[go: up one dir, main page]

JP6372636B1 - クラッド材の製造方法 - Google Patents

クラッド材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6372636B1
JP6372636B1 JP2018524840A JP2018524840A JP6372636B1 JP 6372636 B1 JP6372636 B1 JP 6372636B1 JP 2018524840 A JP2018524840 A JP 2018524840A JP 2018524840 A JP2018524840 A JP 2018524840A JP 6372636 B1 JP6372636 B1 JP 6372636B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plated
plating
clad
rolling
clad material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018524840A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018173586A1 (ja
Inventor
喜光 織田
喜光 織田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority claimed from PCT/JP2018/005757 external-priority patent/WO2018173586A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6372636B1 publication Critical patent/JP6372636B1/ja
Publication of JPWO2018173586A1 publication Critical patent/JPWO2018173586A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

このクラッド材の製造方法は、CuまたはCu基合金から構成されたCu材(104、404)に対してNiめっき処理を行うことによって、Cu材がNiめっき層に覆われたNiめっきCu材を作製し、NiめっきCu材に対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、AlまたはAl基合金から構成されたAl材(102、402)と熱処理が行われたNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材(110、410)を作製する。

Description

この発明は、クラッド材の製造方法に関する。
従来、Niめっき層を有するNiめっきCu材と、Al材とが接合されたクラッド材が知られている。そのようなクラッド材は、たとえば、特開2015−191755号公報に開示されている。
特開2015−191755号公報には、耐食性を向上させるためにNiめっき層が外表面に形成されたCu材とAl材とが、幅方向に延びる界面を介して接合されたクラッド材が開示されている。特開2015−191755号公報には、クラッド材の製造方法として、Al材とNiめっき処理前のCu材との互いの側縁部分を接合して接合材を作成した後、Cu材の外表面の部分にのみめっき浴を用いたNiめっきを行うことによって、クラッド材を作製することが開示されている。
しかしながら、特開2015−191755号公報に記載のクラッド材の製造方法では、Al材とめっき浴のめっき液とが接触するのを抑制するために、Niめっき処理時にAl材の露出する面の全面をマスクする必要がある。この場合、Al材を界面近傍までマスクする際に、Cu材の外表面の一部がマスクされる場合がある。この場合、Cu材のマスクされた部分ではCu材にNiめっき層が形成されないので、マスクされた部分におけるCu材が露出することに起因して、クラッド材の耐食性が低下するという不都合がある。また、Niめっきを圧延後に行うため、めっきの厚み分の段差ができるという不都合がある。
そこで、上記のような不都合を解決するために、予めCu材に対してNiめっき処理を行ってNiめっきCu材を作製した後、NiめっきCu材とAl材とを接合することによって、クラッド材を製造することが考えられる。ここで、Al材とNiめっきCu材との接合ではないものの、予めCu材に対してNiめっき処理を行ってNiめっきCu材を作製した後、NiめっきCu材と他の金属材(低炭素鋼または低合金鋼)とを接合するクラッド材の製造方法が知られている。そのようなクラッド材の製造方法としては、たとえば、特開昭59−185588号公報に開示されている。
特開昭59−185588号公報には、低炭素鋼または低合金鋼からなる母材と、Niめっきを施したCuからなる合わせ材とを隣接させて、300℃〜600℃の範囲の温度で、かつ、15%〜65%の圧下率で圧延することにより接合し、その後、冷間または温間で圧延を行った後、500℃以上の温度で焼鈍を行うクラッド板の製造方法が開示されている。
特開2015−191755号公報 特開昭59−185588号公報
しかしながら、本願発明者は、特開昭59−185588号公報に記載のクラッド板の製造方法では、300℃〜600℃で、かつ、15%〜65%の圧下率で母材とNiめっきを施したCuからなる合わせ材とを隣接させて圧延を行った際に、合わせ材のNiめっき層に、割れ(ひび)が発生するという問題点があることを発見し、Niめっき層の割れに起因して、クラッド材の耐食性が低下するという知見を得た。さらに、Niめっき層の割れが発生した部分において、母材と合わせ材との接合が十分に行われなくなるため、母材と合わせ材との接合強度も小さくなるという知見を得た。
そこで、本願発明者は、上記のような課題の知見に基づいて、その課題を解決するために本発明を行ったものであり、本発明の1つの目的は、予めCu材に対してNiめっき処理を行ってNiめっきCu材を作製した後、NiめっきCu材とAl材とを接合する場合において、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することが可能なクラッド材の製造方法を提供することである。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱処理温度を調整することにより、上記課題を解決可能であることを見出した。
つまり、本発明の一の局面によるクラッド材の製造方法は、CuまたはCu基合金から構成されたCu材に対してNiめっき処理を行うことによって、Cu材がNiめっき層に覆われたNiめっきCu材を作製し、NiめっきCu材に対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、AlまたはAl基合金から構成されたAl材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材を作製する。なお、「Cu基合金」および「Al基合金」とは、それぞれ、Cuを主成分として50質量%以上含む合金およびAlを主成分として50質量%以上含む合金を意味する。
本発明の一の局面によるクラッド材の製造方法では、上記のように、NiめっきCu材に対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、Al材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材を作製する。これにより、NiめっきCu材に対して650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことにより、Niめっき層の硬さを小さくすることができる。この結果、特開2015−191755号公報のように600℃以下の熱処理を行った後に、Al材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材を作製する場合と異なり、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することができる。なお、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することができることは、後述する実験(実施例)により確認済みである。また、Niめっきを行った後に、圧延を行うため、めっきの厚み分の段差が生じず、クラッド材の厚みを所定の厚みにすることが可能となる。
また、一の局面によるクラッド材の製造方法では、NiめっきCu材に対して850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、850℃を超えた保持温度で熱処理を行う場合と異なり、熱処理時にNiがCu内に多く拡散するのを抑制することができる。これにより、Niめっき層とCu材との界面にボイドが形成されるのを抑制することができるので、圧延時に、ボイドを起点としてNiめっき層に割れが発生するのを抑制することができる。
また、一の局面によるクラッド材の製造方法では、Cu材がNiめっき層に覆われたNiめっきCu材を作製した後に、Al材とNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材を作製する。これにより、Al材とCu材とを接合した後に、Niめっき処理をCu材に行う場合と異なり、Niめっき処理の処理液などがAl材に付着して腐食するのを防止することができるとともに、NiめっきCu材にNiめっき層が形成されていない部分が形成されるのを抑制することができる。これらの結果、クラッド材の耐食性が低下するのを抑制しつつ、NiめっきCu材とAl材との接合強度が小さくなるのを抑制することができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、Al材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを、40%以上90%以下の圧下率で圧延することにより接合する。この場合、より好ましくは、Al材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを、60%以上80%以下の圧下率で圧延することにより接合する。このように構成すれば、40%以上(より好ましくは60%以上)の圧下率で圧延することによって、圧下率が過度に小さいことに起因して、クラッド材に剥離や接合強度不足などの不具合が生じやすくなるのを抑制することができる。また、90%以下(より好ましくは80%以下)の圧下率で圧延することによって、圧下率が過度に大きいことに起因するNiめっき層における割れの発生を抑制しつつ、クラッド材の厚みを効率的に小さくすることができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、保持温度は、700℃以上である。このように構成すれば、Niめっき層の硬さを効果的に小さくすることができるので、Al材とNiめっきCu材との圧延において、比較的柔軟なCu材の変形にNiめっき層を追従して変形させることができる。これにより、Niめっき層に割れが発生するのを確実に抑制することができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、NiめっきCu材に対して、上記保持温度で0.5分以上5分以下熱処理を行う。このように構成すれば、上記保持温度で0.5分以上熱処理を行うことによって、Niめっき層の硬さを十分に小さくすることができる。また、上記保持温度で5分以下熱処理を行うことによって、熱処理時間が大きくなることに起因してクラッド材の作製に係るリードタイムが大きくなるのを抑制することができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、クラッド材に対して、保持温度よりも低い焼鈍時保持温度で拡散焼鈍を行う。このように構成すれば、拡散焼鈍によりクラッド材の接合強度を向上させることができる。また、拡散焼鈍を保持温度よりも低い焼鈍時保持温度で行うことによって、NiめっきCu材とAl材との接合強度を向上させつつ、拡散焼鈍時にAl材が溶融するのを抑制することができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、Al材およびNiめっきCu材は、共に厚み方向と直交する側の側端面を有する板状であり、板状のAl材の厚み方向と直交する側の側端面と、熱処理が行われた板状のNiめっきCu材の厚み方向と直交する側の側端面とを隣接させて圧延することにより接合する。このような側端面同士が接合されたクラッド材(いわゆる並接材)を製造する際に、NiめっきCu材に対して650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することができる。これにより、クラッド材の耐食性が低下するのを抑制しつつ、接合面積が小さくなりやすい側端面同士が接合される場合において、NiめっきCu材とAl材との接合強度が小さくなるのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、クラッド材は、リチウムイオン二次電池用のバスバーである。このように構成すれば、側端面同士が接合されたクラッド材により、異なる材質からなるリチウムイオン二次電池用の一対の端子(たとえば、Alからなる正極端子およびCuからなる負極端子)同士を容易に接続することができる。
上記一の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、Al材およびNiめっきCu材は共に板状であり、板状のAl材の厚み方向の表面と、熱処理が行われた板状のNiめっきCu材の厚み方向の表面とを隣接させて圧延することにより接合する。このような厚み方向の表面同士が接合されたクラッド材を製造する際に、NiめっきCu材に対して650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することができる。これにより、クラッド材の耐食性が低下するのを抑制しつつ、厚み方向の表面同士が接合される場合において、NiめっきCu材とAl材との接合強度が小さくなるのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、クラッド材は、リチウムイオン二次電池用の端子である。このように構成すれば、表面同士が接合されたクラッド材により、異なる材質からなるリチウムイオン二次電池用のバスバーおよび集電体(たとえば、AlからなるバスバーおよびCuからなる負極集電体)同士を容易に接続することができる。
本発明によれば、上記のように、予めCu材に対してNiめっき処理を行ってNiめっきCu材を作製した後、NiめっきCu材とAl材とを接合する場合において、Niめっき層に割れが発生するのを抑制することが可能なクラッド材の製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態によるクラッド材をバスバーとして用いた状態を示した斜視図である。 本発明の第1実施形態によるクラッド材の接合界面近傍の断面図である。 本発明の第1実施形態によるクラッド材の拡大断面図である。 本発明の第1実施形態によるクラッド材の製造工程を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態によるクラッド材の製造工程を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態によるクラッド材の圧延工程を説明するための模式的な斜視図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材を負極端子として用いた状態を示した斜視図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材を負極端子として用いた状態を示した断面図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材を負極端子として用いた状態を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材の製造工程を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材の製造工程を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態によるクラッド材の圧延工程を説明するための模式的な図である。 比較例1(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 比較例2(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 比較例3(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 比較例4(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例2(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例3(圧下率:60%)の表面状態を示した写真である。 比較例4(圧下率:40%)の表面状態を示した写真である。 比較例4(圧下率:80%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例2(圧下率:40%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例2(圧下率:80%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例3(圧下率:40%)の表面状態を示した写真である。 本発明の実施例4(圧下率:80%)の表面状態を示した写真である。 本発明の効果を確認するために行ったガス定量分析の結果を示したグラフである。 熱処理時の保持温度に対するビッカース硬さの変化を示したグラフである。 本発明の効果を確認するために行った耐食試験後の実施例5の断面写真である。 耐食試験後の比較例6の断面写真である。 本発明の第1変形例によるクラッド材を負極端子として用いた状態を示した断面図である。 本発明の第2変形例によるクラッド材を負極端子として用いた状態を示した断面図である。 本発明の第3変形例によるクラッド材を正極端子として用いた状態を示した断面図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態によるクラッド材10をバスバー1として用いた組電池100の構成について説明する。
本発明の第1実施形態による組電池100の構造について説明する。
本発明の第1実施形態による組電池100は、図1に示すように、複数のリチウムイオン二次電池20が、複数の平板状のバスバー1によって電気的に接続されることによって構成されている。
また、所定のリチウムイオン二次電池20のAlからなる正極端子21は、バスバー1のX方向の一方端(X1側の端部)に溶接(接合)されている。また、所定のリチウムイオン二次電池20と隣接するリチウムイオン二次電池20のCuからなる負極端子22は、バスバー1のX方向の他方端(X2側の端部)に溶接されている。これにより、複数のリチウムイオン二次電池20が直列に接続された組電池100が構成されている。
バスバー1は、図2に示すように、板状のAl部分2と、板状のNiめっきCu部分3と、が接合された板状のクラッド材10から構成されている。バスバー1では、板状のAl部分2の厚み方向(Z方向)と直交するX方向の側端面2aと、板状のNiめっきCu部分3とが厚み方向(Z方向)と直交するX方向の側端面3aとが隣接して接合されている。つまり、バスバー1を構成するクラッド材10は、いわゆる並接材である。
Al部分2は、AlまたはAl基合金から構成されている。なお、Alとしては、JIS H4000に規定されたA1050およびA1080などのA1000系を用いることが可能である。また、Al基合金としては、JIS H4000に規定されたA3000系およびA6000系などを用いることが可能である。また、Al部分2において、厚み方向と直交するX方向の側端面で、かつ、NiめっきCu部分3と接合される側端面2aには、後述するNiめっきCu部分3の側端面3aに形成された谷部および山部にそれぞれ対応するように、厚み方向(Z方向)およびX方向に、谷部および山部が形成されている。
NiめっきCu部分3は、図3に示すように、CuまたはCu基合金から構成された板状のCu材4と、Cu材4を覆うNiめっき層5とを含んでいる。なお、Cuとしては、JIS H3100に規定されたC1020(無酸素銅)、C1100(タフピッチ銅)およびC1220(りん脱酸銅)などのC1000系を用いることが可能である。また、Cu基合金としては、JIS H3100に規定されたC2000系などを用いることが可能である。なお、図2ではNiめっき層5を太線によって図示している。
Niめっき層5は、厚み方向と直交するX方向の2つの側端面と、厚み方向の両表面との全面に形成されている。また、Niめっき層5は、99質量%以上のNiおよび不可避不純物からなる。また、Niめっき層5は、板状のCu材4に対して後述する電解めっき処理を行うことによって形成されている。
また、Niめっき層5の厚みtは、約2μm以上約10μm以下であるのが好ましい。Niめっき層5の厚みtを約2μm以上にすることにより、バスバー1が腐食するのを確実に抑制することが可能である。また、Niめっき層5の厚みtを約10μm以下にすることにより、Niめっき層5の作成に要する時間が長くなるのを抑制することが可能である。
また、NiめっきCu部分3において、X方向の2つの側端面のうちAl部分2と接合される側端面3aには、Al部分2の側端面2aに形成された谷部および山部にそれぞれ対応するように、厚み方向(Z方向)およびX方向に、山部および谷部が形成されている。また、拡散焼鈍により、側端面2aと側端面3aとの間に接合界面Iが形成されている。なお、側端面2aの谷部と側端面3aの山部とが係合するとともに、側端面2aの山部と側端面3aの谷部とが係合することによって、側端面2aと側端面3aとの接合強度が向上されている。
ここで、第1実施形態では、Niめっき層5では、後述する圧延工程に起因する500μm以上の大きな割れ、および、100倍の倍率において視認可能な割れ(微細な割れ)は生じていない。また、接合界面Iでは、ガスに起因する接合不良部分(側端面3aにおいて、側端面2aと接合していない部分)がほとんど生じていない。
次に、図2〜図6を参照して、第1実施形態におけるバスバー1の製造プロセスについて説明する。この第1実施形態では、バスバー1を連続的に作製する方法について説明する。
(NiめっきCu材の作製)
まず、CuまたはCu基合金から構成された帯状(板状)のCu材104(図4参照)を準備する。そして、谷部と山部とを、帯状のCu材104の幅方向(X方向)の側端面(図2および図3参照)に形成する。この際、谷部と山部とを、幅方向と直交する方向(長手方向)の全体に亘って形成する。その後、図4に示すように、Cu材104に対して、電解めっき処理(フープめっき処理)を行うことによって、Cu材104の全面にNiめっき層105を連続的に形成する(図4の吹き出し内の拡大図参照)。
具体的には、Cu材104に対して、電気めっき浴201内を通過させることによって、Cu材104の全面にNiめっき層105を作製する。電気めっき浴201は、いわゆるワット浴である。つまり、電気めっき浴201には、硫酸ニッケル、塩化ニッケルおよびホウ酸などを所定の濃度含む電解めっき水溶液と、電解めっき水溶液内に配置されるとともに一方電極に接続されたNi材201aとが配置されている。そして、Cu材104に他方電極が接続された状態で電流が流されることにより、電解めっき水溶液中のニッケルイオンが、Cu材104の表面に移動して析出し、Ni被膜を形成する。このNi被膜は、ニッケルイオンがNi材201aから少しずつ電解めっき水溶液中に溶け込んで補充されるため、やがてNiめっき層105に成長する。こうして、Cu材104の全面にNiめっき層105が形成される。これにより、Cu材104がNiめっき層105に覆われた帯状のNiめっきCu材103aが作製される。
その後、第1実施形態の製造方法では、NiめっきCu材103aに対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行う。具体的には、図4に示すように、NiめっきCu材103aを、炉内が650℃以上850℃以下の保持温度に保持された加熱炉202内を通過させることによって、NiめっきCu材103aに対して熱処理を行う。
また、NiめっきCu材103aに対して、約0.5分以上約5分以下の熱処理時間、上記熱処理を行うのが好ましい。これにより、Niめっき層105が焼鈍されることによって、Niめっき層105の硬さが十分に小さくなる。また、Niめっき処理時にNiめっき層105に混入した有機物などの異物が、熱により分解される。そして、分解によって生じたガスが、Niめっき処理時にNiめっき層105に混入した水分とともにNiめっき層105から放出される。この結果、Niめっき層105内の異物が除去される。
なお、保持温度は、Niめっき層105の硬さを十分に小さくするために、約700℃以上であるのがより好ましく、約750℃以上であるのがさらに好ましい。また、保持温度は、Niめっき層105の異物を十分に除去するために、約750℃以上であるのがより好ましく、約800℃以上であるのがさらに好ましい。また、熱処理時間は、Niめっき層105の硬さをより十分に小さくするために、約1分以上であるのが好ましい。また、熱処理時間は、クラッド材のリードタイムが大きくなるのを抑制するために、約3分以下であることがより好ましい。なお、NiめっきCu材103aに施す熱処理時間を短くすることによって、熱処理が施されたNiめっきCu材103bを連続的に作製することが可能である。
そして、熱処理後の帯状のNiめっきCu材103bを空冷する。
(バスバーの作製)
次に、AlまたはAl基合金から構成された帯状(板状)のAl材102を準備する。そして、谷部と山部とを、Al材102の幅方向の側端面2a(図2および図3参照)に形成する。その後、図5および図6に示すように、Al材102とNiめっきCu材103bとを幅方向(X方向)に隣接させて、谷部および山部が形成された側端面2aおよび側端面3aとを係合させる。そして、圧延ローラ203を用いて、Al材102の側端面2aとNiめっきCu材103bの側端面3aとを、冷間圧延により接合する(図2および図3参照)。この際、圧延方向と側端面2aおよび3aの延びる長手方向とが一致するように冷間圧延を行うとともに、Al材102およびNiめっきCu材103bの幅方向(X方向)の全体に亘って圧延を行う。
なお、冷間圧延における圧下率は、約40%以上約90%以下であるのが好ましい。圧下率は、接合強度不足などの不具合を抑制するために、約60%以上であるのが好ましい。また、圧下率は、Niめっき層5(105)における割れの発生を抑制するために、約80%以下であるのがより好ましい。これにより、Al材102とNiめっきCu材103bとが幅方向に接合された帯状のクラッド材110が作製される。なお、「圧下率」とは、圧延前の板材と圧延後の板材との厚みの差を、圧延前の板材の厚みで割ったものの百分率である。
その後、図5に示すように、帯状のクラッド材110を、炉内が焼鈍時保持温度に保持された加熱炉204内を通過させることによって、帯状のクラッド材110に対して拡散焼鈍を行う。なお、焼鈍時保持温度は、圧延する前のNiめっきCu材103aに対して行う熱処理における保持温度(650℃以上850℃以下)よりも低い(たとえば、約500℃以上約600℃以下)。そして、上記焼鈍時保持温度で、約0.5分以上約3分以下の焼鈍時間、拡散焼鈍を行う。これにより、Al部分2と、NiめっきCu部分3との接合界面Iに原子拡散や化合物形成などにより強固な接合が形成される。この結果、帯状のクラッド材10(図2および図3参照)が作製される。最後に、切断機205を用いて、クラッド材10を長手(圧延)方向の長さが所定の長さになるように切断することによって、図2および図3に示すバスバー1が作製される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、NiめっきCu材103aに対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、Al材102と熱処理が行われたNiめっきCu材103bとを圧延することにより接合してクラッド材10(110)を作製する。これにより、NiめっきCu材103aに対して650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことにより、Niめっき層5の硬さを小さくすることができる。この結果、600℃以下の熱処理を行った後に、Al材と熱処理が行われたNiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材を作製する場合と異なり、Niめっき層5に割れが発生するのを抑制することができる。また、Niめっきを行った後に、圧延を行うため、めっきの厚み分の段差が生じず、クラッド材の厚みを所定の厚みにすることが可能となる。
また、第1実施形態では、NiめっきCu材103aに対して850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、850℃を超えた保持温度で熱処理を行う場合と異なり、熱処理時にNiがCu材104内に多く拡散するのを抑制することができる。これにより、Niめっき層5とCu材4との界面にボイドが形成されるのを抑制することができるので、圧延時に、ボイドを起点としてNiめっき層105に割れが発生するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、Cu材104がNiめっき層5に覆われたNiめっきCu材103aを作製した後に、Al材102とNiめっきCu材103bとを圧延することにより接合してクラッド材10(110)を作製する。これにより、Al材とCu材とを接合した後に、Niめっき処理をCu材に行う場合と異なり、Niめっき処理の処理液などがAl材に付着して腐食するのを防止することができる。さらに、NiめっきCu材104b(NiめっきCu部分3)にNiめっき層5が形成されていない部分が形成されるのを抑制することができる。これらの結果、クラッド材10の耐食性が低下するのを抑制しつつ、NiめっきCu材103bとAl材102との接合強度(NiめっきCu部分3とAl部分2との接合強度)が小さくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、Al材102と熱処理が行われたNiめっきCu材103bとを、約40%以上約90%以下の圧下率で圧延することにより接合する。これにより、約40%以上(より好ましくは約60%以上)の圧下率で圧延することによって、圧下率が過度に小さいことに起因して、クラッド材110に剥離や接合強度不足などの不具合が生じやすくなるのを抑制することができる。また、約90%以下(より好ましくは約80%以下)の圧下率で圧延することによって、圧下率が過度に大きいことに起因するNiめっき層105における割れの発生を抑制しつつ、クラッド材110の厚みを効率的に小さくすることができる。
また、第1実施形態では、熱処理時の保持温度を約700℃以上にすることによって、Niめっき層105の硬さを効果的に小さくすることができる。これにより、Al材102とNiめっきCu材103bとの圧延において、比較的柔軟なCu材104の変形にNiめっき層105を追従して変形させることができる。この結果、Niめっき層105に割れが発生するのを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態では、約0.5分以上の保持時間、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層5の硬さを十分に小さくすることができる。また、650℃以上850℃以下の保持温度で約5分以下熱処理を行うことによって、熱処理時間が大きくなることに起因してクラッド材10(110)の作製に係るリードタイムが大きくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、クラッド材110に対して、保持温度よりも低い焼鈍時保持温度で拡散焼鈍を行う。これにより、拡散焼鈍によりクラッド材10(110)の接合強度を向上させることができる。また、拡散焼鈍を保持温度よりも低い焼鈍時保持温度で行うことによって、NiめっきCu材103bとAl材102との接合強度を向上させつつ、拡散焼鈍時にAl材102が溶融するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、板状のAl材102の厚み方向と直交する側の側端面2aと、熱処理が行われた板状のNiめっきCu材103bの厚み方向と直交する側の側端面3aとを隣接させて圧延することにより接合する。このような側端面2aおよび3a同士が接合されたクラッド材10(いわゆる並接材)を製造する際に、NiめっきCu材103bに対して650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層5に割れが発生するのを抑制することができる。これにより、NiめっきCu材103b(NiめっきCu部分3)の耐食性が低下するのを抑制しつつ、接合面積が小さくなりやすい側端面2aおよび3a同士が接合される場合において、NiめっきCu材103bとAl材102との接合強度が小さくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、クラッド材10を、リチウムイオン二次電池20用のバスバー1として用いる。これにより、側端面2aおよび3a同士が接合されたクラッド材10により、異なる材質からなる正極端子21および負極端子22同士を容易に接続することができる。
(第2実施形態)
次に、図7〜図9を参照して、本発明の第2実施形態によるクラッド材310を負極端子322として用いたリチウムイオン二次電池320の構成について説明する。なお、負極端子322は、特許請求の範囲の「端子」の一例である。
本発明の第2実施形態によるリチウムイオン二次電池320は、図7に示すように、正極端子21と負極端子322とを含んでいる。なお、上記第1実施形態の正極端子11および負極端子12(図1参照)と同様に、正極端子21および負極端子322は、それぞれ、Alからなるバスバー301(図8参照)の一方端および他方端にそれぞれ溶接(接合)されている。
負極端子322は、図8および図9に示すように、板状のAl部分302と、板状のNiめっきCu部分303とが厚み方向(Z方向)に接合された、2層構造のクラッド材310から構成されている。負極端子322では、板状のAl部分302のZ2側の表面302aと、NiめっきCu部分303のZ1側の表面303aとが全体に亘って互いに厚み方向(Z方向)に接合されている。つまり、負極端子322は、オーバーレイのクラッド材310から構成されている。
Al部分302は、上記第1実施形態のAl部分2と同様に、AlまたはAl基合金から構成されている。NiめっきCu部分303は、図9に示すように、上記第1実施形態のNiめっきCu部分3と同様に、CuまたはCu基合金から構成された板状のCu材304と、Cu材304を覆うNiめっき層305とを含んでいる。また、拡散焼鈍により、Al部分302の表面302aとNiめっきCu部分303の表面303aとの間に接合界面Iが形成されている。なお、図8ではNiめっき層305を太線で図示している。
また、図8に示すように、クラッド材310の上側(Z1側)に配置されたAl部分302には、上記したようにAlからなるバスバー301が接合されている。クラッド材310の下側(Z2側)に配置されたNiめっきCu部分303には、図示しない負極に接続されるCuからなる負極集電体313(負極の集電箔をまとめる端子部分)が接合されている。
ここで、第2実施形態では、上記第1実施形態のNiめっき層5と同様に、Niめっき層305(図9参照)では、後述する圧延工程に起因する大きな割れおよび微細な割れは生じていない。また、接合界面Iでは、ガスに起因する接合不良部分(表面303aにおいて、表面302aと接合していない部分)がほとんど生じていない。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図8〜図12を参照して、第2実施形態における負極端子322の製造プロセスについて説明する。この第2実施形態では、負極端子322を連続的に作製する方法について説明する。なお、第2実施形態の製造方法において、上記第1実施形態と同様の工程については、適宜説明を省略する。
(NiめっきCu材の作製)
まず、CuまたはCu基合金から構成された帯状(板状)のCu材404(図10参照)を準備する。その後、図10に示すように、上記第1実施形態の製造プロセス(図4参照)と同様に、Cu材404に対して、電解めっき処理(フープめっき処理)を行う。これにより、Cu材404がNiめっき層405に覆われた帯状のNiめっきCu材403a(図10の吹き出し内の拡大図参照)が作製される。
その後、第2実施形態の製造方法では、上記第1実施形態の製造プロセスと同様に、NiめっきCu材403aに対して、650℃以上850℃以下の保持温度で保持時間の間、熱処理を行う。そして、熱処理後の帯状のNiめっきCu材403bを空冷する。
(負極端子の作製)
次に、AlまたはAl基合金から構成された帯状(板状)のAl材402を準備する。そして、図11および図12に示すように、Al材402とNiめっきCu材403bとを厚み方向(Z方向)に積層することにより、厚み方向の表面302aと表面303aとを隣接させる。その後、圧延ローラ203を用いて、厚み方向(Z方向)の表面302aと表面303aとを冷間圧延により接合する。これにより、Al材402とNiめっきCu材403bとが厚み方向に接合された帯状のクラッド材410が作製される。
その後、上記第1実施形態の製造プロセスと同様に、クラッド材410に対して拡散焼鈍を行う。この結果、帯状のクラッド材310(図8および図9参照)が作製される。最後に、切断機205を用いて、クラッド材310を長手(圧延)方向の長さが所定の長さになるように切断することによって、図7および図8に示す負極端子322が作製される。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、NiめっきCu材403aに対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、Al材402と熱処理が行われたNiめっきCu材403bとを圧延することにより接合してクラッド材410(310)を作製する。これにより、上記第1実施形態と同様に、クラッド材310の耐食性が低下するのを抑制しつつ、NiめっきCu材403bとAl材402との接合強度(NiめっきCu部分303とAl部分302との接合強度)が小さくなるのを抑制することができる。また、Niめっきを行った後に、圧延を行うため、めっきの厚み分の段差が生じず、クラッド材の厚みを所定の厚みにすることが可能となる。
また、第2実施形態では、板状のAl材402の厚み方向の表面302aと、熱処理が行われた板状のNiめっきCu材403bの厚み方向の表面303aとを隣接させて圧延することにより接合する。このような表面302aおよび303a同士が接合されたクラッド材310を製造する際に、NiめっきCu材403bに対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行うことによって、Niめっき層405に割れが発生するのを抑制することができる。これにより、NiめっきCu材403b(NiめっきCu部分303)の耐食性が低下するのを抑制しつつ、NiめっきCu材403bとAl材402との接合強度が小さくなるのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、クラッド材310を、リチウムイオン二次電池320用の負極端子322として用いる。これにより、表面302aおよび303a同士が接合されたクラッド材310により、異なる材質からなるバスバー301および負極集電体313同士を容易に接続することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
(第1実施例)
次に、図13〜図24を参照して、本発明の効果を確認するために行った第1実施例について説明する。第1実施例では、熱処理条件および圧延条件(圧下率)を異ならせて実際にNiめっきCu材を作製した。そして、NiめっきCu材におけるNiめっき層の表面状態を観察して比較するとともに、NiめっきCu材から放出されるガスの定量分析を行った。
具体的には、1.67mm、2.5mm、5mmの厚みを有し、無酸素銅からなるCu材を準備した。そして、ワット浴を用いて電気めっき処理を行うことによって、Cu材の全面に5μmの厚みのNiめっき層を形成した。この際、電気めっき処理において電流密度とめっき時間とを調整することによって、5μmの厚みのNiめっき層を形成した。これにより、1.67mmの厚みのNiめっきCu材A、2.5mmの厚みのNiめっきCu材B、および、5mmの厚みのNiめっきCu材Cを作製した。
その後、NiめっきCu材A〜Cに対して、異なる保持温度で3分間、熱処理を行った。具体的には、比較例2、3および4では、それぞれ、400℃、500℃および600℃の保持温度で熱処理を行った。また、実施例1、2、3および4では、それぞれ、650℃、700℃、800℃および850℃の保持温度で熱処理を行った。また、比較例5では、900℃の保持温度で熱処理を行った。また、熱処理を行わない比較例1も作製した。
その後、1.67mmの厚みを有する比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材Aに対して、圧下率40%で圧延を行った。また、2.5mmの厚みを有する比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材Bに対して、圧下率60%で圧延を行った。また、5mmの厚みを有する比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材Cに対して、圧下率80%で圧延を行った。これにより、1mmの厚みを有し、保持温度および圧下率の異なる比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材A〜Cを作製した。
なお、圧下率40%で圧延を行ったNiめっきCu材AにおけるNiめっき層の厚みは、3μmである。また、圧下率60%で圧延を行ったNiめっきCu材BにおけるNiめっき層の厚みは、2μmである。また、圧下率80%で圧延を行ったNiめっきCu材CにおけるNiめっき層の厚みは、1μmである。
(表面状態の観察)
その後、マイクロスコープ(VHX−5000、キーエンス製)を用いて、比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材の表面を、100倍の倍率で観察した。NiめっきCu材の表面状態の写真の一部を図13〜図24に示す。
そして、比較例1〜5および実施例1〜4のNiめっきCu材の表面状態を評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1では、NiめっきCu材の表面に500μm以上の大きな割れが確認できる場合には、×(バツ)印を付した。また、NiめっきCu材の表面に500μm以下の微小な割れが確認できる場合には、△(三角)印を付した。また、NiめっきCu材の表面に割れが確認できない場合には、○(丸)印を付した。
Figure 0006372636
表1および図13〜図24に示すように、650℃〜850℃の保持温度で熱処理を行った実施例1〜4では、40%、60%および80%のいずれの圧下率においても、NiめっきCu材の表面に割れが確認できなかった。特に、圧下率が大きく、Niめっきの厚みが1μmに小さくされた80%の圧下率においても、NiめっきCu材の表面に割れが確認できなかった。一方、650℃未満の保持温度で熱処理を行った比較例2〜4および熱処理を行わなかった比較例1では、少なくとも80%の圧下率において、NiめっきCu材の表面に割れが確認された。
これらは、実施例1〜4のNiめっきCu材では、熱処理によりNiめっき層が十分に軟化したので、圧延において、比較的柔軟なCu材の変形にNiめっき層が追従して変形できたからであると考えられる。一方、650℃未満の保持温度で熱処理を行った比較例2〜4および熱処理を行わなかった比較例1では、Niめっき層の硬さが大きかったため、圧延において、Cu材の変形にNiめっき層が追従して変形できなかったからであると考えられる。なお、熱処理を行っていない比較例1と400℃の保持温度で熱処理を行った比較例2とにおいては、大きな割れが確認された。これは、Niめっき層の硬さが大きいからであると考えられる。一方、500℃および600℃の保持温度でそれぞれ熱処理を行った比較例3および4においては、60%以上の圧下率で圧延を行った場合に微小な割れが確認された。これは、比較例3および4のNiめっきCu材では、十分にはNiめっき層が軟化しなかったことを示していると考えられる。
なお、900℃で熱処理を行った比較例5では、40%、60%および80%のいずれの圧下率においても、NiめっきCu材の表面に微細な割れが確認された。これは、熱処理時の保持温度が900℃で高温であることに起因して、Niの拡散速度がCuの拡散速度よりも大幅に大きくなった。このため、熱処理時にNiがCu材内に多く拡散して、Niめっき層とCu材との界面にボイドが形成された。なお、このボイドは、原子の拡散速度の差異によって発生するカーケンダルボイドと考えられる。この結果、比較例5のNiめっきCu材では、圧延時に、ボイドを起点としてNiめっき層に割れが発生したと考えられる。
(ガスの定量分析)
次に、700℃の保持温度で熱処理を行った実施例2のNiめっきCu材と、熱処理を行っていない比較例1のNiめっきCu材とを用いて、ガスの定量分析を行った。具体的には、ガス分析装置を用いて、熱処理を行った際の特定の分子量のガスの検出強度を測定することによって、特定の分子量におけるガスの量を測定した。なお、ガス分析装置は、NiめっきCu材が内部に配置される昇温炉と、昇温炉に連通され、NiめっきCu材から放出されたガスが流通する一般的な質量分析装置とから構成されている。
具体的な試験方法としては、まず、昇温炉内にNiめっきCu材を配置した状態で、1℃/秒の昇温速度で炉内を50℃から700℃まで昇温させる。そして、NiめっきCu材(Niめっき層)から放出された所定の分子量のガスを検出することによって、50℃から700℃までの任意の温度においてNiめっきCu材から放出された、所定の分子量のガスの量を測定した。また、50℃から700℃まで昇温する間にNiめっきCu材から放出された所定の分子量のガスの総量を測定した。なお、今回、分子量が44であるガスの測定結果を示す。なお、分子量が44のガスとしては、CO2(二酸化炭素)およびC38(プロパン)が挙げられる。
試験結果としては、図25に示すように、300℃以上の温度範囲において、大部分のガスがNiめっきCu材から放出された。これは、ワット浴に起因するNiめっき層内の有機物の異物が、酸素と反応してCO2となってNiめっき層から外部に放出されたと考えられる。また、ワット浴に起因するNiめっき層内の有機物の異物が300℃〜450℃の熱により分解されて、C38となってNiめっき層から外部に放出されたと考えられる。ここで、実施例2のNiめっきCu材では、比較例1のNiめっきCu材と比べて、300℃以上の温度範囲において、ガスの放出量が顕著に抑制されていた。さらに、実施例2のNiめっきCu材では、放出されたガスの総量が3.7μg/gであり、放出されたガスの総量が5.3μg/gであった比較例1のNiめっきCu材と比べて、放出されたガスの総量が顕著に抑制されていた。
これは、実施例2のNiめっきCu材では、700℃の保持温度で予め行われた熱処理により、Niめっき層内のガスがある程度放出されたからであると考えられる。これにより、拡散焼鈍前に予め熱処理を行うことにより、拡散焼鈍を行う際に加えられる熱に起因してNiめっき層からガスが放出されるのを抑制することができるので、クラッド材において、接合界面に未接合部が発生するのを抑制することが可能であることが確認できた。
(第2実施例)
次に、図26を参照して、本発明の効果を確認するために行った第2実施例について説明する。第2実施例では、実際にNiめっきCu材を作製して、Niめっき層の表面における硬さを測定した。
具体的には、所定の厚みを有する無酸素銅からなるCu材を準備した。そして、ワット浴を用いて電気めっき処理を行うことによって、Cu材の全面に5μmの厚みのNiめっき層を形成した。この際、ワット浴として無光沢Niめっき用のワット浴を用いて、5μmの厚みの無光沢Niめっき層を有するNiめっきCu材Dを作製した。また、ワット浴として光沢Niめっき用のワット浴を用いて、5μmの厚みの光沢Niめっき層を有するNiめっきCu材Eを作製した。なお、光沢Niめっき用のワット浴には、光沢処理用の添加物が含まれている。また、光沢Niめっき層は、無光沢Niめっき層と比べて、一般的に硬さが大きくなる。
その後、NiめっきCu材に対して、上記第1実施例と同様に、異なる保持温度で3分間、熱処理を行った。具体的には、比較例4、実施例2、実施例3および比較例5では、それぞれ、600℃、700℃、800℃および900℃の保持温度で熱処理を行った。また、熱処理を行わない比較例1も作製した。
そして、一般的なビッカース試験機を用いて、比較例1、比較例4、実施例2、実施例3および比較例5のNiめっきCu材に対して、Niめっき層のビッカース硬さを測定した。また、比較例1のNiめっきCu材におけるビッカース硬さを100とした場合の、比較例4、実施例2、実施例3および比較例5のNiめっきCu材におけるビッカース硬さの割合(%)を算出した。結果を表2、表3および図26に示す。
Figure 0006372636
Figure 0006372636
試験結果としては、表2、表3および図26に示すように、700℃以上で熱処理を行った実施例2、3および比較例5において、Niめっき層のビッカース硬さがHV90以下に小さくなった。これにより、700℃以上で熱処理を行った実施例2、3および比較例5のNiめっきCu材では、Niめっき層が十分に軟化していることが確認できた。また、表2に示すように、700℃以上で熱処理を行った実施例2、3および比較例5のNiめっきCu材Dでは、比較例1のNiめっきCu材Dのビッカース硬さと比較して、無光沢めっき層ではビッカース硬さを44%以下に小さくすることができることが確認できた。また、表3に示すように、700℃以上で熱処理を行った実施例2、3および比較例5のNiめっきCu材Eでは、比較例1のNiめっきCu材Eのビッカース硬さと比較して、光沢めっき層ではビッカース硬さを20%以下に小さくすることができることが確認できた。
また、実施例2、3および比較例5において、Niめっき層のビッカース硬さがほとんど変わらなかった。この結果、少なくとも700℃で熱処理を行うことによって、Niめっき層のビッカース硬さを十分に小さくすることが可能であることが判明した。したがって、第1実施例の結果から、ボイドの発生を抑制しつつ、Niめっき層の硬さを小さくするためには、少なくとも700℃以上800℃以下の温度範囲が好適であることが確認できた。
(第3実施例)
次に、図4〜図6、図27および図28を参照して、本発明の効果を確認するために行った第3実施例について説明する。第3実施例では、上記第1実施形態のクラッド材10(並接材)を実際に作製して、接合界面Iにおける接合強度を測定した。また、作製したクラッド材10に対して、腐食試験を行った。
(実施例5のクラッド材)
まず、図4〜図6に示す上記第1実施形態の製造方法に基づいて、実施例5のクラッド材10を作製した。具体的には、無酸素銅からなるCu材104を準備した。そして、谷部と山部とを、Cu材104の幅方向(X方向)の側端面に形成した。その後、図4に示すように、Cu材104に対して電解めっき処理を行うことによって、Cu材104の全面に5μmの厚みのNiめっき層5を形成した。その後、Niめっき層5が形成されたNiめっきCu材103aに対して、800℃の保持温度で3分間、熱処理を行った。
そして、Alから構成された帯状(板状)のAl材102を準備した。そして、谷部と山部とを、Al材102の幅方向(X方向)の側端面2aに形成した。その後、Al材102の側端面2aとNiめっきCu材103bの側端面3aとを隣接させた状態で、圧下率60%で冷間圧延により接合した。最後に、クラッド材10に対して、550℃で1分間拡散焼鈍を行った。これにより、実施例5のクラッド材10を作製した。
(比較例6のクラッド材)
一方、保持温度を400℃にした点以外は上記実施例5と同様にして、比較例6のクラッド材を作製した。
(接合強度測定)
そして、一般的な引張試験機を用いて、実施例5のクラッド材10と比較例6のクラッド材から作製した試験体を用いて、引張試験を行った。具体的には、試験体のAl部側の端部と、NiめっきCu部側の端部とをそれぞれ引張試験機の治具に固定して、引張試験機により試験体に引張応力を印加した。そして、試験体の接合箇所が破断した際の引張応力を、試験体の接合強度(N/mm2)とした。なお、2個の実施例5の試験体1および2と、2個の比較例6の試験体1および2について接合強度をそれぞれ測定し、接合強度の平均を算出した。試験結果を表4に示す。
Figure 0006372636
試験結果としては、表4に示すように、実施例5の接合強度(平均値)は、88.4N/mm2となった。つまり、実施例5のクラッド材10では、十分に大きな接合強度が得られていることが確認できた。一方、比較例6の接合強度(平均値)は、59.4N/mm2と実施例5の接合強度の67%程度になった。
この結果、Niめっき層の割れが生じていない実施例5(第1実施例の実施例3に対応)では、接合界面Iにおいて、十分にAl材とNiめっきCu材との接合が行われていることが確認できた。一方、Niめっき層の割れが生じている比較例6(第1実施例の比較例2に対応)では、接合界面Iにおいて、割れによりAl材とNiめっきCu材との接合が十分に行われていないことが確認できた。さらに、比較例6では、Niめっき層内のガスが拡散焼鈍時に放出されたことによっても、Al材とNiめっきCu材との接合が十分に行われなかったと考えられる。
(耐食試験)
次に、実施例5のクラッド材10および比較例6のクラッド材から作製した試験体を用いて、耐食試験(塩水噴霧試験)を行った。この耐食試験では、35℃の温度条件下で、試験体に対して5%の塩水を4時間噴霧した。その後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、耐食試験後の試験体の断面を観察した。試験結果を図27および図28に示す。
試験結果としては、図28に示すように、比較例6のクラッド材では、Al部の外表面の腐食が厚み方向に20μm程度進行した。これは、Niめっき層に割れが生じていることに起因して、Niめっき層に覆われていない部分のCu材と、Al材とが塩水を介して電気的に接続された。この結果、塩水と接するAl材がイオン化したため、Al材の腐食が進行した(いわゆる電食が生じた)からであると考えられる。一方、図27に示すように、実施例5のクラッド材10では、Al部の外表面の腐食が厚み方向に10μm程度進行したものの、大幅な腐食ではなかった。これらの結果、Cu材がNiめっき層に覆われていることにより、クラッド材の腐食を抑制することができることが確認できた。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態および第1〜第3実施例では、電気めっき浴としてワット浴を用いて、Cu材104(404)の表面にNiめっき層を形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Niめっき層の形成手段は、ワット浴に限られない。たとえば、電気めっき浴としてスルファミン酸浴を用いて、Cu材の表面にNiめっき層を形成してもよい。また、電気めっきではなく無電解めっきにより、Cu材の表面にNiめっき層を形成してもよい。この場合、Niめっき層には、Niに加えてP(リン)が含有される。
また、上記第1実施形態では、圧下率を約40%以上約90%以下にした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、圧下率を約40%未満にしてもよいし、約90%を超えるようにしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、熱処理後に冷却されたNiめっきCu材に対して、冷間圧延処理を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、熱処理が行われたNiめっきCu材に対して温間圧延処理(または熱間圧延処理)を行ってもよい。この場合、Al材の溶融が生じない温度下で温間圧延処理(または熱間圧延処理)を行う必要がある。なお、温間圧延処理(または熱間圧延処理)を行うことによって、熱処理の後に連続して圧延処理を行うことができるので、タクトタイムを小さくすることが可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、バスバー1および負極端子322(端子)に用いられるクラッド材10(310)を連続的に作製する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、バスバーまたは端子に用いられるクラッド材を連続的に作製しなくてもよい。たとえば、予め所定の形状に作製されたCu材に対して、バッチ槽などを用いてNiめっき処理を行うことによって、NiめっきCu材を個々に作製する。そして、NiめっきCu材に対して熱処理を行う。その後、所定の形状に形成されたAl材と熱処理後のNiめっきCu材とを個々に圧延して接合し、拡散焼鈍を行う。これらのような工程を経ることによってクラッド材を作製してもよい。
また、上記第1実施形態では、クラッド材10がAl部分2とNiめっきCu部分3とが厚み方向と直交する方向に接合された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材は、Al部分およびNiめっきCu部分以外の部分が、Al部分およびNiめっきCu部分のいずれかに対して厚み方向と直交する方向に接合されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、谷部および山部が形成された側端面2aおよび側端面3aとを係合させた状態で、Al材102およびNiめっきCu材103とを圧延により接合することによって、並接材のクラッド材110を作製した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、谷部および山部が形成されていない側端面同士を当接させた状態で、Al材およびNiめっきCu材とを圧延により接合することによって、並接材のクラッド材を作製してもよい。
また、上記第1実施形態では、Al部分2とNiめっきCu部分3とが厚み方向と直交する方向に接合されたクラッド材10を、バスバー1として用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Al部分とNiめっきCu部分とが厚み方向と直交する方向に接合されたクラッド材を、バスバー以外の用途に用いてもよい。
また、上記第2実施形態では、負極端子322を構成するクラッド材310がオーバーレイのクラッド材である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、厚み方向に積層されたクラッド材は、オーバーレイのクラッド材に限られない。たとえば、クラッド材は、Al材(またはNiめっきCu材)の一方側面側にのみNiめっきCu材(またはAl材)が厚み方向に積層された、いわゆるエッジレイのクラッド材であってもよい。
また、図29および図30にそれぞれ示す第2実施形態の第1および第2変形例のように、クラッド材をインレイ(ストライプ)のクラッド材から構成してもよい。具体的には、図29に示す第2実施形態の第1変形例のように、負極端子522として用いられるクラッド材が、Al部分(Al材)502に形成された断面長方形状の溝部502b内に、断面長方形状のNiめっきCu部分(NiめっきCu材)503が埋め込まれた(厚み方向(Z方向)に積層された)、いわゆるインレイのクラッド材510であってもよい。また、図30に示す第2実施形態の第2変形例のように、負極端子622として用いられるクラッド材が、Al部分(Al材)602に形成された断面台形状の溝部602b内に断面台形状のNiめっきCu部分(NiめっきCu材)603が埋め込まれた(厚み方向(Z方向)に積層された)、いわゆるインレイのクラッド材610であってもよい。なお、第2実施形態の第1および第2変形例におけるクラッド材の製造方法は、Al材に溝部を形成して、形成した溝部にNiめっきCu材を埋め込んだ状態で圧延を行う点以外は、上記第2実施形態の製造方法と同様である。
また、上記第2実施形態では、Al部分302とNiめっきCu部分303とが厚み方向に積層された状態で接合されたクラッド材310を、負極端子322として用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Al部分とNiめっきCu部分とが厚み方向に積層された状態で接合されたクラッド材を、負極端子ではなく、正極端子として用いてもよい。また、正極端子は、いわゆるオーバーレイ、エッジレイまたはインレイのクラッド材のいずれであってもよい。たとえば、図31に示す第2実施形態の第3変形例のように、正極端子721として用いられるクラッド材が、NiめっきCu部分(NiめっきCu材)703に形成された断面長方形状の溝部703b内に、断面長方形状のAl部分(Al材)702が埋め込まれた(厚み方向(Z方向)に積層された)、いわゆるインレイのクラッド材710であってもよい。この場合、正極端子721のAl部分702側には、Alからなる正極集電体714が接合(溶接)され、NiめっきCu部分703側には、Cuからなるバスバー701が接合(溶接)される。なお、第2実施形態の第3変形例におけるクラッド材の製造方法は、NiめっきCu材に溝部を形成して、形成した溝部にAl材を埋め込んだ状態で圧延を行う点以外は、上記第2実施形態の製造方法と同様である。また、Al部分とNiめっきCu部分とが厚み方向に積層された状態で接合されたクラッド材を、端子以外の用途に用いてもよい。
また、上記第2実施形態では、クラッド材310が2層構造である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材は、Al部分およびNiめっきCu部分以外の部分(層)を含む3層以上の構成であってもよい。
1 バスバー
2a (Al材の)側端面
3a (NiめっきCu材の)側端面
10、110、310、410 クラッド材
20、320 リチウムイオン二次電池
102、402 Al材
103a、403a (Cu材がNiめっき層に覆われた)NiめっきCu材
103b、403b (熱処理が行われた)NiめっきCu材
104、404 Cu材
105、405 Niめっき層
302a (Al材の)表面
303a (NiめっきCu材の)表面
322 負極端子(端子)

Claims (10)

  1. CuまたはCu基合金から構成されたCu材(104、404)に対してNiめっき処理を行うことによって、前記Cu材がNiめっき層に覆われたNiめっきCu材を作製し、
    前記NiめっきCu材に対して、650℃以上850℃以下の保持温度で熱処理を行い、
    AlまたはAl基合金から構成されたAl材(102、402)と熱処理が行われた前記NiめっきCu材とを圧延することにより接合してクラッド材(110、410)を作製する、クラッド材の製造方法。
  2. 前記Al材と熱処理が行われた前記NiめっきCu材とを、40%以上90%以下の圧下率で圧延することにより接合する、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  3. 前記Al材と熱処理が行われた前記NiめっきCu材とを、60%以上80%以下の圧下率で圧延することにより接合する、請求項2に記載のクラッド材の製造方法。
  4. 前記保持温度は、700℃以上である、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  5. 前記NiめっきCu材に対して、前記保持温度で0.5分以上5分以下熱処理を行う、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  6. 前記クラッド材に対して、前記保持温度よりも低い焼鈍時保持温度で拡散焼鈍を行う、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  7. 前記Al材および前記NiめっきCu材は、共に厚み方向と直交する側の側端面を有する板状であり、
    板状の前記Al材の厚み方向と直交する側の側端面(29)と、熱処理が行われた板状の前記NiめっきCu材の厚み方向と直交する側の側端面(39)とを隣接させて圧延することにより接合する、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  8. 前記クラッド材は、リチウムイオン二次電池用のバスバーである、請求項7に記載のクラッド材の製造方法。
  9. 前記Al材および前記NiめっきCu材は共に板状であり、
    板状の前記Al材の厚み方向の表面と、熱処理が行われた板状の前記NiめっきCu材の厚み方向の表面とを隣接させて圧延することにより接合する、請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
  10. 前記クラッド材は、リチウムイオン二次電池用の端子である、請求項9に記載のクラッド材の製造方法。
JP2018524840A 2017-03-24 2018-02-19 クラッド材の製造方法 Active JP6372636B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017058567 2017-03-24
JP2017058567 2017-03-24
PCT/JP2018/005757 WO2018173586A1 (ja) 2017-03-24 2018-02-19 クラッド材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6372636B1 true JP6372636B1 (ja) 2018-08-15
JPWO2018173586A1 JPWO2018173586A1 (ja) 2019-03-28

Family

ID=63165936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018524840A Active JP6372636B1 (ja) 2017-03-24 2018-02-19 クラッド材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6372636B1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020099940A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 日東精工株式会社 金属部材の接合方法
JP2021144792A (ja) * 2020-03-10 2021-09-24 日立金属株式会社 クラッド端子、電池用端子およびクラッド端子の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59185588A (ja) * 1983-04-07 1984-10-22 Japan Steel Works Ltd:The クラツド板の製造方法
JPH05200566A (ja) * 1992-01-28 1993-08-10 Toyo Kohan Co Ltd アルミニウム箔積層鋼板の製造法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59185588A (ja) * 1983-04-07 1984-10-22 Japan Steel Works Ltd:The クラツド板の製造方法
JPH05200566A (ja) * 1992-01-28 1993-08-10 Toyo Kohan Co Ltd アルミニウム箔積層鋼板の製造法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020099940A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 日東精工株式会社 金属部材の接合方法
JP7356220B2 (ja) 2018-12-25 2023-10-04 日東精工株式会社 金属部材の接合方法
JP7530479B2 (ja) 2018-12-25 2024-08-07 日東精工株式会社 金属製の複合部材、金属製の複合部材の製造方法
JP2021144792A (ja) * 2020-03-10 2021-09-24 日立金属株式会社 クラッド端子、電池用端子およびクラッド端子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018173586A1 (ja) 2019-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2018173586A1 (ja) クラッド材の製造方法
JP5025387B2 (ja) 接続部品用導電材料及びその製造方法
JP4024244B2 (ja) 接続部品用導電材料及びその製造方法
JP4771970B2 (ja) 接続部品用導電材料
KR101596342B1 (ko) 도전 부재 및 그 제조 방법
EP1281789B1 (en) A plated copper alloy material and process for production thereof
JP5280957B2 (ja) 導電部材及びその製造方法
KR101464870B1 (ko) 접속 부품용 도전 재료
JP6445895B2 (ja) Snめっき材およびその製造方法
TW200925319A (en) Tin-plated material for electronic part
JP2004068026A (ja) 接続部品用導電材料及びその製造方法
US11078587B2 (en) Tin-plated product and method for producing same
JP2007100220A (ja) 接続部品用導電材料及びその製造方法
JP2008274417A (ja) 積層銅箔及びその製造方法
JP2008269999A (ja) 嵌合型コネクタ用端子及びその製造方法
KR20170032455A (ko) 내미세접동마모성이 우수한 접속 부품용 도전 재료
KR20170055975A (ko) 주석 도금 구리 합금 단자재 및 그 제조 방법
JP6372636B1 (ja) クラッド材の製造方法
JP5442316B2 (ja) 導電部材の製造方法
JP2011063875A (ja) 導電部材及びその製造方法
KR20220069005A (ko) 커넥터용 단자재
KR101997428B1 (ko) 이차 전지의 부극 집전체용 박 및 그 제조 방법
JP5975903B2 (ja) 嵌合型コネクタ用端子
TWI507550B (zh) Copper - zinc - tin - based copper alloy
JP5897082B1 (ja) 耐微摺動摩耗性に優れる接続部品用導電材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180514

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180514

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6372636

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350