本発明の一態様(態様1)に係る吸収性物品は、
液透過性のトップシートと、
液不透過性のバックシートと、
前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、
前記トップシートから起立可能な防漏部であって、前記トップシートに固定された固定端部及び前記トップシートから離間可能な自由端部を有する前記防漏部と、
前記防漏部の自由端部に伸張状態で取り付けられた弾性部材であって、伸張方向の両端部が前記トップシートに固定された前記弾性部材と、
前記トップシート及び前記吸収体を接合する接着剤と
を備えた吸収性物品であって、
前記吸収性物品を伸展させた状態において、
前記吸収性物品は、互いに直交する長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し、
前記トップシートは、前記厚さ方向において前記防漏部及び前記吸収体の両方と重なる重なり部分を有し、
前記重なり部分の吸収体側表面は、前記接着剤によって前記吸収体と接合されていない非接合領域を有する、前記吸収性物品である。
態様1に係る吸収性物品を伸展させた状態において、トップシートは、厚さ方向において防漏部及び吸収体の両方と重なる重なり部分を有し、この重なり部分の吸収体側表面は、接着剤によって吸収体と接合されていない非接合領域を有する。したがって、態様1に係る吸収性物品は、伸展状態で製造された後、直ちに(すなわち、トップシート及び吸収体を接合する接着剤が十分に乾燥する前に)折り畳まれても、折り畳み時に加えられる圧力によって非接合領域から接着剤が滲み出すおそれがない。このため、態様1に係る吸収性物品によれば、トップシートからの接着剤の滲み出しに起因するトップシート及び防漏部の接合、並びに、トップシート及び防漏部の接合に起因する立体ギャザーの形成阻害を防止することができる。
態様1に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様2)において、前記防漏部の固定端部及び自由端部は、前記長さ方向に延在しており、前記吸収性物品は、前記防漏部の固定端部及び自由端部の間において前記長さ方向に延在する折り曲げ線で前記トップシート側に折り曲げられている。
態様2に係る吸収性物品によれば、折り畳まれた吸収性物品を広げる際、防漏部が折り曲げ線で折り曲げられることにより付与された防漏部の折り癖によって防漏部が起立しやすい。
態様2に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様3)において、前記非接合領域は、前記折り曲げ線をまたぐように形成されている。
態様3に係る吸収性物品によれば、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線での折り曲げ部分から、接着剤が滲み出しにくい。
態様3に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様4)において、前記非接合領域は、前記重なり部分における前記長さ方向の一方側の端部から他方側の端部まで前記長さ方向に延在している。
態様4に係る吸収性物品によれば、非接合領域が折り曲げ線をまたいだ状態を維持して、重なり部分における長さ方向の一方側の端部から他方側の端部まで長さ方向に延在しているので、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線での折り曲げ部分から、接着剤が滲み出しにくい。
態様3又は態様4に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様5)において、前記非接合領域の幅は、前記防漏部の幅の25〜100%である。
態様5に係る吸収性物品によれば、非接合領域が、折り曲げ線での折り曲げ部分をカバーするのに十分な幅を有するので、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線での折り曲げ部分から、接着剤が滲み出しにくい。
態様2〜態様5のいずれか1つに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様6)において、前記防漏部は、前記固定端部から前記自由端部まで前記幅方向に延在する第1シート部分と、前記自由端部で前記トップシート側に折り返されて前記第1シート部分と接合された第2シート部分とを有し、前記折り曲げ線は、前記第1シート部分のうち、前記第2シート部分と接合されていない部分に位置している。
態様6に係る吸収性物品では、折り曲げ線が、第1シート部分のうち、第2シート部分と接合されていない部分、すなわち、厚みが相対的に小さい部分に位置しているので、防漏部に折り癖が付与されやすい。したがって、態様6に係る吸収性物品によれば、折り畳まれた吸収性物品を広げる際、防漏部が折り曲げ線で折り曲げられることにより付与された防漏部の折り癖によって防漏部が起立しやすい。
態様6に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様7)において、前記第2シート部分における前記固定端部側の端部は、前記第1シート部分と接合されていない自由端部である。
態様7に係る吸収性物品によれば、第2シート部分における自由端部によってトップシートに供給された液体の勢いが妨げられ、防漏部の起立によって形成された立体ギャザーを超えて液体が漏出しにくい。
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されるものではない。吸収性物品としては、例えば、尿取りパッド、使い捨てオムツ、生理用ナプキン、パンティーライナー等の衛生用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。本発明の吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されるものではなく、例えば、着用者の液状排泄物(例えば、尿、水様便、経血等)が挙げられる。
以下、尿取りパッドを例として、図面に基づいて、本発明に係る吸収性物品の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1の伸展状態における平面図であり、図2は、図1に示される尿取りパッド1の分解斜視図であり、図3は、図1に示される尿取りパッド1のA−A線断面図であり、図4及び図5は、図1に示される尿取りパッド1が備えるサイドシート5a,5bを説明するための図であり、図6は、図1に示される尿取りパッド1が備えるトップシート2を説明するための図であり、図7は、トップシート2の吸収体側表面における接着剤Hの塗工パターンを説明するための図である。なお、図4において、サイドシート5a,5bに対するトップシート2の位置関係を明確にするために、サイドシート5a,5bが実線で示されているとともに、トップシート2が仮想線で示されている。また、図6において、トップシート2に対する吸収体4及びサイドシート5a,5bの位置関係を明確にするために、トップシート2が実線で示されているとともに、吸収体4及びサイドシート5a,5bが仮想線で示されている。また、図7において、トップシート2は拡大されて示されている。
図1〜図3に示されるように、伸展状態における尿取りパッド1は、互いに直交する長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zを有する。その他の図面に示される方向X、方向Y及び方向Zは、それぞれ、伸展状態における尿取りパッド1の長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zと一致している。
なお、本明細書において、長さ方向Xに延在する対象部分が、長さ方向Xに延在する基準部分よりも、尿取りパッド1の幅方向Yの中心を通り、長さ方向Xに延在する仮想中心線の近位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「内側」又は「近位」に位置すると表現し、遠位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「外側」又は「遠位」に位置すると表現する。また、幅方向Yに延在する対象部分が、幅方向Yに延在する基準部分よりも、尿取りパッド1の長さ方向Xの中心を通り、幅方向Yに延在する仮想中心線の近位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「内側」又は「近位」に位置すると表現し、遠位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「外側」又は「遠位」に位置すると表現する。
図1に示されるように、伸展状態における尿取りパッド1は、長さ方向Xに並ぶ腹側部11、股間部12及び背側部13を有する。腹側部11は着用者の腹部に当てられる部分であり、股間部12は着用者の股間部に当てられる部分であり、背側部13は着用者の尻部及び/又は背部に当てられる部分である。
図1に示されるように、伸展状態における尿取りパッド1は、長さ方向Xの略中央部分(股間部12に対応する部分)がくびれた瓢箪状である。このため、股間部12が着用者の股間にフィットしやすくなっている。但し、尿取りパッド1の形状は、着用者が着用可能である範囲において適宜変更可能である。
図1〜図3に示されるように、尿取りパッド1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、液吸収性の吸収体4と、液不透過性のサイドシート5a,5bと、弾性部材6a,6bとを備える。
トップシート2は、着用者から排泄された尿が透過し得る液透過性シートであり、着用者から排泄された尿を透過し、吸収体4に移行させる。トップシート2として使用される液透過性シートは、好ましくは不織布であり、さらに好ましくはスパンボンド不織布である。スパンボンド不織布は、他の不織布と比較して厚みが小さいため、接着剤の滲み出しが生じやすい。したがって、トップシート2としてスパンボンド不織布が使用される場合、尿取りパッド1の作用効果(すなわち、トップシート2からの接着剤Hの滲み出しに起因するトップシート2及び防漏部50a,50bの接合、並びに、トップシート2及び防漏部50a,50bの接合に起因する立体ギャザーの形成阻害を防止する作用効果)が顕著である。スパンボンド不織布は、スパンボンド法によりウェブ形成した不織布であり、例えば、加熱溶融した熱可塑性樹脂をノズルから押し出すとともに延伸して連続する長繊維を直接紡糸し、長繊維をベルトコンベア上で捕集してウェブを形成した後、繊維同士を結合することにより製造することができる。この際、繊維同士の結合方法としては、例えば、繊維同士をそれ自体の熱により熱融着させる方法、エンボスロールで熱融着させる方法等を使用することができる。熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリブチレンテレタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂繊維は、2種類以上の熱可塑性樹脂を含有する複合繊維(例えば、芯鞘型複合繊維)であってもよい。熱可塑性樹脂繊維は、親水化処理されていることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維の親水化処理としては、例えば、界面活性剤、親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)、プラズマ加工等が挙げられる。トップシート2の隠ぺい性を高める観点から、トップシート2に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させることができる。
トップシート2の坪量、厚み等は、液透過性、肌触り等を考慮して適宜調整することができる。トップシート2としてスパンボンド不織布が使用される場合、坪量は、好ましくは11〜30g/m2、さらに好ましくは15〜25g/m2である。
図1及び図2に示されるように、トップシート2は、矩形状であり、トップシート2の長さ方向Xの両端部は、尿取りパッド1の長さ方向Xの両端部と略一致しており、トップシート2の幅方向Yの両端部は、尿取りパッド1の幅方向Yの両端部よりも内側に位置している。但し、トップシート2の形状及びサイズは、トップシートとしての機能を発揮可能である範囲において適宜変更可能である。
図3に示されるように、トップシート2は、吸収体4の厚さ方向Zの一方側(図3において上側)に配置されており、トップシート2の一方の表面(図3において上面)は肌側表面を形成しており、トップシート2の他方の表面(図3において下面)は吸収体側表面を形成している。
バックシート3は、着用者から排泄された尿が透過し得ない液不透過性シートであり、吸収体4に吸収・保持された尿の漏れを防止する。バックシート3として使用される液不透過性シートは、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等である。バックシート3の厚さ、坪量等は、液不透過性等を考慮して適宜調整することができる。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液不透過性に加えて、通気性又は透湿性を有することが好ましい。
図1及び図2に示されるように、バックシート3は、長さ方向Xの略中央部分(股間部12に対応する部分)がくびれた瓢箪状であり、バックシート3の長さ方向Xの両端部は、尿取りパッド1の長さ方向Xの両端部と略一致しており、バックシート3の幅方向Yの両端部は、尿取りパッド1の幅方向Yの両端部と略一致している。但し、バックシート3の形状及びサイズは、バックシートとしての機能を発揮可能である範囲において適宜変更可能である。
図3に示されるように、バックシート3は、吸収体4の厚さ方向Zの他方側(図3において下側)に配置されており、バックシート3の一方の表面(図3において上面)は吸収体側表面を形成しており、バックシート3の他方の表面(図3において下面)は着衣側表面を形成している。
吸収体4は、着用者から排泄された尿を吸収し得る吸収性材料を含有し、トップシート2を透過した尿を吸収・保持する。吸収性材料としては、例えば、親水性繊維、高吸収性ポリマー等が挙げられる。親水性繊維としては、例えば、セルロース系繊維が挙げられ、セルロース系繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ;木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース等が挙げられる。高吸収性ポリマー(Superabsorbent Polymer:SAP)としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系等が挙げられるが、好ましくはポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸収性ポリマーである。吸収体4は、吸収性材料に加えて、消臭性、抗菌性、吸熱効果等の機能を発揮し得る添加剤(例えば、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物、ゼオライト等)を必要に応じて含有してもよい。
吸収体4は、例えば、吸収性材料層と、吸収性材料層を被覆するコアラップとから構成することができる。吸収性材料層は、単一の層であってもよいし、複数の層であってもよい。コアラップは、着用者から排泄された尿が透過可能な液透過性シートである。コアラップは、例えば、不織布、織布、液体透過孔が形成された合成樹脂フィルム等であり、好ましくは不織布、さらに好ましくはティッシュである。
図1及び図2に示されるように、吸収体4は、長さ方向Xの略中央部分(股間部12に対応する部分)がくびれた瓢箪状であり、吸収体4の長さ方向Xの両端部は、尿取りパッド1の長さ方向Xの両端部よりも内側に位置しており、吸収体4の幅方向Yの両端部は、尿取りパッド1の幅方向Yの両端部よりも内側に位置している。図1及び図2に示されるように、吸収体4の幅方向Yの両端部のうち、くびれた部分の両端部は、トップシート2の幅方向Yの両端部よりも内側に位置しており、その他の部分の両端部は、トップシート2の幅方向Yの両端部よりも外側に位置している。但し、吸収体4の形状及びサイズは、吸収体としての機能を発揮可能である範囲において適宜変更可能である。
図1〜図3に示されるように、吸収体4は、トップシート2及びバックシート3の間に配置されており、腹側部11から股間部12を通じて背側部13まで延在している。
サイドシート5a,5bは、着用者から排泄された尿が透過し得ない液不透過性シートであり、防漏部50a,50bの形成材である。サイドシート5a,5bとして使用される液不透過性シートは、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等である。サイドシート5a,5bの厚さ、坪量等は、液不透過性等を考慮して適宜調整することができる。
図1に示されるように、サイドシート5a,5bは、トップシート2の幅方向Yの両側に配置されており、尿取りパッド1の幅方向Yの両側部分に対応する形状である。但し、サイドシート5a,5bの形状は、防漏部50a,50bを形成可能である範囲において適宜変更可能である。
図4に示されるように、サイドシート5aは、長さ方向Xの両端部510a,520a及び幅方向Yの両端部530a,540aを有し、サイドシート5bは、長さ方向Xの両端部510b,520b及び幅方向Yの両端部530b,540bを有する。端部530a,530bは、それぞれ、端部540a,540bよりも遠位に位置する遠位端部であり、端部540a,540bは、それぞれ、端部530a,530bよりも近位に位置する近位端部である。なお、本明細書において、端部530a,530bを「遠位端部530a,530b」と、端部540a,540bを「近位端部540a,540b」という場合がある。
図1に示されるように、サイドシート5aの長さ方向Xの両端部510a,520a及びサイドシート5bの長さ方向Xの両端部510b,520bは、尿取りパッド1の長さ方向Xの両端部と略一致しており、サイドシート5a,5bの遠位端部530a,530bは、尿取りパッド1の幅方向Yの両端部と略一致している。図1及び図4に示されるように、サイドシート5a,5bの近位端部540a,540bは、トップシート2の幅方向Yの両端部及び吸収体4の幅方向Yの両端部よりも内側に位置している。但し、サイドシート5a,5bのサイズは、防漏部50a,50bを形成可能である範囲において適宜変更可能である。
図4に示されるように、サイドシート5aは、遠位端部530aを含む遠位側部分51aと、近位端部540aを含む近位側部分52aとを有し、サイドシート5bは、遠位端部530bを含む遠位側部分51bと、近位端部540bを含む近位側部分52bとを有する。図4に示されるように、サイドシート5aにおける遠位側部分51a及び近位側部分52aの境界線、並びに、サイドシート5bにおける遠位側部分51b及び近位側部分52bの境界線は、トップシート2の幅方向Yの両端部と一致しており、サイドシート5a,5bは、近位側部分52a,52bがトップシート2の幅方向Yの両側部分の肌側表面を覆うように配置されている。
図3及び図4に示されるように、サイドシート5a,5bは、その一部分として、防漏部50a,50bを有する。図3及び図4に示されるように、防漏部50aは、長さ方向Xの両端部501a,502a及び幅方向Yの両端部503a,504aを有し、防漏部50bは、長さ方向Xの両端部501b,502b及び幅方向Yの両端部503b,504bを有する。防漏部50a,50bの幅方向Yの両端部のうち、端部503a,503bは、それぞれ、端部504a,504bよりも遠位に位置する遠位端部であり、端部504a,504bは、それぞれ、端部503a,503bよりも近位に位置する近位端部である。なお、本明細書において、端部503a,503bを「遠位端部503a,503b」と、端部504a,504bを「近位端部504a,504b」という場合がある。
図4に示されるように、防漏部50a,50bは、近位側部分52a,52bの一部として形成されており、防漏部50a,50bの長さ方向Xの両端部は、サイドシート5a,5bの長さ方向Xの両端部よりも内側に位置しており、防漏部50a,50bの幅方向Yの両端部のうち、遠位端部503a,503bは、遠位側部分51a,51b及び近位側部分52a,52bの境界線(トップシート2の幅方向Yの両端部)よりも内側に位置しており、近位端部504a,504bは、サイドシート5a,5bの近位端部540a,540bと一致している。
サイドシート5a,5bの近位側部分52a,52bのうち、防漏部50a,50bは、トップシート2の肌側表面と接合されていないが、防漏部50a,50b以外の部分(すなわち、防漏部50a,50bの長さ方向Xの両端部501a,501bに隣接する部分、並びに、防漏部50a,50bの遠位端部503a,503bに隣接する部分)は、トップシート2の肌側表面と接合されている。このため、防漏部50aの長さ方向Xの両端部501a,502a、防漏部50bの長さ方向Xの両端部501b,502b、並びに、防漏部50a,50bの遠位端部503a,503bは、トップシート2に固定された固定端部となっている一方、防漏部50a,50bの近位端部504a,504bは、トップシート2に固定されておらず、トップシート2から離間可能な自由端部となっている。サイドシート5a,5b及びトップシート2の接合様式としては、例えば、ホットメルト型接着剤による接合等が挙げられる。なお、本明細書において、防漏部50a,50bの遠位端部503a,503bを「固定端部503a,503b」と、防漏部50a,50bの近位端部504a,504bを「自由端部504a,504b」という場合がある。
図3及び図5に示されるように、サイドシート5aは、遠位端部530aから近位端部540aまで幅方向Yに延在する第1シート部分S1aと、近位端部540aでトップシート2側に折り返されて第1シート部分S1aと接合された第2シート部分S2aとを有し、サイドシート5bは、遠位端部530bから近位端部540bまで幅方向Yに延在する第1シート部分S1bと、近位端部540bでトップシート2側に折り返されて第1シート部分S1bと接合された第2シート部分S2bとを有する。図3及び図5に示されるように、第2シート部分S2aの幅方向Yの両端部のうち、防漏部50aの固定端部503a側の端部S21a、並びに、第2シート部分S2bの幅方向Yの両端部のうち、防漏部50bの固定端部503b側の端部S21bは、第1シート部分S1a,S1bと接合されていない自由端部となっている。
図5に示されるように、第2シート部分S2a,S2bの端部S21a,S21bは、防漏部50a,50bの遠位端部503a,503bよりも内側に位置している。したがって、防漏部50aは、固定端部503aから自由端部504aまで幅方向Yに延在する第1シート部分(第1シート部分S1aの一部分)と、近位端部504aでトップシート2側に折り返されて第1シート部分と接合された第2シート部分(第2シート部分S2aの一部分)とを有し、防漏部50bは、固定端部503bから自由端部504bまで幅方向Yに延在する第1シート部分(第1シート部分S1bの一部分)と、近位端部504bでトップシート2側に折り返されて第1シート部分と接合された第2シート部分(第2シート部分S2bの一部分)とを有する。そして、防漏部50a,50bを形成する第2シート部分の固定端部503a,503b側の端部は、防漏部50a,50bを形成する第1シート部分と接合されていない自由端部となっている。
図5に示されるように、サイドシート5aの第1シート部分S1a及び第2シート部分S2aの間には、サイドシート5aの近位端部540aに沿って長さ方向Xに延在する弾性部材6aが伸張状態で取り付けられており、サイドシート5bの第1シート部分S1b及び第2シート部分S2bの間には、サイドシート5bの近位端部540bに沿って長さ方向Xに延在する弾性部材6bが伸張状態で取り付けられている。弾性部材6a,6bの伸張方向は、長さ方向Xと略一致している。弾性部材6a,6bは、例えば、断面が矩形状、正方形状、円形状、楕円形状、多角形状等の糸状弾性部材(例えば、糸ゴム)、紐状弾性部材(例えば、平ゴム)等であり、弾性部材6a,6bを構成する材料としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。
図4及び図5に示されるように、弾性部材6aの長さ方向X(伸張方向)の両端部610a,620aは、防漏部50aの長さ方向Xの両端部501a,502aを超えて長さ方向Xに延在しており、弾性部材6bの長さ方向X(伸張方向)の両端部610b,620bは、防漏部50bの長さ方向Xの両端部501b,502bを超えて長さ方向Xに延在している。そして、弾性部材6aの長さ方向X(伸張方向)の両端部610a,620aは、第1シート部分S1a及び第2シート部分S2aの間に挟まれた状態でトップシート2に固定されており、弾性部材6bの長さ方向X(伸張方向)の両端部610b,620bは、第1シート部分S1b及び第2シート部分S2bの間に挟まれた状態でトップシート2に固定されている。これにより、防漏部50a,50bは、弾性部材6a,6bの収縮力によってトップシート2から起立可能となっている。なお、防漏部50a,50bが起立する際、固定端部503a,503bは基部となり、自由端部504a,504bはトップシート2から離間し、着用者の肌側に向かって移動する。
図3及び図6に示されるように、トップシート2は、厚さ方向Zにおいて防漏部50a及び吸収体4の両方と重なる重なり部分21aと、厚さ方向Zにおいて防漏部50b及び吸収体4の両方と重なる重なり部分21bとを有する。図3に示されるように、重なり部分21a,21bの厚さ方向Zの一方側(図3において上側)には防漏部50a,50bが、厚さ方向Zの他方側(図3において下側)には吸収体4が重なっている。本実施形態において、重なり部分21a,21bは、厚さ方向Zに間隔を置いて(すなわち、非接触状態で)防漏部50a,50bと重なっているが、重なり部分21a,21bは、接触状態で防漏部50a,50bと重なっていてもよい。
図6に示されるように、吸収体4の幅方向Yの両端部のうち、くびれた部分の両端部は、防漏部50a,50bの固定端部503a,503bよりも内側に位置しているため、防漏部50a,50bの一部は、厚さ方向Zにおいて吸収体4と重なっていない。したがって、図6に示されるように、重なり部分21a,21bのサイズは、防漏部50a,50bのサイズよりも若干小さい。但し、重なり部分21a,21bのサイズは、防漏部50a,50bの形状及び吸収体4の形状に応じて適宜変更可能である。例えば、吸収体4の幅方向Yの両端部のうち、くびれた部分の両端部を、防漏部50a,50bの固定端部503a,503bと一致させるか、又はそれよりも外側に位置させることができ、この場合、重なり部分21a,21bのサイズは、防漏部50a,50bのサイズと一致する。
図7に示されるように、トップシート2の吸収体側表面には、接着剤Hが塗工されており、トップシート2及び吸収体4は接着剤Hによって接合されている。接着剤Hは、好ましくはホットメルト接着剤である。ホットメルト接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。接着剤がトップシート2の肌側表面に滲み出した時に着用者に不快感を与えにくい点から、感圧型接着剤よりも相対的にタック性の低い感熱型接着剤が好ましい。接着剤Hの塗工は、市販の機器を使用して接触式又は非接触式で行うことができる。接着剤Hの塗工量(坪量)は、好ましくは2〜10g/m2、さらに好ましくは4〜8g/m2である。接着剤Hの塗工量が少な過ぎると、トップシート2及び吸収体4の接合力の低下に起因してトップシート2及び吸収体4が離間しやすくなり、トップシート2から吸収体4への液体移行性が低下するおそれがある。したがって、接着剤Hの塗工量(坪量)は、2g/m2以上であることが好ましく、4g/m2以上であることがさらに好ましい。接着剤Hの塗工量が多過ぎると、接着剤Hの塗工量の増加に見合うトップシート2及び吸収体4の接合力の増加は見込めない一方、トップシート2からの接着剤Hの滲み出しが顕著となる。したがって、接着剤Hの塗工量(坪量)は、10g/m2以下であることが好ましく、8g/m2以下であることがさらに好ましい。接着剤Hの塗工量(坪量)は、トップシート2の吸収体側表面のうち、接着剤Hによって吸収体4と接合されている接合領域の単位面積当たりの接着剤Hの量(g/m2)であり、接合領域の面積は、トップシート2の吸収体側表面の面積から、後述する非接合領域22a,22bの面積を差し引くことにより求められる。
図7に示されるように、接着剤Hは、長さ方向Xに延在する独立した複数条の接着ラインを形成している。図7に示されるように、接着ラインは、スパイラル状である。但し、接着ラインの形状は、トップシート2及び吸収体4を接着可能な範囲において適宜変更可能である。接着ラインのその他の形状としては、例えば、直線状、オメガ状等が挙げられる。本実施形態において、接着剤Hは接着ラインを形成しているが、接着剤Hはドット状、面状等の接着部を形成していてもよい。本実施形態において、接着剤Hはトップシート2の吸収体側表面にスパイラル状で塗工されているため、トップシート2の吸収体側表面のうち、接着剤Hによって吸収体4と接合されている接合領域には、接着剤Hが塗工されていない領域も存在するが、接合領域のうち、接着剤Hが塗工されていない領域は、後述する非接合領域22a,22bに含まれない。
図7に示されるように、重なり部分21a,21bの吸収体側表面には、接着剤Hによって吸収体4と接合されていない非接合領域22a,22bが形成されている。図7に示されるように、非接合領域22a,22bは、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの一方側の端部から他方側の端部まで長さ方向Xに延在している。本実施形態において、非接合領域22a,22bは、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの両端部を超えてトップシート2の長さ方向の両端部まで長さ方向Xに延在しているが、非接合領域22a,22bは、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの両端部を超えて長さ方向に延在している必要はない。例えば、非接合領域22a,22bは、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの両端部まで長さ方向Xに延在していてもよいし、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの両端部に達しないように長さ方向Xに延在していてもよい。
非接合領域22a,22bの幅は、それぞれ、防漏部50a,50bの幅の25〜100%であることが好ましく、50〜80%であることがさらに好ましい。なお、防漏部50a,50bの幅は、好ましくは20〜50mm、さらに好ましくは30〜40mmである。防漏部50a,50bの幅に対する非接合領域22a,22bの幅の割合が小さ過ぎると、非接合領域22a,22bが折り曲げ線での折り曲げ部分をカバーすることができないため、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線での折り曲げ部分から、接着剤が滲み出しやすくなる。したがって、非接合領域22a,22bの幅は、防漏部50a,50bの幅の25%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。防漏部50a,50bの幅に対する非接合領域22a,22bの幅の割合が大き過ぎると、トップシート2及び吸収体4の接合力の低下に起因してトップシート2及び吸収体4が離間しやすくなり、トップシート2から吸収体4への液体移行性が低下するおそれがある。したがって、非接合領域22a,22bの幅は、防漏部50a,50bの幅の100%以下であることが好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。
非接合領域22aの幅は、非接合領域22aの幅方向Yの両側に隣接する接着ライン間の距離であり、非接合領域22bの幅は、非接合領域22bの幅方向Yの両側に隣接する接着ライン間の距離である。
図8は、接着ライン間の距離を説明するための図である。図8に示されるように、接着ラインHL1及び接着ラインHL2間の距離D12は、接着ラインHL1上の点のうち最も接着ラインHL2側に位置する点を通り、長さ方向Xに延在する仮想直線TL1と、接着ラインHL2上の点のうち最も接着ラインHL1側に位置する点を通り、長さ方向Xに延在する仮想直線TL2との距離として測定される。本実施形態において、接着ラインHL2側に位置する接着ラインHL1の変曲点(図8における黒点)は、いずれも、接着ラインHL1上の点のうち最も接着ラインHL2側に位置する点に相当し、仮想直線TL1は、これらの変曲点で接着ラインHL1と接する接線に相当する。また、接着ラインHL1側に位置する接着ラインHL2の変曲点(図8における黒点)は、いずれも、接着ラインHL2上の点のうち最も接着ラインHL1側に位置する点に相当し、仮想直線TL2は、これらの変曲点で接着ラインHL2と接する接線に相当する。図8に基づく説明は、長さ方向Xに延在する接着ライン間の距離に関するものであるが、この説明は、幅方向Yに延在する接着ライン間の距離にも適用することができる。すなわち、図示は省略するが、幅方向Yに延在する接着ラインHL3及び接着ラインHL4間の距離D34は、接着ラインHL3上の点のうち最も接着ラインHL4側に位置する点を通り、幅方向Yに延在する仮想直線TL3と、接着ラインHL4上の点のうち最も接着ラインHL3側に位置する点を通り、幅方向Yに延在する仮想直線TL4との距離として測定される。
本実施形態において、非接合領域22a,22bは、重なり部分21a,21bの長さ方向Xの一方側の端部から他方側の端部まで連続しているが、幅方向Yに延在する1又は2以上の接着ラインによって分断されていてもよい。また、非接合領域22a,22b内には、ドット状の接着部が存在していてもよい。
尿取りパッド1は、常法に従って製造することができる。尿取りパッド1は、伸展状態で製造された後、直ちに(すなわち、トップシート2及び吸収体4を接合する接着剤が十分に乾燥する前に)折り畳まれ、折り畳み構造を維持した状態で容器に収納される。容器は、例えば、プラスチックフィルム等の包装資材で構成された袋状成形品である。
図9は、尿取りパッド1の折り畳み構造の一実施形態を示す斜視図であり、図10及び図11は、図9に示される折り畳み構造を形成する過程を説明するための図である。
図10及び図11に示されるように、本実施形態に係る折り畳み構造は、伸展状態の尿取りパッド1を、折り曲げ線L1、折り曲げ線L2、折り曲げ線L3及び折り曲げ線L4で順次トップシート2側に折り曲げることにより形成される。各折り曲げ線におけるトップシート2側への折り曲げは、折り曲げ線L1が内側に隠れる折り曲げ(いわゆる谷折り)を意味する。
図10に示されるように、折り曲げ線L1は、防漏部50aの遠位端部503a及び近位端部504aの間において長さ方向Xに延在しており、折り曲げ線L2は、防漏部50bの遠位端部503b及び近位端部504bの間において長さ方向Xに延在している。
図10に詳細に示されていないが、その他の図を参照することにより明らかとなるように、非接合領域22aは、折り曲げ線L1をまたぐように形成されており、非接合領域22bは、折り曲げ線L2をまたぐように形成されている。そして、非接合領域22aは、折り曲げ線L1をまたいだ状態を維持して、重なり部分21aにおける長さ方向Xの一方側の端部から他方側の端部まで長さ方向Xに延在しており、非接合領域22bは、折り曲げ線L2をまたいだ状態を維持して、重なり部分21bにおける長さ方向Xの一方側の端部から他方側の端部まで長さ方向Xに延在している。
図10に詳細に示されていないが、その他の図を参照することにより明らかとなるように、折り曲げ線L1は、第1シート部分S1aのうち、第2シート部分S2aと接合されていない部分(第2シート部分S2aと重なっていない部分)に位置しており、折り曲げ線L2は、第1シート部分S1bのうち、第2シート部分S2bと接合されていない部分(第2シート部分S2bと重なっていない部分)に位置している。
図11に示されるように、折り曲げ線L3は、腹側部11及び股間部12の境界の近傍において、幅方向Yに延在しており、折り曲げ線L4は、背側部13及び股間部12の境界の近傍において、幅方向Yに延在している。
本実施形態において、折り曲げ線L2での折り曲げは、折り曲げ線L1での折り曲げの後に実施されるが、折り曲げ線L1での折り曲げの前に実施されてもよい。本実施形態において、折り曲げ線L4での折り曲げは、折り曲げ線L3での折り曲げの後に実施されるが、折り曲げ線L3での折り曲げの前に実施されてもよい。
図12は、尿取りパッド1の自然状態における斜視図である。図12に示されるように、折り畳まれた尿取りパッド1が広げられると、弾性部材6a,6bの収縮力により腹側部11及び背側部13が持ち上げられて尿取りパッド1が湾曲し、これに伴って、防漏部50a,50bがトップシート2から起立し、防漏部50a,50bの起立によって立体ギャザー部が形成される。防漏部50a,50bが起立する際、固定端部503a,503bは基部となり、自由端部504a,504bはトップシート2から離間し、着用者の肌側に向かって移動する。図12に示されるように湾曲している尿取りパッド1は、収縮した弾性部材6a,6bを長さ方向Xに再度伸張させることにより伸展させることができる。尿取りパッド1を伸展させると、トップシート2及び防漏部50a,50bは略平坦となって厚さ方向Zにおいて重なり合う。
尿取りパッド1は、トップシート2が着用者の肌側に、バックシート3が着用者の着衣側に位置するように着用される。着用者から排泄された尿は、トップシート2に供給され、トップシート2を透過して吸収体4に移行し、吸収体4で吸収・保持される。この際、トップシート2に供給された尿の漏れは、防漏部50a,50bの起立によって形成された立体ギャザーによって防止され、吸収体4に吸収・保持された尿の漏れは、バックシート3によって防止される。
尿取りパッド1は、その構成に基づき、以下の作用効果を発揮することができる。
尿取りパッド1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、トップシート2及びバックシート3の間に配置された液吸収性の吸収体4と、トップシート2から起立可能な防漏部50aであって、トップシート2に固定された固定端部503a及びトップシート2から離間可能な自由端部504aを有する防漏部50aと、トップシート2から起立可能な防漏部50bであって、トップシート2に固定された固定端部503b及びトップシート2から離間可能な自由端部504bを有する防漏部50bと、防漏部50aの自由端部504aに伸張状態で取り付けられた弾性部材6aであって、伸張方向の両端部610a,620aがトップシート2に固定された弾性部材6aと、防漏部50bの自由端部504bに伸張状態で取り付けられた弾性部材6bであって、伸張方向の両端部610b,620bがトップシート2に固定された弾性部材6bと、トップシート2及び吸収体4を接合する接着剤Hとを備える。そして、尿取りパッド1を伸展させた状態において、尿取りパッド1は、互いに直交する長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zを有し、トップシート2は、厚さ方向Zにおいて防漏部50a及び吸収体4の両方と重なる重なり部分21aと、厚さ方向Zにおいて防漏部50b及び吸収体4の両方と重なる重なり部分21bとを有し、重なり部分21a,21bの吸収体側表面は、接着剤Hによって吸収体4と接合されていない非接合領域22a,22bを有する。したがって、尿取りパッド1は、伸展状態で製造された後、直ちに(すなわち、トップシート2及び吸収体4を接合する接着剤Hが十分に乾燥する前に)折り畳まれても、折り畳み時に加えられる圧力によって非接合領域22a,22bから接着剤Hが滲み出すおそれがない。このため、尿取りパッド1によれば、トップシート2からの接着剤Hの滲み出しに起因するトップシート2及び防漏部50a,50bの接合、並びに、トップシート2及び防漏部50a,50bの接合に起因する立体ギャザーの形成阻害を防止することができる。
尿取りパッド1が、防漏部50aの固定端部503a及び自由端部504aの間において長さ方向Xに延在する折り曲げ線L1でトップシート2側に折り曲げられているとともに、防漏部50bの固定端部503b及び自由端部504bの間において長さ方向Xに延在する折り曲げ線L2でトップシート2側に折り曲げられている実施形態によれば、尿取りパッド1を広げる際、防漏部50a,50bが折り曲げ線L1,L2で折り曲げられることにより付与された防漏部50a,50bの折り癖によって防漏部50a,50bが起立しやすい。
尿取りパッド1において、非接合領域22a,22bが、折り曲げ線L1,L2をまたぐように形成されている実施形態によれば、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線L1,L2での折り曲げ部分からの接着剤Hの滲み出しを防止することができる。
尿取りパッド1において、非接合領域22a,22bが、折り曲げ線L1,L2をまたいだ状態を維持して、重なり部分21a,22aにおける長さ方向Xの一方側の端部から他方側の端部まで長さ方向Xに延在するように形成されている実施形態によれば、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線L1,L2での折り曲げ部分からの接着剤Hの滲み出しを効果的に防止することができる。
尿取りパッド1において、非接合領域22a,22bの幅が、防漏部50a,50bの幅の25〜100%である実施形態によれば、非接合領域22a,22bが、折り曲げ線L1,L2での折り曲げ部分をカバーするのに十分な幅を有するので、折り畳み時に最も圧力がかかりやすい折り曲げ線L1,L2での折り曲げ部分からの接着剤Hの滲み出しを効果的に防止することができる。
尿取りパッド1において、防漏部50aが、固定端部503aから自由端部504aまで幅方向Yに延在する第1シート部分と、自由端部504aでトップシート2側に折り返されて第1シート部分と接合された第2シート部分とを有し、防漏部50bが、固定端部503bから自由端部504bまで幅方向Yに延在する第1シート部分と、自由端部504bでトップシート2側に折り返されて第1シート部分と接合された第2シート部分とを有し、折り曲げ線L1が、防漏部50aを形成する第1シート部分のうち、第2シート部分と接合されていない部分に位置しており、折り曲げ線L2が、防漏部50bを形成する第1シート部分のうち、第2シート部分と接合されていない部分に位置している実施形態によれば、折り曲げ線L1,L2が、防漏部50a,50bを形成する第1シート部分のうち、第2シート部分と接合されていない部分、すなわち、厚みが相対的に小さい部分に位置しているので、防漏部50a,50bに折り癖が付与されやすい。したがって、折り畳まれた尿取りパッドを広げる際、防漏部50a,50bが折り曲げ線L1,L2で折り曲げられることにより付与された防漏部50a,50bの折り癖によって防漏部50a,50bが起立しやすい。
尿取りパッド1において、防漏部50a,50bを形成する第2シート部分における固定端部504a,504b側の端部が、防漏部50a,50bを形成する第1シート部分と接合されていない自由端部である実施形態によれば、第2シート部分における自由端部によってトップシート2に供給された尿の勢いが妨げられ、防漏部50a,50bの起立によって形成された立体ギャザーを超えて尿が漏出しにくい。