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JP6273842B2 - iPS細胞クローンの選択方法、及びその選択方法に用いる遺伝子の選択方法 - Google Patents

iPS細胞クローンの選択方法、及びその選択方法に用いる遺伝子の選択方法 Download PDF

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JP6273842B2 JP2013501163A JP2013501163A JP6273842B2 JP 6273842 B2 JP6273842 B2 JP 6273842B2 JP 2013501163 A JP2013501163 A JP 2013501163A JP 2013501163 A JP2013501163 A JP 2013501163A JP 6273842 B2 JP6273842 B2 JP 6273842B2
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Description

本発明は、iPS細胞クローンの選択方法、及びその選択方法に用いる遺伝子の選択方法に関する。
iPS細胞(induced pluripotent stem cells; 人工多能性幹細胞)は、多能性を有し、分化細胞から調製できるため、再生医療において移植に用いるための細胞として期待されている。しかしながら、iPS細胞を分化させて移植しても、in vivoでは、移植されたiPS細胞由来の細胞が腫瘍化する問題が指摘されている(Miura K. et al., Nat Biotechnol. 2009 vol.27: p.743-5.)。
本発明は、分化させても腫瘍化が起きにくいiPS細胞クローンの選択方法、及びその選択方法に用いる遺伝子の選択方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のような各項からなる。
(1)iPS細胞クローンの選択方法であって,未分化状態のiPS細胞において、以下の第1〜第12遺伝子群のいずれかの遺伝子群において、少なくとも一つの遺伝子について、発現レベルを調べる工程、を含む方法。
(2)第1項に記載の選択方法であって,前記発現レベルを、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンにおける当該遺伝子の発現レベル、及び、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおける当該遺伝子の発現レベルと比較する工程、をさらに含む方法。
(3)第1項に記載の選択方法であって,前記iPS細胞クローンにおいて、第1〜第12遺伝子群のいずれかの遺伝子群に属する全ての遺伝子の発現レベルを調べる工程と,調べた遺伝子群において、発現レベルに異常のある遺伝子の個数を調べる工程と、調べた遺伝子の個数を、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンにおける発現レベルに異常のある遺伝子の個数、及び、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおける発現レベルに異常のある遺伝子の個数と比較する工程、をさらに含む方法。
(4)第3項に記載の選択方法であって、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞の発現レベルと比較することによって、前記発現レベルが異常かどうか判断することを特徴とする、方法。
(5)第1項に記載の選択方法であって,前記iPS細胞クローンにおいて、第1〜第12遺伝子群のいずれかの遺伝子群に属する全ての遺伝子の発現レベルを調べる工程と,調べた遺伝子群について、前記iPS細胞クローンにおける発現レベルと、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンにおける発現レベルとを指標にして、iPS細胞クローンのclustering分析を行う工程と、当該iPS細胞クローンが、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンと正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンのいずれに分類されるかを調べる工程と、を含む方法。
(6)第5項に記載の選択方法であって、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞の発現レベルとの相対値を指標にして、前記iPS細胞クローンのclustering分析を行うことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
(7)iPS細胞クローンを選択するために発現レベルを調べる遺伝子の選択方法であって、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすい複数の第1のiPS細胞クローンと、腫瘍化を起こしにくい複数の第2のiPS細胞クローンにおいて、未分化状態のiPS細胞で、1以上の遺伝子を含む候補遺伝子群に属する遺伝子の発現レベルを調べる工程、を含む方法。
(8)前記候補遺伝子群に属する遺伝子が、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子、及びDNA修復に関与する遺伝子であることを特徴とする、第7項に記載の方法。
(9)前記候補遺伝子群に属する遺伝子が、第1遺伝子群及び第2遺伝子群のいずれかに属する遺伝子であることを特徴とする、第7項に記載の方法。
(10)第7項に記載の選択方法であって、複数の第1のiPS細胞クローンにおいて得られた第1の発現レベルと、複数の第2のiPS細胞クローンにおいて得られた第2の発現レベルとを比較する工程と、第1の発現レベルと第2の発現レベルとが異なるかどうか調べる工程と、を含む方法。
(11)第7項に記載の選択方法であって、複数の第1のiPS細胞クローンにおいて得られた発現レベルにおいて、発現レベルに異常のある遺伝子の第1の個数と、複数の第2のiPS細胞クローンにおいて得られた発現レベルのうち、発現レベルに異常のある遺伝子の第2の個数とを比較する工程と、第1の個数と第2の個数とが異なるかどうか調べる工程と、を含む方法。
(12)第11項に記載の選択方法であって、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞の発現レベルと比較することによって、前記発現レベルが異常かどうか判断することを特徴とする、方法。
(13)第7項に記載の選択方法であって、前記iPS細胞クローンについて、前記発現レベルを指標にしてclustering分析を行う工程と、複数の第1のiPS細胞クローンと複数の第2のiPS細胞クローンが、それぞれ別のclusterに分類されるかどうか調べる工程と、を含む方法。
(14)第13項に記載の選択方法であって、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞の発現レベルとの相対値を指標にして、前記iPS細胞クローンについてclustering分析を行うことを特徴とする、方法。
==関連文献とのクロスリファレンス==
本出願は、2011年2月25日付で出願した日本国特許出願2011−40979、及び2011年3月22日付で出願した米国仮出願US61/466298に基づく優先権を主張するものであり、当該基礎出願を引用することにより、本明細書に含めるものとする。
本発明の一実施例において、表1に示した各iPS細胞クローンの発現レベルが、ヒトES細胞(KhES1-S3)の発現レベルの平均に比べて、0.667倍以下あるいは1.5倍以上という異常な発現レベルを示す遺伝子の個数をグラフ化した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表2に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表3に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表4に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表5に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表6に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表7に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表8に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表9に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表10に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表11に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表12に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、ヒトiPS細胞を、3次ニューロスフェアに分化誘導し、NOS/SCIDマウスの脳に移植し、in vivoにおける造腫瘍性を解析した結果を示す写真である。 本発明の一実施例において、ヒトiPS細胞(253G4)を、3次ニューロスフェアに分化誘導し、NOS/SCIDマウスの脳に移植し、in vivoにおける移植iPS細胞の増殖を解析した結果を示す写真である。 本発明の一実施例において、ヒトiPS細胞を、3次ニューロスフェアに分化誘導し、NOD/SCIDマウスの精巣に注入し、3ヵ月後にテラトーマを摘出し、(A)外見、(B)長軸方向の長さ、(C)iPS細胞作製時に導入した初期化遺伝子の発現を観察した図である。 本発明の一実施例において、未分化状態のiPS細胞と、各細胞を分化させた3次ニューロスフェアに対し、アレイCGH解析を行なった結果を示す図である。(a)ゲノムDNA上で、異常が検出された場所を矢印で示している。(b)ゲノムDNA上で、異状が生じている遺伝子数がグラフで示されている。 本発明の一実施例において、全遺伝子を用いて、clustering解析を行なって得られたtreeを表す図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表4に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、図中の各クローンにおける、表12に示した遺伝子の発現をclustering解析して得られたtreeを示した図である。 本発明の一実施例において、第12遺伝子群のプローブについて、ES細胞における発現の平均値から、シグナル強度に1.5倍以上の差があるプローブの個数を測定した結果を示すグラフである。 本発明の一実施例において、エピソーマルベクターを用いて作製したヒトiPS細胞を、3次ニューロスフェアに分化誘導し、NOD/SCIDマウスの精巣に注入し、3ヵ月後にテラトーマを摘出し、(A)外見を観察し、(B)長軸方向の長さを測定した図である。 本発明の一実施例において、409B2由来の神経幹細胞を移植して得られた精巣の組織切片像及びその拡大図(A,B)である。 本発明の一実施例において、414C2由来の神経幹細胞を移植して得られた精巣の組織切片像及びその拡大図(A)である。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.; Juan S. Bonifacino (Bethesda, Maryland); Mary Dasso (Bethesda, Maryland); J. B. Harford, J. L-Schwartz, K. M. Yamada (Ed.), Current Protocols in Cell Biology, John Wiley & Sons Ltd.等の標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
(1)iPS細胞の作製方法
iPS細胞は、分化した細胞に初期化因子を導入し、脱分化させることによって製造できる。(Takahashi K & Yamanaka S. Cell 2006 vol.126: p.663-676; Takahashi K, et al., Cell 2007 vol.131: p.861-872)。
初期化方法は特に限定されないが、核初期化因子を導入することにより、多分化能及び自己増殖能を有するように誘導することが好ましい。例えば国際公開WO2005/080598やWO2007/069666に記載された初期化方法を用いることができる。
核初期化因子は、特に限定されないが、Oct遺伝子群、Klf遺伝子群、Sox遺伝子群のそれぞれの遺伝子群から選択された遺伝子の遺伝子産物の組み合わせを含むことが好ましく、iPS細胞樹立の効率という点では、遺伝子群の遺伝子産物をさらに含んだ組み合わせを含むことがより好ましい。Oct遺伝子群に属する遺伝子としては、Oct3/4、Oct1A、Oct6などがあり、Klf遺伝子群に属する遺伝子としては、Klf1、Klf2、Klf4、Klf5などがあり、Sox遺伝子群に属する遺伝子としては、Sox1、Sox2、Sox3、Sox7、Sox15、Sox17、Sox18などがある。Myc遺伝子群に属する遺伝子としては、c-Myc、N-Myc、L-Mycなどがある。
核初期化因子としては、上記組み合わせ以外にも、Oct遺伝子群の遺伝子、Sox遺伝子群の遺伝子に加え、Nanog遺伝子、lin-28遺伝子、及び/又はglis1遺伝子を含む組み合わせが挙げられる。また、これらの遺伝子のいずれかの組み合わせに加え、p53を欠損させてもよく、例えば、shp53によってp53遺伝子をノックダウンしてもよい。なお、細胞に導入する場合、上記組み合わせの遺伝子に加え、他にも遺伝子産物を導入してもよく、例えば、不死化誘導因子などが挙げられる。
これらの遺伝子は、いずれも、脊椎動物で高度に保存されている遺伝子であり、本明細書では、特に動物名を示さない限り、ホモログを含めた遺伝子を表すものとする。また、polymorphismを含め、変異を有する遺伝子であっても、野生型の遺伝子産物と同等の機能を有する遺伝子もまた、含まれるものとする。
さらに、これら遺伝子の組み合わせに加え、サイトカインや化合物を補助因子として培地に添加しても良い。この場合のサイトカインとして、例えばSCFやbFGFなどが挙げられ、これらは、c-Mycに代替でき、化合物として、例えばバルプロ酸などが挙げられ、これは、c-Myc遺伝子やKlf4遺伝子に代替できる。
(2)iPS細胞クローンの選択方法
本発明にかかるiPS細胞クローンの選択方法は、未分化状態のiPS細胞において、表1〜12に示す第1〜第12の遺伝子群など、所定の遺伝子群において、少なくとも一つの遺伝子について、発現レベルを調べる工程を含む。
遺伝子の発現レベルの調べ方は、特に限定されず、例えば、未分化状態のiPS細胞から常法によって全mRNAを抽出し、そのmRNAを用いて、調べたい遺伝子をプローブにしてノザンブロッティングを行ったり、逆転写の後PCRを行ったりすることで、その遺伝子の発現レベルを知ることができる。複数の遺伝子について同時に発現を調べる場合は、DNAアレイを用いることが好ましい。すなわち、調べたい遺伝子に対するプローブが固定されたDNAアレイに対し、標識した全mRNAをハイブリダイズさせ、得られたシグナルの強度を解析することによって、その遺伝子の発現レベルを知ることができる。
これまで、未分化状態のiPS細胞の遺伝子発現レベルを調べることによって、そのiPS細胞が分化した時にどのような性状を示すかを予測する方法は知られていなかった。しかし、本発明の一実施形態においては,未分化状態のiPS細胞において特定の遺伝子の発現レベルを調べ、その発現レベルを指標にすることによって、そのiPS細胞が腫瘍化を起こしにくいかどうか、を予測することが可能である。以下,その予測方法について,具体的な方法を説明するが、本発明の方法は、下記のものに限定されない。なお、本明細書で「iPS細胞クローンが腫瘍化を起こしにくい」とだけ言う時、in vitroで分化した時あるいはin vivoに移植して分化した場合に、そのクローンが腫瘍化しにくいということを意味するのであって、分化しない場合は含まないものとする。
[1]特定の遺伝子の発現を比較する方法
所定の遺伝子群のうちの少なくとも一つの遺伝子について、予め、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンにおける当該遺伝子の発現レベルと、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおける当該遺伝子の発現レベルとを、それぞれ1以上のiPS細胞クローンを用いて決定し、そして、これらの発現(以下、対象発現と称する)のレベルを、性状を調べたいiPS細胞クローンにおける当該遺伝子の発現のレベルと比較する。
ここで、あるクローンが腫瘍を起こしやすいかどうかを判断する方法は特に限定されないが、例えば、iPS細胞からニューロスフェアを分化させ(Okada et al., Stem Cells. 2008 vol.26: p.3086-98; Miura K. et al., Nat Biotechnol. 2009 vol.27: p.743-5)、NOD/SCIDマウスの線条体や精巣に移植し、1〜6ヶ月後にニューロスフェアの分化状態を調べ,腫瘍が形成されたかどうかを調べたり、形成された場合,その大きさや個数を調べたり、移植細胞の異常増殖等を調べたりすればよい(Okada et al., Stem Cells. 2008 vol.26: p.3086-98; Miura K. et al., Nat Biotechnol. 2009 vol.27: p.743-5)。腫瘍を起こしやすいかどうかの基準は、iPS細胞の使用目的によって、当業者が適切に決定すればよく、例えば、治療目的の移植に用いる場合は、厳しい基準とすればよく、形成された腫瘍を研究する場合は、緩い基準にすれば良い。この時、全ての種類の腫瘍について考慮に入れてもよいが、グリオーマなど特定の腫瘍についてのみ考慮に入れてもよい。
対照発現レベルの数値化の方法は特に限定されず、複数のクローンにおける発現レベルのリスト、複数のクローンにおける発現レベルの平均または平均±標準偏差(または誤差)、複数のクローンにおける発現レベルの上限から下限までの範囲、複数のクローンにおける発現レベルから推測または統計的に計算された値または範囲など、性状を調べたいクローンにおいて調べた発現レベルがどちらの発現レベルに適合するかが判定できる限り、いずれの数値化であってもよい。そして、その数値化のやり方によって、適切な比較方法を選択することができる。例えば,調べた発現レベルと対照発現レベルの間に有意差はあるか,あるいは、調べた発現レベルは対照発現レベルの範囲の中に入っているか等を検定する。そして、調べた発現レベルが、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンの対照発現レベルに適合すると判定された場合,そのクローンは正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンである、あるいは腫瘍化を起こしにくいクローンではないと判断し、腫瘍化を起こしにくいクローンにおける対照発現レベルに適合すると判定された場合,そのクローンは腫瘍化を起こしにくいiPS細胞であると判断する。
[2]発現に異常のある遺伝子の個数を比較する方法
あるいは、予め、1以上の正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンと1以上の腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおいて、所定の遺伝子群の全ての遺伝子の発現レベルを決定し、発現レベルに異常のある遺伝子の個数を算出し、それぞれのiPS細胞クローンにおいて発現レベルに異常のある遺伝子の個数を決定(以下、対照個数と称する)する。そして、性状を調べたいiPS細胞クローンにおいて発現レベルに異常のある遺伝子の個数を対照個数と比較する。
ここで、一つの遺伝子について、複数種類のプローブを用いて調べた結果を用いてclustering解析を行ってもよいが、複数種類のプローブを用いる遺伝子の割合は少ない方が好ましく、全体の20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。一つの遺伝子について、複数種類のプローブを用いる場合であっても、プローブの種類も少ない方が好ましく、三種類以下のプローブを用いるのが好ましく、二種類以下のプローブを用いるのがより好ましいが、最も好ましいのは一種類のプローブを用いる場合である。また、検出できる遺伝子が特定されていないプローブを用いても良いが、その数は少ない方が好ましく、全体の20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。なお、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいか、については、[1]と同様にして判断できる。
発現レベルに異常があるかどうかを判断する方法は特に限定されないが、正常な多能性幹細胞クローンと比較して決めることが好ましい。ここで、正常な多能性幹細胞クローンとしては、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞クローンであればよく、多能性幹細胞は、ES細胞でもiPS細胞でもよい。そして、遺伝子群の各遺伝子について、正常な多能性幹細胞クローンにおける発現レベルと比較して、所定の割合以下、及び所定の割合以上の発現レベルを異常とする。例えば、異常とする割合は、10%以下、20%以下、50%以下、66.7%以下、80%以下、あるいは、120%以上、125%以上、133.3%以上、150%以上、180%以上を例示できる。
ここでも、対照個数の提示の仕方は特に限定されず、複数のクローンにおける個数のリスト、複数のクローンにおける個数の平均または平均±標準偏差(または誤差)、複数のクローンにおける個数の上限から下限までの範囲、複数のクローンにおける個数から推測または統計的に計算された値または範囲など、性状を調べたいクローンにおいて調べた個数がどちらに適合するかが判定できる限り、いずれの表示であってもよい。そして、その表示の仕方によって、適切な比較方法を選択することができる。例えば,調べた個数と対照個数の間に有意差はあるか,あるいは、調べた個数は対照個数の範囲の中に入っているか等を検定する。そして、調べた個数が、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンの対照個数に適合すると判定された場合、そのクローンは正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンである、あるいは腫瘍化を起こしにくいクローンではないと判断され、腫瘍化を起こしにくいクローンにおける対照個数に適合すると判定された場合,そのクローンは腫瘍化を起こしにくいクローンであると判断される。
[3]clustering分析によって分類する方法
あるいは、予め、1以上の正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンと1以上の腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおいて、所定の遺伝子群の全ての発現レベルを決定する。ここで、そして、性状を調べたいiPS細胞クローンにおいても、同じ遺伝子群の全ての発現レベルを決定し、各iPS細胞クローンのclustering解析を行なう。
ここで、一つの遺伝子について、複数種類のプローブを用いて調べた結果を用いてclustering解析を行ってもよいが、複数種類のプローブを用いる遺伝子の割合は少ない方が好ましく、全体の20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。一つの遺伝子について、複数種類のプローブを用いる場合であっても、プローブの種類も少ない方が好ましく、三種類以下のプローブを用いるのが好ましく、二種類以下のプローブを用いるのがより好ましいが、最も好ましいのは一種類のプローブを用いる場合である。また、検出できる遺伝子が特定されていないプローブを用いても良いが、その数は少ない方が好ましく、全体の20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。なお、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいか、及び所定の遺伝子群の中の遺伝子について、発現に異常があるかどうか、については、[1]と同様にして判断できる。
ここで、clustering分析を行なう際、調べた発現レベルが異常かどうかを指標にしてもよい。発現レベルに異常があるかどうかを判断する方法は、[2]の記載と同様である。なお、clusteringtは、Cluster 3.0(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野によるフリーウェア;M. J. L. de Hoon, S. Imoto, J. Nolan, and S. Miyano: Open Source Clustering Software. Bioinformatics, 20 (9): 1453--1454 (2004).;http://bonsai.hgc.jp/~mdehoon/software/cluster/)や Gene spring GX(Agilent社)などのソフトを用いて行うことができる。
clustering分析の結果、性状を調べたいiPS細胞が、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンに分類された場合、そのクローンは正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンである、または腫瘍化を起こしにくいクローンではないと判断され、腫瘍化を起こしにくいクローンに分類された場合、そのクローンは腫瘍化を起こしにくいiPS細胞であると判断される。
(3)遺伝子の選択方法
(1)で述べたように、未分化状態のiPS細胞クローンにおいて、第1〜第12遺伝子群など、所定の遺伝子群のうちの少なくとも一つの遺伝子について、発現レベルを調べることによって、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンを選択できる。
あるクローンが腫瘍化を起こしにくいかどうかを判断するために、どの遺伝子あるいはどの遺伝子群について発現レベルを調べるかについては、iPS細胞の起源によっても異なる可能性があるが、当業者が試行錯誤することなく、容易に決定することができる。以下、その決定方法について述べる。
まず、クローンを選択するための遺伝子として使用できるかどうかを調べる候補遺伝子を選択する。この選択方法は、特に限定されず、ランダムに選んでも良いが、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子やDNA修復に関与する遺伝子から選ぶのが好ましく、さらに第1遺伝子群及び第2遺伝子群から選ぶのがより好ましい。それによって、極めて高確率で目的のクローンを選択するための遺伝子を選択することが可能になる。それらの遺伝子群からの候補遺伝子の選び方も特に限定されないが、実施例のように、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞クローンと、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすい多能性幹細胞クローンとの間で、発現レベルが顕著に異なるような遺伝子を選択することが好ましい。こうして選択した、1以上、好ましくは2以上の遺伝子を含む遺伝子の群を第X遺伝子群とする。
なお、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子は、RT−PCRやマイクロアレイ等を用いて、当業者には容易に調べることが可能である。また、DNA修復に関与する遺伝子とは、DNA修復過程のいずれか1つの過程に関わっている遺伝子であればよく、論文、特許公報、データベース等でそのように報告されている遺伝子であってもよい。これらの報告は、例えば、PUBMED、各国(例えば、日本、欧州、米国)特許庁やWIPOのHP、GO(Gene Ontology)などのデータベースからアクセス可能なデータベースに載っている論文や特許公報から検索することができる。すなわち、DNA修復に関与する遺伝子とは、PUBMEDや各国(例えば、日本、欧州、米国)特許庁やWIPOのデータベースやGOのデータベースに含まれている論文、特許公報、遺伝子情報の中に、機能の少なくとも一つがDNA修復に関与していることが報告されている遺伝子であることが最も好ましい。
次に、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすい1以上の、好ましくは複数の第1のiPS細胞クローンと、腫瘍化を起こしにくい1以上の、好ましくは複数の第2のiPS細胞において、未分化状態の各iPS細胞で、第X遺伝子群に属する遺伝子の発現レベルを調べる。そして、この発現レベルを指標にして、第1のiPS細胞クローンと第2のiPS細胞クローンを比較する。比較の方法は特に限定されないが、以下に、いくつかの具体例を述べる。
[1]発現レベル自体を比較する方法
例えば、第1のクローンの発現レベルと、第2のクローンの発現レベルが異なるかどうか調べる。
ここで、発現レベルが異なるという判断は、腫瘍化を起こしにくいかどうか不明のクローンにおいて、同様に第X遺伝子群の遺伝子の発現レベルを調べ、そのクローンが、第1のクローンと第2のクローンのどちらに適合するかが判断できれば、どのような基準で判断してもよい。例えば、第1及び第2のクローンにおける発現レベルを、それぞれ最低レベルと最高レベルの範囲で表し、それらの範囲が重ならない場合に異なると判断しても良く、それぞれ平均値で表し、それらの値に有意差がある場合に異なると判断してもよいが、これらに限定されない。
このように、第1のクローンと第2のクローンにおける発現レベルを比較し、それらが異なるようであれば、この第X遺伝子群は、腫瘍化を起こしにくいクローンを選択するための遺伝子群として用いることができる。
[2]多能性幹細胞と発現レベルが異なる遺伝子数を比較する方法
あるいは、第X遺伝子群の中で、第1及び第2のiPS細胞クローンにおいて、正常な多能性幹細胞クローンと発現レベルが異なる遺伝子の個数を測定し、それらの個数が異なれば、この第X遺伝子群は、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンを選択するための遺伝子群として用いることができる。なお、正常な多能性幹細胞クローンとは、in vitroまたはin vivoに移植した時に、腫瘍化を起こしにくいことが判明している多能性幹細胞クローンのことであって、腫瘍化を起こしにくいのであれば、ES細胞であってもよく、iPS細胞であってもよい。
ここで、個数が異なるという判断は、腫瘍化を起こしやすいかどうか不明のiPS細胞クローンにおいて、同様に第X遺伝子群の遺伝子の発現レベルを調べ、正常な多能性幹細胞クローンと発現レベルが異なる遺伝子の個数が、第1のiPS細胞クローンと第2のiPS細胞クローンのどちらに適合するかが判断できれば、どのような基準で判断してもよい。ここで、正常な多能性幹細胞クローンと発現レベルが異なると判断するための基準は、[1]に記載の方法と同様の方法で行うことができる。そして、第1のiPS細胞クローンと第2のiPS細胞クローンとの間で、例えば、個数の分布範囲が重ならなかったり、個数の平均値が有意に異なったりするようであれば、この第X遺伝子群は、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンを選択するための遺伝子群として用いることができる。
[3]clustering分析の結果を比較する方法
この方法は、第X遺伝子群に属する遺伝子について、第1及び第2のiPS細胞クローンにおいて、正常な多能性細胞クローンと発現レベルを比較し、その比較結果を用いて、iPS細胞をclustering解析し、第1及び第2のiPS細胞クローンが、それぞれ別のclusterとして分類されれば、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンを選択するための遺伝子群として用いることができる。clusteringの方法は、(1)[3]で述べたのと同じ方法を用いることができる。
(1)用いた多能性幹細胞クローンの性状の評価
実施例においては、ヒトES細胞クローンとして、KhES1〜KhES3の3クローン(Suemori et al. Biochem Biophys Res Commun. 2006 vol.345: p.926-32.)、ヒトiPS細胞クローンとして、201B6、201B7、253G1、253G4の各クローン(Takahashi et al..Cell. 2007 131:861-72; Nakagawa et al. Nat Biotechnol. 2008 vol.26: p.101-6.)を用いた。培養は、通常に使用される方法を用いた(Suemori et al. Biochem Biophys Res Commun. 2006 vol.345: p.926-32.)。
まず、これらのiPS細胞クローンを、公知の方法(国際公開WO2010/090007号公報)を用いて、in vitroでニューロスフェアに分化させたところ、201B6のみ、ニューロスフェアが形成されなかったが、201B7、253G1、253G4からは、正常にニューロスフェアが形成された。
ニューロスフェアが形成された3系統について、2回継代した後、3次ニューロスフェアを、公知の方法(国際公開WO2010/090007号公報)を用いて神経系細胞に分化誘導したところ、大部分が神経細胞に分化し、グリア細胞はほとんど分化しなかった。なお、対照として、KhES1細胞をin vitroで分化させたものを用いた。
マイクロアレイにより、遺伝子発現profileを検討すると、ヒトiPS細胞から誘導した神経幹細胞も、ヒトES細胞から誘導した神経幹細胞とほぼ同様のProfileを示した(後述の(6)比較例参照)。なお、ヒトiPS細胞分化後の3次ニューロスフェアでは、TRA−1−60、TRA−1−81、NCAMなどの未分化マーカーはほとんど検出されず、これらのヒトiPS細胞クローンには、分化抵抗性の細胞や未分化細胞の残存はほとんど無いことが確認された。
また、ニューロスフェアが形成された3クローンについては、電気生理学的に解析をしたが、ヒトES細胞と同様に活動電位が記録され、これらの3クローンは機能的なニューロンに分化できることが示された。
(2)用いた多能性幹細胞の造腫瘍性の評価
ここでは、これらのヒトiPS細胞クローンを、3次ニューロスフェアに分化誘導し、細胞を分離して、NOS/SCIDマウスの脳に移植し、in vivoにおける分化能と造腫瘍性を解析した。
まず、公知の方法(Okada et al., Stem Cells. 2008 vol.26: p.3086-98; Miura K. et al., Nat Biotechnol. 2009 vol.27: p.743-5)で、各iPS細胞からヒトEB(Embryoid body; 胚様体)を作製し、その後、1次ニューロスフェアに分化誘導した。なお、iPS細胞クローンの一つ201B6は、正常に分化しなかった。ここで、Venusを発現するレンチウイルス(Okada et al., Stem Cells. 2008 vol.26: p.3086-98)を導入し、Venusを発現する神経幹細胞を製造した。さらに、2回継代して3次ニューロスフェアを作製し、単一の細胞に分離して、1−5x10個の細胞をNOD/SCIDマウスの線条体に注入した(Ogawa et al., J Neurosci Res. 2009 vol.87: p.307-17; Miura K. et al., Nat Biotechnol. 2009 vol.27: p.743-5)。細胞注入6ヶ月後、マウスから脳を摘出し、神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、それぞれのマーカーに対する抗体を用いて、免疫組織化学的に、移植した細胞の分化状態を調べたところ、in vivoでは、3つの神経系細胞に分化していた。また、分化した神経細胞の種類も、TH陽性カテコラミン作動性ニューロン、ChAT陽性コリン作動性ニューロン、GAD67 陽性GABA作動性ニューロンが検出され、いずれのクローンも正常な分化能を有していた。
同時に、マウス脳切片をHE染色したところ、253G1、253G4を移植したマウス脳では、低級グリオーマの像が観察され、核異型を有する細胞(図では鏃で示されている)も観察された(図13)。これに対し、201B7を移植したマウス脳では、対照のKhES1と同様、正常な脳組織が観察された(図13)。
特に、脳の組織切片上でvenusの発現している面積を調べたところ、253G1及び253G4では腫瘍化の兆候が見られ、特に253G4の移植組織では、移植細胞由来の巨大な腫瘤が観察された(図14)。なお、201B7では、対照のKhES1と同様、移植細胞に以上は見られなかった。
次に、未分化細胞の残存について、より高感度に解析するために、3次ニューロスフェアを単一の細胞に分離して、1−5x10個の細胞をNOD/SCIDマウスの精巣に注入し、3ヵ月後に精巣を摘出し、外見(A)、長軸方向の長さ(B)、iPS細胞作製時に導入した初期化遺伝子の発現(C)を観察した(図15)。201B7では、全ての点で、対照のKhES1と同様であったが、253G1では、細胞の増殖はほぼ正常だったが、対照のKhES1とは異なり、初期化遺伝子(POU5F1のみ)の発現が認められた。253G4では、細胞の増殖が著しく、初期化遺伝子(特にPOU5F1)の発現も著しく亢進していた。また、組織化学的な解析では、脳の組織切片と同様に、201B7を移植したマウス脳では、対照のKhES1と同様、正常組織であったが、253G1及び253G4を移植したマウス脳では低級グリオーマの像が観察され、特に253G4は悪性度が高かった。
以上から、201B7は、組織に移植した時、in vivoで腫瘍化を起こしにくいクローンであり、253G1及び253G4は、in vivoで腫瘍化を起こしやすいクローンであると考えられ、以下の実験では、特定の遺伝子群の発現パターンで、201B7がES細胞と同じパターンを取り、253G1及び253G4は、それらと異なるパターンを取ることを示す。
(3)第1〜第10遺伝子群を用いたiPS細胞クローンの分類
ここでは、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子群、DNA修復に関与する遺伝子群、及びそれらに共通する遺伝子群から、様々な遺伝子群を抽出し、それらについて、ES細胞及びiPS細胞における未分化状態での発現パターンを調べ、その発現パターンによって、腫瘍化を起こしにくいクローンと、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンが区別できることを示す。
[1]遺伝子群の抽出
まず、マイクロアレイHuman U-133 Plus 2.0 Array (Affymetrix社)を用いて、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子として、22種類のヒト組織(骨髄、小脳、大脳皮質、胎児脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管支、子宮)の発現レベルと、KhES1〜KhES3のES細胞クローンの発現レベルを比較し、
1.FDR(False Discovery Rate)のq値が0.05未満であること
2.ES3クローン全てがpフラグであること
3.ES3クローン全てで、ヒト組織の発現レベルの平均より5倍以上高いこと。
の3つの条件を満たすプローブ1340個(表1)(特定された遺伝子種929個;対応遺伝子が特定されていないプローブ102個を含む)を選択し、特定された遺伝子種929個を第1遺伝子群とした。ここで、特定された遺伝子とは、遺伝子名が判明し、単一に数えられた遺伝子のことを言う。
第1遺伝子群から、KhES1〜KhES3のES細胞クローンの発現レベルの平均と201B7の発現レベルが2倍以上であるプローブを除いた1304個のプローブ(表2)(特定された遺伝子種906個;対応遺伝子が特定されていないプローブ96個を含む)からなる遺伝子群を選択し、特定された遺伝子種906個を第2遺伝子群とした。
一方、DNA修復に関与する遺伝子群として、GO(Gene Ontology)のデータベースにおいて、DNA repairで登録されているhumanの遺伝子を抽出したところ、DNArepairに関するとされている遺伝子が313個得られた。また、文献中(Wood et al., Science 2001 vol.291 p.1284; Wood et al., 2005 Mutation research vol.577 p.275; Negrini Nat Rev Mol Cell Biol. 2010 vol.113: p.220-8.)にDNArepairに関するとされている遺伝子163個を得て、重複なく332個抽出して第3遺伝子群を作製し、それらに対応するプローブ676個を選択した(表3)。そして、第2遺伝子群と第3遺伝子群で重複している83個のプローブ(表4)(特定された遺伝子種60個を含む)を選択し、特定された遺伝子種60個を第4遺伝子群とした。
さらに、第1遺伝子群の遺伝子から、201B6、253G1、253G4すべての発現レベルが、ES3クローンの発現レベルの平均より1.5倍以上であり、201B7の発現レベルとESの平均との差が1.5倍以内である80個のプローブ(表5)(特定された遺伝子種70個;対応遺伝子が特定されていないプローブ3個を含む)を選択し、特定された遺伝子種70個を第5遺伝子群とし;第1遺伝子群の遺伝子から、201B6、253G1、253G4すべての発現レベルがES3クローンの発現レベルの平均より1.5倍以上であり、さらに、ES3クローンと201B7のすべてで、ES3クローンの発現レベルの平均との差が1.5倍以内である72個のプローブ(表6)(特定された遺伝子種63個;対応遺伝子が特定されていないプローブ2個を含む)を選択し、特定された遺伝子種63個を第6遺伝子群とし;第3遺伝子群の遺伝子から、201B6、253G1、253G4のすべての発現レベルが、ES3クローンの発現レベルの平均より1.5倍以上である59個のプローブ(表7)(特定された遺伝子種54個を含む)を選択し、特定された遺伝子種54個を第7遺伝子群とし;第7遺伝子群の遺伝子から、ES3クローンと201B7のすべてで、ES3クローンの発現レベルの平均との差が1.5倍以内である18個のプローブ(表8)(特定された遺伝子種17個を含む)を選択し、特定された遺伝子種17個を第8遺伝子群とし;第4遺伝子群の遺伝子から、201B6、253G1、253G4のいずれかの発現レベルが、ES3クローンの発現レベルの平均より1.5倍以上であり、201B7の発現レベルとESの平均との差が1.5倍以内である13個のプローブ(表9)(特定された遺伝子種13個を含む)を選択し、対応する遺伝子を第9遺伝子群とし;第4遺伝子群の遺伝子から、201B6、253G1、253G4のすべての発現レベルが、ES3クローンの発現レベルの平均より1.5倍以上であり、201B7の発現レベルとESの平均との差が1.5倍以内である5個のプローブ(表10)(特定された遺伝子種5個を含む)を選択し、対応する遺伝子を第10遺伝子群とした。
<マイクロアレイを用いた解析方法>
マイクロアレイとして、Affymetrix社 U133plus2.0を用いた。
正常ヒト組織(骨髄、小脳、大脳皮質、胎児脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管支、子宮)のRNAは、Clontech, Ambion, Cell Applications, Stratagene社から購入した。他の細胞などに関しては、Trizol(InVitrogen社)にて全RNAを回収し、RNAeasy mini kit(Quiagen社)を用いてカラム精製を行った。また、キアゲン社のRNAase-free DNaseにより処理し、混入するDNAを分解した。RNAの品質は、Bioanalyzer 2100 (Agilent社)を用いて確認した。
[2]発現に異常のある遺伝子の個数を比較する方法
ここでは、第1遺伝子群の遺伝子を含むプローブにおいて、各iPS細胞の発現レベルが、ES3クローンの発現レベルの平均に比べて、0.667倍以下あるいは1.5倍以上という異常な発現レベルを示すプローブの個数を調べ、その結果を図1にグラフ化した。
腫瘍化を起こしにくいiPS細胞(201B7)と、正常に分化しないか(201B6)、分化しても腫瘍化を起こしやすい(253G1、253G4)iPS細胞とでは、発現に異常のあるプローブの個数に有意な差があった。
従って、第1遺伝子群の遺伝子の発現を調べ、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞に対して発現に異常のある遺伝子の個数を調べることにより、腫瘍化を起こしにくいかどうかを判断できる。
[3]clustering分析によって分類する方法
ここでは、第2〜第10遺伝子群の遺伝子を含むプローブについて、ES3クローンの発現レベルの平均に対する、各iPS細胞の発現レベルの割合を計算し、Log2(ratio)で表した(表2〜表10)。これらのデータに対し、Cluster 3.0を用いて、clustering解析を行い、得られた結果をJava Treeview(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野によるフリーウェア;M. J. L. de Hoon, S. Imoto, J. Nolan, and S. Miyano: Open Source Clustering Software. Bioinformatics, 20 (9): 1453--1454 (2004).;http://bonsai.hgc.jp/~mdehoon/software/cluster/)を用いて、treeを作製した(図2〜図10)。
図2〜図10のtreeに示されているように、調べたiPS細胞のうち、201B7だけがヒトES細胞と同じグループに分類されており、201B6、253G1、253G4は、それとは別に一つのグループに分類されている。
このように、多能性幹細胞で分化細胞より発現の高い遺伝子、及びDNA修復に関与する遺伝子から選択された遺伝子からなる遺伝子群について、腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞における発現レベルと比較することにより、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞と、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞に分類ができる。従って、この方法を使えば、腫瘍化を起こしにくいかどうかわからないiPS細胞についても、どちらのグループに属するかを明らかにでき、そのiPS細胞が腫瘍化を起こしにくいかどうかを判断できる。
[4]発現レベル自体を比較する方法
例えば、本実施例では、表10に記載のsuppressor of Ty 16 homolog (S. cerevisiae)の発現レベルは、ES3クローンと、正常に分化しないか(201B6)、分化しても腫瘍化を起こしやすい(253G1、253G4)とでは、有意に差がある。そして、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞(201B7)の発現レベルは、ES3クローンと差がなく、腫瘍化を起こしやすいiPS細胞とは顕著な差がある。
このように、発現レベル自体を比較することによっても、iPS細胞が腫瘍化を起こしにくいかどうかを判断できる。
(4)第11〜第12遺伝子群を用いたiPS細胞クローンの分類
ここでは、第1遺伝子群及び第3遺伝子群に属する各遺伝子を含むプローブに対し、表2及び表3に示された発現レベルを表す数値に基づき、ES3クローンと201B7のグループ及び201B6、253G1、253G4のグループの間でSAMの検定を行い、各遺伝子群でp<0.1またはp<0.05で有意差のあったプローブを、それぞれ27個(表11)(特定された遺伝子26個を含む)と19個(表12)(特定された遺伝子17個を含む)抽出し、特定された遺伝子種26個と17個を第11遺伝子群及び第12遺伝子群とした。(3)[3]と同様に、clustering解析をしたところ、図11及び図12のtreeに示されているように、調べたiPS細胞のうち、201B7だけがヒトES細胞と同じグループに分類されており、201B6、253G1、253G4は、それとは別に一つのグループに分類されていた。
このように、統計学的有意性を有する発現レベルの差を用いることによっても、iPS細胞を、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞と、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞に分類ができる。
(5)ゲノムDNAにおける変異
本発明は、未分化状態のiPS細胞における、DNA修復に関与する遺伝子の発現の異常が、分化後のiPS細胞の造腫瘍性に影響があるという発見に基づくものである。以下、そのメカニズムとして、未分化状態におけるDNA修復に関与する遺伝子の異状によって、DNAに多数の傷が生じ、それが原因となって、iPS細胞が正常に分化できないか、あるいはiPS細胞が分化したときに腫瘍化するということを示す。
まず、未分化状態のiPS細胞(201B6、253G1、253G4、201B7)と、各細胞を分化させた3次ニューロスフェア、iPS細胞作製のもととなる線維芽細胞(HDF)、コントロールとして、ヒト胎児由来神経幹細胞(hNSC)および患者グリオーマ細胞由来細胞(GDC)から、ゲノムDNAを単離し、アレイCGH解析を行なった。
ゲノムDNAは、各クローンから、そして対照として正常ヒト男性ゲノム(Promega社)から、フェノールクロロホルム法、あるいは、DNeasy Blood & Tissue KitやQIAamp DNA mini Kit (Qiagen社)を用いて抽出し、PicoGreenを用いて定量した。各サンプルとして、500ngから1000ngの二本鎖DNAを用い、制限酵素(AluIとRsaI)による消化を行い、DNAを断片化した。その後、Genomic DNA Enzymatic Labeling キット(Agilent社)を用いて、DNA断片をCy3またはCy5でラベルし、片方をコントロール、もう片方をサンプルとした。精製後、Sureprint G3 human CGHマイクロアレイ4x180K(Agilent社)を用い、添付プロトコールに従い、ハイブリダイゼーション、Agilent スキャナーを用いたスキャニング、Feature extractionソフトウェアによるシグナルの数値化を行った。得られたデータは、Agilent Genomic Workbenchを用いて、Aberrationの検出を行った。検出されたAberrationのうち、対照のHDF(ヒト皮膚線維芽細胞)で見られるAberrationは、単なるCNV(copy number variation)の可能性が高いため、解析から除外して、各クローン間のaberrated geneとしての遺伝子数を比較した。
図16に示されるように、ES細胞や腫瘍化を起こしにくいiPS細胞(201B7)では、分化しても、ゲノム異常は全体として変化がなく、一方、正常に分化しないか(201B6)、分化しても腫瘍化を起こしやすい(253G1、253G4)では、分化と共に、ゲノム異常が増加しており、その異状のレベルは、患者グリオーマに由来する培養細胞(GDC21、GDC36、GDC40)ほどではないものの、ES細胞や201B7と比べて、はるかに高かった。
このように、未分化状態のiPS細胞において、DNA修復に関与する遺伝子の発現に異常があると、分化過程で生じるDNA変異が修復できず、そのために正常に分化できないか、あるいは分化させても細胞が腫瘍化するものと考えられる。
(6)比較例
本比較例では、いずれかのクローン中で発現が検出されたプローブ全てを対象とし、Rというclustering解析用ソフトウェアを用い(http://www.r-project.org/)、Ward's hierarchial clustering methodとEluclidian distanceによって、clustering解析を、行なった。その結果を図17に示すが、本発明のように適切な遺伝子群を選択しなければ、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞と、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞は、clusterによって区別することができなかった。
(7)エピソーマルベクターを用いて作製したヒトiPS細胞の解析
エピソーマルベクターを用いて作製したヒトiPS細胞株409B2及び414C2(Okita et al., Nat Methods 2011)について、比較する対照の細胞株として、KhES1、KhES2、KhES3、201B7、409B2、414C2、201B6、253G4、253G1の各クローンを用い、第4遺伝子群及び第12遺伝子群について、マイクロアレイを用いて(3)と同様の方法で、発現の解析及びclustering分析を行った。その結果、図18及び図19のtreeに示されるように、どちらの場合も、409B2及び414C2は、ES細胞及び201B7と同じ枝に分類された。
また、第12遺伝子群の19プローブについて、3つのES細胞における発現の平均値から、シグナル強度に1.5倍以上の差があるプローブの個数を測定したところ、図20に示すように、その個数が、409B2、414C2、201B7では6個以内、201B6、253G4、253G1では、10個以上となり、2つのグループで有意に(t検定でp=0.017)差が見られた。
次に、409B2及び414C2について、(2)と同様の方法で、造腫瘍性の評価を行なったところ、図21に示すように、409B2及び414C2は、ES細胞及び201B7と同様に、精巣移植後の腫大は観察されなかった。また、409B2及び414C2を移植した精巣のパラフィン切片を作製し、HE染色を行なって、移植細胞由来のテラトーマの組織像を観察したところ、図22及び図23に示すように、253G4、253G1より腫瘍化傾向が低く、十分に分化した神経細胞及びグリア細胞が観察された。
このように、本発明の遺伝子群は、iPS細胞を、正常に分化しないか、分化しても腫瘍化を起こしやすいクローンと、腫瘍化を起こしにくいクローンに分類するのに有用である。
[表1A]第1遺伝子群(表1B)を含むプローブ1340個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表1B]第1遺伝子群
[表2A]第2遺伝子群(表2B)を含むプローブ1304個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表2B]第2遺伝子群
[表3A]第3遺伝子群(表3B)を含むプローブ676個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表3B]第3遺伝子群
[表4A]第4遺伝子群(表4B)を含むプローブ83個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表4B]第4遺伝子群
[表5A]第5遺伝子群を含むプローブ80個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表5B]第5遺伝子群
[表6A]第6遺伝子群(表6B)を含むプローブ72個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表6B]第6遺伝子群
[表7A]第7遺伝子群(表7B)を含むプローブ59個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表7B]第7遺伝子群
[表8A]第8遺伝子群(表8B)を含むプローブ18個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表8B]第8遺伝子群
[表9A]第9遺伝子群(表9B)を含むプローブ13個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表9B]第9遺伝子群
[表10A]第10遺伝子群(表10B)を含むプローブ5個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表10B]第10遺伝子群
[表11A]第11遺伝子群(表11B)を含むプローブ27個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表11B]第11遺伝子群
[表12A]第12遺伝子群(表12B)を含むプローブ19個において、ヒトES細胞クローン(KhES1-S3)の発現レベルの平均に対する、各ES細胞クローン及び各iPS細胞クローンの発現レベルの割合
[表12B]第12遺伝子群
本発明によって、分化させても腫瘍化が起きにくいiPS細胞クローンの選択方法、及びその選択方法に用いる遺伝子の選択方法が提供できるようになった。

Claims (4)

  1. iPS細胞クローンの選択方法であって,
    未分化状態のiPS細胞クローンにおいて、第2〜第10遺伝子群のいずれかの遺伝子群において、少なくとも一つの遺伝子について、発現レベルを調べ、前記iPS細胞クローンにおける発現レベルと、正常に分化できないか、あるいは分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンにおける発現レベルと、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンにおける発現レベルとを指標にして、iPS細胞クローンのclustering分析を行う第1の工程と、
    前記clustering分析の結果に基づいて、当該iPS細胞クローンが、正常に分化できないか、あるいは分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンと、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンのいずれに分類されるかを調べる第2の工程と、を含む方法。
  2. 請求項1に記載の選択方法であって、
    腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞クローンの発現レベルとの相対値を指標にして、前記iPS細胞クローンのclustering分析を行うことを特徴とする、方法。
  3. iPS細胞クローンを、正常に分化できないか、あるいは分化しても腫瘍化を起こしやすいiPS細胞クローンと、腫瘍化を起こしにくいiPS細胞クローンのいずれに分類するために発現レベルを調べる遺伝子の選択方法であって、
    正常に分化できないか、あるいは分化しても腫瘍化を起こしやすい複数の第1のiPS細胞クローンと、腫瘍化を起こしにくい複数の第2のiPS細胞クローンにおいて、未分化状態の各iPS細胞クローンで、1以上の遺伝子を含む候補遺伝子群に属する遺伝子の発現レベルを調べる工程と、
    前記iPS細胞クローンについて、前記発現レベルを指標にしてclustering分析を行う工程と、
    複数の第1のiPS細胞クローンと複数の第2のiPS細胞クローンが、それぞれ別のclusterに分類されるかどうか調べる工程と、
    を含む方法。
  4. 請求項3に記載の選択方法であって、
    腫瘍化を起こしにくい多能性幹細胞クローンの発現レベルとの相対値を指標にして、前記iPS細胞クローンについてclustering分析を行うことを特徴とする、方法。
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