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JP5081543B2 - 光触媒担持構造体の製造方法及びその方法により得られた光触媒担持構造体 - Google Patents

光触媒担持構造体の製造方法及びその方法により得られた光触媒担持構造体 Download PDF

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Description

本発明は、高分子樹脂製の基材表面に光触媒層を形成してなる光触媒担持構造体の製造技術に関する。
光触媒は、紫外線を照射された場合に酸化力を生じ、これにより脱臭、殺菌、防汚などの優れた効果を発揮し得る。従って、基材表面にこのような特性を発揮可能な光触媒層を形成することにより、優れた特性を発揮する高分子樹脂製の素材を得ようとする試みが、様々な分野においてなされている。
例えば、明るい室内空間を得ることが可能であり、また軽く、成形に関する自由度が高いなどの意匠的側面からの優位性を備えるために建材としての利用が近年急激に増大している高分子樹脂製の膜材では、従来、屋外使用の際に雨だれによって発生する黒色の筋模様が悩みの種であった。そこで、かかる不具合を解消するために膜基材の表面に酸化チタンなどの光触媒を塗布する技術が実用化されるに至っている(特開平10−237769号参照。)。このような膜基材は、自浄力を備えるものであり、上記の如き意匠的利点に加えて構造物の美観を維持するに必要な手間も小さくて済むという非常に優れた建材となっている。
しかしながら、光触媒層をその表面に形成した樹脂膜材でもその酸化力に基づく脱臭、殺菌、防汚などの機能が十分だとは言えない場合もある。例えば、光触媒層を備えた上記の如き樹脂膜材においては、水との接触角が50°程度と比較的大きいことから表面の親水性を十分に確保できない場合があり、降雨後一時的に、雨水の流下した部分に汚れが発生することがある。このような不具合を解消するために光触媒性能を更に強化するのが望ましいのが自明であることは、樹脂製の膜基材を用いた光触媒担持構造体に限らず、他の樹脂製基材を用いた光触媒担持構造体についても同様である。
そこで、本発明は、高分子樹脂製基材の表面に光触媒層を形成してなる光触媒担持構造体を、その光触媒の機能がより強力になるように改良することをその目的とする。
本発明では、従来の光触媒担持構造体表面に設けられた光触媒層を再加熱することにより、光触媒の機能を強化することにしている。即ち、従来の光触媒担持構造体は、高分子樹脂からなる基材の表面に光触媒塗布液を塗布して光触媒層を形成し、これを加熱乾燥し、基材の表面に光触媒を担持させることによってその製造がなされているが、本発明では、この加熱乾燥を行った後に、乾燥温度以上且つ800℃以下の温度で、基材の変形が生じないような時間範囲内で、光触媒層を再加熱することにより光触媒担持構造体を製造することとしている。本出願人は、このようにして得た光触媒担持構造体が従来のそれよりも高い触媒活性を示すことを既に確認している。
現時点では詳しい理論は不明であるが、出願人は、以下のような理論により、上記触媒活性の向上が達成された一因を説明できると考えている。即ち、従来の光触媒担持構造体の製造方法では、光触媒層を基材の表面に塗布した後においては、樹脂基材の軟化による変形が発生するのを防止するために、比較的低温での加熱による光触媒層の乾燥が比較的長時間をかけて行われている。具体的には、基材が塩化ビニルの如き熱可塑性の高分子樹脂からなる場合には、光触媒層を乾燥する際の加熱温度は、30℃以上160℃未満であり、それより高温での乾燥が可能な熱硬化性の樹脂などにおいてもこの程度の温度で光触媒層の乾燥が行われている。出願人の考えでは、この乾燥工程において、基材に含まれている可塑剤などの有機物が光触媒層に移動しており、これが光触媒粒子を覆うことで触媒活性の低下を招いている。従って、前記乾燥工程を行った後に、乾燥工程における温度よりも高い温度での光触媒層加熱を行い、そしてその再加熱の過程で前記不純物の除去が生じているとすれば、再加熱温度が基材に変形を生じないような短時間であったとしても、それにより触媒活性の向上が生じることは十分起こりうることであると考えられる。
つまり、本出願による光触媒担持構造体の製造方法では、乾燥温度よりも高い温度で光触媒層を再加熱することが必要であり、これが再加熱温度の下限となっている。一方、再加熱温度が光触媒層の乾燥温度よりも高ければ、本願発明の再加熱温度には本来上限がない。しかしながら、余りにも再加熱温度が高い場合には例えば基材の熱分解が生じるなどの不具合が予想されるし、また出願人が研究を行った範囲では一定以上の高温で再加熱をしたとしても、光触媒自身の活性の向上はそれ以上の変化を見せないことが判明している。逆に、加熱温度が800℃を超えた場合には、触媒に二酸化チタンを用いた場合においては、アナターゼ型から触媒活性がそれよりも低いルチル型への相転移が生じることにより、触媒活性が低下することも考えられる。従って、これらの点に加えてコスト面も考慮すれば、本発明による光触媒担持構造体の製造方法で行う再加熱の温度は800℃もあれば十分と言える。
また、ここで150℃以上の高温化でも軟化、変形を生じない、例えば熱硬化性の高分子樹脂からなる基材を用いる場合には、150℃以上800℃以下の温度をある程度長い時間かけることが可能なので、光触媒層の乾燥を従来の如く30℃以上160℃以下の温度で行った後に、150℃以上800℃以下の温度(但し、乾燥温度よりは高い温度範囲とする。)で光触媒層の再加熱を行えば、上記のような高い触媒活性を示す光触媒担持構造体を得られることになる。特に、光触媒層の再加熱を、300℃以上600℃以下とした場合には、光触媒の活性が非常に高くなると同時に、コスト面からも優れたものとなるため好ましい。
一方、本発明による光触媒担持構造体の製造方法は、基材の軟化点温度が比較的低い場合に応用することも意図している。例えば、光触媒層が表面に形成された基材を加熱したローラなどに接触させて再加熱したり、高温の熱風が出るライスタなどを用い、これを動かしながら光触媒層を再加熱することによって再加熱の時間を短時間とすることが可能であり、そうすることで基材に変形を生じさせることなく、基材の軟化点温度よりも高い温度によって再加熱を行えるようになる。このような短時間の加熱によっても触媒活性の向上が確認されているのは勿論である。尚、この場合の再加熱温度は、比較的高温の高分子樹脂を基材に利用する場合に適している上記の場合と同様の範囲内とすることができる。
また、上記光触媒担持構造体の製造方法においては、光触媒層の再加熱時に、又は光触媒層を再加熱した後に、光触媒層を基材へ押圧するのが好ましい。このようにすることで、光触媒層の基材への結合力が強固になるからである。
本発明における光触媒塗布液としては、シリコン化合物を0.001%〜5重量%、金属の酸化物及び/又は水酸化物のゾルを、固型分として0.1〜30重量%、及び光触媒の粉末及び/又はゾルを、固型分として0.1〜30重量%含有するものを用いることができる。
ここで本発明における光触媒としては、粉末状、ゾル状、溶液状など、光触媒層の乾燥温度で乾燥した時に、樹脂製の基材に固着して光触媒活性を示すものであればどのようなものでも使用可能である。ゾル状の光触媒を使用する場合、粒子径が20nm以下、好ましくは10nm以下のものを使用する。
また、本発明における光触媒としては、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta,WO、SnO、Bi、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InPb、RuO、CeOなど、及びこれらにPt,Rh,RuO、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属又はこれら金属の酸化物を添加したものを利用することができる。また、これらに光触媒還元作用を利用してPt、Rh、RuO、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属を添加したものなどを使用可能である。
また、本発明の光触媒層の塗布液中に添加するシリコン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及びそれらの加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
光触媒層形成のための塗布液中へシリコン化合物を添加する方法についての制限は特にないが、光触媒粉末若しくはゾルの液中へ添加する方法や、光触媒とともに添加する金属酸化物及び/又は水酸化物のゾル液中へ添加する方法など種々の方法を使用することが出来る。また、部分加水分解されたシリコン化合物をこれに添加されていても良い。
また、上記金属酸化物ゲル若しくは金属水酸化物ゲルは、その比表面積が、150℃で乾燥後50m/g以上あるのが好ましく、100m/g以上あると更に好ましい。このような比表面積を有するのであれば接着性はより強固になり、触媒活性も向上することになる。ここで、金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルを好ましく例示することができる。
また、実際の使用に当たっては、ゲルを形成させるためのゾルを混合し乾燥して得られるゲルでも、共沈法などの方法で作られる複合酸化物ゲルを使用しても良い。光触媒との複合化には、ゲルとなる前のゾルの状態で均一混合するか、若しくは、ゾルを調製する前の原料段階で混合するのが望ましい。ゲルを調製する方法には、金属塩を加水分解する方法、中和分解する方法、イオン交換する方法、金属アルコキシドを加水分解する方法等があるが、ゲルの中に光触媒粉末が均一に分散された状態で得られるものであれば、いずれの方法も使用可能である。但し、ゲル中に多量の不純物が存在すると、光触媒の接着性や触媒活性に悪影響を与えるので、不純物の少ないゲルの方が好ましい。
また、本発明に使用される光触媒坦持基材では、光触媒層と基材との間に接着層及び/又は中間層を設けることができる。接着層塗布液としては、例えばシリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂やコロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂を樹脂固形分として1〜50重量%含む溶液を使用することができる。
接着層樹脂がアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂とされている場合におけるシリコンの樹脂への導入方法は、エステル交換反応、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応、ヒドロシリル化反応、ブロック共重合法等種々あるが、本発明ではどのような方法で作られた物でも使用することができる。シリコンを導入する樹脂としては、成膜性、強靭性、担体との密着性の点で最も優れたアクリル樹脂やエポキシ樹脂を使用するのが好ましいが、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等をこれらに代えて使用することもできる。これらの樹脂は、溶剤に溶けたタイプであってもエマルジョンタイプであってもどちらでも使用することができる。また、架橋剤などの添加物が含まれていても何等問題はない。
接着層樹脂として、ポリシロキサンを含有し、そのポリシロキサンが炭素数1〜5のアルコキシ基を有するシリコンアルコキシドの加水分解物或いは該加水分解物からの生成物を用いた場合には、接着性及び耐久性がより向上した担持構造体を得ることができる。また、シリコンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が6以上であると、高価であり、しかも加水分解速度が非常に遅くなるので樹脂中での硬化が困難になり、接着性や耐久性に劣るものとなる。また、部分的に塩素を含んだシリコンアルコキシドを加水分解したポリシロキサンを使用することもできるが、塩素を多量に含有したポリシロキサンを使用すると、不純物の塩素イオンによって、担体の腐食や接着性の劣化が生じる場合もある。
ポリシロキサンを樹脂へ導入する方法としては、シリコンアルコキシドモノマーの状態でポリシロキサンを樹脂溶液へ混合し、接着層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法、前もって、シリコンアルコキシドを部分加水分解した物を樹脂と混合し、更に、保護膜形成時に空気中の水分で加水分解する方法等種々あるが、樹脂と均一に混合できる方法ならどのような方法でも良い。また、シリコンアルコキシドの加水分解速度を変えるために、酸や塩基触媒を少量添加しても構わない。ここで、ポリシロキサンを導入する樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の使用が可能であるが、耐久性の点から見れば、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂を用いるのが最も優れている。
接着層が、コロイダルシリカを含有する樹脂の場合、そのコロイダルシリカの粒子径は10nm以下が好ましい。10nm以上になると、接着層中の樹脂は光触媒により劣化し易くなるばかりか、光触媒層と接着層との接着も悪くなる。このコロイダルシリカを樹脂に導入する方法としては、樹脂溶液とコロイダルシリカ溶液とを混合後、これを塗布、乾燥して接着層を形成する方法が最も簡便であるが、コロイダルシリカを分散した状態で、樹脂を重合し、合成したものを塗布、乾燥して使用しても良い。また、コロイダルシリカと樹脂との接着性及び分散性を良くするために、シランカップリング剤でコロイダルシリカを処理して用いることもできる。
コロイダルシリカを導入する樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を挙げられるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂を用いるのが耐久性の点から最も優れている。また、コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することにより作られるシリカゾルであっても、シリコンアルコキシドを加水分解して作られるシリカゾルであっても、どのような物でも使用することができる。
また、光触媒作用による劣化を抑える目的で、上記接着層樹脂に、光安定化剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより耐久性を向上させることができる。光安定化剤としては、ヒンダードアミン系のものを用いるのが好ましいが、その他の物を使用することも可能である。紫外線吸収剤としてはトリアゾール系などを使用できる。添加量は、樹脂に対して0.005wt%以上10wt%以下、好ましくは0.01wt%以上5wt%以下である。尚、接着層の表面をシラン系若しくはチタン系カップリング剤で処理すると光触媒層との接着性が向上することがある。また、接着層の溶液中に界面活性剤を0.00001重量%〜0.1重量%添加することによっても良好な光触媒担持体とすることができる。
接着層を担体に担持する方法としては、樹脂溶液を、印刷法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法又はスピンコーティング法等でコートしてから乾燥する方法を使用できる。この場合の乾燥温度は、溶媒や樹脂の種類によっても異なるが、一般的に150℃以下が好ましい。接着層の厚さを0.1μm以上とすれば、光触媒層を強固に接着した耐久性の高い光触媒担持構造体とすることが可能である。尚、光触媒担持構造体の基材を膜材とする場合においてその屈曲性能の確保を考慮するのであれば、接着層の厚さは10μmが上限となる。また、グラビア印刷法などの短時間で接着層を乾燥硬化させることが必要な塗布法の場合は、シリコン系などの硬化剤を接着層固形分に対し、必要な硬化速度に応じて0.1〜10重量%添加することも好ましく採用される。
光触媒層を基材又は接着層上へ形成するには、金属酸化物ゾル若しくは金属水酸化物ゾル液中に光触媒を分散した懸濁液を、接着層形成の場合と同様のコート法を用いてコートすることができる。金属酸化物ゾル若しくは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解や中和分解してゾル化若しくはゲル化させても良い。ゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されていても良い。また、ゾル懸濁液中に光触媒に対し、5重量%以下の界面活性剤やシランカップリング剤などを添加して、接着性や操作性を良くすることもできる。光触媒層形成時の乾燥温度としては、担体材質及び接着層中の樹脂材質によっても異なるが、30℃以上160℃未満が好ましい。
光触媒層は、厚さを増した方が高活性を得られるが、厚さが5μm以上になると活性がほとんど変わらなくなる。一方、厚さ5μm以下でも実用的に足りる十分に高い触媒活性を得ることが可能であり、しかも光触媒槽の厚さを減少させた場合には、透光性に優れ、且つ触媒層が目立たなくなるという利点が生じる。しかし、厚さが、0.1μm未満になると透光性には非常に優れたものになるものの、光触媒が利用している紫外線をも透過するものとなってしてしまうため、高い触媒活性は望めなくなる。ここで、光触媒層の厚さを0.1μm以上5μm以下にし、且つ結晶粒子径が40nm以下の光触媒粒子及び比表面積100m/g以上の金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを用いると、光触媒層と接着層の合計の波長550nmの全光線透過率は70%以上になる。波長550nmの全光線透過率が、70%以上になるように担持した構造体は、基材が透明な場合、透過した可視光線を照明として利用でき、また基材が不透明な場合でも、基材上の柄を損なうことがないので装飾性の上でも有用となる。
ここで、中間層塗布液としては光触媒機能及び光触媒坦持基材全体の密着性等を損なわなければその組成について特に制限はなく、例えば、前記した光触媒塗布液又は接着層塗布液をそのまま又は組成を変更して用いることができる。また、前記した条件を満たす限り、複数の層が含まれていても構わない。中間層を接着層上に形成するには、接着層や光触媒層を形成する方法と同様なコート方法でコートすることができる。中間層の厚みは、特に制限はされないが、接着層及び光触媒層を合わせた全体の厚みがあまり大きくなりすぎると、基材の加工性及び耐久性等に問題が生じるため通常は0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
ここで、本発明に用いられる基材は、高分子樹脂製であればその原料について特に制限されることはないが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂、フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂等により、上記基材を形成することができる。また、基材として、1重量%以上80重量%以下の可塑剤、好ましくは5重量%以上80重量%以下の可塑剤を含むものを用い、これに本発明による光触媒坦持基材の製造方法を適用した場合には、従来の方法により得た光触媒担持基材と比較して顕著に光触媒機能の向上が見られる。また、基材として10重量%の塩化ビニル樹脂を含むものを用い、これに本発明による光触媒坦持基材の製造方法を適用した場合には、従来の方法により得た光触媒担持基材と比較して顕著に光触媒機能の向上が見られるようになる。
本発明に用いられる高分子基材の形状は、フィルム状、板状、管状、繊維状、網状等どのような形状でもよい。また、その大きさは10μm以上であれば光触媒を強固に担持することができる。高分子樹脂基材と光触媒層、接着層、又は中間層との密着性を良くするために、放電処理やプライマ−処理等をその表面に施した高分子樹脂基材を用いることもできる。また、施工済の建築資材、家庭電化製品、めがね等用途によっては、製品として存在する加工済の高分子樹脂成形体に本発明の光触媒担持構造体の製造方法による処理を行うことによって、本発明による光触媒担持構造体とすることもできるため、その応用範囲は極めて広いと言える。
特に膜材、その中でもテント地キャンバスに本発明の方法を応用した場合、従来の方法で製造した場合に比較して顕著な効果が現れる。テント地キャンバスとしては、既存のどの様な種類のテント地キャンバスでも用いることができる。ポリエステル等の樹脂からなる繊維を織った基布、該基布に塩化ビニル樹脂をコート含浸塗布により加工した塩ビ含浸基布、該塩ビ含浸基布の表面をアクリル、フッ素樹脂等でコートした表面処理塩ビ含浸基布など、テント地キャンバスとして呼称される全てのものに適用可能であるが、広く使用されているB種テント地キャンバス、C種テント地キャンバス、倉庫用膜材料に対しては特に好ましく使用できる。
また、本発明の光触媒担持テント地キャンバスは、広く一般建築用材料として、例えばテント倉庫の屋根、トラックシートなどの輸送体機器の幌、野積みシート、店舗用装飾テント、商店等の軒だし日除け、各種アーケードの屋根、展示会パビリオン等の屋根や側面の覆い、ガソリンスタンドの屋根や側面の覆い、防水保護シート、防雪シート、エアードーム、プールカバー等、防汚、抗菌、防カビの効果を必要とする多くの場面にその優れた防汚性、抗菌性、防カビ性を生かして長期にわたって表面の美麗な状態を維持するため、特に好ましく使用できるものである。
本発明に係る光触媒担持基材の製造方法によれば、従来品と比較して遥かに高い脱臭、殺菌、防汚などの触媒性能を発揮する光触媒担持基材を得られるようになる。特に、高分子基材として膜基材を用いた光触媒担持基材は、屋外使用で高い自浄作用を発揮しうる優れた建材となり得る。
本発明による光触媒担持基材の製造方法の好ましい一実施形態について以下説明する。
実施例この実施例では、(株)クラレ製C種テント地キャンバスであるファルコンKN−C2000(103cm幅×50m 207ホワイト)を高分子樹脂基材として使用した。尚、このファルコンKN−C2000は、塩化ビニル及び可塑材を含んでいる。
この実施例における光触媒担持基材の製造方法を行うには、まずこのファルコンKN−C2000をA4サイズに切り出し、シリコン含量3重量%のアクリル−シリコン樹脂を10重量%含有するキシレン−イソプロパノール(50/50)溶液に、アクリル−シリコン樹脂に対して30重量%のポリシロキサン(コルコート(株)製メチルシリケート51)と、及び界面活性剤とを添加し、混合した溶液を、No.7のバーコーターで塗布し、60℃で30分乾燥して接着層とした。尚、接着層の厚さは約0.5μmである。
室温下放冷後、光触媒層として酸化チタン含有量5重量%の硝酸酸性チタニアゾルを、酸化珪素含有量5重量%の硝酸酸性シリカゾル中に界面活性剤の存在下分散させ、光触媒塗布液とした。この光触媒塗布液を、接着層の場合と同様にNo.7のバーコーターで上記接着層の表面に塗布して光触媒層を形成した。その後、光触媒層を形成の高分子樹脂基材を、60℃で30分間乾燥して光触媒担持構造体(光触媒担持C種テント地キャンバス)とした。尚、光触媒層の厚さは、約0.6μmである。
その後、加熱温度、再加熱時間を変化させ、上記乾燥させた光触媒層を複数条件下で再加熱した。この実施例における再加熱は、ライスタによる速さ3.0m/分での高温熱風吹き付け、又は恒温槽での1分間の加熱により行った。再加熱の条件及びそれにより得られた光触媒担持基材の触媒性能に関する試験結果を表1に示している。この試験では、従来方法及び本件実施形態で説明した方法で得た光触媒担持基材によるシート材を屋外で暴露し、色差を測定することにより行った。暴露期間は、平成10年8月25日〜同10月8日までである。また、色差測定は、波長範囲380nm〜780nmまでで、N=1である。
Figure 0005081543
また、上記と同様の条件で得た光触媒担持構造体に対する水の接触角を調べ、それを表2にまとめた。
Figure 0005081543
上記表1及び表2より、ライスタを用いた再加熱の場合には、再加熱処理を行わない場合上比較して、再加熱温度を上げるにつれて光触媒性能が向上しているのがわかる。特に、再加熱温度が200℃を超え300℃に達したときには、極めて優れた光触媒性能が発揮されている。尚、この実施例では、いずれの基材の形態にも特に変化は見られなかった。一方、恒温槽による再加熱の場合には、再加熱温度が100℃の場合には目立った効果が見られなかったが、150℃で1分の再加熱を行うことにより光触媒性能の明かな向上が見られた。

Claims (14)

  1. 塩化ビニル樹脂からなる基材の上に光触媒塗布液を塗布して光触媒層を形成し、これを加熱乾燥させることで基材の表面に光触媒を担持させ、
    前記加熱乾燥により光触媒をその表面に担持させた基材をその後、前記加熱乾燥時の温度以上且つ800℃以下の温度で再加熱する、
    光触媒担持構造体の製造方法。
  2. 光触媒層の加熱乾燥のための加熱を30℃以上160℃未満で行うと共に、光触媒層の再加熱を、150℃以上800℃以下で行う請求項1記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  3. 光触媒層の再加熱を、300℃以上600℃以下で行う請求項2記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  4. 光触媒層の再加熱を、基材が変形を生じない時間内で行う請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  5. 光触媒層の再加熱を、熱風の吹きつけにより行う請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  6. 光触媒層の再加熱時に、又は光触媒層を再加熱した後に、光触媒層を基材へ押圧する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  7. 基材表面に、接着層塗布液及び/又は中間層塗布液を塗布して接着層及び/又は中間層を形成し、その接着層又は中間層の表面に光触媒塗布液を塗布して光触媒層を形成する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体の製造方法により製造した光触媒担持構造体。
  9. 基材は膜材である請求項8記載の光触媒担持構造体。
  10. 基材は、1重量%以上80重量%以下の可塑剤を含む請求項8又は請求項9のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体。
  11. 基材は、5重量%以上80重量%以下の可塑剤を含む請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体。
  12. 基材は、10重量%以上の塩化ビニル樹脂を含む請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体。
  13. 光触媒層の厚さを、0.1〜5μmとした請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体。
  14. 接着層の厚さを、0.1〜10μmとした請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の光触媒担持構造体。
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