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JP5641741B2 - 曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板 - Google Patents

曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、自動車,建築,電気機器等の部材として有用な、耐食性、曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れる高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板に関する
Zn−Al−Mg系めっき鋼板は優れた耐食性を有するため、自動車,建築,電気機器を始めとする分野において使用量が増加している。このような用途では、必要形状に成形加工して使用されることから,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要である。
特に、自動車用の分野では、衝突安全性の向上や軽量化による燃費向上の観点から高強度化が求められており、780MPa以上の高強度鋼板のニーズも高まっている。
鋼板においては、一般的に、高強度化するにつれて加工性が低下する傾向にある。このため、高強度鋼板の適用範囲を拡大するにあたっては、加工性が良好な高強度鋼板を製造することが必要である。
さらに、自動車部材や建材をはじめとする構造部材は、めっき鋼板を溶接して組み立てられる場合が多い。この場合、溶接時にめっき層が鋼素地の一部とともに溶融する。一般的な亜鉛めっき鋼板に比べ、Zn−Al−Mg系めっき鋼板を使用した場合、溶接熱影響部に粒界割れを生じる場合がある。この粒界割れは溶接時の加熱・冷却に伴う鋼の膨張・収縮によって生じる引張応力に起因するもので、溶融金属脆化割れと呼ばれる現象であり、Zn−Al−Mg系めっきの成分が、一般のZnめっきの場合よりも溶融金属脆化割れの感受性を増大させているものと考えられる。
例えば、特許文献1の、Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造に比べ、めっき浴温が低くかつ合金化処理が不要なため、単純なC−Si−Mn系の鋼成分であってもフェライト+マルテンサイトを主組織とする高強度鋼板が得られるとしているが、フェライトとマルテンサイトの強度差が大きすぎるため、曲げ性に劣る問題があった。また、同時に耐溶融金属脆化割れを抑制する方法に関しては、何の知見も開示されていない。
特許文献2、3では、主に溶融めっきによる耐食性の改善と、Ti,B,CrおよびNb等による溶接時の溶融金属脆化割れの抑制を目的としたZn−Al−Mg系溶融めっき鋼板が提案されている。
特開2006−097063号公報 特開2003−003238号公報 特開2008−184685号公報
前記各特許文献では、個別に耐溶融金属脆化特性の改善方策や、フェライト+マルテンサイトを主組織とする高強度鋼板の製造方法に関する知見は得られるものの、780MPa以上の高強度を有し、曲げ性および耐溶融金属脆化特性のいずれにも優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板に関する知見は得られていない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、780MPa以上の引張強さを呈するZn−Al−Mg系めっき鋼板であっても、鋼成分と組織を細かく調整することにより曲げ性および耐溶融金属脆化特性のいずれにも優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明の曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、その目的を達成するため、C:0.05〜0.18質量%、Si:0.1〜0.8質量%、Mn:1.5〜2.3質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、B:0.0005〜0.005質量%、Ti:0.01〜0.10質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、主相としてのフェライトと第二相としてマルテンサイトまたはマルテンサイトと3%以下のベイナイトからなり、しかも、前記フェライトが8.0μm以下の平均粒径を、前記マルテンサイトが5.0μm以下の平均粒径と0.7以上の平均アスペクト比、マルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトの面積率が15%以上45%未満の金属組織を備え、圧延方向板厚断面の、板厚1/4線上の硬さの最大値と最小値の差を硬さ変動としたとき、40HV以下のビッカース硬さの変動、および780MPa以上の引張強さを呈する鋼を下地鋼板としていることを特徴とする。
成分組成としては、さらに、Nb:0.01〜0.10質量%、Cr:0.01〜1.0質量%、Mo:0.01〜0.5質量%の1種または2種以上を含むものであってもよい。
前記主相としてのフェライトが60%以上75%未満、第2相としてのとしてマルテンサイトまたはマルテンサイトと3%以下のベイナイトが25%以上40%未満の割合で占めているものが好ましい。
本発明によれば、成分組成および金属組織を細かく設定したことにより、780MPa以上の引張強さを呈する高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板であっても、ビッカース硬さの変動を小さくすることができて曲げ性を優れたものとするとともに耐溶融金属脆化特性をも優れた鋼板となっている。
したがって、本発明により、ピラー、ロッカー、メンバー等、特性の優れた自動車用部品が、簡便な曲げ加工を施すことにより低コストで提供できることになる。
ボス溶接試験材の形状を説明する斜視図 ボス溶接試験材を作製する手順を説明する断面図 板厚方向におけるビッカース硬さの変動を示す図
780MPaを超えるような高強度を呈するZn−Al−Mg系めっき鋼板を得るには、下地鋼板として、主相フェライトに副相マルテンサイトを配したDual Phase組織を有する、いわゆるDP鋼板を用いることが有効である。しかしながら、DP鋼板は一般的には曲げ性が悪いために、曲げ加工が施されて用いられる部材への適用が進んでいない。また、Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、溶接接合して用いられる場合に溶融金属脆化割れを起こすことがある。
そこで、本発明者らは、DP鋼板を下地鋼板としたZn−Al−Mg系めっき鋼板の自動車分野や建材分野への利用拡大のために、曲げ加工性と耐溶融金属脆化特性の向上策について鋭意検討を重ね、本発明に到達した。
以下に、その詳細を説明する。
DP鋼板は、主相フェライトに副相としてマルテンサイトが分散した複合組織を有する鋼板であり、軟質なフェライトを有するが故に延性に優れている。そして、マルテンサイトが材料の強度を高めている。しかしながら、フェライトとマルテンサイトの硬度差が大きいために変形能に差異があり、一方向への変形を行おうとすると2相の境界部に亀裂が発生するため、その結果として曲げ加工性が劣ることになる。併せてZn−Al−Mg系めっきを施した鋼板にあっては溶融金属脆化が起こりやすくなっている。
そこで、本発明では、Zn−Al−Mg系めっき鋼板における曲げ加工性および耐溶融金属脆化特性の向上策として、下地鋼の成分組成、特にTi,B等の含有量を細かく調整して耐溶融金属脆化特性を高めるとともに、下地鋼の組織の均一・微細化により2相の境界部での亀裂発生を抑制するためにフェライトおよびマルテンサイト粒径を細かく、かつマルテンサイトの形状を等軸状にすることにした。具体的には、DP鋼板を構成する副相としてマルテンサイトを、5.0μm以下の平均粒径と0.7以上、好ましくは0.8〜1.0の平均アスペクト比を有するものとした。
鋼板全体としては、C:0.05〜0.18質量%、Si:0.1〜0.8質量%、Mn:1.5〜2.3質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、B:0.0005〜0.005質量%、Ti:0.01〜0.10質量%、さらに必要に応じてNb:0.01〜0.10質量%、Cr:0.01〜1.0質量%、Mo:0.01〜1.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するDP鋼板であって、主相としてのフェライトと第二相としてマルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトからなり、しかも、前記フェライトが8.0μm以下の平均粒径を、前記マルテンサイトが5.0μm以下の平均粒径と0.7以上の平均アスペクト比、マルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトの面積率が15%以上45%未満の金属組織を備えたものとした。
このような、成分組成、金属組織とすることにより、ビッカースの硬さ変動が40Hv以下の均一な組織とすることができ、曲げ加工性と耐溶融金属脆化特性のいずれにも優れた高強度Zn−Al−Mg系めっき鋼板が得られる。
本発明鋼板を構成する各要件の限定理由について説明する。まず、成分組成から説明する。なお、以下、組成における質量%は単に%と記す。
C:0.05〜0.18%
Cは鋼板の高強度化に必要不可欠な元素である。含有量が0.05%未満では、780MPa以上の引張強度を得るのが困難である。ただし、0.18%を超える添加は、組織の不均一性が顕著となり、曲げ性が劣化する。そのため、Cは0.05〜0.18%の範囲とする。
Si:0.1〜0.8%
Siは曲げ性をあまり劣化させることなく、強度向上に寄与する元素であり、本発明では0.1%以上のSi添加が必要となる。しかし、過剰に添加すると、めっきラインでの加熱時に酸化物を形成し、めっき性を劣化させるため、Si量は0.1〜0.8%とする。
Mn:1.5〜2.3%
Mnはオーステナイトを安定化させるとともに、加熱後の冷却時にパーライトが生成するのを抑制することで、マルテンサイトの生成に寄与する。含有量が1.5%未満では、780MPa以上の高強度を得るために必要なマルテンサイト量が確保できない。ただし、2.3%を超えるとバンド組織が顕著となり、不均一な組織となるため、曲げ性が劣化する。そのため、Mnは1.5〜2.3%の範囲とする。
P:0.05%以下
Pは不可避的不純物元素であるが、過剰にPが含まれると溶接性等が劣化するため、0.05%以下とする。
S:0.01%以下
SはMnS等の硫化物として存在し、多量に存在すると曲げ性が劣化する。そのため、S量は出来るだけ低い方が望ましいが、0.01%以下であれば、曲げ性に及ぼす影響は小さい。
B:0.0005〜0.005%
Bは、高温加熱時のオーステナイト粒界に偏析して耐溶融金属脆化特性の改善に有効な元素である。また、オーステナイトからフェライトへの変態を遅らせ、硬質なマルテンサイト組織を得るのにも有効に作用する。0.01%以上のTi添加を前提としている本願発明では、Bによる前記の効果を得るためには少なくとも0.0005%の添加が必要である。しかし、0.005%を超えて添加してもその効果が飽和するとともに、返って製造コストの上昇を招く。したがって、本発明では、B:0.0005〜0.005%に限定する。
Ti:0.01〜0.10%
Tiは組織の微細化によって組織の均一性を向上させるとともに、炭化物の析出強化により、曲げ性を劣化させることなく、強度向上に寄与する元素である。組織微細化により、曲げ性を向上させるには、0.01%以上の添加が必要である。ただし、0.10%を超えて添加すると再結晶温度が著しく上昇するため、0.01〜0.10%とする。
Nb:0.01〜0.10%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜0.5%、
Nb,CrおよびMoもBと同様に高温加熱時のオーステナイト粒界に偏析して耐溶融金属脆化特性の改善に有効な元素である。この効果を得るためには、単独添加では、Nb:0.01%以上、Cr:0.01%以上、Mo:0.01%以上が必要である。しかし、Nb:0.10%、Cr:1.0%およびMo:0.5%を超えて添加してもその改善効果が飽和するとともに返って製造コストの上昇を招く。なお、2種以上を複合添加してもその効果は妨げられることなく、同様な効果が得られるが、2種以上を複合添加する場合は、製造コストの観点から、合計で0.5%以下とすることが望ましい。したがって、本発明では、Nb:0.01〜0.10%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜0.5%の1種または2種以上を添加する。なお、CrおよびMoは、オーステナイトからフェライトへの変態を抑制する作用も有するため、マルテンサイト組織を安定して得るのにも有効である。しかし、製造コストの上昇を招くので、本発明では前記の耐溶融金属脆化特性を考慮し、必要に応じて選択的に添加されるものである。
続いて金属組織について説明する。
本発明の高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、主相フェライトに第二相としてマルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトが分散した複合組織を持つDP鋼板を下地とするものである。
下地鋼板の主相フェライトに分散する第二相としてのマルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトは、合計で15%以上45%未満とする。15%に満たないと780MPa以上の引張強さは得られない。逆に45%以上になると硬くなりすぎて加工し難くなる。好ましくは25〜40%の範囲である。
なお、第二相としてはマルテンサイトのみが好ましいが、部分的にベイナイトが分散していても良い。
フェライトの平均粒径:8μm以下、マルテンサイトの平均粒径:5μm以下
本発明では、組織を微細にすることにより曲げ性を向上させている。フェライトおよびマルテンサイトの平均粒径が、それぞれ8μmおよび5μmを超える程に大きくなると、不均一組織となりやすく、曲げ性が劣化する。
マルテンサイトの平均アスペクト比:0.7以上
本発明では、組織を微細にすることの他に、マルテンサイトを丸くしている。マルテンサイトのアスペクト比(短軸/長軸)は曲げ性と関係があり、アスペクト比が小さいマルテンサイトが増えると、組織の不均一性が増し、曲げ性は劣化する。そのため、0.7以上とする。
以上のような成分組成を具備し、またその金属組織を、残留オーステナイトのない主相としてのフェライトと第二相としてのマルテンサイト、またはマルテンサイトとベイナイトからなるものとすることにより、780MPa以上の引張強さとビッカース硬さの変動を40HV以下に抑えることができる。
なお、ビッカース硬さの変動を40HV以下に抑えることにより、軟質部への変形の集中が抑制されて曲げ性が向上する。
最後に、本発明に係る高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法について簡単に説明する。
上記の本発明成分からなる鋼を、転炉、電気炉等の通常の方法によって溶製し、成分調整を行った後、通常の鋳造工程、必要に応じて分塊圧延工程を経た後、熱延と酸洗、その後の冷延と焼鈍を行い、その後に溶融Zn−Al−Mg系のめっき処理を施せば足りる。
冷延板焼鈍は溶融めっきラインで行い、所定の温度に所定時間加熱して所定の冷却速度で冷却した後、連続して溶融Zn−Al−Mg系めっき浴に浸漬して溶融めっきを施す。
熱延およびその後の酸洗工程までには格段の注意点はない。従前どおり、熱延前の加熱は、炭化物がマトリックス中に十分に固溶されるような温度とするべきである。
めっきラインでの加熱温度:730〜780℃
加熱温度が730℃に満たないと、再結晶が完了せず未再結晶組織が残存するため、良好な曲げ性が得られない。780℃を超えると組織が粗大化し、曲げ性が劣化するので、730〜780℃が好ましい。
加熱後の冷却速度:5℃/s以上
加熱後の冷却速度が5℃/s未満では、一部パーライトが生成し、780MPa以上の高強度を得ることが困難となる。また、フェライト粒径の微細化の点からも、冷却速度は5℃/s以上が好ましい。本発明では、所定のTiや必要に応じてNbを含有していることにより、加熱後の冷却速度をこのように選定することでフェライトの平均粒径が8μm以下となる。
その後、従前どおり、溶融Zn−Al−Mg系めっき浴に浸漬して溶融Zn−Al−Mg系めっきを施す。
表1に示す化学組成を有するスラブを加熱温度:1250℃、仕上げ圧延温度:880℃にて熱間圧延を行った後、550℃にて巻取り、板厚3.5mmの熱延鋼板を得た。
熱延鋼板を酸洗後、板厚1.4mm(圧下率:60%)まで冷間圧延し、冷延鋼板を得た後、連続溶融Zn−Al−Mg系めっきラインにて、ラインスピード:110m/min、加熱温度:730〜780℃、保持時間:35秒で焼鈍、冷却速度:10℃/sで冷却した後、浴温410℃のZn−Al−Mg系合金めっき浴に浸漬し、Zn−Al−Mg系めっき鋼板を得た。めっき付着量は、片面あたり90g/mとした。
めっき層の組成は、次の通りである。Al:6%、Mg:3%、Ti:0.002%、B:0.0005%、Si:0.01%、Fe:0.1%、Zn:残部
Figure 0005641741
得られた高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板について、組織観察、硬さ試験、引張試験、曲げ試験、溶融金属脆化特性を調査した。
金属組織は、圧延方向の板厚断面を走査型電子顕微鏡にて観察し、JIS
G 0552に準拠してフェライトおよびマルテンサイトの平均粒径を求めた。
また、各めっき鋼板の下地鋼板の金属組織を走査電子顕微鏡にて観察し、1000倍で10視野の画像解析を行い、マルテンサイトおよびマルテンサイト+ベイナイト量、マルテンサイトの平均アスペクト比(短軸/長軸)を求めた。
それらの測定結果を表2に示す。なお、表2には示していないが、No.2のめっき鋼板ではベイナイトが観察され、その面積率は3%であった
また、マトリクス中に析出物として存在するTiやNb量の合計は0.04質量%以下であった。析出物中のTiやNb量は、マトリクスを溶解させて得た残渣中のTi、Nbを分析することによって求めた。
硬さ試験は、荷重を100gfとしたマイクロビッカース硬さ試験機で、圧延方向の板厚断面において、板厚1/4線上を150μmの間隔で30点測定を行い、硬度の分布を測定した。
得られた硬さの最大値と最小値の差を硬さ変動とした。硬さ変動が40HV以下を合格とした。
引張試験は、製造しためっき鋼板から圧延方向と平行にJIS5号試験片を切り出し、JIS
Z 2241に準拠して、常温での引張試験に供した。
曲げ試験は、圧延方向と直角方向を長手方向とする曲げ試験片を採取し、90°のVブロック曲げ試験を実施した。試験後に、曲げ部を曲げの外側から目視にて観察し、割れが認められない最小の先端Rを限界曲げRとして算出した。限界曲げRが1.0mm以下を合格とした。
溶融金属脆化特性は、次の手順により溶接試験を行って評価した。
得られためっき鋼板から100mm×75mmのサンプルを切り出し、これを溶融金属脆化に起因する最大割れ深さを評価するための試験片とした。溶接試験は、図1に示す外観のボス溶接材を作成する「ボス溶接」を行い、その溶接部断面を観察して割れの発生状況を調べた。
すなわち、試験片3の板面中央部に直径20mm×長さ25mmの棒鋼からなるボス(突起)1を垂直に立て、このボス1を試験片3にアーク溶接にて接合した。溶接ワイヤーは、YGW12を用い、溶接開始点からボスの周囲を1周させ、溶接始点を過ぎた後もさらに少し溶接を進めて溶接ビード6溶接開始点を過ぎて溶接ビードの重なり部分8ができたところで溶接を終了とした。溶接条件は、110A,21V,溶接速度0.4m/分、シールドガス:CO、シールドガス流量:20L/分とした。
これが、図1に示したボス溶接材を作成するための試験手順である。
なお、溶接に際しては、予め試験片3を拘束板4と接合しておいたものを用いた。接合体は、まず120mm×95mm×板厚4mmの拘束板4(JISに規定されるSS400材)を用意し、この板面中央部に試験片3を置き、その後、試験片3の全周を拘束板4に溶接したものである。
上記のボス溶接材の作製は、図2に示すように、この接合体(試験片3と拘束板4)を水平な実験台5の上にクランプ2にて固定し、この状態でボス溶接を行ったものである。
ボス溶接後、ボス1の中心軸を通り、かつ前記のビードの重なり合う部分8を通る切断面9で、ボス1/試験片3/拘束板4の接合体を切断し、その切断面9について顕微鏡観察を行い、試験片3に観察された割れの最大深さを測定した。最大割れ深さが0.2mm以下を合格、0.2mmを超えるものを不合格として評価した。
こうして得られた、硬さ試験結果、曲げ試験結果、引張試験結果および溶融金属脆化特性の調査結果を表3にまとめて示す。また、本発明例のNo.1と比較例のNo.19の30点の測定位置でのビッカースの硬さ変動状況を図3に示す。
本発明例のNo.1と比較例のNo.19のビッカースの硬さ変動を示した図3からも分かるように、発明例のNo.1は硬さ変動が30HV程度と小さいのに対し、比較例のNo.19は硬さ変動が60HV以上と大きく、不均一な組織となっている。
表2および表3からわかるように、本発明範囲に従う化学組成や金属組織に従うZn−Al−Mg系めっき鋼板No.1〜No.16においては、フェライトの平均粒径が8μm以下、マルテンサイトの平均粒径が5μm以下でかつマルテンサイトの平均アスペクト比が0.7以上、ビッカースの硬さ変動が40HV以下と均一微細な組織となっている。そのため、90°Vブロック曲げにおける限界曲げRも1.0mm以下と優れた曲げ性を有している。更には、ボス溶接時の最大割れ深さはいずれも0.2mm以下の良好な値を有している。
これに対して、比較例であるNo.17〜22は鋼成分が本発明範囲から外れているため、No.17、No.18は曲げ性が悪く、No.19は曲げ性および耐溶融金属脆化特性が悪く、No.20、No.21は780MPa以上の強度を得ることができず、No.22は耐溶融金属脆化特性が悪い。
Figure 0005641741
Figure 0005641741

Claims (2)

  1. C:0.05〜0.18質量%、Si:0.1〜0.8質量%、Mn:1.5〜2.3質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、B:0.0005〜0.005質量%、Ti:0.01〜0.10質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、主相としてのフェライトと第二相としてマルテンサイトまたはマルテンサイトと3%以下のベイナイトからなり、しかも、前記フェライトが8.0μm以下の平均粒径を、前記マルテンサイトが5.0μm以下の平均粒径と0.7以上の平均アスペクト比、マルテンサイトまたはマルテンサイトとベイナイトの面積率が15%以上45%未満の金属組織を備え、圧延方向板厚断面の、板厚1/4線上の硬さの最大値と最小値の差を硬さ変動としたとき、40HV以下のビッカース硬さの変動、および780MPa以上の引張強さを呈する鋼を下地鋼板としていることを特徴とする曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れる高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
  2. さらに、Nb:0.01〜0.10質量%、Cr:0.01〜1.0質量%、Mo:0.01〜0.5質量%の1種または2種以上を含む請求項1に記載の曲げ性および耐溶融金属脆化特性に優れる高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
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