<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成を模式的に示した図である。画像形成装置1の上部には、原稿2をプラテンガラス5上に押しつけるカバーと、プラテンガラス5上に載せられた原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配設されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に載せられた原稿2に対して光源6から光を照射する。そして、原稿2で反射した光を鏡であるフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9で反射した後、レンズ10を介してCCD(Charge Coupled Devices)を用いた画像読取素子11へ案内し、原稿2の画像を画像読取素子11によってRGBの各色の画像データを表す電気信号に変換して制御部101へ出力する。
制御部101は、画像形成装置1の各部を制御する。また、制御部101は、画像読取装置4から入力されたRGB画像データ、または、LANなどのネットワーク回線を介してパーソナルコンピュータ(不図示)等の外部装置から入力されたRGB画像データを取得し、取得されたRGB画像データをCMYKの4色の画像データ(ラスタデータ)に変換するなどの処理をして画像処理装置12に出力する。
画像処理装置12は、制御部101から供給されたCMYK画像データに対し、2値化処理、シェーディング補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集、色ずれ補正等の処理を施す。画像処理装置12は、処理したCMYK各色の画像データを各色に対応した画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kの露光装置14C、14M、14Y、14Kに送る。尚、図面及び以下の説明においては、C色の画像に係わるものは符号の末尾にCを付し、M色の画像に係わるものは符号の末尾にMを付し、Y色の画像に係わるものは符号の末尾にYを付し、K色の画像に係わるものは符号の末尾にKを付して説明する。
画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kは、CMYKの各色のトナー像を形成するユニットである。画像形成装置1は、各画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kが装着される装着部を備えており、各画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kは、画像形成装置1への装着及び画像形成装置1からの取り外しが可能であって、画像形成装置1内において水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。本実施形態においては、4つの画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kは、すべて同様に構成されているため、C、M、Y、Kの符号を付すのを省略してその構成を説明する。画像形成ユニット13は、像保持体の一例として、矢印Aの方向に一定の回転速度で回転する感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン16と、感光体ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像器17と、感光体ドラム15上のトナーを除去するクリーニング装置18とから構成されている。
各色に対応した露光装置14はレーザ装置19を有し、画像処理装置12から送られた画像データに応じて変調されたレーザ光がレーザ装置19から出力される。即ち、画像処理装置12からの画像データは、レーザ装置19から出力されるレーザ光を変調する変調信号として働く。レーザ装置19から出力されたレーザ光は、図示しないモータにより回転駆動される側面に複数の反射面が設けられた正多角形状のポリゴン鏡22へ反射鏡20、21によって案内され、ポリゴン鏡22によって反射される。また、回転するポリゴン鏡22によって反射した光は、再び反射鏡21及び複数枚の反射鏡23、24を介して像保持体である感光体ドラム15に導かれ、感光体ドラム15の表面を走査する。これにより感光体ドラム15の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム15C、15M、15Y、15Kに形成された静電潜像は、現像器17C、17M、17Y、17Kによって、それぞれCMYKの各色のトナー像として現像される。
本実施形態において、レーザ装置19は、VCSELアレイのように、それぞれの出力光を独立して変調可能な複数の発光素子を有するマルチビーム発光装置である。図2は、VCSELアレイの一例を示す模式図である。図2に示したVCSELアレイは、8つのレーザダイオード191(発光素子の一例)を有し、これらレーザダイオード191は2行×4列で2次元配置されている。
より具体的には、これらレーザダイオード191は、これらレーザダイオード191から出力されるレーザ光が副走査方向に重ならないように、副走査方向に対応する方向である図2における垂直方向にずらして配置されている。そのため、レーザダイオード191の各行は、主走査方向に対応する図2の水平方向に対して傾きを有している。また、レーザダイオード191は二次元配置されているため、主走査方向に対応する水平方向の位置が異なり、最大で距離D1ずれている。そのため、レーザダイオード191が同時に発光すると、水平方向の位置が異なるレーザダイオード191から発せられたレーザ光は、異なる主走査方向の位置で感光体ドラム15上に結像することとなる。このような主走査方向の結像位置のずれを補正するため、後述するように、画像処理装置12は各レーザダイオード191に画像データ(変調信号)を供給を開始する際の遅延量を走査開始の基準となる信号に対して調節する遅延回路を有する。尚、主走査方向とは、ポリゴン鏡22の回転によるレーザ光の走査の方向であり、感光体ドラム15の回転軸の方向と一致する。副走査方向は、主走査方向と交差する方向であり、画像が形成される用紙の搬送方向に対応した方向である。
このようなレーザ装置19を各色の露光装置14の光源として用いることにより、各色毎に1回の主走査で複数(この例では8つ)のレーザ光が同時に走査され、感光体ドラム15の表面に静電潜像が形成されるので、一つのレーザ光を走査する場合に比べて静電潜像の形成が高速化される。また、例えば、VCSELアレイ(レーザ装置)19のポリゴン鏡22の軸線方向に対する傾き角度を調整し副走査方向に対応する方向に隣接するレーザダイオード191の間隔を小さくすることで、副走査方向の走査線密度が向上する。尚、VCSELアレイ19に含まれるレーザダイオード191の数は8に限られず、例えば16(4×4の2次元配置)、32(4×8の2次元配置)など、別の数であってもよい。
図1を再度参照すると、各感光体ドラム15C、15M、15Y、15K上に形成された上記各色のトナー像は、各画像形成ユニット13C、13M、13Y、13Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、図示しない一次転写バイアス電源によって一次転写バイアスが印加された一次転写ロール30C、30M、30Y、30Kにより重ねて転写される。
中間転写ベルト25は、ロール40〜45の間に一定の張力を掛けられて掛け回されており、図示しないモータによって回転駆動されるロール40により、矢印Bの方向に一定の速度で循環駆動される。なお中間転写ベルト25としては、本実施形態では、例えば可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
中間転写ベルト25上に重ねて転写された各色のトナー像は、ロール44側に押し付けられている二次転写ロール50によって、搬送された記録媒体としての記録用紙60に転写される。以下、記録用紙60へのトナー像の転写を二次転写と呼ぶ。なお、二次転写ロール50には、記録用紙60が二次転写ロール50と中間転写ベルト25の内側に設けられたロール44との間に搬送される際、中間転写ベルト25に一次転写されたトナーの極性とは逆の極性である二次転写バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト25から記録用紙60に向かう静電気力が中間転写ベルト25上のトナーに作用して、記録用紙60の表面にトナーが転写される。
各色のトナー像が転写された記録用紙60は、2連の搬送ベルト51、52によって定着器70へと搬送される。定着器70は、トナー像が転写された記録用紙60に熱及び圧力を加えることで、トナー像を記録用紙60の表面に定着させる。トナー像が定着された記録用紙60は、排紙トレイ64に排出される。
なお、記録用紙60は、記録用紙60を格納する複数の格納部61〜63の何れかから、ロール80等によって定められる破線で示す用紙搬送経路に沿って搬送されて中間転写ベルト25上に送出される。また、感光体ドラム15は、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置18によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。ベルト用クリーナ90は、中間転写ベルト25上に残留したトナーを除去する。
本実施形態に係る画像形成装置1は、温度や湿度の変化等によって生じる画像の色ずれを防止すべく、画像形成装置1の電源投入時やユーザ操作に応じて、中間転写ベルト25に一次転写されたトナー像の位置ずれを検出し、検出された位置ずれに応じて記録用紙60に転写すべき各色のトナー像を表す画像データを補正する機能が設けられている。以下、画像形成装置1におけるこれらの機能に関する構成について説明する。
図3は、画像形成装置1における位置ずれ検出及び画像データ補正に係る構成のブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は、制御部101、記憶部102、操作部103、通信部104、パターン検出器600、画像処理装置12、画像形成ユニット13、及び画像読取装置4を含んで構成されている。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)101A、ROM(Read Only Memory)101B、RAM(Random Access Memory)101Cを含む。ROM101Bには制御プログラムが記憶されており、RAM101Cをワーキングエリアとして、CPU101Aが制御プログラムを実行することで画像形成装置1の各部が制御され、画像形成装置1が動作する。例えば、制御部101は、位置ずれ検出時において、位置ずれ検出用の各色のトナー像(以下、テストパターンと言う)が中間転写ベルト25に転写されるように画像処理装置12及び画像形成ユニット13を制御する。
記憶部102は、不揮発性の記憶媒体で構成されており、位置ずれ検出処理に用いるテストパターンの画像データ(以下、パターン画像データと言う)等の各種データを記憶する。操作部103は、画像形成装置1の電源のオンオフを切り換える電源スイッチや、例えばタッチパネル式の表示装置を含んで構成されており、メニュー画面やメッセージを表示してユーザからの指示を受付ける。
通信部104は、例えばパーソナルコンピュータなどの外部装置と直接または通信ネットワークを介して接続するためのインタフェースである。通信部104は、例えば、外部装置から画像データを取得し、制御部101に供給する。
パターン検出器600は、図1に示すように、中間転写ベルト25の搬送方向において画像形成ユニット13より下流側に配置される。パターン検出器600は、中間転写ベルト25上に照射した光の反射光を受光する例えばCCD等のイメージセンサを有し、中間転写ベルト25に転写された各色のテストパターンを検出する。パターン検出器600は、主走査方向に沿って複数個設けてもよい。パターン検出器600は、検出した各色テストパターンの転写位置を示す情報を画像処理装置12へ供給する。
画像読取装置4は、上述したように、ユーザによって指定された原稿のRGB画像データを取得し、制御部101に供給する。
画像処理装置12は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアとして構成され、上述したように、制御部101から供給されるCMYK画像データに濃度調整等の画像処理を施す。また、画像処理装置12は、パターン検出器600からの信号に基づいて、各色の位置ずれ量を求め、各位置ずれ量を低減するように各色画像データの補正を行い、補正後の画像データを各色の画像形成ユニット13の露光装置14へ送出する。以下、画像処理装置12の構成及び動作について、詳細に説明する。
図4は、画像処理装置12の構成を示すブロック図である。画像処理装置12は、後述するラスタデータ生成部200から入力されるCMYK画像データを処理して、処理したCMYK画像データを露光装置14のレーザ駆動回路141に供給する。尚、図4においては、画像処理装置12及び露光装置14の構成を1色分のみ示したが、同様の構成がCMYK各色に対して設けられる。
ラスタデータ生成部200は、画像読取装置4あるいはネットワークを介してパーソナルコンピュータなどの外部装置から取得したRGB画像データを、任意の公知の手法を用いて、CMYK画像データ(ラスタデータ)に変換し、画像処理装置12に供給する。ラスタデータ生成部200は、制御部101のCPU101Aがプログラムを実行することにより実現される。ラスタデータ生成部200から画像処理部12に入力されるCMYK画像データは、例えば解像度600dpiの多値画像データ(多階調画像データとも言う)である。ここで、多値画像データとは画像を構成する各画素毎に各色の濃淡(階調レベル)を複数ビットで表した画像データを言い、例えば、各色の濃淡を8ビットで表した場合、各色の濃淡は「0」から「255」までの数値で表される。尚、主走査方向の画素の並びを行と言い、副走査方向の画素の並びを列と言うこともある。
画像処理装置12は、I/F(インターフェース)部201と、補正処理部202と、ラインメモリ203と、解像度変換部204と、主倍率補正部205と、出力FIFO(First-In First-Out)メモリ206と、遅延回路207と、タイミング信号生成部210と、位置ずれ検出部211と、ラインメモリ制御部212と、出力FIFO制御部213とを有する。補正処理部202、ラインメモリ203、解像度変換部204、及び主倍率補正部205は、I/F部201から供給されるCMYK画像データを補正処理して、レーザ装置19から出力されるレーザ光を変調するための変調信号を生成する変調信号生成部208を構成する。
本例において、変調信号生成部208における処理を含む出力FIFOメモリ206より上流側の処理(データの演算や転送)は、図示省略するクロックジェネレータにより生成される周波数100MHzの第1クロックCLK1を動作クロックとして用いて行われ、出力FIFOメモリ206より下流側の処理は周波数400MHzの第2クロックCLK2を動作クロックとして用いて行われる。そのため、出力FIFOメモリ206へのデータ書込みは第1クロックCLK1に基づいてなされ、出力FIFOメモリ206からのデータ読出しは第2クロックCLK2に基づいてなされる。
第2クロックCLK2の周波数は、主走査方向の画像データの解像度、1走査ラインの長さ、露光装置14におけるレーザ光の走査速度(ポリゴン鏡の回転速度等によって決まる)等に基づいて定まる。第1クロックCLK1の周波数は、画像処理装置12の回路規模を小さくするため、動作に支障が生じない範囲で極力低く設定されている。これは、一般に、より高い周波数のクロックで動作させる程、画像処理装置12に含まれる各論理ゲートを構成するのに波形成形のバッファ(インバータ)がより多く必要となり、各論理ゲートを構成する回路が大きくなってしまうことによる。本例の画像処理装置12においては、複数画素(例えば、4画素や8画素など)単位で画像データをパッキングしてパラレル処理することにより、パラレル処理しない場合と比べて動作クロック(第1クロックCLK1)の周波数を低く抑えている。複数画素単位で画像データをパッキングして処理する場合、各部を結ぶ信号線(バス)はパッキングされた画像データのパラレル転送が可能なように、パッキングされた画像データのデータ量に応じたビット幅を有する。例えば、各画素が1ビットのデータを有する画像データ(2値画像データ)を、4画素単位でパッキングして処理する場合、4ビット幅のバスが使用される。
タイミング信号生成部210は、ユーザによる操作部103の操作による印刷指示または外部装置から受信した印刷要求に応じて制御部101が生成する、各ページの画像出力を指示するページ出力信号(P_ST)が入力されると、ライン同期信号(LS)を決められた間隔で生成し、I/F部201に供給する。I/F部201は、各ライン同期信号に応じてラスタデータ生成部200に画像データ送信要求(REQ)を送信し、それに応じてラスタデータ生成部200は、予め決められたライン数(例えば1)分の画像データをI/F部201に供給する。I/F部201はラスタデータ生成部200から供給された画像データを補正処理部202に転送する。上述したように、ラスタデータ生成部200からI/F部201に入力される画像データは、600dpiの多値画像データであり、I/F部201から補正処理部202に転送される画像データも同様である。
尚、タイミング信号生成部210は、後述する補正処理部202による補正処理、補正処理された画像データのラインメモリへの書込み時間等に基づいて、生成するライン同期信号の間隔を決定する。
補正処理部202は、I/F部201を通じて取得された多値画像データを、スクリーン処理して2値化する。例えば、I/F部201から入力された600dpiの多値(8ビット)画像データの1画素につき、2400dpiのビットマップの網点画像データを生成する。即ち、多値画像データの1画素につき、各々1ビットの画素データを有する4行×4列=16個の画素を生成する。この場合、主走査方向及び副走査方向のいずれにも解像度(即ち、単位長さ当たりの画素数)が600dpiから2400dpiと4倍になる。なお、網点画像データの生成方法は、たとえばディザマトリクス法、誤差拡散法など多数あり、ここではどんな技術を用いてもよい。
また、補正処理部202は、得られた2値画像データに対し、シェーディング補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集、色ずれ補正等の任意の公知の補正処理を施す。尚、色ずれには、主走査方向の位置ずれ、副走査方向の位置ずれ、主走査方向の倍率のずれ、スキューずれ等があるが、本例においては、色ずれ補正のうち主走査方向の倍率の補正である主倍率補正は補正処理部202では行わず、後述する主倍率補正部205で行う。補正処理部202は、補正後の2値画像データを例えば、2行×2列の4画素単位でパッキングしてラインメモリ203に出力する(即ち、4画素分の画素データがラインメモリ203にパラレル転送される)。
位置ずれ検出部211は、パターン検出器600により検出されたテストパターンの転写位置を、図示省略するメモリに予め記憶された色ずれがない場合の転写位置と比較することで、位置ずれ量を求め、求めた位置ずれ量を補正処理部202及び主倍率補正部205に供給する。補正処理部202及び主倍率補正部205は、位置ずれ検出部211から供給される位置ずれ量が小さくなるように、上述した2値画像データの補正を行う。
ラインメモリ203は、補正処理部202により処理された2値画像データを格納するFIFOメモリである。ラインメモリ203は、レーザ装置19に含まれる各レーザダイオード191につき1走査ライン分の画像データを、全レーザダイオード191分格納可能な容量を有する。即ち、レーザ装置19がM(本例では8)個のレーザダイオード191を有する場合、ラインメモリ203は1走査ライン分の画素のデータ(画素値)をM行格納できる容量を有する。例えば、走査幅(走査ラインの長さ)を300mmとすると、解像度2400dpiの2値画像データ(即ち、1画素につき1ビット)の場合、1走査ライン当たり、
(300/25.4)×2400≒28,300ビット
となり、8走査ライン分のデータを格納するラインメモリ203の容量としては、約30k×8ビットの容量が必要となる。尚、ラインメモリ203は、これより大きい容量を有してもよいが、コスト抑制のためなるべく小さい容量を有することが好ましい。
本例において、ラインメモリ203には、補正処理部202から順次送られてくる2行×2列の4画素単位でパッキングされた画像データが書き込まれる。その結果、まず第1行と第2行に画像データの書込みがなされ、第1行と第2行のデータ書込みが終わったら、第3行と第4行に画像データの書込みがなされる、というように2行ずつ画像データの書込みがなされる。ラインメモリ203にM行分の画像データが書き込まれ、後述する出力FIFOメモリ206に空きがある場合、ラインメモリ203はM行×N1列単位でパッキングした画像データを、解像度変換部204に出力する。例えば、M=8、N1=2の場合、8×2(=16)ビットの画像データがラインメモリ203から解像度変換部204にパラレル転送される。尚、N1は予め決められた正の整数であり、出力FIFOメモリ206の上流側の動作クロック(第1クロックCLK1)の周波数と下流側の動作クロック(第2クロックCLK2)の周波数の比、及び、後述する解像度変換部204における解像度の変換倍率に応じて決定される。具体的には、N3=(第2クロックCLK2の周波数/第1クロックCLK1の周波数)÷(解像度の変換倍率)として決定される。本例では、第2クロックCLK2の周波数は400MHzであり、第1クロックCLK1の周波数は100MHzであり、解像度の変換倍率は2であるため、N1=2となる。ラインメモリ203は、M行分(即ち、レーザ装置19に含まれるレーザダイオード191の数に対応した行数分)の画像データを一旦蓄積して、各行の画像データを予め決められた単位で同時に出力することで、M個のレーザダイオード191への画像データ(変調信号)の供給を同期させる働きをする。
ラインメモリ制御部212は、出力FIFOメモリ206から出力FIFOメモリ206に空きがあるかを示す信号(FIFO_FL)を受信し、出力FIFOメモリ206に空きがあり、且つ、ラインメモリ203にM行×N1列の画素の画像データが蓄積されている場合、ラインメモリ203を制御してM行×N1列の画素の画像データを解像度変換部204へと出力させる。尚、信号FIFO_FLは、例えば、出力FIFOメモリ206が満杯のとき1となり、空きがあるとき0となる信号であってよい。
解像度変換部204は、ラインメモリ203から供給された2値画像データに対し、主走査方向(即ち、行方向)の解像度を増加させる解像度変換を行い、解像度変換済みの2値画像データを主倍率補正部205に出力する。ラインメモリ203からM行×N1列の画素単位で画像データが供給される場合、解像度変換部204は、これをM行×N2列(N2>N1)画素の画像データに変換し、変換後のM行×N2列の画素の画像データをパッキングして出力する。例えば、ラインメモリ203から供給される画像データの(主走査方向及び副走査方向の)解像度が2400dpiで、M=8、N1=2、N2=4(即ち、2×N1)の場合、解像度変換部204からは主走査方向の解像度が2倍になった(即ち、主走査方向の解像度が4800dpiに増加された)画像データが、8×4(=32)画素単位でパッキングされて出力される。
主倍率補正部205は、解像度変換部204から供給される画像データに対し、位置ずれ検出部211から供給される主倍率のずれを示す情報に基づいて主倍率補正を行い、補正した画像データを出力FIFOメモリ206に書き込む。
図5は、解像度変換部204による解像度変換処理及び主倍率補正部205による主倍率補正処理を説明するための模式図である。本図において、横方向が主走査方向を、縦方向が副走査方向を表す。図5(a)には、解像度変換部204に入力される解像度2400dpiの2値画像の一部として4行×6列の画素が示されている。図5(a)において、ハッチングで示された画素は画素値が1であり、白で示された画素は画素値が0であるとする。図5(b)に示すように、本例では、解像度変換部204は、一つの画素を主走査方向(行方向)に2つに分割し、分割により得られた2つの画素が元の画素の画素値と同じ画素値を有するようにすることで主走査方向の解像度を2倍に増加させる。即ち、解像度変換部204は4行×6列の画素のデータを含む画像データを4行×12列の画素のデータを含む画像データに変換する。解像度が増加された画像データは、解像度変換部204から主倍率補正部205に供給される。
図5(c)及び図5(d)は、主倍率補正部205において主倍率を小さくする(即ち、画像を主走査方向に縮小する)補正処理を示す。主走査方向に画像を縮小する場合、主倍率補正部205は、縮小の程度に応じた数の画素を各行から削除する間引き処理を行う。図5(c)及び図5(d)の例では、各行において1つの画素を削除する処理を行う。図5(c)において太枠で示された画素が削除される画素(操作画素)である。主倍率補正部205によりこれらの操作画素を削除することにより、図5(c)に示した4行×12列の画素からなる画像が、図5(d)に示すように4行×11列の画素からなる画像に変換され、主走査方向のサイズが小さくなる。
図5(e)及び図5(f)は、主倍率補正部205において主倍率を大きくする(即ち、画像を主走査方向に拡大する)補正処理を示す。主走査方向に画像を拡大する場合、主倍率補正部205は、拡大の程度に応じた数の画素を各行において挿入(追加)する処理を行う。図5(e)及び図5(f)の例では、各行において1つの画素を追加する処理を行う。図5(e)において太枠で示された画素が、その右隣に当該画素と同じ画素値の画素が挿入される画素(操作画素)である。主倍率補正部205によりこれらの操作画素の隣に画素を挿入することにより、図5(e)に示した4行×12列の画素からなる画像が、図5(f)に示すように4行×13列の画素からなる画像に変換され、主走査方向のサイズが大きくなる。
尚、主倍率補正において各行で削除または挿入操作の対象となる画素(操作画素)は、画素の間引き(削除)及び挿入(追加)処理が、補正処理部202において多値画像データから2値画像データを生成するためのスクリーン処理と干渉してモアレを生じたり、解像度変換後の画像において本来あるべ線が消えたり、本来ないはずの線が現れたりするのを防止するため、各行においてランダムに選択されることが好ましい。
上述したように、主倍率補正においては、入力された画像データによって表される画像の各行において画素の削除または挿入を行うため、単位時間当たりに主倍率補正部205に入力される画像データの量(入力レートと言う)が一定でも、単位時間当たりに主倍率補正部205から出力される画像データの量(出力レートと言う)が変動する。また、その変動量は、画像の縮小率(即ち、各行でいくつの画素を削除するか)や拡大率(即ち、各行でいくつの画素を挿入するか)といった主倍率補正のパラメータによって変わる。
また、上記した主倍率補正における画像の「縮小」及び「拡大」は、各色の画像の位置合せが目的であるから、ページ全体に渡って一様に行わなくてもよい。例えば、位置ずれ検出部211からの情報が画像の複数の領域で異なる位置ずれ量を示す場合、各領域毎に異なる異なる補正を行ってもよい。図6は、画像の領域毎に主倍率補正処理の内容が異なる場合を例示する模式図である。図6(a)は主倍率補正を行う前の画像を示す模式図であり、主走査方向に平行な境界線によって3つの領域(領域A、領域B、領域C)に分けられている。図6(b)は、図6(a)に示した画像に対し、領域A、B、C毎に異なる倍率で主走査方向のサイズを補正した画像を示す。この例では、領域Aでは主走査方向のサイズが元のサイズの70%になるように補正をし、領域Bでは140%となるように補正をし、領域Cでは90%となるように補正をしている。
このように、領域毎に異なるパラメータ(この例では縮小率または拡大率)で主倍率補正をした場合、画像データが解像度変換部204に一定のレート(単位時間当たりのデータ量)で入力されても、解像度変換部204から出力される変換後の画像データの出力レート(単位時間あたりに出力されるデータ量)が、領域によって変わる。
図7は、主倍率補正を行わない場合と行った場合とにおける主倍率補正部205から出力される1走査ラインのデータ量の時間変化を示す模式的なグラフである。図7(a)は、図6(a)の画像に対し主倍率補正を行わない場合に、主倍率補正部205から出力される1走査ラインのデータ量(積算値)の時間変化を示している。図7(a)のグラフにおける実線の傾きが出力レートに相当する。この場合、入力レートが一定であるとすると、出力レートも一定になる。
一方、図7(b)は、図6(a)の画像に対し図6(b)に示した主倍率補正を行った場合に、主倍率補正部205から出力される1走査ラインのデータ量の時間変化を示している。図7(b)において、実線が主倍率補正を行った場合の出力データ量(積算値)を、点線が主倍率補正を行わなかった場合の出力データ量(積算値)を示す。図7(b)のグラフに示すように、この場合、主走査方向のサイズを元のサイズの70%にする間引き補正を行った領域Aと元のサイズの90%にする間引き補正を行った領域Cでは出力レート(即ち、実線の傾き)が主倍率補正を行わなかった場合より小さくなっている。一方、主走査方向のサイズを元のサイズの140%にする補正(画素データを挿入する補正)を行った領域Bでは、出力レートが主倍率補正を行わなかった場合より大きくなる。このように、画像の領域に応じて個別に主倍率補正を行う場合、1走査ライン分の画像データの出力における出力レートが、領域によって変化し得る。
図4を再度参照すると、出力FIFOメモリ206は、レーザ装置19に含まれるレーザダイオード191の各々に対し、予め定められた画素数N3分の画像データを格納可能な容量を有する。本例では、レーザダイオード191の数はM個であり、格納される画像データば2値画像データであるので、出力FIFOメモリ206は、M×N3ビットの記憶容量を有する。また、出力FIFOメモリ206は、出力FIFO制御部213により生成される読出し許可信号(RD_EN)がオンの間、主倍率補正部205により書き込まれた画像データを第2クロックCLK2に同期してM行×1列分のデータにアンパックしながら読み出し、遅延回路207を介して、変調信号としてレーザ駆動回路141に供給する。従って、出力FIFOメモリ206からのデータ読出しは、1回の読出しにつきM(本例では8)ビットずつなされる。
尚、上記の予め定められた画素数N3は、出力FIFOメモリ206の容量を小さくしてコストを低減するためには極力小さい方がよいが、出力FIFOメモリ206から画像データを読出して読み出した画像データを変調信号としてレーザ駆動回路141に供給している間(即ち、レーザ光で感光体ドラム15を走査している間)、出力FIFOメモリ206が空になることがないように十分大きい値として選択される。例えば、N3の値は20程度である。
上述したように、出力FIFOメモリ206に空きが生じると、ラインメモリ制御部212はラインメモリ203を制御してM行×N1列の画素の画像データを解像度変換部204へと出力させ、出力された画像データは解像度変換部204でM行×N2列(N2>N1)の画素の画像データに解像度変換され、更に主倍率補正部205によって主倍率補正がなされた後、出力FIFOメモリ206に書き込まれる。これにより、出力FIFOメモリ206は読出し動作中、空にならないように維持される。また、上記したように、主倍率補正部205から出力FIFOメモリ206に出力される画像データの出力レートが変動し、出力FIFOメモリに空きが生じるタイミングが変化しても、空きが生じる都度ラインメモリ203からの画像データの読出しがなされ、解像度変換及び主倍率補正を経て出力FIFOメモリ206に書き込まれるので、出力FIFOメモリ206が空になるのが防止される。
出力FIFO制御部213は、各ページの画像出力を指示するページ出力信号(P_ST)が入力された後、予め決められた期間が経過すると、露光装置14に設けられたSOSセンサ142から一定の間隔で送られてくる、走査の開始を示す(即ち、レーザ装置19から出力されたレーザ光が感光体ドラム15に照射する直前であることを示す)信号であるSOS(Start Of Scan)信号を基準として、出力FIFOメモリ206におけるデータ読出しを許可する読出し許可信号(RD_EN)を生成し、出力FIFOメモリ206に供給する。より具体的には、出力FIFO制御部213は、SOS信号の取得に応じて読出し許可信号をオンにし、1回の走査に相当する期間が経過するとオフにする。これにより、出力FIFO制御部213は、出力FIFOメモリ206に対し、読出し開始及び終了のタイミングを指示する。尚、上記したページ出力信号が入力された後の予め決められた期間は、出力FIFOメモリ206に決められた量の画像データが書き込まれたと推定される期間である。また、SOSセンサ142は、既定位置で検知した露光装置140の走査光に基づいて、SOS信号を出力FIFO制御部213に出力する。
遅延回路207は、出力FIFOメモリ206から出力されたM行×1列の画像データを受け取り、レーザ装置19に含まれるM個のレーザダイオード191の配置位置のずれ(図2に示した距離D1)を吸収するべく、各レーザダイオード191の配置位置に応じた遅延量で対応する画像データを遅延させて(ビットシフトと言うこともある)レーザ駆動回路141に供給する。
レーザ駆動回路141は、遅延回路207から供給される画像データに基づいて各レーザダイオード191を駆動し、画像データに基づいて変調されたレーザ光を出力させ、感光体ドラム15の露光を行う。
ここで、SOS信号と、有効走査期間の関係について図8を参照して説明する。有効走査期間とは、感光体ドラム15に照射されたレーザ光を変調して、感光体ドラム15に静電潜像を書き込むことが可能な期間である。また、有効走査期間にレーザ光を照射可能な(即ち、露光可能な)感光体ドラム15の領域を有効走査領域と言う。画像データを補正することで、有効走査領域の範囲内で形成される画像の位置を調整することができる。即ち、有効走査領域は、画像位置の補正が可能な範囲を定める。
図8は、SOS信号と有効走査期間との関係を示す模式的なグラフである。上述したように、SOS信号が生成されると、それに応じて出力FIFO制御部213は読出し許可信号(RD_EN)をオンにし、それに応じて出力FIFOメモリ206はデータを読み出して遅延回路207に供給するが、このとき、データの読出しなどの処理に回路遅延が生じる。また、遅延回路207は、レーザ装置19に含まれる各レーザダイオード191の配置位置に応じた遅延量で、各レーザダイオード191に対応した画像データを遅延させる処理を行うが、この遅延量に相当する期間(位置ずれ吸収期間)は、感光体ドラム15上の静電潜像の形成を行うことができない無効期間となる。従って、図8に示すように、SOS信号が生成された後、出力FIFOメモリ206からデータ読出しが開始されるまでの回路遅延に相当する期間と、レーザダイオード191の配置位置のずれを吸収するべく遅延回路207でなされる遅延処理に相当する期間(位置ずれ吸収期間)とが経過した後の期間が、有効走査期間となる。従って、有効走査期間を広くするには、回路遅延が極力小さいことが好ましい。
本実施形態では、ラインメモリ203は出力FIFOメモリ206に空きが生じるのに応じて画像データを出力するよう制御されるので、出力FIFOメモリ206は空になることがなく、常に読出し可能な状態に維持される。従って、出力FIFO制御部213がSOS信号を受信してから読出し許可信号をオンにする(即ち、出力FIFOメモリ206からの画像データの読出しを行う)までの間に遅延を設ける必要がないので、回路遅延が小さくなり、有効走査期間が拡張される。
上述したように、本実施形態では、ラインメモリ203から画像データを読み出した後に画像データの解像度を増加させる解像度変換をしてから主倍率補正を行うので、解像度変換を行わない場合と比べて、主倍率補正の精度が向上する。また、ラインメモリ203は解像度を増加させる前の画像データを格納するので、解像度変換後の画像データをラインメモリ203に格納する場合と比べて、ラインメモリ203の容量が小さくて済む。
また、上述したように、主倍率補正の対象となる画像の領域やライン毎の縮小率または拡大率といったパラメータ(主倍率補正パラメータ)に応じて、主倍率補正部205から出力される画像データの出力レートが変動する。本実施形態では、主倍率補正部205から出力される画像データは出力FIFOメモリ206に書き込まれた後、出力FIFOメモリ206から読み出されてレーザ駆動回路141に供給されるので、主倍率補正部205から出力される画像データの出力レートの変動は、出力FIFOメモリ206で吸収される。従って、画像の領域やライン毎の主倍率パラメータの値を考慮しなくても、出力FIFOメモリ206から一定の出力レートで画像データが読み出される。
<比較例>
上述した本発明の画像処理装置の実施形態の作用効果がより理解し易いように、以下に、画像処理装置の比較例について説明する。
図9は、画像処理装置の比較例の機能構成を示すブロック図である。図9において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図9に示した画像処理装置12aが図4に示した画像処理装置12と異なる主な点は、画像処理装置12aでは、解像度変換部204及び主倍率補正部205がラインメモリ203aの上流にある点と、ラインメモリ制御部212aがラインメモリ203aからのデータ読出しを出力FIFOメモリ206の空き状態に応じて制御するのではなく、露光装置14のSOSセンサ142により生成されるSOS信号を基準として制御する点である。
画像処理部12aのラインメモリ203aは、ラインメモリ制御部212aからの読出し許可信号(RD_EN)がオンになっている期間、予め決められた周期で自身に格納された画像データを、例えばM行×N4列の画素単位でパッキングして、出力FIFOメモリ206にパラレル転送し、出力FIFOメモリ206に書き込む。ここで、Mは上述した実施形態と同様にレーザ装置19に含まれるレーザダイオード191の数(即ち、同時走査されるレーザ光の数)である。N4は予め決められた正の整数であり、出力FIFOメモリ206の上流側の動作クロック(第1クロックCLK1)の周波数と下流側の動作クロック(第2クロックCLK2)の周波数の比、即ち、第2クロックCLK2の周波数/第1クロックCLK1として決定してよい。本例では、第2クロックCLK2の周波数は400MHzであり、第1クロックCLK1の周波数は100MHzなので、N4=4となる。出力FIFOメモリ206は、自身に書き込まれたデータがあるときは、第2クロックCLK2に基づく予め決められた周期で、M行×1列分のデータにアンパックして遅延回路207に出力する。
比較例の画像処理装置12aでは、解像度変換部204により解像度が増加された画像データがラインメモリ203aに格納されるため、上述した実施形態の画像処理装置12のラインメモリ203と比べて、ラインメモリ203aはより大きい容量を必要とする。例えば、解像度変換部204が画像データの解像度を主走査方向に2倍に変換する場合、比較例のラインメモリ203aは、実施形態のラインメモリ203の2倍の容量が必要である。言い換えると、実施形態のラインメモリ203は、比較例のラインメモリ203aより小さい容量でよく、その分、コストが低減される。
また、比較例では、ラインメモリ制御部212aはラインメモリ203aからのデータ読出しを、露光装置14のSOSセンサ142により生成されるSOS信号を基準として制御する。具体的には、ラインメモリ制御部212aは、各ページの画像出力を指示するページ出力信号(P_ST)が入力された後、ラインメモリ203aに決められた容量の画像データが格納されたら、SOS信号を基準に設定されたタイミングで、ラインメモリ203aの読出し許可信号(RD_EN)をオンにする。尚、ラインメモリ203aに決められた容量の画像データが格納された否かの判定は、ラインメモリ203aへの書込み回数をカウントすることにより行ってよい。
上記したように、主倍率補正部205から出力されるデータの出力レートは、実施される主倍率補正の内容によって変動し、主倍率補正部205から出力されるデータがラインメモリ203aに書き込まれるので、ラインメモリ203aへの書込みレートも変動する。従って、ラインメモリ制御部212aは、このラインメモリ203aへの書込みレートの変動(即ち、主倍率補正部205からの出力レートの変動)を考慮して、一定のレートでラインメモリ203aからデータの読出しを行ってもラインメモリ203aからのデータの読出しが途切れないようなタイミングで、ラインメモリ203aの読出しを開始させる必要がある。
図10は、比較例におけるラインメモリ203aの読出し開始タイミングと、主倍率補正部205からの出力データ量の時間変化との関係を説明するためのグラフである。図10において、実線が主倍率補正部205からの出力データ量(積算値)を示し、この実線の傾きが出力レートに相当する。また、図10の点線は、ラインメモリ203aからの出力データ量を示す。ラインメモリ203aからは一定の出力レートでデータの読出しがなされるので、ラインメモリ203aからの出力データ量を示す点線の傾きは一定である。図10において、T1はラインメモリ203aからの出力データの読出し開始タイミングを示す。
読出し開始タイミングT1は、ラインメモリ203aからの出力データ量が、主倍率補正部205からの出力データ量(つまり、ラインメモリ203aへの書込みデータ量)を超えないように、ラインメモリ制御部212aにより決定される。ラインメモリ203aからの出力データ量が、ラインメモリ203aへの書込みデータ量を超えるということは、ラインメモリ203aから読み出すデータがなく、出力FIFOメモリ206を介してレーザ駆動回路141に供給する画像データ(変調信号)が途絶えることになり、結局、形成される画像に欠陥が生じることになるからである。
そのため、比較例では、主倍率補正部205から各ページの主倍率補正の内容を示す情報(ページ内の領域を示す情報や、各領域の縮小率または拡大率など)がラインメモリ制御部212aに供給され、ラインメモリ制御部212aでは、当該情報に基づいて、主倍率補正部205からのデータ出力特性を演算によって求め、求めたデータ出力特性に応じた読出し開始タイミングT1を決定する。尚、1ページの画像の各領域によって適切な読出し開始タイミングが異なる場合、最も遅い読出し開始タイミングをそのページにおける各走査に共通のラインメモリ203aの読出し開始タイミングとして決定してよい。
このように、比較例においては、ラインメモリ203aの読出し開始タイミングを主倍率補正部205における主倍率補正の内容を考慮して決定する必要があるため、主倍率補正の内容に制約が生じたり、読出し開始タイミングを決定するための演算負荷が生じたりする。それに対し、上記実施形態では、主倍率補正部205から出力される画像データは出力FIFOメモリ206に書き込まれた後、出力FIFOメモリ206から読み出されてレーザ駆動回路141に供給される構成なので、主倍率補正部205から出力される画像データの出力レートの変動は、出力FIFOメモリ206で吸収される。従って、画像の領域やライン毎の主倍率パラメータの値を考慮しなくても、出力FIFOメモリ206から一定の出力レートで画像データが読み出される。
また、比較例においては、ラインメモリ制御部212aはラインメモリ203aからのデータ読出しを、露光装置14のSOSセンサ142により生成されるSOS信号を基準として制御し、ラインメモリ203aから読み出されたデータは出力FIFOメモリ206及び遅延回路207を介してレーザ駆動回路141に供給される構成であるため、上記実施形態と比べて、SOS信号が生成された後、出力FIFOメモリ206からデータ読出しが開始されるまでの回路遅延が大きくなり、その分、図8に示した有効走査期間が短くなる。
<変形例>
上記実施形態を次のように変形してもよい。上述した実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施されてもよい。
(変形例1)
上記実施形態では、主倍率補正する画像を主走査方向に3つの領域に分けて、各領域毎に主倍率補正の内容を異ならせたが、画像の分割数は3に限らず、2つの領域に分割してもよいし、3より多くの領域に分割してもよい。また、領域間の境界は副走査方向に平行でなくてもよい。
例えば、図11に示すように、領域間の境界を波線としてもよい。また、各行毎にランダムに領域を定め、各領域毎に個別の処理を行ってもよい。これらの場合、行毎にデータ出力特性が変わるが、上記した実施形態の画像処理装置12では、行毎のデータ出力特性のばらつきは、出力FIFOメモリ206の格納データ量のフィードバック制御に吸収され、出力FIFOメモリ206の読出し周期に影響しない。一方、図9に示した比較例の画像処理装置12aでは、上述したように各行のデータ出力特性を考慮して、ラインメモリ203aのデータ読出し開始のタイミングを決定する必要があるため、そのための演算負荷が増加する。
(変形例2)
上記実施形態では、ラインメモリ203から出力された画像データに対し解像度変換及び主倍率補正を行ったが、本発明はこれに限定されない。主倍率補正に加えて、または、それに代えて、スキュー補正などの他の位置ずれ補正を行ってもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、ラインメモリ制御部212は、出力FIFOメモリ206に空きが生じたことを示す情報に応じて、ラインメモリ203からのデータ読出しがなされるようにラインメモリ203を制御したが、本発明はこれに限定されない。出力FIFOメモリ206に空きが生じたことを示す情報に加えて、出力FIFOメモリ206に生じた空き容量を示す情報をラインメモリ制御部212に送り、ラインメモリ制御部212は、当該情報によって示される出力FIFOメモリ206の空き容量が閾値以上となった場合に、ラインメモリ203からのデータ読出しがなされるようにラインメモリ203を制御してもよい。