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JP2016156013A - 薬剤包装用フィルム - Google Patents

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JP2016156013A
JP2016156013A JP2016029182A JP2016029182A JP2016156013A JP 2016156013 A JP2016156013 A JP 2016156013A JP 2016029182 A JP2016029182 A JP 2016029182A JP 2016029182 A JP2016029182 A JP 2016029182A JP 2016156013 A JP2016156013 A JP 2016156013A
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JP
Japan
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film
polyvinyl alcohol
drug packaging
pva
group
Prior art date
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Application number
JP2016029182A
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English (en)
Inventor
慎太郎 森口
Shintaro Moriguchi
慎太郎 森口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムを提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコールを含有する薬剤包装用フィルムであって、前記薬剤包装用フィルムの配向性が10〜150nmであり、かつ、前記ポリビニルアルコールは、ケン化度が90.0〜99.0モル%である薬剤包装用フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムに関する。
ポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)は、透明性、耐油性、耐薬品性、及び酸素等のガスバリア性に優れていることから、包装材料として広く用いられている。近年、酸化による劣化が特性に大きな影響を与える食品、医薬品、工業薬品、農薬などの包装材料としても、多く使用されている。
PVAからなるフィルムを薬剤等の包装用途に使用する場合は、例えば、PVAフィルムを連続して繰り出しながら、薬剤を充填した後、製袋する方法等が用いられる。
しかしながら、このようなPVAフィルムを用いて酸性又はアルカリ性の物質を包装した場合、保存期間中に内容物(酸性又はアルカリ性の物質)とポリビニルアルコールとが反応して、水溶性フィルムが不溶化してしまうという問題があった。
また、保存期間中に落下強度の低下が生じるという問題も新たに発生していた。
これに対して、特許文献1には、ポリビニルアルコール系樹脂に、多塩基酸またはそのアルカリ金属塩、及び、ヒドラジン系化合物を添加することで、熱履歴を受けた後の水溶解性を改善する技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、フィルムの柔軟性が低く、薬剤を包装する際の加工適正が悪いという課題や、水溶解性が依然として不充分であり、特に溶解時間が長くなるという課題があった。
一方で、農薬や薬剤等の包装用途に使用される水溶性フィルムでは、PVAをカルボキシル基等で変性したり、可塑剤を添加したりすることで、水溶性フィルムとしての性能を向上させることが行われているが、充填する薬剤との接触により、フィルムが徐々に淡黄色に変色するという問題が新たに生じていた。
これに対して、特許文献2には、ポリビニルアルコール系樹脂に、可塑剤、亜硫酸塩を添加した水溶性フィルムが開示されており、製膜時の着色が少なく、薬剤と接触しても経時的な着色が少ない水溶性フィルムが得られるとしている。
しかしながら、水溶性フィルム中に亜硫酸塩を添加しても溶解時間が短縮できないという問題があった。また、亜硫酸塩は弱酸と反応して、二酸化硫黄ガスを発生することがあり、水溶性フィルムから異臭が発生するという問題もあった。
特開2003−171521号公報 特開2005−179390号公報
本発明は、優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアルコールを含有する薬剤包装用フィルムであって、前記薬剤包装用フィルムの配向性が10〜150nmであり、かつ、前記ポリビニルアルコールは、ケン化度が90.0〜99.0モル%である薬剤包装用フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、薬剤包装用フィルムの成分として、所定のケン化度を有するポリビニルアルコールを用いるとともに、薬剤包装用フィルムの配向性を所定の範囲内とすることで、優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムとすることができることを見出した。更に、このような薬剤包装用フィルムは、薬剤包装後も優れた視認性を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の薬剤包装用フィルムに用いられる各成分の詳細を説明する。
(ポリビニルアルコール(PVA))
本発明の薬剤包装用フィルムは、ポリビニルアルコールを含有する。
上記ポリビニルアルコールは、本発明の薬剤包装用フィルムの主たる構成成分となる。
上記ポリビニルアルコールは、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーを鹸化、すなわち加水分解することにより得られる。鹸化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられる。鹸化には、アルカリを用いることが好ましい。上記ポリビニルアルコールとしては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエステルの重合方法は特に限定されない。この重合方法として、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法等が挙げられる。
上記ビニルエステルを重合する際に用いる重合触媒としては、例えば、2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート(Tianjin McEIT社製「TrigonoxEHP」)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−セチルペルオキシジカーボネート及びジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート等が挙げられる。上記重合触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
鹸化度を好適な範囲に制御しやすいので、上記ビニルエステルを重合して得られるポリマーは、ポリビニルエステルであることが好ましい。また、上記ビニルエステルを重合して得られるポリマーは、上記ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体であってもよい。すなわち、上記ポリビニルアルコールは、ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体を用いて形成されていてもよい。上記他のモノマーすなわち共重合されるコモノマーとしては、例えば、オレフィン類、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、マレイン酸及びその塩、マレイン酸エステル、イタコン酸及びその塩、イタコン酸エステル、ビニルシリル化合物、並びに酢酸イソプロペニル等が挙げられる。上記他のモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びイソブテン等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、アクリルアミド、n−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。上記N−ビニルアミド類としては、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。上記ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル及びn−ブチルビニルエーテル等が挙げられる。上記ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。上記アリル化合物としては、酢酸アリル及び塩化アリル等が挙げられる。上記ビニルシリル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記PVAは、ケン化度が90.0〜99.0モル%である。
上記ケン化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムの耐水性及び薬剤を開放するときの溶解時間の制御がし易くなり、耐水性と溶解時間の制御との双方をバランスよく高めることができる。
上記PVAのケン化度の好ましい下限は92.0モル%、好ましい上限は98.0モル%である。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
上記ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
上記変性PVAは、ケン化度分布標準偏差(σ)が0.1〜1.0モル%であることが好ましい。
上記ケン化度分布標準偏差が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記変性PVAのケン化度分布標準偏差のより好ましい下限は0.2モル%、より好ましい上限は0.9モル%である。
なお、上記ケン化度分布標準偏差は変性PVA中のケン化度バラつきを示す指標であり、例えば、FT−IR等を用いて測定し、算出することができる。
上記PVAの重合度は特に限定されない。上記PVAの重合度の好ましい下限は400、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は600、特に好ましい下限は900、好ましい上限は2000、より好ましい上限は1800、更に好ましい上限は1500である。上記重合度が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムを製膜するときの適度な水溶液の粘度になる。上記重合度が上記上限以下であると、薬剤包装用PVAフィルムの強度がより一層高くなり、耐水性が得られる。なお、上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
上記PVAは、4重量%水溶液として、20℃で測定した粘度の好ましい下限が3mPa・s、好ましい上限が30mPa・sである。上記粘度が3mPa・s未満であると、耐水性を損なうことがある。上記粘度が30mPa・sを超えると、溶解時間が長くなることがある。上記粘度のより好ましい下限は8mPa・s、より好ましい上限は20mPa・sである。
なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定することができる。
上記PVAとしては、変性PVAを用いてもよい。
上記変性PVAは、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基で変性されたものであることが好ましい。
なかでも、スルホン酸基、ピロリドン環基が好ましい。上記親水性基には、上述した官能基に加えて、ナトリウム、カリウム等の塩も含む。
なお、上記親水性基で変性された変性PVAとしては、未変性ポリビニルアルコールと上記親水性基を有する他のモノマーとを共重合して得られるもののほか、未変性ポリビニルアルコールに親水性基を付加することによって得られるもの等が含まれる。
上記変性PVAとしては、例えば、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、ピロリドン環変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
上記スルホン酸基変性ポリビニルアルコールとしては、変性によってスルホン酸基が導入されたものであれば特に限定されないが、スルホン酸基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。
上記連結基としては、アミド基、アルキレン基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。なかでも、アミド基とアルキレン基の組み合わせが好ましい。
また、上記スルホン酸基は、スルホン酸塩からなるものであることが好ましく、特にスルホン酸ナトリウム基であることが好ましい。
特に、上記変性PVAが、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールである場合、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2016156013
上記式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
上記変性PVAが、ピロリドン環変性ポリビニルアルコールである場合、ピロリドン環変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2016156013
上記変性PVAが、アミノ基変性ポリビニルアルコールである場合、アミノ基変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2016156013
上記式(3)中、Rは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記変性PVAが、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールである場合、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、下記式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2016156013
上記式(4−1)、(4−2)及び(4−3)中、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立し、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。即ち、本明細書中、カルボキシル基を有する構成単位に含まれるカルボキシル基には、カルボキシル基の塩及びメチルエステルも含まれる。金属原子として、例えば、ナトリウム原子等が挙げられる。
上記式(4−2)中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記変性PVAの市販品としては、例えば、「KL−318」、「KL−118」、「KM−618」、「KM−118」(いずれもクラレ社製)等が挙げられる。
上記変性PVAにおける親水性基を有する構成単位の含有量は0.2〜10モル%であることが好ましい。上記親水性基を有する構成単位の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、塩素含有衛生剤又は酸化性化学薬品に対しても、長期間に渡って、フィルムの変色や破れることのない抵抗性のあるフィルムを得ることができる。
上記親水性基を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は8モル%である。
上記変性PVAを作製する方法としては、例えば、未変性ポリビニルアルコールと上記親水性基を有する他のモノマーとを共重合する方法、未変性ポリビニルアルコールに親水性基を付加する方法等が挙げられる。
本発明の薬剤包装用フィルム100重量%中、上記ポリビニルアルコールの含有量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は97重量%である。
上記ポリビニルアルコールの含有量が上記下限以上であると、薬剤包装用フィルムから可塑剤のブリードアウトがないより一層良好な品質の薬剤包装用フィルムとなることがある。上記ポリビニルアルコールの含有量が上記上限以下であると、薬剤包装用PVAフィルム の強度がより一層高くなり、耐水性が得られることがある。
本発明の薬剤包装用フィルムは、可塑剤を含有する。
薬剤包装用フィルムは、高温多湿の地域や寒冷地でも運搬、貯蔵、使用がなされるため、高い引張強度や耐久性が要求される。特に低温での耐衝撃性が重視される。本発明の薬剤包装用フィルムは、可塑剤を含有することで、ガラス転移点を下げることが可能となり、低温での耐久性を向上させることができる。また、上記可塑剤を含有することで、薬剤包装用フィルムの水に対する溶解性を向上させることもできる。
上記可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
本発明の薬剤包装用フィルムにおいて、ポリビニルアルコール100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限が3重量部、好ましい上限が15重量部である。上記可塑剤の含有量が3重量部未満であると、可塑剤の配合効果が得られない場合がある。一方、可塑剤の配合割合が15重量部を超えると、可塑剤のブリードアウトが大きくなり、得られる薬剤包装用フィルムのブロッキング防止性が悪化する場合がある。
上記可塑剤含有量のより好ましい下限は3.2重量部、より好ましい上限は13重量部である。
本発明の薬剤包装用フィルムは、配向性が10〜150nmである。
上記配向性が上記下限以上及び上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムの溶解性、薬品耐性がよくなり、薬剤を開放するときの溶解時間、及び薬品を包装した際の保存期間の双方をバランスよく高めることができる。
上記配向性の好ましい下限は15nm、好ましい上限は120nmである。
なお、上記配向性は薬剤包装用フィルム中のPVA分子配列の規則正しさを示す指標であり、例えば、位相差測定装置(KOBRA−WR、王子計測機器製)を用いることで測定することができる。
本発明の薬剤包装用フィルムの厚さは、好ましい上限が100μm、より好ましい上限が80μm、更に好ましい上限が75μmである。本発明の薬剤包装用フィルムの厚さは好ましい下限が10μmである。上記薬剤包装用フィルムの厚さが上記下限以上であると、薬剤を包装するフィルムの強度がより一層高くなる。上記薬剤包装用フィルムの厚さが上記上限以下であると、薬剤包装用フィルムとしてのパッケージング性やヒートシール性がより一層高くなり、加工時間をより一層短くなって生産性がより一層高くなる。
本発明の薬剤包装用フィルムは、さらに必要に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。特に製膜装置のダイスやドラムなどの金属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性を向上させるために、PVA100重量部に対して界面活性剤を0.01〜5重量部の割合で配合することが好ましい。
本発明の薬剤包装用フィルムは、液滴法により蒸留水を用いて測定した接触角の下限が20°、上限が50°である。上記接触角が20°以上であると、繰り出し性に優れた薬剤包装用フィルムを得ることができる。上記接触角が50°以下であると、ロール汚染を抑制した薬剤包装用フィルムを得ることができる。上記接触角の好ましい下限は23°、より好ましい下限は30°、好ましい上限は49°、より好ましい上限は40°である。
上記接触角は、JIS R 3257に準じて、測定することができる。例えば、接触角計Thetaライト(BiolinScientific社製)を用い、蒸留水を薬剤包装用フィルムに滴下することにより測定することができる。
(薬剤包装用フィルムの製造方法)
本発明の薬剤包装用フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、PVA、可塑剤及び水を含有するPVA水溶液を支持部材に流延し、乾燥する方法等を用いることができる。具体的には、溶液流延法(キャスト法)、ロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法及びスプレー法が挙げられる。
上記PVA水溶液は、上記PVA、可塑剤とともに水を含む。上記PVAは、主として、上記水中に溶解されている。
上記PVA水溶液において、上記PVAを含む水以外の成分100重量部に対して、上記水の含有量は300重量部以上、好ましくは400重量部以上、より好ましくは500重量部以上である。
また、上記水の含有量は900重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは700重量部以下である。上記水の含有量が上記下限以上であると、PVA水溶液の粘度が適度に低くなり、PVA水溶液の流延が容易になる。上記水の含有量が上記上限以下であると、PVA水溶液の粘度が適度に高くなり、PVA水溶液の流延が容易になり、乾燥時間がより一層短くなり、薬剤包装用フィルムの配向がより一層高められた、より一層良好な品質の薬剤包装用フィルムが得られる。
上記支持部材は、PVA水溶液の流延時に、PVA水溶液を表面上に維持し、かつ得られるPVAフィルムを支持可能であることが好ましい。上記支持部材の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル及びアクリル樹脂等が挙げられる。これら以外の材料により形成された支持部材を用いてもよい。上記ポリオレフィンとしては、エチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。上記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。上記支持部材の材料は、PVAではないことが好ましい。
上記支持部材上に上記PVA水溶液を流延した後の乾燥方法は、適宜の方法を用いることができ、特に限定されない。乾燥方法としては、自然乾燥する方法、及び変性PVAのガラス転移温度以下の温度での加熱乾燥する方法等が挙げられる。
本発明の薬剤包装用フィルムを作製する場合、上記乾燥中や乾燥を行った後に延伸工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことで、より好適に薬剤包装用フィルムの配向性を所定の範囲内とすることができる。
上記延伸工程としては、例えば、ロールを用いた延伸、テンターを用いた延伸、巻取装置を用いた延伸、乾燥収縮を利用した延伸、又は、これらを組み合わせた延伸等の方法が挙げられる。
また、上記延伸工程における延伸倍率としては、1.05〜3倍が好ましい。また、1.1〜2.8倍がより好ましい。
本発明によれば、優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムを提供することができる。
更に、薬剤を包装した後、長期間経過した場合でも高い視認性を維持することが可能な薬剤包装用フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
未変性のポリビニルアルコール(平均重合度1300、鹸化度98.0モル%)94重量部、可塑剤として、グリセリン(和光純薬工業社製)3重量部、トリメチロールプロパン(和光純薬工業社製)3重量部を水600重量部に溶解させて16.7重量%の水溶液を作製した。
得られたPVA水溶液を支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上に、オートフィルムアプリケーター(テスター産業社製「PI−1210」)を用いて塗布し、80℃で5分間乾燥させ、次に100℃で20分間乾燥させ、支持部材上にPVAフィルム(厚さ50μm)を得た。
得られたPVAフィルムから支持体を剥離して薬剤包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。
その後、薬剤包装用フィルムを150mm×50mmのサイズにカットして、幅が100mmになるように引張試験器にセットした。その後、幅が150mmになるまで延伸(延伸倍率:1.5倍)し、薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例2)
幅が200mmになるまで延伸(延伸倍率:2.0倍)した以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例3)
幅が250mmになるまで延伸(延伸倍率:2.5倍)した以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例4)
未変性のポリビニルアルコールに代えて、式(1)に示す構造を有するスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール(平均重合度600、R=CH、鹸化度90.2モル%、スルホン酸ナトリウム変性量4モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例5)
未変性のポリビニルアルコールに代えて、式(2)に示す構造を有するピロリドン環変性ポリビニルアルコール(平均重合度1000、鹸化度90.5モル%、ピロリドン変性量4モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例6)
未変性のポリビニルアルコールに代えて、式(3)に示す構造を有するアミノ基変性ポリビニルアルコール(平均重合度600、R=CH、鹸化度90.0モル%、アミノ基変性量8モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例7)
未変性のポリビニルアルコールに代えて、式(4−2)に示す構造を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(平均重合度700、R=CH、鹸化度91.2モル%、カルボキシル基変性量1.5モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例8)
未変性のポリビニルアルコール94重量部に代えて、式(1)に示す構造を有するスルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール(平均重合度1200、R=CH、鹸化度95.4モル%、スルホン酸ナトリウム変性量4モル%)5重量部と未変性のポリビニルアルコール(平均重合度1300、鹸化度90.0モル%)89重量部を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例9)
幅が250mmになるまで延伸(延伸倍率:2.5倍)した以外は実施例4と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例10)
幅が250mmになるまで延伸(延伸倍率:2.5倍)した以外は実施例5と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例11)
幅が250mmになるまで延伸(延伸倍率:2.5倍)した以外は実施例6と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(実施例12)
幅が250mmになるまで延伸(延伸倍率:2.5倍)した以外は実施例7と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例1)
延伸工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例2)
幅が300mmになるまで延伸(延伸倍率:3.0倍)した以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例3〜6)
延伸しなかった以外は実施例4〜7と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例7)
幅が300mmになるまで延伸(延伸倍率:3.0倍)した以外は実施例4と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例8)
幅が300mmになるまで延伸(延伸倍率:3.0倍)した以外は実施例5と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例9)
幅が300mmになるまで延伸(延伸倍率:3.0倍)した以外は実施例6と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例10)
幅が300mmになるまで延伸(延伸倍率:3.0倍)した以外は実施例7と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(比較例11)
未変性のポリビニルアルコール(平均重合度1300、鹸化度98.0モル%)に代えて、未変性のポリビニルアルコール(重合度1300、鹸化度80.4モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして薬剤包装用フィルムを得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られたフィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、ポリビニルアルコールの混合物を使用する場合、表1の平均重合度、ケン化度、変性基量には、各数値を添加比率で案分したものを合計した数値を記載した。
(1)配向性
得られた薬剤包装用フィルムを温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。その後、薬剤包装用フィルムを位相差測定装置(KOBRA−WR、王子計測機器社製)にて、入射角45°で測定し、測定した位相差Rの数値を配向性の値とした。
(2)水溶性(溶解時間)
薬剤包装用フィルムを得た後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に24時間暴露した。その後、薬剤包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定し、500mlビーカーに水(500ml)を入れてスターラーにより撹拌(400mlの印に渦巻の下が到達)しながら、水温を23℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムをかかる水中に浸漬した。治具からフィルムの残査が視認できなくなった時間を測定し、以下の基準により評価した。
○○:20秒未満
○:20秒以上30秒未満
×:30秒以上
(3)耐薬品性
得られた薬剤包装用フィルムを5cm×4cmの袋を作製し、該袋でトリクロロイソシアヌル酸ナトリウム20gを実包し、更にアルミ袋に入れ密封した後、温度40℃、湿度70%RHの恒温恒湿オーブンに1ヶ月間放置した。その後、薬剤包装用フィルムの外観を目視観察した。
○:外観変化なし
×:外観が黄変又は茶変の着色あり
(4)視認性
得られた薬剤包装用フィルムについて、ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DPK)を用いて20℃でのヘイズを測定し、以下の基準により評価した。
○:ヘイズが3.5%未満
×:ヘイズが3.5%以上
(5)耐久視認性
得られた薬剤包装用フィルムから5cm×4cmの袋を作製し、該袋でトリクロロイソシアヌル酸ナトリウム20gを実包し、更にアルミ袋に入れ密封した後、温度40℃、湿度70%RHの恒温恒湿オーブンに1ヶ月間放置した。その後、フィルム部分を切り取り、ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DPK)を用いて20℃でのヘイズを測定し、以下の基準により評価した。また、「(4)視認性」で測定したヘイズとの差から、ヘイズ変化率を算出した。
○:ヘイズが3.5%未満、かつ、ヘイズ変化率が20%未満
×:ヘイズが3.5%以上、又は、ヘイズ変化率が20%以上
Figure 2016156013
本発明によれば、優れた耐薬品性及び水溶性を実現することができるとともに、高い視認性を有する薬剤包装用フィルムを提供することができる。

Claims (3)

  1. ポリビニルアルコールを含有する薬剤包装用フィルムであって、
    前記薬剤包装用フィルムの配向性が10〜150nmであり、かつ、
    前記ポリビニルアルコールは、ケン化度が90.0〜99.0モル%である
    ことを特徴とする薬剤包装用フィルム。
  2. ポリビニルアルコールは、スルホン酸基、ピロリドン環、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基で変性された変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の薬剤包装用フィルム。
  3. 変性ポリビニルアルコールは、親水性基を有する構成単位の含有量が0.2〜10モル%であることを特徴とする請求項2記載の薬剤包装用フィルム。
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