JP5767730B2 - 収納容器からの大型ペリクルの取出し方法 - Google Patents
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Description
従来、半導体回路パターン等の製造に於いては、一般にペリクルと呼ばれる防塵手段を用いて、フォトマスクやレティクルへの異物の付着を防止することが行われている。ペリクルはフォトマスク或いはレティクルの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体の上縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体或いはフッ素ポリマーなどの透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という)を展張して接着し、かつ該枠体の下縁面に粘着材を塗着したものであり、ペリクル構造体とは該ペリクルの粘着材からなる粘着材層上に所定の接着力で保護フィルムを粘着させたものである。
前記粘着材は、ペリクルをフォトマスク或いはレティクルに固着するためのものであり、また、保護フィルムは該粘着材がその用に供するまで該粘着材の接着力を維持するために、粘着材層の表面を保護するものである。
一般的には、ペリクルを製造するメーカーと最終的にペリクルをマスク等に貼付するマスク等のメーカー(以下「マスク製造者」ともいう。)とが地理的に離れている場合が多く、ペリクルメーカーからマスク製造者への運搬作業が必須となっている。その為、ペリクル構造体の運搬作業では、ペリクル膜等に異物が付着するのを防ぎ、或いは該ペリクル構造体が損傷するのを防ぐために、該ペリクル構造体をトレイと蓋とからなる収納容器に収納したペリクル収納構造体とし、更に防塵袋等に収納して梱包し、運搬するのが一般的である。
以上のような収納容器は、ペリクル構造体に塵埃を付着させないための密封性と、ペリクル膜に非接触な状態で確実に保持しうる保持性とが要求されることはもちろん、当然に、収納容器内でペリクル構造体が確実に固定されていることが要求される。
特に、近年は、マスク製造者においては、大型ペリクル構造体を収納容器から取り出す方法に替えて、収納容器から取り出したら直接マスクに取り付けられるよう、保護フィルムをトレイに貼着させた状態で、該保護フィルムと粘着材層の界面から剥離させることによって該大型ペリクルを収納容器から取り出す方法が採用されており、取り出しの際に該大型ペリクルに歪み撓みを生じさせることなく取り出す方法が要求されている(例えば、特許文献2を参照。)。
ペリクル収納構造体からのペリクルの取り出し方法については、例えば、矩形の枠体の辺の中央部近傍に配置された保護フィルムに相当するタブ(押さえ代)を接着テープでペリクル収納容器に固定したペリクル構造体をペリクル保持具によって保持しながら、かつ、該ペリクル保持具にかかる荷重を検出しながら該ペリクル保持具と収納容器との距離を離してペリクルを剥離させる方法も提案されている(例えば特許文献2)。しかし、この方法では、大型ペリクルの場合、辺の中央部に配置されたタブ(押さえ代)が接着テープで収納容器に保持されているため、たとえ、荷重を検出しながら剥離させたとしても、枠体のたわみを避けることができないと考えられる(特許文献2の図9を参照。)。
また、大型ペリクルにおいては、ペリクルの大きさの増加に対して、剛性が充分得られる程度にまでは枠体の幅や厚みを大きく出来ない為、枠体のたわみ量は大きくなる傾向にある。即ち、大型ペリクル構造体の収納・運搬・保管に際しては、トレイへの確実な保持固定に加えて、その後の収納容器からのペリクルの取り出しに際し、枠体にたわみやねじれを生じさせることなく、取り出すことができる方法が要求されているのである。そして、特に、面積10000cm2以上の大型ペリクルにおいては、大型ペリクル自体の重さが大きくなり、ハンドリングも困難となるため、収納・運搬・保管に際しては、確実な保持固定はもちろん、収納容器からの取り出しの際、取り出し後直接マスク等に貼り付けられるよう、保護フィルムと粘着材の界面から該大型ペリクルの歪み撓みを生じさせることなく取り出す方法が要求されている。
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上述した大型ペリクル構造体をトレイに粘着テープで貼り付けた保護フィルムから剥離させて取り出すときに、保護フィルムの四隅の押さえ代の形状によっては該保護フィルムが粘着テープによる固定からはずれてしまうことが判明した。
即ち、本発明は、収納・移送・保管時にはトレイに確実な保持固定が可能であり、かつ、フォトマスク等に貼り付ける際には簡単に歪みやたわみを発生させることなく収納容器から大型ペリクルを取り出すことを可能とせしめる大型ペリクル構造体を提供するものである。また、該大型ペリクル構造体を収納容器に固定した大型ペリクルの収納構造体を提供する。
1.枠体と、該枠体の上縁面に接着されたペリクル膜と、該枠体の下縁面に塗着された粘着材からなる粘着材層と、該粘着材層に粘着された保護フィルムからなり、該ペリクル膜が面積10000cm 2 以上の大型ペリクル構造体であって、枠体が矩形の形状を有し、保護フィルムが該枠体より外側に突出した第一の押さえ代を有しており、該第一の押さえ代は該枠体の一頂点を含む二辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿ったL字形状を有していることを特徴とする大型ペリクル構造体を、
トレイと蓋とからなるペリクル収納容器に収納した大型ペリクル収納構造体であって、少なくとも前記第一のL字形状を有する押さえ代のそれぞれ2辺に沿って粘着テープでトレイに固定されている大型ペリクル収納構造体から、
前記保護フィルムをトレイに固定したまま粘着材層と保護フィルムとの界面で剥離させる工程を含む、
収納容器からの大型ペリクルの取出し方法。
2.第一の押さえ代が有するL字形状の最も長い辺が20mm以上であり、枠体の辺に対して垂直または鈍角に突出していることを特徴とする上記1に記載の方法。
3.保護フィルムが、枠体より外側に突出した第二の押さえ代を有しており、該第二の押さえ代は該枠体の頂点を含まない一辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿った矩形状を有していることを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の方法。
4.第一の押さえ代が枠体の四隅のそれぞれに存在すると共に、第二の押さえ代が枠体の4辺のそれぞれに1つ以上ずつ存在することを特徴とする上記3に記載の方法。
5.第二の押さえ代が枠体の4辺の中央部には存在しないことを特徴とする上記3または4に記載の方法。
6.第一の押さえ代と第二の押さえ代の両方がトレイに固定されていることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の方法。
図1は本発明に係る大型ペリクル構造体を収納容器に固定した大型ペリクル収納構造体が表されており、実際に大型ペリクルが収納容器に収納された状態の縦断面説明図である。図2は、図1の大型ペリクル構造体が収納されている要部の拡大説明図である。図3〜図7は、図1の大型ペリクルに用いられる本発明に係る保護フィルムの形態例を示す平面図である。
図1及び図2において、大型ペリクルAは、ペリクル膜3の面積が10000cm2以上の大型ペリクルである。本発明は、ペリクル膜3の面積が大きければ大きいほど顕著な効果があらわれ、特に15000cm2以上であるとより顕著な効果が現れる。
大型ペリクルAは、枠体1と、枠体1の上縁面に接着されたペリクル膜3と、枠体1の下縁面に塗着された粘着材層4とからなる。ここでペリクル膜3は枠体1の上縁面に接着剤層2を介して接着されている。大型ペリクル構造体とは、大型ペリクルAの枠体1の下縁面に、粘着材層4を介して保護フィルム5が粘着された構造体のことを意味する。なお、ペリクル膜3の面積は、枠体1の外形面積に相当する。
ここでいう粘着材としては、公知のものを用いることが可能である。一般的には、粘着材として、スチレンエチレンブチレンスチレン系、スチレンエチレンプロピレンスチレン系、もしくはオレフィン系等のホットメルト粘着材、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材、または発泡フィルム等の基材からなる両面粘着テープを用いることが可能である。ホットメルト粘着材に関しては、通常のシリンジ等を用いる押出し塗布によって枠体1に配置することができる。さらに、押出し塗布後、熱、圧力をかけながら平面板のような成型盤でプレス等を行っても良い。
本発明では、保護フィルム5は、枠体1より外側に突出させた、該枠体の一頂点を含む二辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿ったL字形状を有していることを特徴とする第一の押さえ代5bを有する。また、該第一の押さえ代に加えて、枠体1より外側に突出させた、該枠体の頂点を含まない一辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿った矩形状を有していることを特徴とする第二の押さえ代5aを有することがより好ましい。
該押さえ代は、大型ペリクル構造体をトレイ6に固定するのに使用される。固定方法としては、例えば、押さえ代とトレイに孔をあけてネジ止めにより固定する方法、トレイと押さえ代の間を両面粘着テープで固定する方法、または図1及び図2に記載のように押さえ代の上から粘着テープ9でトレイに固定する方法が考えられるが、押さえ代の上から粘着テープ9でトレイに固定する方法が最も容易であり好ましい。
大型ペリクル構造体には、前述したように収納・移送・保管に際し、収納容器Bに確実に保持固定されており、かつ、収納容器から大型ペリクルAを取り出す時に大型ペリクルAに変形・歪が生じることなく取り出しやすいことが要求される。これらの点を満足するには、保護フィルム5の枠体1より外側に突出させた押さえ代5a、5bを利用して粘着テープ9を介して収納容器Bのトレイ6上に固定した時の第一の押さえ代5bがL字形状を有していることにより取り出し時の保護フィルムの脱落が防止される。そしてこのような条件を満足する大型ペリクル構造体は、これまで本発明者らが試行した収納・移送・保管の工程においてペリクルが脱落することがなく、自動取り出し機による大型ペリクルAの取り出しの際に保護フィルムが粘着テープによるトレイへの固定から外れることなく容易に取り出すことが達成できた。
特に第一の押さえ代5bが有するL字形状の最も長い辺が20mm以上であり、かつ該矩形の辺に対して垂直(図3(a)、3(c)等)または鈍角(図3(b)等)に突出していると粘着テープで固定された保護フィルムがずれたり固定から外れることが少なく、より効果的に大型ペリクルAを取り出すことが可能となる。第一の押さえ代5bが有するL字形状の最も長い辺の長さが20mm未満であったり、該矩形の辺に対して鋭角に突出していたりする場合は、大型ペリクルAを取り出す際に保護フィルムにかかる荷重により粘着テープによる固定からずれたり外れたりするために効率的に取り出すことが出来なかったり、自動取り出し機による大型ペリクルAの取り出し自体が出来なくなってしまう場合もある。なお、第一の押さえ代5bが有するL字形状の最も長い辺の長さとは、該L字形状部分を6辺形とみなした時の最も長い辺の長さのことをいい、図2(c)及び図2(d)のLで表される長さをいう。
上記のように、大型ペリクル構造体の保護フィルム5の形状はマスク等の様々な形状、収納容器の様々な態様に対応することは可能であるが、本発明では、矩形の枠体を用いた場合、以下に説明する条件を満足すると、より効果を奏するので、以下に説明する。
本発明では、大型ペリクル構造体の枠体1に矩形の枠体を用いた場合、押さえ代5bが、該枠体の形状に沿ったL字形状を有することによって、保持固定に関して効果を奏する。
図7(a)に示すように、矩形の四隅にある第一の押さえ代5bが枠体の形状に沿ったL字形状をしていずに矩形の辺に対して鋭角に突出していると、該第一の押さえ代でトレイに固定した大型ペリクルAを取り出す際に、保護フィルムのトレイに固定されている面積が少なくかつ枠体の四隅に集中的にかかる荷重の方向に対して引っかかりが無くなるために、該保護フィルムがトレイ固定からずれたり外れて大型ペリクルAに粘着したまま取り出されたりしやすくなる。
一方、図3〜6に示すように、第一の押さえ代5bが枠体の形状に沿ったL字形状を有する場合は、四隅において保護フィルムをトレイに固定する面積を大きくできるため、大型ペリクル収納構造体より大型ペリクルAを取り出す時に枠体の四隅にかかる荷重に耐えることが可能になる。さらに、第一の押さえ代が、枠体の辺に対して直角または鈍角に突出している場合、大型ペリクルA取り出し時に枠体の四隅に集中的にかかる荷重方向に対して該第一の押さえ代のエッジが引っかかるためにトレイ固定からずれたり外れたりすることが少なくなる。更に、第一の押さえ代の矩形頂点からの長さが長いほどトレイに固定できる第一の押さえ代の面積が大きくなるために効果的である。しかしながら、第一の押さえ代の長さが極端に長すぎる場合や第二の押さえ代と一体化してしまうと自動取り出し機による大型ペリクルA取り出しの際に保護フィルムのうねりが無くなるために荷重を緩衝することが出来なくなり、剥離荷重に達した瞬間に一気に大型ペリクルAが外れてしまうために大型ペリクルAに大きな衝撃が加わり膜当たりや発塵が生じることがある。従って、第一の押さえ代の長さは20mm以上60mm以下であることがより好ましい。
以上のことから、本発明の大型ペリクル構造体では、矩形の枠体1を用いた場合には十分な大型ペリクル構造体の保持・固定を達成するには、第二の押さえ代5aは、四辺中少なくとも一辺に配置されている押さえ代が、矩形を構成する四隅の頂点Cから30mm以上70mm以内の位置を始点Xとして配置されていることが好ましい。さらに四隅の頂点Cから、いずれの辺においても30mm以上70mm以下の位置が始点Xになることが好ましい。
一方、図4に示すように、辺部11の中央付近に第二の押さえ代が存在せず、辺部11の中央付近ではなく四隅と中央付近の間に存在する(例えば頂点から30mm以上70mm以下離れた箇所)第二の押さえ代5aを、粘着テープを介して収納容器のトレイの表面に粘着固定している場合を考える。保護フィルム5をトレイに貼着させた状態で保護フィルム5と粘着材の界面から大型ペリクルAを取り出す際、枠体の辺の四隅付近は中央部付近よりも剛性が高いため、保護フィルム5と粘着材層の界面を剥離させるための力により、剥離が開始される前に、枠体の辺の四隅付近の歪み撓みは生じにくい。このような保護フィルム5として、例えば、図4の長辺及び短辺、図5の長辺、並びに図6の短辺は辺部11の中央付近に押さえ代が存在しないより好ましい形態例である。
ここで本実施形態に係る保護フィルムは、四辺中少なくとも一辺の押さえ代の終点が始点と辺の中央部までの間に配置されている形態を含むが、四辺全ての押さえ代の終点が始点と辺の中央部までの間に配置されている形態、すなわち、全ての辺において中央付近に押さえ代が存在しない形態(例えば図4示される形態)がより好ましい。大型ペリクル構造体の保持・固定具合及び、大型ペリクル収納構造体からの大型ペリクルの取り外し性について方向依存性が少なくなり、取り扱い性が向上する。
即ち、本発明では、矩形のペリクルの場合、保護フィルムの第一の押さえ代が枠体の形状に沿ったL字形状であり、かつ矩形の辺に対して直角または鈍角に突出している場合にはペリクルの取り出しやすさに抗力を示し、第二の押さえ代の始点が頂点以外にあり、特に、頂点近傍(頂点から30mm以上70mm以下)にある場合には、保持・固定に効力を示すので最も好ましい。
図1及び図2(a)及び(b)においては、大型ペリクルAは、既に詳述したようにペリクル膜3の面積が10000cm2以上、特に15000cm2以上の大型ペリクルであり、枠体1と、枠体1の上縁面に接着剤層2を会して接着されたペリクル膜3と、枠体1の下縁面に塗着された粘着材層4と、粘着材層4を保護するために粘着材層4に粘着された保護フィルム5から構成されている。
上述の態様においては、枠体1の下縁面に粘着材4を塗着したが、予め粘着材4と保護フィルム5が層状に形成された層状粘着材を使用する場合には、単に枠体1の下縁面に該層状粘着材を積層して粘着するのみでよい。しかし、本明細書においては、このような場合も含めて単に「塗着する」と称する。次に、前述のように構成された大型ペリクルAは、トレイ6と蓋7とからなる収納容器Bに収納されている。蓋7とトレイ6との嵌合面は全周にわたり、テープ8でシールするか、または、トレイ6と蓋7とのコーナー部にクリップを取り付けることで固定してもよい。
大型ペリクルAの保護フィルム5の外周縁の外側には粘着テープ9によってトレイ6の表面に粘着固定される第一の押さえ代5bが突設されている。この押さえ代5bの寸法は、本発明者等が種々の実験を重ねた結果、長さLが20mm以上でであることが好ましく、さらに、図2(c)で示す幅wが6mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましいことが明らかになった。このような寸法を持った押さえ代5bは粘着テープ9を介してトレイ6の表面に安定した状態で容易に粘着固定することができた。
また、大型ペリクルAの保護フィルム5の外周縁の外側には粘着テープ9によってトレイ6の表面に粘着固定される第二の押さえ代5aが突設されている。この押さえ代5aの寸法は、本発明者等が種々の実験を重ねた結果、長さL=20〜60mmで、さらに、図2(b)で示す幅wが6mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましいことが明らかになった。このような寸法を持った押さえ代5aは粘着テープ9を介してトレイ6の表面に安定した状態で容易に粘着固定することができた。
上述した態様の大型ペリクル収納構造体においては、大型ペリクルAの枠体1の外方に突出する保護フィルム5の柔軟性を有する押さえ代5a,5bを、柔軟性に富む粘着テープ9を介して収納容器Bのトレイ6の表面に粘着固定するので、仮に、収納容器Bのトレイ6の成形精度が十分でなく、或いは、トレイ6に反りが生じていても、これらの問題に関係なく、大型ペリクル構造体をトレイ6に安定した状態で簡単に固定することができる。
尚、粘着テープ9は押さえ代5a、5b全面を覆うように貼着されることが好ましいが、粘着固定の効果が得られるなら、押さえ代5aの幅方向あるいは長さ方向に対し部分的に覆う態様でもよい。
大型ペリクルAの第1の取り出し方法は、特許文献2に記載の方法、つまり、粘着材層と保護フィルムとの界面で剥離させる方法である。保護フィルムは、トレイに固定されたままとなるので、後で必要に応じてトレイから除去する。
本発明に用いられる保護フィルム5の材質としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂等が使用される。また、保護フィルムの厚みとしては、好ましくは30μm〜500μmのものが使用される。
本発明に用いられる収納容器Bの材質は、ポリエチレンテレフタレート樹脂や、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂が使用できる。また、帯電防止タイプの樹脂を用いてもよい。さらに、アルミニウムやその合金、例えばジュラルミン、または鉄やその合金、例えばステンレス等のペリクル収納容器に用いられているものであれば金属材料も使用できる。これら金属材料を用いた収納容器の場合は、塗装等の表面処理されたものであってもかまわない。特に、アウトガスの発生量が少ないものを使用することが好ましい。
また、本発明に用いられる粘着テープ9の基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルや不織布などが使用できる。また、粘着テープの糊としては、例えば、アクリル系のものやポリビニルアルコール等を使用することができる。さらに、粘着テープ9としては、アウトガスの発生量が少ないものが好ましい。また、帯電防止処理を施したものでもよい。
図8(a)に示すように辺に対して垂直に突出した形状の第一の押さえ代をもつ保護フィルムのサンプルを作成し、該第一の押さえ代を完全に覆うようにABS樹脂製の平板上に幅15mmの粘着テープで固定して、引き抜き強度を測定した。
図8(b)に示すように辺に対して鈍角に突出した形状の第一の押さえ代をもつ保護フィルムのサンプルを作成し、該第一の押さえ代を完全に覆うようにABS樹脂製の平板上に幅15mmの粘着テープで固定して、引き抜き強度を測定した。
図8(c)に示すように辺に対して鋭角に突出した形状の押さえ代をもつ保護フィルムのサンプルを作成し、該押さえ代を完全に覆うように同様にABS樹脂製の平板上に幅15mmの粘着テープで固定して、引き抜き強度を測定した。
以下表1に参考例1−3の引き抜き強度の測定結果を示す。引き抜き強度測定は、島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて0.5mm/minの速度で図中矢印方向への引き抜きながら測定した。
外形寸法が1392mm×1177mmの矩形で、幅12mmのアルミニウム合金製の枠体の、上縁面にセルロースからなるペリクル膜を接着し、下縁面に粘着材を塗布した大型ペリクルを準備した。
上記枠体と同じ外形寸法であり、該枠体の四隅に幅10mm×長さ40mmのL字形状で辺に対して垂直に突出させた第一の押さえ代を有し、枠体の各辺の四隅から60mmの位置を始点として、寸法が幅10mm×長さ450mmの矩形で辺に対し垂直に突出させた第二の押さえ代を2箇所ずつ(4辺あわせて8箇所)設けた保護フィルム5(図4(a)に類似する形状)を準備して、上記大型ペリクルの粘着材層に貼り付けて、大型ペリクル構造体を得た。
上記大型ペリクル構造体を、ABS樹脂材で真空成形された収納容器Bのトレイ6の上に搭載し、前記押さえ代5aと5bを粘着テープ9(テープサイズ:長辺15mm×940mm、短辺15mm×790mm、四隅15mm×60mm)を介してトレイ6に粘着固定した後で、該トレイ6上に蓋7を被蓋し大型ペリクル収納構造体を得た。さらに、トレイ6と蓋7との外周部にテープ8を取り付けて両者を固定した。
外形寸法が1392mm×1177mmであり、両四隅から60mmの位置を始点として、寸法がW10mm×L450mmの押さえ代5bを2箇所にし、保護フィルム5の四隅の頂点にL字形状の第一の押さえ代5aを頂点からW10mm×L40mmの辺に対して120°に突出させた保護フィルム5(例えば図4(b)に類似する形状)を粘着させた大型ペリクルAを、ABS樹脂材で真空成形された収納容器Bのトレイ6の上に搭載し、前記押さえ代5aと5bを粘着テープ9(テープサイズ:長辺15mm×940mm、短辺15mm×790mm、四隅15mm×60mm)を介してトレイ6に粘着固定した後で、該トレイ6上に蓋7を被蓋し、これらのトレイ6と蓋7との外周部にテープ8を取り付けて両者を固定した。
外形寸法が1392mm×1177mmであり、両四隅から60mmの位置を始点として、寸法がW10mm×L450mmの押さえ代5bを2箇所にし、保護フィルム5の四隅の頂点に第一の押さえ代5a(W10mm×L20mm)を突出させた保護フィルム5(例えば図4に類似する形状で第一の押さえ代5aが図8(c)に類似する構造)を粘着させた大型ペリクルAを、ABS樹脂材で真空成形された収納容器Bのトレイ6の上に搭載し、前記押さえ代5aと5bを粘着テープ9(テープサイズ:長辺15mm×940mm、短辺15mm×790mm、四隅15mm×60mm)を介してトレイ6に粘着固定した後で、該トレイ6上に蓋7を被蓋し、これらのトレイ6と蓋7との外周部にテープ8を取り付けて両者を固定した。
以下の表2に上記実施例と、比較例についての評価結果を示す。取り出し試験では、レーザーテック株式会社製のペリクル検査・貼り付けシステム(製品名:51PA)を用いた。取り出し易さでは、第一の押さえ代5bが粘着テープから抜け落ちることなく、取り出し動作開始から3秒未満に保護フィルムと粘着材の界面が剥がれ始め、その後、剥がれが進行する場合を「○」、取り出しの際、第一の押さえ代5aがずれたり脱落してしまい実用上問題である場合を「×」で示す。
B 収納容器
1 枠体
2 接着剤層
3 ペリクル膜
4 粘着材層
5 保護フィルム
5a 第二の押さえ代
5b 第一の押さえ代
6 トレイ
7 蓋
8 テープ
9 粘着テープ
10 剥がし代
11 辺部
X 始点
Y 終点
Z 辺の中央部
W 押さえ代の幅
L 押さえ代の長さ
C 四隅の頂点
Claims (4)
- 枠体と、該枠体の上縁面に接着されたペリクル膜と、該枠体の下縁面に塗着された粘着材からなる粘着材層と、該粘着材層に粘着された保護フィルムからなり、該ペリクル膜が面積10000cm2以上の大型ペリクル構造体であって、枠体が矩形の形状を有し、保護フィルムが該枠体より外側に突出した第一の押さえ代を有しており、該第一の押さえ代は該枠体の一頂点を含む二辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿ったL字形状を有していることを特徴とする大型ペリクル構造体を、
トレイと蓋とからなるペリクル収納容器に収納した大型ペリクル収納構造体であって、少なくとも前記第一のL字形状を有する押さえ代のそれぞれ2辺に沿って粘着テープでトレイに固定されている大型ペリクル収納構造体から、
前記保護フィルムをトレイに固定したまま粘着材層と保護フィルムとの界面で剥離させる工程を含む、
収納容器からの大型ペリクルの取出し方法であって、
保護フィルムが、枠体より外側に突出した第二の押さえ代を有しており、該第二の押さえ代は該枠体の頂点を含まない一辺上に位置するとともに該枠体の形状に沿った矩形状を有していることを特徴とし、
該第二の押さえ代が枠体の4辺の中央部には存在しないことを特徴とする、前記方法。 - 前記第一の押さえ代が有するL字形状の最も長い辺が20mm以上であり、枠体の辺に対して垂直または鈍角に突出していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記第一の押さえ代が枠体の四隅のそれぞれに存在すると共に、前記第二の押さえ代が枠体の4辺のそれぞれに1つ以上ずつ存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記第一の押さえ代と前記第二の押さえ代の両方がトレイに固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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