実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における集光光学系1Aを有する投写型画像表示装置2Aの基本構成を示す図である。実施の形態1における集光光学系1Aは、赤色(R)の波長帯域の光(以下、赤色光)を放射する赤色用の面発光光源11rと、緑色(G)の波長帯域の光(以下、緑色光)を放射する緑色用の面発光光源11gと、青色(B)の波長帯域の光(以下、青色光)を放射する青色用の面発光光源11bとを備えている。
図1では、赤色(R)の光を一点鎖線で示し、緑色(G)の光を長い破線で示し、青色(B)の光を短い破線で示している。
面発光光源11rは、赤色光を放射する発光面12rを有している。また、面発光光源11gは、緑色光を放射する発光面12gを有しており、面発光光源11bは、青色光を放射する発光面12bを有している。発光面12r,12g,12bは、互いに同じ矩形形状で同じ大きさの平面である。
面発光光源11r,11g,11bは、LED(発光ダイオード)、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、半導体レーザ、およびこれらの組み合わせにより構成することができるが、以下では、LEDを用いた場合について説明する。
集光光学系1Aは、また、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの出射側に、それぞれ正のパワーを有するコリメートレンズ(コリメート光学系)13r,13g,13bを有している。
コリメートレンズ13rは、赤色用の発光面12rから放射された赤色光を略平行光に変換(平行光化)する。コリメートレンズ13gは、緑色用の発光面12gから放射された緑色光を略平行光に変換する。コリメートレンズ13bは、青色用の発光面12bから放射された青色光を略平行光に変換する。
集光光学系1Aは、また、赤色用のコリメートレンズ13rを通過した赤色光と、緑色用のコリメートレンズ13gを通過した緑色光と、青色用のコリメートレンズ13bを通過した青色光とを合成する光合成手段を備えている。光合成手段は、例えば、互いに直交する2枚のダイクロイックミラー6,7を有するクロスダイクロイックミラーで構成される。ダイクロイックミラー6,7は、特定の波長帯域の光を透過または反射する特性を有する。図1では、合成された光を、二点鎖線で示している。
この実施の形態1では、光合成手段は、緑色光および青色光を透過させ赤色光を反射するダイクロイックミラー6と、赤色光および緑色光を透過させ青色光を反射するダイクロイックミラー7とを備えている。クロスダイクロイックミラーは、2枚のダイクロイックミラーを互いに離間させて配置する場合に比べて、ミラーの配置スペースを小さくすることができるため、よりコンパクトな集光光学系を実現することができる。なお、光合成手段は、図1に示した構成に限定されない。
集光光学系1Aは、また、光合成手段(ダイクロイックミラー6,7)によって合成された光を集光する、正のパワーを有するコンデンサレンズ(集光素子)4と、コンデンサレンズ4で集光された光の強度分布を均一化する光強度分布均一化素子としてのインテグレータロッド8とを備えている。インテグレータロッド8は、コンデンサレンズ4で集光された光が入射する入射面81と、光強度分布が均一化された光を出射する出射面82とを有している。
コンデンサレンズ4は、ダイクロイックミラー6,7により合成された光が入射し、この合成された光を所望の角度でインテグレータロッド8の入射面81に集光する。R,G,B用の面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bと、インテグレータロッド8の入射面81は共役の関係にあり、インテグレータロッド8の入射面81には、発光面12r,12g,12bの2次光源像が形成される。
インテグレータロッド8は、矩形状の断面を有する四角柱状の透明部材(ここではガラス)で構成されており、入射面81は、画像表示素子(図1に符号22で示す)と相似の矩形形状を有している。インテグレータロッド8の入射面81に入射した光は、ガラスと空気の界面での全反射を繰り返しながらインテグレータロッド内部を伝播することで、各色の光が均一化され、出射面82から出射される。なお、光強度分布均一化素子は、インテグレータロッド8に限定されるものではなく、内面での全反射を利用する中空のライトパイプや、その他の素子であってもよい。
投写型画像表示装置2Aは、このように構成された集光光学系1Aと、集光光学系1Aから出射された光(インテグレータロッド8により光強度分布が均一化された光)が入射する照明光学系21と、照明光学系21から入射した光を変調して画像光を生成する画像表示素子22と、画像表示素子22で生成された画像光を拡大投写する投写光学系24とを備えている。スクリーンを備えた背面投写型の投写型画像表示装置の場合は、画像光が拡大投影されるスクリーン25をさらに有している。
照明光学系(照明光学素子とも称する)21は、インテグレータロッド8から出射された光を、画像表示素子22の表示面(表示領域)23に照射させるものであり、例えばレンズなどで構成される。
インテグレータロッド8の出射面82と画像表示素子22の表示面23とは、互いに共役な関係にあり、均一な輝度を有する矩形のインテグレータロッド8の出射面82の像が、画像表示素子22の表示面23上に結像される。インテグレータロッド8の出射面82と、画像表示素子22の表示面23とを互いに相似な形状とすることにより、効率良く画像表示素子22の表示面23を照明することができ、高い光利用効率を得ることができる。
画像表示素子22は、例えば、透過型若しくは反射型の液晶パネル、または反射型のDMD(Digital Micro−Mirror Device)である。画像表示素子22の表示面23は、多数の画素が二次元的に配列された構成を有している。画像表示素子22は、照明光学系21により照射された光を、映像信号に応じて画素毎に強度変調することにより、画像光を生成する。
投写光学系24は、画像表示素子22により変調された光(画像光)を、スクリーン25に拡大投写する。スクリーン25は、前面投写型(フロントプロジェクタ)の場合には反射型スクリーンを用い、観察者は反射光による画像を観察する。背面投写型(リアプロジェクタ)の場合には透過型スクリーンを用い、観察者は透過光による画像を観賞する。スクリーン25の表面と、画像表示素子22の表示面23とは、互いに共役な位置に配置されている。
このように構成された投写型画像表示装置2Aでは、以下のようにして画像を表示する。すなわち、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから放射された赤色光、緑色光および青色光が、対応するコリメートレンズ(コリメート光学系)13r,13g,13bを透過して略平行光となり、ダイクロイックミラー6,7に入射して合成される。ダイクロイックミラー6,7で合成された光は、コンデンサレンズ4によりインテグレータロッド8の入射面81に集光する。インテグレータロッド8により光強度分布が均一化された光は、照明光学系21を通過して画像表示素子22に照射され、画像表示素子22により変調された画像光は、投写光学系24によりスクリーン25に拡大投写され、スクリーン25に画像が表示される。
なお、集光光学系1Aは、画像表示素子22(被照明体)を照明するものであるため、照明装置と称される場合もある。
次に、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bのサイズと、インテグレータロッド8の入射面81のサイズと、画像表示素子22の表示面23のサイズとの関係についてより詳細に説明する。実施の形態1においては、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bとインテグレータロッド8の入射面81とは互いに共役な関係にあり、且つ、インテグレータロッド8の出射面82と画像表示素子22の表示面23とは互いに共役な関係にある。
一般に、集光光学系および照明光学系を設計する際には、エテンデュー(Etendue)という量を考慮する。エテンデューの概念を、実施の形態1における集光光学系1Aおよび投写型画像表示装置2Aに適用すると、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから放射される光束の配光分布をランバーシアン分布(完全拡散)と仮定したときの面発光光源11r,11g,11bのエテンデュー(Es)、インテグレータロッド8のエテンデュー(Ei)および画像表示素子22のエテンデュー(El)は、発光面または受光面の面積と、発光面から放射される光または受光面で受光される光の立体角との積により、以下の式(1)〜(3)で表される。
Es=As×π×sin2(θs) ・・・(1)
Ei=Ai×π×sin2(θi) ・・・(2)
El=Al×π×sin2(θl) ・・・(3)
式(1)において、Esは、面発光光源11r,11g,11bのエテンデューである。Asは、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの面積である。θsは、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから放射され、コリメートレンズ13r,13g,13bで取り込もうとする光線のうち、最も大きな広がり角で放射される光線の、発光面12r,12g,12bの法線に対する角度(取込角)である。πは、円周率である。
式(2)において、Eiは、インテグレータロッド8のエテンデューである。Aiは、インテグレータロッド8の入射面81の面積である。θiは、上記の取込角で面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから放射され、インテグレータロッド8の入射面81に入射する光線の、インテグレータロッド8の入射面81の法線に対する角度(集光角)である。
式(3)において、Elは、画像表示素子22のエテンデューである。Alは、画像表示素子22の表示面23の面積である。θlは、上記の集光角でインテグレータロッド8の入射面81に入射した後、画像表示素子22の表示面23に入射する光線の、表示面23の法線に対する角度(照明角)である。
一般に、集光光学系および照明光学系は、上記のEs,Ei,Elの値が同じになるよう設計される。例えば、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bのサイズ(横方向×縦方向)が3mm×4mm(対角寸法は5mm)であり、発光面12r,12g,12bから半球状に放射された(θs=90°)光束の配光分布がランバーシアン分布であるとすると、面発光光源11r,11g,11bのエテンデュー(Es)は、式(1)から以下のように計算され、約37.7となる。
Es=As×π×sin2(θs)
=(3×4)×π×sin2(90°)
=12×π≒37.7
これに対応し、画像表示素子22の表示面23のサイズを12mm×16mm(対角寸法20mm)とし、画像表示素子22の表示面23を照明する光のF値を2.0(θl≒14.5°)と設定すると、画像表示素子22のエテンデュー(El)は、式(3)から以下のように計算され、約37.7となり、面発光光源11r,11g,11bのエテンデュー(Es)と同じにすることができる。
El=Ai×π×sin2(θl)
=(12×16)×π×sin2(14.5°)
≒192×π×0.0627≒37.7
また、インテグレータロッド8の入射面81に入射する光のF値を1.0(θi=30°)とし、インテグレータロッド8の入射面81のサイズを6mm×8mm(対角寸法10mm)と設定すると、インテグレータロッド8のエテンデュー(Ei)は、式(2)から以下のように計算され、約37.7となり、面発光光源11r,11g,11bのエテンデュー(Es)および画像表示素子22のエテンデュー(El)の両方と同じにすることができる。
Ei=Al×π×sin2(θi)
=(6×8)×π×sin2(30°)
=48×π×0.25≒37.7
上記の例の場合、コリメートレンズ13r,13g,13bおよびコンデンサレンズ4からなる光学系は、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12b(サイズ:3mm×4mm)を2倍に拡大してインテグレータロッド8の入射面81(サイズ:6mm×8mm)に結像させることになる。このとき、コリメートレンズ13r,13g,13bおよびコンデンサレンズ4からなる光学系の有する収差によりLEDの光源像がその周辺部においてぼやけて実質的に大きく結像される場合、あるいは、上記光学系の結像倍率が大きく、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの2次光源像がインテグレータロッド8の入射面81よりも大きく結像される場合には、インテグレータロッド8の入射面81の外側にも光が照射され(すなわち、入射面81に入射されない光が存在し)、光量損失が生じる。
一方、コリメートレンズ13r,13g,13bおよびコンデンサレンズ4からなる光学系の倍率を所望の値よりも小さくすると、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの2次光源像がより小さくなり、インテグレータロッド8の入射面81の外側に照射される光はなくなる。しかしながら、この場合には、インテグレータロッド8の入射面81に入射する光の集光角が大きくなるため、画像表示素子22の表示面23に入射する光の照明角も大きくなり、その結果、光量損失または投写光学系の大型化を招くこととなる。
すなわち、集光光学系1Aは、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから所定の取込角で放射される光を、所定の集光角で所定のサイズに結像させる必要があり、この所定の集光角およびサイズを超えると、光量損失等が生じる。
但し、面発光光源11r,11g,11bから放射される光を全て(θs=90°まで)取り込むことは困難であること、また、製造誤差や均一性を考慮して、画像表示素子22の表示面23を照明する際には、表示面23よりもやや大きめに照明すること(照明マージン)等により、実際には、光学系の仕様に合わせて取込角やインテグレータロッド8の入射面81のサイズ等が適宜最適化される。
インテグレータロッド8のエテンデューと画像表示素子22のエテンデューが同じか、または一定の関係にあるものとすると、上述したように、面発光光源11r,11g,11bのエテンデューとインテグレータロッド8のエテンデューとを一致させることが、光の利用効率の点で最も望ましい。しかしながら、実際には、面発光光源11r,11g,11bおよび画像表示素子22のサイズや仕様は選択の余地が限られており、必ずしも面発光光源11r,11g,11bのエテンデューとインテグレータロッド8のエテンデューとを一致させることができるとは限らない。
一方、面発光光源のエテンデューを、インテグレータロッドのエテンデューよりも小さく設定すると、画像表示素子22で達成しうる最大の明るさを得ることができないため、面発光光源のエテンデューを、インテグレータロッドのエテンデューよりも大きく設定する場合が多い。また、面発光光源のエテンデューを、インテグレータロッドのエテンデューよりも小さく設定しても、集光系の収差が大きいと光量損失が生じる。
このように面発光光源のエテンデューをインテグレータロッドのエテンデューよりも大きく設定した場合、面発光光源からの光の全てを所望の角度以下の集光角でインテグレータロッドに取り込むことはできず、光量損失が生じる。この点について、図2および図3の参考例1を用いて説明する。
図2および図3は、参考例1として、面発光光源から放射した光の全てを所望の角度以下の集光角でインテグレータロッドに取り込むことができずに光量損失が生じる場合の構成を示す。参考例1の構成要素は、説明の便宜上、実施の形態1の構成要素と同じ符号を用いて説明する。
インテグレータロッド8の入射面81のサイズは、画像表示素子22の仕様(面積およびF値)により定められている。図2に示した参考例1では、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bを、インテグレータロッド8の入射面81と同一サイズとなるような結像倍率でインテグレータロッド8の入射面81に結像させている。この場合、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの各点から放射された光は、許容入射角よりも大きい角度αでインテグレータロッド8の入射面81に集光されるため、光量損失が生じる。この光量損失を、角度による光量損失と称する。
なお、許容入射角とは、インテグレータロッド8の入射面81への光の入射角がこれより大きくなると、インテグレータロッド8から出射された光の一部が後段の光学素子(ここでは照明光学系21および投写光学系24)に入射しない状態になるという限界の入射角を言う。
一方、図3に示した参考例1では、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの各点から放射された光を、許容入射角以下の角度でインテグレータロッド8の入射面81を含む平面上に結像させているが、結像倍率が図2よりも大きくなる。そのため、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bの2次光源像は、インテグレータロッド8の入射面81のサイズよりも大きくなり、光量損失が生じる。この損失を、面積による光量損失と称する。
図4は、本発明の実施の形態1における集光光学系1Aにおける光路を示す図である。なお、ダイクロイックミラー6,7は、面発光光源11r,11g,11bから放射された光の集光(収束)状態に与える影響が無視できるため、ここでは省略している。面発光光源11r,11g,11bのエテンデューがインテグレータロッド8のエテンデューよりも大きいことは、参考例1(図2および図3)と共通である。
なお、以下の説明では、必要に応じて、面発光光源11r,11g,11bを「面発光光源11」総称する。また、発光面12r,12g,12bを「発光面12」と総称し、コリメートレンズ13r,13g,13bを「コリメートレンズ13」と総称する。
面発光光源11のエテンデューがインテグレータロッド8のエテンデューよりも大きい場合には、上述したように、角度による光量損失(図2)、面積による光量損失(図3)、またはその両方が生じる。実施の形態1は、特に、角度による光量損失(図2)を低減するものである。
図4において、面発光光源11の発光面12の隅部(4隅)から放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の隅部に、所定の入射角で入射する。一方、面発光光源11の発光面12の中央部から放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の中央部に、発光面12の4隅から放射された光の入射角よりも小さい入射角で入射する。
言い換えると、面発光光源11の発光面12の像がインテグレータロッド8の入射面81に結像される際の結像倍率は、入射面81の隅部よりも中央部で大きい。
図5は、面発光光源11(11r,11g,11b)の発光面12(12r,12g,12b)から放射された光がインテグレータロッド8に集光する様子を示す拡大図である。ここでは、説明の便宜上、インテグレータロッド8の入射面81の法線方向が、水平であるものとして説明する。
面発光光源11の発光面12の隅部の一点から水平方向より下方向に放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の隅部に、水平方向より上方向に角度u1で集光する。面発光光源11の発光面12の隅部の一点から水平方向より上方向に放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の隅部に、水平方向より下方向に角度u2で集光する。
また、面発光光源11の中央部の一点から水平方向より下方向に放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の中央部に、水平方向より上方向に角度v1で集光する。面発光光源11の中央部の一点から水平方向より上方向に放射された光は、インテグレータロッド8の入射面81の中央部に、水平方向より下方向に角度v2で集光する。
インテグレータロッド8への許容入射角を水平方向に対して上下方向にそれぞれαとすると、インテグレータロッド8の入射面81の隅部では、集光角u1,u2は、αよりも大きく、従って角度による光量損失が生じている。一方、インテグレータロッドの入射面81の中央部では、集光角v1およびv2は、αよりも小さく、従って角度による光量損失は生じていない。
その結果、図2に示した参考例1と比較して、面発光光源11の発光面12の中央部から放射される光の、角度による光量損失を低減することができる。この場合、面発光光源11の中央部から放射される光の集光角は、許容入射角よりも小さく、なお且つ許容入射角に近いほど、光量損失を小さくすることができる。
なお、この実施の形態1では、2次光源像とインテグレータロッド8の入射面81のサイズを等しくしたが、これに限定されるものではなく、結像倍率を若干大きくする等の変形も可能である。
図6に、面発光光源の4隅および中央部から放射された光により形成される、インテグレータロッド8の入射面81上の光スポットを示す。図6(A)は、図2に示した参考例1の集光光学系における入射面81上の光スポットを示し、図6(B)は、図4に示した実施の形態1の集光光学系における入射面81上の光スポットを示す。
図6(A)に示すように、参考例1の集光光学系では、面発光光源11の発光面12の4隅および中央部に形成される光スポットは、全て小さい(但し、集光系の収差により周辺部でのスポットは厳密に一点に集光せず、多少なりともぼやけるため、インテグレータロッド8の入射面81に入射しない光も存在する)。一方、実施の形態1における集光光学系では、図6(B)に示すように、面発光光源11の発光面12の4隅に形成される光スポットは小さいが、中央部に形成される光スポットは大きい。
これは、上述したように面発光光源11の発光面12の4隅から放射された光よりも、発光面12の中央部から放射された光の結像倍率を大きくしたため、発光面12の4隅から放射された光はインテグレータロッド8の入射面81に集光するのに対し、発光面12の中央部から放射された光はインテグレータロッド8の入射面81よりも出射面82側(コンデンサレンズ4から離れた側)に集光するためである(図5)。
インテグレータロッド8の入射面81の4隅では、光スポットが大きくなると、その一部が入射面81からはみ出すため、上述した面積による光量損失が生じる。これに対し、インテグレータロッド8の入射面81の中央部では、光スポットがある程度大きくなっても入射面81からはみ出さない。従って、面積による光量損失を生じることなく、角度による光量損失を低減することができる。
図7は、面発光光源11の発光面12の中央部および隅部の微小領域の像が、インテグレータロッド8の入射面81に結像される状態を示す模式図である。
面発光光源11の発光面12の中央部および隅部における微小長さΔaは、コリメートレンズ13およびコンデンサレンズ4によってインテグレータロッド8の入射面81に、それぞれΔc(中央部)およびΔp(隅部)の長さに結像される。このとき、上述したように、インテグレータロッド8の入射面81の隅部への集光角よりも、中央部への集光角が小さいため、結像倍率は隅部よりも中央部の方が大きい。すなわち、ΔpよりもΔcが大きい。
図8は、コンデンサレンズ4の具体的形状の一例を示す図である。コンデンサレンズ4は、面発光光源11からの光が入射する第1面41と、第1面41から入射した光が出射される第2面42を有する。コンデンサレンズ4は、全体として正のパワーを有し、第1面41に入射した光を収束させて第2面42から出射する。第1面41は、凸面形状を有する。第2面42は、コンデンサレンズ4の光軸(中心)を含む断面において、中央近傍42aが凹面形状を有し、周辺部42bが凸面形状で且つ非球面形状を有している。
面発光光源11の発光面12の隅部から放射された光は、第1面41で収束作用を受け、第2面42の周辺部42b(凸面)でさらに収束作用を受け、集光点fpに集光される。この集光点fpは、概ねインテグレータロッド8の入射面81上に位置する。
一方、面発光光源11の発光面12の中央部から放射された光は、第1面41で収束作用を受けるが、第2面42の中央近傍42a(凹面)では殆ど発散・収束作用を受けずに集光点fcに集光される。この集光点fcは、インテグレータロッド8の入射面81よりも出射面82側(すなわちコンデンサレンズ4から離れた側)に位置する。
このような構成により、インテグレータロッド8の入射面81の中央部への集光角度を、隅部への集光角度よりも小さくすることができる。
なお、ここでは、コンデンサレンズ4の第2面42の中央近傍42aは、上記の集光点fc(面発光光源11の発光面12の中央部からの光の集光点)を中心とする球面に近い形状を有しているが、これに限定されるものではない。
図9に、コンデンサレンズ4の形状の変形例を示す。この変形例では、コンデンサレンズ4の第2面43の中央近傍43aの凹面形状が略球面ではなく、図8のコンデンサレンズ4の第2面42の中央近傍42aよりも大きな曲率を有しているか、あるいは中心が不連続な形状を有している。この例では、コンデンサレンズ4の中央近傍43aにおいて、各輪帯からの光の集光点(f1,f2)が大きく異なり、面発光光源11の発光面12の中央部からの光は明確な集光点を有さない。この場合も、インテグレータロッド8の入射面81内に許容入射角以下の角度で光が入射すれば、光量損失の低下を防ぐことができる。
なお、以上の説明では、コンデンサレンズ4の第2面43の面形状により、インテグレータロッド8の入射面81の隅部と中央部とで光の集光角を異ならせる機能を発揮しているが、このような構成に限定されるものではない。
例えば、コンデンサレンズ4の第1面41と第2面42の両方の面形状に、インテグレータロッド8の入射面81の隅部と中央部とで光の集光角を異ならせる機能を分担させてもよい。あるいは、コンデンサレンズ4を複数のレンズで構成し、その複数のレンズに当該機能を持たせてもよい。
また、インテグレータロッド8の入射面81の隅部と中央部とで光の集光角を異ならせる機能は、コリメートレンズ13およびコンデンサレンズ4からなる集光光学系の全体で発揮できれば良く、当該機能をコリメートレンズ13のみが発揮するようにしてもよく、あるいは、コリメートレンズ13およびコンデンサレンズ4の両方が発揮するようにしてもよい。
但し、インテグレータロッド8の入射面81の隅部と中央部とで光の集光角を異ならせる機能を発揮する面が非球面を有していて、その非球面を形成するためのコストが球面を形成するコストよりも高い場合には、各色の面発光光源11(11r,11g,11b)から放射される光に共通して作用する(すなわち、使用個数の少ない)コンデンサレンズ4が当該機能を発揮することが望ましい。
数値実施例1.
以下、実施の形態1の集光光学系1Aの数値実施例1について説明する。表1には、集光光学系1Aの光学データを示す。図10には、表1の光学データの集光光学系の構成を示す。
本実施例では、面発光光源11の発光面12(12r,12g,12b)のサイズは4.16mm×2.6mmである。インテグレータロッド8の入射面81のサイズは6.08mm×3.8mmである。面発光光源11からの光の取込角は80度(半角)である。インテグレータロッド8への許容入射角は半角で30度(すなわちF値1.0)である。これは、画像表示素子22の表示面23上の15.2mm×9.5mmの領域を、F値2.5(約11.5度(半角))で照明することに相当する。また、面発光光源11の発光波長は、赤色(11b)が623nm、緑色(11g)が526nm、青色(11r)が462nmである。
表1に示した光学データにおける面番号Siの欄には、図10に示した符号Siに対応させて、i番目の面の番号を示している。番号iは1以上の自然数である。最も物体側にある構成要素の面を1番目とし、像側に向かって番号iが増加する。物体側とは、面発光光源11r,11g,11b側である。面番号Siの欄では、面発光光源の発光面12r,12g,12bをOBJとし、インテグレータロッド8の入射面81をIMAとする。CGは、面発光光源のカバーガラスである。
また、表1の曲率半径Riの欄には、物体側からi番目の面の曲率半径の値を示す。面間隔Diの欄には、物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔を示す。曲率半径Riおよび面間隔Diの値の単位はミリメートル(mm)である。Nd,νdの欄には、d線(587.6nm)に対する屈折率およびアッベ数の値をそれぞれ示す。
表1のS2の面間隔において、(r)、(g)、(b)は、それぞれ赤色、緑色、青色の面発光光源の場合の面間隔に相当する。各色間の色収差を補正するために、面S2と面S3との面間隔を色毎に異なる値としている。
また、表1において、面番号の右上に付された記号「*」は、そのレンズ面が非球面形状であることを示す。ここでは、S8,S9、S10,S11,S12が非球面形状となっている。表2に、非球面データを示す。
表2に示す非球面データとしては、以下の式(4)によって表される非球面形状の式における各係数k,Aiの値を記す。Zは、光軸から半径r(mm)離れた位置での非球面サグ量(深さ:mm)である。係数kはコーニック係数を示す。係数Cは面頂点での曲率を示す。係数Aiはi次の非球面係数を示す。
Z1(r)=C・r2/{1+(1−(1+k)・C2・r2)1/2}+ΣAi・ri(i=1〜n)・・・(4)
なお、表1および表2に示した光学データは、実施の形態1における集光光学系1Aの機能を説明するための一例に過ぎない。例えば、ここでは非球面レンズを多用しているが、これを複数の球面レンズに置き換えることも可能である。また、表1に示した硝材以外にも、屈折率やアッベ数の異なる種々の硝材を使用することが可能である。
表1および図10において、CGは面発光光源11のカバーガラス(平行平板)である。コリメートレンズ13(13r,13g,13b)は、面発光光源11側からインテグレータロッド8側に、順に第1コリメートレンズ113(113r,113g,113b)、第2コリメートレンズ213(213r,213g,213b)および第3コリメートレンズ313(313r,313g,313b)の3枚で構成されている。また、コンデンサレンズ4(図1)は、面発光光源12側からインテグレータロッド8側に、順に第1コンデンサレンズ114および第2コンデンサレンズ115の2枚で構成されている。
図11に、コンデンサレンズ115の形状およびインテグレータロッド8への集光状態の詳細を示す。コンデンサレンズ115の第2面S12は、その中央近傍が凹面形状を有しており、面発光光源11の発光面12の中央部から放射された光を殆ど収束・発散させない一方、その周辺部が凸面形状を有しており、その正のパワーにより面発光光源11の発光面12の隅部から放射された光を収束させる。その結果、インテグレータロッド8の入射面81への集光角は、隅部よりも中央部の方が小さくなる。
図12に、面発光光源11の発光面12の4隅および中央部、並びに発光面12の4辺の各中点から放射された光により形成される、インテグレータロッド8の入射面81上の光スポットを示す。中央部を除く8点の光スポットは比較的小さく集光しているが、中央部の光スポットは大きく広がっていることが分かる。
表3に、相対像高と、インテグレータロッド8の入射面81に集光する光のF値との関係を示す。相対像高とは、インテグレータロッド8の入射面81の中心から隅部までの距離で規格化した像高であり、中心では相対像高が0、隅部では相対像高が1である。
インテグレータロッド8の入射面81への光の集光角は中心ほど小さいため、表3では、相対像高が0(すなわち中心)のときのF値が最大で、相対像高が大きくなるほど(すなわち隅部に近づくほど)F値が小さくなる傾向にあることが分かる。例えば、タンジェンシャル方向とサジタル方向のF値の平均値は、相対像高が0(中心)のときには1.016であるのに対し、相対像高が1(隅部)のときには0.710である。
図13は、相対像高とインテグレータロッド8の入射面81への入射位置との関係を示すグラフである。インテグレータロッド8の入射面81への入射位置は、入射面81の中心からの距離で示す。図13に示す曲線mは、表3に示した相対像高と入射位置との関係を示す曲線である。一方、図13に示す直線nは、相対像高と入射位置とが比例する(すなわち相対像高によって倍率が変化しない)ことを示す直線である。
すなわち、相対像高が大きくなる(すなわち隅部に近づく)につれて、曲線mと直線nとはほぼ一致するようになる。一方、相対像高の小さい部分では、曲線mが直線nよりも上にあることから、入射面81の中心近傍では結像倍率が大きくなっていることが分かる。
図14および図15に、インテグレータロッド8の入射面81での照度分布を示す。図14(A)は、実施の形態1における集光光学系において、インテグレータロッド8の入射面81への集光角に制限を設けない(すなわち、入射面81へ集光する光を全て含めた)場合の入射面81での照度分布を示す図である。また、図14(B)は、図14(A)に対応する照度(単位:W/mm2)のばらつきを示す図である。
図15(A)は、実施の形態1における集光光学系において、インテグレータロッド8の入射面81への集光角を許容入射角である30度(半角)に制限した(すなわち、入射面81へ集光する光のうち集光角30度以上で入射する光を除いた)場合の入射面81での照度分布を示す図である。図15(B)には、図15(A)に対応する照度(単位:W/mm2)のばらつきを示す図である。
また、図16(A)および図16(B)は、図14および図15にそれぞれ対応する照度分布を示すグラフである。図16では、X方向(横方向)の照度分布を実線で示し、Y方向(縦方向)の照度分布を破線で示す。図17は、ここで使用した面発光光源11の配光分布を示すグラフである。図17において、横軸は角度を示し、縦軸は放射強度を示す。
図14(A)では、中央部において結像倍率が大きいため、中央部に集光される光の密度が小さく、隅部に比べて照度が低くなっている。図15(A)では、隅部において、許容入射角よりも大きい角度で入射する光が制限されるため、隅部では図14(A)と比較して照度は低くなる。一方、図15(A)の中央部では、許容入射角以内で光が集光されているため、入射角制限を設けていない図14(A)と比較しても照度は殆ど変化しない。その結果。入射面81での照度分布は、図15および図16(B)に示すように概ね均一な照度分布となる。
なお、図14(A)では入射面81の中央部が明るく見えるが、これは図面をグレースケールで表示していることによるものであり、実際には入射面81の中央部が最も暗くなっている。また、図14(B)から、入射面81での照度は、0.02〜0.05W/mm2という比較的広い範囲に亘っており、照度のばらつきが大きいことが分かる。
また、図15(B)から、入射面81での照度は、図14(B)よりも狭い範囲に集まっており、照度のばらつきが小さいことが分かる。
この結果から、実施の形態1の数値実施例1によれば、インテグレータロッド8の入射面81に、概ね均一な照度分布となるように光が集光していることが分かる。
比較例1.
以下、実施の形態1の集光光学系1Aと対比するための比較例1について説明する。この比較例1では、面発光光源からの光をインテグレータロッドの許容入射角で集光するように構成した一般的な集光光学系である。比較例1の光学データを表4に示し、対応する構成を図18に示す。
この比較例1では、面発光光源11の発光面12のサイズは4.16mm×2.6mmであり、インテグレータロッド8の入射面81のサイズは6.08mm×3.8mmである。面発光光源11からの光の取込角は80度(半角)であり、インテグレータロッド8の入射面81への許容入射角は30度(半角)である。これは、画像表示素子22の表示面23に対して、15.2mm×9.5mmの領域をF値2.5(約11.5度(半角))で照明することに相当する。また、面発光光源11の発光波長は、赤色(11r)が623nm、緑色(11g)が526nm、青色(11b)が462nmである。以上の仕様は、上述した実施の形態1の数値実施例1と同様である。
表4の表記の仕方は、表1と同様である。この比較例1では、OBJからS8面までは、上記の実施の形態1の数値実施例1(表1)と同一であり、S9以降が異なる。表5には、非球面データを示す。
表6には、表3と同様に、相対像高(面発光光源の中心から隅までの距離で規格化した像高)と、インテグレータロッド8へ集光する光のF値との関係を示す。この比較例1では、インテグレータロッド8の入射面81への集光角は、中心および隅部でほぼ同一となるよう設計されているので、相対像高に関わらず、F値はほぼ1となっている。
図19に、面発光光源11の発光面12の4隅および中央部、並びに発光面12の4辺の各中点から放射された光により形成される、インテグレータロッド8の入射面81上の光スポットを示す。この比較例1では、インテグレータロッド8のエテンデューに対して面発光光源11のエテンデューが大きいため、インテグレータロッド8の入射面81への集光角を許容入射角に設定すると、角度による光量損失は生じない代わりに、結像倍率が大きくなるため、面発光光源11の発光面の隅から放射された光はインテグレータロッド8の発光面8の隅部よりも外側に集光され、面積による光量損失が生じている。
表7に、図17の配光分布を持つ面発光光源11を使用した場合のインテグレータロッド8の入射面81への集光効率(許容入射角を30度(半角)とした場合)を、比較例1と、上述した実施の形態1の数値実施例1とで対比して示す。
表7から、比較例1の集光効率が55.19%であるのに対し、実施の形態1の数値実施例1の集光効率は58.68%であり、光利用効率が6.32%向上していることが分かる。なお、インテグレータロッド8のサイズは、画像表示素子22のサイズと照明F値から適宜決定されているため、インテグレータロッド8に入射した光は、照明マージンやレンズ等の透過損失および画像表示素子22での損失を除き、原則として光損失なくスクリーン25まで到達するものと考えられる。
以上説明したように、実施の形態1における集光光学系1Aおよび投写型画像表示装置2Aは、光強度分布均一化素子(インテグレータロッド8)の入射面81に集光される光のうち、入射面81の中央部に集光される光の集光角が、入射面81の隅部に集光される光の集光角よりも小さい。言い換えると、インテグレータロッド8の入射面81に集光される光により形成される光スポットのうち、入射面81の中央部に形成される光スポットが、入射面81の隅部に形成される光スポットよりも大きい。さらに言い換えると、面発光光源11の発光面12から放射された光のうち、発光面12の中央部から放射された光が、発光面12の隅部から放射された光と比較して、よりコンデンサレンズ4(集光素子)から離れた位置に集光する。さらに言い換えると、面発光光源11の発光面12がインテグレータロッド8(光強度分布均一化素子)の入射面81に結像される際の結像倍率が、入射面81の隅部よりも中央部で大きい。
そのため、面発光光源11のエテンデューがインテグレータロッド8のエテンデューより大きい場合でも、インテグレータロッド8での光量損失を低減し、光利用効率を向上することができる。
なお、実施の形態1では、面発光光源11のエテンデューがインテグレータロッド8のエテンデューより大きいとしたが、本発明はこれに限らず、面発光光源11のエテンデューがインテグレータロッド8のエテンデューより小さい場合にも適用できる。
また、集光光学系の少なくとも一つのレンズ(コンデンサレンズ4)が、面発光光源11の発光面12の隅部から放射された光を、発光面12の中央部から放射された光よりも強いパワーで集光する光学面(第2面42)を有するため、入射面81の中央部に集光される光の集光角を、入射面81の隅部に集光される光の集光角よりも小さくする構成を実現することができる。
また、コンデンサレンズ4の第2面42のうち、面発光光源11の発光面12の中央部から放射された光に作用する部分(中央部)が凹面形状をなし、隅部から放射された光に作用する部分(周辺部)が凸面形状をなしているため、簡単な構成で、入射面81の中央部に集光される光の集光角を、入射面81の隅部に集光される光の集光角よりも小さくする構成を実現することができる。
また、複数の面発光光源11r,11g,11bを備え、これら複数の面発光光源11r,11g,11bから放射された光を合成してコンデンサレンズ4(集光光学系)に導くダイクロイックミラー6,7(光合成手段)を備えているため、カラーの投写型画像表示装置において光利用効率を向上することができる。
なお、上記の説明では、緑色用の面発光光源11gをコンデンサレンズ4に対向させ、赤色用および青色用の面発光光源11r,11bを緑色用の面発光光源11gと直交する方向を向くように配置することとしたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、青色用の面発光光源11bをコンデンサレンズ4に対向させ、赤色用および緑色用の面発光光源11r,11gを青色用の面発光光源11bと直交する方向を向くように配置してもよい。あるいは、赤色用の面発光光源11rをコンデンサレンズ4に対向させ、緑色用および青色用の面発光光源11g,11bを赤色用の面発光光源11rと直交する方向を向くように配置してもよい。
また、上記の説明では、コンデンサレンズ13r,13g,13bおよびコリメートレンズ4は、それぞれ1枚の凸レンズとして表したが、本発明はこのような形態に限定されず、取込角や倍率等、集光光学系の仕様に応じて、それぞれ2枚以上のレンズを用いて構成することも可能である。また、コンデンサレンズ13r,13g,13bおよびコリメートレンズ4は、球面レンズに限らず、非球面レンズや自由曲面レンズ等を用いることも可能である。
さらに、上記の説明では、光強度分布均一化素子がインテグレータロッドである場合について説明したが、インテグレータロッドに限らず、例えば中空のライトトンネル等、他の光強度分布均一化素子を用いてもよい。
また、上記の説明では、R,G,Bの各色の面発光光源11r,11g,11bから放射した光をダイクロイックミラー6,7で合成することとしたが、ダイクロイックミラーに限らず、例えばダイクロイックプリズム等、他の光合成手段を用いてもよい。また、面発光光源の数は、3つに限定されるものではない。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図20は、本発明の実施の形態2における集光光学系1Bを有する投写型画像表示装置2Bの構成を概略的に示す図である。実施の形態2における集光光学系1Bは、インテグレータロッド8および照明光学系21を有さない点で、実施の形態1における集光光学系1A(図1)とは異なる。
上述した実施の形態1では、インテグレータロッド8の入射面81において、図15および図16(B)に示したように概ね均一な照度分布が得られていた。
そこで、この実施の形態2では、インテグレータロッドによる光強度分布の均一化を行わずに、コンデンサレンズ4を透過した光が、画像表示素子22の表示面23に直接入射するように構成し、画像表示素子22の表示面23での照度分布が、図15および図16(B)に示した概ね均一な照度分布に近い分布となるようにしている。
コリメートレンズ13およびコンデンサレンズ4は、面発光光源11の発光面12を、画像表示素子22の表示面23に結像させる。画像表示素子22の表示面23は、インテグレータロッド8の入射面81(図1)よりも大きいため、結像倍率は、画像表示素子22の表示面23のサイズと面発光光源11の発光面12のサイズおよび適切な照明マージンを考慮して決定する。
また、上述した実施の形態1では、インテグレータロッド8の入射面81の中央部への入射角を入射面81の隅部への入射角よりも小さくしていたが、この実施の形態2では、画像表示素子22の表示面23の中央部への入射角を表示面23の隅部への入射角よりも小さくしており、これにより光量損失の低減を図っている。
また、この実施の形態2では、画像表示素子22の表示面23の中央部への光の集光角を、画像表示素子22の表示面23への許容入射角以下に設定している。この許容入射角は、実施の形態1で説明したインテグレータロッド8の入射面81への許容入射角から、インテグレータロッド8の出射面82の像を画像表示素子22の表示面23に結像する際の結像倍率を考慮して求めることができる。
コンデンサレンズ4は、図8および図9を参照して説明したように、面発光光源11の発光面12の隅部から放射された光を、発光面12の中央部から放射された光よりも強いパワーで集光する光学面を備えたものとする。
このようにインテグレータロッド8を設けないことにより、集光光学系1Bおよび投写型画像表示装置2Bの製造コストを低減することができる。また、インテグレータロッド8での反射または透過損失がないため、光量損失をさらに低減することができる。また、インテグレータロッド8の配置スペースが不要となるため、装置の小型化が可能になる。他の構成は、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、実施の形態2に係る集光光学系1Bおよび投写型画像表示装置2Bは、画像表示素子22の表示面23の中央部への集光角が、表示面23の隅部への集光角よりも小さくなるように構成されている。言い換えると、画像表示素子22の表示面23の中央部に形成される光スポットが、隅部に形成される光スポットよりも大きい。さらに言い換えると、発光面12の中央部から放射された光の集光位置が、隅部から放射された光の集光位置と比較して、よりコンデンサレンズ4(集光素子)から離れた位置にある。さらに言い換えると、発光面12が画像表示素子22の表示面23に結像される際の結像倍率が、表示面23の隅部よりも中央部において大きい。
このように構成されているため、面発光光源12のエテンデューが画像表示素子22のエテンデューより大きい場合でも、画像表示素子22での光量損失を低減することができ、高い光利用効率を実現することができる。また、インテグレータロッドが不要であるため、製造コストを低減することができ、また、装置の小型化を図ることができる。
実施の形態2は、画像表示素子22の表示面23において、図15および図16(B)に示したような概ね均一な照度分布が許容される場合に、装置の小型化や製造コストの低減という効果を奏するものである。
一方、画像表示素子22の表示面23において、図15および図16(B)に示したような照度分布よりもさらに均一な照度分布が求められる場合には、実施の形態1のようにインテグレータロッドを用いた十分な光強度の均一化を行うことが望ましい。
すなわち、実施の形態1と実施の形態2とを対比した場合、装置の小型化や製造コストの低減という観点では、実施の形態2の方が有利であり、表示画面の照度の均一さという観点では、実施の形態1の方が有利である。
なお、実施の形態2では、面発光光源11のエテンデューが画像表示素子22の表示面23のエテンデューより大きいとしたが、本発明はこれに限らず、面発光光源11のエテンデューが画像表示素子22の表示面23のエテンデューより小さい場合にも適用できる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。以下では、互いに直交する3つの方向を、x方向(横方向)、y方向(縦方向)およびz方向(光軸と平行な方向)とする。
図21は、本発明の実施の形態3における集光光学系1Cを有する投写型画像表示装置2Cの構成を示す図である。図21に示すように、実施の形態3に係る集光光学系1Cは、面発光光源11r,11g,11bを有している。面発光光源11rは、発光面12rから赤色(R)の光を放射する。面発光光源11gは、発光面12gから緑色(G)の光を放射する。面発光光源11bは、発光面12bから青色(B)の光を放射する。
図21では、赤色(R)の光を一点鎖線で示し、緑色(G)の光を長い破線で示し、青色(B)の光を短い破線で示している。
面発光光源11r,11g,11bは、LED、EL素子、半導体レーザまたはこれらの組合せ等により構成することができる。以下の説明では、面発光光源11r,11g,11bをLEDで構成した場合について説明する。
集光光学系1Cは、また、コリメートレンズ(コリメート光学系)13r,13g,13bを有している。コリメートレンズ13r,13g,13bは、いずれも正のパワーを有している。コリメートレンズ13rは、面発光光源11rの発光面12rから放射された赤色光を略平行光に変換する。コリメートレンズ13gは、面発光光源11gの発光面12gから放射された緑色光を略平行光に変換する。コリメートレンズ13bは、面発光光源11bの発光面12bから放射された青色光を略平行光に変換する。
集光光学系1Cは、また、光合成手段を備えている。光合成手段は、コリメートレンズ13rを通過した赤色光と、コリメートレンズ13gを通過した緑色光と、コリメートレンズ13bを通過した青色光とを合成する。図21では、光合成手段により合成された光を、二点鎖線で示している。
図21に示した例では、光合成手段は、クロスダイクロイックミラーであり、互いに直交する2枚のダイクロイックミラー6,7を有している。ダイクロイックミラー6,7は、特定の波長帯域の光を透過し、特定の波長帯域の光を反射する特性を有している。
ここでは、ダイクロイックミラー6は、緑色光および青色光を透過し、赤色光を反射する。ダイクロイックミラー7は、赤色光および緑色光を透過し、青色光を反射する。クロスダイクロイックミラーは、2枚のダイクロイックミラーを互いに離間して配置する場合と比較してミラーの配置スペースを小さくできるため、コンパクトな集光光学系を実現することができる。なお、光合成手段の構成は、図21に示した構成に限定されない。
集光光学系1Cは、また、コンデンサレンズ4、集光F値制御レンズ5およびインテグレータロッド8を有している。コンデンサレンズ4は、正のパワーを有しており、光合成手段によって合成された光を集光する。
集光F値制御レンズ(集光素子)5は、集光F値を制御する機能を有しており、2面以上のトロイダル面を有している。なお、トロイダル面には、シリンドリカル面も含まれる。集光F値制御レンズ5は、コンデンサレンズ4で集光された光が入射し、その光をインテグレータロッド8の入射面81に所望の角度で集光する。
インテグレータロッド8は、入射面81と出射面82とを有し、光強度分布均一化素子としての機能を有している。入射面81には、集光F値制御レンズ5からの光が入射する。出射面82から、光強度分布が均一化された光を出射する。
コンデンサレンズ4は、赤色光、緑色光および青色光のそれぞれに共通の構成である。また、集光F値制御レンズ5も、赤色光、緑色光および青色光のそれぞれに共通の構成である。
コンデンサレンズ4は、ダイクロイックミラー6,7により合成された光を集光する。集光F値制御レンズ5は、コンデンサレンズ4で集光された光を、所望の角度でインテグレータロッド8の入射面81に集光する。このとき、インテグレータロッド8の入射面81は、発光面12r,12g,12bと共役の関係にある。すなわち、インテグレータロッド8の入射面81には、発光面12r,12g,12bの2次光源像が形成される。なお、発光面12r,12g,12bは、それぞれ同じ大きさの矩形状の平面である。
インテグレータロッド8は、例えば、断面が矩形の四角柱の形状を有している。インテグレータロッド8は、例えば、ガラスで構成されている。入射面81は、画像表示素子22の表示面23と相似の形状を有している。ここでは、画像表示素子22が矩形状であるため、入射面81は矩形状である。入射面81に入射した光は、ガラスと空気の界面で全反射を繰り返しながらインテグレータロッド8の内部を伝播する。インテグレータロッド8の内部を伝播することで、各色の光が均一化される。均一化された光は、出射面82から出射される。
なお、光強度分布均一化素子は、インテグレータロッド8に限定されない。光強度分布均一化素子は、内面で全反射を利用する中空のライトパイプであってもよいし、その他の素子であってもよい。
図21に示すように、投写型画像表示装置2Cは、集光光学系1Cと、照明光学系21、画像表示素子22および投写光学系24を有している。また、スクリーンを備えた背面投写型の投写型画像表示装置の場合は、画像光が拡大投影されるスクリーン25をさらに有している。
照明光学系21には、集光光学系1Cから出射された光が入射する。集光光学系1Cから出射された光は、インテグレータロッド8によって光強度分布が均一化された光である。照明光学系21は、例えばレンズで構成される。画像表示素子22は、照明光学系21を通過した光を変調して画像光を生成する。画像光とは、静止画および動画を含む画像情報を有する光である。投写光学系24は、画像表示素子22で生成された画像光をスクリーン25に拡大投写する。
照明光学系21は、インテグレータロッド8から出射された光を、画像表示素子22の表示面23に照射する。このとき、インテグレータロッド8の出射面82は、画像表示素子22の表示面23と共役な関係にある。そのため、出射面82の像が、表示面23上に結像される。出射面82は、均一な輝度を有する矩形状の面である。出射面82は、表示面23と相似な形状を有している。これにより、効率良く表示面23を照明することができ、また高い光利用効率を得ることができる。
画像表示素子22は、例えば、透過型の液晶パネル、反射型の液晶パネル、または反射型のDMDである。表示面23は、多数の画素が二次元的に配列された構成を有している。画像表示素子22は、照明光学系21により照射された光を画像光に変換する。画像表示素子22は、照明光学系21により照射された光を、映像信号に応じて画素毎に強度変調することにより、画像光を生成する。
投写型画像表示装置2Cは、以下のようにして画像を表示する。面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bから放射された赤色光、緑色光および青色光は、対応するコリメートレンズ13r,13g,13bを透過して略平行光となる。コリメートレンズ13r,13g,13bを透過した略平行光は、ダイクロイックミラー6,7により合成される。合成された光は、コンデンサレンズ4で集光される。コンデンサレンズ4で集光された光は、集光F値制御レンズ5によってインテグレータロッド8の入射面81に集光される。インテグレータロッド8により光強度分布が均一化された光は、照明光学系21に入射する。照明光学系21から出射された光は、画像表示素子22に照射される。画像表示素子22により変調された画像光は、投写光学系24によりスクリーン25に拡大投写される。拡大投写された画像光により、スクリーン25に画像が表示される。
次に、発光面12r,12g,12b、入射面81、および表示面23の幾何学的な関係について説明する。この実施の形態3では、発光面12r,12g,12bは入射面81と共役な関係にある。しかしながら、発光面12r,12g,12bの面形状は、入射面81の面形状と相似形ではなく、アスペクト比が異なる。出射面82は表示面23と共役な関係にある。出射面82の面形状は、表示面23の面形状と相似形であり、アスペクト比が同じである。従って、発光面12r,12g,12bと入射面81との間では、アスペクト比が異なることにより光量損失が生じる。この光量損失を低減するためには、集光光学系1Cの改善が必要である。
この光量損失がなぜ生じるかについて説明する。ここでは、実施の形態1で説明したエテンデューの概念を、実施の形態3に係る集光光学系1Cおよび投写型画像表示装置2Cに適用する。発光面12r,12g,12bから放射される光束の配光分布をランバーシアン(lambertian)分布と仮定する。ランバーシアン分布は、完全拡散した場合の配光分布である。
エテンデューは、発光面の面積と発光面から放射される光の立体角との積で定義される。エテンデューは、また、受光面の面積と受光面で受光される光の立体角との積で定義される。面発光光源11r,11g,11bのエテンデューEs、インテグレータロッド8のエテンデューEiおよび画像表示素子22のエテンデューElは、実施の形態1と同様、以下の式(5)から式(7)で表される。
El=Al×π×sin2(θl) ・・・(5)
Ei=Ai×π×sin2(θi) ・・・(6)
Es=As×π×sin2(θs) ・・・(7)
式(5)において、Elは、画像表示素子22のエテンデューである。Alは、表示面23の面積である。θlは、集光角θi(後述)で入射面81に入射した後、表示面23に入射する光線の、表示面23の法線に対する角度(照明角)である。πは円周率である。
式(6)において、Eiは、インテグレータロッド8のエテンデューである。Aiは、入射面81の面積である。θiは、取込角θs(後述)で発光面12r,12g,12bから放射され、入射面81に入射する光線の、入射面81の法線に対する角度(集光角)である。
式(7)において、Esは、面発光光源11r,11g,11bのエテンデューである。Asは、発光面12r,12g,12bの面積である。θsは、発光面12r,12g,12bから放射され、コリメータレンズ13r,13g,13bで取り込もうとする光線のうち、最も大きな広がり角で放射される光線の、発光面12r,12g,12bの法線に対する角度(取込角)である。
一般に、集光光学系および照明光学系は、上記エテンデューEs,Ei,Elの値が等しくなるよう設計される。例えば、表示面23のサイズを16.0mm×7.0mmとする。この場合、表示面23のアスペクト比は16対7である(アスペクト比16:7)。表示面23を照明する光のF値を2.5と設定する。その際の照明角θlは、11.53度である(θl≒11.53°)。画像表示素子22のエテンデューElは、式(5)を用いて以下のように計算され、約14.1となる。
El=Al×π×sin2(θl)
=(16.0×7.0)×π×sin2(11.53°)
≒14.1
これに対応して、入射面81に入射する光のF値を1.0とする。その際の集光角θiは、30度である(θi=30°)。入射面81のサイズを6.4mm×2.8mmと設定する。入射面81のアスペクト比は16対7である(アスペクト比16:7)。インテグレータロッド8のエテンデューEiは、式(6)を用いて以下のように計算され、約14.1となる。インテグレータロッド8のエテンデューEiは、画像表示素子22のエテンデューElと等しくすることができる。
Ei=Ai×π×sin2(θi)
=(6.4×2.8)×π×sin2(30°)
≒14.1
ここで、面発光光源11r,11g,11bの発光面12r,12g,12bのサイズが2.7mm×2.0mmであるとする。発光面12r,12g,12bのアスペクト比は4対3である(アスペクト比4:3)。そして、発光面12r,12g,12bから半球状に放射された光束の配光分布がランバーシアン分布であるとする。半球状の放射の場合、取込角θsは90度である(θs=90°)。この場合の面発光光源11r,11g,11bのエテンデューEsは、式(7)を用いて以下のように計算され、約17.0となる。
Es=As×π×sin2(θs)
=(2.7×2.0)×π×sin2(90°)
=17.0
従って、面発光光源11r,11g,11bのエテンデューEsは、画像表示素子22のエテンデューElおよびインテグレータロッド8のエテンデューEiよりも大きな値を持つ。エテンデューは光学不変量である。インテグレータロッド8のエテンデューEiが、面発光光源11r,11g,11bのエテンデューEsよりも小さいということは、光量損失が生じることを意味する。
これまでのエテンデューによる光の利用効率の検討から、発光面のアスペクト比と集光面(すなわち入射面81)のアスペクト比とが異なる場合、従来の集光光学系では光量損失が生じることが分かる。しかしながら、エテンデューは、発光面の面積と発光面から放射される光の立体角との積、または受光面の面積と受光面で受光される光の立体角との積で定義されるため、2次元的な関係を表していると言える。発光面のアスペクト比と集光面のアスペクト比とが異なる場合のエネルギーの利用効率の検討には、さらに1次元的な関係を検討する必要がある。
そこで、以下では、エテンデューを1次元的に表した式を用いて、光の利用効率について検討する。ここでは、面発光光源11r,11g,11bとインテグレータロッド8との関係について説明する。エテンデューを1次元的に表した式を用いると、面発光光源11r,11g,11bとインテグレータロッド8との間で光量損失が生じない条件は、式(8)および式(9)に示す2つの条件の両方を満たすことである。
xs×sin(θs)≦xi×sin(θi) ・・・(8)
ys×sin(θs)≦yi×sin(θi) ・・・(9)
式(8)および式(9)において、xsは、発光面12r,12g,12bの横方向(x方向)の長さを示す。ysは、発光面12r,12g,12bの縦方向(y方向)の長さを示す。xiは、入射面81の横方向(x方向)の長さを示す。yiは、入射面81の縦方向(y方向)の長さを示す。
式(5)〜(7)の説明で述べた各部の寸法を式(8)に代入すると、式(8)の左辺と右辺は、それぞれ以下のようになる。
xs×sin(θs)=2.7×sin(90°)=2.7
xi×sin(θi)=6.4×sin(30°)=3.2
従って、式(8)の条件を満たす。つまり、横方向(x方向)には光量損失が生じないことが分かる。
同様に、式(9)の左辺と右辺は、それぞれ以下のようになる。
ys×sin(θs)=2.0×sin(90°)=2.0
yi×sin(θi)=2.8×sin(30°)=1.4
従って、ys×sin(θs)>yi×sin(θi)となり、式(9)の条件を満たさない。つまり、縦方向(y方向)で光量損失が生じることが分かる。
上記の例のように、発光面のアスペクト比と集光面のアスペクト比とが異なる場合の光量損失は、式(5)〜(7)だけでは不十分であり、エテンデューを1次元的に表した式(8)および式(9)の両方を用いて検討しなければならない。発光面のアスペクト比と集光面のアスペクト比とが異なる場合、式(8)と式(9)とのどちらか一方もしくは両方を満たさない従来の集光光学系では、光量損失の発生を避けられない。
但し、面発光光源11r,11g,11bから放射される光を全て取り込むことは困難である。放射される光を全て取り込むとは、取込角θsが90度(θs=90°)ということである。また、製造誤差や均一性を考慮して、表示面23を照明する際には、表示面23よりもやや大きめに照明するのが一般的である。このことを照明マージンと言う。これら等により、実際には、光学系の仕様に合わせて取込角や入射面81のサイズ等は適宜最適化してもよい。
発光面と集光面とでアスペクト比が異なる集光光学系の光量損失には、実施の形態1でも説明したように、角度による光量損失と面積による光量損失との2種類の光量損失がある。角度による光量損失とは、発光面から放射された光が、集光面で許容入射角度よりも大きい角度で入射することによる光量損失である。面積による光量損失とは、発光面から放射された光が、集光面からはみ出して集光することによる光量損失である。
<参考例2>
ここで、参考例2として、光量損失が生じる場合の構成について説明する。参考例2の構成要素は、説明の便宜上、実施の形態3の構成要素と同じ符号を用いて説明する。図22は、参考例2の集光光学系の構成を示す図である。図22(A)は、集光光学系を+y方向から見た図であり、図22(B)は、集光光学系を+x方向から見た図である。図22では、面発光光源11r,11g,11bは、まとめて符号11で表し、発光面12r,12g,12bは、まとめて符号12で表す。コリメートレンズ13r,13g,13bは、まとめて符号13で表す。参考例2の集光光学系は、従来の設計手法で設計され、光量損失が生じる集光光学系である。
参考例2の集光光学系は、発光面12から放射された光をコリメートレンズ13で平行光に変換し、その平行光を、コンデンサレンズ4を介してインテグレータロッド8の入射面81に集光する。
図23は、参考例2のインテグレータロッド8の入射面81における照明光の集光領域を示す模式図である。図23において、集光領域を符号Bで示す。入射面81のサイズは、画像表示素子22の仕様、すなわち表示面23の面積やF値などにより定められる。
図22(A)に示すように、参考例2では、入射面81における集光角θiは、許容入射角の範囲内である。許容入射角とは、光が有効に利用され得る所定の角度である。そのため、光が無効な入射角度(光が有効に利用されない角度)で入射することによる光量損失はない。すなわち、角度による光量損失は生じない。
しかしながら、集光角θiを、上記のように角度による光量損失が生じない角度に設定したことで、エテンデューにより集光可能領域の面積は一意に決まる。そのため、図22(B)および図23に示したように、インテグレータロッド8の入射面81の範囲から、照明光がy方向にはみ出している。すなわち、面積による光量損失が生じている。
<参考例3>
図24は、参考例3の集光光学系の構成を示す図である。図24(A)は、集光光学系を+y方向から見た図であり、図24(B)は、集光光学系を+x方向から見た図である。参考例3の集光光学系は、従来の設計手法を用いて設計され、光量損失が生じる集光光学系である。
参考例3の集光光学系は、トロイダルレンズ50を有している。すなわち、参考例3の集光光学系は、発光面12から放射した光をコリメートレンズ13で平行光に変換し、平行光をコンデンサレンズ4に入射させて集光し、さらにトロイダルレンズ50を介してインテグレータロッド8の入射面81に集光する。
図25は、参考例3のインテグレータロッド8の入射面81における照明光の集光領域を示す模式図である。図25において、集光領域を符号Bで示す。
トロイダルレンズ50は、x方向とy方向とでそれぞれ異なる屈折力を持たせることができる。参考例3では、トロイダルレンズ50の入射側の第1面51および出射側の第2面52に、y方向にのみ屈折力をもたせている。これにより、図25に示すように面積による光量損失を防ぐことができる。しかしながら、図24(B)に示すように、入射面81でのy方向の集光角が許容入射角(α)よりも大きい。つまり、参考例3では、角度による光量損失が生じている。この場合の光量損失は、参考例2(図22,図23)の場合と同等の光量損失となる。
参考例2および参考例3のように、発光面12のアスペクト比が入射面81のアスペクト比と異なる場合、面積による光量損失、または角度による光量損失、若しくはその両方が生じる。本発明の実施の形態3は、トロイダルレンズを用いながら、図24(B)に示したy方向の角度による光量損失を低減するものである。
<実施の形態3の集光光学系>
図26は、実施の形態3の集光光学系1Cの構成を示す図である。ここでは、面発光光源11r,11g,11bは、まとめて符号11で表し、発光面12r,12g,12bは、まとめて符号12で表す。コリメートレンズ13r,13g,13bは、まとめて符号13で表す。また、光軸方向をz方向とし、横方向をx方向、縦方向をy方向とする。図26(A)は、実施の形態3の集光光学系1Cを+y方向から見た図である。図26(B)は、実施の形態3の集光光学系1Cを+x方向から見た図である。
実施の形態3の集光光学系1Cは、面発光光源11の発光面12から放射された光を、コリメートレンズ13により平行光に変換している。平行光は、コンデンサレンズ4に入射して集光される。コンデンサレンズ4で集光された光は、集光F値制御レンズ5に入射して、入射面81上に集光する。
図26(B)に示すように、y方向の集光角θiについて見ると、入射面81の中央部の集光角θiは、入射面81の縁部の集光角θiと異なっている。より具体的には、入射面81の中央部の集光角θiは、入射面81の縁部の集光角θiよりも小さい。y方向は、集光F値制御レンズ5のトロイダル面によりアスペクト比を圧縮する方向、つまり光量損失の生じる方向である。なお、アスペクト比の圧縮については、後述する。
すなわち、図26(B)において、y−z平面に平行な面内における光の結像状態を見ると、発光面12r,12g,12bのy方向の縁部から放射された光は、入射面81の縁部に到達するように所定の倍率で結像する。これに対し、発光面12r,12g,12bのy方向の中央部から放射された光は、縁部から放射された光の結像倍率よりも大きい結像倍率で結像する。言い換えると、発光面12r,12g,12bのy方向中央部から放射された光は、y方向縁部から放射された光よりも小さな集光角θiで、入射面81に結像する。
図27はy−z平面において、発光面12r,12g,12bから放射された光がインテグレータロッド8の入射面81に集光する状態を示す模式図である。図27は、入射面81の近傍を、+x方向から見た図である。
発光面12r,12g,12b上の一点から+z方向に放射された光は、ある広がり角を持って放射される。放射された光のうち、コリメータレンズ13r,13g,13bに取り込まれる最も大きな角度が取込角θsである。取込角θsは、発光面12r,12g,12bの法線に対する角度で定義される。そのため、y−z平面では、z方向に対して、+y方向に取込角θs1で放射された光と、−y方向に取込角θs2で放射された光とが存在する。
一方、入射面81の一点に入射する光は、ある角度をもって集光する。入射面81の一点に入射する光の角度が集光角θiである。集光角θiは、入射面81の法線に対する角度で定義される。このため、y−z平面では、z方向に対して、+y方向から集光角θi1で入射する光と、−y方向から集光角θi2で入射する光とが存在する。図27では、集光角θi1で入射する光を符号u1,v1で示している。また、集光角θi2で入射する光を符号u2,v2で示している。
発光面12r,12g,12bの−y方向の縁部(図26(B)参照)から取込角θs2で放射された光は、入射面81に集光角u2で集光する。発光面12r,12g,12bの−y方向の縁部から取込角θs1で放射された光は、入射面81に集光角u1で集光する。
発光面12r,12g,12bのy方向の中央部(図26(B)参照)から取込角θs2で放射された光は、入射面81に集光角v2で集光する。発光面12r,12g,12bのy方向の中央部から取込角θs1で放射された光は、入射面81に集光角v1で集光する。
インテグレータロッド8への許容入射角をαとする。許容入射角αは、入射面81の法線に対する角度で定義される。入射面81の縁部では、集光角u1,u2は許容入射角αよりも大きく、従って角度による光量損失が生じている。一方、入射面81の中央部では、集光角v1,v2は集光角u1,u2よりも小さいため、角度による光量損失を無くすことができるか、または、少なくとも入射面81の縁部よりも低く抑えることができる。
その結果、図24(B)の参考例3と比較して、発光面12r,12g,12bの中央部から縁部にかけて、角度による光量損失を低減することができる。この場合、発光面12r,12g,12bの中央から放射される光のy方向における集光角v1,v2を許容入射角αに近づけるほど、光量損失は小さくなる。そのため、集光角v1,v2を許容入射角α以下とすることが望ましい。
なお、実施の形態3では、発光面の2次光源像のサイズと入射面81のサイズとを同じにしたが、このような構成に限定されるものではなく、結像倍率を若干大きくする等の変形は可能である。
図28は、発光面12r,12g,12bの微小発光領域の像が、y−z平面において、インテグレータロッド8の入射面81に結像される状態を示す模式図である。面発光光源11r,11g,11bは、まとめて符号11で表し、発光面12r,12g,12bは、まとめて符号12で表す。コリメートレンズ13r,13g,13bは、まとめて符号13で表す。
図28において、発光面12r,12g,12b上の微小発光領域のy方向の微小長さを、△aとする。図28には、発光面12r,12g,12bの中央部の微小長さ△aの領域から、発光面に垂直に出射された光線が示されている。また、同図には、発光面12r,12g,12bの縁部の微小長さ△aの領域から、発光面に垂直に出射された光線が示されている。
発光面12r,12g,12bの中央部の微小長さ△aの微小発光領域は、入射面81上で微小長さ△cの像として結像される。一方、発光面12r,12g,12bの縁部の微小長さ△aの微小発光領域は、入射面81上で微小長さ△pの像として結像される。上述したように、入射面81の中央部での集光角v1,v2(図27)は縁部での集光角u1,u2より小さく、言い換えると、中央部での結像倍率は縁部の結像倍率よりも大きい。そのため、微小長さ△cは微小長さ△pよりも大きい。これにより、面積による光量損失を生じずに(すなわち入射面81から光がはみ出すことなく)、角度による光量損失を低減することができる。
図29は、集光F値制御レンズ5の構成と、その集光作用を示す模式図である。図29(A)は+x方向から見た図であり、図29(B)は+y方向から見た図である。集光F値制御レンズ5は、第1面51および第2面52を有する。第1面51は、面発光光源11r,11g,11bからの光が入射する面である。第2面52は、第1面51に入射した光が集光F値制御レンズ5から出射する面である。第1面51および第2面52は、いずれもトロイダル面である。なお、トロイダル面には、シリンドリカル面も含まれる。
集光F値制御レンズ5は、2つの機能を有する。第1の機能は、アスペクト比を圧縮する機能である。第2の機能は、集光F値を制御する機能である。第1の機能は、x方向のアスペクト比を圧縮する機能、または、y方向のアスペクト比を圧縮する機能である。また、第2の機能は、入射面81において、アスペクト比を圧縮する方向の集光F値を制御する機能である。
まず、アスペクト比を圧縮する機能(第1の機能)について説明する。図29(A)に示すように、第1面51および第2面52は、いずれもy−z平面において+z方向に凸となる形状を有している。一方、図29(B)に示すように、第1面51および第2面52は、いずれもx方向の曲率は無限大である。すなわちフラットな形状を有している。
従って、図29(B)に示すように、x−z平面では、光線が第1面51に入射するときの入射角度と、第2面52から出射するときの出射角度とは同じである。集光F値制御レンズ5は、発光面12r,12g,12bから出射した光を入射面81に所望の角度で集光する。
一方、図29(A)に示すように、y方向の光線は、アスペクト比の圧縮方向の光線である。y方向の光線とは、y−z平面と平行な面上の光線である。そのため、x方向の光線よりも大きい角度で入射面81に入射しなければならない。x方向の光線とは、x−z平面と平行な面上の光線である。このとき、入射面81においてy方向の光線を任意の位置に集光するためには、集光位置に応じて、x方向の光線よりも光路長を長くするか、または短くする必要がある。そのためには、トロイダル面が少なくとも2面必要である。このトロイダル面は、アスペクト比の圧縮方向に屈折力を持っている。アスペクト比の圧縮方向はy方向である。この2面のトロイダル面が、第1面51および第2面52である。
次に、集光F値を制御する機能(第2の機能)について説明する。図29(A)において、集光F値制御レンズ5のy−z平面内の曲率は、中央部の屈折力を周辺部の屈折力よりも小さくする曲率である。なお、集光F値制御レンズ5の中央部の屈折力は、発光面12r,12g,12bのy方向中央部から出射した光線を屈折する力である。また、集光F値制御レンズ5の周辺部の屈折力は、発光面12r,12g,12bのy方向の縁部から出射した光線を屈折する力である。
集光F値制御レンズ5は、入射面81での集光角v1,v2を集光角u1,u2よりも小さくすることができる。集光角v1,v2は、入射面81の中央部に集光する光線のy方向の集光角である。集光角u1,u2は、入射面81のy方向縁部に集光する光線のy方向の集光角である。つまり、集光F値制御レンズ5は、入射面81におけるアスペクト比を圧縮する方向(ここではy方向)の集光F値を制御することができる。
なお、以上の説明では、集光F値制御レンズ5のみが、アスペクト比の圧縮方向において入射面81の縁部の集光角u1,u2を中央部の集光角v1,v2と異なる角度にする機能を有している。しかしながら、このような構成に限定されるものではない。例えば、集光F値制御レンズ5を複数のレンズで構成し、その複数のレンズが、アスペクト比の圧縮方向において縁部の集光角u1,u2を中央部の集光角v1,v2と異なる角度にする機能を有していてもよい。
また、当該機能(アスペクト比の圧縮方向において入射面81の縁部の集光角u1,u2を中央部の集光角v1,v2と異なる角度にする機能)は、集光光学系1Cの全体で発揮できれば良い。例えば、当該機能を、集光光学系1Cを構成するコリメートレンズ13r,13g,13b、コンデンサレンズ4および集光F値制御レンズ5のいずれのレンズに付与してもよく、或いは、集光光学系1Cを構成する複数のレンズに分散させて付与することも可能である。
<数値実施例2>
以下、実施の形態3の集光光学系1Cの数値実施例2について説明する。表8には、集光光学系1Cの光学データを示す。図30は、表8の光学データの集光光学系1Cの構成を示す図である。図30(A)は、集光光学系1Cをx方向から見た図である。図30(B)は、集光光学系1Cをy方向から見た図である。
図30に示す集光光学系1Cは、面発光光源11、コリメートレンズ513,613、コンデンサレンズ114、トロイダルレンズ115およびインテグレータロッド8で構成されている。
本実施例では、面発光光源11の発光面12r,12g,12bのサイズは2.7mm×2.0mmである。インテグレータロッド8の入射面81のサイズは6.39mm×2.86mmである。面発光光源11からの光の取込角は80度である。インテグレータロッド8への許容入射角は30度である。この場合、F値は1.0である(F値=1.0)。これは画像表示素子22の表示面23上の15.97mm×7.16mmの領域を、F2.5で照明することに相当する。この場合、照明角θlは約11.5度である。各レンズに使用する硝子材の屈折率は1.52である。
表8に示した光学データにおける面番号Siの欄には、図30に示した符号Siに対応させて、i番目の面の番号を示している。iは1以上の自然数である。最も物体側にある構成要素の面を1番目(i=1)とする。物体側とは、面発光光源11r,11g,11b側である。番号iは、像側に向かって順次増加する。OBJは物体面を示し、図30では発光面12r,12g,12bである。IMAは結像面を示し、図30では入射面81である。CGは面発光光源のカバーガラス(平行平板)である。
また、表8において、面S6,S7,S8は非球面形状となっている。表9に、非球面データを示す。
表9に示す非球面データは、以下の式(10)で表される非球面形状の式の各係数k,Aiの値を示している。係数kはコーニック係数を示す。係数Cは面頂点での曲率を示す。係数Aiはi次の非球面係数を示す。Zは、光軸から半径r(mm)離れた位置での非球面サグ量(深さ:mm)である。サグ量とは、レンズ各面と光軸の交点(面頂点)を含む光軸と直交する平面を基準(基準面)に、光軸からの距離に対して基準面からレンズ面の形状までの距離である。
Z1(r)=C・r2/{1+(1−(1+k)・C2・r2)1/2}+ΣAi・ri
(i=1〜n)・・・(10)
また、表8において、面S9,S10は非球面であるトロイダル面形状となっている。表10に、非球面データを示す。
表10に示す非球面データは、以下の式(11)で表される非球面形状の式の各係数k,Aiの値を示している。係数kはコーニック係数を示す。係数Cは面頂点での曲率を示す。係数Aiはi次の非球面係数を示す。Zは、光軸からy方向に半径ry(mm)離れた位置での非球面サグ量(深さ:mm)である。
Z1(y)=C・ry2/{1+(1−(1+k)・C2・ry2)1/2}+ΣAi・ryi2・i (i=1〜n)・・・(11)
なお、表8、表9および表10に示した光学データは、実施の形態3における集光光学系1Cの機能を説明するためのものである。例えば、数値実施例2では非球面レンズを多用しているが、これを複数の球面レンズに置き換えることも可能である。レンズに使用する硝子材も、屈折率の異なる種々の硝材を使用することが可能である。
コリメートレンズ13は、第1コリメートレンズ513および第2コリメートレンズ613の2枚で構成されている。面発光光源11の側は、第1コリメートレンズ513である。インテグレータロッド8の側は、第2コリメートレンズ613である。コンデンサレンズ4は、コンデンサレンズ114の1枚で構成されている。集光F値制御レンズ5は、トロイダルレンズ115の1枚で構成されている。
なお、面発光光源11r,11g,11bをまとめて、符号11で表す。コリメートレンズ13r,13g,13bをまとめて、符号13で表す。第1コリメートレンズ513r,513g,513bをまとめて、符号513で表す。第2コリメートレンズ613r,613g,613bをまとめて、符号613で表す。
図31は、入射面81上の集光スポットのシミュレーション結果を示す図である。図31における四角形の枠は、入射面81の範囲を示している。横軸はx軸であり、横軸の右方向が+x方向である。縦軸がy軸であり、縦軸の上方向が+y方向である。なお、図31には、面発光光源11r,11g,11bから出射された3波長の光(赤色光、緑色光、青色光)を代表して、波長550nmの光の集光スポットを示している。
集光スポットは、下記の9つの光により形成される。すなわち、集光スポットは、発光面12r,12g,12bの4隅から放射された光、発光面12r,12g,12bの中心から放射された光、および発光面12r,12g,12bの各辺の中点から放射された光により形成されるものである。発光面12r,12g,12bから出射された光は、発光面12r,12g,12bのアスペクト比が変換されて、入射面81の上に集光している。
表11は、図32で定義する発光面12上の点P1〜P9から放射される光線がインテグレータロッド8の入射面81に集光するときのx方向とy方向のF値を示す。
放射位置P1は、発光面12の中心を通るx方向の直線上における−x方向の端の点である。放射位置P2は、発光面12の中心点である。放射位置P3は、発光面12の中心を通るx方向の直線における+x方向の端の点である。放射位置P7は、発光面12の+y方向の端の辺における−x方向の端の点である。放射位置P8は、発光面12の+y方向の端の辺における中心点である。放射位置P9は、発光面12の+y方向の端の辺における+x方向の端の点である。放射位置P4は、放射位置P1と放射位置P7との中点である。放射位置P5は、放射位置P2と放射位置P8との中点である。放射位置P6は、放射位置P3と放射位置P9との中点である。
入射面81へのy方向の集光角θiは、入射面81の中心ほど小さい。そのため、表11では、発光面12r,12g,12bのy方向中心ほどF値が大きくなる傾向があり、発光面12r,12g,12bのy方向の縁に近づくほどF値が小さくなる傾向がある。
<比較例2>
以下、実施の形態3の集光光学系1Cの効果と対比するための比較例2について説明する。この比較例2の集光光学系は、面発光光源11r,11g,11bから放射された光をインテグレータロッド8の入射面81に許容入射角αで集光するように設計された一般的な集光光学系である。
表12は、比較例2の集光光学系の光学データを示す。図33は、表12の光学データの集光光学系の構成を示す図である。図33に示すように、比較例2の集光光学系は、面発光光源11、コリメートレンズ513,613、コンデンサレンズ114,214およびインテグレータロッド8で構成されている。なお、面発光光源11r,11g,11bは、符号11で表す。発光面12r,12g,12bは、符号12で表わす。第1コリメートレンズ513r,513g,513bは、符号513で表す。第2コリメートレンズ613r,613g,613bは、符号613で表す。
比較例2では、発光面12r,12g,12bのサイズは2.7mm×2.0mmである。入射面81のサイズは6.39mm×2.86mmである。面発光光源11r,11g,11bから放射された光の取込角θsは80度である。インテグレータロッド8の入射面81への許容入射角αは30度である。このときのF値は1である(F値=1)。これは、表示面23上の15.97mm×7.16mmの領域をF2.5で照明することに相当する。このときの照明角θlは約11.5度である。各レンズに使用する硝子材の屈折率は1.52である。すなわち、発光面12のサイズ、入射面81のサイズ、取込角θs、許容入射角α、照明角θl、光の波長および硝子材の屈折率は、数値実施例2と同様である。
表12の表記は、表9と同様である。表13に非球面データを示す。
表14は、表11と同様に、図32で定義した面発光光源11r,11g,11b上の点P1〜P9から放射された光線がインテグレータロッド8の入射面81に集光するときのx方向とy方向のF値を示している。比較例2では、入射面81への集光角θiは、入射面81の中心と入射面81の縁部とでほぼ同一となるように設計されている。このことから、光線の放射位置P1〜P9に関わらず、F値はほぼ1となっている。
図34は、図31と同様に、入射面81上の集光スポットのシミュレーション結果を示す図である。図34における四角形の枠は、入射面81の範囲を示している。横軸がx軸であり、横軸の右方向が+x方向である。縦軸がy軸であり、縦軸の上方向が+y方向である。なお、図34には、面発光光源11r,11g,11bから出射された3波長の光(赤色光、緑色光、青色光)を代表して、波長550nmの光の集光スポットを示している。
発光面12r,12g,12bのアスペクト比と入射面81のアスペクト比とが異なるため、入射面81への集光角θiを許容入射角αと等しくすると、角度による光量損失は生じない。しかしながら、結像倍率が大きくなるため、発光面12r,12g,12bのy方向の縁部から放射された光は、入射面81のy方向の縁部よりも外側に集光される。つまり、面積による光量損失が生じる。
表15は、比較例2および数値実施例2の入射面81への集光効率を対比して示す表である。表15において、許容入射角αは30度である。比較例2の集光効率は70.19%である。これに対し、数値実施例2の集光効率は80.01%である。比較例2と比較して、数値実施例2の集光効率は13.99%向上している。相対効率とは、比較例2を100%とした場合の集光効率(光利用効率)である。
なお、インテグレータロッド8のサイズは、発光面12r,12g,12bのサイズと照明F値とから適切に決められている。このため、インテグレータロッド8に入射した光は、照明マージンやレンズ等の透過損失および画像表示素子22での損失を除き、原則として光損失なくスクリーン25まで到達するものと考える。
以上説明したように、実施の形態3に係る集光光学系1Cおよび投写型画像表示装置2Cは、入射面81の中央部の集光角θiを縁部の集光角θiよりも小さくしている。特に、入射面81の、アスペクト比の圧縮方向(上記の例ではy方向)の中央部に集光する光の集光角を、同方向の縁部に集光する光の集光角よりも小さくしている。これにより、発光面12r,12g,12bのアスペクト比と入射面81のアスペクト比とが異なる場合でも、インテグレータロッド8での光量損失を低減することができ、インテグレータロッド8での光利用効率を向上することができる。
実施の形態4.
図35は、本発明の実施の形態4に係る集光光学系1Dおよび投写型画像表示装置2Dの構成を概略的に示す構成図である。図35に示すように、インテグレータロッド80がテーパ形状を有する点で実施の形態3と異なる。インテグレータロッド80は、光強度分布均一化素子である。
図35では、実施の形態3で説明した集光光学系1Cおよび投写型画像表示装置2Cの構成要素と同様の構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態4の投写型画像表示装置2Dは、いずれも実施の形態3と同様の、面発光光源11r,11g,11b、コリメートレンズ13r,13g,13b、ダイクロイックミラー6,7、コンデンサレンズ4、集光F値制御レンズ5、照明光学系21、画像表示素子22、投写光学系24およびスクリーン25を有する。図35では、赤色(R)の光を短い一点鎖線で示し、緑色(G)の光を長い破線で示し、青色(B)の光を短い破線で示している。
上述した実施の形態3に係る集光光学系1Cは、面発光光源11r,11g,11bからの光をインテグレータロッド8の入射面81に集光して均一化していた。そして、図31を参照して説明したように、x方向において殆ど全ての集光スポットが入射面81の範囲内に収まっていた。すなわち、x方向における面積による光量損失は殆どなかった。
一方、y方向においては、発光面12r,12g,12bのy方向の縁部から放射された光の集光スポットが入射面81のy方向の縁よりも外側に外れていた。すなわち、面積による光量損失が生じていた。これは、y方向において面発光光源11r,11g,11bから80度の取込角θsで出射された光線の全てを入射面81の範囲内に集光することが難しいからである。実施の形態4に係る集光光学系1Dは、このy方向の面積による損失をさらに低減するものである。
図36(A)は、角柱形状を有する一般的なインテグレータロッド8の構成を示し、図36(B)は、テーパ形状を有するインテグレータロッド80の構成を示す。図36(A)および図36(B)は、いずれも+y方向から見た図である。
図36(A)に示すように、一般的なインテグレータロッド8では、入射面81への入射角θinがφ1のとき、出射面82からの出射角θoutはφ1となる。すなわち、一般的なインテグレータロッド8では、入射面81に入射する光線の入射角θinと、出射面82から出射される光線の出射角θoutとは等しい。ここで、入射角θinは、集光角θiである。
一方、図36(B)に示すインテグレータロッド80は、入射面810の面積が出射面820の面積よりも小さくなるようなテーパ形状を有している。この場合、入射面810への入射角θinがφ1のとき、出射角θoutはφ2(<θ1)となる。すなわち、光線の出射角θoutは、入射角θinよりも小さくなる。この場合、光線の出射角θoutは、光線の入射角θinと、テーパ角度βと、テーパ形状のインテグレータロッド80内での反射回数mとから、次の式(12)で与えられる。
θout=θin−2×m×β・・・(12)
実施の形態4に係る集光光学系1Dは、式(12)の関係を利用する。図37は、一般的なインテグレータロッド8とテーパ形状を有するインテグレータロッド80の入射面81,810に対する集光領域B1,B2を示す図である。図37(A)には、入射面81に対する実施の形態3の集光領域B1を示している。図37(B)には、入射面810に対する実施の形態4の集光領域B2を示している。図37(B)において、集光領域B2は入射面810と一致している。なお、図37(B)の破線は、図37(A)の入射面81を比較のために示したものである。
上記実施の形態3の数値実施例2では、x方向には、所望の集光角θiで入射面81の範囲内に光を集光できているが、y方向には、図37(A)に示すように、角度による光量損失に加えて面積による光量損失が生じている。そこで、実施の形態4の集光光学系1Dでは、図37(B)に示すように、入射面810におけるx方向の集光領域B2を、実施の形態3の集光領域B1よりも狭くする。これにより、入射面810におけるy方向の集光領域B2を小さくすることができ、その結果、y方向の面積による光量損失を低減できる。
ここで、図36(A)の出射角θoutを角度φ2として、図36(B)の出射角θoutと同じにすると、図36(A)の入射角θin(=θout)は、角度φ2となる。この場合、入射角θinは集光角θiであるため、実施の形態3のx方向の光線の集光角θiである角度φ2に比べて、実施の形態4のx方向の光線の集光角θiである角度φ1の方が大きくなる。
図38(A)および(B)は、一般的なインテグレータロッド8およびテーパ形状のインテグレータロッド80の構成をそれぞれ示す斜視図である。図38(A)において、インテグレータロッド8の入射面81での入射角θinは角度φ2であり、出射面82での出射角θoutも角度φ2である。一方、図38(B)において、インテグレータロッド80の入射面810での入射角θinは角度φ1(>φ2)であり、出射面820での出射角θoutは角度φ2である。
上記の通り、入射角θinは集光角θiであるため、実施の形態3のx方向の光線の集光角θiの角度φ2に比べて、実施の形態4のx方向の光線の集光角θiの角度φ1の方が大きい。
そこで、実施の形態4では、図36(B)および図38(B)に示すように、インテグレータロッド80をテーパ形状とすることで、x方向の光線の角度変換を行う。入射面810において、x方向の集光角θiは、角度φ1である。x方向の光線は、テーパ形状のインテグレータロッド80の内部で全反射を繰り返す。そして、出射面820において、x方向の出射角θoutは、角度φ2となる。実施の形態4の出射角θoutは、実施の形態3の集光角θi(図38(A))と等しくなる。インテグレータロッド80は、集光角θiが角度φ1の光を、出射角θoutが角度φ2の光に変換する。
よって、テーパ形状のインテグレータロッド80の出射面820においては、x方向の角度による光量損失を回復することができる。実施の形態4において、x方向の光量損失は実施の形態3と変わらなくなる。
<数値実施例3>
以下、実施の形態4の集光光学系1Dの数値実施例3について説明する。表16には、集光光学系1Dの光学データを示す。図39は、表16の光学データの集光光学系1Dの構成を示す図である。図39(A)は、集光光学系1Dをx方向から見た図であり、図39(B)は、集光光学系1Dをy方向から見た図である。
図39に示す集光光学系1Dは、面発光光源11、コリメートレンズ713,813、コンデンサレンズ117、集光F値制御レンズ118およびインテグレータロッド8で構成されている。なお、面発光光源11r,11g,11bは、まとめて符号11で表す。発光面12r,12g,12bは、まとめて符号12で表わす。第1コリメートレンズ713r,713g,713bは、まとめて符号713で表す。第2コリメートレンズ813r,813g,813bは、まとめて符号813で表す。
本実施例では、発光面12r,12g,12bのサイズは2.7mm×2.0mmである。テーパ形状のインテグレータロッド80の入射面810のサイズは5.64mm×2.86mmである。出射面820のサイズは6.39mm×2.86mmである。
入射面810におけるx方向の光線の集光角θiを33度とする。出射面820におけるx方向の光線の最大出射角度を30度とするために、テーパ角度βは1.5度とした。面発光光源11r,11g,11bからの光の取込角θsは80度である。許容出射角αは30度である。この場合、F値は1である(F値=1)。これは、画像表示素子22の表示面23の15.97mm×7.16mmの領域を、F2.5で照明することに相当する。このときの照明角θlは、約11.5度である。光学部品に使用する硝子材の屈折率は1.52である。光学部品とは、コリメートレンズ713,813、コンデンサレンズ117、集光F値制御レンズ118およびインテグレータロッド80である。以上の仕様は、インテグレータロッド80の入射面810のサイズおよびテーパを除いて、実施の形態3で示した数値実施例2および比較例2と同様である。
表16の表記は、表9と同様である。表16において、面番号S6,S7,S8は非球面形状である。表17に、非球面データを示す。
また、表16において、面番号S9,S10は、非球面であるトロイダル面形状となっている。表18に、非球面データを示す。
図40は、入射面810上の集光スポットのシミュレーション結果を示す図である。図40における四角形の枠は、入射面81の範囲を示している。横軸がx軸であり、横軸の右方向が+x方向である。縦軸がy軸であり、縦軸の上方向が+y方向である。なお、図40には、面発光光源11r,11g,11bから出射された3波長の光(赤色光、緑色光、青色光)を代表して、波長550nmの光の集光スポットを示している。
集光スポットは、発光面12r,12g,12bの4隅から放射された光、発光面12r,12g,12bの中心から放射された光、および発光面12r,12g,12bの各辺の中点から放射された光により形成される。図40に示した集光スポットの集光領域は、数値実施例2の図31に示す集光スポットの集光領域より狭い。
表19は、インテグレータロッド80の入射面810へ集光するときのx方向のF値とy方向のF値とを示す。光線の放射位置は、図32で定義した位置P1〜P9である。y方向において、集光角θiは入射面810の中心ほど小さい。そのため、表19では、発光面12r,12g,12bのy方向中心ほどF値が大きくなる傾向があり、発光面12r,12g,12bのy方向の縁に近づくほどF値が小さくなる傾向がある。また、x方向において集光角θiを30度より大きくしたために、F値が1よりも小さくなっている。
図41は、入射面810におけるx方向の光線の角度依存性および出射面820におけるx方向の光線の角度依存性を示した図である。横軸は、光線の角度(度)を表している。縦軸は光強度(a.u.)を表している。破線は、入射面810における光の入射角θinの分布を表している。実線は、出射面820における光の出射角θoutの分布を表している。入射面810では、入射光は、入射角θinが30度よりも大きい光を含んでいる。しかしながら、出射面820では、殆どの光が30度以内の角度分布を持っている。テーパ形状のインテグレータロッド80による光線の角度変換の有効性が示された。
表20は、比較例3および数値実施例3の入射面820への集光効率について示した表である。表20において、許容入射角αは30度である。なお、比較例3のインテグレータロッドは、数値実施例3のテーパ形状のインテグレータロッド80と同じ長さを有し、テーパを有さないものである。比較例3の集光効率は69.94%である。一方、数値実施例3の集光効率は80.20%である。比較例3と比較して、数値実施例3の集光効率は14.67%向上している。相対効率とは、比較例を100%とした場合の集光効率(光利用効率)である。
なお、インテグレータロッド80のサイズは、発光面12r,12g,12bのサイズと照明F値とから適切に決められている。このため、インテグレータロッド80に入射した光は、照明マージンやレンズ等の透過損失および画像表示素子22での損失を除き、原則として光損失なくスクリーン25まで到達するものと考える。
以上説明したように、実施の形態4に係る集光光学系1Dでは、アスペクト比の圧縮方向において、入射面810の中央部の集光角θiを入射面810の縁部の集光角θiよりも小さい。これにより、集光光学系1Dは、発光面12r,12g,12bのアスペクト比と画像表示素子22のアスペクト比とが異なる場合であっても、光量損失を低減することができる。その結果、集光光学系1Dを採用した投写型画像表示装置2Dは、光量損失を低減できる。
これに加えて、インテグレータロッド80は、アスペクト比の圧縮方向に直交する方向の集光角θiを大きくしている。これにより、画像全体の結像倍率を小さくすることができる。また、アスペクト比の圧縮方向の面積による光量損失を更に低減することができる。
ここで、アスペクト比の圧縮方向に直交する方向の集光角θiを大きくすることに伴い、入射面810におけるアスペクト比の圧縮方向に直交する方向で、角度による光量損失が生じる。この角度による光量損失は、光線がテーパ形状のインテグレータロッド80を透過することで回復する。テーパ形状のインテグレータロッド80の出射面820では、全体として光量損失を低減するこができる。そして、集光光学系1Dは、高い光利用効率を実現することができる。
以上、本発明の実施の形態1〜4について説明したが、各実施の形態は、適宜変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上記の各実施の形態では、緑色用の面発光光源11gをコンデンサレンズ4に対向させている。また、赤色用の面発光光源11rを緑色用の面発光光源11gと直交する方向に配置している。また、青色用の面発光光源11bを緑色用の面発光光源11gと直交する方向に配置している。しかしながら、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
例えば、青色用の面発光光源11bをコンデンサレンズ4に対向させることができる。この場合、赤色用の面発光光源11rを青色用の面発光光源11bと直交する方向に配置することができる。また、緑色用の面発光光源11gを青色用の面発光光源11bと直交する方向に配置することができる。
或いは、赤色用の面発光光源11rをコンデンサレンズ4に対向させることができる。この場合、緑色用の面発光光源11gを赤色用の面発光光源11rと直交する方向に配置することができる。また、青色用の面発光光源11bを赤色用の面発光光源11rと直交する方向に配置することができる。
また、上記の各実施の形態では、コリメートレンズ13r,13g,13bは、各々1枚のレンズとして表した。また、コンデンサレンズ4は、1枚のレンズとして表した。また、コリメートレンズ13r,13g,13bは、球面レンズに限らず、非球面レンズや自由曲面レンズ等を用いることができる。また、コンデンサレンズ4は、球面レンズに限らず、非球面レンズや自由曲面レンズ等を用いることができる。
また、上記の実施の形態3,4では、集光F値制御レンズ5を、1枚のレンズとして説明したが、このような形態に限定されるものではない。例えば、集光光学系1Cの仕様、例えば取込角θsや倍率等に応じて、2枚以上のレンズを用いて構成することができる。また、集光F値制御レンズ5は、球面レンズに限らず、非球面レンズや自由曲面レンズ等を用いることができる。
さらに、上記の実施の形態1,3,4では、光強度分布均一化素子としてインテグレータロッド8を用いた場合について説明した。しかしながら、インテグレータロッドに限らず、中空のライトトンネル等の他の光強度分布均一化素子を用いてもよい。
また、上記の各実施の形態では、面発光光源11r,11g,11bから放射される光を合成する手段をダイクロイックミラーとした。しかしながら、ダイクロイックミラーに限らず、ダイクロイックプリズム等の他の光合成手段を用いてもよい。
また、上記の各実施の形態では、面発光光源11r,11g,11bは赤色、緑色および青色の3色とした。しかし、これに限らず、4色以上からなる面発光光源を用いても良い。また、例えば、シアン色と赤色などの2色からなる面発光光源を用いても良い。また、白色の面発光光源を用いてもよい。複数色での表示が不要な場合には、単色の面発光光源を用いても良い。
本発明は、面発光光源を用いた集光光学系、および、その集光光学系を用いた投写型画像表示装置に適用することができる。