1.代表的な実施の形態
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る半導体集積回路(10)は、互いに直交する2軸をそれぞれX軸、Y軸とするとき、第1トランジスタ(Tr2)と、Y軸に沿って上記第1トランジスタに隣接配置された第2トランジスタ(Tr3)と、X軸に沿って上記第2トランジスタに隣接配置された第3トランジスタ(Tr6)と、Y軸に沿って上記第3トランジスタに隣接配置されるとともに、X軸に沿って上記第1トランジスタに隣接配置された第4トランジスタ(Tr7)とを含む。上記第1乃至第4トランジスタは、互いにウェルが共通化され、上記第1トランジスタの出力信号と、上記第2トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされ、上記第2トランジスタの出力信号と、上記第3トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされ、上記第3トランジスタの出力信号と、上記第4トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされる。
上記の構成によれば、ウェルが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合に、当該トランジスタの出力は、ウェルの電位変動を互いに打ち消すように作用するため、ウェルノイズの低減を図ることができる。
〔2〕また、本発明の代表的な実施の形態に係る別の半導体集積回路(10)は、互いに直交する2軸をそれぞれX軸、Y軸とするとき、第1トランジスタ(Tr2)と、X軸に沿って上記第1トランジスタに隣接配置された第2トランジスタ(Tr7)と、Y軸に沿って上記第2トランジスタに隣接配置された第3トランジスタ(Tr6)と、X軸に沿って上記第3トランジスタに隣接配置されるとともに、Y軸に沿って上記第1トランジスタに隣接配置された第4トランジスタ(Tr3)とを含む。上記第1乃至第4トランジスタは、互いにウェルが共通化され、上記第1トランジスタの出力信号と、上記第2トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされ、上記第2トランジスタの出力信号と、上記第3トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされ、上記第3トランジスタの出力信号と、上記第4トランジスタの出力信号とは互いに逆相とされる。
上記の構成によれば、ウェルが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合に、当該トランジスタの出力は、ウェルの電位変動を互いに打ち消すように作用するため、ウェルノイズの低減を図ることができる。
〔3〕上記第1トランジスタを含んで第1論理回路が形成され、上記第2トランジスタを含んで第2論理回路が形成され、上記第3トランジスタを含んで第3論理回路が形成され、上記第4トランジスタを含んで第4論理回路が形成される。このとき、上記第1論理回路の出力信号が上記第2論理回路に伝達され、上記第2論理回路の出力信号が上記第3論理回路に伝達され、上記第3論理回路の出力信号が上記第4論理回路に伝達されるように構成することができる。
〔4〕上記ウェルと同じ導電型のウェル表面の活性領域によって形成され、上記ウェルに給電するための給電タップ(PT,NT)を設ける。上記給電タップは、複数のトランジスタ毎に、当該複数のトランジスタを挟み込むように配置することができる。
〔5〕上記第1論理回路、上記第2論理回路、上記第3論理回路、及び上記第4論理回路を含む論理回路群を上記X軸に沿って複数配置することができる。
〔6〕上記給電タップは、上記複数の論理回路群の境界に配置することができる。
〔7〕上記第1論理回路、上記第2論理回路、上記第3論理回路、及び上記第4論理回路は、それぞれpチャンネル型MOSトランジスタと、それに直列接続されたnチャンネル型MOSトランジスタとを含んで成るインバータ(C01〜C04,C11〜C14)とすることができる。
〔8〕それぞれ異なる論理回路群に属する論理回路(C01〜C04,C11〜C14)を、X軸又はY軸に沿って互いに隣接配置することができる。
〔9〕上記第1論理回路、上記第3論理回路、上記第4論理回路は、入力信号を論理反転して出力するインバータ(C01,C03,C04)とし、上記第2論理回路は入力信号のノア論理を得るためのノアゲート(NR01)とすることができる。
〔10〕上記第1論理回路、上記第3論理回路、上記第4論理回路は、入力信号を論理反転して出力するインバータ(C01,C03,C04)とし、上記第2論理回路はナンド論理を得るためのナンドゲート(ND01)とすることができる。
〔11〕上記第4論理回路の出力信号と相補レベルの関係にある信号出力を行う論理回路を上記第4論理回路に隣接配置することができることで、ウェルノイズの低減を図ることができる。
〔12〕上記第1論理回路及び上記第2論理回路は、入力信号を論理反転して出力するインバータ(I11,I12)とされ、上記第3論理回路は、入力信号のナンド論理を得るためのナンドゲート(ND01)とされ、上記第4論理回路は、入力信号のノア論理を得るためのノアゲート(NR01)とされる。このとき、上記第4論理回路には、Y軸に沿って上記第5論理回路及び上記第6論理回路が隣接配置され、上記第6論理回路は、X軸に沿って第5論理回路に隣接配置され、上記第5論理回路の出力信号と、上記第6論理回路の出力信号とが、互いに逆相とされることで、ウェルノイズの低減を図ることができる。
〔13〕上記第1トランジスタを含んで成る第1論理回路と、上記第2トランジスタを含んで成る第2論理回路と、上記第3トランジスタを含んで成る第3論理回路と、上記第4トランジスタを含んで成る第4論理回路とを含むとき、上記第1論理回路及び上記第3論理回路に入力される信号と、上記第2論理回路及び上記第4論理回路に入力される信号とは、相補レベルとすることで、ウェルノイズの低減を図ることができる。
〔14〕上記第1論理回路、上記第2論理回路、上記第3論理回路、及び上記第4論理回路を含む複数の論理回路がループ状に結合されることでリングオシレータを形成することができる。
2.実施の形態の説明
<実施形態1>
次に、実施の形態について更に詳述する。
尚、実施の形態を説明するための全図において同一の部材には原則として同一の符号を付すことにする。
図1には、本発明にかかる半導体集積回路のレイアウト例が示される。図2には、図1におけるA−A'線切断断面が示され、図3には、図1におけるB−B'線切断断面が示される。図4には、図1に示される半導体集積回路のMOSトランジスタレベルの等価回路が示され、図5には、図1に示される半導体集積回路におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図1に示される半導体集積回路10は、特に制限されないが、公知の半導体集積回路製造技術により、単結晶シリコン基板などの一つの半導体基板に形成され、レイアウトの単位とされるセルが複数配置され、それらが組み合わされることにより、所定の機能を有するブロックが形成される。上記セルは、特に制限されないが、図4に示されるように、pチャネル型MOSトランジスタPMOSとnチャネル型MOSトランジスタNMOSとが直列接続され、入力信号の論理反転を可能とするインバータとされ、このインバータがカスケード接続されることで二つのインバータチェーンが形成される。第1インバータチェーンは、インバータC01,C02,C03,C04がカスケード接続されて成り、第2インバータチェーンは、インバータC11,C12,C13,C14がカスケード接続されて成る。図1において、上記セルの区切れは破線によって示される。第1インバータチェーン及び第2インバータチェーンは、後段になるほど駆動能力が高くなる。つまり、第1インバータチェーンでは、インバータC01,C02,C03,C04の順に駆動能力が高くなり、個々のインバータを形成するためのMOSトランジスタのゲートサイズが大きくなる。第2インバータチェーンでは、インバータC11,C12,C13,C14の順に駆動能力が高くなり、個々のインバータを形成するためのMOSトランジスタのゲートサイズ若しくは並列接続されるMOSトランジスタの個数が大きくなる。MOSトランジスタのゲートサイズが大きくなるほど、チップ占有面積も大きくなるため、本例では、図5から明らかなように、インバータC01,C02,C03,C04(C11,C12,C13,C14)の順にセルのチップ占有面積が大きくなる。また、本例では、上記二つのインバータチェーンがブロックのPウェルWP1,WP2で背合わせに隣接配置することで、複数のnチャネル型MOSトランジスタ間でPウェルが共通化されている。
図1では、上から順に、インバータC11からC14のpチャネル型MOSトランジスタが形成されたNウェルWN1、インバータC11からC14のnチャネル型MOSトランジスタが形成されたPウェルWP1、インバータC01からC04のnチャネル型MOSトランジスタが形成されたPウェルWP2、インバータC01からC04のpチャネル型MOSトランジスタが形成されたNウェルWN2が配置されている。PウェルWP1とPウェルWP2は一体的に設けられており、それらをPウェルWPと総称する。
各インバータC01,C02,C03,C04、及びインバータC11,C12,C13,C14は、図1において破線で示される区切れ位置で区切られる。上記各インバータC01,C02,C03,C04、及びインバータC11,C12,C13,C14の基本的な構成は互いに同様とされるため、ここではインバータC01の構成について詳述する。
上記インバータC01は、pチャネル型MOSトランジスタPMOSとnチャネル型MOSトランジスタNMOSを含む。上記pチャネル型MOSトランジスタPMOSは、P型の半導体基板(p−sub)上のNウェルWN2に形成され、上記nチャネル型MOSトランジスタNMOSは、P型の半導体基板(p−sub)上のPウェルWP2に形成される。上記pチャネル型MOSトランジスタPMOSとnチャネル型MOSトランジスタNMOSは、ドレイン電極D、ゲート電極G、ソース電極Sを有する。nチャネル型MOSトランジスタNMOSの場合、ドレイン電極D及びソース電極Sは、図2に示されるように、Nウェルよりも不純物濃度が高いn+領域によって形成される。pチャネル型MOSトランジスタPMOSの場合、ドレイン電極D及びソース電極Sは、Pウェルよりも不純物濃度が高いp+領域によって形成される。上記pチャネル型MOSトランジスタPMOSのソース電極Sには、半導体集積回路10の縁辺部に設けられた第1層メタル配線M1により形成されたVDD配線L1を介して高電位側電源VDDが供給される。上記nチャネル型MOSトランジスタNMOSのソース電極Sには、半導体集積回路10の中央部に設けられた第1層メタル配線M1により形成されたVSS配線L2を介して低電位側電源VSSが供給される。上記pチャネル型MOSトランジスタPMOSのゲート電極Gと上記nチャネル型MOSトランジスタNMOSのゲート電極Gとは、12で示されるようにY軸方向に延在され、第2層メタル配線M2により形成された入力部配線L3を介して互いに結合される。上記pチャネル型MOSトランジスタPMOSのドレイン電極Dと上記nチャネル型MOSトランジスタNMOSのドレイン電極Dとは、第1層メタル配線M1により形成された出力部配線L4を介して互いに結合され、そこから当該インバータC01の出力端子が引き出される。上記インバータC01の入力端子(ゲート12)と、上記インバータC11の入力端子(ゲート12)には、第2層メタル配線M2による配線L3を介して、インバータC01,C11で共通の入力信号INが伝達される。
尚、図2,3におけるWP01,WP02,WP03,WP04は、それぞれPウェルWP2内の各トランジスタに対応するウェル部分を示している。同様に、WN01,WP11,WN11は、それぞれ対応するウェルWN2,WP1,WN1内の該当トランジスタに対応するウェル部分を示している。これらは、後述のノイズ解析の説明を容易にするために示したものであり、ウェル領域が電気的に区切られているものではない。本例において、ウェル領域への給電は、ブロック内に形成されたタップを介して行われる。ここでタップとは、ウェルと同じ導電型の不純物活性層であり、基板の表面に形成され、不純物の濃度がウェル領域の不純物濃度より高い。
また、タップ内のウェルと同じ導電型の不純物濃度について別の言い方をすれば、以下のようになる。
基板表面に形成されたウェルと逆導電型のソースドレイン領域内11内には、ウェルと同じ導電型の不純物も濃度が薄いものの含まれている。この逆導電型のソースドレイン領域11内のウェルと同じ導電型の不純物の不純物濃度よりも、タップは、ウェルと同じ導電型の不純物濃度が高いと言える。
具体的には、PウェルWP1,WP2の場合、Pウェルに形成されたN型ソースドレイン領域11内のP型不純物の濃度に比べ、P型タップPT(PT1,PT2,PT3)のP型不純物濃度の方が高いことを意味する。また、タップは、メタル配線に接続され、ウェルに電圧を与えることができることから、給電タップとも呼ぶ。
図1では、Y方向にトランジスタのゲート12が伸び、X方向の左から右にトランジスタが順次配列されている。
本例では給電タップの間隔がMOSトランジスタのゲート8本以内とされ、給電タップがブロック内の中央付近とブロックの両端に配置される。例えば図2に示される例では、ブロック内の中央付近にPウェル給電タップPT2が配置され、上記ブロックの両端にPウェル給電タップPT1,PT3が配置されている。
ここでは、図1に示されたレイアウトをX方向で領域に区切り、タップPT1からPT2までをa領域、タップPT2からPT3までをb領域と呼ぶ。換言すれば、本例において上記タップは、複数のトランジスタ毎に、当該複数のトランジスタを挟み込むように配置される。
インバータC11,C12,C13,C14におけるnチャネル型MOSトランジスタに対応するPウェル領域WP1と、インバータC01,C02,C03,C04におけるnチャネル型MOSトランジスタに対応するPウェル領域WP2とは、一体化されてPウェル領域WPとされる。例えば図3から明かなように、インバータC01のPウェル領域WP2と,インバータC11のPウェル領域WP1が接続されており、一体化されることでPウェル領域WPが構成される。同様にb領域では、インバータC04,C14間でPウェル領域が共有化される。図2から明らかなように、インバータC01,C02,C03,C04や、タップPT1〜PT2は、分離領域13によって分離される。
尚、第1層メタル配線M1を利用して、高電位側電源VDDを供給するためのVDD配線、及び低電位側電源VSSを供給するためのVSS配線が形成され、このVDD配線及びVSS配線を介して上記インバータの動作用電源の供給が行われる。また、これらの配線から、PウェルWP1,WP2には低電位側電源VSS、NウェルWN1,WN2には高電位側電源VDDが供給される。
ここで、図1に示される半導体集積回路10の比較対象について説明する。
図7には、図1に示される半導体集積回路10の比較対象とされる半導体集積回路70のレイアウト例が示される。図8には、図7に示される半導体集積回路70の等価回路が示される。図9には、図7におけるC−C'線切断断面が示され、図10Aには、図7におけるD−D'線切断断面が示され、図10Bには、図7におけるK−K’線切断断面が示される。
図7に示される半導体集積回路70においても、図8に示されるようにそれぞれ複数のインバータがカスケード接続されて成る二つのインバータチェーンが形成される。
図7に示される回路レイアウトでは、半導体集積回路70の縁辺部にはNウェル領域WN1,WN2への給電のためのタップNTが設けられ、半導体集積回路70の中央部にはPウェル領域WPへの給電のためのタップPTが設けられる。タップNT,PTのY軸方向の幅はそれぞれYn,Ypで示される。このように各セルの縁にNウェル給電タップNTや、Pウェル給電タップPTが配置されているため、ウェル抵抗の最大値は、給電タップからPウェルとNウェルの境界までの長さで決まる。また、各セルにおけるウェル抵抗値はゲート本数に依存せず一定である。しかし、このレイアウト構成では各セルに必ず給電タップ領域(NT,PT)が存在し、それが、NウェルやPウェルの一部となっているため、半導体集積回路70のチップ面積が大きくなってしまう。つまり、図7に示される構成では、セル毎に給電タップ(NT,PT)が設けられているため、その給電タップ(NT,PT)の存在によってチップ面積が大きくなっている。
図11には、図7に示される半導体集積回路70における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
各インバータC01〜C04,C11〜C14で発生するウェルノイズは、各ウェル領域内で合成されたノイズとなるが、二つのインバータチェーン(C01〜C04)と(C11〜C14)間の境界部に給電タップが配置されているため、各インバータチェーンで生じたノイズの干渉はない。しかしながら、上記のようにセル毎に給電タップが必ず配置されているため、チップ面積はその領域分だけ大きくならざるを得ない。
これに対して、図1に示される半導体集積回路10によれば、ブロック内の任意の箇所に給電タップが配置され、各セルの縁には給電タップが配置されていない。このため、図7に示されるように、セル毎に給電タップを配置する構成に比べて、給電タップ数を減少させることができ、その分、チップ面積を低減できる。
すなわち、図7においてセル毎に配置されていた給電タップが削除されたことにより、ブロックのY方向の長さYi(図1参照)は、図7に示される場合の長さYeより短くなる。X方向の長さは、ブロック内に給電タップを設け、タップ領域(X方向の大きさ)が増加した分だけ長くなるが、Y方向の長さが短くなる効果と比較してチップ面積は小さくなる。そして、ウェルノイズが許容される範囲で上記給電タップの間隔を広げてタップ数を減少させることで、チップ面積を更に低減することができる。
図6には、図1に示される半導体集積回路10におけるウェル電位の変動が示される。ここで破線で示されるウェル電位変動は、各インバータ単独のものであり、実線で示されるウェル電位変動は、各ウェル電位変動が合成されたものである。
図6(A)には、図1におけるa領域でのウェル電位変動が示され、図6(B)には、図1におけるb領域でのウェル電位変動が示される。
本例では、二つのインバータチェーンが隣接配置されているため、インバータC01〜C04の出力信号は順次異なる相(立ち上がり信号、立ち下がり信号が一段ごとに異なる)であり、ウェルノイズもウェル供給電位を境に正負の電位変動を一段ごとに生じる。インバータチェーン間ではウェルノイズはインバータの前後で相殺される。これに対して、隣接したインバータチェーンでも同様な動作であるため、図6(A),(B)に示されるように、例えばPウェルWP内で発生するウェルノイズは、PウェルWP01,WP11のウェルノイズが合成され、単独で発生するウェルノイズの2倍(2Vnp)になる。
本例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)複数のトランジスタ毎に、当該複数のトランジスタを挟み込むようにし、ゲートの長手方向と向かい合うように給電タップが配置されているため、ブロックのY方向の長さYiは、図7に示される場合の長さYeより短くなる。X方向の長さは、ブロック内に給電タップを設け、タップ領域(X方向の大きさ)が増加した分だけ長くなるが、Y方向の長さが短くなる効果と比較してチップ面積は小さくなる。
(2)ウェルノイズが許容される範囲で上記給電タップの間隔を広げてタップ数を減少させることができ、それによってチップ面積を更に低減することができる。
<実施の形態2>
実施の形態2について説明する。
図12Aには、半導体集積回路10のレイアウト例が示される。
この半導体集積回路10は、図12A(B)に示されるように、上から順に、pチャネル型MOSトランジスタTr4,Tr5が形成されたNウェルWN1、nチャネル型MOSトランジスタTr3,Tr6,Tr2,Tr7が形成されたPウェルWP、pチャネル型MOSトランジスタTr1,Tr8が形成されたNウェルWN2が配置されている。nチャネル型MOSトランジスタTr2,Tr3,Tr6,Tr7は、Pウェルが共通化されている。pチャネル型MOSトランジスタTr1とnチャネル型MOSトランジスタTr2とが直列接続されてインバータが形成され、pチャネル型MOSトランジスタTr8とnチャネル型MOSトランジスタTr7とが直列接続されてインバータが形成され、pチャネル型MOSトランジスタTr4とnチャネル型MOSトランジスタTr3とが直列接続されてインバータが形成され、pチャネル型MOSトランジスタTr5とnチャネル型MOSトランジスタTr6とが直列接続されてインバータが形成される。上記インバータは、互いに結合されることで所定方向に信号の伝達が可能とされる。
ここで図12A(A)に示されるように、Pウェルが共通化されたMOSトランジスタTr2,Tr3,Tr6,Tr7に着目して説明する。X軸、Y軸を互いに直交する2軸とすると、MOSトランジスタTr3は、Y軸に沿ってMOSトランジスタTr2に隣接配置され、MOSトランジスタTr6は、X軸に沿ってMOSトランジスタTr3に隣接配置され、MOSトランジスタTr7は、X軸に沿ってMOSトランジスタTr2に隣接配置されるとともに、Y軸に沿ってMOSトランジスタTr6に隣接配置される。そして、Tr2,Tr3,Tr6,Tr7の順に信号伝達が行われるものとすると、MOSトランジスタTr2,Tr3,Tr6,Tr7では、それぞれ信号の論理反転が行われるため、MOSトランジスタTr2の出力信号と、MOSトランジスタTr3の出力信号とは互いに逆相とされ、MOSトランジスタTr3の出力信号と、MOSトランジスタTr6の出力信号とは互いに逆相とされ、MOSトランジスタTr6の出力信号と、MOSトランジスタTr7の出力信号とは互いに逆相とされる。MOSトランジスタの出力信号の論理変化は、ウェルの電位変動(ウェルノイズ)を生ずる。しかし、上記のようにPウェルが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合、当該MOSトランジスタの出力は、Pウェルの電位変動を互いに打ち消すように作用し、それによって、ウェルノイズの低減を図ることができる。
尚、MOSトランジスタTr2の出力信号と、MOSトランジスタTr6の出力信号とは、互いに同相となるため、PウェルWPの電位変動を互いに打ち消すことはできない。しかし、MOSトランジスタTr2,Tr6間の距離は、X軸又はY軸に沿って互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間に比べて長いため、ウェルノイズへの影響は少ない。また、MOSトランジスタTr2からTr6への信号伝播にはMOSトランジスタTr3を介するため、Tr2とTr6で生じるウェルノイズに時間差がある。このため、互いのノイズが重なる部分が少なく、ウェルノイズへの影響は少なくなる。
図12Bには、半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。尚、図12Bでは、図12A(A)に示される場合と同様に、Pウェルが共通化されたMOSトランジスタTr2,Tr3,Tr6,Tr7について示される。
図12Bに示される半導体集積回路10が、図12Aに示されるのと大きく相違するのは、信号の伝達方向である。すなわち、図12Bに示される構成では、X軸、Y軸を互いに直交する2軸とすると、MOSトランジスタTr7は、X軸に沿ってMOSトランジスタTr2に隣接配置され、MOSトランジスタTr6は、Y軸に沿ってMOSトランジスタTr7に隣接配置され、MOSトランジスタTr3は、X軸に沿ってMOSトランジスタTr6に隣接配置されるとともに、Y軸に沿ってMOSトランジスタTr2に隣接配置される。そして、nチャネル型MOSトランジスタTr2の出力信号がnチャネル型MOSトランジスタTr7に伝達され、このnチャネル型MOSトランジスタTr7の出力信号がnチャネル型MOSトランジスタTr6に伝達され、このnチャネル型MOSトランジスタTr6の出力信号がnチャンネル型MOSトランジスタTr3に伝達される。
MOSトランジスタTr2,Tr7,Tr6,Tr3では、それぞれ信号の論理反転が行われるため、MOSトランジスタTr2の出力信号と、MOSトランジスタTr7の出力信号とは互いに逆相とされ、MOSトランジスタTr7の出力信号と、MOSトランジスタTr6の出力信号とは互いに逆相とされ、MOSトランジスタTr6の出力信号と、MOSトランジスタTr3の出力信号とは互いに逆相とされる。従って、図12Bに示される構成においても、図12Aに示される場合と同様に、Pウェルが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合には、当該MOSトランジスタの出力は、Pウェルの電位変動を互いに打ち消すように作用し、それによって、ウェルノイズの低減を図ることができる。
上記の例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)PウェルWPが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合、当該MOSトランジスタの出力は、PウェルWPの電位変動を互いに打ち消すように作用するため、ウェルノイズの低減を図ることができる。
(2)上記(1)の作用効果によりウェルノイズの低減を図ることができるので、図12A,12Bに示される構成に実施の形態1の図1に示された、複数のトランジスタ毎に、当該複数のトランジスタを挟み込むようにし、ゲートの長手方向と向かい合うように給電タップを配置する構成を適用しても良い。
実施の形態2では、ウェルノイズが低減される構成なので、図7に示されるような、PウェルWP01とWP11(WP1)との間にタップを連続して設ける構成の必要性は下がると考えられる。
複数のトランジスタ毎に、当該複数のトランジスタを挟み込むようにし、ゲートの長手方向と向かい合うように給電タップを配置する構成に変更しても、ウェルノイズの影響を抑制できる。この効果によりタップ間隔を広げることで給電タップ面積が減少するため、チップ面積をさらに低減することができる。
尚、図12A(B)において、MOSトランジスタTr1,Tr8,Tr4,Tr5をPウェルに形成されたnチャネル型MOSトランジスタとし、MOSトランジスタTr2,Tr7,Tr3,Tr6をNウェルに形成されたpチャネル型MOSトランジスタとしても良い。この場合、NウェルWNが共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合、当該MOSトランジスタの出力は、Nウェルの電位変動を互いに打ち消すように作用する。
<実施の形態3>
実施の形態3について説明する。
図12Cには、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図13には、図12CにおけるE−E'線切断断面が示され、図14には、図12CにおけるF−F'線切断断面が示される。図15には、図12Cに示される半導体集積回路10のMOSトランジスタレベルの等価回路が示され、図16には、図12Cに示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図12Cに示される半導体集積回路10は、図15に示されるように複数のインバータC01〜C04、C11〜C14を含む。複数のインバータC01〜C04、C11〜C14は、それぞれpチャンネル型MOSトランジスタとnチャンネル型MOSトランジスタとが互いに直列接続されて成る。このうち、インバータC01,C02,C03,C04及びインバータC11,C12,C13,C14は、それぞれ図12Aに示されるのと同様に、PウェルWP(WP1,WP2)が共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる場合、当該MOSトランジスタの出力は、PウェルWPの電位変動を互いに打ち消すように作用する。すなわち、図12Cに示されるように、インバータC01と、その出力信号が入力されるインバータC02とがPウェルWPで背合わせに配置され、インバータC02の次段インバータC03が横並びに配置され、インバータC03の次段インバータC04とインバータC03とがPウェルWPで背合わせに配置される。同様に、インバータC11と、その出力信号が入力されるインバータC12とをPウェルで背合わせに配置し、インバータC12の次段インバータC13を横並びに配置し、インバータC13の次段インバータC14をインバータC13とPウェルで背合わせに配置する。これにより、複数のセルは、互いに隣接するセル間で出力論理レベルが互いに異なる関係となるように配置される。上記複数のインバータC11,C12,C13,C14におけるnチャンネル型MOSトランジスタは、図12Aに示される場合と同様に、PウェルWP(WP1,WP2)が共通化され、且つ、互いに隣接配置されたMOSトランジスタ間で出力信号が逆相とされる。つまり、図13に示されるように、Pウェル給電タップPT1とPT2に挟まれた領域内にあるPウェルWP01で発生するノイズは、PウェルWP04で発生するノイズとウェル給電電位を境にして正負の異なる電位変動となる。同様に図14に示されるように、PウェルWP01,WP02で発生するノイズも正負の異なる電位変動となる。
尚、図13,14におけるWP01,WP04,WP11,WP14は、それぞれPウェルWP2内の各トランジスタに対応するウェル部分を示し、WP02はPウェルWP1内のトランジスタに対応するウェル部分を示している。同様に、WN01,WN02は、それぞれ対応するウェルWN2,WN1内の該当トランジスタに対応するウェル部分を示している。これらは、後述のノイズ解析の説明を容易にするために示したものであり、ウェル領域が電気的に区切られているものではない。
図17には、図12Cに示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。インバータチェーン(C01〜04)で発生するウェルノイズは同じウェル領域内で発生して合成される。このとき、インバータC01とC02のウェルノイズは正負が異なっているため、相殺される。ただし、インバータC02のゲートサイズがインバータC01の2倍であり、ノイズの発生に遅延もあるため相殺電位は0Vとならない。インバータC02とC03との間でも上記の場合と同様にノイズが相殺されるし、インバータC03とC04との間でも上記の場合と同様にノイズが相殺される。このため、この領域で発生するウェルノイズは、各セルが単独で発生するウェルノイズよりも小さくなる。
図17に示されるように、セルC01とC03で発生するノイズはウェル供給電位を境にして正負の電位が同じあり合成されると増大するが、ノイズの発生時刻にインバータ1段分の遅延があるため、ノイズが重なる部分は殆どない。
インバータチェーン(C11〜C14)は、ウェル給電タップPT2とPT3を挟んで横並びに配置される。インバータチェーン(C01〜04)と同様に配置されるため、インバータチェーン(C11〜C14)でのウェルノイズの相殺効果は、上記インバータチェーン(C01〜04)の場合と同様とされる。また、インバータチェーン (C01〜C04とC11〜C14) 間では、給電タップPTが介在されるため、ウェルノイズの影響は殆どない。
本例では、図1に示される半導体集積回路10と同様に、タップ領域を低減し面積を縮小する効果がある。
特に、本例では、互いに隣接配置されたセル間で出力論理レベルが互いに異なる関係となるように複数のセルが配置されるため、同一ウェル領域において、ウェルノイズが相殺されることにより、ウェルノイズを低減することができる。このようにウェルノイズが低減される場合には、ウェルノイズが許容される範囲で給電タップの間隔を決定する場合において、給電タップの間隔を更に広げることができるので、その分、給電タップの数を低減することができ、チップ面積を更に低減することができる。
本例では、図12Aに示されるのと同様に、nチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャネル型MOSトランジスタにも着目することにより、上記Nウェルノイズの低減と同様の効果を得ることができる。
ブロックを列方向に複数個並べたとき、nチャネル型MOSトランジスタとpチャネル型MOSトランジスタの両方同時に、本例のレイアウトを適用できない場合は、ウェル抵抗値が高い方に本例のレイアウトを適用しても良い。
また、ウェル内で発生するウェルノイズにより、ウェルごとにタップ間隔(タップ間のゲート数)を規制してもよい。
尚、本例ではインバータを例にしているが、インバータ以外の論理回路で出力信号が相補となる場合にも同様の効果を得ることができる。また、本例はインバータチェーンのみではなく、隣接配置される回路の入力が独自であり相補信号となる回路でもウェルノイズを低減する効果がある。
<実施の形態4>
実施の形態4について説明する。
図18には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図21には、図18に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。図18に示される半導体集積回路10は、複数のインバータC01〜C04、C11〜C14を含む。図18に示される半導体集積回路10が、図12Cに示されるのと大きく相違するのは、上記インバータのレイアウトにある。すなわち、図16と図21とを比べて明らかなように、インバータC11からC14が図16から180度回転して配置したものが図21である。 図19には、図18におけるG−G'線切断断面が示され、図20には、図18におけるH−H'線切断断面が示される。
図19に示されるように、Pウェル給電タップPT1とPT2に挟まれた領域内にはPウェルWP01,WP04が配置される。PウェルWP01とWP04で発生するウェルノイズは、ウェル給電電位を境にして正負の異なる電位変動となる。図20に示されるPウェルWP01とWP02で発生するウェルノイズは、図14に示される場合と同じである。
図22には、図18に示される半導体集積回路10における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。図22に示されるように、インバータC01〜C04で発生するノイズを合成したノイズが、C14で発生したウェルノイズの一部と干渉する。つまり、図18に示されるように、インバータC04とC14の3ゲートが対面しているため、半導体集積回路10のX軸に沿う方向のレイアウトは、実施の形態3の場合に比べて短くなるが、インバータC14で発生したウェルノイズの一部と干渉する。例えば図22に示されるように、インバータC14を含めた合成ノイズの最大値は、インバータC04単独で発生するノイズの最大値とほぼ等しい値になる。
尚、本例はnチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャネル型MOSトランジスタに本方式を適用すればウェルノイズの低減に同様の効果が得られる。
ブロックを列方向に複数個並べたとき、nチャネル型MOSトランジスタと、pチャネル型MOSトランジスタの両方同時に本回路構成が適用できない場合は、ウェル抵抗値が高い方に本方式のレイアウト構成を適用しても良い。
本例ではインバータを例にしているが、インバータ以外の出力信号が相補となる回路にも同様の効果があり、本例が適用できる。
尚、インバータチェーンのみではなく、互いに隣接配置される回路の入力が独自であって相補レベルの関係になる場合においてもウェルノイズを低減することができる。
また、本実施の形態では、PウェルWP1とWP2に配置されるゲート数の差が小さくなるように、2つのインバータチェーンを点対象に配置した。
実施の形態3の図12C、図16のように、2つのインバータチェーンを並進に配置するものでは、PウェルWP1とWP2に配置されるゲート数の差が、図18より大きい。別の言い方をすれば、ゲートが配置されない余剰部分が多く存在する。
以上のように、本実施の形態では、ゲートが配置されない余剰部分を減らすことで、レイアウト面積を小さくできる。
尚、同じインバータチェーンを2つ用いた例を示したが、同じ回路を2つ並べるものに限定されるものではなく、異なる回路でも、並進に2つを並べる場合より、PウェルWP1とWP2に配置されるゲート数の差が小さくなれば良い。なお、Nウェルに適用しても良い。
<実施の形態5>
実施の形態5について説明する。
図23には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図24には、図23におけるI−I'線切断断面が示され、図25には、図23におけるJ−J'線切断断面が示される。図26には、図23に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。図23に示される半導体集積回路10は、複数のインバータC01〜C04、C11〜C14を含む。図23に示される半導体集積回路10が、図18に示されるのと大きく相違するのは、上記インバータのレイアウトにある。すなわち、図21と図26とを比べて明らかなように、インバータC12とC13とのレイアウト位置が入れ替えられ、インバータC11とC14とのレイアウト位置が入れ替えられている。図23に示される構成では、インバータC04の一部が、インバータC11とC14のゲート1本に対面する。
図27には、図23に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
インバータC11で発生するウェルノイズは、インバータC04のウェルノイズに干渉するが、ウェルノイズの発生タイミングがC01のウェルノイズと同時期であり、しかも同相であるため、インバータC01のウェルノイズを増大させる。インバータC04のウェルノイズに干渉するインバータC14で発生したウェルノイズはゲート1本分であり、さらに給電タップに近いためウェルノイズの干渉は殆どない。このため、ウェル内で合成されたウェルノイズの最大値は、インバータC04単独で発生するウェルノイズよりも小さい。また、本例におけるチップ面積は、図18に示される回路のチップ面積に等しく、図1に示される回路のチップ面積より小さい。ウェルノイズの最大値は、セルの単独ノイズで最大となるインバータC04のウェルノイズよりも小さい。
尚、本例はnチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャネル型MOSトランジスタに本方式を適用すればウェルノイズの低減に同様の効果が得られる。ブロックを列方向に複数個並べたとき、nチャネル型MOSトランジスタと、pチャネル型MOSトランジスタの両方同時に本方式の構成が適用できない場合は、ウェル抵抗値が高い方に本方式のレイアウト構成を適用しても良い。
本例では、図12Aに示されるのと同様に、インバータを例にしているが、インバータ以外の出力信号が相補となる回路にも同様の効果がある。本例はインバータチェーンのみではなく、互いに隣接配置される回路の入力が独自であり相補信号となる回路でもウェルノイズを低減する効果がある。
また、本実施の形態では、PウェルWP1とWP2に配置されるゲート数の差が小さくなるように、1つのインバータチェーンに対し、並進とX軸に対し線対称に配置したものである。
本実施の形態でも実施の形態3に比べ、PウェルWP1とWP2に配置されるゲート数の差が小さくなることで、レイアウト面積を縮小できる。
<実施の形態6>
実施の形態6について説明する。
図28には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図29には、図28に示される半導体集積回路10の等価回路が示され、図30には、図28に示される半導体集積回路10のMOSトランジスタレベルの等価回路が示される。また、図31には、図28に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図28に示される半導体集積回路10が図7などに示されるのと大きく相違するのは、論理回路群にノア(NOR)ゲートが含まれる点である。すなわち、入力信号IN1がインバータC01で論理反転され、このインバータC01の出力信号n01と、入力信号IN2とのノア論理がノアゲートNR01で求められ、このノアゲートNR01の出力信号が後段のインバータC03に伝達されるようになっている。上記ノアゲートNR01には、図30に示されるように、2個のpチャンネル型MOSトランジスタ301,302と2個のnチャネル型MOSトランジスタ303,304とが結合されて成る、それ自体公知の回路を適用することができる。
図32には、図28に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
ノアゲートNR01の入力信号IN2がハイレベルになることにより、出力信号n02以降の電位は、DC(直流)電位レベルに固定される。本例ではウェル領域で発生するノイズ電位が最大になる場合を想定し、入力信号IN2がロー(Low)レベルの場合を条件にして説明する。
入力信号IN2がローレベルに固定され、もうひとつの入力信号IN1がクロックで同期する信号とされる。出力信号n01〜n04では、反転が繰り返される。これに伴い、ウェルWPで発生するノイズ成分にも、Pウェル供給電位を基準にして正負の電位が含まれる。これにより、インバータCO1とノアゲートNR01のウェルノイズが相殺され、以降同様にノアゲートNR01とインバータC03のウェルノイズが相殺され、インバータC03とインバータC04のウェルノイズが相殺される。ただし、各回路のゲートサイズは、後段になるほど大きくなるため、ウェルノイズの大きさは後段ほど大きくなる。合成されたウェルノイズは、インバータC04単独で発生するウェルノイズよりも小さい。本例では、給電タップで挟まれた回路のレイアウト構成にノアゲートが介在しても、互いに隣接配置される回路の出力信号が相補レベルとされることで、ウェルノイズを抑制できる。また、図1などに示される半導体集積回路の場合と同様に給電タップ数の削減が図れるため、図1などに示される半導体集積回路の場合と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図12Aに示されるのと同様に、nチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャネル型MOSトランジスタに本方式を適用すれば同様の効果が得られる。
nチャネル型MOSトランジスタとpチャネル型MOSトランジスタの両方同時に本方式が適用できない場合はウェル抵抗値が高い方に本方式を適用しても良い。
本例でインバータを例にしている回路を、インバータ以外の出力が相補となる回路に置き換えても上記で示した効果がある。
本例ではノアゲートNR01をインバータチェーンの2段目に入れているが、それに限定されずに、どの段に入れても良い。また、ノアゲートを複数個配置しても上記と同様の作用効果を得ることができる。
本例では2段のインバータチェーンを例にしているが、それ以上の個数でも同様な効果が得られる。
本例では回路段数を4段にしているがそれ以外の段数でも上記で述べた効果がある。
本例では、後段になるほど、論理回路を形成するMOSトランジスタのゲートサイズを大きくしているが、ゲートサイズの大きさに関わらず、互いに隣接配置される回路の出力信号が相補レベルの関係にあれば、ウェルノイズの低減に効果がある。
<実施の形態7>
実施の形態7について説明する。
図33には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図34には、図33に示される半導体集積回路10の等価回路が示され、図35には、図33に示される半導体集積回路10のMOSトランジスタレベルの等価回路図が示される。図36には、図33に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図33に示される半導体集積回路10が図28に示されるのと大きく相違するのは、ノアゲートに代えてナンド(NAND)ゲートが含まれる点である。すなわち、入力信号IN1がインバータC01で論理反転され、このインバータC01の出力信号n01と、入力信号IN2とのナンド論理がナンドゲートND01で求められ、このナンドゲートND01の出力信号が後段のインバータC03に伝達されるようになっている。上記ナンドゲートND01には、図35に示されるように、2個のpチャンネル型MOSトランジスタ351,352と2個のnチャネル型MOSトランジスタ353,354とが結合されて成る、それ自体公知の回路を適用することができる。
図37には、図33に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
本例ではウェル領域で発生するノイズ電位が最大になる場合を想定し、入力信号IN2がハイ(High)レベルの場合が示される。ナンドゲートND01でナンド論理が得られる点を除いて、本例の作用効果は、図28に示される半導体集積回路の場合と同様とされ、ウェルノイズの低減及び給電タップ数の削減が図れる。
本例は、図12Aに示されるのと同様に、nチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャンネル型MOSトランジスタに本方式を適用すれば同様の効果が得られる。
nチャンネル型MOSトランジスタとpチャネル型MOSトランジスタの両方同時に本方式が適用できない場合はウェル抵抗値が高い方に本方式を適用しても良い。
本例でインバータを例にしている回路を、インバータ以外の出力が相補となる回路に置き換えても上記で示した効果がある。
本例ではナンドゲートND01をインバータチェーンの2段目に入れているが、特に規定せず、どの段に入れても良い。また、ナンドゲートを複数個配置しても上記で述べた効果がある。
本例では2段のインバータチェーンを例にしているが、それ以上の個数でも同様な効果が得られる。
本例では回路段数を4段にしているがそれ以外の段数でも上記で述べた効果がある。
本例ではナンドゲートとインバータを組み合わせて配置しているが、ノアゲートや他の論理回路と組み合わせて配置しても、互いに隣接配置される回路の出力信号が相補であればウェルノイズを低減することができる。
本例では、後段に向かってゲートサイズを大きくしているがゲートサイズの大きさに関わらず、互いに隣接配置された回路の出力信号が相補であればウェルノイズの低減に効果がある。
<実施の形態8>
実施の形態8について説明する。
図38には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図39には、図38に示される半導体集積回路10に含まれる論理回路が示される。図40には、図38に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図38に示される半導体集積回路10が図33に示されるのと大きく相違するのは、インバータC05,C06,C07が追加されることで、アドレス信号AD1,AD2をデコードして相補レベルの信号を出力可能なアドレスデコードバッファが形成される点である。インバータC04からデコード出力信号A12Tが得られ、インバータC07からデコード出力信号A12Tとは相補レベルのデコード出力信号A12Bが得られるようになっている。
本例でも着目回路の出力信号と相補となる出力信号を発生する回路を、着目回路に隣接して配置することにより、ウェルノイズを抑制することができる。尚、着目回路に隣接配置される回路が次段回路でなくても、隣接回路の出力信号が着目回路の出力と相補であればウェルノイズを抑制できる。
セルは、出力信号が相補となるように隣接配置される。インバータC03とC05のみが、出力信号が同相(同一の時期に立ち上がり、立下り信号が同じ)となる関係で、互いに隣接配置される。
図41には、図38に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
インバータC03とC05のゲートサイズが比較的小さいため、合成されたウェルノイズも比較的小さくなる。また、インバータC03とC05には、ノードn02の信号が分岐されて伝達される。後段のインバータC06とC03、インバータC07とC04の出力信号は、互いに相補レベルの関係にあり、互いに隣接配置されている。インバータC06とC03とでウェルが共通化されることで、
上記の例の場合と同様に、ウェルノイズが抑制される。
本例は、図12Aに示されるのと同様に、nチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャネル型MOSトランジスタに本方式を適用すれば同様の効果が得られる。
nチャンネル型MOSトランジスタとpチャネル型MOSトランジスタの両方同時に本方式が適用できない場合は、ウェル抵抗値が高い方に本方式を適用しても良い。
本例ではインバータを例にしているが、出力が相補となるインバータ以外の回路を用いてもウェルノイズを低減する効果がある。
本例ではアドレスデコードバッファを例にしているが、それ以外の相補となる信号を入力する回路を本例のように隣接配置しても上記で述べた効果がある。
<実施の形態9>
実施の形態9について説明する。
図42には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図43には、図42に示される半導体集積回路10の等価回路が示される。図44には、図42に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図42に示される半導体集積回路10が図38に示されるのと大きく相違するのは、入力されたアドレス信号をデコードするためのデコーダが形成されている点である。
図42に示される半導体集積回路10によれば、着目回路の出力信号と相補となる出力信号を発生する回路を、着目回路に隣接して配置することにより、ウェル領域で発生するノイズが抑制されるようになっている。図42に示されるように、インバータI11,I12、ナンドゲートND01、ノアゲートNR01は、互いに隣接配置され、隣接する回路の出力は互いに相補レベルとされる。同様に、インバータI21,I22,I31,I32が互いに隣接配置され、ナンドゲートND02,NR01が互いに隣接配置される。このように隣接配置されているセル間の出力信号は相補レベルとされるため、ウェル領域で発生するノイズが抑制される。尚、インバータI22の出力信号とノアゲートNR01の出力信号とは同相であるが、ウェルノイズが発生する時期に遅延時間差があるため、お互いのノイズは合成されない。同様にインバータI31の出力信号とナンドゲートND02の出力信号とは同相であるが、ウェルノイズが発生する時期に遅延時間差があるため、お互いのノイズは合成されない。
上記各セルは、給電タップに挟まれた領域にあり、a領域に属する。インバータI01,I02は互いに相補レベルの信号を出力し、隣接配置した領域であり、b領域に属する。尚、インバータI01,I02は、出力段とされるため、(1),(2)で区別されるように論理的に同一の回路が並列接続されることにより駆動能力が高められている。
図45には、図42に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。図45(A)には、図42に示される半導体集積回路におけるa領域のPウェルのノイズが示され、図45(B)には、図42に示される半導体集積回路におけるb領域のPウェルのノイズが示される。
各MOSトランジスタで発生するウェルノイズは、正負の電位が隣接する回路で発生し、ウェルノイズが相殺されるため回路単体で発生するウェルノイズよりも合成されたノイズは小さくなる。b領域で発生するノイズは、給電タップ間のゲート本数が5本であり、タップ間のウェル抵抗値は、ゲートを8本配置した場合に比べて5/8になる。b領域の回路は出力バッファ部であり、インバータのゲートサイズが大きいため、ウェル抵抗を小さくすることでウェルノイズを抑制している。また、インバータI01とI02の出力信号が相補レベルとされることから、インバータI01とI02で発生するウェルノイズは相殺される。
本例はnチャネル型MOSトランジスタのみに着目しているが、インバータを構成するpチャンネル型MOSトランジスタに本方式を適用すれば同様の効果が得られる。
nチャンネル型MOSトランジスタとpチャンネル型MOSトランジスタの両方同時に本方式を適用できない場合は、ウェル抵抗値が高い方に本方式を適用しても良い。
本例で用いたインバータの例を、インバータ以外の出力が相補となる回路を用いてもウェルノイズを低減する効果がある。
本例ではインバータチェーンを4段としているがそれ以外の複数段でも同様な効果が得られる。
<実施の形態10>
実施の形態10について説明する。
図46には、本発明にかかる半導体集積回路の別のレイアウト例が示される。図47には、図46に示される半導体集積回路の等価回路が示される。図48には、図46に示される半導体集積回路におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図46に示される半導体集積回路が図42に示されるのと大きく相違するのは、図42に示されるデコーダが二つ設けられている点である。この二つのデコーダは、Y軸に沿って隣接配置されている。本例では、Pウェルに配置されたセルのウェルノイズについては、図42に示される場合と同様であるため、それについての説明を省略し、Nウェルで発生するウェルノイズについてのみ説明する。
図49は、図46に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。図49(A)には、図46に示される半導体集積回路におけるa領域のNウェルのノイズが示され、図49(B)には、図46に示される半導体集積回路におけるb領域のNウェルのノイズが示される。
本例では、アドレス信号AD1,AD2,AD3をデコードして出力信号OUT0を得るデコーダ470と、アドレス信号AD4,AD5,AD6をデコードして出力信号OUT1を得るデコーダ471とが隣接配置され、Nウェルに配置される回路のウェルノイズはそれぞれの回路動作で発生する。例えばアドレス信号AD6がローレベル固定である場合、出力信号OUT1が非選択動作とされる。また、AD1〜AD5が信号遷移している場合、図46に示される2個のブロックが共通配置されているNウェルでは、インバータI111でウェルノイズが発生される。インバータI111、I021,I031は、互いに同一タイミングのハイレベルの信号を受け、その結果、ウェルノイズは3倍に合成されるが、入力初段のゲートサイズは小さいためウェルノイズの許容値を満たす。他の回路では、相補レベルの関係となる信号が出力されるため、ウェルノイズが相殺される。尚、b領域では、デコーダ471は、出力バッファがDC(直流)レベル出力であるため、ウェルノイズは発生しない。b領域でNウェルノイズが発生するのはデコーダ470側のみとなる。
本例でインバータや論理回路を例にしている回路は、出力が相補となる他の回路に置き換えても同様な効果がある。
本例ではデコーダを例にしているが、それ以外の機能を有する回路でも、本例の構成法を用いればタップ数を低減することによってチップ面積の低減を図ることができる。
<実施の形態11>
実施の形態11について説明する。
図50には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図51には、図50に示される半導体集積回路10の等価回路が示される。図52には、図50に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図50に示される半導体集積回路10が図1に示されるのと大きく相違するのは、入力信号INTが伝達される複数のインバータC01〜C04と、相補レベルの入力信号INT,INBが伝達される複数のインバータC11〜C14が設けられる点である。
図53には、図50に示される半導体集積回路10における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
図53においてINTとINBが相補レベルの入力信号、OUT01〜OUT04,OUT11〜OUT14が出力信号である。本例では、インバータC01〜C04,C11〜C14で発生するウェルノイズが互いに相補となるため、合成されたノイズも相補となり相殺される。本例のように、各インバータのゲートサイズと配線付加がほぼ同じである場合、ウェルノイズがほぼ0Vとなる。
尚、インバータを他の論理回路に置き換えても同様の作用効果を得ることができる。
<実施の形態12>
実施の形態12について説明する。
図54には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図55には、図54に示される半導体集積回路10の等価回路が示される。図56には、図54に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図54に示される半導体集積回路10が図1に示されるのと大きく相違するのは、複数のインバータによりリングオシレータが形成されている点である。
本例では、7個のインバータC01〜C07がカスケード接続され、インバータC07の出力信号がインバータC01に帰還されるようになっている。また、インバータC07の出力信号は、インバータC08〜C10がカスケード接続されて成るバッファを介して出力される。
図57には、図54に示される半導体集積回路における入出力信号とウェル電位変動との関係が示される。
図57に示されるように、リング状のインバータチェーンでは、信号が帰還されることにより、発振する。リングオシレータを構成する各インバータには、前後段のインバータが隣接配置される。各インバータを構成するMOSトランジスタのサイズは互いに等しくされる。これにより、ウェルノイズは互いに相殺され、ウェルノイズが低減される。
インバータC08〜C10で構成する出力バッファにおいては、インバータC09のMOSトランジスタのサイズが2倍、インバータC10のMOSトランジスタのサイズが4倍とされ、それに伴ってウェルノイズもそれぞれ2倍、4倍となる。しかし、隣接配置されたセル間でウェルノイズが相殺されることにより、そこでのノイズが低減される。
<実施の形態13>
実施の形態13について説明する。
図58には、本発明にかかる半導体集積回路10の別のレイアウト例が示される。図59には、図58に示される半導体集積回路10の等価回路が示される。図60には、図58に示される半導体集積回路10におけるセルのレイアウト状態が模式的に示される。
図58に示される半導体集積回路10が図12Cなどに示されるのと大きく相違するのは、左回りに信号伝達が行われるように複数のセルが配置されている点である。
すなわち、本例では、インバータC01,C02,C03,C04での信号伝達方向と、インバータC11,C12,C13,C14での信号伝達方向とが、それぞれ図12Bに示されるのと同様に、左回りになるように複数のインバータが配置されることにより、インバータチェーンのブロックが構成される。
本例でも、着目する回路(本例ではインバータ)の上下左右に隣接する回路の出力信号は、着目する回路の出力信号と相補レベルの関係にあり、それによってウェルノイズが低減される。
図58において、INが入力信号であり、OUT1とOUT2が出力信号である。入力端子と出力端子が レイアウトブロックの左側に配置されている場合、本例のように信号伝達方向が左回りとなるようにインバータを配置することにより、出力信号の配線長を短縮でき、それによって信号遅延を低減できる効果がある。また、その場合においても、着目する回路の出力信号と相補となる出力信号の回路を隣接して配置するため各インバータで発生するウェルノイズを低減することができる。
尚、本例ではインバータを例にしているが、出力が相補となる他の回路に置き換えても同様の作用効果を得ることができる。
以上本発明者によってなされた発明を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。