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JP5082266B2 - 負極および二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極およびそれを用いた二次電池に関する。
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されているものは負極に黒鉛を用いているので、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しい。そこで、負極にケイ素などを用いることが検討されており、最近では、気相法などにより負極集電体に負極活物質層を形成することも報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ケイ素などは充放電に伴う膨張収縮が大きいので、微粉化によるサイクル特性の低下が問題であったが、気相法などによれば、微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。
ところが、このように負極集電体と負極活物質層とを一体化した負極においても、充放電を繰り返すと、負極活物質層の激しい膨張および収縮により負極活物質層の脱落などが生じてサイクル特性が低下したり、膨張収縮の応力により負極集電体が変形して電池が膨れてしまうなどの問題があった。そこで、負極活物質層にリチウム(Li)と合金化しない鉄などの金属元素を添加することにより、負極活物質層の膨張収縮を緩和し、特性を向上させることが検討されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−50922号公報 特許第2948205号公報 特開平11−135115号公報 特開2003−217574号公報
しかしながら、ケイ素は導電性が低いので、充電時にリチウムの吸蔵が局所的に起こりやすく、その部分から形状の崩壊などが生じてサイクル特性が低下してしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、負極活物質層の電子伝導性を向上させることができる負極およびそれを用いた二次電池を提供することにある。
本発明による負極は、負極集電体と、構成元素としてケイ素を含む負極活物質層とを備え、負極活物質層は、強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有すると共に、磁化曲線により得られる最大の磁化の強さが0.0006T以上のものである。
本発明による二次電池は、正極および負極と共に電解質を備え、負極は、負極集電体と、構成元素としてケイ素を含む負極活物質層とを有し、負極活物質層は、強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有すると共に、磁化曲線により得られる最大の磁化の強さが0.0006T以上のものである。
本発明による負極によれば、負極活物質層が強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有すると共に最大磁化の強さが0.0006T以上となるようにしたので、負極活物質層の電子伝導性を向上させることができ、リチウムなどの電極反応物質をより均一に吸蔵することができる。よって、負極活物質層の膨張および収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層の形状崩壊などを抑制することができる。従って、この負極を用いた本発明による二次電池によれば、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
特に、負極活物質層の最大磁化の強さを1.67T以下とするようにすれば、電子伝導性を向上させ、かつ、ケイ素の含有量を高くすることができる。よって、容量を高く保持しつつ、サイクル特性を向上させることができる。
また、負極活物質層に存在する強磁性金属の一部を酸化するようにすれば、リチウムなどの電極反応物質が酸素に引き寄せられるので、吸蔵をより均一に行うことができる。
加えて、負極活物質層に酸素(O)を3原子数%以上40原子数%以下の範囲内で含むようにすれば、または、負極活物質層に酸素の濃度が高い酸素高濃度層と、酸素の濃度が低い酸素低濃度層とを有するようにすれば、負極活物質層の膨張を抑制して、応力をより緩和することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆる角型といわれるものであり、ほぼ中空角柱状の電池缶11の内部に電池素子20を有している。電池缶11は金属製の容器であり、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、鉄(Fe)、または鉄合金により構成されている。電池缶11の表面には、めっき処理がされていてもよく、また樹脂などによるコーティングがされていてもよい。電池缶11の内部には、また、電池素子20を挟むように一対の絶縁板12,13が配置されている。電池缶11の一端部は閉鎖され、他端部は開放されており、この開放端部は電池蓋14により封口されている。電池蓋14には、絶縁部材15を介して、端子ピン16が配設されている。電池蓋14および端子ピン16は、例えば、電池缶11と同様の金属材料により構成されている。
電池素子20は、例えば、負極21と正極22とをセパレータ23を介して積層し、楕円状または扁平状に多数回巻回した構造を有している。負極21にはニッケルなどよりなる負極リード24が接続されており、正極22にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続されている。負極リード24は電池缶11と電気的に接続されており、正極リード25は端子ピン16と電気的に接続されている。
負極21は、例えば、負極集電体21Aと、負極集電体21Aに設けられた負極活物質層21Bとを有している。
負極集電体21Aは、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層21Bを支える能力が小さくなるからである。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル,チタン(Ti),鉄あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
負極集電体21Aは、また、負極活物質層21Bと合金化する金属元素を含むことが好ましい。負極活物質層21Bと負極集電体21Aとの密着性を向上させることができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層21Bと合金化する金属元素としては、負極活物質層21Bが後述するように構成元素としてケイ素を含む場合には、例えば、銅,ニッケル,あるいは鉄が挙げられる。これらは強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体21Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層21Bと接する層をケイ素と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。
負極集電体21Aの表面は粗化されていることが好ましく、表面粗度がRa値で0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であればより好ましい。負極活物質層21Bと負極集電体21Aとの密着性をより向上させることができるからである。また、負極集電体21Aの表面粗度Ra値は3.5μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であればより好ましい。表面粗度Ra値が高すぎると、負極活物質層21Bの膨張に伴い負極集電体21Aに亀裂が生じやすくなる恐れがあるからである。なお、表面粗度Ra値というのはJIS B0601に規定される算術平均粗さRaのことであり、負極集電体21Aのうち少なくとも負極活物質層21Bが設けられている領域の表面粗度Raが上述した範囲内であればよい。
負極活物質層21Bは、構成元素としてケイ素を含んでいる。ケイ素はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素は単体で含まれていてもよく、合金で含まれていてもよく、化合物で含まれていてもよい。
負極活物質層21Bは、例えば、少なくとも一部が気相法により形成されたものであることが好ましい。図2は負極活物質層21Bの厚み方向の断面における粒子構造を模式的に表したものである。負極活物質層21Bは、例えば、厚み方向に成長することにより形成され、構成元素としてケイ素を含む複数の活物質粒子211を有している。活物質粒子211は、複数が集合することにより複数の2次粒子212を形成している。各2次粒子212において各活物質粒子211は単に隣接しているのではなく、互いに少なくとも一部が接合している。各2次粒子212は例えば充放電により形成されたものであり、溝213により互いに分離されている。溝213はほぼ負極集電体21Aまで達している。
また、活物質粒子211は、内部に、鉄、コバルト(Co)あるいはニッケルなどの強磁性元素を含んでいる。この強磁性元素の少なくとも一部はケイ素と固溶せずに偏析しており、活物質粒子211の内部に強磁性金属として存在している。これにより負極活物質層21Bは磁化を有し、磁化曲線により得られる最大磁化の強さを0.0006T以上とすることにより、負極活物質層21Bの電子伝導性を向上させることができるようになっている。ケイ素の中に鉄などの強磁性金属が存在すると、フェルミ準位が変化して、通常は磁性を作るために動きにくい3d電子がs電子のように動いて電子の絶対和が増加し、自由電子のような挙動を得ることができると考えられるからである。なお、強磁性元素がケイ素と固溶体を形成している場合には常磁性を示し、このような特性は得られない。強磁性金属は、鉄、コバルトあるいはニッケルなどの単体でも、このような強磁性元素を含む合金でもよい。また、負極活物質層21Bの磁化曲線により得られる最大磁化の強さは、1.67T以下であることが好ましい。強磁性金属の含有量が多くなると、ケイ素の含有量が少なくなり、容量が低下してしまうからである。より好ましい負極活物質層21Bの最大磁化の強さは、0.02T以上0.8T以下である。
強磁性金属は、負極活物質層21Bの全体に均一に分布していてもよいが、濃度に傾きを有していてもよい。例えば、強磁性金属の濃度が負極活物質層21Bの厚み方向において変化しており、負極活物質層21Bの中に、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、金属高濃度層よりも強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とが、厚み方向において積層されて存在していてもよい。強磁性金属の含有量が少なくても、高い効果を得ることができるからである。この場合、金属高濃度層は金属低濃度層の間に1層以上設けられていることが好ましく、複数層設けられていればより好ましい。強磁性金属の濃度は、金属高濃度層と金属低濃度層との間において段階的あるいは連続的に変化していることが好ましい。
活物質粒子211は、また、構成元素として酸素を含んでいることが好ましい。負極活物質層21Bの膨張をより抑制することができるからである。負極活物質層21Bに含まれる酸素の少なくとも一部は、一部のケイ素と結合していることが好ましく、結合の状態は一酸化ケイ素でも二酸化ケイ素でも、あるいはそれ以外の準安定状態でもよい。また、酸素の少なくとも一部は一部の強磁性元素と結合して酸化物を構成していることが好ましい。すなわち、強磁性金属の一部は酸化されていることが好ましい。強磁性金属により電子伝導性が高くなっている箇所の近くに酸素が存在すると、酸素にリチウムが引き寄せられてリチウムがより吸蔵されやすくなるからである。
負極活物質層21Bにおける酸素の含有量は、3原子数%以上40原子数%以下の範囲内であることが好ましい。これよりも少ないと十分な効果を得ることができず、これよりも多いと容量が低下してしまう外、負極活物質層21Bの抵抗値が増大し、局所的なリチウムの挿入により膨れたり、サイクル特性が低下してしまうと考えられるからである。なお、負極活物質層21Bには、充放電により電解液などが分解して負極活物質層21Bの表面に形成される被膜は含めない。よって、負極活物質層21Bにおける酸素の含有量を算出する際には、この被膜に含まれる酸素は含めない。
また、活物質粒子211は、酸素の濃度が高い酸素高濃度層と、酸素の濃度が酸素高濃度層よりも低い酸素低濃度層とを、厚み方向において積層して有していることが好ましく、酸素高濃度層は、酸素低濃度層の間に1層以上設けられていることが好ましい。充放電に伴う膨張・収縮をより効果的に抑制することができるからである。酸素高濃度層における酸素の濃度は3原子数%以上であることが好ましく、酸素低濃度層における酸素の濃度はなるべく少ない方が好ましく、全く含んでおらず零でもよい。酸素の濃度は、酸素高濃度層と酸素低濃度層との間において段階的あるいは連続的に変化していることが好ましい。酸素の濃度が急激に変化すると、リチウムイオンの拡散性が低下し、抵抗が上昇してしまう場合があるからである。
なお、酸素高濃度層および酸素低濃度層と、上述した金属高濃度層および金属低濃度層とは、異なる層として別々に存在していてもよいが、互いに一部が重なっていてもよく、完全に一致していてもよい。例えば、酸素高濃度層の少なくとも一部が金属高濃度層の少なくとも一部を構成するように重なっていることが好ましい。上述したように、強磁性金属の近傍に酸素が存在した方がより高い効果を得ることができるからである。
負極活物質層21Bは、また、負極集電体21Aと界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、負極集電体21Aの構成元素が負極活物質層21Bに、または負極活物質層21Bの構成元素が負極集電体21Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電により負極活物質層21Bが膨張収縮しても、負極集電体21Aからの脱落を抑制することができるからである。
正極22は、例えば、正極集電体22Aと、正極集電体22Aに設けられた正極活物質層22Bとを有しており、正極活物質層22Bが負極活物質層21Bと対向するように配置されている。正極集電体22Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
正極活物質層22Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。高電圧を発生可能であると共に、高エネルギー密度を得ることができるからである。このリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、一般式Lix MO2 で表されるものが挙げられる。Mは1種類以上の遷移金属元素を含み、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
セパレータ23は、負極21と正極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、1,3−ジオキソール−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの非水溶媒が挙げられる。溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高沸点溶媒と、炭酸ジメチル,炭酸ジエチルあるいは炭酸エチルメチルなどの低沸点溶媒とを混合して用いるようにすれば、高いイオン伝導度を得ることができるので好ましい。また、1,3−ジオキソール−2−オンあるいは4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの不飽和結合を有する環式炭酸エステル、または、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどのハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を用いるようにすれば、電解液の安定性を向上させることができるので好ましい。
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
この二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。
まず、負極集電体21Aに、例えば気相法により構成元素としてケイ素を含む負極活物質層21Bを成膜する。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいは溶射法などのいずれを用いてもよい。その際、例えば、ケイ素と共に強磁性金属元素を蒸着することにより、または、ケイ素を含む層と強磁性金属元素を含む層とを交互に積層することにより、負極活物質層21Bに強磁性金属元素を添加する。原料には、ケイ素単体、強磁性金属元素の単体、ケイ素と強磁性金属元素との合金、ケイ素の酸化物、または強磁性金属元素の酸化物などを用いる。負極活物質層21Bに酸素を添加する場合には、例えば、成膜雰囲気に酸素ガスを導入するようにしてもよい。
なお、負極活物質層21Bを成膜したのち、必要に応じて真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行う。負極活物質層21Bを成膜する際に、負極活物質層21Bと負極集電体21Aとが合金化する場合もあるが、熱処理により合金化を促進させることができるからである。
また、正極集電体22Aに正極活物質層22Bを成膜する。例えば、正極活物質と必要に応じて導電材およびバインダーとを混合して正極集電体14Aに塗布し、圧縮成型することにより形成する。次いで、負極22に負極リード24を取り付けると共に、正極22に正極リード25を取り付ける。続いて、負極21と正極22とをセパレータ23を介して積層し、多数回巻回したのち、負極リード24の先端部を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25の先端部を端子ピン16にして、巻回した負極21および正極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。そののち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させ、電池缶11の開放端部を電池蓋14により封口する。このようにして電池を組み立てたのち、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層21Bに溝213が形成され、活物質粒子211が複数集合した2次粒子212に分割される。これにより図1,2に示した二次電池が得られる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極21に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極22に吸蔵される。その際、負極活物質層21Bは磁化を有し、内部に強磁性金属を含有しているので、負極活物質層21Bの電子伝導性が向上し、リチウムがより均一に吸蔵される。
このように本実施の形態によれば、負極活物質層21Bが磁化を有し、磁化曲線により得られる最大磁化の強さが0.0006T以上となるようにしたので、負極活物質層21Bの電子伝導性を向上させることができ、リチウムをより均一に吸蔵することができる。よって、負極活物質層21Bの膨張および収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層21Bの形状崩壊などを抑制することができる。従って、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
特に、負極活物質層の最大磁化の強さを1.67T以下とするようにすれば、電子伝導性を向上させ、かつ、ケイ素の含有量を高くすることができる。よって、容量を高く保持しつつ、サイクル特性を向上させることができる。
また、金属高濃度層と金属低濃度層とを有するようにすれば、強磁性金属の含有量を少なくしても、高い効果を得ることができる。
更に、構成元素として酸素を含有するようにすれば、また、負極活物質層21Bにおける酸素の含有量を3原子数%以上40原子数%以下の範囲内とすれば、また、酸素高濃度層と酸素低濃度層とを有するようにすれば、負極活物質層の膨張を抑制して、応力をより緩和することができる。
加えて、強磁性金属の一部を酸化するようにすれば、リチウムを引き寄せることができ、より均一に吸蔵することができる。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード31,32が取り付けられた電池素子30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。リード31,32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40とリード31,32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、リード31,32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した電池素子30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電池素子30は、負極33と正極34とをセパレータ35および電解質36を介して積層し、楕円状または扁平状に多数回巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。負極33は負極集電体33Aに負極活物質層33Bが設けられており、正極34は正極集電体34Aに正極活物質層34Bが設けられている。負極集電体33A,負極活物質層33B,正極集電体34A,正極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、第1の実施の形態で説明した負極集電体21A,負極活物質層21B,正極集電体22A,正極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。電解質36は、電解液を高分子化合物に保持させたものであり、いわゆるゲル状となっている。電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンの共重合体が挙げられる。電解質36は、例えば図6に示したように、負極33および正極34とセパレータ35との間に層状に存在していてもよいが、セパレータ35に含浸されて存在していてもよい。また、第1の実施の形態と同様に、電解液を高分子化合物に保持させることなく、そのまま用いてもよい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、負極33および正極34に電解質36を形成する。次いで、負極33および正極34にリード31,32を取り付ける。続いて、電解質36を形成した負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層し、巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して電池素子30を形成する。そののち、例えば、外装部材40の間に電池素子30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。
また、次のようにして組み立ててもよい。まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、リード31,32を取り付ける。次いで、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して巻回体を形成する。続いて、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状としたのち、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材40の内部に注入する。そののち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封し、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質36を形成する。
このようにして電池を組み立てたのち、第1の実施の形態と同様に、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層33Bに溝213および2次粒子212が形成される。
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
更に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
実験例1−1〜1−14)
図3,4に示した構造の二次電池を作製した。まず、厚み12μmの銅箔を粗化し、表面粗度Ra値を0.1μm以上とした負極集電体33Aに、真空蒸着法によりケイ素と鉄と全体にわたって共蒸着し、厚み約5μmの負極活物質層33Bを成膜した。その際、実験例1−1〜1−14で鉄の蒸着量を変化させた。次いで、減圧雰囲気において熱処理を行い負極33を作製した。
作製した実験例1−1〜1−14の負極33について、厚み方向の断面を集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)により切り出し、SEMにより観察したところ、いずれについても、複数の活物質粒子211が厚み方向に成長していることが確認された。また、切り出した断面についてAES( Auger Electron Spectroscopy;オージェ電子分光法)により局所元素分析を行ったところ、いずれについても、負極活物質層33Bと負極集電体33Aとが少なくとも一部において合金化していることが確認された。更に、切り出した断面についてAESによるライン分析およびESCA(electron spectroscopy for chemical analysis )による分析を行ったところ、活物質粒子211の内部に鉄が存在していることが確認された。なお、負極活物質層33Bにおける鉄の含有量は、例えば実験例1−5が約4.8原子数%であり、実験例1−6が約9.8原子数%であった。
また、作製した負極33を10mm×10mmの大きさに切り抜き、VSM(Vibrating Sample Magnetometer ;振動試料型磁力計)により印加磁界1194kA/m(15kOe)で掃引し磁化を測定した。表1に磁化曲線から得られた最大磁化の強さを示す。また、図5に実験例1−5の磁化曲線を代表して示す。
また、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末92質量部と、導電材であるカーボンブラック3質量部と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに投入してスラリーとした。次いで、これを厚み15μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体34Aに塗布して乾燥させたのちプレスを行って正極活物質層34Bを形成した。
続いて、炭酸エチレン37.5質量%と、炭酸プロピレン37.5質量%と、炭酸ビニレン10質量%と、LiPF6 15質量%とを混合して電解液を調整し、この電解液30質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体10質量部とを混合し、負極33および正極34の両面にそれぞれ塗布して電解質36を形成した。そののち、リード31,32を取り付け、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40に封入することにより二次電池を組み立てた。
実験例1−1〜1−14に対する比較例1−1として、負極活物質層を成膜する際に鉄を蒸着しなかったことを除き、他は実験例1−1〜1−14と同様にして二次電池を組み立てた。また、比較例1−2,1−3として、蒸着条件を変えてケイ素と鉄とを全体にわたって共蒸着したことを除き、他は実験例1−1〜1−14と同様にして二次電池を組み立てた。作製した比較例1−1〜1−3の負極についても、実験例1−1〜1−14と同様にして、分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、比較例1−1〜1−3の負極についても、複数の活物質粒子が厚み方向に成長しており、負極活物質層と負極集電体とが少なくとも一部において合金化していることが確認された。また、比較例1−2,1−3については、活物質粒子の内部に鉄が存在していることが確認され、負極活物質層における鉄の含有量は比較例1−2が約4.5原子数%であり、比較例1−3が約8.8原子数%であった。更に、磁化は比較例1−1については測定されず、比較例1−2,1−3については測定されたものの小さかった。表1に最大磁化の強さを示す。
作製した実験例1−1〜1−14および比較例1−1〜1−3の二次電池について、25℃の条件下で充放電試験を行い、2サイクル目に対する31サイクル目の容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.05mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、負極23の容量の利用率が85%となるようにし、負極23に金属リチウムが析出しないようにした。容量維持率は、2サイクル目の放電容量に対する31サイクル目の放電容量の比率、すなわち(31サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100として算出した。
また、実験例1−1〜1−14の二次電池について、31サイクル後に電池を解体して放電状態の負極33を取り出し、負極33の中央部における厚み方向の断面をSEMにより観察したところ、いずれについても、図2に示したように複数の活物質粒子211が集合して2次粒子212を形成していることが確認された。
Figure 0005082266
表1に示したように、実験例1−1〜1−14によれば、比較例1−1〜1−3に比べて容量維持率が向上し、厚み増加率も小さくなった。すなわち、負極活物質層33Bが磁化を有し、最大磁化の強さが0.0006T以上となるようにすれば、サイクル特性などの電池特性を向上させることができることが分かった。
また、実験例1−1〜1−14の結果をみると、最大磁化の強さが大きくなるに従い容量維持率は向上するが、ある程度以上となると同等または若干低下する傾向がみられた。すなわち、最大磁化の強さは1.67T以下とするようにすれば好ましく、0.02T以上0.8T以下の範囲内とすればより好ましいことが分かった。
実験例2−1〜2−27)
負極活物質層33Bを成膜する際に、鉄に代えて、コバルト,ニッケルまたは鉄とコバルトとを全体にわたって共蒸着したことを除き、他は実験例1−1〜1−14と同様にして二次電池を組み立てた。その際、実験例2−1〜2−9ではコバルトを共蒸着し、実験例2−10〜2−17ではニッケルを共蒸着し、実験例2−18〜2−27では鉄コバルト合金を共蒸着した。また、各実験例で強磁性元素の蒸着量を変化させた。
作製した実験例2−1〜2−27の負極33についても、実験例1−1〜1−14と同様にして、分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、実験例1−1〜1−14と同様に、複数の活物質粒子211が厚み方向に成長しており、活物質粒子211の内部に強磁性元素が存在していることが確認された。また、負極活物質層33Bと負極集電体33Aとが少なくとも一部において合金化していることも確認された。磁化曲線から得られた最大磁化の強さは表2に示した通りであった。
作製した実験例2−1〜2−27の二次電池についても、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、容量維持率を調べた。得られた結果を比較例1−1の結果と共に表2に示す。
Figure 0005082266
表2に示したように、実験例2−1〜2−27によれば、比較例1−1に比べて容量維持率を向上させることができた。すなわち、他の強磁性元素を用いても同様の効果を得られることが分かった。
実験例3−1〜3−16)
負極活物質層33Bを成膜する際に、強磁性元素を全体にわたって共蒸着するのではなく、ケイ素層と強磁性金属層とを交互に蒸着して強磁性元素を添加したことを除き、他は実験例1−1〜1−14または実験例2−1〜2−27と同様にして二次電池を組み立てた。これにより、本実験例では、ケイ素と強磁性元素とが熱処理により相互に拡散するが、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とが形成される。強磁性元素は実験例3−1〜3−8が鉄、実験例3−9〜3−12がコバルト、実験例3−13〜3−16が鉄とコバルトである。また、強磁性金属層はケイ素層の間に挿入するようにし、表3に示したように各実験例で強磁性金属層の層数を変化させた。
作製した実験例3−1〜3−16の負極33についても、実験例1−1〜1−14と同様にして分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、実験例1−1〜1−14と同様の結果が確認された。また、磁化曲線から得られた最大磁化の強さは表3に示した通りであった。また、作製した実験例3−1〜3−16の二次電池についても、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、容量維持率を調べた。得られた結果を実験例1−5,1−12,2−4,2−5,2−20および比較例1−1の結果と共に表3に示す。
Figure 0005082266
表3に示したように、実験例3−1〜3−16によれば、比較例1−1に比べて容量維持率を向上させることができた。また、負極活物質層33Bの全体にわたって強磁性元素を添加した実験例1−5,1−12,2−4,2−5,2−20に比べて、更に容量維持率を向上させることができた。すなわち、金属高濃度層と金属低濃度層とを有するようにすれば、より高い効果を得られることがわかった。
実験例4−1〜4−19)
負極活物質層33Bを成膜する際に酸素ガスを連続して導入し、全体にわたって酸素を添加したことを除き、他は実験例1−1〜1−14または実験例2−1〜2−27と同様にして二次電池を組み立てた。酸素ガスの導入量は、負極活物質層33Bにおける酸素の含有量が表4に示した値となるように調節した。強磁性元素は、実験例4−1〜4−8が鉄、実験例4−9〜4−13がコバルト、実験例4−14〜4−19が鉄とコバルトである。
作製した実験例4−1〜4−19の負極33についても、実験例1−1〜1−14と同様にして分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、実験例1−1〜1−14と同様の結果が確認された。また、磁化曲線から得られた最大磁化の強さは表4に示した通りであった。また、作製した実験例4−1〜4−19の二次電池についても、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、容量維持率を調べた。得られた結果を実験例1−4,1−5,2−4,2−20の結果と共に表4に示す。
Figure 0005082266
表4に示したように、実験例4−1〜4−19によれば、実験例1−4,1−5,2−4,2−20よりも、更に容量維持率を向上させることができた。すなわち、負極活物質層21Bに構成元素として酸素を含むようにすれば、より好ましいことが分かった。
実験例5−1〜5−7)
負極活物質層33Bを成膜する際に、全体にわたって鉄とコバルトとを共蒸着すると共に、成膜の途中で酸素ガスを導入して酸素高濃度層と酸素低濃度層とを形成したことを除き、他は実験例1−1〜1−14と同様にして二次電池を組み立てた。その際、酸素高濃度層の数を各実験例で1層から7層まで変化させた。
作製した実験例5−1〜5−7の負極33についても、実験例1−1〜1−14と同様にして分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、実験例1−1〜1−14と同様の結果が確認された。また、磁化曲線から得られた最大磁化の強さは表5に示した通りであった。また、作製した実験例5−1〜5−7の二次電池についても、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、容量維持率を調べた。得られた結果を実験例2−20の結果と共に表5に示す。
Figure 0005082266
表5に示したように、実験例5−1〜5−7によれば、実験例2−20よりも、更に容量維持率を向上させることができた。すなわち、負極活物質層21Bに酸素高濃度層と酸素低濃度層とを有するようにすれば、より好ましいことが分かった。
実験例6−1〜6−14)
負極活物質層33Bを成膜する際に、強磁性元素を全体にわたって共蒸着するのではなく、ケイ素層と強磁性金属層とを交互に蒸着して強磁性元素を添加すると共に、強磁性金属層を蒸着する際に酸素ガスを導入して酸素を添加したことを除き、他は実験例1−1〜1−14と同様にして二次電池を組み立てた。すなわち、本実験例では、金属高濃度層および金属低濃度層を形成すると共に、酸素高濃度層および酸素低濃度層を形成した。強磁性元素は鉄とコバルトである。強磁性金属層はケイ素層の間に挿入するようにし、表6に示したように各実験例で強磁性金属層の層数を変化させた。
作製した実験例6−1〜6−14の負極33についても、実験例1−1〜1−14と同様にして分析を行うと共に磁化曲線を調べた。その結果、実験例1−1〜1−14と同様の結果が確認された。また、磁化曲線から得られた最大磁化の強さは表6に示した通りであった。また、作製した実験例6−1〜6−14の二次電池についても、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、容量維持率を調べた。得られた結果を実験例3−13の結果と共に表6に示す。
Figure 0005082266
表3に示したように、実験例6−1〜6−14によれば、高い容量維持率を得られることがわかった。また、実験例6−2,6−5,6−8,6−11,6−14と実験例3−13とを比較すればわかるように、酸素を添加した実験例6−2,6−5,6−8,6−11,6−14の方がより高い特性を得ることができた。すなわち、金属高濃度層を形成すると共に、金属高濃度層と少なくとも一部が重なるように酸素高濃度層を形成するようにすれば、より高い効果を得られることがわかった。
実験例7−1〜7−8)
アルミニウムまたはニッケルでめっきした鉄よりなる電池缶11を用い、図1に示した構造の二次電池を作製した。負極21および正極22は、実験例1−5,2−4,2−12,2−20と同様にして作製した。電解液には、炭酸エチレン30質量%と、炭酸ビニレン10質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、1mol/lのLiPF6 を溶解したものを用いた。
作製した実験例7−1〜7−8の二次電池および実験例1−5,2−4,2−12,2−20について、実験例1−1〜1−14と同様にして充放電を行い、電池の厚み増加率を調べた。厚み増加率は、充放電を行う前と、31サイクル充放電を行った後とで電池の厚みを測定し、充放電前の厚みに対する31サイクル後の厚みの増加量の割合、すなわち[(31サイクル後の厚み−充放電前の厚み)/充放電前の厚み]×100により算出した。得られた結果を表7に示す。
Figure 0005082266
表7に示したように、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40を用いた実験例よりも、アルミニウムよりなる電池缶11を用いた実験例、更には鉄よりなる電池缶11を用いた実験例の方が、厚み増加率を小さくすることができた。すなわち、外装には電池缶11を用いた方が好ましく、鉄缶を用いればより好ましいいことが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
また、上記実施の形態および実施例では、楕円状または扁平状に巻回した構造を有する電池素子を用いる場合について説明したが、円形状に巻回した構造としてもよく、また、折り畳んだり、積層した構造としてもよい。更に、中空角柱状の電池缶を用いる場合について説明したが、円筒型,コイン型あるいはボタン型などの他の形状を有する電池缶を用いてもよい
本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池に係る負極活物質層の粒子構造を表す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3に示した二次電池のI−I線に沿った構造を表す断面図である。 実験例1−5の磁化曲線を表す特性図である。
符号の説明
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…絶縁部材、16…端子ピン、20,30…電池素子、21,33…負極、21A,33A…負極集電体、21B,33B…負極活物質層、22,34…正極、22A,34A…正極集電体、22B,34B…正極活物質層、23,35…セパレータ、24…負極リード、25…正極リード、31,32…リード、36…電解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、211…活物質粒子、212…2次粒子、213…溝

Claims (16)

  1. 負極集電体と、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層とを備え、
    前記負極活物質層は、強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有すると共に、磁化曲線により得られる最大磁化の強さが0.0006T以上である、負極。
  2. 前記負極活物質層の磁化曲線により得られる最大磁化の強さは、1.67T以下である、請求項1記載の負極。
  3. 前記負極活物質層に存在する強磁性金属の一部は酸化している、請求項記載の負極。
  4. 前記負極活物質層は、構成元素としてケイ素を含む活物質粒子を有し、
    この活物質粒子の少なくとも一部は、粒子中に前記強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有する、請求項1記載の負極。
  5. 前記負極活物質層の少なくとも一部は、気相法により形成された、請求項1記載の負極。
  6. 前記負極活物質層は、前記負極集電体と少なくとも一部において合金化している、請求項1記載の負極。
  7. 前記負極活物質層は、更に構成元素として酸素(O)を含有し、その含有量は3原子数%以上40原子数%以下である、請求項1記載の負極。
  8. 前記負極活物質層は、厚み方向において、酸素の濃度が高い酸素高濃度層と、酸素の濃度が低い酸素低濃度層とを有する、請求項1記載の負極。
  9. 正極および負極と共に電解質を備え、
    前記負極は、負極集電体と、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質層は、強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有すると共に、磁化曲線により得られる最大磁化の強さが0.0006T以上である、二次電池。
  10. 前記負極活物質層の磁化曲線により得られる最大磁化の強さは、1.67T以下である、請求項記載の二次電池。
  11. 前記負極活物質層に存在する強磁性金属の一部は酸化している、請求項記載の二次電池。
  12. 前記負極活物質層は、構成元素としてケイ素を含む活物質粒子を有し、
    この活物質粒子の少なくとも一部は、粒子中に前記強磁性金属を含み、強磁性金属の濃度が高い金属高濃度層と、強磁性金属の濃度が低い金属低濃度層とを有する、請求項記載の二次電池。
  13. 前記負極活物質層の少なくとも一部は、気相法により形成された、請求項記載の二次電池。
  14. 前記負極活物質層は、前記負極集電体と少なくとも一部において合金化している、請求項記載の二次電池。
  15. 前記負極活物質層は、更に構成元素として酸素(O)を含有し、その含有量は3原子数%以上40原子数%以下である、請求項記載の二次電池。
  16. 前記負極活物質層は、厚み方向において、酸素の濃度が高い酸素高濃度層と、酸素の濃度が低い酸素低濃度層とを有する、請求項記載の二次電池。
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