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JP4656325B2 - 希土類永久磁石、その製造方法、並びに永久磁石回転機 - Google Patents

希土類永久磁石、その製造方法、並びに永久磁石回転機 Download PDF

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Description

本発明は、焼結磁石体の残留磁束密度の低減を抑制しながら保磁力を増大させたR−Fe−B系希土類永久磁石、及びその製造方法、並びに高速回転を行う電気自動車用モータや発電機、FAモータ等に最適な永久磁石回転機に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石は、その優れた磁気特性のために、ますます用途が広がってきている。近年、モータや発電機などの回転機の分野においても、機器の軽量短小化、高性能化、省エネルギー化に伴い、Nd−Fe−B系永久磁石を利用した永久磁石回転機が開発されている。回転機中の永久磁石は、巻き線や鉄心の発熱により高温に曝され、更に巻き線からの反磁界により極めて減磁しやすい状況下にある。このため、耐熱性、耐減磁性の指標となる保磁力が一定以上あり、磁力の大きさの指標となる残留磁束密度ができるだけ高いNd−Fe−B系焼結磁石が要求されている。
Nd−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度増大は、Nd2Fe14B化合物の体積率増大と結晶配向度向上により達成され、これまでに種々のプロセスの改善が行われてきている。保磁力の増大に関しては、結晶粒の微細化を図る、Nd量を増やした組成合金を用いる、あるいは効果のある元素を添加する等、様々なアプローチがある中で、現在最も一般的な手法はDyやTbでNdの一部を置換した組成合金を用いることである。Nd2Fe14B化合物のNdをこれらの元素で置換することで、化合物の異方性磁界が増大し、保磁力も増大する。一方で、DyやTbによる置換は化合物の飽和磁気分極を減少させる。従って、上記手法で保磁力の増大を図る限りでは残留磁束密度の低下は避けられない。
Nd−Fe−B系焼結磁石は、結晶粒界面で逆磁区の核が生成する外部磁界の大きさが保磁力となる。逆磁区の核生成には結晶粒界面の構造が強く影響しており、界面近傍における結晶構造の乱れが磁気的な構造の乱れを招き、逆磁区の生成を助長する。一般的には、結晶界面から5nm程度の深さまでの磁気的構造が保磁力の増大に寄与していると考えられている(非特許文献1:K. −D. Durst and H. Kronmuller, “THE COERCIVE FIELD OF SINTERED AND MELT−SPUN NdFeB MAGNETS”, Journal of Magnetism and Magnetic Materials 68 (1987) 63−75)。本発明者らは、結晶粒の界面近傍のみにわずかなDyやTbを濃化させ、界面近傍のみの異方性磁界を増大させることで、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力を増大できることを見出している(特許文献1:特公平5−31807号公報)。更に、Nd2Fe14B化合物組成合金と、DyあるいはTbに富む合金を別に作製した後に混合して焼結する製造方法を確立している(特許文献2:特開平5−21218号公報)。この方法では、DyあるいはTbに富む合金は焼結時に液相となり、Nd2Fe14B化合物を取り囲むように分布する。その結果、化合物の粒界近傍でのみNdとDyあるいはTbが置換され、残留磁束密度の低下を抑制しつつ効果的に保磁力を増大できる。
しかし、上記方法では2種の合金微粉末を混合した状態で1,000〜1,100℃という高温で焼結するために、DyあるいはTbがNd2Fe14B結晶粒の界面のみでなく内部まで拡散しやすい。実際に得られる磁石の組織観察からは結晶粒界表層部で界面から深さ1〜2μm程度まで拡散しており、拡散した領域を体積分率に換算すると60%以上となる。また、結晶粒内への拡散距離が長くなるほど界面近傍におけるDyあるいはTbの濃度は低下してしまう。結晶粒内への過度な拡散を極力抑えるには焼結温度を低下させることが有効であるが、これは同時に焼結による緻密化を阻害するため現実的な手法となり得ない。ホットプレスなどで応力を印加しながら低温で焼結する方法では、緻密化は可能であるが、生産性が極端に低くなるという問題がある。
一方、焼結磁石を小型に加工した後、磁石表面にDyやTbをスパッタによって被着させ、磁石を焼結温度より低い温度で熱処理することにより粒界部にのみDyやTbを拡散させて保磁力を増大させる方法が報告されている(非特許文献2:K. T. Park, K. Hiraga and M. Sagawa, “Effect of Metal−Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd−Fe−B Sintered Magnets”, Proceedings of the Sixteen International Workshop on Rare−Earth Magnets and Their Applications, Sendai, p.257 (2000)、非特許文献3:町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、“Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性”、粉体粉末冶金協会講演概要集 平成16年度春季大会、p.202参照)。この方法では、更に効率的にDyやTbを粒界に濃化できるため、残留磁束密度の低下をほとんど伴わずに保磁力を増大させることが可能である。また、磁石の比表面積が大きい、即ち磁石体が小さいほど供給されるDyやTbの量が多くなるので、この方法は小型あるいは薄型の磁石へのみ適用可能である。しかし、スパッタ等による金属膜の被着には生産性が悪いという問題があった。
また、近年10kW以上の大容量の回転機にもNd−Fe−B系焼結磁石が使用されるようになった。Nd−Fe−B系焼結磁石の電気抵抗は100〜200μΩ・cmの導体であり、磁石に生じる渦電流やそれに伴う発熱が、磁石の大きさの2乗で大きくなるために大容量回転機においては問題となっている。渦電流低減のために有効な手段は、鉄心に使われる電磁鋼板のように薄板化して絶縁積層することであるが、細分化したセグメント磁石を接着固化して所要の大きさの磁石とする方法は、磁石の製造工程が増加し、製造コストの増加や磁石重量歩留まりの低下を招く。また、セグメント磁石を接着固化せず小磁石のまま用いることも考えられるが、磁石間の反発力に抗して小磁石をロータに組込み固着することは難しい。
特公平5−31807号公報 特開平5−21218号公報 K. −D. Durst and H. Kronmuller, "THE COERCIVE FIELD OF SINTERED AND MELT−SPUN NdFeB MAGNETS", Journal of Magnetism and Magnetic Materials 68 (1987) 63−75 K. T. Park, K. Hiraga and M. Sagawa, "Effect of Metal−Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd−Fe−B Sintered Magnets", Proceedings of the Sixteen International Workshop on Rare−Earth Magnets and Their Applications, Sendai, p.257 (2000) 町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、"Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性"、粉体粉末冶金協会講演概要集 平成16年度春季大会、p.202
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたもので、永久磁石回転機に適した渦電流が小さく保磁力の大きなR−Fe−B系希土類永久磁石(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)及びその製造方法、並びにこの磁石を用いた永久磁石回転機を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、Nd−Fe−B系焼結磁石に代表されるR1−Fe−B系焼結磁石に対し、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末(なお、R1〜R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を磁石表面に存在させた状態で加熱することで、粉末に含まれていたR2、R3又はR4が磁石体に吸収され、残留磁束密度の減少を著しく抑制しながら保磁力を増大し得ることを見出した。この場合、特にR3のフッ化物又はR4の酸フッ化物を用いた場合、R3又はR4がフッ素と共に磁石体に高効率に吸収され、残留磁束密度が高く、保磁力の大きな焼結磁石が得られること、更に、磁石体に複数のスリットを入れることで、実質的に磁石表面積を大きくしてR2、R3又はR4の吸収率を高めることができ、しかもスリットは、磁石体を永久磁石回転機に組み込んだ際の渦電流低減にも有効であることを知見したものである。
即ち、本発明は、以下の希土類永久磁石、その製造方法、並びに永久磁石回転機を提供する。
請求項1:
1−Fe−B系組成(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる焼結磁石体に対し、当該磁石体の少なくとも1つの表面に複数のスリットを設け、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含有する粉末を当該磁石体の表面に存在させた状態で、当該磁石体及び粉末を当該磁石の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施すことを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
請求項2:
1−Fe−B系組成(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる焼結磁石体に対し、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含有する粉末を当該磁石体の表面に存在させた状態で、当該磁石体及び粉末を当該磁石体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施し、次いで当該磁石体の少なくとも1つの表面に複数のスリットを設けることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
請求項3:
焼結磁石体のスリット形成面に形成された各スリット間の間隔がそれぞれ10mm以下であり、各スリットの最深部とスリット形成面に対して反対側の面との間の距離がそれぞれ5mm以下である請求項1又は2記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項4:
熱処理される焼結磁石体が、最大部の寸法が100mm以下で、かつ磁気異方性化した方向の寸法が10mm以下の形状を有する請求項1,2又は3記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項5:
2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末の磁石体表面に対する存在量が、この磁石体の表面から距離1mm以内の当該磁石体を取り囲む空間内における平均的な占有率で10容積%以上である請求項1乃至4のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項6:
2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末の平均粒子径が100μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項7:
2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)のR2、R3、R4に10原子%以上のDy及び/又はTbが含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項8:
3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末を用い、R3及び/又はR4と共にフッ素を焼結磁石体に吸収させた請求項1乃至7のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項9:
前記R3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末において、R3及び/又はR4に10原子%以上のDy及び/又はTbが含まれ、かつR3及び/又はR4におけるNdとPrの合計濃度が前記R1におけるNdとPrの合計濃度より低いことを特徴とする請求項8記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項10:
前記R3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末において、R3のフッ化物とR4の酸フッ化物が合計で10質量%以上含まれ、残部にR5の炭化物、窒化物、酸化物、水酸化物、水素化物から選ばれる1種又は2種以上(R5はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含むことを特徴とする請求項8又は9記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項11:
上記熱処理後、更に低温で時効処理を施すことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項12:
2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる平均粒子径が100μm以下の粉末を水系又は有機系の溶媒に分散させたスラリーとして前記磁石体表面に存在させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項13:
上記焼結磁石体を、アルカリ、酸又は有機溶剤のいずれか1種以上により洗浄した後、上記粉末を磁石体表面に存在させて上記熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項14:
上記焼結磁石体の表面層をショットブラストで除去した後、上記粉末を磁石体表面に存在させて上記熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項15:
熱処理後の最終処理として、アルカリ、酸又は有機溶剤のいずれか1種以上による洗浄処理、研削処理、又はメッキもしくは塗装処理を行うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項16:
請求項1乃至15のいずれか1項記載の製造方法により得られた希土類永久磁石。
請求項17:
請求項1乃至15のいずれか1項記載の製造方法によって得られた希土類永久磁石を組み込んだ永久磁石回転機において、当該磁石体のスリットが磁気異方性化した方向に対し直角な面に設けられたことを特徴とする永久磁石回転機。
請求項18:
希土類永久磁石の表面に設けたスリットに非導電性物質を充填してなる請求項17記載の永久磁石回転機。
本発明によれば、永久磁石回転機に適した渦電流が小さく高い残留磁束密度と高い保磁力を有するR−Fe−B系焼結磁石及びこの磁石を用いた永久磁石回転機を提供することができる。
本発明は、永久磁石回転機に適した渦電流が小さく高い残留磁束密度と高い保磁力を有するR−Fe−B系焼結磁石及びこの磁石を用いた永久磁石回転機に関するものである。本発明の希土類永久磁石は、R1−Fe−B系組成からなる焼結磁石体表面にスリットを入れ、後述する希土類元素の酸化物、フッ化物又は酸フッ化物を供給して熱処理を行うもの、及び希土類永久磁石はR1−Fe−B系組成からなる焼結磁石体表面に、後述する希土類元素の酸化物、フッ化物又は酸フッ化物を供給して熱処理したものにスリットを入れるものがある。
ここで、R1−Fe−B系焼結磁石体は、常法に従い、母合金を粗粉砕、微粉砕、成形、焼結させることにより得ることができる。
なお、本発明において、R及びR1はいずれもY及びScを含む希土類元素から選ばれるものを意味するが、Rは主に得られた磁石体に関して使用し、R1は主に出発原料に関して用いる。
母合金は、R1、Fe、Bを含有する。R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上で、具体的にはY、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuが挙げられ、好ましくはNd、Pr、Dyを主体とする。これらY及びScを含む希土類元素は合金全体の10〜15原子%、特に12〜15原子%であることが好ましく、更に好ましくはR1中にNdとPrあるいはそのいずれか1種を10原子%以上、特に50原子%以上含有することが好適である。Bは3〜15原子%、特に4〜8原子%含有することが好ましい。その他、Al、Cu、Zn、In、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wの中から選ばれる1種又は2種以上を0〜11原子%、特に0.1〜5原子%含有してもよい。残部はFe及びC、N、O等の不可避的な不純物であるが、Feは50原子%以上、特に65原子%以上含有することが好ましい。また、Feの一部、例えばFeの0〜40原子%、特に0〜15原子%をCoで置換しても差支えない。
母合金は原料金属あるいは合金を真空あるいは不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解したのち、平型やブックモールドに鋳込む、あるいはストリップキャストにより鋳造することで得られる。また、本系合金の主相であるR2Fe14B化合物組成に近い合金と焼結温度で液相助剤となるRリッチな合金とを別々に作製し、粗粉砕後に秤量混合する、いわゆる2合金法も本発明には適用可能である。但し、主相組成に近い合金に対して、鋳造時の冷却速度や合金組成に依存してα−Fe相が残存しやすく、R2Fe14B化合物相の量を増やす目的で必要に応じて均質化処理を施す。その条件は真空あるいはAr雰囲気中で700〜1,200℃で1時間以上熱処理する。この場合、主相組成に近い合金はストリップキャスト法にて得ることもできる。液相助剤となるRリッチな合金については上記鋳造法のほかに、いわゆる液体急冷法やストリップキャスト法も適用できる。
更に、以下に述べる粉砕工程において、R1の炭化物、窒化物、酸化物、水酸化物のうち少なくとも1種あるいはこれらの混合物又は複合物を0.005〜5質量%の範囲で合金粉末と混合することも可能である。
上記合金は、通常0.05〜3mm、特に0.05〜1.5mmに粗粉砕される。粗粉砕工程にはブラウンミルあるいは水素粉砕が用いられ、ストリップキャストにより作製された合金の場合は水素粉砕が好ましい。粗粉は、例えば高圧窒素を用いたジェットミルにより通常0.2〜30μm、特に0.5〜20μmに微粉砕される。微粉末は磁界中圧縮成形機で成形され、焼結炉に投入される。焼結は真空あるいは不活性ガス雰囲気中、通常900〜1,250℃、特に1,000〜1,100℃で行われる。
ここで得られた焼結磁石は、正方晶R2Fe14B化合物を主相として60〜99体積%、特に好ましくは80〜98体積%含有し、残部は0.5〜20体積%のRに富む相、0〜10体積%のBに富む相及び不可避的不純物により生成した、あるいは添加による炭化物、窒化物、酸化物、水酸化物のうち少なくとも1種あるいはこれらの混合物又は複合物からなる。
本発明において、磁石表面に存在させたR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末から磁石体へのR2、R3又はR4の吸収を高めるために、得られた焼結ブロックを所定形状に研削する際に、表面に複数のスリットを入れて比表面積を大きくする。
この場合、スリットの形成態様は特に限定されるものではなく、焼結磁石体の形成等に応じて種々選定することができる。例えば、焼結磁石体が直方体形状の場合は、図1(A)〜(C)に示すように、図において焼結磁石体1のスリット形成面1aの幅方向両側縁部に対しスリット2の長さ方向両端部を離間させて、又は離間させることなく側縁部から切り込み形成した態様を採用し得るが、勿論これに制限されるものではない。
なお、焼結磁石体のスリット形成面に図1(A)〜(D)の如くスリットを形成した場合(但し、図1(A)〜(C)はそれぞれ異なる態様でスリットが形成されたスリット形成面を示す平面図であり、図1(D)は縦断面図である)、スリット2最深部とスリット形成面1aに対し、反対側の面1bとの間の距離D1及びスリット2の長さ方向端部とこれに対向する面1c又は1dとの間の距離D2はいずれも5mm以下、より好ましくは3mm以下、特に好ましくは1mm以下であることがよく、また図においてスリット2と平行な面1e,1fとこれに隣接するスリット2aとの間隔D3及び互いに隣接するスリット2間の間隔D4は、いずれも10mm以下、より好ましくは6mm以下、特に好ましくは2mm以下であることがよい。この場合、上記距離D1は通常0.4mm以上であることが好ましく、距離D2は0mmであってもよい。また、間隔D3,D4はそれぞれ0.4mm以上であることが好ましい。
このようにスリットを形成することにより、図1(E)に示したように、磁石の表面及びスリット部分から磁石内部に至る最大距離Lを5mm以下にすることができ、これによって磁石全体をR2の酸化物、R3のフッ化物又はR4の酸フッ化物で均一にかつ効率よく熱処理、浸透させることができる。なお、Lはより好ましくは3mm以下、特に好ましくは1mm以下である。
このように、スリットと磁石面との距離関係を設定することにより、スリットによる表面積も増えて、磁石全体において吸収処理が起きやすい領域になったものである。ここで、スリットが形成されない場合、図1(F)の焼結磁石体表面の各外縁部から5mm以上の中央領域3が吸収処理が起こり難い領域であるが、上記のようにスリットを形成することにより、表面からの吸収処理が起こる領域が増大したものである。
なお、上述したスリットは、焼結前の成形体の段階で形成することができる。
ここで、スリットのない状態での焼結ブロックの最大部の寸法が100mm以下、好ましくは50mm以下で、かつ磁気異方性化した方向の寸法が10mm以下、好ましくは5mm以下である場合には、本発明の磁石表面に存在させたR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末から磁石体にR2、R3又はR4を吸収させる熱処理を行った後で、磁石表面に複数のスリットを入れても、前述のスリットを入れた後に熱処理を行う方法と同様の効果を得ることができる。即ち、渦電流が小さく、高い残留磁束密度と高い保磁力を有することができる。なお上記最大部の寸法及び磁気異方性化した方向の寸法の下限は特に制限されず、適宜選定されるが、上記形状の最大部の寸法は1mm以上であり、磁気異方性化した方向の寸法は0.5mm以上とすることができるが、上記距離D1,D2、間隔D3,D4の下限値を与えるように、また上記距離Lを有するような大きさに選定し得る。
本発明では、従来の渦電流を小さくするための方法である細分化した磁石を接着固化して所要の大きさの磁石にする(分割磁石)のではなく、セグメント磁石にスリットを入れるだけであり、分割磁石の接着、組立工程をなくして製造コストを抑えることができる。スリットの幅は、磁束をロスさせないために、1mm以下の狭い幅にするのが好ましい。焼結前の成形体や焼結体にスリットを入れる方法として内周又は外周切断機やワイヤーソーやウォータジェットなどで加工して溝を形成するため、切断歯の厚みを考慮すると、望ましくは0.8mm以下であり、一方、スリット幅の下限は幾らでもよいが、加工機の制約から0.05mm以上が実際的である。
研削加工された磁石体表面にはR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末を存在させる。なお、R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上で、それぞれR2、R3、R4中10原子%以上、より好ましくは20原子%以上、特に40原子%以上のDy又はTbを含むことが好ましい。この場合、前記R3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末において、R3及び/又はR4に10原子%以上のDy及び/又はTbが含まれ、かつR3及び/又はR4におけるNdとPrの合計濃度が前記R1におけるNdとPrの合計濃度より低いことが本発明の目的から好ましい。
磁石表面空間における粉末の存在率は高いほど吸収されるR2、R3又はR4量が多くなるので、本発明における効果を達成させるために、上記粉末の存在率は、磁石表面から距離1mm以内の磁石を取り囲む空間内での平均的な値で10容積%以上が好ましく、更に好ましくは40容積%以上である。
粉末を存在させる方法(粉末処理方法)としては、例えば、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する微粉末を水あるいは有機溶剤に分散させ、このスラリーに磁石体を浸した後に熱風や真空により乾燥させる、あるいは自然乾燥させる方法が挙げられる。この他にスプレーによる塗布等も可能である。いずれの具体的手法にせよ、非常に簡便にかつ大量に処理できることが特徴といえる。上記微粉末の粒子径はR2、R3又はR4成分が磁石に吸収される際の反応性に影響を与え、粒子が小さいほど反応にあずかる接触面積が増大する。本発明における効果をより効果的に達成させるためには、存在させる粉末の平均粒子径は100μm以下、好ましくは10μm以下が望ましい。その下限は特に制限されないが1nm以上が好ましい。なお、この平均粒子径は、例えばレーザー回折法などによる粒度分布測定装置等を用いて質量平均値D50(即ち、累積質量が50%となるときの粒子径又はメジアン径)などとして求めることができる。
本発明におけるR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物とは、好ましくはそれぞれR2 23、R33、R4OFであるが、これ以外のR2n、R3n、R4mn(m、nは任意の正数)や、金属元素によりR2、R3、R4の一部を置換したあるいは安定化されたもの等、本発明の効果を達成することができるR2と酸素を含む酸化物、R3とフッ素を含むフッ化物、R4と酸素とフッ素を含む酸フッ化物を指す。
この場合、磁石表面に存在させる粉末は、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物、あるいはこれらの混合物を含有し、この他にR5(R5はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)の炭化物、窒化物、水酸化物、水素化物のうち少なくとも1種あるいはこれらの混合物又は複合物を含んでもよく、またR3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を用いる場合、R5の酸化物を含んでもよい。更に、粉末の分散性や化学的・物理的吸着を促進するために、ホウ素、窒化ホウ素、シリコン、炭素などの微粉末やステアリン酸などの有機化合物を含むこともできる。本発明の効果を高効率に達成するには、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物、あるいはこれらの混合物が粉末全体に対して10質量%以上、好ましくは20質量%以上含まれる。特には、主成分として、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物が、粉末全体に対して50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含有することが推奨される。
2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物、あるいはこれらの混合物からなる粉末を磁石表面に存在させた状態で、磁石と粉末は真空あるいはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガス雰囲気中で熱処理される(以後、この処理を吸収処理と称する)。吸収処理温度は磁石体の焼結温度以下である。処理温度の限定理由は以下のとおりである。
即ち、当該焼結磁石の焼結温度(TS℃と称する)より高い温度で処理すると、(1)焼結磁石の組織が変質し、高い磁気特性が得られなくなる、(2)熱変形により加工寸法が維持できなくなる、(3)拡散させたRが磁石の結晶粒界面だけでなく内部にまで拡散してしまい残留磁束密度が低下する、等の問題が生じるために、処理温度は焼結温度以下、好ましくは(TS−10)℃以下とする。なお、温度の下限は適宜選定されるが、通常350℃以上である。吸収処理時間は1分〜100時間である。1分未満では吸収処理が完了せず、100時間を超えると、焼結磁石の組織が変質する、不可避的な酸化や成分の蒸発が磁気特性に悪い影響を与えるといった問題が生じやすい。より好ましくは5分〜8時間、特に10分〜6時間である。
以上のような吸収処理により、磁石内の希土類に富む粒界相成分に、磁石表面に存在させた粉末に含まれていたR2、R3又はR4が濃化し、このR2、R3又はR4がR2Fe14B主相粒子の表層部付近で置換される。また、粉末にR3のフッ化物又はR4の酸フッ化物が含まれている場合、この粉末に含まれているフッ素は、その一部がR3又はR4と共に磁石内に吸収されることにより、R3又はR4の粉末からの供給と磁石の結晶粒界における拡散を著しく高める。
2の酸化物、R3のフッ化物及びR4の酸フッ化物に含まれる希土類元素は、Y及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上であるが、上記表層部に濃化して結晶磁気異方性を高める効果の特に大きい元素はDy、Tbであるので、粉末に含まれている希土類元素としてはDy及びTbの割合が合計で10原子%以上であることが好適である。更に好ましくは20原子%以上である。また、R2、R3、R4におけるNdとPrの合計濃度が、R1のNdとPrの合計濃度より低いことが好ましい。
この吸収処理の結果、残留磁束密度の低減をほとんど伴わずにR−Fe−B系焼結磁石の保磁力が効率的に増大される。
上記吸収処理は、例えば上記粉末を水や有機溶剤に分散させたスラリーに焼結磁石体を投入するなどして、該焼結磁石体表面に上記粉末を付着させた状態で熱処理させることによって行うことができ、この場合、上記吸収処理において、磁石は粉末に覆われ、磁石同士は離れて存在するので、高温での熱処理であるにもかかわらず、吸収処理後に磁石同士が溶着することがない。更に、粉末も熱処理後に磁石に固着することもないため、熱処理用容器に大量に磁石を投入して処理することが可能であり、本発明による製造方法は生産性にも優れていることがわかる。
また、吸収処理後、時効処理を施すことが好ましい。この時効処理としては、吸収処理温度未満、好ましくは200℃以上で吸収処理温度より10℃低い温度以下、更に好ましくは350℃以上で吸収処理温度より10℃低い温度以下であることが望ましい。また、その雰囲気は真空あるいはAr、He等の不活性ガス中であることが好ましい。時効処理の時間は1分〜10時間、好ましくは10分〜5時間、特に30分〜2時間である。
なお、上記粉末を焼結磁石体に存在させる前の上述した焼結磁石体の研削加工時において、研削加工機の冷却液に水系のものを用いる、あるいは加工時に研削面が高温に曝される場合、被研削面に酸化膜が生じやすく、この酸化膜が粉末から磁石体へのR2、R3又はR4成分の吸収反応を妨げることがある。このような場合には、アルカリ、酸あるいは有機溶剤のいずれか1種以上を用いて洗浄する、あるいはショットブラストを施して、その酸化膜を除去することで適切な吸収処理ができる。
アルカリとしては、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム等、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等、有機溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどを使用することができる。この場合、上記アルカリや酸は、磁石体を浸食しない適宜濃度の水溶液として使用することができる。
更には、上記焼結磁石体の表面層を上記粉末を焼結磁石体に存在させる前にショットブラストで除去することもできる。
また、上記吸収処理あるいはそれに続く時効処理を施した磁石に対して、アルカリ、酸あるいは有機溶剤のいずれか1種以上により洗浄したり、実用形状に研削することもできる。更には、かかる吸収処理、時効処理、洗浄又は研削後にメッキ又は塗装を施すこともできる。
本発明のスリットは、磁石表面に存在させたR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末から磁石体へのR2、R3又はR4の吸収を高めるため以外に、永久磁石回転機に組み込まれた際には、永久磁石に生ずる渦電流を低減する働きがある。回転機において磁石に渦電流が生じる原因は、磁石と対向する電機子のスロットの相対位置が変化し、スロット部分で磁石内の磁束が時間変化することが1つの原因である。また、電機子で作る磁束の歪みが大きな場合も渦電流の原因である。渦電流は磁束変化を妨げる向きに導体上に発生する電流であり、磁石の磁束は磁気異方性化した方向に通り、渦電流は磁気異方性化した方向に対し直角な面に流れるので、スリットは渦電流経路を分断するために磁気異方性化した方向に対し直角な面に入れるのが効果的である。更に、渦電流経路が細長くなる方向にスリットを入れるとより効果が高まる。
スリットのない状態での焼結ブロックの最大部の寸法が100mm以下、好ましくは50mm以下で、かつ磁気異方性化した方向の寸法が10mm以下、好ましくは5mm以下である場合には、スリットのない磁石体に対して本発明の磁石表面に存在させたR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末から磁石体にR2、R3又はR4を吸収させることができる。この場合は吸収処理を行った後で磁石表面に複数のスリットを入れれば、永久磁石回転機に組み込まれた永久磁石に生ずる渦電流を低減することができる。
スリットを設けることによりセグメント磁石の機械的強度が低下する。特に回転機にこの磁石を用いた場合は、高速回転で磁石に大きな遠心力が働くため、機械特性が良好でなければ磁石が破損して飛散してしまう。このような問題を解決するにはスリットに接着剤や樹脂等の非導電性物質を充填することにより機械強度の低下を補うのが好ましい。上記接着剤は耐熱性と接着強度を両立できるものが望ましく、例えばエポキシ系やアクリル系接着剤が挙げられる。
以上のようにして得られた永久磁石材料は、永久磁石回転機に適した渦電流が小さく高い残留磁束密度と高い保磁力を有するR−Fe−B系焼結磁石及びこの磁石を用いた永久磁石回転機として利用できる。
以下、本発明の具体的態様について実施例をもって詳述するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。なお、下記例で、酸化Dy又はフッ化Dyによる磁石表面空間の占有率(存在率)は、粉末処理後の磁石質量増と粉末物質の真密度より算出した。
[実施例1,2及び比較例1,2]
純度99質量%以上のNd、Co、Al、Feメタルとフェロボロンを所定量秤量してAr雰囲気中で高周波溶解し、この合金溶湯をAr雰囲気中で銅製単ロールに注湯するいわゆるストリップキャスト法により薄板状の合金とした。得られた合金の組成はNdが13.5原子%、Coが1.0原子%、Alが0.5原子%、Bが5.8原子%、Feが残部であり、これを合金Aと称する。合金Aに水素を吸蔵させた後、真空排気を行いながら500℃まで加熱して部分的に水素を放出させる、いわゆる水素粉砕により30メッシュ以下の粗粉とした。更に純度99質量%以上のNd、Tb、Fe、Co、Al、Cuメタルとフェロボロンを所定量秤量し、Ar雰囲気中で高周波溶解した後、鋳造した。得られた合金の組成はNdが20原子%、Tbが10原子%、Feが24原子%、Bが6原子%、Alが1原子%、Cuが2原子%、Coが残部であり、これを合金Bと称する。合金Bは窒素雰囲気中、ブラウンミルを用いて30メッシュ以下に粗粉砕した。
続いて、合金A粉末を90質量%、合金B粉末を10質量%秤量して、窒素置換したVブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4μmに微粉砕された。得られた混合微粉末を窒素雰囲気下15kOeの磁界中で配向させながら、約1ton/cm2の圧力で成形した。次いで、この成形体をAr雰囲気の焼結炉内に投入し、1,060℃で2時間焼結し、71mm×46mm×厚み21mm(磁気異方性化した方向)の磁石ブロックを作製した。磁石ブロックはダイヤモンドカッターにより70mm×45mm×20mm(磁気異方性化した方向)に全面研削加工した。同時に磁気異方性化した方向に対し直角な70mm×45mmの面に70mm方向に幅0.5mm、深さ15mmのスリットを4.5mm間隔でつけた。研削加工された磁石体をアルカリ溶液で洗浄した後、酸洗浄して乾燥させた。各洗浄の前後には純水による洗浄工程が含まれている。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化ディスプロシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ディスプロシウムによる磁石表面空間の占有率は45%であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M1と称する。
比較のためにスリットなしの磁石体に熱処理のみ施したもの、及びスリット入り磁石体に熱処理のみを施したものも作製した。これをP1、P2と称する。
磁石体M1、P1、P2の磁気特性を表1に示した。ディスプロシウムの吸収処理を施していない磁石(P1とP2)の保磁力に対して本発明による磁石M1は400kAm-1の保磁力増大が認められる。また、残留磁束密度の低下は5mTであった。比較のために、合金AのNdの一部をDyで置換した組成合金を用いて磁石を作製し、400kAm-1の保磁力増大を図ったところ、残留磁束密度は50mT低下した。
磁石体M1のSEMによる反射電子像とEPMAにより、磁石にはDy及びFが観察された。処理前の磁石にはDy及びFは含まれていないので、磁性体M1におけるDy及びFの存在は、本発明の吸収処理によるものである。吸収されたDyは結晶粒界近傍にのみ濃化している。一方、フッ素(F)も粒界部に存在し、処理前から磁石内に含まれている不可避的不純物である酸化物と結合して酸フッ化物を形成している。このDyの分布により、残留磁束密度の低下を最小限に抑えながら保磁力を増大させることが可能となった。
M1、P2と同じ形状のスリット入りの磁石体に対し、平均粉末粒径が5μmのフッ化テルビウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化テルビウムによる磁石表面空間の占有率は45%であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M2と称する。
磁石体M2の磁気特性も表1に併記した。テルビウムの吸収処理を施していない磁石(P1とP2)の保磁力に対して本発明による磁石M2は600kAm-1の保磁力増大が認められる。また、残留磁束密度の低下は5mTであった。
Figure 0004656325
[実施例1−1,2−1及び比較例1−1,2−1]
実施例1,2の磁石M1、M2及び比較例1,2の磁石P1、P2を永久磁石モータに組み込んだ時のモータ特性について説明する。永久磁石モータは図2に示す埋め込み磁石構造型モータである。ロータは、0.5mmの電磁鋼板を積層したものに永久磁石が埋め込まれた4極構造で、ロータヨーク11の寸法は外径312mm、高さ180mmとなっている。永久磁石12の寸法は、幅70mm、磁気異方性化方向の寸法20mm、軸方向の寸法180mmである。焼結磁石で長さ180mmの磁石は作製し難いので、今回は長さ45mmの磁石をエポキシ系接着剤で4個貼り合せた。ステータは、0.5mmの電磁鋼板を積層した6スロット構造で、各ティースには集中巻きでコイルが60ターン巻かれており、コイル13はU相,V相,W相の3相Y結線となっている。図2に示すU,V,Wの添え字の+と−はコイルの巻き方向を示すもので、+は紙面に対し出る方向、−は入る方向を意味する。ステータヨーク14の寸法は外径520mm、内径315mm、高さ180mmとなっている。ロータとステータの空隙は1.5mmである。ロータとステータの位置関係が図2の状態で、U相に余弦波の交流電流、V相にU相より120°位相の進んだ交流電流、W相にU相より240°位相の進んだ交流電流を流すことで、永久磁石の磁束とコイルの磁束の相互作用でロータは反時計回りに回転する。埋め込み磁石構造型では、各相の電流の位相を制御することで更に大きなトルクを発生するという特徴をもつ。更に、残留磁束密度の大きいR−Fe−B系焼結磁石を用いるとモータは高出力高効率になるので家電用、産業用、自動車の駆動用など幅広い分野で使われている。図2のモータの場合、回転数2,400rpm、各相の実効値電流50Aで、電流の位相制御を行わない場合のトルクが370Nmであったが、進み電流位相40°で駆動すると490Nmまでトルクが増加する。しかし、進み電流によってコイルから永久磁石に対向する磁束が増え、永久磁石は減磁しやすい状況に置かれ、減磁しないためにはある程度の保磁力が必要になる。また、永久磁石を通る磁束はロータの回転と共に時々刻々変化しており、この磁場変動により磁石内部に渦電流が発生する。渦電流損失は大きさの2乗に比例するので、今回のように断面が70mm×45mmの磁石では問題になる。更に、進み電流によってコイルから永久磁石に対向する磁束が増えると磁石の渦電流損失が増えてしまう。このような理由から、永久磁石回転機に適した渦電流が小さく保磁力の大きなR−Fe−B系焼結磁石が望まれている。
磁石M1、M2、P1、P2の表面にエポキシ塗装を行い、45mm方向をエポキシ系接着剤で4枚貼り合せてM1,M2,P2のスリットにエポキシ系接着剤を充填した後、着磁したものを図2のロータに組み込んだ。磁石M1,M2,P2それぞれを4枚貼り合せた状態の磁石を図3、磁石P1を4枚貼り合せた状態を図4に示す。図3と図4の寸法は本実施例と比較例では、幅W=70mm、厚さT=20mm、長さL=180mm、スリットの深さTS=15mm、スリット間の間隔LS=4.5mmである。磁石M1、M2、P1、P2を組み込んだモータをそれぞれMM1、MM2、MP1、MP2とする。各相に実効値電流50A、電流位相40°、2,400rpmで1時間連続運転し、運転直後のトルクと連続運転の後、十分冷えた状態で再度運転した時のトルクの比から、永久磁石の減磁量を評価した。結果を表2にまとめた。実施例のMM1とMM2については減磁が起こっていない。しかし、比較例のMP1とMP2は永久磁石の保磁力が低く減磁してしまっている。MP1については渦電流による発熱の影響が加わって更に大きく減磁してしまった。
Figure 0004656325
[実施例3,4及び比較例3,4]
実施例1、2と同様な方法で図5に示すような幅80mm、高さ45mm、磁気異方性方向の最大厚み10mmのC形磁石を半分にした形状の磁石体を作製し、図6のようにクシ歯状に幅0.5mm、深さ70mmのスリット2を4.5mm間隔で設けた。
次に、平均粉末粒径が5μmのフッ化ディスプロシウムを質量分率50%でエタノールと混合し、これに超音波を印加しながら磁石体を1分間浸した。引き上げた磁石は直ちに熱風により乾燥させた。この時のフッ化ディスプロシウムによる磁石表面空間の占有率は45%であった。これにAr雰囲気中900℃で1時間という条件で吸収処理を施し、更に500℃で1時間時効処理して急冷することで、磁石体を得た。これを磁石体M3と称する。また、フッ化ディスプロシウムの代わりにフッ化テルビウムを用いて同様の熱処理をしたものをM4とした。比較のためにスリット加工前の磁石体に熱処理のみ施したもの、及びスリット入り磁石体に熱処理のみを施したものも作製した。これをP3、P4と称する。
磁石体M3、M4、P3、P4の磁気特性を表3に示した。ディスプロシウムの吸収処理を施した本発明による磁石M3は、処理していない磁石(P3とP4)の保磁力に対して450kAm-1の保磁力増大が認められる。また、残留磁束密度の低下は5mTであった。テルビウムの吸収処理を施した本発明による磁石M4は、650kAm-1の保磁力増大が認められる。また、残留磁束密度の低下は5mTであった。
Figure 0004656325
[実施例3−1,4−1及び比較例3−1,4−1]
実施例3,4の磁石M3、M4及び比較例3,4の磁石P3、P4を永久磁石モータに組み込んだ時のモータ特性について説明する。永久磁石モータは図7に示す表面磁石構造型モータである。ロータは、0.5mmの電磁鋼板を積層したロータヨーク21の表面にC形の永久磁石22が置かれた4極構造で、ロータ寸法は外径312mm、高さ180mmとなっている。永久磁石22の寸法は、幅160mm、磁気異方性化した方向の寸法は中央部分で10mm、端部で3mm、軸方向の寸法180mmである。焼結磁石で幅160mmや長さ180mmの磁石は作製し難いので、今回は幅方向に2個、長さ方向に4個、合計8個のセグメントをエポキシ系接着剤で貼り合せた。ステータは実施例1−1で説明したものと同じ物であり、詳細の説明は省略する。実効値電流50A、電流位相0°、2,400rpmで390Nmのトルクを発生させた。表面磁石構造型モータは、入力電流に対しトルクが線形に変化しトルクや回転数の制御性が非常に良いので、高精度制御を求められる家電用、産業用、自動車用など幅広い分野で使われている。しかし、表面磁石構造型では、永久磁石にはコイルからの反磁界が直接入るので減磁しやすい状況に置かれ、減磁しないためにはある程度の保磁力が必要になる。また、磁石内部の磁束がロータが回転すると対向するステータのスロット部分で急激な変化を起こすので、磁石内部に大きな渦電流が発生する。渦電流損失は大きさの2乗に比例するので、今回のように断面が80mm×45mmの磁石では問題になる。このような理由から、渦電流が小さく保磁力の大きなR−Fe−B系焼結磁石が望まれている。
磁石M3、M4、P3、P4の表面にエポキシ塗装を行い、エポキシ系接着剤で8枚貼り合せて図8,図9に示すようなC形磁石を作った。更にM3,M4,P4のスリットにはエポキシ系接着剤を充填した。これを着磁し、図7のロータに組み込んだ。なお、図8は磁石M3,M4,P4それぞれを8枚貼り合せた状態で、図9は磁石P3を8枚貼り合せた状態である。本実施例では磁石の幅が160mmと大きかったので幅方向が2分割された構造であるが、100mm以下のものであれば幅方向に分割のないC形磁石にスリットを入れたものでもよい。図8と図9の寸法は本実施例と比較例では、W=160mm、T=10mm、L=180mm、スリットWS=140mm、スリット間の間隔LS=4.5mmである。磁石M3、M4、P3、P4を組み込んだモータをそれぞれMM3、MM4、MP3、MP4とする。実効値電流50A、電流位相0°、2,400rpmで1時間連続運転し、運転直後のトルクと連続運転の後、十分冷えた状態で再度運転した時のトルクの比から、永久磁石の減磁量を評価した。結果を表4にまとめた。比較例のMP3とMP4は永久磁石の保磁力が低く、大きな減磁が起こってしまった。MP3については渦電流による発熱の影響が加わって更に大きく減磁してしまった。これに対し、実施例のMM3で約8%の減磁が起こった。このモータで減磁を起こさないためには更に保磁力が大きな材料が必要であることが分かる。そこで実施例のMM3より大きな保磁力を得ているMM4を用いると、全く減磁が起こっていない。
Figure 0004656325
なお、上記実施例は永久磁石モータであるが、永久磁石発電機も同じ構造であり、本発明の効果は同様である。
焼結磁石体へのスリット形成態様を示し、(A)〜(C)は平面図、(D)は断面図、(E)は磁石体にR2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物が均一に効率よく熱処理、浸透される領域(距離L)を示す説明図、(F)はスリットがない磁石に吸収処理した場合の概念図である。 実施例の4極6スロットの埋め込み磁石構造型モータの説明図である。 本発明により作製された磁石体M1,M2と比較例P2を接着した図2のモータに使用する平板状永久磁石の斜視図である。 比較例P1を接着した図2のモータに使用する平板状永久磁石の斜視図である。 本発明により作製された磁石体M3,M4と比較例P4の磁石形状を説明する斜視図である。 比較例P3の磁石形状を説明する斜視図である。 実施例の4極6スロットの表面磁石構造型モータの説明図である。 本発明により作製された磁石体M3,M4と比較例P4を接着した図7のモータに使用するC形永久磁石の斜視図である。 比較例P3を接着した図7のモータに使用するC形永久磁石の斜視図である。
符号の説明
1 焼結磁石体
1a スリット形成面
1b スリット形成面と反対の面
2 スリット
3 吸収処理が起こり難い領域
11、21 ロータヨーク
12、22 永久磁石
13 コイル
14 ステータヨーク

Claims (18)

  1. 1−Fe−B系組成(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる焼結磁石体に対し、当該磁石体の少なくとも1つの表面に複数のスリットを設け、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含有する粉末を当該磁石体の表面に存在させた状態で、当該磁石体及び粉末を当該磁石の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施すことを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  2. 1−Fe−B系組成(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる焼結磁石体に対し、R2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含有する粉末を当該磁石体の表面に存在させた状態で、当該磁石体及び粉末を当該磁石体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施し、次いで当該磁石体の少なくとも1つの表面に複数のスリットを設けることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  3. 焼結磁石体のスリット形成面に形成された各スリット間の間隔がそれぞれ10mm以下であり、各スリットの最深部とスリット形成面に対して反対側の面との間の距離がそれぞれ5mm以下である請求項1又は2記載の希土類永久磁石の製造方法。
  4. 熱処理される焼結磁石体が、最大部の寸法が100mm以下で、かつ磁気異方性化した方向の寸法が10mm以下の形状を有する請求項1,2又は3記載の希土類永久磁石の製造方法。
  5. 2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末の磁石体表面に対する存在量が、この磁石体の表面から距離1mm以内の当該磁石体を取り囲む空間内における平均的な占有率で10容積%以上である請求項1乃至4のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  6. 2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上を含有する粉末の平均粒子径が100μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  7. 2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)のR2、R3、R4に10原子%以上のDy及び/又はTbが含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  8. 3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末を用い、R3及び/又はR4と共にフッ素を焼結磁石体に吸収させた請求項1乃至7のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  9. 前記R3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末において、R3及び/又はR4に10原子%以上のDy及び/又はTbが含まれ且つR3及び/又はR4におけるNdとPrの合計濃度が前記R1におけるNdとPrの合計濃度より低いことを特徴とする請求項8記載の希土類永久磁石の製造方法。
  10. 前記R3のフッ化物及び/又はR4の酸フッ化物を含有する粉末において、R3のフッ化物とR4の酸フッ化物が合計で10質量%以上含まれ、残部にR5の炭化物、窒化物、酸化物、水酸化物、水素化物から選ばれる1種又は2種以上(R5はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)を含むことを特徴とする請求項8又は9記載の希土類永久磁石の製造方法。
  11. 上記熱処理後、更に低温で時効処理を施すことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  12. 2の酸化物、R3のフッ化物、R4の酸フッ化物から選ばれる1種又は2種以上(R2、R3、R4はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上)からなる平均粒子径が100μm以下の粉末を水系又は有機系の溶媒に分散させたスラリーとして前記磁石体表面に存在させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  13. 上記焼結磁石体を、アルカリ、酸又は有機溶剤のいずれか1種以上により洗浄した後、上記粉末を磁石体表面に存在させて上記熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  14. 上記焼結磁石体の表面層をショットブラストで除去した後、上記粉末を磁石体表面に存在させて上記熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  15. 熱処理後の最終処理として、アルカリ、酸又は有機溶剤のいずれか1種以上による洗浄処理、研削処理、又はメッキもしくは塗装処理を行うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項記載の製造方法により得られた希土類永久磁石。
  17. 請求項1乃至15のいずれか1項記載の製造方法によって得られた希土類永久磁石を組み込んだ永久磁石回転機において、当該磁石体のスリットが磁気異方性化した方向に対し直角な面に設けられたことを特徴とする永久磁石回転機。
  18. 希土類永久磁石の表面に設けたスリットに非導電性物質を充填してなる請求項17記載の永久磁石回転機。

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