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JP5157508B2 - 操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法 - Google Patents

操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法 Download PDF

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JP5157508B2 JP2008035628A JP2008035628A JP5157508B2 JP 5157508 B2 JP5157508 B2 JP 5157508B2 JP 2008035628 A JP2008035628 A JP 2008035628A JP 2008035628 A JP2008035628 A JP 2008035628A JP 5157508 B2 JP5157508 B2 JP 5157508B2
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Description

本発明は、操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法に関し、詳しくは、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置及び操舵反力模擬装置と、ハンドルの操作に応じた操舵反力を設定する操舵反力設定方法に関する。
従来、この種の操舵装置としては、下記特許文献1に開示されているように、ハンドルの操舵角とハンドルの切り増し切り戻しの判定結果とに基づいてヒステリシス特性をもって操舵反力を設定するものが提案されている。ここでのヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きK1で変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きK1よりも小さい第2の傾きK2で変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが第2の傾きK2から第1の傾きK1に変化し、操舵角に対する操舵反力が第1の特性上にある場合に操舵角が第1の特性と第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが第1の傾きK1から第2の傾きK2に変化する特性である。この操舵装置では、第1の傾きK1の値を大きくすることで、剛性(ばね定数)の高いばね要素によってクーロン摩擦を近似したヒステリシスを操舵反力特性に与え、操舵速度に依存しないヒステリシス特性を再現している。
特許第3889916号公報
上記の操舵装置において、ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサの最小分解能が十分に高くない場合は、ハンドルに自励振動が発生しやすくなり、自励振動のレベルが増大すると、運転者に不快感・違和感を与えることになる。例えばハンドルの手放し時に自励振動が発生しやすくなる。ヒステリシス特性における第1の傾きK1の値を小さくすることで、自励振動のレベルを低減することが可能となるが、その反面、クーロン摩擦によるヒステリシス特性が十分に得られず、操舵フィーリングが低下するというトレードオフの関係となる。
本発明は、ハンドルの切り増し時と切り戻し時の操舵反力特性にヒステリシスを持たせる場合において、ハンドルの手放し時に発生するハンドル振動のレベルを抑制することを目的とする。
本発明に係る操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る操舵装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する車載用の操舵装置であって、前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、前記目標操舵反力設定手段は、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に前記目標操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定することを要旨とする。
本発明の一態様では、前記操舵角検出手段は、操舵角を所定の分解能Δθhで検出する手段であり、前記設定範囲は、前記第3の傾きをK3とすると、K3×Δθhをその上限とし、−K3×Δθhをその下限とする範囲であることが好適である。この態様では、前記目標操舵反力設定手段は、K3×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第3の傾きK3を設定することが好適である。
本発明の一態様では、ハンドルの操作者により操作され、前記第3の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第3の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第3の傾きを設定することが好適である。
また、本発明に係る操舵装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置であって、前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、前記目標操舵反力設定手段は、前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置であって、前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、ハンドルの操作者により操作され、前記第1の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第1の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第1の傾きを設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵反力模擬装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、前記目標操舵反力設定手段は、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に前記目標操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵反力模擬装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、前記目標操舵反力設定手段は、前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵反力模擬装置は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、を備え、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、ハンドルの操作者により操作され、前記第1の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第1の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第1の傾きを設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵反力設定方法は、車両のハンドルの操作に応じた操舵反力を設定する操舵反力設定方法であって、前記ハンドルの操舵角に基づいてハンドルの切り増しか切り戻しかを判定し、該判定結果と前記ハンドルの操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって操舵反力を設定する操舵反力設定方法において、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定することを要旨とする。
また、本発明に係る操舵反力設定方法は、ハンドルの操作に応じた操舵反力を設定する操舵反力設定方法であって、前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出し、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しか切り戻しかを判定し、該判定結果と前記ハンドルの操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって操舵反力を設定する操舵反力設定方法において、前記ヒステリシス特性は、操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定することを要旨とする。
本発明によれば、ハンドルの切り増し時と切り戻し時の操舵反力特性にヒステリシスを持たせる場合において、ハンドルの手放し時に発生するハンドル振動のレベルを抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る操舵装置20の概略構成を示す図である。本実施形態に係る操舵装置20は、車両に搭載されるものであり、図示するように、運転者により操作されるハンドル22と、ハンドル22の角度(操舵角)を検出する操舵角センサ24と、ハンドル22のトルク(操舵反力)を検出するトルクセンサ26と、運転者によるハンドル22の操作に応じてハンドル22にトルクを作用させることでハンドル22の操舵反力を模擬する反力モータ40と、ハンドル22の操舵角に応じて操舵輪30,32の切り角を変更するための出力トルクを減速機34を介してラック36に伝達して操舵輪30,32へ出力する転舵モータ42と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット50と、を備える。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM54と、一時的にデータを記憶するRAM56と、入出力ポート(図示せず)と、を備える。この電子制御ユニット50には、操舵角センサ24からの操舵角θh、トルクセンサ26からのトルクTh、及び車速センサ58からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット50からは、反力モータ40及び転舵モータ42への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
図2は、操舵装置20の電子制御ユニット50が操舵反力指令値Tp*を演算する操舵反力指令値演算ブロック60として動作するときの制御ブロックを例示する説明図である。図示するように、操舵反力指令値演算ブロック60は、入力した操舵角θhに基づいてハンドル22の切り増しと切り戻しとを判定する切り増し切り戻し判定部62と、切り増し切り戻し判定部62の判定結果と操舵角θhと車速Vとに基づいて操舵反力指令値Tp*を演算する操舵反力指令値演算部66と、を有する。電子制御ユニット50では、この操舵反力指令値演算ブロック60により演算された操舵反力指令値Tp*とトルクセンサ26により検出されるトルクThとに基づいてハンドル22に作用する操舵反力が操舵反力指令値Tp*となるよう反力モータ40を駆動制御する。ただし、ここでは、トルクセンサ26を用いずに操舵反力指令値Tp*のみに基づいて反力モータ40を駆動制御してもよい。なお、操舵角θhは、操舵角センサ24により所定の分解能(最小分解能)Δθhで検出される。
操舵反力指令値演算ブロック60における切り増し切り戻し判定部62では、操舵角センサ24により検出される操舵角θhに基づいて、ハンドル22が切り増し状態にあるか切り戻し状態にあるかが判定される。より具体的には、前回入力した操舵角θhと今回入力した操舵角θhとの差の符号、すなわち正負により切り増しか切り戻しかが判定される。
操舵反力指令値演算部66では、切り増し切り戻し判定部62の判定結果と操舵角θhと車速Vとに基づいてハンドル22に作用する操舵反力が図3に例示するようなヒステリシス特性を持つように操舵反力指令値Tp*を演算する。図3中、横軸は操舵角θhであり、縦軸は操舵反力Tpである。図3に例示するヒステリシス特性は、操舵角θhの変化に対して操舵反力Tpが傾きK1で変化する特性線A,C(第1の特性線)と、操舵角θhの変化に対して操舵反力Tpが傾きK2(K2<K1)で変化する特性線B,D(第2の特性線)とを含む特性である。また、図3において、特性線(直線)Bの切片はT0であり、特性線(直線)Dの切片は−T0である。以下、操舵反力指令値演算部66が操舵反力指令値Tp*を演算する処理について説明する。なお、操舵反力指令値Tp*は、ハンドル22を右に回転させたときと左に回転させたときとで符号が異なるだけで同様に演算されるから、操舵角θhが正の方向(実施形態ではハンドル22を左に回転したとき)について説明する。また、説明の容易のために、車速Vを用いずに操舵反力指令値Tp*を演算する処理について説明する。
ハンドル22の切り始めの操舵角θhが値0から操舵角センサ24の最小分解能Δθh増加したときには、傾きK3(K3<K1)の勾配で操舵反力指令値Tp*を増加させる。即ち、次式(1)として操舵反力指令値Tp*を演算するのである。
Tp*=K3・Δθh (1)
さらに、ハンドル22が切り増しされ、操舵角θhが角度Δθhから傾きK1の直線上で直線Bと交差する角度θ1に至るまでは、操舵角θhと操舵反力Tpとを横軸と縦軸としたときの座標上で傾きK1で点(Δθh,K3・Δθh)を通る直線の関係として操舵反力指令値Tp*を演算する。即ち、次式(2)として操舵反力指令値Tp*を演算するのである。
Tp*=K3・Δθh+K1・(θh−Δθh) (2)
操舵角θhが角度θ1を超えた後の切り増しのときには、操舵角θhが最小分解能Δθhずつ切り増しが行われる毎に次式(3)で計算されるΔTずつ加算する。即ち、最小分解能Δθhのn倍だけ切り増しされたときは、式(4)により操舵反力指令値Tp*を演算する。
ΔT=K2・Δθh (3)
Tp*=K3・Δθh+K1・(θ1−Δθh)+n・ΔT
=K2・(θ1+n・Δθh)+T0 (4)
T0=(K1−K2)・θ1−(K1−K3)・Δθh
最小分解能Δθhずつ操舵角θhが増加したときの操舵反力指令値Tp*が設定される様子を図4に示す。図示するように、操舵角θhが角度θ1を越えた後は、演算された操舵反力指令値Tp*は、傾きK2の直線B(第2の特性線)上の値となる。
操舵角θhが角度θ1より大きな角度θ2の状態からハンドル22が切り戻されたときには、操舵反力指令値Tp*は次式(5)を満たすまで次式(6)に従って傾きK1の勾配で減少する。なお、式(6)は、角度θ2の状態から最小分解能Δθhのn倍だけ切り戻しされたときの操舵反力指令値Tp*を示している。
|Tp*|≦K3・Δθh (5)
Tp*=K3・Δθh+K1・(θ1−Δθh)
+K2・(θ2−θ1)−K1・n・Δθh (6)
切り戻しが判定される直前の操舵反力指令値Tp*は、前述の切り増しの演算により図4における特性線B上のポイントB2の値となっている。切り戻しが開始されると、式(6)により操舵反力指令値Tp*は計算され、操舵反力指令値Tp*は、図4におけるポイントB2を通る傾きK1の特性線A2(第1の特性線)上の値となる。そして、操舵角θhが特性線A2上において特性線Bとの交点B2から式(5)を満たすまで、式(6)により操舵反力指令値Tp*が演算される。このように、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*が第2の特性線(例えば特性線B)上にある場合にハンドル22の切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵反力指令値Tp*が第1の特性線(例えば特性線A2)上の値となり、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*の傾きがK2からK1に変化(増大)する。ここでの傾きK2の特性線Bは、切り増し時の操舵反力特性に相当し、傾きK1の特性線A2は、クーロン摩擦に対応する操舵反力を与えるための操舵反力特性に相当する。傾きK1の値を大きくすることで、剛性(ばね定数)の高いばね要素によってクーロン摩擦を近似したヒステリシスを得ることができる。
式(5)が成立してからハンドル22がさらに切り戻しされたときには、操舵角θhが最小分解能Δθhの2倍(2・Δθh)切り戻しされるまでは(式(5)が成立する間は)、傾きK3(K3<K1)の勾配で操舵反力指令値Tp*を減少させる。このように、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*が第1の特性線(例えば特性線A,A2,C)上にある場合に操舵反力指令値Tp*が0付近の設定範囲内にあるときは、第1の特性線における傾き(操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾き)をK1より小さいK3に設定する。ここでの設定範囲については、例えば図4に示すように、−K3×Δθhを下限としK3×Δθhを上限とする範囲とすることができる。
さらに、ハンドル22が切り戻しされたときには、操舵角θhが特性線A2上において直線Dとの交点D2に到達するのに要する角度だけ小さくなるまで、操舵反力指令値Tp*は次式(7)に従って傾きK1の勾配で減少する。式(7)において、θ3は、特性線A2上において操舵反力指令値Tp*が0になるときの角度(図4参照)である。
Tp*=−K3・Δθh−K1・(θ3−Δθh−θh) (7)
次に、操舵角θhが、図4における特性線A2と特性線Dとの交点D2に相当する角度θ4まで切り戻されたときを考える。この角度θ4から更に切り戻しがなされると、操舵角θhが最小分解能Δθhずつ切り戻しが行われる毎に前述の式(3)で計算されるΔTずつ減算する。即ち、角度θ3から最小分解能Δθhのm倍だけ切り戻されたときは、次式(8)により操舵反力指令値Tp*が演算されるのである。
Tp*=−T0+K2・(θ4−m・Δθh) (8)
最小分解能Δθhずつ操舵角θhが減少したときの操舵反力指令値Tp*が設定される様子を図4に示す。図示するように、操舵角θhが角度θ4から減少した後は、演算された操舵反力指令値Tp*は、傾きK2の直線D(第2の特性線)上の値となる。このように、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*が第1の特性線(例えば特性線A2)上にある場合に操舵角θhが第1の特性線と第2の特性線との交点に相当する角度(例えば特性線A2と特性線Dとの交点D2に相当する角度θ4)に到達したときは、操舵反力指令値Tp*が第2の特性線(例えば特性線D)上の値となり、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*の傾きがK1からK2に変化(減少)する。ここでの傾きK2の特性線Dは、切り戻し時の操舵反力特性に相当する。本実施形態では、操舵角θhと切り増し切り戻しの判定結果とに基づいて操舵反力指令値Tp*を設定することで、ヒステリシス特性における現在の状態(操舵角θh及び操舵反力Tpが特性線A,B,C,Dのどの位置にあるか)を的確に把握しながら、操舵速度に依存しないクーロン摩擦によるヒステリシス特性を再現することができる。
操舵角センサ24の最小分解能Δθhが十分に高くない場合は、ハンドル22に自励振動が発生しやすくなり、自励振動のレベルが増大すると、運転者に不快感・違和感を与えることになる。特に、ハンドル22の手放し状態や軽く手を添えて保舵している状態等の操舵反力Tpの絶対値が小さく0付近であるときに自励振動が発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、操舵反力指令値演算部66は、操舵反力指令値Tp*が0付近の設定範囲内(例えば−K3×Δθh≦Tp*≦K3×Δθh)にあるときは、第1の特性線(例えば特性線A,A2,C)における傾き(操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾き)をK1より小さいK3に設定する。これによって、操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動のレベルを抑制する。一方、操舵反力指令値Tp*が0付近の設定範囲から外れているときは、操舵反力指令値演算部66は、第1の特性線における傾きをK1に設定する。
操舵角θhが角度θ2の状態から運転者がハンドル22を手放した場合、操舵角θhは、次式(9)で表されるハンドル22の運動方程式に従って角度θ3(図4参照)に収束する。ただし、操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾き(剛性)K1は大きい値であるため、ハンドル22には振動が発生する。なお、式(9)において、Jhはハンドル22の慣性モーメント、chはハンドル22の粘性摩擦係数である。
Figure 0005157508
角度θ3の近傍における剛性(操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾き)をK1のままに設定した場合は、図5に示すように、操舵反力指令値Tp*の最小単位K1・Δθhが大きくなり、操舵角θhが制御によるハンチングを起こし、ハンドル22の振動が減衰しにくくなる。これに対して本実施形態では、角度θ3の近傍(例えばθ3−Δθhを下限としθ3+Δθhを上限とする範囲)における剛性、つまり操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾きがK1より小さいK3に設定されるため、図6に示すように、操舵反力指令値Tp*の最小単位をK3・Δθhに小さくすることができる。その結果、操舵角θhが制御によるハンチングを起こすことなく、ハンドル22の振動を速やかに抑制することができる。さらに、操舵反力指令値Tp*の最小単位が小さいため、運転者がハンドル22に触れているときもハンドル22のトルク変動が気にならないという効果も生じる。そのためには、トルク変動分K3・Δθhが運転者の感じることができるトルク変動より小さくなるように傾きK3の値を設定することが好ましい。一方、操舵反力指令値Tp*が0付近から外れているときは、操舵角θhに対する操舵反力Tpの傾きがK3より大きいK1に設定されるため、ハンドル22を操作する運転者は、クーロン摩擦による摩擦感を十分に感じることができる。なお、操舵角θhが角度θ4の状態から運転者がハンドル22を手放した場合も、前述の式(9)の運動方程式に従って操舵角θhが角度θ3に収束し、図6と同様の振動抑制効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、操舵速度に依存しないクーロン摩擦によるヒステリシス特性を再現することができるとともに、ハンドル22の手放し状態等においてハンドル22に自励振動が生じたときの振動レベルを速やかに抑制することができる。その結果、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
また、本実施形態では、運転者が不快に感じるトルク振動振幅よりもトルク変動分K3・Δθhが若干小さくなるように傾きK3の値を設定することもできる。ただし、人間のトルク振動知覚特性は振動周波数に応じて変化し、運転者が不快に感じるトルク振動振幅は振動周波数に応じて変化する。そこで、操舵反力指令値演算部66は、トルク変動分K3・Δθhがハンドル22の振動周波数に応じて変化する振動許容値TLよりも小さくなるように傾きK3の値を決定する。以下、その場合の処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
図7に示すフローチャートのステップS101では、傾きK3の初期値が設定される。ここでは、傾きK3の初期値を十分な摩擦感が得られる高い値に設定し、例えば50〜100N・m/deg程度の値に設定することができる。ステップS102では、操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動のトルク振幅と周波数が演算される。ハンドル22の自励振動のトルク振幅は、K3・Δθhで表される。ハンドル22の自励振動の周波数はハンドル22の共振周波数で表すことができ、ハンドル22の共振周波数(角周波数)ωは以下の式(10)で表される。式(10)において、Jhはハンドル22の慣性モーメントである。式(10)に示すように、ハンドル22の共振周波数(自励振動の周波数)は、傾きK3の値に応じて変化する。
ω=(K3/Jh)0.5 (10)
ステップS103では、ステップS102で演算された自励振動の周波数ωにおいて、自励振動のトルク振幅K3・Δθhが振動許容値TLよりも小さいか否かが判定される。運転者が不快に感じるトルク振動振幅はハンドル22の振動周波数に応じて変化するため、ここでの振動許容値TLは、運転者がトルク振動を不快に感じる閾値として自励振動の周波数に応じて設定され、例えば図8に示すように周波数重み付けされた特性を有する。ここでの周波数重み付けとしては、例えばISO5349−1「手腕振動の測定規格」に開示されている周波数重み付けを用いることができる。また、被験者の官能評価実験で得られた結果から、振動許容値TLの周波数特性(周波数重み付け)を設定することもできる。より具体的には、振幅が0から徐々に大きくなる正弦波トルクを評価入力としてハンドルに与えることで運転者(被験者)に提示し、その提示された評価入力(正弦波トルク)を運転者が初めて不快に感じた時点での正弦波トルクの振幅値を周波数を変化させながら各周波数毎に調べ、各周波数毎の正弦波トルク振幅値から振動許容値TLの周波数特性(周波数重み付け)を求めることもできる。図8に示すような振動許容値TLの周波数特性は、電子制御ユニット50内の記憶装置に予め記憶される。操舵反力指令値演算部66は、この記憶された振動許容値TLの周波数特性において、与えられた自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TLよりもトルク振幅K3・Δθhが小さいか否かを判定する。例えば図8の点P1に示すように、トルク振幅K3・Δθhの値が自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TL以上である場合(ステップS103の判定結果がNOの場合)は、ステップS104において傾きK3の値を現在値よりも小さい値に変更し、ステップS102に戻る。一方、例えば図8の点P2に示すように、トルク振幅K3・Δθhの値が自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TLよりも小さい場合(ステップS103の判定結果がYESの場合)は、ステップS105において、傾きK3の値が現在値に決定される。なお、図7のフローチャートの処理については、操舵反力指令値Tp*を演算する処理を開始する前に予め行うこともできるし、操舵反力指令値Tp*を演算する処理の実行中に行うこともできる。
図7のフローチャートの処理によれば、自励振動のトルク振幅K3・Δθhが運転者にとって不快に感じる閾値よりもわずかに小さい値になるように、傾きK3の値が決定される。したがって、操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動レベルをクーロン摩擦による摩擦感を損なわずに抑制することができる。
また、本実施形態では、図9に示すように、傾きK3の設定に関する運転者の操作入力を受け付ける傾き設定受付部65を設け、操舵反力指令値演算部66は、傾き設定受付部65による傾きK3の設定に関する操作入力に基づいて傾きK3の値を決定することもできる。ここでの傾き設定受付部65については、例えば、傾きK3の値を変更するために運転者により操作されるスイッチや目盛調節ダイヤルを含んで構成することができ、スイッチや目盛調節ダイヤルの操作状態に応じた傾きK3の目標値を示す信号を電子制御ユニット50(操舵反力指令値演算部66)へ出力する。そして、操舵反力指令値演算部66は、傾きK3の値を、傾き設定受付部65からの傾きK3の目標値に一致するように設定する。この構成例によれば、運転者は、クーロン摩擦による摩擦感を損なわず、且つ操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動を不快に感じないように、傾きK3の値を調節することができる。
「実施形態2」
次に、本発明の実施形態2に係る操舵装置20について説明する。本実施形態では、操舵反力指令値演算部66は、切り増し切り戻し判定部62の判定結果と操舵角θhと車速Vとに基づいてハンドル22に作用する操舵反力が図10に例示するようなヒステリシス特性を持つように操舵反力指令値Tp*を演算する。図10中、横軸は操舵角θhであり、縦軸は操舵反力Tpである。図10に例示するヒステリシス特性も、操舵角θhの変化に対して操舵反力Tpが傾きK1で変化する直線A,C(第1の特性線)と、操舵角θhの変化に対して操舵反力Tpが傾きK2(K2<K1)で変化する直線B,D(第2の特性線)とを含む特性である。また、図10において、直線Bの切片はT0であり、直線Dの切片は−T0である。以下、操舵反力指令値演算部66が操舵反力指令値Tp*を演算する処理について説明する。以下の説明でも、操舵角θhが正の方向(実施形態ではハンドル22を左に回転したとき)について説明し、車速Vを用いずに操舵反力指令値Tp*を演算する処理について説明する。
ハンドル22の切り始めの操舵角θhが値0から傾きK1の直線上で直線Bと交差する角度θ1に至るまでは、操舵角θhと操舵反力Tpとを横軸と縦軸としたときの座標上で傾きK1で原点を通る直線の関係として操舵反力指令値Tp*を演算する。即ち、次式(11)として操舵反力指令値Tp*を演算するのである。
Tp*=K1・θh (11)
操舵角θhが角度θ1を超えた後の切り増しのときには、操舵角θhが最小分解能Δθhずつ切り増しが行われる毎に次式(12)で計算されるΔTずつ加算する。即ち、最小分解能Δθhのn倍だけ切り増しされたときは、式(13)により操舵反力指令値Tp*を演算する。
ΔT=K2・Δθh (12)
Tp*=K1・θ1+n・ΔT
=K2・(θ1+n・Δθh)+(K1−K2)・θ1 (13)
最小分解能Δθhずつ操舵角θhが増加したときの操舵反力指令値Tp*が設定される様子を図11に示す。図示するように、操舵角θhが角度θ1を越えた後は、演算された操舵反力指令値Tp*は、傾きK2の直線B(第2の特性線)上の値となる。なお、式(13)中の右辺第2項の(K1−K2)・θ1は、図10における直線Bの切片T0となっている。
操舵角θhが角度θ1より大きな角度θ2の状態からハンドル22が切り戻されたときには、次式(14)により操舵反力指令値Tp*は演算される。
Tp*=K1・θh−(K1−K2)・(θ2−θ1) (14)
切り戻しが判定される直前の操舵反力指令値Tp*は、前述の切り増しの演算により図11における直線B上のポイントB2の値となっている。切り戻しが開始されると、式(14)により操舵反力指令値Tp*は計算され、操舵反力指令値Tp*は、図11におけるポイントB2を通る傾きK1の直線A2(第1の特性線)上の値となる。そして、操舵角θhが直線A2上において直線Bとの交点B2から直線Dとの交点D2に到達するのに要する角度だけ小さくなるまで、式(14)により操舵反力指令値Tp*が演算される。このように、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*が第2の特性線(例えば直線B)上にある場合にハンドル22の切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵反力指令値Tp*が第1の特性線(例えば直線A2)上の値となり、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*の傾きがK2からK1に変化(増大)する。
次に、操舵角θhが、図11における直線A2と直線Dとの交点D2に相当する角度θ3まで切り戻されたときを考える。この角度θ3から更に切り戻しがなされると、操舵角θhが最小分解能Δθhずつ切り戻しが行われる毎に前述の式(12)で計算されるΔTずつ減算する。即ち、角度θ3から最小分解能Δθhのm倍だけ切り戻されたときは、次式(15)により操舵反力指令値Tp*が演算されるのである。
Tp*=−T0+K2・(θ3−m・Δθh) (15)
最小分解能Δθhずつ操舵角θhが減少したときの操舵反力指令値Tp*が設定される様子を図11に示す。図示するように、操舵角θhが角度θ3から減少した後は、演算された操舵反力指令値Tp*は、傾きK2の直線D(第2の特性線)上の値となる。このように、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*が第1の特性線(例えば直線A2)上にある場合に操舵角θhが第1の特性線と第2の特性線との交点に相当する角度(例えば直線A2と直線Dとの交点D2に相当する角度θ3)に到達したときは、操舵反力指令値Tp*が第2の特性線(例えば直線D)上の値となり、操舵角θhに対する操舵反力指令値Tp*の傾きがK1からK2に変化(減少)する。
例えばハンドル22の切り始めや手放し状態や軽く手を添えて保舵している状態等、操舵反力Tpの絶対値が小さく0付近であるときには、操舵角θhのわずかな変化によって、操舵角センサ24の最小分解能Δθhに応じたK1・Δθh(操舵反力指令値Tp*の最小単位)のトルク変動が生じる。このような操舵角θhの変化は、運転者の操舵操作によるものもあるが、上記のトルク変動によってハンドル22が動かされる場合もある。トルク変動によってハンドル22が動かされる場合には、操舵反力Tpが0付近で操舵角θhが制御によるハンチングを起こし、ハンドル22に自励振動が発生する。傾きK1の値を大きく設定すると、クーロン摩擦による摩擦感を運転者に十分に与えることができるものの、操舵反力指令値Tp*の最小単位K1・Δθhが大きくなる。そのため、操舵角θhが制御によるハンチングを起こしたときの自励振動のトルク振幅も大きくなり、運転者に不快感・違和感を与えることになる。そこで、本実施形態では、運転者が不快に感じるトルク振動振幅よりもトルク変動K1・Δθhが若干小さくなるように傾きK1の値を設定する。ただし、運転者が不快に感じるトルク振動振幅は振動周波数に応じて変化するため、操舵反力指令値演算部66は、トルク変動K1・Δθhがハンドル22の振動周波数に応じて変化する振動許容値TLよりも小さくなるように傾きK1の値を決定する。以下、その場合の処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
図12に示すフローチャートのステップS201では、傾きK1の初期値が設定される。ここでは、傾きK1の初期値を十分な摩擦感が得られる高い値に設定し、例えば50〜100N・m/deg程度の値に設定することができる。ステップS202では、操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動のトルク振幅と周波数が演算される。ハンドル22の自励振動のトルク振幅は、K1・Δθhで表される。ハンドル22の自励振動の周波数はハンドル22の共振周波数で表すことができ、ハンドル22の共振周波数(角周波数)ωは以下の式(16)で表される。式(16)に示すように、ハンドル22の共振周波数(自励振動の周波数)は、傾きK1の値に応じて変化する。
ω=(K1/Jh)0.5 (16)
ステップS203では、ステップS202で演算された自励振動の周波数ωにおいて、自励振動のトルク振幅K1・Δθhが振動許容値TLよりも小さいか否かが判定される。ここでの振動許容値TLも、図7のフローチャートのステップS103と同様に、運転者がトルク振動を不快に感じる閾値として自励振動の周波数に応じて設定され、例えば図8に示すように周波数重み付けされた特性を有する。ここでの周波数重み付けについても、例えばISO5349−1「手腕振動の測定規格」に開示されている周波数重み付けを用いることもできるし、被験者の官能評価実験で得られた周波数重み付けを用いることもできる。操舵反力指令値演算部66は、電子制御ユニット50内の記憶装置に記憶された振動許容値TLの周波数特性において、与えられた自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TLよりもトルク振幅K1・Δθhが小さいか否かを判定する。例えば図8の点P1に示すように、トルク振幅K1・Δθhの値が自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TL以上である場合(ステップS203の判定結果がNOの場合)は、ステップS204において傾きK1の値を現在値よりも小さい値に変更し、ステップS202に戻る。一方、例えば図8の点P2に示すように、トルク振幅K1・Δθhの値が自励振動の周波数ωに対応する振動許容値TLよりも小さい場合(ステップS203の判定結果がYESの場合)は、ステップS205において、傾きK1の値が現在値に決定される。なお、図12のフローチャートの処理についても、操舵反力指令値Tp*を演算する処理を開始する前に予め行うこともできるし、操舵反力指令値Tp*を演算する処理の実行中に行うこともできる。
傾きK1の値を大きく設定した場合は、図13に示すように、操舵反力指令値Tp*の最小単位Tmin=K1・Δθhが大きくなり、操舵角θhが制御によるハンチングを起こし、ハンドル22の自励振動が減衰しにくくなる。これに対して図12のフローチャートの処理によれば、図14に示すように、操舵反力指令値Tp*の最小単位Tmin=K1・Δθhを小さくすることができるので、操舵角θhが制御によるハンチングを起こすのを抑制してハンドル22の自励振動を抑制することができる。そして、自励振動のトルク振幅K1・Δθhが運転者にとって不快に感じる閾値よりもわずかに小さい値になるように傾きK1の値が決定されるため、操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動レベルをクーロン摩擦による摩擦感を損なわずに抑制することができる。
また、本実施形態でも、図9に示すように、傾きK1の設定に関する運転者の操作入力を受け付ける傾き設定受付部65を設け、操舵反力指令値演算部66は、傾き設定受付部65による傾きK1の設定に関する操作入力に基づいて傾きK1の値を決定することもできる。ここでの傾き設定受付部65についても、例えば、傾きK1の値を変更するために運転者により操作されるスイッチや目盛調節ダイヤルを含んで構成することができ、スイッチや目盛調節ダイヤルの操作状態に応じた傾きK1の目標値を示す信号を電子制御ユニット50(操舵反力指令値演算部66)へ出力する。そして、操舵反力指令値演算部66は、傾きK1の値を、傾き設定受付部65からの傾きK1の目標値に一致するように設定する。この構成例によれば、運転者は、クーロン摩擦による摩擦感を損なわず、且つ操舵反力Tpが0付近のときに発生するハンドル22の自励振動を不快に感じないように、傾きK1の値を調節することができる。
以上の説明では、説明の容易のために、車速Vを考慮せずに操舵反力指令値Tp*を演算するものとした。ただし、実施形態1,2に係る操舵装置20では、図3,4,10,11における特性線A,A2,Cの傾きK1や特性線B,Dの傾きK2、及び切片T0,−T0を車速Vに応じて変更するものとして操舵反力指令値Tp*を演算することができる。
実施形態1,2に係る操舵装置20では、操舵反力指令値Tp*のヒステリシス特性として図3,10における平行四辺形を描く特性を例示して説明したが、操舵角θhと操舵反力指令値Tp*との関係にヒステリシス特性が得られればよく、図15,16に例示するような種々の形状を描くものとしてもよい。また、ヒステリシス特性における傾きK1,K2についても、必ずしも一定値である必要はなく、操舵角θhに応じて変化させることも可能である。
また、実施形態1,2に係る操舵装置20では、演算した操舵反力指令値Tp*に基づいて反力モータ40を駆動制御するものとしたが、図17に例示する制御ブロックに示すように、操舵角θhの時間微分である操舵角速度にダンパゲインを乗じた値を操舵反力指令値Tp*に加算し、この値に基づいて反力モータ40を駆動制御するものとしてもよい。こうすれば、ハンドル22から手を離したときの平衡点への収束特性を向上させることができる。
また、実施形態1,2に係る操舵装置20では、反力モータ40のトルクによりハンドル22に操舵反力を与えるものとしたが、モータ以外のアクチュエータを用いてハンドル22に操舵反力を与えることもできる。
以上の実施形態1,2の説明では、本発明を車載用の操舵装置20に適用した場合について説明した。ただし、本発明をドライビングシミュレータ等において用いられる操舵反力模擬装置に適用することも可能である。その場合は、以上の実施形態1または実施形態2で説明したハンドル22と操舵角センサ24と反力モータ40と電子制御ユニット50とを含んで実施形態1または実施形態2に係る操舵反力模擬装置を構成することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態1,2に係る操舵装置20の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1,2に係る操舵装置20の電子制御ユニット50が操舵反力指令値Tp*を演算する操舵反力指令値演算ブロック60として動作するときの制御ブロックを例示する説明図である。 操舵角θhと操舵反力Tpとの関係の一例を示す説明図である。 操舵角θhから操舵反力指令値Tp*が演算される様子を説明する説明図である。 第1の特性線の傾きをK1に維持した場合におけるハンドル22の振動特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る操舵装置20におけるハンドル22の振動特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る操舵装置20において電子制御ユニット50により実行される処理を説明するフローチャートである。 振動許容値TLの周波数特性の一例を示す図である。 変形例の制御ブロックの一例を示す説明図である。 操舵角θhと操舵反力Tpとの関係の一例を示す説明図である。 操舵角θhから操舵反力指令値Tp*が演算される様子を説明する説明図である。 本発明の実施形態2に係る操舵装置20において電子制御ユニット50により実行される処理を説明するフローチャートである。 第1の特性線の傾きK1を大きい値に設定した場合におけるハンドル22の振動特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る操舵装置20におけるハンドル22の振動特性の一例を示す図である。 変形例のヒステリシス特性の形状の一例を示す説明図である。 変形例のヒステリシス特性の形状の一例を示す説明図である。 変形例の制御ブロックの一例を示す説明図である。
符号の説明
20 操舵装置、22 ハンドル、24 操舵角センサ、26 トルクセンサ、30,32 操舵輪、34 減速機、36 ラック、40 反力モータ、42 転舵モータ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、58 車速センサ、60 操舵反力指令値演算ブロック、62 切り増し切り戻し判定部、65 傾き設定受付部、66 操舵反力指令値演算部。

Claims (14)

  1. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    前記目標操舵反力設定手段は、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に前記目標操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定する、操舵装置。
  2. 請求項1に記載の操舵装置であって、
    前記操舵角検出手段は、操舵角を所定の分解能Δθhで検出する手段であり、
    前記設定範囲は、前記第3の傾きをK3とすると、K3×Δθhをその上限とし、−K3×Δθhをその下限とする範囲である、操舵装置。
  3. 請求項2に記載の操舵装置であって、
    前記目標操舵反力設定手段は、K3×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第3の傾きK3を設定する、操舵装置。
  4. 請求項1または2に記載の操舵装置であって、
    ハンドルの操作者により操作され、前記第3の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第3の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第3の傾きを設定する、操舵装置。
  5. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定する、操舵装置。
  6. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    ハンドルの操作者により操作され、前記第1の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第1の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第1の傾きを設定する、操舵装置。
  7. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    前記目標操舵反力設定手段は、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に前記目標操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定する、操舵反力模擬装置。
  8. 請求項7に記載の操舵反力模擬装置であって、
    前記操舵角検出手段は、操舵角を所定の分解能Δθhで検出する手段であり、
    前記設定範囲は、前記第3の傾きをK3とすると、K3×Δθhをその上限とし、−K3×Δθhをその下限とする範囲である、操舵反力模擬装置。
  9. 請求項8に記載の操舵反力模擬装置であって、
    前記目標操舵反力設定手段は、K3×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第3の傾きK3を設定する、操舵反力模擬装置。
  10. 請求項7または8に記載の操舵反力模擬装置であって、
    ハンドルの操作者により操作され、前記第3の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第3の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第3の傾きを設定する、操舵反力模擬装置。
  11. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定する、操舵反力模擬装置。
  12. ハンドルの操作に応じた操舵反力を出力する操舵反力模擬装置であって、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しと切り戻しとを判定する切増切戻判定手段と、
    前記切増切戻判定手段による判定結果と前記検出された操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって目標操舵反力を設定する目標操舵反力設定手段と、
    該設定された目標操舵反力が出力されるよう操舵反力を出力する操舵反力出力手段と、
    を備え、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    ハンドルの操作者により操作され、前記第1の傾きの設定に関する操作入力を受け付ける傾き設定受付手段をさらに備え、
    前記目標操舵反力設定手段は、前記傾き設定受付手段による第1の傾きの設定に関する操作入力に基づいて前記第1の傾きを設定する、操舵反力模擬装置。
  13. ハンドルの操作に応じた操舵反力を設定する操舵反力設定方法であって、
    前記ハンドルの操舵角に基づいてハンドルの切り増しか切り戻しかを判定し、
    該判定結果と前記ハンドルの操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって操舵反力を設定する操舵反力設定方法において、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵反力が0付近の設定範囲内にあるときは、前記第1の特性における操舵角に対する操舵反力の傾きを、前記第1の傾きより小さい第3の傾きに設定する、操舵反力設定方法。
  14. ハンドルの操作に応じた操舵反力を設定する操舵反力設定方法であって、
    前記ハンドルの操舵角を所定の分解能Δθhで検出し、該検出した操舵角に基づいてハンドルの切り増しか切り戻しかを判定し、
    該判定結果と前記ハンドルの操舵角とに基づいてヒステリシス特性をもって操舵反力を設定する操舵反力設定方法において、
    前記ヒステリシス特性は、
    操舵角の変化に対して操舵反力が第1の傾きで変化する第1の特性と、操舵角の変化に対して操舵反力が前記第1の傾きよりも小さい第2の傾きで変化する第2の特性と、を含み、
    操舵角に対する操舵反力が前記第2の特性上にある場合にハンドルの切り増し切り戻しの方向が変化したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第2の傾きから前記第1の傾きに変化し、操舵角に対する操舵反力が前記第1の特性上にある場合に操舵角が該第1の特性と前記第2の特性との交点に相当する角度に到達したときは、操舵角に対する操舵反力の傾きが前記第1の傾きから前記第2の傾きに変化する特性であり、
    前記第1の傾きをK1とすると、K1×Δθhの値がハンドルの振動周波数に応じて変化する振動許容値よりも小さくなるように前記第1の傾きK1を設定する、操舵反力設定方法。
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