以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布などにより、また弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることもできる。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃F及び後身頃Bを構成する外装体12F,12Bと、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えており、前身頃Fの外装体12Fの両側部と後身頃Bの外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されたものである。符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
内装体200は、尿等の排泄物を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。本形態では、外装体12F,12Bの上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。
また、本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する縦方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る縦方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する縦方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、サイドシール部12Aを剥がした展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは脚側で連続しておらず、離間されている。この離間距離12dは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシートを貼り付けることもできる。また、図9及び図10に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する縦方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図2〜図5に示されるように、外側シート層12S及び内側シート層12Hをホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されたものである。により表裏が形成されている。外側シート層12S及び内側シート層12Hは、図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折り目が位置するように折り畳んで形成する他、図10に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特に、柔軟性の観点からは、ポリピロピレン繊維のスパンボンド不織布層間に、一層又は複数層のポリピロピレン極細繊維のメルトブローン不織布層を挟んでなる、SMS不織布、SMMS不織布等の不織布が、外側シート層12S及び内側シート層12Hに好適である。
不織布を用いる場合、繊度は0.5〜2.5dtex程度とするのが好ましく、目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。よって、外装体12F,12Bに用いる不織布の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましい。
そして、外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、胴周り方向の伸縮構造の形成領域に、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材19(15〜18)が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの接合や、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。外装体12F,12B全面において外側シート層12S及び内側シート層12Hを接合すると柔軟性を損ねるため、前後方向及び幅方向の少なくとも一方に間欠的に接合する(例えば細長状弾性伸縮部材19の通過位置を非接合とするか、反対に通過位置のみ接合とする)ことが好ましい。細長状弾性伸縮部材19の幅方向両端部は外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定される(固定端部)。細長状弾性伸縮部材19は、固定端部の間では、外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定されていない方が柔軟性の点で好ましいが、固定されていてもよい。図示形態は後者であり、細長状弾性伸縮部材19の長手方向全体が外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定される。細長状弾性伸縮部材19を外側シート層12S及び内側シート層12Hにホットメルト接着剤により固定する場合、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により細長状弾性伸縮部材19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して両シート層12S,12H間に挟む手法を用いても、また、外側シート層12S及び内側シート層12Hの少なくとも一方にホットメルト接着剤を塗布してその間に細長状弾性伸縮部材19を挟む手法を用いてもよい。
図示形態についてより詳細に説明すると、先ず、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。ウエスト部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側及び幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,18が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
なお、図示形態のように、外装体12F,12Bに設けられる弾性伸縮部材19(図示形態ではウエスト下方部弾性伸縮部材15,18及びカバー部弾性伸縮部材16)が、内装体200と重なる部分の一部又は全部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材19が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材19が存在しているが、内装体200と重なる部分の幅方中間部又は全部において図2及び図4に符号12Xで示すように弾性伸縮部材19が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろん、外装体12F,12Bに設けられる弾性伸縮部材19の配設形態は上記例に限るものではなく、内装体200と重なる部分を含めて幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、弾性伸縮部材19の一部又は全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(内装体)
内装体200の形状、構造は特に限定されず、例えば以下に述べる形状、構造を採用することができる。内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、装着者の肌側となる液透過性トップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシートとも呼ばれる)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分である脚周りギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシート等、液透過性素材であれば特に限定無く利用できるが、図3及び図4に示す形態のようにトップシート30が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねる場合には不織布が用いられる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の幅方向両側が脚周りギャザー60の液不透過性シート64の被覆材を兼ねない場合は、例えば図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50と脚周りギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び脚周りギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着することができる。
(中間シート)
図7及び図8に示す形態のように、トップシート30の裏側に、トップシートより親水性に優れる中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、吸収した液の吸収体からの逆戻り現象を防止し、トップシート30上のさらっとした肌触りを確保するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
吸収体56の裏側に設けられる液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。
液不透過性シート11は、図3及び図4に示す形態のように、吸収体56よりも側方に延在させて、脚周りギャザー60内の液透過性フィルム64を兼ねるものとしたり、図7及び図8に示す形態のように、吸収要素50の裏側に収まる幅とする、又は吸収要素50の幅方向両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させたりすることができる。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。
(吸収体)
吸収体56は、パルプ繊維や合成繊維等と、高吸収性ポリマー粒子とを混合集積したものである。吸収体56の繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができる。合成繊維を用いる場合、その繊度は例えば1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexとすることができる。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前後方向中間に前後両側よりも幅が狭い括れ部53とを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56及び脚周りギャザー60の脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。また、吸収体56には、前後方向の液拡散性を向上させるために、厚み方向に貫通するスリット54を前後方向に延在させることもできる。スリット54は股間部に設けられている限り、その前後方向の長さは特に限定されず、したがって吸収体56の前後方向全体にわたり設けることもできるが、図示形態のように股間部の前側から後側まで延在させることが望ましい。スリット54は、直線状のものを1本又は2本設けるのが好ましいが、3本以上でもよく、曲線状でもよい。
吸収体56の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56xは吸収体56の幅を示している。
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子が混合含有される。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量(JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」)が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生しやすくなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
吸収体56における繊維及び高吸収性ポリマー粒子の比率は特に限定されないが、繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で50:50〜20:80であると、同じ面積かつ同じ吸収量で比較するとより薄い吸収体56とすることができる。この場合、吸収体56の厚み56tは特に限定されるものではないが、3〜15mmとすることができる。
高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の厚み方向で含有率を変化させることができる。特に、吸収体56における高吸収性ポリマー粒子の含有率(重量百分率)が、裏側から表側に向かって段階的又は連続的に高くなっていると、吸収体56側に入った排泄物の液分が肌側へ戻る現象として知られる逆戻りの防止性に優れたものとなる。もちろん、目的に応じて、吸収体56における高吸収性ポリマー粒子の含有率を、表側から裏側に向かって段階的又は連続的に高くしたり、表裏両側から厚み方向中間に向かって段階的又は連続的に高くすることもできる。なお、高吸収性ポリマー粒子の含有率が段階的に変化するとは、図12(a)に示す吸収体56のように含有率が異なる層51,52が複数積層され、かつ各層51,52内で含有率がほぼ一定である状態を意味しており、連続的に変化するとは,図12(b)に示す吸収体56のように含有率が段階的に変化する層構造がない状態(図中ではグラデーションで表している)を意味するものである。また、吸収体56における高吸収性ポリマー粒子の含有率が「段階的又は連続的に高くなっている」とは、吸収体の厚み方向全体に高吸収性ポリマー粒子を含む形態のほか、吸収体の表裏いずれか一方側に高吸収性ポリマー粒子を含まない層(含有率0の層)を有し、そこから含有率が高くなる形態も含む。
高吸収性ポリマー粒子の含有率を段階的に変化させる場合、含有率がほぼ一定の層の数は特に限定されず、また各層の厚みも特に限定されない。例えば、前述のように繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で50:50〜20:80の薄型吸収体としつつ、逆戻り防止を目的として、図12(a)に示すように高含有率層51及び低含有率層52からなる二層構造とする場合、高含有率層51における高吸収性ポリマー粒子の含有率は50〜90重量%、低含有率層52における高吸収性ポリマー粒子の含有率は15〜60重量%とすることが好ましい。また、高含有率層51の厚みは吸収体56の厚み56tの20〜60%、低含有率層52の厚みは吸収体56の厚み56tの40〜80%とすることが好ましい。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で含有率を変化させることもできる。例えば、液の排泄部位を他の部位より量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の含有率を高め、女用は中央部の含有率を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等の液透過性素材を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、図3、図11に示すように、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付ける巻き付け形態とされる。より詳細には、包装シート58は、吸収体56の表裏いずれか一方側に位置する中間部分58mと、この中間部分58mから吸収体56の他方側に折り返された両側部分58sとを有するとともに、この包装シート58の両側部分58sの先端部が吸収体56の他方側で重なり合わされて連結部58cが形成されている。包装シート58の前後端部は吸収体56の前後からはみ出しており、このはみ出し部分で吸収体56を介さずに直接に接合される。
包装シート58の連結部58cは、吸収体56の表側に位置していても裏側に位置していても良いが、吸収体56における繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で50:50〜20:80(つまり高吸収性ポリマー粒子の含有率が高い吸収体56)であり、かつ吸収体56の高吸収性ポリマー粒子の含有率が、裏側から表側に向かうにつれて段階的又連続的に高くなっている形態では、吸収体56の裏側、つまり吸収体56の高吸収性ポリマー粒子含有率の高い部分と反対側に位置していることが好ましい。これにより、包装シート58の連結部58cの接着が不十分になることがあっても、連結部58cに隙間が生じにくく、また吸収体56から離脱した高吸収性ポリマー粒子が包装シート58の連結部58cから漏れ出たとしても、吸収要素50の裏側であるため、装着者の肌側に漏れ出るおそれが少ないものとなる。さらに、包装シート58の重なり合う部分は、それ以外の部分と比べて液保持性が高いため、吸収体56の表側に位置すると逆戻りを助長するおそれがあるが、吸収体56の裏側に位置するとこのような問題が発生しない。
(包装シート及び吸収体の接着構造)
包装シート58の内面、吸収体56と対向する部分の全体はホットメルト接着剤H1,H2を介して吸収体56の外面に接着される。また、連結部58cにおける包装シート58の端部が重なり合う部分も、ホットメルト接着剤H3を介して接合される。包装シート58及び吸収体56を接着するホットメルト接着剤H1,H2は、図13に示すように吸収体56に対してはある程度浸透して含浸層562を形成し、包装シート58に対しては殆ど浸透しないか、又は浸透するが吸収体56に対するよりも浸透しないことにより接着層561を形成することが望ましい。
特徴的には、包装シート58及び吸収体56を接着するホットメルト接着剤H1,H2の使用量は、吸収体56における包装シート58の連結部58cを有する側の幅方向両端部の領域A1の方が、吸収体56の反対側よりも多くなっている。これにより、前述のとおり、接着力が低下しやすい側(連結部58cを有する側)における包装シート58及び吸収体56の接着力を増強することができ、吸収体56及び包装シート58を接着するためのホットメルト接着剤H1,H2の総使用量を抑制しつつ、吸収体56の形状の崩れを効果的に抑制できる。
包装シート58及び吸収体56を接着するホットメルト接着剤H1,H2の使用量は適宜定めることができるが、多量領域A1では12〜25g/m2、少量領域(A1以外)では9〜15g/m2の範囲とすることが好ましい。また、多量領域A1の使用量は少量領域の使用量の1.1〜1.4倍程度とすることが好ましい。
前述のように、吸収体56における繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で50:50〜20:80(つまり高吸収性ポリマー粒子の含有率が高い吸収体56)であると、吸収体56の幅方向両端部の形状崩れが発生しやすいため、このようなホットメルト接着剤H1,H2の多量領域A1による補強を行うことが好ましい。
また、図示形態のように、脚周りのフィット性を向上させるための括れ部53を吸収体56に形成する場合、括れ部53における形状の崩れが発生しやすいため、ホットメルト接着剤H1,H2の多量領域A1を括れ部53の幅方向全体を含む領域とし、括れ部53における吸収体56形状の崩れを抑制するのは好ましい形態である。
同様に、図12(b)に示すように、吸収体56の幅方向中間部に、厚み方向に貫通するスリット54が前後方向に延在している形態では、スリット54における形状の崩れが発生しやすいため、ホットメルト接着剤H1,H2の多量領域をスリット54の幅方向全体を含む領域とし、スリット54における吸収体56形状の崩れを抑制するのも好ましい形態である。
ホットメルト接着剤H1,H2の使用量の多少は、図12(c)に示すように、一回の塗布における塗布量を部位ごとに変えることで作り出してもよいが、困難な場合が多いため、図3、図7、図11、及び図12(a)(b)に示す形態のように、ホットメルト接着剤H1,H2の積層数(つまり塗り重ね数)を部位ごとに変えることで作り出す方が好ましい。
また、これらのようにホットメルト接着剤H1,H2の使用量をホットメルト接着剤H1,H2の積層数により変化させる場合、塗布層に応じて塗布パターン及び種類の少なくとも一方を異ならしめるのも好ましい形態である。これにより、簡素な製造工程で、塗布対象に応じて塗布パターンやホットメルト接着剤H1,H2の種類を変えつつ、局所的にホットメルト接着剤H1,H2の使用量を増加することができる。
特に、図13に示すように、吸収体56は、連結部58cを有する側に、溶融粘度1000〜6000mPa・s(好ましくは2000〜5500mPa・s)のホットメルト接着剤H2が含浸された含浸層562を有しており、包装シート58の内面における含浸層562と対向する部分が、溶融粘度4000〜9000mPa・s(好ましくは6000〜8000mPa・s)のホットメルト接着剤H1からなる接着層561を介して含浸層562の外面に接着され、かつ接着層561をなすホットメルト接着剤H1よりも含浸層562に含浸されるホットメルト接着剤H2の方が粘度が低いものとされている形態は好ましい。吸収体56の含浸層562を有しない部分は、包装シート58の内面に対して接着層561のみを介して接着することができる。このように、溶融粘度の異なるホットメルト接着剤H1,H2を適材適所に用いる構造とすることにより、含浸層562の形成に際しては、ホットメルト接着剤H2の溶融粘度が十分に低いことにより吸収体56に十分に含浸して吸収体56の形状安定を効果的に図ることができるとともに、接着層561の形成に際しては、ホットメルト接着剤H1の溶融粘度が高いことにより吸収体56及び包装シート58に滲み込みにくく、吸収体56及び包装シート58の接着性も良好となり、もって、吸収体56の形状の崩れを抑制できるようになる。
含浸層562は、図13に示すように、ホットメルト接着剤H2が吸収体56に含浸し、含浸面からある程度の深さまでの範囲に形成されるものである。含浸層562の厚みは特に限定されないが、吸収体56の厚み56tの10〜50%程度であることが好ましい。含浸層562のホットメルト接着剤H2は、図13(a)に示すように厚み方向の全体が吸収体56に浸透していてもよく、また図13(b)に示すように厚み方向の一部が吸収体56上に残留していても良い。
接着層561は、図13に示すように、主に包装シート58と吸収体56の含浸層562との間に位置するホットメルト接着剤H1の層であり、包装シート58にもある程度含浸するものである。吸収体56に対しては、含浸層562を有する部分では殆ど含浸せず、含浸層562を有しない部分では含浸層562を有する部分よりは吸収体56内に含浸するものである。
含浸層562のホットメルト接着剤H2、及び接着層561のホットメルト接着剤H1は、溶融粘度が上記範囲内にある限り、その組成は特に限定されないが、柔らかさや臭気の点から、ゴム系ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。また、ホットメルト接着剤に極性が大きくなるような官能基を付与したものであることが好ましい。ホットメルト接着剤の極性が大きくなることで、分子間力により、濡れた時のパルプ繊維・高吸収性ポリマー・包装シート58との接着を強くすることができる。さらに、含浸層562のホットメルト接着剤H2としては、遅延結晶型のものを用いることが好ましい。遅延結晶型とは、塗布後すぐには結晶化しないで、繊維の間に浸透した後に固まる性質を有するホットメルト接着剤のことである。高粘度かつ遅延結晶型のホットメルト接着剤を包装シート58に塗布すると、多量に塗布しても染み出しが起こりにくく、経時で吸収体56側にも浸透し、包装シート58と吸収体56の接着強度を高めることができる。
(吸収要素の製造方法)
図14〜図16は、上述した吸収要素50を製造するための設備・工程の一例を示している。図14及び図15に示される区間(a)〜(d)が、図16に示される(a)〜(d)の断面状態と対応している。この製造設備100では、まずパルプシート56Fを解繊機101で解繊して得られるパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子56Pが、横向きに配置され回転駆動される積繊ドラム102の上方から供給される。積繊ドラム102の外周面には、回転方向を前後方向とする吸収体型102mが凹状に形成されるとともに、吸収体型102mの底面に多数の図示しない吸引孔が形成されており、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の供給位置で、吸収体型102m内の吸引孔からの吸引により、吸収体型102m内にパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の混合物が集積されて吸収体56が形成される。
積繊ドラム102に対する繊維供給路102iをドラム回転方向に複数に分割し、各供給路に対する高吸収性ポリマーの供給量を異なるものとし、各供給路の出口とドラム外周面との離間距離を変化させることにより、吸収体型102m内の集積物の高吸収性ポリマー粒子の含有率を段階的又は連続的に変化させることができる。図示形態では、積繊ドラム102に対する繊維供給路102iをドラム回転方向に2分割し、回転方向側の供給路にのみ高吸収性ポリマー56Pを供給することにより、吸収体型102m内の底部側(吸引孔側)に高吸収性ポリマー粒子56Pをほぼ含まない層を形成し、吸収体型102mの入口側に高吸収性ポリマー粒子56Pを含む層を形成する形態となっているが、反対の供給路に高吸収性ポリマー56Pを供給することもでき、その場合吸収体型102m内の層構造も逆となる。ただし、後者の場合、積繊ドラム102において吸収体型102mの吸引孔側に高吸収性ポリマー粒子56Pを多く含有することになるため、吸収体型102mの吸引孔に高吸収性ポリマー粒子56Pが目詰まりしやすいのに対し、前者の場合には吸収体型102mの吸引孔に高吸収性ポリマー粒子56Pが目詰まりしにくいという利点がある。
吸収体型102m内に形成された吸収体56は、当該積繊ドラム102の回転により、当該積繊ドラム102の外周面に沿うように供給される連続帯状の包装シート58と対向する位置になったときに、型から外れて包装シート58上に転写される。包装シート58における吸収体56の転写面には、予めホットメルト接着剤M1の塗布により第1接着剤層G1が形成されており、この第1接着剤層G1により吸収体56が包装シート58に接着される。この第1接着工程が順次なされることにより、連続的に移送される包装シート58上に、吸収体56が間欠的に供給され、順次接着がなされる。
包装シート58は、MD方向(シートの移送方向)と直交するCD方向の幅が吸収体56よりも広いものとされており、そのCD方向中間部分58m上に吸収体56が転写された後、吸収体56の上面の全幅にわたりホットメルト接着剤M2の塗布により第2接着剤層G2が形成される。第2接着剤層G2は、吸収体56に含浸して吸収体56の形状維持性を高めることが主目的の接着剤層であるが、包装シート58に対する接着の機能も兼ねるものである。また、必要に応じて包装シートのCD方向の一端部に、ホットメルト接着剤M3の塗布により連結部を接着するための第3接着剤層G3が形成される。
なお、第2接着剤層G2を形成するためのホットメルト接着剤M2の塗布に先立ち、積繊ドラム102において吸収体型102mの底側に高吸収性ポリマー粒子56Pを多く含有させるようにして集積を行い、それを包装シート58上に転写する(この際、吸収体56の上下が入れ替わる)と、吸収体56の上面側に高吸収性ポリマー粒子56Pが多く含有されることになるため、吸収体56の上面にホットメルト接着剤M2を塗布したときにその塗布力により高吸収性ポリマー粒子56Pが飛散しやすいとうい問題点がある。これに対して、積繊ドラム102において吸収体型102mの底側から入口側に向かうにつれて高吸収性ポリマー粒子の含有率が段階的又は連続的に高くなるようにして集積を行うと、吸収体56の上面にホットメルト接着剤M2を塗布する際、高吸収性ポリマー粒子56Pの含有率は吸収体56の上面側ほど低くなり、高吸収性ポリマー粒子は飛散しにくいものとなる。
第2接着剤層G2の塗布後、図示しないセーラーにより、包装シート58における吸収体56のCD方向両側にはみ出す両側部分58sが吸収体56の両側縁に沿う位置で折り返されて、吸収体56上面に接着される(第2接着工程)とともに、CD方向の両端部が重ね合わされ、当該重なり合う部分に予めホットメルト接着剤M3が塗布されて形成された第3接着剤層G3により接着されて連結部58cが形成される。これらの接着のために、包装シート58を折り返した後に一対の圧着ロール104間に通して圧着することができる。このようにして、MD方向に連続する包装シート58の筒状連続体内に、MD方向に間欠的に吸収体56が固定された吸収要素50の連続体が形成される。
なお、これら第1接着工程及び第2接着工程を経て製造される吸収要素50の連続体は、本実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつを製造する場合には、連続帯状のトップシート30と連続帯状の液不透過性シート11との間に挟まれ、さらに必要に応じて脚周りギャザー60の連続体が取り付けられた後に、MD方向に間欠的に切断されて個々の内装体200となった後、別途製造される外装体12F,12Bの連続体に取り付けられ、その前後を重ねるように折り畳まれた後にサイドシール部12Aが形成され、個々のおむつに切断される。パッドタイプ使い捨ておむつやテープタイプ使い捨ておむつを製造する場合には、吸収要素の連続体は、連続帯状のトップシートと連続帯状の液不透過性シートとの間に挟まれ、さらに必要に応じて脚周りギャザーの連続体が取り付けられ(テープタイプ使い捨ておむつの場合にはファスニングテープも取り付けられ)た後に、MD方向に間欠的に切断されて個々のおむつとなる。
前述したように、包装シート58の連結部58cを吸収体56の裏側に位置させる場合には、図示形態のように、積繊ドラム102直後の向きのまま吸収要素50を製造した後に、ロールで反転させることにより吸収要素50の向きを上下反転し、その上側に当該吸収性物品において吸収体56の表側に装備される部材を取り付けるとともに、その下側に当該吸収性物品において吸収体56の裏側に装備される部材を取り付ければよい。吸収要素50の向きを上下反転させなくても、その上側に当該吸収性物品において吸収体56の裏側に装備される部材を取り付けるとともに、その下側に当該吸収性物品において吸収体56の表側に装備される部材を取り付けることもできる。包装シート58の連結部58cを吸収体56の表側に位置させる場合には、積繊ドラム102直後の向きのまま吸収要素50の上下を反転させずに、その上側に当該吸収性物品において吸収体56の表側に装備される部材を取り付けるとともに、その下側に当該吸収性物品において吸収体56の裏側に装備される部材を取り付ければよい。
特徴的には、第1接着工程(a)〜(b)で、第1接着剤層G1を吸収体56の幅56x及び前記吸収体56tの厚みの総和よりも幅広く包装シート58上に形成し、第2接着工程(c)〜(d)で、吸収体56の幅方向両端部では、折り返した部分に塗布した第1接着剤層G1及び吸収体56の上面に塗布した第2接着剤層G2を介して、折り返した部分及び吸収体56の上面を接着する。このようにすると、吸収体56の下面側(包装シート58の連結部58cを有する側と反対側)では、第1接着剤のみで包装シート58の内面と吸収体56との接着がなされるのに対して、吸収体56の上面側(包装シート58の連結部58cを有する側)では、幅方向両端部の領域において、第1接着剤層G1及び第2接着剤層G2の二層により包装シート58の内面と吸収体56との接着がなされる。その結果、吸収体56の下面側よりも、接着力が低下しやすい吸収体56の上面側(包装シート58の連結部58cを有する側)において幅方向両端部の領域におけるホットメルト接着剤H1,H2の使用量を、吸収体56の反対側よりも多くすることができる。また、吸収体56の側面も隙間なく接着することができる。よって、吸収体56及び包装シート58を接着するためのホットメルト接着剤H1,H2の総使用量を抑制しつつ、吸収体56の形状の崩れを効果的に抑制できるようになる。
なお、上述のように、第1接着剤層G1を吸収体56の幅及び吸収体56の厚みの総和よりも幅広く形成する場合、図17に示すように第1接着工程(a)〜(b)から第2接着工程(c)〜(d)までの間に吸収体56の全幅にわたるプレス工程を行うと、吸収体56の幅方向両側にはみ出す第1接着剤層G1がプレス装置103に付着するおそれがある。よって、第1接着工程(a)〜(b)から第2接着工程(c)〜(d)までの間では、吸収体56をその全幅にわたり押し固めるプレス工程を行わないか、又はプレス工程を行う場合には吸収体56の全幅よりも狭い幅でプレスを行う、若しくは図17に示すように第1接着剤層の塗布幅W1を吸収体56の幅56xよりも狭くすることが望ましい。
第1接着剤層G1の塗布幅W1は、吸収体56の幅56x及び吸収体56の厚み56tの総和よりも幅広く形成されていればよいが、図示形態のように、吸収体56に脚周りに沿う括れ部53を有する場合には、さらにCD方向両側に括れ部53の窪み幅W2を追加した幅よりも広くすることが好ましい。これにより、第1接着剤層G1及び第2接着剤層G2の二層により接着される部分が括れ部53の縁に達するとともに、括れ部53の窪んだ部位で、包装シート58同士が連結部58c側の第1接着剤層G1、第2接着剤層G2及び反対側の第1接着剤層G1の三層により強固に接着される。よって、括れ部53における吸収体56形状の崩れを効果的に防止できる。
また、図12(b)に示す形態のように、吸収体56が前述のようなスリット54を有する場合には、第1接着剤層G1の塗布幅W1は、吸収体56の幅及び吸収体56の厚みの総和に対して、さらにCD方向両側に吸収体56の側縁からスリット54の側縁までの幅W3を追加した幅よりも広くすることが好ましい。これにより、第1接着剤層G1及び第2接着剤層G2の二層により接着される部分がスリット54の縁に達するとともに、スリット54の幅方向両端部で、包装シート58同士が連結部58c側の第1接着剤層G1、第2接着剤層G2及び反対側の第1接着剤層G1の三層により強固に接着される。よって、スリット54における吸収体56形状の崩れを効果的に防止できる。
さらに、図12(b)に示す形態のように、第1接着剤層G1の塗布幅W1を包装シート58の重なり合う部分まで広げて、第1接着剤層G1により当該重なり合う部分の接着まで行うようにしても良い。
第1接着剤層G1及び第2接着剤層G2を形成するためのホットメルト接着剤M1,M2の塗布パターンは特に限定されないが、第1接着剤層G1は包装シート58の広い範囲に塗布するものであり、また包装シート58及び吸収体56間の接着の基本になるもの(前述の接着層561を形成するもの)であるため、包装シート58及び吸収体56内への浸透性は必ずしも高くする必要はない。他方、第2接着剤層G2は吸収体56に含浸して吸収体56の形状維持性を高めることが主目的のもの(前述の含浸層562を形成するもの)であるため、吸収体56内への浸透性が高い方が好ましい。このような観点から、第1接着剤層G1を構成するホットメルト接着剤M1は螺旋状又は網目状に塗布されていることが好ましく、第2接着剤層G2を構成するホットメルト接着剤M2は連続面状に塗布されていることが好ましい。
同様の理由により、第1接着剤層G1を形成するためのホットメルト接着剤M1は溶融粘度4000〜9000mPa・sのものが好ましく、第2接着剤層G2を形成するためのホットメルト接着剤M2は溶融粘度1000〜6000mPa・sのものが好ましい。また、第1接着剤層G1を形成するためのホットメルト接着剤M1よりも、第2接着剤層G2を形成するためのホットメルト接着剤M2の方が粘度が低いことが好ましい。
(脚周りギャザー)
脚周りギャザー60は、内装体200の吸収面の幅方向両側に沿って延在された、装着者の脚周りに向かって立ち上がる部分であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
本形態の脚周りギャザー60は、図3及び図4に示すように、幅方向内側の面を構成する内側不織布層61と、幅方向外側の面を構成する外側不織布層62と、前後方向中間における少なくとも先端部における内側不織布層61及び外側不織布層62の間に前後方向に沿って設けられたギャザー弾性伸縮部材63と、基端から基端よりも先端側の位置までの範囲にわたり、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に挟まれた液不透過性シート64(11)とを有している。図示形態では、脚周りギャザー60における液不透過性シート64を有する部分であってかつ先端部よりも基端側の部分が、脚周りギャザー60の前後方向全体にわたり、内側不織布層61が存在せず液不透過性シート64が露出する不織布不存在部分65とされている。このように、脚周りギャザー60に内側不織布層61の無い不織布不存在部分65を設けることにより不織布使用量を削減することができる。また、脚周りギャザー60の先端部は肌に接触する部分であるため、そこを避けて不織布不存在部分65を設けることにより、液不透過性シート64が肌に接触し難くなり、肌触りの悪化を抑制することができる。
図1〜図6に示す形態において内側不織布層61をトップシート30の側部まで延在させることにより、又は図7及び図8に示す構造の脚周りギャザー60とすることにより、液不透過性シート64の全体を隠しても良い。
ギャザー弾性伸縮部材63は、脚周りギャザー60の先端部にのみ設けても良いが、図示形態のように脚周りギャザー60の先端から基端に向かう方向に間隔を空けて複数本設けられているのが好ましい。通常の場合、ギャザー弾性伸縮部材63の本数は、2〜6本が好ましく、その相互間隔60dは3〜10mmが好ましい。このように、複数本のギャザー弾性伸縮部材63を間隔を空けて設けると、その間の部分が外側に窪むため、図示形態のようにこの間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が窪んで肌に接触し難くなるため好ましい。この場合、図1〜図6に示す形態のように、少なくとも脚周りギャザー60の先端部及び基端部にのみそれぞれ一本又は複数本間隔を空けてギャザー弾性伸縮部材63を設け、基端部のギャザー弾性伸縮部材63と先端部のギャザー弾性伸縮部材63との間の間隔部分にのみ不織布不存在部分65を設けると特に好ましい。
脚周りギャザー60におけるギャザー弾性伸縮部材63を設ける前後方向範囲は、脚周りギャザー60の前後方向全体とすることもできるが、立ち上がり部分の前後方向範囲以下とするのが好ましい。
また、ギャザー弾性伸縮部材63は、内側不織布層61及び外側不織布層62の間に設けられる限り(このため不織布不存在部分65には設けられない)、脚周りギャザー60に内蔵される液不透過性シート64に対して図3及び図9に示す形態のように内側に設けることも、また図10に示す形態のように外側に設けることも可能である。
液透過性フィルム64を設ける範囲は、脚周りギャザー60の基端から基端よりも先端側の位置までの範囲であれば、基端から基端及び先端の中間位置までとすることもできるが、遮水性を十分に向上させるためには先端部まで設けることが望ましく、特に図3及び図4に示す形態のように先端部より若干(例えばギャザー弾性部材複数本分。具体的には5〜30mm程度)離間した位置までとし、先端部には液透過性フィルム64を内蔵させないことにより肌触りの柔軟性を確保することが好ましい。
また、不織布不存在部分65に液不透過性シート64が露出する形態では、脚周りギャザー60における前側外装体12F及び後側外装体12Bと重なる部分60Wにおいて、不織布不存在部分65に露出する液不透過性シート64が肌に押し付けられるおそれがある。しかし、図1〜図6に示す形態のように、当該部分60Wを前側外装体12F及び後側外装体12Bに固定して、前側外装体12F及び後側外装体12Bの弾性伸縮部材15,19により幅方向に収縮させると、当該部分60Wは液不透過性シート64が露出するとしても収縮皺により肌に対する接触面積は顕著に低減するため、肌触りへの影響は少ないものとなる。なお、この形態の脚周りギャザー60では、前側外装体12F及び後側外装体12Bに対する固定部分60Wの間の領域が、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、吸収体56の側縁を基端として図3に二点鎖線で示すように脚周りに向かって立ち上がるようになる。
脚周りギャザー60の部材構成は特に限定されず、公知の構造を採用することができる。図1〜図6に示す形態では、トップシート30を不織布からなるものとし、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、また、吸収体56の裏側には不織布からなるギャザーシート66を設け、かつその幅方向両側を吸収体56の側縁から延び出るように構成し、さらに、このギャザーシート66の側端部を折り返すとともに、その折り返し部分66rの先端をトップシート30の先端から離間させるとともに、少なくとも、ギャザーシート66の折り返し部分66rの間から、トップシート30とギャザーシート66との間にかけて液不透過性シート64を設けている。そして、その結果、ギャザーシート66の折り返し部分66r以外の部分により外側不織布層62が形成されるとともに、ギャザーシート66の折り返し部分66r及びトップシート30における吸収体56の側方に延び出る部分により内側不織布層61が形成され、かつギャザーシート66の折り返し部分66rとトップシート30とが離間する部分により不織布不存在部分65が形成されている。このように、脚周りギャザー60における不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61をトップシート30により形成し、それ以外をギャザーシート66により形成すると、素材の切断を要さずに不織布不存在部分65を設けることができ、また、その構造も非常に簡素となり、製造も容易となる。
この場合、脚周りギャザー60の液不透過性シート64は、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで延在されていると、脚周りギャザー60の遮水性だけでなく、吸収体56の裏側の遮水性も一体的に確保することができるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のように脚周りギャザー60に内蔵させる液透過性フィルム64と、吸収体56の裏側を覆う液透過性フィルム11とを個別に設けることもできる。後者の場合、脚周りギャザー60に内蔵させる液透過性フィルム64の素材と、吸収体56の裏側を覆う液透過性フィルムの素材11とを同一のものとしても、また異なるものとしても良い。
同様に、ギャザーシート66も、図3及び図4に示す形態のように、一方側の脚周りギャザー60から吸収体56の裏側を通り他方側の脚周りギャザー60まで一体のシートにより形成されていると、前述の股間部カバーシートを別途設けなくてもなくても布のような外面が得られるため好ましいが、図7及び図8に示す形態のようにギャザーシート66と、股間部カバーシート12Mを個別に設けても良い。
他の脚周りギャザー60の構造として、図7及び図8に示す形態のように、内装体200の裏側に固定された取付け部分68と、この取付け部分68から内装体200の側方を回り込んで内装体200の側部表面まで延在された延在部分69と、この延在部分69の前後方向両端部が倒伏状態で内装体200の側部表面に固定されて形成された倒伏部分69Bと、延在部分における倒伏部分の間の中間部が非固定とされて形成された自由部分69Fと、この自由部分69Fの少なくとも先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材63と、を有するものも採用することができる。この脚周りギャザー60では、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮に伴い、自由部分69Fが取付け部分68との境を基端として図9に二点鎖線で示すように脚周りに向かって立ち上がるようになる。
図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60の延在部分69は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなるが、幅方向外側に折り返されずに、幅方向中央側に向かう部分のみからなる形態とすることもできる(図示略)。
他方、脚周りギャザー60のうち立ち上がり部分となる前後方向中間領域では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性伸縮部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。内側不織布層61及び外側不織布層62の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性伸縮部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性伸縮部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して内側不織布層61及び外側不織布層62間に挟むことにより、当該ギャザー弾性伸縮部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、内側不織布層61及び外側不織布層62への細長状弾性伸縮部材の固定と、内側不織布層61及び外側不織布層62間の固定とを行う構造となっている。
また、脚周りギャザー60のうち前後方向両側の非立ち上がり部分では、内側不織布層61と外側不織布層62との貼り合わせや、図1〜図6に示す形態の脚周りギャザー60の前側外装体12F及び後側外装体12Bへの固定、並びに図7及び図8に示す形態の脚周りギャザー60における付け根側部分及び先端側部分の固定及びその内装体200の側部表面への固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段67の少なくとも一方を用いることができる。図示形態では、ホットメルト接着剤と素材溶着による固定手段67を組み合わせているが、いずれか一方の手段のみで、これらの固定を行うこともできる。
脚周りギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、脚周りギャザー60の起立高さ(展開状態における先端と基端との幅方向間隔)は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。
上記各形態において、内側不織布層61及び外側不織布層62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。図3及び図4に示す形態では、不織布不存在部分65より基端側の内側不織布層61がトップシート30により形成されていることからも分かるように、内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を部分的に異ならしめることも可能であり、また内側不織布層61及び外側不織布層62の素材を異ならしめることも可能である。
上記各形態において、ギャザー弾性伸縮部材63としては糸状のゴム、帯状のゴム等の細長状弾性伸縮部材を用いることができる。糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。
上記各形態は脚周りギャザー60を左右各一列設けるものであるが、複数列設けることもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:10gf/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。
・「溶融粘度」は、JIS Z 8803にしたがい、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、温度140℃で測定されるものである。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。