JP5548058B2 - 車両用シートの制御装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両に搭載されたシートの姿勢を変化可能な車両用シートの制御装置に関する。

従来、乗員の降車の際に車両用シートを自動的に後退させて降車空間を広げるとともに、次回乗車時の乗車空間を広げる技術が知られている（例えば特許文献１参照）。

この種の技術では、乗員が乗車した後に操作子（イグニッションキー、プッシュスタータ等）を操作することで、後退させたシートを前方の運転位置に自動で動かすものがある。

特開２００７−１８５９８８号公報

ところで、通常、イグニッションスイッチ等の操作子はシートの前方に配置されるが、上記従来技術のように降車の際にシートを自動的に後退させた場合、乗車後にシートに着座した乗員から操作子までの距離が長くなる。このため、乗員にとって操作子の操作がしづらくなる場合があった。

本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、降車の際にシートを自動的に後退させた場合においても、乗車後にシートに着座した乗員と前方にある操作子との距離を縮め、乗員が操作子の操作を容易に行える車両用シートの制御装置を提供することを目的とする。

上記課題の解決手段として、請求項１に記載の発明は、シートクッションとシートバックとを有し車両の乗降口に近接して設けられた車両用シートを、乗員の降車時に後方に移動させ、乗員の乗車時には、前記車両用シートよりも前方の車両機器に設けられた操作子の操作に応じて、前記車両用シートを前方に移動させる車両用シートの制御装置において、乗員の降車時から乗車時の間に、前記シートクッションの後部を上方に上げた状態、又は、前記シートクッションの前部を下方に下げた状態とすることにより乗員と前記操作子との距離を縮める為の高さ調節部を有し、前記高さ調節部は、乗員の降車時に、前記シートクッションの後部を上方に上げた状態、又は、前記シートクッションの前部を下方に下げた状態とし、この状態を、次回の乗員の乗車時まで維持することを特徴とする。

請求項２に記載の発明は、前記高さ調節部が、前記シートクッションの後部よりも前記シートクッションの前部を低い高さに調節することを特徴とする。

請求項１に記載の発明によれば、降車時から乗車時までの間に、シートクッションの高さを調節することで、乗員の降車時に車両用シートを後退させた場合でも、車両用シートに着座した際の乗員から操作子までの距離を近づけることができるため、乗車時における操作子の操作を容易なものにできる。
また、降車時にシートクッションの高さを調節することで、乗員が降車し易くなる。
また、車両用シートは後退した状態が維持され、降車空間が確保されるため、乗員は容易に降車ができる。
請求項２に記載の発明によれば、より確実に乗員と操作子までの距離を近づけることができる。

本発明の実施形態に係る制御装置によって制御される車両用シート周辺の構成を示した図である。 実施形態に係る制御装置の乗員降車時の処理を説明するフローチャートである。 実施形態に係る制御装置の乗員乗車時の処理を説明するフローチャートである。 制御装置の乗員降車時の処理前の車両用シートの状態を示す図である。 制御装置の乗員降車時の処理によって制御された車両用シートの状態を示す図である。 制御装置の乗員降車時の処理によって制御された車両用シートの状態を示す図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照し説明する。

図１は、本実施形態に係る制御装置によって制御される車両用シート１及びその周辺構成を示した図である。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。

車両用シート１は、車両に設けられた乗員の乗降口２に近接して設けられている。車両用シート１の前方にはインストルメントパネル３が設けられ、インストルメントパネル３には、ステアリングホイール４が設けられている。インストルメントパネル３においてステアリングホイール４の近傍には、押圧式のイグニッションスイッチ５が設けられている。イグニッションスイッチ５の操作によってエンジンが始動する。

車両用シート２は、乗員が着座するシートクッション６と、シートクッション６に着座した乗員の上体を背後から支持するシートバック７とを有している。シートクッション６は、車体フロア８上に設けられたシートスライド装置９上に取り付けられている。シートスライド装置９は、車体フロア８の面方向に沿って配置されシートクッション６を支持するスライダ１０と、スライダ１０を前後方向に移動させる前後方向調節モータ１１とを有している。前後方向調節モータ１１の駆動に応じて、車両用シート２が前後動する。

スライダ１０の前部には、シートクッション６の前部の高さを調節するクッション前部調節モータ１２が設けられ、スライダ１０の後部には、シートクッション６の後部の高さを調節するクッション後部調節モータ１３が設けられている。クッション前部調節モータ１２とシートクッション６の前部はリンク部材１４によって結合され、クッション後部モータ１２とシートクッション６の後部はリンク部材１５によって結合されている。

クッション前部調節モータ１２の駆動に応じて、リンク部材１４が上下に揺動することで、シートクッション６の前部が上下動する。クッション後部調節モータ１３の駆動に応じて、リンク部材１５が上下に揺動することで、シートクッション６の後部が上下動する。ここで、クッション前部調節モータ１２及びクッション後部調節モータ１３は、スライダ１０上で前後方向に移動可能とされている。

シートバック７は、シートクッション６の後端部に傾斜角を変化可能に支持されている。シートバック７と、シートクッション６との連結部位には、シートバック７の姿勢を変化させるリクライニングモータ１６が設けられている。リクライニングモータ１６の駆動に応じて、シートバック７のシートクッション６に対する傾斜角が変化される。

ＥＣＵ１７は制御装置であり、イグニッションスイッチ５、前後方向調節モータ１１、クッション前部調節モータ１２、クッション後部調節モータ１３、及びリクライニングモータ１６それぞれに電気的に接続されている。ＥＣＵ１７は、乗員によるイグニッションスイッチ５の操作、図示しないシート調節用のスイッチの操作等に応じて、各モータ１１，１２，１３，１６に対して指令を出力する。これにより、ＥＣＵ１７が車両用シート１の位置及び姿勢を制御する。

本実施形態においてＥＣＵ１７は、乗員の降車意思を判断した場合に車両用シート１の位置を調節する。図２に示したフローチャートを参照し、乗員の降車時におけるＥＣＵ１７の処理を説明する。

ステップＳ１においてＥＣＵ１７は、イグニッションスイッチ５がオフとされたか否かを検出する。これによって、ＥＣＵ１７は乗員が降車しようとしているか否かの降車意思を判定する。

イグニッションスイッチ５がオフにされ、降車意思が判定されると、ステップＳ２においてＥＣＵ１７は、所定時間が経過したか否かを計測する。計測後、ステップＳ３において、前後方向調節モータ１１を駆動させ、車両用シート１２を後退させる。

ここで、ステップＳ２における「所定時間」は０秒あるいは比較的短い期間と設定することが好ましい。また、ＥＣＵ１７は、ステップＳ３で車両用シート３後退させる前に、車両用シート１の前後方向位置、シートクッション６の高さ、及びシートバック７の傾斜角を記憶しておく。また、ステップＳ３で車両用シート１を後退させる後退距離は予め設定されている。

そして、ステップＳ４において、ＥＣＵ１７は、クッション後部調節モータ１３を駆動させ、シートクッション６の姿勢を変化させる。ここで、ステップＳ４においてＥＣＵ１７は、具体的には、クッション後部調節モータ１３を駆動して、シートクッション６の後部を上方に上げた状態とし、シートクッション６の後部よりもシートクッション５の前部が低い高さとなるように調節する。

以上の処理によって車両用シート１を後退させた後、乗員が車両に乗車した場合は、ＥＣＵ１７は、車両用シート１を元の位置に戻す処理を行う。

図３には、乗員乗車時におけるＥＣＵ１７の処理を説明するフローチャートが示されている。以下では、当該処理を説明する。

ステップＳ１１においてＥＣＵ１７は、イグニッションスイッチ５の操作を検出する。これによって、ＥＣＵ１７は、乗員が乗車したと判定する。乗員の乗車を判定すると、ステップＳ１２においてＥＣＵ１７は、上述ステップＳ３で記憶した後退前の車両用シート１の前後方向位置、シートクッション６の高さ、及びシートバック７の傾斜角を呼び出し、クッション後部調節モータ１２を駆動し、記憶した高さにシートクッション６を調節する。

ステップＳ１３においてＥＣＵ１７は、シートクッション６の高さが所定位置であることを確認すると、ステップＳ１４において、前後方向調節モータ１１を駆動し、シートクッション６を記憶した位置に調節する。
そして、ステップＳ１５においてＥＣＵ１７は、シートクッション６の位置が所定位置であることを確認すると処理を終了する。

ここで、図４〜図６には、図２で説明した乗員降車時のＥＣＵ１７の処理によって変化される車両用シート１の状態が示されている。同図を参照し、より具体的に車両用シート１の状態を説明する。

図４は、降車意思が確認される前の車両用シート１の状態（運転状態）を示している。この状態で、イグニッションスイッチ５のオフが確認されると（Ｓ１）、図５に示すように車両用シート１は後退される（Ｓ３）。そして、所定の位置まで車両用シート１が後退されると、次に、図６に示すように、シートクッション６の後部が上方に上げられた状態となる（Ｓ４）。そして、この状態が次回の乗員の乗車時まで維持される。

シートクッション６の後部が上方に上げられた状態では、図６に示すＬ１、Ｌ２を比較して明らかなように、シートバック７とイグニッションスイッチ５との距離が縮まる。このため、図中Ｄで示す乗員がイグニッションスイッチ５を容易に操作することができる。また、車両用シート１は後退した状態が維持され、降車空間が確保されるため、乗員Ｄは容易に降車ができる。

以上に記載したように本実施形態では、降車時から乗車時までの間に、シートクッション６の高さを調節する。これによって、乗員の降車時に車両用シート２を後退させた場合でも、車両用シート２に着座した際の乗員からイグニッションスイッチ５までの距離を近づけることができるため、乗車時におけるイグニッションスイッチ５の操作を容易なものにできる。

また、本実施形態では、乗員の降車時（降車意思の確認の際）にシートクッション６の高さを調節するようにしたが、この場合、乗員は姿勢を起き上がらせる方向に促されるので、降車し易くなる。なお、この実施形態では、乗員の降車時（降車意思の確認の際）にシートクッション６の高さを調節するようにしたが、降車時から乗車時までの間であればいつでもよく、例えば乗降口２に設けられたドアを開ける操作をしたとき（乗車意思の確認の際）に、シートクッション６の高さ調節するようにしてもよく、乗員が降車し、乗員がドアを閉める操作をした後にシートクッション６の高さを調節するようにしてもよい。これによっても、次回に車両用シート２に着座した際の乗員からイグニッションスイッチ５までの距離を近づけることができる。

また、本実施形態では、シートクッション６の後部を上方に上げることで、シートクッション６の後部よりもシートクッション６の前部を低い高さに調節するようにしたが、この場合、より確実に乗員とイグニッションスイッチ５までの距離を近づけることができる。

なお、シートクッション６の後部よりもシートクッション６の前部を低い高さに調節する態様としては、クッション前部調節モータ１２を駆動して、シートクッション６の前部を下方に下げる態様でもよい。
また、クッション前部調節モータ１２及びクッション後部調節モータ１３を同時に駆動して、シートクッション６の前部を下方に下げるとともに、シートクッション６の後部を上方に上げるようにしてもよい。さらには、シートクッション６の後部よりもシートクッション６の前部を低い高さに調節することに加え、シートバック７を前傾させるようにしてもよい。

また、本実施形態においては、シートクッション６の高さ調節手段としてモータとリンク部材とを用いたものを模式的に示したが、この構成は一例であり、その他のものでもっても構わない。

１ 車両用シート
２ 乗降口
５ イグニッションスイッチ（操作子）
６ シートクッション
７ シートバック
１７ ＥＣＵ（制御装置、高さ調節部）

Claims (2)

1. シートクッションとシートバックとを有し車両の乗降口に近接して設けられた車両用シートを、乗員の降車時に後方に移動させ、乗員の乗車時には、前記車両用シートよりも前方の車両機器に設けられた操作子の操作に応じて、前記車両用シートを前方に移動させる車両用シートの制御装置において、
   乗員の降車時から乗車時の間に、前記シートクッションの後部を上方に上げた状態、又は、前記シートクッションの前部を下方に下げた状態とすることにより乗員と前記操作子との距離を縮める為の高さ調節部を有し、
   前記高さ調節部は、乗員の降車時に、前記シートクッションの後部を上方に上げた状態、又は、前記シートクッションの前部を下方に下げた状態とし、この状態を、次回の乗員の乗車時まで維持することを特徴とする車両用シートの制御装置。
2. 前記高さ調節部は、前記シートクッションの後部よりも前記シートクッションの前部を低い高さに調節することを特徴とする請求項１に記載の車両用シートの制御装置。

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