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JP5416188B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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JP5416188B2 JP2011239571A JP2011239571A JP5416188B2 JP 5416188 B2 JP5416188 B2 JP 5416188B2 JP 2011239571 A JP2011239571 A JP 2011239571A JP 2011239571 A JP2011239571 A JP 2011239571A JP 5416188 B2 JP5416188 B2 JP 5416188B2
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Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、より詳しくは、優れた記録性と高い信頼性を兼ね備えた塗布型磁気記録媒体に関するものである。
ビデオテープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体には、記録情報量の増加により、常に高密度記録化が要求されている。しかし、磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子が熱的安定性に劣るものであると、磁性粒子が磁化方向を保とうとするエネルギー(磁気エネルギー)が熱エネルギーに抗することが困難となり、記録された信号が経時的に減衰(磁化減衰)して再生信号の信頼性が低下してしまう。したがって磁気記録媒体の信頼性を高めるためには、優れた熱的安定性を有する磁性粒子を使用することが求められる。
これに対し、結晶磁気異方性が高い材料は、熱安定性に対する高いポテンシャルを有するため熱的安定性に優れる。そこで、熱的安定性に優れる磁性材料として、結晶磁気異方性が高い材料の研究が行われている。例えば、ハードディスク(HD)等においてはCoCr系磁性体にPtを加え、高い結晶磁気異方性を得ており、さらに高い結晶磁気異方性を有する磁性体としてCoPt、FePd、FePt等を用いる検討がなされている。また、高価なPtを含まず安価で高い結晶磁気異方性を有する磁性材料としてSmCo、NdFeB、SmFeN等の希土類元素を含む硬磁性体も知られている(以下、「第1の技術」という)。
しかし、結晶磁気異方性が高い材料は、熱的安定性に優れるものの、スイッチング磁界が増大するため記録に大きな外部磁場が必要となり記録性は低下する。そこで非特許文献1では、非磁性無機物上に気相製膜で形成した硬磁性の磁性層に軟磁性層を交換相互作用が生じるよう積層し、スイッチング磁界を下げる試みがなされている(以下、「第2の技術」という)。
日本応用磁気学会誌29,239-242(2005)
HD用媒体等の金属薄膜磁気記録媒体では、通常、蒸着時の高温に耐え得るガラス基板が支持体として使用されている。これに対し近年、安価な有機物支持体を使用した汎用性に優れた塗布型磁気記録媒体が提案され、ビデオテープ、コンピューターテープ、フレキシブルディスク等として広く用いられている。上記塗布型媒体においては、汎用性を維持する観点から、高価なPtを使用した磁性体を使用することは実用上困難であるため、第1の技術のように希土類元素を含む硬磁性体を使用することが考えられる。しかし、上記の通り、結晶磁気異方性の高い磁性体には記録性の改善という課題がある。他方、塗布型磁気記録媒体では、上記第2の技術により記録性の改善を図ることは困難である。なぜなら、塗布型磁気記録媒体に通常使用される非磁性有機物支持体は耐熱性に劣るため、気相製膜時に支持体が高温に晒される第2の技術を適用することは、事実上不可能だからである。
以上説明したように、従来の技術では、高い熱的安定性を有する磁性粒子を用いて優れた記録性を有する塗布型磁気記録媒体を提供することは困難であった。
そこで本発明の目的は、高い熱的安定性を有する磁性粒子を磁性層に含む、優れた記録性を有する塗布型磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子が、高い熱的安定性と優れた記録性を兼ね備えていることを新たに見出した。これは、以下の理由によるものと推察される。
高い結晶磁気異方性(高Ku)を有する硬磁性粒子(以下、「硬磁性相」または「硬磁性体」ともいう)表面に軟磁性体(以下、「軟磁性相」ともいう)を交換結合させることで、軟磁性相が先に外部磁場の変化に対応し、軟磁性相のスピンの向きが変わる。これにより、軟磁性相と交換結合した硬磁性相のスピンの向きを変えることができるため、磁性粒子において、硬磁性粒子の熱的安定性は維持しつつスイッチング磁界を下げることができる。この結果、高い熱的安定性を有する磁性粒子を含む磁性層において、優れた記録性を実現することができる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
前記硬磁性粒子は、六方晶フェライトであることを特徴とする磁気記録媒体。
[2]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
前記軟磁性体は、遷移金属および遷移金属と酸素との化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[3]前記化合物はアルカリ土類金属を含まない、[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記化合物に含まれる遷移金属はコバルトである、[2]または[3]に記載の磁気記録媒体。
[5]前記化合物はCoHO2である、[4]に記載の磁気記録媒体。
[6]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
前記磁性粒子は、前記硬磁性粒子であるコアの表面に被覆層として前記軟磁性体が被着したコア/シェル構造を有することを特徴とする磁気記録媒体。
[7]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
前記磁性粒子は、溶液中での軟磁性体前駆体被着処理および該前駆体を軟磁性体に転換する熱処理を経て得られた磁性粒子であることを特徴とする磁気記録媒体。
[8]前記磁性粒子は、80kA/m以上240kA/m未満の範囲の保磁力を有する[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9]前記磁性粒子は、4.0×10-2〜2.2A・m2/gの範囲の飽和磁化を有する[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[10]前記磁性粒子は、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に炭素成分が存在する[1]〜[9]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[11]前記磁性粒子は、最表層に炭素成分が存在する、[1]〜[10]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[12]前記磁性粒子は、X線回折分析により炭素成分に由来するピークが検出されない磁性粒子である[1]〜[9]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[13]前記磁性層は、摩擦係数低減成分を更に含む[1]〜[12]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[14]前記摩擦係数低減成分は非磁性無機粒子であり、前記磁性層は水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基が芳香環に直接置換してなる芳香族化合物を更に含む[13]に記載の磁気記録媒体。
[15]前記磁性層はカーボンブラックを含まない[14]に記載の磁気記録媒体。
[16]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
前記磁性層は、非磁性無機粒子と、芳香族化合物と、を含み、かつカーボンブラックを含まず、
前記芳香族化合物は、芳香環としてナフタレン環またはビフェニル環のみを含み、かつ該ナフタレン環またはビフェニル環に水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基の1つまたは2つが直接置換してなる芳香族化合物であることを特徴とする磁気記録媒体。
[17]前記磁性層は、前記非磁性無機粒子とは異なる粒状物質(ただしカーボンブラックを除く)を更に含む[14]〜[16]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[18]前記非磁性無機粒子は無機酸化物コロイド粒子である[14]〜[17]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[19]前記無機酸化物コロイド粒子はシリカコロイド粒子である[18]に記載の磁気記録媒体。
[20]前記芳香族化合物は、ジヒドロキシナフタレンである[14]〜[19]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[21]前記磁性粒子は、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に酸化物層を有する[1]〜[20]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[22]前記硬磁性粒子は、六方晶フェライトである[2]〜[21]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、高い熱的安定性を有する磁性粉末を磁性層に含むことで高い信頼性を示す磁気記録媒体において、優れた記録性を得ることができる。
参考例13で得られた磁性粒子および原料バリウムフェライト粒子のX線回折による組成評価の結果を示す。
本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体に関する。本発明の磁気記録媒体は、磁性層に含まれる強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなるものであり、これにより優れた記録性と高い信頼性を両立し得るものである。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体の磁性層に含まれる強磁性粉末は、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなる。硬磁性粒子は、結晶磁気異方性が高く熱的安定性に優れるため、経時的な磁化減衰が少なく高い信頼性を有する磁気記録媒体を提供することができる。しかしその反面、高い結晶磁気異方性を有するため保磁力が高く、記録に必要な外部磁場が大きくなるため記録性は低下する。これに対し上記磁性粒子は、硬磁性粒子表面に軟磁性体を被着させ、軟磁性体と硬磁性粒子とを交換結合させることにより、硬磁性粒子の結晶磁気異方性(高Ku)を維持しつつ、磁性粒子としての保磁力を、記録に適した保磁力に制御することができる。本発明によれば、かかる磁性粒子を用いることで、高い信頼性と優れた記録性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
本発明において「交換結合」とは、交換相互作用によりスピンの向きが揃うように、硬磁性体のスピンと軟磁性体のスピンとが連動して動くように、あたかも1つの磁性体としてスピンの向きが変わるように結合していることをいう。軟磁性相が交換結合を生じずに硬磁性相表面に存在している場合、即ち単に物理的に付着している場合、軟磁性相の有無によって硬磁性体の保磁力は変化しない。したがって、硬磁性相と軟磁性相が交換結合していることは、磁性粒子の保磁力が、軟磁性相形成により減少することによって確認することができる。また、軟磁性相が交換結合を生じずに硬磁性相表面に付着している場合、M-Hループ(ヒステリシスループ)は軟磁性相のM-Hループと硬磁性相のM-Hループを足し合わせたものとなるため、軟磁性相の保磁力に相当するところでM-Hループに段が現れる。したがって、硬磁性相と軟磁性相が交換結合していることは、M-Hループの形状から確認することもできる。
また、本発明において「硬磁性」とは、保磁力が240kA/m以上であることをいい、「軟磁性」とは、保磁力が8kA/m未満であることをいうものとする。
以下、本発明の磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子について、更に詳細に説明する。
上記磁性粒子は、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる。前記した通り、硬磁性粒子は結晶磁気異方性が高いため熱的安定性に優れる。硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数は、1×10-1J/cc(1×106erg/cc)以上であることが好ましい。より好ましくは6×10-1J/cc(6×106erg/cc)以上である。結晶磁気異方性が高い方が、磁性粒子を小さくでき、SNR等の電磁変換特性上有利だからである。硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数が1×10-1J/cc(1×106erg/cc)以上であれば、軟磁性体と交換相互作用を持たせ交換結合させた場合に磁気記録に適した保磁力を維持することができる。一方、前記硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数が、6J/cc(6×107erg/cc)を超えると、軟磁性相と交換結合させた場合においても保磁力が高く記録性に劣ることがあるため、前記硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数は、6J/cc(6×107erg/cc)以下であることが好ましい。
上記硬磁性粒子の飽和磁化としては、記録性の観点から0.5×10-1〜2A・m2/g(50〜2000emu/g)が好ましく、5×10-1〜1.8A・m2/g(500〜1800emu/g)がより好ましい。形状としては球形、多面体状等のいずれの形状でも構わない。また、上記硬磁性粒子の粒子サイズ(直径、板径等)としては、高密度記録の観点から3〜100nmであることが好ましく、5〜10nmであることがより好ましい。本発明における「粒子サイズ」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。また本発明において粒子サイズに関する平均値は、透過型電子顕微鏡で撮影した写真において500個の粒子を無作為に抽出して測定した粒子サイズの平均値とする
前記硬磁性粒子としては、希土類元素、遷移金属元素からなる磁性体、遷移金属、アルカリ土類金属の酸化物、希土類元素、遷移金属元素および半金属からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−半金属系磁性体」ともいう)を挙げることができ、上記好適な結晶磁気異方性定数を得る観点から、希土類−遷移金属−半金属系磁性体および六方晶フェライトが好ましい。なお、硬磁性粒子の種類によっては、硬磁性粒子表面に希土類酸化物等の酸化物が存在する場合もあるが、このような硬磁性粒子も本発明における硬磁性粒子に含まれるものとする。
以下、希土類−遷移金属−半金属系磁性体および六方晶フェライトについて更に詳細に説明する。
(希土類−遷移金属−半金属系磁性体)
希土類としてはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等を挙げることができる。中でも、一軸磁気異方性を示すY、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Pr、Nd、Tb、Dyが好ましく、特に、結晶磁気異方性定数が6×10-1J/cc〜6J/cc(6×106erg/cc〜6×107erg/cc)となるY、Ce、Gd、Ho、Nd、Dyがよりいっそう好ましく、Y、Ce、Gd、Ndが特に好ましい。
遷移金属としてはFe、Ni、Coが強磁性体を形成するものとして好ましく用いられる。単独で用いる場合は、結晶磁気異方性、飽和磁化の最も大きくなるFeを好ましく用いることができる。
半金属としては、ホウ素、炭素、リン、シリコン、アルミニウムが挙げられる。この中でホウ素、アルミニウムが好ましく用いられ、ホウ素が最も好ましい。即ち、前記硬磁性相は、希土類元素、遷移金属元素、およびホウ素からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体」という)であることが好ましい。希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体をはじめとする希土類−遷移金属−半金属系磁性体は、Pt等の高価な貴金属を含まないためコスト面で有利であり、汎用性に優れる磁気記録媒体を作製するために好適に使用することができる。
希土類−遷移金属−半金属系磁性体の組成としては、希土類は10〜15at%であることが好ましく、遷移金属は70〜85at%であることが好ましく、半金属は5〜10at%であることが好ましい。
遷移金属として、異なる遷移金属、例えば、Fe、CoおよびNiを組み合わせて用いる場合、Fe(1-x-y)CoxNiyと表したとき、硬磁性体の保磁力を、例えば240kA/m〜638kA/m(3000Oe〜8000Oe)にコントロールすることができ好ましい組成は、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲である。
低腐食性の観点からは、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましい。
キューリー点が500℃以上で温度特性が優れるとの観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲であることが好ましい。
従って、保磁力、腐食性、温度特性の観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましく、x=30〜45at%、y=28〜30at%の範囲であることがより好ましい。
前記硬磁性粒子は、例えば気相法または液相法で合成することができる。ただし、結晶磁気異方性が高い磁性体を合成するには高い温度を必要とするため、塗布型磁気記録媒体の支持体として一般的に使用されている非磁性有機物支持体上で合成することは、支持体の耐熱性の観点から通常困難である。したがって、硬磁性粒子は、非磁性有機物支持体上に塗布する前に合成すべきである。
希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体を得る方法としては、原料金属を高周波溶融炉等で溶解した後、鋳造する方法があるが、当該方法では初晶として遷移金属が多く含まれるものが得られるため、遷移金属を消去するために融点直下での溶体化処理を必要とする。溶体化処理で粒子サイズが大きくなることから、高密度記録に適した微粒子磁性体を得るためには、後述の合成法を用いることが好ましい。
溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法(溶融合金急冷法)においては、初晶であるFeが発生しないうえに、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜200nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を急冷薄帯中に得ることができる。
また、溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法によりアモルファス合金を作製した後、非酸化性雰囲気(例えば不活性ガス、窒素、真空)で400〜1000℃の熱処理でナノ結晶を析出させる方法においても、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜200nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を得ることができる。
合金に対して溶融金属急冷法を用いる場合は、酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、具体的にはHe、Ar、N2等を好ましく用いることができる。
溶融金属急冷法においては、冷却速度はロールの回転速度と急冷薄帯の厚みによって決定される。本発明において、急冷直後に急冷薄帯中に希土類−遷移金属−ホウ素ナノ結晶を形成する際のロール回転速度は、10〜25m/sとすることが好ましい。また、急冷により一旦、アモルファス合金を得る場合には、25〜50m/sとすることが好ましい。
急冷薄帯の厚みは10〜100μmとすることが好ましい。上記範囲の厚みとすることができるように、溶融金属を注ぐ量をオリフィス等でコントロールすることが好ましい。
その後、水素を吸脱着させる過程で粒子を微粒子化する方法(HDDR法)を用いて微粒子を得てもよいし、また、さらに気流分散、湿式分散を行い、微粒子を得てもよい。
(六方晶フェライト)
六方晶フェライトとしては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等を用いることができる。具体的には、マグネートプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネートプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネートプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用できる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもあるが、本発明ではそれらも使用できる。なお、六方晶フェライトについては、保磁力を下げるために保磁力調整成分としてFeを置換する置換元素を添加することが行われる。しかし置換元素の導入は結晶磁気異方性を低下させるため、熱的安定性の観点からは好ましくない。この点からは、硬磁性粒子として使用する六方晶フェライトは、置換元素を含まないものが好ましい。置換元素を含まない六方晶フェライトとは、一般式:AFe1219[Aは、Ba、Sr、PbおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素]で表される組成を有するものである。
次に、上記硬磁性粒子表面に被着する軟磁性体について説明する。
前記軟磁性体の結晶磁気異方性定数は、硬磁性粒子と交換結合し、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から小さいほうが好ましく、負の値を取るものを選んでも構わない。ただし、負の結晶磁気異方性定数を有する軟磁性体を硬磁性粒子と交換結合させると、磁性粒子としての磁気エネルギーが小さくなってしまうことから、軟磁性体の結晶磁気異方性定数としては、0〜5×10-2J/cc(0〜5×105erg/cc)が好ましく、0〜1×10-2J/cc(0〜1×105erg/cc)がより好ましい。
軟磁性体の飽和磁化は、硬磁性粒子と交換結合し、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点からは大きい方が好ましい。具体的には、1×10-1〜2A・m2/g(100emu/g〜2000emu/g)の範囲であることが好ましく、3×10-1〜1.8A・m2/g(300〜1800emu/g)の範囲であることがより好ましい。
前記軟磁性体としては、Fe、Fe合金、Fe化合物、例えば、鉄、パーマロイ、センダスト、ソフトフェライトが好ましく用いられる。また、前記軟磁性体は、遷移金属および遷移金属と酸素との化合物からなる群から選択されるものであることもできる。遷移金属としては、Fe、Co、Niを挙げることができ、Fe、Coが好ましく、硬磁性粒子が六方晶フェライトである場合には、Coがより好ましい。また、上記化合物は、後述の実施例でその存在が確認されているCoHO2のように、遷移金属と酸素に加えて水素を含むことが好ましい。なお、硬磁性粒子に被着させる軟磁性体は、例えば後述の実施例で示すように、アルカリ土類金属を含まないものであることもできる。また、軟磁性体は、硬磁性粒子表面に非晶質として存在してもよく、結晶性物質として存在してもよい。ここで非晶質とは、X線回折法による分析において回折ピークとして検出されないことをいい、結晶性とは同ピークとして検出されることをいう。
上記磁性粒子における硬磁性粒子と軟磁性体との間の交換結合エネルギーは、結合した際に磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数に応じて最適な値に調整することが好ましい。具体的には、軟磁性体の結晶磁気異方性定数は、硬磁性粒子の結晶磁気異方性定数の0.01倍〜0.3倍とすることが好ましい。
交換結合エネルギーは界面の不純物、歪、結晶構造等で調整することができる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子は、硬磁性粒子表面に、該硬磁性粒子と交換結合した軟磁性体が被着してなるものである。該磁性粒子における軟磁性体の占める割合は磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、硬磁性粒子の保磁力に応じて決定することが好ましい。硬磁性粒子と軟磁性体の体積比(硬磁性粒子/軟磁性体)は、硬磁性粒子および被着させる軟磁性体の種類を考慮して、所望の保磁力が実現できるように調整すればよく、一態様では、例えば2/1〜1/20であり、更には1/1〜1/15であることができる。また、他の態様では、例えば500/1〜1/20であり、更には200/1〜1/20の範囲であることができる。また、硬磁性粒子が六方晶フェライトである場合には、該六方晶フェライト(硬磁性粒子)と交換結合した軟磁性体を被着させた磁性粒子において、軟磁性体が占める割合が2質量%未満であることが好ましく、0.1〜1質量%の範囲であることがより好ましい。なお、上記磁性粒子において、硬磁性粒子に被着する軟磁性体の厚さは特に限定されるものではないが、硬磁性粒子の体積に応じて、例えば上記体積比となるよう適切な値に設定することが好ましい。また、上記磁性粒子は、硬磁性粒子であるコアの表面に被覆層(シェル)として軟磁性体が存在するコア/シェル構造を取ることができる。即ち、上記磁性粉末は、硬磁性相表面に軟磁性相の被覆層を有し、軟磁性相と硬磁性相が交換結合しているコア/シェル磁性粒子であることができる。ただし、本発明の磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子では、硬磁性粒子の表面の少なくとも一部に該硬磁性粒子と交換結合した軟磁性体が被着していればよく、硬磁性粒子の全表面を軟磁性体で被覆することは必須ではない。したがって上記磁性粒子は、一部に硬磁性粒子が露出した部分や他の物質が堆積した部分があってもよい。
前記磁性粒子は、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に酸化物層を有することができる。酸化物層は、硬磁性粒子に対して軟磁性体を被着した後に、得られた磁性粒子に一般的な徐酸化処理を施すことにより形成することができる。徐酸化処理により最表層に酸化物層を形成することによって、磁性粒子の保存安定性やハンドリング性を高めることができる。
ただし、上記酸化物層を形成しないことが、磁気特性の点からは好ましい場合がある。徐酸化処理により酸化される部分は主に軟磁性体の表層部であるが、酸化されることにより該表層部の磁性が失われる場合があるからである。これに対し、後述するように磁性粒子表面に炭素成分を形成することは、炭素成分の存在により保存安定性やハンドリング性を高めることができる点でも好ましい。
前記磁性粒子の粒径は、好ましくは5〜200nmであり、さらに好ましくは5〜25nmである。これは、SNR等電磁変換特性上は微粒子であることが好ましいが、小さくしていくと、硬磁性粒子が超常磁性を示し、記録に適さなくなるからである。なお、その上に軟磁性体を被着させる構成上、硬磁性粒子は被着処理後の磁性粒子より小さくする必要があり、この要請は単一の粒子より厳しい。一方、粒径200nm超であれば、上記構成とすることなく、単一組成の構造で記録再生に適した粒子も存在する。したがって、前記磁性粒子は、単一組成の磁性粒子としては。記録再生に適した粒子を得ることが困難な粒径200nm以下の粒子であることが好ましい。
上記磁性粒子は、硬磁性粒子単独では高い熱的安定性を有するものの高保磁力であり記録に不適であるところ、硬磁性粒子と軟磁性体とを交換結合させることにより、記録に適した保磁力を実現することができる。即ち、硬磁性粒子のスピンが交換結合(交換相互作用結合)した軟磁性体中のスピンの影響で動きやすくなることで、記録に適した保磁力を得ることができる。これにより、高い熱的安定性を有する磁性粒子を磁性層に含む磁気記録媒体において、優れた記録性を実現することができる。上記磁性粒子の保磁力は、軟磁性体が硬磁性粒子と交換結合しているため、硬磁性粒子の保磁力よりも低い。好ましくは80kA/m以上240kA/m未満の範囲である。保磁力が低すぎると、隣接記録ビットからの影響で記録を保持しづらくなり、熱的安定性が劣るからである。また、保磁力が高すぎると記録することができなくなるからである。保磁力としては、160kA/m以上240kA/m未満であることがさらに好ましい。なお、前述の通り硬磁性粒子を構成する硬磁性体の保磁力は240kA/m以上、軟磁性体の保磁力は8kA/m未満である。その上限、下限は特に限定されるものではないが、一般に入手可能な磁性体として、硬磁性体の保磁力は、通常1000kA/m以下、軟磁性体の保磁力は、通常0.04kA/m以上である。
また、上記のように硬磁性粒子のスピンと軟磁性体中のスピンを交換相互作用結合することにより、硬磁性粒子単独の場合と比べて飽和磁化を高くすることができる。これにより上記磁性粒子は、4.0×10-2〜2.2A・m2/g(40〜2200emu/g)の範囲の飽和磁化を実現することができる。上記範囲の飽和磁化を有することは、出力的に有利である。上記磁性粒子の飽和磁化は、より好ましくは5.4×10-2〜2.2A・m2/g(54〜2200emu/g)、よりいっそう好ましくは1×10-1〜2.2A・m2/g(100〜2200emu/g)、更に好ましくは1.2×10-1〜1.8A・m2/g(120〜1800emu/g)の範囲である。
以上説明した磁性粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、上記構成の磁性粒子を容易に得る観点から、
硬磁性粒子を含む遷移金属塩溶液から溶媒を除去することにより、該硬磁性粒子表面に遷移金属塩を含む被覆層を形成する工程(以下、「第一工程」という)、
前記被覆層中の遷移金属塩を還元分解することにより、硬磁性粒子表面に遷移金属を含有する軟磁性相を形成する工程(以下、「第二工程」という)、
を含む製造方法が好ましい。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
第一工程
第一工程は、硬磁性粒子を含む遷移金属塩溶液(以下、「硬磁性粒子含有塩溶液」、または単に「塩溶液」ともいう)から溶媒を除去することにより、該硬磁性粒子表面に遷移金属塩を含む被覆層を形成する工程である。前記硬磁性粒子の詳細は、先に説明した通りである。
第一工程において使用する塩としては、遷移金属の塩であればよいが、還元分解した後に軟磁性体を形成するためにはFe、Co、Niの塩であることが好ましく、特にFeまたはCoの塩であることが好ましい。前記塩は、有機物、無機物のいずれでもよく、具体的には、塩化鉄、クエン酸鉄、クエン酸アンモニウム鉄、硫化鉄、酢酸鉄、鉄(III)アセチルアセトナート、蓚酸アンモニウム鉄、塩化コバルト、クエン酸コバルト、硫化コバルト、コバルト(III)アセチルアセトナート、塩化ニッケル、硫化ニッケル等を用いることができる。なお、前記塩には、遷移金属錯体(錯塩)が含まれるものとする。還元分解した際に、副生成物を取り除くという観点からは、前記塩は無機物であることが好ましい。
前記溶液の溶媒としては、使用する遷移金属塩を溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。ただし、溶媒の除去の容易性の観点から、高沸点のものは好ましくない。この点から、水、ケトン類(例えばアセトン)、アルコール類、エーテル類が好ましく用いられる。硬磁性相を浸漬した際に酸化を防ぐ観点から、溶媒中の酸素を窒素等でバブリングして除いたものを用いることが好ましい。この際、予め、溶媒中をくぐらせた窒素ガスを用いると使用する溶媒の揮発を防ぐことができる。油状溶媒を使用することも可能であるが、溶媒の除去の容易性の点からは非油状溶媒を使用することが好ましく、この点からも、水、ケトン類、アルコール類、エーテル類を使用することが好ましい。
前記塩溶液中の塩濃度は特に限定されるものではないが、前記塩溶液中の塩濃度が薄すぎると所望量の軟磁性相を硬磁性粒子表面に形成するために、硬磁性粒子を塩溶液に浸漬し、溶媒を取り除き、当該塩を硬磁性粒子表面上に析出させた後、塩を還元分解するという作業を何度も繰り返す必要がある。また、過度に高濃度であると、硬磁性粒子を塩溶液に浸漬し、溶媒を取り除き、当該塩を硬磁性粒子表面上に析出させた際、粒子同士がくっついてしまうことから好ましくはない。以上の点を考慮すると、前記塩溶液中の塩濃度は、溶液100gあたり0.1mmol〜20mmol程度が好ましい。
前記塩溶液中の硬磁性粒子量は、粒子表面に塩を均一に付着させる観点から、硬磁性粒子の表面が均一に濡れている程度の量とすることが好ましい。粒子表面に乾いた部分があるままであると塩の付着が不均一になり、塩溶液が多すぎる場合も、溶媒を除去する際に塩溶液に濃度むらができ、塩の付着が不均一となるからである。
前記塩溶液の調製方法は特に限定されるものではなく、硬磁性粒子と遷移金属塩を同時または順次、溶媒に添加混合することによって調製すればよい。
硬磁性粒子を溶液に浸漬する操作から第二工程に至る前の雰囲気は、硬磁性粒子の酸化を防止する観点から、窒素、アルゴン、He雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
前記硬磁性粒子含有塩溶液調製後、調製した溶液から溶媒を除去することにより、硬磁性粒子表面に遷移金属塩が析出する。これにより、硬磁性粒子表面に遷移金属塩を含む被覆層を形成することができる。加熱処理、減圧処理、またはこれらの組み合わせにより、前記硬磁性粒子含有塩溶液から溶媒を容易に除去することができる。加熱処理における加熱温度は、溶媒の沸点に応じて設定すればよい。ただし、前述のように不活性雰囲気中で処理する場合であっても、温度が高すぎると雰囲気中に不純物として含まれる酸素により硬磁性粒子が酸化されることがある。このような酸化を防止する観点からは、加熱温度は25〜250℃程度が好ましく、25℃〜150℃程度がより好ましい。加熱で溶媒を除去する際に、粒子同士が凝集しやすくなるので、低温で時間をかけ溶媒を除去することが好ましい。また、溶媒除去中、塩溶液を適宜攪拌することにより、硬磁性粒子表面に遷移金属塩を均一に析出させることができる。さらに、酸化を防止し、粒子同士が凝集することを防止するには、減圧処理により溶媒を除くことが好ましい。減圧処理は、アスピレーター、ロータリーポンプを用いて0.1〜8000Paの減圧下で行うことができる。この際、取り除いた溶媒をコールドトラップで取り除くことが好ましい。減圧処理時に溶媒の揮発に伴う気化熱によりサンプルの温度が下がり、溶媒を除去する効率が下がることから、25〜50℃で加熱することが好ましい対応である。
第一工程では、以上の操作によって硬磁性粒子表面に遷移金属塩を含む被覆層を形成することができる。また、前記被覆層の厚さは、所望量の軟磁性相を硬磁性粒子表面に形成することができるように、塩溶液中の塩濃度等によって適宜調整すればよい。なお、本工程において形成される被覆層は、硬磁性粒子の全表面を被覆することは必須ではなく、一部に硬磁性粒子表面が露出した部分や他の物質が堆積した部分があってもかまわない。
第二工程
第二工程は、第一工程で形成した被覆層中の遷移金属塩を還元分解することにより、硬磁性粒子表面に遷移金属を含有する軟磁性相を形成する工程である。前記還元分解は、好ましくは、前記被覆層を有する硬磁性粒子を還元雰囲気中で加熱することにより行われる。還元ガスとしては水素、一酸化炭素、炭化水素等が用いられる。水素、一酸化炭素は還元分解時に酸化され、それぞれ水、二酸化炭素の形で気体として粒子から取り除かれる点で好ましい。還元分解時の雰囲気ガスは、還元分解の反応効率の点からは、還元ガスを50体積%以上含有するものが好ましく、90体積%以上含有するものがより好ましい。反応容器にガス流入口と排気口を設け、還元分解中に常時還元ガス気流を流入させつつ反応後のガスを排出することが、反応効率の点から特に好ましい。還元ガス気流中での還元分解は、Ca還元の様にCaが不純物として混入することもなく、還元分解での副生成物が気相中に移り除かれる点で有利である。なお、安全上の配慮から不活性ガスで希釈した水素も好ましく用いることができる。ただし、この場合は還元分解に長時間を要することとなる。
一方、設備上の観点等から還元反応を穏やかに進行させることが好ましい場合もある。還元反応を穏やかに進行させるためには還元力の弱い雰囲気中で還元処理を行えばよい。還元分解に長時間を要することにはなるが、安全面への配慮を要することがない点で好ましい。また、酸化物(例えば六方晶フェライト)である硬磁性粒子は還元されやすいため、還元力の強い還元ガスを用いると、表面に被覆層が形成されている状態であっても硬磁性粒子全体が還元され分解される場合があるため、還元反応は穏やかに進行させることが好ましい。この場合には、比較的還元力の弱い還元ガスを用いることが好ましく、または、還元分解時の雰囲気ガス中の還元ガス濃度を、例えば5体積%以下程度まで低減することも好適である。
また、比較的還元力が弱く、上記のように還元反応を穏やかに進行させたい場合に好ましい還元ガスは炭化水素である。上記炭化水素としては、飽和炭化水素であっても不飽和炭化水素であってもよく特に限定されるものではない。具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、エチレン、アセチレン等の不飽和炭化水素を挙げることができる。取り扱いの容易性の観点からは、メタンおよびエタンが好ましく、メタンを用いることが特に好ましい。また、還元力の調整のために、窒素等の不活性ガスで希釈した炭化水素を用いることも好ましい。また、この態様は使用するガスを不燃性ガスとして扱えることから安全性の観点からも好ましい。還元ガスとして炭化水素を使用すると、還元に伴い炭化水素が酸化されることにより生成した炭素または炭化物(本発明において、これらをまとめて「炭素成分という」)が被覆層表面に形成されると推察され、後述の実施例で示すように、実際に還元分解後の磁性粒子最表面(即ち、硬磁性粒子表面に軟磁性体が被着した構造を有する磁性粒子の最表層)において、炭素成分(グラファイト)の存在が確認されている。したがって、本発明の一態様によれば、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子であって、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に炭素成分が存在するものを提供することができる。還元反応を穏やかに進行させるべき場合に還元ガスとして炭化水素を使用することが好ましい理由は、この炭素成分が過度に還元が進むことを抑制する役割を果たしていることにもあると推察される。一方、詳細は後述するが、磁性層における炭素成分の存在を排除すべき場合には、還元反応の副生物として炭素成分を生成しない還元ガスを使用することが好ましく、この点から好ましい還元ガスとしては水素を挙げることができる。水素は還元力の強い還元ガスであるため、還元反応を穏やかに進行させたい場合には、水素を5体積%以下の濃度、例えば1〜5体積%程度の濃度で、不活性ガスと希釈して使用することが好ましい。
還元ガス含有雰囲気中で還元分解を行う場合、還元ガス含有雰囲気中での加熱温度が低すぎると還元分解に長時間を要し作業性の点で好ましくなく、高すぎると還元ガスが漏れた場合に危険である。以上の観点から、還元ガス含有雰囲気中、特に水素気流中での還元分解では、加熱温度は300℃〜550℃の範囲とすることが好ましい。なお、遷移金属塩を還元分解した際の副生成物を除去するため、排気ガスをスクラバーで処理することもできる。
以上の工程により、硬磁性粒子表面の被覆層中の遷移金属塩を遷移金属に還元することができる。これにより、硬磁性粒子表面に遷移金属を含有する軟磁性相を形成することができる。こうして形成される磁性粒子においては、軟磁性体と硬磁性粒子が交換結合した状態で存在している。形成された磁性粒子中で軟磁性体と硬磁性粒子が交換結合していることは、前述の方法によって確認することができる。なお、前記還元分解後の磁性粒子の軟磁性相中に、該相を形成するための原料として使用した遷移金属塩の一部が未反応で残存している場合には、例えば前述の溶媒を用いて洗浄除去することが、磁気特性の点から好ましい。
前記還元分解後の磁性粒子を前述のように酸化処理(徐酸化処理)し、最表面に酸化物層を形成することは好ましい対応である。これは、還元処理後の粒子は、燃えやすく、不活性ガス中でハンドリングをしなければならず、取り扱いが難しいからである。酸化処理は、公知の徐酸化処理によって行うことができる。ただし前述のように、炭素成分が存在する磁性粒子は、酸化物層を形成することなく良好なハンドリング性を示し得るものである。
以上説明した製造方法により、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子を得ることができる。ただし前述のように、本発明の磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子は、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなるものであればよく、上記製造方法により得られたものに限定されるものではない。
ところで、高密度記録用磁気記録媒体に望まれる特性の1つとして、磁性層が高い表面平滑性を有することが挙げられ、このためには強磁性粉末の凝集を抑制することが求められる。強磁性粉末の凝集抑制のためには、磁性粒子の周囲を結合剤で取り囲み粒子同士の会合(凝集)を抑制することが有効であり、このためには磁性粒子表面の結合剤に対する親和性を高めることが重要となる。この点について本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、磁性粒子表面を改質し結合剤との親和性を高めるための添加剤成分として、水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基が芳香環に直接置換してなる芳香族化合物(以下、「表面改質剤」ともいう。)を見出すに至った。磁性層に使用される結合剤は一般に疎水性が高いのに対し、磁性粒子表面は親水性が高い。したがって、そのままの状態では磁性粒子は結合剤との親和性に乏しいが、上記表面改質剤は、上記置換基が磁性粒子表面に吸着することで粒子表面を芳香環によって疎水化することができ、これにより磁性粒子表面を結合剤によって取り囲み粒子同士の会合による分散性低下(凝集)を抑制できると考えられる。したがって本発明の磁気記録媒体は、磁性層に上記表面改質剤を含むことが好ましい。
以下、上記表面改質剤について、更に詳細に説明する。
前記表面改質剤が有する前記置換基を有する芳香環は、単環構造であっても多環構造であってもよく、炭素環であっても複素環であってもよい。また、多環構造としては、縮合環であっても、2つ以上の環が単結合を介して連結した環集合であってもよい。上記芳香環の具体例としては、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、ピレン環、フェナントレン環等を挙げることができ、好ましい芳香環としては、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、ピレン環を挙げることができ、より好ましい芳香環としては、ナフタレン環およびビフェニル環を挙げることができる。
前記表面改質剤では、以上説明した芳香環に、水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基が直接置換している。水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基を有することで、六方晶フェライト磁性粒子に適度に吸着し、凝集を抑制することができる。前記化合物に含まれる水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基の数は、1つ以上であればよく、2つまたは3つ以上であってもよい。適度な吸着力を発揮することから好ましくは、1つまたは2つである。
前記芳香環は、水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基の他に置換基を含んでいてもよい。該置換基としては、特に限定されるものではないが、例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、を挙げることができる。ただし表面改質剤の磁性粒子への吸着力が過度に高いことは、磁性粒子の会合を促進する場合があるため好ましくない。この点からは、水酸基およびカルボキシル基よりも磁性粒子表面に対して高い吸着性を示す置換基(例えばスルホン酸基またはその塩)の存在は好ましくない。また、化合物としての親疎水性に大きく影響を及ぼす置換基の存在も好ましくない。以上の観点から、前記表面改質剤は、水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基以外の置換基を有さないことが好ましい。
また、前記表面改質剤は、結合剤として使用されるような高分子化合物ではないことが好ましい。これは、磁性層に使用する添加剤成分が増えるほど磁性体の充填率が低くなり高密度記録化の観点から望ましくないが、高分子化合物では分散性を高度に向上するためには、多量の添加が求められるからである。少ない添加量で優れた分散性向上効果を得るためには、表面改質剤としては、分子内に含まれる芳香環は1つであることが好ましい。ここで芳香環は、2つ以上の環が単結合を介して連結した環集合は1つと数えるが、2つ以上の環が単結合以外の連結基を介して連結しているものについては、含まれる芳香環は複数と数えるものとする。また、同様の理由から表面改質剤としては分子量が1000以下のものが好ましく、500以下のものがより好ましく、200以下のものがより一層好ましい。また、表面改質剤の分子量の下限は特に限定されるものではないが、構造に含まれる芳香環および前記置換基の分子量を考慮すると、下限は、例えば100以上、または150以上になり得る。
以上説明した表面改質剤としては、前記置換基が直接置換したナフタレンまたは前記置換基が直接置換したビフェニルが好ましく、ジヒドロキシナフタレンおよびビフェニルカルボン酸がより好ましく、ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、分散性向上の観点から、前記表面改質剤を、強磁性粉末100質量部あたり1.5質量部以上の量で磁性層に含むことが好ましい。上記の通り高密度記録化の観点からは強磁性粉末の充填率を高めることが望ましいため、添加剤の添加量はその効果を発揮し得る範囲で低減することが好ましい。上記観点から、磁性層の前記表面改質剤含有量は、強磁性粉末100質量部あたり10質量部以下とすることが好ましい。強磁性粉末の分散性と充填率を両立する観点から、磁性層における前記表面改質剤の含有量は、強磁性粉末100質量部あたり3〜10質量部とすることがより好ましい。
更に本発明者らの検討の結果、上記表面改質剤は、塗布型磁気記録媒体において磁性層成分として汎用されているカーボンブラックと併用しないことが、優れた分散性向上効果を発揮するうえで望ましいことも明らかとなった。これは、上記表面改質剤はカーボンブラックと結合しやすいために、該表面改質剤を介してカーボンブラックと磁性粒子が会合し粗大な凝集物を形成してしまうからであると、本発明者らは推察している。しかしカーボンブラックは磁性層において磁性層表面に突起を形成し摩擦係数を低減し得る成分であるため、磁性層成分としてカーボンブラックを除くのみでは、強磁性粉末の分散性向上(これによる表面平滑性の向上)は達成できたとしても、走行時の摩擦係数増大により走行耐久性は低下してしまう。したがって、分散性と走行耐久性を同時に向上させるためには、カーボンブラック以外の摩擦係数低減成分を使用することが好ましい。そのような摩擦係数低減成分としては、非磁性無機粒子を挙げることができる。即ち、分散性向上と走行耐久性向上を両立するためには、本発明の磁気記録媒体は、前記表面改質剤とともに摩擦係数低減成分として非磁性無機粒子を含むことが好ましい。なお本発明において「摩擦係数低減成分」とは、磁性層表面に適度な突起を形成することにより、該成分が含まれない場合と比べて、磁気記録媒体が磁気信号の記録または再生時にヘッドと接触する際に生じる摩擦係数を低減する効果を奏する成分である。また、本発明における上記非磁性無機粒子には、カーボンブラックは包含されないものとする。本発明の磁気記録媒体は、表面改質剤による分散性向上効果を良好に得るためには、磁性層にカーボンブラックを含まないことが好ましい。ここで「カーボンブラックを含まない」とは、磁性層成分として積極的に添加しないことを意味するものであり、例えば磁気記録媒体の製造工程において、他の層(例えば非磁性層、カーボンブラック)の成分として含まれるカーボンブラックが磁性層に意図せず混入することは許容するものとする。
前記非磁性無機粒子を構成する無機物質としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物を挙げることができる。具体的には、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、二酸化珪素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを一種または二種以上組み合わせて使用することができる。優れたサイズ分布と分散性を有する粒子の入手容易性の点からは、無機酸化物が好ましく、シリカ(二酸化珪素)がより好ましい。
また、前記非磁性無機粒子としては、分散性の観点から、コロイド粒子を使用することが好ましい。コロイド粒子としては、入手容易性の点から無機酸化物コロイド粒子がより好ましい。無機酸化物コロイド粒子としては、上記無機酸化物のコロイド粒子を挙げることができ、具体例としては、SiO2・Al23、SiO2 ・B23、TiO2・CeO2、SnO2・Sb23、SiO2・Al23・TiO2、TiO2・CeO2・SiO2などの複合無機酸化物コロイド粒子を挙げることもできる。好ましいものとしては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、Fe23などの無機酸化物コロイド粒子を挙げることができ、単分散のコロイド粒子の入手容易性の点から、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。
ところで、一般的なコロイド粒子は表面が親水性であるため水を分散媒とするコロイド溶液の作製に適する。例えば一般的な合成法により得られるコロイダルシリカは、表面が分極した酸素原子(O2-)で覆われているため水中で水を吸着して水酸基を形成して安定化している。しかしこれら粒子は、磁気記録媒体用塗布液に使用される有機溶媒中では、そのままではコロイド状態で存在することは困難である。そこで有機溶媒中でこれら粒子をコロイド状態で分散可能とするために、粒子表面に疎水化処理を施すことが行われている。本発明でも、このような疎水化処理を施したコロイド粒子を使用することが好ましい。そのような疎水化処理の詳細については、例えば特開平5−269365号公報、特開平5−287213号公報、特開平2007−63117号公報等に記載されている。このような表面処理が施されたコロイド粒子は、上記公報記載の方法等によって合成することができ、また市販品としても入手可能である。
前記非磁性無機粒子の平均粒子サイズは、磁性層表面に摩擦係数低減に寄与する適度な突起を形成する観点から、磁性層厚以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。また、非磁性無機粒子の過剰な突出によるスペーシングロスを防ぐ観点からは、磁性層厚の2倍以下であることが好ましく、1.7倍以下であることがより好ましい。よりいっそう優れた電磁変換特性を得るためには、非磁性無機粒子の平均粒子サイズは50〜200nmの範囲であることが好ましい。また、磁性層厚は、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化することが好ましい。磁性層の厚さは、電磁変換特性の更なる向上の観点からは、200nm以下であることが好ましく、170nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることが更に好ましく、均一な磁性層を形成する観点からは、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。
上記非磁性無機粒子の平均粒子サイズは、以下の方法によって測定された値とする。
非磁性無機粒子を、透過型電子顕微鏡で印画紙にプリントして粒子写真を得る。例えば、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率50000〜100000倍程度で撮影し印画紙にプリントして粒子写真を得ることができる。
次いで、粒子写真から50個の粒子を無作為に抽出し、各粒子の輪郭をデジタイザーでトレースし、トレースした領域と同じ面積の円の直径(円面積相当径)を算出する。本発明において非磁性無機粒子の粒子サイズとは、こうして算出される直径をいうものとする。上記粒子サイズの算出には、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を使用することができる。また、スキャナーからの画像取り込みおよび画像解析の際のscale補正は、例えば直径1cmの円を用いて行うことができる。
そして上記方法により測定された50個の粒子の粒径の算術平均値を非磁性無機粒子の平均粒子サイズとする。また、後述する磁性層に含まれる粒状物質の平均粒子サイズも同様に測定および算出された値である。
なお、上記方法に求められる平均粒子サイズは、50個の一次粒子について算出される平均値である。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。したがって非磁性無機粒子の平均粒子サイズを測定するための試料粒子としては、一次粒子の粒子サイズを測定可能なものであれば磁性層から採取した試料粉末であっても原料粉末であってもよい。磁性層からの試料粉末の採取方法については、特開2011−48878号公報段落[0015]を参照できる。
磁性層中の前記非磁性無機粒子の含有量は、優れた電磁変換特性と摩擦係数低減を両立できる範囲で設定することが好ましく、具体的には強磁性粉末100質量部に対して0.5〜5質量部とすることが好ましく、1〜3質量部とすることがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層、更には任意に設けられる非磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤などを挙げることができる。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2006−108282号公報段落[0075]〜[0083]を参照できる。本発明で使用されるこれらの添加剤は、磁性層、非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
中でも本発明では、磁性層に添加剤として、上記非磁性無機粒子とは異なる素材からなる粒状物質を含むことが好ましい。そのような粒状物質としては、一般に研磨剤として添加される無機粉末を使用することができる。なお、本発明において磁性層に含まれる研磨剤とは、同層に摩擦係数低減成分として含まれる非磁性無機粒子よりもモース硬度の高い粒状物質をいうものとする。例えば、シリカ粒子のモース硬度は7であるため、シリカ粒子を前記非磁性無機粒子として含む磁性層では、モース硬度8以上の粒状物質が研磨剤に相当する。磁性層に研磨剤を含むことにより、磁性層の研磨性を高めヘッド付着物を除去することができる。上記研磨剤としては、磁性層の研磨性を高める観点から、モース硬度8以上の無機粉末を使用することが好ましく、モース硬度9以上の無機粉末を使用することがより好ましい。モース硬度の最大値は、ダイヤモンドの10である。具体的には、アルミナ(Al23)、炭化珪素、ボロンカーバイド(B4C)、TiC、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ダイヤモンド粉末を挙げることができ、中でもアルミナ、炭化珪素、およびダイヤモンドが好ましい。これら無機粉末は針状、球状、サイコロ状等のいずれの形状でもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。なお、このような研磨剤として使用される無機粉末により磁性層表面に突起を形成し摩擦係数を低減することも考えられるが、研磨剤により形成される突起のみで走行耐久性を維持し得る量の磁性層表面突起を形成すると研磨能が高くなりすぎヘッドダメージが顕著となる。他方、ヘッドに大きなダメージを与えない範囲で研磨剤により突起を形成すると摩擦係数を低減することが困難となる。そこで本発明では、非磁性無機粒子と研磨剤を併用することが好ましい。研磨剤によりヘッドに大きなダメージを与えることを回避する観点から、研磨剤の平均粒径は、10〜300nmであることが好ましく、30〜250nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。その添加量は、強磁性粉末100質量部あたり1〜20質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましく、3〜10質量部とすることが更に好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、上記磁性粒子と結合剤とを含む磁性層を有する塗布型磁気記録媒体である。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と上記磁性層とをこの順に有する重層構成の磁気記録媒体であることもでき、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有する磁気記録媒体であることもできる。なお本発明の磁気記録媒体では、磁性層成分として前記表面改質剤を使用する場合には、該表面改質剤によって強磁性粉末の分散性を十分に向上するためには磁性層成分としてカーボンブラックは排除すべきであるが、そのような場合であるか否かにかかわらず、非磁性層には表面電気抵抗の低減等を目的として、カーボンブラックを添加することができる。
本発明の磁気記録媒体の厚み構成については、非磁性支持体の厚みは、例えば3〜80μm、好ましくは3〜50μm、より好ましくは3〜10μmである。磁性層の厚みについては前述の通りである。非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。また、バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
その他の本発明の磁気記録媒体の詳細については、磁気記録媒体に関する公知技術を適用することができる。例えば、磁気記録媒体を構成する材料および成分ならびに磁気記録媒体の作製方法の詳細については、例えば、特開2007−294084号公報段落[0024]〜[0039]、[0068]〜[0116]および同公報の実施例の記載を参照できる。特に、上記磁性粒子を高度に分散させ優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得るためには、特開2007−294084号公報段落[0024]〜[0029]に記載の技術を適用することが好ましい。非磁性層および磁性層の形成は、非磁性層塗布液が湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液を塗布する同時重層塗布(wet-on-wet)により行ってもよく、非磁性層塗布液が乾燥した後に磁性層塗布液を塗布する逐次重層塗布(wet-on-dry)により行ってもよい。磁性層表面に摩擦係数低減に有効な突起を適切な量で形成するためには、磁性層中の非磁性無機粒子や研磨剤成分が非磁性層へ沈み込む量が少ないことが好ましい。この点からは、上記逐次重層塗布を行うことが好ましい。磁気記録媒体の製造方法に関する詳細については、特開2006−108282号公報段落[0057]〜[0067]も参照できる。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[参考例1〜8(NdFe14Bを硬磁性相とした調製例)]
HDDR法で作製されたNdFe14B組成を有する硬磁性粒子(Hc:734kA/m、飽和磁化1.42×10−1A・m/g(142emu/g)、平均結晶粒径100nm)の集合体からなる磁性粉末を粒子表面が濡れるように表1記載の塩溶液(磁性粉末1gに対し溶液0.5g)に浸漬し、窒素雰囲気下110℃で加熱することにより溶媒を除去した。この際、30分毎に塩溶液中の粒子を攪拌する処理を行った。
溶媒除去により得られた乾燥粉体を水素気流中で400℃1時間処理することで、粒子表面の被覆層に含まれるFe塩の還元分解を行った。還元分解中、排気した水素ガスには塩を分解した際の副生成物が含まれていることから、スクラバーで処理を行った。その後、室温まで温度を降温した後、反応容器内の雰囲気を窒素雰囲気に置換して粉体を取り出した。
その後、表1中の参考例3、6の磁性粉末については、窒素雰囲気で70℃昇温し、温度を70℃で保持しながら、窒素と空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて、表面酸化処理(徐酸化処理)を行った。
以上の工程により、NdFe14B硬磁性相をコアとし、Fe含有軟磁性相をシェルとするコア/シェル磁性粒子の集合体からなる磁性粉末が得られた。
[参考比較例1]
HDDR法で作製されたNdFe14B組成を有する硬磁性粒子(Hc:734kA/m、飽和磁化1.42×10−1A・m/g(142emu/g)、平均結晶粒径100nm)の集合体からなる磁性粉末そのものを、参考比較例1の磁性粉末とした。
磁性粉末の評価
(1)磁気特性の評価
参考例1〜8で得られたコア/シェル磁性粒子からなる磁性粉末および参考比較例1の磁性粉末の磁気特性を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。各磁性粉末は、急速酸化を防ぐため窒素雰囲気下でアクリル容器に封入して評価を行った。
(2)組成の評価
HITACHI製のHD2300型STEM(200KV)により、各磁性粉末を構成する磁性粒子のFe/Nd比(原子比)を測定した。
(3)ハンドリング性(空気中での温度上昇)
ドラフト内で各磁性粉末をアルミナ製の坩堝に入れ、空気中で放置したときに温度上昇が生じるか否かを確認した。
評価結果
表1中、参考比較例1の組成は軟磁性相なしの磁性粒子のFe/Nd組成比であり、NdFe14B組成を有する硬磁性粒子中のFe/Nd組成を示すものである。参考例1〜8の組成の値は、参考比較例1の値より大きいことから、参考例1〜8では、硬磁性粒子表面に軟磁性相としてのFeが存在していることが確認できる。
参考例1〜8の磁性粉末の保磁力が、参考比較例1の磁性粉末の保磁力と比べて低かったことから、参考例1〜8の磁性粉末では硬磁性粒子(硬磁性相)表面に硬磁性相と交換結合した軟磁性相が存在することが確認できる。硬磁性相は、高い結晶磁気異方性を有することに起因し熱的安定性に優れるものの、保磁力が高く記録に必要な外部磁場が大きくなり記録しづらい。これに対し、上記のように硬磁性相をコアとし、軟磁性相をシェルとするコア/シェル構造においてコアとシェルを交換結合させることにより、磁性粒子の保磁力を下げることができる。中でも、参考例1〜6では80kA/m以上240kA/m未満の範囲内の記録に特に適する保磁力を実現することができた。このように、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体を被着させることで、熱的安定性に優れる硬磁性粒子の記録性を改善することができる。
更に、参考例1〜8の磁性粉末の飽和磁化が、参考比較例1の磁性粉末の飽和磁化と比べて高かったことから、硬磁性相に軟磁性相を交換結合させることにより、飽和磁化を高くすることができることも確認できる。
また、表1の結果から、塩濃度により硬磁性粒子上の軟磁性相量を制御することができ、その結果磁性粉末の保磁力および飽和磁化を調整できること、徐酸化処理を行うことによりハンドリング性を改善できること、がわかる。
[参考例9〜12(バリウムフェライトを硬磁性相とした調製例)]
バリウムフェライト(以下、「BaFe」と記載する)(Hc:270kA/m、飽和磁化5.2×10-2A・m2/g(52emu/g)、平均板径35nm、平均板厚8nm)の粒子の集合体からなる磁性粉末を粒子表面が濡れるように表2記載の塩溶液(BaFe粉末1gに対し溶液1g)に浸漬し、アスピレーターで減圧しながら、溶媒を除去した。この際、30分毎に塩溶液中の粒子を攪拌する処理を行った。
溶媒除去により得られた乾燥粉体を4vol%メタン96vol%窒素気流中で400℃1時間処理することで、粒子表面の被覆層に含まれるCo塩あるいはFe塩の還元分解を行った。
以上の工程により、BaFe硬磁性相をコアとし、Co,Fe含有軟磁性相をシェルとするコア/シェル磁性粒子の集合体からなる磁性粉末が得られた。
[参考比較例2]
塩溶液に代えてアセトンを使用した点以外、参考例9、10と同様の処理を行い磁性粉末を得た。
[参考比較例3]
塩溶液に代えてエタノールを使用した点以外、参考例11、12と同様の処理を行い磁性粉末を得た。
上記参考比較例2および3では、塩溶液を使用しなかったためシェルを持たないBaFe磁性粒子が得られた。
評価方法(磁気特性の評価)
参考例9〜12で得られたコア/シェル磁性粒子からなる磁性粉末および参考比較例2および3の磁性粉末の磁気特性を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。各磁性粉末は、急速酸化を防ぐため窒素雰囲気下でアクリル容器に封入して評価を行った。
評価結果
上記磁気特性の評価において、参考例9〜12の磁性特性の評価で得られたヒステリシスループには、軟磁性相の保磁力に相当するところに段が見られないことを確認した。この結果から、参考例9〜12において軟磁性相と硬磁性相が交換結合した磁性粒子が得られたことが確認できる。表2中、参考比較例2、3の磁性粉末が未処理BaFe粉末とほぼ同等の保磁力を示したのに対し、参考例9〜12の磁性粉末の保磁力が未処理BaFe粒子の保磁力(270kA/m)と比べて低かったことは、参考例9〜12の磁性粉末ではBaFe粒子(硬磁性相)表面で軟磁性相が硬磁性相と交換結合した結果、記録性が改善できたことを示す結果である。更に参考例9〜12の磁性粉末は、表2に示すように未処理BaFe粉末と比べて飽和磁化が向上した。この結果も、硬磁性相と軟磁性相とを交換結合させることにより、記録性が改善できたことを示すものである。
評価方法(磁化の時間減衰の傾き、活性化体積)
参考例9〜12および参考比較例2、3の磁性粉末について、超電導電磁石式振動試料型磁力計(玉川製作所製TM−VSM1450−SM型)を用いて、次の手順で、磁気記録媒体の保存時に受ける反磁界相当の反磁界400Oe(≒32kA/m)と600Oe(≒48kA/m)の磁化の時間減衰の傾き、反磁界500Oe(≒40kA/m)での活性化体積を求めた。各測定において、サンプルとしては磁性粉末0.1gを測定ホルダーに圧密したものを用いた。
(1)磁化の時間減衰の傾き
熱揺らぎ磁気余効の場合、磁化の時間減衰においてΔM/(lnt1−lnt2)は一定となる。磁化は磁場によっても変化することから、磁場一定にした後の磁化を時間毎に測定することによって磁化の時間減衰の傾きを求めた。
具体的には、サンプルに40kOe(≒3200kA/m)の外部磁場をかけ、直流消磁した後、磁石を電流値制御とし目標の反磁界を発生させる電流を供給し、目標の反磁界に外部磁場を漸近させた。これは、外部磁場が変動することにより安定化処理がなされ、磁化の時間減衰が見かけ小さくなることを防ぐためである。
磁場が目標値に達した時間を零とし、1分毎に磁化を25分間測定し、磁化の時間減衰の傾きΔM/(lnt1−lnt2)を求めた。結果を表3に示す。なお、表3にはΔM/(lnt1−lnt2)を40kOeの外部磁場における磁化で割り規格化した値を示す。
(2)活性化体積
200Oe(≒16kA/m)だけ異なる反磁界H1(400Oe)とH2(600Oe)において、それぞれの反磁界で上記(1)と同様の手順で目標の反磁界に達したときから25分後の磁化を求めた。この磁化をそれぞれMBとMEとすると全磁化率Xtot=(MB−ME)/ΔH=(MB−ME)/200となる。
次に可逆磁化率Xrevは、H2から外部磁場を200Oeだけ増加させたときの磁化MFを求め、Xrev=(MF−ME)/ΔH=(MF−ME)/200により求めた。
不可逆磁化率(Xirr)はXirr=Xtot−Xrevにより求めた。
活性化体積(Vact)はVact=kT/(Ms(ΔM/Xirr(lnt1−lnt2))により求めた。ここで、k:ボルツマン定数、T:温度、Ms:サンプルの飽和磁化、である。
以上の工程により、反磁界500Oeにおける活性化体積を求めた。結果を表3に示す。
評価結果
上記方法により測定される磁化の時間減衰の傾きは、磁性粒子の熱的安定性を示す指標である。表3に示したように参考例9〜12の磁性粉末の磁化の時間減衰の傾きが参考比較例2、3と同等であったことから、硬磁性相に軟磁性相を交換結合させたことによっても、BaFe磁性粒子の高い熱的安定性が損なわれず良好に維持されていることが確認できる。このように高い熱的安定性を有し経時的な磁化減衰の少ない磁性粒子によれば、記録された信号の減衰が少なく高い信頼性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
また、表3に示す活性化体積は凝集の有無を示す指標であり、仮に凝集を生じているのであれば千の位以上で変化が現れるが、表3に示すように参考例9〜12の活性化体積は参考比較例2、3と同等であった。この結果から、硬磁性相に軟磁性相を交換結合させる過程で凝集を生じることがなかったことが確認できる。以上の評価結果から、硬磁性相に軟磁性相を交換結合させた磁性粒子は熱的安定性に優れ、しかも磁性相形成前の硬磁性粒子同等の微粒子であるため、高密度記録に好適であることが確認できる。
なお、活性化体積は百の位に誤差を含んでいることが知られている。表3に示す活性化体積の数値としては、参考例9〜12と参考比較例2、3とは同等であったが、実際には参考例9〜12で調製した磁性粒子は参考比較例2、3で調製した磁性粒子と比べて、シェルが存在する分、体積が増加していると考えられる。活性化体積の数値上、この体積増加が現れない理由は、上記誤差部分に体積増加分が埋もれているからであると推察している。
還元ガスの適性評価
参考例9〜12において硬磁性粒子として用いたBaFe(Hc:270kA/m、飽和磁化5.2×10-2A・m2/g(52emu/g)、平均板径35nm、平均板厚8nm)の粒子からなるBaFe粉末を、表4記載のガス気流中、表4記載の温度で10分間アニール処理を施した後、前述の方法で飽和磁化を測定した。結果を表4に示す。
評価結果
表4に示すように、水素気流中または一酸化炭素・窒素混合気流中でアニールを施したバリウムフェライトは、アニール温度300℃までは飽和磁化が減少しアニール温度400℃では飽和磁化が増加した。これは水素、一酸化炭素は還元力が強いため、バリウムフェライトが還元分解されたためと推察される。
これに対し、メタン気流中でアニールを施したバリウムフェライトではアニール温度の違いによる飽和磁化の変化はほぼ見られなかった。これは、メタン気流中ではバリウムフェライトは還元分解されず安定であることを示す結果と考えられる。
先に説明した製造方法により硬磁性相と軟磁性相が交換結合したコア/シェル磁性粒子を製造する際には、硬磁性粒子表面に遷移金属塩を含む被覆層を形成した後に還元ガス雰囲気中での還元分解を行うため、上記評価のように硬磁性粒子全表面が還元ガスに晒されることはないが、上記評価結果からバリウムフェライトは還元分解されやすい性質を有すると推察されるため、還元力の強い還元ガスを用いると、被覆層下であっても還元分解され飽和磁化等の磁気特性が変化する可能性があると考えられる。したがって、バリウムフェライトのような酸化物を硬磁性粒子として使用する場合には、比較的還元力の弱い還元ガスを用いることが好ましく、この点から、炭化水素、特にメタンの使用が好ましいと考えられる。また、還元力の強い水素を使用する場合には、不活性ガスにより希釈して使用することが好ましい。
[参考例13(バリウムフェライトを硬磁性相とした調製例)]
BaFe粒子(Hc:247kA/m(≒3100Oe)、飽和磁化4.6×10-2A・m2/g(46emu/g)、平均板径20.6nm、平均板厚6.1nm、粒子体積1680nm3)の集合体からなる磁性粉末を、6質量%塩化コバルト溶液(溶媒:アセトン)に粒子表面が濡れるように浸漬し(磁性粒子1gに対し溶液3g)、アスピレーターで減圧しながら、溶媒を除去した。この際、30分毎に塩化コバルト溶液中の粒子を攪拌する処理を行った。
溶媒除去により得られた乾燥粉体を4vol%メタン96vol%窒素気流中で350℃17時間処理することで、粒子表面の被覆層に含まれるCo塩の還元分解を行った。
以上の工程により、BaFe硬磁性相をコアとし、Co含有軟磁性相をシェルとするコア/シェル磁性粒子が得られた。
評価方法
(1)走査型透過電子顕微鏡(STEM)による組成評価
得られた磁性粒子と、参照として未処理の原料BaFe粒子について、HITACHI製のHD2300型STEM(200KV)により、Co/Ba比およびCl/Ba比(いずれも原子比)を測定した。結果を下記表5に示す。
(2)X線回折による組成評価
得られた磁性粒子と、参照として未処理の原料BaFe粉末について、SPring−8によるX線回折分析によって組成評価を行った(Nb K edge波長0.65297Å)。結果を図1に示す。X線回折ピークの帰属は、実験過程で入り得る元素に基づきライブラリーを用いて行った。
(3)保磁力の評価
参考例13で得られたコア/シェル磁性粒子からなる磁性粉末の保磁力を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価したところ、146kA/m(≒1830Oe)であった。磁性粉末は、急速酸化を防ぐため窒素雰囲気下でアクリル容器に封入して評価を行った。
評価結果
表5に示すように、原料BaFe粉末ではCoが検出されなかったのに対し、参考例13で得られた磁性粉末ではCoと、Coと酸素および水素との化合物であるCoHO2が検出された。この結果から、参考例13では、硬磁性粒子表面に軟磁性相としてCoおよびCoHO2が被着していることが確認できる。なお、参考例13において被覆層形成のために使用した遷移金属塩はアルカリ土類金属を含まないため、形成された軟磁性相もアルカリ土類を含まないものである。また、X線回折によりピークが検出されたことから、CoおよびCoHO2は結晶性物質として被着していることも確認できる。
また、参考例13の磁性粉末の保磁力が、原料BaFe粉末の保磁力と比べて低かったことから、参考例13の磁性粉末では、硬磁性相粒子(硬磁性相)表面に硬磁性相と交換結合した軟磁性相が存在することが確認できる。なお、表5に示すように参考例13の磁性粉末ではClの存在も確認されたが、これは軟磁性相の原料として使用した塩化コバルトの一部が未反応で残存しているからであることが、図1に示すX線回折のピークから確認できる。このように原料の遷移金属塩の一部が還元分解後の磁性粒子に残存している場合には、例えば遷移金属塩の溶液調製のために使用した溶媒(参考例13ではアセトン)により洗浄除去することが、磁気特性に優れた磁性粒子を得るために好ましい。なお、図1では原料BaFe粉末のスペクトルにおいてCoおよびCo塩に相当するピークが見られるが、これはバックグラウンドであり原料BaFe粉末にCoおよびCo塩が存在することを示すものではない。
また、図1に示すように、参考例13の磁性粉末においては、原料BaFe粉末には見られない、グラファイトに特異的なピークが検出された。この結果から、炭化水素(メタン)含有雰囲気下で気相還元分解を行うことにより、最表層に炭素成分(グラファイト)が存在する磁性粒子が得られたことが確認できる。
[実施例1〜4、比較例1、2]
(1)磁性層塗布液処方
表6記載の磁性粉末 100部
ポリウレタン樹脂 15部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=400eq/ton
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 4部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 0.5部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:60nm) 0.5部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
(2)非磁性層塗布液処方
非磁性無機質粉体 85部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2
長軸径:0.15μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m2/g
pH8
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 15部
DBP吸油量:120ml/100g
pH:8
BET比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 22部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=200eq/ton
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
(3)バックコ−ト層塗布液処方
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4.05部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 100部
トルエン 100部
メチルエチルケトン 100部
(4)各層形成用塗布液の調製
上記処方の磁性層塗布液、非磁性層塗布液、バックコート層塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで240分間混練した後、ビ−ズミルで分散した(磁性層塗布液は1440分、非磁性層塗布液は720分、バックコート層塗布液は720時間)。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)をそれぞれ4部加え、更に20分間撹拌混合したあと、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過した。その後、磁性層塗布液に対して、日立ハイテク製 冷却遠心分離機 himac CR−21Dで回転数10000rpnmとして30分間、遠心分離処理を行い、凝集物を除去する分級処理を行った。
(5)磁気テープの作製
得られた非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、厚さ5μmのPEN支持体(WYKO社製HD2000で測定した平均表面粗さRa=1.5nm)上に塗布した後、100℃で乾燥させて非磁性層を形成した。非磁性層を形成した支持体原反に70℃24時間の熱処理を施した後、上記分級処理後の磁性層塗布液を、乾燥後に20nmの厚さとなるように非磁性層上にウェットオンドライ塗布した後、100℃で乾燥させた。磁性層を設けた面と反対の支持体表面に、バックコート層塗布液を塗布、乾燥させて厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
その後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧350kg/cm、温度100℃で表面平滑化処理を行った後、1/2インチ幅にスリットして磁気テ−プを作製した。
(6)磁気テープの評価
(6−1)保磁力
玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。
(6−2)電磁変換特性(ORC、SNR)
ドラムテスター(相対速度5m/sec)を用いて、以下の方法で電磁変換特性の測定を行った。
1)ORC
Bs=1.6T Gap長0.2μmのライトヘッドを用い、線記録密度275kFCIの信号を記録し、GMRヘッド(Tw幅 3μm、sh−sh=0.18μm)で再生した。このとき、記録電流を変えながら、出力が最大になる電流を最適記録電流(ORC)とした。
2)SNR
上記1)記載の条件下、上記1)で求めた最適記録電流で信号を記録再生し275kFCIの出力と0〜2×275kFCIの積分ノイズの比を測定した。
以上の結果を、表6に示す。表6に示すSNRは、比較例1の磁気テープの測定値を基準とした相対値で表した。
先に表3に示したように、参考例9〜12の磁性粉末は高い熱的安定性を有し、経時的な磁化減衰の少ない信頼性の高い磁気記録媒体を提供し得るものであった。これら磁性粉末を用いて作製された実施例1〜4の磁気テープは、表6に示すように、軟磁性相が被着していないBaFe粒子を用いて作製された比較例1、2の磁気テープと比べて、より少ない記録電流で高いSNRを示すものであった。
以上の結果から、本発明によれば、優れた記録性と高い信頼性を兼ね備えた塗布型磁気記録媒体が提供できることが示された。
[参考例14、15]
下記表7記載のバリウムフェライト(以下、「BaFe」と記載する。フェライト組成はBaFe1219)を、表8記載の量のCo塩あるいはFe塩が被着する濃度の塩溶液に粒子表面が濡れるように浸漬し(BaFe粉末1gに対して溶液1g)、アスピレーターで減圧しながら、溶媒を除去した。この際、30分毎に塩溶液中の粒子を攪拌する処理を行った。
溶媒除去により得られた乾燥粉体を4vol%水素96vol%窒素気流中で200℃1時間処理することで、粒子表面に含まれるCo塩あるいはFe塩の還元分解を行った。
以上の工程により、BaFe硬磁性相をコアとし、Co,Fe含有軟磁性相をシェルとするコア/シェル磁性粒子の集合体からなる磁性粉末が得られた。
[参考例16、17]
4vol%水素96vol%窒素気流中での200℃1時間処理を、4vol%メタン96vol%窒素気流中での400℃1時間処理に変更した点以外は参考例1、1と同様の方法で、BaFe硬磁性相をコアとし、Co,Fe含有軟磁性相をシェルとするコア/シェル磁性粒子の集合体からなる磁性粉末を得た。
磁性粉末の評価方法
(1)比表面積SBET
表7記載のSBETの測定は、窒素吸着法により行った。
(2)粒子サイズ(TEM観察による平均板径、平均板厚、平均粒子体積)の評価
表7記載の粒子サイズの測定は、HITACHI製の透過型電子顕微鏡(印加電圧200kV)により行った。
(3)磁気特性(保磁力Hc、飽和磁化Ms)
原料BaFeの磁性粉の保磁力Hc、飽和磁化Msを、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。結果を表7に示す。参考例14〜17で得た磁性粉末の磁気特性も同様の方法で測定した。結果を下記表8に示す。
参考例14〜17の磁性粉末の保磁力が、表7に示す原料BaFeの保磁力と比べて低かったことから、参考例14〜17の磁性粉末では硬磁性粒子(硬磁性相)表面に硬磁性相と交換結合した軟磁性相が存在することが確認できる。
参考例14〜17の磁性粉末について、X線回折分析を行い、実験過程で入り得る元素に基づきライブラリーを用いてX線回折ピークの帰属を行ったところ、参考例14、15の磁性粉末では炭素成分に由来するピークは検出されなかったのに対し、参考例16、17ではグラファイトのピークが検出された。この違いは、使用した還元ガスの違いによるものであり、この結果から還元ガスとして水素を使用することで、X線回折分析で炭素成分に由来するピークが検出されない磁性粒子が得られることが確認された。なお参考例14〜17の磁性粉末に対するX線回折分析により、当該磁性粉末が六方晶フェライトの結晶構造を示すことも確認された。
[実施例5]
1−1.磁性層塗布液処方
参考例14の磁性粉末:100部
ポリウレタン樹脂(官能基:−SO3Na、官能基濃度180eq/t):14部
オレイン酸:1.5部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6部
アルミナ粉末(平均粒径:120nm):6部
シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ;平均粒子サイズ100nm):2部
シクロヘキサノン:110部
メチルエチルケトン:100部
トルエン:100部
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:1部
1−2.非磁性層塗布液処方
非磁性無機質粉体(α−酸化鉄):85部
表面処理剤:Al23、SiO2
長軸径:0.05μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m2/g
pH8、DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック:20部
DBP吸油量:120ml/100g
pH:8
BET比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂(官能基:−SO3Na、官能基濃度:180eq/t):15部
フェニルホスホン酸:3部
α−Al23(平均粒径0.2μm):10部
シクロヘキサノン:140部
メチルエチルケトン:170部
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:1部
1−3.磁気テープの作製
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60分間混練した後、ジルコニアビ−ズ(粒径0.5mmまたは0.1mm)を用いたサンドミルで720〜1080分間分散した。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)を6部加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を調製した。
上記非磁性層塗布液を、厚さ5μmのポリエチレンナフタレートベース上に乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し、100℃で乾燥させた。更にその直後に磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.08μmになるようにウェットオンドライ塗布し、100℃で乾燥した。この時、磁性層が未乾燥の状態で300mT(3000ガウス)の磁石で垂直磁場配向を行った。更に、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い1/2インチ幅にスリットし磁気テープを作製した。
[実施例6]
強磁性粉末として、参考例15の磁性粉末100部を使用した点以外、実施例と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例7]
磁性層成分からコロイダルシリカを除いた点以外、実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例8]
磁性層成分として、コロイダルシリカ20部に代えて、平均粒子サイズ15nmのカーボンブラック20部を使用した点以外、実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例9]
磁性層成分から2,3−ジヒドロキシナフタレンを除いた点以外、実施例8と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例10]
磁性層成分から2,3−ジヒドロキシナフタレンを除いた点以外、実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例11]
強磁性粉末として、参考例16の磁性粉末100部を使用した点以外、実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
[実施例12]
強磁性粉末として、参考例17の磁性粉末100部を使用した点以外、実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
磁気テープの評価方法
(1)磁気特性
磁気テープの保磁力Hcを、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。結果を表9に示す。
(2)磁性層表面粗さRa
原子間力顕微鏡(AFM:DIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPE III)を用い、コンタクトモードで磁性層表面について40μm×40μmの面積を測定し、中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。結果を表9に示す。
(3)摩擦係数の測定
磁気テープの磁性層表面を、10mm/secの速度でAFMにより測定された中心線平均表面粗さRaが5nmの円筒SUS棒に対して加重100gで繰り返し100往復摺動したときの摩擦係数(μ値)を求めた。結果を表9に示す。表9中、「貼りつき」と記載したものは、摩擦係数が高すぎて上記円筒SUS棒が磁性層表面に貼りついてしまい、往復摺動が困難であったことを意味する。
評価結果
先に説明したように、保磁力が低いほど小さな外部磁場で記録を行うことができるため、記録性(記録のしやすさ)の点で有利である。参考例14〜17で調製した磁性粉末はすべて、原料BaFeと比べて低い保磁力を示したことから、参考例14〜17で行った処理によって記録性が改善されたことが確認できる。また、前述の通り、参考例14〜17の磁性粒子は六方晶フェライト構造を有するものであるため、当該構造に起因する高い熱的安定性を有するものでもある。即ち、参考例14〜17の磁性粉末は、高い熱的安定性と良好な記録性を有するものである。
一方、スペーシング変動による電磁変換特性の低下を抑制する観点からは、走行耐久性を維持できる範囲で磁性層表面の表面粗さは低いことが好ましい。この点から好ましい磁性層表面粗さは、前記方法で測定される表面粗さRaとして、1.0〜2.0nmの範囲である。表9に示すように、実施例5において、強磁性粉末は同じであるが2,3−ジヒドロキシナフタレンも含まない実施例9、10と比べて、磁性層表面の平滑性を高めることができ、上記好ましい表面粗さRaを実現できたことは、前記表面改質剤が優れた分散性向上効果を発揮することを示す結果である。ただし、磁性層成分として2,3−ジヒドロキシナフタレンとカーボンブラックを含む実施例8では、強磁性粉末は同じであるが摩擦係数低減成分としてコロイダルシリカを含む実施例5と比べて磁性層表面平滑性が大きく低下したことから、前記表面改質剤は、カーボンブラックと併用されると十分な分散性向上効果を発揮することができないことが確認できる。
また、磁性層成分としてコロイダルシリカを含まない実施例7では摩擦係数の測定時に往復摺動が困難であったことから、走行耐久性を向上するためには摩擦係数低減成分が不可欠であることも確認できる。実施例11、12において、磁性粉末が異なる点で相違する実施例5、6と比べて表面平滑性が低下した理由は、磁性粉末が炭素成分を含むため、前記表面改質剤による分散性向上効果を十分に得ることができなかったことによるものと考えられる。
本発明の目的は先に説明した通り、高い熱的安定性を有する磁性粒子を磁性層に含む、優れた記録性を有する塗布型磁気記録媒体を提供することであり、これは硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子を強磁性粉末として使用することにより達成することができる。これに加えて優れた表面平滑性と摩擦特性を兼ね備えた磁気記録媒体を得るためには、前記表面改質剤を炭素成分が検出されない磁性粉末に適用するとともに、摩擦係数低減成分としての非磁性無機粒子と併用することが好ましいことが、実施例5、6と実施例7〜12との対比により確認された。
本発明の磁気記録媒体は、長期にわたり高い信頼性を有することが求められるバックアップテープとして最適である。

Claims (22)

  1. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
    前記硬磁性粒子は、六方晶フェライトであることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
    前記軟磁性体は、遷移金属および遷移金属と酸素との化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記化合物はアルカリ土類金属を含まない、請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記化合物に含まれる遷移金属はコバルトである、請求項2または3に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記化合物はCoHO2である、請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
    前記磁性粒子は、前記硬磁性粒子であるコアの表面に被覆層として前記軟磁性体が被着したコア/シェル構造を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
    前記磁性粒子は、溶液中での軟磁性体前駆体被着処理および該前駆体を軟磁性体に転換する熱処理を経て得られた磁性粒子であることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 前記磁性粒子は、80kA/m以上240kA/m未満の範囲の保磁力を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記磁性粒子は、4.0×10-2〜2.2A・m2/gの範囲の飽和磁化を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記磁性粒子は、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に炭素成分が存在する請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記磁性粒子は、最表層に炭素成分が存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  12. 前記磁性粒子は、X線回折分析により炭素成分に由来するピークが検出されない磁性粒子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  13. 前記磁性層は、摩擦係数低減成分を更に含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  14. 前記摩擦係数低減成分は非磁性無機粒子であり、前記磁性層は水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基が芳香環に直接置換してなる芳香族化合物を更に含む請求項13に記載の磁気記録媒体。
  15. 前記磁性層はカーボンブラックを含まない請求項14に記載の磁気記録媒体。
  16. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末が、硬磁性粒子表面に該硬磁性粒子と交換結合した状態で軟磁性体が被着してなる磁性粒子からなり、
    前記磁性層は、非磁性無機粒子と、芳香族化合物と、を含み、かつカーボンブラックを含まず、
    前記芳香族化合物は、芳香環としてナフタレン環またはビフェニル環のみを含み、かつ該ナフタレン環またはビフェニル環に水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される置換基の1つまたは2つが直接置換してなる芳香族化合物であることを特徴とする磁気記録媒体。
  17. 前記磁性層は、前記非磁性無機粒子とは異なる粒状物質(ただしカーボンブラックを除く)を更に含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  18. 前記非磁性無機粒子は無機酸化物コロイド粒子である請求項14〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  19. 前記無機酸化物コロイド粒子はシリカコロイド粒子である請求項18に記載の磁気記録媒体。
  20. 前記芳香族化合物は、ジヒドロキシナフタレンである請求項14〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  21. 前記磁性粒子は、軟磁性体が被着した硬磁性粒子上に酸化物層を有する請求項1〜20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  22. 前記硬磁性粒子は、六方晶フェライトである請求項2〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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