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JP5598011B2 - 熱鋼板の冷却装置および冷却方法 - Google Patents

熱鋼板の冷却装置および冷却方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱鋼板、例えば、熱間圧延された熱延鋼帯、厚板などの加熱された鋼板を上方から冷却するための冷却装置および冷却方法に関するものである。
一般に、熱延鋼帯を製造するには、図1に示すように、加熱炉1においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機2で圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基の圧延スタンドからなる連続熱間仕上圧延機3により圧延して所定の厚みの熱鋼板6となす。そして、連続熱間仕上圧延機3の出側のランナウトテーブルに設けられた冷却装置4から冷却水を供給することによって熱延鋼帯を冷却した後、巻取機5で巻き取ることにより製造される。
従来、熱延鋼帯などの熱鋼板の上面を高能率で冷却するにためには、熱鋼板の幅方向に並べられた複数の円管状の冷却ノズルから熱鋼板上に、柱状の冷却水を供給している。それにより、高い冷却速度を与えて微細な組織をつくりこみ、強度の高い熱鋼板を製造する。
鋼板の品質はこの冷却装置群における冷却により大きく変化する。熱鋼板の長手方向や幅方向で冷却能力がばらつくと、材質のばらつきが生じる。材質のばらつきを生じさせないため、熱鋼板の幅方向に均一な冷却を実現する技術が開発されてきた。
熱鋼板の冷却装置は、通常ヘッダとノズルから主要部が構成され、ノズルから冷却水を噴出して、熱鋼板を冷却しているが、熱鋼板の上面に冷却水を噴出する冷却装置においては、ノズルとして、逆U字状のものが使用されていた(後述する特許文献1の図7参照)。このタイプのノズルを備える冷却装置では、冷却水の給水停止をしても、瞬時に冷却水が止まらず、サイフォン現象によりノズルから冷却水の鋼板上への落下時間があり、このために、鋼板の幅方向や長さ方向に冷却の不均一が生じていた。
このような冷却装置を改良するために、図2に示されるような、ノズルが直管状のものを採用した冷却装置が考え出された。
図2には、冷却水源から冷却水が給水される下部ヘッダ7に山形の屋根板9を重ねて冠着し、該下部ヘッダ7の上部壁と該屋根板9とで形成される室で上部ヘッダ10を形成し、冷却水が下部ヘッダ7から上部ヘッダ10へ供給できるようになっており、該鋼板の幅方向に所定の間隔で取り付けられた複数本の直管状のノズル8が上部ヘッダ10内より下部ヘッダ7を貫通して垂下している冷却装置が示されている。冷却水源と接続されたヘッダ給水管13から下部ヘッダ7に給水された冷却水は、上部ヘッダに至り、ノズル上端からノズル内部に流入し、ノズル下端から噴出される。
しかしながら、このような従来の技術でも熱鋼板の幅方向における冷却の不均一を十分には解決できていない。以下に冷却装置における、冷却不均一のメカニズムを図2(a)、(b)に基づいて説明する。
上部ヘッダ10からノズル8上端に流入する際およびその後のノズル内で圧力損失が生じる。この圧力損失とノズル高さ分の圧力ヘッドの差によりヘッダ内のノズル入口における静圧が決定される。これを式で表すと式(1)のようになる。
Figure 0005598011
Figure 0005598011
ここで、pは静圧、λは圧力損失係数、vはノズル入口流速、vはノズル内流速、gは標準重力加速度、pはノズル長さ、ζはノズルに流入する際の圧力損失係数、λはノズル内における圧力損失係数である。またvとvには流量の保存則から式(2)に示すような関係がある。ここで、Aはスリーブ流路の断面積、Aはノズル流路の断面積である。
また、ヘッダが熱鋼板の幅方向の片側から給水を行った場合、ヘッダ内において、例えば図3に示すような鋼板の幅方向における流速が存在し、式(3)に示すベルヌイの式に従い、流速が速いほど動圧が増加し、図4に示すような鋼板の幅方向における動圧分布が生じる。
Figure 0005598011
ここで、pは全圧、ρは密度、Vはヘッダ内の熱鋼板の幅方向の流速、ρV/2が動圧である。式(3)により、静圧は図5に示すような分布になる。流量はノズル断面積とノズル内流速の積で表されるが、静圧が決まると式(1)を満たすように流量が決まる。ヘッダの最流入側の流速をVaとした場合、ヘッダの両端におけるノズルからの流量の差を平均流量で除したものは式(4)で表される。ただし、Qaveはヘッダにおいて、鋼板の幅方向に複数本設置されたノズルから噴射される平均の流量である。このδが、流量のばらつきの最大値となる。
Figure 0005598011
幅方向の均一冷却を行うためには、δを小さくする必要があるが、式(4)およびA<Aの関係から、ばらつきδの抑制にはζ(ノズルに流入する際の圧力損失係数)を大きくすることが効果的であることがわかる。そしてζを大きくするには、ノズル上端部の内径を小径化するスリーブをノズル上端部に装着してやればよい。
このノズル上端部の内径を小径化するスリーブに相当する部材であるオリフィスをノズル上端部に取り付けた冷却装置の発明は、すでに特許文献1や特許文献2に記載されている。
すなわち、特許文献1には、図2に記載されるような、屋根板を有し、上部ヘッダと下部ヘッダからなるヘッダと直管状のノズルを有する冷却装置において、ノズルの上端部にオリフィス部品を蓋着した冷却装置が記載され、この装置によれば、幅方向の流量分布を均一化することができるとされている。
また、特許文献2にも、直管状の前記ノズルをヘッダの上下に貫通させ、該ノズルの上端部にオリフィス部品を着脱可能に装着し、このノズルを下部貫通部で前記ヘッダと固着して封止すると共に、上部貫通部は前記ヘッダとの間に通水部を形成し、該通水部及び前記オリフィスの上方に水室を設けた冷却装置が記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の技術では、オリフィスを用いてヘッダ内の圧力を調整することが示唆されているだけであって、ヘッダの給水側に近いほどヘッダ内の静圧が低いことを考慮して冷却装置を設計すべきであるという知見は開示されていなかった。
したがって、特許文献1および特許文献2に開示された技術を用いて熱鋼板を冷却しても、冷却水の流量分布を幅方向において十分に均一化して冷却を行うことはできず、材質のばらつきが小さい熱鋼板を製造することができなかった。
実公昭63−44168号公報 実開平5−39709号公報
本発明は、上記に鑑み、熱鋼板の幅方向において冷却水の流量分布を十分に均一とすることができる熱鋼板の冷却装置および冷却方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために以下の手段を採用する。
(1)その一端に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって
設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面
積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却
水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する熱鋼板の冷却装置であって、該ス
リーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって段
階的に順次小径化させることを特徴とする熱鋼板の冷却装置。
(2)その両端の各々に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向に
そって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも
流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端か
ら冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する熱鋼板の冷却装置であっ
て、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの両端部の各々から中央部
に向かって段階的に順次小径化させることを特徴とする熱鋼板の冷却装置。
(3)前記スリーブの内径の値を3段階以上に設定して、鋼板の幅方向に、ヘッダの給
水側端部から他端に向かって順次小径化させることを特徴とする、(1)に記載
の熱鋼板の冷却装置。
(4)前記ノズルの内径を50mm以下、長さを1500mm以下、スリーブの内径を
20mm以下としたことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱鋼
板の冷却装置。
(5)その一端に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって
設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面
積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却
水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する冷却装置による熱鋼板の冷却方法
において、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他
端に向かって段階的に順次小径化させることにより、熱鋼板の幅方向に均一な冷
却をすることを特徴とする熱鋼板の冷却方法。
(6)その両端の各々に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向に
そって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも
流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端か
ら冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する冷却装置による熱鋼板の冷
却方法において、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの両端部の各
々から中央部に向かって段階的に順次小径化させることにより、熱鋼板の幅方向
に均一な冷却をすることを特徴とする熱鋼板の冷却方法。
(7)前記スリーブの内径の値を3段階以上に設定して、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの
給水側端部から他端に向かって順次小径化させることを特徴とする、(5)に記
載の熱鋼板の冷却方法。
(8)前記ノズルの内径を50mm以下、長さを1500mm以下、スリーブの内径を
20mm以下、ノズル1本当りの流量を10〜80L/minとしたことを特徴
とする、(5)〜(7)のいずれかに記載の熱鋼板の冷却方法。
本発明の熱鋼板の冷却装置及び冷却方法により、鋼板の幅方向で流量分布の均一性が向上して高い冷却均一性が得られ、材質のばらつきが小さく品質の高い鋼板を製造することが可能である。
熱延鋼帯の圧延ラインの概略を表す図である。 (a)および(b)は、それぞれ従来の熱鋼板の上面を冷却する冷却装 置の側面図、冷却装置の正面図である。 ヘッダ内の鋼板幅方向距離の流速分布を表す図である。 ヘッダ内の鋼板幅方向距離の動圧分布を表す図である。 ヘッダ内の鋼板幅方向距離の静圧分布を表す図である。 スリーブ内径と鋼板幅方向の流量のばらつきの関係を表す図である。 スリーブ内径とヘッダ内圧力の関係を表す図である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明の冷却装置の一実施形態を表す 側面図、正面図である。 実施例1(本発明例2と比較例1)における鋼帯幅方向の流量分布を表す 図である。 実施例1(本発明例2と比較例1)における鋼帯幅方向の巻取温度分布 を表す図である。 実施例1(本発明例2と比較例1)における鋼帯幅方向の引張強度分布 を表す図である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明の冷却装置の他の一実施形態を表 す側面図、正面図である。 (a)および(b)は、それぞれヘッダ給水管を下部ヘッダの両端に有 し、ノズル上端部にスリーブを設けない冷却装置の側面図および正面図 である。
本発明者らは、図2に記載された冷却装置のノズル上端部にノズル内径を小さくするスリーブを装着した冷却装置を使って(後述する図8に示す冷却装置を参照)、冷却水の流入口になるノズル上端部の内径を小径化するスリーブとノズル下端から熱鋼板上面へ噴出される冷却水の鋼板の幅方向の流量のばらつき等について以下の知見を得た。
スリーブ内径と流量の最大ばらつきとの関係については図6に示すように、スリーブ内径が小さいほど、流量のばらつきが小さくなる。しかし、スリーブ内径を小さくすると、ノズル内での圧力損失が大きくなるので、より高いヘッダ内圧力が必要とされる。
図7に、スリーブ内径とヘッダ内圧力(静圧)の関係を示す。実線はヘッダにおける鋼板幅方向の給水側端部〔図2(b)のX1〕の圧力、破線は給水側と反対側の端部〔図2(b)のX2〕の圧力を示す。例えば、鋼板幅方向で均一な冷却を行うために、冷却水の流量の幅方向のばらつきの目標を±3%以内とする場合、図6よりスリーブ内径は9mm以下としなければならないが、この時に必要なヘッダ内圧力は、図7より8000mmAqを超える。その場合、ヘッダへの送水には8m以上の圧力ヘッドが必要となり、冷却水供給のためのポンプの送水圧を上げなければならず、送水設備費の増大、送水ランニングコストの増大を招くのでよくない。
鋼板幅方向のヘッダ内圧力分布に応じて、スリーブの内径を複数段階で適正に変化させると、スリーブを含むノズルでの圧力損失を幅方向に変化させることができる。これによって、ヘッダ内の圧力不均一を相殺して、ノズル流出口での圧力、さらには流量を鋼板幅方向で一定にすることができる。また、ヘッダ内圧力を不必要に高くしなくて済むため、送水設備費や送水ランニングコストの低減をはかることができる。
以下、本発明の実施形態を、図8および図12に基づいて説明する。
図8には、スリーブ14以外の構成については、図2に示された装置と基本的の同じである。
すなわち、冷却水源に接続されているヘッダ給水管13から冷却水が給水される下部ヘッダ7に山形の屋根板9を重ねて冠着し、該下部ヘッダ7の上部壁と該屋根板9とで形成される室で上部ヘッダ10を形成し、冷却水が下部ヘッダ7から上部ヘッダ10へ供給できるようになっており、該鋼板の幅方向に所定の間隔で取り付けられた複数本の直管状のノズル8が上部ヘッダ10内より下部ヘッダ7を貫通して垂下している冷却装置が示されている。ヘッダ給水管13から下部ヘッダ7に給水された冷却水は、上部ヘッダに至り、ノズル上端からノズル内部に流入し、ノズル下端から噴出される。そして、ノズルの上端部にはスリーブ14が装着されている。このスリーブはノズルの上端部に着脱可能に装着することがメンテナンスを考慮すると望ましい。
このスリーブ14は、ノズル上端部の内径を小径化するものであり、特許文献1のオリフィスと同様に、冷却水流入時に圧力損失を与える作用を持つが、スリーブの流路長さにより圧力損失、さらにはヘッダ内圧力の調整機能を持たせることが可能である。図8に示されるスリーブ14の上端部にはノズル上端に係止して装着できるようにフランジ部を形成しているが、スリーブ14は、フランジ部がなくとも、ノズル上端部の内径を小さくできるものであればよい。
なお、11はノズル8の下端から噴出される冷却水であり、また、X1、X2はそれぞれヘッダの給水側端部と反対側端部を示している。
また、図12には、図8に示される冷却装置とは異なる本発明の実施形態の他の一例が示されている。すなわち、この実施形態の冷却装置では、下部ヘッダ7への給水が下部ヘッダの両端から給水されるようになっている点が図8に示される冷却装置と異なっており、ヘッダ給水管13、15から下部ヘッダ7に給水されるようになっている。この冷却装置においても、ノズルの上端部にはスリーブ14が装着されている。このスリーブはノズルの上端部に着脱可能に装着することがメンテナンスを考慮すると望ましい。
図8および図12に示される冷却装置において、ノズルの内径は50mm以下、好ましくは10〜30mm、ノズルの長さは1500mm以下、好ましくは200〜1000mm、スリーブの内径は20mm以下、好ましくは5〜15mmとするのが良い。ノズル1本当たりの流量は10〜80L/minである(Lはリットルである)。
ノズル内径が50mmより大きい場合、例えば、ノズル下端から噴射される冷却水の流量が80L/min以下では、ノズル内に水が充満せず、壁を伝う流れになり、柱状の安定した流れにならず、冷却不均一を生じる。そのため、ノズル内径を50mm以下とした。ノズル内径が10mmより小さくすると、ノズルから噴射された冷却水が細くなって落下中に破断するため、熱鋼板上に冷却水が連続的に供給されず、熱鋼板の長手方向における冷却不均一を生じる。また、ノズル内径が30mmより大きくすると、ノズルから噴射される冷却水の流量を20L/min以下にした場合、ノズル内に水が充満せず、壁を伝う流れになり、柱状の安定した流れにならず、冷却不均一を生じる。
ノズル長さが1500mmより長い場合、例えば、ノズル内径が25mmの場合、ノズルから噴射される冷却水の流量が80L/min以下では、ヘッダ内圧力のゲージ圧力を正値にすることが困難となり、鋼板の幅方向の冷却水流量のばらつきの原因となる。ノズル長さが200mmより短い場合、ノズル内で冷却水の流れが十分に整流されず噴射された後の冷却水の流れが乱れ、冷却が不安定になる恐れがある。
スリーブの内径が20mmより大きくすると、例えば、ノズル内径が30mmの場合、流量が80L/min以下では、ヘッダ内圧力のゲージ圧力を正値にすることが困難となり、鋼板幅方向の冷却水の流量ばらつきの原因となる。スリーブの内径が5mmより小さい場合、圧力損失が大きくなり、ヘッダ内圧力が増加し、そのため、ヘッダへの送水圧力が大きくなり、また、スリーブに冷却水中の異物がつまりやすくなる。スリーブの内径が15mmより大きい場合、流量が30L/min程度以下ではヘッダ内圧力のゲージ圧力を正値にすることが困難となり、鋼板幅方向の冷却水の流量ばらつきの原因となる。
そして、本発明では、熱鋼板の幅方向の冷却を均一にするために、ヘッダへの給水がヘッダのいずれか一方の端部の1個所から給水する場合は、ヘッダに設けられた複数本のノズルにおけるスリーブの内径を熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって段階的に順次小径化させるものであり、ヘッダへの給水がヘッダ両端の2個所から給水する場合は、ヘッダに設けられた複数本のノズルにおけるスリーブの内径を熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側両端部から中央部に向かって段階的に順次小径化させるものである。したがって、後者の場合、ヘッダの中央部近くに設けられたノズルのスリーブの内径は、ヘッダの両端部近くに設けられたノズルのスリーブの内径よりも小さくなっている。
なお、本発明を図8および図12に示される、上部ヘッダと下部ヘッダを有する装置に基づいて説明したが、本発明は、この装置に限られるものではなく、ヘッダに設けられるノズルが直管状である冷却装置に適用できるものである。
本発明の実施例を、図1に示す熱延鋼帯の圧延ラインにおいて、熱延鋼帯の冷却を行う場合について、冷却水の供給が、ヘッダ両端部の一方の1個所から行われる場合(実施例1)と該ヘッダの両端部の2個所から行われる場合(実施例2)とについて、本発明例と比較例を図2、図8、図12および図13に示される冷却装置に基づいて説明する。なお、図13については後述する。
図2、図8、図12および図13に示される冷却装置において、ノズル内径は20mm、ノズル長さは500mm、ノズル1本当りの流量は50L/min、熱鋼板の幅方向におけるノズルのピッチは50mm、ノズルの本数は48本である。
図2、図8、図12および図13に示す冷却設備を使って、上記の実施形態に基づいて、仕上げ板厚3.0mm、550MPaの鋼帯を製造した。仕上圧延機出側での搬送速度は鋼帯先端部で650mpm、鋼帯先端部が巻取機に到達して以降は順次速度を上げて最高800mpmまで増速した。鋼帯の仕上圧延機出側の温度は860℃で、巻取機手前の温度計の指示が500℃となるように冷却ゾーンの長さを制御した。
(実施例1)
比較例1では、図2に示される、ノズル上端部にスリーブを設置しない冷却装置で冷却を行った。比較例2では図8に示される冷却装置で冷却を行い、ノズル上端部に設置された全てのスリーブを同一内径の10mmとした。
また、本発明例1では、2段階にスリーブ内径を設定した。すなわち、図8に示される冷却装置において、ヘッダの給水側の一方の端部から給水されない側の他端に向かって、ヘッダに設けられた48本のノズルの内、鋼帯の幅方向に給水管13が設けられているヘッダの給水側端部から24本のノズルの上端部に内径10.2mmのスリーブを、残り24本のノズルの上端部に内径9.8mmのスリーブを設置した。また本発明例2では、同様に3段階にスリーブ内径を設定した。すなわち鋼帯の幅方向に給水側から16本のノズルに内径10.2mmのスリーブを、次の16本のノズルに内径10mmのスリーブを、残り16本のノズルに内径9.8mmのスリーブを設置した。スリーブの流路長さはすべて30mmである。
本発明例2と比較例1については、図9には鋼帯幅方向の流量分布の結果を、図10には鋼帯幅方向の巻取温度分布の結果を、また図11には冷却後の鋼帯幅方向の引張強度の結果をそれぞれ示した。ここで、○印は本発明例2の、●印は比較例1の結果をそれぞれ示している。
比較例1では、図9に示すように、給水側からの幅方向距離が長くなるほど冷却水の流量が増大し、流量のばらつき(最大値と最小値の差)△Qは、流量目標値の50L/minに対して±45.6%のばらつきがあった。このため、巻取温度のばらつき△Tは、図10に示すように目標値の640℃に対して±70.9℃となり、引張強度のばらつき△TSは、図11に示すように目標の450MPaに対して±69.5MPaとなった。
また、比較例2では、流量のばらつき△Qは±5.2%、巻取温度のばらつき△Tは±8.5℃、引張強度のばらつき△TSは±8.3MPaであった。
これに対し、本発明例2では、図9に示すように、鋼板幅方向での流量のばらつき△Qは、±2.4%に低減した。このため、巻取温度のばらつき△Tは、図10に示すように±4.0℃となり、引張強度のばらつき△TSは、図11に示すように目標の450MPaに対して±3.9MPaとなった。鋼板の幅方向で材質が均一な熱延鋼帯を製造することができた。
また、本発明例1では、鋼板幅方向での流量のばらつき△Qは±3.2%に低減した。このため、巻取温度のばらつき△Tは±5.3℃となり、引張強度のばらつき△TSは、±5.2MPaとなった。
Figure 0005598011
比較例1、2および本発明例1、2の結果を、まとめて表1に示す。
本発明例1および本発明例2では比較例1に対し、鋼帯幅方向の流量ばらつき△Q、鋼帯幅方向の巻取温度ばらつき△T、鋼帯幅方向の引張強度ばらつき△TSのいずれもが小さくなり、各分布の均一性が大きく向上しており、比較例2に対しても各分布の均一性がさらに向上している。本発明例1と本発明例2とを比較すると、3段階にノズル内径を設定した本発明例2が2段階にノズル内径を設定した本発明例1よりも上記のばらつきが小さくなり、各分布の均一性がさらに向上している。
(実施例2)
実施例2では、冷却水が下部ヘッダ7の両端部から、ヘッダへ供給される場合について、図12および図13に示される冷却装置を使用した。図13に示される冷却装置は、ノズルの上端部にはスリーブが装着されておらず、ヘッダへの冷却水の給水が下部ヘッダ7の両端部の2個所から行われるものであり、図2示される装置に給水管15を設けた構成を備えるものである。
比較例1では、図13に示されるスリーブを設置しない冷却装置を、比較例2では、全てのスリーブを同一内径の15mmとした図12に示される冷却装置で冷却を行った。
本発明例1では、図12に示される冷却装置において、ヘッダに設けられた48本のノズルの内、給水管13が設けられているヘッダの給水側の一方の端部からヘッダの板幅方向の中央部にわたって、24本のノズルを設け、そのうちヘッダの給水側の12本のノズルには内径15.3mmのスリーブを、残り12本のノズルに内径14.6mmのスリーブを設けた。そして同様に、給水管15が設けられているヘッダの他方の給水側端部からヘッダの板幅方向の中央部にわたって、24本のノズルを設け、そのうちヘッダの給水管15が設けられた給水側の12本のノズルには内径15.3mmのスリーブを、残り12本のノズルに内径14.6mmのスリーブを設けた。スリーブの流路長さはすべて30mmである。
比較例1では、流量のばらつき(最大値と最小値の差)△Qは、流量目標値の50L/minに対して±10.9%のばらつきがあった。このため、巻取温度のばらつき△Tは、±17.8℃となり、引張強度のばらつき△TSは、目標の450MPaに対して±17.5MPaとなった。
また、比較例2では、流量のばらつき△Qは±5.9%、巻取温度のばらつき△Tは±9.7℃、引張強度のばらつき△TSは±9.6MPaであった。
これに対し、本発明例1では、鋼板幅方向での流量のばらつき△Qは、±2.5%に低減した。このため、巻取温度のばらつき△Tは、±4.1℃となり、引張強度のばらつき△TSは、±4.0MPaとなった。鋼板の幅方向で材質が均一な熱延鋼帯を製造することができた。
Figure 0005598011
比較例1、2および本発明例1の結果を、まとめて表2に示す。
本発明例1は比較例1、2に比べて、鋼帯幅方向の流量ばらつき△Q、鋼帯幅方向の巻取温度ばらつき△T、鋼帯幅方向の引張強度ばらつき△TSのいずれもが小さくなり、各分布の均一性が大きく向上している。
以上のように、スリーブの内径を鋼板の幅方向に複数段階変化させる本発明の冷却装置および冷却方法により、熱鋼板の幅方向での流量分布の均一性の向上し、熱鋼板の幅方向での均一な冷却が可能になる。
なお、本発明の実施例では、熱延鋼帯の冷却装置について示したが、本発明の内容はこれに限るものではなく、厚板など他の熱鋼板を柱状冷却水で冷却する場合において適用することが可能である。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 冷却設備
5 巻取機
6 熱鋼板、熱延鋼帯
7 下部ヘッダ
8 ノズル
9 屋根板
10 上部ヘッダ
11 冷却水
12 テーブルローラー
13 ヘッダ給水管
14 スリーブ
15 ヘッダ給水管

Claims (8)

  1. その一端に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する熱鋼板の冷却装置であって、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって段階的に順次小径化させることを特徴とする熱鋼板の冷却装置。
  2. その両端の各々に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する熱鋼板の冷却装置であって、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの両端部の各々から中央部に向かって段階的に順次小径化させることを特徴とする熱鋼板の冷却装置。
  3. 前記スリーブの内径の値を3段階以上に設定して、鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって順次小径化させることを特徴とする、請求項1に記載の熱鋼板の冷却装置。
  4. 前記ノズルの内径を50mm以下、長さを1500mm以下、スリーブの内径を20mm以下としたことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱鋼板の冷却装置。
  5. その一端に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する冷却装置による熱鋼板の冷却方法において、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって段階的に順次小径化させることにより、熱鋼板の幅方向に均一な冷却をすることを特徴とする熱鋼板の冷却方法。
  6. その両端の各々に冷却水給水口が設けられたヘッダと該ヘッダに熱鋼板幅方向にそって設けた複数本の直管状ノズルとを備え、該ノズルの上端部にノズルよりも流路面積を小さくするための部品であるスリーブを取り付け、該ノズルの下端から冷却水を噴射して熱鋼板の上面に冷却水を供給する冷却装置による熱鋼板の冷却方法において、該スリーブの内径を、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの両端部の各々から中央部に向かって段階的に順次小径化させることにより、熱鋼板の幅方向に均一な冷却をすることを特徴とする熱鋼板の冷却方法。
  7. 前記スリーブの内径の値を3段階以上に設定して、熱鋼板の幅方向に、ヘッダの給水側端部から他端に向かって順次小径化させることを特徴とする、請求項5に記載の熱鋼板の冷却方法。
  8. 前記ノズルの内径を50mm以下、長さを1500mm以下、スリーブの内径を20mm以下、ノズル1本当りの流量を10〜80L/minとしたことを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の熱鋼板の冷却方法。



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