JP6397323B2 - 多層薬剤包装用フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、このような単層フィルムを用いて酸性またはアルカリ性の物質を包装した場合、保存期間中に内容物(酸性またはアルカリ性の物質)とポリビニルアルコール樹脂とが反応して、水溶性フィルムが不溶化してしまうという問題があった。また、保存期間中に落下強度の低下が生じるという問題も新たに発生していた。
しかしながら、特に、内容物が塩素含有薬剤である場合、長時間保管すると、多糖類、アクリル系樹脂を含む層が変色したり、破れが生じたりする等の問題が発生していた。
また、ポリビニルアルコール系重合体を含む層と、多糖類、アクリル系樹脂を含む層は、密着性が低く、界面で剥離してしまうという問題も生じていた。
以下に本発明を詳述する。
以下、各層について説明する。
上記保護層は、変性ポリビニルアルコール樹脂(以下、変性PVAともいう)を含有する。
なお、本発明において、保護層とは、多層薬剤包装用フィルムとして使用する場合に、内容物である薬剤と接する層のことをいう。
上記スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることで、塩素等の塩基性物質との反応が起こりにくいことから、特に包装する薬剤が塩素含有薬剤である場合に、耐薬品性の優れた多層薬剤包装用フィルムとすることができる。
なお、上記変性ポリビニルアルコール樹脂としては、上記ポリビニルアルコール樹脂と上記親水性基を有する他のモノマーとを共重合して得られるもののほか、上記ポリビニルアルコール樹脂に親水性基を付加することによって得られるものも含まれる。
上記式(4−2)中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記鹸化度の調整方法は特に限定されない。鹸化度は、鹸化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定することができる。
なお、上記ガラス転移温度は、JIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」に基づき測定することができる。具体的には例えば、保護層から採取した試料を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した場合の中間点ガラス転移温度をいう。
上記変性ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層薬剤包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の多層薬剤包装用フィルムとなることがある。上記変性ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られることがある。
多層薬剤包装用フィルムは、高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、高い引張強度や耐久性が要求される。特に低温での耐衝撃性が重視される。上記保護層に可塑剤を含有することで、ガラス転移点を下げることが可能となり、低温での耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、多層薬剤包装用フィルムの水に対する溶解性を向上させることもできる。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
上記可塑剤含有量のより好ましい下限は3.2重量部、より好ましい上限は13重量部である。
上記基材層は、ポリビニルアルコール樹脂を含有する。アセチル基、水酸基を有するポリビニルアルコール樹脂を基材層に用いることで、透明性に優れた多層薬剤包装用フィルムを得ることができる。
なお、本発明において、基材層とは、多層薬剤包装用フィルムとして使用する場合に、内容物である薬剤と接しない層のことをいう。また、本発明において、ポリビニルアルコール樹脂は、変性されていないポリビニルアルコール樹脂のことをいう。
また、上記基材層にも保護層と同様の可塑剤を添加してもよい。
なお、上記ガラス転移温度はJIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」により測定することができる。具体的には例えば、基材層から採取した試料を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した場合の中間点ガラス転移温度をいう。
上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層薬剤包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の薬剤包装用フィルムとなることがある。上記ポリビニルアルコール樹脂の含有量が上記上限以下であると、多層薬剤包装用フィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られることがある。
上記鹸化度の差が10モル%以下であることで、保護層と基材層との親和性が優れることにより密着力を高めることができる。
なお、上記鹸化度の差のより好ましい上限は12モル%である。
上記ガラス転移温度の差が−5℃以上15℃以下であることにより、保護層と基材層の界面の追随性を高めることができ、密着性に優れた多層薬剤包装用フィルムを得ることが可能となる。
なお、上記ガラス転移温度の差のより好ましい上限下限は0℃以上10℃以下である。
また、上記保護層の厚みと、基材層を厚みとの差は80μm以下であることが好ましい。上記厚みの差が80μm以下とすることで、多層薬剤包装用フィルムの溶解時間と塩素含有衛生剤への抵抗性を両立することができる。
上記塩素含有薬剤としては、次亜塩素酸塩、塩素化イソシアヌル酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩等が挙げられ、具体的には例えば、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、その塩およびその水和物等が挙げられる。なかでも、トリクロロイソシアヌル酸またはその塩またはその水和物を用いる場合が好ましい。
上記塩素含有薬剤は、任意の適当な形態、例えば顆粒剤、粉末、液体、ゲルまたは錠剤であってもよい。
上記塩素含有薬剤以外の酸化性化学薬品としては、臭素化イソシアヌル酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硼酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、過酸化物、過酸化ケトン、ペルオキシ酸、無機酸等が挙げられる。
本発明の薬剤包装用フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、最初に変性PVA、可塑剤及び水を含有する変性PVA水溶液を支持部材に流延し、乾燥した後、得られた変性PVAフィルムの表面に、PVA、可塑剤及び水を含有するPVA水溶液を支持部材に流延し、乾燥する方法を用いることができる。具体的には、溶液流延法(キャスト法)、ロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法及びスプレー法が挙げられる。なお、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液を流延、乾燥する順序は逆であってもよい。
また、保護層と基材層とを押出成形により別々に作製した後、積層する方法や、多層押出により作製する方法を用いてもよい。
また、上記水の含有量は900重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは700重量部以下である。上記水の含有量が上記下限以上であると、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の粘度が適度に低くなり、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の流延が容易になる。上記水の含有量が上記上限以下であると、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の粘度が適度に高くなり、上記変性PVA水溶液、PVA水溶液の流延が容易になり、乾燥時間がより一層短くなり、多層薬剤包装用フィルムの配向がより一層高められた、より一層良好な品質の多層薬剤包装用フィルムが得られる。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は以下の方法で測定したところ、58℃であった。
ガラス転移温度(Tg)は、試料約10mgを、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記条件で測定し、JIS K7121(1987)の「9.3ガラス転移温度の求め方」に基づいて求めた中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
装置:TA Instruments社製 Q−2000
平均昇温速度:5℃/min
温度振幅:±0.53℃
変調周期:40sec
ポリビニルアルコール樹脂(セキスイスペシャリティケミカルズ社製Selvol513、重合度1300、鹸化度87.5モル%、4重量%水溶液粘度14mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
得られた基材層のガラス転移温度は50℃であった。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(2)で表される構成単位を有し、上記式(2)中、R1が2−メチレンプロピレン基であるスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1200、鹸化度95.4モル%、スルホン酸基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度12mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ5μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は63℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは45μmとした。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)86重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)7.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)7.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ10μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は46℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは40μmとした。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(2)で表される構成単位を有し、上記式(2)中、R1が2−メチレンプロピレン基であるスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1200、鹸化度92モル%、スルホン酸基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度12mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ45μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は65℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。なお、基材層の厚みは5μmとした。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(3)で表される構成単位を有し、上記式(3)中、R2が単結合であるアミノ基変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度600、鹸化度91.8モル%、アミノ基変性量8モル%、4重量%水溶液粘度6mPa・s)95重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)2.5重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)2.5重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は60℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は58℃であった。
上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度1000、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:58℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度1800、鹸化度99.3モル%、4重量%水溶液粘度28mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
得られたPVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上にPVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させたPVAフィルムのガラス転移温度は45℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、TC−5S)100重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を作製した。
次いで、比較例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:160℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度900、鹸化度98.0モル%、4重量%水溶液粘度10mPa・s)100重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、実施例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:74℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度2300、鹸化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度50mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
得られたPVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上にPVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムからPETを剥離させたPVAフィルムのガラス転移温度は49℃であった。
得られた積層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層薬剤包装用フィルムを作製した。
(多層薬剤包装用フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂(重合度2300、鹸化度88.0モル%、4重量%水溶液粘度50mPa・s)92重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)4.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)4.0重量部、を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、実施例1で得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層(ガラス転移温度:49℃)が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
(保護層フィルムの作製)
ポリビニルアルコール樹脂として上記式(1)で表される構成単位を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール樹脂(重合度2100、鹸化度95.8モル%、ピロリドン環基変性量4モル%、4重量%水溶液粘度37mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部、を水667重量部に溶解させて15重量%の変性PVA水溶液を作製した。
得られた変性PVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、リップコーター法により塗布し、70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、支持部材上に変性PVAフィルム(厚さ25μm)が積層された積層フィルムを得た。なお、得られた積層フィルムからPETを剥離させた変性PVAフィルムのガラス転移温度は、43℃であった。
ポリビニルアルコール樹脂(重合度1400、鹸化度92モル%、4重量%水溶液粘度17mPa・s)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3.0重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3.0重量部を667重量部の水に溶解させて15重量%のPVA水溶液を作製した。
次いで、得られた積層フィルムの変性PVAフィルム側にPVA水溶液を塗布し、乾燥温度を70℃で10分間乾燥させ、次に110℃で10分間乾燥させ、変性PVAフィルム(保護層)に厚み25μmの基材層が積層された多層薬剤包装用フィルムを得た。
得られた基材層のガラス転移温度は55℃であった。
実施例及び比較例で得られた多層薬剤包装用フィルムについて以下の方法により評価を行った。
結果を表2に示した。
得られた多層薬剤包装用フィルムを用いて、5cm×4cmの袋を作製し、該袋でトリクロロイソシアヌル酸ナトリウム20gを実包し、更にアルミ袋に入れ密封した後、温度40℃、湿度70%RHの恒温恒湿オーブンに1ヶ月間放置した。その後、多層薬剤包装用フィルムの外観を目視観察した。
○:外観変化なし
×:外観に黄変及び/又は着色がみられる
得られた多層薬剤包装用フィルムを5cm×4cmにカットした後、ドライアイスに10分間挟み、ピペットで多層薬剤包装フィルム中の保護層と基材層の界面を剥離させて、投錨性を以下のように評価した。
○○:剥離できない
○:一部剥離した
×:完全剥離した
得られた積層フィルムから支持体を剥離して多層薬剤包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。
その後、多層薬剤包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を23℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムをかかる水中に浸漬した。治具からフィルムの残査が視認できなくなった時間を測定し、以下の基準により評価した。
○○:20秒未満
○:20秒以上30秒未満
×:30秒以上
得られた多層薬剤包装用フィルムについて、ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DPK)を用いて20℃でのヘイズを測定し、以下の基準により評価した。
○:ヘイズが3.5%未満
×:ヘイズが3.5%以上
Claims (4)
- 少なくとも保護層と基材層とを有する多層薬剤包装用フィルムであって、
前記保護層は、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を含有し、
前記変性ポリビニルアルコール樹脂は、親水性基を有する構成単位の含有量が0.1〜15モル%、鹸化度が90.0モル%以上、99.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・sであり、
前記基材層は、鹸化度85.0モル%以上90.0モル%未満、4重量%水溶液粘度が5〜35mPa・s未満であるポリビニルアルコール樹脂を含有し、
前記保護層を構成する変性ポリビニルアルコール樹脂と、前記基材層を構成するポリビニルアルコール樹脂とは、鹸化度の差が10モル%以下である
ことを特徴とする多層薬剤包装用フィルム。 - 保護層と基材層のガラス転移温度の差が−5℃以上15℃以下であることを特徴とする請求項1記載の多層薬剤包装用フィルム。
- 保護層は、変性ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対して、可塑剤を3〜15重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載の多層薬剤包装用フィルム。
- 多層薬剤包装用フィルムは、全体の厚みが30〜100μm、保護層の厚みが3〜50μmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の多層薬剤包装用フィルム。
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