JP 6468803 B2 JP6468803 B2 JP 6468803B2
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Description

本発明は積層不織布に関する。
生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品では、その機能に応じて、凹凸構造の不織布、2層構造の不織布が用いられている。
例えば、特許文献1の凹凸構造の不織布は、1層構造であり、第1面側とその反対面である第2面側に凹凸を有する。この不織布は、第1面側に凸となる第1突出部と、第2面側に凸となる第2突出部とを結ぶ方向に沿って繊維配向性を有する。
また特許文献2の2層構造の不織布は、第1面側とその反対面の第2面側に凹凸を有する。この不織布は、第1層と第2層が全面にわたって接合されている。また第1面側から見て、凸となる第1突出部と凹となる窪み部とを有し、第1突出部の頂部から窪み部の底部、すなわち第2面側から見た第2突出部の頂部とを結ぶ方向に繊維配向性を有する。
さらに特許文献3の積層不織布は、熱可塑性繊維を含み凹凸形状に賦形されていて、熱融着した第1繊維層に未融着の繊維ウエブが第2繊維層として積層されている。この積層不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを熱風により加熱して、繊維ウエブの繊維同士を熱融着させた第2繊維層を成している。そして、第1繊維層の繊維と第2繊維層の繊維が熱融着により接合されている。上記の凹凸形状は、第1繊維層の凸部、第2繊維層の凸部の下部、第2繊維層の上部の順に密度が低くなっている。また第1繊維層の壁部を構成する繊維は、凸部の頂部と凹部の底部とを結ぶ方向に繊維配向性を有する。しかし、第2繊維層は配向性を有していない。さらに、第1繊維層の凸部と第2繊維層の凸部との間に空間を有している。
さらにまた特許文献4の2層の不織布は、第1層と第2層を有する表面シートである。この表面シートは、第1層の一部が肌当接面側に突出して形成された多数の肌当接凸部と、第1層及び第2層それぞれの一部が非肌当接面側に突出して形成された多数のエンボス接合による導液凹部とを有している。第1層および第2層は、導液凹部の下端部において互いに接合されて接合部が形成され、第2層より第1層の方が相隣接する接合部間の長さが長く、第1層および第2層は断面が波状をなしている。また導液凹部の底部に開口部を有している。
特開2012―136790号公報 特開2014―012913号公報 特開2013―124428号公報 特開2009―089965号公報
特許文献1の不織布は単層のために不織布内に隙間がなく、また特許文献2の不織布は第1層と第2層が全面にわたって接合されているために層間に隙間がない。そのため、低荷重時の肌触りを改善する余地があった。
特許文献3の不織布では、上層のみ壁部に配向性を有するため、高荷重下における液戻り性を向上させる余地があった。また、凸部において上層の繊維密度より下層の繊維密度の方が低いため、液の引き込み性を高めて液戻り性を高める余地があった。
特許文献4の表面シート(不織布)では、壁部に配向性を有していないので、高荷重下における液戻り性を向上させる余地があった。また、風合いの向上を目的とした隙間が設計されていないため、風合いを向上させる余地があった。さらに導液凹部がエンボス接合によるものであるから、上層が潰れにくくなっているので、この点からも風合いを向上させる余地があった。さらに凹部の底部に開口を有しているため、液戻り性を高める余地があった。
本発明は、肌触りが良く、液戻り量が少ない吸収性物品を可能にする積層不織布およびその製造方法を提供することにある。
本発明の積層不織布は、シート状の積層不織布を平面視した側の第1面側に突出した凸部と、前記第1面側とは反対の第2面側に凹んだ凹部とを有し、前記凸部と前記凹部は、該積層不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配され、
前記積層不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを有し、
前記第1繊維層の第1凸部と前記第2繊維層の第2凸部との間に隙間を有し、
前記第1繊維層における第1凸部の頂部と凹部の底部との間に配された第1壁部および前記第2繊維層における第2凸部の頂部と凹部の底部との間に配された第2壁部はいずれの位置においても厚み方向に繊維配向性を有する積層不織布を提供する。
本発明の積層不織布は、吸収性物品に対し低荷重下での肌触りが優れた機能を付与する。また、高荷重下では液戻り量が少なくなり、液戻り性が高められる。
本発明に係る積層不織布の好ましい一実施形態を模式的に示した部分断面斜視図である。 低荷重下における積層不織布の要部断面を模式的に示した断面図である。 高荷重下における積層不織布の要部断面を模式的に示した断面図である。 本発明に係る積層不織布の製造方法の好ましい実施形態(第1実施形態)を示した概略構成図である。 本発明に係る積層不織布の製造方法の好ましい別の実施形態(第2実施形態)を示した概略構成図である。 本発明に係る表面シートを用いた吸収性物品の好ましい一実施形態としての使い捨ておむつを模式的に示した一部切欠斜視図である。
本発明に係る積層不織布の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図1を参照しながら、以下に説明する。
本発明の積層不織布10は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましい。その際、第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側Z2を物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、図面に示した積層不織布10の第1面側Z1を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明する。本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
図1に示すように、シート状の積層不織布10は、それを平面視した側の第1面側Z1に突出した凸部11である第1凸部11Aと第2凸部11Bを有する。また積層不織布10は、第1面側Z1とは反対の第2面側Z2に凹んだ凹部12である第1凹部12Aと第2凹部12Bとを有する。この第1凹部12Aと第2凹部12Bとは接合されている。また、凸部11と凹部12は、該積層不織布10の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配されている。具体的には、平面視交差するX方向およびY方向のそれぞれに交互に連続して配されている。なお、Z方向が不織布の厚み方向となる。
積層不織布10は、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bとを有している。第1繊維層10Aの第1凸部11Aと第2繊維層10Bの第2凸部11Bとの間に隙間13を有する。したがって、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bは、第1凹部12Aと第2凹部12Bとで接合している他の領域では隙間13によって離間されている。言い換えれば、第1凸部11Aが配されている位置に対応して第2凸部11Bが配されていて、第1凹部12Aが配されている位置に対応して第2凹部12Bが配されている。
第1繊維層10Aにおける第1凸部11Aの頂部11ATと第1凹部12Aの底部12ABとの間に第1壁部14Aが配れている。また第2繊維層10Bにおける第2凸部11Bの頂部11BTと第2凹部12Bの底部12BBとの間に第2壁部14Bが配されている。第1壁部14Aおよび第2壁部14Bのいずれの位置においても厚み方向に繊維配向性を有する。
上記積層不織布10における各頂部、壁部、底部は以下のように定義されている。第1繊維層10Aの不織布厚みT1を3等分した、上部PA1を第1凸部11Aの頂部11AT、中間部PA3を第1壁部14A、下部PA2を第1凹部12Aの底部12ABとする。また第2繊維層10Bの不織布厚みT2を3等分した、上部PB1を第2凸部11Bの頂部11BT、中間部PB3を第2壁部14B、下部PB2を第2凹部12Bの底部12BBとする。
不織布の厚みは、不織布試験体をCD方向断面に切断し、その切断面を無荷重下において、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する。その際、測定部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10倍から100倍)に拡大する。
上記積層不織布10は、層間に隙間13が存在することによって、荷重がかけられたときに隙間13に第1繊維層10Aが沈み込む余地を有している。そのため、低荷重(1.00gf/cm)時には、第1凸部11Aが隙間13を埋めるようにして潰れやすい。
一方、高荷重(3.5kPa)時には、隙間13が無くなった状態で、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bが一体化した状態で潰されにくくなる。このことが、例えば、人が軽く表面に触れたときの優しい肌触りと、強い力で接触しつづけたときの安心感とを両立する。この積層不織布10を吸収性物品に組み込むと、装着する前の準備段階から優しい肌触りが感じられ、心地よい装着感になる。
また、高荷重下では、隙間13があることにより、いきなり二つの凸部(第1凸部11Aと第2凸部11B)が潰されることなく、第1凸部11Aから潰れ始める段階的な潰れになる。このため、肌への衝撃が和らげられ優しいクッション性を有する。このようにして、隙間13が無くならないようにして、第1凸部11Aが潰される。さらに荷重がかかると、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bとが一体になったようになる。このため、高荷重下では第1繊維層10Aと第2繊維層10Bの2層で荷重を受け止めることになる。このように2層で荷重を受け止めるために、第1凸部11Aが潰れにくくなる。しかも、第1壁部14Aおよび第2壁部14Bのいずれの位置においても厚み方向に繊維配向性を有していることから、第1凸部11Aの潰れ難さをより一層高めている。
この結果、積層不織布10を前述のように、表面シートとして吸収性物品に組み込むと、表面シートの厚みが保持される。このため、第2繊維層10B側に通常配される吸収体(図示せず)から第1繊維層10A側に配される肌面(図示せず)に向かって液が戻りにくくなる。よって、液戻り量が少なくなり、液戻り性が高められる。
本実施形態において第1凸部11A、第2凸部11Bは頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。なお、第1凸部11A、第2凸部11Bは上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状であることが実際的である。本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。第1凸部11Aの内側空間は、第2凸部11Bとの間の隙間13であり、この隙間13は頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間となっている。
凹凸状に賦形されている第1繊維層10Aは、その第1凸部11Aにおいて頂部(以下、凸部頂部ともいう。)の下部側に壁部14A(15)を有する。この壁部15は、第1凸部11Aにおいて環状構造を成している。また第1凹部12Aにおいて底部12AB(以下、凹部底部ともいう。)の上部側に上記の壁部15と連続する壁部14A(16)を有する。この壁部16は、第1凹部12Aにおいて環状構造を成している。ここでいう「環状」とは、平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されない。したがって、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円または楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
上記壁部14の構造は、第2繊維層10Bも第1繊維層10Aと同様の構造をなしている。
上述の積層不織布10の第1繊維層10A,第2繊維層10Bは、ともに屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。これにより、表面に段差のないシート形状になり、積層不織布10表面の肌触りが良くなる。
このように上記積層不織布10は、面方向に連続した構造を有していることが好ましい。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間の隙間のような微細孔は上記小孔に含めない。上記小孔とは、例えば、その孔径が円相当の直径で1.0mm以上のものと定義することができる。
本発明の積層不織布10に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維材料などが挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維が挙げられる。また、芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維が挙げられる。芯鞘型の繊維の代表例としては、PET(芯)とPE(鞘)、PP(芯)とPE(鞘)、PP(芯)と低融点PP(鞘)等の芯鞘型繊維が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよく、または2種以上を組み合わせた混繊として用いることもできる。
第1、第2壁部14A、14Bを構成する繊維は、第1、第2壁部14A、14Bのいずれの位置においても厚み方向であるZ方向に繊維配向性を有する。言い換えれば、第1壁部14Aの繊維は、第1凸部11Aの凸部頂部11ATと第1凹部12Aの第1凹部底部12ABとを結ぶ方向に繊維配向性を有する。また、第2壁部14Bの繊維は、第2凸部11Bの凸部頂部11BTと第2凹部12Bの第1凹部底部12BBとを結ぶ方向に繊維配向性を有する。したがって、平面視すると、凸部頂部11AT、凹部底部12BBに向かうような放射状の繊維配向性を有している。そして、第2繊維層10Bも第1繊維層10Aの繊維配向性と同様に配向されている。本発明において、厚み方向に繊維配向性を有するとは、厚み方向に、繊維が並びそろった状態を有していることをいう。具体的には、後述する測定方法において、配向角50°以上130°以下、且つ配向強度1.05以上であることをいう。繊維が厚み方向に向いていると、高荷重時には、隙間13が潰れているので、第1凸部11Aと第2凸部11Bの圧縮変形を受け止め、潰れを防ぎ、厚みを維持する効果が大きい。繊維配向が水平方向になると高荷重時の潰れを防ぐ効果が減り、厚みが小さくなる。高荷重時の潰れを防ぎ、液戻り量を少なくする観点と低荷重時に第1繊維層10Aと第2繊維層10Bの間に隙間を有することにより、低荷重下で潰れやすくし、肌触りを良好にする。このような観点から、第1壁部14AのCD方向の繊維配向角は、50°以上であり、好ましくは70°以上であり、さらに好ましくは75°以上である。そして130°以下であり、好ましくは110°以下であり、さらに好ましくは105°以下である。また、50°以上130°以下であり、好ましくは70°以上110°以下であり、さらに好ましくは75°以上105°以下である。第1壁部14AのCD方向の繊維配向強度は、1.05以上であり、好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.3以上である。第2壁部14BのCD方向の繊維配向角は、50°以上であり、好ましくは55°以上であり、さらに好ましくは60°以上である。そして、130°以下であり、好ましくは125°以下であり、さらに好ましくは120°以下である。また、50°以上130°以下であり、好ましくは55°以上125°以下であり、さらに好ましくは60°以上120°以下である。第2壁部14BのCD方向の繊維配向強度は、1.05以上であり、好ましくは1.07以上であり、さらに好ましくは1.1以上である。上記のような繊維配向角、繊維配向強度に設定することで、厚み方向の荷重をしっかりと受け止め、高荷重下であっても、第1凸部11Aと第2凸部11Bが潰されることがなくなる。これによって液戻り量が少なくできる。
上記積層不織布10は、積層不織布10の全体厚みをTS、第2繊維層10Bの全体厚みをT2とする。より具体的には、TSは、積層不織布10を側面視としたときのZ方向の全体厚みである。また、T2は、第2繊維層10Bを側面視としたときのZ方向の全体厚みである。
すると、液戻り量を少なくするという観点から、T2/TSは50%以上であり、好ましくは52%以上であり、さらに好ましくは55%以上である。そして隙間を確保し低荷重下で潰れやすくし、肌触りを良好にするという観点から、T2/TSは90%以下であり、好ましくは87%以下であり、さらに好ましくは85%以下である。また、T2/TSは50%以上90%以下であり、好ましくは52%以上87%以下であり、さらに好ましくは55%以上85%以下である。
また、上記積層不織布10は、3.5kPaの荷重下で、隙間13が押しつぶされ、第1凸部11Aの内側と第2凸部11Bの外側が接触することが好ましい。これにより、着用者の着座時の圧力を想定した3.5kPa高荷重下で、第1繊維層と第2繊維層の2層で荷重を受け止めるため、潰れにくくなる。この結果、第2繊維層側に通常配される吸収体から第1繊維層側に配される肌面に向かって液が戻りにくくなる。
3.5kPaの荷重下における上記積層不織布10の潰れ状態は、以下のように観察する。例えば、不織布試験体をCD方向断面に切断し、その切断面を、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−1000を用いて観察する。その際、観察部位が十分にマイクロスコープの視野に入り、観察できる大きさ(10倍から100倍)に拡大する。そして不織布に3.5kPaの荷重をかけた状態で、積層不織布10の断面を観察し、隙間13がないことを確認し、全体厚みを測定する。
第1実施形態では、繊維密度が、凹部12、第2繊維層10Bの第2凸部11Bの頂部11BT、第1繊維層10Aの第1凸部11Aの頂部11ATの順に低くなっている。
繊維密度は、1mm当たりの繊維本数を計測することで評価した。つまり、1mm当たりの繊維本数が多いほど繊維密度は高いことになる。
凹部12の繊維密度は、高荷重下で潰れにくくし、液戻り量を低減させる観点から、好ましくは250本/mm以上であり、より好ましくは300本/mm以上である。そして好ましくは500本/mm以下であり、より好ましくは450本/mm以下である。また好ましくは250本/mm以上500本/mm以下であり、より好ましくは300本/mm以上450本/mm以下である。
第1繊維層10Aの第1凸部11Aの繊維密度は、低荷重下で潰れやすくし、肌触りを良好にする観点から、好ましくは50本/mm以上であり、より好ましくは70本/mm以上である。そして好ましくは180本/mm以下であり、より好ましくは150本/mm以下である。また好ましくは50本/mm以上180本/mm以下であり、より好ましくは70本/mm以上150本/mm以下である。
繊維密度の順が上記のようになっているため、第1実施形態の積層不織布10は、排泄物が高粘性の液体で少量排泄(経血、軟便)の場合に使用すると良い。これは、第1繊維層10Aの第1凸部11Aと第2繊維層10Bの第2凸部11Bの間で粗密勾配が生じるので、第2繊維層10Bへの液の引き込み性が高まり、肌と接触する第1繊維層の液残り量を低減させることができるためである。その時の第2繊維層10Bの第2凸部11Bにおける繊維密度は、好ましくは120本/mm以上であり、より好ましくは150本/mm以上である。そして好ましくは330本/mm以下であり、より好ましくは300本/mm以下である。また好ましくは120本/mm以上330本/mm以下であり、より好ましくは150本/mm以上300本/mm以下である。
また、上記積層不織布10は、繊維密度が凹部12よりも第2凸部11Bと第1凸部11Aの繊維密度が低くなる。このため、0.30gf/cmから1.00gf/cmの低荷重がかけられても、第1繊維層10Aの第1凸部11Aが潰れやすくなり、肌触りが良くなる。通常、人間が吸収性物品を触る際の荷重は1g/cm前後と大変軽い荷重で肌触りを感じている。本来の肌触りを表すためには従来の荷重よりも小さい範囲での特性値が有用である。上記0.30gf/cmから1.00gf/cmの低荷重は、着用者や乳幼児の母親などが、吸収性物品を直接肌で触れたときに、肌触りが良いと感じる荷重である。
また、3.5kPaの高荷重下では、隙間13が押し潰され、第1繊維層10Aの第1凸部11Aと第2繊維10Bの第2凸部11Bとが接触して、一体化される。このため、高荷重下でも第1凸部11Aと第2凸部11Bは潰されにくくなる。したがって、積層不織布10の下側に図示していない吸収体が配されている場合、吸収体に吸収された液が積層不織布10の上部の肌面側に液戻りし難くなる。これによって、液戻り性に優れた積層不織布10になる。よって、積層不織布10は、肌触り性の向上と液戻り量の低減の両立が図れる。
次に、本実施形態の積層不織布10における寸法諸元について以下に説明する。
積層不織布10の全体厚みTSは、用途によって適宜調節すればよい。例えば、おむつや生理用品等の表面シートとして用いる場合、積層不織布10の全体厚みTSは、好ましくは1mm以上であり、より好ましくは1.5mm以上である。そして好ましくは7mm以下であり、より好ましくは5mm以下である。また、好ましくは1mm以上7mm以下であり、より好ましくは1.5mm以上5mm以下である。この範囲とすることにより、使用時における吸収体からの液戻りを抑え、さらには、優れた肌触りを実現することができる。第2繊維層10Bの全体厚みT2は、用途によって適宜調節すればよい。
上記凸部11同士の間隔は、用途によって適宜調節すればよい。また上記積層不織布10の坪量は特に限定されない。例えば、シート全体の平均値で15g/m以上であり、好ましくは20g/m以上である。そして70g/m以下であり、好ましくは40g/m以下である。また、15g/m以上70g/m以下であり、好ましくは20g/m以上40g/m以下である。
上記実施形態で説明した積層不織布10は、以下のような効果を奏する。
上記積層不織布10は、低荷重における優れた肌触りを奏する。
図2に示すように、本実施形態の積層不織布10は、第1繊維層10Aの第1凸部11Aと第2繊維層10Bの第2凸部11Bとの間に隙間13が配され、凹部12で接合されている。そのため、積層不織布10に低荷重WLがかけられた場合、第1繊維層10Aの第1凸部11Aが動きやすく潰れやすくなっている。このことから、肌が触れて第1繊維層10A表面を撫でるようにされた場合であっても、肌面とともに第1凸部11Aが敏感に動くようになる。この第1凸部11Aの動き易さが、肌面に対して肌触りが優れたものであるという感触を与えるのである。このように、着用者や乳幼児の母親などが吸収性物品に直接肌が触れ、肌触りが良いと感じる荷重が上記低荷重である。したがって、格別に優れた肌触りが発現されるものとなる。
また、低荷重時の圧縮特性値(潰れ易さ)と肌触りとには相関関係がある(特願2012‐092475号公報参照。)。すなわち、低荷重時の圧縮特性値は低い数値ほど、潰れやすいことを示しており、人間の肌触りを感じる感覚の良好さを表すことができる。
一方、たとえ積層不織布であっても、前述した特許文献2に記載された発明のように、上記隙間13が無い積層不織布では、肌面側となる第1繊維層が肌面の動きに敏感に追従しないため、肌触りが格別に優れたものとはならない。
上記積層不織布10は、高荷重において液戻り量の少なさに優れる。
図3に示すように、高荷重WH下では、隙間13(図2参照)が潰されて、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bとが一体になる。このため、積層不織布10の全体としては、厚み方向に潰れにくくなる。しかも、壁部14が厚み方向に繊維配向性を有する。これらの相乗効果によって、高荷重WH下であっても、凸部11が潰れ難くなるので、上述したように、液戻り量が少なくなる。
また、上記積層不織布10は、肌面は第1凸部11Aに対して点接触のような状態になるので、肌面の三次元的な動きに対してもよく追従する。さらに、壁部14が厚み方向に繊維配向性を有することから、クッション性を奏する。また、潰されても形状復元力が大きくなり、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション力が維持されやすい。すなわち、高荷重WH下では、凸部11、凹部12は、潰れ難く、変形が起こっても回復し易い。
次に、本発明に係る積層不織布の製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しながら、以下に説明する。
図5に示すように、突起状部110が配されることで凹凸形状を有し、かつ通気性を有する支持体100を用意する。支持体100の突起状部110が配された上面側に、図示していないカード機により所定の厚みに作られた第1繊維ウエブ31を供給する。支持体100は、突起状部110が第1繊維層の凹部が配される位置に対応するように配され、図示しない通気部が第1繊維層の第1凸部が配される位置に対応するように配されている。
第1繊維ウエブ31の繊維に用いることができる繊維材料は、上記の繊維などが挙げられる。
そして、上記第1繊維ウエブ31に矢印で示した第1の熱風W1を吹き付けて通気性の支持体100の凹凸形状に追随させる第1エアースルー工程を行う。この第1のエアースルー工程は、支持体100表面に送給された第1繊維ウエブ31に図示していない第1ノズルより第1の熱風W1を吹き付ける。このとき、第1の熱風W1は、支持体100に載っている第1繊維ウエブ31の表面に対して垂直方向から吹き付ける。また第1ノズルの吹き出し数は第1繊維ウエブ31の搬送方向に沿って複数個所としてもよい。
この第1の熱風W1によって、支持体100の突起状部110の形状に沿って第1繊維ウエブ31が追従して凹凸形状に賦形される。このとき、第1の熱風W1の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定まるものではない。第1の熱風W1の温度は、好ましくは第1繊維ウエブ31を構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度である。また好ましくはこの融点よりも0℃から70℃低い温度であり、より好ましくはこの融点より5℃から50℃低い温度である。
なお、第1の熱風W1の温度が低すぎる場合、繊維の戻りが生じ賦形性が低下する。一方、第1の熱風W1の温度が高すぎる場合、繊維同士が一気に融着し、自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
また第1の熱風W1の風速は、好ましくは20m/sec以上であり、より好ましくは30m/sec以上である。そして好ましくは150m/sec以下であり、より好ましくは100m/sec以下であり。また好ましくは20m/sec以上150m/sec以下であり、より好ましくは30m/sec以上100m/sec以下である。第1の熱風W1の風速が遅すぎると十分な賦形ができず、賦形性が損なわれることがある。一方、第1の熱風W1の風速が速すぎると、第1繊維ウエブ31の繊維が突起状部110により選り分けられ、賦形され過ぎた状態になる。
さらに第1の熱風W1の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上であり、より好ましくは0.04秒以上である。そして好ましくは0.5秒以下であり、より好ましくは0.08秒以下である。また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは0.04秒以上0.08秒以下である。吹き付け時間が短すぎると第1繊維ウエブ31の繊維同士の賦形が不十分になり凹凸形状に十分に追従させた賦形ができなくなる。一方、第1の熱風W1の吹き付け時間が長すぎると第1繊維ウエブ31の繊維が突起状部110により選り分けられ、賦形され過ぎた状態になる。
そして第1繊維ウエブ31を通過した第1の熱風W1は、支持体100の通気部を通って外部に排出される。
次に、第1繊維ウエブ31を支持体100表面の凹凸形状に沿わせた状態で搬送する間に、第2繊維ウエブ33を第1繊維ウエブ31上に搬送する。第2繊維ウエブ33の繊維に用いることができる繊維材料は、上記の繊維などが挙げられる。
その第2繊維ウエブ33に矢印で示した第2の熱風W2を吹き付け、第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33との間に隙間13を配して、第2繊維ウエブ33を支持体100の凹凸形状に追随させて賦形する第2エアースルー工程を行う。このとき、第2の熱風W2は、第2繊維ウエブ33の表面に対して垂直方向から吹き付ける。また第2の熱風W2を吹き付ける図示していない第2ノズルの吹き出し数は第2繊維ウエブ33の搬送方向にそって複数個所とすることが好ましい。
第2の熱風W2によって、支持体100の突起状部110の形状に沿って第2繊維ウエブ33が追従して、第1繊維ウエブ31との間に隙間13を配して凹凸形状に賦形される。隙間13が配される部分は第2の熱風W2が吹き抜ける支持体100の通気部に対応する。このときの第2の熱風W2の温度は、好ましくはウエブ33を構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度である。また好ましくはこの融点よりも0℃から70℃低い温度であり、より好ましくはこの融点より5℃から50℃低い温度である。
なお、第2の熱風W2の温度が低すぎる場合、繊維の戻りが生じ賦形性が低下する。一方、第2の熱風W2の温度が高すぎる場合、繊維同士が一気に融着し、自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
また第2の熱風W2の風速は、第1の熱風W1の風速よりも遅く設定され、好ましくは10m/sec以上であり、より好ましくは20m/sec以上である。そして好ましくは140m/sec以下であり、より好ましくは110m/sec以下である。また好ましくは10m/sec以上140m/sec以下であり、より好ましくは20m/sec以上110m/sec以下である。第2の熱風W2の風速が遅すぎると十分な賦形ができず、賦形性が損なわれることがある。一方、第2の熱風W2の風速が速すぎると、第2繊維ウエブ33の繊維が第1繊維ウエブ31に接触し、さらに風速が速すぎると突起状部110により選り分けられ、賦形され過ぎた状態になる。
さらに第2の熱風W2の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上であり、より好ましくは0.04秒以上である。そして好ましくは0.5秒以下であり、より好ましくは0.08秒以下である。また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは0.04秒以上0.08秒以下である。吹き付け時間が短すぎると第2繊維ウエブ33の賦形が不十分になり凹凸形状に十分に追従させた賦形ができなくなる。一方、第2の熱風W2の吹き付け時間が長すぎると第2繊維ウエブ33が第1繊維ウエブ31に接触して、隙間13が得られなくなる。さらに長すぎると第2繊維ウエブ33の繊維が突起状部110により選り分けられ、賦形され過ぎた状態になる。
そして第2繊維ウエブ33を通過した第2の熱風W2は、支持体100の通気部を通って外部に排出される。
次に、第1繊維ウエブ31および第2繊維ウエブ33を賦形した状態でかつ隙間13を維持して、第1繊維ウエブ31および第2繊維ウエブ33を移動し、矢印で示した第3の熱風W3を吹き付ける。そして第1繊維ウエブ31の繊維同および第2繊維ウエブ33の繊維同を熱融着させると同時に、第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33の繊維同士を熱融着させて接合する。このとき、隙間13は維持される。このようにして、第1繊維ウエブ31からなる第1繊維層10Aおよび第2繊維ウエブ33からなる第2繊維層10Bを得る。

第3の熱風W3の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定まるものではない。第3の熱風W3の温度は、不織布10に用いられる繊維材料を考慮すると、第1繊維ウエブ31、第2繊維ウエブ33を構成する熱可塑性繊維の融点に対して融点以上の温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上高い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で高い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で高い温度である。
また、第3の熱風W3の温度が低すぎる場合、凹凸形状の保持性が低下し、温度が高すぎる場合、繊維同士が融着されすぎて、風合いが悪くなり、また嵩がでにくくなる。
また第3の熱風W3の風速は、第1の熱風W1および第2の熱風W2よりも遅く設定され、好ましくは1m/sec以上であり、より好ましくは3m/sec以上である。そして好ましくは10m/sec以下であり、より好ましくは8m/sec以下である。また好ましくは1m/sec以上10m/sec以下であり、より好ましくは3m/sec以上8m/sec以下である。第3の熱風W3は繊維同の融着が目的であるため、速い風速は必要ない。一方、第3の熱風W3の風速が遅すぎると繊維同士が融着されすぎて、風合いが悪くなり、また嵩がでにくくなる。一方、第3の熱風W3の風速が速すぎると熱量が不足するため、第1繊維層10A、第2繊維層10Bの不織布強度が不十分になる。さらに風速が速すぎると、第2繊維ウエブ33の繊維が第1繊維ウエブ31に接触して隙間13が潰される。また第2繊維ウエブ14の厚みが風圧で小さくなり、その状態で加熱されると繊維同士の融着が多くなるため、不織布10の感触は硬くなり、液透過性が不十分になる。

さらに第3の熱風W3の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上であり、より好ましくは0.04秒以上である。そして好ましくは0.5秒以下であり、より好ましくは0.08秒以下である。また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは0.04秒以上0.08秒以下である。吹き付け時間が短すぎると第1繊維ウエブ31の繊維同士および第2繊維ウエブ33の繊維同士の融着が不十分になり、第1繊維層10A、第2繊維層10Bの不織布強度が不十分になる。一方、第3の熱風W3の吹き付け時間が長すぎると繊維同士が融着されすぎて、風合いが悪くなり、また嵩がでにくくなる。
そして第2繊維ウエブ33および第1繊維ウエブ31を通過した第3の熱風W3は、支持体100の通気部を通って外部に排出される。
なお、図面中の積層不織布10に描かれた円形部分は繊維同の融着部分を模式的に強調して表している。

上述の第1実施形態の積層不織布の製造方法では、第1繊維ウエブ31の賦形と第2繊維ウエブ33の賦形を別々の熱風で行うことができる。そのため、繊維の種類を選ばず、熱風の吹き付け条件を変えるだけで、最適な形状に賦形することができる。また、第1繊維ウエブ31の賦形形状と第2繊維ウエブの賦形形状を最適な形状にすることが第1の熱風W1および第2の熱風W2の吹き付け条件によって容易に制御できる。このため、隙間の間隔を制御して、T2/TSの値を容易に制御することができる。
次に、本発明に係る積層不織布の製造方法の好ましい別の実施形態(第2実施形態)について、図5を参照しながら、以下に説明する。なお、前記第1実施形態で説明した構成部品と同様な構成部品には同一符号を付与して説明する。
図5に示すように、突起状部110が配されることで凹凸形状を有し、かつ通気性を有する支持体100を用意する。図示していないカード機により所定の厚みに作られた第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33とを、第2繊維ウエブ33を上にして重ねて、支持体100の突起状部110が配された上面側に供給する。第1繊維ウエブ31は第2繊維ウエブ33よりも賦形性が高いものである。支持体100は、突起状部110が積層不織布の凹部が配される位置に対応するように配され、図示しない通気部が積層不織布の凸部が配される位置に対応するように配されている。
第1繊維ウエブ31の繊維に用いることができる繊維材料には、第2繊維ウエブ33よりも賦形性が高ければ、第1実施形態で挙げた繊維を用いることができる。また、第2繊維ウエブ33の繊維に用いることができる繊維材料には、第1繊維ウエブ31よりも賦形性が低ければ、第1実施形態で挙げた繊維を用いることができる。
賦形性が高いとは、第1の熱風W1によって繊維ウエブが変形しやすく、第3の熱風W3(融着)を吹き付けるまでに元の平面の状態に戻り難いことをいう。反対に賦形性が低いとは、繊維ウエブが第1の熱風W1によって変形しにくく、第3の熱風W3(融着)を吹き付けるまでに元の平面の状態に戻りやすいことをいう。
また賦形性の強弱を示す指標は、以下のようにする。
坪量が30g/mのウエブを作成し、KES圧縮試験機で圧縮データを測定する。変形しやすさは、0kPaから1kPaまでの荷重時の厚みの差から判断する。戻り易さはRC(圧縮レジリエンス)値により判断する。前記第1の熱風W1と第3の熱風W3の条件に加え、ウエブそのものの賦形性を変えることで、T2/TSを前記好ましい範囲にすることができる。したがって、これらの賦形性を示すパラメータを調整することによって、製造される不織布構造を異ならせることは、従来技術とは異なるものである。
第1繊維ウエブ31の繊維は、第2繊維ウエブ33の繊維より変形しやすさが大きく、戻り易さが小さい繊維を選択する。この値の差を大きくすればするほど、隙間13が大きくなる。
第1繊維ウエブ31の繊維の変形しやすさは、2.7mm以上であり、好ましくは2.8mm以上である。そして戻り易さは、38%以下であり、より好ましくは39%以下である。
第2繊維ウエブ33の繊維の変形しやすさは、2.6mm以下であり、好ましくは2.5mm以上である。そして戻り易さは、39%以上であり、より好ましくは40%以上である。
変形しやすさと戻り難さは、下記の繊維物性に依存するので、適宜調整する。
まず、繊度が大きくなると、繊維の剛性が高まり、繊維が変形しにくくなり、戻り易くなる。そのため、賦形性が悪くなる。
また、不織布の白色度を高める酸化チタンの添加量を増やすと、繊維の剛性が低下し、変形しやすく、戻り難い。そのため、賦形性が良くなる。
さらに、捲縮物性(捲縮数、捲縮率、残留捲縮率)について、捲縮が強くなると、繊維同士の絡みが強くなり、変形しやすく、戻り難い。そのため、賦形性が向上する。
繊維長が長くなると、繊維同士の絡みが強くなり、変形しやすく、戻り難い。そのため、賦形性が向上する。
そして、上記第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33の積層ウエブ30に第1の熱風W1を吹き付けて通気性の支持体100の凹凸形状に追随させるエアースルー工程を行う。このエアースルー工程は、支持体100表面に送給された積層ウエブ30の第2繊維ウエブ33側から図示していない第1ノズルより矢印で示した第1の熱風W1を吹き付ける。このとき、第1の熱風W1は、支持体100に載っている積層ウエブ30の表面に対して垂直方向から吹き付ける。また第1ノズルの吹き出し数は積層ウエブ30の搬送方向に沿って複数個所としてもよい。
第1の熱風W1によって、支持体100の突起状部110の形状に沿って積層ウエブ30の第1繊維ウエブ31および第2繊維ウエブ33が追従して凹凸形状に賦形される。このときの第1の熱風W1の温度は、第1繊維ウエブ31、第2繊維ウエブ33を構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度である。
なお、第1の熱風W1の温度が低すぎる場合、繊維の戻りが生じ賦形性が低下する。一方、第1の熱風W1の温度が高すぎる場合、繊維同士が一気に融着し、自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
また第1の熱風W1の風速は、前記第1実施形態で説明した風速と同様に設定される。したがって、風速が速すぎた場合、または風速が遅すぎた場合には、第1実施形態と同様になる。
さらに第1の熱風W1の吹き付け時間は、前記第1実施形態で説明した吹き付け時間と同様に設定される。したがって、吹き付け時間が短すぎた場合、または吹き付け時間が長すぎた場合には、第1実施形態と同様になる。
そして第1繊維ウエブ31及び第2繊維ウエブ33を通過した第1の熱風W1は、支持体100の通気部を通って外部に排出される。
次に、第1繊維ウエブ31および第2繊維ウエブ33を賦形した状態でかつ隙間13を維持して、第1繊維ウエブ31および第2繊維ウエブ33を移動し、矢印で示した第3の熱風W3を吹き付ける。そして第1繊維ウエブ31の繊維同および第2繊維ウエブ33の繊維同を熱融着させると同時に、第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33の繊維同士を熱融着させて接合する。このようにして、第1繊維ウエブ31からなる第1繊維層10Aおよび第2繊維ウエブ33からなる第2繊維層10Bを得る。
第3の熱風W3の吹き付け条件は、前述の第1実施形態と同様である。
なお、図面中の積層不織布10に描かれた円形部分は繊維同の融着部分を模式的に強調して表している。

第2実施形態では、繊維密度が、凹部12、第1繊維層10Aの第1凸部11Aの頂部11AT、第2繊維層10Bの第2凸部11Bの頂部11BTの順に低くなっている。この場合は、排泄物が低粘性の液体で多量排泄(尿)の場合に使用すると良い。これは、第1繊維層10Aの第1凸部11Aも第2繊維層10Bの第2凸部11Bも疎の構造になるので、多量の液でも素早く液が吸収体へ移行し、肌と接触する第1繊維層10Aの液残り量を低減させることができるためである。
その時の凹部12における繊維密度は、高荷重下で潰れにくくし、液戻り量を低減させる観点から、前記第1実施形態に記載した凹部12の範囲と同様である。
第1繊維層10Aの第1凸部11Aにおける繊維密度は、低荷重下で潰れやすくし、肌触りを良好にする観点から、前記第1実施形態に記載した第1凸部11Aの範囲と同様である。
第2繊維層10Bの第2凸部11Bにおける繊維密度は、好ましくは30本/mm以上であり、より好ましくは50本/mm以上である。そして好ましくは130本/mm以下であり、より好ましくは100本/mm以下である。また好ましくは30本/mm以上130本/mm以下であり、より好ましくは50本/mm以上100本/mm以下である。
上述の第2実施形態の積層不織布の製造方法では、第1繊維ウエブ31の賦形と第2繊維ウエブ33の賦形を第1の熱風W1で同時に行うことができる。そのため、製造時に使うエネルギーを節約できる。すなわち、第2実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法よりも、熱風の吹き付け工程を1工程削減できる。これによって、工程数の削減、製造時間の削減が可能になる。
上記製造方法で作製した積層不織布10を用いることで、肌触りが良く液戻り量の少ない表面材を得ることができ、また、肌触りが良く液戻り量の少ない吸収性物品を得ることができる。
上記説明した積層不織布10は、各種用途に用いることができる。例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。さらに積層不織布10の両面が凹凸構造であることに起因する通気性や液拡散性、押圧力時の変形特性、などに優れていることから、おむつや生理用品等の表面シートと吸収体との間に介在させるサブレイヤーとして用いることもできる。その他、吸収性物品のギャザー、外装シート、ウイングとして利用する形態も挙げられる。さらに、おしり拭きシート、清掃シート、フィルタとして利用する形態も挙げられる。
次に、図6を参照しながら本発明に係る積層不織布を表面材(以下、表面シートともいう。)に用いた吸収性物品の好ましい一実施形態として使い捨ておむつ200の本体4への適用例について以下に説明する。同図に示した使い捨ておむつはテープ型の乳幼児用使い捨ておむつであり、平面に展開した状態のおむつを多少曲げて内側(肌当接面側)からみた状態で示している。また、図1に対応するX方向はおむつの幅方向を示し、Y方向はおむつの長手方向を示し、Z方向はおむつの厚み方向を示す。
図6に示すように、使い捨ておむつ200は、肌当接面側に配された液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配された液難透過性の裏面シート2、及び前記両シートの間に介在配置された液保持性の吸収体3を備える。
表面シート1には上記実施形態の積層不織布10が適用され、その第1凸部11側が肌当接面とされている。
裏面シート2は展開状態で、その両側縁が長手方向中央部Cにおいて内側に括れた形状を有しており、1枚のシートからなるものであっても、複数のシートからなるものであってもよい。
裏面シート2としては、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されない。例えば、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、このフィルムを一軸または二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、高密度ないし低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
吸収体3としては、液保持性を有するものであれば、この種の物品に用いられる様々の態様ものを広く採用できる。例えば、パルプ繊維をコアラップシートで被覆したものや、エアレイド不織を用いたシート状のものや、高吸水性ポリマーを繊維シートで挟持してなるシート状のものなど様々ある。前記パルプ繊維としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維などが挙げられる。その他、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を一部に含んでもよい。また、高吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることがでる。吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水または生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
また被覆シートは、親水性の部材である。例えば、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、クレープ紙、不織布を挙げることができる。不織布としては、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布、例えばエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等からなるものを挙げることができる。
サイドシート5としては、撥水性の不織布が好ましい。例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を挙げることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本例においては、サイドシート5がなす横漏れ防止ギャザー7が設けられており、これにより乳幼児の運動等による股関節部分における液体等の横漏れを効果的に防止しうる。本実施形態のおむつにおいては、さらに機能的な構造部やシート材等を設けてもよい。なお、図6においては各部材の配置関係や境界を厳密には図示しておらず、この種のおむつの一般的な形態とされていれば特にその構造は限定されない。
上記おむつはテープ型のものとして示しており、背側Rのフラップ部にはファスニングテープ6が設けられている。ファスニングテープ6を腹側Fのフラップ部に設けたテープ貼付部(図示せず)に貼付して、おむつを装着固定することができる。このとき、おむつ中央部Cを緩やかに内側に折り曲げて、吸収体3が乳幼児の臀部から下腹部にわたって沿わされるように着用する。これにより排泄物が的確に吸収体3に吸収保持される。このような形態で用いることにより、特に積層不織布10を表面シート1として適用したことにより、肌当接面上での液戻りの防止と肌触りの良さの両立を図ることができる。また、積層不織布10の凹凸形状によってより高い通気性が得られる。
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の使い捨ておむつに制限されるものではなく、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド等に適用することができる。なお吸収性物品の構成部材として、表面シート1、裏面シート2、吸収体3の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の積層不織布、その製造方法、表面材および吸収性物品を開示する。
<1>
シート状の積層不織布を平面視した側の第1面側に突出した凸部と、前記第1面側とは反対の第2面側に凹んだ凹部とを有し、前記凸部と前記凹部は、該積層不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配され
前記積層不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを有し、
前記第1繊維層の第1凸部と前記第2繊維層の第2凸部との間に隙間を有し、
前記第1繊維層における第1凸部の頂部と第1凹部の底部との間に配された第1壁部および前記第2繊維層における第2凸部の頂部と第2凹部の底部との間に配された第2壁部はいずれの位置においても厚み方向に繊維配向性を有する積層不織布。
<2>
前記第1壁部の繊維は、前記第1凸部の凸部頂部と前記第1凹部の凹部底部とを結ぶ方向に繊維配向性を有する<1>記載の積層不織布。
<3>
前記第1壁部のCD方向の繊維配向角は、50°以上であり、好ましくは70°以上であり、さらに好ましくは75°以上である。そして130°以下であり、好ましくは110°以下であり、さらに好ましくは105°以下である。また50°以上130°以下であり、好ましくは70°以上110°以下であり、さらに好ましくは75°以上105°以下である<1>または<2>に記載の積層不織布。
<4>
前記第1壁部のCD方向の繊維配向強度は、1.05以上であり、好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.3以上である<1>から<3>のいずれか1に記載の積層不織布。
<5>
前記第2壁部のCD方向の繊維配向角は、50°以上であり、好ましくは55°以上であり、さらに好ましくは60°以上であり、そして130°以下であり、好ましくは125°以下であり、さらに好ましくは120°以下であり、また50°以上130°以下であり、好ましくは55°以上125°以下であり、さらに好ましくは60°以上120°以下である<1>から<4>のいずれか1に記載の積層不織布。
<6>
前記第2壁部のCD方向の繊維配向強度は、1.05以上であり、好ましくは1.07以上であり、さらに好ましくは1.1以上である<1>から<5>のいずれか1に記載の積層不織布。
<7>
前記積層不織布の全体厚みをTS,前記第2繊維層の全体厚みをT2として、T2/TSが50%以上90%以下である<1>から<6>のいずれか1に記載の積層不織布。
<8>
3.5kPaの荷重下で、前記隙間が押しつぶされ、前記第1凸部の内側と前記第2凸部の外側が接触する<1>から<7>のいずれか1に記載の積層不織布。
<9>
前記凹部における繊維密度は、高荷重下で潰れにくくし、液戻り量を低減させる観点から、250本/mm以上が好ましく、300本/mm以上がより好ましく、そして500本/mm以下が好ましく、450本/mm以下がより好ましく、また250本/mm以上500本/mm以下が好ましく、300本/mm以上450本/mm以下がより好ましい<1>から<8>のいずれか1に記載の積層不織布。
<10>
前記第1繊維層の前記第1凸部における繊維密度は、低荷重下で潰れやすくし、肌触りを良好にする観点から50本/mm以上が好ましく、70本/mm以上がより好ましく、そして180本/mm以下が好ましく、150本/mm以下がより好ましく、また50本/mm以上180本/mm以下が好ましく、70本/mm以上150本/mm以下がより好ましい<1>から<9>のいずれか1に記載の積層不織布。
<11>
前記積層不織布の凹部、前記第2凸部の頂部、前記第1凸部の頂部の順で繊維密度が低くなる請求項<1>から<10>のいずれか1に記載の積層不織布。
<12>
前記第2繊維層の第2凸部における繊維密度は、120本/mm以上が好ましく、150本/mm以上がより好ましく、そして330本/mm以下が好ましく、300本/mm以下がより好ましく、また120本/mm以上330本/mm以下が好ましく、150本/mm以上300本/mm以下がより好ましい<11>に記載の積層不織布。
<13>
前記積層不織布の凹部、前記第1凸部の頂部、前記第2凸部の頂部の順で繊維密度が低くなる請求項<1>から<10>のいずれか1に記載の積層不織布。
<14>
前記第2繊維層の第2凸部における繊維密度は、30本/mm以上が好ましく、50本/mm以上がより好ましく、そして130本/mm以下が好ましく、100本/mm以下がより好ましく、また30本/mm以上130本/mm以下が好ましく、50本/mm以上100本/mm以下がより好ましい<13>に記載の積層不織布。
<15>
凹凸形状を有し、かつ通気性を有する支持体上に熱可塑性繊維を含有する第1繊維ウエブを搬送し、該第1繊維ウエブに熱風を吹き付け、該第1繊維ウエブを前記凹凸形状に追随させて賦形する工程と、
前記第1繊維ウエブを前記支持体表面に沿わせた状態で搬送する間に、第2繊維ウエブを前記第1繊維ウエブ上に搬送し、該第2繊維ウエブに熱風を吹き付け、前記第1繊維ウエブと該第2繊維ウエブとの間に隙間を配して該第2繊維ウエブを前記凹凸形状に追随させて賦形する工程と、
前記第1繊維ウエブおよび前記第2繊維ウエブに熱風を吹き付けて、前記賦形した状態でかつ前記隙間を維持して、前記第1繊維ウエブの繊維同および前記第2繊維ウエブの繊維同を熱融着させると同時に、該第1繊維ウエブと該第2繊維ウエブの繊維同士を熱融着させて接合して第1繊維層および第2繊維層を得る熱融着工程とを備える積層不織布の製造方法。
<16>
前記第1の熱風の温度は、好ましくはウエブを構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくは5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度であり、また好ましくはウエブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃から70℃低い温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上50℃以下の範囲で低い温度である<15>に記載の積層不織布の製造方法。
<17>
前記第1の熱風の風速は、好ましくは20m/sec以上であり、より好ましくは30m/sec以上であり、そして好ましくは150m/sec以下であり、より好ましくは100m/sec以下であり、また好ましくは20m/sec以上150m/sec以下であり、より好ましくは30m/sec以上100m/sec以下である<15>または<16>に記載の積層不織布の製造方法。
<18>
前記第1の熱風の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上であり、より好ましくは0.04秒以上であり、そして好ましくは0.5秒以下であり、より好ましくは0.08秒以下であり、また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは0.04秒以上0.08秒以下である<15>から<17>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<19>
前記第2の熱風の温度は、好ましくはウエブを構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくは5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度であり、また好ましくはウエブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上50℃以下の範囲で低い温度である<15>から<18>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<20>
前記第2の熱風の風速は、前記第1の熱風の風速よりも遅く設定され、好ましくは10m/sec以上とし、より好ましくは20m/sec以上とし、そして好ましくは140m/sec以下とし、より好ましくは110m/sec以下とし、また好ましくは10m/sec以上140m/sec以下とし、より好ましくは20m/sec以上110m/sec以下とする<15>から<19>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<21>
前記第2の熱風の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上とし、より好ましくは、0.04秒以上とし、そして好ましくは0.5秒以下とし、より好ましくは0.08秒以下とし、また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下とし、より好ましくは、0.04秒以上0.08秒以下とする<15>から<20>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<22>
前記第3の熱風は、前記第1の熱風および前記第2の熱風の風速よりも遅い風速に設定される<15>から<21>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<23>
凹凸形状を有し、かつ通気性を有する支持体上に、熱可塑性繊維を含有する第1繊維ウエブおよび熱可塑性繊維を含有し前記第1繊維ウエブよりも賦形性が低い第2繊維ウエブを重ねて搬送し、該第1繊維ウエブおよび第2繊維ウエブに熱風を吹き付けて、該第1繊維ウエブおよび第2繊維ウエブ間に隙間を配して前記凹凸形状に追随させて賦形する工程と、
前記第1繊維ウエブおよび前記第2繊維ウエブに熱風を吹き付けて、前記支持体の凹凸形状に賦形したまま前記第1繊維ウエブの繊維同および前記第2繊維ウエブの繊維同を融着させると同時に、前記第1繊維ウエブと前記第2繊維ウエブとを熱融着させて接合して第1繊維層と第2繊維層を得る熱融着工程とを備える積層不織布の製造方法。
<24>
前記第1繊維ウエブの捲縮数が前記第2繊維ウエブより多い<23>に記載の積層不織布の製造方法。
<25>
前記第1繊維ウエブの繊維の繊度が前記第2繊維ウエブより低い<23>または<24>に記載の積層不織布の製造方法。
<26>
前記第1の熱風の温度は、好ましくはウエブ31及びウエブ33を構成する熱可塑性繊維の融点以下の温度であり、より好ましくは5℃以上低い温度である。そして好ましくはこの融点より70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点より50℃以下の範囲で低い温度であり、また好ましくはウエブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下の範囲で低い温度であり、より好ましくはこの融点よりも5℃以上50℃以下の範囲で低い温度である<23>から<25>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<27>
前記第1の熱風の風速は、好ましくは20m/sec以上であり、より好ましくは30m/sec以上であり、そして好ましくは150m/sec以下であり、より好ましくは100m/sec以下であり、また好ましくは20m/sec以上150m/sec以下であり、より好ましくは、30m/sec以上100m/sec以下である<23>から<26>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<28>
前記第1の熱風の吹き付け時間は、好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは、0.04秒以上0.08秒以下であり、そして好ましくは0.5秒以下とし、より好ましくは0.08秒以下であり、また好ましくは0.01秒以上0.5秒以下であり、より好ましくは、0.04秒以上0.08秒以下とする<23>から<27>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<29>
前記第3の熱風は、前記第1の熱風および前記第2の熱風の風速よりも遅い風速に設定される<23>から<28>のいずれか1に記載の積層不織布の製造方法。
<30>
<1>から<14>のいずれか1に記載の積層不織布、または<15>から<29>のいずれか1に記載の製造方法により製造された積層不織布を用いた表面材。
<31>
<1>から<14>のいずれか1に記載の積層不織布、または<15>から<29>のいずれか1に記載の製造方法により製造された積層不織布を用いた吸収性物品。

以下に、上述の第1,第2実施形態の賦形不織布の製造方法により賦形不織布を製造した実施例、および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1−7]
実施例1の積層不織布10は、第1繊維層10Aを作製する第1繊維ウエブ31にカードウエブを用い、第2繊維層10Bを作製する第2繊維ウエブ33にもカードウエブを用い、前述の第1製造方法により以下の条件で製造した。すなわち、第1繊維ウエブ31の繊維に、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点が258℃)で、鞘部がポリエチレン(融点が130℃)の芯鞘構造の複合繊維を用いた。混率は100%、繊度は2.4dtex、繊維長を45mm、捲縮数を15山/25mm、捲縮率を13%、残留捲縮率を12%、坪量12g/mとした。その第1繊維ウエブ31を支持体100により搬送し、支持体100の表面で第1の熱風W1を吹き付けることで凹凸形状に賦形させた。第1の熱風W1の吹き付け条件は、吹き付け気体に空気を用い、その空気の温度を130℃、風速を50m/s、吹き付け時間は0.01秒に設定した。
次に、第1繊維ウエブ31を支持体100に賦形した状態で搬送し、第1繊維ウエブ31上に第2繊維ウエブ33を搬送して、第1繊維ウエブ31上に隙間13を配した状態で重ね合わせた。第2繊維ウエブ33の繊維には、第1繊維ウエブ31と同様なものを用いた。
賦形状態を維持した第1繊維ウエブ31の上面側に第2繊維ウエブ14を重ね合わせた後、第2の熱風W2を吹き付けて、第1繊維ウエブ31の凹んだ部分に隙間13を配して第2繊維ウエブ33を賦形した。第2の熱風W2の吹き付け条件は、吹き付け気体に空気を用い、その空気の温度を130℃、風速を30m/s、吹き付け時間は0.01秒に設定した。
その後、賦形した状態を維持して、第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33の積層ウエブ30に、第2繊維ウエブ33側から第3の熱風を吹き付け、各繊維ウエブの繊維同を融着させた。同時に、第1繊維ウエブ31と第2繊維ウエブ33とを融着させた。このようにして、第1繊維層10Aと第2繊維層10bが凹部12で接合され、第1繊維層10Aと第2繊維層10Bの凸部間に隙間13を有する第1実施例の積層不織布が得られた。

第2実施例の積層不織布10は、第2の熱風W2の風速を20m/sにした以外、前記第1実施例と同様な製造方法により作製した。
第3実施例の積層不織布10は、第2の熱風W2の風速を10m/sにした以外、前記第1実施例と同様な製造方法により作製した。
第4実施例の積層不織布10は、第1繊維ウエブ31の繊度を1.8dtex、捲縮率を12%、残留捲縮率を10%にし、第2繊維ウエブ33の繊度を4.4dtex、捲縮率を16%、残留捲縮率を15%にし、第2の熱風W2は吹き付けず第1の熱風W1のみ吹き付けた以外、前記第1実施例と同様な製造方法により作製した。
第5実施例の積層不織布10は、第2繊維ウエブ33の繊維長を38mmにした以外、前記第4実施例と同様な製造方法により作製した。
第6実施例の積層不織布10は、第2繊維ウエブ33の捲縮数を11山/25mm、捲縮率を13%、残留捲縮率を12%にした以外、前記第4実施例と同様な製造方法により作製した。
第7実施例の積層不織布10は、第2繊維ウエブ33の繊度を6.6dtex、繊維長を38mm、捲縮数を11山/25mm、捲縮率を13%、残留捲縮率を9%にした以外、前記第4実施例と同様な製造方法により作製した。
[比較例1−2]
比較例1は、第2の熱風W2の風速を50m/sにした以外、前記第1実施例と同様な製造方法により作製した。
比較例2は、第2の熱風W2の風速を2m/sにした以外、前記第1実施例と同様な製造方法により作製した。
市販のおむつ等から分析する場合は、対象となるおむつ等にコールドスプレーを吹き付け、ホットメルト接着剤を固化させる。それから、各材料を丁寧にはがし、対象となる不織布を得て、上述の通り切断および測定を行う。
次に測定方法について説明する。
[繊度の測定方法]
繊度はJIS L1015に準拠して求めた。
[繊維長の測定方法]
繊維長はJIS L1015に準拠して求めた。
[捲縮数の測定方法]
捲縮数はJIS L1015に準拠して求めた。
[捲縮率の求め方]
捲縮率はJIS L1015に準拠して求めた。
[残留捲縮率の求め方]
残留捲縮率はJIS L1015に準拠して求めた。
[熱風の温度、風速の測定方法]
第1の熱風W1および第2の熱風W2の温度は、日本カノマックス株式会社製アネモマスターModel6162(商品名)により第1、および第2ノズルの吹き出し口直下で測定した。この際プローブは、日本カノマックス株式会社製Model0203を用いた。風速は、testo社製デシタル圧力計testo521−2(商品名)により第1、及び第2ノズルの吹き出し口の直下で総圧から静圧を引き動圧を測定し、ピトー管による流速計算式より求めた。第3の熱風W3の温度と風速は、上記アネモマスターにより第3ノズルの吹き出し口の直下で測定した。
[厚みの測定方法]
不織布試験体をCD方向断面に切断し、その切断面を、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する。その際、測定部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10倍から100倍)に拡大する。そして、無荷重下で積層不織布全体厚みTs(mm)および第2繊維層全体厚みT2(mm)を測定した。測定は、それぞれについて5回行い、その平均値を算出してTs、T2とした。その後、不織布試験体を3.5kPaの荷重をかけた状態で積層不織布全体厚みTs(mm)を測定した。測定は、それぞれについて5回行い、その平均値を算出して3.5kPa荷重時の厚み(mm)とした。
[繊維層の変形しやすさの測定方法]
変形しやすさの測定は、試験材料に坪量が30g/mの繊維ウエブを用い、KES圧縮試験機(カトーテック株式会社製KES FB−3)を用いた。KES圧縮試験機は、通常モードで5.0kPaまでの圧縮特性評価を行い、0kPaから1.0kPaまで荷重時の厚み変形量(mm)を調べた。測定は、3回行い、その平均値を算出して値とした。
[戻り難さ(圧縮回復性)の評価方法]
圧縮回復性は、試験材料に坪量が30g/mの繊維ウエブを用い、KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用いた。KES圧縮試験機は、通常モードで5.0kPaまでの圧縮特性評価を行い、RC値を読み取った。測定値としては、3点を測定しその平均値を圧縮回復性とした。このKES圧縮試験機は、圧縮部位が面積2cmの円形平面を持つ板であり、圧縮速度が0.02mm/s、圧縮最大圧力が5.0kPaで、圧縮最大圧力に到達した時点で圧縮方向を反転させ回復過程に移行するものである。上記RC値は、圧縮時のエネルギーに対する回復されるエネルギーの割合を%表示したものであり、RC値が大きいほど、圧縮に対する回復性が良く、弾力性があるとされる。上記圧縮特性評価におけるRC値は、不織布の試験体に掛かる初期圧力0.05kPaがかかる時間Tから最大圧力5.0kPaがかかる時間Tまでの圧力の時間積分値を最大圧力5.0kPaまでの仕事量で除し、%で表示したものである。
[繊維配向性(配向角、配向強度)の測定]
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用した。図1における第1凸部11A、または第2凸部11Bの頂部と凹部12とを結ぶ方向が上下となるようにサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した。その撮影画像(測定する繊維が10本以上計測できる倍率に調整;100ないし300倍)を印刷し、透明PET製シート上に繊維画像をなぞった。前記の画像をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、前記二値化した画像を、繊維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Singleソフト(商品名)を用い、フーリエ変換し、パワースペクトルを得、楕円近似した分布図から、配向角と配向強度を得た。
配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。壁部中間部分の測定においては、配向角が90°に近い値ほど、頂部の中心方向に繊維が配向していることを示し、50°以上130°以下であれば、頂部の中心方向に繊維が配向していると判断する。
また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることを表す。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。
測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの配向角と配向強度とした。
上述の繊維配向性は、繊維の配向角と配向強度からなる概念である。
繊維の配向角は、色々な方向性を有する複数の繊維が全体としてどの方向に配向しているかを示す概念で、繊維の集合体の形状を数値化している。繊維の配向強度は、配向角を示す繊維の量を示す概念であり、配向強度は、1.05未満では、ほとんど配向しておらず、1.05以上で配向を有しているといえる。しかしながら、本実施形態においては、繊維配向がその部位によって変化している。すなわち、ある配向角の状態の部位から異なる配向角の部位へと変化する間(繊維がある方向に配向強度が強い状態から異なる配向に強い強度を示す部位へ変化する間)に、配向強度が弱い状態や再配向することで高い状態へ至る等の様々な状態を有する。そのため、ある強い配向角を示す部位と別の方向に強い配向角を示す部位との間においては、繊維の配向強度が弱くとも繊維の配向角が変わっていることが好ましく、配向強度が高いことがより好ましい。配向角、配向強度について本実施形態において一例を示すと、第1突出部11の壁部13の曲面構造に対して配向角は、50°以上130°以下が好ましく、より好ましくは60°以上120°以下であり、配向強度は1.05以上が好ましく、より好ましくは1.10以上である。
積層不織布10を吸収性物品の表面シートとして用いた場合、各々の壁部14の繊維配向性により高加圧下においても積層不織布10は十分な耐圧縮性を有し、積層不織布10の凸部11の潰れを防ぐ。これにより液戻りを防ぐ効果を十分に発揮する。
[繊維密度の測定]
不織布をCD方向断面に切断し、その切断面を、走査電子顕微鏡を使用して拡大観察し、一定面積あたりの切断面において切断されている繊維の断面積を数えた。拡大観察は、繊維断面が30本から60本程度計測できる倍率(150倍から500倍)に調整した。本実施例では倍率を100倍とした。観察部位は、第1繊維層の第1凸部11Aの頂部11AT、第2繊維層の第2凸部11Bの頂部11BT、凹部12のそれぞれの厚みの中心付近とした。次に1mmあたりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とした。測定は、それぞれ3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。上記走査電子顕微鏡には、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いた。
次に、評価方法について説明する。評価は、シート性能として不織布の性能を調べた。
シート性能は、積層不織布の「肌触り」、「低荷重時の圧縮特性値」および「液戻り量」を評価した。
低荷重時とは、0.30gf/cmから1.00gf/cmの間の荷重がかけられた時をいう。
[肌触りの評価方法]
20人のモニター(モニターは現在おむつを使用しているお子様がいる母親)に、不織布を見えない状態で触ってもらい、柔軟性、柔らかさ、クッション性等の感触を総合的に肌触りとして、以下の4段階の判定基準で評価した。結果は、20人の平均値で示した。
<評価基準>
4:優れている
3:良い
2:やや劣る
1:劣る
[低荷重時の圧縮特性値の評価方法]
22℃65%RH環境下にて、本発明では低荷重時の圧縮特性値を、肌触りを表す新しい特性値として定義している。測定は22℃65%RH環境下にて行った。低荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3−AUTO−A(商品名)を用いた。不織布1を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に設置する。次に、面積2cmの円形平面をもつ鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/s、最大圧縮荷重1.0gf/cm、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(gf/cm)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
低荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、低荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.30gf/cmから1.00gf/cmの間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(gf/cm))。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の低荷重時の圧縮特性値とする。
[液戻り量の測定法]
液戻り量の測定は、吸収性物品100の一例として乳幼児用おむつ(花王株式会社製:メリーズさらさらエアスルー(登録商標)Mサイズ、2012年製)から表面シートを取り除き、その代わりに積層不織布10の試験体(以下、不織布試験体という)を用い、その周囲を固定して得た評価用の乳幼児用おむつを用いた。
上記不織布試験体上に3.5kPaの圧力を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから人口尿を注入した。人工尿としては、生理食塩水を用い、10分ごとに40gずつ4回にわたり、計160gの人工尿を注入した。
注入完了から10分静置した後に、上述の円筒および圧力を取り除いた。そして、アドバンテック社製のろ紙No.5C(100mm×100mm)を20枚重ねた吸収シート(質量=M1)に3.5kPaの圧力がかかるように調整した重りを、注入点を中心として不織布試験体上に置いた。
5分静置した後に重りを取り除き、ろ紙の質量(M2)を測定し、次式のようにして、液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=加圧後のろ紙の質量(M2)−加圧前のろ紙の質量(M1)
積層不織布10について、物性(繊度、繊維長、捲縮数、捲縮率、残留捲縮率、坪量、変形しやすさ、戻り難さ、低荷重厚み、高荷重厚み、繊維配向角、繊維配向度、繊維密度、等)および性能(肌触り、液戻り量)について、その結果を表1に示す。
Figure 0006468803
表1に示した結果から明らかなように、各実施例1から実施例7は、いずれの評価項目においても良好な結果を得た。肌触りは「良好」もしくは「優れている」という評価であった。また低荷重時の圧縮特性値は4.0(gf/cm)/mmから5.2(gf/cm)/mmと低かった。さらに液戻り量は1.0gから1.5gと少なかった。このように、各実施例1から7では、良好以上の肌触りを得ることと液戻り量を低減することの両立が図れた。
比較例1は、隙間が無いため、肌触りが「やや劣る」という評価となった。低荷重時の圧縮特性値は15.0(gf/cm)/mmと高くなった。しかし、液戻り量は1.0gと少なかった。また比較例2は、隙間が開きすぎるため、肌触りは「優れている」という評価であった。また低荷重時の圧縮特性値は4.0(gf/cm)/mmと低かった。しかし、液戻り量は2.5gと多かった。このように、比較例1および2では、良好な肌触りを得ることと液戻り量を低減することの両立が図れなかった。
また、実施例4から7は、実施例1から3の第2繊維層の繊維の賦形性を低くした繊維を第2繊維層に用いた実施例である。このように、第1繊維層の繊維に対して賦形性の低い繊維を用いた場合、第1の熱風W1の風速と第2の熱風W2の風速が同じであっても、隙間を有するように第2繊維ウエブを賦形することができる。このことは、第2の製造方法によっても、本発明の積層不織布が製造されることを意味している。したがって、本実施形態の積層不織布10は、第1製造方法、第2製造方法によらず、製造できるものであることが立証されている。
10 積層不織布
10A 第1繊維層
10B 第2繊維層
11 凸部
11A 第1凸部
11B 第2凸部
11AT 頂部
12 凹部
12A 第1凹部
12B 第2凹部
12BB 底部
13 隙間
14 壁部
14A 第1壁部
14B 第2壁部
31 第1繊維ウエブ
33 第2繊維ウエブ
100 支持体
110 突起状部
200 使い捨ておむつ

Claims (6)

  1. シート状の積層不織布を平面視した側の第1面側に突出した凸部と、前記第1面側とは反対の第2面側に凹んだ凹部とを有し、前記凸部と前記凹部は、該積層不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配され
    前記積層不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを有し、
    前記第1繊維層の第1凸部と前記第2繊維層の第2凸部との間に隙間を有し、
    前記第1繊維層における第1凸部の頂部と第1凹部の底部との間に配された第1壁部および前記第2繊維層における第2凸部の頂部と第2凹部の底部との間に配された第2壁部はいずれの位置においても厚み方向に繊維配向性を有し、
    前記積層不織布の凹部、前記第2凸部の頂部、前記第1凸部の頂部の順で繊維密度が低くなる積層不織布。
  2. 前記積層不織布の全体厚みをTS,前記第2繊維層の全体厚みをT2として、T2/TSが50%以上90%以下である請求項1に記載の積層不織布。
  3. 3.5kPaの荷重下で、前記隙間が押しつぶされ、前記第1凸部の内側と前記第2凸部の外側が接触する請求項1または請求項2に記載の積層不織布。
  4. 凹凸形状を有し、かつ通気性を有する支持体上に、熱可塑性繊維を含有する第1繊維ウエブおよび熱可塑性繊維を含有し前記第1繊維ウエブよりも賦形性が低い第2繊維ウエブを重ねて搬送し、該第1繊維ウエブおよび第2繊維ウエブに熱風を吹き付けて、該第1繊維ウエブおよび第2繊維ウエブ間に隙間を配して前記凹凸形状に追随させて賦形する工程と、
    前記第1繊維ウエブおよび前記第2繊維ウエブに熱風を吹き付けて、前記支持体の凹凸形状に賦形したまま前記第1繊維ウエブの繊維同および前記第2繊維ウエブの繊維同を融着させると同時に、前記第1繊維ウエブと前記第2繊維ウエブとを熱融着させて接合して第1繊維層と第2繊維層を得る熱融着工程とを備える積層不織布の製造方法。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層不織布を、または請求項に記載の製造方法により製造された積層不織布を用いた表面シート。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層不織布を、または請求項に記載の製造方法により製造された積層不織布を用いた吸収性物品。

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