JP4169557B2 - 光触媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光エネルギーによって物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことから、環境浄化や防汚、防曇等の分野へ応用が知られている酸化チタンに代表される光触媒の部材表面への固定化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
【0003】
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
【0004】
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究が盛んになってきている。この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法が非常に重要な役割を担う。
【0005】
光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特開昭60−044053号公報では、光触媒をスパッタリング法により基材の表面に薄膜状にして固定化する方法が開示されている。
それらの方法のうち特に有用な方法の1つとして、光触媒を含む組成物によって基材の表面をコーティングし、光触媒を含む皮膜を形成させることにより、光触媒を基材の表面に固定する方法が注目されている。
【0006】
この方法によって光触媒の固定化を行う場合、
(1)光触媒の活性を損なうことなく、光触媒を基材の表面に強固に固定化できること、および
(2)形成される皮膜およびその皮膜によって被覆された基材が、光触媒の作用で劣化しない耐久性を有すること
が要求される。
【0007】
コーティングによって光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特開昭60−118236号公報では、光触媒の前駆体、例えば有機チタネートを含有するゾルを基材の表面に塗布した後、焼成によって光触媒の前駆体をゲル化させ、光触媒に変換すると共に、生成した光触媒を基材の表面に固定化する方法が提案されている。しかしこの方法は、光触媒の微粒子状結晶を基材の表面で生成させる工程を含んでおり、この工程には高温での焼成が必要である。そのため、基材の表面積が広い場合には光触媒の固定化が困難になる、という欠点がある。
【0008】
特開平6−278241号公報では、光触媒含有ゾルを使用する(従って光触媒の微粒子状結晶の生成過程を必要としない)方法として、水中に解膠させた酸化チタンゾルを用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかし、酸化チタンゾルは穏和な条件下では成膜性がないため、この方法においても高温度での焼成が必要である。その上、生成する被膜は脆く容易に破壊され、光触媒が基材の表面から脱落してしまうため、光触媒が基材の表面で効果を示すようにすることができなくなる、という欠点があった。
【0009】
また、光触媒を混合した樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法も提案されている。例えば、特開平7−171408号公報、特開平9−100437号公報および特開平11−188271号公報では、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の、光触媒の作用によって分解されにくい樹脂を塗膜形成要素として含む樹脂塗料に光触媒を混合し、この樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかしこれらの方法では、樹脂塗料に対する光触媒の分散性が悪いため、樹脂塗料が白濁してしまう。また、これらの方法によって良好な物性を示す被膜を得るためには、上記の樹脂の使用量を多くする必要があるが、そのようにするとコーティングによって形成された皮膜の中に光触媒が埋没してしまい、十分な活性を示さないという欠点がある。
【0010】
さらに、特開平9−314052号公報では、樹脂塗料と、その樹脂塗料を構成する溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を併用する方法が提案されている。即ち、まず基材の表面に樹脂塗料を塗布し、次いでその樹脂塗料が硬化する前に、樹脂塗料の上に光触媒粒子を塗布する方法が提案されている。しかしこの方法では、工程が煩雑な上、均質で透明な塗膜が得られない欠点がある。なおこの特許公報中では、さらに、工程の簡略化を目的として、溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を樹脂塗料中に混合したものを塗布することによりコーティングを行う方法も提案されている。しかし、溶剤に対する濡れ性を調整しただけでは、コーティングによって形成された皮膜の中への光触媒粒子の埋没を阻止することはできず、ほとんどの光触媒粒子が皮膜の中に完全に埋没してしまうので光触媒粒子が十分な活性を示さないという欠点がある。
さらに、光触媒を固定化する基材として、プラスチック成形体、フィルム、有機塗膜等の有機基材を用いた場合、上述した従来技術で得られる光触媒皮膜は光触媒作用により該有機基材を酸化分解し、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化を生じ、長期にわたる耐久性を維持できないという欠点も有している。
【0011】
上述した従来技術の種々の欠点を克服するための方法として、我々は、表面エネルギーの低いシリコーン化合物で光触媒粒子の表面を変性した変性光触媒と、それより表面エネルギーの高いバインダーからなる光触媒組成物を提案した(国際公開2000−30747号公報)。該光触媒組成物は、光触媒粒子の濃度が有機基材と接する界面近傍では小さく、皮膜表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した皮膜を形成するため、光触媒作用による有機基材との界面劣化が無く、光触媒活性が大きい光触媒皮膜を形成する。しかし、この方法においても、表面エネルギーの高いバインダーとして光触媒分解が比較的おこりにくいシリコーンアクリル樹脂を用いた場合においてさえ、長期間の光触媒作用によるバインダー自体の劣化は完全には防止できず、長期の耐久性に優れた光触媒固定化部材を得ることが困難であるという技術課題を有している。
【0012】
ちなみに、特開平9−227831号公報では、光触媒粒子を加水分解性基含有シラン誘導体や加水分解性基含有シロキサンオリゴマーで被覆し、光触媒粒子表面の等電点を酸性側にずらす(結果として表面エネルギーを高くする)ことにより優れた分散安定性を光触媒粒子に付与し、塗膜形成要素であるシロキサン中で長期に安定よく保存できる光触媒コーティング組成物を提案している。しかし、これらの方法では光触媒粒子は塗膜表面に自己傾斜することが無く、上記課題である長期の耐久性に優れた光触媒固定化部材を得ることが困難である。
【0013】
また、特開2001−64583号公報では、光触媒粒子とシリコーンアクリル樹脂と水系溶媒を必須成分とする傾斜塗膜を形成する光触媒含有塗料組成物を提案している。この場合、傾斜塗膜は、シリコーンアクリル樹脂中の疎水性部位であるアクリル樹脂成分が、親水性(表面エネルギーの高い)光触媒粒子と基材との間に割り込む様に配向することによって得られるため、光触媒に分解されやすいアクリル樹脂が必須となり、結果として皮膜自体の耐久性は非常に悪いものとなる。
すなわち、コーティングによって光触媒を基材の表面に固定化する方法において、煩雑な工程を必要とせずに上記(1)、(2)の条件を全て満足するものは未だ知られていない。
【0014】
【特許文献1】
特開昭60−044053号公報
【特許文献2】
特開昭60−118236号公報
【特許文献3】
特開平6−278241号公報
【特許文献4】
特開平7−171408号公報
【特許文献5】
特開平9−100437号公報
【特許文献6】
特開平11−188271号公報
【特許文献7】
特開平9−314052号公報
【特許文献8】
国際公開2000−30747号公報
【特許文献9】
特開平9−227831号公報
【特許文献10】
特開2001−64583号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、煩雑な工程を必要とせずに上記(1)、(2)の条件を全て満足する光触媒の固定化技術提供することである。具体的には、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化や光触媒皮膜中のバインダーの劣化を生じることが無く、硬度等と柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)のバランスに優れ、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発現する耐久性に優れた機能性複合体を煩雑な工程を必要とせずに得ることができる光触媒組成物を提供することである。また、水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を長期にわたり発現する成形体を、煩雑な工程を必要とせずに得ることができる光触媒材料を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む光触媒体であって、該バインダー成分(B)が、下記式(1)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)の相と下記式(2)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)の相とからなることで2相に相分離した相分離構造を有しており、前記光触媒(A)と前記バインダー成分(B)との質量比が(A)/(B)=0.1/99.9〜40/60である光触媒体。
R 2 u X v SiO (4-u-v)/2 (1)
(式中、R 2 は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
R 1 p R 2 q X r SiO (4-p-q-r)/2 (2)
(式中、各R 1 はフェニル基を表し、R 2 は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
【0020】
2.該フェニル基含有シリコーン(BP)が、下記式(3)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)であることを特徴とする発明1に記載の光触媒体。
R1 sXtSiO(4-s-t)/2 (3)
(式中、R1はフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
【0021】
3.該アルキル基含有シリコーン(BA)が、下記式(4)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と下記式(5)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)とを有することを特徴とする発明1または2に記載の光触媒体。
−(R2 2SiO)− (4)
(式中、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。)
【0022】
【化4】
(式中、R2は式(7)で定義した通りである。)
【0023】
4.該光触媒(A)が、下記式(6)で表されるトリオルガノシラン単位、下記式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、下記式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF2−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A1)であることを特徴とする発明1〜3のいずれか一項に記載の光触媒体。
R3Si− (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (7)
(式中、Rは式(6)で定義した通りである。)
【0024】
【化5】
(式中、Rは式(6)で定義した通りである。)
【0025】
5.該変性剤化合物(b)が、下記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする発明4に記載の光触媒体。
HxRySiO(4-x-y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。)
【0026】
6.該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、下記式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、下記式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、下記式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒体。
【0027】
【化6】
(式中、R3は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、フェニル基、又は下記式(13)で表されるシロキシ基を表す。
−O−(R4 2SiO)m−SiR4 3 ・・・(13)
(式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R3 2SiO)n−SiR3 2−H ・・・(11)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(R3HSiO)a(R3 2SiO)b(R3 3SiO1/2)c ・・・(12)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。)
【0028】
7.該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする発明1〜6のいずれか一項に記載の光触媒体。
8.該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該光触媒(A)粒子の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする発明1〜7のいずれか一項に記載の光触媒体。
9.皮膜であることを特徴とする発明1〜8のいずれか一項に記載の光触媒体。
10.発明1〜9のいずれか一項に記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
【0029】
11.該光触媒体が光触媒(A)の分布について異方性を有し、光触媒(A)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面から他方の露出面に向かって高くなることを特徴とする発明10に記載の機能性複合体。
12.成形体であることを特徴とする発明1〜11のいずれか一項に記載の光触媒体。
13.光触媒(A)の分布について異方性を有し、光触媒(A)の濃度が、該成形体の内部から表面に向かって高くなることを特徴とする発明12に記載の光触媒体。
14.発明1〜13のいずれか一項に記載の光触媒体を形成することを特徴とする光触媒組成物。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光触媒体は、光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含み、該バインダー成分(B)が相分離構造であることを特徴とする。バインダー成分(B)が相分離構造であることにより、本発明の光触媒体は耐候性の優れたものとなり、長期にわたり光触媒活性及び/又は親水性を発現することが可能となる。
【0031】
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。材料表面の、光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより表面が光触媒活性であるか否かを判定できる。光触媒活性を有する表面は、優れた汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
【0032】
本発明の光触媒体は、好ましくは光触媒(A)及びバインダー成分(B)あるいは該バインダー成分(B)の前駆体(B’)を含む光触媒組成物(C)から形成することができる。
ここで、該バインダー成分(B)の前駆体(B’)とは、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により反応し、本発明の光触媒体に含有されるバインダー成分(B)を形成するものを言う。
【0033】
本発明の光触媒体に有用に使用できる光触媒(A)としては、例えばTiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3、BaTiO4、BaTi4O9、K2NbO3、Nb2O5、Fe2O3、Ta2O5、K3Ta3Si2O3、WO3、SnO2、Bi2O3、BiVO4、NiO、Cu2O、SiC、MoS2、InPb、RuO2、CeO2、Ta3N5等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)や、窒素ドープ酸化チタン(特開平13−278625号公報、特開平13−278627号公報、特開平13−335321号公報、特開平14−029750号公報、特開平13−207082号公報等参照)や、酸素欠陥型の酸化チタン(特開平13−212457号公報参照)の如き、可視光応答型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。また、TaON、LaTiO2N、CaNbO2N、LaTaON2、CaTaO2N等のオキシナイトライド化合物やSm2Ti2S2O7等のオキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、好適に使用することができる。
【0034】
更に、これらの光触媒に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
上記光触媒(A)の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nmの光触媒が好適に選択される。
【0035】
これらの光触媒のうち、酸化チタンは無毒であり、化学的安定性にも優れると共に、光照射により、酸化チタン自体の親水性が非常に高まるため好ましい。
該酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち、いずれの結晶形を使用してもよい。また、可視光応答性である上記窒素ドープ酸化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンも、該酸化チタンとして好適に使用できる。
本発明の光触媒(A)として、該光触媒(A)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理した変性光触媒(A1)を用いることが好ましい。
【0036】
本発明において光触媒(A)の変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(A)粒子の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)やクーロン力または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0037】
本発明の光触媒(A)を変性光触媒(A1)とすることにより、本発明の光触媒組成物(C)から光触媒体を形成する場合に、該光触媒体中における光触媒(A)の濃度が、該光触媒体の内部側から他方の露出面に向かって高くなる構造の形成が、特に後述するバインダー成分(B)と組み合わせた場合に容易になるため、非常に好ましい。
本発明においては、変性に用いる光触媒(A)の性状が、変性光触媒(A1)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。すなわち、本発明の変性に使用される光触媒(A)としては、1次粒子と2次粒子との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒が変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために好ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒を使用した場合、生成する変性光触媒(A1)と後述するバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)から形成された本発明の光触媒体は、変性光触媒(A1)を効率的に該光触媒体の表層部に存在させることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒(A)が好適に選択される。
【0038】
これらの光触媒(A)としては、以下の理由から、光触媒粉体ではなく光触媒ゾルを使用することが好ましい。一般に微細な粒子からなる粉体は、単結晶粒子(一次粒子)が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多いが、一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で存在しているため表面特性を有効に利用でき、それから生成する変性光触媒は分散安定性、成膜性等に優れるばかりか、種々の機能を有効に発現するので好ましく使用することができる。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルとは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
【0039】
ここで、上記光触媒ゾルに使用される上記有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0040】
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
【0041】
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販されている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の酸化チタンは好ましくは50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
【0042】
このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低い。本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、0.5mPa・s〜2000mPa・s程度の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1mPa・s〜1000mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s〜500mPa・sである。
また、例えば酸化セリウムゾル(特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
【0043】
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
【0044】
本発明において、変性光触媒(A1)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)は、式(6)で表されるトリオルガノシラン単位、式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF2−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる。
R3Si− (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(R2SiO)− (7)
(式中、Rは式(6)で定義した通りである。)
【0045】
【化7】
(式中、Rは式(6)で定義した通りである。)
【0046】
上述した構造単位を有する変性剤化合物(b)で光触媒粒子表面が変性処理された変性光触媒(A1)は、その粒子表面の表面エネルギーが非常に小さくなる。
本発明において、光触媒(A)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(A)と、同じく前述した変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(A)/(b)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(A)/(b)=10/90〜99/1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
【0047】
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0048】
本発明の変性光触媒(A1)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子(a)と反応性を有するケイ素化合物やフルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
【0049】
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えばポリオキシアルキレン基等の光触媒粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造を有するケイ素化合物等やフルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
本発明において、上記変性剤化合物(b)として、組成式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒粒子表面を変性することができるため好ましい。
HxRySiO(4−x−y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。)
【0050】
本発明において、光触媒(A)の上記組成式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(A)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(A)/(b1)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(A)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均分散粒子径の増加が観察される。また、例えば光触媒(A)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。
【0051】
これらのことより、変性剤化合物(b)として上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を選択した場合は、本発明の変性光触媒(A1)は、Si−H基含有ケイ素化合物(b1)と光触媒(A)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できるため非常に好ましい。実際、この様にして得られた変性光触媒(A1)は、有機溶媒に対する分散安定性や化学的安定性、耐久性等等において非常に優れたものとなっている。
本発明において、光触媒(A)の上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、Si−H基に対する脱水素縮合触媒を使用して好ましくは0〜150℃で実施することもできる。
【0052】
この場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒を光触媒(A)に固定し、上記Si−H基含有ケイ素化合物(b1)で変性処理しても良いし、脱水素縮合触媒の存在下に上記Si−H基含有化合物ケイ素(b1)で光触媒(A)を変性処理しても良い。
ここでSi−H基に対する脱水素縮合触媒とは、Si−H基と光触媒表面に存在する水酸基(酸化チタンの場合はTi−OH基)やチオール基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合触媒を使用することにより温和な条件で光触媒表面を変性することが可能となる。
【0053】
該脱水素縮合触媒としては、例えば白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好ましく、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。
ここで、上記白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を使用することができる。
【0054】
本発明の上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するために好ましい官能基である。これに対し、加水分解性基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応を抑制し、得られる変性光触媒の安定性を向上するためには、その含有量は少ない方が好ましい。
本発明に好適に使用できる上記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の、加水分解性シリル基を有さないS−H基含有化合物を挙げることができる。
【0055】
【化8】
(式中、R3は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、フェニル基、又は式(13)で表されるシロキシ基を表す。
−O−(R4 2SiO)m−SiR4 3 ・・・(13)
(式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R3 2SiO)n−SiR3 2−H ・・・(11)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(R3HSiO)a(R3 2SiO)b(R3 3SiO1/2)c
・・・(12)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。)
【0056】
本発明において、上記式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
【0057】
これらのモノSi−H基含有化合物の中で、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さや表面エネルギーの低さから、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン等の分子中にシロキシ基を有し、フェニル基を有さない下式(14)で表されるものが好ましい。
【0058】
【化9】
(式中、R5はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルケニル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、もしくは式(13b)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基であり、かつR5の中の少なくとも1つは式(13b)で表されるシロキシ基である。
−O−(R4’2SiO)m−SiR4’3 ・・・(13b)
(式中、R4’はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
【0059】
本発明において、上記式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
【0060】
これらの中で、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さや表面エネルギーの低さから、数平均分子量が好ましくは10000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下のH末端ポリジアルキルシロキサン(式(15))が両末端Si−H基含有化合物として好適に使用できる。
H−(R6 2SiO)d−SiR6 2−H ・・・(15)
(式中、R6はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基を表す。dは整数であり、0≦d≦1000である。)
本発明に用いる上記式(12)で表されるHシリコーンとしては、光触媒の変性処理時における分散安定性(光触媒粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が好ましくは5000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下のHシリコーンが好適に使用できる。
【0061】
また、本発明の変性光触媒(A1)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは5nm以上80nm以下である。ゾルの状態であることが好ましい。
また、特に数平均分散粒子径が100nm以下の変性光触媒ゾルを本発明の光触媒組成物(C)に用いると、変性光触媒粒子の濃度が光触媒体の内部、あるいは光触媒体が基材と接する界面近傍では小さく、光触媒体の露出面である表層部の表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した光触媒体を形成するのに有利となり、光触媒活性が大きい光触媒体を形成するため非常に好ましい。この様な変性光触媒ゾルは、上記変性剤化合物(b)で変性処理をする光触媒として前述した光触媒ゾルを用いることにより得ることができる。
【0062】
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径(結晶子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明の光触媒体を形成する光触媒組成物(C)は、光触媒(A)(好ましくは変性光触媒(A1))とバインダー成分(B)やその前駆体(B’)を含むことを特徴とし、その質量比(A)/{(B)+(B’)}は0.1/99.9〜90/10であることが好ましく、(A)/{(B)+(B’)}が1/99〜50/50で含むことがより好ましい。
【0063】
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)やその前駆体(B’)に使用できる成分としては、例えば各種単量体、合成樹脂及び天然樹脂等が挙げられ、また光触媒体の形成後に、乾燥、加熱、吸湿、光照射等により硬化するものも挙げることができる。また、その形態については、無溶媒の状態(ペレット、粉体、液体等)であっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はない。
【0064】
ここで、上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)やその硬化生成物等の使用が可能であり、例えばシリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。
【0065】
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)として表面エネルギーの異なる2種以上の成分を選択すると、該光触媒組成物(C)から本発明のバインダー成分(B)が相分離構造である光触媒体が容易に形成されるため好ましい。
【0066】
本発明の光触媒組成物(C)において、上述したバインダー成分(B)やその前駆体(B’)の少なくとも1種の成分として、光触媒の酸化分解作用に対し難分解性である難分解性成分(B1)を選択すると、該光触媒組成物(C)から形成される本発明の光触媒体の耐候性は非常に優れたものとなるため好ましい。
この際、上述した光触媒(A)が、該難分解性成分(B1)の相に存在すると、上述した耐候性向上効果は非常に大きなものとなるため好ましい。
【0067】
ここで、上記難分解性成分(B1)とは、好ましくは光触媒体表面の紫外線強度を7mW/cm2になるようにブラックライトの光を5時間照射した時の質量減少が5%以下であるもの等を挙げることができる。
上記難分解性成分(B1)の具体例としては、例えば水ガラス等の無機系化合物やシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂等を挙げることができる。
本発明の光触媒体において、上述した難分解性成分(B1)が該光触媒体の露出面である表層部に多く存在するものは、非常に優れた耐候性を発現するため好ましい。この様な光触媒体を形成するのに好ましい光触媒組成物(C)は、含有する難分解性成分(B1)の表面エネルギーが、他に含まれるバインダー成分(B)またはその前駆体(B’)より小さい系である。この様な光触媒組成物(C)は、難分解性成分(B1)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能となる。
【0068】
ここで自己傾斜性とは、該光触媒組成物(C)から光触媒体を形成する際、その形成過程において、難分解性成分(B1)が、光触媒体が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、難分解性成分(B1)の濃度勾配を有する構造を、好ましくは相分離構造の形成を伴って、自律的に形成することを意味する。ここで、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、以下の方法で測定したりすることにより求めることができる。
例えば、バインダー成分(B)を構成する各々の成分からそれら単体の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、各々の表面エネルギーを求めることができる。
【0069】
【数1】
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
【0070】
本発明の光触媒組成物(C)に用いる難分解性成分(B1)としては、他に含まれるバインダー成分(B)またはその前駆体(B’)より、表面エネルギーが好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上小さいものを選択すると、上記自己傾斜性が大きくなり非常に好ましい。この様な観点から、本発明に好ましく用いることができる難分解性成分(B1)としては、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を例示することができる。
【0071】
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)として使用できるフッ素系樹脂としては、例えばPTFEやポリフッ化ビニリデン、さらにはフッ素含有量1〜80質量%のアクリル−フッ素樹脂、エポキシ−フッ素樹脂、ウレタン−フッ素樹脂やフルオロオレフィンと炭素−炭素不飽和化合物(ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類等)との共重合体等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
また、本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)として使用できるシリコーン系樹脂としては、例えば一般式(16)、(17)、(18)及び(19)で表されるシロキサン結合の少なくとも1種の構造を含むシリコーンを挙げることができる。
【0072】
【化10】
−(R7 2SiO)− ・・・(17)
【0073】
【化11】
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。)
【0074】
【化12】
【0075】
上述した構造を含むシリコーンは、例えば一般式R7SiX3(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜30の一価の有機基を表す。各Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる一つの反応性基を表す。以下同様。)で表される3官能シラン誘導体及び/又は一般式R7 2SiX2で表される2官能シラン誘導体及び/又は一般式SiX4で表される4官能シラン誘導体を部分的に加水分解・縮重合させ、必要により一般式R7 3SiXで表される1官能シラン誘導体及び/又はアルコール類によって末端停止させることにより調製できる。この様にして得られるシラン誘導体モノマーの部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは100〜100,000、より好ましくは400〜50,000である。
【0076】
本発明において、上述した一般式(2)で示されるシリコーンを例示すると、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル類、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーン類、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシランのモノマー、オリゴマー、及び重合体、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤及びその反応生成物、シリコーン界面活性剤等である。これらのシリコーンは単独でも、2種以上を同時に用いることもできる。
【0077】
本発明において、上述したシリコーンとして下記式(1)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)を選択すると、該アルキル基含有シリコーン(BA)を含有する光触媒組成物(C)から形成される光触媒体は、硬度、耐熱性、耐汚染性、耐薬品性等の点で優れたものとなるため好ましい。
R2 uXvSiO(4−u−v)/2 (1)
(式中、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0078】
さらに、上記アルキル基含有シリコーン(BA)として、式(4)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と式(5)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)を、モル比が好ましくは(D)/(T)=100/0〜5/95、より好ましくは90/10〜10/90の割合で有する構造のものを用いると、アルキル基含有シリコーン(BA)の応力緩和作用が増加し、本発明の光触媒体の耐クラック性が向上する結果、耐候性がさらに優れたものとなるため好ましい。
−(R2 2SiO)− (4)
(式中、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。)
【0079】
【化13】
(式中、R2は式(4)で定義した通りである。)
【0080】
本発明の光触媒組成物(C)において、上記難分解性成分(B1)より表面エネルギーの高いバインダー成分(B)またはその前駆体(B’)は、例えば上述した各種単量体、合成樹脂及び天然樹脂等から選択できる。
また、上述した難分解性成分(B1)が該光触媒体の露出面である表層部に多く存在する光触媒体において、上述した光触媒(A)が、該難分解性成分(B1)の相に存在するものは、光触媒活性及び/又は親水性の発現性能が非常に大きく、また非常に優れた耐候性を発現するため好ましい。
【0081】
この様な光触媒体は、好ましくは上記難分解性成分(B1)に関し自己傾斜性を有する光触媒組成物(C)に含まれる光触媒(A)として、上述した変性光触媒(A1)を使用することにより容易に得ることができる。これは、本発明の変性光触媒(A1)は、表面エネルギーの非常に小さい構造(式(1)〜(3)、及びフルオロメチレン基から選ばれる少なくとも1つの構造)を有する変性剤化合物(b)で変性処理されているため、光触媒体を形成する際、それ自体に空気と接する側の表層部表面に移動しやすい性質を持っていると共に、同じく上述した表面エネルギーの小さい難分解性成分(B1)と大きな親和力を有する為と考えられる。
【0082】
本発明の光触媒体において、バインダー成分(B)が難分解性成分(B1)のみを含むものは、最も優れた耐候性を発現するため好ましい。この様な光触媒体を形成するのに好ましい光触媒組成物(C)は、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)として、表面エネルギーの異なる2種以上の難分解性成分(B1)を含有する系である。
この様な系の好ましい例としては、例えば上述したフッ素系樹脂とシリコーン系樹脂の混合系や、異なる表面エネルギーを有するシリコーン樹脂の混合系、異なる表面エネルギーを有するフッ素系樹脂の混合系等を挙げることができる。
【0083】
この場合、表面エネルギーの高いバインダー成分として使用できる難分解性成分(B1)としては、形成される光触媒体の基材への密着性や硬度、耐薬品性、耐候性、光触媒活性及び/又は親水性の発現性の観点から、下式(2)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)が好ましい。
R1 pR2 qXrSiO(4−p−q−r)/2 (2)
(式中、各R1はフェニル基を表し、R2は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
【0084】
また、上記フェニル基含有シリコーン(BP)として、下記式(3)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)は、表面エネルギーがより高くなり、他の難分解性成分(B1)と容易に相分離構造を形成し、上述した効果をより強く発現するため好ましい。
R1 sXtSiO(4−s−t)/2 (3)
(式中、R1はフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
【0085】
また、この場合も、上述した光触媒(A)が、該光触媒体の露出面である表層部に多く存在する表面エネルギーの小さい難分解性成分の相に存在することにより、優れた光触媒活性及び/又は親水性の発現性能を有し、また非常に優れた耐候性を発現するため好ましい。この様な光触媒体は、例えば光触媒組成物(C)に含まれる光触媒(A)として、上述した変性光触媒(A1)を使用することにより容易に得ることができる。
本発明の光触媒組成物(C)における好ましい様態として、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)が、上述したアルキル基含有シリコーン(BA)及びそれより表面エネルギーの高い上記フェニル基含有シリコーン{(BP)、(BP1)}の混合系を含有するものを挙げることができる。
【0086】
この際、上記フェニル基含有シリコーン(BP1)及び上記アルキル基含有シリコーン(BA)の各々の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が、好ましくは100〜10,000、より好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは700〜4,000であるものを使用すると、表面エネルギーが高いフェニル基含有シリコーン(BP1)とアルキル基含有シリコーン(BA)の相分離は、連続層でない相が好ましくは1nm3〜1μm3、より好ましくは10nm3〜0.1μm3、さらに好ましくは10nm3〜0.001μm3の大きさのドメインを形成してミクロ相分離することが可能となる。この場合、本発明の光触媒体の耐候性は更に優れたものとなるため好ましい。
【0087】
また、この場合も、上述した光触媒(A)が、該光触媒体の露出面である表層部に多く存在するアルキル基含有シリコーン(BA)の相に存在することにより、優れた光触媒活性及び/又は親水性の発現性能を有し、また非常に優れた耐候性を発現するため好ましい。この様な光触媒体は、上記アルキル基含有シリコーン(BA)及びフェニル基含有シリコーン(BP)を含有する光触媒組成物(C)に含まれる光触媒(A)として、上述した変性光触媒(A1)を使用することにより容易に得ることができる。
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)としてシリコーン系樹脂を含有する場合であって、該シリコーン系樹脂がヒドロキシシリル基及び/又は加水分解性シリル基を有する場合、従来公知の加水分解触媒や硬化触媒を、該シリコーン系樹脂に対し、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜15質量%の割合で添加することができる。
【0088】
該加水分解触媒としては、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。また、加水分解触媒の量は、ケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して好ましくは0.001〜5モルの範囲内であることが好ましい。
また上記硬化触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのごとき塩基性化合物類;トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのごときアミン化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートのようなチタン化合物;アルミニウム−トリイソプロポキシド、アルミニウム−トリアセチルアセトナート、トリス−(エチルアセトアセトナト)アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウムのようなアルミニウム化合物;錫アセチルアセトナート、ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物;ジルコニウム−テトラアセチルアセトナート、テトラ−(エチルアセトアセトナト)ジルコニウム、ジルコニウム−トリブトキシ−アセチルアセトナート、ジルコニウム−ジブトキシ−ジアセチルアセトナート、ジルコニウム−ジクロロ−ジアセチルアセトナート、テトラブチルジルコネートのようなジルコニウム化合物;コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナートのごとき含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のごとき酸性化合物類などが挙げられる。
【0089】
本発明において、上記硬化触媒のうちジルコニウム化合物、好ましくはジルコニウム−テトラアセチルアセトナートを使用した光触媒組成物(C)は、非常に貯蔵安定性が優れるだけでなく、それから形成する光触媒体は硬度、耐薬品性、耐沸騰水性、耐候性等に非常に優れたものとなるため好ましい。
本発明の光触媒組成物(C)において、バインダー成分(B)またはその前駆体(B’)としてシリコーン系樹脂を含有する場合であって、該シリコーン系樹脂がSi−H基を有する場合、多官能アルケニル化合物のごとき架橋剤を、Si−H基に対しアルケニル基が好ましくは0.01〜2当量、より好ましくは0.1〜1当量となるように添加することが好ましい。該多官能アルケニル合物としては、アルケニル基を有しSi−H基と反応して硬化を促進するものであれば何でもよいが、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などの炭素数2〜30の1価不飽和炭化水素基を有するアルケニル基含有シリコーンが一般に用いられている。
【0090】
また、Si−H基と該多官能アルケニル化合物の反応を促進する目的で、触媒を該シリコーン系樹脂と多官能アルケニル化合物の総量に対し、好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは1〜1000ppmの割合で添加しても良い。該触媒としては白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。該白金族触媒はSi−H基含有シリコーンと多官能アルケニル化合物の合計量に対し白金族金属の量で好ましくは5〜1000ppmの範囲内で使用されるが、これは反応性、経済性及び所望の硬化速度等に応じて増減させることができる。また、所望により白金族触媒の活性を抑制し、ポットライフを延長させる目的で、各種の有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物などの活性抑制剤を添加してもよい。
【0091】
また、本発明の光触媒組成物(C)には、それから形成される光触媒体の硬度や耐擦傷性、親水性を向上させる目的でシリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、希土類酸化物等の金属酸化物微粒子を粉末あるいはゾルの状態で添加しても良い。ただしこれら金属酸化物微粒子は、本発明におけるバインダー成分(B)の様なバインダーとしての能力はなく、光触媒と同様に光触媒体の柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)を低下させる。よって、該金属酸化物の添加量は、光触媒体中において光触媒(A)と金属酸化物の総重量が50質量%以下とすることが好ましい。
【0092】
本発明の光触媒組成物(C)は、無溶媒の状態(液体、固体)であっても溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、コーティング剤として用いる場合は、溶媒に対し溶解あるいは分散した状態が好ましい。この際、該光触媒組成物(C)中の光触媒(A)とバインダー成分(B)の総量は、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは0.1〜70質量%である。本発明の光触媒組成物(C)に用いる溶媒としては、例えば水やエチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
【0093】
また、本発明の光触媒組成物(C)には、必要により通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
本発明の光触媒組成物(C)において、光触媒(A)の自己傾斜性が非常に高い場合(即ち、光触媒体中の光触媒(A)含有量(濃度)100に対し、光触媒体の露出面と接する表面近傍の相対濃度が好ましくは150以上、より好ましくは200以上である場合)、該光触媒組成物(C)において光触媒(A)とバインダー成分(B)の質量比は、好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜40/60、より好ましくは(A)/(B)=0.1/99.9〜30/70という光触媒(A)の含有量が非常に少ない範囲においてさえ、形成される光触媒体は、光照射による十分な親水化能力(超親水化能力:20℃における水の接触角が10゜以下)や優れた光触媒活性を有する。また、この様に光触媒含有量が少ない光触媒体はバインダー成分(B)本来の物性を発現するため、強度や柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)等に優れたものとなる。
【0094】
この際、本発明における光触媒体中における光触媒(A)の濃度は、光触媒体内部や光触媒体が基材と接する面から他方の露出面に向かって徐々に高くなっても良いし、単に光触媒体内部や光触媒体が基材に接する面での光触媒濃度が低く、他方の露出面における光触媒濃度が高く、その間の変化が不連続であっても良い。
本発明の光触媒体は、皮膜状または成形体の様態であることが好ましい。
本発明における光触媒体を皮膜状とする場合は、例えば上記光触媒組成物(C)を基材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行い、基材上に皮膜を形成することにより得ることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
【0095】
この際、本発明の光触媒組成物(C)から形成される皮膜の膜厚は、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1.5〜10μmである。
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
この様にして得られた基材上に本発明の光触媒体である皮膜を有する機能性複合体は、光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を発現することが可能である。即ち、本発明の別の態様においては、上記光触媒組成物(C)から形成される光触媒体として、成形体や、基材上に皮膜を有する機能性複合体が提供される。
【0096】
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、特に限定はされなく、例えば本発明で開示した用途に使用される基材は全て用いることができる。本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせ等を挙げることができる。
本発明の機能性複合体においては、光触媒で分解する有機基材を用いた場合でも、耐久性は非常に優れたものとなる。すなわち、本発明の光触媒組成物(C)は、耐久性の問題から従来用いることができなかった有機基材に対しても、耐久性の優れた機能性複合体を提供することができる。
【0097】
本発明の機能性複合体の製造方法は、基材上に本発明の光触媒体を形成する場合に限定されない。基材と本発明の光触媒組成物を同時に成形、たとえば、一体成形、してもよい。また、本発明の光触媒組成物を成形後、基材の成形を行ってもよい。また、本発明の光触媒組成物と基材を個別に成形後、接着、融着等により機能性複合体としてもよい。上記方法で、本来の基材と接しない状態で成形する場合は別の基材を用いても良い。この場合の基材は固体に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、液体、気体でも良い。
【0098】
本発明の成形体または機能性複合体は、必要により、樹脂成形に用いる方法により、フィルム、シート、ブロック、ペレットさらに複雑な形状の成形体とすることができる。成形にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂と併用する事も可能である。
上記成形や上記併用のための混合を、本発明の成形体または機能性複合体や他の樹脂を粉体あるいは予めペレットとして行うことができる。一部に液状成分を含んでも良い。また、混合後の樹脂を下記方法でペレットに成形し、さらに成形に供する方法も可能である。ペレットは本発明の成形体または機能性複合体を他の樹脂中に高濃度に含有した所謂マスターバッチとすることもできる。
【0099】
本発明のための成形方法は、押出し成形法、射出成形法、プレス成形法等が可能である。また、熱可塑性樹脂を併用する等、樹脂の選定によってはカレンダー成形法も可能である。また、天然繊維を含む有機繊維、ガラス等の無機繊維(及びこれらの織物を含む)などを補強材に用いて本発明の成形体または機能性複合体、及びこれらと他の樹脂混合物を含浸し、積層成形する事も可能である。
本発明の成形体または機能性複合体は繊維状とすることもできる。繊維状に加工するにためには、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の紡糸方法が使用できる。当該紡糸方法としては溶融紡糸、溶液紡糸が用いられる。紡糸に当って、前述の他の樹脂とともに用いて繊維状に加工する事もできる。例えば、通常の樹脂(熱可塑性樹脂が成形上は好ましい)、たとえばポリエステル、ナイロン等に本発明の成形体または機能性複合体をブレンドしたり、あるいは本発明の成形体または機能性複合体とこれら樹脂を複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド型等)してもよい。
【0100】
繊維は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。繊維状とした本発明の成形体または機能性複合体は織物や不織布(短繊維又は長繊維)として用いる事もできる。
又、使用できる繊維の形態は、糸条、糸条の集合体であるチーズ状、織物、編物、不織布等が挙げられ、他の樹脂の繊維と混用されていても良い。糸条の形態としては、原糸、仮撚糸(延伸仮撚糸を含む)、先撚仮撚糸、空気噴射加工糸、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、混繊糸等が挙げられる。又、混用する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系等の弾性繊維(酸化マグネシウ ム、酸化亜鉛に代表される金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤を添加したものを含む)等の合成繊維や、綿、麻、ウール、絹等の天然繊維やキュプラ、レーヨン、ポリノジック等のセルロース系繊維やアセテート系繊維がある。
【0101】
上記繊維状に加工した本願発明の成形体または機能性複合体は抗菌、防汚、防臭、有毒ガス分解を目的として衣料用、ガス、液体のフィルター用に用いることができる。
本発明の光触媒体、あるいは光触媒体が基材に固定化された上記の機能性複合体は、それに含まれる光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
【0102】
この際、光触媒(A)が、上述した式(6)で表されるトリオルガノシラン単位、式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A1)である場合、励起光照射により光触媒(A)粒子の近傍に存在する該変性剤化合物(b)の珪素原子に結合した有機基(R)の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換される。その結果、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士が脱水縮合反応してシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
【0103】
また、バインダー成分(B)として上述したシリコーン系樹脂を用いたときも同様に、励起光照射により光触媒(A)粒子の近傍に存在するシリコーンの珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部は、光触媒の分解作用により水酸基に置換され、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士の脱水縮合反応が進行しシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
本発明において、光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯等の光が利用できる。
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用することができる。
【0104】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能である。
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防汚技術分野への応用例としては、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇等、また、乗物の外装および塗装、用途によってはその内装にも使用でき、車両用照明灯のカバー、窓ガラス、計器、表示盤等透明性が要求される部材での使用に効果があり、また、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用、鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装および塗装、トンネル内装および塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で使用される電子、電気機器の外装部、特に透明部材、ビニールハウス、温室等の外装、特に透明部材、また、室内にあっても汚染のおそれのある環境、たとえば医療用や体育用の施設、装置等の用途を挙げることができる。
【0105】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防曇技術分野への応用例としては、例えば鏡(車両用後方確認ミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡等)、レンズ(眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズ等)、プリズム、建物や環視塔の窓ガラス、乗物の窓ガラス(自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、乗物の風防ガラス(自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス、保温食品の陳列ケースのガラス、計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー、レーザー歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、カメラ用フィルター等の用途を挙げることができる。
【0106】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の帯電防止技術分野への応用例としては、例えばブラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装および塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装および塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装および塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装等の用途を挙げることができる。
【0107】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が70゜以上(好ましくは90゜以上)となった疎水性のもの(疎水性の成形体や疎水性膜、及び該疎水性膜で被覆された基材等)は、防滴性や水切れ性の付与、水系汚れの付着防止や流水洗浄性を利用した防汚技術、さらには着氷雪防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、風防ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気製品、屋根材、アンテナ、送電線、氷雪滑走具等の用途に使用することができる。
【0108】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の用途に使用することができる。
また、本発明によって提供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対し非常に有用である。
【0109】
【実施例】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
【0110】
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
クロロホルム(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
【0111】
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.皮膜硬度
JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
6.紫外線照射後の皮膜硬度
皮膜表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を7日間照射後、上記の方法(5)にて測定した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cm2となるよう調整した。
7.皮膜表面に対する水の接触角
皮膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面は親水性が高い。
【0112】
8.紫外線照射前後の、皮膜表面の親水性(疎水性)の変化
皮膜の表面に、上記6の方法で紫外線を7日間照射した後、上記7の方法にて水の接触角を測定した。
9.皮膜の光触媒活性
皮膜表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記6の方法にて紫外線を5日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
10.皮膜の耐候性(光沢保持率)
スガ試験器製DPWL−5R型デューパネル光コントロールウェザーメーターを使用して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40℃4時間)を行った。曝露1000時間後の60°−60°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定し、これを初期光沢値で割り、この値を光沢保持率として算出した。
【0113】
11.光触媒の傾斜構造の評価
試料をエポキシ樹脂(Quetol812)に包埋後、独国Reichert社製ULTRACUT−N型ミクロトームにより50〜60nmの厚さの超薄切片を作成し、支持膜を張ったメッシュに積載した。続いて5分程度のRuO4蒸気染色を施した後、カーボン蒸着を行い検鏡用試料とし、TEMにより皮膜断面の観察を実施した。
TEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日立製HF2000型
・加速電圧:125kV
また、光触媒酸化チタンの存在場所は、Ti元素のEDX分析により解析した。
また、アクリルウレタン系のベースコート層を有するアルミ板上に形成させた皮膜の観察は、試料をDISCOエンジニアリングサービス製DAD321型ダイシングソーで粗切断した後、FIB(Focused Ion Beam)加工を行い、TEMによる皮膜断面の観察を実施した。
FIB加工条件は以下の通りである。
使用機器:日立製FB2000型
加工条件:加速電圧(30kV)
イオン源:Ga
また、TEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日立製HF2000型
・加速電圧:200kV
【0114】
12.耐衝撃性
JIS−K5400に準じ、デュポン式(500g×50cm)で評価した。
13.耐汚染性
試験板を一般道路(トラック通行量500〜1000台/日程度)に面したフェンスに3ケ月間張りつけた後、試験板表面を水洗し、汚染の度合いを目視にて評価した。
【0115】
[参考例1]
フェニル基含有シリコーン(BP1−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
【0116】
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BP1−1)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BP1−1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BP1−1)の式は、(Ph)1(OCH3)0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0117】
[参考例2]
アルキル基含有シリコーン(BA−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン136g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン120g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(BA−1)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(BA−1)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、その比率はT構造:D構造=1:1であった。
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記アルキル基含有シリコーン(BA−1)の平均組成式は、(CH3)1.5(OCH3)0.27SiO1.12であった。
【0118】
[参考例3]
バインダー成分(B−1)の調整。
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BP1−1)6gと参考例2で合成したアルキル基含有シリコーン(BA−1)3gを混合したものに、トルエン14.7g、イソプロパノール29.8g、ブチルセロソルブ15.1gを添加し、室温で撹拌する事によりバインダー成分(B−1)の溶液を得た。
また、各々の組成物の平均組成式より、上記バインダー成分(B−1)の平均組成式は、(Ph)0.67(CH3)0.5(OCH3)0.47SiO1.18と計算できる。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0119】
[参考例4]
変性光触媒(A1−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO2濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)}40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの20質量%トルエン溶液40gを50℃にて約5分かけて添加し、さらに50℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−1)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、図1、図2にそれぞれ変性処理前のTKS−251及び得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を示す。得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は25nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が完全に消失していることが分かる。
【0120】
[実施例1]
参考例3で調整したバインダー成分(B−1)の溶液68gに上記変性光触媒オルガノゾル(A−1)20gを室温にて撹拌下において添加し、さらに硬化触媒(ジラウリル酸ジブチル錫)0.5gを攪拌下に添加して光触媒組成物(C−1)を得た。
50mm×60mmに裁断した厚さ1mmのアルミ板(JIS,H,4000(A1050P))にマイティラック白{アクリルウレタン樹脂塗料(2液混合型)の商品名(日本ペイント製)}をスプレー塗布し、室温にて3日間乾燥した。得られたアクリルウレタン塗装を行ったアルミ板に上記光触媒組成物(C−1)を膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布した後、室温で1時間乾燥し、150℃で30分加熱する事により、光触媒皮膜を有する試験板(D−1)を得た。
【0121】
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)の鉛筆硬度は2Bであり、水との接触角は105゜であった。また、耐衝撃性試験は合格した。
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は3Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は98%であり、非常に良好な耐候性を示した。
【0122】
また、得られた試験板(D−1)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−1)をFIB加工し、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図3(a)の写真に示す。また、図3(a)の写真のイラストレーションが図3(b)である。変性光触媒粒子(図3(b)中の参照番号1で示す)を含む光触媒皮膜(図3(b)中の参照番号2で示す)と、基材である、顔料酸化チタン(図3(b)中の参照番号4で示す)を含むアクリルウレタン皮膜(図3(b)中の参照番号3で示す)との界面には変性光触媒粒子は存在せず、光触媒皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。
【0123】
続いて、光触媒組成物(C−1)をエポキシ樹脂(Quetol812)上にスプレー塗布した後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加熱することにより平滑な光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)を得た。
得られた光触媒皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)をエポキシ樹脂(Quetol812)に包埋後、ミクロトームにより50〜60nmの厚さの超薄切片を作成し、RuO4でフェニル基含有シリコーン(BP1−1)を染色した後、TEMによる皮膜断面の観察を行った結果を図4(a)の写真に示す。また、図4(a)の写真のイラストレーションが図4(b)である。
【0124】
変性光触媒粒子(図4(b)中の参照番号1で示す)を含む光触媒皮膜(図4(b)中の参照番号2で示す)と基材であるエポキシ樹脂(図4(b)中の参照番号5で示す)との界面には変性光触媒粒子はほとんど存在せず、光触媒皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。また、皮膜中において、RuO4で染色されたフェニル基含有シリコーンと染色されていないアルキル基含有シリコーンが相分離構造を有しており、変性光触媒はアルキル基含有シリコーン相に存在していることが観察された。
【0125】
また、図4(b)中の参照番号5(b)で示す部分が、変性光触媒粒子相1と変性光触媒粒子を含まないバインダー相7との境界部分で、その部分を拡大した写真が図5(a)である。また、図5(a)の写真のイラストレーションが図5(b)である。
図5(a)には、変性光触媒粒子(図5(b)中の参照番号1で示す)を含むバインダー相と変性光触媒粒子を含まないバインダー相(図5(b)中の参照番号7で示す)が存在することが観察できる。また、変性光触媒粒子を含まないバインダー相(図5(b)中の参照番号7で示す)では、RuO4で染色されたフェニル基含有シリコーンと染色されていないアルキル基含有シリコーンがミクロ相分離構造を有して存在していることが観察できる。
【0126】
[実施例2]
硬化触媒として、ジラウリル酸ジブチル錫0.5gの代わりにジルコニウムテトラアセチルアセトナート(Zr(acac)4)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(C−2)を得た。
得られた光触媒組成物(C−2)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒皮膜を有する試験板(D−3)を得た。
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−3)の鉛筆硬度は2Hであり、水との接触角は104゜であった。
【0127】
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−3)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は99%であり、非常に良好な耐候性を示した。
また、得られた試験板(D−3)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
【0128】
[比較例1]
参考例2で合成したアルキル基含有シリコーン(BA−1)9gに、トルエン14.7g、イソプロパノール29.8g、ブチルセロソルブ15.1gを添加し、室温で撹拌する事によりバインダー成分(BA−1)の溶液を得た。
続いて、得られたバインダー成分(BA−1)の溶液にTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO2濃度20重量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)}8gを室温にて撹拌下において添加し、さらに硬化触媒(ジルコニウムテトラアセチルアセトナート)0.5gを攪拌下に添加して光触媒組成物(C−3)を得た。
【0129】
得られた光触媒組成物(C−3)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒皮膜(酸化チタン含量は実施例1と同量)を有する試験板(D−5)を得た。
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−5)の鉛筆硬度はHBであり、水との接触角は101゜であった。
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−5)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は2Hであり、水の接触角は98゜であった。さらに光触媒活性評価は悪い結果(×)であった。
また、得られた試験板(D−5)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面にはひどい雨筋汚れが生じており、耐汚染性が非常に悪いものであった。
【0130】
[比較例2]
TKS−251の8gの代わりにTKS−251を19g用いた以外は、比較例1と同様の操作を行い光触媒組成物(C−4)を得た。
得られた光触媒組成物(C−4)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒皮膜(酸化チタン含量は実施例1の2倍量)を有する試験板(D−6)を得た。
得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−6)の鉛筆硬度はHであり、水との接触角は97゜であった。
また、得られた光触媒皮膜を有する試験板(D−6)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は3Hであり、水の接触角は14゜であった。さらに光触媒活性評価は良好な結果(△)であった。
しかし、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる200時間の曝露試験で、光沢保持率は10%以下となり、チョーキング現象が観察された。
【0131】
【発明の効果】
本発明の光触媒体は、有機基材との間の界面劣化や光触媒体中のバインダーの劣化を生じることが無く、硬度等と柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)のバランスに優れるため、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発現する耐久性に優れた機能性複合体を煩雑な工程を必要とせずに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、変性処理前のTKS−251(市販の酸化チタンオルガノゾル)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。
【図2】図2は、参考例4で上記TKS−251を変性処理して得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。
【図3】図3(a)は、実施例1で得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)の断面のTEM写真である。図3(b)は、図3(a)のイラストレーションである。
【図4】図4(a)は、実施例1で得られた光触媒含有皮膜を有するエポキシ樹脂(D−2)の断面のTEM写真である。
図4(b)は、図4(a)のイラストレーションである。
【図5】図5(a)は、図4(a)のTEM写真の一部を拡大した写真である。
図5(b)は、図5(a)のイラストレーションである。
【符号の説明】
1 変性光触媒粒子
2 光触媒含有皮膜
3 アクリルウレタン皮膜
4 顔料である酸化チタン
5 エポキシ樹脂
5(b) 変性光触媒粒子相1と変性光触媒粒子を含まないバインダー相7との境界部分で、その拡大図を図5(b)に示す
6 包埋用エポキシ樹脂
7 変性光触媒粒子を含まないバインダー相
Claims (14)
- 光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む光触媒体であって、該バインダー成分(B)が、下記式(1)で表されるアルキル基含有シリコーン(BA)の相と下記式(2)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)の相とからなることで2相に相分離した相分離構造を有しており、前記光触媒(A)と前記バインダー成分(B)との質量比が(A)/(B)=0.1/99.9〜40/60である光触媒体。
R 2 u X v SiO (4-u-v)/2 (1)
(式中、R 2 は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
R 1 p R 2 q X r SiO (4-p-q-r)/2 (2)
(式中、各R 1 はフェニル基を表し、R 2 は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。) - 該フェニル基含有シリコーン(BP)が、下記式(3)で表される、アルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒体。
R1 sXtSiO(4-s-t)/2 (3)
(式中、R1はフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。) - 該光触媒(A)が、下記式(6)で表されるトリオルガノシラン単位、下記式(7)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、下記式(8)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF2−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A1)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒体。
R3Si− (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(R2SiO)− (7)
(式中、Rは式(6)で定義した通りである。)
- 該変性剤化合物(b)が、下記式(9)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項4に記載の光触媒体。
HxRySiO(4-x-y)/2 (9)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。x及びyは、0<x<4、0<y<4であり、そして(x+y)≦4である。) - 該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)が、下記式(10)で表されるモノSi−H基含有化合物、下記式(11)で表される両末端Si−H基含有化合物、下記式(12)で表されるHシリコーンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒体。
−O−(R4 2SiO)m−SiR4 3 ・・・(13)
(式中、R4はそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、又はフェニル基を表す。また、mは整数であり、0≦m≦1000である。))
H−(R3 2SiO)n−SiR3 2−H ・・・(11)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。nは整数であり、0≦n≦1000である。)
(R3HSiO)a(R3 2SiO)b(R3 3SiO1/2)c ・・・(12)
(式中、R3は式(10)で定義した通りである。aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、(a+b)≦10000であり、そしてcは0又は2である。但し、(a+b)が2以上の整数であり且つc=0の場合、式(12)の該Hシリコーンは環状シリコーンであり、c=2の場合、式(12)の該Hシリコーンは鎖状シリコーンである。) - 該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光触媒体。
- 該光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該光触媒(A)粒子の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒体。
- 皮膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光触媒体。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
- 該光触媒体が光触媒(A)の分布について異方性を有し、光触媒(A)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面から他方の露出面に向かって高くなることを特徴とする請求項10に記載の機能性複合体。
- 成形体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光触媒体。
- 光触媒(A)の分布について異方性を有し、光触媒(A)の濃度が、該成形体の内部から表面に向かって高くなることを特徴とする請求項12に記載の光触媒体。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光触媒体を形成することを特徴とする光触媒組成物。
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