以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各領域や電極等の厚みと幅との関係、各領域や電極等の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
なお、「第1導電型」及び「第2導電型」は相対する導電型であり、第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型であり、逆に、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型である。本発明の実施の形態では、第1導電型がn型であり、第2導電型はp型である場合を例に取り説明する。また、半導体に添加されたp型不純物の濃度が相対的に高い場合にはp+型と、相対的に低い場合にはp−型と、それぞれ表記する。n型についても同様にして、n+型及びn−型と表記する。
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、第1導電型(n+型)の炭化珪素(SiC)からなる半導体基体1と、半導体基体1の上に形成された第1導電型(n−型)のドリフト領域2と、ドリフト領域2の主表面に接合された、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなるアノード電極6と、半導体基体1に接続されたカソード電極7と、ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6の外周部に位置し、アノード電極6に対向する部分に接するように、ドリフト領域2の中に形成された第2導電型(p型)の外周部電界緩和領域5とを備える。
ドリフト領域2とアノード電極6との接合によりダイオードが形成されている。アノード電極6は金属からなり、ドリフト領域2とアノード電極6との接合は、ショットキー接合を形成している。すなわち、第1の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、ショットキー・バリア・ダイオードである。ドリフト領域2とアノード電極6とが接合して電荷キャリアが移動する領域を「活性領域」100という。外周部電界緩和領域5は、活性領域100の外周に配置されている。外周部電界緩和領域5に延在するように、アノード電極6が堆積されている。
アノード電極6の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(3、G1)が形成されている。嵌合構造(3、G1)は、アノード電極6とドリフト領域2との間に形成されている。具体的には、ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面には、第1の溝G1に嵌め込まれた第1の柱部3が形成されている。このように、嵌合構造は、第1の溝G1と第1の柱部3とにより形成されている。第1の柱部3は、アノード電極6の一部分である。第1の溝G1は、外周部電界緩和領域5の中に形成されている
第1の溝G1の深さは、外周部電界緩和領域5の深さより浅い。第1の溝G1の深さは、ショットキー接合に所定の逆方向最大電圧が印加された場合に、第1の溝G1の直下の外周部電界緩和領域5が完全に空乏化しない深さに設定すればよい。
半導体基体1の裏面には、カソード電極7がオーミック接続されている。カソード電極7としては、ニッケルを堆積した後、熱処理したニッケルシリサイド膜を好適に用いることができる。また、ニッケルシリサイドにさらに別の金属を積層してもよい。
次に、図2A〜図2Eを参照して、本発明の第1の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
まず、図2Aの工程において、炭化珪素からなる半導体基体1の上にn−型炭化珪素エピタキシャル層からなるドリフト領域2を形成する。炭化珪素にはいくつかのポリタイプ(結晶多形)が存在するが、ここでは代表的な4Hを例にとり説明する。半導体基体1は数十から数百μm程度の厚みを持つ。ドリフト領域2には、例えば不純物濃度が1014〜1〜18cm−3の不純物が添加されている。ドリフト領域2の厚さは数μm〜数十μmである。
次に、図2Bの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材113となる絶縁膜を堆積する。例えば、マスク材113としてのシリコン酸化膜を、熱CVD法やプラズマCVD法を用いて堆積することができる。次に、マスク材113の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材113をエッチングする。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。
そして、マスク材113をイオン注入用のマスクにして、ドリフト領域2にp型不純物をイオン注入し、外周部電界緩和領域5を形成する。外周部電界緩和領域の深さは、ドリフト領域2の厚さより浅い。例えば、ドリフト領域2の厚さの1/2〜1/20程度が望ましい。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。なお、半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することにより、イオンが注入された領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材113を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。次に、イオン注入した不純物を熱処理することで活性化する。熱処理温度としては、1700℃程度の温度を用いることができる。また、熱処理の雰囲気としては、アルゴンや窒素を好適に用いることができる。なお、この熱処理工程は、図2Dの工程後から図2Eの工程前の間に実施してもよい。
次に、図2Cの工程において、マスク材112を形成する。マスク材112は、図2Bの工程と同様に、パターニングされた絶縁膜でもよいし、レジストでもよい。次に、マスク材112をエッチング用のマスクにして、外周部電界緩和領域5内に第1の溝G1を形成する。第1の溝G1を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。第1の溝G1の深さは、前述したとおりである。
次に、図2Dの工程において、マスク材112を除去する。
次に、図2Eの工程において、ドリフト領域2の上にアノード電極6を堆積する。アノード電極6として、チタンやニッケル、モリブデンなどの金属を用いることができる。アノード電極6の堆積方法として、蒸着法やスパッタ法を好適に用いることができる。第1の溝G1は、アノード電極6の一部により埋設される。第1の溝G1を埋設するアノード電極6の一部は、第1の柱部3を形成する。このようにして、互いに嵌め合う第1の溝G1及び第1の柱部3を形成することがでいる。
次に、アノード電極6の上にマスク材114をパターニングする。マスク材114として、レジストを用いることができる。パターニング方法として、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。次に、マスク材114をエッチング用のマスクにして、アノード電極6をエッチングする。次に、マスク材114を除去する。
次に、半導体基体1の裏面に、カソード電極7を形成する。具体的には、半導体基体1の裏面にニッケルを堆積し、熱処理を加えて、ニッケルシリサイド膜を形成する。またさらに、ニッケルシリサイドの上に別の金属を積層しても構わない。なお、カソード電極7の形成工程は、図2Eのアノード電極形成工程の前に実施しても構わない。
以上の工程を経て、図1に示す第1の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードが完成する。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)従来、所謂ショットキー・バリア・ダイオードにおいて、アノード電極とドリフト領域との接合界面は原子レベルで平坦であるため、アノード電極の剥離に対する機械的強度が低かった。しかし、図1に示すように、アノード電極6の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(3、G1)が形成されている。これにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
嵌合構造(3、G1)は、アノード電極6とドリフト領域2との間に形成されている。これにより、アノード電極6とドリフト領域2との間の接着力を向上させることができる。
アノード電極6の主表面に、第1の溝G1に嵌め込まれた第1の柱部3が形成されている。嵌合構造は、ドリフト領域2の第1の溝G1とアノード電極6の第1の柱部3とにより形成されている。この嵌合構造により、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(5)異種材料接合型ダイオードがショットキー・バリア・ダイオードである場合、ショットキー電極は比較的低温で堆積する。これにより、ショットキー電極(アノード電極6)とドリフト領域2との間に合金が形成されることが抑制され、適正なショットキー障壁を形成することができる。その一方で、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度が低くなる。しかし、ショットキー電極の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(3、G1)が形成されている。これにより、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
第1の柱部3は、アノード電極6の一部分であることにより、アノード電極6はドリフト領域2から剥がれにくくなる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(2)アノード電極6は、その外周部において剥離が発生しやすい。第1の柱部3は、そのアノード電極6の外周部に形成されている。よって、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
(3)さらに、第1の溝G1は、外周部電界緩和領域5の中に形成されている。このため、ダイオードに逆方向の電圧を印加した場合、ドリフト領域2での電界集中を抑制し、リーク電流の発生を抑制することができる。
(4)さらに、嵌合構造(G1、3)が外周部電界緩和領域5の中に形成されている。これにより、ダイオードに順方向の電流が流れる経路となる活性領域100の面積を犠牲にすることなく、アノード電極6の剥離を抑制することができる。つまり、ダイオードの電流電圧特性を維持しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第1実施形態の第1の変形例)
第1実施形態の第1の変形例では、図3を参照して、図1と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図1では、第1の柱部3が、第1の溝G1の側面及び底面に表出した外周部電界緩和領域5に、接触している場合について説明した。図3に示す異種材料接合型ダイオードでは、第1の溝G1の側面及び底面に接するように、外周部電界緩和領域5の中にp+領域15が形成されている。第1の柱部3は、p+領域15を介して外周部電界緩和領域5に、電気的に低抵抗に接続されている。すなわち、アノード電極6は、嵌合構造(G1、3)を介して、外周部電界緩和領域5にオーミック接続している。その他の構成は、図1と同じであり、説明を省略する。
図4A及び図4Bを参照して、図3の異種材料接合型ダイオードの製造方法の一例を説明する。先ず、図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、図4Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材115として絶縁膜を堆積する。例えば、マスク材115としてシリコン酸化膜を堆積することができる。その堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、マスク材115の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをエッチング用のマスクにして、マスク材115をエッチングする。エッチング方法として、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。
次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。マスク材115をイオン注入用のマスクにして、図2Bの工程より高濃度のp型不純物をイオン注入して、p+領域15を形成する。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。p型不純物の濃度としては、1018〜1021cm−3とすることが望ましい。半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することで、注入領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材115を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。
図4Bの工程において、熱処理を施すことにより、イオン注入された不純物を活性化する。熱処理温度は1700℃程度の温度とすることができる。熱処理の雰囲気として、アルゴンや窒素を好適に用いることができる。熱処理を施すことにより、p型不純物が高濃度に注入されて炭化珪素の結晶性が悪化した領域は昇華して、第1の溝G1が形成される。また、p+領域15の一部は、第1の溝G1の側面及び底面に残る。このように、図4Bの熱処理工程により、第1の溝G1の側面および底面に自己整合的にp+領域15を形成することができる。その結果、外周部電界緩和領域5とp+領域15の位置合わせ余裕を小さくすることができる。また、電界緩和領域4の幅を小さくすることができるため、ショットキー接合面積を大きくし、順方向電流電圧特性を向上することができる。また、第1の溝G1を形成するためのエッチング工程を簡略化でき、低コストな異種材料接合型ダイオードを提供することができる。
以降の工程は図2Eと同様であるので図示及び説明を省略する。
なお、図3に示す異種材料接合型ダイオードの製造方法は、図4A及び図4Bに示した方法に限らない。例えば、図4Aに示す状態からマスク材115をエッチング用のマスクとして、ドライエッチングを行うことにより、第1の溝G1を形成してもよい。
図3の異種材料接合型ダイオードによれば、図1の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(6)外周部電界緩和領域5とアノード電極6がp+領域15を介してオーミック接続されているため、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2との接合界面をpn接合ダイオードとして使用できる。よって、電流値が高い順方向のサージ電流を効果的に吸収することができる。
このように、図3の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第1実施形態の第2の変形例)
第1実施形態の第2の変形例では、図5を参照して、図1及び図3と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図1の断面において、1つの外周部電界緩和領域5に、1つの嵌合構造(3、G1)が形成されていた。図5に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの外周部電界緩和領域5に、複数の嵌合構造(3、G1)が形成されている。つまり、1つの外周部電界緩和領域5に複数の第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面に、第1の溝G1の各々に嵌め込まれた複数の第1の柱部3が形成されている。その他の構成は、図1と同じであり、説明を省略する。
図5の異種材料接合型ダイオードによれば、図1の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)外周部電界緩和領域5内に複数の第1の溝G1が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図5の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図5には、複数の第1の柱部3が外周部電界緩和領域5に接触している構成を示した。しかし、図3と同様にして、第1の柱部3の各々と外周部電界緩和領域5との間に、p+領域15を形成してもよい。この場合、アノード電極6と外周部電界緩和領域5の接触面積が、図3の場合より増加する。よって、電流値が高い順方向のサージ電流をさらに効果的に吸収することができる。
また、各外周部電界緩和領域5に形成される第1の溝G1が2本である場合について示したが、第1の溝G1の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第1の実施の形態において、第1の溝G1の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第1の溝G1の断面形状は、V字形状、U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、エッチングの条件を調整することにより、第1の溝G1の開口部の幅より第1の溝G1の内部の幅を広くしてもよい。すなわち、第1の溝G1の断面形状を逆メサ形状にしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第1の実施の形態において、第1の溝G1を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第1の溝G1の側面や底面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
また、外周部電界緩和領域5が活性領域100の外周部に1箇所形成されている場合について説明したが、複数設置されていてもよい。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、第1の溝G1及び第1の柱部3が、外周部電界緩和領域5の中に形成されている場合について説明した。第2の実施の形態では、第1の溝G1及び第1の柱部3が、活性領域100に形成されている場合について説明する。
先ず、図6を参照して、第2の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。
第1の溝G1は、ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6との間で電荷キャリアが移動する活性領域100に形成されている。異種材料接合型ダイオードは、ドリフト領域2の中に形成された第2導電型(p型)の電界緩和領域4をさらに備える。電界緩和領域4は、第1の溝G1の少なくとも底面角部に接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。図6に示す例において、電界緩和領域4は、第1の溝G1の全体を包含している。つまり、電界緩和領域4の内部に第1の溝G1が形成されている。
図6に示した異種材料接合型ダイオードは、アノード電極6とドリフト領域2のショットキー接合界面に形成されるショットキー・バリア・ダイオード(SBD)である。このSBDは、ジャンクション・バリア・ショットキー(JBS)構造を備えている。すなわち、逆方向の電圧を印加すると、アノード電極6に接続されたp型の電界緩和領域4から接合界面に平行な方向に空乏層が伸びる。このため、ショットキー接合界面の電界が緩和される。したがって、一般的なSBDに比べて、逆方向の電圧を印加した時のリーク電流を低減することができる。リーク電流を低減した分、SBDのショットキー・バリア高さを低く設定することができ、より低オン抵抗なSBDを形成することができる。
JBS構造において、アノード電極6が電界緩和領域4にオーミック接続されている場合がある。この場合、電流値が高い順方向のサージ電流が流れる際には、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードがオンする。これにより、このpn接合ダイオードが、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。しかし、一般的に、p+型の炭化珪素領域である電界緩和領域4とアノード電極6の接触抵抗は高く、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収する効果は制限されてしまう。
そこで、図3に示す例と同様にして、第1の溝G1の側面及び底面に接するように、電界緩和領域4の中にp+領域15が形成されている。第1の柱部3は、p+領域15を介して電界緩和領域4に、電気的に低抵抗に接続されている。すなわち、アノード電極6は、嵌合構造(G1、3)を介して、電界緩和領域4にオーミック接続している。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)従来、所謂ショットキー・バリア・ダイオードにおいて、アノード電極とドリフト領域との接合界面は原子レベルで平坦であるため、アノード電極の剥離に対する機械的強度が低かった。しかし、図6に示すように、アノード電極6の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(3、G1)が形成されている。これにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(5)異種材料接合型ダイオードがショットキー・バリア・ダイオードである場合、ショットキー電極は比較的低温で堆積する。これにより、ショットキー電極(アノード電極6)とドリフト領域2との間に合金が形成されることが抑制され、適正なショットキー障壁を形成することができる。その一方で、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度が低くなる。しかし、ショットキー電極の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(3、G1)が形成されている。これにより、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(2)’第1の溝G1は、ドリフト領域2の主表面のうち、活性領域100に形成されている。アノード電極6の活性領域100全体に嵌合構造(G1、3)を形成することができる。よって、大電流用にチップ面積が大きくなるほど、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(3)’電界緩和領域4は、第1の溝G1の少なくとも底面角部に接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。つまり、第1の溝G1の少なくとも底面角部が電界緩和領域4内に形成されている。これにより、逆方向の電圧が印加された際に、ドリフト領域2における電界集中を抑制し、リーク電流の発生を抑制することができる。
電界緩和領域4は、第1の溝G1の全体を包含している。これにより、ドリフト領域2における電界集中をさらに抑制し、リーク電流の発生を抑制する効果が増す。
アノード電極6は、嵌合構造(G1、3)を介して、電界緩和領域4にオーミック接続している。これにより、電界緩和領域4とドリフト領域2の間に形成されるpn接合ダイオードが、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。また、アノード電極6は、第1の溝G1の側面においても電界緩和領域4にオーミック接続している。これにより、アノード電極6は、さらに低抵抗に電界緩和領域4に接続されるので、上記したサージ電流の保護効果が増加する。
このように、図6の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第2実施形態の第1の変形例)
第2実施形態の第1の変形例では、図7を参照して、図6と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図7に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの電界緩和領域4に、複数の嵌合構造(3、G1)が形成されている。つまり、1つの電界緩和領域4に複数の第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面に、第1の溝G1の各々に嵌め込まれた複数の第1の柱部3が形成されている。アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
図7の異種材料接合型ダイオードによれば、図6の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果がさらに得られる。
(7)電界緩和領域4内に複数の第1の溝G1が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図7の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図7には、複数の第1の柱部3が電界緩和領域4に接触している構成を示した。しかし、図6と同様にして、第1の柱部3の各々と電界緩和領域4との間に、p+領域15を形成してもよい。この場合、アノード電極6と電界緩和領域4の接触面積が、図6の場合より増加する。よって、電流値が高い順方向のサージ電流をさらに効果的に吸収することができる。
また、図7では、各電界緩和領域4に形成される第1の溝G1が2本である場合について示したが、第1の溝G1の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
(第2実施形態の第2の変形例)
第2実施形態の第2の変形例では、図8を参照して、図6及び図7と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図8に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の溝G1の側面に形成された電界緩和領域4の厚さは、第1の溝G1の底面に形成された電界緩和領域4の厚さはよりも薄い。アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
図8の異種材料接合型ダイオードによれば、図6の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果がさらに得られる。
(10)逆方向に電圧を印加した時に、第1の溝G1の側面に形成される電界は、第1の溝G1の底面に形成される電界より弱くなる。そこで、第1の溝G1の側面に形成された電界緩和領域4の厚さを第1の溝G1の底面に形成された電界緩和領域4の厚さより薄くする。これにより、SBDの逆方向耐圧を高く維持しつつ、SBDとして動作する面積をより広くすることができ、面積効率を向上させることができる。
このように、図8の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図8の異種材料接合型ダイオードにおいて、図6と同様に、アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15を配置してもよい。その場合にも、図6と同様にして、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第2実施形態の第3の変形例)
第2実施形態の第3の変形例では、図9を参照して、図6〜図8と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図6〜図8では、電界緩和領域4は、第1の溝G1の全体を包含していた。つまり、電界緩和領域4の内部に第1の溝G1が形成されていた。図9に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、電界緩和領域4は、第1の溝G1の底面及び底面角部のみに接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
次に、図10A〜図10Cを参照して、図9の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
先ず、図2A及び図2Bの工程を実施する。その後、図10Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材116となる絶縁膜を堆積する。マスク材116としてはシリコン酸化膜を用いることができる。その堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、マスク材116の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材116をエッチングする。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。マスク材116をエッチング用のマスクにして、活性領域100の中に第1の溝G1を形成する。第1の溝G1を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。
図10Bの工程において、図10Aの工程で用いたマスク材116をマスクにして、p型不純物をイオン注入し、第1の溝G1の底部に電界緩和領域4を形成する。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することで、イオン注入された領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材116を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。
図10Cの工程において、熱処理することによりイオン注入された不純物を活性化する。熱処理温度としては、1700℃程度の温度を用いることができる。また、熱処理の雰囲気としては、アルゴンや窒素を好適に用いることができる。熱処理の際、イオン注入した不純物が拡散して、第1の溝G1の底面角部にも電界緩和領域4が形成される。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図9に示す第5の変形例に係わる異種材料接合型ダイオードが完成する。
図9の異種材料接合型ダイオードによれば、次に示す作用効果がさらに得られる。
(8)第1の溝G1の側面が電界緩和領域4に覆われていないため、第1の溝G1の側面もSBDとして動作させることができる。よって、SBDの面積効率が向上し、SBDの順方向の電流電圧特性を向上させることができる。また、SBDに逆方向の電圧を印加した時に、第1の溝G1の側面に形成される電界は、電界緩和領域4底部の電界より弱い。したがって、リーク電流を抑制した状態を保つことができる。
このように、図9の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図9の異種材料接合型ダイオードにおいて、図6と同様に、第1の溝G1の底面及び底面角部に接するように、電界緩和領域4の中にp+領域15が形成されていてもよい。その場合にも、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第2実施形態の第4の変形例)
第2実施形態の第4の変形例では、図11を参照して、図6〜図9と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図11に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、電界緩和領域4は、第1の溝G1の側面及び底面角部のみに接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
次に、図12A及び図12Bを参照して、図11の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
図12Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材117となる絶縁膜を堆積する。マスク材117としてはシリコン酸化膜を用いることができ、その堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、マスク材117の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材117をエッチングする。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。マスク材117をイオン注入用のマスクにして、p型不純物をドリフト領域2の中にイオン注入し、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5を同時に形成する。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入する。これにより、イオン注入された領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材117を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。
図12Aの工程後、熱処理を施すことによりイオン注入された不純物を活性化する。熱処理温度としては1700℃程度の温度を用いることができ、熱処理の雰囲気としてはアルゴンや窒素を好適に用いることができる。
次に、図12Bの工程において、マスク材118を形成する。マスク材118としては図12Aの工程と同様に、パターニングされた絶縁膜でもよいし、レジストでもよい。次に、マスク材118をエッチング用のマスクにして、ドリフト領域2の活性領域100に第1の溝G1を形成する。第1の溝G1を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。第1の溝G1を形成後、マスク材118を除去する。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図11に示す第6の変形例に係わる異種材料接合型ダイオードが完成する。
図11の異種材料接合型ダイオードによれば、次に示す作用効果がさらに得られる。
(8)’第1の溝G1の底面が電界緩和領域4に覆われていないため、第1の溝G1の底面もSBDとして動作させることができる。よって、SBDの面積効率が向上し、SBDの順方向の電流電圧特性を向上させることができる。また第1の溝G1の底面直下のドリフト領域2の厚さは、第1の溝G1が無い部分のドリフト領域2の厚さより薄い。このため、SBDの順方向の電流電圧特性を向上させることができる。
(12)SBDに逆方向の電圧が印加された際に、各第1の溝G1の両側面に形成された電界緩和領域4により空乏層が形成される。この空乏層が第1の溝G1の底面直下において重なり合うように、第1の溝G1の幅及び電界緩和領域4の間隔を調整する。これにより、第1の溝G1の底面に形成されるショットキー接合界面に印加される電界を緩和することができ、リーク電流を抑制することができる。
このように、図11の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図11の異種材料接合型ダイオードにおいて、図6と同様に、第1の溝G1の側面及び底面角部に接するように、電界緩和領域4の中にp+領域15が形成されていてもよい。その場合にも、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第2実施形態の第5の変形例)
第2実施形態の第5の変形例では、図13を参照して、図6〜図9、図11と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図13に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の溝G1及び第1の柱部3は、活性領域100のみならず、外周部電界緩和領域5にも形成されている。図13に示す異種材料接合型ダイオードは、図1と図6を組み合わせた構成を有する。ただし、アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
図13の異種材料接合型ダイオードによれば、次に示す作用効果がさらに得られる。
(2)’’’アノード電極6の剥離が発生しやすい外周部及びアノード電極6の活性領域100全面に嵌合構造(G1、3)を形成することができる。これにより、アノード電極6に加わる応力を分散するため、応力集中による電流電圧特性の悪化を抑制しつつ、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
このように、図13の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図13の異種材料接合型ダイオードにおいて、図6と同様に、第1の溝G1の側面及び底面に接するように、電界緩和領域4の中にp+領域15が形成されていてもよい。或いは、外周部電界緩和領域5の中にp+領域15が形成されていてもよい。その場合にも、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
以上、第2の実施の形態においても、第1の溝G1の断面形状は矩形に限らず、例えば、第1の溝G1の断面形状は、V字形状、U字形状であってもよい。電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、エッチングの条件を調整することにより、第1の溝G1の開口部の幅より第1の溝G1の内部の幅を広くしてもよい。すなわち、第1の溝G1の断面形状を逆メサ形状にしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第2の実施の形態において、第1の溝G1を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第1の溝G1の側面や底面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、ドリフト領域2に形成された第1の溝G1に、アノード電極6に形成された第1の柱部3が嵌め込まれた嵌合構造を有する異種材料接合型ダイオードについて説明した。第3の実施の形態では、これとは逆に、アノード電極6に形成された第2の溝G2に、ドリフト領域2に形成された第2の柱部8が嵌め込まれた嵌合構造(8、G2)を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。
先ず、図14を参照して、第3の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。
アノード電極6の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(8、G2)が形成されている。嵌合構造(8、G2)は、アノード電極6とドリフト領域2との間に形成されている。具体的には、アノード電極6の主表面に、第2の溝G2が形成されている。ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に、第2の溝G2に嵌め込まれた第2の柱部8が形成されている。このように、嵌合構造は、第2の溝G2と第2の柱部8とにより形成されている。第2の柱部8は、ドリフト領域2の一部分であり、外周部電界緩和領域5の中に形成されている。その他の構成は、図1と同じであり、説明を省略する。
次に、図15A及び図15Bを参照して、本発明の第3の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
まず、図2Aの工程を実施する。その後、図15Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材119となる絶縁膜を堆積する。例えば、マスク材119としてのシリコン酸化膜を、熱CVD法やプラズマCVD法を用いて堆積することができる。次に、マスク材119の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材119をエッチングする。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。
そして、マスク材119をイオン注入用のマスクにして、ドリフト領域2にp型不純物をイオン注入し、外周部電界緩和領域5を形成する。外周部電界緩和領域5の深さは、ドリフト領域2の厚さより浅い。ただし、図2Bの工程における外周部電界緩和領域5の深さよりも深く形成する。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。なお、半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することにより、イオンが注入された領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材119を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。
図15Aの工程後、イオン注入した不純物を熱処理することで活性化する。熱処理温度としては、1700℃程度の温度を用いることができる。また、熱処理の雰囲気としては、アルゴンや窒素を好適に用いることができる。なお、この熱処理工程は、図15Bの工程後から図2Eの工程前の間に実施してもよい。
次に、図15Bの工程において、マスク材120を形成する。マスク材120としては図15Aの工程と同様に、パターニングされた絶縁膜でもよいし、レジストでもよい。次に、マスク材120をエッチング用のマスクにしてドリフト領域2をエッチングし、外周部電界緩和領域5の中に炭化珪素からなる第2の柱部8を形成する。第2の柱部8を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。第2の柱部8の高さに制限はないが、数十nm〜数十μmとすることができる。第2の柱部8を形成した後、マスク材120を除去する。その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図14に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、図1の異種材料接合型ダイオードによる作用効果のみならず、以下の作用効果も得られる。
図14の異種材料接合型ダイオードにおいて、嵌合構造は、ドリフト領域2の第2の柱部8とアノード電極6の第2の溝G2とにより形成されている。この嵌合構造により、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
第2の柱部8は、ドリフト領域2の一部分であることにより、アノード電極6はドリフト領域2から剥がれにくくなる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(11)図1に示したように、外周部電界緩和領域5に第1の溝G1を形成する場合、第1の溝G1に合わせて外周部電界緩和領域5の深さを深くする。これにより、外周部電界緩和領域5直下のドリフト領域2の厚みが薄くなり、異種材料接合型ダイオードの耐圧が低下する。これに対して、図14に示した異種材料接合型ダイオードでは、外周部電界緩和領域5の平坦面からアノード電極6側に第2の柱部8が突出している。このため、外周部電界緩和領域5の平坦面からカソード電極7側へ向けた外周部電界緩和領域5の深さと、第2の柱部8の高さとを独立に制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度の向上と、異種材料接合型ダイオードの耐圧低下の抑制とを両立することができる。
このように、図14の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図14の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部8の側面及び上面に接するように、第2の柱部8の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第3実施形態の第1の変形例)
第3実施形態の第1の変形例では、図16を参照して、図14と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図16に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの外周部電界緩和領域5に、複数の嵌合構造(8、G2)が形成されている。つまり、1つの外周部電界緩和領域5の中に複数の第2の柱部8が形成され、アノード電極6の主表面に、第2の柱部8の各々が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図14と同じであり、説明を省略する。
図16の異種材料接合型ダイオードによれば、図14の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)外周部電界緩和領域5の中に複数の第2の柱部8が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図16の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図16の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部8の側面及び上面に接するように、第2の柱部8の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図16では、各外周部電界緩和領域5の中に形成される第2の柱部8の数が2本である場合について示したが、第2の柱部8の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第3の実施の形態において、第2の柱部8の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第2の柱部8の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、第2の柱部8を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部8の断面形状をV字形状にしてもよい。つまり、第2の柱部8の底部の幅より第2の柱部8の上部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第3の実施の形態において、第2の柱部8を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部8の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
また、外周部電界緩和領域5が活性領域100の外周部に1箇所形成されている場合について説明したが、複数設置されていてもよい。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、第2の溝G2及び第2の柱部8が、外周部電界緩和領域5の中に形成されている場合について説明した。第4の実施の形態では、第2の溝G2及び第2の柱部8が、活性領域100に形成されている場合について説明する。
先ず、図17を参照して、第4の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。図17の異種材料接合型ダイオードは、図6の異種材料接合型ダイオードに比べて以下の点が異なる。
アノード電極6の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(8、G2)が形成されている。嵌合構造(8、G2)は、アノード電極6とドリフト領域2との間に形成されている。具体的には、アノード電極6の主表面に、第2の溝G2が形成されている。ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に、第2の溝G2に嵌め込まれた第2の柱部8が形成されている。このように、嵌合構造は、第2の溝G2と第2の柱部8とにより形成されている。第2の柱部8は、ドリフト領域2の一部分であり、電界緩和領域4の中に形成されている。アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
なお、図17に示す異種材料接合型ダイオードの製造方法は、図15A及び図15Bを参照して説明した異種材料接合型ダイオードの製造方法と同じであり、説明を省略する。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、図6の異種材料接合型ダイオードによる作用効果のみならず、以下の作用効果も得られる。
(11)図6に示したように、電界緩和領域4に第1の溝G1を形成する場合、第1の溝G1に合わせて電界緩和領域4の深さを深くする。これにより、電界緩和領域4直下のドリフト領域2の厚みが薄くなり、異種材料接合型ダイオードの耐圧が低下する。これに対して、図17に示した異種材料接合型ダイオードでは、電界緩和領域4の平坦面からアノード電極6側に第2の柱部8が突出している。このため、電界緩和領域4の平坦面からカソード電極7側へ向けた電界緩和領域4の深さと、第2の柱部8の高さとを独立に制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度の向上と、異種材料接合型ダイオードの耐圧低下の抑制とを両立することができる。
このように、図17の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図17の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部8の側面及び上面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第4実施形態の第1の変形例)
第4実施形態の第1の変形例では、図18を参照して、図17と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図18に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの電界緩和領域4に、複数の嵌合構造(8、G2)が形成されている。つまり、1つの電界緩和領域4の中に複数の第2の柱部8が形成され、アノード電極6の主表面に、第2の柱部8の各々が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図17と同じであり、説明を省略する。
図18の異種材料接合型ダイオードによれば、図17の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)電界緩和領域4の中に複数の第2の柱部8が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図18の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図18の異種材料接合型ダイオードにおいて、アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。しかし、第2の柱部8の側面及び上面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図18では、各電界緩和領域4の中に形成される第2の柱部8の数が2本である場合について示したが、第2の柱部8の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
(第4実施形態の第2の変形例)
第4実施形態の第2の変形例では、図19を参照して、図17、図18と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図19に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、電界緩和領域4は、第2の柱部8の側面及び底面角部のみに接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。その他の構成は、図17と同じであり、説明を省略する。
次に、図20A及び図20Bを参照して、図19の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、図20Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材121となる絶縁膜を堆積する。マスク材121としてはシリコン酸化膜を用いることができる。その堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、マスク材121の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材121をエッチングする。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。マスク材121をイオン注入用のマスクにして、p型不純物をドリフト領域2の中にイオン注入し、電界緩和領域4を形成する。p型不純物としては、アルミやボロンを用いることができる。半導体基体1の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入する。これにより、イオン注入された領域に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。イオン注入後、マスク材121を例えばフッ酸を用いたウエッチエッチングによって除去する。
図20Aの工程後、熱処理を施すことによりイオン注入された不純物を活性化する。熱処理温度としては1700℃程度の温度を用いることができ、熱処理の雰囲気としてはアルゴンや窒素を好適に用いることができる。
次に、図20Bの工程において、マスク材122を形成する。マスク材122としては図20Aの工程と同様に、パターニングされた絶縁膜でもよいし、レジストでもよい。次に、マスク材122をエッチング用のマスクにしてドリフト領域2をエッチングし、ドリフト領域2の活性領域100に第2の柱部8を形成する。第2の柱部8を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。第2の柱部8を形成後、マスク材121を除去する。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図19に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
図19の異種材料接合型ダイオードによれば、図17の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(8)’第2の柱部8の上面に電界緩和領域4が表出していない。このため、第2の柱部8の上面もSBDとして動作するため、順方向電流電圧特性を向上させることができる。
(12)SBDに逆方向電圧が印加された際に、各第2の柱部8の両側面に形成された電界緩和領域4により空乏層が形成される。この空乏層が第2の柱部8内において重なり合うように、第2の柱部8の幅および電界緩和領域4の間隔を調整する。これにより、第2の柱部8の上面に形成されるショットキー接合界面に印加される電界を緩和することができるので、リーク電流を抑制することができる。
このように、図19の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図19の異種材料接合型ダイオードにおいて、アノード電極6と電界緩和領域4の間にp+領域15は形成されていない。しかし、第2の柱部8の側面及び底面角部に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第4実施形態の第3の変形例)
第4実施形態の第3の変形例では、図21を参照して、図17〜図19と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図21に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の溝G2及び第2の柱部8は、活性領域100のみならず、外周部電界緩和領域5にも形成されている。図21に示す異種材料接合型ダイオードは、図14と図14を組み合わせた構成を有する。その他の構成は、図6と同じであり、説明を省略する。
図21の異種材料接合型ダイオードによれば、図17の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(2)’’’アノード電極6の剥離が発生しやすい外周部及びアノード電極6の活性領域100全面に嵌合構造(8、G2)を形成することができる。これにより、アノード電極6に加わる応力を分散するため、応力集中による電流電圧特性の悪化を抑制しつつ、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
このように、図21の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図21の異種材料接合型ダイオードにおいて、アノード電極6と電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5の間にp+領域15は形成されていない。しかし、第2の柱部8の側面及び上面に接するように、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。この場合、電界緩和領域4とドリフト領域2間及び外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
以上、第4の実施の形態において、第2の柱部8の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第2の柱部8の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、第2の柱部8を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部8の断面形状をV字形状にしてもよい。つまり、第2の柱部8の底部の幅より第2の柱部8の上部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第4の実施の形態において、第2の柱部8を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部8の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
また、外周部電界緩和領域5が活性領域100の外周部に1箇所形成されている場合について説明したが、複数設置されていてもよい。
(第5の実施の形態)
図14では、第2の柱部8が、ドリフト領域2の一部分であり、外周部電界緩和領域5の中に形成されている場合について説明した。これに対して、第5の実施の形態では、第2の柱部9が、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる場合について説明する。
先ず、図22を参照して、第5の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。図22の異種材料接合型ダイオードは、図14の異種材料接合型ダイオードに比べて以下の点が異なる。
第5の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる第2の柱部9を備える。第2の柱部9の一端(下端)はドリフト領域2の主表面に接合され、第2の柱部9は第2の溝G2に嵌め込まれている。具体的に、第2の柱部9の一端(下端)はドリフト領域2内の外周部電界緩和領域5の主表面に接合されている。第2の柱部8の材料としては、不純物を導入した多結晶シリコンなどの半導体材料、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜、アノード電極6と異なる金属材料、アノード電極6と同種であり且つアノード電極6と成膜条件が異なる金属材料などを使用することができる。その他の構成は、図14と同じであり、説明を省略する。
次に、図23A及び図23Bを参照して、図22の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
先ず、図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、図23Aの工程において、ドリフト領域2の上に、ドリフト領域2と異なる材料からなる異種材料膜14を堆積する。なお、異種材料膜14の材料及び異種材料膜14の成膜条件を適宜選択することにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度よりも、異種材料膜14の剥離に対する機械的強度を高くする。すなわち、ドリフト領域2(外周部電界緩和領域5を含む。)に対して、異種材料膜14をアノード電極6よりも剥がれ難くする。
次に、図23Bの工程において、異種材料膜14の上にマスク材123を形成する。マスク材123としては、レジストを好適に用いることができる。次に、マスク材123をエッチング用のマスクにして異種材料膜14をエッチングし、外周部電界緩和領域5の上に第2の柱部9を形成する。第2の柱部9を形成する方法としては、ドライエッチング法やウエットエッチング法が好適に用いられる。第2の柱部9を形成した後、マスク材123を除去する。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図22に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
次に、図24A及び図24Bを参照して、図22の異種材料接合型ダイオードの他の製造方法を説明する。
先ず、図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、図24Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材124を堆積し、パターニングする。外周部電界緩和領域5が表出する開口を有するパスクパターンが形成される。マスク材124としてはシリコン酸化膜を好適に用いることができる。次に、パターニングしたマスク材124の上に、ドリフト領域2と異なる材料からなる異種材料膜14を堆積する。なお、異種材料膜14の材料及び異種材料膜14の成膜条件は、図23Aの工程と同様にして適宜選択する。
次に、図24Bの工程において、異種材料膜14をエッチバックして、外周部電界緩和領域5の上に第2の柱部9を形成する。エッチバックの方法としては、ドライエッチング法やウエットエッチング法を好適に用いることができる。第2の柱部9を形成した後、マスク材124を除去する。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図22に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
図24A及び図24Bの工程を用いることにより、アノード電極6との間でショットキー接合界面を形成するドリフト領域2の主表面をマスク材124で保護することができる。そして、マスク材124でドリフト領域2の主表面を保護した状態で、第2の柱部9を形成できる。よって、ショットキー接合界面の状態を良好に保つことができ、SBDの電流電圧特性を良好に保つことができる。
以上説明したように、図22の異種材料接合型ダイオードによれば、図14の異種材料接合型ダイオードによる作用効果のみならず、以下の作用効果も得られる。
第2の柱部9は、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなり、第2の柱部9の一端はドリフト領域2の主表面に接合され、第2の柱部9は第2の溝G2に嵌め込まれている。これにより、図23Aの工程において堆積する異種材料膜14の膜厚や、図24Aの工程において堆積するマスク材124の膜厚を制御することで、容易に第2の柱部9の高さを制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を容易に調整することができる。
このように、図22の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図22の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部9の底面に接するように、外周部電界緩和領域5の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第2の柱部9を形成した後に熱処理を加えて、外周部電界緩和領域5と第2の柱部9とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第2の柱部9の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第2の柱部9と外周部電界緩和領域5を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第2の柱部9はオーミック接続されている。よって、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第5実施形態の第1の変形例)
第5実施形態の第1の変形例では、図25を参照して、図22と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図25に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの外周部電界緩和領域5に、複数の嵌合構造(9、G2)が形成されている。つまり、1つの外周部電界緩和領域5の上に複数の第2の柱部9が形成され、アノード電極6の主表面に、第2の柱部9の各々が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図22と同じであり、説明を省略する。
図25の異種材料接合型ダイオードによれば、図22の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)外周部電界緩和領域5の上に複数の第2の柱部9が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図25の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図25の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部9の底面に接するように、外周部電界緩和領域5の上に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第2の柱部9を形成した後に熱処理を加えて、外周部電界緩和領域5と第2の柱部9とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第2の柱部9の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第2の柱部9と外周部電界緩和領域5を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第2の柱部9はオーミック接続されている。よって、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図25では、各外周部電界緩和領域5の上に形成される第2の柱部9が2本である場合について示したが、第2の柱部9の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第5の実施の形態において、第2の柱部9の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第2の柱部9の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の断面形状をV字形状にしてもよい。つまり、第2の柱部9の底部の幅より第2の柱部9の上部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第5の実施の形態において、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第6の実施の形態)
第5の実施の形態では、第2の溝G2及び第2の柱部9が、外周部電界緩和領域5に形成されている場合について説明した。第6の実施の形態では、第2の溝G2及び第2の柱部9が、活性領域100に形成されている場合について説明する。
先ず、図26を参照して、第6の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。図26の異種材料接合型ダイオードは、図17の異種材料接合型ダイオードに比べて以下の点が異なる。
図26の異種材料接合型ダイオードは、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる第2の柱部9を備える。第2の柱部9の一端(下端)はドリフト領域2の主表面に接合され、第2の柱部9は第2の溝G2に嵌め込まれている。具体的に、第2の柱部9の一端(下端)はドリフト領域2内の電界緩和領域4の主表面に接合されている。第2の柱部9の材料としては、不純物を導入した多結晶シリコンなどの半導体材料、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜、アノード電極6と異なる金属材料、アノード電極6と同種であり且つアノード電極6と成膜条件が異なる金属材料などを使用することができる。その他の構成は、図17と同じであり、説明を省略する。
図26の異種材料接合型ダイオードは、図23A及び図23Bに示した製造方法、及び図24A及び図24Bに示した製造方法と同様にして、製造することができる。よって、ここでは、説明を省略する。さらに、他の製造方法として、第2の柱部9が絶縁膜からなり、且つ、活性領域100の外周部に後述するフィールド絶縁膜を有する場合、第2の柱部9の形成とフィールド絶縁膜の活性領域100の開口処理とを同時に実施することもできる。
以上説明したように、図26の異種材料接合型ダイオードによれば、図17の異種材料接合型ダイオードによる作用効果のみならず、以下の作用効果も得られる。
図23Aの工程において堆積する異種材料膜14の膜厚や、図24Aの工程において堆積するマスク材124の膜厚を制御することで、容易に第2の柱部9の高さを制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を容易に調整することができる。
このように、図26の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図26の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部9の底面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第2の柱部9を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4と第2の柱部9とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第2の柱部9の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第2の柱部9と電界緩和領域4を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第2の柱部9はオーミック接続されている。よって、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
(第6実施形態の第1の変形例)
第6実施形態の第1の変形例では、図27を参照して、図26と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図27に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの電界緩和領域4に、複数の嵌合構造(9、G2)が形成されている。つまり、1つの電界緩和領域4の上に複数の第2の柱部9が形成され、アノード電極6の主表面に、第2の柱部9の各々が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図26と同じであり、説明を省略する。
図27の異種材料接合型ダイオードによれば、図26の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)電界緩和領域4の中に複数の第2の柱部9が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図27の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図27の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部9の底面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第2の柱部9を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4と第2の柱部9とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第2の柱部9の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第2の柱部9と電界緩和領域4を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第2の柱部9はオーミック接続されている。よって、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図27では、各電界緩和領域4の上に形成される第2の柱部9が2本である場合について示したが、第2の柱部9の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
(第6実施形態の第2の変形例)
第6実施形態の第2の変形例では、図28を参照して、図26、図27と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図28に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、電界緩和領域4は、第2の柱部9の底面角部のみに接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。その他の構成は、図26と同じであり、説明を省略する。
第2の柱部9の材料として絶縁体を用いた場合は、図26の異種材料接合型ダイオードと同等の作用効果が得られる。第2の柱部9の材料として不純物を導入した多結晶シリコンや金属材料を用いた場合は、図26の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(8)’第2の柱部9の底面に電界緩和領域4に覆われていない部分があるため、第2の柱部9の底面もヘテロ接合ダイオード(HJD)もしくはSBDとして動作させることができる。よって、HJD及びSBDの面積効率が向上し、HJD及びSBDの順方向の電流電圧特性を向上させることができる。
(12)HJD及びSBDに逆方向の電圧が印加された際に、各第2の柱部9の底面角部に形成された電界緩和領域4により空乏層が形成される。この空乏層が第2の柱部9の底面直下において重なり合うように、第2の柱部9の幅及び電界緩和領域4の間隔を調整する。これにより、第2の柱部9の底面に形成されるヘテロ接合界面もしくはショットキー接合界面に印加される電界を緩和することができ、リーク電流を抑制することができる。
このように、図28の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第6実施形態の第3の変形例)
第6実施形態の第3の変形例では、図29を参照して、図26〜図28と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図29に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の溝G2及び第2の柱部9は、活性領域100のみならず、外周部電界緩和領域5にも形成されている。図29に示す異種材料接合型ダイオードは、図22と図26を組み合わせた構成を有する。その他の構成は、図26と同じであり、説明を省略する。
図29の異種材料接合型ダイオードによれば、図26の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(2)’’’アノード電極6の剥離が発生しやすい外周部及びアノード電極6の活性領域100全面に嵌合構造(9、G2)を形成することができる。これにより、アノード電極6に加わる応力を分散するため、応力集中による電流電圧特性の悪化を抑制しつつ、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
このように、図29の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図29の異種材料接合型ダイオードにおいて、第2の柱部9の底面に接するように、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第2の柱部9を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5と第2の柱部9とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第2の柱部9の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第2の柱部9と電界緩和領域4及び第2の柱部9と外周部電界緩和領域5を容易にオーミック接続させることができる。アノード電極6と導電体である第2の柱部9はオーミック接続されている。よって、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
以上、第6の実施の形態において、第2の柱部9の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第2の柱部9の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の断面形状をV字形状にしてもよい。つまり、第2の柱部9の底部の幅より第2の柱部9の上部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第6の実施の形態において、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、第2の溝G2及び第2の柱部9が、ドリフト領域2の上及び外周部電界緩和領域5の上に形成されている場合について説明する。
図30を参照して、第7の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。図30の異種材料接合型ダイオードは、図22の異種材料接合型ダイオードに比べて以下の点が異なる。
図30の異種材料接合型ダイオードは、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる第2の柱部9を備える。第2の柱部9は第2の溝G2に嵌め込まれている。第2の溝G2及び第2の柱部9は、外周部電界緩和領域5のみならず、活性領域100にも形成されている。第2の柱部9の一端(下端)はドリフト領域2及び外周部電界緩和領域5の主表面に接合されている。図30に示す断面において、ドリフト領域2内に電界緩和領域4は配置されていない。第2の柱部9の一端(下端)は、ドリフト領域2の主表面に直接、接合している。ドリフト領域2と異なる材料(第2の柱部9の材料)として、金属材料を使用することができる。その他の構成は、図22と同じであり、説明を省略する。
第2の柱部9とドリフト領域2との間にショットキー接合が形成される。このショットキー接合のエネルギー障壁の高さを、アノード電極6とドリフト領域2間のショットキー接合のエネルギー障壁高さに近い値に設定する。これにより、異種材料接合型ダイオードに逆方向の最大電圧が印加された際に、第2の柱部9の底面角部に接するドリフト領域2に生じる電界集中によるリーク電流が、アノード電極6とドリフト領域2のショットキー接合からのリーク電流以下になる。
図30の異種材料接合型ダイオードは、図23A及び図23Bに示した製造方法、或いは図24A及び図24Bに示した製造方法と同様にして、製造することができる。よって、ここでは、説明を省略する。
図30の異種材料接合型ダイオードによれば、図22の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(2)’’’アノード電極6の剥離が発生しやすい外周部及びアノード電極6の活性領域100全面に嵌合構造(9、G2)を形成することができる。これにより、アノード電極6に加わる応力を分散するため、応力集中による電流電圧特性の悪化を抑制しつつ、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
第2の柱部9とドリフト領域2間の接合におけるエネルギー障壁の高さを、アノード電極6とドリフト領域2間のショットキー接合におけるエネルギー障壁の高さに近くする。これにより、第2の柱部9とドリフト領域2間の接合におけるエネルギー障壁と、アノード電極6とドリフト領域2間のショットキー接合におけるエネルギー障壁の不連続により発生するリーク電流を抑制しつつ、アノード電極6全面の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
このように、図30の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
以上、第7の実施の形態において、第2の柱部9の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第2の柱部9の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の断面形状をV字形状にしてもよい。つまり、第2の柱部9の底部の幅より第2の柱部9の上部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第7の実施の形態において、第2の柱部9を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第2の柱部9の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態では、ドリフト領域2の第1の溝G1及びアノード電極6の第2の溝G2の両方に、第1の柱部13が嵌め込まれた嵌合構造(13、G1、G2)を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。
先ず、図31を参照して、第8の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードの構成を説明する。
ドリフト領域2の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面に、第2の溝G2が形成されている。第1の溝G1は、第2の溝G2に対向している。第1の柱部13の一端(下端)は第1の溝G1に嵌め込まれ、第1の柱部13の他端(上端)は第2の溝G2に嵌め込まれている。第1の柱部13は、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる。
具体的には、外周部電界緩和領域5に形成した第1の溝G1に、ドリフト領域2とは異なる種類の材料で形成された第1の柱部13の一部が埋設されている。ドリフト領域2の上面から突出した第1の柱部13は、アノード電極6に形成された第2の溝G2に嵌め込まれている。
次に、図32A〜図32Dを参照して、図22の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。
先ず、図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、図32Aの工程において、ドリフト領域2の上にマスク材125を堆積し、パターニングする。マスク材125には、外周部電界緩和領域5が表出した開口が形成される。マスク材125としてはシリコン酸化膜を好適に用いることができる。次に、マスク材125をエッチング用のマスクにして、開口から表出した外周部電界緩和領域5を除去して、第1の溝G1を形成する。第1の溝G1を形成する方法としては、ドライエッチング法が好適に用いられる。第1の溝G1の深さとしては、第1の実施の形態で前述したとおりである。
図32Bの工程において、パターニングしたマスク材125の上に、ドリフト領域2と異なる材料からなる異種材料膜14を堆積する。異種材料膜14の一部は、第1の溝G1に埋設される。異種材料膜14としては、不純物を導入した多結晶シリコンなどの半導体材料、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜、アノード電極6と異なる金属材料、アノード電極6と同種でアノード電極6と成膜条件が異なる金属材料などを使用することができる。
次に、図32Cの工程において、異種材料膜14をエッチバックする。これにより、第1の溝G1の内部に埋め込まれ、且つドリフト領域2の表面から突出する第1の柱部13が形成される。エッチバックの方法としてはドライエッチング法やウエットエッチング法を好適に用いることができる。
次に、図32Dの工程において、第1の柱部13を形成した後、マスク材125を除去する。
その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図31に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
図32A〜図32Dの工程を用いることにより、アノード電極6との間でショットキー接合界面を形成するドリフト領域2の主表面をマスク材125で保護することができる。そして、マスク材125でドリフト領域2の主表面を保護した状態で、第1の柱部13を形成できる。よって、ショットキー接合界面の状態を良好に保つことができ、SBDの電流電圧特性を良好に保つことができる。
また、他の製造方法としては、外周部電界緩和領域5に第1の溝G1を形成した後、マスク材125を除去する。第1の溝G1の中及びドリフト領域2の上に異種材料膜14を堆積し、第1の溝G1の直上の異種材料膜14の上に他のマスク材を形成する。この他のマスク材をエッチング用のマスクとして、異種材料膜14をパターニングして、第1の柱部13を形成することもできる。
図31の異種材料接合型ダイオードによれば、図1の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
アノード電極6の主表面に第2の溝G2が形成されている。第1の柱部13は、ドリフト領域2とは異なる種類の材料からなる。第1の柱部13の一端は第1の溝G1に嵌め込まれ、第1の柱部13の他端は第2の溝G2に嵌め込まれている。これにより、図32Cの工程において堆積するマスク材125の膜厚を制御することで、容易に第1の柱部13の高さを制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を容易に調整することができる。
なお、図31の異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の柱部13の側面及び底面に接するように、外周部電界緩和領域5の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第1の柱部13を形成した後に熱処理を加えて、外周部電界緩和領域5と第1の柱部13とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第1の柱部13の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第1の柱部13と外周部電界緩和領域5を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第1の柱部13はオーミック接続されている。よって、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
このように、図31の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第8実施形態の第1の変形例)
第8実施形態の第1の変形例では、図33を参照して、図31と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図33に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの外周部電界緩和領域5に、複数の嵌合構造(13、G1、G2)が形成されている。つまり、1つの外周部電界緩和領域5の中及びその上に複数の第1の柱部13が形成されている。外周部電界緩和領域5に、第1の柱部13の各々の一端(下端)が嵌め込まれる複数の第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面に、第1の柱部13の各々の他端(上端)が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図31と同じであり、説明を省略する。
図33の異種材料接合型ダイオードによれば、図31の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)外周部電界緩和領域5の中及びその上に複数の第1の柱部13が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図33の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図33の異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の柱部13の底面及び側面に接するように、外周部電界緩和領域5の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第1の柱部13を形成した後に熱処理を加えて、外周部電界緩和領域5と第1の柱部13とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第1の柱部13の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第1の柱部13と外周部電界緩和領域5を容易にオーミック接続させることができる。よって、外周部電界緩和領域5とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図33では、各外周部電界緩和領域5の中及びその上に形成される第1の柱部13が2本である場合について示したが、第1の柱部13の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第8の実施の形態において、第1の柱部13の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第1の柱部13の断面形状は、V字形状、逆V字形状、U字形状や、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、アノード電極6と外周部電界緩和領域5の界面付近における第1の柱部13の幅より、第1の溝G1の中、及び第2の溝g2の中における第2の柱部9の幅を広くしてもよい。これにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第8の実施の形態において、第1の溝G1及び第1の柱部13を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第1の柱部13の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態では、第1の溝G1、第2の溝G2及び第1の柱部13からなる嵌合構造(13、G1、G2)が、活性領域100の中に配置されている異種材料接合型ダイオードについて説明する。
図34に示すように、第9の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、図6の異種材料接合型ダイオードに比べて以下の点が異なる。図6では、第1の溝G1に嵌め込まれた第1の柱部3が、アノード電極6の一部であった。これに対して、図34では、第1の溝G1に、ドリフト領域2とは異なる種類の材料で形成された第1の柱部13の一部が嵌め込まれている。さらに、第1の柱部13の他の一部は、ドリフト領域2の主表面から突出し、アノード電極6に形成された第2の溝G2に嵌め込まれている。その他の構成は、図6と同じであるため、説明を省略する。
図34に示す異種材料接合型ダイオードの製造方法は、図31の異種材料接合型ダイオードの製造方法と同様であるので、図示及び説明を省略する。
図34の異種材料接合型ダイオードによれば、図6の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
図32Cの工程において堆積するマスク材125の膜厚を制御することで、容易に第1の柱部13の高さを制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を容易に調整することができる。
なお、図34の異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の柱部13の側面及び底面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第1の柱部13を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4と第1の柱部13とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第1の柱部13の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第1の柱部13と電界緩和領域4を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6と導電体である第1の柱部13はオーミック接続されている。よって、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
このように、図34の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第9実施形態の第1の変形例)
第9実施形態の第1の変形例では、図35を参照して、図34と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図35に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つの電界緩和領域4に、複数の嵌合構造(13、G1、G2)が形成されている。つまり、1つの電界緩和領域4の中及びその上に複数の第1の柱部13が形成されている。電界緩和領域4に、第1の柱部13の各々の一端(下端)が嵌め込まれる複数の第1の溝G1が形成されている。アノード電極6の主表面に、第1の柱部13の各々の他端(上端)が嵌め込まれる複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図34と同じであり、説明を省略する。
図35の異種材料接合型ダイオードによれば、図34の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)電界緩和領域4内に複数の第1の柱部13が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図35の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図35の異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の柱部13の側面及び底面に接するように、電界緩和領域4の中に図6に示したp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第1の柱部13を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4と第1の柱部13とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第1の柱部13の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第1の柱部13と電界緩和領域4を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6は導電体である第1の柱部13にオーミック接続している。よって、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードは、電流値が高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
また、図35では、各電界緩和領域4の中及び上に形成される第1の柱部13が2本である場合について示したが、第2の柱部9の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
(第9実施形態の第2の変形例)
第9実施形態の第2の変形例では、図36を参照して、図34及び図35と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図36に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、電界緩和領域4は、第1の溝G1の側面及び底面角部のみに接するように、ドリフト領域2の中に形成されている。電界緩和領域4は、第1の柱部13の底面角部にのみ接し、第1の柱部13の底面は、ドリフト領域2に接している。その他の構成は、図34と同じであり、説明を省略する。
第1の柱部13の材料として絶縁体を用いた場合は、図34の異種材料接合型ダイオードと同等の作用効果が得られる。第1の柱部13の材料として不純物を導入した多結晶シリコンや金属材料を用いた場合は、図34の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(8)’第1の柱部13の底面が電界緩和領域4に覆われていないため、第1の柱部13の底面もHJDもしくはSBDとして動作させることができる。よって、HJD及びSBDの面積効率が向上し、HJD及びSBDの順方向の電流電圧特性を向上させることができる。
(12)HJD及びSBDに逆方向の電圧が印加された際に、電界緩和領域4により空乏層が形成される。この空乏層が第1の柱部13の底面直下において重なり合うように、第1の柱部13の幅及び電界緩和領域4の間隔を調整する。これにより、第1の柱部13の底面に形成されるヘテロ接合界面もしくはショットキー接合界面に印加される電界を緩和することができ、リーク電流を抑制することができる。
このように、図36の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第9実施形態の第3の変形例)
第9実施形態の第3の変形例では、図37を参照して、図34〜図36と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図37に示す異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の溝G1、第2の溝G2及び第1の柱部13は、活性領域100のみならず、外周部電界緩和領域5にも形成されている。図37に示す異種材料接合型ダイオードは、図31と図34を組み合わせた構成を有する。その他の構成は、図34と同じであり、説明を省略する。
図37の異種材料接合型ダイオードによれば、次に示す作用効果がさらに得られる。
(2)’’’アノード電極6の剥離が発生しやすい外周部及びアノード電極6の活性領域100全面に嵌合構造(13、G1、G2)を形成することができる。これにより、アノード電極6に加わる応力を分散するため、応力集中による電流電圧特性の悪化を抑制しつつ、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
このように、図37の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
なお、図37の異種材料接合型ダイオードにおいて、第1の溝G1の側面及び底面に接するように、電界緩和領域4及び外周部電界緩和領域5の中に図6と同様なp+領域15が形成されていてもよい。又は、金属材料からなる第1の柱部13を形成した後に熱処理を加えて、電界緩和領域4と第1の柱部13とのシリサイド膜を形成してもよい。或いは、第1の柱部13の材料として不純物を高濃度に添加した多結晶シリコンを用いてもよい。これらにより、第1の柱部13と電界緩和領域4を容易にオーミック接続することができる。アノード電極6は導電体である第1の柱部13にオーミック接続している。よって、電界緩和領域4とドリフト領域2間のpn接合ダイオードの面積が増加するため、図34の異種材料接合型ダイオードよりもさらに高い順方向のサージ電流を吸収して、SBDをサージ電流から保護することができる。
以上、第9の実施の形態において、第1の柱部13の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第1の柱部13の断面形状は、V字形状、逆V字形状、U字形状や、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、アノード電極6と電界緩和領域4の界面付近における第1の柱部13の幅より、第1の溝G1の中、及び第2の溝G2の中における第2の柱部9の幅を広くしてもよい。これにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第9の実施の形態において、第1の溝G1及び第1の柱部13を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第1の柱部13の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第10の実施の形態)
第1〜第9の実施の形態では、嵌合構造が、アノード電極6とドリフト領域2との間に形成されている場合について説明した。これに対して、第10の実施の形態では、嵌合構造が、アノード電極6と、活性領域100の外周部に形成されたフィールド絶縁膜との間に形成されている場合について説明する。
図38に示すように、第10の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、アノード電極6とドリフト領域2の間に介在するフィールド絶縁膜10をさらに備える。フィールド絶縁膜10は、アノード電極6とドリフト領域2との間で電荷キャリアが移動する活性領域100の外周に配置されている。嵌合構造は、アノード電極6とフィールド絶縁膜10との間に形成されている。
具体的には、フィールド絶縁膜10の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に第3の溝G3が形成されている。アノード電極6の主表面に、第3の溝G3に嵌め込まれた第1の柱部11が形成されている。第1の柱部11は、アノード電極6の一部分である。嵌合構造は、第3の溝G3と第1の柱部11とにより形成されている。
図38の異種材料接合型ダイオードの製造方法を説明する。先ず、図2Aの工程及び図2Bの工程を実施する。その後、フィールド絶縁膜10を堆積する。フィールド絶縁膜10としてはシリコン酸化膜を用いることができる。その堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、フィールド絶縁膜10の上にレジストをパターニングする(図示せず)。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィー法を用いることができる。パターニングされたレジストをエッチング用のマスクにして、フィールド絶縁膜10の中に第3の溝G3を形成する。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウエットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。その後、図2Eの工程を実施する。以上の工程を経て、図38に示す異種材料接合型ダイオードが完成する。
また、他の製造方法として、フィールド絶縁膜10を2段階の厚さで堆積してもよい。この場合、第3の溝G3が形成される外周部のフィールド絶縁膜10の厚さを厚くする。そして、活性領域100と第3の溝G3が形成される部分に開口を有するエッチング用のマスク材をフィールド絶縁膜10上に形成する。そして、活性領域100とフィールド絶縁膜10を同時にエッチングし、第3の溝G3及び活性領域100を形成してもよい。
このように、図38の異種材料接合型ダイオードによれば、以下の作用効果が得られる。
(1)従来、所謂ショットキー・バリア・ダイオードにおいて、アノード電極とドリフト領域との接合界面は原子レベルで平坦であるため、アノード電極の剥離に対する機械的強度が低かった。しかし、図38に示すように、アノード電極6とフィールド絶縁膜10の間に、嵌合構造(11、G3)が形成されている。これにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(5)異種材料接合型ダイオードがSBDである場合、ショットキー電極は比較的低温で堆積する。これにより、ショットキー電極(アノード電極6)とドリフト領域2との間に合金が形成されることが抑制され、適正なショットキー障壁を形成することができる。その一方で、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度が低かった。しかし、ショットキー電極の主表面のうち、ドリフト領域2に接している側の主表面に、嵌合構造(11、G3)が形成されている。これにより、ショットキー電極の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(2)アノード電極6は、その外周部において剥離が発生しやすい。嵌合構造(11、G3)は、そのアノード電極6の外周部に形成されている。よって、アノード電極6の剥離を効果的に抑制することができる。
(3)嵌合構造(11、G3)は、フィールド絶縁膜10内に形成されているため、電流電圧特性を維持した状態で、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(4)嵌合構造(11、G3)は、フィールド絶縁膜10内に形成されているため、順方向電流が流れる経路となる活性領域100の面積を犠牲にすることなく、アノード電極6の剥離を抑制することができる。
フィールド絶縁膜10の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に第3の溝G3が形成され、アノード電極6の主表面に、第3の溝G3に嵌め込まれた第1の柱部11が形成されている。第1の柱部11は、アノード電極6の一部分であり、嵌合構造は、第3の溝G3と第1の柱部11とにより形成されている。これにより、アノード電極6はフィールド絶縁膜10から剥がれにくくなる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
このように、図38の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第10実施形態の第1の変形例)
第10実施形態の第1の変形例では、図39を参照して、図38と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図39に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つのフィールド絶縁膜10に、複数の嵌合構造(11、G3)が形成されている。つまり、1つのフィールド絶縁膜10に複数の第3の溝G3が形成されている。アノード電極6の主表面に、第3の溝G3の各々に嵌め込まれた複数の第1の柱部11が形成されている。その他の構成は、図38と同じであり、説明を省略する。
図39の異種材料接合型ダイオードによれば、図38の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)フィールド絶縁膜10の中に複数の第3の溝G3が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図39の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
また、図39では、各フィールド絶縁膜10の中に形成される第3の溝G3が2本である場合について示したが、第3の溝G3の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第10の実施の形態において、第3の溝G3の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第3の溝G3の断面形状は、V字形状、U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、エッチングの条件を調整することにより、第3の溝G3の開口部の幅より第3の溝G3の内部の幅を広くしてもよい。すなわち、第3の溝G3の断面形状を逆メサ形状にしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第10の実施の形態において、第3の溝G3を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第3の溝G3の側面や底面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(第11の実施の形態)
第10の実施の形態では、フィールド絶縁膜10に形成された第3の溝G3に、アノード電極6に形成された第1の柱部11が嵌め込まれた嵌合構造を有する異種材料接合型ダイオードについて説明した。第11の実施の形態では、これとは逆に、アノード電極6に形成された第2の溝G2に、フィールド絶縁膜10に形成された第3の柱部12が嵌め込まれた嵌合構造(12、G2)を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。
図40に示すように、第11の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードでは、アノード電極6の主表面に、第2の溝G2が形成されている。フィールド絶縁膜10の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に、第2の溝G2に嵌め込まれた第3の柱部12が形成されている。第3の柱部12は、フィールド絶縁膜10の一部分である。嵌合構造は、第2の溝G2と第3の柱部12とにより形成されている。その他の構成は、図38と同じであり、説明を省略する。
図38の異種材料接合型ダイオードの製造方法と同様な方法を用いて、フィールド絶縁膜10の上に第3の柱部12を形成することにより、図40の異種材料接合型ダイオードを製造することができる。
図40の異種材料接合型ダイオードによれば、図38の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
フィールド絶縁膜10の平坦面からアノード電極6側に第3の柱部12が突出している。このため、フィールド絶縁膜10の厚さと、第3の柱部12の高さとを独立に制御することができる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度の向上と、異種材料接合型ダイオードの耐圧低下の抑制とを両立することができる。
アノード電極6の主表面に、第2の溝G2が形成され、フィールド絶縁膜10の主表面のうち、アノード電極6に接している側の主表面に、第2の溝G2に嵌め込まれた第3の柱部12が形成されている。第3の柱部12は、フィールド絶縁膜10の一部分であり、嵌合構造は、第2の溝G2と第3の柱部12とにより形成されている。これにより、アノード電極6はフィールド絶縁膜10から剥がれにくくなる。よって、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
このように、図40の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
(第11実施形態の第1の変形例)
第11実施形態の第1の変形例では、図41を参照して、図40と異なる他の構成を有する異種材料接合型ダイオードについて説明する。図41に示す異種材料接合型ダイオードでは、1つのフィールド絶縁膜10に、複数の嵌合構造(12、G2)が形成されている。つまり、1つのフィールド絶縁膜10に複数の第3の柱部12が形成されている。アノード電極6の主表面に、第3の柱部12の各々が嵌め込まれた複数の第2の溝G2が形成されている。その他の構成は、図40と同じであり、説明を省略する。
図41の異種材料接合型ダイオードによれば、図40の異種材料接合型ダイオードによる作用効果に加えて、次に示す作用効果が得られる。
(7)フィールド絶縁膜10の上に複数の第3の柱部12が形成されていることにより、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
このように、図41の異種材料接合型ダイオードによれば、電流電圧特性を維持向上しつつアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。
また、図41では、各フィールド絶縁膜10の中に形成される第3の柱部12が2本である場合について示したが、第3の柱部12の本数は複数であれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
以上、第11の実施の形態において、第3の柱部12の断面形状は矩形であるが、これに限らない。例えば、第3の柱部12の断面形状は、逆V字形状、逆U字形状であっても、電流電圧特性を維持向上しつつ、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることができる。また、エッチングの条件を調整することにより、第3の柱部12の底面部の幅より第3の柱部12の内部の幅を広くしてもよい。この場合、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。
また、第11の実施の形態において、第3の柱部12を形成する際のドライエッチングの条件を調整することにより、第3の柱部12の側面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、さらにアノード電極6の剥離に対する機械的強度を向上させることもできる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、第1〜第11の実施形態及びその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、第1〜第11の実施の形態では、アノード電極6として金属電極を用いたショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を例にとり説明した。このほかに、アノード電極6を、炭化珪素からなる半導体基体1よりエネルギーバンドギャップが狭い半導体材料で形成したヘテロ・ジャンクション・ダイオード(HJD)であっても、同様の作用効果を得ることができる。また、HJDの場合、アノード電極6を堆積する時に、常圧CVDや減圧CVDなどのCVD法を用いることができる。よって、第1〜第3の溝G1〜G3や第1〜第3の柱部3、8、9、11〜13に対する被覆性が向上し、アノード電極6の剥離に対する機械的強度をさらに向上させることができる。また、アノード電極6に上記の半導体材料を使用した場合には、金属材料を使用した場合に比べて高い温度で堆積するのが一般的である。ヘテロ接合界面の剥離に対する機械的強度は、ショットキー接合界面に比べて相対的に高い。よって、HJDの場合は、SBDの場合よりも相対的に、アノード電極6の剥離に対する機械的強度を高くすることができる。
第1〜第11の実施の形態では、断面図を参照して異種材料接合型ダイオードの断面構造を説明した。第1〜第11の実施の形態に係わる異種材料接合型ダイオードは、次に示すような様々な平面構造を取りうる。
図42〜図51において、符号51は、第1〜第3の溝G1〜G3や第1〜第3の柱部3、8、9、11〜13を示し、符号52の破線は、アノード電極6の外周を示し、符号53は、ドリフト領域2を示し、符号54は、フィールド絶縁膜10を示す。
図42〜図44は、図1及び図3の嵌合構造(3、G1)、図14の嵌合構造(8、G2)、図22の嵌合構造(9、G2)、図31の嵌合構造(13、G1、G2)の位置を示す平面図である。図1、図3、図14、図22及び図31は、図42〜図44のA−A’切断面に相当する。図42は、平面形状が矩形である複数の嵌合構造51を示す。図43は、平面形状が円形である複数の嵌合構造51を示す。図42及び図43では、複数の嵌合構造51が活性領域100の周囲を囲んでいる。図44は、平面形状が活性領域100を囲むリング形状である嵌合構造51の例を示す。連続した1つの嵌合構造51が、活性領域100の周囲を囲んでいる。
図45〜図48は、図6、図8、図9及び図11の嵌合構造(3、G1)、図17及び図19の嵌合構造(8、G2)、図26、図28の嵌合構造(9、G2)、図34、図36の嵌合構造(13、G1、G2)の位置を示す平面図である。図6、図8、図9、図11、図17、図19、図26、図28、図34及び図36は、図45〜図48のA−A’切断面に相当する。図45は、平面形状が矩形である複数の嵌合構造51を示す。図46は、平面形状が円形である複数の嵌合構造51を示す。図45及び図46では、複数の嵌合構造51が活性領域100全体に配置されている。図47は、平面形状が棒状である複数の嵌合構造51を示す。複数の嵌合構造51が、活性領域100内で均等な間隔でストライプ状に配列されている。図48は、活性領域100内に配置された、リング形状の嵌合構造51及びその中心に配置された円形の嵌合構造を示す。
図49〜図51は、図38の嵌合構造(11、G3)及び図40の嵌合構造(12、G2)の位置を示す平面図である。図38及び図40は、図49〜図51のA−A’切断面に相当する。図49は、平面形状が矩形である複数の嵌合構造51を示す。図50は、平面形状が円形である複数の嵌合構造51を示す。図49及び図50では、複数の嵌合構造51が活性領域100の周囲を囲んでいる。図51は、平面形状が活性領域100を囲むリング形状である嵌合構造51の例を示す。連続した1つの嵌合構造51が、活性領域100の周囲を囲んでいる。
以上、嵌合構造51の位置および平面形状に述べたが、嵌合構造51の平面形状に関しては類似の形状でも各実施の形態において同様の効果を得ることができ、平面形状の種類を限定するものではない