AC型PDPに於いて、コントラストが高く、特に低階調での色の再現性の良い画像の表示を行うためには、上記従来例に示されているように立ち上りの鈍い高圧パルスで予備放電を行う方法がある。しかし、従来例1では、この予備放電によって電極近傍の誘電体上にプラスまたはマイナスの電荷が形成される。この電荷は消去するか、或いは電極に合わせて極性を入れ替える必要がある。ところが、そのための放電も表示画像とは無関係な発光である。このように表示画像と無関係な発光を起こす放電としては、維持放電期間に形成された誘電体上の電荷を消去する放電と、書き込み放電を起こしやすくするための空間電荷を形成するプライミング放電と、プライミング放電で形成された誘電体上の電荷を消去する放電の3種類がある。コントラストを高くするにはこれらの放電を弱くする必要がある。
また、従来例2では、放電により形成される壁電荷量のばらつきが、性能のばらつきとなるためセルの均一性、及び放電の均一性が要求される。例えば、縦横480×640のテレビジョン並みのPDPでは約92万セル、1024×1280の高精細PDPでは約390万セル必要であるため、高精細PDPのように、セル数が多くなるほど、均一性を得ることは困難になる。
さらに、高精細PDPでは書き込み動作を行なうセル数が増えるため、1セルの書き込みに割り当てられる時間が短くなり、放電の遅れ時間が問題となる。すなわち、アドレスパルスの印加時間内に書き込み放電が行われない場合がある。そのため、プライミング放電の効果を十分に生かす必要が生じる。
本発明の目的はかかる表示画像とは無関係な発光を起こすすべての放電を弱くして表示画像とは無関係な発光を減らし、コントラストを高くして、色の再現性を向上させるプラズマディスプレイパネルの駆動方法及び装置を提供することにある。
本発明の他の目的は全てのセルを同じように高い電圧で放電させる予備放電を無くすことにより、回路に流れる電流を減らして回路負荷を低減するプラズマディスプレイパネルの駆動方法及び装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は書き込み放電期間の駆動電圧を下げ、プライミング効果を有効に利用して、短い書き込み時間でも安定に駆動できるプラズマディスプレイパネルの駆動方法及び装置を提供することにある。
本発明の目的を達成するために、本発明においては、維持放電期間に形成された誘電体上の電荷を消去する放電と、書き込み放電を起こりやすくするための空間電荷を形成するプライミング放電と、プライミング放電で形成された壁電荷を消去する放電のすべてを立ち上りの鈍いパルスで行ない、これらの放電を弱くして表示画像と無関係な発光を減らしている。また、プライミング放電で形成された壁電荷を消去する際に、アドレス側の電位を制御することでアドレス側に電荷を持たせアドレスの駆動電圧を下げるものである。さらに、プライミング放電で形成された壁電荷の消去を例えば、奇数行と偶数行にわけ、奇数行の壁電荷消去と書き込み、偶数行の壁電荷消去と書き込みの順で駆動することにより、予備放電(この場合は壁電荷消去の放電)から、最後のスキャンパルスまでの時間を短くしてプライミング効果を有効に利用する。
本発明の目的を達成するために、本発明によるプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、第1の基板に平行に配置された第1の電極群及び第2の電極群を誘電体で覆い、前記第1及び前記第2の電極群に対してし直交するように第3の電極群を第2の基板に配置し、前記第1の電極群と前記第2の電極群の間に交互にパルスを印加することによって発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法において、前記第1の電極群に交互に印加される前記パルスの内最後のパルスを印加し、前記第2の電極群に徐々に電圧が上昇し、主に壁電荷を消去するための放電を行う第1のパルスを印加し、前記第1の電極群に徐々に電圧が上昇し、主に空間電荷の形成を行う第2のパルスを印加し、次に前記第2の電極群に徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための第3のパルスを印加する。
本発明の目的を達成するために、本発明によるプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、第1の基板に配置された第1の電極群と、前記第1の電極群と平行になるように前記第1の基板に配置された第2の電極群と、前記第1及び第2の電極群を覆う誘電体層と、第2の基板に前記第1及び第2の電極群と直交するように配置された第3の電極群とを有し、前記第1の電極群及び前記第2の電極群に交互にパルス電圧を印加して繰り返し放電させることにより発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第1または第2の電極群のうち、繰り返し放電のための最後のパルス電圧が印加された電極群とは異なる電極群に、前記繰り返し放電のための最後のパルス電圧に続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第1のパルスを印加し、前記第1のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第1のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する第2のパルスを印加し、前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第2のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第3のパルスを印加する。
これらのプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第2のパルスは電圧の増加率が時間に比例して高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する。また、前記第2のパルスの立ち上り部を繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧までは急峻に立ち上がり、その後、時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇させると好適である。また、前記第2のパルスの立ち下がり部を高電圧から時間とともに徐々に電圧が低下し、グランド電位まで下げると好適である。
これらプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に、前記第1、第2、第3のいずれの電極群にも電圧を印加しないブランク期間を設けると好適である。また、前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に、前記第1、第2、第3のいずれの電極群にも電圧を印加しないブランク期間を設けると好適である。また、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に前記第1、前記第2及び前記第3の電極群に電圧を印加しない第1のブランク期間を設け、前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に前記第1、前記第2及び前記第3の電極群に電圧を印加しない第2のブランク期間を設けると更に好適である。
これらのプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に、前記第1のパルスを印加した電極群に前記第1のパルスとは逆の極性の第4のパルスを印加すると好適である。また、前記第3のパルスの後に、前記第3のパルスを印加した電極群に前記第3のパルスとは逆の極性の第5のパルスを印加すると好適である。また、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に前記第1のパルスを印加した電極群に前記第1のパルスとは逆の極性の第4のパルスを印加し、前記第3のパルスの後に前記第3のパルスを印加した電極群に前記第3のパルスとは逆の極性の第5のパルスを印加すると更に好適である。
これらのプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第4のパルスはその電圧の絶対値が前記繰り返し放電を行なう前記パルス電圧の絶対値より低く、電圧の印加期間は略10μs以上であると好適である。また、前記第5のパルスはその電圧の絶対値が前記繰り返し放電を行なう前記パルス電圧の絶対値より低く、電圧の印加期間は略10μs以上であると好適である。
これらのプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールド毎に発光表示を行い、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドを少なくとも1つ以上設けると好適である。また、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールド毎に発光表示を行い、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドを少なくとも1つ以上設けると共に、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドが連続しないようにすると更に好適である。また、前記第3のパルスを印加している間、前記第3の電極群に電圧を印加しないようにすると好適である。
本発明の目的を達成するために、本発明によるプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、第1の基板に平行に配置された第1の電極群及び第2の電極群を誘電体で覆い、前記第1及び前記第2の電極群に対してし直交するように第3の電極群を第2の基板に配置し、前記第1の電極群と前記第2の電極群の間に交互にパルスを印加することによって発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法において、前記第1の電極群を第1のグループと第2のグループに分けると共に、前記第2の電極群を第1のグループと第2のグループとに分け、前記第1の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに交互に印加される前記パルスの内の最後のパルスを印加し、前記第2の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに徐々に電圧が上昇し、主に壁電荷を消去するための放電を行う第1のパルスを印加し、前記第1の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに徐々に電圧が上昇し、主に空間電荷の形成を行う第2のパルスを印加し、前記第2の電極群の前記第1のグループに徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための第3のパルスを印加した後書込み放電を行い、その後前記第2の電極群の前記第2のグループに徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための前記第3のパルスを印加する。
また、本発明によるプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、基板に配置された第1の電極群と、前記第1の電極群に平行に配置された第2の電極群と、前記第1及び第2の電極群を覆う誘電体層とを有するAC型プラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第1の電極群及び第2の電極群の2本一組で発光の最小単位であるセルを構成し、前記セルの集合体を少なくとも第1のセル群と第2のセル群とに分け、前記第1または第2の電極群のうち、繰り返し放電のための最後のパルス電圧を印加した電極群とは異なる電極群に、前記繰り返し放電のための最後のパルス電圧に続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第1のパルスを印加し、前記第1のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第1のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する第2のパルスを印加し、前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群の内、前記第1のセル群の電極群に第3のパルスを印加した後、放電するセルを決める書き込み放電を行ない、続いて前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群の内、前記第2のセル群の電極群に前記第3のパルスを印加した後、放電するセルを決める書き込み放電を行なう。前記第3のパルスは時間とともに徐々に電圧が高くなり繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇するように構成される。
本発明の目的を達成するために、本発明によるプラズマディスプレイパネル装置は、第1の基板に平行に配置された第1の電極群及び第2の電極群を誘電体で覆い、前記第1及び前記第2の電極群に対してし直交するように第3の電極群を第2の基板に配置し、前記第1の電極群と前記第2の電極群の間に交互にパルスを印加することによって発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネル装置において、前記交互に印加される前記パルスの内最後のパルスを前記第1の電極群に印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に壁電荷を消去するための放電を行う第1のパルスを前記第2の電極群に印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に空間電荷の形成を行う第2のパルスを前記第1の電極群に印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための第3のパルスを前記第2の電極群に印加する手段とを備える。
また、本発明によるプラズマディスプレイパネル装置は、第1の基板に配置された第1の電極群と、前記第1の電極群に平行になるように前記第1の基板に配置された第2の電極群と、前記第1及び第2の電極群を覆う誘電体層と、前記第1及び第2の電極群と直交するように第2の基板に配置された第3の電極群とを有し、前記第1の電極群に所定の波形で電圧を印加する第1の駆動回路と、前記第2の電極群に所定の波形で電圧を印加する第2の駆動回路と、前記第3の電極群に所定の波形で電圧を印加する第3の駆動回路とを有し、前記第1の電極群及び第2の電極群に交互にパルスを印加して繰り返し放電させることにより発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネル装置に於いて、前記第1または第2の電極群のうち、繰り返し放電のための最後のパルス電圧を印加した電極群とは異なる電極群に、前記繰り返し放電のための最後のパルス電圧に続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第1のパルスを印加する手段と、前記第1のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第1のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する第2のパルスを印加する手段と、前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第2のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第3のパルスを印加する手段とを備える。
これらのプラズマディスプレイパネル装置に於いて、前記第2のパルスは時間に比例して電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する構成とすると好適である。また、前記第2のパルスの立ち上り部は繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧までは急峻に立ち上がり、その後、時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇するように構成すると好適である。また、前記第2のパルスの立ち下がり部を高電圧から時間とともに徐々に電圧が低下し、グランド電位まで下がるように構成すると好適である。
前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に、前記第1、前記第2及び前期第3のいずれの電極群にも電圧を印加しないブランク期間を設けると好適である。また、前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に、前記第1、第2、第3のいずれの電極群にも電圧を印加しないブランク期間を設けると好適である。また、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に前記第1、前記第2及び前記第3の電極群に電圧を印加しない第1のブランク期間を設け、前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に前記第1、前記第2及び前記第3の電極群に電圧を印加しない第2のブランク期間を設けると更に好適である。
これらのプラズマディスプレイパネルの駆動方法に於いて、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に、前記第1のパルスを印加した電極群に前記第1のパルスとは逆の極性の第4のパルスを印加する。また、前記第3のパルスの後に、前記第3のパルスを印加した電極群に前記第3のパルスとは逆の極性の第5のパルスを印加すると好適である。前記第1のパルスと前記第2のパルスとの間に前記第1のパルスを印加した電極群に前記第1のパルスとは逆の極性の第4のパルスを印加し、前記第3のパルスの後に、前記第3のパルスを印加した電極群に前記第3のパルスとは逆の極性の第5のパルスを印加すると更に好適である。
これらのプラズマディスプレイパネル装置に於いて、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールド毎に発光表示を行い、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドを少なくとも1つ以上設ける。また、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールド毎に発光表示を行い、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドを少なくとも1つ以上設けると共に、前記第2のパルスを印加しないサブフィールドが連続しないようにする。また、前記第3のパルスを印加する間、前記第3の電極群に電圧を印加しないと好適である。
本発明によるプラズマディスプレイパネル装置は、第1の基板に平行に配置された第1の電極群及び第2の電極群を誘電体で覆い、前記第1及び前記第2の電極群に対してし直交するように第3の電極群を第2の基板に配置し、前記第1の電極群と前記第2の電極群の間に交互にパルスを印加することによって発光表示を行うAC型プラズマディスプレイパネル装置において、前記第1の電極群を第1のグループと第2のグループに分けると共に、前記第2の電極群を第1のグループと第2のグループとに分け、前記交互に印加される前記パルスの内の最後のパルスを前記第1の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に壁電荷を消去するための放電を行う第1のパルスを前記第2の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に空間電荷の形成を行う第2のパルスを前記第1の電極群の前記第1のグループ及び前記第2のグループに印加する手段と、徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための第3のパルスを前記第2の電極群の前記第1のグループに印加した後書込み放電を行う手段と、その後徐々に電圧が上昇し、主に前記第2のパルスの印加によって生じた壁電荷を消去するための前記第3のパルスを前記第2の電極群の前記第2のグループに印加する手段とを備える。
また、本発明によるプラズマディスプレイパネル装置は、基板に配置された第1の電極群と、前記第1の電極群に平行に配置された第2の電極群と、前記第1及び第2の電極群を覆う誘電体層とを有するAC型プラズマディスプレイパネル装置に於いて、前記第1の電極群及び第2の電極群の2本一組で発光の最小単位であるセルを構成し、前記セルの集合体を少なくとも第1のセル群と第2のセル群とに分け、前記第1または第2の電極群のうち、繰り返し放電のための最後のパルス電圧が印加された電極群とは異なる電極群に、前記繰り返し放電のための最後のパルス電圧に続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇する第1のパルスを印加する手段と、前記第1のパルスを印加した電極群とは異なる電極群に、前記第1のパルスに続いて時間とともに徐々に電圧が高くなり、放電開始電圧を越える電圧まで上昇する第2のパルスを印加する手段と、前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群の内、前記第1のセル群の電極群に第3のパルスを印加した後、放電するセルを決める書き込み放電を行なう手段と、続いて前記第2のパルスを印加した電極群とは異なる電極群の内、前記第2のセル群の電極群に前記第3のパルスを印加した後、放電するセルを決める書き込み放電を行なう手段とを備える。前記第3のパルスは時間とともに徐々に電圧が高くなり繰り返し放電のための印加電圧と略等しい電圧まで上昇するように構成されると好適である。
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルのコントラストを向上させることができる。また、回路負荷を低減することができる。また、本発明によって、駆動電圧を低減したり、アドレス放電を安定に行なうことができる。
以下本発明に実施の形態について、幾つかの実施例を用い、図面を参照して説明する。
図1は本発明によるプラズマディスプレイパネルの駆動波形の第1の実施例を示す波形図であり、図に示す波形図を用いて、本発明のPDPの駆動方法の一実施例について後述する。
図2は本発明を適用するプラズマディスプレイパネルの構造の一部を示す分解斜視図である。図に示すように、前面ガラス基板21の下面には透明なX電極22と、透明なY電極23が平行に交互に付設されている。また、X電極22とY電極23には、それぞれXバス電極24とYバス電極25が積層付設される。さらに、X電極22、Y電極23、Xバス電極24、Yバス電極25は誘電体26によって被覆され、その上にMgO等の保護層27が付設される。
一方、背面ガラス基板28の上面には、X電極22、Y電極23と垂直に立体交差する電極(以降アドレス電極と称す)29が付設され、アドレス電極29は誘電体30によって被覆されている、この誘電体30の上には隔壁31がアドレス電極29と平行に設けられている。さらに、隔壁31の壁面と誘電体30の上面には蛍光体32が塗布されている。
図3は図2において矢印Aの方向から見たプラズマディスプレイパネルの断面図であり、画素の最小単位であるセル1個を示している。この図に於いて、アドレス電極29は2つの隔壁31の中間に位置し、前面ガラス基板21と背面ガラス基板28、隔壁31に囲まれた放電空間33には放電を行わせるためのガスが充填されている。
図4は図2において矢印Bの方向からみたプラズマディスプレイパネルの断面図であり、1個のセルを示している。セルの境界は概略点線で示す位置であるが、実際には隔壁等によって区切られているわけではない。
図5は本発明を適用するプラズマディスプレイパネルの電極配置と回路構成を示す模式図である。図に示すように、X電極22はX駆動回路34に、Y電極23はY駆動回路35に、アドレス電極29はアドレス駆動回路36に接続され、それぞれの駆動回路により電圧が印加される。
図6は図2に示したプラズマディスプレイパネルに1枚の画を表示するのに要する1フィールドの構成を示す模式図である。本実施例に於いて、1フィールド40は8個のサブフィールド41乃至48に分割される。各サブフィールドは、セル内の電極近傍の誘電体及び蛍光体上に蓄積された電荷を減少させる予備放電期間41a〜48a、発光セルを規定する書き込み放電期間41b〜48b、規定されたセルを所定の明るさで発光させる発光表示期間41c〜48cから構成される。また、最後のサブフィールドの後には放電を行なわないブランク期間49がある。
図6に示すように、各サブフィールド毎に放電回数を変化させているため、発光表示を行う期間の長さが異なり、異なる明るさの表示ができる。この発光表示期間41c〜48cを選択的に発光させることにより、表示する画像の階調を表現する。
図6において、1フィールドを構成するサブフィールドはサステインパルス数が多い順に配置されているが、サブフィールドの並び順は任意でよい。
図1はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第1の実施例を示す波形図である。図において、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示しており、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光(例えば、波長が828nm近傍の赤外光)を示す。また、横軸は時間tを示す。
図1(a)に示す1本のX電極22に印加される電圧波形は、発光表示期間41c〜48cのサステインパルス1、サステインパルス列の最後でパルス幅を2μs以上にした最終サステインパルス2、予備放電期間41a〜48aで立ち上りが鈍く、放電を開始する電圧よりも高い電圧を印加するXプライミングパルス3、書き込み放電期間41b〜48bのXスキャンパルス4よりなる。
図1(b)に示す1本のY電極23に印加される電圧波形は、発光表示期間41c〜48cのサステインパルス5、予備放電期間41a〜48aにおいて発光表示期間41c〜48cで誘電体上に形成された電荷を消去するための立ち上りが鈍く、サステインパルス5と略同じ電圧を印加するY1消去パルス6、Xプライミングパルス3で誘電体上に形成された電荷を消去するための立ち上りが鈍く、サステインパルス5と略同じ電圧を印加するY2消去パルス7、書き込み放電期間41b〜48bのスキャンパルス8、発光表示期間41c〜48cの最初のサステインパルス5aよりなる。尚、最初のサステインパルス5aの幅は他のサステインパルスの幅と同等又は長く設定する。
図1(c)に示す1本のアドレス電極29に印加され電圧波形は予備放電期間41a〜48aと発光表示期間41c〜48cにおいて、X電極22またはY電極23に印加される正極性の電圧に合わせて印加される規制パルス10と書き込み放電期間41b〜48bにおいて発光するセルを規定するアドレス放電を起こすためのアドレスパルス9よりなる。
図1(d)に示す放電発光は、サステインパルス1、2、5、5aによるサステイン放電11と、Y1消去パルス6による1乃至複数回の弱い消去放電12と、Xプライミングパルス3による1乃至複数回の弱いプライミング放電13と、Y2消去パルス7による1乃至複数回の弱い消去放電14と、アドレスパルス9によるアドレス放電15による発光がある。この場合、発光しないサブフィールドでは、アドレスパルス9が無く、アドレス放電15が起こらないため、続くサステイン放電11と消去放電12も起こらない。
次に、駆動動作について説明する。
図7は発光表示期間の最終サステインパルスで放電が行われた後の第1の実施例におけるセル内の電荷の状態を示す模式図である。また、図8はXプライミングパルスで放電が行われた後の第1の実施例における電荷の状態を示す模式図である。図7に示すように、最終サステインパルス2の放電が終了すると、セル内には放電ガスが電離して正電荷38(プラスイオン)と負電荷39(電子)が生じる。最終サステインパルス2の電圧はX電極22に印加されるため、負電荷39はX電極22近傍の誘電体26上に集まり、正電荷38はY電極23近傍の誘電体26上に集まる。尚、誘電体26上には保護層27が設けられているが、この保護層27は厚さが1μm以下で有り、非常に薄いため、誘電体26の一部として説明を省略する。
このように、X電極22近傍の誘電体26上に負電荷39、Y電極23近傍の誘電体26上に正電荷38が集まった状態で、続く予備放電期間41a〜48aではY電極23に正電圧のY1消去パルス6が印加される。Y1消去パルス6は立ち上りが鈍いため、徐々に高くなる正電圧と、Y電極23近傍の誘電体26上の正電荷38で生ずる正電圧との和と、X電極22近傍の誘電体26上の負電荷39で生ずる負電圧との差が、放電開始電圧に達した時点で放電が起こる。この放電により空間に発生した正電荷38と負電荷39がそれぞれ誘電体26上の逆極性の電荷と引き合って中和消去し、誘電体26上の電荷が減少する。これにより、放電空間に生じる電圧差が小さくなって、放電が停止する。この時の放電は最小の電圧で起こる弱い放電であり、流れる電流は少なく、発生する紫外線量も少ない。この現象は1μs以下の短時間に起こる。この後、Y1消去パルス6の電圧がさらに上がると、再び放電が起こり、誘電体26上に残っている電荷を中和消去する。このようにY1消去パルス6によって、1回乃至数回の消去放電12が起こる。この放電12による電荷の消去作用が、1回乃至数回繰り返されて、誘電体26上の電荷を消去する。
続いてX電極22に立ち上りが鈍く、放電を開始する電圧よりも高い電圧を印加するXプライミングパルス3が印加される。Xプライミングパルス3は立ち上りが鈍いため、徐々に電圧が高くなり、Y電極23側との電圧差が放電開始電圧に達した時点で放電が起こる。この場合、誘電体26上には電荷が残っていないため、X電極22に印加する電圧が放電開始電圧を越える必要が有り、概略300V以上である。この放電により、空間に生じた電荷は、電極に印加されている電圧に従って、X電極22近傍の誘電体26上に負電荷39、Y電極23近傍の
誘電体26上に正電荷38が集まる。この電荷によって、放電空間に生じる電圧差が小さくなると放電は停止する。この後、Xプライミングパルス3の電圧がさらに上がると再び放電が起こり、X電極22近傍の誘電体26上に負電荷39、Y電極23近傍の誘電体26上に正電荷38が集まると共に放電も停止する。このように、Xプライミングパルス3によって、1回乃至数回のプライミング放電13が起こる。この放電13による電荷生成作用が、1回乃至数回繰り返されることによって、図8に示すように放電空間および誘電体26上に電荷が生成される。このうち、放電空間に残った電荷は続く書き込み期間のアドレス放電のきっかけとなり、電圧が印加されてから放電が始まるまでの遅れ時間(放電遅れ)を少なくする働きを持つ。以降、この効果をプライミング効果と呼ぶ。尚、この時の放電13は最小の電圧で起こる弱い放電であり、流れる電流は少なく、発生する紫外線量も少ない。また、この時の誘電体26上の電荷は図7に示す電荷状態と略同じである。
発光表示期間の最終サステインパルス2で放電が行われなかった場合には誘電体26上には電荷はなく、Y1消去パルス6での放電は発生しないが、Xプライミングパルス3の放電は発生する。
続いてY電極23には正電圧のY2消去パルス7が印加される。この際の誘電体26上の電荷状態とY2消去パルス7の波形は、Y1消去パルス6の場合と略同じである。従って、Y電極23にY2消去パルス7が印加されると、同様のメカニズムで1回乃至数回の消去放電14が発生して誘電体26上の電荷は中和消去される。
図9はY2消去パルスによって誘電体上の電荷が消去された後の第1の実施例におけるセル内の電荷状態を示す模式図であり、放電空間には放電開始のきっかけとなる電荷が生成されている。この放電でもプライミング効果があり、アドレス放電の放電遅れを少なくしている。
なお、規制パルス10はアドレス電極29側に正電荷が集まるのを防止するためにアドレス電極29に印加される。
以上の説明より明らかなように、Y1消去パルス6によって、発光表示期間に誘電体26近傍に集められた電荷(壁電荷)を消去させ、Xプライミングパルス3によって、空間に電荷を形成させ、Y2消去パルス7によって、Xプライミングパルス3による放電によって形成された壁電荷を消去して空間に電荷を形成している。このように、空間に電荷を形成することによって、スキャンパルス8及びアドレスパルス9によって、放電遅れを少なくしてアドレス放電15を発生させることができる。
以上のように黒表示のセルで発生する放電はXプライミングパルス3による放電とY2消去パルス7による放電だけであり、どちらも弱い放電であるため、発光量が少なく、コントラストが高くなる。また、放電電流が少なく、回路の負荷を低減することができる。
以上の実施例ではすべてのサブフィールドにおいて同じ電圧波形を印加しているが、サブフィールド毎に電圧波形を変えてもよい。1例として1乃至複数のサブフィールドにおいてXプライミングパルス3を印加しなくてもよい。これは、その直前のサブフィールドにおいて放電したセルではY1消去パルス6による放電で、アドレス放電のきっかけとなる放電空間の電荷を形成でき、放電しなかったセルではその前のXプライミングパルス3による放電空間の電荷が残留しているからである。但し、Xプライミングパルス3を印加しないサブフィールドが連続した場合、放電空間の電荷は時間とともに急速に減少するため、望ましくはXプライミングパルス3を印加しないサブフィールドは連続させない方が良い。これにより、さらに表示画像とは関係ない発光を減らし、コントラストを高くすることができる。
次に第2の実施例について、図10を用いて説明する。 図10はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第2の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、Xプライミングパルス51を除くと、図1に示す第1の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例において、Xプライミングパルス51はサステインパルス1、2と略等しい電圧までは短時間で立ち上り、その後、立ち上りを鈍くして放電開始電圧を越え、300V前後の電圧を印加する。尚、この電圧は、放電ギャップ、放電ガス組成、放電ガス圧力等の条件で変わるものであり、1例として上げたものである。本実施例においても、Xプライミングパルス51が印加される以前に誘電体26上の電荷は消去さ
れているため、サステインパルスと略等しい電圧では放電することはなく、第1の実施例と同じ動作が得られる上、Xプライミングパルス51の幅を短くすることができる。
次に図11を用いて、本発明により駆動電圧波形の第3の実施例について説明する。
図11はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第3の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、規制パルス52、53を除いて、図10に示す第2の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例においてアドレス電極29に印加される規制パルスは発光表示期間のサステインパルス列1、2、5、5aからY1消去パルス6まで続く規制パルス52とXプライミングパルス51からY2消去パルス7まで続く規制パルス53に分かれる。これにより、Y1消去パルス6とXプライミングパルス51の間にX電極22、Y電極23、アドレス電極29のいずれにも電圧を印加しない休止期間54を設ける。この、休止期間54はサステインパルスによる放電で、セル内に過剰に生成された電荷を中和消去する期間であり、略10μs以上が適当である。休止期間54を設けることにより、放電空間に過剰に残留した電荷によってXプライミングパルス51で誤った放電が起こるのを防止する。すなわち、この残留電荷によって、Xプライミングパルス51を印加すると、強い放電が起き、強く発光することがある。これを防ぐために、残留電荷を中和する休止期間54を設けている。
尚、この休止期間54はサブフィールド毎にその直前のサステイン放電の回数に応じて長さを変えてもよい。
次に、図12を用いて、第4の実施例について説明する。
図12はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第4の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、Xプライミングパルス55、56を除いて、図11に示す第3の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例において、Xプライミングパルス55は立ち下がりを鈍くしてグランド電位まで落ちる電圧降下部56を有する。X電極22およびY電極23近傍の誘電体上に電荷が集まっている場合、Xプライミングパルス55の立ち下がり電圧を急峻に降下させると、この立ち下がりで誤って放電する場合がある。この立ち下がりで放電すると、残留電荷が少なくなり、Y2消去パルス7で放電しなくなることがある。本実施例では立ち下がりを鈍くした電圧降下部56を設けることにより、この誤放電を防止している。この電圧降下部56は必ずしもこのような形状にする必要はなく、例えば徐々に立ち下がる直線であってもよいし、他の曲線であってもよい。
次に、図13を用いて本発明の第5の実施例について説明する。
図13はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第5の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加する電圧波形を示している。図13において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、規制パルス57、58を除いて、図11に示す第3の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例においてアドレス電極29に印加される規制パルスは発光表示期間のサステインパルス列1、2、5、5aからY1消去パルス6まで続く規制パルス52と、Xプライミングパルス51の規制パルス57と、Y2消去パルス7の規制パルス58に分かれる。これにより、Xプライミングパルス51とY2消去パルス7との間にX電極22、Y電極23、アドレス電極29のいずれにも電圧を印加しない休止期間59を設ける。この、休止期間59はXプライミングパルス51による放電で、セル内に過剰に生成された電荷を中和消去する期間であり、略10μs以上が適当である。これにより、放電空間に過剰に残留した電荷により、Y2消去パルス7によって誤った放電が起こるのを防止する。
次に図14を用いて本発明の第6の実施例について説明する。
図14はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第6の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、Y電極23に印加する第1の幅広消去パルス60を除いて、図11に示す第3の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例において、第1の幅広消去パルス60は誘電体26上に電荷を有する場合に弱い放電を起こし、電荷を消去するように、略−150Vに設定されている。尚、この電圧は、放電ギャップ、放電ガス組成、放電ガス圧力等の条件で変わるものであり、1例として上げたものである。隣接セルからの電荷のクロストーク等により、Y電極23近傍の誘電体26上に負電荷39が集まるか、X電極22近傍の誘電体上に正電荷38が集まった場合、Xプライミングパルス51で強い放電が起こり、誤動作につながる場合がある。第1の幅広消去パルス60はこの誘電体上の電荷を放電61により消去し、Xプライミングパルス51での誤放電を防止する。
次に、図15を用いて本発明の第7の実施例について説明する。
図15はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第7の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、Y電極23に印加する第2の幅広消去パルス62を除いて、図14に示す第6の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例において、第2の幅広消去パルス62は誘電体26上に電荷を有する場合に弱い放電を起こし、電荷を消去するように、略−150Vに設定されている。尚、この電圧は、放電ギャップ、放電ガス組成、放電ガス圧力等の条件で変わるものであり、1例として上げたものである。隣接セルからの電荷のクロストークやY2消去パルス7が強く放電した場合等により、Y電極23近傍の誘電体26上に負電荷39が集まるか、X電極22近傍の誘電体26上に正電荷38が集まった場合、アドレスパルス9がなくても、スキャンパルス8によって、X電極22とY電極23間で誤放電が起こり、誤動作につながる場合がある。第2の幅広消去パルス62はこの誘電体26上の電荷を放電63により消去し、書込み放電期間での誤放電を防止する。
次に、図16を用いて、本発明の第8の実施例について説明する。
図16はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第8の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。図において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
本実施例においては、Xプライミングパルス64とその放電65を除いて、図1に示す第1の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例においてXプライミングパルス64はグランド電位から時間に対して直線的に立ち上り、放電開始電圧を越えて略300V以上の電圧を印加する。これにより、セルの放電特性のばらつき、電荷の残留状態のばらつき等があっても、各セルが放電を開始してからの時間的電圧変化が一定であり、動作を均一にすることができる。すなわち、Xプライミングパルス64が放電開始電圧を超えて放電が開始されると、電荷が蓄積される。この電荷の蓄積が一定値を越えると放電が停止される。Xプライミングパルス64の電圧は上昇し続けるため再び放電が開始される。所が、Xプライミングパルス64の電圧は直線的に上昇するため、この放電開始から放電停止に至るサイクル、特に電荷の集積時間が略一定となるため、放電強度の変化を防ぐことができる。尚、Xプライミングパルス64の電圧は、放電ギャップ、放電ガス組成、放電ガス圧力等の条件で変わるものであり、1例として上げたものである。
本実施例において、Y1消去パルス6及びY2消去パルス7をパルス64に示すように時間に対して直線的に立ち上がるように構成してもよい。
以上のように、本実施例1から8では表示に関係ない黒部の発光を低減すると
共に放電電流を低減できる。
次に、図17、図18を用いて、本発明の第9の実施例について説明する。
図17はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第9の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加される電圧波形を示している。
図18はY2消去パルスによる放電後の第9の実施例におけるセル内の電荷状態を示す模式図である。
図17において、(a)は1本のX電極22に印加される電圧波形、(b)は1本のY電極23に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d)は放電による発光を示す。また、横軸は時間tを示す。
図17に示すように、本実施例においては、規制パルス66はY2消去パルス7の印加されている期間、グランドレベルに保たれる。Y2消去パルス7の放電67が異なることを除いて、図1に示す第1の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例においては、Y2消去パルス7での放電により生成された電荷は、X電極22およびY電極23近傍の誘電体26上の電荷を中和消去すると共に、アドレス電極29の電圧がグランド電圧であるために、図18に示すように、一部の正電荷38はアドレス電極29側の蛍光体上に蓄積される。このため、一部の負電荷39はY電極23近傍の誘電体26上に残り、X電極22側にも、正電荷38が残る。この、残留した電荷は、書き込み放電の際に各電極に印加する電圧の極性と同じであるため、電荷が残留しなかった場合より低い電圧のスキャンパルス8及びアドレスパルス9で放電を起こさせることができる。
次に、図19、図20を用いて、本発明の第10の実施例について説明する。 図19は本発明によるプラズマディスプレイパネルの電極配置と回路構成の一実施例を示す模式図である。
図に示すように、X電極は第1のX電極22a、第2のX電極22bの二つの群に分けられ、それぞれ、X駆動回路34a、34bに接続されている。Y電極も同様に第1のY電極23a、第2のY電極23bの二つの群に分けられ、それぞれ、Y駆動回路35a、35bに接続されている。尚、第1のX電極22aと第1のY電極23a、第2のX電極22bと第2のY電極23bはそれぞれ、同じセル内に配置され、これらの電極の間で放電を行なう。本実施例では第1の電極群は奇数行目のセルの電極であり、第2の電極群は偶数行目のセルの電極である。他の構成要素は図5に示す第1の実施例と同じであり、同一番号を付けて説明を省略する。
図20はプラズマディスプレイパネルを駆動する電圧波形の第10の実施例を示す波形図であり、略1つのサブフィールドとその直前の発光表示期間に各電極に印加する電圧波形を示している。図20において(a1)、(a2)はそれぞれ奇数行、偶数行の1本のX電極に印加される電圧波形、(b1)(b2)はそれぞれ奇数行、偶数行の1本のY電極に印加される電圧波形、(c)は1本のアドレス電極29に印加される電圧波形である。また、(d1)、(d2)はそれぞれ奇数行、偶数行のセルの放電による発光を示す。図において、4a、4bはXスキャンパルス、8a、8bはスキャンパルス、7a、7bはY2消去パルス、9a、9bはアドレスパルス、62a、62bは第2の幅広消去パルス、58aは規制パルス、14aはY2消去パルス7aによる放電、14bはY2消去パルス7bによる放電、63aは第1の幅広消去パルス62aによる放電、63bは第2の幅広消去パルス62bによる放電、15aはアドレスパルス9aによる書込み放電、15bはアドレスパルス9bによる書込み放電である
本実施例においては、Y2消去パルス7a、7bから最初のサステインパルス5aの前までの期間、すなわち、Y2消去パルス7a、第2の幅広消去パルス62a、及び書き込み放電期間のスキャンパルス8aを連続する期間の間に、第1電極群である奇数行目のセルの第1のY電極23aに印加し、第1のY電極23aにこれらのパルスを印加した後、Y2消去パルス7b、第2の幅広消去パルス62b、及び書き込み放電期間のスキャンパルス8bを第2のY電極23bに印加している。このように本実施例においては、第1の電極群である奇数行のセルの電極と第2電極群である偶数行のセルの電極とでパルスを印加する期間を変えている。
X電極及びY電極を第1の電極群及び第2の電極群に分けない場合、Y2消去パルス7で放電を行ない、プライミング効果を持つ電荷を空間に形成しても、空間の電荷は急速に減少するため、Y2消去パルス7印加時から最後のアドレス放電までの時間が長いと、空間に残留している電荷量が少なくなり、プライミング効果が薄れる。従って、Y2消去パルス7印加後から最後のアドレス放電までの時間は短い方が良い。例えば、縦に1000ラインあるパネルではスキャンパルスの幅を1.5μsにしても、最後のアドレス放電までの経過時間は1500μsである。これに対して、本実施例ではX電極及びY電極をそれぞれ第1、第2のX電極22a、22b群、第1、第2のY電極23a、23b群に分け、第1の電極群と第2の電極群とでY2消去パルス印加期間と書き込み放電期間の期間を分けて放電を行なっているため、半分のラインのアドレス放電を行えばよいので、最後のアドレス放電までの経過時間は半分の750μsである。従って、空間に残留している電荷の量も多いため、プライミング効果によって放電遅れが小さくなる。これにより、動作が安定する。さらに、上下を2分割して、上下の領域に同時にスキャンパルスを印加する方式では、上下のそれぞれの領域の電極を2群に分けることによって、最後のアドレス放電までの経過時間を1/4にできる。
本実施例においては、X電極及びY電極を2群に分けているが、3群以上に別けてもよい。
尚、Xプライミングパルス64も第1電極群である奇数行目のセルの電極と第2電極群である偶数行目のセルの電極で印加する期間を変える手段もあるが、この場合には、回路または回路とパネルをつなぐ線材の部分で隣り合うX電極間に300V以上の電圧が印加されることになり、線間の耐圧が問題となる。本実施例では隣り合うY電極間にかかる電圧はサステインパルスの電圧であり、この電圧は約180Vであり、低く押さえることができる。
以上述べたように、本発明によれば、プラズマディスプレイパネルのコントラストを向上させることができる。また、回路負荷を低減することができる。また、本発明によって、駆動電圧を低減したり、アドレス放電を安定に行なうことができる。