[go: up one dir, main page]

JP5297808B2 - マスターバッチおよびその製造方法 - Google Patents

マスターバッチおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5297808B2
JP5297808B2 JP2008539867A JP2008539867A JP5297808B2 JP 5297808 B2 JP5297808 B2 JP 5297808B2 JP 2008539867 A JP2008539867 A JP 2008539867A JP 2008539867 A JP2008539867 A JP 2008539867A JP 5297808 B2 JP5297808 B2 JP 5297808B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
master batch
masterbatch
kneading
ethylene
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008539867A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008047867A1 (ja
Inventor
龍蔵 友松
眞一 中村
田中  勉
嘉則 山森
亮 芦川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Lion Idemitsu Composites Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Lion Idemitsu Composites Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp, Lion Idemitsu Composites Co Ltd filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP2008539867A priority Critical patent/JP5297808B2/ja
Publication of JPWO2008047867A1 publication Critical patent/JPWO2008047867A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5297808B2 publication Critical patent/JP5297808B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/04Homopolymers or copolymers of ethene
    • C08L23/08Copolymers of ethene
    • C08L23/0807Copolymers of ethene with unsaturated hydrocarbons only containing four or more carbon atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/04Homopolymers or copolymers of ethene
    • C08L23/06Polyethene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/10Homopolymers or copolymers of propene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2205/00Polymer mixtures characterised by other features
    • C08L2205/02Polymer mixtures characterised by other features containing two or more polymers of the same C08L -group

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明はポリオレフィン樹脂用のマスターバッチおよびその製造方法に関する。具体的には、主に自動車の内外装材に用いられるポリオレフィン成形体の製造に用いられるマスターバッチおよびその製造方法に関する。
ポリオレフィン樹脂の中でもポリプロピレン系樹脂は、剛性や衝撃強度に優れ、広く使用されている。特に、自動車用材料として、ポリプロピレン系樹脂からなる組成物を射出成形等によって得られた成形品が多用されている。自動車用材料としての成形品には、剛性、耐衝撃強度等の機械的特性や優れた外観などが求められるが、同時に自動車メーカーからは一層の価格低減が要求されている。そのため、成形時における低コスト化も重要な課題となっている。
例えば、コンパウンディングコストを低減する技術として、高機能フィラーマスターバッチ工法と、ダイレクトインラインコンパウンド工法が提案されている(非特許文献1参照)。高機能フィラーマスターバッチ工法では、複数の部品に対応した材料を供給でき、成形工場全体の合理化が可能である。また、ダイレクトインラインコンパウンド工法は、ポリプロピレン樹脂製造ラインを活用した大量生産により大幅なコストダウンが可能である。
一方、タルク等のフィラーを高充填したマスターバッチ(MB:Master Batch)に関する技術としては、耐衝撃性を改良するためにゴム成分を配合したMBや(特許文献1参照)、同じく耐衝撃性を改良するためにポリエチレン系樹脂を配合したMB(特許文献2参照)、あるいは、MBの耐ブロッキング性を改良するために結晶性ポリプロピレン樹脂を少量配合したMB(特許文献3参照)が提案されている。
未来材料 第5巻第10号(9頁) 特許第3320031号公報 特開平10−139949号公報 特開2002−69204号公報
しかしながら、非特許文献1における高機能フィラーマスターバッチ工法では、コストダウン効果が十分ではなく、ダイレクトインラインコンパウンド工法では大幅なコストダウン効果は可能であっても、その長所がそのまま欠点となり、多用途に対応困難であるという問題がある。
また、特許文献1の技術では、高濃度のタルク入りMBを提供できるが、ゴム成分が多いため、MBペレット同士がブロッキングするという問題がある。また、MBペレット同士の滑性が悪くいわゆる流動性にも問題がある。特許文献2の技術にも同様の問題が残っており、特許文献3の技術でも耐ブロッキング性の改良が十分ではない。
具体的には、原料を混合・溶融混練してMBを製造した後、いわゆるキャッチャータンクにペレットを一時的に捕集することが多いが、この際のブロッキングが問題となっている。また、MBペレットをキャッチャータンクから抜き出して、フレキシブルコンテナ等(例えば、500kg袋)に保管した後にも、ブロッキングが生じることがある。さらに、射出成形ラインに組み込まれた乾燥機内では、高温状態で高荷重がかかるためにブロッキングが生じやすい環境となっており、ホッパー内におけるブロッキングも問題となる。そして、ホッパーから定量フィーダーでMBペレットを供給する際に、計量部の回転板でMBペレットがこすれて、削れ物が回転板に付着するといういわゆる耐削れ性も問題となる。
そこで、本発明は、十分なコストダウンに貢献できるとともに、耐ブロッキング性、流動性、耐けずれ性に優れたポリオレフィン樹脂用マスターバッチおよびその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のように構成される。
(1)下記の(a)〜(d)成分を含むことを特徴とするマスターバッチであって、
(a)密度が0.85〜0.88g/cm、MIが0.1〜50g/10min(190℃、21.18N)、融点が30〜70℃であるエチレン共重合体A
(b)密度が0.905〜0.915g/cm、MIが0.1〜50g/min(190℃、21.18N)、融点が90〜130℃であるエチレン共重合体Bおよび/またはエチレン単独重合体
(c)MIが1〜1000g/10min(230℃、21.18N)であるポリプロピレン系樹脂
(d)一次粒子径が1〜10μmである無機充填材
前記(a)〜(d)成分の混合割合(質量比)が、以下の通りであることを特徴とするマスターバッチ。
((a)+(b)+(c))/((a)+(b)+(c)+(d))=0.3〜0.8
(a)/((a)+(b)+(c))=0.35〜0.65
((a)+(b))/((a)+(b)+(c))=0.5〜1
(b)/((b)+(c))=0.15〜1
(b)/((a)+(b)+(c))=0.1〜0.6
(2)前記(1)に記載のマスターバッチにおいて、(c)成分がホモポリプロピレン部とオレフィン共重合部とから構成されるブロックポリプロピレン樹脂であることを特徴とするマスターバッチ。
(3)前記(1)または(2)に記載のマスターバッチにおいて、(d)成分がタルクであることを特徴とするマスターバッチ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のマスターバッチを、2軸部、混練部および短軸押し出し部を備える連続式2軸混練機を用いて製造する方法であって、前記連続式2軸混練機は、前記2軸部のスクリューのL/Dがともに12〜34の範囲にあって互いに非噛み合いの異方向回転方式であり、前記混練部の断面が2条翼のロータ形状を有するともに、ロータのL/Dが6〜18であり、前記混練部の川下側端部には混練度を調整するために混練溶融物の流路断面積を可変可能とするオリフィスが配置されるとともに、オリフィスを通過した後は、前記混練溶融物が前記短軸押し出し部に供される構造を備え、前記混練部における溶融樹脂の剪断速度を、下記式で示される範囲に設定することを特徴とするマスターバッチの製造方法。
600×(38/D)〜2000×(38/D) (sec−1
(ここで、Dは、混練部におけるスクリュー径(mm)である。)
本発明のマスターバッチは、マスターバッチ自体の耐ブロッキング性や流動性さらには耐けずれ性にも優れている。
特にマスターバッチの各原料を前記した所定の混合比とすることで、耐ブロッキング性および耐衝撃性といういわゆるトレードオフの関係にある物性をともに著しく改良でき、さらに、流動性および耐削れ性にいっそう優れた無機充填材含有マスターバッチを提供できる。従来、マスターバッチの耐衝撃性を維持しながら耐ブロッキング性を改良する方法としてポリプロピレン樹脂(ブロックPP)をブレンドする方法が知られているが(例えば、前記特許文献3)、ブロックPP中の共重合成分(EP部)が耐ブロッキング性を悪化させるという問題があった。本発明では、特に(b)成分として特定の密度範囲を有するエチレン共重合体Bを特定量配合することにより耐衝撃性と耐ブロッキング性のバランスのとれたマスターバッチを提供するものである。
そして、前記した特定の連続式2軸混練方法を用いることにより、本発明のマスターバッチを効率的に製造できる。
また、このようなマスターバッチを用いて、生産性に優れた安価な汎用ポリプロピレン樹脂(希釈用PP樹脂)と混合することで、コストダウン効果および耐衝撃性に優れたインストルメントパネルやドアパネル等の自動車部品を提供することが可能となる。
本発明の実施例において、キャッチャータンクからのマスターバッチ取り出し状況を示す図。 前記実施例において、マスターバッチのブロッキングの状態を示す図。 前記実施例において、耐削れ性の評価方法を示す図。 前記実施例において、耐削れ性の評価方法を示す図。 前記実施例において、耐削れ性の評価方法を示す図。 前記実施例において、耐けずれ性の評価結果の一例を示す図。 前記実施例において、耐けずれ性の評価結果の一例を示す図。
本発明のマスターバッチは、(a)成分である低密度0.85〜0.88g/cmのエチレン共重合体Aと、(b)成分である密度0.895〜0.925g/cmのエチレン共重合体Bおよび/またはエチレン単独重合体と、(c)成分であるポリプロピレン系樹脂と、(d)成分である無機充填材とを含んで構成される。
以下、これらについて詳細に説明する。
〔マスターバッチの構成〕
(a)成分:
本発明の(a)成分であるエチレン共重合体Aは、耐衝撃性向上の点でエチレン系熱可塑性エラストマーと呼ばれるものが好適である。このようなエラストマーの具体例としては、エチレン・α−オレフィン共重合体が耐衝撃性付与の点で好ましい。
コモノマーのα−オレフィンとしては炭素数が4〜15のものが好ましく、より好ましくは4から12である。炭素数が3のプロピレンを用いたエチレン−プロピレン共重合体(例えば、EPM)では、耐衝撃性が不足して好ましくない。
このようなエチレン共重合体Aの密度は0.85〜0.88g/cmであり、好ましくは0.855〜0.875g/cmである。密度が0.85g/cmを下回るとマスターバッチのブロッキングが起こりやすくなり、また耐削れ性も悪化する。また、密度が0.88g/cmを越えると、耐衝撃性が十分得られない。
また、エチレン共重合体AのMI(190℃、21.18N)は、0.1〜50g/10minであり、好ましくは0.5〜40g/10minである。MIが0.1g/10min未満では分散性が悪くなり、耐衝撃性が得られない。また、マスターバッチ製造の際の混練時に樹脂温が上昇しやすくなり、例えばキャッチャータンク内でマスターバッチのブロッキングが起こるおそれがある。いっぽう、MIが50g/10minを越えると、例えば射出成形ラインでマスターバッチがブロッキングを起こしたり、マスターバッチの流動性が悪くなる。さらにはマスターバッチの耐削れ性も悪化する。
さらに、エチレン共重合体Aの融点は、30〜70℃であることが必要であり、好ましくは35〜65℃である。融点が30℃未満の重合体を用いるとマスターバッチがブロッキングしやすくなり、さらにマスターバッチの耐削れ性も悪化する。また、融点が70℃を越えると耐衝撃性が得られない。
このような(a)成分としてのエチレン共重合体Aは、例えば、バナジウム化合物とアルキルアルミニウム化合物からなる錯体や、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物とアルキルアルミニウム−マグネシウムからなる錯体のようなチーグラー系触媒により好適に製造できる。また、国際公開WO91/04257号公報等に記載されているメタロセン触媒(カミンスキー触媒)等により重合することもできる。重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。
(b)成分:
本発明の(b)成分は、密度0.895〜0.925g/cmのエチレン共重合体Bおよび/またはエチレン単独重合体であるが、マスターバッチの耐衝撃性と耐ブロッキング性を高いレベルで改良するためにエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体の場合は、α−オレフィンとして炭素数が4〜15のものが好ましく、より好ましくは4から12である。炭素数が3のプロピレンを用いたエチレン−プロピレン共重合体では、耐衝撃性が不足するため好ましくない。
このようなエチレン共重合体Bあるいはエチレン単独重合体の密度は0.895〜0.925g/cmであり、好ましくは0.9〜0.92g/cm、さらに好ましくは0.905〜0.915g/cmである。密度が0.895g/cmを下回ると、例えば、マスターバッチ製造ラインのキャッチャータンク内でブロッキングを起こしやすくなる。また、射出成形ラインでもマスターバッチの流動性が悪化してブロッキングを起こしやすくなる。さらに、マスターバッチの耐削れ性も悪化する。一方、密度が0.925を越えると、耐衝撃性が悪化するため好ましくない。
また、エチレン共重合体Bあるいはエチレン単独重合体のMI(190℃、21.18N)は、0.1〜50g/10minであり、好ましくは0.5〜40g/10minである。MIが0.1g/10min未満では分散性が悪くなり、耐衝撃性が得られない。また、マスターバッチ製造の際の混練時に樹脂温が上昇しやすくなり、例えばキャッチャータンク内でマスターバッチのブロッキングが起こるおそれがある。一方、MIが50g/10minを越えると、耐衝撃性が得られない。
さらに、エチレン共重合体Bあるいはエチレン単独重合体の融点は、90〜130℃であることが必要である。融点が90℃未満の重合体であると、マスターバッチ製造ラインのキャッチャータンク内でブロッキングを起こしやすくなる。また、射出成形ラインでもマスターバッチの流動性が悪化してブロッキングを起こしやすくなる。さらに、マスターバッチの耐削れ性も悪化する。一方、融点が130℃を越えると耐衝撃性が得られない。
なお、驚くべきことに、このようなエチレン共重合体Bおよび/またはエチレン単独重合体を本発明における(b)成分として用いると、通常、当業者がマスターバッチの耐ブロッキング性改良に用いるいわゆるブロックポリプロピレン(ブロックPP)に比べて、マスターバッチの耐ブロッキング性および耐衝撃性をより向上させることができるのである。耐ブロッキング性の向上のためには、融点の高いホモPP、ブロックPPが用いられるが、本組成物では当業者の常識とは異なる樹脂を用いながら改良を達成している。
(b)成分のうち、エチレン共重合体Bは、例えば、チーグラー系触媒、フィリップス触媒、カミンスキー触媒等のイオン重合触媒の存在下、気相流動床法、溶液法、スラリー法、あるいは、圧力200kg/cm以上、温度150℃以上の高圧イオン重合等の製造プロセスを適用してエチレンとα‐オレフィンを共重合することにより製造することができる。このような共重合体はLLDPEとも呼ばれる。また、エチレン単独重合体は、高圧下で過酸化物の存在下にエチレンを単独で重合することにより、いわゆる高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)として製造することができる。
(c)成分:
本発明の(c)成分はポリプロピレン系樹脂であって、プロピレン単独重合体でもよいが、耐衝撃性向上の観点よりプロピレン−プロピレン/エチレン共重合体(ブロックPP)が好ましい。その製造方法は、特に限定されず、一般にポリプロピレン系樹脂製造に用いられる方法を使用できる。
また、ポリプロピレン系樹脂のMIは、1〜1000g/10minであり、好ましくは、3〜600である。MIが1g/10min未満では、マスターバッチ製造の際の混練時に樹脂温が上昇しやすくなり、例えばキャッチャータンク内でマスターバッチのブロッキングが起こるおそれがある。また、射出成形時の成形性が悪化する。一方、MIが1000g/10minを越えると、耐衝撃性が得られない。
(d)成分:
本発明の(d)成分は無機充填材であって、用いられる無機充填剤の形状については特に制限はなく、粒状,板状,棒状,繊維状,ウイスカー状など、いずれの形状のものも使用することができる。無機充填剤としては、例えばシリカ,ケイ藻土,バリウムフェライト,アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム酸化ベリリウム,軽石,軽石バルーンなどの酸化物,水酸化アルミニルム,水酸化マグネシウム,塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ドロマイト,ドーソナイトなどの炭酸塩,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,硫酸アンモニウム,亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク,クレー,マイカ,アスベスト,ガラス繊維,ガラスフレーク、ガラスバルーン,ガラスビーズ,ケイ酸カルシウム,モンモリロナイト,ベントナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物・ケイ酸塩およびその有機化物(有機化クレー)、カーボンブラック,グラファイト,炭素繊維,炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン,ボロン繊維,ホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,ホウ酸カルシウム,ホウ酸ナトリウム,マグネシウムオキシサルフェイト,各種金属繊維などを挙げることができる。
これらの無機充填剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。射出成形用のポリオレフィン樹脂組成物にあっては、これらの中で、タルク,マイカ,炭酸カルシウム,ガラス繊維が好ましく、特にタルクが好ましい。無機充填材の大きさとしては、得られる成形体の剛性,耐衝撃性,耐傷付き白化性,ウエルド外観,光沢ムラなどの物性の点から、レーザー法による平均粒径(一次粒子)が1〜10μm、好ましくは、3〜8μmのものが用いられる。平均粒径が1μm未満では、無機充填材の分散性が得られず、マスターバッチの外観が悪化するだけでなく耐衝撃性も得られない。一方、平均粒径が10μmを越えても耐衝撃性が得られず、また耐熱性も悪化する。さらに耐傷付き性も悪化する。なお、平均アスペクト比は、4以上のものが好適である。
また、無機充填材としてタルクを用いる場合、特に加工粉砕法により得られたものが、物性,剛性などの点でとりわけ好ましい。特に、タルクを圧縮脱気して、嵩比重を0.4〜1、好ましくは0.5〜0.9に高めたいわゆる圧縮タルクを使用することが好ましい。嵩比重が0.4未満であると、他の成分とタルクを一括ブレンドして溶融混練系にフィードする際にタルクの分級が起こりやすく、均一な組成のマスターバッチを得るのが困難となる。さらに、マスターバッチの生産性も悪化する。一方、嵩比重が1を越えると、マスターバッチ製造の際の混練時に樹脂温が上昇しやすくなり、例えばキャッチャータンク内でマスターバッチのブロッキングが起こるおそれがある。また、このような高比重の圧縮タルクは製造コストも高くなる。
前記した(a)〜(d)成分の配合比率(質量比)については、下記式で示されるXが0.3〜0.8の範囲にあることが必要である。
X=((a)+(b)+(c))/((a)+(b)+(c)+(d))
Xが0.3未満であると、相対的に耐衝撃性付与成分である(a)成分、(b)成分が不足し、例えば射出成形品としたときに耐衝撃性が得られない。一方、Xが0.8を越えるとマスターバッチの使用量が増え、コストダウン効果が得られない。Xとしては、0.35〜0.7の範囲にあることがより好ましい。
前記した(a)〜(c)成分の配合比率(質量比)については、下記式で示されるYが0.35〜0.65の範囲にあることが必要である。
Y=(a)/((a)+(b)+(c))
Yが0.35未満であると耐衝撃性が得られない。また、Xが0.65を越えると、マスターバッチがブロッキングしやすくなるとともに、マスターバッチの耐削れ性も悪化する。Yとしては、0.4〜0.6の範囲にあることがより好ましく、0.45〜0.55の範囲にあることがさらに好ましい。
前記した(a)〜(c)成分の配合比率(質量比)については、下記式で示されるZが0.5〜1の範囲にあることが必要である。
Z=((a)+(b))/((a)+(b)+(c))
Zが0.5未満であると耐衝撃性が得られない。Zとしては、0.6〜1の範囲にあることがより好ましく、0.7〜1の範囲にあることがさらに好ましい。
前記した(a)〜(c)成分の配合比率(質量比)については、さらに下記式で示されるW1が0.15〜1の範囲にあることが必要である。
W1=(b)/((b)+(c))
W1が0.15未満であると耐衝撃性が得られない。また、マスターバッチがブロッキングしやすくなるとともに、マスターバッチの耐削れ性も悪化する。W1としては、0.3〜1の範囲がより好ましく、0.4〜1の範囲がさらに好ましい。
前記した(a)〜(c)成分の配合比率(質量比)については、さらに下記式で示されるW2が0.1〜0.6の範囲にあることが必要である。
W2=(b)/((a)+(b)+(c))=0.1〜0.6
W2が0.1未満であると耐ブロッキング性、耐衝撃性が得られない。また、W2が0.6を越えると耐衝撃性が得られない。W2は、好ましくは0.15〜0.5であり、より好ましくは0.2〜0.4である。
〔マスターバッチの製造方法〕
前記したマスターバッチの製造方法は特に限定されないが、2軸部と、混練部と、短軸押し出し部とを備える連続式2軸混練機を用いることが好ましい。例えば、特開2005−335240号公報の図1に示されるような基本構造を有する連続式2軸混練機により、本発明のマスターバッチを好ましく製造できる。
具体的には、2軸部のスクリューのL/Dがともに12〜34の範囲にあって互いに非噛み合いの異方向回転方式であることが好ましい。また、混練部の断面が2条翼のロータ形状を有するともに、ロータのL/Dが6〜18であり、混練部の川下側端部には混練度を調整するために混練溶融物の流路断面積を可変可能とするオリフィスが配置されるとともに、オリフィスを通過した後は、前記混練溶融物が前記短軸押し出し部に供される構造を備えていることが好ましい。
このような連続式2軸混練機を用いた混練条件としては、混練部における溶融樹脂の剪断速度を、下記式で示される範囲に設定することが好ましい。
600×(38/D)〜2000×(38/D) (sec−1
(ここで、Dは、混練部におけるスクリュー径(mm)である。)
混練部における溶融樹脂のせん断速度がこの式の下限値より低すぎるとマスターバッチの混練度が不十分となり、耐衝撃性が悪化する。また、せん断速度がこの式の上限値よりも高すぎると、樹脂温度が上昇しすぎてキャッチャータンク内等でマスターバッチ(ペレット)同士のブロッキングが発生するおそれがある。
なお、混練部の設定温度は、80〜250℃が好ましく、120〜230℃がさらに好ましい。設定温度が80℃未満であると、混練が不安定となり生産性が低下するので好ましくない。また、設定温度が250℃を越えると樹脂温度が上昇しすぎてキャッチャータンク内等でマスターバッチ(ペレット)同士のブロッキングが発生するおそれがあるので好ましくない。
上述した本発明のマスターバッチは、最終的にポリオレフィン樹脂と混合・成形されて成形品となる。自動車分野においては、成形用ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(希釈用)が多用されており、本発明のマスターバッチは、ポリプロピレン樹脂と混合して成形する場合に最適である。
希釈用ポリプロピレン樹脂としては、エチレン・プロピレンランダム共重合部が3〜18質量%のブロックポリプロピレン樹脂を用いることが最終的な成形品の耐衝撃性向上の点で好ましい。
本発明のマスターバッチ(MB)と希釈用ポリプロピレン樹脂(PP)との混合比率は、MB:PP=15〜55質量%:85〜45質量%が好ましく、さらに好ましくは、MB:PP=20〜50質量%:80〜50質量%である。マスターバッチの比率が55質量%を越えるとコストダウン効果が低くなり、マスターバッチの比率が15質量%未満であるとマスターバッチによる改質効果が低下する。
本発明のマスターバッチとポリオレフィン樹脂との混合物には、さらに各種のプラスチック用添加剤、顔料、架橋剤・分解剤、難燃剤等も併用可能である。
プラスチック用添加剤としては、一般にプラスチックに使用されている顔料、架橋剤、分解剤、軟化剤、離型剤はもとより、抗菌・抗カビ・防虫剤、難燃剤、発泡剤、脱臭剤、滑剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、金属粉、セラミック粉等を挙げることができる。金属粉としては、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス等の金属粉が挙げられる。セラミック粉としては、例えばジルコニア、アルミナ等の酸化物系のセラミック粉が挙げられる。
顔料は、有機顔料および無機顔料の1種以上を用いることができ、有機顔料としては、アゾレーキ、ハンザ系、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系、ピラゾロン系、イエロー系、レッド系等のアゾ系顔料;フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系等の多環系顔料およびアニリンブラック等を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等の無機顔料およびカーボンブラックを挙げることができる。
架橋剤、分解剤としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソブロビル)ベンゼン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの有機過酸化物を挙げることができる。
抗菌・抗カビ・防虫剤としては、チオスルファミド、チオフタルイミド、ビスツェノキシアルシン、チアベタゾール、アミノベンズイミダゾールなどの化合物およびその誘導体等が挙げられる。
難燃剤としては、酸化アンチモン、有機リン酸エステル、クロレンド酸、テトラブロモ無水フタル酸、リン原子やハロゲン原子を含むポリオールなどの化合物が挙げられる。
発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、ジニトロソテトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、スルフォニルヒドラジド、スルフォニルセミカルハジドなどの化合物およびその誘導体等が挙げられる。
また、本発明のマスターバッチを混合するポリオレフィン樹脂には、ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合してもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アイソタクティックポリスチレン、シンジオタクタクティックポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)などのポリアクリルニトリル系樹脂;ポリメタクリレート系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンスルフォン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クロマン・インデン系樹脂、石油樹脂、などが挙げられる。なお、これら熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これら熱可塑性樹脂の配合量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが望ましい。0.1質量部未満では、熱可塑性樹脂による改良効果が得られない。また100質量部を越えると、ポリオレフィン樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)としての特徴が失われる。
さらに、成形時には、必要に応じて、従来公知の発泡剤、結晶核剤、耐侯安定剤や耐熱安定剤や光安定剤(以下、安定剤という)、紫外線吸収剤,光安定剤,耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤,難燃剤,合成油,ワックス、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロックング剤、粘度調製剤、着色防止剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤,酸化防止剤、粘着防止剤などの添加剤を配合してもよい。また、安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤および高級脂肪酸の金属塩が挙げられ、これらを成形用樹脂混合物(MBおよび希釈用ポリオレフィン樹脂)100質量部に対して、0.001〜10質量部の量で配合してもよい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
具体的には、用途の異なる2種類のマスターバッチ(インストルメントパネル用MB、ドアパネル用MB)を製造し、耐ブロッキング性、流動性および耐削れ性について評価した。さらに、各マスターバッチを希釈用樹脂と混合して射出成形を行い、成形品の物性を評価した。
〔使用原料〕
(a)成分:
エチレン共重合体Aとして、以下の3種を使用した
・ENR7447(デュポンダウエラストマ−(株)製 エチレン・ブテン-1共重合体)
密度:0.865g/cm、融点:42℃、MI:5g/10min
・ENR7467(デュポンダウエラストマ−(株)製 エチレン・ブテン-1共重合体)
密度:0.862g/cm、融点:36℃、MI:1.2g/10min
・EG8200(デュポンダウエラストマ−(株)製 エチレン・オクテン-1共重合体)
密度:0.870g/cm、融点:60℃、MI:5g/10min
(b)成分:
エチレン共重合体Bとして、以下の2種を使用した
・1018G((株)プライムポリマ−製)
密度:0.910g/cm、融点:117℃、MI:8g/10min
(エチレン・オクテン−1共重合体)
・EG8540(デュポンダウエラストマ−(株)製)
密度:0.908g/cm、融点:103℃、MI:1g/10min
(エチレン・オクテン−1共重合体)
なお、比較用として以下のエチレン共重合体を用いた。
・EG8401(デュポンダウエラストマ−(株)製)
密度:0.885g/cm、融点:78℃、MI:30g/10min
(エチレン・オクテン−1共重合体)
(c)成分:
ポリプロピレン系樹脂として、以下の3種のブロックPPを用いた。いずれも気相重合品である。
・PP−1
MI:12g/10min、EP共重合部:16質量%
・PP−2
MI:30g/10min、EP共重合部:20質量%
・PP−3
MI=30のホモPP
・PP−4
MI:3g/10min、EP共重合部:20質量%
(d)成分:
タルクとして、以下の2種を用いた。
・MW UPN TT(林化成(株)製)
レーザー法による平均粒径:8μm、嵩比重:0.5の圧縮タルク(脱気タルク)
・MW UPN TT08(林化成(株)製)
レーザー法による平均粒径:5μm、嵩比重:0.8の圧縮タルク(脱気タルク)
〔原料の性状測定法〕
各原料の密度、融点およびMIの測定法は以下の通りである。
・密度:JIS K 7112に準拠して測定した。
・融点:JIS K 7121に準拠して測定した。
・MI:JIS K 7210に準拠して測定した。
〔マスターバッチ製造装置および製造方法〕
シーティーイー社製HTM型2軸連続混練押出機φ65を用いて、以下の2通りの方法でマスターバッチを製造した。
(製造例1)
・2軸部のL/D:28
・混練部のL/D:12
・混練部のせん断速度:400sec−1
・混練部の設定温度:210℃
(製造例2)
・2軸部のL/D:28
・混練部のL/D:9
・混練部のせん断速度:300sec−1
・混練部の設定温度:190℃
〔マスターバッチの評価法〕
(1)耐ブロッキング性(流動性)
マスターバッチの耐ブロッキング性(MBコンパウンド間の固着性)とマスターバッチの流動性(MBコンパウンド自身の流動性)には相関があるため、評価項目としては、以下に示すように「耐ブロッキング性」として統一した。具体的には、下記に示すA法〜D法の4通りの試験を行って評価した。
A法:(混練製造ラインにおける評価)
前記した製造例により溶融混練後のストランドを冷却水槽で冷却したのちペレタイザ−によりマスターッチをペレット化してキャッチャータンクで捕集した。捕集開始から約3時間85℃の熱風により圧空輸送した後に排出し500kg入りのフレキシブルコンテナに梱包した。この際にブロッキング物の発生の有無、およびタンクからの排出性により評価を行った。
キャッチャータンクからのマスターバッチ抜き出し状況を図1に示す。また、マスターバッチに生じたブロッキングの状況を図2に示す。
図2のようなブロッキングが発生せず、図1のように円滑にMBを抜き出せた場合をA、ブロッキングが生じ、抜き出しが円滑に行えない場合Bとした。
B法:(ブロッキング性の簡易試験)
本法は、混練直後の500Kgフレコンの2段積み時のブロッキングを近似的に再現するものである。
46mmφの内径の金属パイプにマスターバッチ(ペレット)を充填して縦に置き、充填されたマスターバッチに対し19.6N(2kgf)の荷重をかけた(0.12kgf/cm)。そして、45℃で3日間静置した。その後、この金属パイプを持ち上げたときに、マスターバッチが自重で落下するか、あるいは金属パイプを、2、3回軽くたたくことにより簡単にほぐれて落下した場合をAと評価した。また、マスターバッチ同士が固着しており、金属パイプをたたいても落下しない場合をBと評価した。
C法:(25kg袋による簡易試験)
マスターバッチ(ペレット)を25kg袋に充填し、袋を立てた状態で80℃、12日間放置した。その後、袋を開封し、MBペレットのブロッキング状態を観察した。図2に見られるようなブロッキングが全く発生していないものをAとし、ブロッキングの発生が見られたものをBとした。
D法:(射出成形ラインを想定した簡易試験)
46mmφの内径の金属パイプにマスターバッチ(ペレット)を充填して縦に置き、充填されたマスターバッチに対し9.8N(1kgf)の荷重をかけた(0.06kgf/cm)。そして、80℃で12時間静置した。その後、この金属パイプを持ち上げたときに、マスターバッチが自重で落下するか、あるいは金属パイプを、2、3回軽くたたくことにより簡単にほぐれて落下した場合をAと評価した。また、マスターバッチ同士が固着しており、金属パイプをたたいても落下しない場合をBと評価した。
(2)耐削れ性
射出成形ラインを想定して、マスターバッチの耐削れ性を評価した。
図3A及び図3Bに示すように、300gの自重を有する穴付き錘の穴部に17gのマスターバッチ(ペレット)を仕込み、ペレット表面を電着塗板にあてがい、手動で3往復させて(図3C)、電着塗板へのペレットの付着状況を目視で評価した。具体的には、図4Aに示すようにペレットから削れた樹脂の付着が目視で目立たないものをA、図4Bに示すようにペレットから削れた樹脂の付着が目視で目立つものをBとした。
〔実施例1〕
(実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−7)
前記した原料を用い、インストルメントパネル成形用に用いることを前提として、製造例1によりマスターバッチを製造し、前記した各評価を行った。原料処方および評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005297808
注)原料には、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティー社製)を0.2質量部添加した。
Figure 0005297808
注)原料には、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティー社製)を0.2質量部添加した。
〔実施例2〕
(実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−4)
前記した原料を用い、ドアパネル成形用に用いることを前提として、製造例2によりマスターバッチを製造し、前記した各評価を行った。原料処方および評価結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005297808

注)原料には、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティー社製)を0.2質量部添加した。
Figure 0005297808

注)原料には、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティー社製)を0.2質量部添加した。
〔実施例3〕
実施例1により製造された各マスターバッチを用いて、自動車用インストルメントパネル成形を前提とする混合樹脂を射出成形により成形して物性を評価した。希釈用原料としては、MIが30g/10min、共重合部の含有量が11質量%であるブロックPP(気相重合品)を用いた。
用いた射出成形機および成形条件は以下の通りである。
射出成形機:日精樹脂工業(株)製 FE120
成形条件:
成形温度:220℃、射出時間:10秒、背圧:10%、射出速度:50%
射出圧:15%、型温度:50℃、冷却時間:20秒、ミキシングノズル:有り
また、射出成形品の物性として、MI、IZOD衝撃強度および曲げ弾性率を測定した。各物性の測定法は以下の通りである。なお、MIの目標値は20g/10min、IZOD衝撃強度の目標値(最低基準値)は、20KJ/m、曲げ弾性率の目標値(最低基準値)は2350MPaである。
・MI:JIS K 7210に準拠して測定した(230℃、21.18N)。具体的には、角板(80×80×30mm)を切削して試料とした。
・IZOD:ASTM D−256に準拠して測定した。
・曲げ弾性率:ASTM D−790に準拠して測定した(スパン:60mm、曲げ速度:5mm/min)。
原料処方および評価結果を表5及び表6に示す。
Figure 0005297808
Figure 0005297808
〔実施例4〕
実施例2により製造された各マスターバッチを用いて、自動車用ドアパネル成形を前提とする混合樹脂を射出成形により成形して物性を評価した。原料処方および評価結果を表7及び表8に示す。なお、希釈用原料、射出成形機、成形条件および評価方法は、実施例3と同じである。なお、MIの目標値は20g/10min、IZOD衝撃強度の目標値(最低基準値)は、20KJ/m、曲げ弾性率の目標値(最低基準値)は1650MPaである。
Figure 0005297808
Figure 0005297808
〔評価結果〕
実施例1、2より、本発明のマスターバッチ(実施例1−1〜1−6および2−1〜2−4)は、いずれも耐ブロッキング性(流動性)および耐けずれ性に優れていることがわかる。さらに、実施例3、4より、本発明のマスターバッチを希釈用PPに混合して射出成形した成形品は、いずれも耐衝撃性に優れていることがわかる。
一方、比較例1−1〜1−7および2−1〜2−4については、比較例1−3を除いていずれも耐ブロッキング性または耐削れ性に劣っている。また、比較例1−3のマスターバッチを希釈用PPに混合して得られた成形品は、表6の比較例3−3に示すようにIZOD衝撃強度が12KJ/mと極めて低く、耐衝撃性に非常に劣っていることがわかる。
本発明は、自動車の内外装材に用いられるポリオレフィン成形体の製造に用いられるマスターバッチおよびその製造方法として好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 下記の(a)〜(d)成分を含むことを特徴とするマスターバッチであって、
    (a)密度が0.85〜0.88g/cm、MIが0.1〜50g/10min(190℃、21.18N)、融点が30〜70℃であるエチレン共重合体A
    (b)密度が0.905〜0.915g/cm、MIが0.1〜50g/min(190℃、21.18N)、融点が90〜130℃であるエチレン共重合体Bおよび/またはエチレン単独重合体
    (c)MIが1〜1000g/10min(230℃、21.18N)であるポリプロピレン系樹脂
    (d)一次粒子径が1〜10μmである無機充填材
    前記(a)〜(d)成分の混合割合(質量比)が、以下の通りであることを特徴とするマスターバッチ。
    ((a)+(b)+(c))/((a)+(b)+(c)+(d))=0.3〜0.8
    (a)/((a)+(b)+(c))=0.35〜0.65
    ((a)+(b))/((a)+(b)+(c))=0.5〜1
    (b)/((b)+(c))=0.15〜1
    (b)/((a)+(b)+(c))=0.1〜0.6
  2. 請求項1に記載のマスターバッチにおいて、
    (c)成分がホモポリプロピレン部とオレフィン共重合部とから構成されるブロックポリプロピレン樹脂であることを特徴とするマスターバッチ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のマスターバッチにおいて、
    (d)成分がタルクであることを特徴とするマスターバッチ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のマスターバッチを、2軸部、混練部および短軸押し出し部を備える連続式2軸混練機を用いて製造する方法であって、
    前記連続式2軸混練機は、
    前記2軸部のスクリューのL/Dがともに12〜34の範囲にあって互いに非噛み合いの異方向回転方式であり、
    前記混練部の断面が2条翼のロータ形状を有するともに、ロータのL/Dが6〜18であり、
    前記混練部の川下側端部には混練度を調整するために混練溶融物の流路断面積を可変可能とするオリフィスが配置されるとともに、オリフィスを通過した後は、前記混練溶融物が前記短軸押し出し部に供される構造を備え、
    前記混練部における溶融樹脂の剪断速度を、下記式で示される範囲に設定することを特徴とするマスターバッチの製造方法。
    600×(38/D)〜2000×(38/D) (sec−1
    (ここで、Dは、混練部におけるスクリュー径(mm)である。)
JP2008539867A 2006-10-18 2007-10-18 マスターバッチおよびその製造方法 Active JP5297808B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008539867A JP5297808B2 (ja) 2006-10-18 2007-10-18 マスターバッチおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006283743 2006-10-18
JP2006283743 2006-10-18
JP2008539867A JP5297808B2 (ja) 2006-10-18 2007-10-18 マスターバッチおよびその製造方法
PCT/JP2007/070348 WO2008047867A1 (fr) 2006-10-18 2007-10-18 Mélange-maître et son procédé de production

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008047867A1 JPWO2008047867A1 (ja) 2010-02-25
JP5297808B2 true JP5297808B2 (ja) 2013-09-25

Family

ID=39314085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008539867A Active JP5297808B2 (ja) 2006-10-18 2007-10-18 マスターバッチおよびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5297808B2 (ja)
CN (1) CN101553523B (ja)
WO (1) WO2008047867A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011184520A (ja) * 2010-03-05 2011-09-22 Fujifilm Corp セルロース系樹脂組成物の製造方法
CN104086807A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种耐热耐磨电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086808A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种耐紫外线电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086812A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种防锈蚀电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086811A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种耐储存电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086809A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种耐水抗老化电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086806A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种耐曲饶电容器薄膜专用填料及其制备方法
CN104086813A (zh) * 2014-07-01 2014-10-08 安徽江威精密制造有限公司 一种抗紫外线电容器薄膜专用填料及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10139949A (ja) * 1996-11-07 1998-05-26 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂成形体の製造方法
JP2002003667A (ja) * 2000-06-23 2002-01-09 Japan Polychem Corp ポリプロピレンマスターバッチ及びそれを用いた成形方法
JP2002069204A (ja) * 2000-08-24 2002-03-08 Japan Polychem Corp 高濃度タルクマスターバッチ
JP2003171472A (ja) * 2001-12-05 2003-06-20 Japan Polychem Corp マスターバッチ及びそれを用いた成形品の製造方法
JP2005178146A (ja) * 2003-12-18 2005-07-07 Calp Corp 自動車用部品の成形方法
JP2005335240A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Calp Corp 二軸連続式混練装置及びそれを用いた混練方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1153978B1 (en) * 1999-11-11 2004-03-10 Japan Polychem Corporation Propylene resin composition and method for molding the same
CN1190303C (zh) * 2002-01-25 2005-02-23 江苏石油化工学院 一种双转子连续混炼机的转子
JP2006193643A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10139949A (ja) * 1996-11-07 1998-05-26 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂成形体の製造方法
JP2002003667A (ja) * 2000-06-23 2002-01-09 Japan Polychem Corp ポリプロピレンマスターバッチ及びそれを用いた成形方法
JP2002069204A (ja) * 2000-08-24 2002-03-08 Japan Polychem Corp 高濃度タルクマスターバッチ
JP2003171472A (ja) * 2001-12-05 2003-06-20 Japan Polychem Corp マスターバッチ及びそれを用いた成形品の製造方法
JP2005178146A (ja) * 2003-12-18 2005-07-07 Calp Corp 自動車用部品の成形方法
JP2005335240A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Calp Corp 二軸連続式混練装置及びそれを用いた混練方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008047867A1 (fr) 2008-04-24
CN101553523B (zh) 2012-06-20
CN101553523A (zh) 2009-10-07
JPWO2008047867A1 (ja) 2010-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5297808B2 (ja) マスターバッチおよびその製造方法
JP5636320B2 (ja) 自動車部材用ポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車用外装部材
JP5276091B2 (ja) ポリオレフィン組成物を製造する方法
US6803421B2 (en) High flow filled propylene polymer compositions having improved impact and dimensional properties
CN113388207B (zh) 一种高光泽耐刮擦易喷涂聚丙烯复合材料及其制备方法和应用
EP2247658A2 (en) Reinforcing additives for composite materials
JP4800366B2 (ja) 繊維状無機充填材含有樹脂組成物ペレット
EP1130055A1 (en) Thermoplastic resin composition and injection-molded object thereof
JP4969667B2 (ja) マスターバッチペレット及びプロピレン樹脂組成物成形体の製造方法
WO2022242297A1 (zh) 一种可低温爆破聚丙烯复合材料及其制备方法和应用
US5840229A (en) Method for producing molded article by powder slush molding a thermoplastic elastomer powder
JP5092216B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
CN113563667A (zh) 复配填充保险杠用轻量化改性聚丙烯复合材料及其制备方法
JP4885185B2 (ja) プロピレン重合体組成物成形体の製造方法
JP2007092050A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
WO2008027325A1 (en) Compositions and methods for producing articles from recycled materials
JP2006056971A (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物、およびそれからなる射出成形体
CN1737046B (zh) 丙烯基树脂组合物的生产方法、丙烯基树脂组合物和注模制品
JP4885184B2 (ja) プロピレン重合体組成物成形体の製造方法
JP2006131912A (ja) 内装表皮用のスラッシュ成形可能な熱可塑性ポリオレフィン配合物
JP2008208303A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
KR102187566B1 (ko) 폴리프로필렌 수지 조성물 및 이의 성형품
CN113831642B (zh) 玄武岩纤维在免喷涂聚丙烯材料中的应用及其组合物、组合物的制备方法
JP2009270015A (ja) ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法
CN100457819C (zh) 聚丙烯树脂组合物及由其制成的注压制品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130410

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130617

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5297808

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250