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JP5251219B2 - 永久磁石式回転機用回転子 - Google Patents

永久磁石式回転機用回転子 Download PDF

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Description

本発明は、複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子(いわゆる磁石埋込構造回転機(IPM回転機:IPM:Interior Permanent Magnet))、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子(いわゆる表面磁石型回転機(SPM回転機:SPM:Surface Permanent Magnet)、特に、高速回転を行う電気自動車用モータや発電機、FAモータ等に最適な永久磁石構造型回転機用回転子に関する。
Nd系焼結磁石は、その優れた磁気特性のために、ますます用途が広がってきている。近年、モータや発電機などの回転機の分野においても機器の軽薄短小化、高性能化、省エネルギー化に伴いNd系焼結磁石を利用した永久磁石回転機が開発されている。回転子の内部に磁石を埋め込んだ構造をもつIPM回転機は、磁石の磁化によるトルクに加えてロータヨークの磁化によるリラクタンストルクを利用することができるので、高性能な回転機として研究が進んでいる。珪素鋼板等で作られたロータヨークの内部に磁石が埋め込まれているので、回転中にも遠心力で磁石が飛び出すことがなく、機械的な安全性が高く、電流位相を制御して高トルク運転や広範囲な速度での運転が可能であり、省エネルギー、高効率、高トルクモータとなる。近年は、電気自動車、ハイブリッド自動車、高性能エアコン、産業用、電車用等のモータや発電機としての利用が急速に拡大している。
また、回転子の表面に磁石を張り合わせた形状をもつSPM回転機は、Nd磁石のもつ強い磁気を効率的に利用でき、モータートルクのリニアリティーがよく、制御性に優れている。磁石形状を最適化すれば、コギングトルクの小さなモータとなる。一部の電気自動車や電動パワーステアリング、その他制御用モータに使われている。
回転機中の永久磁石は、巻き線や鉄心の発熱により高温に曝され、更に巻き線からの反磁界により極めて減磁しやすい状況下にある。このため、耐熱性、耐減磁性の指標となる保磁力が一定以上あり、磁力の大きさの指標となる残留磁束密度ができるだけ高いNd系焼結磁石が要求されている。
更に、Nd系焼結磁石の電気抵抗は100〜200μΩ・cmの導体であり、回転子が回転すると磁石の磁束密度が変動し、それに伴う渦電流が生じる。渦電流低減のために有効な手段は、渦電流経路を分断するために磁石体を分割することである。細分化するほど渦電流損失低減になるが、製造コストの増加や隙間による磁石体積減少で出力が低下する等を考慮することが必要である。
渦電流の経路は、磁石の磁化方向に垂直な面内に流れ、外周部ほど電流密度が高くなっている。また、固定子に近い面で電流密度が高くなっている。即ち、渦電流による発熱量は、磁石表面付近ほど大きく、より高温になるため、この部分で特に減磁しやすい状態にある。渦電流による減磁を抑えるために、磁石表面部において耐減磁性の指標となる保磁力が磁石内部より高いNd系焼結磁石が要求される。
また、保磁力を向上させるには、いくつかの方法がある。
Nd系焼結磁石の残留磁束密度増大は、Nd2Fe14B化合物の体積率増大と結晶配向度向上により達成され、これまでに種々のプロセスの改善が行われてきている。保磁力の増大に関しては、結晶粒の微細化を図る、Nd量を増やした組成合金を用いる、あるいは効果のある元素を添加する等、様々なアプローチがある中で、現在最も一般的な手法は、DyやTbで、Ndの一部を置換した組成合金を用いることである。Nd2Fe14B化合物のNdをこれらの元素で置換することで、化合物の異方性磁界が増大し、保磁力も増大する。一方で、DyやTbによる置換は、化合物の飽和磁気分極を減少させる。従って、上記手法で保磁力の増大を図る限りでは、残留磁束密度の低下は避けられない。
Nd系焼結磁石は、結晶粒界面で逆磁区の核が生成する外部磁界の大きさが保磁力となる。逆磁区の核生成には結晶粒界面の構造が強く影響しており、界面近傍における結晶構造の乱れが磁気的な構造の乱れを招き、逆磁区の生成を助長する。一般的には、結晶界面から5nm程度の深さまでの磁気的構造が保磁力の増大に寄与していると考えられている(非特許文献1:K. −D. Durst and H. Kronmuller, “THE COERCIVE FIELD OF SINTERED AND MELT−SPUN NdFeB MAGNETS”, Journal of Magnetism and Magnetic Materials 68 (1987) 63−75)。
本発明者らは、結晶粒の界面近傍のみにわずかなDyやTbを濃化させ、界面近傍のみの異方性磁界を増大させることで、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力を増大できることを見出している(特許文献1:特公平5−31807号公報)。更に、Nd2Fe14B化合物組成合金と、DyあるいはTbに富む合金を別に作製した後に混合して焼結する製造方法を確立している(特許文献2:特開平5−21218号公報)。この方法では、DyあるいはTbに富む合金は焼結時に液相となり、Nd2Fe14B化合物を取り囲むように分布する。その結果、化合物の粒界近傍でのみNdとDyあるいはTbが置換され、残留磁束密度の低下を抑制しつつ効果的に保磁力を増大できる。
しかし、上記方法では、2種の合金微粉末を混合した状態で1,000〜1,100℃という高温で焼結するために、DyあるいはTbがNd2Fe14B結晶粒の界面のみでなく内部まで拡散しやすい。実際に得られる磁石の組織観察からは、結晶粒界表層部で界面から深さ1〜2μm程度まで拡散しており、拡散した領域を体積分率に換算すると60%以上となる。また、結晶粒内への拡散距離が長くなるほど界面近傍におけるDyあるいはTbの濃度は低下してしまう。結晶粒内への過度な拡散を極力抑えるには焼結温度を低下させることが有効であるが、これは同時に焼結による緻密化を阻害するため現実的な手法となり得ない。ホットプレスなどで応力を印加しながら低温で焼結する方法では、緻密化は可能であるが、生産性が極端に低くなるという問題がある。
一方、焼結磁石を小型に加工した後、磁石表面にDyやTbをスパッタによって被着させ、磁石を焼結温度より低い温度で熱処理することにより粒界部にのみDyやTbを拡散させて保磁力を増大させる方法が報告されている(非特許文献2:K. T. Park, K. Hiraga and M. Sagawa, “Effect of Metal−Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd−Fe−B Sintered Magnets”, Proceedings of the Sixteen International Workshop on Rare−Earth Magnets and Their Applications, Sendai, p.257 (2000)、非特許文献3:町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、“Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性”、粉体粉末冶金協会講演概要集、平成16年度春季大会、p.202参照)。これらの方法では、更に効率的にDyやTbを粒界に濃化できるため、残留磁束密度の低下をほとんど伴わずに保磁力を増大させることが可能である。また、磁石の比表面積が大きい、即ち磁石体が小さいほど供給されるDyやTbの量が多くなるので、この方法は小型あるいは薄型の磁石へのみ適用可能である。しかし、スパッタ等による金属膜の被着には生産性が悪いという問題がある。
これらの問題点を解決し、量産性があり、効率よく保磁力を向上することのできる手段として、特許文献3:国際公開第2006/043348号パンフレットが示されている。これは、Nd系焼結磁石に代表されるR1−Fe−B系焼結磁石に対し、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末(なお、R1〜R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を磁石表面に存在させた状態で加熱することで、粉末に含まれていたR2、R3又はR4が磁石体に吸収され、残留磁束密度の減少を著しく抑制しながら保磁力を増大する。特にR3のフッ化物又はR4の酸フッ化物を用いた場合、R3又はR4がフッ素と共に磁石体に高効率に吸収され、残留磁束密度が高く、保磁力の大きな焼結磁石が得られるものである。
特公平5−31807号公報 特開平5−21218号公報 国際公開第2006/043348号パンフレット K. −D. Durst and H. Kronmuller, "THE COERCIVE FIELD OF SINTERED AND MELT−SPUN NdFeB MAGNETS", Journal of Magnetism and Magnetic Materials 68 (1987) 63−75 K. T. Park, K. Hiraga and M. Sagawa, "Effect of Metal−Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd−Fe−B Sintered Magnets", Proceedings of the Sixteen International Workshop on Rare−Earth Magnets and Their Applications, Sendai, p.257 (2000) 町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、"Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性"、粉体粉末冶金協会講演概要集、平成16年度春季大会、p.202
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高い出力と耐熱性を有する永久磁石式回転機用回転子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、複数個の永久磁石セグメントを用いるIPM回転機又はSPM回転機において、各永久磁石セグメントをそれぞれ、更に細かく分割した永久磁石の集合体で構成すること、この永久磁石集合体の個々の永久磁石(分割磁石)として、その表面近傍の保磁力乃至耐熱性を該永久磁石(分割磁石)内部の保磁力乃至耐熱性よりも高くしたものを用いることが有効であることを知見した。この場合、本発明者らは、上述した非特許文献3及び特許文献3の方法は、残留磁束密度の低減がなく、高出力回転機に適しており、更に、分割磁石の表面近傍における保磁力を高めることができるので、IPM回転機やSPM回転機の回転子に用いた場合、渦電流発熱による減磁を抑えることが期待できると考えたが、このような方法を上記永久磁石集合体の個々の分割磁石に適用することが本発明の目的を達成する上で有効であり、特にNd系焼結磁石を用い、渦電流の発熱を抑えるために磁石を分割すること、これを永久磁石回転機のIPM回転機又はSPM回転機の回転子用磁石とすること、これにより表面近傍における保磁力が内部の保磁力より大きな磁石で、表面近傍における耐熱性を向上させた分割磁石が永久磁石式回転機用回転子用としてIPM又はSPM回転機に有効であることを知見したものである。
更に、詳述すると、本発明者らは、渦電流発熱を低減するために、分割した磁石を用いた永久磁石式回転機の中の磁石が、渦電流発熱によって磁石の表面近傍で特に温度が高くなることを見出した。磁石の耐熱性を上げるためには、温度が高くなる磁石表面近傍の保磁力を上げることが効果的で、特に磁石表面近傍の保磁力向上には、Nd系焼結磁石の表面から内部に向かっての保磁力傾斜が、磁石表面から内部に向かってDy又はTbを拡散させたことによって形成した磁石を用いること、この場合磁石表面から内部に向かってDy又はTbの拡散は、主に結晶粒界を経由しており、例えば、磁石表面から内部に向かってのDy又はTbの拡散反応として、磁石の表面にDy又はTb酸化物粉末あるいはDy又はTbフッ化物の粉末あるいはDy又はTbを含む合金粉末を塗布し、その後高温で拡散させる手法が有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、以下の永久磁石式回転機用回転子及び永久磁石式回転機を提供する。
請求項1:
複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子において、上記の複数個の永久磁石セグメントのそれぞれが更に分割された永久磁石の集合体で構成され、この分割された永久磁石が焼結磁石ブロックについて表面研削加工のみを行って断面形状を長方形、台形又は弓形としたものであると共に、各分割された個々の永久磁石の表面近傍における保磁力がそれぞれ分割された永久磁石内部の保磁力より大きくなっていることを特徴とする永久磁石式回転機用回転子。
請求項2:
複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子において、用いられる複数個の永久磁石セグメントのそれぞれが更に分割された永久磁石の集合体で構成され、この分割された永久磁石が焼結磁石ブロックについて表面研削加工のみを行って断面形状を長方形、台形又は弓形としたものであると共に、各分割された個々の永久磁石の表面近傍における耐熱性がそれぞれ分割された磁石内部の耐熱性より高くなっていることを特徴とする永久磁石式回転機用回転子。
請求項3:
上記分割された永久磁石がNd系希土類焼結磁石であることを特徴とする請求項1又は2記載の永久磁石式回転機用回転子。
請求項4:
上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かっての保磁力傾斜が、磁石表面から内部に向かってDy又はTbを拡散させたことによって造られたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石式回転機用回転子。
請求項5:
上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かっての保磁力傾斜が、磁石表面から内部に向かってDy又はTbを、主に結晶粒界を経由して拡散させたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石式回転機用回転子。
請求項6:
上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かってのDy又はTbの拡散が、磁石の表面にDy又はTb酸化物粉末、Dy又はTbフッ化物の粉末、又はDy又はTbを含む合金粉末を塗布し、その後高温に保持してDy又はTbを拡散させたことを特徴とする請求項4又は5記載の永久磁石式回転機用回転子。
本発明によれば、IPM又はSPM永久磁石式回転機の回転子に適した高い残留磁束密度と高い保磁力、特に磁石外周部で高い保磁力を有する永久磁石、特にNd系焼結磁石を分割磁石として回転子に用いた高い出力と耐熱性を有する永久磁石式回転機を提供することができる。
本発明に係る永久磁石式回転機は、複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子(いわゆる表面磁石型回転機)であり、本発明においては上記複数個の永久磁石セグメントのそれぞれが更に細かく分割された永久磁石(分割磁石)の集合体で構成されていると共に、各永久磁石集合体の分割磁石の表面近傍における保磁力又は耐熱性が内部の保磁力又は耐熱性より大きく又は高くなっているものである。
ここで、このようなIPM回転機としては、図1に示すものが例示される。即ち、図1において、1は回転子(ロータ)、2は固定子であり、回転子(ロータ)1は、電磁鋼板を積層したロータヨーク11に永久磁石セグメント12が埋め込まれた4極構造を示した例示であるが、単に長方形の磁石を4極に配置してもよい。極数は、回転機の目的に合わせて選択する。固定子2は、電磁鋼板を積層した6スロット構造で、各ティースには集中巻きでコイル13が巻かれており、コイル13はU相,V相,W相の3相Y結線となっている。なお、図中14はステータヨークである。図1に示すU,V,Wの添え字の+と−はコイルの巻き方向を示すもので、+は紙面に対し出る方向、−は入る方向を意味する。回転子と固定子の位置関係が図1の状態で、U相に余弦波の交流電流、V相にU相より120°位相の進んだ交流電流、W相にU相より240°位相の進んだ交流電流を流すことで、永久磁石の磁束とコイルの磁束の相互作用で回転子は反時計回りに回転する。なお、図中、永久セグメント12に付随させた矢印方向が磁化方向である。
本発明において、上記永久磁石セグメント12は、例えば図3(B)に示すように、それぞれ分割された複数の永久磁石(分割磁石)12aの集合体から構成される。
この場合、分割磁石12aは、Nd系希土類焼結磁石であることが好ましい。Nd系焼結磁石は、常法に従い、母合金を粗粉砕、微粉砕、成形、焼結させることにより得た焼結磁石が用いられるが、本発明においては、上述したとおり、個々の焼結磁石の表面近傍における保磁力又は耐熱性を内部の保磁力又は耐熱性を大きく又は高くしたものを用いるが、これは磁石表面から内部に向かってDy又はTbを拡散させること、この場合主に結晶粒界を経由して拡散させることによって形成し得る。具体的には、分割磁石表面にDyやTbをスパッタによって被着させ、分割磁石を焼結温度より低い温度で熱処理することにより粒界部にのみDyやTbを拡散させて保磁力を増大させる方法や、DyやTbの酸化物やフッ化物や酸フッ化物の粉末を当該分割磁石の表面に存在させた状態で、当該分割磁石及び粉末を当該分割磁石の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施す方法により得られたものが用いられる。
より好適には、分割磁石の表面にDy又はTb酸化物粉末、Dy又はTbフッ化物の粉末、又はDy又はTbを含む合金粉末を塗布し、その後高温に保持してDy又はTbを拡散させることによって得ることができる。
ここで、IPM回転機に使われる永久磁石(分割磁石)は、焼結磁石ブロックを所定の形状に砥石、切削刃、ワイヤーソー等を用いて研削加工して得られる。その断面形状は、作りやすさの観点から、図2(A)に示すような長方形にすることが多いが、回転機の特性向上のために、図2(B),(C)に示す台形や弓形にすることもある。なお、図2中、矢印方向が磁化方向Mである。
分割磁石の大きさは特に限定されないが、本発明において、分割磁石からDyやTbを拡散処理するために、DyやTbの拡散割合が分割磁石の比表面積が大きい、即ち寸法が小さいほど多くなるので、例えば図3(A)、図6(A)、図10(A)において、W、L、Tのうち最も小さい寸法は50mm以下、好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下であることが好ましい。なお、上記寸法の下限は特に制限されず、実用的な値として0.1mm以上である。
本発明は、原料磁石を永久磁石体の所望の特性になるように切削加工して適宜分割磁石を形成する。なお、永久磁石セグメントの分割数は2〜50個の分割程度の範囲、好ましくは、4〜25個に分割したものを接着剤により接着して集合体を形成させる。ここで、集合体としては、図3(B)、図6(B)、図10(B)に示したように、直方体状、湾曲板状の分割磁石12aにつき、図中W方向(軸方向乃至長手方向)を水平方向と一致させてその複数個を積み上げることにより形成したもの、あるいは図12(A)に示すように、直方体状の分割磁石12aにつき、軸方向を垂直方向と一致させて配設し、その複数個を一列に並列、集合させたもの、図12(B)に示すように、立方体形状の分割磁石12aを縦方向に積み上げると共に、横方向に一列に並列、集合させたもの、図12(C)に示すように、直方体状の分割磁石12aを図3(B)に示したように積み上げたもの2組を並列、集合させたものなど、種々の態様とすることができ、図示の集合体に限定されない。
積層された磁石集合体は、ロータ内に配置されている穴に挿入されて、磁石埋め込み型のロータが得られる。
IPM回転機は、永久磁石を通る磁束は回転子の回転と共に時々刻々変化しており、この磁場変動により磁石内部に渦電流が発生する。渦電流の経路は、磁石の磁化方向に垂直な面内に流れる。
分割磁石12aであっても、渦電流は磁化方向に垂直な面に流れる。渦電流の流れ方と磁石内部の温度分布を、図5に模式図としてまとめた。図5に示すように、渦電流の密度が、個々の磁石の外周部で高くなり、温度が上がる。ステータ側での磁場変動が大きいため、磁化方向の温度分布はステータ側の方が回転軸の中心側より若干高くなっている。渦電流による減磁を抑えるためには、磁石外周部にあたる磁石表面近傍で耐減磁性の指標となる保磁力が磁石内部より高いNd磁石が要求される。磁石内部は、渦電流の発熱が少ないので、必要以上の保磁力はいらない。
図3は、分割磁石12aの全表面からDy又はTbを拡散させ(図中、斜線部分がDy又はTbを拡散させた表面である)[図3(A)]、磁石表面近傍の保磁力を上げた5個の分割磁石12aを接着剤で一体化した[図3(B)]例示である。
図6の分割磁石12aは、図6(A)に示したように、1個の分割磁石において磁化方向に平行な4面からDy又はTbの吸収拡散処理を行った(図中、斜線部分がDy又はTbを拡散させた表面であり、斜線のないXY面の2面は未処理)後、該分割磁石を5個、接着剤で一体化した(図中、斜線部分がDy又はTbを拡散させた表面[図6(B)]ものである。図3又は図6のような形態であっても、磁石外周部にあたる磁石表面近傍で耐減磁性の指標となる保磁力が、磁石内部より高いNd磁石を得ることができる。なお、表面近傍とは表面から6mm程度までの領域を意味する。
焼結磁石体の表面から結晶磁気異方性を高める効果の特に大きい元素であるDy、Tbなどの拡散吸収処理の結果、残留磁束密度の低減をほとんど伴わずにNd系焼結磁石の保磁力が効率的に増大されるので、焼結磁石体の保磁力に分布ができる。図3に示した磁石表面全面からの拡散吸収処理で得られた磁石の保磁力分布の様子を図4にまとめた。磁石表面近傍の保磁力が、磁石内部の保磁力より高くなっている。図6に示した磁石表面のうち磁化方向に平行な4面からの拡散吸収処理で得られた磁石の保磁力分布の様子を図7にまとめた。磁石表面近傍の保磁力が、磁石内部の保磁力より高くなっているが、磁化方向に垂直な面からの拡散吸収がないので、これらの面の保磁力は向上していない。IPM回転機の場合、渦電流による発熱は、磁化方向に平行な4面(XZ面、YZ面)で特に大きいので、図7の保磁力分布であっても耐熱性を向上することができる。何れの形態でも磁石表面近傍で保磁力が高まるので、渦電流発熱に対する耐熱性向上に効果的な分布となっている。
SPM回転機の一例を図8に示す。回転子(ロータ)1は、ロータヨーク11の表面に、永久磁石セグメント12を貼り付けた構造で、空隙を介して配置された複数のスロットを有する固定子(ステータ)2で構成されている。固定子2はIPM回転機と同様である。この回転機は、高精度のトルク制御を必要とするACサーボモータ等に利用される。トルクは、脈動の小さなものでなければならない。従って、回転子が回転したときに固定子のスロットと永久磁石との位置関係から、空隙の磁束分布が変化することに起因するコギングトルク(コイルに電流を流さない状態でのトルク)やコイルの電流を流して駆動した時のトルクリップルが発生することは好ましくない。トルクリップルは、制御性を悪くする他に騒音の原因にもなる。コギングトルクを低減する方法として、図9(C)及び図10(A)に示すような永久磁石の端部形状が中央部より薄い形状の分割磁石12aを用いる。これにより、磁束分布の変化が大きな磁極の切り替わり部分である永久磁石端部での磁束分布が滑らかになり、コギングトルクを低減することができる。従って、図9(C)及び図10(A)のようなC型の磁石がよく用いられ、その他に図9(B)に示すD型磁石も用いられる。作りやすさの観点から図9(A)の長方形磁石にする場合もある。
SPM回転機でも、永久磁石に渦電流が流れ、渦電流低減のために図10(A)に示すような分割磁石12aが効果的である。図10(B)は、磁石の表面からDy又はTbを拡散させた(図中、斜線部分がDy又はTbを拡散させた表面である)4個の分割磁石12aを接着剤で一体化したものである。分割した磁石12aであっても、渦電流は磁化方向に垂直な面に流れる。渦電流の流れ方と磁石内部の温度分布を、図11に模式図としてまとめた。図11に示すように渦電流の密度が、個々の磁石の外周部で高くなり、温度が上がる。ステータ側での磁場変動が大きいため、磁化方向の温度分布はステータ側で高くなっている。磁化方向の温度分布は、IPMモータより大きい。本発明では、渦電流による減磁を抑え、磁石外周部及びステータ側にあたる磁石表面近傍で耐減磁性の指標となる保磁力が磁石内部より高いNd磁石が用いられる。
IPM回転機と同様に、Nd系焼結磁石の表面から結晶磁気異方性を高め、Dy、Tbなどの元素で分割磁石表面を拡散吸収処理することで、残留磁束密度の低減をほとんど伴わずに磁石の表面近傍の保磁力が高い磁石が得られ、耐熱性を高めたSPM回転機用回転子を得ることができる。
以下、本発明の具体的態様について実施例をもって詳述するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
<実施例及び比較例の磁気特性>
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するいわゆるストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが13.5原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Tb、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Tbが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕された。
続いて、合金A粉末を90質量%、合金B粉末を10質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の平均粉末粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体をAr雰囲気の焼結炉内に投入し、1,060℃で2時間焼結し、永久磁石ブロックを作製した。永久磁石ブロックをダイヤモンド砥石により図3に示すような直方体磁石に全面研削加工した。その寸法はL=18mm、W=70mm、T=20mm(Tは磁気異方性化した方向)である。図10に示すようなC型の磁石も全面研削加工にて製作した。その寸法はL=22.5mm、W=100mm、T=11mmである。研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化ディスプロシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら前記の直方体及びC型磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ディスプロシウムによる磁石表面空間の占有率は45%であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、直方体磁石体M1とC型磁石体M3を得た。比較のために熱処理のみ施した直方体磁石体をP1、C型磁石体をP2とした。
M1、M3と同じ形状の磁石体に対し、平均粉末粒径が5μmのフッ化テルビウムを質量分率50%でエタノールと混合し、磁石体の磁化方向に平行な四面に塗った。磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化テルビウムによる磁石表面空間の占有率は45%であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。この直方体磁石体をM2、C型磁石体をM4と称する。
これらの磁石体の磁気特性(VSM測定)を表1に示した。下記のように一辺1mmの立方体に磁気特性評価用試料を切り出し、磁石各部の磁気特性を評価した。
磁気特性サンプルの位置
磁気特性サンプルは1mm角であって
表面から1mmまでの1mm角
M1,M2,P1はW方向の中央、T方向の中央、L方向の表面1mmまで
M3,M4,P2はW方向の中央、L方向の中央、T方向の表面1mmまで
中央部
文字通り中央部の1mm角
M1,M2,P1はW方向の中央、T方向の中央、L方向の中央(表面から9mm)
M3,M4,P2はW方向の中央、L方向の中央、T方向の中央(表面から5.5mm)
ディスプロシウムの吸収処理を施していない磁石体P1の保磁力に対して本発明による永久磁石体M1は最外周部で500kAm-1の保磁力増大が認められた。磁石内部は、表面から9mmの距離があるので、ディスプロシウムが吸収されず、保磁力に変化がなかった。詳細に保磁力の分布を調べたところ、表面から6mmまで保磁力増大が認められた。また、テルビウムの吸収処理を施した磁石体M2も表面から6mmまで保磁力の増大が認められ、施していない磁石体P1の保磁力に対して800kAm-1の保磁力増大が認められる。本発明の永久磁石の残留磁束密度の低下は5mTと僅かなものであった。次に、本発明による永久磁石体M3は最外周部で500kAm-1の保磁力増大が認められた。磁石内部は、表面からの距離が5.5mmと磁石体M1より小さかったため、磁化方向に垂直の表面からのディスプロシウムの拡散吸収が効いて、100kAm-1の保磁力増大があった。また、テルビウムの吸収処理を施した磁石体M4は、施していない磁石体P1の保磁力に対して表面で800kAm-1、内部で200kAm-1の保磁力増大が認められる。比較のために、合金AのNdの一部をDyで置換した組成合金を用いて永久磁石を作製し、500kAm-1の保磁力増大を図ったところ、残留磁束密度は50mT低下した。
磁石体M1のSEMによる反射電子像とEPMAにより、磁石にはDy及びFが観察された。処理前の磁石にはDy及びFは含まれていないので、磁石体M1におけるDy及びFの存在は、本発明の吸収処理によるものである。吸収されたDyは結晶粒界近傍にのみ濃化している。一方、フッ素(F)も粒界部に存在し、処理前から磁石内に含まれている不可避的不純物である酸化物と結合して酸フッ化物を形成している。このDyの分布により、残留磁束密度の低下を最小限に抑えながら保磁力を増大させることが可能となった。
Figure 0005251219
<実施例1,2及び比較例1の磁石を用いたIPMモータ特性>
本発明の磁石体M1、M2及び比較例の磁石体P1を永久磁石モータに組み込んだ時のモータ特性について説明する。
永久磁石モータは図1に示すIPMモータである。回転子は、0.5mmの電磁鋼板を積層したロータヨークに永久磁石が埋め込まれた4極構造である。ロータヨークの寸法は外径312mm、高さ90mmとなっている。埋め込まれる永久磁石の寸法は、幅70mm、磁気異方性化方向の寸法20mm、軸方向の寸法90mmである。軸方向5分割された磁石を用いた。固定子は、0.5mmの電磁鋼板を積層した6スロット構造で、各ティースには集中巻きでコイルが60ターン巻かれており、コイルはU相,V相,W相の3相Y結線となっている。
図3の本発明の処理を行った磁石体M1、M2と処理なしのP1をそれぞれエポキシ接着剤で5枚貼り合せた後で着磁し、ロータヨークに組み込んだ。各磁石を組み込んだモータをMM1、MM2、MP1とした。各相に実効値電流50A、2,400rpmで1時間連続運転し、運転直後のトルクと連続運転の後、十分冷えた状態で再度運転した時のトルクの比から、永久磁石の減磁率を評価した。結果を表2にまとめた。ここで、A:運転直後のトルク、B:連続運転の後、十分冷えた状態で再度運転した直後のトルクとして
減磁率=(A+B)/A(%)
A、Bの状態とも運転直後なので、磁石の温度は同じである。変化量は、連続運転で渦電流損失により、磁石の温度がより減じた分に相当する。この試験条件で、比較例1のMP1は11%のトルク減少が見られたが、実施例のMM1、MM2では、トルク減少はほとんど見られなかった。このことから磁石表面近傍の保磁力向上で、渦電流損失による減磁が抑えられることが確認できた。
Figure 0005251219
<実施例3,4及び比較例2の磁石を用いたSPMモータ特性>
本発明の磁石体M3、M4及び比較例の磁石体P2を永久磁石モータに組み込んだ時のモータ特性について説明する。
永久磁石モータは図8に示すSPMモータである。回転子は、0.5mmの電磁鋼板を積層したロータヨークの表面に永久磁石が接着剤で固定されている4極構造である。回転子の外径は、312mm、高さ90mmとなっている。埋め込まれる永久磁石の寸法は、幅100mm、磁気異方性化方向の寸法11mm、軸方向の寸法90mmである。軸方向4分割された磁石を用いた。固定子は、実施例1,2及び比較例1と同じものである。
図10の本発明の処理を行った磁石体M3、M4と処理なしのP2をそれぞれエポキシ接着剤で4枚貼り合せた後で着磁し、ロータヨークに表面にエポキシ接着剤で固定した。各磁石を組み込んだモータをMM3、MM4、MP2とした。各相に実効値電流50A、2,400rpmで1時間連続運転し、運転直後のトルクと連続運転の後、十分冷えた状態で再度運転した時のトルクの比から、永久磁石の減磁量を評価した。結果を表3にまとめた。この試験条件で、比較例2のMP2は32%のトルク減少が見られたが、実施例のMM3、MM4では、トルク減少はほとんど見られなかった。SPMモータにおいても磁石表面近傍の保磁力向上で、渦電流損失による減磁が抑えられることが確認できた。
Figure 0005251219
なお、実施例は永久磁石モータであるが、永久磁石発電機も同じ構造であり、本発明の効果は同様である。
本発明に係る4極6スロットのIPMモータの一例を説明する断面図である。 (A)〜(C)はそれぞれIPMモータにおける永久磁石集合体を形成する分割磁石の一例を示す断面図である。 本発明のIPMモータに用いる永久磁石セグメントの一例を示し、(A)は全表面からDy又はTbの拡散処理を行った分割磁石の斜視面、(B)は同分割磁石を用いた永久磁石集合体の斜視図である。 図3(A)の分割磁石の保磁力の分布状態の説明図であり、(A)は分割磁石の側面における説明図、(B)は同端面における説明図である。 (A)はIPMモータにおいて、図3(B)の永久磁石集合体における渦電流の流れ方を説明する図、(B)は同永久磁石集合体における磁石内部の温度分布を説明する図である。 本発明のIPM回転機に用いる永久磁石セグメントの他の例を示し、(A)は磁化方向に平行な4つの表面からDy又はTbの拡散処理を行った分割磁石の斜視図、(B)は同分割磁石を用いた永久磁石集合体の斜視図である。 図6(A)の分割磁石の保磁力の分布状態の説明図であり、(A)は分割磁石の側面における説明図、(B)は同端面における説明図である。 本発明に係る4極6スロットのSPMモータの一例を説明する断面図である。 (A)〜(C)はそれぞれSPMモータにおける永久磁石集合体を形成する分割磁石の一例を示す断面図である。 本発明のSPMモータに用いる永久磁石セグメントの一例を示し、(A)は全表面からDy又はTbの拡散処理を行った分割磁石の斜視図、(B)は同分割磁石を用いた永久磁石集合体の斜視図である。 (A)はSPMモータにおいて、図9(B)の永久磁石集合体における渦電流の流れ方を説明する図、(B)は同永久磁石集合体における磁石内部の温度分布を説明する図である。 (A)〜(C)はそれぞれ永久磁石集合体の例を示す斜視図である。
符号の説明
1 回転子
2 固定子
11 ロータヨーク
12 永久磁石セグメント
12a 分割磁石
13 コイル
14 ステータヨーク

Claims (6)

  1. 複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子において、上記の複数個の永久磁石セグメントのそれぞれが更に分割された永久磁石の集合体で構成され、この分割された永久磁石が焼結磁石ブロックについて表面研削加工のみを行って断面形状を長方形、台形又は弓形としたものであると共に、各分割された個々の永久磁石の表面近傍における保磁力がそれぞれ分割された永久磁石内部の保磁力より大きくなっていることを特徴とする永久磁石式回転機用回転子。
  2. 複数個の永久磁石セグメントがロータコア内部に埋め込まれた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子、又は複数個の永久磁石セグメントをロータコア表面に取り付けた回転子と、複数のスロットを有するステータコアに巻き線を巻いた固定子とが空隙を介して配置された永久磁石回転機に用いる回転子において、用いられる複数個の永久磁石セグメントのそれぞれが更に分割された永久磁石の集合体で構成され、この分割された永久磁石が焼結磁石ブロックについて表面研削加工のみを行って断面形状を長方形、台形又は弓形としたものであると共に、各分割された個々の永久磁石の表面近傍における耐熱性がそれぞれ分割された磁石内部の耐熱性より高くなっていることを特徴とする永久磁石式回転機用回転子。
  3. 上記分割された永久磁石がNd系希土類焼結磁石であることを特徴とする請求項1又は2記載の永久磁石式回転機用回転子。
  4. 上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かっての保磁力傾斜が、磁石表面から内部に向かってDy又はTbを拡散させたことによって造られたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石式回転機用回転子。
  5. 上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かっての保磁力傾斜が、磁石表面から内部に向かってDy又はTbを、主に結晶粒界を経由して拡散させたことを特徴とする請求項3記載の永久磁石式回転機用回転子。
  6. 上記のNd系希土類焼結磁石の表面から内部に向かってのDy又はTbの拡散が、磁石の表面にDy又はTb酸化物粉末、Dy又はTbフッ化物の粉末、又はDy又はTbを含む合金粉末を塗布し、その後高温に保持してDy又はTbを拡散させたことを特徴とする請求項4又は5記載の永久磁石式回転機用回転子。
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