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JP6156459B2 - 鋼材の鍛造方法およびその鍛造方法を用いる鋼材の製造方法 - Google Patents

鋼材の鍛造方法およびその鍛造方法を用いる鋼材の製造方法 Download PDF

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JP6156459B2 JP2015161232A JP2015161232A JP6156459B2 JP 6156459 B2 JP6156459 B2 JP 6156459B2 JP 2015161232 A JP2015161232 A JP 2015161232A JP 2015161232 A JP2015161232 A JP 2015161232A JP 6156459 B2 JP6156459 B2 JP 6156459B2
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Description

本発明は、鋼材とりわけ厚肉の鋼材の鍛造方法に関し、特に鋼材のポロシティー圧着能力を向上させ、さらには仕上がり形状の有利な改善を図ろうとするものである。
一般に厚鋼板は、連続鋳造スラブを圧延することによって製造されている。鋳造したままのスラブでは、凝固収縮時に生じた空隙(ポロシティー)が、特に凝固が遅い厚さ中心部に多量に残存している。また、鋳片の凝固は幅端面からも進むため、早い段階で凝固する幅端部近傍は空隙の残存は少なく、その他の部分に残存する。そのため、幅/厚さ比が大きくなると、幅端面からの凝固の影響がない幅方向の広い領域で空隙が残存する。かような空隙部は、通常、後続の熱間圧延工程にて消滅し、内質欠陥のない製品厚鋼板となる。
空隙を消滅(閉鎖−圧着)させるには、厚み方向の加工量(圧下率)を大きくすることが有効である。しかしながら、それ故、所定厚さのスラブから製造できる製品板厚は限られてくる。
例えば、特許文献1には、圧延に先立って、平坦な金敷でスラブの板厚方向への加工を加える鍛造を併用し、鍛造工程での圧下率と厚板圧延での圧下率の範囲を定め、総圧下率が30%以上、70%以下で極厚鋼板を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、スラブの鍛造工程で幅方向に150mm以上減尺させることにより、厚板圧延での全圧下率が20〜60%にて極厚鋼板を製造する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、幅方向圧下によりスラブ幅を300mm以上減尺させると共に、連続鋳造スラブに対する上金敷の接触長さよりも、下金敷の接触長さを3倍以上とした上下非対称の鍛造金敷を用い、全圧下率が16%以上、20%以下の範囲の加工条件で極厚鋼板を製造する方法が提案されている。
しかしながら、板厚中心部の機械的特性を要求される製品においては、超音波探傷試験に合格しても、伸びが仕様を満たさない場合があり、かような傾向は特に高強度材で多く見られる。このような鋼材の破面を観察すると、超音波探傷試験の検出感度よりも小さい0.1〜0.2mm程度の微少な空隙が残存しており、特許文献1〜3の方法では、十分な空隙消滅性能が得られるとは言い難かった。
さらに、特許文献4には、材料幅の0.4〜0.7倍の幅を有し、かつ材料高さの0.3〜0.5倍の軸方向長さを有する上金敷と、材料幅の1〜1.5倍の幅を有し、かつ材料長さの1〜1.5倍の軸方向長さを有する下金敷とを用いて、空隙が残存しやすい大型鋼塊の中心部に十分な圧下力を加えて欠陥を効率的に消滅させる熱間鍛錬方法が提案されている。
このとき、軸方向長さについては、上金敷は材料高さを基準に、下金敷は材料長さを基準にその軸方向長さを定めており、その相互の関係は明らかになっていない。
また、特に幅/厚み比が大きくなると、幅方向の広い領域で厚さ中心近傍に空隙が存在するため、幅方向の中心部に局所的に圧下を加えても、空隙を完全に消滅することはできない。
この点、特許文献5では、特許文献3と同様な非対称な金敷を用いた鍛造法において、一方の金敷長さを他方の2倍以上とすることで、より大きなφ25.4mmの空孔が20%の圧下で閉鎖する方法が提案されている。
また、特許文献6には、非対称な金敷を用いたFM(Free from Mannesmann effect)鍛造法において、FM鍛造を2回にするとともに、2回目のFM鍛造で1回目のFM鍛造の送り代の境界部を鍛造することにより、1回目のFM鍛造で残存した空隙部を2回目の鍛造で消滅させる方法が提案されている。この方法によれば、超音波探傷試験はいうまでもなく、マクロ試験や中心ミクロ研磨顕微鏡観察でも有害な中心未圧着が見られない、優れた空隙消滅性能が得られることが報告されている。
特開平7−232201号公報 特開平10−263614号公報 特開2006−263730号公報 特開平6−277783号公報 特開昭54−139860号公報 特開2001−71082号公報
奥村ら、鉄と鋼 Vol.66,No.2,pp203〜
特許文献5では、貫通した孔の両端を溶接で塞いだ形状の空隙の閉鎖特性を評価している。しかしながら、例えば特許文献6の実施例では、下金敷寸法を上金敷の2倍としても1回の鍛造では超音波欠陥が見られたとされていることからも推測できるように、実際の鋳片に存在する空隙に対して充分な閉鎖能力を有するとは言いがたい。一般に、貫通した空隙は、球状の空隙に比べて閉鎖しやすいとの報告(例えば、非特許文献1)があり、少なくとも特許文献5では、連続鋳造スラブに見られるような貫通していない空隙に対しての閉鎖能力は明らかになっていない。
特許文献6は、1回目と2回目とで圧下位置をずらす方法であるが、1回目の圧下による軸方向の伸びがあるため、2回目の送り代は1回目の送り代よりも大きくなる。この時の伸びは圧下率や金敷との摩擦係数により種々に変化するため、2回目の圧下の送り代も一定ではない。特に、特許文献6の実施例で開示されているのは、鍛錬比が2.4(断面減少率は58%)と大きな圧下の場合であり、2回目の送り代が1回目の2倍前後と大きくなり、広幅のスラブ材では設備の荷重の荷重限界を超える場合が出てくるため、適用できない場合が出てくる。
また、一般に、スラブの幅と最終製品の幅は異なるため、鍛造時に、まず幅方向の圧下を行って幅サイズを整えたのち、厚み方向の圧下を行う。かような鍛造において、非対称金敷を用いて幅方向圧下を行う、すなわち上下金敷の接触長さや接触位置が異なる状態で圧下を行うと、変形が上下非対称となって幅反りが発生する。
上記したような鍛造プロセスの後、幅反りが発生した状態で厚み方向圧下を行うとさらなる形状不良を誘発する。また、幅反りが残存したまま熱間圧延を行うと、蛇行のような通板不良を招く懸念があるため、鍛造後に幅反りを有しない形状に切断する工程が生じ、歩留りが低下する。
なお、通常、金敷の長さはスラブ長さに対して非常に短いため、鍛造時に幅反りの矯正を行うのは極めて困難であり、またたとえ矯正を行えたとしてもその場合は鍛造能率が大幅に低下する。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、第1の目的は、上下金敷の長さが異なる非対称の平金敷きを用いた鋼材の厚み方向圧下(減厚処理)において、超音波探傷試験はいうまでもなく、マクロ試験や中心ミクロ研磨顕微鏡観察でも未圧着の空隙が見られない、優れた空隙消滅性能を有する鋼材の鍛造方法を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、鋼材の幅方向圧下および厚み方向圧下を非対称の平金敷を用いて連続的に行う場合であっても、幅方向圧下時における幅反りの発生を効果的に抑制して、優れた仕上がり形状が得られる鋼材の鍛造方法を提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、上記の鍛造方法により得られる鋼材を提供することである。
さて、発明者等は、上記問題を解決すべく、非対称の平金敷を用いた厚み方向圧下(減厚処理)時、さらには幅方向圧下時における鋼材の変形挙動に着目し、ポロシティーの圧着、さらには幅反りの防止を図るべく鋭意検討を行った結果、以下に述べる知見を得た。
非対称の平金敷を用いて鋼材の厚み方向圧下、すなわち減厚処理を行った場合、長さが短い平金敷で押圧された加工面側と長さが長い平金敷で押圧された加工面側とでは、被加工材である鋼材に対する歪みの導入形態が異なり、必ずしも鋼材の内部に適切に歪みを導入できるとは限らないことが判明した。
そこで、鋼材の内部により効果的に歪みを導入できる方法について種々検討を重ねた結果、厚み方向の圧下を行う際の上下一対の平金敷の端部位置を、少なくとも未鍛造側で、鋼材の圧下前の板厚に応じた所定の距離だけずらすことによって、所期した目的が達成されることの知見を得た。
また、スラブの幅方向圧下時における幅反りの発生原因についても、上下平金敷の圧下位置のずれあるいは上下平金敷の接触長の違いに起因した上下非対称変形であることが判明した。
そこで、上下平金敷の端部位置(スラブ長手中央側)のずれを、上下平金敷の接触長さのうち短い方の平金敷の接触長さに対して一定値以下に制御したところ、上下非対称変形が抑制されて幅反りが低減されることが判明した。
本発明は、上記の知見を基に、さらに検討を加えた末に開発されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが同じ又は異なる一対の平金敷を用いた2方向からの圧下と、同一軸方向への送り動作を交互に繰り返すパス操作によって減厚処理を行う、鋼材の鍛造方法であって、上下一対の平金敷の端部位置が、未鍛造側で、(圧下前の鋼材の厚さH)/2以上離れていることを特徴とする鋼材の鍛造方法。
2.鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いた2方向からの圧下と、同一軸方向への送り動作を交互に繰り返すパス操作によって減厚処理を行う、鋼材の鍛造方法であって、上下一対の平金敷の端部位置が、未鍛造側および既鍛造側の両方で、(圧下前の鋼材の厚さH)/2以上離れていることを特徴とする鋼材の鍛造方法。
3.前記パス操作による減厚処理をn回(nは2以上の整数とする)に分けて厚み方向圧下を行うものとし、iを2〜nの整数としたとき、i−1回目の減厚処理における送り境界部を、i回目の減厚処理において長さが短い方の金敷の所定位置±(送り量/6)の範囲に位置させることを特徴とする前記1または2に記載の鋼材の鍛造方法。
4.鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いて、連続的に幅方向ついで厚み方向に圧下を加えることからなる鋼材の鍛造方法において、
上記の幅方向の圧下を鋼材の長手方向の端部から行うものとし、その際、鋼材長手中央側における上下金敷の端部位置のずれ量をΔL、上下金敷のうち鋼材との接触長さが短い方の接触長さをBとするとき、これらの比ΔL/Bを0.20以下の条件で幅圧下を行い、
一方、厚み方向圧下を行うに際しては、前記1〜3のいずれかに記載の減厚処理を適用する
ことを特徴とする鋼材の鍛造方法。
5.素材である鋳片の幅/厚み比が3以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の鋼材の鍛造方法
6.前記1〜5のいずれかに記載の鍛造方法により製造したことを特徴とする鋼材。
本発明によれば、空隙の残存のない、特に超音波探傷では検出できないが材料の機械的特性に影響を及ぼす0.2mm程度の空隙も残存しない鋼材を得ることができる。
また、本発明によれば、ポロシティー圧着能力の高い上下非対称金敷を用いた鍛造を、厚み方向圧下のみならず幅方向圧下に適用した場合においても、鍛造後のスラブの仕上がり形状を向上させることができる。
上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いて鋼材の減厚処理(厚み方向圧下)を行う場合の圧下要領を示した図である。 鋼材の未鍛造側に平金敷の端部位置ずれΔBEを設けた場合(a)および鋼材の未鍛造側および既鍛造側の両方に平金敷の端部位置ずれΔBEおよびΔBDを設けた場合(b)を示した図である。 鋼材の幅中央、厚さ中央部における長手方向の最小歪みと、平金敷端部のずれ量ΔBE、ΔBDとの関係を示した図である。 上下非対称の平金敷を用いて厚み方向圧下を行った場合に、鋼材に導入される歪みの状態を示した図である。 上下金敷とも長さが等しい対称の平金敷を用いて端部位置ずれΔBEを設ける場合を説明した図である。 上金敷と下金敷の長さが異なる非対称金敷を用いてスラブの幅方向圧下を行う圧下要領を示した図である。 スラブの幅反りの評価要領を示した図である。
以下、本発明を図面に従い具体的に説明する。
上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いて鋼材の減厚処理(厚み方向圧下)を行う場合の圧下要領を、図1(a)〜(d)に基づいて説明する。図中、符号1は上金敷、2は下金敷であり、この例では上金敷1が長さが短い平金敷を、下金敷2が長さが長い平金敷を構成している。3は鋼材(スラブ)である。
図1(a)は、鋼材3の上下面に非対称の平金敷1,2を当接した状態を示している。このように、鋼材の厚み方向圧下は、鋼材3の端部から行う。
図1(b)は、上記の平金敷対1,2により、実際に2方向から圧下を加えた状態を示している。
上記した端部圧下終了後、平金敷対1,2の間隙を初期状態に復帰させたのち、予め定めた所定の長さだけ鋼材3を同一軸方向に送り、あらためて鋼材3の上下面に非対称の平金敷1,2を当接する。この状態を示したのが図1(c)である。
そして、図1(b)に示したところと同様に、平金敷対1,2により鋼材に対して2方向から圧下を加える。この状態を示したのが図1(d)である。
このように、鋼材の厚み方向圧下は、鋼材の端部から順次、平金敷を用いた2方向からの圧下と、同一軸方向への送り動作とを交互に繰り返すパス操作によって行う。
さて、本発明では、上記したような減厚処理に際し、図2(a)に示すように、鋼材の未鍛造側で、上下一対の平金敷の端部位置を一致させるのではなく、記号ΔBEで示すように適正量のずれを設けるのである。
また、図2(b)に示すように、鋼材の未鍛造側にずれΔBEを設けるだけでなく、既鍛造側にも記号ΔBDで示すずれを設けることが、一層有利である。
以下、平金敷と鋼材の接触長さが対向する上下の平金敷で異なる場合における、鋼材内部の変形をFE解析により調査した結果について説明する。
初期厚310mmの鋳片を、平金敷1の長さを310mmとして、平金敷2の長さおよびその端部位置を種々に変えて、送り量310mmで25mm鍛造した後の、幅中央、厚さ中央部における長手方向の最小歪みと、平金敷端部のずれ量ΔBE、ΔBDとの関係について調べた結果を、図3に示す。なお、図3には、参考のため、既鍛造側のみに端部位置ずれを設けた場合(ΔBE=0)についての調査結果も併せて示す。
図3に示したとおり、未鍛造側のみに端部位置ずれΔBEを設けた場合および未鍛造側と既鍛造側の両方に端部位置ずれΔBE、ΔBDを設けた場合のいずれの場合も、ΔBE、ΔBDをそれぞれ、圧下前の鋼材の厚さHに対する比で0.50以上とすることによって幅中央、厚さ中央部における長手方向の最小歪みを増大させることができた。そして、この効果は、未鍛造側と既鍛造側の両方に端部位置ずれを設けた場合の方が一層大きいことも確認された。
なお、既鍛造側のみに端部位置ずれを設けた場合には、ずれ量の如何にかかわらず、最小歪みを増大させることはできなかった。
そこで、本発明では、上下平金敷の端部位置を、少なくとも未鍛造側でずらすこととし、そのずれ量を圧下前の鋼材厚さの0.5倍以上とすることにしたのである。なお、ずれ量の上限については特に制限はないが、ずれ量があまりに大きくなると、金敷が大きくなりその製作費が増加するとともに交換作業も専用の機器が必要になる場合がある。また、金敷の端部位置のずれ量を小さくして幅方向の圧下をした後に、厚み方向に圧下を加える鍛造方法において、ずれ量を確保するために金敷の位置を大きく移動する必要があり、その設定に時間を要する等の弊害が生じるので、ずれ量の上限は鋼材厚さの1.0倍程度とするのが実際的である。
ところで、鋼材の厚みを所定の厚さまで減厚する場合、かかる減厚処理は、1回だけの厚み方向圧下で行うとは限らず、厚み方向圧下を複数回行って、所定の厚みに減厚することが考えられる。なお、送り方向での複数回の圧下を合わせて所定厚さまで圧下する工程を1回の減厚処理という。
この場合に、減厚処理をn回(nは2以上の整数)に分けて厚み方向圧下を行うものとし、iを1〜nの整数としたとき、i−1回目の減厚処理における送り境界部を、i回目の減厚処理時に長さが短い方の平金敷の所定位置±(送り量/6)の範囲に位置させることが有利である。その理由を以下に示す。
なお、ここでいう送り境界部とは、i−1回目の減厚処理において、長さが短い方の平金敷の平坦部の端部(未鍛造側)で減厚された位置であり、平金敷の所定位置とは、長さが短い方の平金敷の平坦部の端部(未鍛造側)から送り量/2の位置である。
まず、図4に、上下非対称の平金敷を用いて厚み方向圧下を行った場合に、鋼材に導入される歪みの状態について調べた結果を示す。ここで、送り後に加工を付与した領域は黒枠で囲まれた部分である(以下、加工領域と記す)。
図4に示すように、厚み方向の中心部をみると、加工領域の端部で歪みが小さくなっている。
すなわち、厚み方向の中心部において、平金敷の長さ方向中央域ではそれなりの加圧力が作用して歪みが導入されているものの、両サイドでは十分な加圧力が作用してなく導入歪み量は小さい。
そこで、i−1回目の厚み方向圧下において歪みが小さい部分に、i回目において大きな歪みを与えることで、鋼材内に導入される歪みが鋼材長手方向でより均等になる。このとき、図4のように、厚み方向の中心部で圧下率相当以上の大きな歪みが加わるのは、平金敷の長さ方向中央域、特に平金敷の長さ方向中央域における送り量の1/3の範囲であり、この部分が送り境界域に含まれるように、i−1回目の減厚処理における送り境界部を、i回目の減厚処理時に長さが短い方の平金敷の所定位置±(送り量/6)の範囲に位置させることが望ましい。
なお、送り量は、通常、厚み方向の中心部に圧下率相当の歪みが加わる、減厚前の板厚の1/2以上とされる。また、送り量を大きくすると全長を減厚処理するための処理回数が少なくなるので生産性が向上するが、荷重が増大する。このため、送り量は、設備許容荷重の中で、できる限り大きくされる。
また、減厚処理の回数は2回以上とすることができるが、回数が多くなりすぎると、生産性の低下を招くため、上限は6回程度とすることが好ましい。さらに、鋼材の厚み中心部における歪みの導入形態をさらに均質化する観点からは、偶数回とすることが好ましい。
以上、上下平金敷として非対称の平金敷を用いる場合について説明したが、未鍛造側のみに端部位置ずれΔBEを設ける場合には、図5に示すように、上下金敷とも長さが等しい対称の平金敷を用いることもできる。
次に、図6を参照して、上金敷と下金敷の長さが異なる非対称平金敷を用いて鋼材の幅方向圧下を行う場合について説明する。この例では、上金敷1が長さが短い方の平金敷を、一方下金敷2が長さが長い方の平金敷を示している。なお、図中、l1で平金敷1の幅を、l2で平金敷2の長さを示す。また、B1は平金敷1の鋼材に対する接触長さを、B2は平金敷2の鋼材に対する接触長さを示している。従って、この例で、上下金敷のうち鋼材との接触長さが短い方の接触長さBとはB1を指す。さらに、ΔLは鋼材長手中央側における上下金敷の端部位置のずれ量を示す。
さて、図6に示したところにおいて、幅方向の圧下を鋼材の長手方向端部から行うに際し、上下平金敷の端部位置(スラブ長手中央側)のずれ量ΔLを次第に小さくしていった。その結果、このΔLを小さくすることにより、具体的にはΔLを上下平金敷のうち鋼材に対する接触長さが短い方の接触長さB(この例でB1)に対して0.20以下とした場合に、上下非対称変形が効果的に抑制されて幅反りが軽減されることが判明した。より好ましいΔLの範囲は、接触長さが短い方の接触長さBに対して0.10以下である。ΔLは0であってもよい。
なお、図6ではB1がB2より小さい場合について示しているが、B1がB2より大きい場合も同様に、ΔLを上下平金敷のうち鋼材に対する接触長さが短い方の接触長さB(B2)に対して0.20以下、好ましくは0.10以下とすることで幅反りが軽減される。
また、この際、接触長さが短い方の平金敷1の接触長さB1は、平金敷1の長さl1の(0.60〜1.00)倍に設定するのが好ましいことも判明した。B1がl1の0.60倍に満たないと、バス数が増大して鍛造能率の低下を招くからである。より好適なB1/l1比は0.80〜0.95の範囲である。
上述したように、たとえ上下金敷の長さが異なる、さらには上下金敷のセンター位置がずれた状態であっても、スラブに対する幅方向の圧下を、好ましくは適正な接触長さの下で、なおかつ上下金敷の端部位置(スラブ長手中央側)のずれ量を所定の範囲に制御して行うことにより、上下金敷による変形位置と面圧が同等となって、圧下時の幅反りを効果的に抑制できることが究明されたのである。
素材鋳片に残存する空隙が少ない幅端部近傍は、幅方向に厚さの1/2程度にすぎず、従って、幅方向で「幅−厚さ」の中央域に空隙が多く残存することが知られている。つまり、素材鋳片の幅/厚さ比が3以上となると、幅の2/3以上の広い領域にわたって空隙が残存しており、圧下を加える幅が広くなり金敷との接触面積が増加し、鍛造荷重の増加につながる。このため、送り方向の接触長さを低減できる本発明を適用することが好ましい。
なお、上下金敷の端部位置のずれ量を調整するには、上下各金敷位置をスライドさせるといった方法が挙げられる。
また、本発明は、圧下されるスラブの成分組成の影響を受けないので、どのような成分組成のスラブにも適用可能である。
実施例1
連続鋳造で製造した一般構造用400MPa級鋼、一般構造用490MPa級鋼、調質780MPa級鋼、炭素鋼S35CおよびSUS304鋼について、それぞれ厚み310mm、幅1800mm、長さ3500mmの鋳片を準備した。これらを、加熱炉で1250℃に再加熱した後、端部から長手方向に順次、全幅を一度に、厚さ方向に圧下し、厚さ280mmまで1回の圧下で仕上げた。また、一部の鋳片については、加熱炉で1250℃に再加熱した後、端部から長手方向に270mmずつ送りながら、全幅を一度に厚さ方向に、295mm厚まで圧下した。引き続き、圧下した鋳片を反転して平金敷と接触する面を反対にし、長手方向に290mmずつ送りながら、厚さ280mmまで2回目の圧下を行った。このとき、平金敷の鋳片長手方向は両側ともR80mmの逃げを設け、端部位置の調整は長さが長い下金敷の位置を長手方向に移動させることにより行った。また、圧下を2回行う場合には、2回目の圧下において、長さの短い上平金敷の位置を長手方向に移動させることで、1回目の圧下の送り境界部が、上平金敷の長さ方向の所定位置から40mm以内となるように調整した。
かくして得られた鋼材の幅中央部から、厚さ中心±10mm、長さ中心±250mmのサンプルを採取し、まず20倍の投影機でポロシティーの有無を観察し、ポロシティーが観察された場合には100倍に拡大して寸法を確認し、長手方向にわたって0.1mm以上のポロシティーの数を調査した。
鍛造条件およびポロシティーの調査結果を表1−1および1−2に示す。なお、平金敷長さは平坦部と逃げR部を合わせた長さである。また、鋼種A〜Eごとに鍛造条件に数字01〜12を付けている。
同表に示したとおり、本発明の要件を満足する03,04,09,10,11,12の条件では0.2〜0.5mmのポロシティーは残存しておらず、特に両側で端部位置をずらした09,10,12は、ポロシティーが全く残存しておらず、とりわけ優れていることが分かる。また、条件03は、下金敷の長さが上金敷の長さの1.6倍と2倍以下であったが、充分なポロシティー圧着効果が得られていた。
これに対し、上下金敷の長さは異なるが、端部位置のずれが十分ではない02,08では、超音波探傷で検出される0.5mm以上のポロシティーはないものの、0.2〜0.5mmのポロシティーは残存していた。また、未鍛造側の金敷端部位置を同じ位置とした05,06,07では、0.5mm以上のポロシティーも残存しており、例えば07のように金敷の長さが2倍であっても、不充分であることが分かる。
実施例2
表2に示す種々の条件でスラブの幅方向圧下を行ったときの圧下後のスラブの幅反り量について調査した結果を、表2に併記する。
なお、スラブの幅反り量は、図7に示すように、幅方向圧下後のスラブの長さをL、スラブの両幅端部を結んだ線から反りの内側までの長さの最大値をΔWmaxとした場合、ΔWmax/L×100(%)で評価するものとし、この値が0.8%以下となる場合を合格とした。
同表に示したとおり、本発明に従う条件で幅方向圧下を行ったNo.1〜7はいずれも、上下金敷のスラブ長手中央側における端部位置のずれ量が金敷接触長さに対して十分に小さいために、生じる幅反り量は小さかった。
これに対し、本発明を逸脱した条件で幅方向圧下を行ったNo.8〜13は、上下金敷のスラブ長手中央側における端部位置のずれ量が大きいため、上下非対称の変形が生じた結果、幅反りが大きくなっている。
1 上金敷
2 下金敷
3 スラブ

Claims (6)

  1. 鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが同じ又は異なる一対の平金敷を用いた2方向からの圧下と、同一軸方向への送り動作を交互に繰り返すパス操作によって減厚処理を行う、鋼材の鍛造方法であって、上下一対の平金敷の端部位置が、未鍛造側で、(圧下前の鋼材の厚さH)/2以上離れていることを特徴とする鋼材の鍛造方法。
  2. 鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いた2方向からの圧下と、同一軸方向への送り動作を交互に繰り返すパス操作によって減厚処理を行う、鋼材の鍛造方法であって、上下一対の平金敷の端部位置が、未鍛造側および既鍛造側の両方で、(圧下前の鋼材の厚さH)/2以上離れていることを特徴とする鋼材の鍛造方法。
  3. 前記パス操作による減厚処理をn回(nは2以上の整数とする)に分けて厚み方向圧下を行うものとし、iを2〜nの整数としたとき、i−1回目の減厚処理における送り境界部を、i回目の減厚処理において長さが短い方の金敷の所定位置±(送り量/6)の範囲に位置させることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼材の鍛造方法。
  4. 鋼材に対し、上金敷と下金敷の長さが異なる一対の平金敷を用いて、連続的に幅方向ついで厚み方向に圧下を加えることからなる鋼材の鍛造方法において、
    上記の幅方向の圧下を鋼材の長手方向の端部から行うものとし、その際、鋼材長手中央側における上下金敷の端部位置のずれ量をΔL、上下金敷のうち鋼材との接触長さが短い方の接触長さをBとするとき、これらの比ΔL/Bを0.20以下の条件で幅圧下を行い、
    一方、厚み方向圧下を行うに際しては、請求項1〜3のいずれかに記載の減厚処理を適用する
    ことを特徴とする鋼材の鍛造方法。
  5. 素材である鋳片の幅/厚み比が3以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材の鍛造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼材の鍛造方法により鋼材を製造することを特徴とする鋼材の製造方法
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